説明

使い捨て吸収性物品

【課題】 赤ちゃん用おむつや、主に介護を必要とする高齢者や障害者向けの、尿や便を吸収保持する使い捨て尿パッド、テープ型おむつ、パンツ型おむつ及び生理用ナプキン、軽失禁パッド等を含む使い捨て吸収性物品において、パッケージから取り出した後であっても、その吸収能力を識別できる情報を付与した使い捨て吸収性物品を提供する。
【解決手段】 液透過性トップシートと液不透過性バックシートとの間に吸収体を配置した吸収性本体を有する吸収性物品であって、前記吸収体の吸収能力を識別可能な識別部を有していることを特徴とする使い捨て吸収性物品。識別部は、排尿可能回数及び/又は1回の排尿吸収可能量の目安を識別するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤ちゃん用おむつや、主に介護を必要とする高齢者や障害者向けの、尿や便を吸収保持する使い捨て尿パッド、テープ型おむつ、パンツ型おむつ及び生理用ナプキン、軽失禁パッド等を含む使い捨て吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
使い捨て吸収性物品、特に使い捨ておむつは、介護現場等ではさまざまな形態(たとえば、折る、畳む、重ねる)で使用される。たとえば、テープ型おむつとして、又はパンツ型外装部材をアウターとして使用してその中に尿パッドを入れて使用する場合がある。
【0003】
このような吸収性物品では、使用する際に不都合が生じないように種々の工夫がされている。例えば、特許文献1には、おむつの前後を容易に区別可能とするために、腹部ウエスト周り部材に、前後方向を識別できる文字、図形、記号又は模様を付したおむつが開示されている。また、特許文献2には、おむつを積み重ねた状態であっても、そのサイズ等を識別可能とするために、バックシート面に特定の文字、図形、絵柄、色彩等の模様を配列した目印を付したおむつが開示されている。さらには、特許文献3には、パンツタイプのおむつにおいて、前後の区別がつきやすいように、腹側形成部材に色、柄、図形、模様、記号または文字を付し、それらのすべてが前身頃と後身頃でそれぞれ異ならせるおむつが開示されている。
【特許文献1】特許第3789197号公報、図1
【特許文献2】特開2005−177160号公報、図1〜4
【特許文献3】特開2005−237768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、吸収性物品、例えば尿パッドでは、その使用時間等に応じ、1回の排尿量や排尿回数等に合わせて吸収体の吸収能力の異なるものが用いられている。例えば、夜用と昼用とでは、吸収能力が異なるものが用いられている。そして、誤使用を防止するために、尿パッド等の吸収性物品のパッケージには、その吸収体の吸収能力を表示する文字情報、画像情報、アイコン、表などが付記されている。
ところが、介護現場では、尿パッド等の吸収性物品をパッケージから取り出した状態で棚に保管し、実際に使う際にその吸収性物品を搬送具(例えば、かごやワゴン)に載せて交換場所に運んで使うので、パッケージにその吸収体の吸収能力を表示しただけでは、使用現場でその吸収能力を正確に把握して着用者に最適な吸収性物品を選別できないという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、パッケージから取り出した後であっても、その吸収能力を識別できる使い捨て吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明は、以下の各技術事項を基礎として構成されている発明である。
【0007】
(1)液透過性トップシートと液不透過性バックシートとの間に吸収体を配置した吸収性本体を有する吸収性物品であって、前記吸収体の吸収能力を識別可能な識別部を有していることを特徴とする使い捨て吸収性物品。
【0008】
(2)前記識別部は、排尿可能回数及び/又は1回の排尿吸収可能量の目安を識別するものであることを特徴とする(1)項に記載の使い捨て吸収性物品。
【0009】
(3)前記識別部は、前記吸収能力を外側から視認可能に表示する情報表示部であることを特徴とする(1)項又は(2)項に記載の使い捨て吸収性物品。
【0010】
(4)前記情報表示部は、前記吸収能力を所定形状に枠取りされた枠内に表示するものであることを特徴とする(3)項に記載の使い捨て吸収性物品。
【0011】
(5)前記識別部は、前記吸収能力を読み取り可能な二次元バーコードであることを特徴とする(1)項又は(2)項に記載の使い捨て吸収性物品。
【0012】
(6)前記識別部は、前記吸収能力を読み取り可能に記録した無線ICチップであることを特徴とする(1)項又は(2)項に記載の使い捨て吸収性物品。
【0013】
(7)前記識別部には、前記吸収能力に加えて、当該吸収性物品の使用方法、他の商品との推奨される組み合わせ、代替可能な他の吸収性物品、宣伝文、製造ロット番号、推奨使用期限、webアドレス、価格、販売店名及び外国語表記のうちの少なくとも一つの情報が読み取り又は視認可能に含まれていることを特徴とする(1)項〜(6)項のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【0014】
(8)前記識別部は、包装時の折り畳みライン上に設けられていることを特徴とする(1)項〜(7)項のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【0015】
(9)前記識別部は、ずれ止め用の粘着剤付与部を覆う剥離シートに設けられていることを特徴とする(1)項〜(7)項のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【0016】
(10)前記識別部は、廃棄用テープに設けられていることを特徴とする(1)項〜(7)項のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【発明の効果】
【0017】
本発明の使い捨て吸収性物品によれば、吸収体の吸収能力を識別可能な識別部を有しているので、パッケージから取り出した後であっても、その吸収能力を識別でき、利用者に最適な吸収性物品を選別して装着可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の使い捨て吸収性物品について説明する。ただし、本発明は、その発明を特定する事項を備える使い捨て吸収性物品を広く包含するものであり、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0019】
図1は、本発明が適用されたパッド型の使い捨ておむつを内側から見た一部切り欠き平面図である。
使い捨ておむつ1(以下、単に「おむつ1」という。)は、いわゆる矩形状の尿パッドである。おむつ1は、液透過性のトップシート2と液不透過性のバックシート3との問に吸収体4を配置した吸収性本体(P)からなる。吸収性本体(P)の両側縁には伸縮弾性体5が伸長状態で配置されている。
【0020】
トップシート2としては、一般的に衛生材料に用いられる素材を採用することができる。例えば、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリエステル系、その他の熱可塑性樹脂を原料とした合成繊維などからなる不織布、穴あき不織布、メッシュシートなどのシートを採用することができる。
【0021】
バックシート3は、液不透過性のシートを単独で用いても良く、液不透過性シートを不織布と積層して用いてもよい。液不透過性のシートとしては、液体不透過性のポリエチレンシート、好ましくは、微孔を設けたポリエチレンシートや、熱可塑性樹脂にフィラーを加えて延伸して微孔を形成しているポリエチレンシートのような通気性、透湿性があり、かつ液体不透過性である合成樹脂シートを用いると、蒸れが少なく快適である。
【0022】
バックシート3の外側には、手触り感を良好にし、フィルム独特の擦れ音をださないように、不織布を貼り付けてもよい。この場合の不織布としては、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリエステル系などの熱可塑性樹脂を原料とした合成繊維からなる不織布を用いることができる。
【0023】
吸収体4は、木材パルプや非木材パルプを綿状に粉砕したフラッフパルプや親水性繊維(たとえば、アセテート繊維)などから選ばれたものを主材としたものに、粉末状又は繊維状の高吸水性樹脂(SAP)を併用したものが好ましく、その他、型崩れ防止のために熱融着繊維等を混合したものを用いてもよい。また、高吸水性樹脂が液透過シートを突き抜けて飛び出すのを防ぐために、吸収体4の全体をティシュや親水性の不織布(たとえばスパンボンド、SMSなど)で包み込むことが好ましい。
【0024】
伸縮弾性体5としては、天然ゴム、合成ゴムなどからなる糸ゴム、平ゴム、弾性ネット状シートを用いることができる。伸縮弾性体5は、着用者の体線に沿うようにおむつ1を湾曲させて漏れ防止の機能を付与することができる。
【0025】
図2は、図1に示すおむつ1の裏面側の平面図である。バックシート3には、粘着剤付与部を有するずれ止め部6が設けられているとともに、吸収体4の吸収能力を識別可能な識別部としての情報表示部10が外側から視認可能に印刷表示されている。
【0026】
ずれ止め部6は、バックシート3の裏面に塗布された粘着剤層7と、当該粘着剤層7の塗布領域を覆う剥離シート8とを有し、おむつ1をパンツ型外装部材内に配置して使用する際にずれ止め用として用いられる。すなわち、剥離シート8を剥がし、粘着剤層7によっておむつ1をパンツ型外装部材内に接着すれば、おむつ1がパンツ型外装部材内で位置ずれすることがない。
【0027】
情報表示部10は外側から視認可能であればよく、バックシート3の外側に不織布が貼り付けられる場合には不織布に印刷表示するようにしても良く、あるいはバックシート3に印刷表示し、不織布を通して外側から視認可能とする構成であってもよい。
情報表示部10は、太線の矩形枠11で囲まれた領域内に、吸収体4の吸収能力を表示している。矩形枠11内には、排尿可能回数の目安を表示する文字情報12として数字「3」が表示されているとともに、3個の図形13が表示され、数字「3」及び図形13の個数により排尿可能回数の目安が3回である旨を表示している。図形13の内側には、1回の排尿吸収可能量の目安を示す文字情報14として数字「150」が表示され、この数字により1回の排尿吸収可能量の目安が150m1である旨を表示している。なお、矩形枠11や図形13の線の太さ、数字「3」、「150」の太さを1mm以上に設定すれば、視認性が向上し、排尿可能回数や1回の排尿吸収可能量の目安を容易に識別できる。また、矩形枠11、図形13、数字「3」、「150」の印刷は、単色でもよく、複数の色を適宜組み合わせるようにしても良い。
【0028】
情報表示部10は各コーナー部及び中央部に合わせて6箇所に印刷表示されている。詳しく説明すると、各コーナー部の4箇所に情報表示部10が設けられているとともに、包装時の折り畳みラインX−X線及びY−Y線上の2箇所に情報表示部10が設けられている。すなわち、ラインX−X線及びY−Y線に沿っておむつ1が三つ折りされ、その折り畳まれたおむつ1が複数枚積層された状態で図示しないパッケージに収納されて包装される。そして、介護現場等においては、おむつ1を三つ折りに折り畳まれた状態のままパッケージから取り出して棚等の上に保管し、実際に使う際にそのおむつ1を搬送具(例えば、かごやワゴン)に載せて交換場所に運んで使用されるが、各コーナー部の4箇所に情報表示部10が設けられているとともに、包装時の折り畳みラインX−X線及びY−Y線上の2箇所に情報表示部10が設けられているので、おむつ1の使用時に情報表示部10を視認してそのおむつ1の吸収体4の吸収能力を正確に把握できる。特に、包装時の折り畳みラインX−X線及びY−Y線上の2箇所に情報表示部10が設けられているので、介護現場等においては、図3に示されるようにおむつ1を三つ折りに折り畳まれた状態のままパッケージから取り出して棚等の上に保管した状態であっても、情報表示部10を確実に視認でき、そのおむつ1の吸収体4の吸収能力を正確に把握できる。
【0029】
なお、情報表示部10の配置箇所の数は、必要に応じて適宜増減することが可能である。また、おむつ1が二つ折りに折り畳まれてパッケージに収納されて包装される場合には、その一の折り畳みライン上に情報表示部10を設けることが好ましい。
上記構成によれば、吸収体4の吸収能力を識別可能な識別部としての情報表示部10が設けられているので、おむつ1を図示しないパッケージから取り出した後であっても、そのおむつ1の吸収能力を識別でき、利用者に最適なおむつ1を選別して装着可能となる。
【0030】
図4は、バックシート面の後身頃側両側縁部にファスニングテープ(Fa)を設け、前身頃側バックシート面に該ファスニングテープ(Fa)と係合するフロントシート(Fr)を配置した展開型の使い捨てオムツ1をおむつの外側となるバックシート面側から見た一部切り欠き平面図である。この展開型の使い捨ておむつは、着用者の胴周りでファスニングテープ(Fa)をフロントシート(Fr)面に係合させることによって着用者に装着される。
本実施の形態では、フロントシート(Fr)面及び後身頃側のバックシート面に情報表示部10が印刷表示されている。
【0031】
情報表示部10は、おむつ1の幅方向中央部にその長手方向(図4上下方向)に沿って4箇所に設けられている。詳しく説明すると、おむつ1の長手方向両端部2箇所に情報表示部10が設けられているとともに、包装時の折り畳みラインX−X線及びY−Y線上の2箇所に情報表示部10が設けられ、上記実施の形態と同様に、おむつ1の使用時に情報表示部10を視認してそのおむつ1の吸収体4の吸収能力を正確に把握できる。
【0032】
図5は、情報表示部10の他の表示形態を示し、具体的な表示内容の3例が図5の(a),図5の(b),図5の(c)に示されている。
図5の(a)に示される表示形態では、矩形枠11内の情報表示部15がその対角線を境として二分されている。そして、対角線を境として、その片側が黒色等で塗りつぶされ、その塗りつぶし部分に、排尿可能回数の目安を表示するものであることを意味する文字情報12として数字「3」が白抜き表示されているとともに、他の片側に3個の図形13が表示され、数字「3」及び図形13の個数により排尿可能回数の目安が3回である旨を表示している。図形13の内側には、1回の排尿吸収可能量の目安として数字「100」が表示され、この数字「100」により1回の排尿吸収可能量の目安が100m1である旨を表示している。
この表示形態では、矩形枠11内の情報表示部15の約半分が黒色等で塗りつぶされ、その塗りつぶし部分に数字「3」が白抜き表示されているので、数字「3」がバックシート面から浮き出た感じとなり、視認性が向上し、排尿可能回数の目安を容易に識別できる。
【0033】
図5の(b)に示される表示形態では、矩形枠11内が上下方向(図5上下方向)に二分されている。そして、その上部領域に排尿可能回数の目安を表示する文字情報12として数字「3」が表示されているとともに、下部領域が塗りつぶされ、この塗りつぶし部分に3個の図形13が白抜き表示され、数字「3」と、図形13の個数により排尿可能回数の目安が3回である旨を表示している。図形13の内側には、1回の排尿吸収可能量の目安として数字「100」が表示され、この数字「100」により1回の排尿吸収可能量の目安が100mlである旨を表示している。
この表示形態においては、矩形枠11内の下部領域が黒色等で塗りつぶされ、その塗りつぶし部分に3個の図形13が白抜き表示されているので、3個の図形13がバックシート面から浮き出た感じとなり、視認性が向上し、図5の(a)に示される表示形態と同様に、排尿可能回数の目安を容易に識別できる。
【0034】
図5の(c)に示される表示形態では、矩形枠11内には、その上部情報表示部に排尿可能回数の目安を表示する文字情報12として数字「3」が表示されているとともに、下部情報表示部に4列×4行、合わせて16個の図形13がマトリクス表示されている。そして、1列目ではその最下段の図形13が塗りつぶされ、2列目では、最下段とその上の段の2つの図形13が塗りつぶされ、3列目では最下段とその上方の2段の3つの図形13が黒色等で塗りつぶされており、数字「3」及び塗りつぶされた図形13の個数により排尿可能回数の目安が3回である旨を表示している。各列の塗りつぶされた図形13の最上位の図形13内には、それぞれ1回の排尿吸収可能量の目安として数字「100」が白抜き表示され、この数字により1回の排尿吸収可能量の目安が100mlである旨を表示している。
この表示形態では、16個の図形13がマトリクス表示され、その一部を排尿可能回数に対応して塗りつぶしたので、視認性が向上し、排尿可能回数の目安を容易に識別できる。
【0035】
上記表示形態では、矩形枠11内の一部を黒色等で塗りつぶし、その塗りつぶし部分に排尿可能回数の目安を表示する数字「3」等を白抜き表示したが、矩形枠11の内側領域15の10%以上、70%以下の面積部分が塗りつぶされていることが望ましい。塗りつぶし面積が10%未満であったり、あるいは塗りつぶし面積が70%を超えると、数字「3」等の表示に気づきにくく、数字「3」等を判別しにくくなる。
【0036】
図6は、図2に示されているタイプの吸収性物品のずれ止め部6における剥離紙8上に吸収体の吸収能力を読み取り可能な二次元バーコード16が印刷された例を示すものである。この二次元バーコード16をカメラつき携帯電話やバーコードリーダーで読み取ることによって、吸収体の吸収能力を識別することができる。なお、二次元バーコードは、カメラつき携帯電話やバーコードリーダーによって読み取り、テキストデータに変換することができる。
【0037】
なお、二次元バーコード16としては、スタック型二次元コードやマトリックス型二次元コードがある。スタック型二次元コードの例としては、CODE49〔Intermec社(米国)〕、PDF417〔Symbol Technologies社(米国)〕など、マトリックス型二次元コードの例としては、Veri Code〔VERITEC社(米国))、Data Matrix〔1.D.MATRIX社)(米国)〕、QR CODEおよびMicro QR〔デンソー社(日本)〕などから選択することができるが、普及率が高い利便性からQR CODEを用いるのが好ましい。たとえば、QR CODEでは、最大データ量として英数字で約4296文字、漢字で最大1817文字をコード化することができる。
【0038】
図7は、使い捨て吸収性物品がパンツ型使い捨ておむつである、本発明のさらに別の実施の形態を示した例である。
この実施の形態では、使用後にパンツ型の使い捨ておむつを丸めて捨てるときの留めテープとなる廃棄テープ17が配置されており、この廃棄テープ17に識別部としての無線ICチップ18が設けられている。無線ICチップ18には、吸収体の吸収能力が読み取り可能に記録され、図示しない読み取り装置により非接触にて吸収体の吸収能力を読み取り識別できるようになっている。無線ICチップ18には、たとえば、銘柄を識別する情報(ID情報)等が割り当てられ、読み取り装置によってID情報を読み取り、データベースからデータを参照して情報をみることができる。
【0039】
情報の内容としては、前記二次元バーコードと同様なテキスト情報以外に、音声情報又は映像情報等の情報を記録、保持させることができる。例えば、音声情報の場合、目視による正確な識別に難がある使用者でも音声によって吸収性物品の名称とその吸収能力とが発せられると吸収性物品の内容を正確に把握することができる。また、音楽情報の場合は、介護現場で心の安らぐ音楽を選択することも可能である。さらに、映像情報の場合は、使い捨て吸収性物品の好ましい着用方法の映像や、娯楽的な映像を流すことも可能である。
無線ICチップ18としては、ラベル型、カード型、コイン型、スティック型などが用いることができるが、ラベル型が好適に用いられ、用途に応じて選択することができる。通信距離は数mm程度のものから数mのものがあり、用途に応じて使い分けることができるが、数十mm〜数百mm程度のものが好適である。
なお、図7のパンツ型使い捨ておむつにおいても、図3に示されるよう、パンツ型使い捨ておむつを折り畳む場合に折り畳み部となる箇所、たとえば、股下部等に、さらに情報表示部10を設けた構成のものとすることは任意である。
【0040】
各図において、情報表示部10に視認可能に表示される情報、二次元バーコード16に読み取り可能に表示される情報、無線ICチップ18に読み取り可能に記憶される情報としては、使い捨て吸収性物品の交換目安となる排尿可能回数及び1回の排尿吸収可能量の少なくとも一方の情報が含まれてよく、これにより1回の排尿量が異なる個々の利用者についての想定排尿量に見合った最適の吸収能力を有する吸収性物品を選択することができる。また、夜間は長時間交換不要なタイプの吸収性物品が好まれることから、排尿可能回数を表示することは特に好ましい。さらに、吸収体の吸収能力に加え、宣伝、製造ロット番号、推奨使用期限、Webアドレス、価格、販売店、お客様相談室の連絡先等の情報を読み取り可能に含めるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の使い捨て吸収性物品は、パッケージから取り出した後であっても、その吸収能力を識別でき、利用者に最適な吸収性物品を選別して装着可能となるので、尿パッド、幼児用あるいは介護を必要とする高齢者や障害者用の、成人用のおむつとして好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明が適用されたパッド型使い捨ておむつの一部切り欠き平面図である。
【図2】図1のパッド型使い捨ておむつを裏面側から見た平面図である。
【図3】図1及び図2に示すパッド型使い捨てオムツを3つ折りした状態を示す図である。
【図4】本発明が適用された展開型のおむつを裏面側から見た一部切り欠き平面図である。
【図5】本発明の情報表示部の表示形態を示す図である。
【図6】本発明の他の実施の形態を図1に対応して示した平面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態を示すパンツ型使い捨ておむつの斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1 使い捨ておむつ
2 トップシート
3 バックシート
4 吸収体
5 弾性体
6 ずれ止め部
7 粘着剤層
8 剥離シート
9 文字情報
10 情報表示部
11 情報表示枠
12 文字情報
13 図形
14 文字情報
15 情報表示領域
16 二次元バーコード
17 廃棄テープ
18 ICチッフ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性トップシートと液不透過性バックシートとの間に吸収体を配置した吸収性本体を有する吸収性物品であって、前記吸収体の吸収能力を識別可能な識別部を有していることを特徴とする使い捨て吸収性物品。
【請求項2】
前記識別部は、排尿可能回数及び/又は1回の排尿吸収可能量の目安を識別するものであることを特徴とする請求項1記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項3】
前記識別部は、前記吸収能力を外側から視認可能に表示する情報表示部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項4】
前記情報表示部は、前記吸収能力を所定形状に枠取りされた枠内に表示するものであることを特徴とする請求項3に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項5】
前記識別部は、前記吸収能力を読み取り可能な二次元バーコードであることを特徴とする請求項1又は2に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項6】
前記識別部は、前記吸収能力を読み取り可能に記録した無線ICチップであることを特徴とする請求項1又は2に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項7】
前記識別部には、前記吸収能力に加えて、当該吸収性物品の使用方法、他の商品との推奨される組み合わせ、代替可能な他の吸収性物品、宣伝文、製造ロット番号、推奨使用期限、webアドレス、価格、販売店名及び外国語表記のうちの少なくとも一つの情報が読み取り又は視認可能に含まれていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項8】
前記識別部は、包装時の折り畳みライン上に設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項9】
前記識別部は、ずれ止め用の粘着剤付与部を覆う剥離シートに設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項10】
前記識別部は、廃棄用テープに設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−264232(P2008−264232A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−111783(P2007−111783)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】