説明

供給基盤に取付けられた噴霧システムを備えた自動スプレーガン

噴霧/霧化本体を具備した自動スプレーガンが供給基盤に取付けられる。本発明では、前記スプレーガンは、スプレー本体(2)と前記基盤(3)との間に配設された引張り固定手段(50、60)を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料、ラッカー、エナメルまたは類似の製品を噴霧するための自動スプレーガンに関する。
【背景技術】
【0002】
概括的に2つ或いは3つの部品、噴霧すべき加圧された製品を受け入れスプレーガンの前方の噴霧オリフィスに連通する室とを含む本体を具備した自動スプレーガンが周知となっている。この製品室はニードルによって閉鎖されている。ニードルは、その前方の端部に前記オリフィスを密閉可能な尖端部が設けられており、また、圧縮ガスによって駆動される。更に、スプレーガンは、前記オリフィスの各側に噴口を設けることができ、同時に該噴口に圧縮ガスが供給される。一方において、これらの噴口は中心オリフィスから噴出する加圧された製品を霧化し、他方において、噴霧された噴流を平板シート状または円形シート状に成形する。
【0003】
噴霧または霧化すべき製品を移動させ、また様々な圧縮ガスを供給するために、スプレーガン本体を通して複数の通路が延設されている。一例として、1つのスプレーガン本体は独立した5つの供給通路を備えよう。すなわち、噴霧すべき製品の供給通路、前記製品の再循環戻り通路、制御された圧縮ガスの供給通路、噴口を流通する圧縮ガスの供給通路およびシェーピング用圧縮ガス口への供給通路である。
【0004】
周知のスプレーガンに関して、スプレーガンの洗浄、保守、交換の間に全ての管を取外さなくとも、スプレーガンを容易に組立、分解可能なように、ガン本体は連結基盤に取付、固定されている。
【0005】
こうした、保守操作に要する時間を短縮するために、既にバヨネットタイプの迅速な連結、分離手段を利用して、スプレーガン本体は、上記基盤に組付け、それを回転することによって(回転摩擦によって)固定される。複数の供給通路オリフィスが形成されたスプレーガン本体の取付面は、1/4回転によって固定する螺旋状のランプ部を備え、前記基盤の着座面に形成されているハウジングに側部スタッドと共に挿入されるボスを具備しており、また、前記着座面は、スプレーガンのシール部材の管路に対応した複数の供給通路を具備している。シール部材は、スプレーガン本体が基盤に取付けられるときに各供給通路の間に装着され、支持面と着座面の間においてオリフィスの周縁に配設されている。組立は、先ず、スプレーガン本体を基盤に対して横断方向に配置し、固定部材をそのスタッドと共にハウジング内へ移動して切欠に位置合わせし、次いで、スプレーガンの遠位部分が停止部に当接するまで該スプレーガン本体を回転させ、本体と基盤の面および各オリフィスを一致させる。
【0006】
【特許文献1】フランス特許公開第2788231号明細書
【特許文献2】フランス特許公開第2839663号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
着座面と取付面との間に挿入されるシール部材は、スプレーガン本体を回転させ基盤にクランプする際、摩擦と剪断を受ける点に注意されたい。これらの応力によって、シール部材は表面が損耗して非常に急速に劣化し、また、オリフィスの鋭利な縁は剪断を受けるシール部材を挟んだり切断したりする危険性を伴う。
【0008】
本発明の目的は、シール部材の劣化を防止し、かつ、供給通路への製品および圧縮ガスの漏洩を防止するようスプレーガン本体を基盤に迅速に固定するシステムを改良して、こうした欠点を克服することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明では、塗料、ラッカー、エナメルのような製品のための自動スプレーガンが、噴霧すべき製品および圧縮ガスを供給するための複数の第1の通路、および、取付面を有し、前記複数の第1の通路が、第1のオリフィスの形態で前記取付面に開口しているスプレーガン本体と、
前記取付面が押圧される着座面、および、前記複数の第1の通路に対応した複数の第2の通路を含む基盤であって、前記複数の第2の通路は、一端が噴霧製品供給源および圧縮ガス供給源に接続され、他端が前記着座面に形成された第2のオリフィスとなっており、前記第1と第2のオリフィスは、前記スプレーガン本体の取付面が前記基盤の着座面に押圧されたときに、前記取付面の第1のオリフィスの各々が、対応の前記第2のオリフィスの各々の位置に一致するようにした基盤と、
前記着座面および前記取付面の間に挿入され、前記第1と第2のオリフィスの間の各接続部の周囲に配置されるシール部材と、
前記基盤へのスプレーガン本体の迅速な着脱を可能ならしめる手段とを具備し、
前記迅速な着脱手段が、前記スプレーガン本体を前記面に位置決めし、かつ、前記面から垂直に突出するように形成され、かつ、前記取付面を他方の面へ向けて垂直に移動させて、前記基盤の面内で該面に対して相対的に位置決めする手段と、
前記一方の面から垂直に突出し、前記他方の面内に直角に直線移動する固定部材と、
前記固定部材に軸方向の引張り力を付与し、前記取付面と着座面とを互いに押圧する迅速固定手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
該スプレーガンは、従って、直角方向に直線移動させることによって組み立てられ、これによって、スプレーガンは基盤の着座面に対して押圧され、位置決め手段および突出部材は、前記面に直角方向の直線動作によって、各受容部内に進入する。その結果、シール部材には剪断応力および摩擦力が作用せず、ただ取付面と着座面との間で許容される態様で圧縮のみを受ける。迅速連結手段を作動させると、該手段によって固定部材がその中心軸線に平行に引張られ、前記取付面が着座面にクランプされる。こうして、許容できる態様でシール部材が前記面に対して垂直に圧縮され、その結果、供給通路間の接合部で漏れることが防止される。固定手段により位置決め手段および突出部材を組合せ、正しい位置に保持することによって、スプレーガン本体が基盤に対して回転したり直線動作したりすることが完全に防止される。
【0011】
好ましくは、前記固定手段は、前記固定部材に対して実質的に垂直な軸線回りに回転自在に取付けられており、そして該固定手段によって、該軸線回りの回転を前記固定部材の軸方向への引張り動作に変換するようにできる。
【0012】
このようにして、スプレーガン本体は、回転させたり、基盤に対して移動させたり、工具を使うことなく、迅速に固定される。前記固定手段は、回転ハンドル等によって駆動される。
【0013】
1つの有利な実施形態では、装着/着座面の一方から突出する前記固定部材は、他方の面に設けられたハウジング内に挿入され、前記固定手段は、実質的に垂直な中空部内に設けられ、かつ、前記突出する固定部材が挿入された前記ハウジングと協働する。
【0014】
この形態では、該固定システムは、基盤内に完全に組込まれる。該固定システムは、スプレーガン本体に組込むようにしてもよい。
【0015】
1つの有利な実施形態では、前記固定部材は、棒状部分と、該棒状部分の幅よりも大きな幅を有した突出ヘッド部とを備えている。この形態では、前記固定手段は、前記固定部材を引張るために、前記ヘッド部の基部をクランプして該基部に支持される。
【0016】
突出ヘッド部を正しい位置に保持する有利な他の実施形態では、固定手段は、空洞部に嵌合する回転体形状の胴を含み、前記空洞部は、その中心軸線に平行に延設され、かつ、前記固定部材のヘッド部の幅よりも大きな幅を有した半径方向の空洞部と交差し、前記軸方向の空洞部と半径方向の空洞部とは前記胴に関して横断方向のスロットに連通し、前記スロットは、前記固定部材の棒状部分の幅よりも大きく、かつ、前記固定部材のヘッド部の幅よりも小さな幅を有している。
【0017】
有利には、ヘッド部が設けられている固定部材は、広い半径方向の空洞部内に挿入され、胴を回転させることによって、前記ヘッド部は狭い環状スロット内で正しい位置にクランプ、保持される。
【0018】
こうした実施形態では、固定部材がそれ自体に平行な方向に確実に引張られるようにするために、前記固定部材の固定手段は、前記固定部材のヘッド部に対して当接可能で、かつ、前記中空洞の変化する厚さによって形成され、かつ、前記固定部材を引張ることのできる少なくとも1つのランプ部を具備している。
【0019】
こうして、前記スロットの各側部に設けられた前記傾斜部は、前記固定手段の回転行程の一部に亘って増加する厚さを有しており、該固定部材のヘッド部の基部に係合することによって固定部材を引張ることが可能となるようになっている。
【0020】
本発明の他の実施形態では、前記位置決め手段は、前記面の一方の面から突出し、かつ、前記面を該面に対して直角に直線動作させることによって、前記面の他方の面に形成された少なくとも1つの受容部に進入する形態の少なくとも1つの位置決めピンを具備している。
【0021】
この形態では、単に取付面と着座面へ直角に直線動作させることによって、スプレーガン本体は前記基盤に係合し、同基部に組付けられ、また、前記位置決めピンは、取付面を着座面に対して該面に平行な方向に固定するであろう。固定部材に該位置決めピンを係合させることを組み合わせることによって、完全に回転動作はできなくなり、従って、動けなくなる。
【0022】
本発明の他の有利な実施形態では、少なくとも1つの中空のソケットが、前記スプレーガン本体の第1の供給通路の1つと、前記基盤の対応の前記第2の供給通路の1つとの間の接続部に挿入され、該中空のソケットは、前記第1のオリフィスに挿入可能な第1の部分と、対応の前記第2のオリフィスに挿入可能な第2の部分とを具備している。
【0023】
こうした中空ソケットによって、その接合部において基部の供給管路と、スプレーガン本体の供給通路との間の密封が更に改善可能となる。更に、中空ソケットは、前記位置決めピンに代替される位置決め手段として有利に作用するであろう。と言うのは、取付面を着座面に対してその平面内で固定する間、直線動作によって基盤の前記面に直角に係合可能となるからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
添付図面は、本発明を明確に示している。異なる図面において同じ参照符号は同じ要素を示している。
概括的に、図1において略断面にて示す本発明の自動スプレーガン1はスプレーガン本体2を具備する。該スプレーガン本体は、圧縮ガスを用いる製品の噴霧、霧化手段を内部に有し、噴霧製品および圧縮ガス(通常は圧縮空気)の供給を接続する基盤3に組付けられている。
【0025】
スプレーガン本体2は周知となっており、横断方向の接続面内で組付けられた複数の部品を備えている。前記本体は、製品室5を保持する前方部を具備している点に留意されたい。製品室の前方には、ガス噴射フード7と、噴霧オリフィス9が設けられたノズル8とを含む噴霧ヘッド部6が設けられている。
【0026】
一例として、上記噴霧ヘッド部は、フランス特許公開第2788231号およびフランス特許公開第2839663号に記載されているような噴霧ヘッド部である。
【0027】
スプレーガン本体2は空圧駆動部10を具備している。該空圧駆動室は駆動室12に受容されているピストン11を有している。前記駆動室は、スプレーガンの後方部13に設けられ、かつ、噴霧制御ボタンに取付けられた後方ジャー14によって密閉されている。駆動室はニードル15を駆動する。該ニードルは、上記2つの室の間で気密に横断し、かつ、その前側の端部に前記オリフィス9を密閉可能な尖端部が設けられている。スプレーガン本体2は、また、不図示の推進ガス室を適宜有した中央部を更に含んでいてもよい。前記推進ガス室は、スプレーガンの前方部4およびガス噴射フード7の先端部貫通する通路16、18によってガス噴射フード7の噴口17、19に連通している。製品室5に加圧された噴霧製品を供給し、かつ、駆動室12並びにシェーピング噴口17、19または推進ガス室に圧縮ガスを供給するために、複数の供給通路22、24、26、28がスプレーガン本体2に形成されている。
【0028】
図1に示す実施形態では、製品室5は、スプレーガンの前方部分で、霧化、噴霧供給通路22および製品を循環させる製品戻り通路に連通している。これら2つの製品供給通路(図1には一方、すなわち通路22のみが破線で示されている)は、通常、鉛直長手の平面に関して対称に形成されており、かつ、図2に示すように、2つの横オリフィス21、23を通じてスプレーガン本体2の取付面20に開口している。
【0029】
前記駆動室を作動させるための圧縮ガス(圧縮空気)供給通路24が、スプレーガン本体に形成されており、かつ、駆動室12を取付面20のオリフィス25(この例では中央位置に示されている)に接続する。2つの圧縮ガス通路26、28が、本体2に形成されており、かつ、取付面20の2つのオリフィス27、29を2つの噴口17、19に連通する通路16、18に接続する。
【0030】
図2において斜視図にて示すスプレーガン2の取付面20には、従って、霧化製品および圧縮ガスを供給するスプレーガン供給通路の複数のオリフィス21、23、25、27、29が設けられている。これら複数のオリフィスは、2〜5個或いはそれ以上とすることができ、本発明では「第1の複数のオリフィス」と称する。
【0031】
好ましくは、スプレーガン本体2の取付面20は平面とすべきであり、基盤3の着座面30に対面する。着座面もまた平面である。
【0032】
基盤3には、スプレーガン2の供給通路22、24、26の延長部分である供給通路32、34、36が形成されており、基盤の供給通路は、着座面30と本例では基盤の背面となる連結面との間に延設されている。
【0033】
供給通路32、34、36の接続オリフィス42、44、46には、噴霧製品供給管路および圧縮ガス供給管路へのコ連結素子48が設けられており、該コネクター素子は、一例として、ネジ48、迅速継手、ジャックその他の等価物とすることができる。
【0034】
基盤の着座面30に開口する供給通路のオリフィスは「第2の複数のオリフィス」と称され、第2の複数のオリフィス31、33、35、37、39の各々が、スプレーガン2の取付面20の対応の第1の複数のオリフィス21、23、25、27、29の位置に一致するようにすべきである。
【0035】
図2の実施形態では、第1の複数のオリフィスの周縁リム25の各々は、Oリング45を受承するように形成されている。圧縮ガス供給オリフィス25、27、29の各々には皿穴が設けられており、該皿穴の形状は、シール部材45、47、49の形状と一致するか或いは僅かに小さくなっている。噴霧製品供給オリフィス21、23の各々は、該オリフィスと同心の環状溝により囲繞されており、該環状溝は、Oリング41、43を受承するように形成されているが、オリフィス21、23とは連通せず、該Oリングと、例えばエナメルのような腐食性噴霧製品とが接触する可能性を排除するようになっている。
基盤は、作業場所の支持腕に所定の方向で組付可能とする固定継手部38を具備している。
【0036】
本発明では、自動スプレーガンには位置決め手段51、突出固定部材50および該固定部材を固定するための手段60が更に設けられている。
図1、2の実施形態に示すように、位置決め手段は位置決めピン51を備えている。
【0037】
ピン51は、取付面20から直角に突き出るようにスプレーガン本体2の受容部52に挿入される部分と、基盤3の着座面30の相補形の他の受容部53に挿入される他の部分とを具備している。
【0038】
こうしたピン51によって、スプレーガン本体の取付面20は、基盤の着座面30に対して位置決め可能となり、以て、前記面20、30に垂直に移動することによってスプレーガン本体2を基盤3に取付可能としながら、該2つの面に平行な並進方向への2つの自由度を排除した結合部が形成される。
【0039】
図示するように、固定部材50は、取付面20から垂直に突出するようにスプレーガン本体2に固定されている。
【0040】
図2の実施形態の固定部材50はネジ付の円筒棒状部分54を具備しており、該円筒棒状部分には、球状の停止部と、少なくとも略切頭円筒状の突出ヘッド部57とが設けられている。ヘッド部57およびカラー部55は、棒状部分54の直径よりも大きな直径を有しており、もって、ヘッド部とカラー部との間には括れ部56が形成される。括れ部56の近傍において、ヘッド部57は丸くなっており、少なくとも略球状の表面58が形成される。
【0041】
固定部材50は、ヘッド部57が取付面20から突出するように、スプレーガン本体2の取付面20のネジ穴59に固定される。
【0042】
固定部材のヘッド部57の直径よりも大きな寸法にて形成された受容部61が、基盤3の着座面30において突出固定ヘッド部57に対応した位置に設けられている。
【0043】
着座面30に垂直な前記受容部61は、基盤3の着座面30に平行に設けられた中空部62に連通している。
好ましくは、中空部62は円筒状に形成され、固定胴60のためのハウジングとして作用する。
【0044】
図3に示すように、胴60は、全体が中心軸線L−Lを有した円筒面に形成され、かつ、円筒空洞部63を具備している。該円筒空洞部は、後述するように、中心軸線L−Lに平行で、かつ該中心軸線から離間した中心軸線K−Kを有している。
【0045】
胴60には、軸方向の空洞部63に開口する半径方向の空洞部64が、突出固定部材50の高さおよび位置に形成されている。更に、半径方向の空洞部64から、直径を挟んだ反対側の領域66まで、横断スロット65が横断平面P沿いに形成されている。該横断平面は、好ましくは、胴の中心軸線L−Lに関して垂直となっている。スロット65は、胴の円筒面の所定の円弧領域を占める(例えば、半円、或いは、約160°から200°の円弧領域、更には、四分円または円の3/4の領域を占めるようにしてもよい)。
【0046】
互いに連通する真っ直ぐなスロット35と半径方向の空洞部64は、半径方向の空洞部63に開口している。
【0047】
軸方向の空洞部63と半径方向の空洞部64の直径は、突出固定部材50のヘッド部57の寸法および直径よりも大きくなっているが、スロット65の幅は、ヘッド部57の直径よりも小さく、かつ、棒状部分54または突出固定部材50の括れ部56の直径よりも大きくなっている。
【0048】
固定胴60の長さは、ハウジング中空部62の長さよりも長くなっており、その結果、円筒胴60を基盤3の中空部62に挿入したときに、胴60の一端が基盤の外側に突出する。胴60の突出端には、小さな回転止めハンドル67が設けられている。
【0049】
組立操作の間、スプレーガン本体2は、取付面20および着座面30に垂直な方向に、基盤3の方向に移動させることによって取付けられる。その後、取付面20が基盤3の着座面30に押圧されるまで、中心位置決めピン51および固定部材50が各々の受容部53、61に挿入される。
【0050】
図4A、4B、4Cに図示する固定手順に詳細に示すように、先ず、半径方向の空洞部64が、突出固定部材50の挿入されている基盤3の受容部61に一致する開始角度位置へ固定胴60を移動させる。固定部材のヘッド部57は、胴60の軸方向の空洞部63内に進入する。図4Aに示すこの位置で、スプレーガン本体の取付面20は、押圧されていないシール部材41、43を介して着座面30に着座する。
【0051】
小さな回転止めハンドル67によって、胴60は、一例として、時計回りの方向に回転させられ、これによって、固定部材の括れ部56が胴のスロット65内に進入する。このとき、固定部材のヘッド部57は胴の軸方向の空洞部63内に捕捉され、ヘッド部57の基部が胴60の2つの円筒壁部によって包囲される。
【0052】
約1/4回転したこの中間回転固定位置(図4B)では、スプレーガン本体2は、単に基盤3に対して正しい位置に保持されているだけであり、シール部材41、43は、取付面20と着座面30との間で僅かに圧縮されているだけである。
【0053】
胴60の軸方向の空洞部63の中心軸線K−Kは、胴の長手の中心軸線L−Lに平行となるようにオフセットされているので、胴60の円筒壁部68の半径方向の厚さは可変となる。軸方向の空洞部63は偏心しており、半径方向の空洞部64に接近する。その結果、胴の壁部68の厚さが、半径方向の空洞部64の領域の最小厚さと、これと直径を挟んだ反対側の領域66の最大厚さとの間で変化する。
【0054】
その結果、このようにして固定部材のヘッド部57を取り囲む胴の壁部68の2つの部分が、固定方向に厚くなる2つのランプ部68を形成する。
【0055】
従って、固定手順を実行する間、上記胴の2つのランプ部68がヘッド部57の球面と協働して、突出固定部材50のヘッド部57を該固定部材と平行な方向、すなわち、取付面20および着座面30に垂直な方向に引込む力が増加する。
【0056】
こうして、本発明の有利な態様によって、スプレーガン本体2の取付面20は、基盤3の着座面30に対して押圧され、シール部材が完全に圧縮されるまで(図4C)、それ自体に直角に牽引されて直線移動する。組立、固定手順の全体に亘って、シール部材41、43は、剪断や摩擦を受けることなく、取付面20と着座面30との間に許容できる態様で圧縮される。
【0057】
従って、最終的な固定位置に到達したとき、スプレーガン本体2は、基盤3に対して完全に当接、押圧された態様で固定される。
【0058】
この位置において、固定胴60それ自体は、クランプ力によって回転しないように保持されている。更に、胴60は、もはや軸方向へも直線動作不能である。
【0059】
他方、スプレーガン本体2を基盤3から分離するとき、胴60が基盤3から脱離することを防止するために、有利には、そして図5、6に示すように、円筒状の胴60は、長手方向への固定手段70によって、円筒状のハウジング中空部62に保持されるべきである。
【0060】
図3に示すように、胴60には環状の凹所69が、胴60の円筒面の全周に亘って、或いは、好ましくは、その円弧部分、一例として半円部分に亘って延設されている。保持ネジ70が基盤3に螺合され、該保持ネジは、凹所69と係合して、胴60の回転を許容しつつ該胴を中空部62内に固定する。
【0061】
図5は変形実施形態を示しており、スプレーガン本体2の第1の供給通路24と、基盤3の対応の第2の供給通路34との間に中空のソケット71が挿入されている。該中空のソケットは、第1の通路24に挿入される部分と、第2の通路34に挿入される部分とを具備している。中空のソケット71の内径は、好ましくは、前記通路24、34の内径と実質的に等しくなっている。前記通路のオリフィスの周囲は皿穴を用いてぴったりと合うようになっており、該皿穴は、中空のソケット71の外径に一致する直径を有し、かつ、ソケット71の上記各部分の挿入深さに一致する所定深さとなっている。
【0062】
ソケット71の中心部分には、Oリング45を受容するために、外周面に環状溝72が形成されている。
【0063】
こうして、スプレーガン本体2が基盤3に取付けられるとき、シール部材は正しい位置に保持され、脱離したり取付面および着座面の間で位置がずれたりすることがなくなる。更に、こうした中空のソケット71は、それ自体、着座面30に対するスプレーガン本体の取付面20の位置決め手段としても用いることができ、位置決め部材またはピン51を該中空の位置決めソケットによって置換することもできよう。
【0064】
一般的に、位置決め円筒部材または中空のソケットに代えて、例えば、前記取付面と着座面とに設けられた舌片と溝や相補形の入れ子部材といった接触要素や連結要素のような、上記面に平行な直線動作を不能とする他の位置決め手段用いることもできよう。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の基盤に取付けられたスプレーガン本体の長手方向の断面図である。
【図2】基盤から分離したスプレーガン本体の分解部分斜視図であり、シール部材、本発明の位置決め手段および固定手段を示す図である。
【図3】本発明の固定胴の詳細斜視図である。
【図4A】本発明の固定手段の固定手順を示す断面図である。
【図4B】本発明の固定手段の固定手順を示す断面図である。
【図4C】本発明の固定手段の固定手順を示す断面図である。
【図5】本発明の1つの実施形態による管状のソケットを挿入した状態で示す、基盤に組付けられたスプレーガン本体の長手方向の断面図である。
【図6】図5の自動スプレーガンの正面図であり、本発明の固定胴キーの部分断面を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
1 自動スプレーガン
2 スプレーガン本体
3 基盤
5 製品室
6 噴霧ヘッド部
8 ノズル
9 噴霧オリフィス
12 駆動室
15 ニードル
20 取付面
21 第1のオリフィス
22 第1の供給通路
23 第1のオリフィス
24 第1の供給通路
25 第1のオリフィス
26 第1の供給通路
27 第1のオリフィス
28 供給通路
29 第1のオリフィス
30 着座面
31 第2のオリフィス
32 第2の供給通路
33 第2のオリフィス
34 第2の供給通路
35 第2のオリフィス
36 第2の供給通路
37 第2のオリフィス
39 第2のオリフィス
41 Oリング
43 Oリング
45 Oリング
47 Oリング
49 Oリング
50 固定部材
51 位置決め手段(位置決めピン)
54 棒状部分
55 カラー部
57 ヘッド部
59 ネジ穴
60 固定手段
60 固定胴
61 受容部
62 中空部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧すべき製品および圧縮ガスを供給するための複数の第1の通路(22、24、26)、および、取付面(20)を有し、前記複数の第1の通路が、第1のオリフィス(23、24、25)の形態で前記取付面に開口しているスプレーガン本体(2)と、
前記取付面(20)が押圧される着座面(30)、および、前記複数の第1の通路(22、24、26)に対応した複数の第2の通路(32、34、36)を含む基盤(3)であって、前記複数の第2の通路は、一端が噴霧製品供給源および圧縮ガス供給源に接続され、他端が前記着座面に形成された第2のオリフィスとなっており、前記第1と第2のオリフィスは、前記スプレーガン本体の取付面(20)が前記基盤の着座面に押圧されたときに、前記取付面の第1のオリフィスの各々が、対応の前記第2のオリフィスの各々の位置に一致するようにした基盤と、
前記着座面および前記取付面(20、30)の間に挿入され、前記第1と第2のオリフィスの間の各接続部の周囲に配置されるシール部材(41、43、45、47、49)と、
前記基盤へのスプレーガン本体の迅速な着脱を可能ならしめる手段(50、51、60)とを具備した塗料やエナメルラッカーのような製品を噴霧/霧化するための自動スプレーガン(1)において、
前記迅速な着脱手段が、前記スプレーガン本体を前記面に位置決めし、かつ、前記面(20)から垂直に突出するように形成され、かつ、前記取付面(20)を他方の面(30)へ向けて垂直に移動させて、前記基盤の面(30)内で該面に対して相対的に位置決めする手段(51)と、
前記一方の面(20)から垂直に突出し、前記他方の面(30)内に直角に直線移動する固定部材(50)と、
前記固定部材(50)に軸方向の引張り力を付与し、前記取付面と着座面とを互いに押圧する迅速固定手段(60)とを具備することを特徴とした自動スプレーガン。
【請求項2】
前記固定部材(50)のための前記固定手段(60)が、前記固定部材に対して実質的に垂直な軸線回りに回転自在に取付けられており、該軸線回りの回転を前記固定部材の軸方向への引張り動作に変換可能となっていることを特徴とした請求項1に記載の自動スプレーガン。
【請求項3】
前記固定部材(50)が、棒状部分(54)と、該棒状部分の幅よりも大きな幅を有した突出ヘッド部(57)とを備えることを特徴とした請求項1または2に記載の自動スプレーガン。
【請求項4】
前記固定手段(60)に中空部(62)が形成されており、該中空部は前記突出する固定部材(50)に対して実質的に垂直で、かつ、該固定部材が挿入される前記受容部(61)へ収斂している請求項2または3に記載の自動スプレーガン。
【請求項5】
前記固定手段が、空洞部(63)に嵌合する回転体形状の胴(69)を含み、前記空洞部は、その中心軸線に平行に延設され、かつ、前記固定部材(50)のヘッド部の幅よりも大きな幅を有した半径方向の空洞部(64)と交差し、前記軸方向の空洞部(63)と半径方向の空洞部(64)とは前記胴に関して横断方向のスロット(65)に連通し、前記スロットは、前記固定部材(50)の棒状部分(54)の幅よりも大きく、かつ、前記固定部材(50)のヘッド部(57)の幅よりも小さな幅を有していることを特徴とした請求項2、3、4の何れか1項に記載の自動スプレーガン。
【請求項6】
前記固定部材の前記固定手段が、前記固定部材のヘッド部(57)に対して当接可能で、かつ、前記中空洞の変化する厚さによって形成され、かつ、前記固定部材(50)を引張ることのできる少なくとも1つのランプ部(68)を具備していることを特徴とした請求項5または6に記載の自動スプレーガン。
【請求項7】
円筒胴(60)に直線動作止めキー手段(70)が嵌合されることを特徴とした請求項5または6に記載の自動スプレーガン。
【請求項8】
前記位置決め手段が、前記面の一方の面(20)から突出し、かつ、前記面(20、30)を直線動作させることによって、前記面の他方の面(30)に形成された少なくとも1つの受容部(53)に進入する形態の1つの位置決めピン(51)を少なくとも具備することを特徴とした請求項1〜7の何れか1項に記載の自動スプレーガン。
【請求項9】
前記スプレーガン本体(2)の第1の供給通路の1つ(24)と、前記基盤(3)の対応の前記第2の供給通路の1つ(34)との間の接続部に挿入可能な少なくとも1つの中空のソケット(72)であって、該中空のソケット(72)が、前記第1のオリフィスに挿入可能な第1の部分と、対応の前記第2のオリフィスに挿入可能な第2の部分とを具備する中空のソケットを更に具備することを特徴とした請求項1〜8の何れか1項に記載の自動スプレーガン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2008−505759(P2008−505759A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520910(P2007−520910)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【国際出願番号】PCT/IB2005/001921
【国際公開番号】WO2006/006055
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(504420593)
【Fターム(参考)】