説明

侵襲性放射を用いて測定対象を検査するための方法及び装置

本発明は、測定対象(1)に侵襲性放射が照射される、測定対象(1)を検査するための方法及び装置に関し、その際、放射線源(3)からの侵襲性放射の相互作用が、放射感受性を有するセンサ装置(6)を用いて検出され、その際、センサ装置(6)の期待検出結果が、測定対象(1)の設定形状寸法を用い、かつ材料特性を用いて算定装置(13)によって算定され、及び/又は期待検出結果が、マスタ部品を寸法測定することによって得られ、該期待検出結果が、センサ装置(6)の実際の検出結果と比較装置(11)によって比較される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象を検査するための方法及び装置であって、その際、測定対象に侵襲性放射、特にレントゲン線が照射される方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作物の検査のための侵襲性放射を利用することは公知である。コンピュータ断層撮影(CT)の場合、工作物は、例えばターンテーブル上に配置され、ターンテーブルの回転によって、さまざまな回転位置でさまざまな方向からレントゲン線が透過される。工作物の材料内での消衰によって弱化した放射線が、センサ装置によって位置分解及び時間分解されて検知される。そこから、断層撮影の背面投射によって、工作物の空間的な三次元モデルが算定される。このモデルには、それぞれの体積領域について、レントゲン線の消衰に関する材料特性が含まれている。CTの例は、特許文献1に記載されている。
【0003】
この方法の短所は、測定及び断層撮影の背面投射が高コストであることである。特に形状が複雑な工作物及び/又は複数の異なった材料からなる工作物の場合、高性能のコンピュータ及び/又はコンピュータクラスタが必要とされる。また、(測定対象の再構成による)モデルの算定には数時間かかる可能性がある。従って、連続生産による工作物の検査のためには、コンピュータ断層撮影は、ただ条件付きでしか適していない。
【0004】
また、有体物を放射線透過によって寸法測定することが公知である。この種の方法は、特許文献2に記載されており、この方法の場合、物体は、ガンマ線源又はレントゲン線源と放射センサとの間に配置され、放射線が照射される。その後、物体の投影は、放射センサにおいて、それぞれグレースケール値を有する多数の点としてデジタル的に捉えられ、コンピュータのモニタに画像として表示される。コンピュータを用いて、放射センサによって登録された点の位置及び/又はグレースケール値、ならびに放射センサに対する放射線源と対象との相対位置から、対象の寸法が算定される。
【特許文献1】独国特許出願公開第3924066号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第19846885号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、不具合を確認するためのコストを低減することが可能な、侵襲性放射を用いて測定対象を検査するための方法及び装置を提示することである。特に、連続生産による、これまでよりもずっと多くの工作物を、不具合、許容差及び/又は臨界寸法(例えば、少なくとも工作物の諸部分の厚さ、幅及び/又は直径などの寸法)について検査できることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
−測定対象に侵襲性放射が照射され、及び、
−侵襲性放射と測定対象との相互作用が、放射感受性を持つ、好ましくは位置分解能を有するセンサ装置によって検出され、及び、
−センサ装置の期待検出結果が、測定対象の設定形状寸法を用い、かつ材料特性を用いて算定され、及び/又は期待検出結果が、少なくとも1つのマスタ部品を寸法測定することによって得られ、及び、
−該期待検出結果が、センサ装置の実際の検出結果と比較される、測定対象を検査するための方法が提案される。
【0007】
実際の検出結果は、特に、断層撮影の背面投射(CT)なしで得られた、センサ装置の直接的な検出結果である。しかし、これは、比較の後にこのような背面投射が実施されることを排除するものではない。
【0008】
侵襲性放射線という概念には、測定対象の中へ入り込み、かつ/又は測定装置を貫通するあらゆる種類の放射線が含まれている。例えばレントゲン線などの電磁放射線以外に、粒子線(例えば、電子線や陽子線)も利用することが可能である。また、他の波長範囲(例えば、可視波長範囲又は赤外波長範囲)の電磁放射線を用いることもできる。さらに、例えば、磁気共鳴(MR)技術の場合、又は電磁放射線(例えばルミネセンス)によってエネルギー状態を励起する場合のように、検査のために副次的作用を利用することも可能である。また、レントゲン線の場合も、二次放射又は散乱放射を検出することが可能である。
【0009】
測定対象の好適な検査方法の場合、(CTの場合と同様に)電磁放射線が用いられ、電磁放射線が、測定対象を貫通し、そして、放射線源に対向する側面が位置分解能を有するセンサ装置によって検出される。この構成の効果は、反射された放射線を評価する構成に比して簡単なことである。期待検出結果と比較することによって、測定対象内部の不具合に関する情報、例えば、材料内の望ましくない亀裂や中空及び/又は誤配置された穿孔や凹部などの形状特徴に関する情報を直接得ることができる。
【0010】
設定形状寸法は、例えば、測定対象のCAD(コンピュータ支援設計)計画データから得られる。設定形状寸法には、測定対象のどの部分がどのような材料から作製されているのかを示す仕様が含まれているのが好ましい。特に、現代のCADシステムは、デジタルデータ処理によって、各工作物又は測定対象の三次元モデルをさらに処理する働きをするデータインタフェースを有する(CAM:コンピュータ支援モデリング)。本発明に係る装置の好適な構成では、本装置は、このようなインタフェースに接続されているか、あるいは少なくともこのようなインタフェースに接続できるように構成されている。代替的又は補完的に、CADシステムは本装置の一部である。すなわち、少なくとも期待検出結果を算定するために必要な機構は、CADシステムの一部である。CADシステムは、さらにその他の役割、例えば期待検出結果と測定検出結果とを比較するための比較機構の役割を果たすことができる。また、CADシステムによってインタフェースを介して提供される工作物モデルには、材料特性を含めることができ、さらに例えば、所定の材料に割り当てられた色彩あるいは当該の色値によってコード化することが可能である。このようなモデルは、画像表示装置に表示することができる。好ましくは、期待検出結果の当該モデル、及び/又は測定検出結果と期待検出結果との相違に関するモデルを生成することができる。
【0011】
ここで言う材料特性とは、特に測定対象の単数又は複数の材料の吸収係数のことである。さらに、この材料特性には、材料内での放射線の散乱の仕方及び/又は二次効果(上記を参照)の作用の仕方を含めることができる。材料特性は、例えば、各材料からなる区画を個別に測定することで得ること、及び/又は文献から得ることが可能である。材料特性は、測定対象の寸法測定時に調整可能な種々のパラメータ、例えば侵襲性放射線の波長などの関数として、比較のために用いることができることが好ましい。
【0012】
さらに一般的に述べると、期待検出結果を算定する際に、選択的に、例えば、所望の精度に応じて、及び/又は侵襲性放射線と測定対象との間の検査された相互作用の種類に応じて、相互作用のより簡単な又はより複雑な算定法を用いることが可能である。例えば、ある場合には、材料内での侵襲性放射線の吸収のみを考慮することができ、また別の場合には、さらに放射線の散乱及び/又は二次放射の生成を考慮することも可能である。
【0013】
しかしまた、少なくとも測定対象のマスタ部品を、本来の測定対象を検査するために用いるのと同じ測定装置で寸法測定することも可能である。すなわち、マスタ部品に、侵襲性放射線が、その前又はその後に測定対象に照射されるのと同じ方法で照射される。マスタ部品の寸法測定から得られた測定結果は、次に、直接、比較のために用いることができる。また、複数のマスタ部品の寸法測定結果を組み合わせて比較に利用することも可能である。その際、特に、単数又は複数のマスタ部品を異なった測定条件(例えば、照射時間、入射方向、用いられた放射線の種類及び/又は波長)のもとで繰り返し寸法測定し、比較値を得ることが可能である。しかも、連続生産の検査の場合に、マスタ部品の寸法測定コストが、各測定対象について従来の断層撮影の背面投射を行う場合よりも非常に低減される。
【0014】
さらに、単数又は複数のマスタ部品を、測定対象の寸法測定とは違った測定方法で寸法測定することも可能である。例えば、従来の座標測定技術の諸方法(例えば、表面座標の光学測定及び/又は触覚測定)を利用できる。少なくとも、期待検出結果の一部を、それによって算定することが可能である。
【0015】
また、これらの他の測定方法の1つを用いて、期待検出結果を選定することも可能である。その際、複数の異なった期待検出結果が選定のために用意されている。この場合、測定対象自体を、該他の測定方法を用いた寸法測定の対象にすることも可能である。
【0016】
本発明に係る方法は、期待検出結果の確定が、多くの場合、断層撮影の背面投射よりもずっとわずかなコストで可能であるという効果を有する。これが当てはまるのは、特に、同じ設定形状寸法でなければならない複数のサンプルを検査する場合である。断層撮影の背面投射が何度も実施されねばならないのに対し、この場合には、期待検出結果をわずか一度で設定できる。
【0017】
さらに、特に、材料特性及び/又は設定形状寸法の許容差を定めることによって、簡単な方法で、偏差を有する期待検出結果を算定することができる。測定検出結果が、偏差を有するこれらの期待検出結果と一致する場合(又は、測定検出結果が、理想的な期待検出結果と偏差を有する期待検出結果との間にある場合)、不具合は生じていない。特に、これから、各検出信号のそれぞれの限界値を知ることができる(下記を参照)。
【0018】
好ましくは、少なくとも1つの第2の期待検出結果が算定され、その際、この第2の検出結果が、設定形状寸法及び/又は期待される材料特性と異なった状態ではあるが、許容範囲内にある状態であり、さらに、この第2の期待検出結果を実際の検出結果と比較することによって、実際の検出結果が許容範囲内にあるかどうかを知ることができる。
【0019】
期待検出結果を測定検出結果と比較できるように、設定形状寸法と測定対象を寸法測定する測定装置との座標系が登録されるか、又は既に登録されている。ここで言う登録とは、座標系の相互の位置及び方向に関して一義的な空間的関係を構築することを意味する。
【0020】
特に、登録の際に、測定時の、従ってまた、測定システムを基準とする、測定対象の位置及び方向に関する予備情報が用意されている。このようにして、測定された座標データセットを事前に登録しておくことができる。すなわち、設定形状寸法の座標系に関する小さな誤差まで登録しておくことができる。特に、測定装置の機械的な構成は次のとおりである。すなわち、測定対象が、測定装置の所定の1つの部分又は複数の部分に接触している場合(例えば、機械的に収容/嵌合されている場合)、測定対象が、測定装置に対して所定の相対的な位置及び/又は方向にあるように構成されている。
【0021】
さらに、オプションとして、登録の修正を行うことができる。その際、例えば、測定対象の、複数の特徴的な空間領域の測定値を当該の期待測定値と比較することが可能である。方向及び/又は位置が一致しない場合、その偏差を比較することができる。例えば、修正の際に考察された全ての領域又はピクセルの誤差二乗和(誤差は、当該の位置に関するそれぞれの測定値、特にグレースケール値の偏差である)が最小にされるか、あるいは最大誤差が最小にされる。
【0022】
さらに一般的に述べると、複数の期待検出結果を算定することができ、その際、各検出結果は、放射線源に対する、及び/又はセンサ装置に対する測定対象の異なった相対的な位置及び/又は方向に相当し、及び/又は他の測定パラメータのさまざまな値に相当する。これらのさまざまな期待検出結果を実際の検出結果と比較することから(例えば、上記の二乗誤差の最小化によって)、期待検出結果のどれが、実際の検出結果と最もよく一致しているかが分かり、さらに、そこから、登録の修正を行うことができる。例えば、少なくとも期待検出結果の一部分は、測定装置の回転軸を中心とした、測定対象のさまざまな回転位置の1つに一致している可能性がある。
【0023】
好ましくは、測定対象の寸法測定の前に、期待検出結果が得られ、及び/又は算定され、その検出結果が評価されることで、測定対象の寸法測定時の測定パラメータ、及び/又は測定対象の寸法測定の種類を選定することができる。従って、例えば、測定信号は、測定対象の寸法測定の際にセンサ装置の好適な値範囲にある。特に、測定対象の寸法測定から得られたデータを最適化することができ(例えば、データの質に関しては、測定データがセンサ装置の最適な測定範囲にあることなどによって)、及び/又は、測定対象の寸法測定のためのコストを最小限にすることができる(特に測定時間の最短化)。従って、寸法測定の最適な計画及び設計によって、測定の実施とその評価の際に非常に多くの時間とコストを節約することが可能となる。
【0024】
本発明のもう1つの効果は、特に前段落で述べた計画によって、測定対象の、指定(選定)された放射線画像のみを撮影し、評価することができることである。その画像は、例えば、特に有意な画像だけである。従って、測定コストは、非常に低く維持することができる。
【0025】
比較することで、不具合があることが確認されたとき、さらにオプションとして、断層撮影の背面投射を含む完全なCT検査を行うことも可能である。これは、効果として、連続生産による多数の工作物を検査することができ、また、不具合があった場合に、測定対象のどの位置に不具合があるのかを、信頼できる方法で確認できるということを伴う。
【0026】
好ましくは、測定対象の寸法測定から得られた検出結果について、単数又は複数の期待検出結果と比較することによって、不具合の有無を検査できる。不具合検査の際、特に、測定検出結果が、期待検出結果によって与えられた許容差内にあるかどうかが確かめられる。その際、不具合評価は、測定対象の座標系及び/又はセンサ装置の座標系を基準にして位置分解されることで実施することができる。例えば、1つ又は複数の寸法(例えば、少なくとも工作物の諸部分の厚さ、幅及び/又は直径)が定められ、それぞれの許容差が守られているかどうかが確認される。
【0027】
センサ装置は、互いに間隔を置いて配置された複数の分割センサであってもよく、その際も、やはり、各分割センサが、生じる放射線の位置分解測定を可能にする。
【0028】
例えば、少なくとも、分割センサの1つ又は非分散配置のセンサ装置は、多数の空間的領域を有し、その際、各空間的領域に当たる放射線を、独立した測定信号に変換することができる。分割センサ又は非分散配置のセンサ装置は、例えば、放射感受性を有する半導体素子からなるマトリクスであってもよい。その際、半導体素子が1行だけの行マトリクス及び複数行複数列のセンサ素子を具備する半導体マトリクスも考慮の対象となる。
【0029】
例えば、センサ装置は、多数の放射感受性を有する空間的領域を有し、測定検出結果と比較するための期待検出結果が準備されることで、各空間的領域に対して比較値が利用できるようにされる。これにより、不具合があるかどうかを、できる限り迅速に確認することが可能となる。特に、期待検出結果と測定検出結果との差についての限界値を設定できる。空間的領域の1つでこの限界値に達した場合、又はそれを超えた場合、その空間的領域に不具合があることが確認される。
【0030】
特に、センサ装置のセンサ信号は、自動的にデジタル化することが可能であり、従って、実際の検出結果を、デジタル化された形で期待検出結果との比較に利用できる。
【0031】
好ましくは、測定装置には、さまざまな方向から、及び/又はさまざまな回転位置で(及び特に時間的に連続して)侵襲性放射線が照射され、それぞれ検出結果が確認される。すなわち、測定対象との相互作用の結果が検出される。こうして、特に測定対象を侵襲性放射線で透過する際に、測定対象の各体積領域を異なった方向から透過することが実現できる。(特に時間的に連続して確認された)検出結果のそれぞれは、期待検出結果と比較でき、実際の検出結果と期待検出結果の偏差から、設定形状寸法に対して測定対象が誤差を有する位置が特定又は少なくとも限定することができる。しかも、このためのコストは、断層撮影の背面投射を完全に実施する場合よりも非常に低減される。
【0032】
本方法のこの実施形態のもう1つの構成では、検出結果が、検出値の誤差として生成され(例えば従来のCTの場合と同様、後に背面投射が行われる)、その際、それぞれ実際の検出値とそれに対応する期待検出値とが比較され、特にそれらの減算が行われる。それによって得られた比較値のフィールドを用いて、断層撮影の背面投射によって、測定対象の三次元の誤差モデルが作成される。値のフィールドとは、測定対象の座標系又は設定形状寸法の座標系に関連する複数の値を意味するものとする。別の表現をすれば、このフィールドによって、各座標系における複数の空間的領域にそれぞれ1つの値、例えば放射線の吸収量に対応するグレースケール値が割り付けられる。測定対象を侵襲性放射線が透過し、それに応じて弱化した放射線がセンサ装置によって検出されるとき、放射線の方向に対してほぼ垂直に広がる1つの平面に座標軸が延びる二次元の座標系が、その測定対象に対応する。
【0033】
本発明のこの実施形態の基礎となる考え方は、このような断層撮影の背面投射の出力データ(すなわち、異なった方向から撮影された放射線画像と期待検出結果との差)の中に、測定対象のどの箇所に不具合があるのかについての全情報が含まれているという考え方である。しかし、この情報は、高コストの、完全な断層撮影の背面投射によって評価する必要がない。
【0034】
一般的に言えば、従来の断層撮影の背面投射との相違は、測定値ではなく、比較値(特に、それぞれセンサ装置の空間的領域の測定された測定値と期待測定値との差)が、背面投射のための入力値であるという点である。特に、期待入力値との差が所定の限界値(上記参照)を超えていない全ての入力値(その際、各入力値はセンサ装置の1つのセンサ素子に対応していてもよい)は、ゼロに設定することが可能である。この場合、背面投射のためのコストは、従来の背面投射の場合よりもかなり低減される。
【0035】
期待検出結果と測定検出結果とを比較する前に、好ましくは、測定検出結果が通常のシステム上の測定誤差に関して補正される。特に、背景信号(オフセット)が補正(特に除去)され、測定信号の増幅(ゲイン)が正確に調整又は補正される。
【0036】
1つの実施態様では、少なくともセンサ装置の部分領域において、位置分解されていない測定値を得ることが可能であるか、又は位置分解して得られた測定値から位置平均値を確定することが可能である。当該の期待測定値と比較することによって、特に簡単な方法で、設定状態からの誤差又は偏差の有無に関する第1の結果が得られる。例えば、この方法で(重量を考慮して)測定対象の平均密度を測定し、期待値と比較することができる。これによって、例えば、測定対象内に気泡や巣などの期待されていない、あるいは望ましくない中空が生じている場合、そのことが確認できる。
【0037】
さらに、測定対象を検査するための装置が提案され、その装置は、以下のものを有する。すなわち、
−侵襲性放射線を生成するための放射線源と、
−侵襲性放射線と測定対象との相互作用の結果を測定するためのセンサ装置と、
−測定対象の設定形状寸法を用い、かつ材料特性を用いてセンサ装置の期待検出結果を算定するための算定装置、及び/又は少なくとも1つのマスタ部品を寸法測定することによって得られる、又は得られている期待検出結果を保存するためのメモリ装置と、
−センサ装置かつ算定装置に接続されており、及び/又はセンサ装置かつメモリ装置に接続されている比較装置とを有し、その際、該比較装置が、前記期待検出結果をセンサ装置の実際の検出結果と比較できるように構成されている。
【0038】
比較装置は、任意の適切な方法で、センサ装置と算定装置とに接続することが可能である。例えば、これらの装置は、ワイヤレスで、特に電波、光信号及び/又は超音波によって接続されていてもよい。
【0039】
さらに、不具合検知装置を設けることができ、この不具合検知装置は比較装置に接続されており、比較装置の結果に応じて測定対象の不具合を確認できるように構成されている。特に、測定対象の不具合があるのは、期待検出結果と実際の検出結果との間の、限界値を超える有意な偏差が検知された場合である。
【0040】
特に、測定装置は、工作物を連続生産するための生産設備の一部であってもよく、その際、生産された工作物の幾つか又は全てを寸法測定することができ、説明された本方法で、不具合があるかどうかを確認できる、又は確認する。これは、特に品質監視あるいは生産監視及び品質保証あるいは生産保証に役立つ。その際、侵襲性放射線を用いて検査するために工作物を載置する、測定装置の測定場所は、生産された全ての工作物が通過しなければならない道程上に直接配置することが可能であり(その際、選び出された工作物だけを検査することも、あるいは全ての工作物を検査することも随意に可能である)、及び/又は測定装置で検査すべき工作物を、自動的に生産ラインから選び出し、測定装置まで移送することが可能である。
【0041】
さらに、本発明の範囲にはコンピュータプログラムが含まれており、このコンピュータプログラムが、コンピュータ又はコンピュータネットワークでの実行時に、本発明に係る方法のうち、少なくとも期待検出結果の設定及び/又は測定検出結果の評価及びその比較に関連する諸部分を、該方法の構成の1つにおいて実施する。
【0042】
また、本発明の範囲にはプログラムコード手段を具備するコンピュータプログラムが含まれており、該プログラムがコンピュータ又はコンピュータネットワークで実行されるとき、前段落に記載された方法をその構成の1つにおいて実施することができる。特に、このプログラムコード手段は、コンピュータ読み取り可能なデータ媒体に保存することができる。
【0043】
さらに、本発明の範囲にはデータ媒体が含まれており、該データ媒体にデータ構造が保存されており、このデータ構造が、コンピュータ又はコンピュータネットワークのワーキングメモリ及び/又はメインメモリへロードされた後に、前記方法をその構成の1つにおいて実施することができる。
【0044】
また、本発明の範囲には、機械読み取り可能な媒体に保存されたプログラムコード手段を具備するコンピュータプログラム製品が含まれており、該プログラムがコンピュータ又はコンピュータネットワークにおいて実行されるとき、前記方法をその構成の1つにおいて実施することができる。
【0045】
その際、コンピュータプログラム製品とは、市場性を有する製品を意味するものとする。原則として、それは任意の形であってよく、例えば、紙面上又はコンピュータ読み取り可能なデータ媒体上にあってもよく、データ伝送ネットワークを介して配布可能であることが特に好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
次に、本発明について、図面を参照しながら実施例を用いて説明する。しかし、本発明は、これらの実施例に限られているわけではない。以下で説明する各特徴又はそれらの任意の組み合わせを、本発明の上述の構成と組み合わせることも可能である。
【0047】
図1に示された装置は、測定装置2を有し、該測定装置で、侵襲性放射を用いて測定対象1を寸法測定することができる。
【0048】
測定装置2は、例えば、レントゲン線を生成し、円錐状のレントゲン線束を測定対象1へ指向させるためのレントゲン線源3を有する。図1では、線束の輪郭が破線で示されている。レントゲン線は、測定対象1を通過し、強度が低下してセンサ装置6に当たる。レントゲン線の弱化の主な原因は、測定対象1の材料における吸収である。さらに、レントゲン線は、測定対象1内で散乱される。その際、散乱放射の一部は、再びセンサ装置6へ達する。
【0049】
センサ装置6は、本実施例では、レントゲン線を感受するセンサ素子のn×mのマトリクスからなる。その際、n,mは正の整数であり、個々のセンサ素子が配置されている行数と列数を表す。各センサ素子は、入射の総計(量)に応じて、又は入射の強度に応じて、測定信号を供給し、この測定信号は、信号技術的に下流側に接続された構成部品によってさらに処理される。これらの構成部品については、後に詳述する。
【0050】
測定対象1は、本実施例では、ターンテーブル4上に配置されており、ターンテーブルは、測定工程中にそれ自体の垂直な軸を中心に回転される。これは、図1に当該の矢印によって示されている。
【0051】
この回転に応じて、センサ装置6は、測定対象1のさまざまな回転位置について空間的な二次元のレントゲン画像を生成する。それに対応するセンサ装置の出力信号が、信号接続を介して補正装置7に伝送される。補正装置は、センサ素子の各々の信号に対してバックグラウンド補正及び増幅率補正を行う。出力側では、補正装置7は、比較装置11に接続されている。比較装置はまた評価装置10の構成要素でもある。補正装置7と比較装置11との間の然るべき接続によって、補正されたセンサ信号は、(センサ装置6のマトリクス素子に応じて)位置分解され、さらに(ターンテーブル4のさまざまな回転位置で撮影されたレントゲン画像に応じて)時間分解されて、比較装置11へ送られる。
【0052】
図1の符号14は、測定対象1の設定形状寸法の形状寸法データを含むデータセットを示す。設定形状寸法とは、測定対象1が所定の形状寸法、すなわち形状を有していなければならないことを意味する。しかし、実際にはそうではないことが多い。これは、測定対象1を製造する際に(その表面及び/又は測定対象内部に)不具合が生じている恐れがあるか、あるいは測定対象1の形状が、他の理由、例えば損傷や磨耗といった理由で、設定形状寸法と異なっている恐れがあるからである。
【0053】
符号15は、測定対象1の設定状態の材料特性データを示す。好ましくは、材料特性データ15には、各材料特性が生じる、設定形状寸法の座標系における各位置に対する関係が含まれている。特に、材料特性とは、測定装置2で用いられるレントゲン線に対する各材料の吸収係数、及びこのレントゲン線の散乱に対する作用断面のことである。その際、必要であれば、測定対象1が複数の材料からなるとき、測定対象1の設定状態の材料特性が、全ての材料について示されている。
【0054】
形状寸法データ14及び材料特性15は、評価装置10の一部である算定装置13に対する入力データである。その際、評価装置10は、必ずしも装置として単体である必要はない。算定装置13は、比較装置11とは別個に配置することが可能であり、例えば最初から、すなわち測定対象に対して最初の測定を行う前に、自らの機能を果たしてもよい。従って、単に適当な算定結果が用意されており、それを比較装置11が利用することになる。算定装置13は、形状寸法データと材料特性データとから、センサ装置6のセンサ素子の期待測定値を算定できるように構成されており、その際、測定対象1が設定形状寸法及び設定状態に一致していることが想定されている。さらに、その際、オプションとして、設定形状寸法の許容差と材料特性の許容差とを考慮することができる。また、設定状態及び設定形状寸法について期待測定値を正確に算定するために、測定パラメータデータ16が算定装置13の入力データとして用意されている。測定パラメータデータには、測定の特性に関する情報、特にセンサ装置6の位置分解、照射時間(すなわちセンサ装置6による各レントゲン画像の撮影のための放射時間)、使用されるレントゲン線のエネルギーあるいは波長又は周波数及び/又は当該のエネルギー分布、波長分布、周波数分布、レントゲン線源3と測定装置1とセンサ装置6との配置の幾何学的形状、レントゲン線源の開口角、あるいはレントゲン線源3から出る放射円錐の大きさ及び強度分布、及び/又は、設定形状寸法及び設定状態に対するそれぞれのセンサ素子の期待測定信号を予測するために、状況に応じて具体的な測定装置に必要となるその他のパラメータに関する情報が含まれている。
【0055】
測定パラメータデータは、オプションとして測定対象を複数回寸法測定できるように用意されていてもよく、算定装置は、その複数回の寸法測定についてそれぞれ期待検出結果を算定することが可能である。
【0056】
原則として、本発明の本実施例とは別に、測定対象の寸法測定を、本書に挙げられた測定パラメータの1つ又は複数個又はその他のパラメータを位置的(測定対象における位置又はセンサ装置の位置に関して)及び/又は時間的に変化させながら行うことも可能である。特に、上記の寸法測定計画の場合、期待測定結果を考慮することで、単数又は複数の測定パラメータの変化を最適にすることができる。
【0057】
算定装置13の結果は、適当な信号線を介して比較装置11に伝送される。代替的又は補完的に、それらの結果は、図1に示されたデータメモリに格納される。このデータメモリから比較装置11は必要に応じてそれらの結果を呼び出すことができる。算定装置13及び比較装置11は、それぞれ高性能のコンピュータクラスタであってもよい。大抵の場合、比較装置11が比較的素早く簡単に実行可能な算術演算を行う際には、比較装置は、市販の通常のパーソナルコンピュータ(PC)1台とそれに対応するソフトウエアとによって実現されていれば十分である。ただ、不具合を確認した後に背景放射を追加する場合(本明細書の上記一般論の部分を参照)にのみ、結果を適切な時間で得るためには、高性能の計算装置が必要とされるか、あるいはこのような高性能の装置が有利である。
【0058】
特に、形状寸法データ14と材料特性データ15は空間的に三次元のデータであり、これらのデータは、例えば、設定形状寸法の対象独自の座標系に関連したデータである。従って、データはそれぞれ、例えば、各対象によって決まっているデカルト座標系の3つの座標に関連付けることができる。異なった材料を含む対象の場合、オプションとして、さらに、どの領域がどの材料から作製されているべきかを示す情報を形状寸法データに含めることができる。この追加情報も、例えば、座標系のそれぞれの座標点又は体積要素に割り当てられている。このデータから、算定装置は、例えば、設定対象の三次元モデルを作成することができ、このモデルから、測定対象と放射線源とセンサ装置とからなる配置のあらゆる場合について、センサ素子の期待測定値を求めることができる。
【0059】
本実施例とは別に、本発明の効果として、前もって期待測定値を算定できることから、測定装置の測定範囲も最適に利用できるという点がある。例えば、期待測定値が、差し引くべきバックグラウンド値に比して小さすぎるか、又は十分に大きいことにより、期待測定値が大きな測定誤差あるいは小さな測定誤差を持つ可能性があるかどうかを、前もって知ることができる。例えば、それに合わせて照射時間を調整することができる。測定装置が最適に動作しているかどうかについてのこの評価は、例えば、算定装置の算定結果を評価することによって自動的に行うことができる。この考え方を拡張すると、例えば異なった照射時間による多重照射も実施することができ、及び/又は異なった波長での放射を用いることも可能である。また、代替的又は追加的に他の種類の侵襲性放射を用いること、及び/又は異なった種類を組み合わせることも可能である。例えば、粒子線とレントゲン線を組み合わせること、あるいは、可視光線に対して透過性を有する測定対象の場合、異なった色の放射線を組み合わせることも可能である。従って、さらに、測定を異なった検出器で行うことをあらかじめ計画し、最適化することができる。例えば、1つのセンサ装置を、図1に示されているように、測定対象を透過する際の消衰を測定するために設けることができ、さらに、散乱した放射を測定するために、及び/又は二次放射を測定するためにもう1つの検出器を設けることが可能である。また、測定対象の表面で反射及び/又は散乱する放射を測定するためのセンサ装置を設けることもできる。
【0060】
従って、本発明のもう1つの効果は、期待測定結果の算定のために比較的大きなコストを費やすことができることであり、このコストにより、例えば、前段落で述べた複雑な物理的工程の利用を検討することができる。従って、算定結果は非常に正確になる。好ましくは、算定装置の結果は、前もって又は測定対象の寸法測定後に反復的に、設定形状寸法及び設定状態にできる限り一致したマスタ部品を寸法測定することによって検査することができる。
【0061】
算定装置の算定結果を評価することによって測定計画を前述のように最適化することが特に有利であるのは、測定対象が2つ以上の異なった材料を有し、これらの持つ、少なくとも1つの一定の侵襲性放射に対する吸収特性又は散乱特性が、ほんのわずかしか異なっていない場合である。特に、さらに、明らかに異なった放射特性を有する第3の材料が存在するとき、他の方法では、類似した放射特性を有する2つの材料間の相違を、ただ1種類の放射線を1回だけ照射する測定では、十分に検知することができないであろう。
【0062】
単独で、又は上述の方法と組み合わせて利用できる、測定を最適化するためのもう1つの手段は、検出信号の増幅を算定装置の算定結果に応じて(すなわち期待測定値に応じて)調整することである。
【0063】
好ましくは、上述の測定パラメータ及び/又はその他の測定パラメータ、例えばセンサ素子の検出特性の均一性に関する情報が、測定装置によって得られ、比較装置へ伝送される。このようにして、複数の算定結果が存在する場合に、当該の算定結果を選び出すことができる。さらに、比較装置及び/又は算定装置は、算定装置の結果が実際に行われた測定方法に適しているかどうか、及び有意な比較が行えるかどうかを確認することができる。
【0064】
算定装置の結果に応じた、測定パラメータの最適化は、また、異なった方向あるいは回転位置(一般的には、放射線源に対する、及び/又はセンサ装置に対する、測定対象の異なった相対的配置)についてそれぞれ別個に行うことも可能である。さらに、複数の算定結果から、所望の検査を最も迅速及び/最も明確に実施することができる、測定対象の1つ又は複数の配置を選び出すことが可能である。例えば、不具合が特に良好に検知できる具体的な配置がある。
【0065】
本発明に係る方法のもう1つの有利な構成は、測定対象の品質を設定状態及び/又は設定形状寸法からの偏差をもとに評価することに関する。算定装置は、設定状態及び設定形状寸法からの異なった偏差について期待測定値の算定を行うことができ、当該の個々の算定結果を測定結果と比較することが可能である。特に、測定対象の、しばしば生じる、あるいは特に予想される不具合をあらかじめシミュレートすること、及びそれに対応する期待測定結果を算定することが可能である。このようにして、算定された測定結果のどれが、実際の測定から得られた測定結果に最も類似しているかを求めることによって、どのような不具合があり、及び/又は品質がどの程度損なわれているかを知ることができる。そこから、オプションとして、評価スケールによって評価寸法を得ることもできる。例えば、評価スケールの一例では、スケールの一端において、設定状態及び設定形状寸法と測定対象との両者が完全に一致した状態であり、スケールに沿って進むにつれて偏差の程度が大きくなっている。
【0066】
図2は、該当する実施例の1つを示す。設定データSDは、ステップS1において、設定状態及び設定形状寸法からの異なった偏差を有する複数の算定結果B1,B2,...Bnを算定するために用いられる。ただし、nは正の整数であり、算定結果B1,B2,...Bnは、設定状態及び設定形状寸法からの偏差の程度に応じて並べられている。そこでは、算定結果B1は理想状態に一致する。算定結果Bnは、理想状態との偏差が非常に大きいので、もはや許容できない品質であることを意味する。
【0067】
次に、ステップS2では、測定対象の寸法測定結果は、例えば、図1を用いて説明された測定装置2において、算定結果Bと比較される。最もよく一致する算定結果Bが求められ、その品質(例えば、算定結果B3と一致するのであれば“3”)が出力される。算定結果Bと測定結果Mとを比較する際、例えば、各測定値の偏差の2乗和が最小となる算定結果Bが求められる。その際、各測定値とは、個々のセンサ素子(又は位置分解能を有するセンサ装置の個々の点又は面領域)に対するそれぞれの期待測定値及びそれに対応する算定された測定値を意味する。
【0068】
本発明に係る方法のもう1つの効果は、本来の測定あるいは寸法測定が、わずかな数の回転位置あるいは放射線源及びセンサ装置に対する相対位置に限定できるという点である。特に(既に上で触れたように)算定装置の算定結果を考慮して、放射線源及びセンサ装置に対する測定対象の相対的な配置の中で重要な配置を選び出すこともできる。例えば、特定の予想される不具合を検知できる相対的な配置が選び出される。例としては、測定対象内部の穿孔の位置が、ある特定の回転位置で最もよく検知できるような場合である。
【0069】
以下で、個々のセンサ素子に関する期待測定値の算定の実施例について説明する。これは、図3と関連する。この図では、放射線源3は、理想的な形状として点として示されている。放射線源3から出た侵襲性放射は、測定対象1を貫通し、センサ装置6に当たる。測定対象1、放射線源3及びセンサ装置6は、図1に示されたものと同じ対象あるいは装置であっても、他の対象あるいは装置であってもよい。
【0070】
センサ装置6は、複数のセンサ素子SEを有し、それらはSE1,SE2,SE3...で示されている。測定対象1は、複数の突起部V1,V2,V3を有する。放射伝搬が直線状の場合にセンサ素子SE2に当たる、放射線源3から出た放射は、突起物V1,V2だけを貫通し、その下に位置する、測定対象1の主領域又は突起部V3を通過しない。放射線が測定対象1内で直線状に伝搬して、吸収されることに基づいた、センサ素子SE2の測定値を算定するために、経路積分が計算される。工作物が均質な唯一の材料からなる特殊な場合には、その積分は、下記式の吸収法則となる。
【0071】
I=I0*exp(−μ*x) (式1)
ただし、Iは所定の時間間隔で当たる放射強度、I0は放射線源から前記時間間隔でセンサ素子の方向に放出された放射、expはe(オイラー数)を底とする指数関数、xは放射線の伝搬経路に沿った位置変数、μは材料内における放射線の吸収に関する吸収係数である。
【0072】
式1を生じる積分は、図3の例では、突起部V1,V2の幅にわたってのみ行われる。実際には、これは次のようにして行われる。すなわち、数値積分法を放射の全経路にわたって実行し、放射線源3とセンサ素子SE2との間の放射経路において、これらの突起部以外に位置する領域については、吸収係数をゼロに設定する。
【0073】
大抵の場合、レントゲン線の吸収だけを考慮すれば、それで十分である。特に、これは、センサ装置と測定対象との間隔が比較的大きく保たれており、その結果、測定対象内での散乱に起因する作用がわずかであるときに当てはまる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】侵襲性放射を用いて測定対象を検査するための装置を示す。
【図2】複数の期待検出結果が算定され、評価される実施例を示す概略的な流れ図である。
【図3】期待検出結果の算定を表す簡略的な図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−測定対象(1)に侵襲性放射が照射され、及び、
−該侵襲性放射の相互作用が放射感受性を有するセンサ装置(6)によって検出され、及び、
−センサ装置(6)の期待検出結果が、測定対象(1)の設定形状寸法を用い、かつ材料特性を用いて算定され、及び/又は期待検出結果が少なくとも1つのマスタ部品の寸法測定によって得られ、及び、
−該期待検出結果が、センサ装置(6)の実際の検出結果と比較される測定対象(1)を検査するための方法。
【請求項2】
センサ装置(6)のセンサ信号が自動的にデジタル化され、従って、前記実際の検出結果が、デジタル化された形で期待検出結果との比較のために利用できる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
測定対象(1)に、さまざまな方向から、及び/又はさまざまな回転位置で侵襲性放射線が照射され、それぞれ検出結果が確認され、その際、該検出結果のそれぞれが、期待検出結果と比較され、該実際の検出結果と該期待検出結果との偏差から、測定対象(1)における不具合の位置が特定される請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記検出結果がそれぞれ検出値の誤差として生成され、その際、実際の検出値とそれに対応する期待検出値とが比較され、特にそれらの減算が行われ、かつ、それらから生じた比較値のフィールドから、断層撮影の背面投射によって、測定対象(1)の三次元の誤差モデルが作成される請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記センサ装置(6)が多数の個別の空間的領域を有し、その結果、該各個別の領域に当たる放射が独立した測定信号に変換され、かつ、該空間的領域のそれぞれについて、期待検出結果が生成され、該空間的領域の測定信号から生成された測定検出結果と比較される請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
複数の期待検出結果が算定され、その際、該期待検出結果のそれぞれが、放射線源(3)及び/又はセンサ装置(6)に対する測定対象(1)のそれぞれ異なった相対的位置及び/又は相対的方向に相当し、及び/又は該期待検出結果のそれぞれが、もう1つの測定パラメータのさまざまな値に相当し、その際、該さまざまな期待検出結果を前記実際の検出結果と比較することによって、該期待検出結果のうちのどれが該実際の検出結果に最もよく一致するかが特定され、かつ、そこから、放射線源(3)及び/又はセンサ装置(6)に対する測定対象(1)の前記相対的位置及び/又は相対的方向に関する情報が導き出され、及び/又は前記もう1つの測定パラメータの値に関する情報が導き出される請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
測定対象(1)を寸法測定する前に、期待検出結果が算定され、該期待検出結果が評価されることで、測定対象(1)を測定する際の測定パラメータ及び/又は測定対象(1)の寸法測定の種類を選定することができる請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの第2の期待検出結果が算定され、その際、該第2の期待検出結果が、前記設定形状寸法及び/又は前記期待材料特性に比して変化してはいるが、まだ許容範囲内にある状態であり、かつ、該第2の期待検出結果が、前記実際の検出結果と比較されることによって、該実際の検出結果がまだ許容範囲内にあるかどうかが確認される請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
測定対象(1)を検査するための装置であって、
−侵襲性放射線を生成するための放射線源(3)と、
−該侵襲性放射線と測定対象(1)との相互作用の結果を測定するためのセンサ装置(6)と、
−測定対象(1)の設定形状寸法を用い、かつ材料特性を用いて前記センサ装置(6)の期待検出結果を算定するための算定装置(13)、及び/又は少なくとも1つのマスタ部品を寸法測定することによって得られる、又は得られている期待検出結果を保存するためのメモリ装置と、
−前記センサ装置(6)かつ前記算定装置(13)に接続されており、及び/又は該センサ装置(6)かつ前記メモリ装置に接続されている比較装置(11)を有し、その際、該比較装置(11)が、前記期待検出結果を該センサ装置(6)の実際の検出結果と比較できるように構成されている装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−545127(P2008−545127A)
【公表日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518768(P2008−518768)
【出願日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006756
【国際公開番号】WO2007/003444
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(504258804)カール ツァイス インドゥストリエレ メステヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (11)
【氏名又は名称原語表記】Carl Zeiss Industrielle Messtechnik GmbH
【住所又は居所原語表記】Carl Zeiss Strasse 22, D−73447 Oberkochen,Germany
【Fターム(参考)】