説明

便器装置

【課題】リモートコントローラーによって確実に操作することができる便器装置を提供する。
【解決手段】便器装置は、便器本体3の後部上面に固定される便器用機器Aと、発光信号を送信してこの便器用機器Aを作動させるリモートコントローラー10と、この便器用機器Aを収納して上下方向に延びた周壁部21、この周壁部21に設けた開口部22、及びこの開口部22を塞ぐ透光性を有するカバー部材23を具備したケース本体20と、カバー部材23の下部の背後に配置し、リモートコントローラー10から送信される発光信号を受信する受光部30とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には従来の便器装置が開示されている。この便器装置は、便器本体の後部上面に固定される便器用機器である局部洗浄装置などを備えている。また、この便器装置は、発光信号を送信してこれら便器用機器を操作するリモートコントローラーを備えている。また、この便器装置はこれら便器用機器を収納するケース本体を備えている。このケース本体は上下方向に延びた周壁部を具備している。また、このケース本体は、周壁部に設けた横長形状の開口部と、この開口部を塞ぐ透光性を有するカバー部材とを具備している。この便器装置はリモートコントローラーから送信される発光信号を受信する受光部をカバー部材の背後に配置している。この便器装置では使用者がリモートコントローラーを操作して局部洗浄装置などの便器用機器を作動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−78925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の便器装置では、リモートコントローラーの設置個所によっては、使用者が便器装置を使用する際、リモートコントローラーと受光部との間に使用者が存在する場合があり得る。この場合、リモートコントローラーから送信される発光信号を直接的に受光部に入射させることができない。このため、リモートコントローラーは、発光信号を上方に向けても送信するようにされており、この発光信号が天井や壁に反射して上方から受光部に向けて照射する。この際、洗浄タンクの周壁部に設けた開口部が横長形状で上下方向の寸法が小さいため、発光信号が開口部の上方から開口部内に入射され難く、受光部が発光信号を受信し難くなるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、リモートコントローラーによって確実に操作することができる便器装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の便器装置は、便器本体の後部上面に固定される便器用機器と、
発光信号を送信してこの便器用機器を作動させるリモートコントローラーと、
この便器用機器を収納して上下方向に延びた周壁部、この周壁部に設けた開口部、及びこの開口部を塞ぐ透光性を有するカバー部材を具備したケース本体と、
前記カバー部材の下部の背後に配置し、前記リモートコントローラーから送信される前記発光信号を受信する受光部とを備えていることを特徴とする。
【0007】
この便器装置は、受光部がカバー部材の下部の背後に配置されているため、受光部が配置された位置より上方にカバー部材、及び開口部が延在していることになる。このため、受光部が配置された位置より上方に延在するカバー部材(開口部)から天井に反射して上方から照射される発光信号を開口部内に入射させることができる。このように、受光部が配置された位置より上方に発光信号が入射する領域を拡げているため、上方から照射される発光信号を受光部は良好に受光することができる。つまり、リモートコントローラーの設置個所によって、リモートコントローラーと受光部との間に使用者が存在しても、リモートコントローラーから送信された発光信号は、天井に反射して上方から受光部に良好に入射させることができる。
【0008】
したがって、本発明の便器装置は、リモートコントローラーによって確実に操作することができる。
【0009】
前記カバー部材は上部に表示部を形成しており、このカバー部材の上部の背後であり、前記表示部に対応する位置に配置した表示用発光部を備え得る。この場合、受光部が配置された位置より上方のカバー部材に表示部を設けるとともに、この表示部も発光信号が通過する領域にすることができる。このように、カバー部材の上部において発光信号が通過する領域を拡げて受光部が発光信号を良好に受光することができるようにするとともに、カバー部材の上部を表示部として有効に利用することができる。
【0010】
前記カバー部材は、背後に前記受光部を収納して固定する空洞部を形成しており、この空洞部は前記受光部を着脱するために一方向に開口し得る。この場合、受光部を空洞部内に収納した状態で固定することができるため、便器装置を掃除する際に受光部に掃除用の水や洗剤などが浸入し難くすることができる。このため、受光部が水・洗剤などの侵入により水濡れすることによって誤作動することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例の便器装置を備えた水洗式便器を示す斜視図である。
【図2】実施例の便器装置の要部を示す断面図である。
【図3】図2の矢視X−X断面図である。
【図4】実施例の便器装置の要部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の便器装置を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0013】
<実施例>
実施例の便器装置は、図1〜4に示すように、各種便器用機器A、リモートコントローラー10、ケース本体20、受光部30、及び表示用発光部40を備えている。各種便器用機器Aは、洗浄タンク1を有する便器洗浄装置、お尻用ノズル2A及びビデ用ノズル2Bを有する局部洗浄装置、図示しない便座・便蓋開閉装置、脱臭装置、音楽再生装置、空気清浄装置、報知装置、及び乾燥装置などであり、水洗式便器の便器本体3の後部上面に図示しないベースプレートを介して固定されている。
【0014】
リモートコントローラー10は、便器本体3に向かって右側に位置するトイレルームの壁面Wに固定されている。このリモートコントローラー10を操作することによって、各種便器用機器Aを作動させることができる。例えば、リモートコントローラー10に設けられた大洗浄スイッチ11A、又は小洗浄スイッチ11Bを押すと、それに応じて大洗浄信号、又は小洗浄信号である発光信号がリモートコントローラー10から送信される。これら信号を受光部30が受信すると、便器洗浄装置は、大洗浄信号、又は小洗浄信号に応じた水量の洗浄水を洗浄タンク1から便鉢部へ吐水し、便器洗浄を実行する。また、リモートコントローラー10に設けられたお尻洗浄スイッチ12A、又はビデ洗浄スイッチ12Bを押すと、それに応じてお尻洗浄信号、又はビデ洗浄信号である発光信号がリモートコントローラー10から送信される。これら信号を受光部30が受信すると、局部洗浄装置は、お尻洗浄信号、又はビデ洗浄信号に応じてお尻用ノズル2A、又はビデ用ノズル2Aから洗浄水を吐水し、局部洗浄を実行する。
【0015】
ケース本体20は、下端部をベースプレートに固定し、上述した各種便器用機器Aを収納して上下方向に延びた周壁部21を具備している。ケース本体20は、周壁部21に囲まれた上端部が上下方向に開口しており、蓋部材50を上端部に着脱自在に載置している。また、ケース本体20は前端下部に便座51及び便蓋52を起立状態と倒伏状態との間で回動自在に軸支している。
【0016】
ケース本体20は周壁部21に開口部22を設けている。この開口部22はケース本体20に向かって左側上部の角部に上下方向に長く形成されている。つまり、ケース本体20の正面側に位置する正面周壁部21Fの左側上部と、ケース本体20の左側面側に位置する左側面周壁部21Lの前側上部とが、それぞれ縦長矩形状に連続して開口している。
【0017】
ケース本体20は開口部22を塞ぐ透光性を有する半透明のカバー部材23を具備している。このため、カバー部材23は、開口部22の正面側を塞ぐ正面部23Fと、開口部22の左側面側を塞ぐ左側面部23Lの前部とが連続して形成されている。カバー部材23は正面部23Fの表面がケース本体20の正面周壁部21Fの表面と面一となるように形成されている。また、カバー部材23は左側面部23Lの前部の表面がケース本体20の左側面周壁部21Lの表面と面一となるように形成されている。
【0018】
カバー部材23は、正面部23Fと左側面部23Lとの背後に一方向である右方向に開口した空洞部Sを形成している。つまり、カバー部材23は、正面部23F、背面部23B、上面部23U、下面部23D、及び左側面部23Lを有しており、これらに囲まれて形成された空洞部Sを有している。
【0019】
また、カバー部材23は、図4に示すように、正面部23Fの上部に表示部24を形成している。この表示部24は「電源」及び「節電」の文字が上下方向に並んで付されている。
【0020】
受光部30及び表示用発光部40は、図2〜図4に示すように、基盤60に固定され、カバー部材23の空洞部S内に配置されている。基盤60は、縦長の略矩形状であり、カバー部材23の空洞部Sに収納ができる大きさに形成されている。また、基盤60は、開口部22及びカバー部材23の左右の略中央に長手方向の端面が延び、表面が左方向を向いた状態で空洞部Sに収納して固定されている。このため、基盤60より左側に上下方向に延びた空間Rが形成されている。
【0021】
基盤60を空洞部Sに収納して固定した状態で、下側に位置する基盤60の端部の表面に受光部30が固定されている。受光部30は、受光素子31、及び固定用脚部32を有している。固定用脚部32は、基盤60に一端部を固定し、基盤60の表面から離れた他端部に受光素子31を固定している。
【0022】
受光素子31は、基盤60を空洞部Sに収納して固定した状態で、前方(便器本体3の先端方向)に対して、斜め上方、かつ僅かに右斜め前方を向くように配置されている。また、受光素子31は、便器本体3に向かって、基盤60から左側に離れた位置に配置されている。このように、受光部30は、基盤60より左側に上下方向に延びた空間Rの下部であって、かつカバー部材23の下部の背後に配置されている。このため、受光部30が配置された位置より上方にカバー部材23、及び開口部22が延在している。
【0023】
受光部30は、カバー部材23の下部の背後、すなわち、便器本体3に向かってケース本体20の左側上部の角部に配置されている。これに対し、リモートコントローラー10は右側の壁面Wに固定されている。この状況では、使用者が便座51に着座した状態で便器装置を使用する際、リモートコントローラー10と受光部30との間に使用者が存在してしまうため、リモートコントローラー10から送信された発光信号を直接的に受光部30に入射させることができない。このため、リモートコントローラー10は、発光信号を上方に向けても送信するようにされており、この発光信号が天井や壁に反射して上方から受光部30に向けて照射する。
【0024】
上方から照射される発光信号に対して、受光部30が配置された位置より上方の延在するカバー部材23(開口部22)の上部から発光信号を開口部22内に入射させることができる。このように、受光部30が配置された位置より上方に発光信号が入射する領域を拡げており、受光素子31を基盤60の表面から離れた位置に固定し、この受光素子31の上方は、基盤60より左側に上下方向に延びた空間Rが形成されているため、上方から照射される発光信号を受光部30は良好に受光することができる。また、受光素子31を前方に対して斜め上方、かつ僅かに右斜め前方を向くように配置しているため、天井や壁に反射して上方から照射された発光信号を受光部30は良好に受光することができる。
【0025】
したがって、実施例の便器装置は、リモートコントローラー10によって確実に操作することができる。
【0026】
また、基盤60を空洞部Sに収納して固定した状態で、上側に位置する基盤60の前端部の2か所の表面に表示用発光部40が固定されている。各表示用発光部40は発光ダイオード41を有している。これら発光ダイオード41は、基盤60を空洞部Sに収納して固定した状態で、カバー部材23の表示部24に付された「電源」及び「節電」の左側であり、カバー部材23の正面部23Fの背後に配置されている。つまり、表示用発光部40は、カバー部材23の上部の背後であり、カバー部材23の表示部24に対応する位置に配置されている。
【0027】
カバー部材23の上部に形成した表示部24は、便器装置への通電状態を表示部24に付された「電源」の横に配置された発光ダイオード41の点灯の有無によって表示することができる。また、この表示部24は、便器装置が節電状態であるか否かを表示部24に付された「節電」の横に配置された発光ダイオード41の点灯の有無によって表示することができる。
【0028】
このように、受光部30が配置された位置より上方のカバー部材23に表示部24を設けることともに、この表示部24を通過する発光信号も受光部30は受光することができる。このように、カバー部材23の上部において発光信号が通過する領域を拡げて受光部30が発光信号を良好に受光することができるようにするとともに、カバー部材23の上部を表示部24として有効に利用することができる。
【0029】
受光部30及び表示用発光部40が固定された基盤60は、カバー部材23の空洞部Sの右側に形成された開口から着脱自在に空洞部S内に固定されている。つまり、受光部30及び表示用発光部40は空洞部S内に着脱自在に収納されている。基盤60は信号線及び電力線である各種電線61が連結されている。
【0030】
このように、受光部30及び表示用発光部40を空洞部S内に収納した状態で固定することができるため、便器装置を掃除する際に受光部30及び表示用発光部40に掃除用の水や洗剤などが浸入し難くすることができる。このため、受光部30及び表示用発光部40が水・洗剤などの侵入により水濡れすることによって誤作動することを防止することができる。
【0031】
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施例では、便器洗浄装置が洗浄タンクを有していたが、洗浄タンクを有さず、給水源から開閉弁を介して直接的に便鉢部へ洗浄水を供給する便器洗浄装置を水洗式便器の便器本体の後部上面に固定してもよい。
(2)実施例では、便器洗浄装置などの各種便器用機器を便器本体の後部上面に固定したが、少なくとも1種類以上の便器用機器を便器本体の後部上面に固定するものであればよい。
(3)実施例では、カバー部材の上部に表示部を形成したが、カバー部材の上部に表示部を形成しなくてもよい。
(4)実施例では、カバー部材の背後に受光部などを収納する空洞部を形成したが、カバー部材の背後に空洞部を形成しなくてもよい。
(5)実施例では、開口部を周壁部の左側上部の角部に形成したが、周壁部の他の部分に形成してもよい。この場合、上方から照射される発光信号を受光部が良好に受光するために周壁部の上部に開口部を形成する方がよい。
【符号の説明】
【0032】
A…便器用機器
3…便器本体
10…リモートコントローラー
20…ケース本体
21…周壁部
22…開口部
23…カバー部材
24…表示部
30…受光部
40…表示用発光部
S…空洞部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体の後部上面に固定される便器用機器と、
発光信号を送信してこの便器用機器を作動させるリモートコントローラーと、
この便器用機器を収納して上下方向に延びた周壁部、この周壁部に設けた開口部、及びこの開口部を塞ぐ透光性を有するカバー部材を具備したケース本体と、
前記カバー部材の下部の背後に配置し、前記リモートコントローラーから送信される前記発光信号を受信する受光部とを備えていることを特徴とする便器装置。
【請求項2】
前記カバー部材は上部に表示部を形成しており、このカバー部材の上部の背後であり、前記表示部に対応する位置に配置した表示用発光部を備えていることを特徴とする請求項1記載の便器装置。
【請求項3】
前記カバー部材は、背後に前記受光部を収納して固定する空洞部を形成しており、この空洞部は前記受光部を着脱するために一方向に開口していることを特徴とする請求項1又は2記載の便器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−207435(P2012−207435A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73527(P2011−73527)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】