説明

便座、及びそのカバー

【課題】便座に腰を掛ける際に便器の黒ずんだ汚れが下着や衣服に付着しにくいようにする便座及びそのカバーを提供すること。
【解決手段】前部及びこれに連続形成される両サイド部に、下方に向って延びる垂下部21、22を設けてある。垂下部は、前部が5〜35cmの長さ、両サイド部が5〜35cmの長さに、それぞれ設定してある。便座に腰を掛けたときに衣服や下着が接する部位を覆い隠せるように、垂下部を形状設定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
この発明は、洋式便器、特に便座、及びそのカバーに関するものである。
【背景技術】
近年の便器は洋風形式であることが一般的であり、従来の日本式便器の如きしゃがみ込む形式ではなく、便器本体に腰を掛けて椅子に座る態様で排便をするようになっている。
ところで、図6や図7に示すように、上記便器本体1の便座2に臀部を載せ得るものとするため、通常は、便器本体1上には便座2が前方に倒された状態で載せ置かれ、男性が小便を行なう際にのみ便座2を排水貯蔵タンク5側に立て掛けるようにしている。なお、図6や図7に示す、符号3は便座カバー(便座カバーを使用しない場合もある)、符号4は蓋である。
ところが、男性が小便をする際、特に男児が小便をするような場合において、便座2を含む便器本体1の前側部やサイド部に小便を引っ掛けてしまい、その結果、その部分が菌の増殖等により黒ずんでしまう。この状態において便座2に腰を掛ける際、黒ずんだ汚れDが下着に付着し、非常に不快な思いをするという問題がある。
【特許文献1】特開2008−6087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明では、便座に腰を掛ける際に便座黒ずんだ汚れが下着や衣服に付着しにくいようにする便座及びそのカバーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
(請求項1記載の発明)
この発明の便座は、前部及びこれに連続形成される両サイド部に、下方に向って延びる垂下部を設けてある。
(請求項2記載の発明)
この発明の便座は、上記請求項1記載の発明において、垂下部は、前部が5〜35cmの長さ、両サイド部が5〜35cmの長さに、それぞれ設定してある。
(請求項3記載の発明)
この発明の便座は、上記請求項1又は2記載の発明において、便座に腰を掛けたときに衣服や下着が接する部位を覆い隠せるように、垂下部を形状設定している。
(請求項1〜3記載の発明の効果)
男性が所謂小便をする際、特に男児が小便をするような場合、小便が便器内のみに落ちるのではなく、場合によっては便器の前部やサイド部にかかってしまうことがある。このような事態が生じた場合、小便がかかった部分は菌の増殖等により黒ずんでしまう。
このような状態において、便座を倒して当該便座に腰を掛けるときに、上記黒ずんだ汚れが衣服や下着に付着し、非常に不快な思いをすることがある。
しかしながら、この発明の便座を有した場合には、便座を倒すと、前部及びこれに連続形成される両サイド部に、下方に向って延びる垂下部(例えば前部が5〜35cmの長さ、両サイド部が5〜35cmの長さに、それぞれ設定)により前記黒ずんだ汚れはほとんどが覆われることになり、その結果、便座に腰を掛けたときにおいて、黒ずんだ汚れが衣服や下着に付着することが抑制される(又はなくなる)。
(請求項4記載の発明)
この発明は、便座に取り付けられる便座カバーであって、便座の前部及びこれに連続形成される両サイド部に、下方に向って延びる垂れ幕部を設けてある。
(請求項5記載の発明)
この発明は、上記請求項4記載の発明に関し、垂れ幕部は、前部が5〜35cmの長さ、両サイド部が5〜35cmの長さに、それぞれ設定してある。
(請求項6記載の発明)
この発明は、上記請求項4又は5記載の発明に関し、便座に腰を掛けたときに衣服や下着が接する部位を覆い隠せるように、垂れ幕部を形状設定している。
(請求項4〜6記載の発明の効果)
男性が所謂小便をする際、特に男児が小便をするような場合、小便が便器内のみに落ちるのではなく、場合によっては便器の前部やサイド部にかかってしまうことがある。このような事態が生じた場合、小便がかかった部分は菌の増殖等により黒ずんでしまう。
このような状態において、便座を倒して当該便座に腰を掛けるときに、黒ずんだ汚れが衣服や下着に付着し、非常に不快な思いをすることがある。
しかしながら、この発明の便座カバーを取り付けた便座を倒すと、前部及びこれに連続形成される両サイド部に、下方に向って延びる垂れ幕部(例えば前部が5〜35cmの長さ、両サイド部が5〜35cmの長さに、それぞれ設定)により前記黒ずんだ汚れはほとんど覆われることになり、その結果、便座に腰を掛けたときにおいて、黒ずんだ汚れが衣服や下着に付着するようなことがなくなる。
(請求項7記載の発明)
この発明は、便座廻りに取り付けられる便座カバーに対して、後付けされる垂れ幕部であって、前記垂れ幕部の前部は5〜35cmの長さ、両サイド部が5〜35cmの長さに、それぞれ設定してある。
(請求項7の発明の効果)
この発明においては、後付けされる垂れ幕部の存在により(請求項4〜6記載の発明の効果)と同様の効果を有する。
【発明の効果】
この発明の便座、及び便座カバーによると、便座上への座り心地がよく、便座にこしを掛ける際に黒ずんだ汚れが下着や衣服に付着しない。
【発明を実施するための最良の形態】
以下にこの発明における便座、及び便座カバーを実施するための最良の形態として実施例について詳しく説明する。
【実施例1】
図1はこの実施例の便座カバー3A,3Bを取り付けた状態の洋式トイレTの斜視図、図2は前記便座カバー3A,3Bの平面図、図3はこの実施例の便座カバー3A,3Bを取り付けた状態の洋式トイレTの側面図を示している。
「この実施例の洋式トイレTの基本的構成について」
この洋式トイレTは、図1〜図3に示すように、床面に固定される便器本体1と、前記便器本体1の上部に載せ置かれる便座2と、前記便座2を開閉する蓋4と、便器本体1の後方部に取り付けられる排水貯蔵タンク5とから構成されている。
ここで、便座2及び蓋4は、図1や図3に示すように、便器本体1の後方部に設けられた横軸(図示せず)を支軸として、開状態(OP)及び閉状態(ST)にできるようになっている。
また、上記便座2は、図1や図2に示すように、前方向が開放された馬蹄形としてあり、これにより便座2のクッション性により臀部が便座2にフィットするようになっている。なお、便座2には便座カバー3Aで覆うようにしてある。
「この洋式トイレTに使用されている便座カバー3について」
便座2は、図1や図2に示す如く、前方側が開放する馬蹄形状に形成され他従来から存在するものであり、これに装着される便座カバー3Aは、従来から存在しているものを用いた上で、少なくとも便座2の開放している前側部分に補助カバー3Cを、便器本体1の前部及び両サイド部には垂れ幕部3Bを、それぞれ着脱可能に取り付けるようにしてある。
すなわち、この実施例とした便座カバー3は、従来から使用している馬蹄形状の便座カバー3Aに対して、便座2が前方側で開放する部分を上部から覆う便座カバー3C、及び前部とその周辺部(両サイド部)を覆うに垂れ幕部3Bを、着脱自在(面ファスナー6によるがその他の着脱部材も採用できる)に取り付け得るものとしてある。
なお、垂れ幕部3Bは、前部が5〜35cmの長さ、両サイド部が5〜35cmの長さに、それぞれ設定してあることが好ましく、更に垂下部3Bは、便座に腰を掛けたときに衣服や下着が接する部位を覆い隠せるように、垂下部を形状設定している。
「この実施例の便座カバー3を使用した場合の優れた効果について」
(1)この実施例の便座カバー3が取り付けられる便座2は、図1に示すように、前方側が開放する馬蹄形状の便座2に取り付けられるものであるから変形の自由度が高く、便座2が臀部の形状にフィットして変形するので、座り心地がよい。
(2)上述した如く、便座2は、前方側が開放する馬蹄形状であるので、その馬蹄形状に便座カバー3Aが覆われる。次に便座カバー3Aに対して、便座2が前方側で開放する部分を上部から覆う補助カバー3C及び両サイド部に設けられた垂れ幕部3Bを、着脱自在(面ファスナー6によるがその他の着脱部材も採用できる)に取り付ける。すると、便座2の前方側が開放する部分及びその周辺の部分は便座カバー3により隠れた状態となる。
ここで男性が小便をする場合、便座2を上げた状態にして行なうことになるが、この際、男性が小便をする際、特に男児が小便をするような場合において、便座2の前側の開放部分の下に位置する便器本体1上に小便を引っ掛けてしまい、その結果、その部分が菌の増殖等により黒ずんだ汚れDとなってしまう。
次に、排便を行なうため便座2を倒した状態にすると、汚れDは補助カバー3C及び垂れ幕部3Bにより覆われて隠れた状態となるので、便座2上に座ったときにおいても下着や衣服に汚れDが付着することが起きにくくなる。
つまり、この便座カバー3によると、便座2上への座り心地がよく、便座上に腰を掛ける際に黒ずんだ汚れが下着や衣服に付着しない。
「実施例1の他の実施形態」
上記実施例では、便座カバー3Aに対して、便座2が前方側で開放する部分を上部から覆う補助カバー3C、前部及び両サイド部に垂れ幕部3Bを、相互に着脱自在なものとしてあるが、これに限定されることなく、一体的なものとすることができる。
また、補助カバー3Cは、最低限、便座2が前方側で開放する部分を上部から覆うものとすることができる。
上記実施例1では、便座2は、前方側が開放する馬蹄形状のものとしてあるが、これに限定されることなく、前方側が開放していないもの(楕円形状のもの)でもよい。
【実施例2】
図4はこの実施例2の便座2を取り付けた状態の洋式トイレTの側面図、図5は前記便座2を取り付けた状態の洋式トイレTの側面図を示している。
「この実施例の洋式トイレTの基本的構成について」
この実施例の洋式トイレTの基本構成は、上記実施例1と同様であるが、相違する点は便座カバー3により本願発明の効果を奏するのではなく便座2により本願発明の効果を奏するものとしている。
上記便座2は、図4や図5に示すように、従来の便座部に相当する楕円形状の便座本体部20、前部及びこれに連続形成される両サイド部において下方に向って延びる垂下部21を設けてある。この垂下部Sは、前部が5〜35cmの長さ、両サイド部が5〜35cmの長さに、それぞれ設定してあり、便座2に腰を掛けたときに衣服や下着が接する部位を覆い隠せるように、図4や図5に示すように、垂下部21を形状設定している。
「この実施例の優れた効果について」
男性が小便をする際、特に男児が小便をするような場合、小便が便器内のみに落ちるのではなく、場合によっては便器本体1の前部や両サイド部にかかってしまうことがある。このような事態が生じた場合、小便がかかった部分は菌の増殖等により黒ずんでしまう。
このような状態において、従来の便座に腰を掛けたときにおいて、黒ずんだ汚れDが衣服や下着に付着し、非常に不快な思いをする。
しかしながら、この実施例の便座2を有した場合には、前部及びこれに連続形成される両サイド部に、下方に向って延びる垂下部21を設けてある(前部が5〜35cmの長さ、両サイド部が5〜35cmの長さに設定)から小便がかかって黒ずんだ汚れDは垂下部21により覆われてしまうことになり、その結果、便座2に腰を掛けたときにおいて、黒ずんだ汚れDが衣服や下着に付着するようなことがなくなる。
「その他」
その他、便座2に取り付けられる便座カバーに対して、後付けされる垂れ幕部であって、前記垂れ幕部の前部は5〜35cmの長さ、両サイド部が5〜35cmの長さに、それぞれ設定してあるものとすることができる。
また、便座2の開放している前側部分に、補助カバー3Cを着脱自在に取り付けるだけの形態を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この実施例1の便座カバーを取り付けた状態の洋式トイレTの斜視図。
【図2】前記便座カバーの平面図。
【図3】この実施例1の便座カバーを取り付けた状態の洋式トイレTの側面図。
【図4】この実施例2の便座カバーを取り付けた状態の洋式トイレTの側面図。
【図5】この実施例2の便座カバーを取り付けた状態の洋式トイレTの斜視図。
【図6】従来の便座カバーを便座に取り付けた状態の斜視図。
【図7】従来の便座カバーを便座に取り付けた状態の側面図。
【符号の説明】
T 洋式トイレ
1 便器本体
2 便座
20 便座本体部
21 垂下部
3 便座カバー
3A 便座カバー
3B 補助カバー
3C 垂れ幕部
4 蓋
5 排水貯蔵タンク
6 面ファスナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部及びこれに連続形成される両サイド部に、下方に向って延びる垂下部を設けてあることを特徴とする便座。
【請求項2】
垂下部は、前部が5〜35cmの長さ、両サイド部が5〜35cmの長さに、それぞれ設定してあることを特徴とする請求項1記載の便座。
【請求項3】
便座に腰を掛けたときに衣服や下着が接する部位を覆い隠せるように、垂下部を形状設定していることを特徴とする請求項1又は2記載の便座。
【請求項4】
便座に取り付けられる便座カバーであって、便座の前部及びこれに連続形成される両サイド部に、下方に向って延びる垂れ幕部を設けてあることを特徴とする便座カバー。
【請求項5】
垂れ幕部は、前部が5〜35cmの長さ、両サイド部が5〜35cmの長さに、それぞれ設定してあることを特徴とする請求項4記載の便座カバー。
【請求項6】
便座に腰を掛けたときに衣服や下着が接する部位を覆い隠せるように、垂れ幕部を形状設定していることを特徴とする請求項4又は5記載の便座カバー。
【請求項7】
便座廻りに取り付けられる便座カバーに対して、後付けされる垂れ幕部であって、前記垂れ幕部の前部は5〜35cmの長さ、両サイド部が5〜35cmの長さに、それぞれ設定してあることを特徴とする便座カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−297487(P2009−297487A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183193(P2008−183193)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(593059902)
【Fターム(参考)】