説明

便座装置

【課題】 平坦な帯状シートで便座表面を周方向に覆うことができるようにする。
【解決手段】 便座形状を複数分割してなる便座ブロック10,11,12,13,14,15を周方向に配列し、隣接するもの同士間の隙間16a,16b,16c,16d,16eの裏面側近傍位置に、シート送り方向変更装置17を設ける。各便座ブロック10,11,12,13,14,15の表面側に配置される平坦な帯状シート18を、各隙間16a,16b,16c,16d,16eを通してシート送り方向変更装置17に掛け回すことで、帯状シート18の便座中央側の端縁部が、便座外周寄りの端縁部よりも長い経路を経るようにさせることで、各便座ブロック10,11,12,13,14,15の表面側に配置する帯状シート18を、各隙間16a,16b,16c,16d,16eの位置で便座中央寄りに順次屈曲させて周方向の全周に亘り配置させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋式便器の便座装置に関するもので、特に、使用者の臀部が便座に直接接触するのを防止するために便座の表面側を衛生用のシートで覆う機能を備えた便座装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
洋式便器では、使用者が腰掛けて使用するための便座を備えているが、不特定多数の使用者が使用する洋式便器では、前の使用者による便座の汚染や汚れが分からない。
【0003】
そのために、使用者が便座に腰掛ける際に、該使用者の臀部が便座に直接接触するのを防止するための衛生用のシートを、便座の表面側を覆うように配置すると共に、便座の使用時ごとに上記シートを取り替えることで、便座を衛生的に使用できるようにすることが行われてきている。
【0004】
この種の便座を覆うための衛生用のシートとしては、今日では、水に溶解できる紙等により便座の平面形状よりもやや大きな外形、たとえば、楕円形を有するシート材に、便座の内側開口部に対応する開口(穴)を設けてなる形式のものが一般的になってきている。
【0005】
しかし、上記形式のシートは、個々の使用者が、便座に腰掛ける前に該シートの向きや、開口の位置を確認しながら便座の表面全体を覆うように手作業で配置しなければならず、しかも、便座全体を覆うようにシートを配置した後、使用者が便座に腰掛けるときに、上記便座の表面に配置したシートの位置が容易にずれる虞もある。
【0006】
又、近年では、図16に示す如き便座用シート巻取器も提案されている。これは、便座1をU字形とすると共に、該U字形の便座1の一方の端部1aのみを便器(洋式便器)2側に図示しない支持軸を介して開閉可能に片持ち支持させた構成としてある。
【0007】
更に、上記便座1の後方に底板3を設け、該底板3上における上記便座1の自由端となる他方の端部1b付近となる所要個所に、袋状(扁平筒状)の長尺のシート5を巻いたシート供給ロール5aを着脱可能に設置してなるシート供給部4を設け、且つ上記底板3上における上記便座1の一方の端部付近の所要個所には、シート巻取ロール7を着脱可能に備えたシート回収部6を設けてなる構成としてある。これにより、上記シート供給部4のシート供給ロール7より巻き出す上記袋状の長尺のシート5を、上記片持ち構造としてある便座1の自由端となっている他方の端部1bよりかぶせ、上記U字形の便座1に沿わせて該便座1の一方の端部まで導いた後、便座1の一方の端部近傍に設けた左右一対のナイフ(図示せず)により上記袋状のシート5の左右両側部を切開させてから、該左右の両側部が切開された状態のシート5を、上記シート回収部6のシート巻取ロール7に巻き付けることができるようにした構成としてある。
【0008】
上記図16に示した構成としてある便座用シート巻取器によれば、上記便座1に、他方の端部より一方の端部までの全長に亘り上記袋状のシート5をかぶせることができるため、便座の表面を上記シート5で覆うことができ、又、便座1の使用時ごとに、上記シート回収部6におけるシート巻取ロール7を回転させて、該シート巻取ロール7に、上記シート5を、上記便座1のU字形状に沿う長さ寸法に対応した長さ分巻き取ることで、上記シート供給部4のシート供給ロール5aより新たに巻き出した清浄なシート5を、上記便座1の表面に配置させることができるとされている(たとえば、特許文献1参照)。
【0009】
したがって、上記便座用シート巻取器では、上記袋状のシート5を便座1の湾曲形状に容易に追従させて配置できて、該シート5の便座1に対する手作業による位置合わせ作業を省略できると共に、使用者が便座1に腰掛ける際における上記シート5の便座1からの位置ずれを防止することができると考えられる。
【0010】
【特許文献1】特開2004−480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、上記特許文献1に示されたものでは、便座1の全長に亘り袋状のシート5をかぶせるようにしてあるため、上記シート5には、使用者の臀部が便座に直接接触するのを防止する機能上必要となる便座1の表面を覆う部分のほかに、便座1の裏面側に配置される部分も必要となるため、該シート5に要する材料の量が、上記便座1の表面側のみを平坦なシートで覆う場合に比して約倍量に嵩むという問題がある。又、上記シートを袋状にするための加工が必要であり、よって、上記シート5に要するコストが嵩むと云う問題がある。
【0012】
更に、上記特許文献1に示されたものでは、便座1を片持ち支持したU字形の便座としてあるため、使用者の臀部における背中側の部分が接触する個所には上記便座1の表面を覆うシート5を配置することができないという衛生面の問題もある。
【0013】
そこで、本発明は、環形の便座本体を備え、且つ上記環形の便座の表面を、周方向の全周に亘り平坦な衛生用のシートで覆うことができて、該衛生用のシートに要する材料の量やコストを低減させることができ、更に、上記平坦な衛生用のシートを、上記便座の周方向に自動的に追従させて配置する際に、使用者の手作業による上記衛生用シートの位置合わせ作業を不要にすることができると共に、使用者が便座に腰掛ける際における上記シートの便座からの位置ずれを防止することもできる便座装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、環状の便座形状を周方向に複数分割してなる形状の便座ブロックを、所要の隙間を隔てた状態で周方向に配列し、隣接する便座ブロック同士を連結部材で連結して一体にすると共に、各便座ブロックの裏面側に、上記各便座ブロックの表面側に沿って配置する一連の帯状シートを上記各隙間を通して便座ブロック裏面側で方向変更させるシート送り方向変更装置を設けてなる環状の便座本体を備え、更に、上記各便座ブロックが配列された周方向の所要個所に、上記帯状シートを供給するシート供給部と、該シート供給部より供給されて上記各便座ブロックの表面側を覆うよう配置された帯状シートを回収するためのシート回収部を備えてなる構成とする。
【0015】
又、上記構成において、シート回収部に駆動モータを備えて、シート供給部より供給されて便座本体の各便座ブロックの表面側を覆うように配置された帯状シートを駆動モータによりシート回収部へ回収できるようにし、且つ上記帯状シートの長手方向所要個所に、上記便座本体のすべての便座ブロックの表面側を覆うのに必要とされる長さに対応した間隔でセンサ検出用マークを設けると共に、シート供給部又はシート回収部の所要個所に、上記センサ検出用マークを検出するためのセンサを備えて、上記駆動モータの運転開始後、上記センサにより上記帯状シート上のセンサ検出用マークを検出すると上記駆動モータの運転を停止させる制御系を備えるようにした構成とする。
【0016】
更に、上記構成において、便ふたの閉止操作に伴い駆動モータの運転を開始させる蓋スイッチを設けるようにした構成とする。
【0017】
上述の各構成において、シート送り方向変更装置を、隣接する各便座ブロック間の隙間より便座ブロックの裏面側に引き出された帯状シートを掛け回して、該帯状シートの便座中央寄りの端縁部側が、便座外周寄りの端縁部側に比して長い経路を経て移動させられるようにした構成とする。
【0018】
又、上記構成において、シート送り方向変更装置を、ガイドローラ又はガイドバーとし、該ガイドローラ又はガイドバーの軸心方向一端部を便座ブロック間の隙間の便座外周寄り端部に近接させ、且つガイドローラ又はガイドバーの軸心方向他端部を上記隙間の便座中央寄りの端部より所要寸法離反させた配置で設けてなる構成とする。
【0019】
同様に、上記構成において、シート送り方向変更装置を、円錐状バーとし、該円錐状バーの細径側となる軸心方向一端部を便座ブロック間の隙間の便座外周寄り端部に近接させ、且つ太径側となる軸心方向他端部を上記隙間の便座中央寄りの端部に近接させた配置で設けてなる構成とする。
【0020】
同様に、上記構成において、シート送り方向変更装置を、二等辺三角形状のプレート部材とし、該プレート部材における二等辺三角形状の頂角部分を便座ブロック間の隙間の便座外周寄り端部に近接させ、且つ底辺部分を上記隙間の便座中央寄りの端部に近接させた配置で設けてなる構成とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の便座装置によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)環状の便座形状を周方向に複数分割してなる形状の便座ブロックを、所要の隙間を隔てた状態で周方向に配列し、隣接する便座ブロック同士を連結部材で連結して一体にすると共に、各便座ブロックの裏面側に、上記各便座ブロックの表面側に沿って配置する一連の帯状シートを上記各隙間を通して便座ブロック裏面側で方向変更させるシート送り方向変更装置を設けてなる環状の便座本体を備え、更に、上記各便座ブロックが配列された周方向の所要個所に、上記帯状シートを供給するシート供給部と、該シート供給部より供給されて上記各便座ブロックの表面側を覆うよう配置された帯状シートを回収するためのシート回収部を備えてなる構成としてあるので、便座本体の各便座ブロックの表面側を、シート供給部より供給される帯状シートで覆うことができる。更に、便座本体を使用するごとにシート回収部にて、上記帯状シートを、便座本体の各便座ブロックの表面側を覆うのに必要な長さ分回収することで、シート供給部より供給される清浄な部分の帯状シートを上記各便座ブロックの表面側を覆うように配置させることができる。よって、便座本体の使用者は、前の使用者による汚染や汚れを気にすることなく、上記清浄な帯状シートによって表面側が覆われた便座本体に腰掛けて使用することができる。
(2)又、上記便座本体の表面側を覆う帯状シートは、平坦なシートとすることができると共に、上記便座本体の表面側を周方向の全周に亘って覆うために必要な帯状シートの長さ寸法を、上記便座本体の外周に沿う長さ寸法よりもやや長い寸法に収めることができることから、上記帯状シートに要する材料の量を少なく抑えることができる。又、上記帯状シートを、製造の容易なものとすることができるため、該帯状シートを安価なものとすることができる。
(3)シート回収部に駆動モータを備えて、シート供給部より供給されて便座本体の各便座ブロックの表面側を覆うように配置された帯状シートを駆動モータによりシート回収部へ回収できるようにし、且つ上記帯状シートの長手方向所要個所に、上記便座本体のすべての便座ブロックの表面側を覆うのに必要とされる長さに対応した間隔でセンサ検出用マークを設けると共に、シート供給部又はシート回収部の所要個所に、上記センサ検出用マークを検出するためのセンサを備えて、上記駆動モータの運転開始後、上記センサにより上記帯状シート上のセンサ検出用マークを検出すると上記駆動モータの運転を停止させる制御系を備えるようにした構成とすることにより、上記シート回収装置の運転を開始させることで、便座本体の各便座ブロックの表面側を覆うように配置されている帯状シートを、シート供給部より新たに供給される清浄な部分の帯状シートに自動的に取り替えることができる。
(4)便ふたの閉止操作に伴い駆動モータの運転を開始させる蓋スイッチを設けるようにした構成とすることにより、使用者が便座本体の使用後に便ふたを閉めると、便座本体の各便座ブロックの表面側を覆うように配置されている帯状シートを、自動的に清浄な帯状シートに取り替えることができる。よって、次の使用者が便ふたを開けた時点で、表面側が全周に亘り清浄な帯状シートで覆われた状態の便座本体を使用に供することができる。(5)シート送り方向変更装置を、隣接する各便座ブロック間の隙間より便座ブロックの裏面側に引き出された帯状シートを掛け回して、該帯状シートの便座中央寄りの端縁部側が、便座外周寄りの端縁部側に比して長い経路を経て移動させられるようにした構成とすることにより、便座本体を形成している各便座ブロックの隣接するもの同士の隙間を通して便座ブロック裏面側に引き出した部分をシート送り方向変更装置に掛け回すことで、上記各隙間の部分で、上記各便座ブロックの表面側に配置されている帯状シートの配置される方向を、便座中央寄り側へ角度変更させることができる。よって、上記帯状シートを、上記便座本体の周方向に配列されている各便座ブロックの表面に沿う方向に自動的に追従させて配置することができることから、便座本体を使用する使用者ごとの手作業による上記帯状シートの位置合わせ作業を不要にすることができると共に、使用者が便座本体に腰掛ける際における上記帯状シートの位置ずれを防止することも可能となる。
(6)シート送り方向変更装置を、ガイドローラ又はガイドバーとし、該ガイドローラ又はガイドバーの軸心方向一端部を便座ブロック間の隙間の便座外周寄り端部に近接させ、且つガイドローラ又はガイドバーの軸心方向他端部を上記隙間の便座中央寄りの端部より所要寸法離反させた配置で設けてなる構成、又は、シート送り方向変更装置を、円錐状バーとし、該円錐状バーの細径側となる軸心方向一端部を便座ブロック間の隙間の便座外周寄り端部に近接させ、且つ太径側となる軸心方向他端部を上記隙間の便座中央寄りの端部に近接させた配置で設けてなる構成、又は、シート送り方向変更装置を、二等辺三角形状のプレート部材とし、該プレート部材における二等辺三角形状の頂角部分を便座ブロック間の隙間の便座外周寄り端部に近接させ、且つ底辺部分を上記隙間の便座中央寄りの端部に近接させた配置で設けてなる構成とすることにより、上記(5)の構成を備えたシート送り方向変更装置を容易に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0023】
図1乃至図12(イ)(ロ)は本発明の便座装置の実施の一形態を示すもので、本発明の便座装置8は、便座本体9と、シート供給部22、シート回収部23とからなる。便座本体9は、以下のようにしてある。
【0024】
すなわち、環状の便座形状を周方向に複数分割してなる形状の便座ブロックを形成する。たとえば、図3(イ)(ロ)に示すように、環状の便座形状を周方向に6分割して、該便座形状の後寄りに位置する後部便座ブロック10から、図3(イ)における反時計周り方向に順に、右後部便座ブロック11、右前部便座ブロック12、前部便座ブロック13、左前部便座ブロック14、左後部便座ブロック15が並ぶように形成する。且つ上記後部便座ブロック10は、左右方向の一方の端部、たとえば、左端部が図3(イ)(ロ)に示すように上記環状の便座形状の左側の端部よりもやや突出する形状となるようにする。
【0025】
上記各便座ブロック10、11、12、13、14、15は、それぞれ所要の隙間16a,16b,16c,16d,16e,16fを隔てて周方向に並べて配列し、且つ隣接する後部便座ブロック10と右後部便座ブロック11との間の隙間16a、右後部便座ブロック11と右前部便座ブロック12との間の隙間16b、右前部便座ブロック12と前部便座ブロック13との間の隙間16c、前部便座ブロック13と左前部便座ブロック14との間の隙間16d、及び、左前部便座ブロック14と左後部便座ブロック15との間の隙間16eの近傍位置となる便座ブロック裏面側に、便座ブロック10,11,12,13,14の表面側から導かれた帯状シート18を掛け回してから次の便座ブロック11,12,13,14,15の表面側へ導くようにするためのシート送り方向変更装置17をそれぞれ設ける。これにより、上記各隙間16a,16b,16c,16d,16eを挟んで隣接する各便座ブロック10と11,11と12,12と13,13と14,14と15のうち、該各隙間16a,16b,16c,16d,16eに対して平面視反時計回り方向の上流側にそれぞれ位置する便座ブロック10,11,12,13,14の表面側に該各便座ブロック10,11,12,13,14の延びる方向に沿わせて配置するための衛生用の平坦な帯状シート18を、先ず、後部便座ブロック10の表面側から上記隙間16aを通して右後部便座ブロック11の裏面側でシート送り方向変更装置17に掛け回してから再び上記隙間16aより上方へ取り出して次の右後部便座ブロック11の表面に沿わせ、以後同様に隙間16b,16c,16d,16eの部分で便座ブロック裏面側のそれぞれの上記シート送り方向変更装置17に掛け回すことにより、帯状シート18を、便座ブロック12,13,14,15の表面側に沿わせて配置できるようにする。
【0026】
上記左後部便座ブロック15と後部便座ブロック10との間の隙間16fの便座ブロック裏面側の近傍位置には、回収用シート方向変更装置19を設けて、上記左後部便座ブロック15の表面側に沿わせて配置する上記帯状シート18の先端側部分を、上記隙間16fを通して便座ブロック裏面側へ引き出すと共に、上記回収用シート方向変更装置19に掛け回すことで、該帯状シート18の向きを変更させて、上記後部便座ブロック10の裏面側に沿わせて後述するシート回収部23へ向けて送ることができるようにする。
【0027】
更に、上記各隙間16a,16b,16c,16d,16e,16fを挟んで周方向に隣接する各便座ブロック10と11,11と12,12と13,13と14,14と15,15と10の裏面の所要個所同士を、上記各隙間16a,16b,16c,16d,16e,16fと、その近傍位置に設けてある各シート送り方向変更装置17と、該各シート送り方向変更装置17に掛け回す上記帯状シート18を跨ぐようにして干渉しないように配した、たとえば、略U字形の連結部材20を介し連結して、一体の便座本体9を構成する。
【0028】
上記便座本体9の各便座ブロック10,11,12,13,14,15の裏面における上記各シート送り方向変更装置17と、該各シート送り方向変更装置17に掛け回す上記帯状シート18、及び、上記連結部材20とに干渉しない所要個所に、便器2の上端面に接触させるための支持脚21を設けて、上記便座本体9の自重及び該便座本体9に使用者が腰掛けることで便座本体9に作用する荷重を、上記支持脚21を介して便器2に伝えて受けさせることができるようにしてある。
【0029】
シート供給部22は、上記便座本体9の後部便座ブロック10の左端部に、該後部便座ブロック10の表面側に後部便座ブロック10に沿わせて平面視反時計回り方向に上記衛生用の帯状シート18を供給できるようにしてある。シート回収部23は、上記シート供給部22より供給された後、上記後部便座ブロック10より各シート送り方向変更装置17を介して右後部便座ブロック11、右前部便座ブロック12、前部便座ブロック13、左前部便座ブロック14、左後部便座ブロック15の表面側を順に通過させた後、上記回収用シート方向変更装置19により後部便座ブロック10の裏面側に沿うように向きが変えられた上記帯状シート18を回収するようにしてある。
【0030】
詳述すると、上記便座本体9を構成する後部便座ブロック10と右後部便座ブロック11、右後部便座ブロック11と右前部便座ブロック12、右前部便座ブロック12と前部便座ブロック13、前部便座ブロック13と左前部便座ブロック14、左前部便座ブロック14と左後部便座ブロック15のそれぞれ隣接する端縁部は、たとえば、上記隣接する各便座ブロック10と11,11と12,12と13,13と14,14と15の延びる方向同士が交わる角の二等分線の方向にほぼ沿う方向に形成してある。これにより、上記隣接する便座ブロック10と11,11と12,12と13,13と14,14と15の間の各隙間16a,16b,16c,16d,16eを通して便座ブロック裏面側のそれぞれ対応するシート送り方向変更装置17に掛け回す上記帯状シート18が、上記便座ブロック表面側より上記各隙間16a,16b,16c,16d,16eに入る位置と、該帯状シート18が該各隙間16a,16b,16c,16d,16eより便座ブロック表面側に出る位置とを容易に揃えることができるようにしてある。
【0031】
上記左後部便座ブロック15における後部便座ブロック10と隣接する端縁部は、左右方向に延びる形状としてある。
【0032】
上記各シート送り方向変更装置17は、対応する各隙間16a,16b,16c,16d,16eを通して便座ブロック表面側から裏面側へ引き出された上記帯状シート18が、該各シート送り方向変更装置17に掛け回されてから上記隙間16a,16b,16c,16d,16eを通して便座ブロック裏面側から表面側へ戻される間に、該帯状シート18における便座中央寄りの端縁部の方が、便座外周寄りの端縁部よりも所要寸法長い(大きい)ループ形状の経路を経て移動するような構成としてある。これにより、上記各隙間16a,16b,16c,16d,16eの平面視反時計回り方向の上流側に位置する便座ブロック10,11,12,13,14の表面側に配置してある帯状シート18を、上記各隙間16a,16b,16c,16d,16eを通して対応するシート送り方向変更装置17に掛け回すことで、上記各隙間16a,16b,16c,16d,16eより便座ブロック表面側に戻る上記帯状シート18の向きを、平面視で便座中央寄り側へ所要角度で角度変更させることができるようにしてある。よって、上記各隙間16a,16b,16c,16d,16eの平面視反時計回り方向の下流側に位置する便座ブロック11,12,13,14,15の表面側にそれぞれ沿わせることで、上記帯状シート18を周方向に配置できるようにしてある。
【0033】
具体的には、上記各シート送り方向変更装置17は、図4(イ)(ロ)(ハ)に、一例として、後部便座ブロック10と右後部便座ブロック11との間の隙間16aの便座ブロック裏面側に設けるシート送り方向変更装置17を示すように、たとえば、上記帯状シート18の幅寸法とほぼ同様の軸心方向寸法を備えたガイドローラ24が、支持軸25に回転自在に取り付けてある。
【0034】
更に、上記後部便座ブロック10の表面側に沿って配置される上記帯状シート18の延長線上の下方で、且つ上記右後部便座ブロック11の裏面側となる位置に、上記ガイドローラ24を、該ガイドローラ24の軸心方向一端部24aが上記隙間16aにおける便座外周寄りの端部に近接するようにして、上記後部便座ブロック10の表面側における帯状シート18の送り方向と直交する方向に配置し、該ガイドローラ24の軸心方向他端部24bより突出させた上記支持軸25を、便座ブロック裏面側へ屈曲させて、右後部便座ブロック11の裏面における所要個所に取り付けた構成としてある。
【0035】
これにより、上記後部便座ブロック10の表面側に沿って配置してある帯状シート18の先端側部分を、上記隙間16aより便座ブロック裏面側に引き出して上記シート送り方向変更装置17のガイドローラ24に掛け回してから上記隙間16aを経て右後部便座ブロック11の表面側へ戻すようにすることで、上記帯状シート18が上記隙間16aと上記ガイドローラ24との間を往復する間に、該帯状シート18の便座中央寄りの端縁部が、便座外周寄りの端縁部に比して、上記ガイドローラ24の軸心方向他端部24bと上記隙間16aとの間隔と、該ガイドローラ24の軸心方向一端部24aと上記隙間16aとの間隔との差の寸法の2倍の寸法分、長い経路を経るようにしてある。
【0036】
すなわち、上記平坦な帯状シート18は、先ず、上記隙間16aを通して後部便座ブロック10の表面側から便座ブロック裏面側へ導かれる部分(図4(イ)(ロ)(ハ)参照)で、図5(イ)に一点鎖線で示す如き該帯状シート18の進行方向(長手方向)に対し上記隙間16aの向きに応じて所要角度傾斜した方向の山折り線18aに沿って略山折り状に屈曲させられる。次に、上記シート送り方向変更装置17のガイドローラ24に掛け回される部分(図4(イ)(ロ)(ハ)参照)では、図5(イ)に二点鎖線で示す如き該帯状シート18の進行方向に直交する方向の谷折り線18bに沿って略谷折り状に屈曲させられる。次いで、上記隙間16aを通して便座裏面側から右後部便座ブロック11の表面側へ導かれる部分(図4(イ)(ロ)(ハ)参照)では、上記谷折り線18bを中心として上記山折り線18aとほぼ線対象位置にある図5(イ)に一点鎖線で示す如き山折り線18cに沿って再び略山折り状に屈曲させられることで、上記帯状シート18は、図5(ロ)に示すように、長手方向の途中部分が裏面側に突出するように変形され、該帯状シート18の裏面側に突出する部分では、便座中央寄りの端縁部が、上記各山折り線18a,18cと谷折り線18bとの間隔Lの2倍の寸法分、便座外周寄りの端縁部に比して長い経路を通るようにしてある。
【0037】
よって、上記隙間16aを通して右後部便座ブロック11の表面側へ戻す上記帯状シート18の向きが、上記後部便座ブロック10の表面側に配置されている方向に対して、便座中央寄りに所要角度で角度変更されることで、図4(イ)に示すように、上記右後部便座ブロック11の表面側へ導かれる帯状シート18を、該右後部便座ブロック11に沿わせて配置することができるようにしてある。
【0038】
又、上記右後部便座ブロック11と右前部便座ブロック12との間の隙間16bの近傍位置、右前部便座ブロック12と前部便座ブロック13との間の隙間16cの近傍位置、前部便座ブロック13と左前部便座ブロック14との間の隙間16dの近傍位置、左前部便座ブロック14と左後部便座ブロック15との間の隙間16eの近傍位置にそれぞれ設けるシート送り方向変更装置17も、該各隙間16b,16c,16d,16eに対する位置関係を、上記図4(イ)(ロ)(ハ)に示したシート送り方向変更装置17と同様に設定して設けた構成としてある。これにより、上記右後部便座ブロック11の表面側に沿って配置される上記帯状シート18の先端側部分を、上記隙間16bに対応させて設けたシート送り方向変更装置17に掛け回すことで、上記右前部便座ブロック12の表面側に導かれる帯状シート18を、便座中央寄りに所要角度で角度変更させて、該右前部便座ブロック12に沿わせて配置できるようにしてある。同様に、上記右前部便座ブロック12の表面側に配置される上記帯状シート18の先端側部分を、上記隙間16cに対応させて設けたシート送り方向変更装置17に掛け回すことで、上記前部便座ブロック13の表面側に導かれる帯状シート18を、便座中央寄りに所要角度で角度変更させて、該前部便座ブロック13に沿わせて配置できるようにしてある。以後同様に、上記前部便座ブロック13と左前部便座ブロック14との間の隙間16d、上記左前部便座ブロック14と左後部便座ブロック15との間の隙間16eで、帯状シート18を、便座中央寄りに所要角度で角度変更させるようにしてある。
【0039】
上記回収用シート方向変更装置19は、図6(イ)(ロ)に示すように、たとえば、上記帯状シート18の幅寸法よりも所要寸法長い軸心方向寸法を備えたガイドローラ26が、支持軸27に回転自在に取り付けてある。
【0040】
更に、上記左後部便座ブロック15の表面側に沿って配置される上記帯状シート18の延長線上の下方で、且つ上記後部便座ブロック10の裏面側となる位置に、上記ガイドローラ26を、上記左後部便座ブロック15の表面側における帯状シート18の送り方向と、後部便座ブロック10の左端部の延びる方向との間に形成される角の二等分線に直交する方向にほぼ沿うように配置して、該ガイドローラ26における便座中央寄りの端部より突出させた上記支持軸27を、上記後部便座ブロック10の裏面側へ屈曲させて、該後部便座ブロック10の裏面における所要個所に取り付けた構成としてある。
【0041】
これにより、上記左後部便座ブロック15の表面側に沿って配置してある帯状シート18を、上記左後部便座ブロック15と後部便座ブロック10との間の隙間16fより便座ブロック裏面側に引き出して上記回収用シート方向変更装置19のガイドローラ26に掛け回すことで、上記帯状シート18を上記後部便座ブロック10の裏面側に沿わせて該後部便座ブロック10の左端側へ導くことができるようにしてある。
【0042】
しかも、上記各シート送り方向変更装置17及び回収用シート方向変更装置19が、いずれもガイドローラ24,26を片持ち支持してなる構成としてあることにより、上記各シート送り方向変更装置17及び回収用シート方向変更装置19の各ガイドローラ24,26に対して上記帯状シート18を掛け回す作業を、便座外側より該帯状シート18を各ガイドローラ24,26の周囲(外周部)へ挿入する作業によって容易に実施できるようにしてある。
【0043】
なお、後部便座ブロック10、右後部便座ブロック11、右前部便座ブロック12、前部便座ブロック13、左前部便座ブロック14、左後部便座ブロック15における各帯状シート送り方向の下流側の端縁部は、図4(ロ)(ハ)及び図6(ロ)に示す如く、いずれも表面側と裏面側が滑らかに連続する円弧形状となるようにしてあり、上記各便座ブロック10,11,12,13,14,15の表面側から各隙間16a,16b,16c,16d,16e,16fを通して便座ブロック裏面側へ導かれる上記帯状シート18を、上記円弧形状としてある各便座ブロック10,11,12,13,14,15の端縁部に沿わせて円滑に移動(走行)させることができるようにしてある。
【0044】
一方、右後部便座ブロック11、右前部便座ブロック12、前部便座ブロック13、左前部便座ブロック14、左後部便座ブロック15における各帯状シート送り方向の上流側の端縁部には、図4(ロ)(ハ)に示すように、該端縁部に沿って延びる円柱形状のガイドバー28を設けてなる構成として、上記各シート送り方向移動装置17に掛け回された後、便座ブロック裏面側から各隙間16a,16b,16c,16d,16eを通して上記各便座ブロック11,12,13,14,15の表面側へ導かれる上記帯状シート18が、上記各ガイドバー28に沿わされることで円滑に移動(走行)させることができるようにしてあるが、ガイドバー28を設けることに代えて、上記各便座ブロック11,12,13,14,15の帯状シート送り方向の上流側の端縁部に、該帯状シート送り方向に沿って回転可能なディスクを、便座内外方向に所要間隔で複数設けた構成としたり、端縁部自体を滑らかな円弧形状としてもよい。
【0045】
更に、図示してないが、上記各便座ブロック10,11,12,13,14,15の端縁部における便座中央寄りの端部と便座外周寄りの端部に、便座ブロック裏面側へ所要寸法突出するガイドを設けて、該各便座ブロック10,11,12,13,14,15の端縁部に沿って移動する上記帯状シート18が便座内外方向に逸脱する虞を未然に防止できるようにしてもよい。
【0046】
上記シート供給部22とシート回収部23は、図7に示すように、各々の箱型のケーシング29と30を、水平な仕切壁31を挟んで上下方向に一体に連結して形成すると共に、上記後部便座ブロック10の左端部に、上記仕切壁31の便座側端部となる右端部を一体に連結して支持させた構成としてある。
【0047】
更に、上記シート供給部22は、図7及び図8に示すように、上記ケーシング29の天井壁29a及び反便座側側壁となる左側壁29bを、上記天井壁29aの右端部(便座側端部)を中心に上下方向に一体に回動できるようにしてなる構成として、図7に実線で、又、図8に二点鎖線でそれぞれ示す如く、上記天井壁29aと左側壁29bを上方へ回動させることで、該ケーシング29の左側及び上端側を開放できるようにしてある。
【0048】
上記シート供給部22のケーシング29の前側壁29cと後側壁29dの内面には、該各壁29c,29dの中央部から左上の角部に達する所要深さの軸取付溝32を平行に設けて、該各軸取付溝32に、上記帯状シート18が巻いてあるシート供給ロール33のロール軸33aの両端部を嵌合させることで、上記ケーシング29のほぼ中央部に、上記シート供給ロール33を回転自在に装着できるようにしてある。更に、上記ケーシング29の天井壁29aと左側壁29bを上方に回動させて該ケーシング29の左側及び上端側を開放した状態で、上記シート供給ロール33のロール軸33aを上記軸取付溝32に沿ってスライドさせることで、上記帯状シート18が巻き出された後のロール軸33aの取外しと、新たなシート供給ロール33のロール軸33aの装着とを容易に実施できるようにしてある。
【0049】
上記シート供給部22のケーシング29の便座側側壁となる右側壁29eにおける上記仕切壁31の近傍となる下端部には、前後方向に延びるシート供給口34が設けてあると共に、該シート供給口34の内側近傍位置に、2本の供給用ローラ35が近接状態で平行に設けてある。これにより、上記ケーシング29内に装着したシート供給ロール33より巻き出す上記帯状シート18を、図8に示すように上記2本の供給用ローラ35の間を通してから上記シート供給口34を経て上記後部便座ブロック10の表面側に、該後部便座ブロック10の左端部が延びる方向に沿わせて供給できるようにしてある。更に、上記シート供給ロール33の周速が、上記シート供給口34より上記後部便座ブロック10の表面側へ上記帯状シート18を供給する際に所望される供給速度を一時的に上回るようになるとしても、上記シート供給ロール33より巻き出す帯状シート18を上記2本の供給用ローラ35の間を通すことで、上記シート供給口34を経て後部便座ブロック10の表面側に供給される帯状シート18に、弛みが生じないようにしてある。
【0050】
上記シート回収部23は、図7及び図9(イ)(ロ)に示すように、ケーシング30の前側壁30aを、その下端部を中心に前後方向に回動できるようにしてなる構成として、該前側壁30aを前方へ回動させることで、上記ケーシング30の前面側を開放することができるようにしてある。
【0051】
上記ケーシング30の後側壁30bの外側所要個所には、駆動モータ36を設け、該駆動モータ36の出力側に連結したギアボックスの如き動力伝達機構37の出力軸37aを、上記後側壁30bの中央部を貫通させてケーシング30内に突出させて配置すると共に、該出力軸37aに、上記ケーシング30内の中央部に前後方向に延びるよう配置した回転軸38が取り付けてある。上記回転軸38には、外周面における周方向の1個所に、軸心方向に沿って延びる凸部39が設けてある。
【0052】
一方、中心部に上記回転軸38の外径に対応した内径の貫通孔41を有し、且つ該貫通孔41の内周面における周方向の1個所に、上記回転軸38の外周面に設けた凸部39に嵌合し得る凹部42を軸心方向に沿って設けてなる中空の巻取りロール軸40を別途用意して、上記ケーシング30の前面側を開放した状態にて、該巻取りロール軸40を、上記ケーシング30内に設けてある上記回転軸38に対して前方から着脱自在に装着できるようにしてある。
【0053】
更に、上記シート回収部23のケーシング30の便座側側壁となる右側壁30cにおける上記仕切壁31の近傍となる上端部には、前後方向に延びるシート回収口43が設けてあると共に、該シート回収口43の内側近傍位置に、2本の回収用ローラ44が近接状態で平行に設けてある。
【0054】
なお、上記ケーシング30の前側壁30aの中央部には、該前側壁30aにより上記ケーシング30の前面側を閉塞させた状態のときに上記回転軸38の前端部(突出端部)を嵌合させて回転自在に受けるための軸受孔45が設けてある。これにより、上記後部便座ブロック10の裏面側より上記シート回収口43を通してケーシング30内に導く帯状シート18を、上記2本の回収用ローラ44の間を通してガイドさせてから、該帯状シート18の先端部を、上記回転軸38に装着した巻取りロール軸40の外周面に、テープ等の図示しない所要の取付手段を介し取り付けた状態にて、上記駆動モータ36を運転することにより、上記動力伝達機構37を介して上記回転軸38へ伝達される回転駆動力により、該回転軸38と一体に上記巻取りロール軸40を回転させて、該巻取りロール軸40に、上記帯状シート18を巻き取って回収できるようにしてある。よって、上記巻取りロール軸40の回転駆動による帯状シート18の巻取動作に伴って、上記シート供給部22のシート供給ロール33より順次巻き出される帯状シート18を、上記後部、右後部、右前部、前部、左前部の各便座ブロック10,11,12,13,14の表面側と、各シート送り方向変更装置17とを交互に通した後、左後部便座ブロック15の表面側へ導き、更に、上記すべての便座ブロック10,11,12,13,14,15の表面側を通過した後の帯状シート18を、隙間16fより回収用シート方向変更装置19を経て上記後部便座ブロック10の左端部の裏面側を通して上記シート回収部23へ導いて回収することができるようにしてある。
【0055】
更に、上記のようにして帯状シート18を巻き取った後の巻取りロール軸40は、上記ケーシング30の前側壁30aを前方へ回動させて該ケーシング30の前面側を開放させた状態にて、巻き取った帯状シート18ごと前方へ引き出すことで上記回転軸38より容易に取り外すことができるようにしてあり、その後、新たな巻取りロール軸40を上記回転軸38に装着することで、巻取りロール軸40の交換を容易に行うことができるようにしてある。
【0056】
上記帯状シート18は、たとえば、プラスチック類の薄膜、不織布、布、あるいはこれらの複合材等、濡れても引張強度が容易に低下しないような材質製としてある。又、該帯状シート18の幅寸法は、上記各便座ブロック10,11,12,13,14,15の表面側に沿って配置することで、各便座ブロック10,11,12,13,14,15の表面全体を覆うことができるような幅寸法に設定してある。
【0057】
更に、上記便座装置8には、便座本体9を使用するごとに、該便座本体9の各便座ブロック10,11,12,13,14,15の表面側を、上記帯状シート18におけるシート供給部4より新たに供給される清浄な部分で自動的に覆うことができるように、上記便座本体9の不使用時に上記シート回収部23の駆動モータ36の運転を開始させて、巻取りロール軸40の回転駆動を開始させて、上記シート供給部22から帯状シート18の清浄な部分の供給を開始させ、且つ上記シート供給部22から供給された帯状シート18の清浄な部分によって上記すべての便座ブロック10,11,12,13,14,15の表面側が覆われるようになると、上記駆動モータ36の運転を自動的に停止させる制御系を備えた構成としてある。
【0058】
具体的には、上記便座本体9の不使用時を検出して上記シート回収部23の駆動モータ36の運転を開始させるためのスイッチとして、たとえば、図1、図2及び図10に示すように、便器2の後端部上端面に設置したブラケット46に、上記便座本体9の後部便座ブロック10の後端面の所要個所に突設した取付部47と、便ふた48の後端部に設けた取付部48aを、それぞれ左右方向の軸49,50を介して個別に上下方向回動可能に取り付けて、上記便座本体9と便ふた48とを個別に開閉操作できるようにしてなる構成における上記ブラケット46の便ふた48取付部近傍となる所要個所に、上記便ふた48の開放時には回路を開き、該便ふた48を閉めると回路を閉じる2つの接点51a,51bを備えた便ふた開閉検出用の蓋スイッチ51が設けてある。
【0059】
又、図11に示す如く、上記帯状シート18の長手方向に、上記シート供給部22のシート供給口34より後部便座ブロック10の表面側に供給される帯状シート18が上述したようにすべての便座ブロック10,11,12,13,14,15の表面側を通過してから隙間16fを経て上記後部便座ブロック10の裏面側に至るまでの経路長に応じた間隔Lで、幅方向の一端寄り位置に、第1のセンサ検出用マークとしての第1の孔52aが穿設してある。更に、上記帯状シート18の長手方向における上記第1の孔52aよりシート送り方向と反対側へ数センチ離れた位置で、且つ幅方向他端寄り位置に、第2のセンサ検出用マークとしての第2の孔52bが穿設してある。
【0060】
更に、図12(イ)(ロ)に示す如く、上記シート供給部22のシート供給口34の上側面(天井面)に、上記帯状シート18に設けた第1の孔52a及び第2の孔52bの幅方向位置にそれぞれ対応させて、上記シート供給口34の底面に達する板バネ形状のバネ状端子53a,54aをそれぞれ設けると共に、上記各シート供給口34の底面における上記各バネ状端子53a,54aの下方となる位置に、板状の端子53b,54bをそれぞれ埋設して、上記シート供給部22のシート供給口34を通して後部便座ブロック10の表面側へ順次供給するようにしてある上記帯状シート18の上記第1の孔52aが、上記一方のバネ状端子53aの下方に達すると、該第1の孔52aを通して上記バネ状端子53aがその下方の板状端子53bに接し、この接点が通電可能となることに基づいて上記帯状シート18の第1の孔52aを検出できるようにしてある第1のセンサ53と、同様に、上記帯状シート18の上記第2の孔52bが上記他方のバネ状端子54aの下方に達すると、該第2の孔52bを通して上記バネ状端子54aがその下方の板状端子54bに接して、該接点が通電可能となることに基づいて上記帯状シート18の第2の孔52を検出できるようにしてある第2のセンサ54がそれぞれ形成して設けてある。
【0061】
上記蓋スイッチ51と上記各センサ53,54の作動に基づいて上記シート回収部23の駆動モータ36を制御するための制御回路は、図10に示す如く、電源55に上記駆動モータ36を接続する回路X1に、リレー56のa接点56aが直列に接続してある。
【0062】
又、上記電源55には、上記蓋スイッチ51の一方の接点51aが、上記リレー56と、リレー57のb接点57bを直列に備えた回路X2を介して接続してある。
【0063】
更に、上記電源55には、上記蓋スイッチ51の他方の接点51bが、上記リレー57に該リレー57のa接点57a及びリレー58のa接点58aを並列に接続し、これに上記第2のセンサ54の接点を直列に備えた回路X3を介して接続してある。
【0064】
更に又、上記電源55には、上記リレー58に該リレー58の別のa接点58a及び上記第1のセンサ53の接点を並列に接続し、これに上記リレー56の別のa接点56aを直列に設けた回路X4が接続してある。
【0065】
以上の回路構成としてある制御系によれば、使用者が便ふた48を閉じると、回路X2と回路X3に設けてある蓋スイッチ51の各接点51aと51bが共に閉じられ、この際、上記回路X2では、上記蓋スイッチ51の一方の接点51aと、リレー57のb接点57bを介してリレー56への通電が開始されて、該リレー56が励磁される。このリレー56の励磁により、上記回路X1にて駆動モータ36に直列に接続してある上記リレー56のa接点56aが閉じられるため、上記駆動モータ36への通電が開始される。よって、該駆動モータ36の運転により上記シート回収部23における巻取りロール軸40が回転駆動されることで、上記シート供給部22から新たに導かれる帯状シート18の清浄な部分の各便座ブロック10,11,12,13,14,15の表面側への供給が開始される。
【0066】
なお、この際、上記回路X3では、蓋スイッチ51の他方の接点51bが閉じられたままとなり、又、上記回路X4では上記リレー56の別のa接点56aが閉じたままとなる。
【0067】
次いで、上記シート供給部22より便座本体9の表面側へ新たに供給された帯状シート18の長さが、上記すべての便座ブロック10,11,12,13,14,15の表面側を覆う長さに達する数センチ手前で、上記帯状シート18に設けてある第1の孔52aが、上記シート供給部22のシート供給口34に設けてある第1のセンサ53の位置に来ると、該第1のセンサ53の接点が閉じられる。これにより、上記回路X4にて、上記リレー56の別のa接点56aと上記第1のセンサ53の接点を介して上記リレー58への通電が開始されて、該リレー58が励磁されるため、上記回路X4では、上記第1のセンサ53の接点と並列に設けてある上記リレー58のa接点58aが閉じて、該リレー58の自己保持が行われ、同時に、上記回路X3における上記リレー58のa接点58aが閉じられる。
【0068】
その後、上記駆動モータ36の運転が継続されると、上記帯状シート18に設けてある第1の孔52aが、上記シート供給部22のシート供給口34に設けてある第1のセンサ53の位置を通過するため、上記第1のセンサ53の接点は開くが、上記したようにリレー58は自己保持が行われたままとなる。この状態で、上記シート供給部22より便座本体9の表面側に新たに供給された帯状シート18の長さが、上記すべての便座ブロック10,11,12,13,14,15の表面側を覆う長さに達して、すなわち、便ふた48を閉じる以前に便座本体9の各便座ブロック10,11,12,13,14,15の表面側に配置されていたすべての帯状シート18が、上記シート供給部22より新たに供給された清浄な帯状シート18に交換された時点で、上記帯状シート18に設けてある第2の孔52bが、上記シート供給部22のシート供給口34に設けてある第2のセンサ54の位置に来ると、該第2のセンサ54の接点が閉じられる。これにより、上記回路X3では、蓋スイッチ51の他方の接点51b、上記第2のセンサ54の接点、上記リレー58のa接点58aを介してリレー57への通電が開始されて、該リレー57が励磁される。このようにして上記リレー57が励磁されると、上記回路X3では、上記リレー58のa接点58aと並列に設けてある上記リレー57のa接点57aが閉じて、該リレー57の自己保持が行われる。同時に、回路X2に設けてある上記リレー57のb接点57bが開くため、該回路X2では、リレー56への通電が停止されて、該リレー56が消磁され、これにより、回路X1にて駆動モータ36に直列に接続してある上記リレー56のa接点56aが開いて、上記駆動モータ36への通電が停止されるため、該駆動モータ36の運転が自動的に停止されるようにしてある。又、上記回路X4に設けてある上記リレー56の別のa接点56aも開くことで、該回路X4では、リレー58が消磁されるようにしてある。
【0069】
しかる後、次の使用者が上記便ふた48を開くと、上記回路X2と回路X3における蓋スイッチ51の2つの接点51aと51bが共に開くため、回路X3ではリレー57への通電が停止されて、該リレー57が消磁され、これにより、上記回路X3における上記リレー57のa接点57aが開くと共に、回路X2における上記リレー57のb接点57bが閉じて、初期状態に復旧されるようにしてある。
【0070】
なお、上記便ふた48の裏面側に、図2に示す如く、便ふた48を閉じたときに上記便座本体9の所要の便座ブロック10,11,12,13,14,15の表面側に接することで該便ふた48の荷重を上記便座本体9へ伝えて支持させるための支持脚59を設ける必要がある場合は、該支持脚59の突出端部に、図示しないローラを、上記便座本体9の各便座ブロック10,11,12,13,14,15の表面側における帯状シート18の送り方向に沿わせて回転できるように設けた構成とすることで、上記便ふた48を閉じた状態で、上記便座本体9の各便座ブロック10,11,12,13,14,15の表面側に配置されている帯状シート18の交換を行う際に、該帯状シート18に上記便ふた48の支持脚59が接触しても、該帯状シート18の進行(走行)の妨げにならないようにすればよい。
【0071】
以上の構成としてある本発明の便座装置8を装備した洋式便器2にて、使用者が上記便座装置8の便座本体9に腰掛けて使用した後は、便ふた48を閉じると、上述したように便座本体9のすべての便座ブロック10,11,12,13,14,15の表面側が、上記シート供給部22より供給された清浄な帯状シート18によって覆われるようになるため、次の使用者が便ふた48を開けて使用する際には、予め、便座本体9の表面側が、周方向の全周に亘り清浄な衛生用の帯状シート18で覆われた状態となっている。このために、該使用者は、便ふた48を開けるのみで、前の使用者による汚染や汚れを気にすることなく、上記清浄な帯状シート18によって表面側が覆われた便座本体9に腰掛けて使用できるようになる。
【0072】
このように、本発明の便座装置8によれば、使用者が便座本体9の使用後に便ふた48を閉めるのみで、便座本体9を、表面側が全周に亘り清浄な帯状シート18で覆われた状態で次の使用者の使用に供することができる。
【0073】
又、上記便座本体9の表面側を覆う帯状シート18は、平坦なシートとすることができると共に、上記便座本体9の表面側を周方向の全周に亘って覆うために必要な帯状シート18の長さ寸法を、上記便座本体9の外周に沿う長さ寸法よりもやや長い寸法に収めることができて、特許文献1で従来提案されているような便座用シート巻取器で使用する袋状のシートに比して材料の量を大幅に低減させることができる。又、上記帯状シート18を、製造の容易なものとすることができて、該帯状シート18を安価なものとすることができる。
【0074】
又、上記帯状シート18は、便座本体9を形成している各便座ブロック10,11,12,13,14,15の隣接するもの同士の隙間16a,16b,16c,16d,16eを通して便座ブロック裏面側に引き出した部分をそれぞれ対応するシート送り方向変更装置17に掛け回すことで、上記各隙間16a,16b,16c,16d,16eの平面視反時計回り方向の下流側に位置する各便座ブロック11,12,13,14,15の表面側に沿って配置されるように、上記帯状シート18を、便座中央寄り側へ順次角度変更させることができるため、該帯状シート18を、上記便座本体9の周方向へ自動的に追従させて配置することができる。よって、便座本体9を使用する使用者ごとの手作業による上記帯状シート18の位置合わせ作業を不要にすることができると共に、使用者が便座本体9に腰掛ける際における上記帯状シート18の位置ずれを防止することも可能となる。
【0075】
次に、図13(イ)(ロ)(ハ)は本発明の実施の他の形態として、図1乃至図12(イ)(ロ)に示したと同様の構成の便座装置8におけるシート送り方向変更装置17の他の例を示すもので、便座ブロック10と11,11と12,12と13,13と14,14と15同士の間の各隙間16a,16b,16c,16d,16eの便座ブロック裏面側近傍位置に、所要径で且つ帯状シート18の幅寸法に対応した軸心方向寸法を有する略円錐形状の円錐状バー60を、太径となる軸心方向の一端部が便座中央寄りに、細径となる軸心方向の他端部が便座外周寄りに位置し、且つ該円錐状バー60の外周面の周方向における最も便座ブロック寄りの端部が、上記各隙間16a,16b,16c,16d,16eに沿うよう配置して、該円錐状バー60の軸心方向一端部に突設した支持部材61を、所要の取付部材62を介して上記各隙間16a,16b,16c,16d,16eの片側、又は、両側に位置する便座ブロック10,11,12,13,14,15の裏面側所要位置に取り付けてなる構成のシート送り方向変更装置17aとしたものである。
【0076】
以上の構成としてある本実施の形態のシート送り方向変更装置17aによれば、上記各隙間16a,16b,16c,16d,16eに対し平面視反時計回り方向の上流側に位置する各便座ブロック10,11,12,13,14の表面側に沿って配置してある帯状シート18の先端側部分を、上記各隙間16a,16b,16c,16d,16eより便座ブロック裏面側に引き出して、それぞれ対応する上記シート送り方向変更装置17aの円錐状バー60に一旦掛け回してから上記隙間16a,16b,16c,16d,16eを経て平面視反時計回り方向の下流側に位置する各便座ブロック11,12,13,14,15の表面側へ配置すると、上記便座ブロック裏面側にて上記帯状シート18が上記円錐状バー60に掛け回された部分では、該帯状シート18の便座中央寄りの端縁部を、便座外周寄りの端縁部に比して、上記円錐状バー60の太径部の円周寸法と細径部の円周寸法の差の寸法分、長い経路を経由させて移動させることができる。よって、上記各隙間16a,16b,16c,16d,16eより上記便座ブロック11,12,13,14,15の表面側へ導かれる上記帯状シート18の向きを、順次便座中央寄りに所要角度で角度変更させることができるため、上記各便座ブロック11,12,13,14,15の表面側に、上記帯状シート18を沿わせて配置することができる。
【0077】
次いで、図14(イ)(ロ)(ハ)は本発明の実施の更に他の形態として、図13(イ)(ロ)(ハ)に示したシート送り方向変更装置17aの応用例を示すもので、図13(イ)(ロ)(ハ)に示した円錐状バー60に代えて、該円錐状バー60の軸心位置と同様の位置に支持軸63を配置すると共に、該支持軸63の長手方向所要間隔位置に、便座中央寄りの大径のものから便座外周寄りの小径のものへ向けて徐々に径が小さくなるように径の異なる複数枚(図では7枚)のディスク64を配列して、該各ディスク64の中央部を、上記支持軸63にそれぞれ回転自在に取り付け、更に、上記支持軸63における便座中央寄りの端部を、所要の取付部材65を介して上記隙間16a,16b,16c,16d,16eの片側、又は、両側に位置する便座ブロック10,11,12,13,14,15の裏面側所要位置に取り付けてシート送り方向変更装置17bを構成したものである。
【0078】
本実施の形態のシート送り方向変更装置17bによっても、上記各隙間16a,16b,16c,16d,16eに対し平面視反時計回り方向の上流側に位置する各便座ブロック10,11,12,13,14の表面側に沿って配置してある帯状シート18の先端側部分を、上記各隙間16a,16b,16c,16d,16eより便座ブロック裏面側に引き出して、それぞれ対応する上記シート送り方向変更装置17bの各ディスク64に一旦掛け回してから上記隙間16a,16b,16c,16d,16eを経て平面視反時計回り方向の下流側に位置する各便座ブロック11,12,13,14,15の表面側へ配置すると、上記便座ブロック裏面側にて上記帯状シート18が上記径の異なる各ディスク64に掛け回された部分では、該帯状シート18の便座中央寄りの端縁部を、便座外周寄りの端縁部に比して、上記支持軸63に取り付けてある最大径のディスク64の円周寸法と最小径のディスク64の外周寸法の差の寸法分、長い経路を経由して移動させることができる。よって、上記各隙間16a,16b,16c,16d,16eより導かれる上記帯状シート18を、上記便座ブロック11,12,13,14,15の表面側に沿わせて配置することができる。
【0079】
図15(イ)(ロ)(ハ)は本発明の実施の更に他の形態として、図1乃至図12(イ)(ロ)に示したと同様の構成の便座装置8におけるシート送り方向変更装置17の別の例を示すもので、便座ブロック10と11,11と12,12と13,13と14,14と15同士の間の各隙間16a,16b,16c,16d,16eの便座ブロック裏面側近傍位置に、底辺を所要の幅寸法とし、且つ頂角を挟む2つの辺の長さ寸法を帯状シート18の幅寸法に対応した寸法としてなる二等辺三角形状のプレート部材66を、該プレート部材66の二等辺三角形状の頂角部分が上記各隙間16a,16b,16c,16d,16eにおける便座外周寄り端部に近接し、底辺部分が便座中央寄りに位置し、更に、上記二等辺三角形状の対称軸部分が上記隙間16a,16b,16c,16d,16eに沿うように配置して、該プレート部材66の便座中央寄りに位置する端部を、所要の取付部材67を介して上記隙間16a,16b,16c,16d,16eの片側、又は、両側に位置する便座ブロック10,11,12,13,14,15の裏面側所要位置に取り付けてなる構成のシート送り方向変更装置17cとしたものである。
【0080】
なお、上記プレート部材66の二等辺三角形状の頂角を挟む2つの辺部は、その端部を表面側から裏面側へ滑らかに連続する円弧形状として、後述するように該プレート部材66に掛け回す帯状シート18が、該プレート部材66の外面に沿って円滑に移動できるようにしてある。
【0081】
本実施の形態のシート送り方向変更装置17cによっても、上記各隙間16a,16b,16c,16d,16eに対し平面視反時計回り方向の上流側に位置する各便座ブロック10,11,12,13,14の表面側に沿って配置してある帯状シート18の先端側部分を、上記各隙間16a,16b,16c,16d,16eより便座ブロック裏面側に引き出して、それぞれ対応する上記シート送り方向変更装置17cのプレート部材66に一旦掛け回してから上記隙間16a,16b,16c,16d,16eを経て平面視反時計回り方向の下流側に位置する便座ブロック11,12,13,14,15の表面側へ配置すると、上記便座ブロック裏面側にて上記帯状シート18が上記プレート部材66に掛け回された部分では、該帯状シート18の便座中央寄りの端縁部を、便座外周寄りの端縁部に比して、上記プレート部材66の二等辺三角形状の底辺の幅寸法のほぼ2倍の寸法分、長い経路を経由して移動させることができる。よって、上記各隙間16a,16b,16c,16d,16eより導かれる上記帯状シート18を、便座ブロック11,12,13,14,15の表面側に沿わせて配置することができる。
【0082】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、便座装置8は、左右を反転させて便座本体9の右側にシート供給部22とシート回収部23を備えて、該便座本体9の各便座ブロック10,11,12,13,14,15の表面側を、平面視時計回り方向に導く帯状シート18によって覆うようにした構成としてもよい。更には、シート供給部22とシート回収部23を左右に振り分けて設ける構成としてもよい。このように、シート供給部22とシート回収部23と左右に振り分ける場合は、左後部便座ブロック15より隙間16fを通して後部便座ブロック10の裏面側に導いた帯状シート18を掛け回すことで該帯状シート18の進行方向を変えるための回収用シート方向変更装置19におけるガイドローラ26を配置する角度姿勢を適宜変更するようにすればよい。
【0083】
環状の便座形状を周方向に分割して便座本体9の周方向に設ける便座ブロック10,11,12,13,14,15の数は、6個より増減させてもよい。この際、便座本体9を周方向により多数に分割された便座ブロックからなる構成とすれば、該便座本体9をより滑らかな環形に近づけること可能となる。
【0084】
シート供給部22やシート回収部23のケーシング29,30の形状、大きさ、該各ケーシング29,30の所要個所を開閉可能とする機構、シート供給ロール33のロール軸33aや巻取りロール軸40を着脱可能に支持させる機構は、図示した以外の構成としてもよい。
【0085】
シート供給部22の2本一組の供給用ローラ35及びシート回収部23の2本一組の回収用ローラ44の一本ずつに所要の駆動モータの出力側を接続して、該駆動モータの運転により上記2本一組の供給用ローラ35と回収用ローラ44を同期させて回転駆動することで、シート供給部22から便座本体9の表面側への帯状シート18の供給と、シート回収部23への帯状シート18の回収を行わせるようにしてもよい。
【0086】
シート供給ロール33の交換時にリセットし、該交換後の新たなシート供給ロール33から巻き出されて便座本体9の表面側を覆うように配置させた帯状シート18を取り替えた回数を、たとえば、上記蓋スイッチの作動回数等によってカウントするためのカウンタを設けるようにしてもよい。このようにすれば、上記シート供給ロール33に残っている帯状シート18を用いて、便座本体9の表面側を覆う帯状シート18をあと何回取り替えられるかが容易に把握できるため、上記シート供給ロール33の交換を計画的に且つ効率よく行うことができるようになる。
【0087】
更に、便座本体9あるいは便器2側に設置するブラケット46に対する便座本体9の取付部の取付個所付近に、便座本体9に使用者が腰掛けて使用したことを検出できるロードセル等のセンサを設けて、便ふた48が開いていても、便座本体9が前回使用された後に、該便座本体9の表面側に配置されている帯状シート18の取り替えが既に行われている状態であるか、又は、帯状シート18の取り替えが行われていない状態であるかを表示するための表示器を設けるようにしてもよい。このようにすれば、便座本体9の表面側に配されている帯状シート18の取り替えが行われていない場合は、便座本体9を使用しようとする使用者が、一旦便ふた48を閉めることで、便座本体9の表面側の帯状シート18を確実に取り替えることができると共に、既に取り替えられている帯状シート18ガスdに取り替えられている場合は、更に帯状シート18を取り替えてしまうことによる無駄を抑制できる。上記のように便座本体9を使用しようとする使用者自身による便ふた48の開け閉めにより便座本体9の表面側を覆う帯状シート18の取り替えを行わせる場合は、図10に示した回路構成に、帯状シート18に設けた第2の孔52bを検出するための第2のセンサ54の接点が閉じられる以前に便ふた48が開かれて、蓋スイッチ51の接点51aが開かれても、リレー56を励磁状態に保持させるための回路構成を追加して、上記帯状シート18に設けた第2の孔52bが第2のセンサ54に検出されるようになるまで、駆動モータ36の運転を継続させることができるようにすることが望ましい。
【0088】
更には、上記便ふた48を閉める操作以外に、使用者が直接操作して上記駆動モータ36の運転による上記便座本体9の表面側の帯状シート18の取替作業を開始させるためのスイッチを設けるようにしてもよい。この場合も、上記使用者がスイッチを一旦操作して、駆動モータ36の運転を開始させると、上記帯状シート18に設けた第2の孔52bが第2のセンサ54に検出されるまで駆動モータ36の運転を継続させることができるようにすることが望ましい。
【0089】
便座本体9の表面側に配置する帯状シート18を便座本体9を使用するごとに取り替える際、シート供給部22より供給する清浄な帯状シート18が該便座本体9のすべての便座ブロック10,11,12,13,14,15の表面側に配置された時点で該帯状シート18の供給を自動で停止させるために、帯状シート18に、シート供給部22を出た帯状シート18がすべての便座ブロック10,11,12,13,14,15の表面側を経た後、隙間16fより後部便座ブロック10の裏面側へ達するまでの経路長に応じた間隔でセンサ検出用マークとなる第1の孔52aと第2の孔52bをそれぞれ設けて、該各孔52aと52bを、シート供給部22のシート供給口34に設けた接触式の第1のセンサ53と第2のセンサ54でそれぞれ検出させるものとして示したが、上記センサ検出用マークを、上記帯状シート18の所要個所に、他の部分とは異なる色を付すことで設けると共に、上記第1のセンサ53と第2のセンサ54を光学式センサとする等、上記第1のセンサ53と第2のセンサ54の検出形式は適宜変更してもよく、該各センサ53,54の検出形式に応じて上記センサ検出用マークの形式も適宜変更してもよい。又、上記各センサ53,54は、シート供給口34に代えて、シート回収部23におけるシート回収後43に設けるようにしてもよい。
【0090】
帯状シート18は、便座本体9の各便座ブロック10,11,12,13,14,15の表面側の全面を覆い得る幅寸法とすることが好ましいが、上記便座本体9の各便座ブロック10,11,12,13,14,15の表面側にて、便座本体9に腰掛ける使用者の臀部が接触しない個所があれば、その部分が露出した状態となるような幅寸法としてもよい。
【0091】
更に、上記のように、便座本体9の各便座ブロック10,11,12,13,14,15の表面側に、帯状シート18に覆われずに露出された部分が存在する場合は、便ふた48に設ける支持脚59を、上記便座本体9の各便座ブロック10,11,12,13,14,15の表面側における帯状シート18に覆われない部分に接するように配設してもよく、この場合は、上記支持脚59の突出端部に、上記各便座ブロック10,11,12,13,14,15の表面側を移動する帯状シート18の移動方向に沿って回転可能な図示しないローラを設ける構成を省略してよい。
【0092】
又、各便座ブロック10,11,12,13,14,15同士の連結を、連結部材20で行う場合を示したが、連結部材20としては、図示以外の構造のものでもよい。
【0093】
図1乃至図12(イ)(ロ)の実施の形態では、帯状シート18を掛け回すためのシート送り方向変更装置17として、支持軸25に回転自在に取り付けられたガイドローラ24を示したが、該ガイドローラ24に代えて固定式のガイドバーとしてもよい。
【0094】
更には、各シート送り方向変更装置は、各便座ブロック10,11,12,13,14,15同士の隙間16a,16b,16c,16d,16eを通して便座ブロック表面側から裏面側へ引き出された帯状シート18が、該各シート送り方向変更装置に掛け回されてから上記隙間16a,16b,16c,16d,16eを通して便座ブロック裏面側から表面側へ戻される間に、該帯状シート18における便座中央寄りの端縁部の方が、便座外周寄りの端縁部よりも所要寸法長いループ形状の経路を経て移動するようにしてあれば、図4(イ)(ロ)(ハ)、図13(イ)(ロ)(ハ)、図14(イ)(ロ)(ハ)、図15(イ)(ロ)(ハ)に示した以外の構造のものでもよい。
【0095】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の便座装置の実施の一形態を示すもので、洋式便器に装着して使用するときの状態を示す概略平面図である。
【図2】図1の便座装置を洋式便器に装着して使用するときの状態を示す概略側面図である。
【図3】図1の便座装置における便座本体の一例を示すもので、(イ)は表面側を示す平面図、(ロ)は裏面側を示す底面図である。
【図4】図1の便座装置における便座本体の一部のシート送り方向変更装置の部分を拡大して示すもので、(イ)は平面図、(ロ)は(イ)のA−A方向矢視図、(ハ)は(イ)のB−B方向矢視図である。
【図5】図4のシート送り方向変更装置の部分で帯状シートのシート送り方向が変更される原理の概要を示すもので、(イ)は帯状シートにおける屈曲位置を示す図、(ロ)は帯状シートが所定位置で屈曲されることによりシート送り方向が変更された状態を示す図である。
【図6】図1の便座装置における便座本体の回収用シート方向変更装置の部分を拡大して示すもので、(イ)は平面図、(ロ)は(イ)のC−C方向矢視図である。
【図7】図1の便座装置におけるシート供給部とシート回収部を拡大して示すもので、シート供給ロールと巻取りロール軸が非装着の状態を示す斜視図である。
【図8】図1の便座装置におけるシート供給部を拡大して示すもので、シート供給ロールを装着した状態を示す切断側面図である。
【図9】図1の便座装置におけるシート回収部を拡大して示すもので、(イ)は巻取りロール軸を装着した状態を示す切断側面図、(ロ)は(イ)のD−D方向矢視図である。
【図10】図1の便座装置における便座本体表面側の帯状シートの取り替えを自動的に行うための制御系の制御回路図である。
【図11】図1の便座装置で用いる帯状シートにセンサ検出用マークとして設けた孔の詳細を示す平面図である。
【図12】図1の便座装置のシート供給部のシート供給口に設けるセンサの詳細を示すもので、(イ)は側面図、(ロ)は平面図である。
【図13】本発明の実施の他の形態として、シート送り方向変更装置の他の例を示すもので、(イ)は平面図、(ロ)は(イ)のE−E方向矢視図、(ハ)は(イ)のF−F方向矢視図である。
【図14】本発明の実施の更に他の形態として、シート送り方向変更装置の更に他の例を示すもので、(イ)は平面図、(ロ)は(イ)のG−G方向矢視図、(ハ)は(イ)のH−H方向矢視図である。
【図15】本発明の実施の更に他の形態として、シート送り方向変更装置の別の例を示すもので、(イ)は平面図、(ロ)は(イ)のI−I方向矢視図、(ハ)は(イ)のJ−J方向矢視図である。
【図16】便座の表面を衛生用のシートで覆うために従来提案されている便座用シート巻取器を示す概要図である。
【符号の説明】
【0097】
8 便座装置
9 便座本体
10,11,12,13,14,15 便座ブロック
17,17a,17b,17c シート送り方向変更装置
18 帯状シート
20 連結部材
22 シート供給部
23 シート回収部
24 ガイドローラ
36 駆動モータ
48 便ふた
51 蓋スイッチ
52a 第1の孔(センサ検出用マーク)
52b 第2の孔(センサ検出用マーク)
53 第1のセンサ(センサ)
54 第2のセンサ(センサ)
60 円錐状バー
66 プレート部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状の便座形状を周方向に複数分割してなる形状の便座ブロックを、所要の隙間を隔てた状態で周方向に配列し、隣接する便座ブロック同士を連結部材で連結して一体にすると共に、各便座ブロックの裏面側に、上記各便座ブロックの表面側に沿って配置する一連の帯状シートを上記各隙間を通して便座ブロック裏面側で方向変更させるシート送り方向変更装置を設けてなる環状の便座本体を備え、更に、上記各便座ブロックが配列された周方向の所要個所に、上記帯状シートを供給するシート供給部と、該シート供給部より供給されて上記各便座ブロックの表面側を覆うよう配置された帯状シートを回収するためのシート回収部を備えてなる構成を有することを特徴とする便座装置。
【請求項2】
シート回収部に駆動モータを備えて、シート供給部より供給されて便座本体の各便座ブロックの表面側を覆うように配置された帯状シートを駆動モータによりシート回収部へ回収できるようにし、且つ上記帯状シートの長手方向所要個所に、上記便座本体のすべての便座ブロックの表面側を覆うのに必要とされる長さに対応した間隔でセンサ検出用マークを設けると共に、シート供給部又はシート回収部の所要個所に、上記センサ検出用マークを検出するためのセンサを備えて、上記駆動モータの運転開始後、上記センサにより上記帯状シート上のセンサ検出用マークを検出すると上記駆動モータの運転を停止させる制御系を備えるようにした請求項1記載の便座装置。
【請求項3】
便ふたの閉止操作に伴い駆動モータの運転を開始させる蓋スイッチを設けるようにした請求項2記載の便座装置。
【請求項4】
シート送り方向変更装置を、隣接する各便座ブロック間の隙間より便座ブロックの裏面側に引き出された帯状シートを掛け回して、該帯状シートの便座中央寄りの端縁部側が、便座外周寄りの端縁部側に比して長い経路を経て移動させられるようにした請求項1、2又は3記載の便座装置。
【請求項5】
シート送り方向変更装置を、ガイドローラ又はガイドバーとし、該ガイドローラ又はガイドバーの軸心方向一端部を便座ブロック間の隙間の便座外周寄り端部に近接させ、且つガイドローラ又はガイドバーの軸心方向他端部を上記隙間の便座中央寄りの端部より所要寸法離反させた配置で設けてなる構成とした請求項4記載の便座装置。
【請求項6】
シート送り方向変更装置を、円錐状バーとし、該円錐状バーの細径側となる軸心方向一端部を便座ブロック間の隙間の便座外周寄り端部に近接させ、且つ太径側となる軸心方向他端部を上記隙間の便座中央寄りの端部に近接させた配置で設けてなる構成とした請求項4記載の便座装置。
【請求項7】
シート送り方向変更装置を、二等辺三角形状のプレート部材とし、該プレート部材における二等辺三角形状の頂角部分を便座ブロック間の隙間の便座外周寄り端部に近接させ、且つ底辺部分を上記隙間の便座中央寄りの端部に近接させた配置で設けてなる構成とした請求項4記載の便座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−223(P2010−223A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161405(P2008−161405)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【特許番号】特許第4226646号(P4226646)
【特許公報発行日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(508187609)有限会社ファーストイン (2)
【Fターム(参考)】