説明

係数生成装置および方法、画像生成装置および方法、並びにプログラム

【課題】より簡単に動きぼけによる画像の画質の劣化を改善する。
【解決手段】生徒画像生成部82は、入力された入力画像から、表示部に入力画像を表示した場合に観察者が知覚すると予測される視覚画像を生成する。クラス分類部85は、入力画像の画素を注目画素とし、視覚画像から抽出された、いくつかの画素と、視覚画像から検出された動きベクトルとから、注目画素のクラスを特定する。演算部87は、注目画素の画素値と、視覚画像から抽出された、注目画素の予測に用いる複数の画素である予測タップとを用いて、注目画素のクラスごとに、所定の画像を、動きぼけの除去された画像に変換するための変換係数、注目画素、および予測タップの関係を示す正規方程式を立てる。係数生成部88は立てられた正規方程式を解くことで、クラスごとの変換係数を求める。本発明は、学習装置に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は係数生成装置および方法、画像生成装置および方法、並びにプログラムに関し、特に、より簡単に画像の画質の劣化を改善できるようにした係数生成装置および方法、画像生成装置および方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
LCD(Liquid Crystal Display)などのホールド型の表示装置においては、人間が表示装置に表示される移動物体を観察すると、いわゆる動きぼけが生じて、人間の目には移動物体がぼけて見えることが知られている。この動きぼけは、人間の目が表示画面上を移動する移動物体を追従しながら観察するために生じる。
【0003】
従来、このような動きぼけによる画像の画質の劣化を改善したり、抑制したりするための技術として、オーバードライブ、黒挿入、フレーム倍速などの技術が提案されている。
【0004】
例えば、オーバードライブと称される技術においては、表示するフレームの画像と、そのフレームの直前に表示されるフレームの画像との差分に所定の係数を乗算して得られた値を、表示するフレームの画像に加算することにより、表示装置の応答速度の改善が図られている。
【0005】
具体的には、例えば、応答速度に起因する表示の切り替えの遅延が生じると、人間の目には、移動物体の進行方向側の境界部分、および進行方向とは反対側の境界部分が、それぞれ本来の輝度値とは異なる輝度値で表示されているように見える。そこで、オーバードライブでは、移動物体の境界部分の輝度値が補正されるように、画像の差分を、表示しようとするフレームの画像に加算することで画像の画質が改善される。
【0006】
また、黒挿入と称される技術においては、フレームとフレームとの間に黒い画像を表示させることにより、動きぼけによる画質の劣化が改善されている。つまり、各フレームの画像が連続して表示されるのではなく、1フレーム分の画像が表示された後、黒い画像が表示される期間、すなわち何も表示されない期間が設けられ、その期間が経過した後、次のフレームの画像が表示される。
【0007】
さらに、フレーム倍速と称される技術においては、1フレーム分の表示期間に、そのフレームの画像と、補間により生成された画像とを表示することで、実質的にフレームレートが2倍にされ、動きぼけによる画質の劣化が改善されている。
【0008】
さらに、また、動きぼけによる画質の劣化の改善と関連する技術として、測定対象の画像を表示する測定対象ディスプレイに対する、その測定対象ディスプレイに表示される画像を撮影するカメラの傾き角度を補正することによって、より正確に動きぼけを再現した画像を生成する測定システムも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】特開2006−243518号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した技術では、動きぼけによる画像の画質の劣化を改善することは容易ではなかった。
【0011】
例えば、オーバードライブは、表示装置の応答速度が表示する画像のフレームレートより大きい場合には、動きぼけによる画質の劣化の抑制に有効であるが、応答速度がフレームレート以下である場合には、画質の劣化の抑制に有効であるとはいえなかった。より具体的には、応答速度がフレームレート以下である場合、表示装置に表示される画像上の移動物体の境界部分、すなわちエッジの部分が強調され過ぎてしまい、かえって画質が劣化してしまうことがあった。特に、移動物体の移動速度が速いほど画質の劣化が顕著になることが知られている。
【0012】
また、黒挿入により画像を表示しない期間を設けた場合、画像を表示しない期間が長いほど画像の動きぼけが改善されるが、画像を表示しない期間が長くなると、表示装置が画像を表示するために発光する時間が短くなってしまう。すると、表示される画像が暗くなってしまい、観測者にとっては、かえって画像が見えづらくなってしまう。
【0013】
さらに、フレーム倍速においては、表示させる画像を補間により生成することは困難であり、生成された画像の画質は、他のフレームの画像よりも画質がよいとはいえず、結果として表示される画像の画質が劣化してしまう恐れがあった。
【0014】
さらに、また、フレーム倍速は、いわゆる動きテロップのような、撮影時に動きぼけのない画像に対しては効果があるものの、シャッタースピード開放で撮影された動きぼけのある画像、すなわちシャッタースピードが1フレーム分の表示時間と同じ時間とされた、動きぼけのある画像に対しては、充分な効果をあげることができないという欠点があった。
【0015】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、より簡単に画像の画質の劣化を改善することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の側面の係数生成装置は、予め定められた表示手段に表示された場合に、入力画像が表示されていると観察者が知覚する表示画像の表示画像信号に、前記入力画像の入力画像信号を変換する変換係数を生成する係数生成装置であって、
前記変換係数を求めるために用いられ、前記表示画像に対応する教師画像の教師画像信号、および前記教師画像から検出された動きベクトルに基づいて、前記教師画像の1フレーム前の教師画像に対応する過去画像の過去画像信号を生成する過去画像生成手段と、
前記教師画像信号および前記過去画像信号に基づいて、前記表示手段に前記過去画像が表示された後、前記教師画像が表示される場合に、前記過去画像から前記教師画像に表示が切り替わるまでの間に前記表示手段に表示される遷移画像の遷移画像信号を生成する遷移画像生成手段と、
前記過去画像信号、前記遷移画像信号、前記教師画像信号、および前記動きベクトルを用いて、前記過去画像、前記遷移画像、および前記教師画像のそれぞれの画素であって、前記過去画像から前記教師画像に表示が切り替わるまでの間に前記観察者が目で追うと予測される画素の画素値の平均値を求め、前記平均値を、前記教師画像が前記表示手段に表示された場合に前記観察者に知覚される視覚画像の画素の画素値とすることで、前記変換係数を求めるために用いられ、前記入力画像に対応する生徒画像としての前記視覚画像の視覚画像信号を生成する視覚画像生成手段と、
前記教師画像の注目している注目画素の画素値と、前記生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における前記注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にある画素の画素値とを用いて、前記変換係数を求める演算手段と
を備える。
【0017】
前記遷移画像生成手段には、前記表示手段の発光特性を示すモデルと、前記教師画像信号および前記過去画像信号とを用いて、前記遷移画像信号を生成させることができる。
【0018】
前記演算手段には、
前記生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における前記注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値を、前記注目画素を複数のクラスのうちの何れかにクラス分けするクラス分類を行うのに用いられるクラスタップとして、前記生徒画像信号から抽出するクラスタップ抽出手段と、
前記生徒画像から検出された動きベクトルの大きさと、前記クラスタップとに基づいて、前記注目画素をクラス分類するクラス分類手段と、
前記生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における前記注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値を、前記注目画素を予測するのに用いられる予測タップとして、前記生徒画像信号から抽出する予測タップ抽出手段と、
前記注目画素の画素値および前記予測タップに対して、前記注目画素の前記クラスごとに立てられた、前記注目画素の画素値、前記予測タップ、および前記変換係数の関係を示す正規方程式を解くことで、前記クラスごとの前記変換係数を求める係数生成手段と
を設けることができる。
【0019】
本発明の第1の側面の係数生成方法またはプログラムは、予め定められた表示手段に表示された場合に、入力画像が表示されていると観察者が知覚する表示画像の表示画像信号に、前記入力画像の入力画像信号を変換する変換係数を生成する係数生成装置の係数生成方法またはプログラムであって、
前記変換係数を求めるために用いられ、前記表示画像に対応する教師画像の教師画像信号、および前記教師画像から検出された動きベクトルに基づいて、前記教師画像の1フレーム前の教師画像に対応する過去画像の過去画像信号を生成し、
前記教師画像信号および前記過去画像信号に基づいて、前記表示手段に前記過去画像が表示された後、前記教師画像が表示される場合に、前記過去画像から前記教師画像に表示が切り替わるまでの間に前記表示手段に表示される遷移画像の遷移画像信号を生成し、
前記過去画像信号、前記遷移画像信号、前記教師画像信号、および前記動きベクトルを用いて、前記過去画像、前記遷移画像、および前記教師画像のそれぞれの画素であって、前記過去画像から前記教師画像に表示が切り替わるまでの間に前記観察者が目で追うと予測される画素の画素値の平均値を求め、前記平均値を、前記教師画像が前記表示手段に表示された場合に前記観察者に知覚される視覚画像の画素の画素値とすることで、前記変換係数を求めるために用いられ、前記入力画像に対応する生徒画像としての前記視覚画像の視覚画像信号を生成し、
前記教師画像の注目している注目画素の画素値と、前記生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における前記注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にある画素の画素値とを用いて、前記変換係数を求める
ステップを含む。
【0020】
本発明の第1の側面においては、予め定められた表示手段に表示された場合に、入力画像が表示されていると観察者が知覚する表示画像の表示画像信号に、前記入力画像の入力画像信号を変換する変換係数を生成する係数生成装置において、
前記変換係数を求めるために用いられ、前記表示画像に対応する教師画像の教師画像信号、および前記教師画像から検出された動きベクトルに基づいて、前記教師画像の1フレーム前の教師画像に対応する過去画像の過去画像信号が生成され、
前記教師画像信号および前記過去画像信号に基づいて、前記表示手段に前記過去画像が表示された後、前記教師画像が表示される場合に、前記過去画像から前記教師画像に表示が切り替わるまでの間に前記表示手段に表示される遷移画像の遷移画像信号が生成され、
前記過去画像信号、前記遷移画像信号、前記教師画像信号、および前記動きベクトルを用いて、前記過去画像、前記遷移画像、および前記教師画像のそれぞれの画素であって、前記過去画像から前記教師画像に表示が切り替わるまでの間に前記観察者が目で追うと予測される画素の画素値の平均値を求め、前記平均値を、前記教師画像が前記表示手段に表示された場合に前記観察者に知覚される視覚画像の画素の画素値とすることで、前記変換係数を求めるために用いられ、前記入力画像に対応する生徒画像としての前記視覚画像の視覚画像信号が生成され、
前記教師画像の注目している注目画素の画素値と、前記生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における前記注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にある画素の画素値とを用いて、前記変換係数が求められる。
【0021】
本発明の第2の側面の画像生成装置は、予め定められた表示手段に表示された場合に、入力画像が表示されていると観察者が知覚する表示画像の表示画像信号に、前記入力画像の入力画像信号を変換する画像生成装置であって、
これから生成しようとする前記表示画像の注目している画素を第1の注目画素とし、前記入力画像から検出された動きベクトルから定まり、前記入力画像における前記第1の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値を、前記第1の注目画素を予測するのに用いられる予測タップとして、前記入力画像信号から抽出する予測タップ抽出手段と、
予め求められている変換係数と、前記予測タップとを線形結合することにより、前記第1の注目画素の画素値を予測演算する予測演算手段と
を備え、
前記変換係数は、
前記表示画像に対応する教師画像の注目している第2の注目画素の画素値と、
前記入力画像に対応する生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における、前記第2の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にある画素の画素値と
が用いられて求められ、
前記生徒画像は、
前記教師画像の教師画像信号と、
前記教師画像信号、および前記教師画像から検出された動きベクトルに基づいて生成された、前記教師画像の1フレーム前の教師画像に対応する過去画像の過去画像信号と、
前記表示手段の発光特性を示すモデルと、前記教師画像信号および前記過去画像信号とに基づいて生成された、前記表示手段に前記過去画像が表示された後、前記教師画像が表示される場合に、前記過去画像から前記教師画像に表示が切り替わるまでの間に前記表示手段に表示される遷移画像の遷移画像信号と、
前記教師画像から検出された動きベクトルと
を用いて、
前記過去画像、前記遷移画像、および前記教師画像のそれぞれの画素であって、前記過去画像から前記教師画像に表示が切り替わるまでの間に前記観察者が目で追うと予測される画素の画素値の平均値を求め、前記平均値を、前記教師画像が前記表示手段に表示された場合に前記観察者に知覚される視覚画像の画素の画素値とすることで生成される、前記視覚画像である。
【0022】
前記画像生成装置には、
前記入力画像から検出された動きベクトルから定まり、前記入力画像における前記第1の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値を、前記第1の注目画素を複数のクラスのうちの何れかにクラス分けするクラス分類を行うのに用いられるクラスタップとして、前記入力画像信号から抽出するクラスタップ抽出手段と、
前記入力画像から検出された動きベクトルの大きさと、前記クラスタップとに基づいて、前記第1の注目画素をクラス分類するクラス分類手段と
をさらに設け、
前記予測演算手段には、前記第1の注目画素のクラスに対して予め求められている前記変換係数を用いて、前記第1の注目画素の画素値を予測演算させることができる。
【0023】
本発明の第2の側面の画像生成方法またはプログラムは、予め定められた表示手段に表示された場合に、入力画像が表示されていると観察者が知覚する表示画像の表示画像信号に、前記入力画像の入力画像信号を変換する画像生成装置の画像生成方法またはプログラムであって、
これから生成しようとする前記表示画像の注目している画素を第1の注目画素とし、前記入力画像から検出された動きベクトルから定まり、前記入力画像における前記第1の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値を、前記第1の注目画素を予測するのに用いられる予測タップとして、前記入力画像信号から抽出し、
予め求められている変換係数と、前記予測タップとを線形結合することにより、前記第1の注目画素の画素値を予測演算する
ステップを含み、
前記変換係数は、
前記表示画像に対応する教師画像の注目している第2の注目画素の画素値と、
前記入力画像に対応する生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における、前記第2の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にある画素の画素値と
が用いられて求められ、
前記生徒画像は、
前記教師画像の教師画像信号と、
前記教師画像信号、および前記教師画像から検出された動きベクトルに基づいて生成された、前記教師画像の1フレーム前の教師画像に対応する過去画像の過去画像信号と、
前記表示手段の発光特性を示すモデルと、前記教師画像信号および前記過去画像信号とに基づいて生成された、前記表示手段に前記過去画像が表示された後、前記教師画像が表示される場合に、前記過去画像から前記教師画像に表示が切り替わるまでの間に前記表示手段に表示される遷移画像の遷移画像信号と、
前記教師画像から検出された動きベクトルと
を用いて、
前記過去画像、前記遷移画像、および前記教師画像のそれぞれの画素であって、前記過去画像から前記教師画像に表示が切り替わるまでの間に前記観察者が目で追うと予測される画素の画素値の平均値を求め、前記平均値を、前記教師画像が前記表示手段に表示された場合に前記観察者に知覚される視覚画像の画素の画素値とすることで生成される、前記視覚画像である。
【0024】
本発明の第2の側面においては、予め定められた表示手段に表示された場合に、入力画像が表示されていると観察者が知覚する表示画像の表示画像信号に、前記入力画像の入力画像信号を変換する画像生成装置において、
これから生成しようとする前記表示画像の注目している画素が第1の注目画素とされ、前記入力画像から検出された動きベクトルから定まり、前記入力画像における前記第1の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値が、前記第1の注目画素を予測するのに用いられる予測タップとして、前記入力画像信号から抽出され、
予め求められている変換係数と、前記予測タップとを線形結合することにより、前記第1の注目画素の画素値が予測演算される。
【0025】
本発明の第3の側面の係数生成装置は、予め定められた表示手段に表示された場合に、入力画像が表示されていると観察者が知覚する表示画像の表示画像信号に、前記入力画像の入力画像信号を変換する変換係数を生成する係数生成装置であって、
前記変換係数を求めるために用いられ、前記表示画像に対応する教師画像の教師画像信号に基づいて、前記教師画像と、前記教師画像の1フレーム前の教師画像とを平均して得られる平均画像の平均画像信号を生成する平均画像生成手段と、
前記平均画像信号、および前記平均画像から検出された動きベクトルに基づいて、前記平均画像の1フレーム前の平均画像に対応する過去画像の過去画像信号を生成する過去画像生成手段と、
前記平均画像信号および前記過去画像信号に基づいて、前記表示手段に前記過去画像が表示された後、前記平均画像が表示される場合に、前記過去画像から前記平均画像に表示が切り替わるまでの間に前記表示手段に表示される遷移画像の遷移画像信号を生成する遷移画像生成手段と、
前記過去画像信号、前記遷移画像信号、前記平均画像信号、および前記動きベクトルを用いて、前記過去画像、前記遷移画像、および前記平均画像のそれぞれの画素であって、前記過去画像から前記平均画像に表示が切り替わるまでの間に前記観察者が目で追うと予測される画素の画素値の平均値を求め、前記平均値を、前記平均画像が前記表示手段に表示された場合に前記観察者に知覚される視覚画像の画素の画素値とすることで、前記変換係数を求めるために用いられ、前記入力画像に対応する生徒画像としての前記視覚画像の視覚画像信号を生成する視覚画像生成手段と、
前記教師画像の注目している注目画素の画素値と、前記生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における前記注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にある画素の画素値とを用いて、前記変換係数を求める演算手段と
を備える。
【0026】
前記遷移画像生成手段には、前記表示手段の発光特性を示すモデルと、前記平均画像信号および前記過去画像信号とを用いて、前記遷移画像信号を生成させることができる。
【0027】
前記演算手段には、
前記生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における前記注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値を、前記注目画素を複数のクラスのうちの何れかにクラス分けするクラス分類を行うのに用いられるクラスタップとして、前記生徒画像信号から抽出するクラスタップ抽出手段と、
前記生徒画像から検出された動きベクトルの大きさと、前記クラスタップとに基づいて、前記注目画素をクラス分類するクラス分類手段と、
前記生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における前記注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値を、前記注目画素を予測するのに用いられる予測タップとして、前記生徒画像信号から抽出する予測タップ抽出手段と、
前記注目画素の画素値および前記予測タップに対して、前記注目画素の前記クラスごとに立てられた、前記注目画素の画素値、前記予測タップ、および前記変換係数の関係を示す正規方程式を解くことで、前記クラスごとの前記変換係数を求める係数生成手段と
を設けることができる。
【0028】
本発明の第3の側面の係数生成方法またはプログラムは、予め定められた表示手段に表示された場合に、入力画像が表示されていると観察者が知覚する表示画像の表示画像信号に、前記入力画像の入力画像信号を変換する変換係数を生成する係数生成装置の係数生成方法またはプログラムであって、
前記変換係数を求めるために用いられ、前記表示画像に対応する教師画像の教師画像信号に基づいて、前記教師画像と、前記教師画像の1フレーム前の教師画像とを平均して得られる平均画像の平均画像信号を生成し、
前記平均画像の平均画像信号、および前記平均画像から検出された動きベクトルに基づいて、前記平均画像の1フレーム前の平均画像に対応する過去画像の過去画像信号を生成し、
前記平均画像信号および前記過去画像信号に基づいて、前記表示手段に前記過去画像が表示された後、前記平均画像が表示される場合に、前記過去画像から前記平均画像に表示が切り替わるまでの間に前記表示手段に表示される遷移画像の遷移画像信号を生成し、
前記過去画像信号、前記遷移画像信号、前記平均画像信号、および前記動きベクトルを用いて、前記過去画像、前記遷移画像、および前記平均画像のそれぞれの画素であって、前記過去画像から前記平均画像に表示が切り替わるまでの間に前記観察者が目で追うと予測される画素の画素値の平均値を求め、前記平均値を、前記平均画像が前記表示手段に表示された場合に前記観察者に知覚される視覚画像の画素の画素値とすることで、前記変換係数を求めるために用いられ、前記入力画像に対応する生徒画像としての前記視覚画像の視覚画像信号を生成し、
前記教師画像の注目している注目画素の画素値と、前記生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における前記注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にある画素の画素値とを用いて、前記変換係数を求める
ステップを含む。
【0029】
本発明の第3の側面においては、予め定められた表示手段に表示された場合に、入力画像が表示されていると観察者が知覚する表示画像の表示画像信号に、前記入力画像の入力画像信号を変換する変換係数を生成する係数生成装置において、
前記変換係数を求めるために用いられ、前記表示画像に対応する教師画像の教師画像信号に基づいて、前記教師画像と、前記教師画像の1フレーム前の教師画像とを平均して得られる平均画像の平均画像信号が生成され、
前記平均画像信号、および前記平均画像から検出された動きベクトルに基づいて、前記平均画像の1フレーム前の平均画像に対応する過去画像の過去画像信号が生成され、
前記平均画像信号および前記過去画像信号に基づいて、前記表示手段に前記過去画像が表示された後、前記平均画像が表示される場合に、前記過去画像から前記平均画像に表示が切り替わるまでの間に前記表示手段に表示される遷移画像の遷移画像信号が生成され、
前記過去画像信号、前記遷移画像信号、前記平均画像信号、および前記動きベクトルを用いて、前記過去画像、前記遷移画像、および前記平均画像のそれぞれの画素であって、前記過去画像から前記平均画像に表示が切り替わるまでの間に前記観察者が目で追うと予測される画素の画素値の平均値を求め、前記平均値を、前記平均画像が前記表示手段に表示された場合に前記観察者に知覚される視覚画像の画素の画素値とすることで、前記変換係数を求めるために用いられ、前記入力画像に対応する生徒画像としての前記視覚画像の視覚画像信号が生成され、
前記教師画像の注目している注目画素の画素値と、前記生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における前記注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にある画素の画素値とを用いて、前記変換係数が求められる。
【0030】
本発明の第4の側面の画像生成装置は、予め定められた表示手段に表示された場合に、入力画像が表示されていると観察者が知覚する表示画像の表示画像信号に、前記入力画像の入力画像信号を変換する画像生成装置であって、
これから生成しようとする前記表示画像の注目している画素を第1の注目画素とし、前記入力画像から検出された動きベクトルから定まり、前記入力画像における前記第1の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値を、前記第1の注目画素を予測するのに用いられる予測タップとして、前記入力画像信号から抽出する予測タップ抽出手段と、
予め求められている変換係数と、前記予測タップとを線形結合することにより、前記第1の注目画素の画素値を予測演算する予測演算手段と
を備え、
前記変換係数は、
前記表示画像に対応する教師画像の注目している第2の注目画素の画素値と、
前記入力画像に対応する生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における、前記第2の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にある画素の画素値と
が用いられて求められ、
前記生徒画像は、
前記教師画像の教師画像信号に基づいて生成され、前記教師画像と、前記教師画像の1フレーム前の教師画像とを平均して得られる平均画像の平均画像信号と、
前記平均画像信号、および前記平均画像から検出された動きベクトルに基づいて生成された、前記平均画像の1フレーム前の平均画像に対応する過去画像の過去画像信号と、
前記表示手段の発光特性を示すモデルと、前記平均画像信号および前記過去画像信号とに基づいて生成された、前記表示手段に前記過去画像が表示された後、前記平均画像が表示される場合に、前記過去画像から前記平均画像に表示が切り替わるまでの間に前記表示手段に表示される遷移画像の遷移画像信号と、
前記平均画像から検出された動きベクトルと
を用いて、
前記過去画像、前記遷移画像、および前記平均画像のそれぞれの画素であって、前記過去画像から前記平均画像に表示が切り替わるまでの間に前記観察者が目で追うと予測される画素の画素値の平均値を求め、前記平均値を、前記平均画像が前記表示手段に表示された場合に前記観察者に知覚される視覚画像の画素の画素値とすることで生成される、前記視覚画像である。
【0031】
前記画像生成装置には、
前記入力画像から検出された動きベクトルから定まり、前記入力画像における前記第1の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値を、前記第1の注目画素を複数のクラスのうちの何れかにクラス分けするクラス分類を行うのに用いられるクラスタップとして、前記入力画像信号から抽出するクラスタップ抽出手段と、
前記入力画像から検出された動きベクトルの大きさと、前記クラスタップとに基づいて、前記第1の注目画素をクラス分類するクラス分類手段と
をさらに設け、
前記予測演算手段には、前記第1の注目画素のクラスに対して予め求められている前記変換係数を用いて、前記第1の注目画素の画素値を予測演算させることができる。
【0032】
本発明の第4の側面の画像生成方法またはプログラムは、予め定められた表示手段に表示された場合に、入力画像が表示されていると観察者が知覚する表示画像の表示画像信号に、前記入力画像の入力画像信号を変換する画像生成装置の画像生成方法またはプログラムであって、
これから生成しようとする前記表示画像の注目している画素を第1の注目画素とし、前記入力画像から検出された動きベクトルから定まり、前記入力画像における前記第1の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値を、前記第1の注目画素を予測するのに用いられる予測タップとして、前記入力画像信号から抽出し、
予め求められている変換係数と、前記予測タップとを線形結合することにより、前記第1の注目画素の画素値を予測演算する
ステップを含み、
前記変換係数は、
前記表示画像に対応する教師画像の注目している第2の注目画素の画素値と、
前記入力画像に対応する生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における、前記第2の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にある画素の画素値と
が用いられて求められ、
前記生徒画像は、
前記教師画像の教師画像信号に基づいて生成され、前記教師画像と、前記教師画像の1フレーム前の教師画像とを平均して得られる平均画像の平均画像信号と、
前記平均画像信号、および前記平均画像から検出された動きベクトルに基づいて生成された、前記平均画像の1フレーム前の平均画像に対応する過去画像の過去画像信号と、
前記表示手段の発光特性を示すモデルと、前記平均画像信号および前記過去画像信号とに基づいて生成された、前記表示手段に前記過去画像が表示された後、前記平均画像が表示される場合に、前記過去画像から前記平均画像に表示が切り替わるまでの間に前記表示手段に表示される遷移画像の遷移画像信号と、
前記平均画像から検出された動きベクトルと
を用いて、
前記過去画像、前記遷移画像、および前記平均画像のそれぞれの画素であって、前記過去画像から前記平均画像に表示が切り替わるまでの間に前記観察者が目で追うと予測される画素の画素値の平均値を求め、前記平均値を、前記平均画像が前記表示手段に表示された場合に前記観察者に知覚される視覚画像の画素の画素値とすることで生成される、前記視覚画像である。
【0033】
本発明の第4の側面においては、予め定められた表示手段に表示された場合に、入力画像が表示されていると観察者が知覚する表示画像の表示画像信号に、前記入力画像の入力画像信号を変換する画像生成装置において、
これから生成しようとする前記表示画像の注目している画素を第1の注目画素とし、前記入力画像から検出された動きベクトルから定まり、前記入力画像における前記第1の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値が、前記第1の注目画素を予測するのに用いられる予測タップとして、前記入力画像信号から抽出され、
予め求められている変換係数と、前記予測タップとを線形結合することにより、前記第1の注目画素の画素値が予測演算される。
【発明の効果】
【0034】
本発明の第1の側面によれば、より簡単に画像の画質の劣化を改善させることができる。
【0035】
また、本発明の第2の側面によれば、より簡単に画像の画質の劣化を改善することができる。
【0036】
本発明の第3の側面によれば、より簡単に画像の画質の劣化を改善させることができる。
【0037】
また、本発明の第4の側面によれば、より簡単に画像の画質の劣化を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、図面を参照して、本発明を適用した実施の形態について説明する。
【0039】
図1は、本発明を適用した画像生成装置の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0040】
画像生成装置11は、カメラ等により撮影された入力画像を用いてクラス分類適応処理を行い、入力画像から観察者にとって、より高品質に見える表示画像を生成して表示する。ここでいう高品質に見える画像とは、動きぼけのない、より鮮明に見える画像である。
【0041】
画像生成装置11は、動きベクトル検出部21、クラスタップ抽出部22、クラス分類部23、予測タップ抽出部24、係数保持部25、積和演算部26、および表示部27から構成される。画像生成装置11に入力される入力画像の入力画像信号は、動きベクトル検出部21、クラスタップ抽出部22、および予測タップ抽出部24に供給される。
【0042】
動きベクトル検出部21は、供給された入力画像信号に基づいて、入力画像から動きベクトルを検出し、検出された動きベクトルをクラス分類部23、クラスタップ抽出部22、および予測タップ抽出部24に供給する。
【0043】
クラスタップ抽出部22は、表示画像を構成する画素を、順次、注目画素とし、入力された入力画像信号、および動きベクトル検出部21からの動きベクトルを用いて、入力画像を構成する画素のいくつかを、注目画素を複数のクラスのうちの何れかにクラス分けするためのクラスタップとして抽出する。また、クラスタップ抽出部22は、入力画像から抽出したクラスタップをクラス分類部23に供給する。なお、表示画像は、これから求めようとする画像であり、現段階では存在しないため仮想的に想定される。
【0044】
クラス分類部23は、動きベクトル検出部21からの動きベクトルと、クラスタップ抽出部22からのクラスタップとを用いて、注目画素をクラス分類し、注目画素が分類されたクラスを示すクラスコードを係数保持部25に供給する。
【0045】
予測タップ抽出部24は、入力された入力画像信号、および動きベクトル検出部21からの動きベクトルを用いて、入力画像を構成する画素のいくつかを、注目画素の画素値を予測するために用いる予測タップとして抽出し、積和演算部26に供給する。
【0046】
係数保持部25は、各クラスについて予め求められた、注目画素の画素値を予測するために用いる変換係数を保持しており、クラス分類部23から供給されたクラスコードにより特定される変換係数を積和演算部26に供給する。例えば、係数保持部25には、変換係数を記録するメモリが設けられており、メモリにおけるクラスコードにより特定されるアドレスの領域から変換係数が読み出され、積和演算部26に供給される。
【0047】
積和演算部26は、予測タップ抽出部24から供給された予測タップ、つまり予測タップを構成する画素の画素値に、係数保持部25からの変換係数を乗算して線形結合し、注目画素の画素値を予測演算する。積和演算部26は、表示画像の各画素を注目画素とし、注目画素を予測演算することで得られた表示画像の表示画像信号を表示部27に供給する。
【0048】
表示部27は、例えば、LCDディスプレイやLCDプロジェクタなどのホールド型の表示デバイスからなり、積和演算部26から供給された表示画像信号に基づいて、表示画像を表示する。
【0049】
ところで、入力画像が動画像である場合、画像生成装置11には、入力画像の入力画像信号が1フレーム分ずつ順次、供給される。画像生成装置11に1フレーム分の入力画像信号が供給されると、画像生成装置11は、供給されたフレームの入力画像信号に基づいて、そのフレームに対応するフレームの表示画像信号を生成し、表示画像を表示する処理である表示処理を開始する。
【0050】
以下、図2のフローチャートを参照して、画像生成装置11による表示処理について説明する。
【0051】
ステップS11において、動きベクトル検出部21は、入力されたフレームの入力画像(入力画像信号)と、そのフレームの直前のフレームの入力画像とを用いて、表示画像の注目画素と同じ位置にある、入力されたフレームの入力画像上の画素の動きベクトルを検出する。
【0052】
処理対象のフレーム、つまり新たに入力されたフレームを現フレームと称し、現フレームの時間的に1つ前のフレームを前フレームと称することとすると、動きベクトル検出部21は、前回、供給された前フレームの入力画像信号を保持している。例えば、動きベクトル検出部21は、現フレームの入力画像信号、および前フレームの入力画像信号を用いて、ブロックマッチングや勾配法などにより、現フレームの入力画像上における注目画素と同じ位置にある画素の動きベクトルを検出する。そして、動きベクトル検出部21は、検出された動きベクトルをクラス分類部23、クラスタップ抽出部22、および予測タップ抽出部24に供給する。
【0053】
ステップS12において、クラス分類部23は、動きベクトル検出部21から供給された動きベクトルに基づいて、その動きベクトルの大きさ(絶対値)により定まる動きコードを生成する。この動きコードは、2値データ(ビット値)であり、注目画素をクラス分けするために用いられる。例えば、動きベクトルの大きさの範囲として、0以上8未満、8以上16未満、16以上24未満、および24以上の範囲と、それらの範囲に対応つけられた動きコード「00」、「01」、「10」、および「11」とが予め定められているとする。この場合、検出された動きベクトルの大きさが「4」であるときには、その動きベクトルの大きさは、0以上8未満の範囲に含まれるので、その範囲に対応付けられた値「00」が動きコードとされる。
【0054】
なお、動きベクトルの大きさの範囲の数、つまり動きベクトルの大きさの分割数が多いほど、注目画素が分類されるクラス数をより多くすることができる。特に、動画像では、移動物体の動き量が多いほど、動画像に生じる動きぼけ量も多くなるため、動きベクトルの大きさの範囲をより細かく分けるほど、動きぼけ除去の効果を高めることができる。
【0055】
ステップS13において、クラスタップ抽出部22は、動きベクトル検出部21からの動きベクトルと、入力された入力画像信号とに基づいて、入力画像からクラスタップを抽出し、クラス分類部23に供給する。すなわち、クラスタップ抽出部22は、前回、供給された前フレームの入力画像信号を保持しており、前フレームおよび現フレームの入力画像信号を用いて、入力画像からクラスタップを抽出する。
【0056】
例えば、注目画素と同じ位置にある現フレームの入力画像上の画素の時間的または空間的に近傍に位置するいくつかの画素、より詳細にはそれらの画素の画素値がクラスタップとして抽出される。
【0057】
ステップS14において、クラス分類部23は、クラスタップ抽出部22から供給されたクラスタップに、ADRC(Adaptive Dynamic Range Control)処理を施す。このADRC処理は、入力画像の輝度の波形の特徴量を2値データ(ビット値)に変換する処理であり、例えば、クラス分類部23は、クラスタップに1ビットADRC処理を施す。
【0058】
すなわち、クラス分類部23は、クラスタップを構成する画素の画素値の最大値MAXおよび最小値MINを検出し、検出された画素値の最大値MAXと最小値MINとの差DR(DR=MAX-MIN)を、クラスタップを構成する画素の集合の局所的なダイナミックレンジとする。クラス分類部23は、このダイナミックレンジDRに基づいて、クラスタップを構成する画素(の画素値)を1ビットに再量子化する。つまり、クラス分類部23は、クラスタップを構成する各画素の画素値から最小値MINを減算し、その減算値をDR/2で除算(量子化)する。
【0059】
そして、クラス分類部23は、以上のようにして得られた、クラスタップを構成する1ビットの各画素の画素値を所定の順番で並べたビット列をADRCコードとする。このADRCコードは、注目画素をクラス分けするために用いられ、入力画像上の注目画素と同じ位置の画素近傍における、輝度の波形の特徴を示している。
【0060】
ステップS15において、クラス分類部23は、生成した動きコードと、ADRCコードとに基づいて注目画素のクラス分類を行い、注目画素のクラスを決定する。すなわち、クラス分類部23は、ADRCコードに動きコードを付加して得られるビット値を、注目画素のクラスを示すクラスコードとし、そのクラスコードを係数保持部25に供給する。
【0061】
このように、クラス分類部23では、入力画像の輝度波形、つまり入力画像における輝度レベルの分布と、動きベクトルの大きさに応じて注目画素のクラス分けが行われる。
【0062】
クラス分類部23から係数保持部25にクラスコードが供給されると、係数保持部25は、記録している変換係数のうち、供給されたクラスコードにより特定される変換係数を読み出して積和演算部26に供給する。この変換係数は、入力画像を動きぼけのない表示画像に変換するための係数であり、予め求められて係数保持部25に記録されている。
【0063】
例えば、動画像である入力画像を、ホールド型の表示部27にそのまま表示すると、表示された入力画像を観察する観察者の目には、入力画像上の移動物体がぼけて見える。そこで、画像生成装置11では、表示部27に表示された場合に、観察者に、ぼけていない移動物体が表示されているように知覚させる表示画像が生成されるような変換係数が予め用意されて、係数保持部25に記録されている。
【0064】
画像生成装置11では、この変換係数が用いられて、入力画像が、動きぼけのない高品質な表示画像に変換される。この表示画像は、表示画像を表示部27に表示させたときに、その表示画像を見ている観察者が、表示部27に入力画像が表示されていると知覚すると予測される画像である。つまり、表示画像が表示部27に表示されると、観察者には、動きぼけのない入力画像が表示されているように見える。
【0065】
ステップS16において、予測タップ抽出部24は、動きベクトル検出部21からの動きベクトルと、入力された入力画像信号とに基づいて、入力画像から予測タップを抽出し、積和演算部26に供給する。すなわち、予測タップ抽出部24は、前回、供給された前フレームの入力画像信号を保持しており、前フレームおよび現フレームの入力画像信号を用いて、入力画像から予測タップを抽出する。例えば、注目画素と同じ位置にある現フレームの入力画像上の画素の時間的または空間的に近傍に位置するいくつかの画素、より詳細にはそれらの画素の画素値が予測タップとして抽出される。
【0066】
ここで、入力画像から抽出されるクラスタップおよび予測タップは、例えば、図3Aに示すように、注目画素と同じ位置にある入力画像上の画素の空間的または時間的に近傍に位置する画素とされる。なお、図3Aにおいて、縦方向は時間を示しており、横方向は各フレームの入力画像における各画素の位置を示している。また、1つの円は、入力画像上の1つの画素を示している。さらに、以下、入力画像上における図中、横方向を水平方向と称し、入力画像上における水平方向と垂直な方向を垂直方向と称するものとする。
【0067】
図3Aでは、図中、上側には、横方向に並んだ画素からなる現フレームの入力画像が示されており、図中、下側には、横方向に並んだ画素からなる前フレームの入力画像が示されている。
【0068】
現フレームの入力画像上の画素のうち、画素G11が、表示画像の注目画素と同じ位置の画素であり、画素G11の動きベクトルとして、大きさMVである動きベクトルmvが検出されたとする。この場合、現フレームの入力画像上の画素G11、現フレームの入力画像上の動きベクトルmvにより定まる画素G12、並びに前フレームの入力画像上の動きベクトルmvにより定まる画素G13および画素G14の合計4つの画素がクラスタップとされる。
【0069】
ここで、画素G12は、現フレームの入力画像上において、基準となる画素G11から動きベクトルmvと反対方向に、動きベクトルmvの所定の割合の大きさ、例えば、3/4MVの距離だけ移動した位置にある画素である。
【0070】
また、画素G13は、前フレームの入力画像上において、現フレームの画素G11と同じ位置にある画素G11’から、動きベクトルmvと反対方向に距離MVだけ移動した位置にある画素である。つまり、画素G13は、現フレームの入力画像上の画素G11に表示される移動物体が、前フレームの入力画像上において表示される画素である。したがって、前フレームの入力画像上において、画素G13に表示されていた移動物体が、動きベクトルmvに示される方向に、動きベクトルmvの大きさMVと同じ長さの距離だけ移動し、現フレームの入力画像上では、画素G11に表示されていることになる。
【0071】
さらに、画素G14は、前フレームの入力画像上において、画素G11と同じ位置にある画素G11’から動きベクトルmvと反対方向に、動きベクトルmvの所定の割合の大きさ、例えば、3/4MVの距離だけ移動した位置にある画素である。
【0072】
このように、クラスタップ抽出部22により、現フレームの入力画像上における注目画素と同じ位置にある画素G11と、画素G11の空間的に近傍にある画素G12、並びに画素G11と時間的に近傍にある前フレームの入力画像上の画素G13および画素G14が、クラスタップとして抽出される。
【0073】
また、予測タップ抽出部24では、図3A乃至図3Cに示すように、クラスタップと同じ画素である画素G11乃至画素14と、それらの画素に隣接する画素とが、予測タップとして抽出される。なお、図3Bおよび図3Cにおいて、横方向は入力画像上の水平方向を示しており、縦方向は入力画像上の垂直方向を示している。
【0074】
すなわち、図3Bの左側に示すように、現フレームの入力画像上の画素G11に上下左右に隣接する画素G15−1乃至画素G15−4が予測タップとされる。また、図3Bの右側に示すように、前フレームの入力画像上の画素G13に上下左右に隣接する画素G16−1乃至画素G16−4が予測タップとされる。
【0075】
さらに、図3Cの左側に示すように、現フレームの入力画像上の画素G12に上下左右に隣接する画素G17−1乃至画素G17−4が予測タップとされ、図3Cの右側に示すように、前フレームの入力画像上の画素G14に上下左右に隣接する画素G18−1乃至画素G18−4が予測タップとされる。
【0076】
このように、予測タップ抽出部24では、入力画像上における注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にある画素G11乃至画素G18−4の合計20の画素が予測タップとして抽出される。
【0077】
図2のフローチャートの説明に戻り、ステップS17において、積和演算部26は、予測タップ抽出部24からの予測タップを構成する画素の画素値に、係数保持部25からの変換係数を乗算して線形結合し、注目画素の画素値を予測演算する。
【0078】
ステップS18において、画像生成装置11は、表示画像の全ての画素について予測演算を行ったか否かを判定する。すなわち、表示画像の全ての画素が注目画素とされて、それらの画素の画素値が求められた場合、全ての画素について予測演算を行ったと判定される。
【0079】
ステップS18において、まだ全ての画素について予測演算を行っていないと判定された場合、処理はステップS11に戻り、上述した処理が繰り返される。すなわち、表示画像のまだ注目画素とされていない画素が新たな注目画素とされ、その注目画素の画素値が求められる。
【0080】
一方、ステップS18において、全ての画素について予測演算を行ったと判定された場合、積和演算部26は、求められた表示画像の各画素の画素値から、表示画像の表示画像信号を生成して表示部27に供給し、処理はステップS19に進む。
【0081】
ステップS19において、表示部27は、積和演算部26から供給された表示画像信号に基づいて、表示画像を表示して表示処理は終了する。これにより、表示部27には、1フレーム分の表示画像が表示される。その後、繰り返し表示処理が行われて、各フレームの表示画像が、順次、表示される。
【0082】
このようにして、画像生成装置11は、入力画像の動きベクトルに応じて入力画像からクラスタップを抽出し、クラスタップおよび動きベクトルから注目画素のクラス分類を行う。そして、画像生成装置11は、クラス分類の結果により定まる変換係数と、入力画像から動きベクトルに応じて抽出された予測タップとを用いて注目画素の画素値を予測演算し、表示画像を求める。
【0083】
このように、動きベクトルに応じて入力画像から抽出された予測タップと、動きベクトルを用いて決められたクラスごとの変換係数とを用いて表示画像を生成することで、観察者に動きぼけを知覚させない画像を簡単な処理で生成し、表示することができる。つまり、より簡単に画像の画質の劣化を改善することができる。
【0084】
次に、図1の積和演算部26における予測演算と、係数保持部25に記録された変換係数の学習について説明する。
【0085】
例えば、クラス分類適応処理として、入力画像信号から予測タップを抽出し、その予測タップと変換係数とを用いて、表示画像の画素(以下、適宜、高画質画素と称する)の画素値を所定の予測演算によって求める(予測する)ことを考える。
【0086】
所定の予測演算として、例えば、線形1次予測演算を採用することとすると、高画質画素の画素値yは、式(1)に示す線形1次式によって求められることになる。
【0087】
【数1】

【0088】
但し、式(1)において、xiは、高画質画素の画素値yについての予測タップを構成する、i番目の入力画像信号の画素(以下、適宜、低画質画素と称する)の画素値を表し、wiは、i番目の低画質画素(の画素値)と乗算されるi番目の変換係数を表す。なお、式(1)では、予測タップがN個の低画質画素x1,x2,・・・,xNで構成されるものとしてある。
【0089】
ここで、高画質画素の画素値yは、式(1)に示した線形1次式ではなく、2次以上の高次の線形関数の式によって求めるようにすることも可能である。また、線形関数に限らず、非線形関数によって高画質画素の画素値を求めるようにしてもよい。
【0090】
いま、第jサンプルの高画質画素の画素値の真値をyjと表すとともに、式(1)によって得られるその真値yjの予測値をyj'と表すと、その予測誤差ejは、次式(2)で表される。
【0091】
【数2】

【0092】
いま、式(2)の予測値yj'は、式(1)にしたがって求められるため、式(2)のyj'を、式(1)にしたがって置き換えると、次式(3)が得られる。
【0093】
【数3】

【0094】
但し、式(3)において、xj,iは、第jサンプルの高画質画素についての予測タップを構成するi番目の低画質画素を表す。
【0095】
式(3)(または式(2))の予測誤差ejを0とする変換係数wiが、高画質画素を予測するのに最適なものとなるが、すべての高画質画素について、そのような変換係数wiを求めることは、一般には困難である。
【0096】
そこで、変換係数wiが最適なものであることを表す規範として、例えば、最小自乗法を採用することとすると、最適な変換係数wiは、次式(4)で表される自乗誤差の総和Eを最小にすることで求めることができる。
【0097】
【数4】

【0098】
但し、式(4)において、Jは、高画質画素yjと、その高画質画素yjについての予測タップを構成する低画質画素xj,1,xj,2,・・・,xj,Nとのセットのサンプル数(学習用のサンプルの数)を表す。
【0099】
式(4)の自乗誤差の総和Eの最小値(極小値)は、式(5)に示すように、総和Eを変換係数wiで偏微分したものを0とするwiによって与えられる。
【0100】
【数5】

【0101】
一方、上述の式(3)を変換係数wiで偏微分すると、次式(6)が得られる。
【0102】
【数6】

【0103】
式(5)および式(6)から、次式(7)が得られる。
【0104】
【数7】

【0105】
式(7)のejに、式(3)を代入することにより、式(7)は、式(8)に示す正規方程式で表すことができる。
【0106】
【数8】

【0107】
式(8)の正規方程式は、例えば、掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)などを用いることにより、変換係数wiについて解くことができる。
【0108】
式(8)の正規方程式を、クラスごとに立てて解くことにより、最適な変換係数wi(ここでは、自乗誤差の総和Eを最小にする変換係数wi)を、クラスごとに求めることができる。つまり、注目画素のクラスごとに、統計的に最も真値に近い、注目画素の輝度レベル(画素値)を推定することのできる変換係数wiが得られる。
【0109】
図1の積和演算部26では、以上のようなクラスごとの変換係数wiを用いて、式(1)の演算を行うことにより、入力画像信号から、表示画像信号を得ることができる。
【0110】
次に、図4は、式(8)の正規方程式をクラスごとに立てて解くことにより変換係数wiを求める学習を行う学習装置の構成例を示している。
【0111】
学習装置71は、注目画素抽出部81、生徒画像生成部82、動きベクトル検出部83、クラスタップ抽出部84、クラス分類部85、予測タップ抽出部86、演算部87、および係数生成部88から構成される。
【0112】
この学習装置71の注目画素抽出部81および生徒画像生成部82には、変換係数を求めるために用いられる教師画像の教師画像信号として、入力画像信号が供給される。ここで教師画像とは、学習処理において用いられる画像のうち、変換係数を用いて最終的に求められるべき画像のサンプル、つまり高画質画素yjからなる画像をいう。また、学習処理において、教師画像を求めるために用いられる画像のサンプル、つまり低画質画素からなる画像を、生徒画像と称する。したがって、教師画像および生徒画像は、画像生成装置11における表示画像および入力画像に相当する。
【0113】
注目画素抽出部81は、供給された教師画像信号に基づく教師画像上の画素を、順次、注目する画素である注目画素として、教師画像信号から注目画素、より詳細には注目画素の画素値を抽出して演算部87に供給する。
【0114】
生徒画像生成部82は、供給された教師画像信号を用いて、変換係数を求めるために用いられ、教師画像信号に基づく教師画像よりも低品質な画像である生徒画像の生徒画像信号を生成し、動きベクトル検出部83、クラスタップ抽出部84、および予測タップ抽出部86に供給する。
【0115】
例えば、生徒画像として、入力画像に動きぼけが生じた画像である視覚画像が生成される。視覚画像とは、表示部27に、前フレームの入力画像が表示された後、現フレームの入力画像が表示される場合に、前フレームの入力画像が表示されてから現フレームの入力画像が表示されるまでの間、表示部27を観察していた観察者の目に見える画像をいう。すなわち、入力画像が表示部27に、そのまま表示された場合に、表示部27の特性によって、入力画像を観察する観察者が知覚すると予測される画像が視覚画像である。
【0116】
動きベクトル検出部83は、生徒画像生成部82からの生徒画像信号に基づいて、生徒画像から動きベクトルを検出し、クラス分類部85、クラスタップ抽出部84、および予測タップ抽出部86に供給する。
【0117】
クラスタップ抽出部84は、教師画像における注目画素との対応をとりながら、動きベクトル検出部83からの動きベクトルを用いて、生徒画像生成部82からの生徒画像信号から、生徒画像上の画素のうちのいくつかをクラスタップとして抽出する。そして、クラスタップ抽出部84は、抽出したクラスタップをクラス分類部85に供給する。
【0118】
クラス分類部85は、動きベクトル検出部83からの動きベクトルと、クラスタップ抽出部84からのクラスタップとを用いて、注目画素をクラス分類し、分類されたクラスを示すクラスコードを演算部87に供給する。
【0119】
予測タップ抽出部86は、教師画像における注目画素との対応をとりながら、動きベクトル検出部83からの動きベクトルを用いて、生徒画像生成部82からの生徒画像信号から、生徒画像上の画素のうちのいくつかを予測タップとして抽出する。予測タップ抽出部86は、抽出した予測タップを演算部87に供給する。
【0120】
演算部87は、注目画素抽出部81から供給された注目画素と、予測タップ抽出部86から供給された予測タップとの対応をとりながら、注目画素と予測タップを構成する画素とを対象とした足し込みを、クラス分類部85からのクラスコードにしたがって行う。
【0121】
すなわち、演算部87には、教師画像データの注目画素の画素値yj、予測タップ(を構成する生徒画像信号の画素の画素値)xj,i、注目画素のクラスを表すクラスコードが供給される。
【0122】
そして、演算部87はクラスコードに対応するクラスごとに、予測タップ(生徒画像信号)xj,iを用い、式(8)の左辺の行列における生徒画像信号どうしの乗算(xj,ij,i)、およびその乗算された値の総和の演算に相当する演算を行う。
【0123】
さらに、演算部87は、クラスコードに対応するクラスごとに、予測タップ(生徒画像信号)xj,iおよび教師画像信号yjを用い、式(8)の右辺のベクトルにおける生徒画像信号xj,iおよび教師画像信号yjの乗算(xj,ij)、並びにその乗算された値の総和の演算に相当する演算を行う。
【0124】
すなわち、演算部87は、前回、注目画素とされた教師画像信号について求められた式(8)における左辺の行列のコンポーネント(Σxj,ij,i)と、右辺のベクトルのコンポーネント(Σxj,ij)を記憶しており、その行列のコンポーネント(Σxj,ij,i)またはベクトルのコンポーネント(Σxj,ij)に対して、新たに注目画素とされた教師画像信号について、その教師画像信号yj+1および生徒画像信号xj+1,iを用いて計算される、対応するコンポーネントxj+1,ij+1,iまたはxj+1,ij+1を足し込む(式(8)のΣで表される加算を行う)。
【0125】
そして、演算部87は、教師画像信号の全ての画素を注目画素として、上述の足し込みを行うことにより、各クラスについて、式(8)に示した正規方程式を立てる(生成する)と、その正規方程式を係数生成部88に供給する。
【0126】
係数生成部88は、演算部87による足し込みによって得られた、各クラスについての正規方程式(のマトリクス係数)を解くことにより、各クラスについて、最適な変換係数wiを求めて記録する。
【0127】
次に、図5は、図4の生徒画像生成部82のより詳細な構成例を示すブロック図である。
【0128】
生徒画像生成部82は、動きベクトル検出部111、動き補償部112、応答モデル保持部113、動き補償部114、および積分部115から構成される。
【0129】
動きベクトル検出部111は、供給された教師画像から動きベクトルを検出して動き補償部112および動き補償部114に供給する。
【0130】
動き補償部122は、供給された教師画像、および動きベクトル検出部111から供給された動きベクトルを用いて動き補償を行い、供給された教師画像としての入力画像の時間的に1つ前のフレームの入力画像に相当(対応)する画像である過去画像を生成する。そして、動き補償部112は、教師画像および生成した過去画像を応答モデル保持部113に供給する。
【0131】
ここで、過去画像とは、供給された教師画像としての入力画像上において動きのある移動物体を、その移動物体の動きベクトルにより示される方向と逆方向に移動させることにより生成される、供給された入力画像の1フレーム前の入力画像と等価な画像をいう。
【0132】
応答モデル保持部113は、画像生成装置11の表示部27の発光特性を示すモデル、例えば表示部27の表示画面を構成する画素の輝度値を、所定の輝度値から異なる輝度値に変化させたときの輝度値の時間的な変化を示す応答モデルを予め保持している。この表示部27の応答モデルは、例えば表示部27がLCDにより構成される場合にはLCDの応答モデルとされ、表示部27に各画素の輝度値が最も低い黒い画像を表示させた後、最も輝度値が高い白い画像を表示させて、そのときの各画素の輝度値の時間的な変化を高速カメラや光プローブを用いて計測することにより生成される。
【0133】
また、応答モデル保持部113は、保持している応答モデルと、動き補償部112から供給された教師画像および過去画像とを用いて、表示部27に過去画像が表示され、その後、教師画像としての入力画像が表示された場合に、その表示が切り替わるときに表示部27に表示される過渡的な画像である遷移画像を生成する。そして、応答モデル保持部113は、動き補償部112から供給された教師画像および過去画像と、生成した遷移画像とを動き補償部114に供給する。
【0134】
例えば、表示部27に過去画像が表示された後、入力画像(教師画像)が表示されたとすると、表示部27に表示される画像、つまり表示部27の表示画面を構成する各画素の輝度値は、応答モデルにより示される輝度値の変化にしたがって、過去画像を表示するときの輝度値から、徐々に入力画像を表示するときの輝度値に変化する。
【0135】
このとき、表示部27に表示される画像が過去画像から入力画像に切り替わるまでの間の所定の時刻において、表示部27に表示されている画像が遷移画像とされ、応答モデル保持部113は、予め定められたいくつかの時刻の遷移画像、例えば16枚の遷移画像を生成する。換言すれば、遷移画像は、過去画像のフレームと、入力画像のフレームとの間のフレームにおいて表示される画像ということができる。
【0136】
動き補償部114は、動きベクトル検出部111から供給された動きベクトルと、応答モデル保持部113から供給された教師画像、過去画像、および遷移画像とを用いて動き補償を行い、追従画素の画素値を求めて積分部115に供給する。
【0137】
ここで、追従画素について説明する。表示部27に過去画像が表示された後、教師画像としての入力画像が表示される場合に、過去画像が表示されてから入力画像が表示されるまでの間、表示部27を観察していた観察者に知覚される画像である視覚画像は、過去画像、遷移画像、および入力画像を平均した画像とされる。
【0138】
すなわち、例えば、表示画面上を移動物体が所定の方向に移動する画像が表示部27に表示される場合、観察者は移動物体を目で追うので、過去画像、遷移画像、および入力画像のそれぞれの画像上における移動物体の所定の部分が表示される画素の輝度値の平均値、より詳細には、各画像上の観察者が目で追った画素の輝度値の平均値が、その移動物体の所定の部分が表示される視覚画像上の画素の輝度値となる。
【0139】
そこで、以下の説明では、視覚画像上の所定の画素の輝度値(画素値)を求めるための平均値の計算の対象となる過去画像、遷移画像、および入力画像の画素、つまり観察者が目で追うと予測される画素のそれぞれを追従画素と呼ぶこととする。したがって、動き補償部114は、視覚画像上の各画素について、過去画像、遷移画像、および入力画像の追従画素のそれぞれの輝度値で発光させるための画素値のそれぞれを求めて、求められた画素値を追従画素の画素値として積分部115に供給する。
【0140】
積分部115は、動き補償部114から供給された追従画素の画素値を積分することにより視覚画像を生成し、生成した視覚画像を生徒画像として動きベクトル検出部83、クラスタップ抽出部84、および予測タップ抽出部86に供給する。すなわち、積分部115は視覚画像の画素ごとに、その画素に対応する追従画素の画素値の平均値を求めて視覚画像の画素の画素値とすることにより、視覚画像、より詳細には視覚画像信号を生成する。
【0141】
ところで、学習装置71には、画像生成装置11に供給される入力画像信号と同じ入力画像信号、つまり被写体を撮影して得られる、特に処理の施されていない入力画像信号が、教師画像信号として1フレーム分ずつ、少なくとも2フレーム分、供給される。学習装置71に教師画像信号が供給されると、学習装置71は、供給された教師画像信号を用いて生徒画像信号を生成し、教師画像信号および生徒画像信号から変換係数を求める学習処理を開始する。
【0142】
以下、図6のフローチャートを参照して、学習装置71による学習処理について説明する。
【0143】
ステップS41において、生徒画像生成部82は、供給された教師画像信号に基づいて、生徒画像生成処理を行い、生徒画像としての視覚画像を生成し、動きベクトル検出部83、クラスタップ抽出部84、および予測タップ抽出部86に供給する。なお、生徒画像生成処理の詳細は後述する。
【0144】
ステップS42において、注目画素抽出部81は、供給された教師画像信号に基づく教師画像上の画素を注目画素とし、教師画像信号から注目画素、より詳細には注目画素の画素値を抽出する。注目画素抽出部81は、抽出した注目画素を演算部87に供給する。
【0145】
ステップS43において、動きベクトル検出部83は、生徒画像生成部82から供給されたフレームの生徒画像(生徒画像信号)と、そのフレームの直前のフレームの生徒画像とを用いて、注目画素と同じ位置にある、生徒画像生成部82から供給されたフレームの生徒画像上の画素の動きベクトルを検出する。
【0146】
今回、処理の対象となるフレームを現フレームと称し、現フレームの時間的に1つ前のフレームを前フレームと称することとすると、動きベクトル検出部83は、前回、供給された前フレームの生徒画像信号を保持している。例えば、動きベクトル検出部83は、現フレームの生徒画像像信号、および前フレームの生徒画像信号を用いて、ブロックマッチングや勾配法などにより、現フレームの生徒画像上における注目画素と同じ位置にある画素の動きベクトルを検出する。そして、動きベクトル検出部83は、検出された動きベクトルをクラス分類部85、クラスタップ抽出部84、および予測タップ抽出部86に供給する。
【0147】
ステップS44において、クラス分類部85は、動きベクトル検出部83から供給された動きベクトルに基づいて、その動きベクトルの大きさ(絶対値)により定まる動きコードを生成する。この動きコードは、2値データ(ビット値)であり、注目画素をクラス分けするために用いられる。
【0148】
ステップS45において、クラスタップ抽出部84は、教師画像における注目画素との対応をとりながら、動きベクトル検出部83からの動きベクトルと、生徒画像生成部82からの生徒画像信号とに基づいて、生徒画像からクラスタップを抽出し、クラス分類部85に供給する。すなわち、クラスタップ抽出部84は、前フレームの生徒画像信号を保持しており、前フレームおよび現フレームの生徒画像信号を用いて、注目画素と同じ位置にある現フレームの生徒画像上の画素の時間的または空間的に近傍に位置するいくつかの画素、より詳細にはそれらの画素の画素値をクラスタップとして抽出する。
【0149】
例えば、クラスタップ抽出部84は、生徒画像上において、注目画素に対して、クラスタップ抽出部22により入力画像から抽出されるクラスタップと同じ位置関係にある画素を、クラスタップとして抽出する。すなわち、図3Aに示した現フレームおよび前フレームの画像が生徒画像であり、画素G11が教師画像の注目画素と同じ位置にある画素であるとすると、画素G11乃至画素G14がクラスタップとして抽出される。
【0150】
ステップS46において、クラス分類部85は、クラスタップ抽出部84から供給されたクラスタップに、ADRC処理を施す。
【0151】
ステップS47において、クラス分類部85は、生成した動きコードと、ADRC処理の結果得られたADRCコードとに基づいて、注目画素のクラス分類を行って注目画素のクラスを決定し、決定されたクラスを示すクラスコードを演算部87に供給する。
【0152】
ステップS48において、予測タップ抽出部86は、動きベクトル検出部83からの動きベクトルと、生徒画像生成部82からの生徒画像信号とに基づいて、生徒画像から予測タップを抽出し、演算部87に供給する。すなわち、予測タップ抽出部86は、前フレームの生徒画像信号を保持しており、前フレームおよび現フレームの生徒画像信号を用いて、注目画素と同じ位置にある現フレームの生徒画像上の画素の時間的または空間的に近傍に位置するいくつかの画素、より詳細にはそれらの画素の画素値を予測タップとして抽出する。
【0153】
例えば、予測タップ抽出部86は、生徒画像上において、注目画素に対して、予測タップ抽出部24により入力画像から抽出される予測タップと同じ位置関係にある画素を、予測タップとして抽出する。すなわち、図3Aに示した現フレームおよび前フレームの画像が生徒画像であり、画素G11が教師画像の注目画素と同じ位置にある画素であるとすると、画素G11乃至画素G18−4が予測タップとして抽出される。
【0154】
ステップS49において、演算部87は、注目画素抽出部81から供給された注目画素と、予測タップ抽出部86からの予測タップとの対応をとりながら、注目画素と予測タップを構成する画素とを対象として、クラス分類部85からのクラスコードに対応するクラスについて立てられた式(8)により示される正規方程式への足し込みを行う。
【0155】
ステップS50において、演算部87は全ての画素について足し込みを行ったか否かを判定する。例えば、現フレームの教師画像上の全ての画素が注目画素とされて足し込みが行われた場合、全ての画素について足し込みを行ったと判定される。
【0156】
ステップS50において、全ての画素について足し込みを行っていないと判定された場合、処理はステップS42に戻り、上述した処理が繰り返される。すなわち、教師画像のまだ注目画素とされていない画素が新たな注目画素とされて、足し込みが行われる。
【0157】
これに対して、ステップS50において、全ての画素について足し込みを行ったと判定された場合、演算部87は、各クラスについて立てた正規方程式を係数生成部88に供給して、処理はステップS51に進む。
【0158】
ステップS51において、係数生成部88は、演算部87から供給されたクラスごとの正規方程式を、例えば、掃き出し法によって解くことにより各クラスの変換係数wiを求めて記録する。これにより、各クラスの注目画素の画素値を予測するために用いられる変換係数wiが求められる。このようにして求められた変換係数は、画像生成装置11の係数保持部25に記録されて、表示画像の生成に用いられる。
【0159】
このようにして、学習装置71は、教師画像としての入力画像から、視覚画像を生徒画像として生成し、教師画像および生徒画像を用いて変換係数を求める。
【0160】
このように、入力画像を教師画像とし、視覚画像を生徒画像として学習により変換係数を求めることで、より簡単な処理で、入力画像をより高品質な表示画像に変換するための変換係数を求めることができる。このようにして求められた変換係数を用いれば、入力画像を、より高品質な表示画像に変換して表示することができ、その結果、より簡単に画像の画質の劣化を改善することができるようになる。
【0161】
なお、以上においては、1フレーム分の教師画像の画素が注目画素とされて変換係数が求められる例について説明したが、複数フレームの教師画像が用いられて変換係数が求められるようにしてもよい。そのような場合、各フレームの教師画像の画素が注目画素とされて、クラスごとに正規方程式が立てられる。
【0162】
次に、図7のフローチャートを参照して、図6のステップS41の処理に対応する処理である生徒画像生成処理について説明する。
【0163】
ステップS81において、動きベクトル検出部111は供給された教師画像を用いて、例えばブロックマッチングや勾配法などにより動きベクトルを検出し、動き補償部112および動き補償部114に供給する。例えば、動きベクトル検出部111は、前フレームの教師画像と、今回、新たに供給された現フレームの教師画像とを用いて、現フレームの教師画像の各画素の動きベクトルを検出する。
【0164】
ステップS82において、動き補償部112は、供給された教師画像、および動きベクトル検出部111から供給された動きベクトルに基づいて、例えば、バイキュービックフィルタを用いて画素以下の精度で動き補償を行い、過去画像を生成する。そして、動き補償部112は、供給された教師画像、および生成した過去画像を応答モデル保持部113に供給する。
【0165】
例えば、図8Aに示すように、前回供給された前フレームの教師画像と、今回、新たに供給された現フレームの教師画像との間で、教師画像上の移動物体OB1の動き、つまり移動物体OB1の動きベクトルMV1が検出された場合、図8Bに示すように、現フレームの教師画像上の移動物体OB1を、検出された動きと逆方向に移動させて過去画像を生成する。
【0166】
なお、図8Aおよび図8Bにおいて、縦方向は時間を示しており、横方向は空間方向、すなわち画像上の位置を示している。また、図中、1つの円は、1つの画素を表している。
【0167】
図8Aでは、図中、上側の画素の列は、前フレームの教師画像(入力画像)を表しており、下側の画素の列は現フレームの教師画像(入力画像)を表している。さらに、前フレームおよび現フレームの教師画像上の黒い画素(黒い円)が横方向に並べられている領域は、教師画像上を移動する移動物体OB1を表しており、移動物体OB1は、時間とともに図中、左方向に移動している。
【0168】
したがって、動きベクトル検出部111により、図中の矢印により表される移動物体OB1の動きベクトルMV1が検出される。例えば、動きベクトルMV1は、左方向に向かう大きさがMV1のベクトルとされる。
【0169】
移動物体OB1の動きが検出されると、動き補償部112は、図8Bに示すように、現フレームの教師画像と、検出された動きベクトルMV1とから過去画像を生成する。ここで、図中、上側の画素の列は、生成された過去画像を表しており、下側の画素の列は現フレームの教師画像を表している。
【0170】
動き補償部112は、図中の矢印により示されるように、現フレームの教師画像上において動きが検出された画素、つまり移動物体OB1を、検出された動きベクトルMV1と反対方向に、動きベクトルMV1の大きさだけ移動させることにより過去画像を生成する。これにより、前フレームの教師画像(入力画像)とほぼ同じ画像が過去画像として生成される。
【0171】
なお、前フレームの教師画像を、そのまま過去画像としてもよいが、動き補償により過去画像を生成すると、移動物体の画素以下の動きやノイズ成分によるフレーム間差分が出ないため、動き補償により過去画像を生成するのが望ましい。また、動きベクトルの検出に、時間的に1つ前のフレームだけでなく、時間的に2つ前のフレームの教師画像も用いるようにしてもよい。
【0172】
図7のフローチャートの説明に戻り、ステップS83において、応答モデル保持部113は、予め保持している応答モデルと、動き補償部112から供給された教師画像および過去画像とを用いて遷移画像を生成する。また、応答モデル保持部113は、動き補償部112から供給された教師画像および過去画像と、生成した遷移画像とを動き補償部114に供給する。
【0173】
例えば、応答モデル保持部113は、図9に示す応答モデルを保持している。ここで、図9の応答モデルは、表示部27としてのLCDの応答特性を示している。また、図において縦軸はLCDの1つの画素の輝度値を示し、横軸は時間を示している。
【0174】
曲線L71は、画素の輝度値を98から0に変化させたときの輝度値の時間的な変化を示しており、0ms以降、つまり輝度値を変化させた後は、その輝度値がほぼ直線状に減少している。また、曲線L72は、曲線L71を反転させたもの、つまり曲線L72は、輝度値が50である横方向の直線を軸として、その軸に関して曲線L71と対称な曲線となっている。
【0175】
さらに、曲線L73は、画素の輝度値を0から98に変化させたときの輝度値の時間的な変化を示しており、0ms以降、つまり輝度値を変化させた後は、その輝度値が徐々に増加している。特に、曲線L73においては、0msから5msまでの区間で輝度値が急激に増加している。
【0176】
例えば、応答モデル保持部113は、各時間にける曲線L72上の輝度値と曲線L73上の輝度値とを足して2で除算して得られる輝度値を各時間の輝度値とする曲線、つまり曲線L72および曲線L73を平均して得られる曲線と、曲線L71とを表示部27の応答モデルとして用いる。
【0177】
応答モデル保持部113は、このような応答モデルを用いて遷移画像を生成する。例えば、現フレームの教師画像から図8の過去画像が生成されたとすると、図10に示すように、過去画像と現フレームの教師画像との間の遷移画像が生成される。なお、図10において、縦方向は時間を示しており、横方向は空間方向、すなわち画像上の位置を示している。また、図中、1つの円は、1つの画素を表している。
【0178】
図10では、最も上側の画素の列、つまり横方向に並べられた画素の列は、過去画像を表しており、最も下側の画素の列は現フレームの教師画像を表している。また、過去画像と教師画像との間の横方向の画素の列のそれぞれは、生成された遷移画像を表しており、図10の例においては、15枚の遷移画像が生成されている。
【0179】
すなわち、前フレームの教師画像に相当する過去画像と、現フレームの教師画像との間のフレーム(位相)の画像として、15フレーム分の遷移画像が生成されて補間されている。また、図中、より上側に位置する画素の列で表される遷移画像は、時間的により前、つまりより前フレームに近いフレーム(位相)の遷移画像とされている。
【0180】
また、図中、縦方向に並べられている画素は、過去画像、遷移画像、および教師画像(入力画像)において、同じ位置にある画素とされる。
【0181】
例えば、区間A71においては、過去画像上の画素は輝度値が高く、教師画像上の画素は輝度値が低くなっている。換言すれば、過去画像上の区間A71内の画素は白い画素(明るい画素)であり、教師画像上の区間A71内の画素は黒い画素(暗い画素)であるので、区間A71内の遷移画像の画素の輝度値は、時間とともに低くなっている。つまり、区間A71においては、時間的により現フレームに近いフレームの遷移画像(図中、より下側にある遷移画像)上の画素ほど輝度値が低くなっている。
【0182】
また、区間A72においては、過去画像上の画素と、教師画像上の画素とは、同じ輝度値となっているので、区間A72内の遷移画像の画素の輝度値は、時間によらず一定である。つまり、区間A72においては、どのフレームの遷移画像上の画素も教師画像の画素と同じ輝度値となっている。
【0183】
さらに、区間A73においては、過去画像上の画素は輝度値が低く、教師画像上の画素は輝度値が高くなっている。つまり、区間A73においては、時間的により現フレームに近いフレームの遷移画像(図中、より下側にある遷移画像)上の画素ほど輝度値が高くなっている。
【0184】
このように、教師画像と過去画像の同じ位置にある画素の輝度値が異なる場合、すなわち教師画像上の画素の輝度値が時間とともに変化する場合、応答モデルにより示される輝度値の時間的な変化したがって、遷移画像上の対応する位置の画素の輝度値が定められる。
【0185】
例えば、応答モデル保持部113が図9に示した応答モデルを保持しており、前フレームの画像に相当する過去画像の表示時刻から、現フレームの教師画像の表示時刻までの時間が24msである場合、教師画像上の所定の位置の画素の輝度値が0であり、過去画像上の対応する位置の画素の輝度値が98であるとき、前フレームと現フレームとの中間のフレーム、つまり前フレームの画像の表示時刻から12ms後の時刻を表示時刻とするフレームの遷移画像における、教師画像の画素と対応する位置の画素の画素値は、輝度値が30となるような画素値とされる。
【0186】
なお、図10の例では、15枚の遷移画像が生成されて、1フレームが16分割されているが、4分割とされてもよいし、64分割とされてもよい。ここで、1フレームをより大きい数に分割すると、より精度のよい視覚画像を得ることができる。
【0187】
図7のフローチャートの説明に戻り、ステップS84において、動き補償部114は、動きベクトル検出部111から供給された動きベクトルと、応答モデル保持部113から供給された教師画像、過去画像、および遷移画像とを用いて、バイキュービックフィルタなどにより画素以下の精度で動き補償を行い、追従画素の画素値を算出する。
【0188】
すなわち、動き補償部114は、動きベクトル検出部111から供給された動きベクトルを用いて画素以下の精度で動き補償を行い、応答モデル保持部113から供給された教師画像、過去画像、および遷移画像のそれぞれに対する追従画素の画素値を算出する。動き補償部114は、視覚画像(この視覚画像は、これから求めようとする画像であり、現段階では存在しないため仮想的に想定される)の全ての画素について、追従画素の画素値を算出すると、算出した追従画素の画素値を積分部115に供給する。
【0189】
一般に、人間の目は、フレームの中間の位相を追っていることが経験的に知られている。換言すれば、1つのフレームの画像と、次のフレームの画像とが順番に表示されたとき、最初のフレームの画像が表示された時刻と、次のフレームの画像が表示された時刻との中間の時刻に表示される仮想的なフレームを中間フレームと呼ぶとすると、人間の目は、その中間フレームの画像を自分自身が見ている画像、すなわち視覚画像であると知覚する。
【0190】
また、観察者は、画像上の移動物体を目で追うので、観察者の視線の移動する方向と、画像上の移動物体の動きベクトルの方向とは同じ方向となる。したがって、現フレームの教師画像の動きベクトルを用いれば、過去画像上および遷移画像上の観察者が目で追うと推定される画素を特定することができ、それらの画素を追従画素として視覚画像を生成することができる。
【0191】
例えば、図10に示した遷移画像が生成された場合、図11に示すように、動きベクトルを用いた動き補償により、視覚画像の画素ごとの追従画素が求められる。なお、図11において、縦方向は時間を示しており、横方向は空間方向、すなわち画像上の位置を示している。また、図中、1つの円は、1つの画素を表している。さらに、図11において、図10における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は省略する。
【0192】
図11では、最も上側の画素の横方向の列は、過去画像を表しており、最も下側の画素の横方向の列は現フレームの教師画像を表している。また、過去画像と教師画像との間の画素の横方向の列のそれぞれは、生成された遷移画像を表している。
【0193】
例えば、遷移画像上の画素G51と同じ位置にある視覚画像上の画素の画素値を算出する場合を考える。ここで、画素G51が含まれる遷移画像は、過去画像と教師画像との中間の位相の遷移画像である。また、過去画像の画素G52により表示されていた移動物体の部分が、教師画像では、画素G53により表示されるものとする。また、画素G53の動きベクトル上、すなわち観察者の視線の移動の軌跡を示す、画素G52と画素G53とを結ぶ直線上に位置する画素(観察者が目で追う画素)が、画素G51を含む領域R11内の画素であるとする。
【0194】
図11の例では、過去画像、各遷移画像、および教師画像のそれぞれにおいて、領域R11内に位置する各画像上の画素の数は、1つずつとなっている。
【0195】
この場合、領域R11内の画素は、観察者が目で追う画素であるので、領域11内に位置する画素が、画素G51と同じ位置にある視覚画像上の画素に対する追従画素とされる。したがって、過去画像、遷移画像、および教師画像における領域R11内の画素の画素値のそれぞれの平均値を求めることにより、視覚画像の画素の画素値が求められる。
【0196】
なお、各画像において、領域R11内に位置する画素の数が必ずしも1つとなるとは限らないため、実際には、各画像についての追従画素の画素値は、画素以下の精度での動き補償により求められる。つまり、領域R11近傍のいくつかの画素の画素値から、追従画素の画素値が求められる。
【0197】
図7のフローチャートの説明に戻り、視覚画像の各画素について、追従画素の画素値が算出されると、ステップS85において、積分部115は、動き補償部114から供給された追従画素の画素値を積分することにより、視覚画像を生成する。そして、積分部115は、生成した視覚画像(視覚画像信号)を生徒画像として動きベクトル検出部83、クラスタップ抽出部84、および予測タップ抽出部86に供給して生徒画像生成処理は終了し、処理は図6のステップS42に進む。
【0198】
例えば、積分部115は、視覚画像上の1つの画素について、その画素に対する過去画像、各遷移画像、および入力画像の追従画素の画素値のそれぞれの平均値を算出し、算出された平均値を視覚画像の画素の画素値とする。積分部115は、このようにして視覚画像上の各画素の画素値を算出し、視覚画像を生成する。
【0199】
このようにして、生徒画像生成部82は、教師画像としての入力画像を基に、入力画像がそのまま表示部27に表示されたときに人間の目が知覚すると予測される画像である視覚画像を、生徒画像として生成する。この生徒画像としての視覚画像は、動きぼけのない正しい輝度レベルの入力画像から生成された、表示部27の特性と、人の視覚特性とに応じた動きぼけが付加された画像である。
【0200】
以上のようにして生成された視覚画像を生徒画像とし、入力画像を教師画像として学習処理を行えば、観察者が表示部27に視覚画像が表示されていると知覚させる画像を、観察者が表示部27に入力画像が表示されていると知覚させる画像、つまり動きぼけのない鮮明な画像に変換する変換係数を得ることができる。
【0201】
したがって、この変換係数を用いて、画像生成装置11により入力画像を変換すれば、観察者に、動きぼけのない鮮明な画像として知覚される表示画像を得ることができる。
【0202】
すなわち、例えば、オーバードライブなどの技術においては、表示装置の特性による画質の劣化を補う補正が入力画像に対して行われる。これに対して、画像生成装置11においては、表示部27を観察する観察者の視覚特性により観察者が感じる、画像の画質の劣化を補う補正が入力画像に対して行われることになるので、観察者に入力画像により近い画像を知覚させる表示画像を表示させることができる。また、黒挿入のように、黒い画像が表示されることもないので、画面が暗くなるようなこともない。
【0203】
また、ホールド型の表示装置における動きぼけによる画質の劣化は、表示装置の応答速度が0となっても生じるが、画像生成装置11では、入力画像を用いてクラス分類適応処理により表示画像を生成することによって、動きぼけによる画質の劣化を確実に改善することができる。
【0204】
ところで、入力画像と、その入力画像から生成された視覚画像とを用いると、入力画像と比べて、より高品質な画像を生成することができる。例えば、視覚画像と入力画像との差分を入力画像に加算して得られる画像を表示部27に表示すれば、その画像を観察する観察者の目には、入力画像が表示されているように見えるはずである。つまり、この画像は、表示画像そのものである。
【0205】
ここで、視覚画像は入力画像から生成されるので、結局、入力画像だけを用いて表示画像を生成することができるはずである。したがって、入力画像を表示画像に変換する変換係数は、入力画像だけを用いて生成することができるはずである。
【0206】
学習装置71では、入力画像から視覚画像が生成され、その視覚画像のいくつかの画素の画素値と、入力画像の注目画素の画素値とから変換係数が求められる。このとき用いられる視覚画像のいくつかの画素、つまり予測タップを構成する画素は、供給されたフレームの視覚画像上における、注目画素と同じ位置の時間的または空間的に近傍に位置する画素とされる。例えば、図3に示したように、予測タップとして、20個程度の画素が用いられる。
【0207】
予測タップとして、20個程度の画素しか用いなくても、鮮明な画像が表示されていると観察者に知覚させるのに充分な画像が得られる変換係数を求めることができるのは、次のような理由からである。すなわち、生徒画像とされる動きぼけが生じた画像は、複数の画素、つまり移動物体の複数の部位が動き量分だけ混ざり合ってできている。そのため、注目画素の予測に必要とされる要素は、生徒画像における注目画素と同じ位置の画素の周囲に含まれており、本来、注目画素の予測には多くの画素が必要とされないはずである。
【0208】
例えば、所定の基準となる基準速度の5分の1のシャッタースピードで、被写体としての移動物体が撮像されたとする。すると、その撮像により得られる撮像画像は、図12に示すように、シャッタースピードを基準速度として撮像することで得られた、時間的に連続して撮像された5つの部分画像を平均したものと等価である。
【0209】
なお、図12において、1つの四角形は、部分画像の1つの画素を示しており、図中、横方向に並ぶ四角形の列が、1つの部分画像を表している。また、各画素に記された文字「A」乃至「H」は、被写体としての移動物体の部位を示している。例えば、文字「A」が記された四角形は、部分画像上の移動物体の部位Aが表示される画素を示しており、部位Aが表示される画素を画素Aとも呼ぶこととする。さらに、図中、上側の部分画像から、下側の部分画像まで順番に、フレームF1乃至フレームF5の部分画像と呼ぶこととし、より上側の部分画像ほど、時間的により前のフレームの部分画像であるとする。
【0210】
例えば、フレームF3の部分画像上の画素Cと同じ位置にある撮像画像の画素を着目画素とすると、その着目画素の画素値は、着目画素と同じ位置にあるフレームF1乃至フレームF5の部分画像の画素の画素値のそれぞれの平均値とされる。つまり、フレームF1の画素Eの画素値、フレームF2の画素Dの画素値、フレームF3の画素Cの画素値、フレームF4の画素Bの画素値、およびフレームF5の画素Aの画素値の和を5で除算することで、着目画素の画素値が求まる。このように、撮像画像は、各フレームの部分画像が混ざり合った画像、つまり動きぼけの生じた画像となる。
【0211】
ここで、学習処理により、生徒画像としての撮像画像から、動きぼけの除去された教師画像を生成する変換係数を求めることを考える。教師画像は、動きぼけの生じていない画像であるので、例えば、教師画像がフレームF3の部分画像と位相が同じ画像であるとすると、フレームF3の部分画像が教師画像に相当する。
【0212】
例えば、教師画像としてのフレームF3の部分画像上における、撮像画像の着目画素と同じ位置にある画素には、移動物体の部位Cが表示されている。そのため、教師画像上の着目画素と同じ位置にある画素を注目画素とすると、注目画素を求めるための予測タップとして、部位Cの要素を含む画素を撮像画像から抽出すれば、抽出した予測タップを用いて、より精度よく注目画素の画素値を予測する変換係数が得られるはずである。つまり、フレームF1乃至フレームF5の部分画像の部位Cが表示される画素のそれぞれと、同じ位置にある撮像画像上の画素のそれぞれのうちの少なくとも何れかを予測タップとすればよいことになる。
【0213】
特に、撮像画像上における、部位Cの要素が含まれる領域の一番端の画素を予測タップとすれば、より精度よく注目画素が求まる変換係数が得られることが一般的に知られている。図12の例では、フレームF1の部分画像の画素C、およびフレームF5の部分画像の画素Cと同じ位置にある撮像画像上の画素のそれぞれが、部位Cの要素を含む領域の一番端の画素となる。
【0214】
このような部位Cの要素を含む撮像画像上の領域は、着目画素を中心とし、その中心から着目画素の動きベクトルの大きさの距離の範囲内の領域となるはずである。したがって、着目画素から、着目画素の動きベクトルの大きさの距離の範囲内の画素を予測タップとすれば、精度よく注目画素を予測する変換係数が得られるはずである。そこで、学習装置71(または画像生成装置11)では、図3に示した画像が生徒画像であるとした場合に、生徒画像(または入力画像)上の注目画素と同じ位置にある画素G11および画素G11に隣接する画素と、画素G11から動きベクトルmvの大きさのk倍(但し、0<k≦1)の距離にある画素G12、および画素G12に隣接する画素とが予測タップとして抽出される。
【0215】
特に、学習時には、これらの予測タップが用いられて学習処理が行われるため、注目画素とより関係の深い画素(予測タップ)に乗算される係数が大きくなるような変換係数のセットが求まる。したがって、この変換係数を用いれば、より少ない数の予測タップで、より精度よく注目画素を予測することができるようになり、動きぼけ除去の効果を向上させることができる。さらに、少ない予測タップ数で注目画素の予測演算が可能となるので、より小さい規模のハードウェアで画像生成装置11を実現することができる。
【0216】
また、図12の例で、撮像画像のフレーム(現フレーム)の時間的に前後のフレームの撮像画像にも、部位Cの要素を含む画素が存在するため、現フレームと時間的に異なるフレームの撮像画像における部位Cの要素を含む画素を予測タップとしても、精度よく注目画素を予測することができる。各フレームの撮像画像上の、部位Cの要素を含む領域は、現フレームの場合と同様に、撮像画像(着目画素)の動きベクトルから求まる。
【0217】
そこで、学習装置71(または画像生成装置11)では、図3に示した画像が生徒画像であるとした場合に、前フレームの生徒画像(または入力画像)上の画素G13および画素G13に隣接する画素、並びに画素G14および画素G14に隣接する画素も、予測タップとして抽出される。ここで、画素G13は、生徒画像(または入力画像)上の注目画素と同じ位置にある画素G11’から動きベクトルmvとは反対方向に、動きベクトルmvと同じ大きさの距離だけ移動した位置にある画素であり、画素G14は、画素G11’から動きベクトルmvの大きさのk倍(但し、0<k≦1)の距離にある画素である。
【0218】
以上のように、学習処理およびクラス分類適応処理において、注目画素と同じ位置にある生徒画像および入力画像上の画素と空間的または時間的に近傍に位置する画素を予測タップとして用いることで、より精度よく注目画素を予測することができる。
【0219】
したがって、学習処理およびクラス分類適応処理において予測タップとされる画素は、図3に示した例に限らず、注目画素と同じ位置にある生徒画像および入力画像上の画素と空間的または時間的に近傍に位置する画素であればよい。
【0220】
例えば、クラス分類適応処理時に画像生成装置11に供給された入力画像から、図13に示すように、画素G11の時間的または空間的に近傍に位置する画素G81乃至画素G85、およびそれらの画素に隣接する画素が予測タップとして抽出されてもよい。なお、図13において、図3における場合と対応する部分には、同一の符号を付してあり、その説明は省略する。また、図13中、一番上側において、横方向に並ぶ画素(円)の列は、現フレームよりも時間的に1つ後のフレーム(以下、後フレームと称する)の入力画像を表している。
【0221】
例えば、画素G12が、現フレームの入力画像上において、画素G11から動きベクトルmvと反対方向に、動きベクトルmvの大きさMVのk倍(但し、0<k≦1)の距離の位置にある画素であるとする。この場合、画素G81は、現フレームの入力画像上における、画素G11から動きベクトルmvの方向に距離kMVの位置にある画素であり、画素G82は、前フレームの入力画像上における、画素G13から動きベクトルmvと反対方向に、距離kMVの位置にある画素である。
【0222】
また、画素G83は、画素G11と同じ位置にある後フレームの入力画像上の画素G11’’から動きベクトルmvの方向に距離MVの位置にある画素である。さらに、画素G84は、後フレームの入力画像上における、画素G83から動きベクトルmvと反対方向に、距離kMVの位置にある画素であり、画素G85は、後フレームの入力画像上における、画素G83から動きベクトルmvの方向に、距離kMVの位置にある画素である。
【0223】
このように、画素G11乃至画素G14および画素G81乃至画素G85と、それらの画素に垂直方向および水平方向に隣接する画素とのうちの、いくつかの画素を予測タップとして用いることで、より精度よく注目画素を予測することができる。また、同様の理由により、画素G11乃至画素G14および画素G81乃至画素G85のうちのいくつかの画素がクラスタップとされてもよい。
【0224】
なお、以上においては、学習装置71の生徒画像生成部82が、教師画像としての入力画像から過去画像および遷移画像を生成し、過去画像、遷移画像、および教師画像から生徒画像としての視覚画像を生成すると説明したが、図14に示すように、いくつかのフレームの教師画像を平均した画像を生徒画像としてもよい。なお、図14において、縦方向は時間を示しており、1つの円は、教師画像または生徒画像の1つのフレームを表している。
【0225】
例えば、図中、左側のフレームF11乃至フレームF13が、時間的に連続する教師画像のフレームであり、フレームF12が教師画像の現フレームであるとする。この場合、フレームF12の教師画像、フレームF12の時間的に1つ前のフレームF11の教師画像、およびフレームF12の時間的に1つ後のフレームF13の教師画像を平均して得られる画像が、フレームF12と同位相のフレームF14の生徒画像とされる。つまり、それらの教師画像の同じ位置にある画素の画素値の平均値が、それらの画素と同じ位置にある生徒画像の画素の画素値とされる。
【0226】
このように、時間的に連続する複数のフレームの教師画像を平均して得られる画像は、現フレームの教師画像に動きぼけが生じた画像である。図14の例により生成された生徒画像を用いた学習処理で得られた変換係数を用いて、入力画像の画像変換を行えば、入力画像自体に含まれる動きぼけ量を3分の1に低減させることが期待できる。また、この生徒画像を用いた学習処理により得られた変換係数による画像変換は、例えば、カメラでの撮影時におけるシャッタースピードを変換することに相当する。
【0227】
また、以上においては、学習処理時において、教師画像から生徒画像が生成されると説明したが、生徒画像から教師画像が生成されるようにしてもよい。そのような場合、学習装置71は、例えば、図15に示すように構成される。なお、図15において、図4における場合と対応する部分には、同じ符号を付してあり、その説明は省略する。
【0228】
図15に示す学習装置71は、生徒画像生成部82に代えて教師画像生成部141が設けられている点で、図4の学習装置71とは異なる。図15の学習装置71には、生徒画像として入力画像が入力され、この生徒画像は、教師画像生成部141、動きベクトル検出部83、クラスタップ抽出部84、および予測タップ抽出部86に供給される。なお、生徒画像として入力される入力画像は、画像生成装置11に入力される入力画像と同じ画像である。
【0229】
教師画像生成部141は、供給された生徒画像を用いて教師画像を生成し、注目画素抽出部81に供給する。具体的には、教師画像生成部141は、生徒画像としての入力画像から視覚画像を生成し、入力画像と視覚画像との差分を、入力画像に加算して得られる画像を教師画像とする。この教師画像は、教師画像をそのまま画像生成装置11の表示部27に表示させた場合に、入力画像が表示されていると観察者が知覚する画像である。
【0230】
教師画像生成部141は、より詳細には、図16に示すように構成される。すなわち、教師画像生成部141は、動きベクトル検出部171、動き補償部172、応答モデル保持部173、動き補償部174、積分部175、および差分補償部176から構成される。
【0231】
教師画像生成部141では、入力された生徒画像は、動きベクトル検出部171、動き補償部172、および差分補償部176に供給される。なお、教師画像生成部141における動きベクトル検出部171乃至積分部175は、図5の動きベクトル検出部111乃至積分部115と同様であるため、その説明は省略する。すなわち、動きベクトル検出部171乃至積分部175により、生徒画像としての入力画像に対する視覚画像が生成される。そして、生成された視覚画像は、積分部175から差分補償部176に供給される。
【0232】
差分補償部176は、供給された生徒画像としての入力画像、および積分部175から供給された視覚画像に基づいて差分補償を行い、教師画像、より詳細には教師画像信号を生成して、注目画素抽出部81に供給する。
【0233】
次に、図17のフローチャートを参照して、図15の学習装置71により行われる学習処理について説明する。
【0234】
学習装置71に生徒画像信号が供給されると、ステップS111において、教師画像生成部141は、教師画像生成処理を行い、供給された生徒画像信号を用いて教師画像信号を生成し、注目画素抽出部81に供給する。なお、教師画像生成処理の詳細は後述する。
【0235】
教師画像生成処理が行われて教師画像が生成されると、その後、ステップS112乃至ステップS121の処理が行われて学習処理は終了するが、これらの処理は、図6のステップS42乃至ステップS51の処理と同様であるので、その説明は省略する。
【0236】
すなわち、教師画像および生徒画像が用いられて立てられたクラスごとの正規方程式が解かれて、変換係数が求められ、求められた変換係数が係数生成部88に記録される。このようにして求められた変換係数は、画像生成装置11の係数保持部25に記録されて、クラス分類適応処理による表示画像の生成に用いられる。
【0237】
このようにして、学習装置71は、生徒画像から教師画像を生成し、教師画像および生徒画像を用いて変換係数を求める。
【0238】
このように、生徒画像から教師画像を生成し、教師画像および生徒画像を用いて変換係数を求めることで、より簡単な処理で、入力画像をより高品質な表示画像に変換するための変換係数を求めることができる。したがって、求めた変換係数を用いて、より簡単に画像の画質の劣化を改善することができるようになる。
【0239】
次に、図18のフローチャートを参照して、図17のステップS111の処理に対応する教師画像生成処理について説明する。
【0240】
なお、ステップS151乃至ステップS155の処理のそれぞれは、図7のステップS81乃至ステップS85の処理のそれぞれと同様であるので、その説明は省略する。すなわち、生徒画像として供給された入力画像から、入力画像の過去画像および遷移画像が生成されて、過去画像、遷移画像、および入力画像から視覚画像が生成される。そして、生成された視覚画像は、積分部175から差分補償部176に供給される。
【0241】
ステップS156において、差分補償部176は、供給された生徒画像、および積分部175から供給された視覚画像に基づいて差分補償を行い、教師画像を生成する。そして、差分補償部176は、生成した教師画像を注目画素抽出部81に供給して教師画像生成処理は終了し、処理は図17のステップS112に進む。
【0242】
例えば、差分補償部176は、生徒画像の各画素について、生徒画像の着目する画素の画素値と、その画素と同じ位置にある視覚画像の画素の画素値との差分を求める。さらに、差分補償部176は、求められた差分を、生徒画像の着目する画素の画素値に加算して得られる値を、生徒画像の着目する画素と同じ位置にある教師画像の画素の画素値とする。
【0243】
このようにして、教師画像生成部141は、生徒画像としての入力画像から視覚画像を生成し、生成した視覚画像を用いて、さらに教師画像を生成する。このように、生成した教師画像を用いて学習処理を行えば、入力画像を、表示部27に入力画像が表示されていると観察者に知覚させる画像、つまり動きぼけのない鮮明な画像に変換する変換係数を得ることができる。
【0244】
例えば、所定の画像をxとし、表示部27に表示される画像を、その画像を観察する観察者が知覚する画像に変換する関数を視覚フィルタ関数f(x)とする。また、視覚フィルタ関数f(x)の逆関数をf-1(x)、表示部27に表示される画像をx’、画像x’が表示部27に表示されたときに観察者が知覚する画像をx’’とする。
【0245】
このとき、表示部27に画像xを表示させると、画像x’=画像xであり、画像x’’=f(x)となる。そこで、画像x、つまり入力画像を生徒画像とし、この画像xを逆関数f-1(x)に代入して得られる画像、つまり入力画像と視覚画像との差分を入力画像に加算して得られる画像を、教師画像として学習処理を行うと、逆関数f-1(x)による変換を行うための変換係数が求まる。
【0246】
このようにして求められた変換係数を用いて、画像xにクラス分類適応処理を施すと画像f-1(x)が得られるので、この画像f-1(x)を表示部27に表示させると、観察者により知覚される画像x’’は、画像x’’=f(f-1(x))≒xとなる。したがって、観察者には、動きぼけのない画像xが表示部27に表示されているように見える。
【0247】
但し、この方法では、教師画像f-1(x)を生成するときに誤差が生じてしまう。つまり、生成された教師画像f-1(x)が、最終的に観察者に知覚させたい画像を表示させる画像とはならない場合がある。そのため、図4の学習装置71による学習処理のように、動きぼけが生じた画像f(x)を生徒画像とし、最終的に観察者に知覚させたい入力画像である画像xを教師画像として、逆関数f-1(x)による変換を行うための変換係数を求めた方が、より少ない誤差で変換係数を求めることができる。つまり、より動きぼけのない画像が表示されているように観察者に知覚させる画像を得るための変換係数を求めることができる。
【0248】
さらに、以上においては、変換係数を用いて、入力画像を、入力画像と同じフレームレートの表示画像に変換する例について説明した。しかしながら、このような動きぼけの除去された表示画像を表示すると、いわゆるジャーキネスが生じて、表示画像上の移動物体の動きの滑らかさが損なわれてしまう場合がある。
【0249】
そこで、表示画像上において、移動物体がより滑らかに移動しているように観察者に知覚されるように、入力画像のフレームレートより大きいフレームレートの表示画像が生成されるようにしてもよい。そのような場合、例えば、図19に示すように、フレームレートが入力画像の倍となるように表示画像が生成される。なお、図19において、1つの円は、1つのフレームの入力画像または表示画像を表しており、縦方向は時間を示している。
【0250】
図19の例では、フレームF31乃至フレームF34が、時間的に連続する入力画像のフレームであり、それらのフレームの入力画像は、時間tの間隔で表示されるものとする。ここで、各フレームが表示される順番は、表示時刻の早い順にフレームF31乃至フレームF34であるものとする。
【0251】
また、これらのフレームF31乃至フレームF34の入力画像から、クラス分類適応処理により、2倍のフレームレートの表示画像、具体的には、時間的に連続するフレームF41乃至フレームF46の表示画像が生成される。ここで、各フレームが表示される順番は、表示時刻の早い順にフレームF41乃至フレームF46であり、表示画像の表示時間間隔は、t/2である。
【0252】
例えば、フレームF32の入力画像を処理の対象となっている現フレームの入力画像とすると、現フレームの直前のフレームであるフレームF31の入力画像と、フレームF32の入力画像とから、フレームF41およびフレームF42の表示画像が生成される。
【0253】
また、各フレームの入力画像と、各フレームの表示画像とでは、位相が異なっている。つまり、各フレームの表示時刻が異なっている。例えば、フレームF31の入力画像の表示時刻をt0とすると、フレームF32の入力画像の表示時刻は、(t0+t)である。一方、フレームF41の表示時刻は(t0+t/4)であり、フレームF42の表示時刻は(t0+3t/4)である。
【0254】
フレームF41の表示画像も、フレームF42の表示画像もフレームF31およびフレームF32の入力画像から生成されるものであるが、それらの表示画像の位相は互いに異なるので、現フレームに対する相対的な位相の位置に応じて、異なる変換係数が必要となる。その理由は、表示画像上の注目画素とされる画像と、入力画像の予測タップおよびクラスタップとされる画素との相対的な位置関係が、現フレームの入力画像に対する、生成しようとする表示画像の相対的な位相の関係によって変化するからである。
【0255】
いま、現フレームと、前フレームとの間の位相の2つのフレームの表示画像のうち、現フレームに対してより位相の遠いフレームの表示画像を、前位相のフレームの表示画像と称し、現フレームに対してより位相の近いフレームの表示画像を、後位相のフレームの表示画像と称することとする。例えば、現フレームがフレームF32であるとすると、前位相のフレームはフレームF41であり、後位相のフレームは、フレームF42である。
【0256】
このように、入力画像の倍のフレームレートの表示画像が生成される場合、前位相のフレームの表示画像を生成するときに用いられる前位相用の変換係数と、後位相のフレームの表示画像を生成するときに用いられる後位相用の変換係数とが用意される。
【0257】
このような前位相用の変換係数、および後位相用の変換係数を生成する学習装置は、例えば、図20に示すように構成される。
【0258】
学習装置201は、注目画素抽出部81、動きベクトル検出部83、クラスタップ抽出部84、クラス分類部85、予測タップ抽出部86、演算部87、係数生成部88、および生徒画像生成部211から構成される。なお、図20において、図4における場合と対応する部分には、同一の符号を付してあり、その説明は省略する。
【0259】
学習装置201には、教師画像として入力画像が供給される。この入力画像は、学習装置201の注目画素抽出部81および生徒画像生成部211に供給される。生徒画像生成部211は、供給された現フレームの教師画像と、その現フレームの時間的に1つ前の前フレームの教師画像とを用いて生徒画像を生成し、動きベクトル検出部83、クラスタップ抽出部84、および予測タップ抽出部86に供給する。
【0260】
この生徒画像生成部211は、より詳細には、図21に示すように構成される。すなわち、生徒画像生成部211は、平均画像生成部241、動きベクトル検出部242、動き補償部243、応答モデル保持部244、動き補償部245、および積分部246から構成される。
【0261】
平均画像生成部241は、供給された現フレームの教師画像と、その現フレームの時間的に1つ前の前フレームの教師画像とを用いて、それらの教師画像を平均した画像である平均画像を生成して、動きベクトル検出部242および動き補償部243に供給する。すなわち、平均画像生成部241は、前回供給された、前フレームの教師画像を保持しており、保持している前フレームの教師画像と、今回供給された現フレームの教師画像とを用いて、平均画像を生成する。この平均画像の画素の画素値は、その画素と同じ位置にある前フレームおよび現フレームの教師画像の画素の画素値の平均値とされる。
【0262】
なお、動きベクトル検出部242乃至積分部246のそれぞれは、図5の動きベクトル検出部111乃至積分部115のそれぞれと同様であるため、その説明は省略する。つまり、平均画像生成部241により生成された平均画像が動きベクトル検出部242および動き補償部243に供給されると、動きベクトル検出部242乃至積分部246により、平均画像が用いられて、平均画像に対する視覚画像が生徒画像として生成される。
【0263】
次に、図22のフローチャートを参照して、学習装置201により行われる学習処理について説明する。
【0264】
ステップS181において、生徒画像生成部211は、生徒画像生成処理を行って供給された教師画像としての入力画像を用いて生徒画像を生成し、動きベクトル検出部83、クラスタップ抽出部84、および予測タップ抽出部86に供給する。なお、生徒画像生成処理の詳細は後述する。
【0265】
ステップS182において、注目画素抽出部81は、供給された教師画像上の画素を注目画素とし、教師画像信号から注目画素を抽出して演算部87に供給する。
【0266】
ステップS183において、動きベクトル検出部83は、生徒画像生成部211から供給されたフレームの生徒画像と、そのフレームの直前のフレームの生徒画像とを用いて、生徒画像生成部211から供給されたフレームの生徒画像上の注目画素と対応する画素の動きベクトルを検出する。
【0267】
ここで、今回、生徒画像生成部211から供給された生徒画像のフレームを現フレームとし、現フレームの直前のフレームを前フレームとすると、注目画素に対応する生徒画像上の画素とは、前フレームの生徒画像上の画素の移動先である現フレームの生徒画像上の画素であって、注目画素が、移動前の画素と移動後の画素とを結ぶ動きベクトル上に位置するような画素をいう。
【0268】
すなわち、前フレームの生徒画像上の所定の画素と同じ位置にある、現フレームの生徒画像上の画素を移動元の画素と称し、前フレームの生徒画像上の所定の画素の移動先である現フレームの生徒画像上の画素、つまり所定の画素に表示される移動物体の部位が表示される、現フレームの生徒画像上の画素を移動先の画素と称することとする。この場合、現フレームの生徒画像上の移動元の画素と、移動先の画素とを結ぶベクトルが、移動先の画素の動きベクトルとなる。移動先の画素の動きベクトル上に、注目画素と同じ位置にある現フレームの生徒画像上の画素が位置している場合、この移動先の画素が、注目画素に対応する画素とされる。
【0269】
このようにして求められた注目画素に対応する生徒画像の画素の動きベクトルは、動きベクトル検出部83からクラスタップ抽出部84、クラス分類部85、および予測タップ抽出部86に供給される。
【0270】
ステップS184において、クラス分類部85は、動きベクトル検出部83からの動きベクトルに基づいて動きコードを生成する。
【0271】
ステップS185において、クラスタップ抽出部84は、教師画像における注目画素との対応をとりながら、動きベクトル検出部83からの動きベクトルと、生徒画像生成部211からの生徒画像とに基づいて、生徒画像からクラスタップを抽出する。
【0272】
例えば、学習処理により、後位相用の変換係数を生成しようとする場合、図23Aに示すように、注目画素G111に対応する現フレームの生徒画像上の画素G112および画素G113と、前フレームの生徒画像上の画素G114および画素G115とがクラスタップとして抽出される。なお、図23Aにおいて、縦方向は時間を示しており、横方向は生徒画像または教師画像における各画素の位置を示している。また、1つの円は、1つの画素を示している。
【0273】
画素G112は、注目画素G111に対応する現フレームの生徒画像上の画素であり、画素G113は、現フレームの生徒画像上における、画素G112から、画素G112の動きベクトルmv21と反対の方向に、動きベクトルmv21の大きさMV21のk倍(但し、0<k≦1)の距離の位置にある画素である。
【0274】
また、画素G114は、画素G112と同じ位置にある前フレームの生徒画像上の画素から、動きベクトルmv21と反対の方向に距離kMV21の位置にある画素であり、画素G115は、前フレームの生徒画像上の画素G114から、動きベクトルmv21の方向に、距離kMV21の位置にある画素である。
【0275】
このようにして生徒画像から抽出されたクラスタップを構成する画素G112乃至画素G115は、クラスタップ抽出部84からクラス分類部85に供給される。
【0276】
なお、クラスタップとされる画素G112乃至画素G115に対して、画素G112乃至画素G115と、それらの画素に、水平方向および垂直方向に隣接する画素とが、予測タップとして抽出される。すなわち、図23Bの左側に示すように、現フレームの生徒画像上の画素G112と、画素G112に上下左右に隣接する4つの画素とが予測タップとして抽出される。また、図23Bの右側に示すように、前フレームの生徒画像上の画素G114と、画素G114に上下左右に隣接する4つの画素とが予測タップとして抽出される。
【0277】
さらに、図23Cの左側に示すように、現フレームの生徒画像上の画素G113と、画素G113に上下左右に隣接する4つの画素とが予測タップとして抽出され、図23Cの右側に示すように、前フレームの生徒画像上の画素G115と、画素G115に上下左右に隣接する4つの画素とが予測タップとして抽出される。なお、図23Bおよび図23Cでは、予測タップとされる画素には、斜線が施されている。
【0278】
このように、学習装置201では、生徒画像上における注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にある画素がクラスタップまたは予測タップとして抽出される。
【0279】
図22のフローチャートの説明に戻り、クラスタップが抽出されると、その後、ステップS186乃至ステップS191の処理が行われ、学習処理は終了するが、これらの処理は、図6のステップS46乃至ステップS51の処理のそれぞれと同様であるため、その説明は省略する。なお、ステップS188の処理では、例えば、図23Bおよび図23Cに示した画素G112乃至画素G115と、それらの画素に隣接する画素が、予測タップとして抽出される。
【0280】
このようにして、学習装置201は、教師画像としての入力画像から、生徒画像としての視覚画像を生成し、教師画像および生徒画像を用いて位相ごとの変換係数、つまり前位相用の変換係数または後位相用の変換係数を求める。なお、前位相用の変換係数を求める学習処理と、後位相用の変換係数を求める学習処理は、それぞれ個別に行われる。
【0281】
このように、入力画像を教師画像とし、視覚画像を生徒画像として変換係数を求めることで、より簡単な処理で、入力画像をより高品質な表示画像に変換するための変換係数を求めることができる。したがって、求めた変換係数を用いて、より簡単に画像の画質の劣化を改善することができるようになる。しかも、位相ごとの変換係数を用いて入力画像を表示画像に変換すれば、入力画像の倍のフレームレートの表示画像を得ることができ、ジャーキネスの発生を抑制することもできる。
【0282】
次に、図24のフローチャートを参照して、図22のステップS181の処理に対応する処理である生徒画像生成処理について説明する。
【0283】
ステップS221において、平均画像生成部241は、今回、供給されたフレームの教師画像と、そのフレームの時間的に1つ前のフレームの教師画像とを用いて平均画像を生成し、動きベクトル検出部242および動き補償部243に供給する。
【0284】
例えば、図25に示すように、時間的に連続する2つのフレームF61およびフレームF62の教師画像を平均して、フレームF61とフレームF62との間にある位相のフレームF71の平均画像を生成する。なお、図25において、縦方向は時間を示しており、1つの円は、教師画像または平均画像の1つのフレームを表している。
【0285】
図25の例では、教師画像に対して2倍の動きぼけ量の平均画像が得られる。また、フレームF61の教師画像が、生成されたフレームF71の平均画像から得られる生徒画像に対する後位相のフレームとなる。つまり、フレームF71の平均画像から得られた生徒画像と、そのフレームF71の直前のフレームの生徒画像とが学習に用いられる場合、後位相用の変換係数の学習時には、フレームF61の入力画像が教師画像として用いられ、前位相用の変換係数の学習時には、フレームF61の直前のフレームの入力画像が教師画像として用いられる。
【0286】
図24のフローチャートの説明に戻り、平均画像が生成されると、その後、ステップS222乃至ステップS226の処理が行われるが、これらの処理は、図7のステップS81乃至ステップS85の処理と同様であるので、その説明は省略する。すなわち、生成された平均画像から、平均画像に対する視覚画像が生徒画像として生成される。
【0287】
ステップS226において生徒画像が生成されて、積分部246から動きベクトル検出部83、クラスタップ抽出部84、および予測タップ抽出部86に生徒画像が供給されると生徒画像生成処理は終了して、処理は図22のステップS182に進む。
【0288】
このようにして、教師画像から、教師画像の半分のフレームレートの平均画像が生成され、平均画像から生徒画像としての視覚画像が生成される。
【0289】
以上のようにして学習装置201により生成された、前位相用の変換係数および後位相用の変換係数を用いて入力画像を表示画像に変換する画像生成装置は、例えば、図26に示すように構成される。
【0290】
画像生成装置271は、クラスタップ抽出部22、クラス分類部23、予測タップ抽出部24、積和演算部26、表示部27、動きベクトル検出部281、および係数保持部282から構成される。なお、図26において、図1における場合と対応する部分には、同一の符号を付してあり、その説明は省略する。
【0291】
画像生成装置271の動きベクトル検出部281、クラスタップ抽出部22、および予測タップ抽出部24には、入力画像が供給される。動きベクトル検出部281は、これから生成しようとする表示画像の画素を注目画素として、供給された入力画像に基づいて、注目画素に対応する入力画像の画素の動きベクトルを検出する。
【0292】
ここで、注目画素に対応する入力画像の画素とは、入力画像の画素のうち、注目画素に対して、学習処理時の注目画素に対応する生徒画像の画素と同じ位置関係にある画素をいう。例えば、図23Aの画素G111が表示画像上の注目画素であり、画素G112が、供給されたフレームの入力画像上の画素であるとすると、注目画素に対応する入力画像の画素は、画素G112となる。
【0293】
また、動きベクトル検出部281は、検出した動きベクトルをクラスタップ抽出部22、クラス分類部23、および予測タップ抽出部24に供給する。
【0294】
係数保持部282は、学習装置201により生成された、前位相用の変換係数および後位相用の変換係数を保持しており、クラス分類部23からのクラスコードに応じて、保持している前位相用の変換係数または後位相用の変換係数を積和演算部26に供給する。
【0295】
このように構成される画像生成装置271に入力画像が供給されると、画像生成装置271により、表示画像を生成して表示する処理である表示処理が開始される。以下、図27のフローチャートを参照して、画像生成装置271による表示処理について説明する。
【0296】
ステップS251において、動きベクトル検出部281は、これから生成しようとする表示画像の画素を注目画素とし、供給されたフレームの入力画像と、そのフレームの直前のフレームの入力画像とを用いて、例えばブロックマッチングや勾配法などにより、注目画素に対応する入力画像の画素の動きベクトルを検出する。検出された動きベクトルは、動きベクトル検出部281からクラス分類部23、クラスタップ抽出部22、および予測タップ抽出部24に供給される。
【0297】
その後、ステップS252乃至ステップS259の処理が行われて、表示処理は終了するが、これらの処理は、図2のステップS12乃至ステップS19の処理と同様であるので、その説明は省略する。
【0298】
なお、入力画像上における注目画素と同じ位置から、空間的または時間的に近傍に位置する画素のいくつかが、クラスタップまたは予測タップとして抽出される。例えば、図23Aの画素G111が表示画像上の注目画素であり、画素G112が、供給されたフレームの入力画像上の注目画素に対応する画素であるとすると、画素G112乃至画素G115がクラスタップとして入力画像から抽出される。また、画素G112乃至画素G115と、それらの画素に隣接する画素とが予測タップとして入力画像から抽出される。
【0299】
さらに、係数保持部282から積和演算部26には、前位相のフレームの表示画像が生成されるときには、クラスコードにより特定される、前位相用の変換係数が供給される。同様に、後位相のフレームの表示画像が生成されるときには、係数保持部282から積和演算部26には、クラスコードにより特定される、後位相用の変換係数が供給される。
【0300】
このようにして、画像生成装置271は、供給された入力画像から前位相または後位相の表示画像を生成し、表示部27に表示させる。なお、前位相または後位相のフレームの表示画像が生成されて表示される表示処理は、フレームごとに個別に行われる。
【0301】
また、以上においては、前位相用および後位相用の変換係数の学習処理時に、教師画像としての入力画像から生徒画像を生成すると説明したが、学習処理時に入力画像から生徒画像および教師画像が生成されるようにしてもよい。
【0302】
そのような場合、例えば学習装置は、図28に示す構成とされる。図28の学習装置311は、平均画像生成部241、教師画像生成部141、注目画素抽出部81、動きベクトル検出部83、クラスタップ抽出部84、クラス分類部85、予測タップ抽出部86、演算部87、および係数生成部88から構成される。なお、図28において、図15、図20、および図21における場合と対応する部分には、同一の符号を付してあり、その説明は適宜、省略する。
【0303】
学習装置311の平均画像生成部241および教師画像生成部141には、入力画像が供給される。平均画像生成部241は、供給された入力画像から平均画像を生成し、生成した平均画像を生徒画像として動きベクトル検出部83、クラスタップ抽出部84、および予測タップ抽出部86に供給する。
【0304】
教師画像生成部141は、供給された入力画像から視覚画像を生成し、入力画像と視覚画像との差分を、入力画像に加算して得られる画像を教師画像とする。この教師画像は、教師画像をそのまま画像生成装置271の表示部27に表示させた場合に、入力画像が表示されていると観察者が知覚する画像である。教師画像生成部141は、生成した教師画像を注目画素抽出部81に供給する。
【0305】
次に、図29のフローチャートを参照して、学習装置311による学習処理について説明する。この学習装置によって、前位相用または後位相用の変換係数が生成される。
【0306】
ステップS291において、教師画像生成部141は、供給された入力画像を用いて教師画像生成処理を行って教師画像を生成し、生成した教師画像を注目画素抽出部81に供給する。この教師画像生成処理は、図17のステップS111の処理、つまり図18のフローチャートを参照して説明した処理と同様であるので、その説明は省略する。
【0307】
ステップS292において、平均画像生成部241は、供給された入力画像から生徒画像を生成し、生成した生徒画像を動きベクトル検出部83、クラスタップ抽出部84、および予測タップ抽出部86に供給する。すなわち、平均画像生成部241は、今回、供給されたフレームの入力画像と、そのフレームの時間的に1つ前のフレームの入力画像とを用いて平均画像を生成し、その平均画像を生徒画像とする。
【0308】
生徒画像が生成されると、その後、ステップS293乃至ステップS302の処理が行われて、学習処理は終了するが、これらの処理は、図22のステップS182乃至ステップS191の処理と同様であるため、その説明は省略する。
【0309】
このようにして、学習装置311は、供給された入力画像から生徒画像および教師画像を生成して位相ごとの変換係数、つまり前位相用の変換係数または後位相用の変換係数を求める。なお、前位相用の変換係数を求める学習処理と、後位相用の変換係数を求める学習処理は、それぞれ個別に行われる。
【0310】
このように、供給された入力画像から生徒画像および教師画像を生成して変換係数を求めることで、より簡単な処理で、入力画像をより高品質な表示画像に変換するための変換係数を求めることができる。したがって、求めた変換係数を用いて、より簡単に画像の画質の劣化を改善することができるようになる。
【0311】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0312】
図30は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0313】
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)501,ROM(Read Only Memory)502,RAM(Random Access Memory)503は、バス504により相互に接続されている。
【0314】
バス504には、さらに、入出力インターフェース505が接続されている。入出力インターフェース505には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部506、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部507、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記録部508、ネットワークインターフェースなどよりなる通信部509、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア511を駆動するドライブ510が接続されている。
【0315】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU501が、例えば、記録部508に記録されているプログラムを、入出力インターフェース505及びバス504を介して、RAM503にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0316】
コンピュータ(CPU501)が実行するプログラムは、例えば、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)等)、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディア511に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供される。
【0317】
そして、プログラムは、リムーバブルメディア511をドライブ510に装着することにより、入出力インターフェース505を介して、記録部508にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部509で受信し、記録部508にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM502や記録部508に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0318】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0319】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0320】
【図1】本発明を適用した画像生成装置の一実施の形態の構成例を示す図である。
【図2】表示処理を説明するフローチャートである。
【図3】クラスタップおよび予測タップの例を示す図である。
【図4】本発明を適用した学習装置の一実施の形態の構成例を示す図である。
【図5】生徒画像生成部の構成例を示す図である。
【図6】学習処理を説明するフローチャートである。
【図7】生徒画像生成処理を説明するフローチャートである。
【図8】過去画像の生成を説明する図である。
【図9】応答モデルについて説明する図である。
【図10】遷移画像について説明する図である。
【図11】追従画素について説明する図である。
【図12】予測タップについて説明する図である。
【図13】クラスタップおよび予測タップの他の例を示す図である。
【図14】生徒画像の生成について説明する図である。
【図15】学習装置の他の構成例を示す図である。
【図16】教師画像生成部の構成例を示す図である。
【図17】学習処理を説明するフローチャートである。
【図18】教師画像生成処理を説明するフローチャートである。
【図19】フレームレート変換について説明する図である。
【図20】学習装置の他の構成例を示す図である。
【図21】生徒画像生成部の構成例を示す図である。
【図22】学習処理を説明するフローチャートである。
【図23】クラスタップおよび予測タップの例を示す図である。
【図24】生徒画像生成処理を説明するフローチャートである。
【図25】平均画像の生成を説明する図である。
【図26】画像生成装置の他の構成例を示す図である。
【図27】表示処理を説明するフローチャートである。
【図28】学習装置の他の構成例を示す図である。
【図29】学習処理を説明するフローチャートである。
【図30】コンピュータの構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0321】
11 画像生成装置, 21 動きベクトル検出部, 22 クラスタップ抽出部, 23 クラス分類部, 24 予測タップ抽出部, 26 積和演算部, 27 表示部, 71 学習装置, 82 生徒画像生成部, 83 動きベクトル検出部, 84 クラスタップ抽出部, 85 クラス分類部, 86 予測タップ抽出部, 87 演算部, 88 係数生成部, 113 応答モデル保持部, 115 積分部, 141 教師画像生成部, 173 応答モデル保持部, 175 積分部, 176 差分補償部, 211 生徒画像生成部, 241 平均画像生成部, 271 画像生成装置, 311 学習装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた表示手段に表示された場合に、入力画像が表示されていると観察者が知覚する表示画像の表示画像信号に、前記入力画像の入力画像信号を変換する変換係数を生成する係数生成装置であって、
前記変換係数を求めるために用いられ、前記表示画像に対応する教師画像の教師画像信号、および前記教師画像から検出された動きベクトルに基づいて、前記教師画像の1フレーム前の教師画像に対応する過去画像の過去画像信号を生成する過去画像生成手段と、
前記教師画像信号および前記過去画像信号に基づいて、前記表示手段に前記過去画像が表示された後、前記教師画像が表示される場合に、前記過去画像から前記教師画像に表示が切り替わるまでの間に前記表示手段に表示される遷移画像の遷移画像信号を生成する遷移画像生成手段と、
前記過去画像信号、前記遷移画像信号、前記教師画像信号、および前記動きベクトルを用いて、前記過去画像、前記遷移画像、および前記教師画像のそれぞれの画素であって、前記過去画像から前記教師画像に表示が切り替わるまでの間に前記観察者が目で追うと予測される画素の画素値の平均値を求め、前記平均値を、前記教師画像が前記表示手段に表示された場合に前記観察者に知覚される視覚画像の画素の画素値とすることで、前記変換係数を求めるために用いられ、前記入力画像に対応する生徒画像としての前記視覚画像の視覚画像信号を生成する視覚画像生成手段と、
前記教師画像の注目している注目画素の画素値と、前記生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における前記注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にある画素の画素値とを用いて、前記変換係数を求める演算手段と
を備える係数生成装置。
【請求項2】
前記遷移画像生成手段は、前記表示手段の発光特性を示すモデルと、前記教師画像信号および前記過去画像信号とを用いて、前記遷移画像信号を生成する
請求項1に記載の係数生成装置。
【請求項3】
前記演算手段は、
前記生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における前記注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値を、前記注目画素を複数のクラスのうちの何れかにクラス分けするクラス分類を行うのに用いられるクラスタップとして、前記生徒画像信号から抽出するクラスタップ抽出手段と、
前記生徒画像から検出された動きベクトルの大きさと、前記クラスタップとに基づいて、前記注目画素をクラス分類するクラス分類手段と、
前記生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における前記注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値を、前記注目画素を予測するのに用いられる予測タップとして、前記生徒画像信号から抽出する予測タップ抽出手段と、
前記注目画素の画素値および前記予測タップに対して、前記注目画素の前記クラスごとに立てられた、前記注目画素の画素値、前記予測タップ、および前記変換係数の関係を示す正規方程式を解くことで、前記クラスごとの前記変換係数を求める係数生成手段と
を備える請求項2に記載の係数生成装置。
【請求項4】
予め定められた表示手段に表示された場合に、入力画像が表示されていると観察者が知覚する表示画像の表示画像信号に、前記入力画像の入力画像信号を変換する変換係数を生成する係数生成装置であり、
前記変換係数を求めるために用いられ、前記表示画像に対応する教師画像の1フレーム前の教師画像に対応する過去画像の過去画像信号を生成する過去画像生成手段と、
前記表示手段に前記過去画像が表示された後、前記教師画像が表示される場合に、前記過去画像から前記教師画像に表示が切り替わるまでの間に前記表示手段に表示される遷移画像の遷移画像信号を生成する遷移画像生成手段と、
前記変換係数を求めるために用いられ、前記入力画像に対応する生徒画像として、前記教師画像が前記表示手段に表示された場合に前記観察者に知覚される視覚画像の視覚画像信号を生成する視覚画像生成手段と、
前記教師画像の注目している注目画素の画素値と、前記生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における前記注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にある画素の画素値とを用いて、前記変換係数を求める演算手段と
を備える係数生成装置の係数生成方法であって、
前記過去画像生成手段が、前記教師画像の教師画像信号、および前記教師画像から検出された動きベクトルに基づいて、前記過去画像の過去画像信号を生成し、
前記遷移画像生成手段が、前記教師画像信号および前記過去画像信号に基づいて、前記遷移画像の遷移画像信号を生成し、
前記視覚画像生成手段が、前記過去画像信号、前記遷移画像信号、前記教師画像信号、および前記教師画像から検出された動きベクトルを用いて、前記過去画像、前記遷移画像、および前記教師画像のそれぞれの画素であって、前記過去画像から前記教師画像に表示が切り替わるまでの間に前記観察者が目で追うと予測される画素の画素値の平均値を求め、前記平均値を、前記視覚画像の画素の画素値とすることで、前記視覚画像の視覚画像信号を生成し、
前記演算手段が、前記注目画素の画素値と、前記生徒画像における前記注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にある画素の画素値とを用いて、前記変換係数を求める
ステップを含む係数生成方法。
【請求項5】
予め定められた表示手段に表示された場合に、入力画像が表示されていると観察者が知覚する表示画像の表示画像信号に、前記入力画像の入力画像信号を変換する変換係数を生成する係数生成装置に、
前記変換係数を求めるために用いられ、前記表示画像に対応する教師画像の教師画像信号、および前記教師画像から検出された動きベクトルに基づいて、前記教師画像の1フレーム前の教師画像に対応する過去画像の過去画像信号を生成し、
前記教師画像信号および前記過去画像信号に基づいて、前記表示手段に前記過去画像が表示された後、前記教師画像が表示される場合に、前記過去画像から前記教師画像に表示が切り替わるまでの間に前記表示手段に表示される遷移画像の遷移画像信号を生成し、
前記過去画像信号、前記遷移画像信号、前記教師画像信号、および前記動きベクトルを用いて、前記過去画像、前記遷移画像、および前記教師画像のそれぞれの画素であって、前記過去画像から前記教師画像に表示が切り替わるまでの間に前記観察者が目で追うと予測される画素の画素値の平均値を求め、前記平均値を、前記教師画像が前記表示手段に表示された場合に前記観察者に知覚される視覚画像の画素の画素値とすることで、前記変換係数を求めるために用いられ、前記入力画像に対応する生徒画像としての前記視覚画像の視覚画像信号を生成し、
前記教師画像の注目している注目画素の画素値と、前記生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における前記注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にある画素の画素値とを用いて、前記変換係数を求める
ステップを含む処理を実行させるプログラム。
【請求項6】
予め定められた表示手段に表示された場合に、入力画像が表示されていると観察者が知覚する表示画像の表示画像信号に、前記入力画像の入力画像信号を変換する画像生成装置であって、
これから生成しようとする前記表示画像の注目している画素を第1の注目画素とし、前記入力画像から検出された動きベクトルから定まり、前記入力画像における前記第1の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値を、前記第1の注目画素を予測するのに用いられる予測タップとして、前記入力画像信号から抽出する予測タップ抽出手段と、
予め求められている変換係数と、前記予測タップとを線形結合することにより、前記第1の注目画素の画素値を予測演算する予測演算手段と
を備え、
前記変換係数は、
前記表示画像に対応する教師画像の注目している第2の注目画素の画素値と、
前記入力画像に対応する生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における、前記第2の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にある画素の画素値と
が用いられて求められ、
前記生徒画像は、
前記教師画像の教師画像信号と、
前記教師画像信号、および前記教師画像から検出された動きベクトルに基づいて生成された、前記教師画像の1フレーム前の教師画像に対応する過去画像の過去画像信号と、
前記表示手段の発光特性を示すモデルと、前記教師画像信号および前記過去画像信号とに基づいて生成された、前記表示手段に前記過去画像が表示された後、前記教師画像が表示される場合に、前記過去画像から前記教師画像に表示が切り替わるまでの間に前記表示手段に表示される遷移画像の遷移画像信号と、
前記教師画像から検出された動きベクトルと
を用いて、
前記過去画像、前記遷移画像、および前記教師画像のそれぞれの画素であって、前記過去画像から前記教師画像に表示が切り替わるまでの間に前記観察者が目で追うと予測される画素の画素値の平均値を求め、前記平均値を、前記教師画像が前記表示手段に表示された場合に前記観察者に知覚される視覚画像の画素の画素値とすることで生成される、前記視覚画像である
画像生成装置。
【請求項7】
前記入力画像から検出された動きベクトルから定まり、前記入力画像における前記第1の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値を、前記第1の注目画素を複数のクラスのうちの何れかにクラス分けするクラス分類を行うのに用いられるクラスタップとして、前記入力画像信号から抽出するクラスタップ抽出手段と、
前記入力画像から検出された動きベクトルの大きさと、前記クラスタップとに基づいて、前記第1の注目画素をクラス分類するクラス分類手段と
をさらに備え、
前記予測演算手段は、前記第1の注目画素のクラスに対して予め求められている前記変換係数を用いて、前記第1の注目画素の画素値を予測演算する
請求項6に記載の画像生成装置。
【請求項8】
前記変換係数は、
前記生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における、前記第2の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値を、前記クラスタップとして、前記生徒画像信号から抽出し、
前記生徒画像から検出された動きベクトルの大きさと、前記生徒画像信号から抽出された前記クラスタップとに基づいて、前記第2の注目画素をクラス分類し、
前記生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における、前記第2の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値を、前記予測タップとして、前記生徒画像信号から抽出し、
前記第2の注目画素の画素値および前記生徒画像信号から抽出された前記予測タップに対して、前記第2の注目画素の前記クラスごとに立てられた、前記第2の注目画素の画素値、前記生徒画像信号から抽出された前記予測タップ、および前記変換係数の関係を示す正規方程式を解くことにより、
前記クラスごとに求められる
請求項7に記載の画像生成装置。
【請求項9】
予め定められた表示手段に表示された場合に、入力画像が表示されていると観察者が知覚する表示画像の表示画像信号に、前記入力画像の入力画像信号を変換する画像生成装置であり、
これから生成しようとする前記表示画像の注目している画素を第1の注目画素とし、前記入力画像から検出された動きベクトルから定まり、前記入力画像における前記第1の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値を、前記第1の注目画素を予測するのに用いられる予測タップとして、前記入力画像信号から抽出する予測タップ抽出手段と、
予め求められている変換係数と、前記予測タップとを線形結合することにより、前記第1の注目画素の画素値を予測演算する予測演算手段と
を備える画像生成装置の画像生成方法であって、
前記予測タップ抽出手段が、前記入力画像信号から前記予測タップを抽出し、
前記予測演算手段が、前記変換係数と、前記予測タップとを線形結合することにより、前記第1の注目画素の画素値を予測演算する
ステップを含み、
前記変換係数は、
前記表示画像に対応する教師画像の注目している第2の注目画素の画素値と、
前記入力画像に対応する生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における、前記第2の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にある画素の画素値と
が用いられて求められ、
前記生徒画像は、
前記教師画像の教師画像信号と、
前記教師画像信号、および前記教師画像から検出された動きベクトルに基づいて生成された、前記教師画像の1フレーム前の教師画像に対応する過去画像の過去画像信号と、
前記表示手段の発光特性を示すモデルと、前記教師画像信号および前記過去画像信号とに基づいて生成された、前記表示手段に前記過去画像が表示された後、前記教師画像が表示される場合に、前記過去画像から前記教師画像に表示が切り替わるまでの間に前記表示手段に表示される遷移画像の遷移画像信号と、
前記教師画像から検出された動きベクトルと
を用いて、
前記過去画像、前記遷移画像、および前記教師画像のそれぞれの画素であって、前記過去画像から前記教師画像に表示が切り替わるまでの間に前記観察者が目で追うと予測される画素の画素値の平均値を求め、前記平均値を、前記教師画像が前記表示手段に表示された場合に前記観察者に知覚される視覚画像の画素の画素値とすることで生成される、前記視覚画像である
画像生成方法。
【請求項10】
予め定められた表示手段に表示された場合に、入力画像が表示されていると観察者が知覚する表示画像の表示画像信号に、前記入力画像の入力画像信号を変換する画像生成装置に、
これから生成しようとする前記表示画像の注目している画素を第1の注目画素とし、前記入力画像から検出された動きベクトルから定まり、前記入力画像における前記第1の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値を、前記第1の注目画素を予測するのに用いられる予測タップとして、前記入力画像信号から抽出し、
予め求められている変換係数と、前記予測タップとを線形結合することにより、前記第1の注目画素の画素値を予測演算する
ステップを含む処理を実行させ、
前記変換係数は、
前記表示画像に対応する教師画像の注目している第2の注目画素の画素値と、
前記入力画像に対応する生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における、前記第2の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にある画素の画素値と
が用いられて求められ、
前記生徒画像は、
前記教師画像の教師画像信号と、
前記教師画像信号、および前記教師画像から検出された動きベクトルに基づいて生成された、前記教師画像の1フレーム前の教師画像に対応する過去画像の過去画像信号と、
前記表示手段の発光特性を示すモデルと、前記教師画像信号および前記過去画像信号とに基づいて生成された、前記表示手段に前記過去画像が表示された後、前記教師画像が表示される場合に、前記過去画像から前記教師画像に表示が切り替わるまでの間に前記表示手段に表示される遷移画像の遷移画像信号と、
前記教師画像から検出された動きベクトルと
を用いて、
前記過去画像、前記遷移画像、および前記教師画像のそれぞれの画素であって、前記過去画像から前記教師画像に表示が切り替わるまでの間に前記観察者が目で追うと予測される画素の画素値の平均値を求め、前記平均値を、前記教師画像が前記表示手段に表示された場合に前記観察者に知覚される視覚画像の画素の画素値とすることで生成される、前記視覚画像である
プログラム。
【請求項11】
予め定められた表示手段に表示された場合に、入力画像が表示されていると観察者が知覚する表示画像の表示画像信号に、前記入力画像の入力画像信号を変換する変換係数を生成する係数生成装置であって、
前記変換係数を求めるために用いられ、前記表示画像に対応する教師画像の教師画像信号に基づいて、前記教師画像と、前記教師画像の1フレーム前の教師画像とを平均して得られる平均画像の平均画像信号を生成する平均画像生成手段と、
前記平均画像信号、および前記平均画像から検出された動きベクトルに基づいて、前記平均画像の1フレーム前の平均画像に対応する過去画像の過去画像信号を生成する過去画像生成手段と、
前記平均画像信号および前記過去画像信号に基づいて、前記表示手段に前記過去画像が表示された後、前記平均画像が表示される場合に、前記過去画像から前記平均画像に表示が切り替わるまでの間に前記表示手段に表示される遷移画像の遷移画像信号を生成する遷移画像生成手段と、
前記過去画像信号、前記遷移画像信号、前記平均画像信号、および前記動きベクトルを用いて、前記過去画像、前記遷移画像、および前記平均画像のそれぞれの画素であって、前記過去画像から前記平均画像に表示が切り替わるまでの間に前記観察者が目で追うと予測される画素の画素値の平均値を求め、前記平均値を、前記平均画像が前記表示手段に表示された場合に前記観察者に知覚される視覚画像の画素の画素値とすることで、前記変換係数を求めるために用いられ、前記入力画像に対応する生徒画像としての前記視覚画像の視覚画像信号を生成する視覚画像生成手段と、
前記教師画像の注目している注目画素の画素値と、前記生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における前記注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にある画素の画素値とを用いて、前記変換係数を求める演算手段と
を備える係数生成装置。
【請求項12】
前記遷移画像生成手段は、前記表示手段の発光特性を示すモデルと、前記平均画像信号および前記過去画像信号とを用いて、前記遷移画像信号を生成する
請求項11に記載の係数生成装置。
【請求項13】
前記演算手段は、
前記生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における前記注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値を、前記注目画素を複数のクラスのうちの何れかにクラス分けするクラス分類を行うのに用いられるクラスタップとして、前記生徒画像信号から抽出するクラスタップ抽出手段と、
前記生徒画像から検出された動きベクトルの大きさと、前記クラスタップとに基づいて、前記注目画素をクラス分類するクラス分類手段と、
前記生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における前記注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値を、前記注目画素を予測するのに用いられる予測タップとして、前記生徒画像信号から抽出する予測タップ抽出手段と、
前記注目画素の画素値および前記予測タップに対して、前記注目画素の前記クラスごとに立てられた、前記注目画素の画素値、前記予測タップ、および前記変換係数の関係を示す正規方程式を解くことで、前記クラスごとの前記変換係数を求める係数生成手段と
を備える請求項12に記載の係数生成装置。
【請求項14】
予め定められた表示手段に表示された場合に、入力画像が表示されていると観察者が知覚する表示画像の表示画像信号に、前記入力画像の入力画像信号を変換する変換係数を生成する係数生成装置であり、
前記変換係数を求めるために用いられ、前記表示画像に対応する教師画像の教師画像信号に基づいて、前記教師画像と、前記教師画像の1フレーム前の教師画像とを平均して得られる平均画像の平均画像信号を生成する平均画像生成手段と、
前記平均画像の1フレーム前の平均画像に対応する過去画像の過去画像信号を生成する過去画像生成手段と、
前記表示手段に前記過去画像が表示された後、前記平均画像が表示される場合に、前記過去画像から前記平均画像に表示が切り替わるまでの間に前記表示手段に表示される遷移画像の遷移画像信号を生成する遷移画像生成手段と、
前記変換係数を求めるために用いられ、前記入力画像に対応する生徒画像として、前記平均画像が前記表示手段に表示された場合に前記観察者に知覚される視覚画像の視覚画像信号を生成する視覚画像生成手段と、
前記教師画像の注目している注目画素の画素値と、前記生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における前記注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にある画素の画素値とを用いて、前記変換係数を求める演算手段と
を備える係数生成装置の係数生成方法であって、
前記平均画像生成手段が、前記平均画像信号を生成し、
前記過去画像生成手段が、前記平均画像の平均画像信号、および前記平均画像から検出された動きベクトルに基づいて、前記過去画像の過去画像信号を生成し、
前記遷移画像生成手段が、前記平均画像信号および前記過去画像信号に基づいて、前記遷移画像の遷移画像信号を生成し、
前記視覚画像生成手段が、前記過去画像信号、前記遷移画像信号、前記平均画像信号、および前記平均画像から検出された動きベクトルを用いて、前記過去画像、前記遷移画像、および前記平均画像のそれぞれの画素であって、前記過去画像から前記平均画像に表示が切り替わるまでの間に前記観察者が目で追うと予測される画素の画素値の平均値を求め、前記平均値を、前記視覚画像の画素の画素値とすることで、前記視覚画像の視覚画像信号を生成し、
前記演算手段が、前記注目画素の画素値と、前記生徒画像における前記注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にある画素の画素値とを用いて、前記変換係数を求める
ステップを含む係数生成方法。
【請求項15】
予め定められた表示手段に表示された場合に、入力画像が表示されていると観察者が知覚する表示画像の表示画像信号に、前記入力画像の入力画像信号を変換する変換係数を生成する係数生成装置に、
前記変換係数を求めるために用いられ、前記表示画像に対応する教師画像の教師画像信号に基づいて、前記教師画像と、前記教師画像の1フレーム前の教師画像とを平均して得られる平均画像の平均画像信号を生成し、
前記平均画像の平均画像信号、および前記平均画像から検出された動きベクトルに基づいて、前記平均画像の1フレーム前の平均画像に対応する過去画像の過去画像信号を生成し、
前記平均画像信号および前記過去画像信号に基づいて、前記表示手段に前記過去画像が表示された後、前記平均画像が表示される場合に、前記過去画像から前記平均画像に表示が切り替わるまでの間に前記表示手段に表示される遷移画像の遷移画像信号を生成し、
前記過去画像信号、前記遷移画像信号、前記平均画像信号、および前記動きベクトルを用いて、前記過去画像、前記遷移画像、および前記平均画像のそれぞれの画素であって、前記過去画像から前記平均画像に表示が切り替わるまでの間に前記観察者が目で追うと予測される画素の画素値の平均値を求め、前記平均値を、前記平均画像が前記表示手段に表示された場合に前記観察者に知覚される視覚画像の画素の画素値とすることで、前記変換係数を求めるために用いられ、前記入力画像に対応する生徒画像としての前記視覚画像の視覚画像信号を生成し、
前記教師画像の注目している注目画素の画素値と、前記生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における前記注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にある画素の画素値とを用いて、前記変換係数を求める
ステップを含む処理を実行させるプログラム。
【請求項16】
予め定められた表示手段に表示された場合に、入力画像が表示されていると観察者が知覚する表示画像の表示画像信号に、前記入力画像の入力画像信号を変換する画像生成装置であって、
これから生成しようとする前記表示画像の注目している画素を第1の注目画素とし、前記入力画像から検出された動きベクトルから定まり、前記入力画像における前記第1の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値を、前記第1の注目画素を予測するのに用いられる予測タップとして、前記入力画像信号から抽出する予測タップ抽出手段と、
予め求められている変換係数と、前記予測タップとを線形結合することにより、前記第1の注目画素の画素値を予測演算する予測演算手段と
を備え、
前記変換係数は、
前記表示画像に対応する教師画像の注目している第2の注目画素の画素値と、
前記入力画像に対応する生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における、前記第2の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にある画素の画素値と
が用いられて求められ、
前記生徒画像は、
前記教師画像の教師画像信号に基づいて生成され、前記教師画像と、前記教師画像の1フレーム前の教師画像とを平均して得られる平均画像の平均画像信号と、
前記平均画像信号、および前記平均画像から検出された動きベクトルに基づいて生成された、前記平均画像の1フレーム前の平均画像に対応する過去画像の過去画像信号と、
前記表示手段の発光特性を示すモデルと、前記平均画像信号および前記過去画像信号とに基づいて生成された、前記表示手段に前記過去画像が表示された後、前記平均画像が表示される場合に、前記過去画像から前記平均画像に表示が切り替わるまでの間に前記表示手段に表示される遷移画像の遷移画像信号と、
前記平均画像から検出された動きベクトルと
を用いて、
前記過去画像、前記遷移画像、および前記平均画像のそれぞれの画素であって、前記過去画像から前記平均画像に表示が切り替わるまでの間に前記観察者が目で追うと予測される画素の画素値の平均値を求め、前記平均値を、前記平均画像が前記表示手段に表示された場合に前記観察者に知覚される視覚画像の画素の画素値とすることで生成される、前記視覚画像である
画像生成装置。
【請求項17】
前記入力画像から検出された動きベクトルから定まり、前記入力画像における前記第1の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値を、前記第1の注目画素を複数のクラスのうちの何れかにクラス分けするクラス分類を行うのに用いられるクラスタップとして、前記入力画像信号から抽出するクラスタップ抽出手段と、
前記入力画像から検出された動きベクトルの大きさと、前記クラスタップとに基づいて、前記第1の注目画素をクラス分類するクラス分類手段と
をさらに備え、
前記予測演算手段は、前記第1の注目画素のクラスに対して予め求められている前記変換係数を用いて、前記第1の注目画素の画素値を予測演算する
請求項16に記載の画像生成装置。
【請求項18】
前記変換係数は、
前記生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における、前記第2の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値を、前記クラスタップとして、前記生徒画像信号から抽出し、
前記生徒画像から検出された動きベクトルの大きさと、前記生徒画像信号から抽出された前記クラスタップとに基づいて、前記第2の注目画素をクラス分類し、
前記生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における、前記第2の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値を、前記予測タップとして、前記生徒画像信号から抽出し、
前記第2の注目画素の画素値および前記生徒画像信号から抽出された前記予測タップに対して、前記第2の注目画素の前記クラスごとに立てられた、前記第2の注目画素の画素値、前記生徒画像信号から抽出された前記予測タップ、および前記変換係数の関係を示す正規方程式を解くことにより、
前記クラスごとに求められる
請求項17に記載の画像生成装置。
【請求項19】
予め定められた表示手段に表示された場合に、入力画像が表示されていると観察者が知覚する表示画像の表示画像信号に、前記入力画像の入力画像信号を変換する画像生成装置であり、
これから生成しようとする前記表示画像の注目している画素を第1の注目画素とし、前記入力画像から検出された動きベクトルから定まり、前記入力画像における前記第1の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値を、前記第1の注目画素を予測するのに用いられる予測タップとして、前記入力画像信号から抽出する予測タップ抽出手段と、
予め求められている変換係数と、前記予測タップとを線形結合することにより、前記第1の注目画素の画素値を予測演算する予測演算手段と
を備える画像生成装置の画像生成方法であって、
前記予測タップ抽出手段が、前記入力画像信号から前記予測タップを抽出し、
前記予測演算手段が、前記変換係数と、前記予測タップとを線形結合することにより、前記第1の注目画素の画素値を予測演算する
ステップを含み、
前記変換係数は、
前記表示画像に対応する教師画像の注目している第2の注目画素の画素値と、
前記入力画像に対応する生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における、前記第2の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にある画素の画素値と
が用いられて求められ、
前記生徒画像は、
前記教師画像の教師画像信号に基づいて生成され、前記教師画像と、前記教師画像の1フレーム前の教師画像とを平均して得られる平均画像の平均画像信号と、
前記平均画像信号、および前記平均画像から検出された動きベクトルに基づいて生成された、前記平均画像の1フレーム前の平均画像に対応する過去画像の過去画像信号と、
前記表示手段の発光特性を示すモデルと、前記平均画像信号および前記過去画像信号とに基づいて生成された、前記表示手段に前記過去画像が表示された後、前記平均画像が表示される場合に、前記過去画像から前記平均画像に表示が切り替わるまでの間に前記表示手段に表示される遷移画像の遷移画像信号と、
前記平均画像から検出された動きベクトルと
を用いて、
前記過去画像、前記遷移画像、および前記平均画像のそれぞれの画素であって、前記過去画像から前記平均画像に表示が切り替わるまでの間に前記観察者が目で追うと予測される画素の画素値の平均値を求め、前記平均値を、前記平均画像が前記表示手段に表示された場合に前記観察者に知覚される視覚画像の画素の画素値とすることで生成される、前記視覚画像である
画像生成方法。
【請求項20】
予め定められた表示手段に表示された場合に、入力画像が表示されていると観察者が知覚する表示画像の表示画像信号に、前記入力画像の入力画像信号を変換する画像生成装置に、
これから生成しようとする前記表示画像の注目している画素を第1の注目画素とし、前記入力画像から検出された動きベクトルから定まり、前記入力画像における前記第1の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にあるいくつかの画素の画素値を、前記第1の注目画素を予測するのに用いられる予測タップとして、前記入力画像信号から抽出し、
予め求められている変換係数と、前記予測タップとを線形結合することにより、前記第1の注目画素の画素値を予測演算する
ステップを含む処理を実行させ、
前記変換係数は、
前記表示画像に対応する教師画像の注目している第2の注目画素の画素値と、
前記入力画像に対応する生徒画像から検出された動きベクトルから定まり、前記生徒画像における、前記第2の注目画素と同じ位置の空間的または時間的に近傍にある画素の画素値と
が用いられて求められ、
前記生徒画像は、
前記教師画像の教師画像信号に基づいて生成され、前記教師画像と、前記教師画像の1フレーム前の教師画像とを平均して得られる平均画像の平均画像信号と、
前記平均画像信号、および前記平均画像から検出された動きベクトルに基づいて生成された、前記平均画像の1フレーム前の平均画像に対応する過去画像の過去画像信号と、
前記表示手段の発光特性を示すモデルと、前記平均画像信号および前記過去画像信号とに基づいて生成された、前記表示手段に前記過去画像が表示された後、前記平均画像が表示される場合に、前記過去画像から前記平均画像に表示が切り替わるまでの間に前記表示手段に表示される遷移画像の遷移画像信号と、
前記平均画像から検出された動きベクトルと
を用いて、
前記過去画像、前記遷移画像、および前記平均画像のそれぞれの画素であって、前記過去画像から前記平均画像に表示が切り替わるまでの間に前記観察者が目で追うと予測される画素の画素値の平均値を求め、前記平均値を、前記平均画像が前記表示手段に表示された場合に前記観察者に知覚される視覚画像の画素の画素値とすることで生成される、前記視覚画像である
プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2010−14879(P2010−14879A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−173459(P2008−173459)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】