保冷機能向上システム及び保冷庫
【課題】特定の層構成を有する積層体とプラズマを利用した食材などの保冷機能向上システム、及び該システムを組み込んだ安価な保冷庫の提供。
【解決手段】(1)薄い基材上に螺旋状に形成した一組の薄層状コイルを重ね合わせると共に、該コイルの外周端部同士を接続し、該接続したコイルに通電したときの電磁場が、NSSN又はSNNSとなるようにしたペーパーコイルと、一種類の元素を含む螺旋状の薄層を表面に設けた薄膜が、元素の種類を変えて複数積層された層(積層元素層)と、色料層とをこの順に積層した積層体A、並びにプラズマ発生装置を備えた保冷機能向上システム。
(2)壁面をアルミニウムで被覆した保冷室、(1)記載の積層体A及びプラズマ発生装置を備えた保冷庫。
【解決手段】(1)薄い基材上に螺旋状に形成した一組の薄層状コイルを重ね合わせると共に、該コイルの外周端部同士を接続し、該接続したコイルに通電したときの電磁場が、NSSN又はSNNSとなるようにしたペーパーコイルと、一種類の元素を含む螺旋状の薄層を表面に設けた薄膜が、元素の種類を変えて複数積層された層(積層元素層)と、色料層とをこの順に積層した積層体A、並びにプラズマ発生装置を備えた保冷機能向上システム。
(2)壁面をアルミニウムで被覆した保冷室、(1)記載の積層体A及びプラズマ発生装置を備えた保冷庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の層構成を有する積層体とプラズマを利用した食材などの保冷機能向上システム、及び、該システムを組み込んだ保冷庫に関する。
【背景技術】
【0002】
物質が凍り始める場合、物質の外側から徐々に分子結合し、水分は鋭い氷の結晶となっていく。この結晶が物質の組織を破壊したり、凍結による体積増加に伴い深部に向かって分子配列が歪む。この現象により、食材を解凍した場合に鮮度が落ちたり細胞破壊によるドリップで味の低下などが生じる。これらの現象は0℃〜−10℃で起こるため、例えば−25℃以下の急速冷凍や−50℃以下の瞬間冷凍で対応しているが、解凍する場合には前記温度帯を通過するため、本質的な解決にはならない。
一般に食材の保存は、数日間程度ならば普通の冷蔵庫でよいが、長期保存する場合には氷温(食材が氷結しない0℃から−1.5℃の範囲)以下にする必要があるため、前述の解凍時の問題を解決する必要がある。また、氷温まで冷やせない食材については、保存中の雑菌の繁殖や食材からの臭気の発生も問題となる。
【0003】
上記の問題に対処するため、氷温付近で温度を±0.5℃以内で細かく制御し、食材が凍る寸前の温度で貯蔵する氷温対応冷蔵庫が市販されている。しかし、この冷蔵庫の場合、氷温以下での保存はできないし、食材毎に氷結点(凍り始める温度)が異なるため管理が難しく、消費電力も大きいという欠点がある。
また、温度差を±2℃以内に抑え湿度を90%以上に保つことができる恒温恒湿庫も市販されているが、高価であるし氷温以下での保存における解凍時の問題は未解決である。
他に、静電場を利用した「テクノエナジー(マルシェマシュナリー社)」、「SE−DEPAK(サンテツ技研)」、「氷感庫:フィールテック21(フィールテクノロジー社)」、電磁場を利用した「CASフリーザー(アビー社)」などが市販されているが、後述するように何れも欠点がある(実施例2中の比較データ参照)。
なお、本発明で利用する特殊なエネルギー(Q−bitエネルギー)については、本発明者の齋藤秀彦の出願に係る特許文献1で開示し、ペーパーコイルを利用したカンタムビット(Q−bit)エネルギー発生装置については、齋藤秀彦の先願(特願2006−334527)で開示した。しかしながら、測定手段がないため、Q−bitエネルギーの実態は未だ不明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2003−086616号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、特定の層構成を有する積層体とプラズマを利用した食材などの保冷機能向上システム、及び該システムを組み込んだ安価な保冷庫の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、食材や切り花などの長期保存、鮮度保持、滅菌、脱臭、解凍などについて鋭意研究を重ねた結果、特定の層構成を有する積層体とプラズマを利用すれば上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、上記課題は次の1)〜3)の発明によって解決される。
1) 薄い基材上に螺旋状に形成した一組の薄層状コイルを重ね合わせると共に、該コイルの外周端部同士を接続し、該接続したコイルに通電したときの電磁場が、NSSN又はSNNSとなるようにしたペーパーコイルと、一種類の元素を含む螺旋状の薄層を表面に設けた薄膜が、元素の種類を変えて複数積層された層(積層元素層)と、色料層とをこの順に積層した積層体A、並びにプラズマ発生装置を備えた保冷機能向上システム。
2) 壁面をアルミニウムで被覆した保冷室、積層体A及びプラズマ発生装置を備えており、該積層体Aが、薄い基材上に螺旋状に形成した一組の薄層状コイルを重ね合わせると共に、該コイルの外周端部同士を接続し、該接続したコイルに通電したときの電磁場が、NSSN又はSNNSとなるようにしたペーパーコイルと、一種類の元素を含む螺旋状の薄層を表面に設けた薄膜が、元素の種類を変えて複数積層された層(積層元素層)と、色料層とをこの順に積層したものである保冷庫。
3) 積層体Aを保冷室の内壁面に設け、該積層体Aと対向する内壁面に銅板を設けた2)記載の保冷庫。
【0007】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明の保冷機能向上システムは、特定の層構成を有する積層体Aとプラズマ発生装置を組み合わせて用いた点に特徴がある。また、本発明のシステムは、既存の保冷庫などに容易に組み込むことができ、非常に汎用性の高いものである。
本発明で用いる積層体Aは、図1に示すように、ペーパーコイルの上に、一種類の元素を含む螺旋状の薄層を表面に設けた薄膜が、元素の種類を変えて複数積層された層(積層元素層)、及び色料層を順に積層した構成を基本とし、必要に応じて積層元素層と色料層との間に中間層を形成したものである。積層体Aを用いると、後述する実施例に示すように顕著な効果が得られることから、何らかのエネルギーが作用していると推測されるが、現状では測定手段がないため、その実態は不明である。そこで、説明の都合上、仮にQ−bitエネルギーと呼ぶことにする。
【0008】
ペーパーコイルは、薄い基材上に、磁性体を含むインクや樹脂組成物などを用いて印刷や塗布などの手段で螺旋状に形成した一組のコイル状物(薄層状コイル)を重ね合わせると共に、該コイルの外周端部同士を接続し、該接続したコイルに通電したときの電磁場がNSSN又はSNNSとなるようにしたもので、これにより磁場がゼロになる場所(ゼロ磁場)が形成される。一組のコイル状物の各コイルの巻き数は、同一でも異なっていてもよい。
例えば、図2のように一組のコイルを印刷し、真中で折り曲げて裏表になるように貼り合わせた後、コイルの外周端部同士を接続すると簡便である。また最初からNSSN又はSNNSとなるように薄い基材の表裏に印刷した後、端部同士を接続してもよい。更に、薄い基材に印刷した一組の逆巻きコイルを重ねた後、端部同士を接続してもよい。
図2の状態では、一組のコイルの境目中央部付近にゼロ磁場が形成されるが、これらのコイルを裏表になるように貼り合わせると、コイルの中心部にゼロ磁場が形成される。
ペーパーコイルに通電するに際しては、通常の100V〜200Vでは電圧が高すぎるため、電圧降下用の回路基板によりDC1.5V〜24V程度に降下させる必要がある。これにより、10mA〜1A程度の電流を流すことができる。
【0009】
基材は磁性と導電性のないものならば特に限定されず、プラスチック、紙、セラミック、磁性と導電性のない金属など種々の材料を用いることができる。厚さや大きさは用途に応じて適宜選択できるが、厚さについては通常0.1〜1mm程度とする。
コイルの材料としては、通常、銅又は銅合金を用いるが、他の導電性の大きい材料でもよい。磁場の強さは、人体に影響のない10〜60ミリガウス程度が好ましい。
コイルの巻き数は奇数とする。好ましい巻き数は素数(3、5、7、11、13、17、19、23、29…)である。一組のコイルの巻き数は同一でも異なっていてもよい。巻き数が多くなると放出されるエネルギーが大きくなる(と推測される)ので、必要とするエネルギー量に応じて巻き数を選択すればよい。
【0010】
積層元素層には、炭素、珪素、チタン、コバルト、トルマリン、ゲルマニウム、セレン、銀、セリウムなどの元素が用いられるが、これらに限られる訳ではない。
プラスチック、紙、セラミックなどの磁性及び導電性のない薄膜上に、各元素を含むインクや樹脂組成物などを用いて、印刷又は塗布などの手段で螺旋状の薄層を形成し、元素の異なる薄膜を螺旋の方向が一致するように複数貼り合わせて積層元素層とする。螺旋の巻数は元素毎に変えてもよい。また、積層元素層の各層の厚さは特に限定されないが、積層体Aの厚さを薄くするため、0.1〜0.2mm程度とすることが好ましい。
色料層としては、積層可能で色の付いたものならば何でもよいが、着色テープなどを用いると簡便である。また、異なる色のものを組み合わせて用いることが好ましい。なお、本発明では、白色、黒色も色として扱う。
各色料層の厚さも特に限定されないが、前記積層元素層の各層と同様、積層体Aの厚さを薄くするため、0.1〜0.2mm程度とすることが好ましい。
【0011】
中間層には金、白金、タリウム等を用いる。中間層を設けると積層体Aの作用が変わることが分かっている。金や白金は高価であるから、珪素粉末などを混合して使用量を減らしてもよい。中間層の膜厚は、0.1〜0.2mm程度とすることが好ましい。
また、アルミニウムで内張りした部屋内に、積層体Aとエネルギーを照射したい対象物を置くと、同じ通電量でより強い作用が得られることが分かっている。この事実からアルミニウムなどの薄膜はQ−bitエネルギーを反射する機能を有すると推測される。更に積層体Aと対向させて、厚さ0.1〜0.2mm程度の銅などの薄膜を付設すると、拡散効率がよくなることが分かっている。この薄膜は、Q−bitエネルギーを吸収する機能を有すると推測される。
【0012】
本発明で用いるプラズマ発生装置は、静電気除電装置用の高電圧トランスやネオントランスに、エネルギー調整用回路、安全スイッチ回路などを組み合わせることにより簡単に作製できる。そして高電圧トランスによりコロナ放電を起こさせてプラズマを発生させればよい。
図3に、本発明のシステムを既存保冷庫に応用した場合の構造の一例を示す。
まず既存保冷庫の壁面をアルミニウムで被覆する。被覆する壁面は内壁でも外壁でもよいが通常は内壁とする。壁面がステンレスなどの導電性材料からなる保冷庫の場合には、プラズマを発生させた場合の帯電防止のため、更に内壁面を絶縁体で被覆する必要がある。保冷庫の天井面には積層体Aを、底面には銅板を設ける。積層体Aと銅板は互いに対向するように設ければよく、図3の配置に限られる訳ではない。保冷庫の天板の上にはプラズマ発生用トランスとQBP(Q−bitエネルギーとプラズマ)制御装置を設置するが、これらの位置も適宜変更可能である。
このシステムで発生するQ−bitエネルギーの大部分は、銅板で吸収された後、背後のアルミニウム薄膜で反射拡散されて保冷庫内に充満すると推測される。また、プラズマ中の電子も保冷庫内に充満するので、これらが協働して種々の作用をすると考えられる。図3では両者が結合した状態(仮定)をイメージ(想像)で示した。
【0013】
次に、図3に示す構造の保冷庫を稼動させるためのブロック回路図を図4に示すが、少なくとも、商用AC電源、プラズマ発生制御回路部、Q−bitエネルギー制御回路部、及び積層体Aを備えている必要がある。図4では、プラズマ発生制御回路部に、電源&制御回路部、安全スイッチ回路部、過電流検知保護回路部を設け、Q−bitエネルギー制御回路部に、電流制御回路部、断線検知回路部を設けている。
プラズマの発生制御は、高電圧トランスの入力電圧及び/又は出力電圧をスライダックトランスなどを用いて変化させることにより行うことができる。また、Q−bitエネルギーの発生制御は、積層体Aのコイルに印加する電流を電子的に変化させることにより行うことができる。
【0014】
本発明のシステムの凍結防止のメカニズムは次のように推測される。
即ち、本発明のシステムでは、食材などの細胞分子及び水分子をプラズマエネルギーで微振動させ、Q−bitエネルギーで個々の細胞分子を更に微振動させることにより氷結点を下げることができるので、0℃〜−10℃の温度範囲での無凍結状態を維持できる。
また、市販の業務用冷蔵庫の最低設定可能温度は−6℃であるが、−5℃くらいで食材を深部まで全体的に冷やすと、衝撃などにより過冷却という現象がおき、食材などの細胞分子が一気に結合した状態(瞬間凍結したように見える状態)になることがある。この過冷却状態になると、解凍時には前述したドリップなどの問題が発生する。
しかし、本発明のシステムでは、過冷却的な状態になっても食材などの細胞分子配列が綺麗なままで半凍結状態になるので実質的に無凍結状態と変わらない状態を維持できる。その結果、長期保存、高鮮度保持、及び前述した解凍時の問題の解決が可能となる。
【0015】
後述する実施例2の図16に示すように、解凍の問題を解決した製品は公知であるが、本発明のシステムは、更に次のような点で優れている。
(1)プラズマやQ−bitエネルギーの作用により、殺菌・滅菌・静菌効果、防カビ効果、脱臭効果に優れている。そのため、氷点下では保存できない食材や切り花などに対しても有効であり、0℃〜+10℃の範囲ならば、従来に比べて非常に優れた長期保存や鮮度保持が可能である。
(2)雑菌による食中毒の防止が期待できるし、プラズマにより大量のマイナスイオンが発生するので、保冷庫内及び周辺の環境改善にも役立つ。
(3)食材は低温環境に置かれると、凍結から身を守るため細胞内で酵素(旨み成分のアミノ酸など)を作り出すが、本発明では長期保存により一層美味しい食材が得られる。
(4)従来技術に比べて非常に安価である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、積層体Aとプラズマを利用した、食材などの保冷機能向上システム、及び該システムを組み込んだ安価な保冷庫を提供でき、長期保存、高鮮度保持、殺菌、脱臭、解凍時の鮮度低下やドリップ防止などについて驚異的な結果が得られる。
【実施例】
【0017】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例の結果を図面で示したが、カラー写真を白黒表示したため効果が確認しにくいので、原本を物件提出書として添付した。
【0018】
実施例1
厚さ0.1mmのアクリルフィルムの上に、銅合金を含むインクを用いて図2(a)に示す巻数の組み合わせからなるコイルを印刷した。コイルの直径は2.5cmとした。
次に、二つのコイルを、その境目で折り曲げて貼り合わせたのち端部を接続して、通電したときの電磁場がNSSNとなるペーパーコイルを作成した。
次に、ペーパーコイルの上に、Si、Ti、Co、Auの各元素を含むインクを用いて螺旋状に印刷した厚さ0.1mmのアクリルフィルムを順に積層し、積層元素層を作成した。
次に、その上に、紫、紺、青、緑、黄、橙、赤色の厚さ0.1mmの薄膜(特製の粘着テープ)を順に積層して色料層を作成し、積層体Aを得た。
続いて、上記積層体Aと厚さ0.1mmの銅板を用い、市販の保冷庫(ホシザキ社製の業務用冷蔵庫、及び、松下電器産業社製の家庭用冷蔵庫:NR−13)を改造した図3、図4に概要を示す保冷庫を作製した。
上記保冷庫を用いて、デパートなどで購入した種々の食材や切り花の保存・保管実験及び解凍実験を行った。
結果を図5〜図15に示すが、図5〜図14の実験条件は、白菜が+1℃、切り花が6℃、その他は0℃〜−5℃、プラズマ発生用電圧3500Vである。
各図から明らかなように、保存期間を大幅に延長でき、ドリップのない良好な保存及び解凍結果が得られた。比較対照の業務用冷蔵庫の場合と対比すると、その顕著な効果が良く分かる。
【0019】
実施例2
実施例1と同じ改造保冷庫を用い、市販の「テクノエナジー(マルシェマシュナリー社)」、「SE−DEPAK(サンテツ技研)」、「氷感庫:フィールテック21(フィールテクノロジー社)」、「CASフリーザー(アビー社)」との性能比較実験を行った。
多種類の食材や切り花について比較実験を行い、一般の家庭用冷蔵庫のレベルを基準として、下記の判定基準で評価した。
結果を纏めて図16に示すが、本発明のシステムは、鮮度保持効果が特に優れていること、殺菌効果や脱臭効果が非常に優れていること、コストが安いことが分かる。
◎◎:◎よりも更に優れている。 ◎:非常に優れている。 ○:優れている。
△:普通(同程度)。 ×:効果なし
【0020】
実施例3
実施例1と同様にして作成したペーパーコイルの上に、C、Si、Ti、Co、Auの各元素を含むインクを用いて螺旋状に印刷した厚さ0.1mmのアクリルフィルムを順に積層し、積層元素層を作成した。
次に、その上に、各層の厚さが0.1mmの、黄1層、赤2層、緑2層、青5層の合計10層の薄膜(特製の粘着テープ)を順に積層して色料層を作成し、積層体Aを得た。
続いて、実施例1と同様にして図3、図4に概要を示す保冷庫を作製し、デパートなどで購入した海産物の食材の保存・保管実験を行った。
結果を図17〜図21に示すが、実験条件は、ハマチが−5℃、その他は−3℃であり、プラズマ発生用電圧3500Vである。
上記以外の実験条件及び評価結果を図中に記載したが、ドリップもなく保存期間の大幅な延長が可能となった。比較対照の家庭用冷蔵庫の場合と対比すると、その顕著な効果が良く分かる。
特に、ハマチはすぐに駄目になる食材であり、ホタルイカは通常1日しか持たない食材であるから、驚異的結果といえる。
【0021】
実施例4
巻数の組み合わせを図2(b)に示すものに変えた点以外は、実施例1と同様にしてペーパーコイルを作成した。
次に、ペーパーコイルの上に、実施例3と同様にして積層元素層を作成した。
次に、その上に、各層の厚さが0.1mmの、黄2層、緑1層、青2層、赤5層の合計10層の薄膜(特製の粘着テープ)を順に積層して色料層を作成し、積層体Aを得た。
続いて、実施例1と同様にして図3、図4に概要を示す保冷庫を作製し、デパートなどで購入したり輸入元で入手した肉類の食材の保存・保管実験及び解凍実験を行った。
結果を図22〜図28に示すが、実験条件は、−3℃、プラズマ発生用電圧3500Vである。
上記以外の実験条件及び評価結果を図中に記載したが、保存期間を大幅に延長でき、ドリップのない良好な保存及び解凍結果が得られた。特に、さくら肉はすぐに黒くなる食材であり、鳥レバーは通常1日しか持たない食材であるから、驚異的結果といえる。
【0022】
実施例5
巻数の組み合わせを図2(c)に示すものに変えた点以外は、実施例1と同様にしてペーパーコイルを作成した。
次に、ペーパーコイルの上に、実施例3と同様にして積層元素層を作成した。
次に、その上に、各層の厚さが0.1mmの、赤1層、青4層、緑5層の合計10層の薄膜(特製の粘着テープ)を順に積層して色料層を作成し、積層体Aを得た。
続いて、実施例1と同様にして図3、図4に概要を示す保冷庫を作製し、デパートなどで購入した種々の食材の保存・保管実験及び解凍実験を行った。
結果を図29〜図34に示すが、実験条件は、白菜明太子が−3℃、イチゴが0℃、きゅうり、ほうれん草、カットフルーツが+2℃、ゆでたまごが−3℃、プラズマ発生用電圧3500Vである。
上記以外の実験条件及び評価結果を図中に記載したが、保存期間を大幅に延長でき、ドリップのない良好な保存及び解凍結果が得られた。比較対照の家庭用冷蔵庫の場合と対比すると、その顕著な効果が良く分かる。特に、冷凍イチゴはジャム用であってすぐに形が崩れてしまう食材であり、カットフルーツも形が崩れやすい食材であるから、原形を保っていること自体、驚異的である。
【0023】
実施例6〜10
実施例1と同様にして作成したペーパーコイルの上に、C、Si、Ti、Co、Zn、Au(実施例6)、C、Mg、Ti、Co、Se(実施例7)、Si、Ti、Se、Ag、Th(実施例8)、C、Si、Zn、Ag、Ce(実施例9)、C、Ti、Kr、Nd、Pt(実施例10)の各元素を含むインクを用いて螺旋状に印刷した厚さ0.1mmのアクリルフィルムを順に積層し、積層元素層を作成した。
次に、その上に、各層の厚さが0.1mmの、青4層、緑2層、赤2層、黄2層(実施例6〜10)の合計10層の薄膜(特製の粘着テープ)を順に積層して色料層を作成し、積層体Aを得た。
続いて、上記実施例6〜10の各積層体Aを用いて、実施例1と同様にして図3、図4に概要を示す保冷庫を作製し、水及び種々の食材の保存・保管実験を行った。
その結果、実施例1〜5と同じ種類の食材については同様の結果が得られた。
また、その他の材料について次のような結果が得られた。( )内は保管温度である。
・ミネラルウオーター(−5℃):まろやかな美味しい味に変わった。
・白米(−3℃):1ヶ月以上保管したが、炊いた米が柔らかく、弾力性や粘りが増し、ショ糖濃度が上昇した。
・餅(−3℃):6ヶ月経過しても変化がなく黴も生えなかった。
・和菓子(−2℃):賞味期限経過後、1週間たっても変化がなかった。
・鶏卵(−2℃):30日経過しても変色や臭いはなく、黄身の張り具合も良かった。
・そば、うどん(−2℃):10日保存後も味に変化はなかった。
・焼酎、黒糖酒、ワインなど(−2℃):保冷庫内で熟成し、味がまろやかになった。
・牛乳(−1℃):賞味期限経過後、2週間たっても変化がなかった。
・大名竹(0℃):デリケートな高級食材であるが、賞味期限経過後、1週間たっても変化はなかった。
・生ピザ(0℃):保存後に焼いたところ、生地が通常よりも3割程度膨らんだ。
・西条柿(0℃):3〜5ヶ月、良好な状態で保存できた。
・アスパラ(0℃):25日、良好な状態で保存できた。
・人参(0℃):2ヶ月以上、良好な状態で保存できた。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明で用いる積層体Aの層構成を示す図。
【図2】薄い基材にコイルを印刷した状態の例を示す図。(a)23巻き:23巻き、(b)23巻き:17巻き、(c)17巻き:17巻き。
【図3】本発明のシステムを既存保冷庫に応用した場合の構造の一例を示す図。
【図4】図3に示す構造の保冷庫を稼動させるためのブロック回路図。
【図5】実施例1の結果を示す図(豚肉、牛肉、鶏肉)。
【図6】実施例1の結果を示す図(キハダマグロ、生マグロ)。
【図7】実施例1の結果を示す図(冷凍マグロの解凍)。
【図8】実施例1の結果を示す図(ぶり、首折れあじ)。
【図9】実施例1の結果を示す図(冷凍ウニ、冷凍エビの解凍)。
【図10】実施例1の結果を示す図(イチゴ、メロン、栗)。
【図11】実施例1の結果を示す図(イチゴ、ブドウ)。
【図12】実施例1の結果を示す図(旬菜、ネギ)。
【図13】実施例1の結果を示す図(白菜、切り花)。
【図14】実施例1の結果を示す図(ケーキ)。
【図15】実施例1の結果を示す図。
【図16】実施例2の結果を示す図。
【図17】実施例3の結果を示す図(ハマチ)。
【図18】実施例3の結果を示す図(ボイルほたるいか)。
【図19】実施例3の結果を示す図(さしみイカ)。
【図20】実施例3の結果を示す図(ちだい)。
【図21】実施例3の結果を示す図(めばる)。
【図22】実施例4の結果を示す図(牛タン)。
【図23】実施例4の結果を示す図(牛ミノ)。
【図24】実施例4の結果を示す図(さしみ用さくら肉)。
【図25】実施例4の結果を示す図(牛大腸)。
【図26】実施例4の結果を示す図(鳥ささみ)。
【図27】実施例4の結果を示す図(鳥砂肝)。
【図28】実施例4の結果を示す図(鳥レバー、ハツ)。
【図29】実施例5の結果を示す図(白菜明太子)。
【図30】実施例5の結果を示す図(冷凍イチゴ)。
【図31】実施例5の結果を示す図(きゅうり)。
【図32】実施例5の結果を示す図(ほうれん草)。
【図33】実施例5の結果を示す図(カットフルーツ)。
【図34】実施例5の結果を示す図(ゆでたまご)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の層構成を有する積層体とプラズマを利用した食材などの保冷機能向上システム、及び、該システムを組み込んだ保冷庫に関する。
【背景技術】
【0002】
物質が凍り始める場合、物質の外側から徐々に分子結合し、水分は鋭い氷の結晶となっていく。この結晶が物質の組織を破壊したり、凍結による体積増加に伴い深部に向かって分子配列が歪む。この現象により、食材を解凍した場合に鮮度が落ちたり細胞破壊によるドリップで味の低下などが生じる。これらの現象は0℃〜−10℃で起こるため、例えば−25℃以下の急速冷凍や−50℃以下の瞬間冷凍で対応しているが、解凍する場合には前記温度帯を通過するため、本質的な解決にはならない。
一般に食材の保存は、数日間程度ならば普通の冷蔵庫でよいが、長期保存する場合には氷温(食材が氷結しない0℃から−1.5℃の範囲)以下にする必要があるため、前述の解凍時の問題を解決する必要がある。また、氷温まで冷やせない食材については、保存中の雑菌の繁殖や食材からの臭気の発生も問題となる。
【0003】
上記の問題に対処するため、氷温付近で温度を±0.5℃以内で細かく制御し、食材が凍る寸前の温度で貯蔵する氷温対応冷蔵庫が市販されている。しかし、この冷蔵庫の場合、氷温以下での保存はできないし、食材毎に氷結点(凍り始める温度)が異なるため管理が難しく、消費電力も大きいという欠点がある。
また、温度差を±2℃以内に抑え湿度を90%以上に保つことができる恒温恒湿庫も市販されているが、高価であるし氷温以下での保存における解凍時の問題は未解決である。
他に、静電場を利用した「テクノエナジー(マルシェマシュナリー社)」、「SE−DEPAK(サンテツ技研)」、「氷感庫:フィールテック21(フィールテクノロジー社)」、電磁場を利用した「CASフリーザー(アビー社)」などが市販されているが、後述するように何れも欠点がある(実施例2中の比較データ参照)。
なお、本発明で利用する特殊なエネルギー(Q−bitエネルギー)については、本発明者の齋藤秀彦の出願に係る特許文献1で開示し、ペーパーコイルを利用したカンタムビット(Q−bit)エネルギー発生装置については、齋藤秀彦の先願(特願2006−334527)で開示した。しかしながら、測定手段がないため、Q−bitエネルギーの実態は未だ不明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2003−086616号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、特定の層構成を有する積層体とプラズマを利用した食材などの保冷機能向上システム、及び該システムを組み込んだ安価な保冷庫の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、食材や切り花などの長期保存、鮮度保持、滅菌、脱臭、解凍などについて鋭意研究を重ねた結果、特定の層構成を有する積層体とプラズマを利用すれば上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、上記課題は次の1)〜3)の発明によって解決される。
1) 薄い基材上に螺旋状に形成した一組の薄層状コイルを重ね合わせると共に、該コイルの外周端部同士を接続し、該接続したコイルに通電したときの電磁場が、NSSN又はSNNSとなるようにしたペーパーコイルと、一種類の元素を含む螺旋状の薄層を表面に設けた薄膜が、元素の種類を変えて複数積層された層(積層元素層)と、色料層とをこの順に積層した積層体A、並びにプラズマ発生装置を備えた保冷機能向上システム。
2) 壁面をアルミニウムで被覆した保冷室、積層体A及びプラズマ発生装置を備えており、該積層体Aが、薄い基材上に螺旋状に形成した一組の薄層状コイルを重ね合わせると共に、該コイルの外周端部同士を接続し、該接続したコイルに通電したときの電磁場が、NSSN又はSNNSとなるようにしたペーパーコイルと、一種類の元素を含む螺旋状の薄層を表面に設けた薄膜が、元素の種類を変えて複数積層された層(積層元素層)と、色料層とをこの順に積層したものである保冷庫。
3) 積層体Aを保冷室の内壁面に設け、該積層体Aと対向する内壁面に銅板を設けた2)記載の保冷庫。
【0007】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明の保冷機能向上システムは、特定の層構成を有する積層体Aとプラズマ発生装置を組み合わせて用いた点に特徴がある。また、本発明のシステムは、既存の保冷庫などに容易に組み込むことができ、非常に汎用性の高いものである。
本発明で用いる積層体Aは、図1に示すように、ペーパーコイルの上に、一種類の元素を含む螺旋状の薄層を表面に設けた薄膜が、元素の種類を変えて複数積層された層(積層元素層)、及び色料層を順に積層した構成を基本とし、必要に応じて積層元素層と色料層との間に中間層を形成したものである。積層体Aを用いると、後述する実施例に示すように顕著な効果が得られることから、何らかのエネルギーが作用していると推測されるが、現状では測定手段がないため、その実態は不明である。そこで、説明の都合上、仮にQ−bitエネルギーと呼ぶことにする。
【0008】
ペーパーコイルは、薄い基材上に、磁性体を含むインクや樹脂組成物などを用いて印刷や塗布などの手段で螺旋状に形成した一組のコイル状物(薄層状コイル)を重ね合わせると共に、該コイルの外周端部同士を接続し、該接続したコイルに通電したときの電磁場がNSSN又はSNNSとなるようにしたもので、これにより磁場がゼロになる場所(ゼロ磁場)が形成される。一組のコイル状物の各コイルの巻き数は、同一でも異なっていてもよい。
例えば、図2のように一組のコイルを印刷し、真中で折り曲げて裏表になるように貼り合わせた後、コイルの外周端部同士を接続すると簡便である。また最初からNSSN又はSNNSとなるように薄い基材の表裏に印刷した後、端部同士を接続してもよい。更に、薄い基材に印刷した一組の逆巻きコイルを重ねた後、端部同士を接続してもよい。
図2の状態では、一組のコイルの境目中央部付近にゼロ磁場が形成されるが、これらのコイルを裏表になるように貼り合わせると、コイルの中心部にゼロ磁場が形成される。
ペーパーコイルに通電するに際しては、通常の100V〜200Vでは電圧が高すぎるため、電圧降下用の回路基板によりDC1.5V〜24V程度に降下させる必要がある。これにより、10mA〜1A程度の電流を流すことができる。
【0009】
基材は磁性と導電性のないものならば特に限定されず、プラスチック、紙、セラミック、磁性と導電性のない金属など種々の材料を用いることができる。厚さや大きさは用途に応じて適宜選択できるが、厚さについては通常0.1〜1mm程度とする。
コイルの材料としては、通常、銅又は銅合金を用いるが、他の導電性の大きい材料でもよい。磁場の強さは、人体に影響のない10〜60ミリガウス程度が好ましい。
コイルの巻き数は奇数とする。好ましい巻き数は素数(3、5、7、11、13、17、19、23、29…)である。一組のコイルの巻き数は同一でも異なっていてもよい。巻き数が多くなると放出されるエネルギーが大きくなる(と推測される)ので、必要とするエネルギー量に応じて巻き数を選択すればよい。
【0010】
積層元素層には、炭素、珪素、チタン、コバルト、トルマリン、ゲルマニウム、セレン、銀、セリウムなどの元素が用いられるが、これらに限られる訳ではない。
プラスチック、紙、セラミックなどの磁性及び導電性のない薄膜上に、各元素を含むインクや樹脂組成物などを用いて、印刷又は塗布などの手段で螺旋状の薄層を形成し、元素の異なる薄膜を螺旋の方向が一致するように複数貼り合わせて積層元素層とする。螺旋の巻数は元素毎に変えてもよい。また、積層元素層の各層の厚さは特に限定されないが、積層体Aの厚さを薄くするため、0.1〜0.2mm程度とすることが好ましい。
色料層としては、積層可能で色の付いたものならば何でもよいが、着色テープなどを用いると簡便である。また、異なる色のものを組み合わせて用いることが好ましい。なお、本発明では、白色、黒色も色として扱う。
各色料層の厚さも特に限定されないが、前記積層元素層の各層と同様、積層体Aの厚さを薄くするため、0.1〜0.2mm程度とすることが好ましい。
【0011】
中間層には金、白金、タリウム等を用いる。中間層を設けると積層体Aの作用が変わることが分かっている。金や白金は高価であるから、珪素粉末などを混合して使用量を減らしてもよい。中間層の膜厚は、0.1〜0.2mm程度とすることが好ましい。
また、アルミニウムで内張りした部屋内に、積層体Aとエネルギーを照射したい対象物を置くと、同じ通電量でより強い作用が得られることが分かっている。この事実からアルミニウムなどの薄膜はQ−bitエネルギーを反射する機能を有すると推測される。更に積層体Aと対向させて、厚さ0.1〜0.2mm程度の銅などの薄膜を付設すると、拡散効率がよくなることが分かっている。この薄膜は、Q−bitエネルギーを吸収する機能を有すると推測される。
【0012】
本発明で用いるプラズマ発生装置は、静電気除電装置用の高電圧トランスやネオントランスに、エネルギー調整用回路、安全スイッチ回路などを組み合わせることにより簡単に作製できる。そして高電圧トランスによりコロナ放電を起こさせてプラズマを発生させればよい。
図3に、本発明のシステムを既存保冷庫に応用した場合の構造の一例を示す。
まず既存保冷庫の壁面をアルミニウムで被覆する。被覆する壁面は内壁でも外壁でもよいが通常は内壁とする。壁面がステンレスなどの導電性材料からなる保冷庫の場合には、プラズマを発生させた場合の帯電防止のため、更に内壁面を絶縁体で被覆する必要がある。保冷庫の天井面には積層体Aを、底面には銅板を設ける。積層体Aと銅板は互いに対向するように設ければよく、図3の配置に限られる訳ではない。保冷庫の天板の上にはプラズマ発生用トランスとQBP(Q−bitエネルギーとプラズマ)制御装置を設置するが、これらの位置も適宜変更可能である。
このシステムで発生するQ−bitエネルギーの大部分は、銅板で吸収された後、背後のアルミニウム薄膜で反射拡散されて保冷庫内に充満すると推測される。また、プラズマ中の電子も保冷庫内に充満するので、これらが協働して種々の作用をすると考えられる。図3では両者が結合した状態(仮定)をイメージ(想像)で示した。
【0013】
次に、図3に示す構造の保冷庫を稼動させるためのブロック回路図を図4に示すが、少なくとも、商用AC電源、プラズマ発生制御回路部、Q−bitエネルギー制御回路部、及び積層体Aを備えている必要がある。図4では、プラズマ発生制御回路部に、電源&制御回路部、安全スイッチ回路部、過電流検知保護回路部を設け、Q−bitエネルギー制御回路部に、電流制御回路部、断線検知回路部を設けている。
プラズマの発生制御は、高電圧トランスの入力電圧及び/又は出力電圧をスライダックトランスなどを用いて変化させることにより行うことができる。また、Q−bitエネルギーの発生制御は、積層体Aのコイルに印加する電流を電子的に変化させることにより行うことができる。
【0014】
本発明のシステムの凍結防止のメカニズムは次のように推測される。
即ち、本発明のシステムでは、食材などの細胞分子及び水分子をプラズマエネルギーで微振動させ、Q−bitエネルギーで個々の細胞分子を更に微振動させることにより氷結点を下げることができるので、0℃〜−10℃の温度範囲での無凍結状態を維持できる。
また、市販の業務用冷蔵庫の最低設定可能温度は−6℃であるが、−5℃くらいで食材を深部まで全体的に冷やすと、衝撃などにより過冷却という現象がおき、食材などの細胞分子が一気に結合した状態(瞬間凍結したように見える状態)になることがある。この過冷却状態になると、解凍時には前述したドリップなどの問題が発生する。
しかし、本発明のシステムでは、過冷却的な状態になっても食材などの細胞分子配列が綺麗なままで半凍結状態になるので実質的に無凍結状態と変わらない状態を維持できる。その結果、長期保存、高鮮度保持、及び前述した解凍時の問題の解決が可能となる。
【0015】
後述する実施例2の図16に示すように、解凍の問題を解決した製品は公知であるが、本発明のシステムは、更に次のような点で優れている。
(1)プラズマやQ−bitエネルギーの作用により、殺菌・滅菌・静菌効果、防カビ効果、脱臭効果に優れている。そのため、氷点下では保存できない食材や切り花などに対しても有効であり、0℃〜+10℃の範囲ならば、従来に比べて非常に優れた長期保存や鮮度保持が可能である。
(2)雑菌による食中毒の防止が期待できるし、プラズマにより大量のマイナスイオンが発生するので、保冷庫内及び周辺の環境改善にも役立つ。
(3)食材は低温環境に置かれると、凍結から身を守るため細胞内で酵素(旨み成分のアミノ酸など)を作り出すが、本発明では長期保存により一層美味しい食材が得られる。
(4)従来技術に比べて非常に安価である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、積層体Aとプラズマを利用した、食材などの保冷機能向上システム、及び該システムを組み込んだ安価な保冷庫を提供でき、長期保存、高鮮度保持、殺菌、脱臭、解凍時の鮮度低下やドリップ防止などについて驚異的な結果が得られる。
【実施例】
【0017】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例の結果を図面で示したが、カラー写真を白黒表示したため効果が確認しにくいので、原本を物件提出書として添付した。
【0018】
実施例1
厚さ0.1mmのアクリルフィルムの上に、銅合金を含むインクを用いて図2(a)に示す巻数の組み合わせからなるコイルを印刷した。コイルの直径は2.5cmとした。
次に、二つのコイルを、その境目で折り曲げて貼り合わせたのち端部を接続して、通電したときの電磁場がNSSNとなるペーパーコイルを作成した。
次に、ペーパーコイルの上に、Si、Ti、Co、Auの各元素を含むインクを用いて螺旋状に印刷した厚さ0.1mmのアクリルフィルムを順に積層し、積層元素層を作成した。
次に、その上に、紫、紺、青、緑、黄、橙、赤色の厚さ0.1mmの薄膜(特製の粘着テープ)を順に積層して色料層を作成し、積層体Aを得た。
続いて、上記積層体Aと厚さ0.1mmの銅板を用い、市販の保冷庫(ホシザキ社製の業務用冷蔵庫、及び、松下電器産業社製の家庭用冷蔵庫:NR−13)を改造した図3、図4に概要を示す保冷庫を作製した。
上記保冷庫を用いて、デパートなどで購入した種々の食材や切り花の保存・保管実験及び解凍実験を行った。
結果を図5〜図15に示すが、図5〜図14の実験条件は、白菜が+1℃、切り花が6℃、その他は0℃〜−5℃、プラズマ発生用電圧3500Vである。
各図から明らかなように、保存期間を大幅に延長でき、ドリップのない良好な保存及び解凍結果が得られた。比較対照の業務用冷蔵庫の場合と対比すると、その顕著な効果が良く分かる。
【0019】
実施例2
実施例1と同じ改造保冷庫を用い、市販の「テクノエナジー(マルシェマシュナリー社)」、「SE−DEPAK(サンテツ技研)」、「氷感庫:フィールテック21(フィールテクノロジー社)」、「CASフリーザー(アビー社)」との性能比較実験を行った。
多種類の食材や切り花について比較実験を行い、一般の家庭用冷蔵庫のレベルを基準として、下記の判定基準で評価した。
結果を纏めて図16に示すが、本発明のシステムは、鮮度保持効果が特に優れていること、殺菌効果や脱臭効果が非常に優れていること、コストが安いことが分かる。
◎◎:◎よりも更に優れている。 ◎:非常に優れている。 ○:優れている。
△:普通(同程度)。 ×:効果なし
【0020】
実施例3
実施例1と同様にして作成したペーパーコイルの上に、C、Si、Ti、Co、Auの各元素を含むインクを用いて螺旋状に印刷した厚さ0.1mmのアクリルフィルムを順に積層し、積層元素層を作成した。
次に、その上に、各層の厚さが0.1mmの、黄1層、赤2層、緑2層、青5層の合計10層の薄膜(特製の粘着テープ)を順に積層して色料層を作成し、積層体Aを得た。
続いて、実施例1と同様にして図3、図4に概要を示す保冷庫を作製し、デパートなどで購入した海産物の食材の保存・保管実験を行った。
結果を図17〜図21に示すが、実験条件は、ハマチが−5℃、その他は−3℃であり、プラズマ発生用電圧3500Vである。
上記以外の実験条件及び評価結果を図中に記載したが、ドリップもなく保存期間の大幅な延長が可能となった。比較対照の家庭用冷蔵庫の場合と対比すると、その顕著な効果が良く分かる。
特に、ハマチはすぐに駄目になる食材であり、ホタルイカは通常1日しか持たない食材であるから、驚異的結果といえる。
【0021】
実施例4
巻数の組み合わせを図2(b)に示すものに変えた点以外は、実施例1と同様にしてペーパーコイルを作成した。
次に、ペーパーコイルの上に、実施例3と同様にして積層元素層を作成した。
次に、その上に、各層の厚さが0.1mmの、黄2層、緑1層、青2層、赤5層の合計10層の薄膜(特製の粘着テープ)を順に積層して色料層を作成し、積層体Aを得た。
続いて、実施例1と同様にして図3、図4に概要を示す保冷庫を作製し、デパートなどで購入したり輸入元で入手した肉類の食材の保存・保管実験及び解凍実験を行った。
結果を図22〜図28に示すが、実験条件は、−3℃、プラズマ発生用電圧3500Vである。
上記以外の実験条件及び評価結果を図中に記載したが、保存期間を大幅に延長でき、ドリップのない良好な保存及び解凍結果が得られた。特に、さくら肉はすぐに黒くなる食材であり、鳥レバーは通常1日しか持たない食材であるから、驚異的結果といえる。
【0022】
実施例5
巻数の組み合わせを図2(c)に示すものに変えた点以外は、実施例1と同様にしてペーパーコイルを作成した。
次に、ペーパーコイルの上に、実施例3と同様にして積層元素層を作成した。
次に、その上に、各層の厚さが0.1mmの、赤1層、青4層、緑5層の合計10層の薄膜(特製の粘着テープ)を順に積層して色料層を作成し、積層体Aを得た。
続いて、実施例1と同様にして図3、図4に概要を示す保冷庫を作製し、デパートなどで購入した種々の食材の保存・保管実験及び解凍実験を行った。
結果を図29〜図34に示すが、実験条件は、白菜明太子が−3℃、イチゴが0℃、きゅうり、ほうれん草、カットフルーツが+2℃、ゆでたまごが−3℃、プラズマ発生用電圧3500Vである。
上記以外の実験条件及び評価結果を図中に記載したが、保存期間を大幅に延長でき、ドリップのない良好な保存及び解凍結果が得られた。比較対照の家庭用冷蔵庫の場合と対比すると、その顕著な効果が良く分かる。特に、冷凍イチゴはジャム用であってすぐに形が崩れてしまう食材であり、カットフルーツも形が崩れやすい食材であるから、原形を保っていること自体、驚異的である。
【0023】
実施例6〜10
実施例1と同様にして作成したペーパーコイルの上に、C、Si、Ti、Co、Zn、Au(実施例6)、C、Mg、Ti、Co、Se(実施例7)、Si、Ti、Se、Ag、Th(実施例8)、C、Si、Zn、Ag、Ce(実施例9)、C、Ti、Kr、Nd、Pt(実施例10)の各元素を含むインクを用いて螺旋状に印刷した厚さ0.1mmのアクリルフィルムを順に積層し、積層元素層を作成した。
次に、その上に、各層の厚さが0.1mmの、青4層、緑2層、赤2層、黄2層(実施例6〜10)の合計10層の薄膜(特製の粘着テープ)を順に積層して色料層を作成し、積層体Aを得た。
続いて、上記実施例6〜10の各積層体Aを用いて、実施例1と同様にして図3、図4に概要を示す保冷庫を作製し、水及び種々の食材の保存・保管実験を行った。
その結果、実施例1〜5と同じ種類の食材については同様の結果が得られた。
また、その他の材料について次のような結果が得られた。( )内は保管温度である。
・ミネラルウオーター(−5℃):まろやかな美味しい味に変わった。
・白米(−3℃):1ヶ月以上保管したが、炊いた米が柔らかく、弾力性や粘りが増し、ショ糖濃度が上昇した。
・餅(−3℃):6ヶ月経過しても変化がなく黴も生えなかった。
・和菓子(−2℃):賞味期限経過後、1週間たっても変化がなかった。
・鶏卵(−2℃):30日経過しても変色や臭いはなく、黄身の張り具合も良かった。
・そば、うどん(−2℃):10日保存後も味に変化はなかった。
・焼酎、黒糖酒、ワインなど(−2℃):保冷庫内で熟成し、味がまろやかになった。
・牛乳(−1℃):賞味期限経過後、2週間たっても変化がなかった。
・大名竹(0℃):デリケートな高級食材であるが、賞味期限経過後、1週間たっても変化はなかった。
・生ピザ(0℃):保存後に焼いたところ、生地が通常よりも3割程度膨らんだ。
・西条柿(0℃):3〜5ヶ月、良好な状態で保存できた。
・アスパラ(0℃):25日、良好な状態で保存できた。
・人参(0℃):2ヶ月以上、良好な状態で保存できた。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明で用いる積層体Aの層構成を示す図。
【図2】薄い基材にコイルを印刷した状態の例を示す図。(a)23巻き:23巻き、(b)23巻き:17巻き、(c)17巻き:17巻き。
【図3】本発明のシステムを既存保冷庫に応用した場合の構造の一例を示す図。
【図4】図3に示す構造の保冷庫を稼動させるためのブロック回路図。
【図5】実施例1の結果を示す図(豚肉、牛肉、鶏肉)。
【図6】実施例1の結果を示す図(キハダマグロ、生マグロ)。
【図7】実施例1の結果を示す図(冷凍マグロの解凍)。
【図8】実施例1の結果を示す図(ぶり、首折れあじ)。
【図9】実施例1の結果を示す図(冷凍ウニ、冷凍エビの解凍)。
【図10】実施例1の結果を示す図(イチゴ、メロン、栗)。
【図11】実施例1の結果を示す図(イチゴ、ブドウ)。
【図12】実施例1の結果を示す図(旬菜、ネギ)。
【図13】実施例1の結果を示す図(白菜、切り花)。
【図14】実施例1の結果を示す図(ケーキ)。
【図15】実施例1の結果を示す図。
【図16】実施例2の結果を示す図。
【図17】実施例3の結果を示す図(ハマチ)。
【図18】実施例3の結果を示す図(ボイルほたるいか)。
【図19】実施例3の結果を示す図(さしみイカ)。
【図20】実施例3の結果を示す図(ちだい)。
【図21】実施例3の結果を示す図(めばる)。
【図22】実施例4の結果を示す図(牛タン)。
【図23】実施例4の結果を示す図(牛ミノ)。
【図24】実施例4の結果を示す図(さしみ用さくら肉)。
【図25】実施例4の結果を示す図(牛大腸)。
【図26】実施例4の結果を示す図(鳥ささみ)。
【図27】実施例4の結果を示す図(鳥砂肝)。
【図28】実施例4の結果を示す図(鳥レバー、ハツ)。
【図29】実施例5の結果を示す図(白菜明太子)。
【図30】実施例5の結果を示す図(冷凍イチゴ)。
【図31】実施例5の結果を示す図(きゅうり)。
【図32】実施例5の結果を示す図(ほうれん草)。
【図33】実施例5の結果を示す図(カットフルーツ)。
【図34】実施例5の結果を示す図(ゆでたまご)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄い基材上に螺旋状に形成した一組の薄層状コイルを重ね合わせると共に、該コイルの外周端部同士を接続し、該接続したコイルに通電したときの電磁場が、NSSN又はSNNSとなるようにしたペーパーコイルと、一種類の元素を含む螺旋状の薄層を表面に設けた薄膜が、元素の種類を変えて複数積層された層(積層元素層)と、色料層とをこの順に積層した積層体A、並びにプラズマ発生装置を備えた保冷機能向上システム。
【請求項2】
壁面をアルミニウムで被覆した保冷室、積層体A及びプラズマ発生装置を備えており、該積層体Aが、薄い基材上に螺旋状に形成した一組の薄層状コイルを重ね合わせると共に、該コイルの外周端部同士を接続し、該接続したコイルに通電したときの電磁場が、NSSN又はSNNSとなるようにしたペーパーコイルと、一種類の元素を含む螺旋状の薄層を表面に設けた薄膜が、元素の種類を変えて複数積層された層(積層元素層)と、色料層とをこの順に積層したものである保冷庫。
【請求項3】
積層体Aを保冷室の内壁面に設け、該積層体Aと対向する内壁面に銅板を設けた2)記載の保冷庫。
【請求項1】
薄い基材上に螺旋状に形成した一組の薄層状コイルを重ね合わせると共に、該コイルの外周端部同士を接続し、該接続したコイルに通電したときの電磁場が、NSSN又はSNNSとなるようにしたペーパーコイルと、一種類の元素を含む螺旋状の薄層を表面に設けた薄膜が、元素の種類を変えて複数積層された層(積層元素層)と、色料層とをこの順に積層した積層体A、並びにプラズマ発生装置を備えた保冷機能向上システム。
【請求項2】
壁面をアルミニウムで被覆した保冷室、積層体A及びプラズマ発生装置を備えており、該積層体Aが、薄い基材上に螺旋状に形成した一組の薄層状コイルを重ね合わせると共に、該コイルの外周端部同士を接続し、該接続したコイルに通電したときの電磁場が、NSSN又はSNNSとなるようにしたペーパーコイルと、一種類の元素を含む螺旋状の薄層を表面に設けた薄膜が、元素の種類を変えて複数積層された層(積層元素層)と、色料層とをこの順に積層したものである保冷庫。
【請求項3】
積層体Aを保冷室の内壁面に設け、該積層体Aと対向する内壁面に銅板を設けた2)記載の保冷庫。
【図1】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図11】
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【図21】
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【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2009−186171(P2009−186171A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4197(P2009−4197)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(508012574)空水光研究所株式会社 (1)
【出願人】(508013102)株式会社 ペック (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(508012574)空水光研究所株式会社 (1)
【出願人】(508013102)株式会社 ペック (1)
【Fターム(参考)】
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