説明

保存用袋

【課題】クリーニング後の衣類、皮革製品、書籍・絵画、球根・種子などを保存するのに広く使用され、、黴やシミの発生や害虫による虫食いから完全に保護され、繰り返し使用可能な保護用袋。
【解決手段】袋内の保存物から発生する水蒸気やガスを外部に放出すると共に害虫などの進入を阻止する閉塞型の保存用袋であって、全面に発泡により形成された孔を除く通気性を備えた微細孔を有する合成樹脂製フィルムまたはシートからなり、袋の少なくとも一箇所に閉塞し得る開閉口を備えてなる。クリーニングした後の衣類を保存する袋として、袋の上方中央部にハンガーの掛止用線材を通す通し孔が設けられ、袋内部に衣類をハンガーに掛けた状態で収納可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング後の衣類、皮革製品、書籍・絵画、球根・種子などを保存する保存用袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、クリーニング済みの衣服に被せて下方が開放状態で使用するプラスチックフィルム製カバーがある。しかし、クリーニング後の衣服にスチームアイロンを掛ける際に吹き付けた蒸気の水分が残っていて、この衣服に通気性を有しないプラスチックフィルム製カバーを被せると衣服から蒸発した水蒸気がカバーの内面に結露して、黴やシミの原因となり、或いは害虫による虫食いの原因ともなり問題であった。
【0003】
そこで、かかる問題点を解消するために、カバー本体を透明プラスチックフィルムと細孔を有する発泡プラスチックフィルムとで形成したカバーに関する考案が特許文献1に開示されている。係る考案は、発泡によって生じた細孔によって通気性を保持することを特徴とする。しかし、発泡プラスチックフィルムは不透明なため、カバー全体を発泡プラスチックフィルムで形成すると内部の衣服が視認できなくなる欠点を有する。そこで、前記考案のカバーは、視認性を確保するために袋の片側に透明プラスチックフィルムを使用している。また、発泡によって形成された孔は、例えば、典型的な発泡法であるアゾジカルボンアミド等の発泡剤の熱分解による発泡により形成され、発泡剤の不均一分散によって発泡セルが不均一となり易く、孔径や孔の開孔率を制御することが極めて困難であり、害虫の進入を阻止する孔径を保持することは不可能に近い。
【0004】
【特許文献1】実開平6−22262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に開示されている考案は、通気性の点において従来品に比較して改良されているが、透明フィルム部には細孔が設けられていてないので、通気性にムラが生じ、しかも、カバーの下方が開放されているので、害虫等のカバー内部への進入を阻止することができない点において問題がある。本願発明の目的は、袋の全面に通気性のある微細孔を有する合成樹脂製フィルムまたはシートで形成することによって、均一でムラのない通気性の確保と、保存物の出し入れ用の開閉口を閉塞可能に形成することで害虫などの進入を完全に阻止すると共に、開閉口のフィルムを剥がして開ける際に感圧形接着剤が層間剥離したり剥がれにくくなる問題点を解決して、クリーニング後の衣類、皮革製品、書籍・絵画、球根・種子などを短期間から長期間に渡って保存する家庭用ないし業務用などに広く且つ繰り返し使用可能な保存用袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するために、本発明は、袋内の保存物から発生する水蒸気やガスを外部に放出すると共に害虫などの進入を阻止する閉塞型の保存用袋であって、全面に発泡により形成された孔を除く通気性を備えた微細孔を有する合成樹脂製フィルムまたはシートからなり、袋の少なくとも一箇所に閉塞し得る開閉口を備えたことを特徴とする保存用袋とする(請求項1)。
【0007】
また、前記の課題を解決するために、本発明は、衣類を保存する袋であって、発泡により形成された孔を除く通気性を備えた微細孔を袋の全面に有する透明ないし半透明の合成樹脂製フィルムまたはシートからなり、該袋の少なくとも一箇所に閉塞し得る開閉口を備え、該袋の上方中央部にハンガーの掛止用線材を通す通し孔が設けられ、該袋内部に衣類をハンガーに掛けた状態で収納し、前記の通し孔の周囲のフィルムまたはシートの上から紐状締着具でハンガーの掛止用線材に締着させることを特徴とする保存用袋とする(請求項2)。
【0008】
また、前記の課題を解決するために、本発明は、衣類を保存する袋であって、発泡により形成された孔を除く通気性を備えた微細孔を袋の全面に有する透明ないし半透明の合成樹脂製フィルムまたはシートからなり、該袋の一方向に開口する開口部を備え、該袋内部に衣類をハンガーに掛けた状態で収納し、前記開口部の周囲のフィルムまたはシートをハンガーの掛止用線材の周囲に寄せ集めて紐状締着具でハンガーの掛止用線材に締着させることを特徴とする保存用袋とする(請求項3)。
【0009】
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記袋の全面に設けられた微細孔は、孔径が50〜300μmであって、開孔率が0.6〜9.5%であることを特徴とする前記の保存用袋とすることが好ましい(請求項4)。
【0010】
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記保存用袋を形成する合成樹脂製フィルムまたはシートは、表面又は裏面の何れか一方の面に微細孔周縁に比較的高い凸部が形成され、他方の面が平面ないし微細孔周縁に比較的低い凸部が形成されてなり、微細孔周縁に比較的高い凸部が形成された面を前記袋の内側に向けてなることを特徴とする前記の保存用袋とすることが好ましい(請求項5)。
【0011】
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記保存用袋は、表面と裏面の接着特性がそれぞれ異なる合成樹脂製フィルムまたはシートからなり、前記開閉口は、保存用袋を構成する合成樹脂製フィルムまたはシートを折返し或いは重ね合わせて蓋部を形成し、該蓋部はフィルムまたはシートの表面と裏面が対向するように構成され、該蓋部を折返し或いは重ね合わせたときに、互いに対向する面のうち、何れか接着剤との接着力が強い方の面に感圧形接着剤を設けて、剥離・接着可能に形成したことを特徴とする前記の保存用袋とすることが好ましい(請求項6)。
【0012】
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記感圧形接着剤は、テープの両面に接着剤を塗布したタイプ、溶液タイプ、エマルジョンタイプ又はホットメルトタイプの中の何れかからなることを特徴とする前記の保存用袋とすることが好ましい(請求項7)。
【発明の効果】
【0013】
本発明の保存用袋は、前記のように構成されているので、クリーニング後の衣類を収納する保存用袋とすれば、スチームアイロンの蒸気による水分が通気性の微細孔から発散して衣類に長期間保持されないので、黴やシミの発生や害虫による虫食いから完全に保護される。また、開閉口が袋を構成するフィルムまたはシートの一方を他方に折返し或いは重ね合わせて構成され、しかも接着剤との親和性があり接着力が強い方の平面側に感圧接着剤を設け、対向するフィルム面側に凸部が形成されていれば接着面積が小さいので、フィルムを剥がすときに剥がれやすく、接着剤が取られて層間剥離したりすることがなく、繰り返し使用に耐える効果を奏する。また、羊毛製衣類や皮革製品であっても、通気性が確保され、害虫の進入を阻止するので、樟脳やナフタレンのような防虫剤が不要となり、防虫剤特有の臭いも付かない上、防虫剤が被保存物に接することによる障害を防止することができる。書籍類や絵画に関しても同様の効果を奏する。また、念のために衣類等を袋に収納後にオゾン殺菌ないし殺虫処理等を施しておけば万全である。球根、種子類などは、通気性が確保され、しかも水分を通しにくいのでカビの発生や腐敗が防止される結果、長期間の保存に耐える。一方向が開口する袋にクリーニング後の衣類を収納して開口部を紐状締着具でハンガーの係止用線材に締着して閉じるタイプの保存用袋は、衣類をハンガーに掛けた状態で袋掛けができるので衣類の収納に手間がかからず使いやすく作業効率が格段に向上する。また、被保存物を袋中に収納したままでオゾンケース中に配置し処理することにより、オゾンが微細孔から袋中に進入してオゾン殺菌され、その後エアレーションも同じ容器内でそのまま置くだけで処理は完了する。ケースから取り出した後も、引き続き外部と空気が微細孔を介して出入するので残留オゾンは完全に排出し安全に仕上がる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明を実施するための最良の形態について説明する。しかしながら、本願発明はかかる実施の形態によって限定されるものではない。本願発明の実施の形態に係る保存用袋は、全面に通気性のある微細孔を有する透明ないし半透明の合成樹脂製フィルムまたはシートからなる。
【0015】
合成樹脂製フィルムまたはシートの素材は特に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレン(PP)フィルム、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、一般用ポリスチレン(GP−PS)フィルム、耐衝撃性ポリスチレン(HI−PS)フィルム、二軸延伸ポリスチレン(OPS)フィルム、ポリエステル(PET)フィルム、ポリカーボネート(PC)フィルム、ポリビニルアルコール(PVA)フィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、アイオノマーフィルム、セルロース系プラスチックフィルム、熱可塑性エラストマーフィルム等から使用目的に応じて選択することができる。更に、前記単一フィルムの他に共押出しフィルムや接着用樹脂層を介したドライラミネーション又はサンドラミネーションで貼り合わせた多層フィルムであってもよい。
【0016】
また、微生物によって分解する、例えば、微生物産生系のポリヒドロキシブチレート、化学合成系のポリ乳酸系樹脂、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリブチレンサクシネート/テレフタレート、ポリビニルアルコール、天然物系の修飾澱粉、酢酸セルロース、キトサン/セルロース/澱粉、澱粉/化学合成系グリーンプラ等を使用することもできる。更に、例えば、フィルムを剥がし易くするために、静電気防止剤乃至界面活性剤を添加し、銀や銅等の金属粉からなる抗菌剤乃至殺菌剤、マイナスイオン乃至遠赤外線を発生するセラミック粉、花崗岩粉乃至カーボン粉(例えば木炭等)及び消臭剤乃至芳香剤の中から選ばれる少なくとも一種を添加し又は塗布することによって、様々な機能を達成することができる。
【0017】
前記微細孔の孔径と開孔率については、特に限定されないが保存用袋の使用目的によって選択することが可能である。クリーニングした後の衣類を保存する袋などにあっては、衣類の虫食いの原因たる衣料害虫の進入を阻止する必要がある。一般的に衣料害虫と称される虫は、幼虫が害虫となるのであって成虫は虫食いしないことが分かっている。そこで、衣料害虫の幼虫の大きさは、例えば、ヒメカツオブシムシの幼虫は体長5.5mm前後、ヒメマルカツオブシムシの幼虫は体長4〜4.5mm、コイガの幼虫は体長6〜7mm、イガの幼虫は体長7mm前後である。一方、極小害虫は体長が0.3mmとも言われることを考慮すれば、孔径の最大径は、300μmが好ましく、通気性またはガス透過性を考慮すれば、孔径の範囲は、50〜300μm、開孔率が0.6〜9.5%であることが好ましい。
【0018】
微細孔を有するフィルムまたはシートの製造方法としては例えば、ポリオレフィン系プラスチックフィルムを、フィルムの融点(約200℃)以上に加熱した熱針を植えた駆動ロール又は突起を備えたエンボスロールとバックアップロールの間(所定のギャップに設定されている)に挟持し、ライン速度で同調させつつ多数の微細孔を溶融穿孔する。この溶融穿孔の際に、フィルム片面における孔の周縁に溶融樹脂溜まりによる比較的高い凸部が形成され、反対面側に比較的低い凸部が形成される。本実施例ではこの比較的高い凸部が形成された面を袋の内側になるようにして2枚のフィルムを重ねて、開口部を除いて周囲を溶着切断(溶断)して袋を形成する。
【0019】
穿孔方法は前記の熱針法以外に、プラスチック製フィルムの何れかの一面から他面に向けて微粉鉱石を高速で飛ばす穿孔方法、レーザー光で穿孔する方法、多数の貫通孔を有する円筒状ロールの表面にフィルムを連続して沿わせて、該フィルムを軟化温度以上に加熱して、貫通孔部分のフィルムを円筒状ロールの内側から吸引し、円筒状ロールの貫通孔の内面に沿って吸引されたフィルム部の先端部が切断して穿孔する吸引法、前記の円筒状ロールに設けた貫通孔の内側から加熱ガス等を噴出して穿孔する方法、多数の窪みを備えた円筒状ロールの表面にフィルムを連続して沿わせ、該フィルムの表面をガスバーナー火炎等で加熱し、前記の窪み部分に当接したフィルムが内部応力を受けて収縮することによって穿孔する方法等があり、本発明の微細孔を有するフィルムは、あらゆる穿孔方法によって製造されたフィルムを包含するものであり、穿孔方法や製袋方法によっていかなる限定を受けるものではない。
【0020】
前記の穿孔方法において、熱針法の場合は、フィルムの片面に微細孔の周縁に溶融樹脂溜まりによる比較的高い凸部が形成され、反対面に比較的低い凸部が形成される。これに対して、前記吸引穿孔法の場合は、片面にのみ微細孔の周縁に比較的高い円筒状凸部が形成されて他面側が平面状に形成される。本発明の保存用袋においては、このフィルムの表面と裏面の凹凸の形状や平滑性などに起因する接着力の差異を利用して長期間に剥がし難くくなったり接着剤自体の層間剥離を防止し、繰り返し接着・剥離性を向上させることを特徴の一つとする。
【0021】
図1は、本発明の実施例1に係るクリーニングした後の衣類を保存する保存用袋の正面図であり、図2は、同X−X線断面図であり、図3は、同Y−Y線断面図であり、図4は、蓋部近辺の拡大図である。図において、保存用袋1は、表面中央部から垂直方向に開閉口2aが設けられており、保存用袋1の下方端部には、開閉口2bが設けられている。上方中央部にはハンガーの掛止用線材を通す通し孔5が設けられ、通し孔5と開閉口2bを除く周縁部は溶着されている。保存用袋1を構成する合成樹脂製フィルムは、20μm厚の二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムからなり、このフィルムに熱針により所定の微細孔7を穿孔してなり、片面に樹脂溜まりによる比較的高い凸部8が形成されており(A面とする)、他方の面はほぼ平面に近いが図示しないやや低い凸部が形成されている(B面とする)。保存用袋1は、開口し易いように通常はフィルムの凸面側(A面側)が内側に向くように形成される。
【0022】
開閉口2aは、フィルムの一端部を蓋部3として、他端部に重ね合わされ、重ね合わされるフィルムの何れか接着特性が強い方の面(B面側)に感圧形接着剤4が設けられ繰り返し剥離・接着可能に構成される(図2参照)。更に、この保存用袋1の下方端に設けられている開閉口2bは、一方のフィルムが他方のフィルムより若干長く形成されその余分のフィルムを蓋部3として他方のフィルムの上に折り返され、開閉口2aと同様に感圧形接着剤4を介して剥離・接着可能に構成される(図3参照)。実際には、前記保存用袋一個当たり、前記開閉口2a,2bの中の何れか一方の開閉口を設けてもよい。また、前記感圧形接着剤4は、使用前は表面に離型紙その他プラスチックフィルムなどを被せて粘着性を失しないように保護しておくことが好ましい。感圧形接着剤の劣化を防ぐために使用直前に貼るか塗布するようにしてもよい。
【0023】
図4に示すように、外側フィルム6aと内側フィルム6bの端部が重なった部分においては、両フィルムともにA面が内側に向いており、外側フィルム6a端が蓋部3となり、この蓋部3と対向する内側フィルム6b端のB面側に両面テープ状の感圧形接着剤4が設けられている。両フィルムともA面側には微細孔7の周縁に凸部8が形成されており、反対面のB面側には、図示しないやや低い凸部が形成されている。B面側は接着面積が広いので、この面に両面テープ状の感圧形接着剤を貼り付けると、より強固な接着力が得られる。一方、A面側には、比較的高い凸部が形成されているので、感圧形接着剤とA面との界面で剥離し、長期間、感圧形接着剤と接していてもフィルムと接着剤が馴染んで、或いは接着剤の層間剥離により剥がし難くなる現象が防止される結果、剥離性が阻害されることがない。開閉口2bについても全く同様である。
【0024】
また、前記以外に、接着に係わる何れか一方のフィルム面にコロナ処理若しくはプラズマ処理を施して接着性を高めて、接着力の高い方のフィルム面に感圧形接着剤を貼り付けるようにしてもよい。そして、感圧形接着剤としては特に限定されないが、例えば市販されているシリコーン系のテープ状感圧形接着剤を使用すればよい。テープ状感圧形接着剤以外に溶液タイプ、エマルジョンタイプ又はホットメルトタイプの感圧形接着剤を直接フィルムに塗布してもよい。また、フィルムのB面側にコロナ処理若しくはプラズマ処理を施してテープ状感圧形接着剤を貼ればより接着力が向上する。液状ないしホットメルトタイプの感圧形接着剤をA面側に塗布した場合、微細孔周縁の凸部ないし筒状凸部と物理的に結合してより接着力が向上する。A面とB面の何れに塗布するかは、フィルム及び接着剤の材質等によって任意に設定できる。保存用袋の上方に形成されたハンガーの掛止用線材を通す通し孔5から害虫の進入を防止するために、例えば、図6に示す紐状締着具10を通し孔5の周囲のフィルムまたはシートの上から巻き付けてハンガーの掛止用線材に締着させることが好ましい。
【0025】
図5は、本発明の実施例2に係るクリーニングした後の衣類を保存する保存用袋の正面図であり、図6は、同実施例の保存用袋のフィルムまたはシートをハンガーの掛止用線材12の周囲に寄せ集めて紐状締着具10でハンガーの掛止用線材に締着させた状態を示す正面図である。本実施例2にあっては、保存用袋1の上方の開口部9が開口するとともに他の三辺が溶着されており、開口部9近傍にフィルムと同一素材からなる紐状締着具10の端部が左右各辺にそれぞれ溶着されている。フィルムは前記実施例1と同一のものを使用した。紐状締着具10として、例えば、合成樹脂製紐の表面に互いに絡み合い又は噛み合う、鋸刃状、キノコ状又はワナ状等の図示しない多数の係止用突起を形成した紐を、袋の周縁を溶断する際に同時に開口部9近傍の辺に溶着すれば工数が省けて好ましい。該保存用袋の開口部9を開け、予めハンガー11に掛けられたクリーニングした後の衣類の直下において、手で袋の開口部9を持って袋を上方に引き上げれば衣類はそのまま袋の中に収納される。その後、開口部9周辺のフィルムを寄せ集めて閉じてその口元に前記紐状締着具10の一端を袋から取り外して軽く2〜3回重ね巻きし、紐の端部を斜めに強く引くと、前記図示しない係止用突起が互いに係止し合って、ハンガーの掛止用線材12の周囲に締着して袋の開口部9が閉じる(図6参照)。係る保存用袋は工数が少なく製造でき、且つ衣類の収納も簡単であり、収納後は袋内の空気が自然に抜けるので空気抜きの手間を要せず頗る使い勝手が良い。
【0026】
更に、開閉口2a,2bについては、フィルムを折返し乃至重ね合わせて蓋部3を形成する以外にファスナーなどを用いてもよい。図7は、本発明の実施例3に係るクリーニングした後の衣類を保存する保存用袋1の正面図である。本発明の実施例3に係る保存用袋1は、四辺とも溶着された袋において、中央部の開閉口にファスナー13を用いた例である。図8は、本発明の実施例4に係るクリーニングした後の衣類を保存する保存用袋1の正面図である。本発明の実施例4に係る保存用袋1は、三辺が溶着された袋において、残りの一辺に実施例1の開閉口2bと同様の蓋部3を設けた例である。実施例3,4に示す保存用袋1は、和服のようにハンガーに吊り下げることなく折畳んで収納する衣類を保存するのに好適である。前記保存用袋の開閉口並びに開口部の開閉手段は、記述した以外に、例えば、開口部等を1〜2回折り重ねてホックないしテープ等で止めても良い。つまり、開閉手段は開口部から害虫等が進入しない限りにおいて特に限定されるものではない。
【0027】
以上主として、クリーニングした後の衣類を保存する保存用袋について説明したが、これ以外の他の保存用袋について、被保存物、例えば、書籍・絵画、球根・種子などに応じて形状や構造を変えたものについても本発明の趣旨に反しない限り本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明に係る保存用袋は、クリーニング後の衣類、皮革製品、書籍・絵画、球根・種子などを保存するのに広く使用され、、黴やシミの発生や害虫による虫食いから完全に保護され、繰り返し使用可能であるので家庭用や業務用として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例1に係るクリーニングした後の衣類を保存する保存用袋の正面図である。
【図2】同X−X線断面図である。
【図3】同Y−Y線断面図である。
【図4】同蓋部近辺の拡大図である。
【図5】本発明の実施例2に係るクリーニングした後の衣類を保存する保存用袋の正面図である。
【図6】同保存用袋の開口部のフィルムを紐状締着具でハンガーの掛止用線材に締着させた状態を示す正面図である。
【図7】本発明の実施例3に係るクリーニングした後の衣類を保存する保存用袋の正面図である。
【図8】本発明の実施例4に係るクリーニングした後の衣類を保存する保存用袋の正面図である。
【符号の説明】
【0030】
1:保存用袋、2a,2b:開閉口、3:蓋部、4:感圧形接着剤、5:通し孔、6a:外側フィルム、6b:内側フィルム、7:微細孔、8:凸部、9:開口部、10:紐状締着具、11:ハンガー、12:ハンガーの掛止用線材、13:ファスナー
A:A面、B:B面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋内の保存物から発生する水蒸気やガスを外部に放出すると共に害虫などの進入を阻止する閉塞型の保存用袋であって、全面に発泡により形成された孔を除く通気性を備えた微細孔を有する合成樹脂製フィルムまたはシートからなり、袋の少なくとも一箇所に閉塞し得る開閉口を備えたことを特徴とする保存用袋。
【請求項2】
衣類を保存する袋であって、発泡により形成された孔を除く通気性を備えた微細孔を袋の全面に有する透明ないし半透明の合成樹脂製フィルムまたはシートからなり、該袋の少なくとも一箇所に閉塞し得る開閉口を備え、該袋の上方中央部にハンガーの掛止用線材を通す通し孔が設けられ、該袋内部に衣類をハンガーに掛けた状態で収納し、前記の通し孔の周囲のフィルムまたはシートの上から紐状締着具でハンガーの掛止用線材に締着させることを特徴とする保存用袋。
【請求項3】
衣類を保存する袋であって、発泡により形成された孔を除く通気性を備えた微細孔を袋の全面に有する透明ないし半透明の合成樹脂製フィルムまたはシートからなり、該袋の一方向に開口する開口部を備え、該袋内部に衣類をハンガーに掛けた状態で収納し、前記開口部の周囲のフィルムまたはシートをハンガーの掛止用線材の周囲に寄せ集めて紐状締着具でハンガーの掛止用線材に締着させることを特徴とする保存用袋。
【請求項4】
前記袋の全面に設けられた微細孔は、孔径が50〜300μmであって、開孔率が0.6〜9.5%であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の保存用袋。
【請求項5】
前記保存用袋を形成する合成樹脂製フィルムまたはシートは、表面又は裏面の何れか一方の面に微細孔周縁に比較的高い凸部が形成され、他方の面が平面ないし微細孔周縁に比較的低い凸部が形成されてなり、微細孔周縁に比較的高い凸部が形成された面を前記袋の内側に向けてなることを特徴とする請求項1〜3記載の保存用袋。
【請求項6】
前記保存用袋は、表面と裏面の接着特性がそれぞれ異なる合成樹脂製フィルムまたはシートからなり、前記開閉口は、保存用袋を構成する合成樹脂製フィルムまたはシートを折返し或いは重ね合わせて蓋部を形成し、該蓋部はフィルムまたはシートの表面と裏面が対向するように構成され、該蓋部を折返し或いは重ね合わせたときに、互いに対向する面のうち、何れか接着剤との接着力が強い方の面に感圧形接着剤を設けて、剥離・接着可能に形成したことを特徴とする請求項1または2記載の保存用袋。
【請求項7】
前記感圧形接着剤は、テープの両面に接着剤を塗布したタイプ、溶液タイプ、エマルジョンタイプ又はホットメルトタイプの中の何れかからなることを特徴とする請求項6記載の保存用袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−12836(P2009−12836A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−178561(P2007−178561)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(390003160)ニダイキ株式会社 (6)
【出願人】(500450613)大榮産業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】