説明

保持具

【課題】金属部分が適正な位置からずれた状態になっていないかどうかを、容易に確認することができる保持具を提供すること。
【解決手段】保持具1は、導電性のない樹脂材料で形成された本体部3と、金属材料で形成されたリード部5とを備えている。保持具1を平面視したときに土台部分3Aと円筒部分3Bとの境界となる位置には、窓11が形成されている。リード部5の他端は、窓11を通して観察可能な位置に露出しており、これにより、リード部5の他端と本体部3に保持されたコンデンサ6との間に所定の絶縁距離が確保されているか否かを、窓11を通して確認可能になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板に取り付けられる保持対象物を、所定位置で保持する保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、薄型化に伴い、プリント配線板上に実装される電子部品についても、より低背型であること(=プリント配線板上での高さがより低いこと)が求められている。
【0003】
そのような背景のもと、プリント配線板上に立てて取り付けるとプリント配線板上での高さが比較的高くなる電子部品(例えば、コンデンサ等、長手方向の一端にリードを有する電子部品)については、プリント配線板上で横倒しにする(=長手方向をプリント配線板表面に対して略並行に配置する)ことにより、その突出量を抑えることがある。
【0004】
また、上記のように電子部品を横倒しにする場合、保持具をプリント配線板上に配設して、そのような保持具により、横倒しにした電子部品を保持することも提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の保持具(特許文献1でいう取付脚(7))は、エポキシ樹脂等の絶縁材からなる保持具本体に、金属リード(特許文献1でいう第3の突起(11a),(11b))を設けた構造になっている(特許文献1:段落[0010]参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−208984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のような金属リードは、一端が保持具本体から突出しているものの、他端は保持具本体の内部に埋没した状態になっているので、保持具本体の外部から観察しても、他端の位置を確認することは困難である。
【0007】
そのため、例えば、保持具を製造するときに、何らかの事情で金属リードが引っ張られたり押し込まれたりするなどして、金属リードの他端が、設計通りの位置からずれた状態になったとしても、そのような状態になっていないかどうか、保持具の製造業者が検査することは困難であった。
【0008】
また、保持具を取付位置に取り付けるときに、何らかの事情で金属リードが引っ張られたり押し込まれたりしても、金属リードの他端が設計通りの位置からずれるおそれがあるが、そのような状態になったことを、保持具の取付作業者が確認することも困難であった。
【0009】
さらに、保持対象物によっては、金属部品との間に所定の絶縁距離を確保しなければならないこともあり、例えば、保持対象物がコンデンサの場合、コンデンサと金属リードとの距離が絶縁距離以下まで接近していることは好ましくない。
【0010】
しかし、金属リードの他端が設計通りの位置からずれた結果、金属リードの他端が保持対象物に接近して絶縁距離が確保されていない状態になったとしても、そのような状態になったことを作業者が確認することはできなかった。
【0011】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、金属部分が適正な位置からずれた状態になっていないかどうかを、容易に確認することができる保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下、本発明において採用した構成について説明する。
請求項1に記載の保持具は、導電性のない材料で形成され、保持対象物が有する柱状部分の端部を嵌め込み可能な形状とされた本体部と、金属材料で形成され、前記本体部に固定されており、所定の取付箇所に対してはんだ付け可能なリード部とを備え、前記保持対象物が前記本体部に嵌め込まれるとともに、前記リード部が前記取付箇所にはんだ付けされることにより、前記取付箇所において前記保持対象物を保持可能な保持具であって、前記リード部は、一端と他端の間にある部分が、前記本体部との固定に利用される固定部分となっていて、当該固定部分よりも前記一端側にある部分が、前記取付箇所にはんだ付けされる部分になっており、しかも、前記本体部には、前記固定部分よりも前記他端側にある部分の位置を観察可能な窓が形成されており、前記固定部分よりも前記他端側にある部分と前記保持対象物との間に所定の絶縁距離が確保されているか否かを、前記窓を通して確認可能な構造になっていることを特徴とする。
【0013】
このように構成された保持具によれば、本体部に嵌め込まれた保持対象物を取付箇所において保持することができるので、保持対象物に振動や衝撃が伝わった場合でも、その振動や衝撃で保持対象物に過大な負荷がかかるのを防止することができる。
【0014】
また、本体部には、リード部の固定部分よりも他端側にある部分の位置を観察可能な窓が形成されている。そのため、リード部の他端が本体部の内部に埋没した構造になっている従来品とは異なり、リード部の固定部分よりも他端側にある部分と保持対象物との間に所定の絶縁距離が確保されているか否かを、作業者が窓を通して確認することができる。
【0015】
したがって、例えば、保持具の製造直後に、作業者が窓を通してリード部の固定部分よりも他端側にある部分の位置を検査し、その検査に合格したものだけを出荷するといった対応ができる。また、プリント配線板に保持対象物と保持具を実装した後、窓を通して絶縁距離の確認を行った結果、万一、リード部の固定部分よりも他端側にある部分が所期の位置に存在しない状態になっていれば、保持具の交換を行うなどの対応をすることができる。
【0016】
請求項2に記載の保持具は、請求項1に記載の保持具において、前記本体部は、前記保持対象物が前記本体部に嵌め込まれた際に、前記柱状部分の端面が当接する状態になる端面当接部と、前記柱状部分の外周を包囲する状態になる包囲部とを有する形状とされ、前記端面当接部には開口が形成されていて、当該開口の周囲にある部分で前記柱状部分の端面に当接するとともに、前記開口となっている部分では、前記柱状部分の端面を露出させる構造になっていることを特徴とする。
【0017】
このように構成された保持具によれば、端面当接部によって柱状部分の軸方向への変位を規制することができ、包囲部によって柱状部分の軸方向に垂直な方向への変位を規制することができる。したがって、上記軸方向への変位及び上記垂直な方向への変位のうち、いずれか一方を規制できない構造を採用している場合に比べ、保持対象物をしっかりと保持することができる。
【0018】
また、本体部が備える端面当接部には開口が形成され、この開口となっている部分では、柱状部分の端面が露出する。そのため、例えば、請求項6に記載のように、内圧が過大になったときに膨張又は破裂する圧力弁を柱状部分の端面に設けてなるコンデンサが保持対象物である場合でも、圧力弁の機能を阻害することなく保持具を装着することができる。
【0019】
また、圧力弁の破裂に至った場合、開口となっている部分では破裂が阻害されないものの、その周囲の端面当接部や包囲部は、コンデンサの破裂を抑制する。そのため、破裂に伴って飛散する内容物の飛散方向を、主に軸方向となるように制限することができ、軸方向以外の周囲に及ぶ被害を限定的なものとすることができる。
【0020】
この他、上記のような開口が形成されていれば、柱状部分の端面からリードが延出している形態の電子部品を保持する場合であっても、この保持具を問題なく装着することができる。また、柱状部分の端部から放熱する形態の電子部品を保持する場合、電子部品からの放熱を妨げることなく保持具を装着することができる。
【0021】
請求項3に記載の保持具は、請求項2に記載の保持具において、前記本体部は、前記保持対象物が前記本体部に嵌め込まれる際、前記柱状部分の端面が前記端面当接部に当接する位置に達する前に、前記柱状部分の端面に引っかかる爪部を有する形状とされ、前記爪部は、前記柱状部分の端面に引っかかった後、前記柱状部分がさらに前記本体部に押し込まれると、弾性変形しつつ前記柱状部分の外周側へと押し退けられて、前記柱状部分の外周に当接する状態になることを特徴とする。
【0022】
このような保持具によれば、爪部が弾性変形しつつ柱状部分の外周側へと押し退けられて、柱状部分の外周に当接するので、保持対象物の外周寸法に公差がある場合でも、その公差を爪部の弾性変形で吸収し、保持対象物をぴったりと保持することができる。
【0023】
また、爪部が柱状部分の端面に引っかかった後、柱状部分がさらに本体部に押し込まれる際には、いくらか強めの力で柱状部分を本体部に押し込むことになる。そして、引っかかっていた爪部が柱状部分の端面から外れる際には、適度なスナップ感が生じ、その直後、いくらか強めの力で押し込まれていた柱状部分は、爪部による抵抗がなくなるのに伴い、完全に本体部に押し込まれた状態に至る。
【0024】
したがって、柱状部分を本体部に押し込む際、利用者はスナップ感を頼りにして、柱状部分を適正な位置まで本体部に押し込むことができ、スナップ感が感じられないような押し込み量とならないように留意することができる。
【0025】
請求項4に記載の保持具は、請求項2又は請求項3に記載の保持具において、前記包囲部は、筒状体の一部に開環部分が形成されることで、前記端面に平行な断面形状がC字状となる形態になっていて、前記保持対象物が前記本体部に嵌め込まれた際、前記保持対象物の一部を前記開環部分に入り込ませる構造になっていることを特徴とする。
【0026】
このように構成された保持具によれば、上記のような開環部分が形成されていない場合に比べ、包囲部の径方向寸法を小さくできるので、この小さくなる方向を高さ方向とすることで、保持対象物を保持した部分の低背化を図ることができる。
【0027】
請求項5に記載の保持具は、請求項4に記載の保持具において、前記包囲部のうち、前記開環部分を挟んで両側の位置にある部分は、前記端面当接部の一部を介して互いに連結されることにより、前記開環部分が拡開するのを防止してあることを特徴とする。
【0028】
このように構成された保持具によれば、包囲部には開環部分が形成されているものの、開環部分を挟んで両側の位置にある部分は、端面当接部の一部を介して互いに連結されている。そのため、包囲部及び端面当接部を全体的に見れば、途切れた部分のない環状体となっており、これにより、開環部分の拡開が防止される。
【0029】
したがって、開環部分を挟んで両側の位置にある部分が連結されていないものとは異なり、開環部分の拡開に伴って保持対象物が外れやすくなる、といったことがない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】(a)は保持具の斜視図、(b)は保持具の使用状態を示す右側面図。
【図2】(a)は保持具の平面図、(b)は保持具の左側面図、(c)は保持具の正面図、(d)は保持具の右側面図、(e)は保持具の背面図、(f)は保持具の底面図。
【図3】(a)は図2(a)に示したA部の拡大図、(b)は図2(c)に示したB−B線での断面図。
【図4】保持具に保持対象物を嵌め込むときの状態を段階的に示した説明図。
【図5】一つの保持対象物に対して二つの保持具を使った場合の使用状態を示す斜視図。
【図6】プリント配線板に形成された孔の内部に保持対象物の一部を入り込ませた場合の使用状態を段階的に示した説明図。
【図7】リード部の形態についての変形例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。
保持具1は、図1(a)に示すように、導電性のない樹脂材料(例えば、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン等)で形成された本体部3と、金属材料(例えば、銅系合金)で形成されたリード部5とを備えている。
【0032】
この保持具1において、本体部3には、図1(b)に示すように、円柱状に形成されたコンデンサ6の端部が嵌め込まれる。そして、この状態で、保持具1のリード部5及びコンデンサ6のリード部6Aがプリント配線板8にはんだ付けされ、これにより、保持具1がコンデンサ6とともにプリント配線板8上に実装される。
【0033】
したがって、コンデンサ6は、保持具1によって保持された状態となり、保持具1が設けられていない場合に比べ、しっかりと定位置で保持されることになる。また、コンデンサ6に振動や衝撃が伝わった場合でも、その振動や衝撃でコンデンサ6のリード部6Aに過大な負荷がかかるのを防止できる。
【0034】
次に、保持具1の細部の構造について説明する。
この保持具1において、本体部3は、図2(a)〜同図(f)に示すように、プリント配線板8に接する土台部分3Aと、この土台部分3Aによって支持される円筒部分3Bとを一体成形した構造になっている。そして、この土台部分3Aに、リード部5が突設されている。
【0035】
また、図2(a)に示すように、保持具1を平面視したときに土台部分3Aと円筒部分3Bとの境界となる位置には、窓11が形成されている。そして、図3(a)に拡大して示すように、この窓11を通してリード部5が観察可能になっている。
【0036】
より詳しく説明すると、リード部5は、図3(b)に示すように、一端5Aと他端5Bの間にある部分が、本体部3との固定に利用される固定部分5Cとなっている。このリード部5には、部分的に扁平な形状に加工された2つの扁平部5Dが形成されており、固定部分5Cにおいては、一方の扁平部5Dが本体部3に埋設され、これにより、リード部5が本体部3に対して相対的に移動しない構造になっている。また、このような固定部分5Cよりも一端5A側の部分が、プリント配線板8にはんだ付けされる部分になっている。
【0037】
そして、リード部5の他端5Bは、窓11を通して観察可能な位置に露出しており、これにより、リード部5の他端5Bとコンデンサ6との間に所定の絶縁距離が確保されているか否かを、窓11を通して確認可能になっている。すなわち、リード部5の他端5Bが、窓11から見えない位置にまで引き込まれていたり、逆に、露出している他端5Bがコンデンサ6側へ不正に折れ曲がっていたりすれば、そのような状態を窓11を通して確認できる。
【0038】
したがって、リード部5の他端5B相当の部分が本体部3相当物の内部に埋没した構造になっている従来品とは異なり、例えば、保持具1の製造直後に、作業者が窓11を通してリード部5の他端5Bの位置を検査し、その検査に合格したものだけを出荷するといった対応ができる。あるいは、プリント配線板8にコンデンサ6と保持具1を実装した後、窓11を通して絶縁距離の確認を行った結果、万一、所期の位置にリード部5の他端5Bが存在しない状態になっていれば、保持具1の交換を行うなどの対応をすることができる。
【0039】
また、この保持具1において、本体部3の円筒部分3Bは、コンデンサ6が本体部3に嵌め込まれた際に、コンデンサ6の端面が当接する状態になる端面当接部13と、コンデンサ6の外周を包囲する状態になる包囲部15とを有する形状とされている、そして、端面当接部13には開口17が形成されていて、この開口17の周囲にある部分でコンデンサ6の端面に当接するとともに、開口17となっている部分では、コンデンサ6の端面を露出させる構造になっている。
【0040】
そのため、このような保持具1にコンデンサ6を嵌め込んで保持すれば、端面当接部13によってコンデンサ6の軸方向への変位を規制することができ、包囲部15によってコンデンサ6の軸方向に垂直な方向への変位を規制することができる。
【0041】
したがって、上記軸方向への変位及び上記垂直な方向への変位のうち、いずれか一方を規制できない構造を採用している場合に比べ、コンデンサ6をしっかりと保持することができる。また、先に説明した特許文献1に記載の技術とは異なり、コンデンサ6の外周に溝を刻設しなくてもコンデンサ6の軸方向への変位を規制できるので、一般的な形態のコンデンサ6をそのまま保持することができる。
【0042】
さらに、端面当接部13に形成された開口17においては、コンデンサ6の端面が露出する。そのため、内圧が過大になったときに膨張又は破裂する圧力弁6Bがコンデンサ6の端面に設けてある場合でも、圧力弁6Bの機能を阻害することなく保持具1を装着することができる。
【0043】
しかも、圧力弁6Bの破裂に至った場合、開口17となっている部分では破裂が阻害されないものの、その周囲の端面当接部13や包囲部15は、コンデンサ6の破裂を抑制する。そのため、圧力弁6B付近での破裂に伴ってコンデンサ6の内容物が飛散しても、その飛散方向を主に軸方向に制限でき、軸方向以外の周囲に及ぶ被害を限定的なものとすることができる。
【0044】
また、この保持具1において、本体部3は、図4(a)〜同図(c)に示すように、コンデンサ6が本体部3に嵌め込まれる際、コンデンサ6の端面が端面当接部13に当接する位置に達する前に、コンデンサ6の端面に引っかかる爪部19を有する形状とされている。
【0045】
この爪部19は、コンデンサ6の端面に引っかかった後(図4(b)参照)、コンデンサ6がさらに本体部3に押し込まれると、弾性変形しつつ前記コンデンサ6の外周側へと押し退けられて(図4(c)参照)、コンデンサ6の外周に当接する状態になる。
【0046】
そのため、このような爪部19が設けてあれば、コンデンサ6の外周寸法に公差がある場合でも、その公差を爪部19の弾性変形で吸収し、コンデンサ6をぴったりと保持することができる。
【0047】
また、爪部19がコンデンサ6の端面に引っかかった後、コンデンサ6がさらに本体部3に押し込まれる際には、いくらか強めの力でコンデンサ6を本体部3に押し込むことになる。そして、引っかかっていた爪部19がコンデンサ6の端面から外れる際には、適度なスナップ感が生じ、その直後、いくらか強めの力で押し込まれていたコンデンサ6は、爪部19による抵抗がなくなるのに伴い、完全に本体部3に押し込まれた状態に至る。
【0048】
したがって、コンデンサ6を本体部3に押し込む際、利用者はスナップ感を頼りにして、コンデンサ6を適正な位置まで本体部3に押し込むことができ、スナップ感が感じられないような押し込み量とならないように留意することができる。
【0049】
また、図1(a)、図2(e)、図4(c)などに示すように、包囲部15は、筒状体の一部に開環部分21が形成されることで、コンデンサ6の端面に平行な断面形状がC字状となる形態になっている。そして、コンデンサ6が本体部3に嵌め込まれた際、コンデンサ6の一部を開環部分21に入り込ませる構造になっている(図4(b)参照。)。
【0050】
したがって、このような開環部分21が形成されていない筒状体にコンデンサ6を挿し込む構造を採用した場合に比べ、包囲部15の径方向寸法を小さくできる。よって、この小さくなる方向がプリント配線板8からの高さ方向となるように保持具1を配設することで、コンデンサ6を保持した部分の低背化を図ることができる。
【0051】
さらに、この保持具1において、包囲部15のうち、開環部分21を挟んで両側の位置にある部分は、端面当接部13の一部を介して互いに連結されており、これにより、開環部分21が拡開するのを防止してある。
【0052】
すなわち、包囲部15には開環部分21があるものの、包囲部15及び端面当接部13を全体的に見れば、途切れた部分のない環状体となっており、これにより、開環部分21の拡開が防止されている。したがって、単に開環部分21だけを設けたものとは異なり、開環部分21の拡開に伴ってコンデンサ6が外れやすくなる、といったことがない。
【0053】
なお、以上説明したような保持具1は、図1(b)に示したように、コンデンサ6の一端に装着することで、コンデンサ6のリード部6Aと協働してコンデンサ6を支持する構造を構成できるが、図5に示すように、コンデンサ6の両端に装着することもできる。
【0054】
すなわち、保持具1の本体部3には、すでに説明した通り、開口17が形成されているので、コンデンサ6の端面からリード部6Aが延出していても、その端部を問題なく保持することができる。
【0055】
したがって、図5に示すように、コンデンサ6の両端を保持することで、より強固にコンデンサ6を支持することができ、これにより、例えば、衝撃等を受けた際にコンデンサ6のリード部6Aにかかり得る負荷を格段に軽減することができる。
【0056】
また、この保持具1は、図6(a)〜同図(c)に示すように、プリント配線板8に異形の孔8Aを形成しておいて、その孔8Aの内部にコンデンサ6の一部を入り込ませるように配置する場合にも使用することができる。この場合、保持具1は、プリント配線板8と平行に配置された別のプリント配線板25(又は筐体を構成するパネル等)にはんだ付けされる。
【0057】
このような配置をすれば、プリント配線板8の表面から突出するコンデンサ6の高さ方向寸法を抑えることができる。また、このような配置をする場合、保持具1が孔8Aにぴったりと収まることで、コンデンサ6とプリント配線板8との間に僅かな隙間を形成でき、これにより、コンデンサ6がプリント配線板8に接触するのを防止することができる(図6(b)参照。)。
【0058】
さらに、保持具1がプリント配線板25(又は筐体を構成するパネル等)にはんだ付けされると、保持具1は、プリント配線板8をプリント配線板25に対して固定する固定具としても機能する。したがって、保持具1がはんだ付けされれば、プリント配線板8がプリント配線板25から離間する方向へ変位するのを阻止することができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態において、窓11は、平面視したときにリード部5の他端5Bが見える方向に開口していたが、コンデンサ6との絶縁距離を確認できるような窓であれば、どのような方向に向かって開口していてもよいし、その形状や大きさも任意である。
【0060】
また、上記実施形態において、リード部5の他端5Bは、リード部5の固定部分5Cに対し、鈍角をなす方向に曲げられていたが、図7(a)に示すリード部31のように、リード部31の他端31Bが、リード部31の固定部分31Cに対し、直角をなす方向に曲げられていてもよい。あるいは、図7(b)に示すリード部33のように、リード部33の他端33Bが、リード部33の固定部分33Cに対し、鋭角をなす方向に曲げられていてもよい。
【0061】
これらのように、リード部5,31,33の他端5B,31B,33Bを曲げておけば、他端5B,31B,33Bを固定部分5C,31C,33Cの貫通箇所側へ引き込むような力がリード部5,31,33に作用したとしても、他端5B,31B,33Bが本体部3に引っかかることで、他端5B,31B,33Bの引き込みを防止することができる。
【0062】
また、上記実施形態においては、リード部5に2つの扁平部5Dが形成されている例を示したが、このような扁平部の数は任意であり、例えば、図7(b)に示すように、一つの扁平部33Dを備えているだけでも、リード部33が本体部3に対して相対的に移動しない構造とすることができる。また、リード部5が本体部3から抜けなくなるような形状であれば、扁平部5Dのような扁平な形状以外の形状であってもよい。
【0063】
また、上記実施形態においては、より好ましい実施形態として、爪部19を設けてある事例を示したが、このような爪部19を設けるか否かは任意であり、例えば、比較的外径の公差が小さい保持対象物を保持する場合には、爪部19がなくても問題ない。
【0064】
あるいは、爪部19に代えて、本体部3の保持対象物が嵌め込まれる部分の内周を、奥へ行くほど径が細くなるようなテーパ面で構成しておけば、保持対象物の外径に公差があっても、押し込み量に応じて公差を吸収し、保持対象物を本体部3にぴったりと嵌め込むことができる。
【符号の説明】
【0065】
1・・・保持具、3・・・本体部、3A・・・土台部分、3B・・・円筒部分、5・・・リード部、5A・・・一端、5B・・・他端、5C・・・固定部分、6・・・コンデンサ、6A・・・リード部、6B・・・圧力弁、8,25・・・プリント配線板、8A・・・孔、11・・・窓、13・・・端面当接部、15・・・包囲部、17・・・開口、19・・・爪部、21・・・開環部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性のない材料で形成され、保持対象物が有する柱状部分の端部を嵌め込み可能な形状とされた本体部と、金属材料で形成され、前記本体部に固定されており、所定の取付箇所に対してはんだ付け可能なリード部とを備え、前記保持対象物が前記本体部に嵌め込まれるとともに、前記リード部が前記取付箇所にはんだ付けされることにより、前記取付箇所において前記保持対象物を保持可能な保持具であって、
前記リード部は、一端と他端の間にある部分が、前記本体部との固定に利用される固定部分となっていて、当該固定部分よりも前記一端側にある部分が、前記取付箇所にはんだ付けされる部分になっており、
しかも、前記本体部には、前記固定部分よりも前記他端側にある部分の位置を観察可能な窓が形成されており、前記固定部分よりも前記他端側にある部分と前記保持対象物との間に所定の絶縁距離が確保されているか否かを、前記窓を通して確認可能な構造になっている
ことを特徴とする保持具。
【請求項2】
前記本体部は、前記保持対象物が前記本体部に嵌め込まれた際に、前記柱状部分の端面が当接する状態になる端面当接部と、前記柱状部分の外周を包囲する状態になる包囲部とを有する形状とされ、
前記端面当接部には開口が形成されていて、当該開口の周囲にある部分で前記柱状部分の端面に当接するとともに、前記開口となっている部分では、前記柱状部分の端面を露出させる構造になっている
ことを特徴とする請求項1に記載の保持具。
【請求項3】
前記本体部は、前記保持対象物が前記本体部に嵌め込まれる際、前記柱状部分の端面が前記端面当接部に当接する位置に達する前に、前記柱状部分の端面に引っかかる爪部を有する形状とされ、
前記爪部は、前記柱状部分の端面に引っかかった後、前記柱状部分がさらに前記本体部に押し込まれると、弾性変形しつつ前記柱状部分の外周側へと押し退けられて、前記柱状部分の外周に当接する状態になる
ことを特徴とする請求項2に記載の保持具。
【請求項4】
前記包囲部は、筒状体の一部に開環部分が形成されることで、前記端面に平行な断面形状がC字状となる形態になっていて、前記保持対象物が前記本体部に嵌め込まれた際、前記保持対象物の一部を前記開環部分に入り込ませる構造になっている
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の保持具。
【請求項5】
前記包囲部のうち、前記開環部分を挟んで両側の位置にある部分は、前記端面当接部の一部を介して互いに連結されることにより、前記開環部分が拡開するのを防止してある
ことを特徴とする請求項4に記載の保持具。
【請求項6】
前記保持対象物は、内圧が過大になったときに膨張又は破裂する圧力弁を前記柱状部分の端面に設けてなるコンデンサであり、
前記端面当接部に形成された開口は、前記圧力弁を露出させている
ことを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれか一項に記載の保持具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−187627(P2011−187627A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50496(P2010−50496)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000242231)北川工業株式会社 (268)
【Fターム(参考)】