保持力改良型バルーン
体腔内に医療機器を送達するためのカテーテル及びそのようなカテーテルの製造法であって、カテーテルは、長尺状の本体を有し、本体の少なくとも一部は、その上に医療機器を保持する医療機器保持領域を画定する。医療機器保持領域の少なくとも一部は所定パターンの材料を有する。所定パターンの材料は、カテーテルの外面上に配置されてカテーテルの少なくとも1つの物理的性質を修飾し得るフォトレジスト材料である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテル、バルーンカテーテル、ガイドカテーテル、医療機器デリバリーカテーテルなどに関する。少なくとも1つの実施形態において、本発明は、特に、ステントなどの医療機器送達用カテーテルに用いるバルーンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、血管内疾患は、PTA及びPTCAなどの比較的非侵襲的な技術を用いて治療する。これらの血管形成術は、通常、バルーンカテーテルを使用する。これらの処置では、バルーンを罹患血管の狭窄部位に近接配置するように患者の血管系を通ってバルーンカテーテルを進める。次いで、バルーンを膨らませ、血管の狭窄部位を拡張する。カテーテルは、他の用途として、体内プロテーゼ、例えば、ステント、グラフト、大静脈フィルター又は他の移植可能機器の送達に用い得る。移植可能機器を体腔内に送達する場合には、カテーテルは1つ以上の拡張部又はバルーンを備え得る。
【0003】
多くの処置は患者の血管系内に配置されるガイドカテーテルを利用する。ガイドカテーテルは、拡張用バルーンカテーテル又は他の形態の治療用カテーテルを血管の治療又は検査を必要とする部分に運ぶのに役立つ。ガイドカテーテルは、患者の血管系内を通って、その先端部が狭窄部位に近接するまで推し進められる。次いで、ガイドカテーテルの管腔を通ってバルーンカテーテルを送り込み得る。
【0004】
バルーン拡張型医療機器送達の際には、医療機器をバルーンの本体又は作業部分上に正確に配置することが重要である。医療機器をバルーン上に適切に配置できないと、医療機器の拡張が不均一になり得る。
【0005】
残念ながら、上記のような医療機器をバルーンカテーテル上に適切に配置することは、通常、医療機器が非膨脹状態のバルーン上に装着されるために、困難な仕事となり得る。非膨脹状態のバルーンでは、バルーンの基端及び先端コーン部がどこから始まるか、またバルーンの本体部がどこから始まるかを見極めることが難しい。
【0006】
ステントなどの拡張型医療機器をカテーテル上に固定しやすくするために多くの装置が用いられた。そのような装置には、カテーテルの一部にステントを保持するためにステント全体に広がるプルバックシースが含まれる。シースのいくつかの実施例が、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8などに見られる。多くの引込みシステムでは、マニホールド又は他の引込み装置の一部を、少なくともリトラクタブルシースの長さに等しい距離移動させてシースを引っ込める必要がある。
【0007】
ステントデリバリーカテーテルに1つ以上の自動引込みスリーブを設けることによりリトラクタブルシースの必要性を回避するいくつかのシステムが開発された。自動引込み式であり得るスリーブを備えたデリバリーカテーテルのいくつかの実施例が、例えば、特許文献9、特許文献10、特許文献11などに記載されている。
【0008】
サビン(Savin)らの特許文献9において、膨脹拡張型ステントデリバリーシステムは、送達中にステントの先端縁もしくは基端縁(又は両縁)とオーバーラップするスリーブを備えている。拡張配置部位でステントを膨脹させている間に、ステント縁は保護スリーブから解放される。ソーラー(Solar)らの特許文献10は、圧縮ステントの対向端部の周りに配置された保持シースを用いるステントデリバリー/拡張配置アセンブリ
ーに関する。ソーラーの保持シースは、ステントが半径方向に拡張するときに圧力を受けて破れ、それによってステントをシースとの係合から解放するように構成されている。ライアン(Ryan)らの特許文献11は、拡張配置部位への導入時に、1〜2個の可撓性エンドキャップとバルーンを取り囲む環状ソケットとを用いてステントを配置するステント導入システムを記載している。
【0009】
ステントを送達前にカテーテル及びバルーンのうちの少なくとも一方の上に保持するさまざまな代替手段を用いるさらに他のシステムも公知である。例えば特許文献12のステントデリバリーシステムは、ステントのカテーテルの周りに配置される部分を係合するステント固定ハブを備えており、例えば特許文献13は、プロテーゼを円周方向に支持するランナーを備えたデリバリーカテーテルを記載している。
【0010】
カテーテル表面上の表面性状を用いてカテーテル表面にステントを保持しやすくするさらに他のシステムが開発された。ユニークな表面性状を有するシステムのいくつかの実施例が、例えば、医療機器を保持するためのテクスチャー表面又は粗面を有するカテーテルが記載されている特許文献14、係合突起を有するカテーテルバルーンを記載している特許文献15、ステント保持に役立つ固定ハブとバルーンセグメントとの組合わせを用いるデリバリーシステムを記載している特許文献16に記載されている。
【0011】
ステントデリバリーカテーテルに送達前ステント保持力を向上させる表面性状を付与することの利点は、さもなければステントと重なり合うことによってカテーテルの外形を増大させるであろう追加シース、スリーブ又は他の部材が不要とし得るので、カテーテルの外形を最小限にできることである。カテーテルにステント保持表面性状を付与することの別の利点は、引込み部材の必要性を排除することにより、比較的嵩高く、複雑な引込みシステムも不要になり、それによって、はるかに簡単かつ安全に使用し得るデリバリーシステムが得られることである。
【0012】
本明細書で言及されているすべての米国特許、出願及びすべての他の刊行物はそのまま本明細書に文献援用される。
【特許文献1】米国特許第5772669号明細書
【特許文献2】米国特許第5868755号明細書
【特許文献3】米国特許第4732152号明細書
【特許文献4】米国特許第4848343号明細書
【特許文献5】米国特許第4875480号明細書
【特許文献6】米国特許第5662703号明細書
【特許文献7】米国特許第5690644号明細書
【特許文献8】国際特許出願公開WO94/15549号明細書
【特許文献9】米国特許第4950227号明細書
【特許文献10】米国特許第5403341号明細書
【特許文献11】米国特許第5108416号明細書
【特許文献12】米国特許出願09/697608号明細書
【特許文献13】欧州特許第696,447号明細書
【特許文献14】国際特許出願公開WO00/57816号明細書
【特許文献15】米国特許第5258099号明細書
【特許文献16】米国特許第6048350号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ステントなどの拡張型医療機器は、多様な形状、サイズ及び構成を有し得る。例えば、特定のストラットパターンを有するステントが別のストラットパターンを有するステント
とは有意に異なる性能特性を有し得ることは公知である。結果として、特定構造のステントを保持する際に表面パターンの有効性を最大限にするために、個々のカテーテルにさまざまなタイプの表面性状パターンを付けることが望ましいであろう。残念ながら、通常のカテーテル製造プロセスは、種々のカテーテルタイプの個別製造に役立たせるのは容易ではない。
【0014】
ある種のカテーテル及びバルーンのうちの少なくとも1つは押出材料から形成され、その後で、最終形状に造形又は成形される。多様な表面性状パターン用の多数の異なる鋳型を用意することは、法外な費用がかかると共に製造の観点から見て極めて非効率的であり得る。したがって、カテーテル、特にバルーンに、個別基準で安価かつ容易に用い得るユニークな表面性状パターンを付ける方法を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の範囲を限定することなく、特許請求される本発明の実施形態のいくつかの概要を以下に説明する。本発明の要約した実施形態及び、本発明の追加実施形態についてのさらなる詳細は、下記の発明を実施するための最良の形態に見られるであろう。
【0016】
本発明は多くの異なる実施形態を含む。これらの実施形態のいくつかは、カテーテル、バルーンカテーテル、ガイドカテーテル、医療機器デリバリーカテーテルなどに関する。少なくとも1つの実施形態において、本発明は、特に、ステントなどの医療機器送達用カテーテルに用いるバルーンに関する。多くのタイプ及び形状のそのような医療機器が公知であるが、本明細書で用いられている限りにおいて、用語「カテーテル」は、そのような機器及びそれらの部品すべての指定に用いられる便利な用語に過ぎない。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態は、カテーテルに改良されたステント保持特性を与えるテクスチャー表面、部分テクスチャー表面又はマーク付き表面を有するカテーテルに関する。テクスチャーやマークを付けると、拡張型移植可能医療機器をカーテル上に配置しやすくなり、ステント又は他の拡張型移植可能機器がカテーテルにしっかり固定される。
【0018】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、カテーテルに、ステント保持に役立ち得るフォトレジスト材料パターンを付ける。フォトレジスト材料は、多様な材料から構成することができ、所望のテクスチャーパターンを提供し得る。パターンテクスチャーは、所望に応じて突起領域又はくぼみ領域を含み得る。
【0019】
少なくとも1つの実施形態において、カテーテルの外面は、カテーテルの周りに配置し得るステント又は他の移植可能医療機器を取り外し可能に係合するために付けられたフォトレジスト材料パターンを有する。少なくともいくつかの実施形態において、フォトレジスト及び二次材料パターンのうちの少なくとも1つは、下層のカテーテルチューブ材料とは異なる組成を有する。
【0020】
本発明の少なくとも1つの実施形態において、バルーン又はカテーテル上に配置されるフォトレジスト材料は連続薄膜である。あるいは、フォトレジスト材料は不連続コーティング又は堆積層である。
【0021】
少なくとも1つの実施形態では、チューブ状部材又はその一部にフォトレジスト材料を塗布する。フォトレジスト材料は、ポジ型フォトレジスト材料でも、ネガ型フォトレジスト材料でも、それらの組合わせであってもよい。フォトレジスト材料を特定タイプの光に暴露すると、フォトレジストはチューブ状部材の材料と反応するであろう。フォトレジストがネガ型フォトレジストの場合、光に暴露することにより、露光フォトレジスト材料は、エッチング液に不溶性になるであろうが、非露光ネガ型フォトレジスト材料はその後で
塗布されるエッチング液に可溶性のままであろう。フォトレジストがポジ型フォトレジスト材料の場合、光に暴露することにより、露光フォトレジストはエッチング液に可溶性になるであろうが、非露光ポジ型フォトレジスト材料は、後で塗布されるエッチング液に不溶性であろう。
【0022】
フォトレジスト材料を含む実施形態において、フォトレジスト材料は、さまざまな反応機構を提供し得る。例えば、ネガ型フォトレジスト材料に関して起こり得るいくつかの反応は、二量化を含む光架橋、光開始連鎖重合及び光機能変化などを含むが、それらには限定されない。一方、フォトレジストがポジ型レジスト材料の場合、起こり得るいくつかの反応は、光機能変化及びポリマー分解を含むが、それらには限定されない。
【0023】
少なくとも1つの実施形態では、カテーテル又はその一部に軟性かつ/又は粘着性材料コーティングを施すが、このコーティングは、特定波長の光に感受性であり、特定波長の光に暴露するとカテーテル材料と反応するであろう。使用される感光性材料のタイプに応じて、材料はさまざまな形で露光に反応し得る。そのような感光性材料を本明細書ではフォトレジストと総称する。いくつかの実施形態は、紫外線(UV)エネルギー、赤外線(IR)エネルギー、及び他の形態のエネルギー又は光のうちの少なくとも1つに暴露されて反応するフォトレジストを含み得る。しかし、特定の固有波長範囲を有する他の光源を用いてもよい。
【0024】
チューブ状部材に所望の表面性状パターンを付けるために、いくつかの実施形態では、フォトレジスト上に所定パターンを画定するマスクをかぶせ、マスク越しにフォトレジストの選択部分に光を当てる。光とフォトレジストの特異的性質により、フォトレジスト材料及びカテーテル材料のうちの少なくとも1つ自体の露光領域は上述にように反応する。マスクはその上に描き得る任意のパターンを有し得、結果として、カテーテル表面上には、多様な架橋及び非架橋材料パターンが付くであろう。
【0025】
本発明に従ってチューブ状部材に付け得るユニークな表面性状パターンにより、任意のカテーテル又はバルーンに、所望に応じて任意のタイプのステントを係合かつ/又は保持するのに適した表面を容易に与えることができる。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態において、チューブ材料は、チューブの一部がそれ自体フォトレジストと見なされ得るような十分な厚さを有するか、多重層を含み得る。結果として、いくつかの実施形態では、チューブに所望の表面性状を付与するために追加のフォトレジスト材料コーティングを施す必要がないであろう。そのような実施形態において、カテーテル材料は、カテーテルへの損傷を予防するか、光架橋プロセスの結果としての動作を阻止するに足る有意な厚さ及び多様性のうちの少なくとも1つを有するであろう。
【0027】
本発明のさらなる詳細及び/又は実施形態を以下に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明は多くの異なる実施形態を含む。例えば、図1,2には、それぞれ異なる形態の医療機器、例えばカテーテル10を表す本発明の実施形態が示されている。上述のように、カテーテル10は、体腔内に挿入して、体腔内を通って進め得る任意のタイプの長尺状の医療機器又はその一部、例えばバルーンであり得る。
【0029】
本明細書に記載されている種々の実施形態において、カテーテル10は、チューブ状マトリックス材料12から製造し得る。カテーテル10は、外面16にくぼみ又は突起二次材料18パターンが付いた先端領域14を有する。少なくとも1つの実施形態において、カテーテル表面16上に描かれたパターンを構成する二次材料18は、例えば以下にさら
に詳細に説明する少なくとも1つの方法に従って、光反応させ、エッチング液に暴露し、リンスしたフォトレジストである。
【0030】
二次材料18は、周囲のマトリックス材料12に比べて軟性又は粘着性であるとみなされるのが好ましい。しかし、マトリックス材料12に比べて比較的硬性の材料を用いてもよい。本発明のいくつかの実施形態において、材料12,18は、同一又は類似特性を有し得るが、そのような特性は、材料の一方がフォトレジストの場合には、材料18を例えば光化学反応により変化させることにより異なるものとし得る。例えば、材料18がフォトレジストの場合、フォトレジスト18を特定波長の光に暴露すると、結果として生じる光化学反応は、例えば、光架橋性フォトレジストを分子レベルで架橋させて、材料18の物理的性質の一部を潜在的に変化させる。そのような材料12と材料18の潜在的な違いは、材料18の反応時にのみ明らかになり得る。
【0031】
図1,2は、カテーテル10を共に構成し得る材料18の無限に近い可能なパターンを単に2種例示しているに過ぎない。図3に示すように、そのようなユニークなパターンは、例えばステント20などの拡張型医療機器をステント20の送達前にカテーテル表面16に固定するのに有用である。
【0032】
周知のように、ステントなどの医療機器は、自己拡張型であるか、バルーン拡張型であるか、又はよく見られる2つのタイプのハイブリッドであり得る。どのタイプのステントも本発明の適切な実施形態に包含され得る。例えば、バルーン拡張型ステントを送達して拡張するために、カテーテル10の先端領域14に膨脹性部材又はバルーン22を装備し得る。ステント20が自己拡張型ステント又はハイブリッド機器の場合、バルーン22は、ステント送達開始又は補助に用いたり、さらには、ステントを体腔内の適所に配置したりするのに用い得る。
【0033】
図1,2に示す実施形態において、先端領域14はバルーン22を含み得る。本発明の実施形態がバルーン22を含む場合、カテーテル10はさらに、ステントの送達又は当該技術分野では周知の他の目的のためにバルーン22を膨脹させる膨脹手段、例えば、インフレーションルーメン又は類似装置(図示せず)を有するであろう。
【0034】
本発明の種々の実施形態において、二次材料18は、カテーテル10の物理的性質、特にカテーテルの周りに配置されるステント20などの医療機器と相互作用するカテーテル表面16の能力を変化させる任意の物質であるとみなし得る。例えば、材料18がカテーテル材料12より軟性又は粘着性が高い材料の場合、材料18は、カテーテル10に、例えば図3に示すようにカテーテル上に装着されるステント20を取り外し可能に係合するより高い能力を付与し得る。
【0035】
図1〜図3に図解するように、材料18はカテーテル10の外面上に任意の所望パターンで配置し得る。材料18のいくつかの追加パターンを図7〜図11に示す。例えば図7において、材料18は複数のストライプ120を含み、ストライプ120は、カテーテル10の長さに沿って長手方向に伸びるにつれて厚さが増大する。いくつかの実施形態において、ストライプ120は、互いに接触してカテーテル材料12の一部の周りに連続帯122を形成するまで増大し続ける。
【0036】
図8では、材料18は少なくとも1つのらせん配向ストライプ120である。
図9では、材料18は長手方向に伸びる略平行ストライプ120パターンで配置されている。
【0037】
図10,11には、カテーテル10のバルーン部分22上にのみ配置された材料18が
示されている。
本明細書に記載した種々の実施形態に用いられる二次材料18のユニークなパターンは、カテーテル又はバルーンに、より剛性又は軟性の高いセグメントを与え得る。
【0038】
材料18が上述のようなフォトレジスト材料の場合、フォトレジスト材料は、選択される特定の材料に応じてさまざまな反応を生起し得る。材料及びそれらの特性のいくつかの例は以下の通りである。
【0039】
架橋反応は、シンナメートの場合に見られる選択的二量化又はビスアジド誘導ナイトレンとオレフィン含有高分子との反応などの非選択的反応によってもたらされ得る。
ケイ皮酸エステルは、適切な波長の光に暴露されると、2+2光二量化されて、トルキシン酸又はトルキシル酸エステルを形成し得る。
【0040】
ポリビニルシンナメートは、フォトレジストとして使用可能であり、250〜350nm帯域で強力に吸収するであろう。
他の光二量化性基は、ポリビニルアルコール、例えば、ナフチルアクリル酸、スチリルアクリル酸又はフランアクリル酸に結合し得るが、適切な増感剤ニトロ芳香族炭化水素(3−ニトロアセナフテレン)(3−nitroacenapthelene)及びケトクルマリン(ketocourmarins)(7−プロポキシ−3−ベンゾイルクマリン)は効果的な増感剤クラスを代表する。
【0041】
高分子骨格中の反応性基と光架橋し得る高分子は、通常、逐次重合により調製され、逐次重合には、グリコールと二酸との縮合反応が含まれるがそれには限定されず、簡単な光学活性縮合単量体は、以下に示す3,3′−(p−フェニル−エン)ビス(エチルプロペネート)であろう:
【0042】
【化1】
【0043】
第2ポジ型レジストプロセスは、高分子を小片に開裂したり、連鎖切断、解重合、すなわち、解凍又は燒灼したりすることによって、高分子の溶解度を高める連鎖分解である。
他の高分子光開始ラジカル重合の典型的なペアとしては、典型的には切断を受けるジアルコキシアセトフェノンとベンゾインエーテルが挙げられる。
【0044】
また、ベンゾフェノン−ミヒラーケトンとケトクマリン−フェノキシ酢酸ペアも用い得る。光開始カチオン重合は、多官能エポキシド、例えば、ビスフェノールA、ジグリシジルエーテル及びビニルシクロヘキサンを用いて行うことができる。ジアリールヨードニウム又はトルアリールスルホニウム塩を光に暴露すると、これらの化合物はいくつかの生成物に分解する。
【0045】
約1〜5%のビスアリールアジドを含むビスアジド環化ポリイソプレン(CPI)は、適当なネガ型レジストの1例である。
【0046】
【化2】
【0047】
フォトレジスト材料18は、周囲材料12と比べて軟性又は粘着性であるとみなされるのが好ましい。本発明のいくつかの実施形態において、材料12,18は、同一であるか、類似特性を有し得るが、そのような特性は、フォトレジスト18を所定タイプの光エネルギーに暴露すると変化し得る。
【0048】
図1,2に示す実施形態において、光反応材料のユニークなパターンは、隆起してカテーテル表面16に関して外側に伸び得る。あるいは、これらのパターンは、カテーテル表面16の凹部又はくぼみであり得る。図4では、材料18がバルーン22の表面16から外側に伸びるカテーテル10の外形が見られる。さらに、図5には、くぼみ24を有するカテーテル10が示されている。
【0049】
図4,5に示す実施形態において、光反応材料18のパターンは、カテーテル表面16の少なくとも一部の固有部分であるネガ型又はポジ型フォトレジスト材料26であってもよいし、カテーテル表面16の一部に塗布されたコーティングであってもよい。以下に説明するようなフォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト26の選択部分を所定の形態の光エネルギーに暴露して、エッチング液に不溶性又は可溶性とし得る。フォトレジスト26がネガ型フォトレジストの場合、その後でフォトレジスト26をエッチング液に暴露してからリンスすると、ネガ型フォトレジストの光エネルギー暴露部分は不溶性になり、非露光領域は溶解又は洗い流される。あるいは、フォトレジスト26がポジ型フォトレジストの場合、ポジ型フォトレジストの光エネルギー暴露部分はエッチング液に可溶性となる。
【0050】
カテーテル表面16に付けられる突起又はくぼみ光架橋材料18パターンがどのようなものであれ、光架橋材料18パターンは、カテーテル10に、図3に示すようなステント20の係合を可能にするテクスチャー表面を与えるであろう。
【0051】
ステントは、通常、相互接続ストラットからなる骨格30と、それらの間に複数の開口部34を画定する部材32とを有する。ステントは、さまざまなストラットパターンと共にさまざまな開口サイズ及び形状を有する。カテーテル10は、縮小形状のステントのさ
まざまな開口部に少なくとも部分的に伸びるように作られた光反応性材料18パターンを具備し得る。ユニークな材料18パターンは、1つ以上の保持シース又は部材を必要とせずに、ステント20を送達前縮小状態で係合保持し得る。材料18パターンの個々の突起36は、ステント骨格30の対応配置開口部34に少なくとも部分的に伸びてステント20をステント20送達前にカテーテル10の先端領域14に保持するのが好ましい。突起36は、開口部34内に、ステント20の厚さの約30〜約100%まで伸びてステント20を係合する。
【0052】
上述のように、本発明の種々の実施形態は図1〜図5に示すカテーテル形態で例示されている。これらのユニークなデバイスは、カテーテル10の表面16上にユニークな光反応材料18パターンを形成又は堆積させる能力をもたらすフォトリソグラフィ技術を用いて作製し得る。そのような技術の1つの実施例が段階的に図6a〜6fに示され、図7にさらに要約されている。
【0053】
図6aには、多様な材料から構成し得るカテーテル10が示されており、カテーテル10は外面16の1つ以上の部分に、これも特定の波長及び強度特性を有する光に暴露すると変性又は修飾され得るフォトレジストであるとみなされる軟性かつ/又は粘着性材料42の層40を有し得る。上述のように、フォトレジスト材料は、ある種の波長の光に反応する任意の光反応性材料であってよい。示されている実施形態において、材料42は、制御下にカテーテル10から容易に除去されるフォトレジストであるのが好ましい。より好ましい実施形態において、フォトレジスト材料42は光架橋性材料である。
【0054】
一般に、フォトレジスト材料42が光架橋性高分子である場合、光架橋プロセスは、フォトレジスト材料42を、架橋される特定の材料及びその材料の厚さに応じて、所定の持続時間、特定の強度及び波長のうちの少なくとも一方を有する光、好適には紫外光に暴露して実施する。そのようなフォトレジスト材料42のいくつかの追加例には、ポリジエチニベンゼン(polydiethynybenzen)、ノブラック(novlac)、ポリスチレン、ポリビニルフェノール、ポリイミド、及びCPI−ビスアジドのうちの少なくとも1つが含まれるがそれらには限定されない。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態において、特定のフォトレジスト42と共に用いるには特定形態の光が好ましい。例えば、光源は、125〜200nmの真空紫外線、200〜300nmの深紫外線、300〜350nmの中紫外線、350〜450nmの近紫外線を含み得る。いくつかの実施形態において、特定のフォトレジスト42との反応には、X線エネルギーも利用し得る。
【0056】
上述のように、本発明のいくつかの実施形態は、光開始重合反応をもたらすフォトレジスト材料を含む。そのような光開始重合系は適当な化学反応を必要とし、したがって、フォトレジストは、フォトレジストコーティング形態及び可撓性を与える重合性モノマーバインダーと、非露光領域は溶解するが、露光領域はほぼ不変のままにする現像液とを必要とし得る。バインダーポリマーは、通常、写真的に不活性である。バインダーポリマーは、それらの柔軟性、接着性及び引掻き抵抗性で選ばれる。さらに、フォトレジストは、反応を開始させる光学活性化合物(PAC)を含んでいなければならない。典型的なPAC材料の例としては、ジアゾキノン系化合物、及び、適切な条件下にSUSもしくはウォルフト(Wolft)転位反応を受けるであろう任意の化合物のうちの少なくとも1つが挙げられる。
【0057】
少なくとも1つの実施形態において、材料42はCPI型系を利用するであろう。CPIは環化度で制御し得る好ましい粘着度を有する。
層40は、カテーテル表面16に塗布されたフォトレジスト材料42コーティングであ
っても良いし、カテーテル又はバルーン材料12の固有部分であってもよい。フォトレジスト材料42がカテーテル材料12の固有部分である場合、カテーテル材料12の厚さは、カテーテル10の構造的完全性を損なうことなく、カテーテル材料12に突起36及びくぼみ24(それぞれ図4,5に示す)のうちの少なくとも1つを形成し得るような厚さでなければならない。
【0058】
カテーテル10を作成したら、フォトレジスト材料42でコーティングするか、又はカテーテル材料12中にフォトレジスト材料を混入させるかして、例えば図6Bに示すようにカテーテル10の周りにパターンマスク44を配置し得る。パターンマスク44は、矢印52で示す所定の波長及び強度の光エネルギーを、マスク44の複数の部分を介してマスクの下に配置されているフォトレジスト材料に選択的に通過させる。
【0059】
マスク44の形成に適した材料には、ガラス、金属、ポリマー、マイラー又はほぼすべての所望材料を含むがそれらには限定されない。
マスク44上に描くかトランスファーできる任意のパターンを利用し得る。パターンは、通常、特定ステントの開口部パターンに対応するであろうが、1つ以上の規則的に又は不規則に成形かつ/又は配置された形態、例えば、図1,2に示すようなカテーテルにテクスチャー表面16を与えるのに適したハブ、ノブ、係合部材、トラフ、くぼみ、チャンネル又は他の物理的構成要素であってもよい。カテーテル10に与えられたテクスチャー表面が、カテーテル10に、図3に示すような送達前にカテーテルの周りにステント20を縮小状態で保持する能力を付与するものであればなお好ましい。
【0060】
光エネルギー52は光エネルギー源50から発せられる。光源50の1例はレーザーである。光エネルギー52は上述のように材料42と光化学的に反応する。
反応したフォトレジスト材料42は、以下の図式に例示するように有意な変化を受け得る。
【0061】
【表1】
【0062】
マスク44は、マスク44で画定されたパターンのみに従って、光をフォトレジスト層40上に通すように構成/配置される。フォトレジスト層40がネガ型フォトレジストの
場合、層40の光52に暴露された領域は、材料42の分子レベルで架橋マトリックスを形成する。図6cに示すように、光架橋又は光反応材料18は、マスク44のパターンに従って層42中に選択的に配置され得る。ネガ型フォトレジスト材料の場合、材料18は、露光後にカテーテルの露光領域に塗布されるエッチング液に不溶のままであろうが、層42の隣接領域は、図6dに示すように溶解して洗い流される。
【0063】
架橋などの所望の光反応が生じた後、マスク44を取り除き、矢印54で示す溶媒又はエッチング液をカテーテル10に塗布する。溶媒54は、ポジ型フォトレジストの場合には光54に暴露されず、ネガ型フォトレジストの場合には光に暴露された残留フォトレジスト材料42を除去するように構成/配置される。適当なエッチング液54の例としては、水、ヘキサン、IPA有機酸及びIPA無機酸が挙げられるが、そららには限定されない。さらに、非光反応材料も、レーザー、プラズマ及びイオンの少なくとも1つによるエッチングを用いた選択的アブレーションにより除去し得る。プラズマエッチングは、フッ素、塩素、CF2、酸素、アルゴン、及びCF4のうちの少なくとも1つを利用し得る。イオンエッチングは、リン、ホウ素、フッ素、及び塩素のうちの少なくとも1つのイオンを使用し得る。レーザーエネルギーは、x−mer、YAG、ヘリウムなどによって供給され得る。少なくとも1つの実施形態では、エッチング液54を塗布した後、カテーテルをリンスする。
【0064】
過剰なフォトレジスト材料42を除去した後、図6eに示すように、縮小状態のステント20を光架橋材料18のパターンに係合して、ステント20をカテーテル10上に装着し得る。カテーテル10がバルーン22を含む場合、カテーテル10を体腔内に挿入して所定位置に進めたら、図6fに示すように、バルーン22を拡張してステント20を解放し得る。
【0065】
図6a〜図6fに示すユニークな方法を用いることにより、どのカテーテル10にも、任意のタイプの拡張型医療機器、特にステントを送達前に係合保持するのに適した表面性状パターンを付けることができる。
【0066】
以下に特許請求する特定の特徴組み合わせに加えて、本発明はさらに、以下に特許請求する従属特徴の他の組合わせ及び上述の特徴の他の組合わせを有する実施形態に関する。
上記開示は、例示を目的としており、網羅的に示すものではない。この説明は、当業者に多くの変更形態及び代替形態を示唆するであろう。これらの代替形態及び変更形態はすべて本クレームの範囲内に包含されるものとし、本クレームにおいて、用語「含んでなること」(comprising)は「含むが、それには限定されないこと」(including、but not limited to)を意味する。当業者は本明細書に記載されている特定の実施形態に対する他の均等物を認識するであろうが、それらの均等物も本クレームに包含されるものとする。
【0067】
さらに、従属クレームに呈示されている特定の特徴は、本発明が明確に従属クレームの特徴の任意の他の可能な組合わせを有する他の実施形態をも対象とするものと認識されるように、本発明の範囲内の他の方法で互いに組合わせることができる。例えば、クレーム公開のために、多数項従属形式が管轄権内で受容される形式であるならば、後続のすべての従属クレームは、そのような従属クレームで引用されたすべての先行詞を保有するすべての前項クレームから多数項従属形式で択一的に記載されたものとみなされる(例えば、請求項1のクレームに直接従属する各項のクレームは、択一的にすべての前項クレームに従属するものとみなされる)。多数項従属形式が制限される管轄権内では、後続の従属クレームもそれぞれ、そのような下位従属クレームにリストされている特定クレーム以外の前項の先行詞保有クレームからの従属関係が生じる各項従属クレーム形式で択一的に記載されたものとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】カテーテルの一部をその上に材料パターンが配置された状態で示す本発明の1つの実施形態の側面図。
【図2】カテーテルの一部をその上に材料パターンが配置された状態で示す本発明の1つの実施形態の側面図。
【図3】医療機器骨格の開口部に対応する材料パターンを有するカテーテルへの医療機器の係合を例示する本発明の1つの実施形態の側面図。
【図4】本発明の1つの実施形態の断面図。
【図5】本発明の1つの実施形態の断面図。
【図6a】本発明方法の1つの実施形態によるカテーテルの作成に含まれるステップを例示する一連の断面図。
【図6b】本発明方法の1つの実施形態によるカテーテルの作成に含まれるステップを例示する一連の断面図。
【図6c】本発明方法の1つの実施形態によるカテーテルの作成に含まれるステップを例示する一連の断面図。
【図6d】本発明方法の1つの実施形態によるカテーテルの作成に含まれるステップを例示する一連の断面図。
【図6e】本発明方法の1つの実施形態によるカテーテルの作成に含まれるステップを例示する一連の断面図。
【図6f】本発明方法の1つの実施形態によるカテーテルの作成に含まれるステップを例示する一連の断面図。
【図7】カテーテルチューブの一部分上に配置された材料パターンを示す本発明の1つの実施形態の側面図。
【図8】カテーテルチューブの一部分上に配置された材料パターンを示す本発明の1つの実施形態の側面図。
【図9】カテーテルチューブの一部分上に配置された材料パターンを示す本発明の1つの実施形態の側面図。
【図10】カテーテルチューブの一部分上に配置された材料パターンを示す本発明の1つの実施形態の側面図。
【図11】カテーテルチューブの一部分上に配置された材料パターンを示す本発明の1つの実施形態の側面図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテル、バルーンカテーテル、ガイドカテーテル、医療機器デリバリーカテーテルなどに関する。少なくとも1つの実施形態において、本発明は、特に、ステントなどの医療機器送達用カテーテルに用いるバルーンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、血管内疾患は、PTA及びPTCAなどの比較的非侵襲的な技術を用いて治療する。これらの血管形成術は、通常、バルーンカテーテルを使用する。これらの処置では、バルーンを罹患血管の狭窄部位に近接配置するように患者の血管系を通ってバルーンカテーテルを進める。次いで、バルーンを膨らませ、血管の狭窄部位を拡張する。カテーテルは、他の用途として、体内プロテーゼ、例えば、ステント、グラフト、大静脈フィルター又は他の移植可能機器の送達に用い得る。移植可能機器を体腔内に送達する場合には、カテーテルは1つ以上の拡張部又はバルーンを備え得る。
【0003】
多くの処置は患者の血管系内に配置されるガイドカテーテルを利用する。ガイドカテーテルは、拡張用バルーンカテーテル又は他の形態の治療用カテーテルを血管の治療又は検査を必要とする部分に運ぶのに役立つ。ガイドカテーテルは、患者の血管系内を通って、その先端部が狭窄部位に近接するまで推し進められる。次いで、ガイドカテーテルの管腔を通ってバルーンカテーテルを送り込み得る。
【0004】
バルーン拡張型医療機器送達の際には、医療機器をバルーンの本体又は作業部分上に正確に配置することが重要である。医療機器をバルーン上に適切に配置できないと、医療機器の拡張が不均一になり得る。
【0005】
残念ながら、上記のような医療機器をバルーンカテーテル上に適切に配置することは、通常、医療機器が非膨脹状態のバルーン上に装着されるために、困難な仕事となり得る。非膨脹状態のバルーンでは、バルーンの基端及び先端コーン部がどこから始まるか、またバルーンの本体部がどこから始まるかを見極めることが難しい。
【0006】
ステントなどの拡張型医療機器をカテーテル上に固定しやすくするために多くの装置が用いられた。そのような装置には、カテーテルの一部にステントを保持するためにステント全体に広がるプルバックシースが含まれる。シースのいくつかの実施例が、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8などに見られる。多くの引込みシステムでは、マニホールド又は他の引込み装置の一部を、少なくともリトラクタブルシースの長さに等しい距離移動させてシースを引っ込める必要がある。
【0007】
ステントデリバリーカテーテルに1つ以上の自動引込みスリーブを設けることによりリトラクタブルシースの必要性を回避するいくつかのシステムが開発された。自動引込み式であり得るスリーブを備えたデリバリーカテーテルのいくつかの実施例が、例えば、特許文献9、特許文献10、特許文献11などに記載されている。
【0008】
サビン(Savin)らの特許文献9において、膨脹拡張型ステントデリバリーシステムは、送達中にステントの先端縁もしくは基端縁(又は両縁)とオーバーラップするスリーブを備えている。拡張配置部位でステントを膨脹させている間に、ステント縁は保護スリーブから解放される。ソーラー(Solar)らの特許文献10は、圧縮ステントの対向端部の周りに配置された保持シースを用いるステントデリバリー/拡張配置アセンブリ
ーに関する。ソーラーの保持シースは、ステントが半径方向に拡張するときに圧力を受けて破れ、それによってステントをシースとの係合から解放するように構成されている。ライアン(Ryan)らの特許文献11は、拡張配置部位への導入時に、1〜2個の可撓性エンドキャップとバルーンを取り囲む環状ソケットとを用いてステントを配置するステント導入システムを記載している。
【0009】
ステントを送達前にカテーテル及びバルーンのうちの少なくとも一方の上に保持するさまざまな代替手段を用いるさらに他のシステムも公知である。例えば特許文献12のステントデリバリーシステムは、ステントのカテーテルの周りに配置される部分を係合するステント固定ハブを備えており、例えば特許文献13は、プロテーゼを円周方向に支持するランナーを備えたデリバリーカテーテルを記載している。
【0010】
カテーテル表面上の表面性状を用いてカテーテル表面にステントを保持しやすくするさらに他のシステムが開発された。ユニークな表面性状を有するシステムのいくつかの実施例が、例えば、医療機器を保持するためのテクスチャー表面又は粗面を有するカテーテルが記載されている特許文献14、係合突起を有するカテーテルバルーンを記載している特許文献15、ステント保持に役立つ固定ハブとバルーンセグメントとの組合わせを用いるデリバリーシステムを記載している特許文献16に記載されている。
【0011】
ステントデリバリーカテーテルに送達前ステント保持力を向上させる表面性状を付与することの利点は、さもなければステントと重なり合うことによってカテーテルの外形を増大させるであろう追加シース、スリーブ又は他の部材が不要とし得るので、カテーテルの外形を最小限にできることである。カテーテルにステント保持表面性状を付与することの別の利点は、引込み部材の必要性を排除することにより、比較的嵩高く、複雑な引込みシステムも不要になり、それによって、はるかに簡単かつ安全に使用し得るデリバリーシステムが得られることである。
【0012】
本明細書で言及されているすべての米国特許、出願及びすべての他の刊行物はそのまま本明細書に文献援用される。
【特許文献1】米国特許第5772669号明細書
【特許文献2】米国特許第5868755号明細書
【特許文献3】米国特許第4732152号明細書
【特許文献4】米国特許第4848343号明細書
【特許文献5】米国特許第4875480号明細書
【特許文献6】米国特許第5662703号明細書
【特許文献7】米国特許第5690644号明細書
【特許文献8】国際特許出願公開WO94/15549号明細書
【特許文献9】米国特許第4950227号明細書
【特許文献10】米国特許第5403341号明細書
【特許文献11】米国特許第5108416号明細書
【特許文献12】米国特許出願09/697608号明細書
【特許文献13】欧州特許第696,447号明細書
【特許文献14】国際特許出願公開WO00/57816号明細書
【特許文献15】米国特許第5258099号明細書
【特許文献16】米国特許第6048350号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ステントなどの拡張型医療機器は、多様な形状、サイズ及び構成を有し得る。例えば、特定のストラットパターンを有するステントが別のストラットパターンを有するステント
とは有意に異なる性能特性を有し得ることは公知である。結果として、特定構造のステントを保持する際に表面パターンの有効性を最大限にするために、個々のカテーテルにさまざまなタイプの表面性状パターンを付けることが望ましいであろう。残念ながら、通常のカテーテル製造プロセスは、種々のカテーテルタイプの個別製造に役立たせるのは容易ではない。
【0014】
ある種のカテーテル及びバルーンのうちの少なくとも1つは押出材料から形成され、その後で、最終形状に造形又は成形される。多様な表面性状パターン用の多数の異なる鋳型を用意することは、法外な費用がかかると共に製造の観点から見て極めて非効率的であり得る。したがって、カテーテル、特にバルーンに、個別基準で安価かつ容易に用い得るユニークな表面性状パターンを付ける方法を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の範囲を限定することなく、特許請求される本発明の実施形態のいくつかの概要を以下に説明する。本発明の要約した実施形態及び、本発明の追加実施形態についてのさらなる詳細は、下記の発明を実施するための最良の形態に見られるであろう。
【0016】
本発明は多くの異なる実施形態を含む。これらの実施形態のいくつかは、カテーテル、バルーンカテーテル、ガイドカテーテル、医療機器デリバリーカテーテルなどに関する。少なくとも1つの実施形態において、本発明は、特に、ステントなどの医療機器送達用カテーテルに用いるバルーンに関する。多くのタイプ及び形状のそのような医療機器が公知であるが、本明細書で用いられている限りにおいて、用語「カテーテル」は、そのような機器及びそれらの部品すべての指定に用いられる便利な用語に過ぎない。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態は、カテーテルに改良されたステント保持特性を与えるテクスチャー表面、部分テクスチャー表面又はマーク付き表面を有するカテーテルに関する。テクスチャーやマークを付けると、拡張型移植可能医療機器をカーテル上に配置しやすくなり、ステント又は他の拡張型移植可能機器がカテーテルにしっかり固定される。
【0018】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、カテーテルに、ステント保持に役立ち得るフォトレジスト材料パターンを付ける。フォトレジスト材料は、多様な材料から構成することができ、所望のテクスチャーパターンを提供し得る。パターンテクスチャーは、所望に応じて突起領域又はくぼみ領域を含み得る。
【0019】
少なくとも1つの実施形態において、カテーテルの外面は、カテーテルの周りに配置し得るステント又は他の移植可能医療機器を取り外し可能に係合するために付けられたフォトレジスト材料パターンを有する。少なくともいくつかの実施形態において、フォトレジスト及び二次材料パターンのうちの少なくとも1つは、下層のカテーテルチューブ材料とは異なる組成を有する。
【0020】
本発明の少なくとも1つの実施形態において、バルーン又はカテーテル上に配置されるフォトレジスト材料は連続薄膜である。あるいは、フォトレジスト材料は不連続コーティング又は堆積層である。
【0021】
少なくとも1つの実施形態では、チューブ状部材又はその一部にフォトレジスト材料を塗布する。フォトレジスト材料は、ポジ型フォトレジスト材料でも、ネガ型フォトレジスト材料でも、それらの組合わせであってもよい。フォトレジスト材料を特定タイプの光に暴露すると、フォトレジストはチューブ状部材の材料と反応するであろう。フォトレジストがネガ型フォトレジストの場合、光に暴露することにより、露光フォトレジスト材料は、エッチング液に不溶性になるであろうが、非露光ネガ型フォトレジスト材料はその後で
塗布されるエッチング液に可溶性のままであろう。フォトレジストがポジ型フォトレジスト材料の場合、光に暴露することにより、露光フォトレジストはエッチング液に可溶性になるであろうが、非露光ポジ型フォトレジスト材料は、後で塗布されるエッチング液に不溶性であろう。
【0022】
フォトレジスト材料を含む実施形態において、フォトレジスト材料は、さまざまな反応機構を提供し得る。例えば、ネガ型フォトレジスト材料に関して起こり得るいくつかの反応は、二量化を含む光架橋、光開始連鎖重合及び光機能変化などを含むが、それらには限定されない。一方、フォトレジストがポジ型レジスト材料の場合、起こり得るいくつかの反応は、光機能変化及びポリマー分解を含むが、それらには限定されない。
【0023】
少なくとも1つの実施形態では、カテーテル又はその一部に軟性かつ/又は粘着性材料コーティングを施すが、このコーティングは、特定波長の光に感受性であり、特定波長の光に暴露するとカテーテル材料と反応するであろう。使用される感光性材料のタイプに応じて、材料はさまざまな形で露光に反応し得る。そのような感光性材料を本明細書ではフォトレジストと総称する。いくつかの実施形態は、紫外線(UV)エネルギー、赤外線(IR)エネルギー、及び他の形態のエネルギー又は光のうちの少なくとも1つに暴露されて反応するフォトレジストを含み得る。しかし、特定の固有波長範囲を有する他の光源を用いてもよい。
【0024】
チューブ状部材に所望の表面性状パターンを付けるために、いくつかの実施形態では、フォトレジスト上に所定パターンを画定するマスクをかぶせ、マスク越しにフォトレジストの選択部分に光を当てる。光とフォトレジストの特異的性質により、フォトレジスト材料及びカテーテル材料のうちの少なくとも1つ自体の露光領域は上述にように反応する。マスクはその上に描き得る任意のパターンを有し得、結果として、カテーテル表面上には、多様な架橋及び非架橋材料パターンが付くであろう。
【0025】
本発明に従ってチューブ状部材に付け得るユニークな表面性状パターンにより、任意のカテーテル又はバルーンに、所望に応じて任意のタイプのステントを係合かつ/又は保持するのに適した表面を容易に与えることができる。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態において、チューブ材料は、チューブの一部がそれ自体フォトレジストと見なされ得るような十分な厚さを有するか、多重層を含み得る。結果として、いくつかの実施形態では、チューブに所望の表面性状を付与するために追加のフォトレジスト材料コーティングを施す必要がないであろう。そのような実施形態において、カテーテル材料は、カテーテルへの損傷を予防するか、光架橋プロセスの結果としての動作を阻止するに足る有意な厚さ及び多様性のうちの少なくとも1つを有するであろう。
【0027】
本発明のさらなる詳細及び/又は実施形態を以下に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明は多くの異なる実施形態を含む。例えば、図1,2には、それぞれ異なる形態の医療機器、例えばカテーテル10を表す本発明の実施形態が示されている。上述のように、カテーテル10は、体腔内に挿入して、体腔内を通って進め得る任意のタイプの長尺状の医療機器又はその一部、例えばバルーンであり得る。
【0029】
本明細書に記載されている種々の実施形態において、カテーテル10は、チューブ状マトリックス材料12から製造し得る。カテーテル10は、外面16にくぼみ又は突起二次材料18パターンが付いた先端領域14を有する。少なくとも1つの実施形態において、カテーテル表面16上に描かれたパターンを構成する二次材料18は、例えば以下にさら
に詳細に説明する少なくとも1つの方法に従って、光反応させ、エッチング液に暴露し、リンスしたフォトレジストである。
【0030】
二次材料18は、周囲のマトリックス材料12に比べて軟性又は粘着性であるとみなされるのが好ましい。しかし、マトリックス材料12に比べて比較的硬性の材料を用いてもよい。本発明のいくつかの実施形態において、材料12,18は、同一又は類似特性を有し得るが、そのような特性は、材料の一方がフォトレジストの場合には、材料18を例えば光化学反応により変化させることにより異なるものとし得る。例えば、材料18がフォトレジストの場合、フォトレジスト18を特定波長の光に暴露すると、結果として生じる光化学反応は、例えば、光架橋性フォトレジストを分子レベルで架橋させて、材料18の物理的性質の一部を潜在的に変化させる。そのような材料12と材料18の潜在的な違いは、材料18の反応時にのみ明らかになり得る。
【0031】
図1,2は、カテーテル10を共に構成し得る材料18の無限に近い可能なパターンを単に2種例示しているに過ぎない。図3に示すように、そのようなユニークなパターンは、例えばステント20などの拡張型医療機器をステント20の送達前にカテーテル表面16に固定するのに有用である。
【0032】
周知のように、ステントなどの医療機器は、自己拡張型であるか、バルーン拡張型であるか、又はよく見られる2つのタイプのハイブリッドであり得る。どのタイプのステントも本発明の適切な実施形態に包含され得る。例えば、バルーン拡張型ステントを送達して拡張するために、カテーテル10の先端領域14に膨脹性部材又はバルーン22を装備し得る。ステント20が自己拡張型ステント又はハイブリッド機器の場合、バルーン22は、ステント送達開始又は補助に用いたり、さらには、ステントを体腔内の適所に配置したりするのに用い得る。
【0033】
図1,2に示す実施形態において、先端領域14はバルーン22を含み得る。本発明の実施形態がバルーン22を含む場合、カテーテル10はさらに、ステントの送達又は当該技術分野では周知の他の目的のためにバルーン22を膨脹させる膨脹手段、例えば、インフレーションルーメン又は類似装置(図示せず)を有するであろう。
【0034】
本発明の種々の実施形態において、二次材料18は、カテーテル10の物理的性質、特にカテーテルの周りに配置されるステント20などの医療機器と相互作用するカテーテル表面16の能力を変化させる任意の物質であるとみなし得る。例えば、材料18がカテーテル材料12より軟性又は粘着性が高い材料の場合、材料18は、カテーテル10に、例えば図3に示すようにカテーテル上に装着されるステント20を取り外し可能に係合するより高い能力を付与し得る。
【0035】
図1〜図3に図解するように、材料18はカテーテル10の外面上に任意の所望パターンで配置し得る。材料18のいくつかの追加パターンを図7〜図11に示す。例えば図7において、材料18は複数のストライプ120を含み、ストライプ120は、カテーテル10の長さに沿って長手方向に伸びるにつれて厚さが増大する。いくつかの実施形態において、ストライプ120は、互いに接触してカテーテル材料12の一部の周りに連続帯122を形成するまで増大し続ける。
【0036】
図8では、材料18は少なくとも1つのらせん配向ストライプ120である。
図9では、材料18は長手方向に伸びる略平行ストライプ120パターンで配置されている。
【0037】
図10,11には、カテーテル10のバルーン部分22上にのみ配置された材料18が
示されている。
本明細書に記載した種々の実施形態に用いられる二次材料18のユニークなパターンは、カテーテル又はバルーンに、より剛性又は軟性の高いセグメントを与え得る。
【0038】
材料18が上述のようなフォトレジスト材料の場合、フォトレジスト材料は、選択される特定の材料に応じてさまざまな反応を生起し得る。材料及びそれらの特性のいくつかの例は以下の通りである。
【0039】
架橋反応は、シンナメートの場合に見られる選択的二量化又はビスアジド誘導ナイトレンとオレフィン含有高分子との反応などの非選択的反応によってもたらされ得る。
ケイ皮酸エステルは、適切な波長の光に暴露されると、2+2光二量化されて、トルキシン酸又はトルキシル酸エステルを形成し得る。
【0040】
ポリビニルシンナメートは、フォトレジストとして使用可能であり、250〜350nm帯域で強力に吸収するであろう。
他の光二量化性基は、ポリビニルアルコール、例えば、ナフチルアクリル酸、スチリルアクリル酸又はフランアクリル酸に結合し得るが、適切な増感剤ニトロ芳香族炭化水素(3−ニトロアセナフテレン)(3−nitroacenapthelene)及びケトクルマリン(ketocourmarins)(7−プロポキシ−3−ベンゾイルクマリン)は効果的な増感剤クラスを代表する。
【0041】
高分子骨格中の反応性基と光架橋し得る高分子は、通常、逐次重合により調製され、逐次重合には、グリコールと二酸との縮合反応が含まれるがそれには限定されず、簡単な光学活性縮合単量体は、以下に示す3,3′−(p−フェニル−エン)ビス(エチルプロペネート)であろう:
【0042】
【化1】
【0043】
第2ポジ型レジストプロセスは、高分子を小片に開裂したり、連鎖切断、解重合、すなわち、解凍又は燒灼したりすることによって、高分子の溶解度を高める連鎖分解である。
他の高分子光開始ラジカル重合の典型的なペアとしては、典型的には切断を受けるジアルコキシアセトフェノンとベンゾインエーテルが挙げられる。
【0044】
また、ベンゾフェノン−ミヒラーケトンとケトクマリン−フェノキシ酢酸ペアも用い得る。光開始カチオン重合は、多官能エポキシド、例えば、ビスフェノールA、ジグリシジルエーテル及びビニルシクロヘキサンを用いて行うことができる。ジアリールヨードニウム又はトルアリールスルホニウム塩を光に暴露すると、これらの化合物はいくつかの生成物に分解する。
【0045】
約1〜5%のビスアリールアジドを含むビスアジド環化ポリイソプレン(CPI)は、適当なネガ型レジストの1例である。
【0046】
【化2】
【0047】
フォトレジスト材料18は、周囲材料12と比べて軟性又は粘着性であるとみなされるのが好ましい。本発明のいくつかの実施形態において、材料12,18は、同一であるか、類似特性を有し得るが、そのような特性は、フォトレジスト18を所定タイプの光エネルギーに暴露すると変化し得る。
【0048】
図1,2に示す実施形態において、光反応材料のユニークなパターンは、隆起してカテーテル表面16に関して外側に伸び得る。あるいは、これらのパターンは、カテーテル表面16の凹部又はくぼみであり得る。図4では、材料18がバルーン22の表面16から外側に伸びるカテーテル10の外形が見られる。さらに、図5には、くぼみ24を有するカテーテル10が示されている。
【0049】
図4,5に示す実施形態において、光反応材料18のパターンは、カテーテル表面16の少なくとも一部の固有部分であるネガ型又はポジ型フォトレジスト材料26であってもよいし、カテーテル表面16の一部に塗布されたコーティングであってもよい。以下に説明するようなフォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト26の選択部分を所定の形態の光エネルギーに暴露して、エッチング液に不溶性又は可溶性とし得る。フォトレジスト26がネガ型フォトレジストの場合、その後でフォトレジスト26をエッチング液に暴露してからリンスすると、ネガ型フォトレジストの光エネルギー暴露部分は不溶性になり、非露光領域は溶解又は洗い流される。あるいは、フォトレジスト26がポジ型フォトレジストの場合、ポジ型フォトレジストの光エネルギー暴露部分はエッチング液に可溶性となる。
【0050】
カテーテル表面16に付けられる突起又はくぼみ光架橋材料18パターンがどのようなものであれ、光架橋材料18パターンは、カテーテル10に、図3に示すようなステント20の係合を可能にするテクスチャー表面を与えるであろう。
【0051】
ステントは、通常、相互接続ストラットからなる骨格30と、それらの間に複数の開口部34を画定する部材32とを有する。ステントは、さまざまなストラットパターンと共にさまざまな開口サイズ及び形状を有する。カテーテル10は、縮小形状のステントのさ
まざまな開口部に少なくとも部分的に伸びるように作られた光反応性材料18パターンを具備し得る。ユニークな材料18パターンは、1つ以上の保持シース又は部材を必要とせずに、ステント20を送達前縮小状態で係合保持し得る。材料18パターンの個々の突起36は、ステント骨格30の対応配置開口部34に少なくとも部分的に伸びてステント20をステント20送達前にカテーテル10の先端領域14に保持するのが好ましい。突起36は、開口部34内に、ステント20の厚さの約30〜約100%まで伸びてステント20を係合する。
【0052】
上述のように、本発明の種々の実施形態は図1〜図5に示すカテーテル形態で例示されている。これらのユニークなデバイスは、カテーテル10の表面16上にユニークな光反応材料18パターンを形成又は堆積させる能力をもたらすフォトリソグラフィ技術を用いて作製し得る。そのような技術の1つの実施例が段階的に図6a〜6fに示され、図7にさらに要約されている。
【0053】
図6aには、多様な材料から構成し得るカテーテル10が示されており、カテーテル10は外面16の1つ以上の部分に、これも特定の波長及び強度特性を有する光に暴露すると変性又は修飾され得るフォトレジストであるとみなされる軟性かつ/又は粘着性材料42の層40を有し得る。上述のように、フォトレジスト材料は、ある種の波長の光に反応する任意の光反応性材料であってよい。示されている実施形態において、材料42は、制御下にカテーテル10から容易に除去されるフォトレジストであるのが好ましい。より好ましい実施形態において、フォトレジスト材料42は光架橋性材料である。
【0054】
一般に、フォトレジスト材料42が光架橋性高分子である場合、光架橋プロセスは、フォトレジスト材料42を、架橋される特定の材料及びその材料の厚さに応じて、所定の持続時間、特定の強度及び波長のうちの少なくとも一方を有する光、好適には紫外光に暴露して実施する。そのようなフォトレジスト材料42のいくつかの追加例には、ポリジエチニベンゼン(polydiethynybenzen)、ノブラック(novlac)、ポリスチレン、ポリビニルフェノール、ポリイミド、及びCPI−ビスアジドのうちの少なくとも1つが含まれるがそれらには限定されない。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態において、特定のフォトレジスト42と共に用いるには特定形態の光が好ましい。例えば、光源は、125〜200nmの真空紫外線、200〜300nmの深紫外線、300〜350nmの中紫外線、350〜450nmの近紫外線を含み得る。いくつかの実施形態において、特定のフォトレジスト42との反応には、X線エネルギーも利用し得る。
【0056】
上述のように、本発明のいくつかの実施形態は、光開始重合反応をもたらすフォトレジスト材料を含む。そのような光開始重合系は適当な化学反応を必要とし、したがって、フォトレジストは、フォトレジストコーティング形態及び可撓性を与える重合性モノマーバインダーと、非露光領域は溶解するが、露光領域はほぼ不変のままにする現像液とを必要とし得る。バインダーポリマーは、通常、写真的に不活性である。バインダーポリマーは、それらの柔軟性、接着性及び引掻き抵抗性で選ばれる。さらに、フォトレジストは、反応を開始させる光学活性化合物(PAC)を含んでいなければならない。典型的なPAC材料の例としては、ジアゾキノン系化合物、及び、適切な条件下にSUSもしくはウォルフト(Wolft)転位反応を受けるであろう任意の化合物のうちの少なくとも1つが挙げられる。
【0057】
少なくとも1つの実施形態において、材料42はCPI型系を利用するであろう。CPIは環化度で制御し得る好ましい粘着度を有する。
層40は、カテーテル表面16に塗布されたフォトレジスト材料42コーティングであ
っても良いし、カテーテル又はバルーン材料12の固有部分であってもよい。フォトレジスト材料42がカテーテル材料12の固有部分である場合、カテーテル材料12の厚さは、カテーテル10の構造的完全性を損なうことなく、カテーテル材料12に突起36及びくぼみ24(それぞれ図4,5に示す)のうちの少なくとも1つを形成し得るような厚さでなければならない。
【0058】
カテーテル10を作成したら、フォトレジスト材料42でコーティングするか、又はカテーテル材料12中にフォトレジスト材料を混入させるかして、例えば図6Bに示すようにカテーテル10の周りにパターンマスク44を配置し得る。パターンマスク44は、矢印52で示す所定の波長及び強度の光エネルギーを、マスク44の複数の部分を介してマスクの下に配置されているフォトレジスト材料に選択的に通過させる。
【0059】
マスク44の形成に適した材料には、ガラス、金属、ポリマー、マイラー又はほぼすべての所望材料を含むがそれらには限定されない。
マスク44上に描くかトランスファーできる任意のパターンを利用し得る。パターンは、通常、特定ステントの開口部パターンに対応するであろうが、1つ以上の規則的に又は不規則に成形かつ/又は配置された形態、例えば、図1,2に示すようなカテーテルにテクスチャー表面16を与えるのに適したハブ、ノブ、係合部材、トラフ、くぼみ、チャンネル又は他の物理的構成要素であってもよい。カテーテル10に与えられたテクスチャー表面が、カテーテル10に、図3に示すような送達前にカテーテルの周りにステント20を縮小状態で保持する能力を付与するものであればなお好ましい。
【0060】
光エネルギー52は光エネルギー源50から発せられる。光源50の1例はレーザーである。光エネルギー52は上述のように材料42と光化学的に反応する。
反応したフォトレジスト材料42は、以下の図式に例示するように有意な変化を受け得る。
【0061】
【表1】
【0062】
マスク44は、マスク44で画定されたパターンのみに従って、光をフォトレジスト層40上に通すように構成/配置される。フォトレジスト層40がネガ型フォトレジストの
場合、層40の光52に暴露された領域は、材料42の分子レベルで架橋マトリックスを形成する。図6cに示すように、光架橋又は光反応材料18は、マスク44のパターンに従って層42中に選択的に配置され得る。ネガ型フォトレジスト材料の場合、材料18は、露光後にカテーテルの露光領域に塗布されるエッチング液に不溶のままであろうが、層42の隣接領域は、図6dに示すように溶解して洗い流される。
【0063】
架橋などの所望の光反応が生じた後、マスク44を取り除き、矢印54で示す溶媒又はエッチング液をカテーテル10に塗布する。溶媒54は、ポジ型フォトレジストの場合には光54に暴露されず、ネガ型フォトレジストの場合には光に暴露された残留フォトレジスト材料42を除去するように構成/配置される。適当なエッチング液54の例としては、水、ヘキサン、IPA有機酸及びIPA無機酸が挙げられるが、そららには限定されない。さらに、非光反応材料も、レーザー、プラズマ及びイオンの少なくとも1つによるエッチングを用いた選択的アブレーションにより除去し得る。プラズマエッチングは、フッ素、塩素、CF2、酸素、アルゴン、及びCF4のうちの少なくとも1つを利用し得る。イオンエッチングは、リン、ホウ素、フッ素、及び塩素のうちの少なくとも1つのイオンを使用し得る。レーザーエネルギーは、x−mer、YAG、ヘリウムなどによって供給され得る。少なくとも1つの実施形態では、エッチング液54を塗布した後、カテーテルをリンスする。
【0064】
過剰なフォトレジスト材料42を除去した後、図6eに示すように、縮小状態のステント20を光架橋材料18のパターンに係合して、ステント20をカテーテル10上に装着し得る。カテーテル10がバルーン22を含む場合、カテーテル10を体腔内に挿入して所定位置に進めたら、図6fに示すように、バルーン22を拡張してステント20を解放し得る。
【0065】
図6a〜図6fに示すユニークな方法を用いることにより、どのカテーテル10にも、任意のタイプの拡張型医療機器、特にステントを送達前に係合保持するのに適した表面性状パターンを付けることができる。
【0066】
以下に特許請求する特定の特徴組み合わせに加えて、本発明はさらに、以下に特許請求する従属特徴の他の組合わせ及び上述の特徴の他の組合わせを有する実施形態に関する。
上記開示は、例示を目的としており、網羅的に示すものではない。この説明は、当業者に多くの変更形態及び代替形態を示唆するであろう。これらの代替形態及び変更形態はすべて本クレームの範囲内に包含されるものとし、本クレームにおいて、用語「含んでなること」(comprising)は「含むが、それには限定されないこと」(including、but not limited to)を意味する。当業者は本明細書に記載されている特定の実施形態に対する他の均等物を認識するであろうが、それらの均等物も本クレームに包含されるものとする。
【0067】
さらに、従属クレームに呈示されている特定の特徴は、本発明が明確に従属クレームの特徴の任意の他の可能な組合わせを有する他の実施形態をも対象とするものと認識されるように、本発明の範囲内の他の方法で互いに組合わせることができる。例えば、クレーム公開のために、多数項従属形式が管轄権内で受容される形式であるならば、後続のすべての従属クレームは、そのような従属クレームで引用されたすべての先行詞を保有するすべての前項クレームから多数項従属形式で択一的に記載されたものとみなされる(例えば、請求項1のクレームに直接従属する各項のクレームは、択一的にすべての前項クレームに従属するものとみなされる)。多数項従属形式が制限される管轄権内では、後続の従属クレームもそれぞれ、そのような下位従属クレームにリストされている特定クレーム以外の前項の先行詞保有クレームからの従属関係が生じる各項従属クレーム形式で択一的に記載されたものとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】カテーテルの一部をその上に材料パターンが配置された状態で示す本発明の1つの実施形態の側面図。
【図2】カテーテルの一部をその上に材料パターンが配置された状態で示す本発明の1つの実施形態の側面図。
【図3】医療機器骨格の開口部に対応する材料パターンを有するカテーテルへの医療機器の係合を例示する本発明の1つの実施形態の側面図。
【図4】本発明の1つの実施形態の断面図。
【図5】本発明の1つの実施形態の断面図。
【図6a】本発明方法の1つの実施形態によるカテーテルの作成に含まれるステップを例示する一連の断面図。
【図6b】本発明方法の1つの実施形態によるカテーテルの作成に含まれるステップを例示する一連の断面図。
【図6c】本発明方法の1つの実施形態によるカテーテルの作成に含まれるステップを例示する一連の断面図。
【図6d】本発明方法の1つの実施形態によるカテーテルの作成に含まれるステップを例示する一連の断面図。
【図6e】本発明方法の1つの実施形態によるカテーテルの作成に含まれるステップを例示する一連の断面図。
【図6f】本発明方法の1つの実施形態によるカテーテルの作成に含まれるステップを例示する一連の断面図。
【図7】カテーテルチューブの一部分上に配置された材料パターンを示す本発明の1つの実施形態の側面図。
【図8】カテーテルチューブの一部分上に配置された材料パターンを示す本発明の1つの実施形態の側面図。
【図9】カテーテルチューブの一部分上に配置された材料パターンを示す本発明の1つの実施形態の側面図。
【図10】カテーテルチューブの一部分上に配置された材料パターンを示す本発明の1つの実施形態の側面図。
【図11】カテーテルチューブの一部分上に配置された材料パターンを示す本発明の1つの実施形態の側面図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器を体腔内に送達するためのカテーテルであって、
長尺状の本体を備え、長尺状の本体の少なくとも一部はその上に医療機器を保持する医療機器保持領域を画定し、医療機器保持領域の少なくとも一部は所定パターンのフォトレジスト材料を有するカテーテル。
【請求項2】
所定パターンのフォトレジスト材料が、医療機器送達前に医療機器を医療機器受容領域に保持するように構成かつ配置される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
医療機器保持領域が拡張型バルーンである、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
所定パターンのフォトレジスト材料が、医療機器受容領域の少なくとも1つの突起を画定する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
医療機器受容領域の少なくとも1つの突起が長尺状の本体から外側に伸びる、請求項4に記載のカテーテル。
【請求項6】
医療機器が医療機器保持領域の少なくとも一部に解放可能に係合されたステントであり、少なくとも1つの突起がステントを解放可能に係合する、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
ステントが複数の開口部を有する拡張型骨格を含んでなり、少なくとも1つの突起がステント骨格の少なくとも1つの開口部内に少なくとも部分的に伸びて、ステント骨格を解放可能に係合する、請求項6に記載のカテーテル。
【請求項8】
ステントが縮小状態を有すると共に拡張状態に拡張可能であり、ステントは、縮小状態では、医療機器保持領域の少なくとも一部の少なくとも1つの突起に係合され、ステントは、拡張状態のとき、少なくとも1つの突起から解放される、請求項7に記載のカテーテル。
【請求項9】
医療機器保持領域の少なくとも一部が拡張型バルーンである、請求項8に記載のカテーテル。
【請求項10】
所定パターンのフォトレジスト材料が医療機器受容領域の少なくとも1つのくぼみを画定する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
長尺状の本体がカテーテル材料で構成され、カテーテル材料とフォトレジスト材料が同じ材料で構成される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項12】
長尺状の本体がカテーテル材料で構成され、カテーテル材料とフォトレジスト材料が異なる材料で構成される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項13】
フォトレジスト材料が光架橋性材料である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項14】
フォトレジスト材料が光架橋材料である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項15】
フォトレジスト材料が、シンナメート;ケイ皮酸エステル;ビスアジド誘導ナイトレン付加オレフィン含有高分子;ポリビニルシンナメート;ナフチルアクリル酸、スチリルアクリル酸又はフランアクリル酸などのポリビニルアルコールに結合し得る光二量化性基;増感剤ニトロ芳香族炭化水素(3−ニトロアセナフテレン);ケトクルマリン(7−プロポ
キシ−3−ベンゾイルクマリン);3,3′−(p−フェニル−エン)ビス(エチルプロペネート)、ジアルコキシアセトフェノンなどの光学活性縮合単量体;ベンゾイン;ベンゾフェノン−ミヒラーケトン;ケトクマリン−フェノキシ酸ペア;ビスフェノールA、ジグリシジルエーテル及びビニルシクロヘキサンなどの多官能エポキシド;ジアリールヨードニウム又はトルアリールスルホニウム塩;約1〜5%のビスアリールアジド化合物を含むビスアジド−環化ポリイソプレン(CPI)又はフェノール樹脂;ポリジエチニベンゼン;ノブラック;ポリスチレン;ポリビニルフェノール;ポリイミド;及びそれらの任意の組合わせからなる群の少なくとも1種の材料から選択される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項16】
インクジェット印刷、静電塗装、加圧式ジェットコーティング、密着焼き、及びそれらの任意の組合わせからなる群由来の少なくとも1つの蒸着法により、カテーテル材料上に所定パターンのフォトレジスト材料を蒸着する、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項17】
インクジェット印刷、静電塗装、加圧式ジェットコーティング、密着焼き、及びそれらの任意の組合わせからなる群由来の少なくとも1つの蒸着法により、カテーテル材料上に所定パターンのフォトレジスト材料を蒸着する、請求項12に記載のカテーテル。
【請求項18】
外面を有し、外面上に解放可能に係合された拡張型医療機器をさらに備える医療用バルーンであって、拡張型医療機器は複数の開口部を画定する骨格を有し、医療用バルーンは外面上に所定パターンのフォトレジスト材料を有し、所定パターンのフォトレジスト材料は医療用バルーンの外面から外側に伸びる複数の突起を含んでなり、少なくともいくつかの突起は少なくとも部分的に拡張型医療機器の開口部内に伸びて、拡張型医療機器の送達前に拡張型医療機器を解放可能に係合する、医療用バルーン。
【請求項19】
基端コーン部と、先端コーン部と、基端及び先端コーン部間に配置された本体部とを含んでなり、本体部の周りに突起が間隔を置いて配置される、請求項18に記載の医療用バルーン。
【請求項20】
突起が開口部内にステントの厚さの約30〜100%まで伸びる、請求項18に記載の医療用バルーン。
【請求項21】
拡張型医療機器を送達する前には、一部の突起は拡張型医療機器を解放可能に係合するが一部の突起は拡張型医療機器を係合しない、請求項18に記載の医療用バルーン。
【請求項22】
カテーテルの医療機器受容領域の少なくとも一部に所定パターンの光反応性材料を付着するための方法であって、
カテーテルの医療機器受容部の少なくとも一部にフォトレジスト材料層を付けるステップと、
フォトレジスト材料層の周りに、複数の開口部を画定し、開口部を介して所定パターンのフォトレジスト材料を露光するマスクを配置するステップと、
少なくとも1つの開口部を介して所定パターンのフォトレジスト材料に光源からの光を通して、所定パターンのフォトレジスト材料を光反応させ、それによって、フォトレジスト材料層を、非光反応材料と所定パターンの光反応材料との組合わせ層に変えるステップと、
組合わせ層の周りからマスクを除去するステップと、
組合わせ層から非光反応材料を除去するように構成かつ配置された溶媒で組合わせ層を処理して、医療機器受容領域上に所定パターンの光反応材料を残すステップとを備える、光反応性材料を付着するための方法。
【請求項23】
カテーテルの医療機器受容領域の少なくとも一部に所定パターンの光反応材料を付着するための方法であって、
カテーテルの医療機器受容部の少なくとも一部にフォトレジスト材料層を付けるステップと、
フォトレジスト材料層の周りに、複数の開口部を画定し、開口部を介して所定パターンのフォトレジスト材料を露光するマスクを配置するステップと、
少なくとも1つの開口部を介して所定パターンのフォトレジスト材料に光源からの光を通して、所定パターンのフォトレジスト材料を光反応させ、それによって、フォトレジスト材料層を、非光反応材料と所定パターンの光反応材料の組合わせ層に変えるステップと、
組合わせ層の周りからマスクを除去するステップと、
組合わせ層から光反応材料を除去するように構成かつ配置された溶媒で組合わせ層を処理して、医療機器受容領域上に所定パターンの非光反応材料を残すステップとを備える、光反応材料を付着するための方法。
【請求項24】
医療機器を体腔内に送達するためのカテーテルであって、
長尺状の本体を含んでなり、長尺状の本体の少なくとも一部はその上に医療機器を保持する医療機器保持領域を画定し、医療機器保持領域の少なくとも一部は所定パターンの光架橋材料を含有する、カテーテル。
【請求項25】
所定パターンの光架橋材料が、医療機器送達前に医療機器を医療機器受容領域に保持するように構成かつ配置される、請求項24に記載のカテーテル。
【請求項26】
医療機器保持領域が拡張型バルーンである、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項27】
所定パターンの光架橋材料が、医療機器受容領域の少なくとも1つの突起を画定する、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項28】
医療機器の少なくとも1つの突起が医療機器受容領域から半径方向外側に伸びる、請求項27に記載のカテーテル。
【請求項29】
医療機器が医療機器保持領域の少なくとも一部に解放可能に係合されたステントであり、少なくとも1つの突起がステントに解放可能に係合される、請求項28に記載のカテーテル。
【請求項30】
ステントが複数の開口部を有する拡張型骨格を含んでなり、少なくとも1つの突起が少なくとも部分的にステント骨格の少なくとも1つの開口部内に伸びて、ステント骨格を解放可能に係合する、請求項29に記載のカテーテル。
【請求項31】
ステントが、縮小状態を有すると共に拡張状態に拡張可能であり、ステントは、縮小状態では、医療機器保持領域の少なくとも一部の少なくとも1つの突起に係合され、ステントは、拡張状態のとき、少なくとも1つの突起から解放される、請求項30に記載のカテーテル。
【請求項32】
医療機器保持領域の少なくとも一部が拡張型バルーンである、請求項31に記載のカテーテル。
【請求項33】
所定パターンの光架橋材料が医療機器受容領域の少なくとも1つのくぼみを画定する、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項34】
カテーテルがカテーテル材料で構成され、カテーテル材料と光架橋材料が同じ材料で構成される、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項35】
カテーテルがカテーテル材料で構成され、カテーテル材料と光架橋材料が異なる材料で構成される、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項36】
外面を有し、外面上に解放可能に係合された拡張型医療機器をさらに備えた医療用バルーンであって、拡張型医療機器は複数の開口を画定する骨格を有し、医療用バルーンは外面上に所定パターンの光架橋材料を有し、所定パターンの光架橋材料は医療用バルーンの外面から外側に伸びる複数の突起を含んでなり、少なくともいくつかの突起は少なくとも部分的に拡張型医療機器の開口部内に伸びて、送達前の拡張型医療機器を解放可能に係合する、医療用バルーン。
【請求項1】
医療機器を体腔内に送達するためのカテーテルであって、
長尺状の本体を備え、長尺状の本体の少なくとも一部はその上に医療機器を保持する医療機器保持領域を画定し、医療機器保持領域の少なくとも一部は所定パターンのフォトレジスト材料を有するカテーテル。
【請求項2】
所定パターンのフォトレジスト材料が、医療機器送達前に医療機器を医療機器受容領域に保持するように構成かつ配置される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
医療機器保持領域が拡張型バルーンである、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
所定パターンのフォトレジスト材料が、医療機器受容領域の少なくとも1つの突起を画定する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
医療機器受容領域の少なくとも1つの突起が長尺状の本体から外側に伸びる、請求項4に記載のカテーテル。
【請求項6】
医療機器が医療機器保持領域の少なくとも一部に解放可能に係合されたステントであり、少なくとも1つの突起がステントを解放可能に係合する、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
ステントが複数の開口部を有する拡張型骨格を含んでなり、少なくとも1つの突起がステント骨格の少なくとも1つの開口部内に少なくとも部分的に伸びて、ステント骨格を解放可能に係合する、請求項6に記載のカテーテル。
【請求項8】
ステントが縮小状態を有すると共に拡張状態に拡張可能であり、ステントは、縮小状態では、医療機器保持領域の少なくとも一部の少なくとも1つの突起に係合され、ステントは、拡張状態のとき、少なくとも1つの突起から解放される、請求項7に記載のカテーテル。
【請求項9】
医療機器保持領域の少なくとも一部が拡張型バルーンである、請求項8に記載のカテーテル。
【請求項10】
所定パターンのフォトレジスト材料が医療機器受容領域の少なくとも1つのくぼみを画定する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
長尺状の本体がカテーテル材料で構成され、カテーテル材料とフォトレジスト材料が同じ材料で構成される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項12】
長尺状の本体がカテーテル材料で構成され、カテーテル材料とフォトレジスト材料が異なる材料で構成される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項13】
フォトレジスト材料が光架橋性材料である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項14】
フォトレジスト材料が光架橋材料である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項15】
フォトレジスト材料が、シンナメート;ケイ皮酸エステル;ビスアジド誘導ナイトレン付加オレフィン含有高分子;ポリビニルシンナメート;ナフチルアクリル酸、スチリルアクリル酸又はフランアクリル酸などのポリビニルアルコールに結合し得る光二量化性基;増感剤ニトロ芳香族炭化水素(3−ニトロアセナフテレン);ケトクルマリン(7−プロポ
キシ−3−ベンゾイルクマリン);3,3′−(p−フェニル−エン)ビス(エチルプロペネート)、ジアルコキシアセトフェノンなどの光学活性縮合単量体;ベンゾイン;ベンゾフェノン−ミヒラーケトン;ケトクマリン−フェノキシ酸ペア;ビスフェノールA、ジグリシジルエーテル及びビニルシクロヘキサンなどの多官能エポキシド;ジアリールヨードニウム又はトルアリールスルホニウム塩;約1〜5%のビスアリールアジド化合物を含むビスアジド−環化ポリイソプレン(CPI)又はフェノール樹脂;ポリジエチニベンゼン;ノブラック;ポリスチレン;ポリビニルフェノール;ポリイミド;及びそれらの任意の組合わせからなる群の少なくとも1種の材料から選択される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項16】
インクジェット印刷、静電塗装、加圧式ジェットコーティング、密着焼き、及びそれらの任意の組合わせからなる群由来の少なくとも1つの蒸着法により、カテーテル材料上に所定パターンのフォトレジスト材料を蒸着する、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項17】
インクジェット印刷、静電塗装、加圧式ジェットコーティング、密着焼き、及びそれらの任意の組合わせからなる群由来の少なくとも1つの蒸着法により、カテーテル材料上に所定パターンのフォトレジスト材料を蒸着する、請求項12に記載のカテーテル。
【請求項18】
外面を有し、外面上に解放可能に係合された拡張型医療機器をさらに備える医療用バルーンであって、拡張型医療機器は複数の開口部を画定する骨格を有し、医療用バルーンは外面上に所定パターンのフォトレジスト材料を有し、所定パターンのフォトレジスト材料は医療用バルーンの外面から外側に伸びる複数の突起を含んでなり、少なくともいくつかの突起は少なくとも部分的に拡張型医療機器の開口部内に伸びて、拡張型医療機器の送達前に拡張型医療機器を解放可能に係合する、医療用バルーン。
【請求項19】
基端コーン部と、先端コーン部と、基端及び先端コーン部間に配置された本体部とを含んでなり、本体部の周りに突起が間隔を置いて配置される、請求項18に記載の医療用バルーン。
【請求項20】
突起が開口部内にステントの厚さの約30〜100%まで伸びる、請求項18に記載の医療用バルーン。
【請求項21】
拡張型医療機器を送達する前には、一部の突起は拡張型医療機器を解放可能に係合するが一部の突起は拡張型医療機器を係合しない、請求項18に記載の医療用バルーン。
【請求項22】
カテーテルの医療機器受容領域の少なくとも一部に所定パターンの光反応性材料を付着するための方法であって、
カテーテルの医療機器受容部の少なくとも一部にフォトレジスト材料層を付けるステップと、
フォトレジスト材料層の周りに、複数の開口部を画定し、開口部を介して所定パターンのフォトレジスト材料を露光するマスクを配置するステップと、
少なくとも1つの開口部を介して所定パターンのフォトレジスト材料に光源からの光を通して、所定パターンのフォトレジスト材料を光反応させ、それによって、フォトレジスト材料層を、非光反応材料と所定パターンの光反応材料との組合わせ層に変えるステップと、
組合わせ層の周りからマスクを除去するステップと、
組合わせ層から非光反応材料を除去するように構成かつ配置された溶媒で組合わせ層を処理して、医療機器受容領域上に所定パターンの光反応材料を残すステップとを備える、光反応性材料を付着するための方法。
【請求項23】
カテーテルの医療機器受容領域の少なくとも一部に所定パターンの光反応材料を付着するための方法であって、
カテーテルの医療機器受容部の少なくとも一部にフォトレジスト材料層を付けるステップと、
フォトレジスト材料層の周りに、複数の開口部を画定し、開口部を介して所定パターンのフォトレジスト材料を露光するマスクを配置するステップと、
少なくとも1つの開口部を介して所定パターンのフォトレジスト材料に光源からの光を通して、所定パターンのフォトレジスト材料を光反応させ、それによって、フォトレジスト材料層を、非光反応材料と所定パターンの光反応材料の組合わせ層に変えるステップと、
組合わせ層の周りからマスクを除去するステップと、
組合わせ層から光反応材料を除去するように構成かつ配置された溶媒で組合わせ層を処理して、医療機器受容領域上に所定パターンの非光反応材料を残すステップとを備える、光反応材料を付着するための方法。
【請求項24】
医療機器を体腔内に送達するためのカテーテルであって、
長尺状の本体を含んでなり、長尺状の本体の少なくとも一部はその上に医療機器を保持する医療機器保持領域を画定し、医療機器保持領域の少なくとも一部は所定パターンの光架橋材料を含有する、カテーテル。
【請求項25】
所定パターンの光架橋材料が、医療機器送達前に医療機器を医療機器受容領域に保持するように構成かつ配置される、請求項24に記載のカテーテル。
【請求項26】
医療機器保持領域が拡張型バルーンである、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項27】
所定パターンの光架橋材料が、医療機器受容領域の少なくとも1つの突起を画定する、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項28】
医療機器の少なくとも1つの突起が医療機器受容領域から半径方向外側に伸びる、請求項27に記載のカテーテル。
【請求項29】
医療機器が医療機器保持領域の少なくとも一部に解放可能に係合されたステントであり、少なくとも1つの突起がステントに解放可能に係合される、請求項28に記載のカテーテル。
【請求項30】
ステントが複数の開口部を有する拡張型骨格を含んでなり、少なくとも1つの突起が少なくとも部分的にステント骨格の少なくとも1つの開口部内に伸びて、ステント骨格を解放可能に係合する、請求項29に記載のカテーテル。
【請求項31】
ステントが、縮小状態を有すると共に拡張状態に拡張可能であり、ステントは、縮小状態では、医療機器保持領域の少なくとも一部の少なくとも1つの突起に係合され、ステントは、拡張状態のとき、少なくとも1つの突起から解放される、請求項30に記載のカテーテル。
【請求項32】
医療機器保持領域の少なくとも一部が拡張型バルーンである、請求項31に記載のカテーテル。
【請求項33】
所定パターンの光架橋材料が医療機器受容領域の少なくとも1つのくぼみを画定する、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項34】
カテーテルがカテーテル材料で構成され、カテーテル材料と光架橋材料が同じ材料で構成される、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項35】
カテーテルがカテーテル材料で構成され、カテーテル材料と光架橋材料が異なる材料で構成される、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項36】
外面を有し、外面上に解放可能に係合された拡張型医療機器をさらに備えた医療用バルーンであって、拡張型医療機器は複数の開口を画定する骨格を有し、医療用バルーンは外面上に所定パターンの光架橋材料を有し、所定パターンの光架橋材料は医療用バルーンの外面から外側に伸びる複数の突起を含んでなり、少なくともいくつかの突起は少なくとも部分的に拡張型医療機器の開口部内に伸びて、送達前の拡張型医療機器を解放可能に係合する、医療用バルーン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図6e】
【図6f】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図6e】
【図6f】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2007−502687(P2007−502687A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532289(P2006−532289)
【出願日】平成16年2月18日(2004.2.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/004781
【国際公開番号】WO2004/105851
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年2月18日(2004.2.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/004781
【国際公開番号】WO2004/105851
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
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