保護制御システム、保護制御装置、およびマージングユニット
【課題】本発明の実施形態は、プロセスバスを適用した保護制御システムにおけるハードウェア量を抑えた、保護制御システム、保護制御装置、およびマージングユニットを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の実施形態における保護制御システムは、電気量情報を出力するマージングユニットと、前記電気量情報と予め決められたリレー特性とに基づいて、メイントリップ情報を出力する複数の第一の保護制御装置と、前記電気量情報と前記第一の保護制御装置夫々の事故検出リレーとして予め決められた複数のリレー特性とに基づいて、FDトリップ情報を出力する第二の保護制御装置と、を備える。
また、前記マージングユニットは、前記メイントリップ情報と前記FDトリップ情報とに基づいて、電力系統に設置された遮断器または開閉器を開放するか否かを判断する。
【解決手段】本発明の実施形態における保護制御システムは、電気量情報を出力するマージングユニットと、前記電気量情報と予め決められたリレー特性とに基づいて、メイントリップ情報を出力する複数の第一の保護制御装置と、前記電気量情報と前記第一の保護制御装置夫々の事故検出リレーとして予め決められた複数のリレー特性とに基づいて、FDトリップ情報を出力する第二の保護制御装置と、を備える。
また、前記マージングユニットは、前記メイントリップ情報と前記FDトリップ情報とに基づいて、電力系統に設置された遮断器または開閉器を開放するか否かを判断する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、保護制御システム、保護制御装置、およびマージングユニット
に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力系統の保護制御には保護制御装置が用いられている。この保護制御装置は、電力系統の電気量に基づいて、電力系統内に事故が発生したと判断した場合、遮断器を開放するなどの制御を行っている。
【0003】
また、保護制御装置のハードウェアおよびソフトウェアの一部に不良が発生した場合にも、保護制御装置が遮断器に対して誤った制御を行わないように、2以上のハードウェアを用いて保護制御動作を行うように冗長化されている。冗長化された保護制御装置は、主検出リレー(以下、メインと呼ぶ)と事故検出リレー(以下、FDと呼ぶ)と呼ばれ、夫々別のハードウェアで構成することによって、一方のハードウェアに不良が発生した場合にも、誤った制御(誤動作)することなく、適正な電力系統の保護制御を実現している。
【0004】
さらに近年、電力系統に設置された変流器(以下、CTと呼ぶ)および計器用変圧器(以下、VTと呼ぶ)の電気量を検出するマージングユニット(以下、MUと呼ぶ)と、検出された電気量に基づいて事故の有無を判断する保護制御装置とを、プロセスバスと呼ばれるネットワークで接続する保護制御システムが考えられている。ここで、MUは電気量を検出し、プロセスバスを介して電気量情報を保護制御装置に伝送する。また、保護制御装置は、プロセスバスを介してMUから電気量情報を受信し、受信した電気量情報に基づいて保護対象区間に系統事故が発生したか否かを判断する。
【0005】
ここで、MUは保護制御装置により系統事故が発生したと判断された場合、接続する遮断器または開閉器を開放する。この従来のMUはトリップ回路等を備えず、遮断器または開閉器を開放するか否かの判断は、保護制御装置の判断に依存している。
【0006】
上述したプロセスバスを適用した保護制御システムの保護制御装置においても、別々のハードウェアにて構成されるメインとFDとを備え、冗長化することが求められている。しかし、プロセスバスに対して複数の保護制御装置が接続された場合、夫々の保護制御装置で冗長化するため、ハードウェアおよびコストが増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3907998号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の実施形態は、プロセスバスを適用した保護制御システムにおけるハードウェア量を抑えた、保護制御システム、保護制御装置、およびマージングユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態における保護制御システムは、電力系統に設置された変成器から電気量を取得し、取得した電気量をディジタル変換し、第一の電気量情報として第一のネットワークに出力する第一のマージングユニットと、前記第一のマージングユニットから、前記第一のネットワークを介して前記第一の電気量情報を取得し、予め決められたリレー特性に基づいて、前記電力系統の保護対象区間の系統事故が発生しているか否かを判断し、系統事故が発生していると判断した場合、メイントリップ情報を前記第一のネットワークに出力する複数の第一の保護制御装置と、前記第一のマージングユニットから、前記第一のネットワークを介して前記電気量情報を取得し、前記第一の保護制御装置夫々の事故検出リレーとして予め決められた複数のリレー特性に基づいて、保護対象区間の系統事故が発生しているか否かを判断し、系統事故が発生していると判断した場合、FDトリップ情報を前記第一のネットワークに出力する第二の保護制御装置と、を備える。
【0010】
また、前記第一のマージングユニットは、前記第一の保護制御装置から出力された前記メイントリップ情報と、前記第二の保護制御装置から出力された前記FDトリップ情報とに基づいて、電力系統に設置された遮断器または開閉器の開閉を判断する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態の保護制御システム100の構成を示す図。
【図2】第1の実施形態の保護制御装置108の構成を示す機能ブロック図。
【図3】第1の実施形態のMU101の構成を示す機能ブロック図。
【図4】第1の実施形態のトリップ指令出力部307の制御ロジック構成を示す図。
【図5】第1の実施形態のMU101の電気量情報を出力する動作を示すフローチャート。
【図6】第1の実施形態の保護制御装置108のトリップ情報を出力する動作を示すフローチャート。
【図7】第1の実施形態のMU101のトリップ指令を出力する動作を示すフローチャート。
【図8】第1の実施形態のトリップ指令出力部307の制御ロジック構成の一例を示す図。
【図9】第2の実施形態の保護制御システム100の構成を示す図。
【図10】第2の実施形態の保護制御装置108−2の構成を示す機能ブロック図。
【図11】第3の実施形態の保護制御システム100の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態の保護制御装置および保護制御システムについて図面を用いて説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の保護制御システムの構成について図1を用いて説明する。図1は、保護制御システム100の構成を示す図である。
【0014】
保護制御システム100は、MU101、プロセスバス103、保護制御装置105〜108を備える。
【0015】
MU101は、電力系統に設置された図示しないCTおよびVTの電気量を検出し、電気量情報としてプロセスバス103に出力する。また、プロセスバス103からトリップ情報を受信し、トリップ条件が成立した場合に図示しない遮断器を開放するためのトリップ指令を出力する。ここでのトリップ情報の詳細な説明は下述するが、トリップ情報は、87トリップ情報、44・51Gトリップ情報、B87G・B87Sトリップ、27Fトリップ情報、51DF・64Fトリップ情報、および27F・64Fトリップ情報を示す。
【0016】
プロセスバス103は、MU101と保護制御装置105〜108に接続しており、MU101および保護制御装置105〜108の相互の情報伝送を実現する。
【0017】
保護制御装置105は、CPU、メモリ、等を備えるコンピュータにより構成され、プロセスバス103に接続する。MU101からプロセスバス103を介して受信した電気量情報に基づいて、保護対象区間の系統事故を判断する。保護対象区間の系統事故が発生していると判断した場合、87トリップ情報をプロセスバス103に出力する。ここでの保護制御装置105は送電線保護を目的として保護対象区間の系統事故を判断しており、リレー特性は、電流差動継電方式(87)を用いる。
【0018】
保護制御装置106は、保護制御装置105と同様であるため、詳細な説明は省略するが、リレー特性として距離継電方式(44)および地絡過電流継電方式(51G)を用いる点が異なる。保護対象区間の系統事故が発生していると判断した場合、44・51Gトリップ情報をプロセスバス103に出力する。
【0019】
保護制御装置107は、保護制御装置105と同様であるため、詳細な説明は省略するが、保護対象が母線である点が異なり、さらにリレー特性として、比率差動継電方式(B87G、B87S)方式を用いる。保護対象区間の系統事故が発生していると判断した場合、B87G・B87Sトリップ情報をプロセスバス103に出力する。
【0020】
なお、ここで記した継電方式の末尾にはそれぞれに対応する制御器具番号を括弧書きにて記しており、以下も同様に記載する。
【0021】
保護制御装置108は、CPU、メモリ、等を備えるコンピュータにより構成され、プロセスバス103に接続する。MU101からプロセスバス103を介して受信した電気量情報に基づいて、図示しない遮断器を開放するか否かを判断する。ここで、保護制御装置108は、保護制御装置105〜107のFDとしての役割を果たし、リレー特性として、交流不足電圧継電方式(27F)、電流変化幅継電方式(51DF)、地絡過電圧継電方式(64F)を用いる。また、保護対象区間の系統事故が発生していると判断した場合、27Fトリップ情報、51DF・64Fトリップ情報、または27F・64Fトリップ情報をプロセスバス103に出力する。
【0022】
従って、保護制御装置108は、保護制御装置105〜107のFDとして動作している。保護制御装置105のFDは交流不足電圧継電方式(27F)であり、保護制御装置107のFDは、電流変化幅継電方式(51DF)および地絡過電圧継電方式(64F)であり、保護制御装置107のFDは、交流不足電圧継電方式(27F)および地絡過電圧継電方式(64F)である。
【0023】
以降、保護制御装置105〜107から出力される87トリップ情報、44・51Gトリップ情報、B87G・B87Sトリップをメイントリップ情報と呼び、保護制御装置108から出力される27Fトリップ情報、51DF・64Fトリップ情報、および27F・64Fトリップ情報をFDトリップ情報と呼ぶ。また、メイントリップ情報を出力する保護制御装置105〜107を第一の保護制御装置、FDトリップ情報を出力する保護制御装置108を第二の保護制御装置と呼ぶ。
【0024】
次に、保護制御装置108の構成について図2を用いて説明する。図2は、保護制御装置108の構成を示す機能ブロック図である。
【0025】
保護制御装置108は、伝送処理部201、受信処理部202、リレー演算部203、および送信処理部207を備える。さらに、リレー演算部203は、27F演算部204、51DF・64F演算部205、および27F・64F演算部206を備える。以降、27F演算部204、51DF・64F演算部205、および27F・64F演算部206の3つの演算部を併せて各演算部と呼ぶ。
【0026】
伝送処理部201は、プロセスバス103、受信処理部202、および送信処理部207に接続している。この伝送処理部201は、MU101からプロセスバス103を介して電気量情報を取得し、受信処理部202に出力する。また伝送処理部201は、送信処理部207から出力されたFDトリップ情報を取得し、プロセスバス103に出力する。
【0027】
受信処理部202は、伝送処理部201およびリレー演算部203と接続している。この受信処理部202は、伝送処理部201から取得した電気量情報を変換し、リレー演算部203に出力する。ここでの変換は、プロセスバス103にて伝送された電気量情報を、リレー演算部203が処理可能な形式に変換する。
【0028】
リレー演算部203は、主にCPUによって動作されるプログラムによって実現され、HDD、SSD、RAM、等の図示しない記憶媒体に保存される。リレー演算部203は、27F演算部204、51DF・64F演算部205および27F・64F演算部206から構成される。ここで、上述したように、27F演算部204は図1の保護制御装置105のFDとして機能し、51DF・64F演算部205は図1の保護制御装置106のFDとして機能し、図1の27F・64F演算部206は保護制御装置107のFDとして機能する。
【0029】
以下、各演算部について説明するが、夫々のリレー特性については従来と同様であるため、説明は省略する。
【0030】
27F演算部204は、受信処理部202から取得した電気量情報に基づいて、27Fトリップ情報を送信処理部207に対して出力するか否かを判断する。51DF・64F演算部205は、受信処理部202から取得した電気量情報に基づいて、51DF・64Fトリップ情報を送信処理部207に対して出力するか否かを判断する。27F・64F演算部206は、受信処理部202から取得した電気量情報に基づいて、27F・64Fトリップ情報を送信処理部207に対して出力するか否かを判断する。
【0031】
送信処理部207は、リレー演算部203および伝送処理部201と接続している。この送信処理部207は、リレー演算部203から取得したFDトリップ情報を変換し、伝送処理部201に出力する。ここでの変換は、リレー演算部203から取得したFDトリップ情報をプロセスバス103にて伝送可能な形式に変換する。
【0032】
なお、図1に示す保護制御装置105〜107の構成が上述した保護制御装置108の構成と異なる点は、保護制御装置108が複数の演算部を備えるのに対し、保護制御装置105〜107は、保護対象区間の系統事故を検出する単数の演算部を備える点である。
【0033】
つまり、保護制御装置105は、電流差動演算(87)を行う演算部を備え、87トリップ情報を出力するか否かを判断する。保護制御装置106は、距離継電演算(44)および地絡過電流継電演算(51G)を行う演算部を備え、44・51Gトリップ情報を出力するか否かを判断する。保護制御装置107は比率差動継電演算(B87G、B87S)を行う演算部を備え、B87G・B87Sトリップ情報を出力するか否かを判断する。
【0034】
上述のトリップ情報とは、メイントリップ情報(87トリップ情報、44・51Gトリップ情報、B87G・B87Sトリップ情報)またはFDトリップ情報(27Fトリップ情報、51DF・64Fトリップ情報、27F・64Fトリップ情報)を指し、以降も同様の表現を用いる。
【0035】
次に、MU101の構成について図3を用いて説明する。図3は、MU101の構成を示す機能ブロック図である。
【0036】
MU101の構成は、入力変換器301、アナログフィルタ302、AD変換器303、送信処理部304、伝送処理部305、受信処理部306、およびトリップ指令出力部307を備える。
【0037】
入力変換器301は、図示しないCT・VTおよびアナログフィルタ302に接続しており、CT・VTにより測定された電力系統の電気量を取得し、アナログフィルタ302に出力する。
【0038】
アナログフィルタ302は、入力変換器301およびAD変換器303に接続しており、入力変換器301から取得した電気量のノイズや高調波成分を除去し、AD変換器303に出力する。
【0039】
AD変換器303は、アナログフィルタ302および送信処理部304に接続しており、アナログフィルタ302から取得したアナログデータの電気量をディジタル化し、電気量情報として送信処理部304に出力する。
【0040】
送信処理部304は、AD変換器303および伝送処理部305に接続しており、AD変換器303から取得したディジタルデータの電気量情報を変換し、伝送処理部305に出力する。ここでの変換は、電気量情報をプロセスバス103を用いて伝送可能な形式に変換している。
【0041】
伝送処理部305は、送信処理部304、受信処理部306、プロセスバス103と接続しており、送信処理部304から取得した電気量情報をプロセスバス103に出力する。また、プロセスバス103から取得したトリップ情報を取得し、受信処理部306に出力する。
【0042】
受信処理部306は、伝送処理部305とトリップ指令出力部307に接続しており、伝送処理部305から取得したトリップ情報を変換し、トリップ指令出力部307に出力する。
【0043】
トリップ指令出力部307は、トリップ回路にて構成される。また、このトリップ指令出力部307は、受信処理部306と図示しない遮断器に接続しており、受信処理部306から取得したトリップ情報に基づいて、図示しない遮断器を開放するか否かを判断する。ここで、遮断器を開放すると判断した場合は、トリップ指令を遮断器に対して出力する。
【0044】
このトリップ指令出力部307がトリップ情報に基づいて、遮断器を開放するか否かを判断する際のトリップについて図4を用いて説明する。図4は、トリップ指令出力部307の制御ロジック構成を示す。
【0045】
このトリップ指令出力部307の制御ロジック構成は、ANDゲート401〜403を備える。このトリップ指令出力部307は、取得したメイントリップ情報の事故検出リレーに対応するFDトリップ情報を取得した場合に、前記遮断器または前記開閉器を開放すると判断する。つまり、87トリップ情報および27Fトリップ情報を受信した場合、PCMトリップ指令を出力する。44・51Gトリップ情報および51DF・64Fトリップ情報を受信した場合、DZトリップ指令を出力する。B87G・B87Sトリップ情報および27F・64Fトリップ情報を受信した場合、BPトリップ指令を出力する。
【0046】
(作用)
次に、保護制御システム100を構成している、MU101および保護制御装置105〜108の動作について図5乃至図7を用いて説明する。
【0047】
まず、MU101がCT・VTから電気量を取得して、プロセスバス103を介して保護制御装置105〜108に対して電気量情報を出力するまでの動作について図5を用いて説明する。図5は、MU101の動作を示すフローチャートであり、以下のステップを備える。
【0048】
・入力変換器301が、図示しないCT・VTから電気量を取得するステップ(S501)。
【0049】
・アナログフィルタ302が、入力変換器301から取得した電気量からノイズおよび高調波成分を除去するステップ(S502)。
【0050】
・AD変換器303が、アナログフィルタ302から取得した電気量を、電気量情報にディジタル変換するステップ(S503)。
【0051】
・送信処理部304が、AD変換器303から取得した電気量情報を、伝送可能な形式に変換するステップ(S504)。
【0052】
・伝送処理部305が、送信処理部304から取得した電気量情報をプロセスバス103に出力するステップ(S505)。
【0053】
次に、保護制御装置105〜108がプロセスバス103を介してMU101から電気量情報を取得して、保護対象区間の系統事故が発生しているか否かを判断し、系統事故が発生していると判断した場合にプロセスバス104を介してMU101に対してトリップ情報を出力するまでの動作について図6を用いて説明する。図6は、保護制御装置108の動作を示すフローチャートであり、以下のステップを備える。
【0054】
・伝送処理部201が、プロセスバス103から電気量情報を取得するステップ(S601)。
【0055】
・受信処理部202が、伝送処理部201から取得した電気量情報をリレー演算可能な形式に変換するステップ(S602)。
【0056】
・リレー演算部203を構成する27F演算部204、51DF・64F演算部205、および27F・64F演算部206が、受信処理部202から取得した電気量情報および各々のリレー特性に基づいて、保護対象区間に系統事故が発生しているか否かを判断するステップ(S603)。ここで、系統事故が発生していないと判断した場合(S603のNO)、フローを終了する。
【0057】
・保護対象区間に系統事故が発生しているか否かを判断するステップ(S603)により、系統事故が発生していると判断された場合(S603のYES)、リレー演算部203が送信処理部207にFDトリップ情報を出力し、送信処理部207が、リレー演算部203から取得したFDトリップ情報を伝送可能な形式に変換するステップ(S604)。
【0058】
・伝送処理部201が、送信処理部207から取得したFDトリップ情報をプロセスバス103に出力するステップ(S605)。
【0059】
ここでは、保護制御装置108の動作について説明したが、保護制御装置105〜107の動作は、FDトリップ情報を出力するか否かを判断するステップ(S603)において、単数のリレー演算部が夫々のリレー特性に応じた1種類のメイントリップ情報を出力する点が異なる。
【0060】
次に、MU101がプロセスバス103を介して保護制御装置105〜108からトリップ情報を取得して、遮断器を開放するか否かを判断し、開放すると判断した場合に遮断器に対してトリップ指令を出力するまでの動作について図7を用いて説明する。図7は、MU101の動作を示すフローチャートであり、以下のステップを備える。
【0061】
・伝送処理部305が、プロセスバス103からトリップ情報を取得するステップ(S701)
・受信処理部306が、伝送処理部305からトリップ情報を取得し、トリップ指令出力部307がトリップ指令を出力するか否かを判断可能な形式に変換するステップ(S702)
・トリップ指令出力部307が、受信処理部306から取得したトリップ情報と制御ロジック構成に基づいて、遮断器を開放するか否かを判断するステップ(S703)。遮断器を開放しないと判断した場合(S703のNO)、フローを終了する。
【0062】
・遮断器を開放するか否かを判断するステップ(S703)により、遮断器を開放すると判断された場合(S703のYES)、トリップ指令出力部307がトリップ指令を図示しない遮断器に対して出力するステップ(S704)。
【0063】
(効果)
従来の保護制御システムでは、保護制御装置夫々について、メインとFDを備えていたため、同一のプロセスバスに接続する保護制御装置の台数の2倍のリレーハードウェアが必要であるため、複雑な電力系統に適応される保護制御システムにおいては、ハードウェア量が増大し、コストを増加させる原因になっていた。しかし、本実施形態の保護制御システム100によれば、同一のプロセスバス103に接続する保護制御装置105〜107のFDとして、単数の保護制御装置108を備えることによって、ハードウェア量を削減できる。
【0064】
なお、本実施形態において、保護制御装置105〜107は、一例として送電線保護(PCM、DZ)および母線保護を責務としていたが、変圧器保護の保護制御装置を用いても良い。また、本実施形態で記したリレー特性はあくまで一例であり、キルヒホッフの法則に基づいて各回線の電流バランスを監視する電流平衡保護制御装置等でも良い。
【0065】
また、母線保護の保護制御装置においては、メインおよびFDのリレーを備えることを前提としていない。つまり、母線の分割遮断を判断する保護制御装置と、母線の一括遮断を判断する保護制御装置とに分け、母線の一括遮断を判断する保護制御装置の機能を、FDの機能を集約した保護制御装置(今回の保護制御装置108)に実装しても良い。
【0066】
さらに、本実施形態のMU101のトリップ指令出力部307の制御ロジック構成を図4に示したが、図8に示す制御ロジック構成としても良い。この制御ロジック構成は、ORゲート801、ANDゲート802〜804を備える。27Fトリップ情報、51DF・64Fトリップ情報、および27F・64Fトリップ情報の何れかと、87トリップ情報を受信した場合に、PCMトリップ指令を出力する。27Fトリップ情報、51DF・64Fトリップ情報、および27F・64Fトリップ情報の何れかと、44・51Gトリップ情報を受信した場合、DZトリップ指令を出力する。27Fトリップ情報、51DF・64Fトリップ情報、および27F・64Fトリップ情報の何れかと、B87G・B87Sトリップ情報を受信した場合、BPトリップ指令を出力する。
【0067】
上述したような図8に示す制御ロジック構成とすることによって、図4の制御ロジック構成よりも、トリップ指令出力部307が備えるトリップ回路の接点ハードウェアを削減することができる。
【0068】
また、本実施形態ではMU101、プロセスバス103を備えた一例を示しているが、保護制御装置105〜108は、予備MUに予備プロセスバスを介して接続しても良い。ここで、MU101またはプロセスバス103の障害を検出すると、予備MUに切り替える。このように予備MUおよび予備プロセスバスを備えて冗長化を図ることにより、さらに安定した電力系統の運用が可能となる。
【0069】
上述した予備MUの状態は、ホットスタンバイ状態、ウォームスタンバイ状態、またはコールドスタンバイ状態が考えられる。
【0070】
ホットスタンバイ状態とは、予備MUがMU101の正常時と同様の動作を行う状態を示す。つまり、予備MUもMU101と同様に、電力系統に設置されたCT・VTからの電気量を検出し、電気量情報を保護制御装置105〜108に出力する。障害の無い正常時、保護制御装置105〜108は、予備MUから取得した電気量情報を破棄する。障害発生時、保護制御装置105〜108は、予備MUから取得した電気量情報に基づいてトリップ情報を出力するか否かを判断する。
【0071】
ウォームスタンバイ状態とは、予備MUが起動はしているが、電気量情報を出力するためのアプリケーションは起動していない状態を示す。障害の無い正常時、予備MUは、電気量情報を出力しておらず、保護制御装置105〜108はMU101から取得した電気量情報に基づいてトリップ情報を出力するか否かを判断する。障害発生時、予備MUは、電気量情報を出力するアプリケーションを起動し、予備プロセスバスを介して保護制御装置105〜108に出力し、保護制御装置105〜108は、予備MUから取得した電気量情報に基づいてトリップ情報を出力するか否かを判断する。
【0072】
コールドスタンバイ状態とは、予備MUは起動していない状態を示す。障害の無い正常時は、予備MUは、起動していない。障害発生時、予備MUは、起動後に予備プロセスバスを介して保護制御装置105〜108に電気量情報を出力し、保護制御装置105〜108は、予備MUから取得した電気量情報に基づいてトリップ情報を出力するか否かを判断する。
【0073】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の保護制御システム100について図9を用いて説明するが、本実施形態が第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。本実施形態の構成が第1の実施形態と異なる点は、MU102およびプロセスバス104をさらに備え、保護制御装置108が保護制御装置108−2に代替した点が異なる。
【0074】
MU102は、MU101と同様の機能および構成を備え、プロセスバス104は、プロセスバス103と同様の機能および構成を備える。また、保護制御装置105〜107、108−2は、プロセスバス103および104に接続している。
【0075】
保護制御装置108−2は、CPU、メモリ、等を備えるコンピュータにより構成さる。第1の実施形態の保護制御装置108と異なる点は、プロセスバス103に加えてプロセスバス104にも接続し、MU102からプロセスバス104を介して電気量情報を取得する点である。さらに、この電気量情報に基づいて、図示しない遮断器を開放するか否かを判断する。遮断器を開放すると判断した場合、FDトリップ情報をプロセスバス103に出力する。
【0076】
この保護制御装置108−2について、図10を用いて説明する。図10は、保護制御装置108−2の構成を示す機能ブロック図である。
【0077】
保護制御装置108−2が、第1の実施形態の保護制御装置108と異なる点は、伝送処理部201に代えて、伝送処理部208、209を備える点である。
【0078】
伝送処理部208は、プロセスバス104および受信処理部202に接続し、プロセスバス104を介してMU102から出力された電気量情報を取得し、受信処理部202に出力する。
【0079】
伝送処理部209は、送信処理部207およびプロセスバス103に接続し、送信処理部207から出力されたFDトリップ情報を、プロセスバス103を介してMU101に出力する。
【0080】
本実施形態の保護制御システム100によれば、第1の実施形態の効果に加え、MU101、102、プロセスバス103、104を冗長化して設けることにより、いずれかの機器に不良が発生した場合、正常な機器に代替することが可能となる。したがって、信頼性の高い電力系統の運用が可能となる。
【0081】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の保護制御システム100について図11を用いて説明するが、本実施形態が第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。本実施形態の構成が第1の実施形態と異なる点は、MU102およびプロセスバス104をさらに備え、保護制御装置108が保護制御装置108−3に代替した点が異なる。さらに、MU101とMU102がケーブル109により接続している。
【0082】
MU102は、MU101と同様の機能および構成を備え、プロセスバス104は、プロセスバス103と同様の機能および構成を備える。また、保護制御装置105〜108は、プロセスバス103および104に接続している。
【0083】
保護制御装置108−3は、第1の実施形態の保護制御装置108とほぼ同様の構成であるが、プロセスバス104を介して電気量情報を取得し、プロセスバス104を介してFDトリップ情報をMU102に出力する点が異なる。
【0084】
ケーブル109は、メタルケーブル等により実現され、MU101およびMU102と接続する。したがって、MU101のトリップ指令出力部307を構成するトリップ回路と、MU102のトリップ指令出力部を構成するトリップ回路とを接続することにより、MU102で取得したトリップ情報をMU101に受け渡す。
【0085】
つまり、MU101は、プロセスバス103から取得したメイントリップ情報(87トリップ情報、44・51Gトリップ情報、およびB87G・B87Sトリップ情報)とMU102からケーブル109を介して取得したFDトリップ情報(27Fトリップ情報、51DF・64Fトリップ情報、および27F・64Fトリップ情報)とに基づいて、図4または図8に示す制御ロジック構成からトリップ指令を出力するか否かを判断する。
【0086】
本実施形態の保護制御システム100によれば、第1の実施形態の効果に加え、MU101、102、プロセスバス103、104を冗長化して設けることにより、いずれかの機器に不良が発生した場合、正常な機器に代替することが可能となる。したがって、信頼性の高い電力系統の運用が可能となる。
【0087】
本発明に係る実施形態によれば、プロセスバスを適用した保護制御システムにおけるハードウェア量を抑えた、保護制御システム、保護制御装置、およびマージングユニットを提供することが可能となる。
【0088】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
100…保護制御システム
101、102…マージングユニット(MU)
103、104…プロセスバス
105〜108、105−2〜108−2、105−3〜108−3…保護制御装置
109…ケーブル
201、208、209…伝送処理部
202…受信処理部
203…リレー演算部
204…27F演算部
205…51DF・64F演算部
206…27F・64F演算部
207…送信処理部
301…入力変換器
302…アナログフィルタ
303…AD変換器
304…送信処理部
305…伝送処理部
306…受信処理部
307…トリップ指令出力部
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、保護制御システム、保護制御装置、およびマージングユニット
に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力系統の保護制御には保護制御装置が用いられている。この保護制御装置は、電力系統の電気量に基づいて、電力系統内に事故が発生したと判断した場合、遮断器を開放するなどの制御を行っている。
【0003】
また、保護制御装置のハードウェアおよびソフトウェアの一部に不良が発生した場合にも、保護制御装置が遮断器に対して誤った制御を行わないように、2以上のハードウェアを用いて保護制御動作を行うように冗長化されている。冗長化された保護制御装置は、主検出リレー(以下、メインと呼ぶ)と事故検出リレー(以下、FDと呼ぶ)と呼ばれ、夫々別のハードウェアで構成することによって、一方のハードウェアに不良が発生した場合にも、誤った制御(誤動作)することなく、適正な電力系統の保護制御を実現している。
【0004】
さらに近年、電力系統に設置された変流器(以下、CTと呼ぶ)および計器用変圧器(以下、VTと呼ぶ)の電気量を検出するマージングユニット(以下、MUと呼ぶ)と、検出された電気量に基づいて事故の有無を判断する保護制御装置とを、プロセスバスと呼ばれるネットワークで接続する保護制御システムが考えられている。ここで、MUは電気量を検出し、プロセスバスを介して電気量情報を保護制御装置に伝送する。また、保護制御装置は、プロセスバスを介してMUから電気量情報を受信し、受信した電気量情報に基づいて保護対象区間に系統事故が発生したか否かを判断する。
【0005】
ここで、MUは保護制御装置により系統事故が発生したと判断された場合、接続する遮断器または開閉器を開放する。この従来のMUはトリップ回路等を備えず、遮断器または開閉器を開放するか否かの判断は、保護制御装置の判断に依存している。
【0006】
上述したプロセスバスを適用した保護制御システムの保護制御装置においても、別々のハードウェアにて構成されるメインとFDとを備え、冗長化することが求められている。しかし、プロセスバスに対して複数の保護制御装置が接続された場合、夫々の保護制御装置で冗長化するため、ハードウェアおよびコストが増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3907998号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の実施形態は、プロセスバスを適用した保護制御システムにおけるハードウェア量を抑えた、保護制御システム、保護制御装置、およびマージングユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態における保護制御システムは、電力系統に設置された変成器から電気量を取得し、取得した電気量をディジタル変換し、第一の電気量情報として第一のネットワークに出力する第一のマージングユニットと、前記第一のマージングユニットから、前記第一のネットワークを介して前記第一の電気量情報を取得し、予め決められたリレー特性に基づいて、前記電力系統の保護対象区間の系統事故が発生しているか否かを判断し、系統事故が発生していると判断した場合、メイントリップ情報を前記第一のネットワークに出力する複数の第一の保護制御装置と、前記第一のマージングユニットから、前記第一のネットワークを介して前記電気量情報を取得し、前記第一の保護制御装置夫々の事故検出リレーとして予め決められた複数のリレー特性に基づいて、保護対象区間の系統事故が発生しているか否かを判断し、系統事故が発生していると判断した場合、FDトリップ情報を前記第一のネットワークに出力する第二の保護制御装置と、を備える。
【0010】
また、前記第一のマージングユニットは、前記第一の保護制御装置から出力された前記メイントリップ情報と、前記第二の保護制御装置から出力された前記FDトリップ情報とに基づいて、電力系統に設置された遮断器または開閉器の開閉を判断する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態の保護制御システム100の構成を示す図。
【図2】第1の実施形態の保護制御装置108の構成を示す機能ブロック図。
【図3】第1の実施形態のMU101の構成を示す機能ブロック図。
【図4】第1の実施形態のトリップ指令出力部307の制御ロジック構成を示す図。
【図5】第1の実施形態のMU101の電気量情報を出力する動作を示すフローチャート。
【図6】第1の実施形態の保護制御装置108のトリップ情報を出力する動作を示すフローチャート。
【図7】第1の実施形態のMU101のトリップ指令を出力する動作を示すフローチャート。
【図8】第1の実施形態のトリップ指令出力部307の制御ロジック構成の一例を示す図。
【図9】第2の実施形態の保護制御システム100の構成を示す図。
【図10】第2の実施形態の保護制御装置108−2の構成を示す機能ブロック図。
【図11】第3の実施形態の保護制御システム100の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態の保護制御装置および保護制御システムについて図面を用いて説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の保護制御システムの構成について図1を用いて説明する。図1は、保護制御システム100の構成を示す図である。
【0014】
保護制御システム100は、MU101、プロセスバス103、保護制御装置105〜108を備える。
【0015】
MU101は、電力系統に設置された図示しないCTおよびVTの電気量を検出し、電気量情報としてプロセスバス103に出力する。また、プロセスバス103からトリップ情報を受信し、トリップ条件が成立した場合に図示しない遮断器を開放するためのトリップ指令を出力する。ここでのトリップ情報の詳細な説明は下述するが、トリップ情報は、87トリップ情報、44・51Gトリップ情報、B87G・B87Sトリップ、27Fトリップ情報、51DF・64Fトリップ情報、および27F・64Fトリップ情報を示す。
【0016】
プロセスバス103は、MU101と保護制御装置105〜108に接続しており、MU101および保護制御装置105〜108の相互の情報伝送を実現する。
【0017】
保護制御装置105は、CPU、メモリ、等を備えるコンピュータにより構成され、プロセスバス103に接続する。MU101からプロセスバス103を介して受信した電気量情報に基づいて、保護対象区間の系統事故を判断する。保護対象区間の系統事故が発生していると判断した場合、87トリップ情報をプロセスバス103に出力する。ここでの保護制御装置105は送電線保護を目的として保護対象区間の系統事故を判断しており、リレー特性は、電流差動継電方式(87)を用いる。
【0018】
保護制御装置106は、保護制御装置105と同様であるため、詳細な説明は省略するが、リレー特性として距離継電方式(44)および地絡過電流継電方式(51G)を用いる点が異なる。保護対象区間の系統事故が発生していると判断した場合、44・51Gトリップ情報をプロセスバス103に出力する。
【0019】
保護制御装置107は、保護制御装置105と同様であるため、詳細な説明は省略するが、保護対象が母線である点が異なり、さらにリレー特性として、比率差動継電方式(B87G、B87S)方式を用いる。保護対象区間の系統事故が発生していると判断した場合、B87G・B87Sトリップ情報をプロセスバス103に出力する。
【0020】
なお、ここで記した継電方式の末尾にはそれぞれに対応する制御器具番号を括弧書きにて記しており、以下も同様に記載する。
【0021】
保護制御装置108は、CPU、メモリ、等を備えるコンピュータにより構成され、プロセスバス103に接続する。MU101からプロセスバス103を介して受信した電気量情報に基づいて、図示しない遮断器を開放するか否かを判断する。ここで、保護制御装置108は、保護制御装置105〜107のFDとしての役割を果たし、リレー特性として、交流不足電圧継電方式(27F)、電流変化幅継電方式(51DF)、地絡過電圧継電方式(64F)を用いる。また、保護対象区間の系統事故が発生していると判断した場合、27Fトリップ情報、51DF・64Fトリップ情報、または27F・64Fトリップ情報をプロセスバス103に出力する。
【0022】
従って、保護制御装置108は、保護制御装置105〜107のFDとして動作している。保護制御装置105のFDは交流不足電圧継電方式(27F)であり、保護制御装置107のFDは、電流変化幅継電方式(51DF)および地絡過電圧継電方式(64F)であり、保護制御装置107のFDは、交流不足電圧継電方式(27F)および地絡過電圧継電方式(64F)である。
【0023】
以降、保護制御装置105〜107から出力される87トリップ情報、44・51Gトリップ情報、B87G・B87Sトリップをメイントリップ情報と呼び、保護制御装置108から出力される27Fトリップ情報、51DF・64Fトリップ情報、および27F・64Fトリップ情報をFDトリップ情報と呼ぶ。また、メイントリップ情報を出力する保護制御装置105〜107を第一の保護制御装置、FDトリップ情報を出力する保護制御装置108を第二の保護制御装置と呼ぶ。
【0024】
次に、保護制御装置108の構成について図2を用いて説明する。図2は、保護制御装置108の構成を示す機能ブロック図である。
【0025】
保護制御装置108は、伝送処理部201、受信処理部202、リレー演算部203、および送信処理部207を備える。さらに、リレー演算部203は、27F演算部204、51DF・64F演算部205、および27F・64F演算部206を備える。以降、27F演算部204、51DF・64F演算部205、および27F・64F演算部206の3つの演算部を併せて各演算部と呼ぶ。
【0026】
伝送処理部201は、プロセスバス103、受信処理部202、および送信処理部207に接続している。この伝送処理部201は、MU101からプロセスバス103を介して電気量情報を取得し、受信処理部202に出力する。また伝送処理部201は、送信処理部207から出力されたFDトリップ情報を取得し、プロセスバス103に出力する。
【0027】
受信処理部202は、伝送処理部201およびリレー演算部203と接続している。この受信処理部202は、伝送処理部201から取得した電気量情報を変換し、リレー演算部203に出力する。ここでの変換は、プロセスバス103にて伝送された電気量情報を、リレー演算部203が処理可能な形式に変換する。
【0028】
リレー演算部203は、主にCPUによって動作されるプログラムによって実現され、HDD、SSD、RAM、等の図示しない記憶媒体に保存される。リレー演算部203は、27F演算部204、51DF・64F演算部205および27F・64F演算部206から構成される。ここで、上述したように、27F演算部204は図1の保護制御装置105のFDとして機能し、51DF・64F演算部205は図1の保護制御装置106のFDとして機能し、図1の27F・64F演算部206は保護制御装置107のFDとして機能する。
【0029】
以下、各演算部について説明するが、夫々のリレー特性については従来と同様であるため、説明は省略する。
【0030】
27F演算部204は、受信処理部202から取得した電気量情報に基づいて、27Fトリップ情報を送信処理部207に対して出力するか否かを判断する。51DF・64F演算部205は、受信処理部202から取得した電気量情報に基づいて、51DF・64Fトリップ情報を送信処理部207に対して出力するか否かを判断する。27F・64F演算部206は、受信処理部202から取得した電気量情報に基づいて、27F・64Fトリップ情報を送信処理部207に対して出力するか否かを判断する。
【0031】
送信処理部207は、リレー演算部203および伝送処理部201と接続している。この送信処理部207は、リレー演算部203から取得したFDトリップ情報を変換し、伝送処理部201に出力する。ここでの変換は、リレー演算部203から取得したFDトリップ情報をプロセスバス103にて伝送可能な形式に変換する。
【0032】
なお、図1に示す保護制御装置105〜107の構成が上述した保護制御装置108の構成と異なる点は、保護制御装置108が複数の演算部を備えるのに対し、保護制御装置105〜107は、保護対象区間の系統事故を検出する単数の演算部を備える点である。
【0033】
つまり、保護制御装置105は、電流差動演算(87)を行う演算部を備え、87トリップ情報を出力するか否かを判断する。保護制御装置106は、距離継電演算(44)および地絡過電流継電演算(51G)を行う演算部を備え、44・51Gトリップ情報を出力するか否かを判断する。保護制御装置107は比率差動継電演算(B87G、B87S)を行う演算部を備え、B87G・B87Sトリップ情報を出力するか否かを判断する。
【0034】
上述のトリップ情報とは、メイントリップ情報(87トリップ情報、44・51Gトリップ情報、B87G・B87Sトリップ情報)またはFDトリップ情報(27Fトリップ情報、51DF・64Fトリップ情報、27F・64Fトリップ情報)を指し、以降も同様の表現を用いる。
【0035】
次に、MU101の構成について図3を用いて説明する。図3は、MU101の構成を示す機能ブロック図である。
【0036】
MU101の構成は、入力変換器301、アナログフィルタ302、AD変換器303、送信処理部304、伝送処理部305、受信処理部306、およびトリップ指令出力部307を備える。
【0037】
入力変換器301は、図示しないCT・VTおよびアナログフィルタ302に接続しており、CT・VTにより測定された電力系統の電気量を取得し、アナログフィルタ302に出力する。
【0038】
アナログフィルタ302は、入力変換器301およびAD変換器303に接続しており、入力変換器301から取得した電気量のノイズや高調波成分を除去し、AD変換器303に出力する。
【0039】
AD変換器303は、アナログフィルタ302および送信処理部304に接続しており、アナログフィルタ302から取得したアナログデータの電気量をディジタル化し、電気量情報として送信処理部304に出力する。
【0040】
送信処理部304は、AD変換器303および伝送処理部305に接続しており、AD変換器303から取得したディジタルデータの電気量情報を変換し、伝送処理部305に出力する。ここでの変換は、電気量情報をプロセスバス103を用いて伝送可能な形式に変換している。
【0041】
伝送処理部305は、送信処理部304、受信処理部306、プロセスバス103と接続しており、送信処理部304から取得した電気量情報をプロセスバス103に出力する。また、プロセスバス103から取得したトリップ情報を取得し、受信処理部306に出力する。
【0042】
受信処理部306は、伝送処理部305とトリップ指令出力部307に接続しており、伝送処理部305から取得したトリップ情報を変換し、トリップ指令出力部307に出力する。
【0043】
トリップ指令出力部307は、トリップ回路にて構成される。また、このトリップ指令出力部307は、受信処理部306と図示しない遮断器に接続しており、受信処理部306から取得したトリップ情報に基づいて、図示しない遮断器を開放するか否かを判断する。ここで、遮断器を開放すると判断した場合は、トリップ指令を遮断器に対して出力する。
【0044】
このトリップ指令出力部307がトリップ情報に基づいて、遮断器を開放するか否かを判断する際のトリップについて図4を用いて説明する。図4は、トリップ指令出力部307の制御ロジック構成を示す。
【0045】
このトリップ指令出力部307の制御ロジック構成は、ANDゲート401〜403を備える。このトリップ指令出力部307は、取得したメイントリップ情報の事故検出リレーに対応するFDトリップ情報を取得した場合に、前記遮断器または前記開閉器を開放すると判断する。つまり、87トリップ情報および27Fトリップ情報を受信した場合、PCMトリップ指令を出力する。44・51Gトリップ情報および51DF・64Fトリップ情報を受信した場合、DZトリップ指令を出力する。B87G・B87Sトリップ情報および27F・64Fトリップ情報を受信した場合、BPトリップ指令を出力する。
【0046】
(作用)
次に、保護制御システム100を構成している、MU101および保護制御装置105〜108の動作について図5乃至図7を用いて説明する。
【0047】
まず、MU101がCT・VTから電気量を取得して、プロセスバス103を介して保護制御装置105〜108に対して電気量情報を出力するまでの動作について図5を用いて説明する。図5は、MU101の動作を示すフローチャートであり、以下のステップを備える。
【0048】
・入力変換器301が、図示しないCT・VTから電気量を取得するステップ(S501)。
【0049】
・アナログフィルタ302が、入力変換器301から取得した電気量からノイズおよび高調波成分を除去するステップ(S502)。
【0050】
・AD変換器303が、アナログフィルタ302から取得した電気量を、電気量情報にディジタル変換するステップ(S503)。
【0051】
・送信処理部304が、AD変換器303から取得した電気量情報を、伝送可能な形式に変換するステップ(S504)。
【0052】
・伝送処理部305が、送信処理部304から取得した電気量情報をプロセスバス103に出力するステップ(S505)。
【0053】
次に、保護制御装置105〜108がプロセスバス103を介してMU101から電気量情報を取得して、保護対象区間の系統事故が発生しているか否かを判断し、系統事故が発生していると判断した場合にプロセスバス104を介してMU101に対してトリップ情報を出力するまでの動作について図6を用いて説明する。図6は、保護制御装置108の動作を示すフローチャートであり、以下のステップを備える。
【0054】
・伝送処理部201が、プロセスバス103から電気量情報を取得するステップ(S601)。
【0055】
・受信処理部202が、伝送処理部201から取得した電気量情報をリレー演算可能な形式に変換するステップ(S602)。
【0056】
・リレー演算部203を構成する27F演算部204、51DF・64F演算部205、および27F・64F演算部206が、受信処理部202から取得した電気量情報および各々のリレー特性に基づいて、保護対象区間に系統事故が発生しているか否かを判断するステップ(S603)。ここで、系統事故が発生していないと判断した場合(S603のNO)、フローを終了する。
【0057】
・保護対象区間に系統事故が発生しているか否かを判断するステップ(S603)により、系統事故が発生していると判断された場合(S603のYES)、リレー演算部203が送信処理部207にFDトリップ情報を出力し、送信処理部207が、リレー演算部203から取得したFDトリップ情報を伝送可能な形式に変換するステップ(S604)。
【0058】
・伝送処理部201が、送信処理部207から取得したFDトリップ情報をプロセスバス103に出力するステップ(S605)。
【0059】
ここでは、保護制御装置108の動作について説明したが、保護制御装置105〜107の動作は、FDトリップ情報を出力するか否かを判断するステップ(S603)において、単数のリレー演算部が夫々のリレー特性に応じた1種類のメイントリップ情報を出力する点が異なる。
【0060】
次に、MU101がプロセスバス103を介して保護制御装置105〜108からトリップ情報を取得して、遮断器を開放するか否かを判断し、開放すると判断した場合に遮断器に対してトリップ指令を出力するまでの動作について図7を用いて説明する。図7は、MU101の動作を示すフローチャートであり、以下のステップを備える。
【0061】
・伝送処理部305が、プロセスバス103からトリップ情報を取得するステップ(S701)
・受信処理部306が、伝送処理部305からトリップ情報を取得し、トリップ指令出力部307がトリップ指令を出力するか否かを判断可能な形式に変換するステップ(S702)
・トリップ指令出力部307が、受信処理部306から取得したトリップ情報と制御ロジック構成に基づいて、遮断器を開放するか否かを判断するステップ(S703)。遮断器を開放しないと判断した場合(S703のNO)、フローを終了する。
【0062】
・遮断器を開放するか否かを判断するステップ(S703)により、遮断器を開放すると判断された場合(S703のYES)、トリップ指令出力部307がトリップ指令を図示しない遮断器に対して出力するステップ(S704)。
【0063】
(効果)
従来の保護制御システムでは、保護制御装置夫々について、メインとFDを備えていたため、同一のプロセスバスに接続する保護制御装置の台数の2倍のリレーハードウェアが必要であるため、複雑な電力系統に適応される保護制御システムにおいては、ハードウェア量が増大し、コストを増加させる原因になっていた。しかし、本実施形態の保護制御システム100によれば、同一のプロセスバス103に接続する保護制御装置105〜107のFDとして、単数の保護制御装置108を備えることによって、ハードウェア量を削減できる。
【0064】
なお、本実施形態において、保護制御装置105〜107は、一例として送電線保護(PCM、DZ)および母線保護を責務としていたが、変圧器保護の保護制御装置を用いても良い。また、本実施形態で記したリレー特性はあくまで一例であり、キルヒホッフの法則に基づいて各回線の電流バランスを監視する電流平衡保護制御装置等でも良い。
【0065】
また、母線保護の保護制御装置においては、メインおよびFDのリレーを備えることを前提としていない。つまり、母線の分割遮断を判断する保護制御装置と、母線の一括遮断を判断する保護制御装置とに分け、母線の一括遮断を判断する保護制御装置の機能を、FDの機能を集約した保護制御装置(今回の保護制御装置108)に実装しても良い。
【0066】
さらに、本実施形態のMU101のトリップ指令出力部307の制御ロジック構成を図4に示したが、図8に示す制御ロジック構成としても良い。この制御ロジック構成は、ORゲート801、ANDゲート802〜804を備える。27Fトリップ情報、51DF・64Fトリップ情報、および27F・64Fトリップ情報の何れかと、87トリップ情報を受信した場合に、PCMトリップ指令を出力する。27Fトリップ情報、51DF・64Fトリップ情報、および27F・64Fトリップ情報の何れかと、44・51Gトリップ情報を受信した場合、DZトリップ指令を出力する。27Fトリップ情報、51DF・64Fトリップ情報、および27F・64Fトリップ情報の何れかと、B87G・B87Sトリップ情報を受信した場合、BPトリップ指令を出力する。
【0067】
上述したような図8に示す制御ロジック構成とすることによって、図4の制御ロジック構成よりも、トリップ指令出力部307が備えるトリップ回路の接点ハードウェアを削減することができる。
【0068】
また、本実施形態ではMU101、プロセスバス103を備えた一例を示しているが、保護制御装置105〜108は、予備MUに予備プロセスバスを介して接続しても良い。ここで、MU101またはプロセスバス103の障害を検出すると、予備MUに切り替える。このように予備MUおよび予備プロセスバスを備えて冗長化を図ることにより、さらに安定した電力系統の運用が可能となる。
【0069】
上述した予備MUの状態は、ホットスタンバイ状態、ウォームスタンバイ状態、またはコールドスタンバイ状態が考えられる。
【0070】
ホットスタンバイ状態とは、予備MUがMU101の正常時と同様の動作を行う状態を示す。つまり、予備MUもMU101と同様に、電力系統に設置されたCT・VTからの電気量を検出し、電気量情報を保護制御装置105〜108に出力する。障害の無い正常時、保護制御装置105〜108は、予備MUから取得した電気量情報を破棄する。障害発生時、保護制御装置105〜108は、予備MUから取得した電気量情報に基づいてトリップ情報を出力するか否かを判断する。
【0071】
ウォームスタンバイ状態とは、予備MUが起動はしているが、電気量情報を出力するためのアプリケーションは起動していない状態を示す。障害の無い正常時、予備MUは、電気量情報を出力しておらず、保護制御装置105〜108はMU101から取得した電気量情報に基づいてトリップ情報を出力するか否かを判断する。障害発生時、予備MUは、電気量情報を出力するアプリケーションを起動し、予備プロセスバスを介して保護制御装置105〜108に出力し、保護制御装置105〜108は、予備MUから取得した電気量情報に基づいてトリップ情報を出力するか否かを判断する。
【0072】
コールドスタンバイ状態とは、予備MUは起動していない状態を示す。障害の無い正常時は、予備MUは、起動していない。障害発生時、予備MUは、起動後に予備プロセスバスを介して保護制御装置105〜108に電気量情報を出力し、保護制御装置105〜108は、予備MUから取得した電気量情報に基づいてトリップ情報を出力するか否かを判断する。
【0073】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の保護制御システム100について図9を用いて説明するが、本実施形態が第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。本実施形態の構成が第1の実施形態と異なる点は、MU102およびプロセスバス104をさらに備え、保護制御装置108が保護制御装置108−2に代替した点が異なる。
【0074】
MU102は、MU101と同様の機能および構成を備え、プロセスバス104は、プロセスバス103と同様の機能および構成を備える。また、保護制御装置105〜107、108−2は、プロセスバス103および104に接続している。
【0075】
保護制御装置108−2は、CPU、メモリ、等を備えるコンピュータにより構成さる。第1の実施形態の保護制御装置108と異なる点は、プロセスバス103に加えてプロセスバス104にも接続し、MU102からプロセスバス104を介して電気量情報を取得する点である。さらに、この電気量情報に基づいて、図示しない遮断器を開放するか否かを判断する。遮断器を開放すると判断した場合、FDトリップ情報をプロセスバス103に出力する。
【0076】
この保護制御装置108−2について、図10を用いて説明する。図10は、保護制御装置108−2の構成を示す機能ブロック図である。
【0077】
保護制御装置108−2が、第1の実施形態の保護制御装置108と異なる点は、伝送処理部201に代えて、伝送処理部208、209を備える点である。
【0078】
伝送処理部208は、プロセスバス104および受信処理部202に接続し、プロセスバス104を介してMU102から出力された電気量情報を取得し、受信処理部202に出力する。
【0079】
伝送処理部209は、送信処理部207およびプロセスバス103に接続し、送信処理部207から出力されたFDトリップ情報を、プロセスバス103を介してMU101に出力する。
【0080】
本実施形態の保護制御システム100によれば、第1の実施形態の効果に加え、MU101、102、プロセスバス103、104を冗長化して設けることにより、いずれかの機器に不良が発生した場合、正常な機器に代替することが可能となる。したがって、信頼性の高い電力系統の運用が可能となる。
【0081】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の保護制御システム100について図11を用いて説明するが、本実施形態が第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。本実施形態の構成が第1の実施形態と異なる点は、MU102およびプロセスバス104をさらに備え、保護制御装置108が保護制御装置108−3に代替した点が異なる。さらに、MU101とMU102がケーブル109により接続している。
【0082】
MU102は、MU101と同様の機能および構成を備え、プロセスバス104は、プロセスバス103と同様の機能および構成を備える。また、保護制御装置105〜108は、プロセスバス103および104に接続している。
【0083】
保護制御装置108−3は、第1の実施形態の保護制御装置108とほぼ同様の構成であるが、プロセスバス104を介して電気量情報を取得し、プロセスバス104を介してFDトリップ情報をMU102に出力する点が異なる。
【0084】
ケーブル109は、メタルケーブル等により実現され、MU101およびMU102と接続する。したがって、MU101のトリップ指令出力部307を構成するトリップ回路と、MU102のトリップ指令出力部を構成するトリップ回路とを接続することにより、MU102で取得したトリップ情報をMU101に受け渡す。
【0085】
つまり、MU101は、プロセスバス103から取得したメイントリップ情報(87トリップ情報、44・51Gトリップ情報、およびB87G・B87Sトリップ情報)とMU102からケーブル109を介して取得したFDトリップ情報(27Fトリップ情報、51DF・64Fトリップ情報、および27F・64Fトリップ情報)とに基づいて、図4または図8に示す制御ロジック構成からトリップ指令を出力するか否かを判断する。
【0086】
本実施形態の保護制御システム100によれば、第1の実施形態の効果に加え、MU101、102、プロセスバス103、104を冗長化して設けることにより、いずれかの機器に不良が発生した場合、正常な機器に代替することが可能となる。したがって、信頼性の高い電力系統の運用が可能となる。
【0087】
本発明に係る実施形態によれば、プロセスバスを適用した保護制御システムにおけるハードウェア量を抑えた、保護制御システム、保護制御装置、およびマージングユニットを提供することが可能となる。
【0088】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
100…保護制御システム
101、102…マージングユニット(MU)
103、104…プロセスバス
105〜108、105−2〜108−2、105−3〜108−3…保護制御装置
109…ケーブル
201、208、209…伝送処理部
202…受信処理部
203…リレー演算部
204…27F演算部
205…51DF・64F演算部
206…27F・64F演算部
207…送信処理部
301…入力変換器
302…アナログフィルタ
303…AD変換器
304…送信処理部
305…伝送処理部
306…受信処理部
307…トリップ指令出力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統に設置された変成器から電気量を取得し、取得した前記電気量をディジタル変換し、第一の電気量情報として第一のネットワークに出力する第一のマージングユニットと、
前記第一のマージングユニットから、前記第一のネットワークを介して前記第一の電気量情報を取得し、予め決められたリレー特性に基づいて、前記電力系統の保護対象区間に系統事故が発生しているか否かを判断し、系統事故が発生していると判断した場合、メイントリップ情報を前記第一のネットワークに出力する複数の第一の保護制御装置と、
前記第一のマージングユニットから、前記第一のネットワークを介して前記第一の電気量情報を取得し、前記第一の保護制御装置夫々の事故検出リレーとして予め決められた複数のリレー特性に基づいて、前記電力系統の保護対象区間に系統事故が発生しているか否かを判断し、系統事故が発生していると判断した場合、FDトリップ情報を前記第一のネットワークに出力する第二の保護制御装置と、を備え、
前記第一のマージングユニットは、前記メイントリップ情報および前記FDトリップ情報に基づいて、前記電力系統に設置された遮断器または開閉器の開閉を判断する保護制御システム。
【請求項2】
電力系統に設置された変成器から電気量を取得し、取得した電気量をディジタル変換し、第一の電気量情報として第一のネットワークに出力する第一のマージングユニットと、
電力系統に設置された変成器から電気量を取得し、取得した電気量をディジタル変換し、第二の電気量情報として第二のネットワークに出力する第二のマージングユニットと、
前記第一のマージングユニットから、前記第一のネットワークを介して前記第一の電気量情報を取得し、予め決められたリレー特性に基づいて、前記電力系統の保護対象区間に系統事故が発生しているか否かを判断し、系統事故が発生していると判断した場合、メイントリップ情報を前記第一のネットワークに出力する第一の保護制御装置と、
前記第二のマージングユニットから、前記第二のネットワークを介して前記第二の電気量情報を取得し、前記第一の保護制御装置夫々の事故検出リレーとして予め決められた複数のリレー特性に基づいて、前記電力系統の保護対象区間に系統事故が発生しているか否かを判断し、系統事故が発生していると判断した場合、FDトリップ情報を前記第一のネットワークに出力する第二の保護制御装置と、を備え、
前記第一のマージングユニットは、前記メイントリップ情報および前記FDトリップ情報に基づいて、電力系統に設置された遮断器または開閉器の開閉を判断する保護制御システム。
【請求項3】
電力系統に設置された変成器から電気量を取得し、取得した電気量をディジタル変換し、第一の電気量情報として第一のネットワークに出力する第一のマージングユニットと、
電力系統に設置された変成器から電気量を取得し、取得した電気量をディジタル変換し、前記第一の電気量情報と異なる第二の電気量情報として第二のネットワークに出力する第二のマージングユニットと、
前記第一のマージングユニットから、前記第一のネットワークを介して前記第一の電気量情報を取得し、予め決められたリレー特性に基づいて、前記電力系統の保護対象区間の系統事故が発生しているか否かを判断し、系統事故が発生していると判断した場合、メイントリップ情報を前記第一のネットワークに出力する複数の第一の保護制御装置と、
前記第二のマージングユニットから、前記第二のネットワークを介して前記電気量情報を取得し、前記第一の保護制御装置夫々の事故検出リレーとして予め決められた複数のリレー特性に基づいて、前記電力系統の保護対象区間の系統事故が発生しているか否かを判断し、系統事故が発生していると判断した場合、FDトリップ情報を前記第二のネットワークに出力する第二の保護制御装置と、
前記第一のマージングユニットと前記第二のマージングユニットとを接続するケーブルと、 を備え、
前記第一のマージングユニットは、前記第一の保護制御装置から出力された前記メイントリップ情報と、前記第二の保護制御装置から前記ケーブルを介して出力された前記FDトリップ情報とに基づいて、電力系統に設置された遮断器または開閉器の開閉を判断する保護制御システム。
【請求項4】
前記第一のマージングユニットは、前記メイントリップ情報および前記FDトリップ情報を取得し、前記FDトリップ情報が前記メイントリップ情報の事故検出リレーに対応するリレー特性に基づいて出力された場合に、前記遮断器または前記開閉器を開放すると判断する
請求項1乃至3の何れか1項に記載の保護制御システム。
【請求項5】
電力系統に設置された変成器から電気量を取得し、取得した電気量をディジタル変換し、電気量情報として出力するマージングユニットから、ネットワークを介して電気量情報を受信する伝送処理部と、
前記伝送処理部から取得した前記電気量情報と、固有のリレー特性を持つ複数の第一の保護制御装置夫々の事故検出リレーとして予め決められた複数のリレー特性と、に基づいて、保護対象区間の系統事故が発生しているか否かを判断し、系統事故が発生していると判断した場合、FDトリップ情報を前記伝送処理部に出力するリレー演算部と、を備え、
前記伝送処理部は、前記リレー演算部から取得した前記FDトリップ情報を前記ネットワークに出力する保護制御装置。
【請求項6】
電力系統に設置された変成器から電気量を取得し、取得した電気量をディジタル変換し、電気量情報として出力するマージングユニットから、第一のネットワークを介して電気量情報を受信する第一の伝送処理部と、
前記電気量情報と、予め決められたリレー特性と、に基づいて、前記電力系統の保護対象区間の系統事故が発生しているか否かを判断し、系統事故が発生していると判断した場合、FDトリップ情報を出力するリレー演算部と、
前記リレー演算部から取得した前記FDトリップ情報を第二のネットワークに出力する第二の伝送処理部と、を備え、
前記リレー演算部は、前記第一のネットワークまたは前記第二のネットワークに接続する複数の保護制御装置夫々の事故検出リレーとして予め決められた複数のリレー特性に基づいて判断する保護制御装置。
【請求項7】
電力系統に設置された変成器により検出された電気量を取得する入力変換器と、
前記入力変換器が取得した前記電気量を、電気量情報としてディジタル変換するAD変換器と、
前記AD変換器から前記電気量情報を取得し、ネットワークに出力する伝送処理部と、
電力系統に設置される遮断器または開閉器を開放するか否かを判断するトリップ指令出力部と、を備え、
前記伝送処理部は、予め決められたリレー特性を持つ複数の第一の保護制御装置から出力されたメイントリップ情報と、前記第一の保護制御装置夫々の事故検出リレーとして予め決められた複数のリレー特性を持つ第二の保護制御装置から出力されたFDトリップ情報と、を取得し、
前記トリップ指令出力部は、前記メイントリップ情報および前記FDトリップ情報に基づいて、前記遮断器または前記開閉器の開閉を判断するマージングユニット。
【請求項8】
前記トリップ指令出力部は、前記伝送処理部が前記メイントリップ情報及び前記FDトリップ情報を取得し、前記FDトリップ情報が前記メイントリップ情報の事故検出リレーに対応するリレー特性に基づいて出力された場合に、前記遮断器または前記開閉器を開放すると判断する
請求項7に記載のマージングユニット。
【請求項1】
電力系統に設置された変成器から電気量を取得し、取得した前記電気量をディジタル変換し、第一の電気量情報として第一のネットワークに出力する第一のマージングユニットと、
前記第一のマージングユニットから、前記第一のネットワークを介して前記第一の電気量情報を取得し、予め決められたリレー特性に基づいて、前記電力系統の保護対象区間に系統事故が発生しているか否かを判断し、系統事故が発生していると判断した場合、メイントリップ情報を前記第一のネットワークに出力する複数の第一の保護制御装置と、
前記第一のマージングユニットから、前記第一のネットワークを介して前記第一の電気量情報を取得し、前記第一の保護制御装置夫々の事故検出リレーとして予め決められた複数のリレー特性に基づいて、前記電力系統の保護対象区間に系統事故が発生しているか否かを判断し、系統事故が発生していると判断した場合、FDトリップ情報を前記第一のネットワークに出力する第二の保護制御装置と、を備え、
前記第一のマージングユニットは、前記メイントリップ情報および前記FDトリップ情報に基づいて、前記電力系統に設置された遮断器または開閉器の開閉を判断する保護制御システム。
【請求項2】
電力系統に設置された変成器から電気量を取得し、取得した電気量をディジタル変換し、第一の電気量情報として第一のネットワークに出力する第一のマージングユニットと、
電力系統に設置された変成器から電気量を取得し、取得した電気量をディジタル変換し、第二の電気量情報として第二のネットワークに出力する第二のマージングユニットと、
前記第一のマージングユニットから、前記第一のネットワークを介して前記第一の電気量情報を取得し、予め決められたリレー特性に基づいて、前記電力系統の保護対象区間に系統事故が発生しているか否かを判断し、系統事故が発生していると判断した場合、メイントリップ情報を前記第一のネットワークに出力する第一の保護制御装置と、
前記第二のマージングユニットから、前記第二のネットワークを介して前記第二の電気量情報を取得し、前記第一の保護制御装置夫々の事故検出リレーとして予め決められた複数のリレー特性に基づいて、前記電力系統の保護対象区間に系統事故が発生しているか否かを判断し、系統事故が発生していると判断した場合、FDトリップ情報を前記第一のネットワークに出力する第二の保護制御装置と、を備え、
前記第一のマージングユニットは、前記メイントリップ情報および前記FDトリップ情報に基づいて、電力系統に設置された遮断器または開閉器の開閉を判断する保護制御システム。
【請求項3】
電力系統に設置された変成器から電気量を取得し、取得した電気量をディジタル変換し、第一の電気量情報として第一のネットワークに出力する第一のマージングユニットと、
電力系統に設置された変成器から電気量を取得し、取得した電気量をディジタル変換し、前記第一の電気量情報と異なる第二の電気量情報として第二のネットワークに出力する第二のマージングユニットと、
前記第一のマージングユニットから、前記第一のネットワークを介して前記第一の電気量情報を取得し、予め決められたリレー特性に基づいて、前記電力系統の保護対象区間の系統事故が発生しているか否かを判断し、系統事故が発生していると判断した場合、メイントリップ情報を前記第一のネットワークに出力する複数の第一の保護制御装置と、
前記第二のマージングユニットから、前記第二のネットワークを介して前記電気量情報を取得し、前記第一の保護制御装置夫々の事故検出リレーとして予め決められた複数のリレー特性に基づいて、前記電力系統の保護対象区間の系統事故が発生しているか否かを判断し、系統事故が発生していると判断した場合、FDトリップ情報を前記第二のネットワークに出力する第二の保護制御装置と、
前記第一のマージングユニットと前記第二のマージングユニットとを接続するケーブルと、 を備え、
前記第一のマージングユニットは、前記第一の保護制御装置から出力された前記メイントリップ情報と、前記第二の保護制御装置から前記ケーブルを介して出力された前記FDトリップ情報とに基づいて、電力系統に設置された遮断器または開閉器の開閉を判断する保護制御システム。
【請求項4】
前記第一のマージングユニットは、前記メイントリップ情報および前記FDトリップ情報を取得し、前記FDトリップ情報が前記メイントリップ情報の事故検出リレーに対応するリレー特性に基づいて出力された場合に、前記遮断器または前記開閉器を開放すると判断する
請求項1乃至3の何れか1項に記載の保護制御システム。
【請求項5】
電力系統に設置された変成器から電気量を取得し、取得した電気量をディジタル変換し、電気量情報として出力するマージングユニットから、ネットワークを介して電気量情報を受信する伝送処理部と、
前記伝送処理部から取得した前記電気量情報と、固有のリレー特性を持つ複数の第一の保護制御装置夫々の事故検出リレーとして予め決められた複数のリレー特性と、に基づいて、保護対象区間の系統事故が発生しているか否かを判断し、系統事故が発生していると判断した場合、FDトリップ情報を前記伝送処理部に出力するリレー演算部と、を備え、
前記伝送処理部は、前記リレー演算部から取得した前記FDトリップ情報を前記ネットワークに出力する保護制御装置。
【請求項6】
電力系統に設置された変成器から電気量を取得し、取得した電気量をディジタル変換し、電気量情報として出力するマージングユニットから、第一のネットワークを介して電気量情報を受信する第一の伝送処理部と、
前記電気量情報と、予め決められたリレー特性と、に基づいて、前記電力系統の保護対象区間の系統事故が発生しているか否かを判断し、系統事故が発生していると判断した場合、FDトリップ情報を出力するリレー演算部と、
前記リレー演算部から取得した前記FDトリップ情報を第二のネットワークに出力する第二の伝送処理部と、を備え、
前記リレー演算部は、前記第一のネットワークまたは前記第二のネットワークに接続する複数の保護制御装置夫々の事故検出リレーとして予め決められた複数のリレー特性に基づいて判断する保護制御装置。
【請求項7】
電力系統に設置された変成器により検出された電気量を取得する入力変換器と、
前記入力変換器が取得した前記電気量を、電気量情報としてディジタル変換するAD変換器と、
前記AD変換器から前記電気量情報を取得し、ネットワークに出力する伝送処理部と、
電力系統に設置される遮断器または開閉器を開放するか否かを判断するトリップ指令出力部と、を備え、
前記伝送処理部は、予め決められたリレー特性を持つ複数の第一の保護制御装置から出力されたメイントリップ情報と、前記第一の保護制御装置夫々の事故検出リレーとして予め決められた複数のリレー特性を持つ第二の保護制御装置から出力されたFDトリップ情報と、を取得し、
前記トリップ指令出力部は、前記メイントリップ情報および前記FDトリップ情報に基づいて、前記遮断器または前記開閉器の開閉を判断するマージングユニット。
【請求項8】
前記トリップ指令出力部は、前記伝送処理部が前記メイントリップ情報及び前記FDトリップ情報を取得し、前記FDトリップ情報が前記メイントリップ情報の事故検出リレーに対応するリレー特性に基づいて出力された場合に、前記遮断器または前記開閉器を開放すると判断する
請求項7に記載のマージングユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−106419(P2013−106419A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247945(P2011−247945)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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