説明

保護帽及びそのライナー用防塵カバー

【課題】ライナーから生じる塵埃を防止することができる保護帽及びそのライナー用防塵カバーを提供すること。
【解決手段】樹脂又は金属からなる帽体11と、帽体11の内部に配置される衝撃吸収用のライナー12と、ライナー12よりも頭部側に配置されるハンモック13と、装着者の頭部周囲を囲繞するヘッドバンド14とを備えた保護帽であって、ライナー12の全体を防塵カバー16にて覆うことを特徴とする保護帽。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンルームなどの清浄空間で作業する際に着用される保護帽及びそのライナー用防塵カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
クリーンルームなどの清浄な空間内では、作業者の衣類に付着している塵埃が作業対象物を汚染することを防止するために、防塵フードが使用されている。(たとえば、特許文献1参照)。
しかし、従来の防塵フードにおいては、使用者の頭部は防塵フードのフード生地で覆われているだけなので、機械装置などの狭所組立作業などで自ら頭部をその機械にぶつけることから保護することはできない。
一方、保護帽などを装着した上に、防塵フードを装着することはサイズ的に問題があり、仮に保護帽とともに防塵フードを着用できたとしても、使用者の動きによって保護帽に対して防塵フードがずれてしまい、視界を遮ったり、あるいは防塵機能が損なわれるなどの問題を生じてしまう。
上記の状況から、防塵フードを着用した上に保護帽を装着することが実用的である。
【特許文献1】特開2001−295127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、防塵フードを着用した上に保護帽を装着する場合には、帽体内に衝撃吸収用のライナーが設けられていると、このライナーとしては、発泡スチロール材が用いられているために、ハンモックなどの部材との接触や外部からの衝撃、又は経年劣化によって、ライナー材の一部が離脱することがある。
クリーンルームなどの清浄な空間内では、ライナー材の一部の離脱によっても作業対象物を汚染することがあり、ライナーから生じる塵埃を防止する必要がある。
【0004】
そこで本発明は、ライナーから生じる塵埃を防止することができる保護帽及びそのライナー用防塵カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明の保護帽は、樹脂又は金属からなる帽体と、前記帽体の内部に配置される衝撃吸収用のライナーと、前記ライナーよりも頭部側に配置されるハンモックと、装着者の頭部周囲を囲繞するヘッドバンドとを備えた保護帽であって、前記ライナーの全体を防塵カバーにて覆うことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の保護帽において、前記防塵カバーを開口部を有する袋状に構成し、前記開口部が前記ライナーを着脱可能な大きさに形成されていることを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項2に記載の保護帽において、前記防塵カバーを前記ライナーに装着した状態において、前記開口部がを対向する布片が重なり合うことで閉塞することを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項3に記載の保護帽において、前記防塵カバーを前記ライナーに装着した状態において、前記開口部を前記帽体側に配置されることを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1に記載の保護帽において、前記防塵カバーを光消臭繊維に導電糸を織り込んで構成したことを特徴とする。
請求項6記載の本発明の保護帽のライナー用防塵カバーは、樹脂又は金属からなる帽体と、前記帽体の内部に配置される衝撃吸収用のライナーと、前記ライナーよりも頭部側に配置されるハンモックと、装着者の頭部周囲を囲繞するヘッドバンドとを備えた保護帽のライナー用防塵カバーであって、前記防塵カバーを開口部を有する袋状に構成し、前記開口部が前記ライナーを着脱可能な大きさに形成され、前記防塵カバーを前記ライナーに装着した状態において、前記開口部を、対向する布片が重なり合うことで閉塞するとともに、前記帽体側に配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ライナー材の一部の離脱によって生じる塵埃を防止することができ、クリーンルームなどの清浄な空間内において使用可能な保護帽及びそのライナー用防塵カバーを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の第1の実施の形態による保護帽は、ライナーの全体を防塵カバーにて覆うものである。本実施の形態によれば、ライナー材の一部の離脱によって生じる塵埃を、防塵カバー内にとどめておくことができ、クリーンルームなどの清浄な空間内を汚染することがない。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による保護帽において、防塵カバーを開口部を有する袋状に構成し、開口部がライナーを着脱可能な大きさに形成されている。本実施の形態によれば、防塵カバーをライナーから取り外すことができ、洗濯が可能であり、新しいものに取り替えることができる。
本発明の第3の実施の形態は、第2の実施の形態による保護帽において、防塵カバーをライナーに装着した状態において、開口部を対向する布片が重なり合うことで閉塞するものである。本実施の形態によれば、開口部を布片が重なり合うことで閉塞するために、ライナー材の一部の離脱によって生じる塵埃を、防塵カバー内に確実にとどめておくことができる。
本発明の第4の実施の形態は、第3の実施の形態による保護帽において、防塵カバーをライナーに装着した状態において、開口部を帽体側に配置されるものである。本実施の形態によれば、ライナー材の一部の離脱によって生じる塵埃が開口部から外部に出ることが極めて少なくなる。
本発明の第5の実施の形態は、第1の実施の形態による保護帽において、防塵カバーを光消臭繊維に導電糸を織り込んで構成したものである。本実施の形態によれば、消臭性を高めるとともに制電性能を発揮することができる。
本発明の第6の実施の形態による保護帽のライナー用防塵カバーは、防塵カバーを開口部を有する袋状に構成し、開口部がライナーを着脱可能な大きさに形成され、防塵カバーをライナーに装着した状態において、開口部を、対向する布片が重なり合うことで閉塞するとともに、帽体側に配置するものである。本実施の形態によれば、ライナー材の一部の離脱によって生じる塵埃が開口部から外部に出ることを極めて少なくすることができる。
【実施例】
【0008】
以下本発明の実施例について図面とともに説明する。
図1は本発明の一実施例による保護帽の内部構成図、図2は同保護帽の分解構成図、図3は同保護帽に用いるライナーの斜視図、図4は同ライナーに防塵カバーを装着した状態の一部破断斜視図、図5は同ライナーに防塵カバーを装着した状態の斜視図である。
図1及び図2に示すように、保護帽10は、樹脂又は金属からなる帽体11と、この帽体11の内部に設けられた衝撃吸収用のライナー12と、このライナー12よりも頭部側に配置されるハンモック13と、装着者の頭部周囲を囲繞するヘッドバンド14と、帽体11の両側部から装着者側に延出させた顎ひも15とを備えている。ライナー12は、その全体を防塵カバー16にて覆われている。防塵カバー16は、光消臭繊維に導電糸を織り込んだ布で構成されている。ヘッドバンド14には、装着者の頭部に合わせて変更できるサイズ調整機能を備え、このサイズ調整機能は、頭部側に配置されていることが好ましい。
図3に示すように、ライナー12は、発泡スチロール材によってお椀状に形成されている。
図4及び図5に示すように、防塵カバー16は、ライナー12の凹部側の面(内周面)と凸部側の面(外周面)とを覆い、袋状に形成されている。防塵カバー16の外周面側には、ライナー12を着脱可能な大きさの開口部16Aが形成されている。開口部16Aは、防塵カバー16をライナー12に装着した状態において、対向する布片が重なり合うことで閉塞する。また、この開口部16Aは、ライナー12の外周面、すなわち帽体側に配置されている。
【0009】
以上のように本実施例によれば、開口部16Aを布片が重なり合うことで閉塞するために、ライナー12の破片など、一部の離脱によって生じる塵埃を、防塵カバー16内に確実にとどめておくことができる。
また本実施例によれば、開口部16Aを帽体側に配置することで、ライナー材12の破片が開口部16Aから外部に出ることが極めて少なくなる。
また本実施例によれば、防塵カバー16として、光消臭繊維に導電糸を織り込んだ布を用いることで、消臭性を高めるとともに制電性能を発揮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0010】
本発明は、半導体や薬品、食品などの研究や製造現場におけるクリーンルームなどの清浄な空間内で着用する保護帽として利用される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例による保護帽の内部構成図
【図2】同保護帽の分解構成図
【図3】同保護帽に用いるライナーの斜視図
【図4】同ライナーに防塵カバーを装着した状態の一部破断斜視図
【図5】同ライナーに防塵カバーを装着した状態の斜視図
【符号の説明】
【0012】
10 保護帽
11 帽体
12 ライナー
13 ハンモック
14 ヘッドバンド
15 顎ひも
16 防塵カバー
16A 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂又は金属からなる帽体と、前記帽体の内部に配置される衝撃吸収用のライナーと、前記ライナーよりも頭部側に配置されるハンモックと、装着者の頭部周囲を囲繞するヘッドバンドとを備えた保護帽であって、前記ライナーの全体を防塵カバーにて覆うことを特徴とする保護帽。
【請求項2】
前記防塵カバーを開口部を有する袋状に構成し、前記開口部が前記ライナーを着脱可能な大きさに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の保護帽。
【請求項3】
前記防塵カバーを前記ライナーに装着した状態において、前記開口部を対向する布片が重なり合うことで閉塞することを特徴とする請求項2に記載の保護帽。
【請求項4】
前記防塵カバーを前記ライナーに装着した状態において、前記開口部を前記帽体側に配置されることを特徴とする請求項3に記載の保護帽。
【請求項5】
前記防塵カバーを光消臭繊維に導電糸を織り込んで構成したことを特徴とする請求項1に記載の保護帽。
【請求項6】
樹脂又は金属からなる帽体と、前記帽体の内部に配置される衝撃吸収用のライナーと、前記ライナーよりも頭部側に配置されるハンモックと、装着者の頭部周囲を囲繞するヘッドバンドとを備えた保護帽のライナー用防塵カバーであって、前記防塵カバーを開口部を有する袋状に構成し、前記開口部が前記ライナーを着脱可能な大きさに形成され、前記防塵カバーを前記ライナーに装着した状態において、前記開口部を、対向する布片が重なり合うことで閉塞するとともに、前記帽体側に配置することを特徴とする保護帽のライナー用防塵カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−299440(P2006−299440A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−119740(P2005−119740)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(000149930)株式会社谷沢製作所 (48)
【Fターム(参考)】