保護構体の送りビームへの取付け方法と削岩リグの保護構体
保護構体(7)を削岩リグの送りビーム(6)へ取り付ける方法、および削岩リグ用の保護構体(7)。保護構体(7)は、送りビーム(6)の周囲のその少なくとも一部に配設されて、送りビーム(6)がその長手軸の曲がり方向(B)に曲がり、および/またはその長手軸を中心にねじれ方向(A)にねじれても、保護構体(7)は実質的にその原形を維持する。
【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのブロックから成る保護構体を削岩リグの送りビームへ送りビームの周囲に少なくとも部分的に取り付ける方法に関するものであり、送りビームはクレードルを介して削岩リグのブームに可動的に配設されている。
【0002】
本発明はさらに、削岩リグの保護構造体に関するものである。保護構体は、削岩リグの送りビームの周囲に少なくとも部分的に配設されることを企図し、送りビームはクレードルを介して削岩リグのブームに可動的に配設され、保護構体は少なくとも1つのブロックから成る。
【0003】
通常、削岩は削岩装置を用いて行われ、削岩装置は、削岩機が可動的に取り付けられた送りビームに対応して1本以上のブームがキャリアに設けられたものである。送りビームは、別体のクレードルによってブーム端部へ可動的に取り付けられることが多く、これによって削岩の所望の位置および方向へ配置することができる。ブームおよび送りビームのこのようなさまざまな動きを達成するため、削岩リグには圧力流体により作動可能な公知の移送シリンダおよび液圧モータが設けられている。
【0004】
削岩は騒音を生じるが、これは主として、少なくとも削岩機の衝撃装置の作動およびそれに続く工具の岩盤に対する衝撃によるものであり、さらには回転運動および場合によっては他の機能によるものである。こうして発生した騒音は通常、さまざまな問題を生じる。騒音は環境にかなり広く拡散するので、とくに居住地域の近辺で問題を生じる。騒音を理由に作業時間や作業現場が制約を受けるのを避けるため、とくに地表掘削でこの問題を解決する努力が行われ、送りビームおよび削岩機の周囲に騒音減衰ケーシングなどのさまざまな保護構体が用いられてきた。
【0005】
騒音減衰ケーシングに関する従来技術方式は、例えば国際公開WO 2006/38850号公報、WO 00/39412号公報、スウェーデンSE 523874号公報および特開平5-295978号公報に開示されている。これらの従来技術方式では、騒音を発生する構造物に対してできる限り完全な防音を施すことを企図している。しかし、これらの方式は送りビームの作動中の曲がりやねじれを考慮していない。このため、送りビームへ向かう負荷の一部がネジ継手を介して騒音減衰ケーシングへ伝達され、これによって応力を生じてケーシングが意外にも引き裂けを受けることさえある。
【0006】
騒音に加えて、例えば機械の安全性も削岩に関連する諸問題や保護の必要性を生じることがある。なぜなら、可動部が労働災害を起こし、さらに居住地域に近い場所にある作業現場では部外者も危険にさらされることがあるからである。機械の操作員や他の現場作業員も、またその区域にいる人々の安全性を改善する1つの方法は、可動部分を保護構体で保護し、機械の操作中にこれらの可動部分へ過剰な接近を防ぐことである。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、削岩リグ用の新規で改善された保護構体、および保護構体の削岩リグへの取付け方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の方法は、保護構体のブロックを取付けユニットにより送りビームへ取り付け、削岩リグの使用中に送りビームに働く力に起因して送りビームがその長手軸の曲がり方向に曲がり、および/またはその長手軸を中心としてねじれ方向にねじれても、ブロックが実質的にその原型を保つことを特徴とする。
【0009】
本発明の保護構体は、ブロックを送りビームへ取り付ける取付けユニットが保護構体のブロックに設けられ、送りビームに取り付けらると、削岩リグの使用中に送りビームに働く力に起因して送りビームがその長手軸の曲がり方向(B)に曲がり、および/またはその長手軸を中心としてねじれ方向(A)にねじれても、保護構体が実質的にその原型を保つことを特徴とする。
【0010】
本発明の一概念は、削岩リグの保護構体および/またはその取付け部品の設計には、使用中の送りビームのねじれおよび/または曲がりを考慮し、これによって曲がりおよび/またはねじれにより保護構体へ伝わる力の量を最小にすることができることにある。
【0011】
本発明の利点は、送りビームまたは負荷を受ける他の構造体がその長手軸を中心とする望ましくない曲がりおよびねじれもしくはゆがみを受けても、負荷を保護構体へ伝搬しないので、保護構体もしくはその各部に作用する外力の大きさが最小化され、保護構体も実質的にその原形を保つことにある。本発明は力を正しい方向へ向けることができるので、削岩リグの構造はそれぞれの実際の仕事の条件をよりよく満たすよう設計することができ、全体として構造がより軽量かつ手ごろな価格になる。さらに、外部負荷の問題が解決され、保護構体の剛性が計算しやすく、保護構体は突然の引き裂けを受けることが少なくなる。
【0012】
一実施例によれば、保護構体は少なくとも2つのブロックから成る。この実施例の利点は、保護構体が複数のブロックから作られているので、各ブロックは送りビームのねじれおよび/または曲がりにより生じる力の一部だけを受け、このため各力が実質的に小さくなることにある。送りビームの全長に対するブロックの数を最適にすることによって、個々のブロックへ伝わる力をかなり減少させることができる。
【0013】
一実施例によれば、ブロックは、各部品の相対的動きを許容する少なくとも1つの連結部材によって相互に接続してよい。本実施例の利点は、相対的に動くことのできる複数のブロックから成る保護構体によれば、各ブロックを従来の固定関節によって送りビームへ取り付けることができ、その場合、例えば送りビームのねじれおよび曲がりにより生じる何らの大量の力も各ブロックへ伝わることがないことにある。
【0014】
一実施例によれば、保護構体のブロックの間に弾性シールを設けて騒音の伝搬を防止しつつ各部品の相対的動きを許容することができる。本実施例の利点は、保護構体が複数のブロックで作られている場合でも、保護構体の防音が良好であることにある。
【0015】
一実施例によれば、ブロックの少なくとも1つの緊締要素は継手を含む。本実施例の利点は、送りビームの曲がりおよびねじれによる力のブロックへの伝搬がかなり減少する簡易で手ごろな価格の解決策がこれによって提供されることにある。
【0016】
一実施例によれば、ブロックには、ブロックを送りビームへ取り付ける1つのA型緊締ユニットおよび1つのB型緊締ユニット、または3つのA型緊締ユニットが設けられ、1つのA型緊締ユニットは、少なくとも1つの線形自由度を占有もしくは拘束もしくは固定しつつ回転の全自由度は可撓もしくは自由にするとともに1つ以上の緊締要素を含み、緊締要素は、送りビームの長手軸の方向において1メートルの範囲内に位置し、送りビームの長手軸を中心とするねじれが可能なように線形に配置され、1つのB型緊締ユニットは、少なくとも1つの線形自由度と送りビームの長手軸を中心とする回転自由度とを占有しつつ他の回転自由度は自由もしくは可撓にするとともに1つ以上の緊締要素を含み、緊締要素は、送りビームの方向において1メートルの範囲内に設置されている。本実施例の利点は、保護構体ブロックが上述のように送りビームへ取り付けられると、送りビームのねじれおよび/または曲がりにより生じる力のブロックへの伝達が実質的に少なくなることにある。
【0017】
一実施例によれば、保護構体は騒音減衰ケーシングである。
【0018】
一実施例によれば、保護構体は安全ネットである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下の図面を参照して、本発明のいくつかの実施例をさらに詳細に説明する。
【図1a】は削岩リグの模式的全体図である。
【図1b】は第2の削岩リグの模式的全体図である。
【図2】は削岩リグの保護構体の模式的斜視図である。
【図3a】および
【図3b】は、保護構体と送りビームの間の過剰支持された継手の模式的斜視図である。
【図4a】ないし
【図4c】は、保護構体と送りビームの間の継手の模式的斜視図である。
【図5a】と
【図5b】および
【図5c】は、図4aないし図4cのさまざまな実施例における継手の詳細を示す模式的側面図である。
【図6a】および
【図6b】は、ブロックと送りビームを互いに接続する継手の模式的上面図である。
【図7a】ないし
【図7c】は、保護構体を送りビームへ接続する実施例を模式的に示す図であり、図7aは本実施例の前面図を、図7bは図7aの線A-Aに沿った断面を、また図7cは図7aの細部の部分断面をそれぞれ示す。
【図8a】ないし
【図8c】は、2つ以上のブロックから成る保護構体の実施例の模式図である。
【図9】は、削岩で保護構体に関連して用いるレーザ受信機を配置するための装置の模式的側面図である。
【図10】は、削岩で保護構体と関連して用いるレーザ受信機を配置するための他の装置の模式的側面図である。
【図11】は、図10の装置の模式的横断面図である。
【発明の詳細な説明】
【0020】
明瞭にするため、本発明のいくつかの実施例は図で簡略化してある。各図において、同様な部分は同様の参照番号で示す。
【0021】
図1aおよび図1bは、キャリア2を有する削岩リグ1の模式図である。このキャリアには通常、車輪もしくは軌道が設けられ、軌道3はこの場合、一例として用いている。キャリア2は、これに公知の方式で取り付けられたブーム4を有し、ブームは公知の方式で1つ以上のブーム部品で構成することができ、同図は例として一部品を示している。ブーム4は公知の何らかのブーム構体でよく、これを詳細に説明する必要はない。ブーム4は、図示しないが、公知の方式でキャリア2へ枢着され、圧媒シリンダなどの動力部材によって公知の方式でキャリアに対して所望の角度に回転させることができる。
【0022】
ブーム4の他方の端部には、ブームに枢動可能に接続されたクレードル5があり、そこでクレードルには送りビーム6が設けられ、送りビームはその長手方向に移動可能にこれに取り付けられている。送りビーム6は、圧媒シリンダ6aによって公知の方式でクレードル5に対して動かすことができる。送りビームには、図示しないが公知の削岩機が取り付けられ、削岩機は、ドリルロッドおよびこれに取り付けられた公知のドリルビットによって穿孔を行うものである。送りビームと削岩機および少なくともドリルロッドの一部は保護構体7に囲繞されているが、これは図1aでは、1aの場合は2つの異なる部分から成る典型的な騒音減衰ケーシングである。図1bにおいて、保護構体7は、機械の可動部分にその作動中、使用者もしくは部外者が近寄ることを防止する安全ネットである。
【0023】
図1aにおいて騒音減衰ケーシングとして実現される削岩リグ1および保護構体7と、図1bにおいて安全ネットとして実現される削岩リグ1および保護構体7は、削岩リグおよびこれへ配設される保護構体のほんの一例を提供したものである。実際上、削岩リグは、図1に示すものとは大きく異なることがあり、保護構体も、騒音減衰ケーシング、防音ケーシングもしくは安全ネット以外の、削岩リグに配設された何らかの保護構体でよい。図1aおよび図1bの実施例では、保護構体は送りビーム、削岩機もしくはドリルロッドの少なくとも一部を囲撓するように配設されている。保護構体で保護する掘削機装置は、削岩機でなく、ボルト打設機、インジェクション装置等の、作動中に送りビームにより移動する何らかの掘削用工具もしくは同様の装置であってもよい。
【0024】
従来技術方式は典型的には、保護構体を強く頑丈なものにして、送りビームのねじれおよび曲がりにより保護構体に生じる力にできるだけ良好に耐えるようにすることを企図してきた。送りビームの曲がりおよびねじれの最大の要因は、掘削装置の使用中送りビームに働く送り力であり、これは、削岩機のドリルロッドもしくはその端部に取り付けられたドリルビット、あるいは他の作動部を岩盤に対して押し付けるものである。しかし、このような保護構体は総じて、力の大きさとその予測困難さのため、突然の引裂きを受けやすい。にもかかわらず、防音ケーシングもしくは安全ネットなどの保護構体の主要な役割は、送りビームに向う負荷に耐えることではない。保護構体を負荷に耐えるほど強く設計することが目的とは言えない。故に、本発明の方式は保護構体に働く外力の量を最小にすることを目的としている。これによって保護構体は、使用中その原型を維持することができる。さらに、これによって保護構体は、外部負荷により生じる引裂きおよび他の損傷から保護される。
【0025】
本発明の方式では、騒音減衰構体もしくは安全ネットなどの保護構体7は少なくとも送りビーム6の周囲に配設され、保護構体7は1つ以上のブロックで構成してもよい。通常の使用では、負荷を受けた送りビーム6はその長手軸方向で屈曲し、その長手軸を中心としてねじれる。保護構体7のブロック12は送りビーム6へ取り付けられて、送りビーム6がその長手軸の曲がり方向Bに曲がっても、および/またはその長手軸を中心にねじれ方向Aにねじれても、ブロック12が実質的にその原型を維持するようにする。これは、送りビーム6の曲がりおよびねじれによってブロック12に働く力の量を最小にすることによって達成できる。ブロック12に働く力の量を最小にする1つの方法は、送りビームの回転すなわちねじれ方向Aおよび曲がり方向Bが過剰支持すなわち過度の支持を実質的に受けないことが確実な取付け方式によって各ブロック12を送りビーム6へ取り付けることである。この過剰支持の概念は後にさらに詳細に説明する。継手の曲げ強度、可撓性および自由度は、本明細書で定義しているが、図3aないし図3bおよび図4aないし図4cに関する開示箇所に関連してさらに詳細に説明する。
【0026】
一実施例によれば、保護構体は2つ以上のブロックで構成してよく、各ブロックは自立体として実現される。この場合、自立とは、各ブロックが自身の重量に起因する負荷を、例えばその構体をともに保持するための取付け要素などの外付け部品からの支持を必要とせずに、負担することを意味する。これによって保護構体はさらに、相方部品、この場合は送りビームに、保護構体が外力を受けることなく取り付けることができる。そこで保護構体は、その実際の役割に良好に対応した設計をとることができ、より軽量で、より手ごろな価格で製造できる。これによってまた、保護構体は、さまざまな大きさで容易に設計することができる。以下に、さまざまな実施例をさらに詳細に説明する。
【0027】
個々の部品を何らの支持なしに、自由度として知られる6方向に動かすことができる。すなわち、x、yもしくはz方向の線形運動、およびx、yもしくはz軸を中心とする回転運動である。したがって、厳格に6自由度を拘束する、すなわち妨げる支持方式による部品を各自由度の方向に定位置に支持し、応力もしくはねじれ力を生じない。理論的には、6自由度を拘束するこのような支持は、例えば6つの支持点のそれぞれが1自由度を拘束することで実現することができる。これは、最初の平面、例えば平面xyの方向に3つの支持点を、次の平面、例えば平面yzの方向に2つの支持点を、また最後の平面、例えば平面xzの方向に1つの支持点を有する部品によって実現することができる。換言すれば、この種の取付けは、部品を全自由度の方向の定位置に支持するが、過剰支持すなわち過度な支持として知られる状態を生じることはない。
【0028】
上述の6自由度を拘束する支持は部品の支持に最適であるが、一般に使用される支持は総じて明らかに過剰支持となる。例えば、ネジ継手などの1つの固定継手はそれだけで6自由度のすべてを拘束する。したがって、4つの固定継手で支持される部品は、例えば24自由度をすでに拘束する支持体を有し、これは、明らかに過剰支持であり、部品に対してそれなりに応力もしくはねじれ力を生じやすく、これによってまた強い外力が部品へ伝達される。しかしこの種の支持は、例えば、保護構体が直接、ネジ継手により送りビームへ固定的に取り付けられ、削岩リグの保護構体用の従来技術の取付け部品としては非常に典型的なものであり、送りビームのねじれおよび曲がりによって保護構体に大きな負荷を生じ、したがって保護構体に突然の引裂けや他の損傷さえ生じることになる。
【0029】
図2は保護構体7の一実施例の模式図である。図2の実施例では、保護構体は2つのブロックから成る。図3aないし図3bおよび図4aないし図4cに関する開示に関連して以下に、保護構体7のブロック12および送りビーム6を接続する非好適な方式と好適な方式を詳細に説明する。
【0030】
図3aないし図3bおよび図4aないし図4cの実施例では、継手は取付けユニットから成り、各取付けユニットは1つ以上の取付け要素13で構成することができる。用語「取付けユニット」とはA型取付けユニット、B型取付けユニットもしくはC型取付けユニットを言い、以下にさらに詳細に説明する。取付けユニットの型の定義は図3aないし図3bおよび図4aないし図4cの左側に示す座標系に基づくが、各軸の全方向に15度の許容誤差が許されている。しかし、注意すべきは、図3aないし図3bおよび図4aないし図4cにおける座標系は、可能な座標系の定義の仕方のほんの一例を提供しているにすぎず、基本的考えが同じであれば他の多くのやり方で座標系を定義してもよいことである。この支持は、特定の方向において使用中の自由度の可撓性が線形運動において3mmより少なく、ねじれ運動において0.5度より小さい場合、当該方向に拘束されているものと考える。この支持は、特定の方向において使用中の可撓性が線形運動において3ないし15mmであり、ねじれ運動において0.5ないし2度である場合、当該方向に可撓であると考える。ただし、両許容範囲の両端値を含む。この支持は、特定の方向において使用中の可撓性が線形運動において15mmを超え、ねじれ運動において2度を超える場合、当該方向において自由であると考える。
【0031】
本開示では、A型取付けユニットとは、少なくとも1つの拘束された線形自由度を有し、その回転もしくはねじれ自由度がすべて可撓すなわち自由である取付けユニットを言う。1つのA型取付けユニットを1つ以上の取付け要素13で構成することができる。x軸方向に1メートルの範囲内にあり、x軸を中心とする回転が可能な線形配設されたすべての取付け要素13は、同一のA型取付けユニットに属する。A型取付けユニットの取付け要素が剛性の場合、この取付けユニットの3自由度、すなわちその全線形自由度が拘束される。A型取付けユニットの取付け要素が一方向で可撓である場合、この取付けユニットは2自由度が拘束される。A型取付けユニットの取付け要素が2方向で可撓である場合、このA型取付けユニットは1自由度が拘束される。
【0032】
本開示において、B型取付けユニットとは、線形自由度の少なくとも1つが拘束され、かつx軸を中心とする回転が回転もしくはねじれ自由度に関して拘束される取付けユニットを言う。y軸およびx軸を中心とする回転は、支持がB型取付けユニットにより行われている場合、可撓または自由である。B型取付けユニットは、1つ以上の取り付け部材をx軸方向で1メートルの範囲内に、それらが送りビーム6のいずれの側にあるかに無関係に配置して構成することができる。B型取付けユニットにおける取付け要素が剛性である場合、この取付けユニットは1自由度、すなわちz軸を中心とする回転が自由である。B型取付けユニットにおける取付け要素がx方向に可撓である場合、この取付けユニットは2もしくは3自由度を有する。この場合、yおよびx方向における運動と、x軸を中心とする回転が拘束される。取付け要素のx方向における可撓性が15mmである場合、取付け要素の平面yz上の相互距離が15mm/sin2o=430mmより短いと、y軸を中心とする回転は自由である。x方向に15mmの可撓性を有する各取付け要素間の距離が430mmないし1720mm(両端値を除く)である場合、y軸を中心とする回転が拘束される。
【0033】
本明細書において、yもしくはz軸を中心とする少なくとも回転運動もしくはねじれ運動を拘束するすべての取付けユニットはC型取付けユニットであると考え、これは支持および力の伝達に関しては非好適例である。
【0034】
最適な支持は、B型取付けユニットの取付け要素が剛性であって5自由度を拘束する状況において達成されるが、この場合、z軸を中心とする回転は自由であり、A型取付けユニットの取付け要素は1方向、すなわちy軸に沿った方向を拘束する。最適な支持はまた、B型取付けユニットの取付け要素が4自由度、すなわち線形自由度およびx軸を中心とする回転をすべて拘束し、A型取付けユニットの取付け要素が2自由度、すなわちy軸およびz軸に沿った方向を拘束する場合にも、達成される。さらに、B型取付けユニットの取付け要素が3自由度、すなわちy軸およびz軸に沿った線形自由度とx軸を中心とする回転とを拘束し、A型取付けユニットの取付け要素が3自由度、すなわちすべての線形自由度を拘束する場合、最適な支持が得られる。
【0035】
いくつかの実施例によれば、送りビーム6の負荷により生じる曲がりおよびねじれが保護構体に伝わらないように保護構体7のブロック12に送りビーム6を取り付けることは、1つのA型取付けユニットおよび1つのB型取付けユニットで継手を形成することによって、または3つのA型取付けユニットで継手を形成することによって実現される。図3aないし図3bおよび図4aないし図4cは、保護構体7のブロック12を送りビーム6へ取り付ける非好適方法と好適方法を示す。
【0036】
図3aは、保護構体7のブロック12を送りビーム6へ取り付ける非好適な方式を示す。明瞭な図を提供するため、同図およびこれに続く図3bないし図4cは保護構体のブロック12を模式的枠体として示すが、これは、実施例に応じて、保護構体7のブロック12の支持構体、またはブロック12自体の一部を表わすと考えてよい。図3aでは、保護構体のブロック12は2つの取付けユニットによって送りビーム6へ取り付けられ、このうち一方は図の左側で2つの取付け要素13によって形成され、他方は図の右側で2つの取付け要素13によって形成されている。これらの取付け要素間の間隔は1メートルを超える。
【0037】
本実施例では、各取付けユニットは送りビーム6の両側に配設された2つの取付け要素13で構成され、各取付け要素13はこの場合、少なくとも1つのボール継手8と、一方の端部が送りビーム6に、また他方の端部がボール継手8に配設された第1のアーム9と、一方の端部がブロック12に、また他方の端部がボール継手8に配設された第2のアームとで構成されている。この種の取付け要素の原理は例えば、図5aに示すようなものでよい。これらの取付け要素13のそれぞれは3自由度、すなわち線形運動の全自由度を拘束するが、3つの回転もしくはねじれ方向はすべて許容されている。各取付けユニットの取付け要素13が実質的に同一の平面yz上にあって互いに一定の間隔で配設されているので、各取付けユニット全体は、それでもなお、x軸を中心とする回転運動を拘束する。換言すれば、図3aの取付けユニットは、その取付け要素13がy軸を中心として生ずる回転方向も可撓性があるほど直線方向xにおいて十分に可撓であれば、B型取付けユニットとなり、それ以外の場合、これはC型取付ユニットになり、それなりにすでに非好適例である。
【0038】
したがって、上述の2つのB型取付けユニットのそれぞれは少なくとも4自由度を拘束する支持を形成し、合わせてこれらは少なくとも8自由度を拘束し、これによって過剰支持を生じるが、これは非好適例である。このような取付け方法に固有の問題は送りビームのねじれ方向Aにおける過剰支持である。なぜなら、これによって保護構体7のブロック12が送りビームのねじれに起因するねじれ力と負荷を受け、これによってブロック12に容易に引き裂きを生じ、および/またはそうでなくても損傷を与え易いからである。
【0039】
図3bは保護構体のブロック12を送りビームへ取り付ける他の非好適な方式を示す。この取付け方式は、送りビーム6の長手方向Cにおけるその中央領域においてブロック12と送りビーム6との間に第5の取付け要素13が設けられている点を除き、他は図3aのものと同様である。この取付け要素13は、送りビーム6の長手方向Cにおいて他方の取付け要素13から1メートルを超える間隔で存在し、これによって、回転もしくはねじれ方向の自由度ではなく、3つの線形自由度を拘束する第3の取付けユニットをこれ自体で形成している。したがって、この取付けユニットはA型を表し、図3bに示す継手全体は2つのB型取付けユニットと1つのA型取付けユニットから成るので、不利である。図3aの場合のように、2つの取付け要素13から成るB型取付けユニットは、y軸を中心とする回転もしくはねじれに対する支持が可撓であれば、4自由度を拘束する支持を形成し、さらに、A型取付けユニットは3自由度を拘束する支持を形成し、したがって保護構体7内のブロック12は11自由度を拘束する支持部によって支持される。この取付け方式は、先に述べたものより明らかに過剰支持であり、また送りビーム6の曲がりにより生じる力をブロック12へ伝搬し、こうしてブロック12にかかる負荷とそれに起因する損傷が増大する。
【0040】
図4aはブロック12を保護構体7へ取り付ける1つの方式を示す。同図において、ブロック12の一方の端部すなわち左側端部には、送りビームの曲がり方向Bに平行な両側で互いに離れて対向する2つの取付け要素13が設けられている。これらの取付け要素13はほとんど同一の平面yz上にあって互いに間隔をおいているので、y軸およびz軸方向において直線方向を拘束し、かつx軸を中心とする回転運動もしくはねじれ運動を拘束するがx軸方向には若干可撓であって、y軸方向の回転もしくはねじれが可撓である場合、3自由度を拘束する支持を有するB型取付けユニットを形成する。図4aの取付け要素13は図3aおよび図3bにおけるものと同じである。すなわちこれらは、少なくとも1つのボール継手8と、一方の端部が送りビーム6に、また他方の端部がボール継手8に配設された第1のアームと、一方の端部がブロック12に、また他方の端部がボール継手8に配設された第2のアーム10とから成る。
【0041】
送りビーム6の遠端部、すなわち同図における右側には、送りビームの曲がり方向Bに垂直な面、すなわち同図における上面には、1つの取付け要素13が設けられている。この取付け要素は、例えば図5bもしくは図5cのものと同様でよい。この取付け要素によって、送りビーム6の長手方向Cにおいて送りビーム6およびブロック12が相対的に回転もしくはねじれ運動だけでなく線形運動も可能であれば、これは2自由度を拘束するにすぎない。この種の取付け要素は例えば、少なくとも1つのボール継手8と、一方の端部が送りビーム6に、また他方の端部がボール継手8に配設された第1のアームと、一方の端部がボール継手8に、また他方の端部がブロック12に配設された第2のアーム10とで取付け要素13を形成し、アーム9および10のうちの少なくとも一方は、材料および/または構造を選択することによって送りビームの長手方向Cにおいて可撓であるように形成することで、実現することができる。一実施例によれば、この種の取付け要素13は、少なくとも1つのボール継手8と、一方の端部が送りビーム6に、また他方の端部がボール継手8に配設された第1のアーム9と、一方の端部がボール継手8に、また他方の端部がブロック12に配設された第2のアーム10とでトラニオン11によって形成され、送りビーム6およびブロック12は送りビームの長手方向における相対的な線形運動が可能である。図5bおよび図5cは、この種の取付け要素の2つの可能な実施例の模式図である。この場合、図4aにおいて右側に示す取付け要素13で形成された取付けユニットは、2つの線形自由度を拘束するが、回転自由度は拘束せず、これによってA型取付けユニットとなっている。
【0042】
換言すれば、図4aの取付け方式は1つのA型取付けユニットと1つのB型取付けユニットで構成することができる。1つのB型取付けユニットから成る支持は、B型取付け要素がx方向に可撓である場合、4ないし8自由度を拘束することができる。
【0043】
図4bはさらに、保護構体7のブロック12を送りビーム6へ取り付ける方式を示す。この方式は、図4aにおけるものと非常によく似ているが、両図の左側にあるブロック12の端部には、送りビーム6の遠端部の取付け要素13と同じ側に別の取付け要素が配設されて、2つではなく3つの取付け要素13が設けられている点が異なる。同図の左側の3つの取付け要素13は、送りビーム6の長手方向Cにおいて互いの間に1メートル未満をとっているので、これらは1つの取付けユニットを形成している。この取付けユニットが少なくとも1つの線形運動と、x軸を中心として生ずる回転運動もしくはねじれ運動を拘束する場合、この取付けユニットはB型を呈する。取付けユニットにおける取付け要素が剛性である場合、図4bの取付けユニットはどの自由度も自由でなく、6自由度がすべて拘束され、これによってこの支持はC型取付けユニットになる。B型取付けユニットの取付け要素がx方向に可撓である場合、B型取付けユニットは1、2もしくは3自由度が自由である。この場合、拘束もしくは占有されている自由度はy軸およびx軸に沿ったものと、x軸を中心とする回転もしくはねじれである。さらに、y軸およびz軸を中心とする回転もしくはねじれは、自由であり、可撓であり、または拘束され得る。同図の右側の取付けユニットはA型取付けユニットであり、図4aに関連して開示したように機能することができる。A型取付けユニットに関する先の実施例を参照すると、図4bによる支持は5ないし8自由度を拘束することができる。この種の取付け方式によっても、回転方向もしくはねじれ方向Aにおける送りビーム6のねじれと、曲がり方向Bにおける曲がりとがかなり良好に可能である。なぜなら、この継手は、保護構体7にとって歪みを受ける際に重要な方向において必ずしも過剰支持にならないからである。
【0044】
図4cは保護構体7のブロック12を送りビーム6へ取り付けるさらに他の方式を示す。本実施例では、継手は3つの取付け要素13で構成され、これらすべてが送りビームの長手方向Cにおいて1メートルを超える間隔で配され、こうしてそれぞれが別個の取付けユニットを形成している。各取付けユニットは1ないし3線形自由度を拘束できるが、回転方向もしくはねじれ方向のすべての自由度は自由または可撓であり、したがって、これらすべての取付けユニットはA型取付けユニットである。すなわち、図4aでは、継手は3つのA型取付けユニットで形成でき、合計3ないし9つの拘束された自由度を有する。図4cの取付け方法において最適な支持の一例は、左側端部の取付けユニットが3線形自由度、すなわちx軸、y軸およびz軸方向をすべて拘束し、右側端部の取付けユニットが2線形自由度、すなわちx軸、y軸およびz軸に沿った方向を拘束し、中央の取付けユニットだけが1線形自由度を、すなわちy軸に沿った方向を拘束し、これによって全体で6自由度を支持するものであろう。
【0045】
取付け要素がヒンジであれば、5自由度の支持を呈する。しかし、ヒンジの取付けに用いる要素が可撓性の回転もしくはねじれが可能な程度まで可撓である場合、このヒンジは4自由度の支持を呈する。ヒンジの取付けによって両方向の回転もしくはねじれが可能であると、この要素は全体として3自由度を拘束するにすぎない。
【0046】
図5aは取付け要素13の一実施例の模式図である。取付け要素13は、例えば、少なくとも1つのボール継手8と、送りビーム6など取り付けられる第1の部品に一方の端部が、またボール継手8に他方の端部が配設可能な第1のアーム9と、ブロック12など取り付けられる第2の部品に一方の端部が、またボール継手8に他方の端部が配設可能な第2のアーム10とで構成してもよい。取付け要素13にはさらに、取り付けられる第1および第2の部品に取付け要素13を固定するための、例えば緊締フランジ15を設けてもよい。この種の取付け要素だけで3線形自由度を拘束する。取付け要素13ならびに緊締される第1および/または第2の部品の間にはさらに、弾性減衰器14を設けてもよく、これは、例えば部品間で騒音が伝搬しないようにしつつ、各部品の互いに対する個々の動きを許容するものである。騒音減衰の他の方法は、ボール継手をゴムで作ることであり、これによってゴム製ボール継手はいずれの騒音も阻止する。この種のボール継手は線形自由度を拘束するが、回転もしくはねじれ方向には可撓もしくは自由であることが多い。
【0047】
図5bは取付け要素13の第2の実施例の模式図である。ここで、取付け要素13は例えば、ボール継手8と、送りビーム6などの取り付けられる第1の部品に一方の端部が、またボール継手8に他方の端部が配設可能な第1のアーム9と、ブロック12などの取り付けられる第2の部品に一方の端部が、またボール継手8に他方の端部が配設可能な第2のアーム10と、同図に示すように、取り付けられる第1の部品に第1のアーム9を、もしくは取り付けられる第2の部品に第2のアームを取り付けることができるトラニオン11とで構成することができる。取付け要素13にはさらに、例えば取り付けられる第1および第2の部品に取付け要素13を緊締する緊締フランジを設けてもよい。この取付け要素だけで2線形自由度を拘束することができる。加えて、取付け要素13ならびに取り付けられる第1および/または第2の部品の間に弾性減衰器14を設けてもよく、これは、例えば部品間で騒音が伝わらないようにしつつ、各部品の互いに対する独立した動きを許容するものである。または、上述のようにボール継手をゴムで作ることによって、騒音減衰を行ってもよい。
【0048】
図5cは取付け要素13の第3の実施例の模式図である。同図の取付け要素13は例えば、ボール継手8と、選択した方向において材料もしくは構造のいずれかにより可撓性を有し、一方の端部が送りビーム6など取り付けられる第1の部品に、また他方の端部がボール継手8に配設可能な第1のアーム9と、ブロック12など取り付けられる第2の部品に一方の端部が、またボール継手8に他方の端部が配設可能な第2のアーム10とで構成することができる。第1のアーム9は可撓性材料で、または、例えば負荷状態で選択された方向、例えば送りビームの長手方向Cへアームが屈曲可能な構造に作ってもよい。この種の取付け要素13は、そのアームが2方向に可撓であるので、1もしくは2線形自由度を拘束する。さまざまな実施例において第1のアーム9は、選択された方向、例えば送りビームの長手方向Cに可撓性を呈する第2のアーム10で置き換え、もしくは補足してもよい。
【0049】
上述のように、張力、ねじり力および外力の伝搬について6自由度を拘束することで得られる最適な支持は、例えば各部品を1固定点で接続することによって実現してもよい。しかし、送りビームおよびこれに配設された保護構体などの大きな可動体に関するかぎり、この種の継手の寸法設計は、常にリスクを伴い、確実に安全な継手とするには、技術面、運用面、また費用面でも常に非現実的なやり方で強度に製造する必要がある。それでも、従来技術の取付け方式と比べると、上述のような6自由度を拘束する支持を用いれば、保護構体へ伝達される力をかなり減少させることができる。送りビームの回転もしくはねじれ方向Aおよび曲がり方向Cが実質的に過剰支持すなわち過度な支持にならないように過剰支持の自由度を、もし選べるならば、送りビーム6のねじれおよび曲がりにより保護構体7に生じる過剰負荷を最小にすることは、依然として可能である。取付けユニットが上述のように3ないし15mm、移動したり、あるいは0.5ないし2度、回転もしくはねじれたりする(許容範囲の両端値を含む)場合、過剰支持は生じない。なぜなら、このような場合、その支持は特定の方向において可撓であり、したがって、理論的にはあり得ても、過剰支持状態が構体に害を与えることはない。
【0050】
上述の実施例に示された1、2もしくは3自由度を拘束する支持は、1、2もしくは3線形自由度を拘束するものであるが、少なくともほとんどについてボール継手8により実現される。しかし、これは開示内容を簡略化しているにすぎない。同様の1、2もしくは3自由度を拘束する支持もまた、取付け要素13をゴムなどの弾性材で、例えばゴム製減衰器として作ることによって、または例えば金属性素子で特定の方向に可撓性を有し負荷状態で屈曲する各種のバネやプレートなどの構造を与えることによって、実現することができる。さらに、取付け要素13のさまざまな実施例は、摺動方式やレバー方式などの構造的方策を用いて実現することができる。さらにまた、必要な自由度が得られる支持は上述の方式をさまざまに組み合わせて達成することができる。
【0051】
上述の実施例はまた、取付け要素13が少なくとも1つの第1のアーム9、第2のアーム10およびボール継手8から成ることも示している。しかし、1つ以上の取付け要素13がこれとは異なる構造を有してもよい。例えば、第1のアームだけを有し、第1のアームは、取り付けられる第1の部品に一方の端部が、また取り付けられる第2の部品に他方の端部が配設されてもよい。この場合、アームの材料および/または構造を選択して、ボール継手で実現される実施例に示すものと同様な支持を可能としてもよい。図6aは、この種の取付け要素13の実施例の模式図であり、これはブロック12と送りビーム6を互いに取り付けるものである。図6aの実施例では、取付け要素13は少なくとも1つの第1のアーム9を有し、その一方の端部は取り付けられる第1の部品に、すなわち同図における送りビーム6に、ネジ継手などの固定継手16によって取り付けられ、他方の端部は取り付けられるブロック12などの第2の部品にボール継手8によって取り付けられている。当然、これとは逆の継手も可能であり、その場合、取り付けられる第1の部品がブロック12であり、取り付けられる第2の部品が送りビーム6である。ボール継手がゴム8で作られている場合、取付け要素13は線形運動をすべて拘束するが、回転は可能である。アーム9によって可撓性が増すが、図6aの場合、これによってx軸に沿った運動が可能である。換言すれば、ボール継手8がこの図の紙面から上がったり下がったりすると考えてよい。したがって、図6aに示す支持は2自由度だけ、すなわち図6aに模式的に示すy軸およびx軸に沿った移動だけを拘束する。
【0052】
図6bは、ブロック12および送りビーム6を互いに取り付ける他の取付け要素13の模式図である。図6bの実施例では、取付け要素13は少なくとも1つのアーム9を有し、その一方の端部は取り付けられる第1の部品、すなわち同図における送りビーム6にネジ継手などの固定継手16によって取り付けられ、他方の端部は取り付けられるブロック12などの第2の部品にトラニオン11によってy軸方向に取り付けられている。当然、逆の取付けも可能であるが、その場合、ブロック12が第1の部品になり、送りビーム6は取り付けられる第2の部品になる。トラニオンがy軸方向に取り付けられると、トラニオン自体で、y軸を中心とする回転もしくはねじれ以外の他の全自由度を拘束する。しかし、アーム9が薄板で作られているとすれば、z軸を中心とする回転もしくはねじれに対しても曲がりやすくなってしまうであろう。したがって、この支持体は2線形自由度、すなわちy軸およびz軸の方向と、1回転自由度、すなわちこの図の紙面に垂直なx軸を中心に生ずる回転とを支持することになってしまう。取付け要素13と取り付けられる第1および/または第2の部品との間には、可撓性減衰器14を配設してもよく、これは例えば、騒音が部品間を伝搬するのを防ぎつつ、各部品間の互に対する個々の動きを許容するものである。図6では、この種の減衰器がトラニオン11に関連して配設されている。
【0053】
図7a、図7bおよび図7cは、クレードル5への取付けおよび移送シリンダ6aの軌道に必要な部分を除いて送りビーム6全体が保護構体7の内側に配設されている一実施例を示す。この場合、送りビーム6と保護構体7との間に可動継手が形成され、送りビーム6と保護ケーシングが相対的に動いても、それらの間の力を減少させ、また継手を封止する。図7bは、図6aの断面A-Aに沿った構体7の模式的前面図である。図7cは図7aに破線で示す細部の部分的横断面の模式図である。
【0054】
図7aないし図7cの実施例では、可動継手は、保護構体7と送りビーム6およびこれに取り付けたシーリングプレート18との間に配設されたシール17によって形成されている。可動継手のシール17は、送りビーム6の長手方向各側では、図7bに示すように、この長手方向に平行で送りビーム6と保護構体7との間に配設され、送りビーム6の周囲の部分では、とくに図7cに示すように、シーリングプレート18と保護構体7との間で垂直に配設されている。この場合、シーリングプレート18は送りビーム6へ取り付けられてその形状に追随し、シール17は、例えば取付け部品19によって保護構体7へ取り付けられている。換言すれば、シーリングプレート18は送りビーム6に固定され、これとともに移動する。この種の可動継手は、保護構体7の防音能力など、その利用目的を実質的に損なうことなく、例えば±10mmの動きを受けることができる。上述のように、本実施例においても保護構体7は1つ以上のブロック12で構成することができる。
【0055】
図8aないし図8cは、送りビーム6の方向Cに実質的に連続して配された少なくとも2つのブロックで保護構体7が構成された保護構体7の実施例の模式図であり、各ブロックは同図において参照番号12’、12”および12’”で示す。
【0056】
図8aは、送りビーム6の方向Cに実質的に連続して配設された3つのブロック12’、12”および12’”で保護構体7が構成された一実施例の模式図である。送りビーム6の長さに対して選択されたブロック12の数が適切であれば、それだけですでに送りビーム6の曲がりおよびねじれに起因する力のブロック12への伝達が減少し、この減少は、各ブロックの送りビーム6への取付け方に無関係である。なぜなら、保護構体7が複数のブロック12から成る場合、各ブロック12の全長に加わる曲がりおよびねじれが保護構体7の全長のそれより相応に小さくなるからである。換言すれば、保護構体を3つ以上のブロック12で作ることがさらに望ましい。ブロックが短いほど、曲がりにより生じる問題が少なくなる。単一の取付けユニットで6自由度を拘束すれば、非常に短いブロックを複数、取り付けることもできる。しかし、ブロック数が増えるにつれてシールの費用もかさむ。
【0057】
図8bは、保護構体の2つのブロック、例えば同図のブロック12’および12”が送りビームの長手方向Cに連続して配設された一実施例の模式図であり、取り付けられる第1のブロックには、取り付けられる第2のブロックより小さい横断面の取付け端部を設けることによって、両ブロックが一緒に配設される。第1のブロックの取付け端部は、少なくともその大部分が第2のブロックの端部の内側に配設され、この端部は同図に破線で示す。この種の実施例における構造、材料および取付け部品は、継手により生ずる小さな回転もしくはねじれを各ブロックごとに許容するよう、または両ブロック12の入れ子状端部の相対的な回転もしくはねじれを許容するように設計してもよい。両ブロック12の入れ子状端部の相対的回転もしくはねじれは、各端部が十分に相対的回転もしくはねじれを行える間隙を内側の部分に設けることによって、または入れ子状端部が送りビームの回転もしくはねじれ方向Cにおいて回転したりねじれたりしないような鋭い隅部や他の同様の形状を有さないプロファイルを保護構体7に設けることによって、実現することができる。継手に間隙を設ける場合、継手を封止して騒音を減らしてもよい。
【0058】
図8cは、送りビームの長手方向Cに連続して2つのブロック、例えば同図では12’および12”が配設された一実施例の模式図であり、両ブロックは、同図ではベローズである接続部材20によって相互接続されている。ベローズに代わって、他の何らかの弾性部材を使用してもよい。接続部材20は好ましくは、ブロック12を互いに接続し、これらが同時に相対的に運動することができる。保護構体7の両ブロック12の間には、騒音の伝搬を防ぎつつブロック12の相対的動きを可能にする、例えば弾性シールを配設することができる。ブロック12はそれぞれの端部で互いに連結することができる。この場合、接続部材20はこれらの端部間に配設されるか、または両ブロック12はそれぞれの端部で部部的に入れ子にしてもよいが、これは、ブロック12の形状でこれが可能な場合、すなわちその形状が両ブロック12の相対的な回転もしくはねじれを妨げるような隅部もしくは切欠き部を有さない場合に限られる。
【0059】
保護構体7が2つ以上のブロックから成る一実施例では、ブロックと保護構体7間に、例えば弾性材で作られた弾性シールが設けられる。このシールは例えば、騒音の伝搬を防止しつつ、ブロックの相対的な個々の動きを許容にする。
【0060】
掘削中、穿孔すべき穴の深度に関する情報を削岩機へ伝送するが、これは、鉱山もしくは掘削現場に配置されたレーザ送信機と、削岩機台車、送り装置もしくは送りビームに配設されたレーザ受信機とにより行われる。このような装置は、送信機と受信機との間の見通しがよいことが必要である。上述した保護構体や従来技術の保護構体が削岩リグに設けられている場合、送信機と受信機の間の見通しが妨げられる。このような場合、保護構体が見通し可能なほど開放をすることができない限り、レーザ受信機は削岩機台車、送り装置もしくは送りビームに配設することができない。しかし、これは掘削を妨げる可能性がある。なぜなら、これらの装置の騒音もしくは安全性が必ずしも許容レベルに維持されないからである。
【0061】
したがって、保護構体を備えた装置では、レーザ受信機は保護構体を形成する構造物の外側に配してレーザ送信機と直接接続する必要がある。しかも、レーザ受信機は、レーザ送信機により与えられるレーザフィールドを識別できるよう上下に動かすことができる必要がある。加えて、掘削場所が分かればレーザ受信機と削岩リグの間の距離を計算し、これによってレーザビームの高さに対する削岩リグの位置が求められるよう、レーザ受信機の削岩リグにおける位置が既知でなければならない。
【0062】
図9は削岩において使用するレーザ受信機を保護構体と関連して配置する装置の模式的側面図である。図9の装置では、送りビーム6の周囲に部分的に配設された保護構体7の外側に滑走索22が止め具21によって取り付けられ、レーザ受信機23が滑走索に可動的に支持されている。この装置はさらに、レーザ受信機23を滑走索22上で移動させる手段を有している。図9の装置では、これらの可動手段は、電動機24、綱車25および歯付きベルト26を含み、歯付きベルト26はレーザ受信機23および電動機24に接続されている。電動機24を駆動することによって、歯付きベルト26は、歯付きベルト26が動くと一緒にレーザ受信機23が、図9で見た場合の上下に、すなわち図9において保護構体7の垂直方向すなわち高さ方向に動くように、電動機24もしくはその一部と綱車25を周回することができる。保護構体7の高さ方向におけるレーザ受信機23の位置は例えば、綱車25の付近に配置された絶対値センサなどの模式的に示す測定装置28によって判別することができる。測定装置は、歯付きベルト26の走行量もしくは綱車23の回転運動に基づいてレーザ受信機23の位置を測定するように構成されている。明瞭にするため、電動機24および綱車25の保護構体への支持方法は、記載していない。
【0063】
図9の装置の利点は、レーザ送信機より送信されたレーザビームを使ってレーザ受信機を保護構体の高さ方向に移動させることによりレーザビームの高さに到達することができ、その場合、例えば削岩機台車を全く移動させる必要がないことである。加えて、レーザビームの高さは掘削作業を妨げることなく掘削中に決めることができる。レーザ受信機は、これを現場の送り装置と無関係に自由に配置することができ、これによってレーザ受信機はレーザビームが最も照射されやすい位置に設置することができる。
【0064】
図10は、削岩にて用いられるレーザ受信機を保護構体へ配置する第2の装置の模式的側面図であり、図11は、図10の装置の線B-Bに沿った断面を模式的に示す。図9および10の実施例では、送りビーム6の周囲に配設された保護構体7の外側にこれに関連して滑走索27がある。この滑走索はこれに可動的に支持されたレーザ受信機23を有している。この装置はさらに、レーザ受信機23を滑走索22上で移動させる可動装置を含んでいる。図10および図11の装置において、可動装置は電動機24、綱車25および歯付きベルト26を含み、歯付きベルト26はレーザ受信機23および電動機24へ接続されている。電動機24を駆動することで歯付きベルト26は、歯付きベルト26が動くにつれてこれとともにレーザ受信機が、図10で見た場合の上下に、すなわち図10において保護構体7の垂直方向すなわち高さ方向に動くように、電動機24もしくはその一部と綱車25を周回することができる。保護構体7の高さ方向におけるレーザ受信機23の位置は、絶対値センサなどの模式的に示す測定装置によって判別することができる。測定装置は、歯付きベルト26の走行量もしくは綱車23の回転量に基づいてレーザ装置23の位置を測定するように構成されている。明瞭にするため、電動機24もしくは綱車25の保護構体7への支持方法は、図示していない。
【0065】
図9および図10の装置では、滑走索27は、回転鋳造方法によって保護構体7の一部として形成することができる。なぜなら、回転鋳造方法を用いて保護構体7を作ることによって滑走索27は回転鋳造技術で保護構体7と一体の部分として同時に作ることができるからである。この方法で製造された滑走索は、寸法が精密で軽い。同時に滑走索は、それが必要な装置に対して自動的に得ることができる。加えて、図9の装置と比較すると、例えば、部品とその固定素子が少なくてすむ。回転鋳造方法によれば、使用する技術的設計に応じて保護構体および削岩リグ全体の外観を所望に応じて容易に形成することができる。
【0066】
場合によって、本願に開示した各構成要件は他の構成要件と無関係に用いてもよい。他方、本願に開示した各構成要件は、必要に応じて組み合わせて、さまざまな組合せを提供することができる。
【0067】
図面および関連明細書は本発明の概念の説明のみを意図している。図面は寸法を表わしていない。本発明の内容は特許請求の範囲内で変えることができる。
【発明の背景】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのブロックから成る保護構体を削岩リグの送りビームへ送りビームの周囲に少なくとも部分的に取り付ける方法に関するものであり、送りビームはクレードルを介して削岩リグのブームに可動的に配設されている。
【0002】
本発明はさらに、削岩リグの保護構造体に関するものである。保護構体は、削岩リグの送りビームの周囲に少なくとも部分的に配設されることを企図し、送りビームはクレードルを介して削岩リグのブームに可動的に配設され、保護構体は少なくとも1つのブロックから成る。
【0003】
通常、削岩は削岩装置を用いて行われ、削岩装置は、削岩機が可動的に取り付けられた送りビームに対応して1本以上のブームがキャリアに設けられたものである。送りビームは、別体のクレードルによってブーム端部へ可動的に取り付けられることが多く、これによって削岩の所望の位置および方向へ配置することができる。ブームおよび送りビームのこのようなさまざまな動きを達成するため、削岩リグには圧力流体により作動可能な公知の移送シリンダおよび液圧モータが設けられている。
【0004】
削岩は騒音を生じるが、これは主として、少なくとも削岩機の衝撃装置の作動およびそれに続く工具の岩盤に対する衝撃によるものであり、さらには回転運動および場合によっては他の機能によるものである。こうして発生した騒音は通常、さまざまな問題を生じる。騒音は環境にかなり広く拡散するので、とくに居住地域の近辺で問題を生じる。騒音を理由に作業時間や作業現場が制約を受けるのを避けるため、とくに地表掘削でこの問題を解決する努力が行われ、送りビームおよび削岩機の周囲に騒音減衰ケーシングなどのさまざまな保護構体が用いられてきた。
【0005】
騒音減衰ケーシングに関する従来技術方式は、例えば国際公開WO 2006/38850号公報、WO 00/39412号公報、スウェーデンSE 523874号公報および特開平5-295978号公報に開示されている。これらの従来技術方式では、騒音を発生する構造物に対してできる限り完全な防音を施すことを企図している。しかし、これらの方式は送りビームの作動中の曲がりやねじれを考慮していない。このため、送りビームへ向かう負荷の一部がネジ継手を介して騒音減衰ケーシングへ伝達され、これによって応力を生じてケーシングが意外にも引き裂けを受けることさえある。
【0006】
騒音に加えて、例えば機械の安全性も削岩に関連する諸問題や保護の必要性を生じることがある。なぜなら、可動部が労働災害を起こし、さらに居住地域に近い場所にある作業現場では部外者も危険にさらされることがあるからである。機械の操作員や他の現場作業員も、またその区域にいる人々の安全性を改善する1つの方法は、可動部分を保護構体で保護し、機械の操作中にこれらの可動部分へ過剰な接近を防ぐことである。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、削岩リグ用の新規で改善された保護構体、および保護構体の削岩リグへの取付け方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の方法は、保護構体のブロックを取付けユニットにより送りビームへ取り付け、削岩リグの使用中に送りビームに働く力に起因して送りビームがその長手軸の曲がり方向に曲がり、および/またはその長手軸を中心としてねじれ方向にねじれても、ブロックが実質的にその原型を保つことを特徴とする。
【0009】
本発明の保護構体は、ブロックを送りビームへ取り付ける取付けユニットが保護構体のブロックに設けられ、送りビームに取り付けらると、削岩リグの使用中に送りビームに働く力に起因して送りビームがその長手軸の曲がり方向(B)に曲がり、および/またはその長手軸を中心としてねじれ方向(A)にねじれても、保護構体が実質的にその原型を保つことを特徴とする。
【0010】
本発明の一概念は、削岩リグの保護構体および/またはその取付け部品の設計には、使用中の送りビームのねじれおよび/または曲がりを考慮し、これによって曲がりおよび/またはねじれにより保護構体へ伝わる力の量を最小にすることができることにある。
【0011】
本発明の利点は、送りビームまたは負荷を受ける他の構造体がその長手軸を中心とする望ましくない曲がりおよびねじれもしくはゆがみを受けても、負荷を保護構体へ伝搬しないので、保護構体もしくはその各部に作用する外力の大きさが最小化され、保護構体も実質的にその原形を保つことにある。本発明は力を正しい方向へ向けることができるので、削岩リグの構造はそれぞれの実際の仕事の条件をよりよく満たすよう設計することができ、全体として構造がより軽量かつ手ごろな価格になる。さらに、外部負荷の問題が解決され、保護構体の剛性が計算しやすく、保護構体は突然の引き裂けを受けることが少なくなる。
【0012】
一実施例によれば、保護構体は少なくとも2つのブロックから成る。この実施例の利点は、保護構体が複数のブロックから作られているので、各ブロックは送りビームのねじれおよび/または曲がりにより生じる力の一部だけを受け、このため各力が実質的に小さくなることにある。送りビームの全長に対するブロックの数を最適にすることによって、個々のブロックへ伝わる力をかなり減少させることができる。
【0013】
一実施例によれば、ブロックは、各部品の相対的動きを許容する少なくとも1つの連結部材によって相互に接続してよい。本実施例の利点は、相対的に動くことのできる複数のブロックから成る保護構体によれば、各ブロックを従来の固定関節によって送りビームへ取り付けることができ、その場合、例えば送りビームのねじれおよび曲がりにより生じる何らの大量の力も各ブロックへ伝わることがないことにある。
【0014】
一実施例によれば、保護構体のブロックの間に弾性シールを設けて騒音の伝搬を防止しつつ各部品の相対的動きを許容することができる。本実施例の利点は、保護構体が複数のブロックで作られている場合でも、保護構体の防音が良好であることにある。
【0015】
一実施例によれば、ブロックの少なくとも1つの緊締要素は継手を含む。本実施例の利点は、送りビームの曲がりおよびねじれによる力のブロックへの伝搬がかなり減少する簡易で手ごろな価格の解決策がこれによって提供されることにある。
【0016】
一実施例によれば、ブロックには、ブロックを送りビームへ取り付ける1つのA型緊締ユニットおよび1つのB型緊締ユニット、または3つのA型緊締ユニットが設けられ、1つのA型緊締ユニットは、少なくとも1つの線形自由度を占有もしくは拘束もしくは固定しつつ回転の全自由度は可撓もしくは自由にするとともに1つ以上の緊締要素を含み、緊締要素は、送りビームの長手軸の方向において1メートルの範囲内に位置し、送りビームの長手軸を中心とするねじれが可能なように線形に配置され、1つのB型緊締ユニットは、少なくとも1つの線形自由度と送りビームの長手軸を中心とする回転自由度とを占有しつつ他の回転自由度は自由もしくは可撓にするとともに1つ以上の緊締要素を含み、緊締要素は、送りビームの方向において1メートルの範囲内に設置されている。本実施例の利点は、保護構体ブロックが上述のように送りビームへ取り付けられると、送りビームのねじれおよび/または曲がりにより生じる力のブロックへの伝達が実質的に少なくなることにある。
【0017】
一実施例によれば、保護構体は騒音減衰ケーシングである。
【0018】
一実施例によれば、保護構体は安全ネットである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下の図面を参照して、本発明のいくつかの実施例をさらに詳細に説明する。
【図1a】は削岩リグの模式的全体図である。
【図1b】は第2の削岩リグの模式的全体図である。
【図2】は削岩リグの保護構体の模式的斜視図である。
【図3a】および
【図3b】は、保護構体と送りビームの間の過剰支持された継手の模式的斜視図である。
【図4a】ないし
【図4c】は、保護構体と送りビームの間の継手の模式的斜視図である。
【図5a】と
【図5b】および
【図5c】は、図4aないし図4cのさまざまな実施例における継手の詳細を示す模式的側面図である。
【図6a】および
【図6b】は、ブロックと送りビームを互いに接続する継手の模式的上面図である。
【図7a】ないし
【図7c】は、保護構体を送りビームへ接続する実施例を模式的に示す図であり、図7aは本実施例の前面図を、図7bは図7aの線A-Aに沿った断面を、また図7cは図7aの細部の部分断面をそれぞれ示す。
【図8a】ないし
【図8c】は、2つ以上のブロックから成る保護構体の実施例の模式図である。
【図9】は、削岩で保護構体に関連して用いるレーザ受信機を配置するための装置の模式的側面図である。
【図10】は、削岩で保護構体と関連して用いるレーザ受信機を配置するための他の装置の模式的側面図である。
【図11】は、図10の装置の模式的横断面図である。
【発明の詳細な説明】
【0020】
明瞭にするため、本発明のいくつかの実施例は図で簡略化してある。各図において、同様な部分は同様の参照番号で示す。
【0021】
図1aおよび図1bは、キャリア2を有する削岩リグ1の模式図である。このキャリアには通常、車輪もしくは軌道が設けられ、軌道3はこの場合、一例として用いている。キャリア2は、これに公知の方式で取り付けられたブーム4を有し、ブームは公知の方式で1つ以上のブーム部品で構成することができ、同図は例として一部品を示している。ブーム4は公知の何らかのブーム構体でよく、これを詳細に説明する必要はない。ブーム4は、図示しないが、公知の方式でキャリア2へ枢着され、圧媒シリンダなどの動力部材によって公知の方式でキャリアに対して所望の角度に回転させることができる。
【0022】
ブーム4の他方の端部には、ブームに枢動可能に接続されたクレードル5があり、そこでクレードルには送りビーム6が設けられ、送りビームはその長手方向に移動可能にこれに取り付けられている。送りビーム6は、圧媒シリンダ6aによって公知の方式でクレードル5に対して動かすことができる。送りビームには、図示しないが公知の削岩機が取り付けられ、削岩機は、ドリルロッドおよびこれに取り付けられた公知のドリルビットによって穿孔を行うものである。送りビームと削岩機および少なくともドリルロッドの一部は保護構体7に囲繞されているが、これは図1aでは、1aの場合は2つの異なる部分から成る典型的な騒音減衰ケーシングである。図1bにおいて、保護構体7は、機械の可動部分にその作動中、使用者もしくは部外者が近寄ることを防止する安全ネットである。
【0023】
図1aにおいて騒音減衰ケーシングとして実現される削岩リグ1および保護構体7と、図1bにおいて安全ネットとして実現される削岩リグ1および保護構体7は、削岩リグおよびこれへ配設される保護構体のほんの一例を提供したものである。実際上、削岩リグは、図1に示すものとは大きく異なることがあり、保護構体も、騒音減衰ケーシング、防音ケーシングもしくは安全ネット以外の、削岩リグに配設された何らかの保護構体でよい。図1aおよび図1bの実施例では、保護構体は送りビーム、削岩機もしくはドリルロッドの少なくとも一部を囲撓するように配設されている。保護構体で保護する掘削機装置は、削岩機でなく、ボルト打設機、インジェクション装置等の、作動中に送りビームにより移動する何らかの掘削用工具もしくは同様の装置であってもよい。
【0024】
従来技術方式は典型的には、保護構体を強く頑丈なものにして、送りビームのねじれおよび曲がりにより保護構体に生じる力にできるだけ良好に耐えるようにすることを企図してきた。送りビームの曲がりおよびねじれの最大の要因は、掘削装置の使用中送りビームに働く送り力であり、これは、削岩機のドリルロッドもしくはその端部に取り付けられたドリルビット、あるいは他の作動部を岩盤に対して押し付けるものである。しかし、このような保護構体は総じて、力の大きさとその予測困難さのため、突然の引裂きを受けやすい。にもかかわらず、防音ケーシングもしくは安全ネットなどの保護構体の主要な役割は、送りビームに向う負荷に耐えることではない。保護構体を負荷に耐えるほど強く設計することが目的とは言えない。故に、本発明の方式は保護構体に働く外力の量を最小にすることを目的としている。これによって保護構体は、使用中その原型を維持することができる。さらに、これによって保護構体は、外部負荷により生じる引裂きおよび他の損傷から保護される。
【0025】
本発明の方式では、騒音減衰構体もしくは安全ネットなどの保護構体7は少なくとも送りビーム6の周囲に配設され、保護構体7は1つ以上のブロックで構成してもよい。通常の使用では、負荷を受けた送りビーム6はその長手軸方向で屈曲し、その長手軸を中心としてねじれる。保護構体7のブロック12は送りビーム6へ取り付けられて、送りビーム6がその長手軸の曲がり方向Bに曲がっても、および/またはその長手軸を中心にねじれ方向Aにねじれても、ブロック12が実質的にその原型を維持するようにする。これは、送りビーム6の曲がりおよびねじれによってブロック12に働く力の量を最小にすることによって達成できる。ブロック12に働く力の量を最小にする1つの方法は、送りビームの回転すなわちねじれ方向Aおよび曲がり方向Bが過剰支持すなわち過度の支持を実質的に受けないことが確実な取付け方式によって各ブロック12を送りビーム6へ取り付けることである。この過剰支持の概念は後にさらに詳細に説明する。継手の曲げ強度、可撓性および自由度は、本明細書で定義しているが、図3aないし図3bおよび図4aないし図4cに関する開示箇所に関連してさらに詳細に説明する。
【0026】
一実施例によれば、保護構体は2つ以上のブロックで構成してよく、各ブロックは自立体として実現される。この場合、自立とは、各ブロックが自身の重量に起因する負荷を、例えばその構体をともに保持するための取付け要素などの外付け部品からの支持を必要とせずに、負担することを意味する。これによって保護構体はさらに、相方部品、この場合は送りビームに、保護構体が外力を受けることなく取り付けることができる。そこで保護構体は、その実際の役割に良好に対応した設計をとることができ、より軽量で、より手ごろな価格で製造できる。これによってまた、保護構体は、さまざまな大きさで容易に設計することができる。以下に、さまざまな実施例をさらに詳細に説明する。
【0027】
個々の部品を何らの支持なしに、自由度として知られる6方向に動かすことができる。すなわち、x、yもしくはz方向の線形運動、およびx、yもしくはz軸を中心とする回転運動である。したがって、厳格に6自由度を拘束する、すなわち妨げる支持方式による部品を各自由度の方向に定位置に支持し、応力もしくはねじれ力を生じない。理論的には、6自由度を拘束するこのような支持は、例えば6つの支持点のそれぞれが1自由度を拘束することで実現することができる。これは、最初の平面、例えば平面xyの方向に3つの支持点を、次の平面、例えば平面yzの方向に2つの支持点を、また最後の平面、例えば平面xzの方向に1つの支持点を有する部品によって実現することができる。換言すれば、この種の取付けは、部品を全自由度の方向の定位置に支持するが、過剰支持すなわち過度な支持として知られる状態を生じることはない。
【0028】
上述の6自由度を拘束する支持は部品の支持に最適であるが、一般に使用される支持は総じて明らかに過剰支持となる。例えば、ネジ継手などの1つの固定継手はそれだけで6自由度のすべてを拘束する。したがって、4つの固定継手で支持される部品は、例えば24自由度をすでに拘束する支持体を有し、これは、明らかに過剰支持であり、部品に対してそれなりに応力もしくはねじれ力を生じやすく、これによってまた強い外力が部品へ伝達される。しかしこの種の支持は、例えば、保護構体が直接、ネジ継手により送りビームへ固定的に取り付けられ、削岩リグの保護構体用の従来技術の取付け部品としては非常に典型的なものであり、送りビームのねじれおよび曲がりによって保護構体に大きな負荷を生じ、したがって保護構体に突然の引裂けや他の損傷さえ生じることになる。
【0029】
図2は保護構体7の一実施例の模式図である。図2の実施例では、保護構体は2つのブロックから成る。図3aないし図3bおよび図4aないし図4cに関する開示に関連して以下に、保護構体7のブロック12および送りビーム6を接続する非好適な方式と好適な方式を詳細に説明する。
【0030】
図3aないし図3bおよび図4aないし図4cの実施例では、継手は取付けユニットから成り、各取付けユニットは1つ以上の取付け要素13で構成することができる。用語「取付けユニット」とはA型取付けユニット、B型取付けユニットもしくはC型取付けユニットを言い、以下にさらに詳細に説明する。取付けユニットの型の定義は図3aないし図3bおよび図4aないし図4cの左側に示す座標系に基づくが、各軸の全方向に15度の許容誤差が許されている。しかし、注意すべきは、図3aないし図3bおよび図4aないし図4cにおける座標系は、可能な座標系の定義の仕方のほんの一例を提供しているにすぎず、基本的考えが同じであれば他の多くのやり方で座標系を定義してもよいことである。この支持は、特定の方向において使用中の自由度の可撓性が線形運動において3mmより少なく、ねじれ運動において0.5度より小さい場合、当該方向に拘束されているものと考える。この支持は、特定の方向において使用中の可撓性が線形運動において3ないし15mmであり、ねじれ運動において0.5ないし2度である場合、当該方向に可撓であると考える。ただし、両許容範囲の両端値を含む。この支持は、特定の方向において使用中の可撓性が線形運動において15mmを超え、ねじれ運動において2度を超える場合、当該方向において自由であると考える。
【0031】
本開示では、A型取付けユニットとは、少なくとも1つの拘束された線形自由度を有し、その回転もしくはねじれ自由度がすべて可撓すなわち自由である取付けユニットを言う。1つのA型取付けユニットを1つ以上の取付け要素13で構成することができる。x軸方向に1メートルの範囲内にあり、x軸を中心とする回転が可能な線形配設されたすべての取付け要素13は、同一のA型取付けユニットに属する。A型取付けユニットの取付け要素が剛性の場合、この取付けユニットの3自由度、すなわちその全線形自由度が拘束される。A型取付けユニットの取付け要素が一方向で可撓である場合、この取付けユニットは2自由度が拘束される。A型取付けユニットの取付け要素が2方向で可撓である場合、このA型取付けユニットは1自由度が拘束される。
【0032】
本開示において、B型取付けユニットとは、線形自由度の少なくとも1つが拘束され、かつx軸を中心とする回転が回転もしくはねじれ自由度に関して拘束される取付けユニットを言う。y軸およびx軸を中心とする回転は、支持がB型取付けユニットにより行われている場合、可撓または自由である。B型取付けユニットは、1つ以上の取り付け部材をx軸方向で1メートルの範囲内に、それらが送りビーム6のいずれの側にあるかに無関係に配置して構成することができる。B型取付けユニットにおける取付け要素が剛性である場合、この取付けユニットは1自由度、すなわちz軸を中心とする回転が自由である。B型取付けユニットにおける取付け要素がx方向に可撓である場合、この取付けユニットは2もしくは3自由度を有する。この場合、yおよびx方向における運動と、x軸を中心とする回転が拘束される。取付け要素のx方向における可撓性が15mmである場合、取付け要素の平面yz上の相互距離が15mm/sin2o=430mmより短いと、y軸を中心とする回転は自由である。x方向に15mmの可撓性を有する各取付け要素間の距離が430mmないし1720mm(両端値を除く)である場合、y軸を中心とする回転が拘束される。
【0033】
本明細書において、yもしくはz軸を中心とする少なくとも回転運動もしくはねじれ運動を拘束するすべての取付けユニットはC型取付けユニットであると考え、これは支持および力の伝達に関しては非好適例である。
【0034】
最適な支持は、B型取付けユニットの取付け要素が剛性であって5自由度を拘束する状況において達成されるが、この場合、z軸を中心とする回転は自由であり、A型取付けユニットの取付け要素は1方向、すなわちy軸に沿った方向を拘束する。最適な支持はまた、B型取付けユニットの取付け要素が4自由度、すなわち線形自由度およびx軸を中心とする回転をすべて拘束し、A型取付けユニットの取付け要素が2自由度、すなわちy軸およびz軸に沿った方向を拘束する場合にも、達成される。さらに、B型取付けユニットの取付け要素が3自由度、すなわちy軸およびz軸に沿った線形自由度とx軸を中心とする回転とを拘束し、A型取付けユニットの取付け要素が3自由度、すなわちすべての線形自由度を拘束する場合、最適な支持が得られる。
【0035】
いくつかの実施例によれば、送りビーム6の負荷により生じる曲がりおよびねじれが保護構体に伝わらないように保護構体7のブロック12に送りビーム6を取り付けることは、1つのA型取付けユニットおよび1つのB型取付けユニットで継手を形成することによって、または3つのA型取付けユニットで継手を形成することによって実現される。図3aないし図3bおよび図4aないし図4cは、保護構体7のブロック12を送りビーム6へ取り付ける非好適方法と好適方法を示す。
【0036】
図3aは、保護構体7のブロック12を送りビーム6へ取り付ける非好適な方式を示す。明瞭な図を提供するため、同図およびこれに続く図3bないし図4cは保護構体のブロック12を模式的枠体として示すが、これは、実施例に応じて、保護構体7のブロック12の支持構体、またはブロック12自体の一部を表わすと考えてよい。図3aでは、保護構体のブロック12は2つの取付けユニットによって送りビーム6へ取り付けられ、このうち一方は図の左側で2つの取付け要素13によって形成され、他方は図の右側で2つの取付け要素13によって形成されている。これらの取付け要素間の間隔は1メートルを超える。
【0037】
本実施例では、各取付けユニットは送りビーム6の両側に配設された2つの取付け要素13で構成され、各取付け要素13はこの場合、少なくとも1つのボール継手8と、一方の端部が送りビーム6に、また他方の端部がボール継手8に配設された第1のアーム9と、一方の端部がブロック12に、また他方の端部がボール継手8に配設された第2のアームとで構成されている。この種の取付け要素の原理は例えば、図5aに示すようなものでよい。これらの取付け要素13のそれぞれは3自由度、すなわち線形運動の全自由度を拘束するが、3つの回転もしくはねじれ方向はすべて許容されている。各取付けユニットの取付け要素13が実質的に同一の平面yz上にあって互いに一定の間隔で配設されているので、各取付けユニット全体は、それでもなお、x軸を中心とする回転運動を拘束する。換言すれば、図3aの取付けユニットは、その取付け要素13がy軸を中心として生ずる回転方向も可撓性があるほど直線方向xにおいて十分に可撓であれば、B型取付けユニットとなり、それ以外の場合、これはC型取付ユニットになり、それなりにすでに非好適例である。
【0038】
したがって、上述の2つのB型取付けユニットのそれぞれは少なくとも4自由度を拘束する支持を形成し、合わせてこれらは少なくとも8自由度を拘束し、これによって過剰支持を生じるが、これは非好適例である。このような取付け方法に固有の問題は送りビームのねじれ方向Aにおける過剰支持である。なぜなら、これによって保護構体7のブロック12が送りビームのねじれに起因するねじれ力と負荷を受け、これによってブロック12に容易に引き裂きを生じ、および/またはそうでなくても損傷を与え易いからである。
【0039】
図3bは保護構体のブロック12を送りビームへ取り付ける他の非好適な方式を示す。この取付け方式は、送りビーム6の長手方向Cにおけるその中央領域においてブロック12と送りビーム6との間に第5の取付け要素13が設けられている点を除き、他は図3aのものと同様である。この取付け要素13は、送りビーム6の長手方向Cにおいて他方の取付け要素13から1メートルを超える間隔で存在し、これによって、回転もしくはねじれ方向の自由度ではなく、3つの線形自由度を拘束する第3の取付けユニットをこれ自体で形成している。したがって、この取付けユニットはA型を表し、図3bに示す継手全体は2つのB型取付けユニットと1つのA型取付けユニットから成るので、不利である。図3aの場合のように、2つの取付け要素13から成るB型取付けユニットは、y軸を中心とする回転もしくはねじれに対する支持が可撓であれば、4自由度を拘束する支持を形成し、さらに、A型取付けユニットは3自由度を拘束する支持を形成し、したがって保護構体7内のブロック12は11自由度を拘束する支持部によって支持される。この取付け方式は、先に述べたものより明らかに過剰支持であり、また送りビーム6の曲がりにより生じる力をブロック12へ伝搬し、こうしてブロック12にかかる負荷とそれに起因する損傷が増大する。
【0040】
図4aはブロック12を保護構体7へ取り付ける1つの方式を示す。同図において、ブロック12の一方の端部すなわち左側端部には、送りビームの曲がり方向Bに平行な両側で互いに離れて対向する2つの取付け要素13が設けられている。これらの取付け要素13はほとんど同一の平面yz上にあって互いに間隔をおいているので、y軸およびz軸方向において直線方向を拘束し、かつx軸を中心とする回転運動もしくはねじれ運動を拘束するがx軸方向には若干可撓であって、y軸方向の回転もしくはねじれが可撓である場合、3自由度を拘束する支持を有するB型取付けユニットを形成する。図4aの取付け要素13は図3aおよび図3bにおけるものと同じである。すなわちこれらは、少なくとも1つのボール継手8と、一方の端部が送りビーム6に、また他方の端部がボール継手8に配設された第1のアームと、一方の端部がブロック12に、また他方の端部がボール継手8に配設された第2のアーム10とから成る。
【0041】
送りビーム6の遠端部、すなわち同図における右側には、送りビームの曲がり方向Bに垂直な面、すなわち同図における上面には、1つの取付け要素13が設けられている。この取付け要素は、例えば図5bもしくは図5cのものと同様でよい。この取付け要素によって、送りビーム6の長手方向Cにおいて送りビーム6およびブロック12が相対的に回転もしくはねじれ運動だけでなく線形運動も可能であれば、これは2自由度を拘束するにすぎない。この種の取付け要素は例えば、少なくとも1つのボール継手8と、一方の端部が送りビーム6に、また他方の端部がボール継手8に配設された第1のアームと、一方の端部がボール継手8に、また他方の端部がブロック12に配設された第2のアーム10とで取付け要素13を形成し、アーム9および10のうちの少なくとも一方は、材料および/または構造を選択することによって送りビームの長手方向Cにおいて可撓であるように形成することで、実現することができる。一実施例によれば、この種の取付け要素13は、少なくとも1つのボール継手8と、一方の端部が送りビーム6に、また他方の端部がボール継手8に配設された第1のアーム9と、一方の端部がボール継手8に、また他方の端部がブロック12に配設された第2のアーム10とでトラニオン11によって形成され、送りビーム6およびブロック12は送りビームの長手方向における相対的な線形運動が可能である。図5bおよび図5cは、この種の取付け要素の2つの可能な実施例の模式図である。この場合、図4aにおいて右側に示す取付け要素13で形成された取付けユニットは、2つの線形自由度を拘束するが、回転自由度は拘束せず、これによってA型取付けユニットとなっている。
【0042】
換言すれば、図4aの取付け方式は1つのA型取付けユニットと1つのB型取付けユニットで構成することができる。1つのB型取付けユニットから成る支持は、B型取付け要素がx方向に可撓である場合、4ないし8自由度を拘束することができる。
【0043】
図4bはさらに、保護構体7のブロック12を送りビーム6へ取り付ける方式を示す。この方式は、図4aにおけるものと非常によく似ているが、両図の左側にあるブロック12の端部には、送りビーム6の遠端部の取付け要素13と同じ側に別の取付け要素が配設されて、2つではなく3つの取付け要素13が設けられている点が異なる。同図の左側の3つの取付け要素13は、送りビーム6の長手方向Cにおいて互いの間に1メートル未満をとっているので、これらは1つの取付けユニットを形成している。この取付けユニットが少なくとも1つの線形運動と、x軸を中心として生ずる回転運動もしくはねじれ運動を拘束する場合、この取付けユニットはB型を呈する。取付けユニットにおける取付け要素が剛性である場合、図4bの取付けユニットはどの自由度も自由でなく、6自由度がすべて拘束され、これによってこの支持はC型取付けユニットになる。B型取付けユニットの取付け要素がx方向に可撓である場合、B型取付けユニットは1、2もしくは3自由度が自由である。この場合、拘束もしくは占有されている自由度はy軸およびx軸に沿ったものと、x軸を中心とする回転もしくはねじれである。さらに、y軸およびz軸を中心とする回転もしくはねじれは、自由であり、可撓であり、または拘束され得る。同図の右側の取付けユニットはA型取付けユニットであり、図4aに関連して開示したように機能することができる。A型取付けユニットに関する先の実施例を参照すると、図4bによる支持は5ないし8自由度を拘束することができる。この種の取付け方式によっても、回転方向もしくはねじれ方向Aにおける送りビーム6のねじれと、曲がり方向Bにおける曲がりとがかなり良好に可能である。なぜなら、この継手は、保護構体7にとって歪みを受ける際に重要な方向において必ずしも過剰支持にならないからである。
【0044】
図4cは保護構体7のブロック12を送りビーム6へ取り付けるさらに他の方式を示す。本実施例では、継手は3つの取付け要素13で構成され、これらすべてが送りビームの長手方向Cにおいて1メートルを超える間隔で配され、こうしてそれぞれが別個の取付けユニットを形成している。各取付けユニットは1ないし3線形自由度を拘束できるが、回転方向もしくはねじれ方向のすべての自由度は自由または可撓であり、したがって、これらすべての取付けユニットはA型取付けユニットである。すなわち、図4aでは、継手は3つのA型取付けユニットで形成でき、合計3ないし9つの拘束された自由度を有する。図4cの取付け方法において最適な支持の一例は、左側端部の取付けユニットが3線形自由度、すなわちx軸、y軸およびz軸方向をすべて拘束し、右側端部の取付けユニットが2線形自由度、すなわちx軸、y軸およびz軸に沿った方向を拘束し、中央の取付けユニットだけが1線形自由度を、すなわちy軸に沿った方向を拘束し、これによって全体で6自由度を支持するものであろう。
【0045】
取付け要素がヒンジであれば、5自由度の支持を呈する。しかし、ヒンジの取付けに用いる要素が可撓性の回転もしくはねじれが可能な程度まで可撓である場合、このヒンジは4自由度の支持を呈する。ヒンジの取付けによって両方向の回転もしくはねじれが可能であると、この要素は全体として3自由度を拘束するにすぎない。
【0046】
図5aは取付け要素13の一実施例の模式図である。取付け要素13は、例えば、少なくとも1つのボール継手8と、送りビーム6など取り付けられる第1の部品に一方の端部が、またボール継手8に他方の端部が配設可能な第1のアーム9と、ブロック12など取り付けられる第2の部品に一方の端部が、またボール継手8に他方の端部が配設可能な第2のアーム10とで構成してもよい。取付け要素13にはさらに、取り付けられる第1および第2の部品に取付け要素13を固定するための、例えば緊締フランジ15を設けてもよい。この種の取付け要素だけで3線形自由度を拘束する。取付け要素13ならびに緊締される第1および/または第2の部品の間にはさらに、弾性減衰器14を設けてもよく、これは、例えば部品間で騒音が伝搬しないようにしつつ、各部品の互いに対する個々の動きを許容するものである。騒音減衰の他の方法は、ボール継手をゴムで作ることであり、これによってゴム製ボール継手はいずれの騒音も阻止する。この種のボール継手は線形自由度を拘束するが、回転もしくはねじれ方向には可撓もしくは自由であることが多い。
【0047】
図5bは取付け要素13の第2の実施例の模式図である。ここで、取付け要素13は例えば、ボール継手8と、送りビーム6などの取り付けられる第1の部品に一方の端部が、またボール継手8に他方の端部が配設可能な第1のアーム9と、ブロック12などの取り付けられる第2の部品に一方の端部が、またボール継手8に他方の端部が配設可能な第2のアーム10と、同図に示すように、取り付けられる第1の部品に第1のアーム9を、もしくは取り付けられる第2の部品に第2のアームを取り付けることができるトラニオン11とで構成することができる。取付け要素13にはさらに、例えば取り付けられる第1および第2の部品に取付け要素13を緊締する緊締フランジを設けてもよい。この取付け要素だけで2線形自由度を拘束することができる。加えて、取付け要素13ならびに取り付けられる第1および/または第2の部品の間に弾性減衰器14を設けてもよく、これは、例えば部品間で騒音が伝わらないようにしつつ、各部品の互いに対する独立した動きを許容するものである。または、上述のようにボール継手をゴムで作ることによって、騒音減衰を行ってもよい。
【0048】
図5cは取付け要素13の第3の実施例の模式図である。同図の取付け要素13は例えば、ボール継手8と、選択した方向において材料もしくは構造のいずれかにより可撓性を有し、一方の端部が送りビーム6など取り付けられる第1の部品に、また他方の端部がボール継手8に配設可能な第1のアーム9と、ブロック12など取り付けられる第2の部品に一方の端部が、またボール継手8に他方の端部が配設可能な第2のアーム10とで構成することができる。第1のアーム9は可撓性材料で、または、例えば負荷状態で選択された方向、例えば送りビームの長手方向Cへアームが屈曲可能な構造に作ってもよい。この種の取付け要素13は、そのアームが2方向に可撓であるので、1もしくは2線形自由度を拘束する。さまざまな実施例において第1のアーム9は、選択された方向、例えば送りビームの長手方向Cに可撓性を呈する第2のアーム10で置き換え、もしくは補足してもよい。
【0049】
上述のように、張力、ねじり力および外力の伝搬について6自由度を拘束することで得られる最適な支持は、例えば各部品を1固定点で接続することによって実現してもよい。しかし、送りビームおよびこれに配設された保護構体などの大きな可動体に関するかぎり、この種の継手の寸法設計は、常にリスクを伴い、確実に安全な継手とするには、技術面、運用面、また費用面でも常に非現実的なやり方で強度に製造する必要がある。それでも、従来技術の取付け方式と比べると、上述のような6自由度を拘束する支持を用いれば、保護構体へ伝達される力をかなり減少させることができる。送りビームの回転もしくはねじれ方向Aおよび曲がり方向Cが実質的に過剰支持すなわち過度な支持にならないように過剰支持の自由度を、もし選べるならば、送りビーム6のねじれおよび曲がりにより保護構体7に生じる過剰負荷を最小にすることは、依然として可能である。取付けユニットが上述のように3ないし15mm、移動したり、あるいは0.5ないし2度、回転もしくはねじれたりする(許容範囲の両端値を含む)場合、過剰支持は生じない。なぜなら、このような場合、その支持は特定の方向において可撓であり、したがって、理論的にはあり得ても、過剰支持状態が構体に害を与えることはない。
【0050】
上述の実施例に示された1、2もしくは3自由度を拘束する支持は、1、2もしくは3線形自由度を拘束するものであるが、少なくともほとんどについてボール継手8により実現される。しかし、これは開示内容を簡略化しているにすぎない。同様の1、2もしくは3自由度を拘束する支持もまた、取付け要素13をゴムなどの弾性材で、例えばゴム製減衰器として作ることによって、または例えば金属性素子で特定の方向に可撓性を有し負荷状態で屈曲する各種のバネやプレートなどの構造を与えることによって、実現することができる。さらに、取付け要素13のさまざまな実施例は、摺動方式やレバー方式などの構造的方策を用いて実現することができる。さらにまた、必要な自由度が得られる支持は上述の方式をさまざまに組み合わせて達成することができる。
【0051】
上述の実施例はまた、取付け要素13が少なくとも1つの第1のアーム9、第2のアーム10およびボール継手8から成ることも示している。しかし、1つ以上の取付け要素13がこれとは異なる構造を有してもよい。例えば、第1のアームだけを有し、第1のアームは、取り付けられる第1の部品に一方の端部が、また取り付けられる第2の部品に他方の端部が配設されてもよい。この場合、アームの材料および/または構造を選択して、ボール継手で実現される実施例に示すものと同様な支持を可能としてもよい。図6aは、この種の取付け要素13の実施例の模式図であり、これはブロック12と送りビーム6を互いに取り付けるものである。図6aの実施例では、取付け要素13は少なくとも1つの第1のアーム9を有し、その一方の端部は取り付けられる第1の部品に、すなわち同図における送りビーム6に、ネジ継手などの固定継手16によって取り付けられ、他方の端部は取り付けられるブロック12などの第2の部品にボール継手8によって取り付けられている。当然、これとは逆の継手も可能であり、その場合、取り付けられる第1の部品がブロック12であり、取り付けられる第2の部品が送りビーム6である。ボール継手がゴム8で作られている場合、取付け要素13は線形運動をすべて拘束するが、回転は可能である。アーム9によって可撓性が増すが、図6aの場合、これによってx軸に沿った運動が可能である。換言すれば、ボール継手8がこの図の紙面から上がったり下がったりすると考えてよい。したがって、図6aに示す支持は2自由度だけ、すなわち図6aに模式的に示すy軸およびx軸に沿った移動だけを拘束する。
【0052】
図6bは、ブロック12および送りビーム6を互いに取り付ける他の取付け要素13の模式図である。図6bの実施例では、取付け要素13は少なくとも1つのアーム9を有し、その一方の端部は取り付けられる第1の部品、すなわち同図における送りビーム6にネジ継手などの固定継手16によって取り付けられ、他方の端部は取り付けられるブロック12などの第2の部品にトラニオン11によってy軸方向に取り付けられている。当然、逆の取付けも可能であるが、その場合、ブロック12が第1の部品になり、送りビーム6は取り付けられる第2の部品になる。トラニオンがy軸方向に取り付けられると、トラニオン自体で、y軸を中心とする回転もしくはねじれ以外の他の全自由度を拘束する。しかし、アーム9が薄板で作られているとすれば、z軸を中心とする回転もしくはねじれに対しても曲がりやすくなってしまうであろう。したがって、この支持体は2線形自由度、すなわちy軸およびz軸の方向と、1回転自由度、すなわちこの図の紙面に垂直なx軸を中心に生ずる回転とを支持することになってしまう。取付け要素13と取り付けられる第1および/または第2の部品との間には、可撓性減衰器14を配設してもよく、これは例えば、騒音が部品間を伝搬するのを防ぎつつ、各部品間の互に対する個々の動きを許容するものである。図6では、この種の減衰器がトラニオン11に関連して配設されている。
【0053】
図7a、図7bおよび図7cは、クレードル5への取付けおよび移送シリンダ6aの軌道に必要な部分を除いて送りビーム6全体が保護構体7の内側に配設されている一実施例を示す。この場合、送りビーム6と保護構体7との間に可動継手が形成され、送りビーム6と保護ケーシングが相対的に動いても、それらの間の力を減少させ、また継手を封止する。図7bは、図6aの断面A-Aに沿った構体7の模式的前面図である。図7cは図7aに破線で示す細部の部分的横断面の模式図である。
【0054】
図7aないし図7cの実施例では、可動継手は、保護構体7と送りビーム6およびこれに取り付けたシーリングプレート18との間に配設されたシール17によって形成されている。可動継手のシール17は、送りビーム6の長手方向各側では、図7bに示すように、この長手方向に平行で送りビーム6と保護構体7との間に配設され、送りビーム6の周囲の部分では、とくに図7cに示すように、シーリングプレート18と保護構体7との間で垂直に配設されている。この場合、シーリングプレート18は送りビーム6へ取り付けられてその形状に追随し、シール17は、例えば取付け部品19によって保護構体7へ取り付けられている。換言すれば、シーリングプレート18は送りビーム6に固定され、これとともに移動する。この種の可動継手は、保護構体7の防音能力など、その利用目的を実質的に損なうことなく、例えば±10mmの動きを受けることができる。上述のように、本実施例においても保護構体7は1つ以上のブロック12で構成することができる。
【0055】
図8aないし図8cは、送りビーム6の方向Cに実質的に連続して配された少なくとも2つのブロックで保護構体7が構成された保護構体7の実施例の模式図であり、各ブロックは同図において参照番号12’、12”および12’”で示す。
【0056】
図8aは、送りビーム6の方向Cに実質的に連続して配設された3つのブロック12’、12”および12’”で保護構体7が構成された一実施例の模式図である。送りビーム6の長さに対して選択されたブロック12の数が適切であれば、それだけですでに送りビーム6の曲がりおよびねじれに起因する力のブロック12への伝達が減少し、この減少は、各ブロックの送りビーム6への取付け方に無関係である。なぜなら、保護構体7が複数のブロック12から成る場合、各ブロック12の全長に加わる曲がりおよびねじれが保護構体7の全長のそれより相応に小さくなるからである。換言すれば、保護構体を3つ以上のブロック12で作ることがさらに望ましい。ブロックが短いほど、曲がりにより生じる問題が少なくなる。単一の取付けユニットで6自由度を拘束すれば、非常に短いブロックを複数、取り付けることもできる。しかし、ブロック数が増えるにつれてシールの費用もかさむ。
【0057】
図8bは、保護構体の2つのブロック、例えば同図のブロック12’および12”が送りビームの長手方向Cに連続して配設された一実施例の模式図であり、取り付けられる第1のブロックには、取り付けられる第2のブロックより小さい横断面の取付け端部を設けることによって、両ブロックが一緒に配設される。第1のブロックの取付け端部は、少なくともその大部分が第2のブロックの端部の内側に配設され、この端部は同図に破線で示す。この種の実施例における構造、材料および取付け部品は、継手により生ずる小さな回転もしくはねじれを各ブロックごとに許容するよう、または両ブロック12の入れ子状端部の相対的な回転もしくはねじれを許容するように設計してもよい。両ブロック12の入れ子状端部の相対的回転もしくはねじれは、各端部が十分に相対的回転もしくはねじれを行える間隙を内側の部分に設けることによって、または入れ子状端部が送りビームの回転もしくはねじれ方向Cにおいて回転したりねじれたりしないような鋭い隅部や他の同様の形状を有さないプロファイルを保護構体7に設けることによって、実現することができる。継手に間隙を設ける場合、継手を封止して騒音を減らしてもよい。
【0058】
図8cは、送りビームの長手方向Cに連続して2つのブロック、例えば同図では12’および12”が配設された一実施例の模式図であり、両ブロックは、同図ではベローズである接続部材20によって相互接続されている。ベローズに代わって、他の何らかの弾性部材を使用してもよい。接続部材20は好ましくは、ブロック12を互いに接続し、これらが同時に相対的に運動することができる。保護構体7の両ブロック12の間には、騒音の伝搬を防ぎつつブロック12の相対的動きを可能にする、例えば弾性シールを配設することができる。ブロック12はそれぞれの端部で互いに連結することができる。この場合、接続部材20はこれらの端部間に配設されるか、または両ブロック12はそれぞれの端部で部部的に入れ子にしてもよいが、これは、ブロック12の形状でこれが可能な場合、すなわちその形状が両ブロック12の相対的な回転もしくはねじれを妨げるような隅部もしくは切欠き部を有さない場合に限られる。
【0059】
保護構体7が2つ以上のブロックから成る一実施例では、ブロックと保護構体7間に、例えば弾性材で作られた弾性シールが設けられる。このシールは例えば、騒音の伝搬を防止しつつ、ブロックの相対的な個々の動きを許容にする。
【0060】
掘削中、穿孔すべき穴の深度に関する情報を削岩機へ伝送するが、これは、鉱山もしくは掘削現場に配置されたレーザ送信機と、削岩機台車、送り装置もしくは送りビームに配設されたレーザ受信機とにより行われる。このような装置は、送信機と受信機との間の見通しがよいことが必要である。上述した保護構体や従来技術の保護構体が削岩リグに設けられている場合、送信機と受信機の間の見通しが妨げられる。このような場合、保護構体が見通し可能なほど開放をすることができない限り、レーザ受信機は削岩機台車、送り装置もしくは送りビームに配設することができない。しかし、これは掘削を妨げる可能性がある。なぜなら、これらの装置の騒音もしくは安全性が必ずしも許容レベルに維持されないからである。
【0061】
したがって、保護構体を備えた装置では、レーザ受信機は保護構体を形成する構造物の外側に配してレーザ送信機と直接接続する必要がある。しかも、レーザ受信機は、レーザ送信機により与えられるレーザフィールドを識別できるよう上下に動かすことができる必要がある。加えて、掘削場所が分かればレーザ受信機と削岩リグの間の距離を計算し、これによってレーザビームの高さに対する削岩リグの位置が求められるよう、レーザ受信機の削岩リグにおける位置が既知でなければならない。
【0062】
図9は削岩において使用するレーザ受信機を保護構体と関連して配置する装置の模式的側面図である。図9の装置では、送りビーム6の周囲に部分的に配設された保護構体7の外側に滑走索22が止め具21によって取り付けられ、レーザ受信機23が滑走索に可動的に支持されている。この装置はさらに、レーザ受信機23を滑走索22上で移動させる手段を有している。図9の装置では、これらの可動手段は、電動機24、綱車25および歯付きベルト26を含み、歯付きベルト26はレーザ受信機23および電動機24に接続されている。電動機24を駆動することによって、歯付きベルト26は、歯付きベルト26が動くと一緒にレーザ受信機23が、図9で見た場合の上下に、すなわち図9において保護構体7の垂直方向すなわち高さ方向に動くように、電動機24もしくはその一部と綱車25を周回することができる。保護構体7の高さ方向におけるレーザ受信機23の位置は例えば、綱車25の付近に配置された絶対値センサなどの模式的に示す測定装置28によって判別することができる。測定装置は、歯付きベルト26の走行量もしくは綱車23の回転運動に基づいてレーザ受信機23の位置を測定するように構成されている。明瞭にするため、電動機24および綱車25の保護構体への支持方法は、記載していない。
【0063】
図9の装置の利点は、レーザ送信機より送信されたレーザビームを使ってレーザ受信機を保護構体の高さ方向に移動させることによりレーザビームの高さに到達することができ、その場合、例えば削岩機台車を全く移動させる必要がないことである。加えて、レーザビームの高さは掘削作業を妨げることなく掘削中に決めることができる。レーザ受信機は、これを現場の送り装置と無関係に自由に配置することができ、これによってレーザ受信機はレーザビームが最も照射されやすい位置に設置することができる。
【0064】
図10は、削岩にて用いられるレーザ受信機を保護構体へ配置する第2の装置の模式的側面図であり、図11は、図10の装置の線B-Bに沿った断面を模式的に示す。図9および10の実施例では、送りビーム6の周囲に配設された保護構体7の外側にこれに関連して滑走索27がある。この滑走索はこれに可動的に支持されたレーザ受信機23を有している。この装置はさらに、レーザ受信機23を滑走索22上で移動させる可動装置を含んでいる。図10および図11の装置において、可動装置は電動機24、綱車25および歯付きベルト26を含み、歯付きベルト26はレーザ受信機23および電動機24へ接続されている。電動機24を駆動することで歯付きベルト26は、歯付きベルト26が動くにつれてこれとともにレーザ受信機が、図10で見た場合の上下に、すなわち図10において保護構体7の垂直方向すなわち高さ方向に動くように、電動機24もしくはその一部と綱車25を周回することができる。保護構体7の高さ方向におけるレーザ受信機23の位置は、絶対値センサなどの模式的に示す測定装置によって判別することができる。測定装置は、歯付きベルト26の走行量もしくは綱車23の回転量に基づいてレーザ装置23の位置を測定するように構成されている。明瞭にするため、電動機24もしくは綱車25の保護構体7への支持方法は、図示していない。
【0065】
図9および図10の装置では、滑走索27は、回転鋳造方法によって保護構体7の一部として形成することができる。なぜなら、回転鋳造方法を用いて保護構体7を作ることによって滑走索27は回転鋳造技術で保護構体7と一体の部分として同時に作ることができるからである。この方法で製造された滑走索は、寸法が精密で軽い。同時に滑走索は、それが必要な装置に対して自動的に得ることができる。加えて、図9の装置と比較すると、例えば、部品とその固定素子が少なくてすむ。回転鋳造方法によれば、使用する技術的設計に応じて保護構体および削岩リグ全体の外観を所望に応じて容易に形成することができる。
【0066】
場合によって、本願に開示した各構成要件は他の構成要件と無関係に用いてもよい。他方、本願に開示した各構成要件は、必要に応じて組み合わせて、さまざまな組合せを提供することができる。
【0067】
図面および関連明細書は本発明の概念の説明のみを意図している。図面は寸法を表わしていない。本発明の内容は特許請求の範囲内で変えることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのブロック(12)から成る保護構体(7)を削岩リグの送りビームに対して該送りビーム(6)の周囲の少なくとも一部に取り付け、該送りビーム(6)はクレードル(5)を介して前記削岩リグのブーム(4)へ可動的に配設されている方法において、該方法は、
前記保護構体(7)のブロック(12)を前記送りビーム(6)へ取付けユニットにより取り付け、前記削岩リグの使用中に該送りビーム(6)に働く力に起因して前記送りビーム(6)がその長手軸の方向(B)において曲がり、および/またはその長手軸を中心としてねじれ方向(A)にねじれても、前記ブロック(12)は実質的にその原型を維持することを特徴とする保護構体の送りビームへの取付け方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、該方法は、前記保護構体(7)を少なくとも2つのブロック(12)で形成することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、該方法は、各部品を相対的に動かす少なくとも1つの接続部材(20)によって前記ブロック(12)を互いに接続することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載の方法において、該方法は、前記保護構体(7)のブロック(12)の間に弾性シーリングを配設して騒音の伝搬を防止しつつ前記部品の相対的動きを許容することを特徴とする特徴とする方法。
【請求項5】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、前記ブロック(12)の取付け要素(13)のうち少なくとも1つに継手を設けることを特徴とする方法。
【請求項6】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、前記ブロック(12)を前記送りビーム(6)に1つのA型取付けユニットもしくは1つのB型取付けユニットによって、または3つのA型取付けユニットによって取り付け、1つのA型取付けユニットは、少なくとも1つの線形自由度を拘束しつつ回転もしくはねじれの自由度は可撓もしくは自由にするとともに1つ以上の取付け要素(13)を含み、該取付け要素は、前記送りビーム(6)の長手軸の方向において1メートル範囲内に設置され、該送りビーム(6)の長手軸を中心としたねじれが可能なように線形に配置され、1つのB型取付けユニットは、少なくとも1つの線形自由度と前記送りビーム(6)の長手軸を中心に生ずる回転もしくはねじれとを拘束しつつ他の回転もしくはねじれ自由度は可撓もしくは自由にするとともに1つ以上の取付け要素(13)を含み、該取付け要素は、前記送りビーム(6)の長手方向において1メートルの範囲内に設置されていることを特徴とする方法。
【請求項7】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、最大で6自由度を拘束する支持を行う取付け方式によって前記保護カバー(7)のブロック(12)を前記送りビーム(6)に取り付け、前記送りビームのねじれ方向(A)および曲がり方向(B)は実質的に過剰支持にならないようにして、前記送りビーム(6)のねじれおよび曲がりにより前記ブロック(12)に生じる力の伝達を最小にすることを特徴とする方法。
【請求項8】
少なくとも1つのブロック(12)から成り、削岩リグのブーム(4)へクレードル(5)を介して可動的に配設された削岩リグの送りビーム(6)の周囲に少なくとも部分的に配設される削岩リグの保護構体において、該保護構体のブロック(12)には、該ブロック(12)を前記送りビーム(6)へ取り付ける取付けユニットが設けられ、該取付けユニットが該送りビーム(6)へ取り付けられると、前記削岩リグの使用中に前記送りビーム(6)に働く力に起因して該送りビーム(6)がその長手軸の曲がり方向(B)に曲がり、および/またはその長手軸を中心としてねじれ方向(A)にねじれても、該保護構体(7)は実質的にその原形を保つことを特徴とする保護構体。
【請求項9】
請求項8に記載の保護構体において、該保護構体(7)は少なくとも2つのブロック(12)から成ることを特徴とする保護構体。
【請求項10】
請求項9に記載の保護構体において、前記ブック(12)は、各部品の相対的動きを許容する少なくとも1つの接続部材によって互いに接続できることを特徴とする保護構体。
【請求項11】
請求項9または10に記載の保護構体において、該保護構体7のブロックの間には、騒音の伝搬を防ぎつつ前記部品の相対的動きを許容する弾性シールを配設できることを特徴とする保護構体。
【請求項12】
請求項8ないし11のいずれかに記載の保護構体において、前記ブロック(12)の取付け要素(13)のうち少なくとも1つは継手を含むことを特徴とする保護構体。
【請求項13】
請求項8ないし12のいずれかに記載の保護構体において、前記ブロック(12)には、該ブロック(12)を前記送りビーム(6)に取り付ける1つのA型取付けユニットもしくは1つのB型取付けユニット、または3つのA型取付けユニットが設けられ、1つのA型取付けユニットは、少なくとも1つの線形自由度を拘束しつつ回転もしくはねじれの自由度は可撓もしくは自由にするとともに1つ以上の取付け要素を含み、該取付け要素は、前記送りビームの長手軸の方向において1メートルの範囲内に設置され、該送りビーム(6)の長手軸を中心としたねじれが可能なように線形に設置され、1つのB型取付けユニットは、少なくとも1つの線形自由度と前記送りビーム(6)の長手軸を中心に生ずるねじれとを拘束しつつ他の回転もしくはねじれ自由度は可撓もしくは自由にするとともに1つ以上の取付け要素(13)を含み、該取付け要素は、前記送りビーム(6)の長手方向において1メートルの範囲内に設置されていることを特徴とする保護構体。
【請求項14】
請求項8ないし13のいずれかに記載の保護構体において、前記ブロック(12)には、前記送りビーム(6)に該ブロック(12)を取り付ける取付けユニットが備えられ、該ブロック(12)の取付けユニットは、前記送りビーム(6)へ取り付けられると、最大で6自由度を拘束する支持を形成し、前記送りビームのねじれ方向(A)および曲がり方向(B)は実質的に過剰支持にならず、前記送りビーム(6)のねじれおよび曲がりによる前記ブロック(12)への力の伝達を最小にすることを特徴とする保護構体。
【請求項15】
請求項8ないし14のいずれかに記載の保護構体において、該保護構体は騒音減衰ケーシングであることを特徴とする保護構体。
【請求項16】
請求項8ないし14のいずれかに記載の保護構体において、該保護構体は安全ネットであることを特徴とする保護構体。
【請求項17】
請求項8ないし16のいずれかに記載の保護構体において、該保護構体に関連して、掘削にて使用されるレーザ受信機(23)を該保護構体へ支持する索構体(22、27)と、該索構体において該レーザ受信機(23)を該保護構体に対して動かす手段とが設けられていることを特徴とする保護構体。
【請求項18】
請求項8ないし17のいずれかに記載の保護構体において、該保護構体は回転鋳造方法で製造されることを特徴とする保護構体。
【請求項1】
少なくとも1つのブロック(12)から成る保護構体(7)を削岩リグの送りビームに対して該送りビーム(6)の周囲の少なくとも一部に取り付け、該送りビーム(6)はクレードル(5)を介して前記削岩リグのブーム(4)へ可動的に配設されている方法において、該方法は、
前記保護構体(7)のブロック(12)を前記送りビーム(6)へ取付けユニットにより取り付け、前記削岩リグの使用中に該送りビーム(6)に働く力に起因して前記送りビーム(6)がその長手軸の方向(B)において曲がり、および/またはその長手軸を中心としてねじれ方向(A)にねじれても、前記ブロック(12)は実質的にその原型を維持することを特徴とする保護構体の送りビームへの取付け方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、該方法は、前記保護構体(7)を少なくとも2つのブロック(12)で形成することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、該方法は、各部品を相対的に動かす少なくとも1つの接続部材(20)によって前記ブロック(12)を互いに接続することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載の方法において、該方法は、前記保護構体(7)のブロック(12)の間に弾性シーリングを配設して騒音の伝搬を防止しつつ前記部品の相対的動きを許容することを特徴とする特徴とする方法。
【請求項5】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、前記ブロック(12)の取付け要素(13)のうち少なくとも1つに継手を設けることを特徴とする方法。
【請求項6】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、前記ブロック(12)を前記送りビーム(6)に1つのA型取付けユニットもしくは1つのB型取付けユニットによって、または3つのA型取付けユニットによって取り付け、1つのA型取付けユニットは、少なくとも1つの線形自由度を拘束しつつ回転もしくはねじれの自由度は可撓もしくは自由にするとともに1つ以上の取付け要素(13)を含み、該取付け要素は、前記送りビーム(6)の長手軸の方向において1メートル範囲内に設置され、該送りビーム(6)の長手軸を中心としたねじれが可能なように線形に配置され、1つのB型取付けユニットは、少なくとも1つの線形自由度と前記送りビーム(6)の長手軸を中心に生ずる回転もしくはねじれとを拘束しつつ他の回転もしくはねじれ自由度は可撓もしくは自由にするとともに1つ以上の取付け要素(13)を含み、該取付け要素は、前記送りビーム(6)の長手方向において1メートルの範囲内に設置されていることを特徴とする方法。
【請求項7】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、最大で6自由度を拘束する支持を行う取付け方式によって前記保護カバー(7)のブロック(12)を前記送りビーム(6)に取り付け、前記送りビームのねじれ方向(A)および曲がり方向(B)は実質的に過剰支持にならないようにして、前記送りビーム(6)のねじれおよび曲がりにより前記ブロック(12)に生じる力の伝達を最小にすることを特徴とする方法。
【請求項8】
少なくとも1つのブロック(12)から成り、削岩リグのブーム(4)へクレードル(5)を介して可動的に配設された削岩リグの送りビーム(6)の周囲に少なくとも部分的に配設される削岩リグの保護構体において、該保護構体のブロック(12)には、該ブロック(12)を前記送りビーム(6)へ取り付ける取付けユニットが設けられ、該取付けユニットが該送りビーム(6)へ取り付けられると、前記削岩リグの使用中に前記送りビーム(6)に働く力に起因して該送りビーム(6)がその長手軸の曲がり方向(B)に曲がり、および/またはその長手軸を中心としてねじれ方向(A)にねじれても、該保護構体(7)は実質的にその原形を保つことを特徴とする保護構体。
【請求項9】
請求項8に記載の保護構体において、該保護構体(7)は少なくとも2つのブロック(12)から成ることを特徴とする保護構体。
【請求項10】
請求項9に記載の保護構体において、前記ブック(12)は、各部品の相対的動きを許容する少なくとも1つの接続部材によって互いに接続できることを特徴とする保護構体。
【請求項11】
請求項9または10に記載の保護構体において、該保護構体7のブロックの間には、騒音の伝搬を防ぎつつ前記部品の相対的動きを許容する弾性シールを配設できることを特徴とする保護構体。
【請求項12】
請求項8ないし11のいずれかに記載の保護構体において、前記ブロック(12)の取付け要素(13)のうち少なくとも1つは継手を含むことを特徴とする保護構体。
【請求項13】
請求項8ないし12のいずれかに記載の保護構体において、前記ブロック(12)には、該ブロック(12)を前記送りビーム(6)に取り付ける1つのA型取付けユニットもしくは1つのB型取付けユニット、または3つのA型取付けユニットが設けられ、1つのA型取付けユニットは、少なくとも1つの線形自由度を拘束しつつ回転もしくはねじれの自由度は可撓もしくは自由にするとともに1つ以上の取付け要素を含み、該取付け要素は、前記送りビームの長手軸の方向において1メートルの範囲内に設置され、該送りビーム(6)の長手軸を中心としたねじれが可能なように線形に設置され、1つのB型取付けユニットは、少なくとも1つの線形自由度と前記送りビーム(6)の長手軸を中心に生ずるねじれとを拘束しつつ他の回転もしくはねじれ自由度は可撓もしくは自由にするとともに1つ以上の取付け要素(13)を含み、該取付け要素は、前記送りビーム(6)の長手方向において1メートルの範囲内に設置されていることを特徴とする保護構体。
【請求項14】
請求項8ないし13のいずれかに記載の保護構体において、前記ブロック(12)には、前記送りビーム(6)に該ブロック(12)を取り付ける取付けユニットが備えられ、該ブロック(12)の取付けユニットは、前記送りビーム(6)へ取り付けられると、最大で6自由度を拘束する支持を形成し、前記送りビームのねじれ方向(A)および曲がり方向(B)は実質的に過剰支持にならず、前記送りビーム(6)のねじれおよび曲がりによる前記ブロック(12)への力の伝達を最小にすることを特徴とする保護構体。
【請求項15】
請求項8ないし14のいずれかに記載の保護構体において、該保護構体は騒音減衰ケーシングであることを特徴とする保護構体。
【請求項16】
請求項8ないし14のいずれかに記載の保護構体において、該保護構体は安全ネットであることを特徴とする保護構体。
【請求項17】
請求項8ないし16のいずれかに記載の保護構体において、該保護構体に関連して、掘削にて使用されるレーザ受信機(23)を該保護構体へ支持する索構体(22、27)と、該索構体において該レーザ受信機(23)を該保護構体に対して動かす手段とが設けられていることを特徴とする保護構体。
【請求項18】
請求項8ないし17のいずれかに記載の保護構体において、該保護構体は回転鋳造方法で製造されることを特徴とする保護構体。
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1b】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2013−509511(P2013−509511A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535892(P2012−535892)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【国際出願番号】PCT/FI2010/050854
【国際公開番号】WO2011/051564
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(506286478)サンドビク マイニング アンド コンストラクション オサケ ユキチュア (70)
【氏名又は名称原語表記】SANDVIK MINING AND CONSTRUCTION OY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【国際出願番号】PCT/FI2010/050854
【国際公開番号】WO2011/051564
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(506286478)サンドビク マイニング アンド コンストラクション オサケ ユキチュア (70)
【氏名又は名称原語表記】SANDVIK MINING AND CONSTRUCTION OY
【Fターム(参考)】
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