説明

保護膜転写装置及び保護膜転写方法

【課題】一台の保護膜転写装置によって複数種類の保護膜箔を転写可能とすることで
設置面積の省スペース化を図る。
【解決手段】カードに転写されるn種類の保護膜箔がn枚置きに順番に繰り返しコーティングされたテープ、テープがロール状に巻きつけられる元巻き軸及び保護膜箔がカードに転写された後のテープを巻き取る巻取り軸を内蔵したカートリッジと、元巻き軸若しくは巻取り軸を回転駆動させることで、テープの巻取方向を切換自在にテープを巻き取る巻取部と、カートリッジから露出したテープに対して重なるようにカードを搬送する搬送方向切換自在な搬送部と、テープ及びカードが重なった際に保護膜箔をカードに転写する転写部と、n種類の保護膜箔が元巻き軸側から順にカードに転写されるように、巻取部、搬送部及び転写部を制御する制御部とを備える保護膜転写装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護膜転写装置及び保護膜転写方法に係り、特に複数種類の保護膜箔の転写が可能な保護膜転写装置及び保護膜転写方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャッシュカードや、クレジットカード、従業者証、社員証、会員証、学生証などのIDカードには、表面の保護を図るために最上位層に保護膜箔が転写されている。このため、カード作成装置にはカード作成の最終工程として保護膜箔を転写する保護膜転写装置が搭載されていて、この保護膜転写装置によりIDカードの最上位層に保護膜箔が転写されることになる(例えば、特許文献1,2参照)。この特許文献1,2に示すように保護膜転写装置には、保護膜箔を転写するためのカートリッジが内蔵されている。カートリッジには、保護膜箔が積層されたラミネートフィルムがロール状に巻かれていて、保護膜転写装置が、カートリッジ内のラミネートフィルムを搬送し保護膜箔とIDカードとを接触させて加熱することで、保護膜箔がIDカードの表面に転写されるようになっている。
【特許文献1】特開2001−1674号公報
【特許文献2】特開2002−347372号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、近年においては種類の異なる複数の保護膜箔をIDカードに転写することも提案されているが、こうした場合、種類の異なる保護膜箔専用の保護膜転写装置を設置しなければならず、カード作成装置の大型化を招いてしまい、結果的に設置スペースが広範囲となってしまうおそれがあった。
【0004】
本発明の課題は、一台の保護膜転写装置によって複数種類の保護膜箔を転写可能とすることで設置面積の省スペース化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、請求項1記載の発明は、カードに転写されるn(nは2以上の自然数)種類の保護膜箔がn枚置きに順番に繰り返しコーティングされたテープ、当該テープがロール状に巻きつけられる元巻き軸及び前記保護膜箔がカードに転写された後の前記テープを巻き取る巻取り軸を内蔵したカートリッジと、前記元巻き軸若しくは前記巻取り軸を回転駆動させることで、前記テープの巻取方向を切換自在に前記テープを巻き取る巻取部と、前記カートリッジから露出した前記テープに対して重なるように前記カードを搬送する搬送方向切換自在な搬送部と、前記テープ及び前記カードが重なった際に前記保護膜箔を前記カードに転写する転写部と、n種類の保護膜箔が元巻き軸側から順にカードに転写されるように、前記巻取部、前記搬送部及び前記転写部を制御する制御部とを備えることを特徴とする保護膜転写装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の保護膜転写装置において、前記制御部は、x(xは1〜(n−1)の自然数)種類目の保護膜箔が前記カードに転写された後、当該x種類目の保護膜箔に対して前記巻取り軸側で隣り合う(x+1)種類目の保護膜箔が前記カードに転写されるように、前記巻取部、前記搬送部及び前記転写部を制御するとともに、n種類目の保護膜箔が前記カードに転写された後、当該n種類目の保護膜箔に対して前記元巻き軸側に保護膜箔(2n−1)枚分離れた位置にある1種類目の保護膜箔が次のカードに転写されるように、前記巻取部、前記搬送部及び前記転写部を制御することを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の保護膜転写装置において、前記巻取部は前記巻取り軸を回転駆動させることで、前記転写部よりも下流側において、前記カードの搬送方向と交差する方向に前記テープを巻き取ることにより、前記カードに転写された前記保護膜箔の先端を前記テープから剥離することを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の保護膜転写装置において、前記巻取部は前記元巻き軸を回転駆動させることで、前記転写部よりも上流側において、前記カードの搬送方向と交差する方向に前記テープを巻き取ることにより、前記カードに転写された前記保護膜箔の後端を前記テープから剥離することを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の保護膜転写装置において、前記搬送部は前記カードの搬送経路上で前記保護膜が転写されたカードを前記テープから離れる方向に引っ張ることで前記保護膜箔をカード上の保護膜箔と前記テープに残存する保護膜箔とに剪断する引張部を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、転写部と、カードを前記転写部の上流から下流に搬送するとともに前記カードをその反対方向に搬送する搬送部と、前記転写部よりも上流側においてテープを巻回した元巻き軸と、前記転写部よりも下流側において前記テープを前記元巻き軸から前記転写部を経由して巻き取る巻取り軸と、を備え、前記巻取り軸が前記テープを巻き取ることによって、前記テープに形成された上流側保護膜箔よりも前記巻取り軸側で前記テープに形成された下流側保護膜箔を前記転写部の下流に送り、前記転写部が前記上流側保護膜箔を前記カードに圧接した状態で、前記巻取り軸が前記テープを巻き取りながら前記搬送部が前記カードを前記転写部の上流から下流に搬送することで、前記上流側保護膜箔を前記カードに転写し、前記元巻き軸が前記テープを巻き取りながら前記搬送部が前記カードを前記転写部の下流から上流に搬送し、前記元巻き軸が前記テープを巻き取ることによって、前記下流側保護膜箔を前記転写部の上流に送り、前記転写部が前記下流側保護膜箔を前記カードに圧接した状態で、前記巻取り軸が前記テープを巻き取りながら前記搬送部が前記カードを前記転写部の上流から下流に搬送することで、前記下流側保護膜箔を前記カードに転写する保護膜転写装置である。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の保護膜転写装置において、前記転写部よりも下流側に、前記巻取り軸による前記テープの巻取り方向を前記カードの搬送方向と交差する方向に案内するガイドローラを備え、前記巻取り軸が前記カードの搬送方向と交差する方向に前記テープを巻き取ることにより、前記カードに転写された前記上流側保護膜箔の先端を前記テープから剥離することを特徴とする。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載の保護膜転写装置において、前記転写部よりも上流側に、前記元巻き軸による前記テープの巻取り方向を前記カードの搬送方向と交差する方向に案内するガイドローラを備え、前記元巻き軸が前記カードの搬送方向と交差する方向に前記テープを巻き取ることにより、前記カードに転写された前記上流側保護膜箔の後端を前記テープから剥離することを特徴とする。
【0013】
請求項9に記載の発明は、請求項6〜8のいずれか一項に記載の保護膜転写装置において、前記転写部よりも下流側に、前記巻取り軸による前記テープの巻取り方向を前記カードの搬送方向と交差する方向に案内するガイドローラを備えるとともに、前記搬送部は前記ガイドローラよりも下流側に前記カードを排出する排出駆動ローラを備え、前記巻取り軸が前記カードの搬送方向と交差する方向に前記テープを巻き取ることにより、前記カードに転写された前記下流側保護膜箔の先端を前記テープから剥離するとともに、前記排出駆動ローラにより前記カードを搬送方向下流側に引っ張ることで、前記カードに転写された前記下流側保護膜箔の後端を前記テープから剪断することを特徴とする。
【0014】
請求項10に記載の発明は、転写部よりも上流側の元巻き軸に巻回されたテープを前記転写部よりも下流側の巻取り軸に巻き取りながら、前記転写部により前記テープとカードを圧接した状態で搬送部により前記カードを前記転写部の下流へ搬送することで、前記テープに形成された保護膜箔を前記カードに転写する保護膜転写方法において、前記巻取り軸により前記テープを巻き取ることによって、前記テープに形成された上流側保護膜箔よりも前記巻取り軸側で前記テープに形成された下流側保護膜箔を前記転写部の下流に送るステップと、前記転写部により前記上流側保護膜箔を前記カードに圧接した状態で、前記巻取り軸により前記テープを巻き取りながら前記搬送部により前記カードを前記転写部の上流から下流に搬送することで、前記上流側保護膜箔を前記カードに転写するステップと、前記元巻き軸により前記テープを巻き取りながら前記搬送部により前記カードを前記転写部の下流から上流に搬送するステップと、前記元巻き軸により前記テープを巻き取ることによって、前記下流側保護膜を前記転写部の上流に送るステップと、前記転写部により前記下流側保護膜箔を前記カードに圧接した状態で、前記巻取り軸により前記テープを巻き取りながら前記搬送部により前記カードを前記転写部の上流から下流に搬送することで、前記下流側保護膜箔を前記カードに転写するステップと、を含むことを特徴とする。
【0015】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の保護膜転写方法において、前記転写部よりも下流側において、前記巻取り軸により前記カードの搬送方向と交差する方向に前記テープを巻き取ることにより、前記カードに転写された前記上流側保護膜箔の先端を前記テープから剥離するステップをさらに含むことを特徴とする。
【0016】
請求項12に記載の発明は、請求項10または11に記載の保護膜転写方法において、前記転写部よりも上流側において、前記元巻き軸により前記カードの搬送方向と交差する方向に前記テープを巻き取ることにより、前記カードに転写された前記上流側保護膜箔の後端を前記テープから剥離するステップをさらに含むことを特徴とする。
【0017】
請求項13に記載の発明は、請求項10〜12のいずれか一項に記載の保護膜転写方法において、前記転写部よりも下流側において、前記巻取り軸により前記カードの搬送方向と交差する方向に前記テープを巻き取ることにより、前記カードに転写された前記下流側保護膜箔の先端を前記テープから剥離するとともに、前記搬送部により前記カードを搬送方向下流側に引っ張ることで、前記カードに転写された前記下流側保護膜箔の後端を前記テープから剪断するステップをさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、一台の保護膜転写装置によって複数種類の保護膜箔を転写することが可能となる。これにより、カード作成装置を小型化することができ、結果的に設置面積を省スペース化することができる。
【0019】
また、カードの搬送経路上で保護膜が転写されたカードをテープから離れる方向に引っ張ることで、保護膜箔を、カード上の保護膜箔とテープに残存する保護膜箔とに剪断するので、カードに転写された保護膜箔をテープから容易に剥離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本実施形態における保護膜転写装置について図を参照にして説明する。まず、本発明に係る保護膜転写装置を搭載したカード作成装置について図1を参照に説明する。図1は、カード作成装置におけるカードの流れを表すブロック図である。
【0021】
カード作成装置1は、プリント部2と、カード供給マガジン3と、保護膜転写装置6と、カードスタッカー部7とを備える。
【0022】
カード供給マガジン3はプリント部2の上流に配置され、未印刷のカードをプリント部に供給する。プリント部2はカードに印刷を行い、保護膜転写装置6に搬送する。保護膜転写装置6は、プリント部2の下流側に配置されて当該プリント部2からのカードに対して保護膜箔を転写する。カードスタッカー部7は、保護膜転写装置6の下流側に配置されて当該保護膜転写装置6から排出された保護膜箔転写済みのカードを格納する。
保護膜転写装置6を含むカード作成装置1の各駆動部は、後述する制御部30により制御される。
【0023】
以下、保護膜転写装置6について説明する。保護膜転写装置6は、ベース60と、カートリッジ8と、搬送部10と、転写部20とを備え、後述する制御部30により制御されている。
【0024】
図2は保護膜転写装置6の正面図である。ベース60は後述するように、爪部材61、巻取部63(図5参照)、入口センサ64及び出口センサ65が設けられている。
また、ベース60には搬送部10、転写部20が保持されるとともに、カートリッジ8が交換自在に固定されるようになっている。
【0025】
搬送部10はベース60の下部に水平方向に配置されており、搬送ローラ11、従動ローラ12、搬入ベルト13、駆動ローラ14、押さえローラ15、転写後駆動ローラ16、転写後従動ローラ17、排出駆動ローラ18及び排出従動ローラ19を備える。
従動ローラ12が回転可能に設けられ、従動ローラ12よりも搬送方向下流側に駆動ローラ14が配置され、駆動ローラ14と従動ローラ12に無端状の搬入ベルト13が掛けられている。搬入ベルト13の上には、回転可能に設けられた2つの押さえローラ15が配列され、これら押えローラ15が搬入ベルト13に接している。モータにより駆動ローラ14が駆動されることで、搬入ベルト13の上に載置されたカード4が押えローラ15と搬入ベルト13との間に挟まれた状態で搬送され、押さえローラ15によりカード4の浮き上がりが防止される。
【0026】
駆動ローラ14よりも搬送方向下流側に転写後駆動ローラ16が設けられ、この転写後駆動ローラ16の上に転写後従動ローラ17が圧接され、カード4が転写後駆動ローラ16と転写後従動ローラ17に挟まれた状態で搬送される。転写後従動ローラ17が昇降装置66(図5に図示)によって上下に移動され、これにより転写後従動ローラ17が転写後駆動ローラ16に対して接離可能とされている。また、転写後従動ローラ17には冷却器が内蔵され、転写後従動ローラ17に接したカード4が転写後従動ローラ17によって冷却される。
転写後駆動ローラ16よりも搬送方向下流側には搬送ローラ11が設けられている。搬送ローラ11よりも搬送方向下流側に排出駆動ローラ18が設けられ、排出駆動ローラ18の上に排出従動ローラ19が圧接されている。排出駆動ローラ18、排出従動ローラ19よりも搬送方向下流側にカードスタッカー部7が配置され、排出駆動ローラ18、排出従動ローラ19に挟まれたカードがカードスタッカー部7に排出される。
【0027】
転写部20は、駆動ローラ14と転写後駆動ローラ16との間に配置された従動式のプラテンローラ21と、プラテンローラ21の上に圧接された駆動式の転写ローラ22とを備える。転写ローラ22は昇降装置67(図5に図示)によって転写後従動ローラ17と一体となって上下に移動され、これにより転写ローラ22がプラテンローラ21に対して接離可能とされている。また、転写ローラ22にはヒータが内蔵され、カード4やテープ81が転写ローラ22によって加熱される。
【0028】
搬送部10におけるベース60への入口付近には、カード4がその入口を通過したことを検出する入口センサ64が設けられている。具体的には、入口センサ64が、押さえローラ15,15の間に配置されている。
搬送部10におけるベース60からの出口付近には、カード4がその出口を通過したことを検出する出口センサ65が設けられている。具体的には、出口センサ65は、排出駆動ローラ18の下流側に配置されている。
【0029】
カートリッジ8は保護膜箔の供給源であり、テープ81と、元巻き軸82と、巻取り軸83と、ガイドローラ812a〜812gと、位置検出センサ813と、ケース84とからなる。元巻き軸82、巻取り軸83及びガイドローラ812a〜812gは、ケース84内において回転可能に設けられている。テープ81の基端が元巻き軸82に接続され、テープ81の先端は巻取り軸83に接続され、テープ81がガイドローラ812a〜812gに対してこれらの順番に掛けられ、元巻き軸82から巻取り軸83までのテープ81の搬送経路がガイドローラ812a〜812gによって形成されている。
【0030】
位置検出センサ813にはフォトインタラプタといった光学センサが用いられ、この位置検出センサ813が元巻き軸82の近傍かつこの搬送経路の途中に設けられている。位置検出センサ813は、テープ81に投光して、テープ81の透過光を受光することによってテープ81上の保護膜箔の位置を検出する。
【0031】
ケース84の下部には、内側に窪んだ状態のテープ露出口811が形成され、テープ81のガイドローラ812dとガイドローラ812eとの間の部分がテープ露出口811においてケース84から露出している。
【0032】
ベース60には3つの爪部材61が設けられている。これらの爪部材61は、図2の紙面垂直方向から挿入されたカートリッジ8を把持し、これによりカートリッジ8がベース60に装着される。カートリッジ8がベース60に装着された状態では、テープ81のうちガイドローラ812dとガイドローラ812eとの間の部分が、転写ローラ22とプラテンローラ21との間に挿入されるとともに、転写後駆動ローラ16と転写後従動ローラ17との間に挿入される。また、カートリッジ8は交換部品であり、ケース84が3つの爪部材61から外れるようになっている。
【0033】
元巻き軸82及び巻取り軸83は、ベース60に設けられた図示しない巻取部63(図5参照)により駆動される。巻取部63は、元巻き軸82への動力を遮断するとともに巻取り軸83への動力を伝達する正転状態と、元巻き軸82への動力を伝達するとともに巻取り軸83への動力を遮断する反転状態とに切替可能とされている。正転状態では、巻取部63が元巻き軸82を従動に切り換えて巻取り軸83を反時計回りに回転駆動させることで、テープ81が元巻き軸82から引き出されて巻取り軸83に巻き取られる。一方、反転状態では、巻取部63が巻取り軸83を従動に切り換えて元巻き軸82を時計回りに回転駆動させることで、テープ81が元巻き軸82に巻き取られる。このように巻取部63が元巻き軸82及び巻取り軸83の駆動・従動を切り換えることにより、テープ81の送り方向が切り換えられるようになっている。
【0034】
ここで、テープ81についてさらに詳細に説明する。図3はテープ81の表面を表す説明図であり、図4は図3のIV−IV断面図である。図3,図4に示すように、テープ81は、支持体81aに第1保護膜箔Aまたは第2保護膜箔Bがコーティングされ、さらに第1保護膜箔Aまたは第2保護膜箔Bの表面に接着剤からなる接着層85が形成されている。なお、図4ではカード4に転写される面を下としている。
支持体81aとしてはPET樹脂等を用いることができ、保護膜箔としてはUV硬化樹脂等を用いることができる。接着剤としてはホットメルト剤等を用いることができる。
【0035】
本実施形態では、基端側(元巻き軸82側)から第1保護膜箔A、第2保護膜箔Bという順で交互に、これらがテープ81の先端側(巻取り軸83側)まで繰り返し配列されている。各保護膜箔は少なくともカード4のサイズよりも大きい。なお、図3の2点鎖線部がカード4に転写される保護膜箔のサイズである。2種類の保護膜箔(第1保護膜箔A、第2保護膜箔B)は転写部20においてカード4に転写され、接着層によりカード4に接着される。
【0036】
また、各保護膜箔のそれぞれの間には、2種類の保護膜箔のそれぞれの位置を示す複数のマーク(第1マークC,第2マークD)が設けられている。例えば、第1マークCは、第1保護膜箔Aの先端側かつ第2保護膜箔Bの基端側に、テープ81の幅方向に延在する1本のラインとして設けられている。また、第2マークDは、第2保護膜箔Bの先端側かつ第1保護膜箔Aの基端側に、テープ81の幅方向に延在する2本のラインとして設けられている。
【0037】
第1マークC及び第2マークDは、支持体81aに例えば銀箔等の不透明な材料をコーティングすることにより形成される。これらのマークは、先端から基端に向けて等間隔に配置されている。
なお、第2マークDの2本のライン間にコーティングされていない空白部分89が形成されている。また、各マークの先端側にも、コーティングされていない空白部分90が形成されている。
【0038】
また、テープ81の基端には、エンドテープ91が設けられている。第1マークC、第2マークD及びエンドテープ91は支持体81aに例えば銀箔等の不透明な材料をコーティングすることにより形成される。
【0039】
各マークC,D及びエンドテープ91は位置検出センサ813で検出される。なお、第2マークDにおいては2本のラインそれぞれの太さを異ならせておけば、テープ81の方向までも検出することが可能となる。
【0040】
以下、図3、図7、図10、図11においては、第1保護膜箔、第2保護膜箔、第1マーク、第2マークを示す符号A,B,C,Dにテープ81の先端側(巻取り軸83側)からの繰り返し順序を表した数0,1,2,…,m−1,m、あるいは変数k(kは0からmまでの任意の整数)を付して説明する。ここで、第1保護膜箔A1と当該第1保護膜箔A1の先端側で隣り合う第2保護膜箔B1とに同じ数字(1)が付加されている。
【0041】
第1マークC1は、該第1マークC1からテープ81の先端側に離間した第1保護膜箔A1に対応しており、第2マークD1は、該第2マークD1からテープ81の先端側に離間した第2保護膜箔B1に対応している。
このため、後述するように、元巻き軸82の近傍に設けられた位置検出センサ813により第1マークC1または第2マークD1を検出することで、後述する制御部30によりガイドローラ812dとガイドローラ812eとの間のテープ81にある第1保護膜箔A1または第2保護膜箔B1が基準位置にあるか否かを判定することができる。
【0042】
同様に、第1マークCkは、該第1マークCkからテープ81の先端側に離間した第1保護膜箔Akに対応しており、第2マークDkは、該第2マークDkからテープ81の先端側に離間した第2保護膜箔Bkに対応している。
元巻き軸82の近傍に設けられた位置検出センサ813により第1マークCkまたは第2マークDkを検出することで、後述する制御部30によりガイドローラ812dとガイドローラ812eとの間のテープ81にある第1保護膜箔Akまたは第2保護膜箔Bkが基準位置にあるか否かを判定することができる。
【0043】
なお、図3では、最も基端側の第1マークCmと最も基端側の第2マークDmとの間に保護膜箔が設けられていない。また、最も基端側の第1保護膜箔Amに対応する第1マークCmの役割を、エンドテープ91に持たせてもよい。すなわち、エンドテープ91の先端側を位置検出センサ813が検出することで、最も基端側の第1保護膜箔Amの位置を認識するようにしてもよい。
【0044】
図5は制御部30によるカード作成装置1の主制御構成を表すブロック図である。図5に示すように制御部30には、画像データを作成する例えばPCなどの画像データ作成部(図示省略)と通信して、当該画像データ作成部によって作成された画像データを受信する通信部31、画像データや制御データ、制御プログラムを記憶する記憶部32、プリント部2、カード供給マガジン3、カードスタッカー部7、ベース60に設けられた巻取部63、搬送部10、転写部20、位置検出センサ813、入口センサ64、出口センサ65、昇降装置66,67などの各種駆動部が電気的に接続されている。制御部30は、制御データや制御プログラムを記憶部32から読み出して各種機器を制御するようになっている。
【0045】
入口センサ64によってカード4が検出された場合には、入口センサ64から制御部30にカード入検出信号が入力され、出口センサ65によってカード4が検出された場合には、出口センサ65からカード出検出信号が入力される。また、位置検出センサ813によって第1マークCkが検出された場合には、位置検出センサ813から制御部30に第1マーク検出信号が入力され、位置検出センサ813によって第2マークDkが検出された場合には、位置検出センサ813から制御部30に第2マーク検出信号が入力される。
【0046】
制御部30は、記憶部32中の画像データ、制御データ、制御プログラムを基にして、転写部20を繰り返し通過するようにカード4を往復させて、往路時に位置検出センサ813の検出結果に基づいて第1保護膜箔Ak若しくは第2保護膜箔Bkとカード4との位置を合わせてから第1保護膜箔Ak若しくは第2保護膜箔Bkがカード4に転写されるように巻取部63、搬送部10及び転写部20を制御する。この際、制御部30は、第1保護膜箔Aがカード4に転写された後、当該第1保護膜箔Akに対して先端側で隣り合う第2保護膜箔Bkがカード4に転写されるように、巻取部63、搬送部10及び転写部20を制御する。
【0047】
ここで、位置検出センサ813により検出される第1マークCk及び第2マークDkは、それに対応する各保護膜箔の位置から離れているが、制御部30が、制御データと、位置検出センサ813からの第1マーク検出信号または第2マーク検出信号を基に第1保護膜Ak及び第2保護膜箔Bkの相対的な位置関係を算出し、第1保護膜Ak及び第2保護膜箔Bkの位置を認識するようになっている。また、カード4の位置は、制御部30が、制御データと、入口センサ64からのカード入検出信号とを基にカード4の相対的な位置関係を算出し、カード4の位置を認識するようになっている。
【0048】
具体的には、記憶部32には、制御データとして、位置検出センサ813から搬送部10の基準位置までの距離、入口センサ64から搬送部10の基準位置までの距離、転写ローラ22までの距離、ガイドローラ812dまでの距離、ガイドローラ812eまでの距離や、位置検出センサ813から基準位置までの距離、転写ローラ22までの距離、ガイドローラ812dまでの距離、ガイドローラ812eまでの距離、カード4の全長、第1保護膜Ak及び第2保護膜箔Bkの全長及び間隔、等が記憶されている。ここで、基準位置とは、転写部20よりも上流側において転写部20の直前の位置である(図7(a)参照)。
【0049】
以下、カード作成装置1の動作について説明する。なお、以下の説明において、搬送されるカード4の下流方向の端部を先端といい、上流方向の端部を後端という。カード4の先端側はテープ81の先端側であり、カード4の後端側はテープ81の基端側である。
【0050】
カード作成タイミングになると、制御部30は、カード供給マガジン3からプリント部2にカード4が供給されるようにカード供給マガジン3を制御する。
【0051】
カード4がプリント部2に到達すると、制御部30は、記憶部32中の画像データを基にプリント部2を制御してカード4上に画像をプリントさせてから、画像記録後のカード4を保護膜転写装置6に搬送させる。
【0052】
ここで、制御部30は、保護膜転写装置6を制御して、転写準備を行っている。以下、保護膜転写装置6による転写動作について図6及び図7を参照にして説明する。図6は保護膜転写装置6による転写動作のフローチャートであり、図7は転写動作における第1保護膜箔Ak及び第2保護膜箔Bkの動作を表す説明図である。
【0053】
なお、図7中においては、基準位置に対するカード4及び入口センサ64の搬送部10上の相対位置と、基準位置に対する第1保護膜箔Ak、第2保護膜箔Bk及び位置検出センサ813のテープ81上の相対位置とを重ねて記載している。例えば、図7(a)では、カード4及び第1保護膜箔A1がカード作成タイミング後に基準位置で待機する場合を示している。
【0054】
図6に示すように制御部30は、ステップS1ではプリント部2に対してカード4の保護膜転写装置6への搬送を指示すると同時に、昇降装置66に転写後従動ローラ17を上昇させ、昇降装置67に転写ローラ22を上昇させる。ここで、制御部30が位置検出センサ813の検出結果を基に巻取部63を正転状態で制御すると、巻取部63が巻取り軸83を回転駆動し、第1保護膜箔A1が転写部20の上流側の基準位置になり且つ第2保護膜箔B1が転写部20よりも下流になるまで、テープ81が巻取り軸83によって巻取られる(ステップS2)。具体的には、例えば位置検出センサ813が第1マークC1を検出すると、制御部30が第1保護膜箔A1が基準位置にあり、第2保護膜箔B1が転写部20よりも下流にあると判断し、制御部30は巻取部63の駆動を一旦停止する。
なお、転写部20付近の第2保護膜箔B1よりも先端側の第1保護膜箔A0、第2保護膜箔B0は転写に用いられないことになる。
【0055】
ステップS3では、制御部30が搬送部10を制御して駆動ローラ14を駆動することにより、プリント部2によって保護膜転写装置6に搬送されたカード4が、搬送方向下流へ搬送される(往路)。この際、制御部30は、入口センサ64のカード入検出信号を基にしてカード4が基準位置に到達したと判断し、カード4が基準位置に到達していない場合にはカード4の搬送を継続し、カード4が基準位置に到達した場合にはステップS5に移行する(ステップS4)。
【0056】
ステップS5では、カード4が基準位置で待機する第1保護膜箔A1の真下まで搬送部10の搬入ベルト13によって搬送されると、制御部30が搬送部10の駆動ローラ14を停止し、カード4が第1保護膜箔A1の真下で停止する(図7(a))。
【0057】
ステップS6では、制御部30が昇降装置66,67を作動させ、昇降装置66が転写後従動ローラ17を下降させ、昇降装置66が転写ローラ22を下降させ、第1保護膜箔A1がカード4の上面に当接する。
ステップS7では、制御部30が巻取部63を正転状態に制御すると同時に、制御部30が転写部20の転写ローラ22及び転写後駆動ローラ16を駆動すると、カード4及びテープ81が転写ローラ22とプラテンローラ21との間に挟まれた状態で、テープ81が巻取り軸83に巻き取られるとともにカード4が搬送方向下流側へ搬送される。この際、カードが第1保護膜箔A1に重なった状態で搬送され、これによりカード4上に第1保護膜箔A1が転写される。
【0058】
ステップS8では、制御部30が引き続き巻取部63を正転状態に制御するとともに転写部20の転写ローラ22及び転写後駆動ローラ16を駆動すると、カード4の先端部及び第1保護膜箔A1の先端部がガイドローラ812eと対向する位置までテープ81及びカード4が搬送方向下流へ搬送される。この際、カード4に転写された第1保護膜箔A1は、転写後従動ローラ17によって冷却されることになる。
【0059】
ステップS9では、制御部30が引き続き巻取部63を正転状態に制御するとともに転写部20の転写ローラ22及び転写後駆動ローラ16を駆動すると、カード4の先端部及び第1保護膜箔A1の先端部がガイドローラ812eから下流に向かって搬送される(図7(b))。この際、巻取り軸83により巻き取られるテープ81はガイドローラ812eよりも巻取り軸83側で上方に引き上げられるので、カード4上の第1保護膜箔A1の先端がテープ81から剥離されることになる(図8(a))。
【0060】
そして、カード4の先端部及び第1保護膜箔A1の先端部がガイドローラ812eから下流へ搬出された後、カード4の先端部が排出駆動ローラ18に至る前に、制御部30が昇降装置66,67を作動させ、昇降装置66が転写後従動ローラ17を上昇させ、昇降装置66が転写ローラ22を上昇させる。そして、制御部30が巻取部63を反転状態に制御するとともに、駆動ローラ14を反転させる。この際、カード4は搬送方向上流へ搬送され、テープ81が元巻き軸82に巻き取られる。
【0061】
その後、制御部30が昇降装置66,67を作動させ、昇降装置66が転写後従動ローラ17を上昇させ、昇降装置66が転写ローラ22を上昇させる。そして、制御部30が引き続き巻取部63を反転状態に制御するとともに駆動ローラ14を反転させると、カード4の後端及び第1保護膜箔A1の後端がガイドローラ812dから上流へ搬出される。この際、元巻き軸82により巻き取られるテープ81が上方に引き上げられるので、カード4上の第1保護膜箔A1の後端がテープ81から剥離されることになる(図8(b))。
【0062】
その後、転写後従動ローラ17、転写ローラ22を上昇させた状態で、制御部30が引き続き巻取部63を反転状態に制御するとともに駆動ローラ14を反転させると、カード4が搬入ベルト13によって搬送方向上流へ搬送される。これにより、カード4上の第1保護膜箔A1の左右側部は、テープ81から剥離されることになる。したがって、先端があらかじめテープ81から剥離された第1保護膜箔A1は、全てテープ81から剥離されることになる。
【0063】
以上のように制御部30が巻取部63を反転状態に制御して転写部20の転写ローラ22、転写後駆動ローラ16及び駆動ローラ14を反転させている時に、制御部30は入口センサ64の検出結果を基にしてカード4が入口センサ64の上流側まで到達したかどうかを判断する(ステップS10)。カード4が搬送ベルト13によって入口センサ64の上流に到達した場合には(ステップS10:Yes)、ステップS11に移行する。
【0064】
ステップS11では、制御部30は、搬送部10を制御して駆動ローラ14を停止し、カード4の搬送を停止させる(図7(c))。
【0065】
ステップS12では、制御部30が昇降装置66,67を作動させると、昇降装置66が転写後従動ローラ17を上昇させ、昇降装置67が転写ローラ22を上昇させる。
ステップS13では、制御部30は引き続き巻取部63を反転状態に制御すると、元巻き軸82が回転し、テープ81が元巻き軸82に巻き取られる。この際、制御部30は位置検出センサ813の検出結果を基に巻取部63を制御し、第1保護膜箔A1に対して巻取り軸83側で隣り合う第2保護膜箔B1が転写部20の上流側の基準位置までテープ81が巻き取られたら、制御部30は巻取部63を一旦停止する。具体的には、位置検出センサ813が第2マークD1を検出すると、制御部30が第2保護膜箔B1が転写部20よりも上流にあると判断し、制御部30は巻取部63の駆動を一旦停止する。
【0066】
ステップS14では、制御部30が搬送部10を制御して駆動ローラ14を駆動すると、カード4が搬送方向下流へ搬送される(往路)。この際、制御部30は、入口センサ64の検出結果を基にしてカード4が基準位置に到達したと判断し、カード4が基準位置に到達していない場合にはカード4の搬送を継続させて、カード4が基準位置に到達した場合にはステップS16に移行する(ステップS15)。
【0067】
ステップS16では、基準位置で待機する第2保護膜箔B1の真下までカード4が搬送ベルト13によって搬送されると、制御部30が搬送部10の駆動ローラ14を停止し、カード4が第2保護膜箔B1の真下で停止する(図7(d))。
【0068】
ステップS17では、制御部30が昇降装置66,67を作動させると、昇降装置66が転写後従動ローラ17を下降させ、昇降装置67が転写ローラ22を下降させ、第2保護膜箔B1がカード4の上面に当接する。
【0069】
ステップS18では、制御部30が巻取部63を正転状態に制御すると同時に、制御部30が転写部20の転写ローラ22及び転写後駆動ローラ16を駆動すると、カード4及びテープ81が転写ローラ22とプラテンローラ21との間に挟まれた状態で、テープ81が巻取り軸83に巻き取られとともにカード4が搬送方向下流側へ搬送される。この際、カード4が第2保護膜箔B1に重なった状態で搬送され、これによりカード4上に第2保護膜箔B1が転写される。なお、転写中に制御部30が排出駆動ローラ18を駆動する。
【0070】
ステップS19では、制御部30が引き続き巻取部63を正転状態に制御するとともに転写部20の転写ローラ22及び転写後駆動ローラ16を駆動すると、カード4及び第2保護膜箔B1がガイドローラ812eと対向する位置までテープ81及びカード4が搬送方向下流へ搬送される。この際、カード4に転写された第2保護膜箔B1は、転写後従動ローラ16によって冷却されることになる。
【0071】
制御部30が引き続き巻取部63を正転状態に制御するとともに転写部20の転写ローラ22、転写後駆動ローラ16、排出駆動ローラ18を駆動すると、カード4の先端部及び第2保護膜箔B1の先端がガイドローラ812eから下流に向かって搬送される。この際、巻取り軸83に巻き取られるテープ81はガイドローラ812eにより上方に引き上げられるので、カード4上の第2保護膜箔B1の先端はテープ81から剥離されることになる。また、カード4が排出駆動ローラ18、排出従動ローラ19の方向に搬送されることにより、カード4上の第2保護膜箔B1左右側部は、テープ81から剥離されることになる。
【0072】
なお、制御部30は搬送部10及び巻取部63を制御して、排出駆動ローラ18、排出従動ローラ19でのカード4の搬送速度を、巻取り軸83によるテープ81の巻取速度よりも速くしている。このため、カード4は排出駆動ローラ18、排出従動ローラ19によってテープ81から引っ張られることになる。
【0073】
この引張力により、カード4上の第2保護膜箔B1の後端は剪断され、カード4上の第2保護膜箔B1はテープ81から剥離されることになる(図7(e)、図9)。
このように、制御部30、搬送部10、巻取部63、ガイドローラ812d、ガイドローラ812e、排出駆動ローラ18、排出従動ローラ19によって、カード4の搬送経路上でカード4上の第1保護膜箔A1及び第2保護膜箔B1が剥離される。
【0074】
ステップS20では、制御部30は位置検出センサ813の検出結果を基に巻取部63を制御すると、巻取部63が巻取り軸83を回転駆動し、第1保護膜箔A2が転写部20の上流側の基準位置になり且つ第2保護膜箔B2が転写部20よりも下流になるまで、テープ81が巻取り軸83によって巻取られる。具体的には、例えば位置検出センサ813が第1マークC2を検出すると、制御部30が第1保護膜箔A2が基準位置にありかつ第2保護膜箔B2が転写部20よりも下流にあると判断し、制御部30は巻取部63の駆動を一旦停止する。これにより、1枚目のカード4に対する転写動作が終了し、2枚目以降のカードに対する転写動作の準備が完了する(図7(f))。
【0075】
2枚目以降のカードに対する転写動作においても図7のフローチャートが繰り返されることで、第1保護膜箔A2及び第2保護膜箔B2が順に送られて各カードに積層される。
【0076】
以上のように、第1の実施の形態によれば、巻取部63、搬送部10及び転写部20によって、カード4上に2種類の保護膜箔が全て積層されるので、一台の保護膜転写装置6によって2種類の保護膜箔を転写することが可能となる。これにより、カード作成装置1を小型化することができ、結果的に設置面積を省スペース化することができる。
【0077】
また、カード4の搬送経路上で保護膜が転写されたカードをテープから離れる方向に引っ張ることで、保護膜箔を、カード上の保護膜箔とテープに残存する保護膜箔とに剪断するので、カードに転写された保護膜箔をテープから容易に剥離することができる。
【0078】
また、第1保護膜箔Akがカード4に転写された後、当該第1保護膜箔Akに対して先端側(巻取り軸83側)で隣り合う第2保護膜箔Bがカード4kに転写されるので、電源投入直後に転写部20付近に第2保護膜箔B1があったとしてもその第2保護膜箔B1をカード4上に転写することができる。したがって、イニシャル時におけるロスを低減することが可能となる。
【0079】
カートリッジ8内のテープ81の使用が終わるときは、位置検出センサ813(位置検出センサ813)がエンドテープ91を検出することにより、制御部30が終了動作を行う。
【0080】
すなわち、図6のステップS2において、最後の第1保護膜箔Amに対応する第1マークCmを位置検出センサ813(位置検出センサ813)が検出し(図10(a))、その後、ステップS7で制御部30が巻取部63及び転写部20を制御してテープ81を巻取り軸83で巻き取る過程で、位置検出センサ813がエンドテープ91を検出する(図10(b))。位置検出センサ813がエンドテープ91を検出すると、制御部30は最後の第1保護膜箔Am及び第2保護膜箔Bmの転写を終えた後(図10(c)〜(d))、ステップS20以降の動作を行わない。その代わりに、制御部30は巻取部63を制御して巻取り軸83でテープ81を巻き取り、その後動作を停止する。
【0081】
なお、本発明の実施形態とは別に、第1保護膜箔Aの次に転写する第2保護膜箔Bとして、当該第1保護膜箔Aに対して基端側(元巻き軸82側)で隣り合う第2保護膜箔Bを用いることも考えられるが、以下に説明するように、第1マークCmの基端部側にプレエンドマーク92を設ける必要がある。
【0082】
すなわち、図11に示すように、カートリッジ8内のテープ81の使用が終わるときは、最後の第1保護膜箔Amをカード4に転写(図11(a)〜(c))した後に、最後の第2保護膜箔Bmの転写(図11(d),(e))を行うことになるが、位置検出センサ813がエンドテープ91を検出するのは、第2保護膜箔Bmの転写時となる(図11(e))。このため、制御部が早めに終了動作の準備をするためには、第1保護膜箔Amの転写を行うステップで位置検出センサ813がプレエンドマーク92を検出するようにする必要がある。
【0083】
あるいはエンドテープ91を第1マークCmの基端部側に設け、エンドテープ91上に第2保護膜箔Bに対応する第2マークDmを設けてもよいが、この場合にはエンドテープ91に複雑な加工を施す必要がある。
【0084】
これに対して、本実施の形態では、第1保護膜箔Aの次に転写する第2保護膜箔Bとして、当該第1保護膜箔Akに対して先端側(巻取り軸83側)で隣り合う第2保護膜箔Bkを用いるので、プレエンドマークを設ける必要がない。
【0085】
なお、本発明は上記実施の形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。
例えば、第1及び第2の実施の形態では、保護膜箔が2種類である場合を例示して説明したが3種類以上であってもよい。つまり、カートリッジ8のテープ81に、n(n≧2(nは自然数))種類の保護膜箔が各種類毎に所定の順序で繰り返しコーティングされていれば、n種類の保護膜箔をカード4上に積層するように転写することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】カード作成装置におけるカードの流れを表すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態に係る保護膜転写装置の正面図である。
【図3】図2の保護膜転写装置に設けられたカートリッジ内のテープの表面を表す説明図である。
【図4】図3のIV−IV矢視断面図である。
【図5】図1のカード作成装置の主制御構成を表すブロック図である。
【図6】図2の保護膜転写装置による転写動作のフローチャートである。
【図7】図2の保護膜転写装置の転写動作におけるテープ81及びカード4の動作を表す説明図である。
【図8】(a)は第1保護膜箔A1の先端をテープ81から剥離するときの装置拡大図であり、(b)は第1保護膜箔A1の後端をテープ81から剥離するときの装置拡大図である。
【図9】カード4上の第2保護膜箔B1の後端をテープ81から剥離するときの装置拡大図である。
【図10】最後の第1保護膜箔Am,第2保護膜箔Bmの転写動作におけるテープ81及びカード4の動作を表す説明図である。
【図11】本発明の実施形態以外の形態による最後の第1保護膜箔Am,第2保護膜箔Bmの転写動作におけるテープ81及びカード4の動作を表す説明図である。
【符号の説明】
【0087】
4 カード
6 保護膜転写装置
10 搬送部
18 排出駆動ローラ(引張部)
20 転写部
30 制御部
63 巻取部
81 テープ
82 元巻き軸
83 巻取り軸
A 第1保護膜箔(上流側保護膜箔)
B 第2保護膜箔(下流側保護膜箔)
812a〜812g ガイドローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードに転写されるn(nは2以上の自然数)種類の保護膜箔がn枚置きに順番に繰り返しコーティングされたテープ、当該テープがロール状に巻きつけられる元巻き軸及び前記保護膜箔がカードに転写された後の前記テープを巻き取る巻取り軸を内蔵したカートリッジと、
前記元巻き軸若しくは前記巻取り軸を回転駆動させることで、前記テープの巻取方向を切換自在に前記テープを巻き取る巻取部と、
前記カートリッジから露出した前記テープに対して重なるように前記カードを搬送する搬送方向切換自在な搬送部と、
前記テープ及び前記カードが重なった際に前記保護膜箔を前記カードに転写する転写部と、
n種類の保護膜箔が元巻き軸側から順にカードに転写されるように、前記巻取部、前記搬送部及び前記転写部を制御する制御部とを備えることを特徴とする保護膜転写装置。
【請求項2】
前記制御部は、x(xは1〜(n−1)の自然数)種類目の保護膜箔が前記カードに転写された後、当該x種類目の保護膜箔に対して前記巻取り軸側で隣り合う(x+1)種類目の保護膜箔が前記カードに転写されるように、前記巻取部、前記搬送部及び前記転写部を制御するとともに、
n種類目の保護膜箔が前記カードに転写された後、当該n種類目の保護膜箔に対して前記元巻き軸側に保護膜箔(2n−1)枚分離れた位置にある1種類目の保護膜箔が次のカードに転写されるように、前記巻取部、前記搬送部及び前記転写部を制御することを特徴とする請求項1に記載の保護膜転写装置。
【請求項3】
前記巻取部は前記巻取り軸を回転駆動させることで、前記転写部よりも下流側において、前記カードの搬送方向と交差する方向に前記テープを巻き取ることにより、前記カードに転写された前記保護膜箔の先端を前記テープから剥離することを特徴とする請求項1または2に記載の保護膜転写装置。
【請求項4】
前記巻取部は前記元巻き軸を回転駆動させることで、前記転写部よりも上流側において、前記カードの搬送方向と交差する方向に前記テープを巻き取ることにより、前記カードに転写された前記保護膜箔の後端を前記テープから剥離することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の保護膜転写装置。
【請求項5】
前記搬送部は前記カードの搬送経路上で前記保護膜が転写されたカードを前記テープから離れる方向に引っ張ることで前記保護膜箔をカード上の保護膜箔と前記テープに残存する保護膜箔とに剪断する引張部を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の保護膜転写装置。
【請求項6】
転写部と、
カードを前記転写部の上流から下流に搬送するとともに前記カードをその反対方向に搬送する搬送部と、
前記転写部よりも上流側においてテープを巻回した元巻き軸と、
前記転写部よりも下流側において前記テープを前記元巻き軸から前記転写部を経由して巻き取る巻取り軸と、を備え、
前記巻取り軸が前記テープを巻き取ることによって、前記テープに形成された上流側保護膜箔よりも前記巻取り軸側で前記テープに形成された下流側保護膜箔を前記転写部の下流に送り、
前記転写部が前記上流側保護膜箔を前記カードに圧接した状態で、前記巻取り軸が前記テープを巻き取りながら前記搬送部が前記カードを前記転写部の上流から下流に搬送することで、前記上流側保護膜箔を前記カードに転写し、
前記元巻き軸が前記テープを巻き取りながら前記搬送部が前記カードを前記転写部の下流から上流に搬送し、
前記元巻き軸が前記テープを巻き取ることによって、前記下流側保護膜箔を前記転写部の上流に送り、
前記転写部が前記下流側保護膜箔を前記カードに圧接した状態で、前記巻取り軸が前記テープを巻き取りながら前記搬送部が前記カードを前記転写部の上流から下流に搬送することで、前記下流側保護膜箔を前記カードに転写する保護膜転写装置。
【請求項7】
前記転写部よりも下流側に、前記巻取り軸による前記テープの巻取り方向を前記カードの搬送方向と交差する方向に案内するガイドローラを備え、
前記巻取り軸が前記カードの搬送方向と交差する方向に前記テープを巻き取ることにより、前記カードに転写された前記上流側保護膜箔の先端を前記テープから剥離することを特徴とする請求項6に記載の保護膜転写装置。
【請求項8】
前記転写部よりも上流側に、前記元巻き軸による前記テープの巻取り方向を前記カードの搬送方向と交差する方向に案内するガイドローラを備え、
前記元巻き軸が前記カードの搬送方向と交差する方向に前記テープを巻き取ることにより、前記カードに転写された前記上流側保護膜箔の後端を前記テープから剥離することを特徴とする請求項6または7に記載の保護膜転写装置。
【請求項9】
前記転写部よりも下流側に、前記巻取り軸による前記テープの巻取り方向を前記カードの搬送方向と交差する方向に案内するガイドローラを備えるとともに、前記搬送部は前記ガイドローラよりも下流側に前記カードを排出する排出駆動ローラを備え、
前記巻取り軸が前記カードの搬送方向と交差する方向に前記テープを巻き取ることにより、前記カードに転写された前記下流側保護膜箔の先端を前記テープから剥離するとともに、
前記排出駆動ローラにより前記カードを搬送方向下流側に引っ張ることで、前記カードに転写された前記下流側保護膜箔の後端を前記テープから剪断することを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の保護膜転写装置。
【請求項10】
転写部よりも上流側の元巻き軸に巻回されたテープを前記転写部よりも下流側の巻取り軸に巻き取りながら、前記転写部により前記テープとカードを圧接した状態で搬送部により前記カードを前記転写部の下流へ搬送することで、前記テープに形成された保護膜箔を前記カードに転写する保護膜転写方法において、
前記巻取り軸により前記テープを巻き取ることによって、前記テープに形成された上流側保護膜箔よりも前記巻取り軸側で前記テープに形成された下流側保護膜箔を前記転写部の下流に送るステップと、
前記転写部により前記上流側保護膜箔を前記カードに圧接した状態で、前記巻取り軸により前記テープを巻き取りながら前記搬送部により前記カードを前記転写部の上流から下流に搬送することで、前記上流側保護膜箔を前記カードに転写するステップと、
前記元巻き軸により前記テープを巻き取りながら前記搬送部により前記カードを前記転写部の下流から上流に搬送するステップと、
前記元巻き軸により前記テープを巻き取ることによって、前記下流側保護膜を前記転写部の上流に送るステップと、
前記転写部により前記下流側保護膜箔を前記カードに圧接した状態で、前記巻取り軸により前記テープを巻き取りながら前記搬送部により前記カードを前記転写部の上流から下流に搬送することで、前記下流側保護膜箔を前記カードに転写するステップと、を含むことを特徴とする保護膜転写方法。
【請求項11】
前記転写部よりも下流側において、前記巻取り軸により前記カードの搬送方向と交差する方向に前記テープを巻き取ることにより、前記カードに転写された前記上流側保護膜箔の先端を前記テープから剥離するステップをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の保護膜転写方法。
【請求項12】
前記転写部よりも上流側において、前記元巻き軸により前記カードの搬送方向と交差する方向に前記テープを巻き取ることにより、前記カードに転写された前記上流側保護膜箔の後端を前記テープから剥離するステップをさらに含むことを特徴とする請求項10または11に記載の保護膜転写方法。
【請求項13】
前記転写部よりも下流側において、前記巻取り軸により前記カードの搬送方向と交差する方向に前記テープを巻き取ることにより、前記カードに転写された前記下流側保護膜箔の先端を前記テープから剥離するとともに、前記搬送部により前記カードを搬送方向下流側に引っ張ることで、前記カードに転写された前記下流側保護膜箔の後端を前記テープから剪断するステップをさらに含むことを特徴とする請求項10〜12のいずれか一項に記載の保護膜転写方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−136893(P2007−136893A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−334652(P2005−334652)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】