説明

信号タイプに依存するリアルタイムFAXリレー

【課題】2つの従来方法、即ちFoIP及びVBD間の妥協を提供する。
【解決手段】ゲートウェイは、すべてのタイプのFAX制御信号を復調形式で中継し、FAX画像タイプの信号を、予め定められた条件に基づいて復調信号またはPCM符号化信号として転送する。PCMデータ・タイプは、FoIPプロトコルに追加されて、FAXコールが完了するまでFoIP運転モードを終了すること無く、PCM符号化されたFAX画像信号の転送を可能にする。FoIPコール中、通信側ゲートウェイは、入力FAX信号が「FAX制御信号」であるか、「FAX画像」タイプ信号であるかを決定する。ゲートウェイは、入力信号がFAX制御信号である、または、サポートされているFAX画像信号であると決定すると、それを従来のFAXリレー方法で処理する。しかし、ゲートウェイは、入力FAX画像タイプの信号を復調できないと決定した場合、FAX信号をIPネットワークにPCM符号化信号として、復調を行うことなく出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ファクシミリ通信の分野に関する。より詳細には、本発明は、一般に、Fax over IP(「FoIP」)通信と呼ばれるリアルタイムFAXリレーの分野に関し、更に詳細には、FoIPシステムとの通信に使用される、信号タイプに依存するリアルタイムFAXリレーに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット及び他の類似の分散データ通信ネットワーク(即ち、インターネット・プロトコル(「IP」)ベースのネットワーク、または、単に「IPネットワーク」)の開発は、IPベースのネットワークを使用して、例えば音声、FAX、モデムのコールなどの様々なタイプの情報を交換する人々の数の増加を促進した。パケット・ネットワークを介したFAXコールをサポートする主要な方法は、Fax over IP(「FoIP」)である。
【0003】
FAXリレーは、IPネットワークを介した「エンドツーエンド(end−to−end)」のFAX通信を実行するための信頼できる方法と考えられる。FoIPシステムの通信プロトコルは、ITU−T Recommendation T.38(「Procedures for real−time Group 3 facsimile communication over IP networks」)に記載されている。大ざっぱに言えば、ITU−T T.38は、FoIPコールの確立と、標準のG3とV34との半二重(HDX、half−duplex)FAXコールの異なる信号を送信するためのパケット形式とを定義する1組のルールである。もう一方のFAXリレー・プロトコルは、Voice over Frame Relay Implementation Agreement FRF11に定義されているが、これは、T.38に比べて使用が限られている。
【0004】
昔から現在に至るまで、FAX機は、公衆交換電話網(「PSTN」)を介してFAXコールを行うように設計されてきた。こうしたFAXコールが管理されている方法と、FAXコールがPSTNインフラストラクチャをトラバース(traverse)する方法は、ITU−T Recommendation T.30(「Procedures for document facsimile transmission in general switched telephone networks」)に定義されている。簡単に言えば、FAX機は、こうしたトラバーサル(traversal)を可能にするために変調方式を使用する。しかし、FoIPを有効にするには、FAX機によって出力された信号を、IPネットワークを介した送信に適したビット・ストリームに変換する必要がある。変換は、対応するメディア・ゲートウェイ(以下「ゲートウェイ」)によって実行され、ゲートウェイの一方はFAX端末またはPSTNに接続され、ゲートウェイの他方はIPネットワークに接続されている。こうしたメディア・ゲートウェイは、一般に、図1に図示されているように、FAXコール、口頭での通信、及びモデム通信をそれぞれ有効にする「FAXリレー」パス、音声コーダ・パス、及び音声帯域データ(「VBD」)パスを含む。
【0005】
従来、voice−over−IP(「VoIP」)ゲートウェイは、8kHzのサンプリング・レートで入力と出力との音声帯域信号を処理する。ゲートウェイは、インターフェイス回路を介して、信号をアナログ装置と交換する。より高いサンプリング・レートも可能である。しかし、最高64kbps(キロビット/秒)までのビットレートに基づく、IPを介したパルス符号変調(「PCM」)ベースの転送の場合、信号は、8kHzのレートでサンプリングされるべきである。一般に、入力サンプルは、標準変調方式に従ってデジタル・ビット・ストリームによって変調される正弦波形(搬送波)信号を表す。変調ビット・ストリームは、例えばFAX機能、コマンド、応答、画像ビット・マップ、転送バイナリ・ファイル(transferred binary file)、混合ラスター・コンテンツ(mixed raster content)など、何らかの有用な情報を含み得る。
【0006】
FAXゲートウェイの目的は、FAXがエラー警告無しにFAXコール/セッションを完了できるようにし、応答側FAX機がゲートウェイからアナログ信号を受信し、「In−Message」手順によってそれに転送されたバイナリ情報を抽出し、発信側FAXによって意図されるようにそれを解釈できるようにする方法によって、2つの通信しているFAX機の終端間ですべての信号またはほとんどの信号を配信することである。
【0007】
一般に、FAXリレー・ゲートウェイは、FAXコールの最初から最後までのすべてのタイプのFAX信号を検出し、復調し、再変調する。通常、ゲートウェイは、少なくとも一部のFAX信号を中継することができない場合、VBD方法を使用して、IPを介して完全な呼(call)を転送する。「VBD方法」及び「FAXリレー」という表現を使用することによって、これらの回路を操作するのに必要な場合、対応するソフトウェア・ツールと、ハードウェアと、アルゴリズムと、アプリケーションとの使用を含むことも意味することに留意されたい。
【0008】
「VBD」は、最低限の歪みで音声帯域データ変調信号を渡すコーデックを使用して、モデムの信号がIPネットワークを介して移送されるために従う方法を意味する。VBDコーデックの例は、G.711A−lawコーデックと、G.711μ−lawコーデックとがあり、これらは、ITU−T V.150.1(「Procedures for the end−to−end connection of V−series DCEs over an IP network」)標準と、ITU−T V.152(「Procedures for supporting Voice−Band Data over IP Networks」)標準とによって一般的に使用されており、G.711タイプのPCMエンコーダは、64kbpsのレートでビット・ストリームを出力し、G.726タイプのPCMエンコーダは、最高40kbpsのレートでビット・ストリームを出力する。
【0009】
一般のFoIPメディア・ゲートウェイは、市場で簡単に入手でき、主に、14.4kbps以下のビットレートでHDX FAX画像データ・ストリームを生成し、300bpsのレートでHDX FAX制御信号を交換することができる(標準の)グループ3(「G3」)FAX機に対処するように、設計されていた。ゲートウェイによって受信された後、これらの信号は、FAXリレーによって処理される。ゲートウェイで実行されるFAX信号変換は、FAXリレー受信機によるサンプリングされた着信信号の復調と、FAXリレー・プロトコル(「FRP」)による復調されたデータのパケット化と、FRPパケットのIPネットワークへの送信とを伴う。受信側ゲートウェイは、FAXリレー送信機を含み、そのタスクは、ITU−T Recommendation T.30でG3タイプのFAXのために定義されている変調方式に従って、パケット・ネットワークから受信されたFRPパケットを再変調することである。
【0010】
現在、標準のG3 FAX機のものと比べてより高度な信号フロー及び変調方式を有する、当業者には「super−G3」FAX機としても知られている既存のV34タイプのFAX機がある。例えば、super−G3 FAX機は、HDX FAX画像を33.6kbpsもの高ビットレート(G3 FAX機では14.4kpbs)で転送し、異なるタイプのFAX制御信号を、300、600、1200(2400)bpsのビットレートで、全二重で交換する。T.38 Rec.によって定義されているV.34 FAXリレーの完全なサポートは、受信側/送信側のゲートウェイ側でV.34 FAX画像を処理し、等化器の信号をトレーニングするために必要な計算リソースが相当な量であるために、かなり問題がある。
【0011】
従来のゲートウェイは、比較的複雑ではないVBD方法を使用して、後者の障害を避ける。これは、VBD「運転モード」に切り替え、V.34タイプの着信信号を、音声帯域モデム信号であるかのように即ち復調無しで、処理し、転送する(即ちIPネットワークを介する)ことによって行う。しかし、実際のIPネットワーク状態で動作する限り、後者の解決策は、非常に問題のある、急場しのぎの方法であり、不満足である。つまり、IPネットワークには、可変のパケット待ち時間と、マルチノード・パケット処理と、帯域幅との制限がある。より詳細には、後者の解決策に関連する問題は、次の通りである。
i)7.2kbpsを超えるFAXレートでの通信を可能にするには、ゲートウェイによって交換されるデータ・ストリームは、64kbpsのビットレートの全二重であることが必要である。
ii)「VBDパス」(即ちゲートウェイにおける)は、ビットレートの「減速」、元のFAX画像の不正確な再構成、及びFAXコールの障害を引き起こす傾向にある、残留エコーと、エコー・キャンセリング・プロセスの不備と、にかなり敏感である。
iii)VBDの使用を伴う従来の解決策は、パケット待ち時間に敏感である。IPネットワークにおけるパケットの長時間の一定の遅延は、宛先のFAX機での信号衝突と、FAXセッションの障害または混乱を引き起こす可能性がある。
iv)「VBDパス」は、ネットワークにおけるパケット・ジッター(可変遅延)にかなり敏感である。この問題を解決するために入力キュー・バッファを拡張する試みは、一定の遅延の増大と、FAX信号の衝突の可能性と、「タイムアウト」関連の切断と、をもたらすことになる。
v)「VBDパス」解決策は、パケット・ロスにかなり敏感である。
従って、super−G3 FAX端末装置に関する限り、従来のゲートウェイが提供する解決策は、とても十分とは言えない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の概要)
一般に、FAXリレーは、VBD方法に比べてより信頼できるため、本発明は、FAXコールを配信するために一般に知られているVBD方法を使用するのではなく、むしろ、使用可能なすべてのタイプのFAX信号(即ち制御関連と画像関連との信号)のための新しいタイプの「FAXリレー」を使用することが特徴である。
【0013】
本発明の一部として、IPネットワークを介してゲートウェイ間でFAXコールを配信する方法が提供されており、それに従って2つのタイプのFAX信号間の区別が行われ、第1のタイプは、一般に「FAX制御信号」に関連付けられ、第2のタイプは、一般に「FAX画像信号」に関連付けられ、ゲートウェイは、すべてのタイプのFAX制御信号を復調形式で中継し、FAX画像タイプの信号を、予め定められた条件に基づいて、復調信号またはPCM符号化信号として条件付きで転送する。
【0014】
本発明の一部の実施形態において、FAX画像信号を復調形式で中継する予め定められた条件は、例えば、復調プロセスの実行に必要なゲートウェイにおける計算リソースの可用性、及び/または、関与するゲートウェイが両方共FAX機によって使用される変調方式をサポートするかどうかと関係し得る。当然、予め定義された復調条件を使用するときに、他の事柄を、漸増的であろうと、一意的であろうと、考慮してもよい。
【0015】
より詳細には、ゲートウェイがFAX機によって現在使用されている変調方式をサポートしていない場合、または、ゲートウェイが復調を行うのに十分な計算リソースを有していない場合、ゲートウェイは、FAXリレー運転モードから逸脱することなく、最低限の歪みのPCMエンコーダを使用することによって、当該の信号をIPネットワークに本質的に「現状のまま」転送することができる。次に、ゲートウェイは、PCMタイプのデータを含むFRPストリームをIPネットワークから受信すると、(その「従来の再変調」機能に加えて、)PCMタイプのデータをデコードし、T.30要件に従って、接続されているFAX機に出力信号を送信することができなければならない。
【0016】
本発明の一部として、ゲートウェイによってfax over IP(「FoIP」)発信信号をリアルタイムで処理する方法が開示されており、この方法は、
a)着信FAX信号を受信し、その信号特性に基づいて、それを(例えばFAX制御信号である場合)第1のタイプの信号、または(即ちFAX画像信号である場合)第2のタイプの信号の何れかに関連付けるステップと、
b)FAX信号が第1のタイプの信号に関連付けられている(従って再変調されなければならない)場合、または第2のタイプの信号に関連付けられており、FAX信号を復調することがゲートウェイの能力内であることを決定した場合、FAX信号を復調し、結果として生じたFRPパケット化データをIPネットワークに出力するステップと、そうでない場合、
c)FAX信号をPCM符号化し、結果として生じたFRP−PCMパケット化データをIPネットワークに出力するステップと、
を含む。
【0017】
本発明の一部の実施形態において、着信FAX信号は、{V.8変更済みアンサー・トーンを含むアンサーFAXトーン、V.21(FSK、300bps)、V.34 INFO(DPSK、600bps)、V.34制御チャネル(QAM、1200bpsまたは2400bps)}から成るグループ信号に属する場合、第1のタイプの信号に関連付けられ、(無条件に)中継される。アンサー・トーン(CNG信号、V8 CI信号など)に先行する発呼側FAX信号は、VoIPまたはFoIP技術を使用して中継される、圧縮済み音声信号の形式またはFAXイベントの形式で、都合よく転送され得る。
【0018】
本発明の一部の実施形態において、{V.27(位相Bと位相C)、V.29(位相Bと位相C)、V17/V33(位相Bと位相C)、V34 Line probe(位相B)、V.34プライマリ・チャネル等化器トレーニング(位相B)、V34プライマリ・チャネル(位相C)}から成るグループに属する着信FAX信号は、第2のタイプの信号に関連付けられ、復調に十分な計算リソースがある場合、復調され、そうでない場合、パケット・ネットワークに転送される前にPCM符号化される。
【0019】
本発明の一部として、ゲートウェイによって受信されるfax over IP(「FoIP」)信号をリアルタイムで処理する方法が開示されており、この方法は、
a)受信されたFAX信号がFRPタイプのデータであるか、FRP−PCMタイプのデータであるかを(即ち、リモート・ゲートウェイによってゲートウェイに最初に送信された信号のタイプに応じて)決定するステップと、
b)着信FAX信号がFRPタイプのデータであると決定された場合、それを再変調し、結果として生じた信号を(サンプルの形式で)目的の受信側(通常FAX機)に転送するステップと、
c)着信FAX信号がFRP−PCMタイプのデータであると決定された場合、それをPCM復号化し、結果として生じた信号を(サンプルの形式で)目的の受信側に転送するステップと、
を含む。
【0020】
本発明の一部として、着信FAX信号をどのように処理するか(即ち復調を行うかPCM符号化するか)の決定は、例えば「状態機械」によって、現在的に、及び、以前IPネットワークから検出された、または復調されたFAX信号と受信されたFRPデータとに基づいて歴史的に、判定することによって行うことができる。判定は、ゲートウェイ機能、及び、復調を行うことができるリソースの推定に基づくこともできる。
【0021】
また、本発明は、IPネットワークを介してゲートウェイ間でFAXコールを配信するFoIP通信を可能にする「FAXリレー状態機械」を開示する。このFAXリレー状態機械は、
a)使用可能な任意のFAX変調方式の潜在的な使用に関連付けられている1組のルールによって、また、使用可能な計算リソースを考慮に入れながら、現在のFAXコールで潜在的に使用され得るFAX変調方式をサポートするための一時的な1組のルールによって、構成され、
b)リモート・ゲートウェイから戻されたFAX及びFRPデータ応答に基づいて、現在と過去とのFAX入力信号を評価し、
c)評価に基づいて、入力FAX信号を再変調することができるかどうかを判定し、入力デジタル信号を再変調することができる場合、対応するFAX受信機を呼び出し、結果として生じるFRPデータをIPネットワークに転送し、
d)PCM符号化を呼び出し、どんな復調も行うこと無く、結果として生じたFRP−PCMタイプのデータをIPネットワークに転送し、
e)IPネットワークから到着するFRPタイプのデータ・ストリームをバッファし、
f)出力FAX信号がITU−T T 30 Recommendationに従う方法でFAX送信機またはPCMデコーダを呼び出す
ように構成される。
【0022】
一態様において、FAXリレーは、ゲートウェイ内に存在する。別の態様において、FAXリレーは、ゲートウェイの外部にあり、それと通信する。
本発明の一部として、新しいFAXリレーを含むゲートウェイも開示されている。
【0023】
本発明の一部の好ましい実施形態では、ゲートウェイは、音声コーダ及びVBDパスも更に含む。
本発明と見なされる主題は、明細書の結び部分において特に指摘され、明瞭に主張される。しかし、本発明は、その目的、特徴、利点と共に、構成及び動作の方法に関して、以下の詳細な説明を添付の図面と併せ読むことによって最適に理解することができる。
【0024】
「発信」または「応答」モードは、本明細書では、接続されているファクシミリ端末との間でFAX画像信号を送信または受信するファクシミリ端末の側で動作するときのFAXリレー・ユニットの運転モードを意味する。
【0025】
説明を簡潔かつ明瞭にするために、図に示されている要素は、必ずしも比例するように描かれていないことを理解されたい。例えば、要素の一部の寸法は、明瞭にするために、他の要素に対して誇張されている場合がある。更に、適切であると考えられた場合、参照番号は、対応するまたは類似の要素を示すために、図面間で繰り返されている場合がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下の詳細な説明において、本発明を完全に理解できるようにするために、具体的な詳細が、多数記載されている。しかし、本発明をこうした具体的な詳細無しに実施することができることを、当業者であれは理解されよう。他の例において、本発明を不明瞭にしないように、よく知られている方法と、手順と、構成要素と、回路とは、詳しくは記載していない。
【0027】
特に明記しない限り、以下の説明から明らかなように、明細書の説明を通じて、「処理する」、「算出する」、「計算する」、「決定する」などの用語の使用は、コンピューティング・システム内のレジスタ及び/またはメモリ内の電子などの物理的な量として表されるデータを、コンピューティング・システムのメモリ、レジスタ、または他のこうした情報記憶装置、送信装置または表示装置内の物理的な量として同様に表される他のデータに処理しかつ/または変形させるコンピュータまたはコンピューティング・システムまたは類似の電子コンピューティング装置の動作及び/またはプロセスを指すことを理解されよう。
【0028】
本発明の実施形態は、本明細書における動作を実行するための装置を含み得る。この装置は、所望の目的のために特に構築されていてもよく、または、コンピュータに格納されているコンピュータ・プログラムによって選択的に起動されるまたは再構成される汎用コンピュータを含んでいてもよい。こうしたコンピュータ・プログラムは、それだけには限定されないが、フロッピー(登録商標)・ディスク、光ディスク、CD−ROM、光磁気ディスク、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、電気的プログラム可能読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EEPROM)、磁気または光カード、または電子命令を格納するのに適しており、コンピュータ・システム・バスに結合することができる他の任意のタイプの媒体を含む任意のタイプのディスクなどのコンピュータ可読記憶媒体に格納することができる。
【0029】
本明細書に示されたプロセス及び表示は、本質的にどんな特定のコンピュータまたは他の装置にも関連しない。本明細書の教示によるプログラムと共に、様々な汎用システムが使用されてもよく、または、所望の方法を実行するためにより専門の装置を構築するのが便利な場合もある。こうした様々なシステムの所望の構成は、以下の説明から明らかになる。更に、本発明の実施形態は、任意の特定のプログラミング言語を参照して記載されていない。本明細書に記載された本発明の教示を実施するために、様々なプログラミング言語を使用することができることを理解されよう。
【0030】
特に、本発明で開示された方法は、特定のタイプのパケット(またはIP)ネットワーク、通信プロトコル、または復調されたFAXデータの中継の標準に限定されない。
以下の説明では、T38やFRF.11など、Faxリレー・プロトコル(「FRP」)に従って符号化されたパケットは、本明細書では「FRP」パケットと呼ばれる。更に、本発明は、ITU−T T.30 Recommendationに記載されている特定のファクシミリ変調方式に限定されるものではない。例えば、本明細書で開示された方法は、非標準のFAXコールの中継にも使用することができる。
【0031】
通信分野では知られているように、音声の送信が関与する場合、元の音声信号は、まず、外部のアナログ−デジタル(「A/D」)変換器(即ちCODEC)によってデジタル化される。一般のCODECは、アナログの電話/FAX/モデム信号を、サンプリング・レート8kHzでサンプリングし、デジタル化された信号を、一連の線形16ビット・サンプルまたは8ビット圧縮済みPCM A−lawまたはμ−lawバイトとして出力する。
【0032】
「fax over IP」(FoIP)という用語は、一般に、「ITU−T Recommendation T.38」に定義されているFAXリレー・プロトコルを使用することによる、IPネットワークを介したファクシミリ通信を指す。しかし、必要な変更を加えて、本発明を、本質的に他の任意のFAXリレー・プロトコル/標準及び他のパケット・ネットワークに適用することができることに留意されたい。
【0033】
上述したように、入力FAX信号は、第1のタイプまたは第2のタイプの信号に属し得る。一般に、第1のタイプの信号(即ちFAX制御信号)は、特に、T30位相Aタイプ・トーンTone信号と、V.21変調ベース信号と、V.34「INFO」及びV34「制御チャネル」信号と、を含み得る。第1のグループに属する信号は、比較的「簡単な」信号であることが特徴である。つまり、これらは、処理にかなりの計算リソースを必要としないという意味で簡単であり、従って、本発明の原理によれば、第1のタイプに属する信号は、従来、IPネットワークを介してゲートウェイによって中継され、つまり、ゲートウェイはそれらを検出し、結果として生じたFAXリレー・プロトコル(FRP)データを復調し、IPネットワークに転送する。FRPデータを受信すると、ゲートウェイは、対応するFAX信号を生成しまたは再変調し、それらを目的の受信側(通常はFAX機)に転送する。
【0034】
第2のタイプの信号(即ち「FAX画像信号」)は、特に、FAX「in−Message」手順自体(即ちT.30位相C信号)に関係する信号と、例えば「トレーニング・チェック・フレーム」(「TCF」)、V34「line probe」信号、V.34「プライマリ・チャネル」等化器トレーニング(「TRN」)の信号など、T.30位相Bタイプの「pre−message」信号に関係する信号と、を含み得る。
【0035】
第2のタイプの信号に属する信号は、復調形式で、条件付きで中継されてもよく、または、PCM符号化、FRP形式、及びPCM復号化を使用することによって、ゲートウェイ間でIPを介して「透過的に」転送されると言われる。
【0036】
着信FAX信号をどのように、いつ処理するか(即ち復調を行うか、PCM符号化するか)についての決定は、例えば「状態機械」によって、現在的に、及び、以前IPネットワークから検出されたまたは復調されたFAX信号と受信されたFRPデータとに基づいて歴史的に、判定することによって行うことができる。判定は、ゲートウェイ機能と、復調を行うことができるリソースの推定と、に基づくこともできる。
【0037】
一部の判定は、従来、特定のFAX通信/セッションにおける現在のステップを予想するために、様々なタイプのゲートウェイによって行われる。現在の着信信号のゲートウェイをタイムリーに「準備する」ことができるように、つまり、現在の信号に関連する回路を有効にし、無関係な他の回路を無効または弱めることによって、またゲートウェイ内で対応する信号処理を使用することによって、特定のFAX通信における現在のステップがどうなるかをゲートウェイは予め「知る」必要があるため、この判定は、必須である。しかし、本発明によれば、判定の結果は、本明細書で開示されたように、従来のものとは幾分異なる。
【0038】
本明細書で開示された、信号タイプに依存するFAXリレーを正しく機能させるために、PCMベースのタイプと、場合によっては他の一部の変調タイプとは、ゲートウェイのベンダーによってFoIPプロトコルに独占的に、またはITU−Tを介して正式に、または他の任意の適した形式によって追加される。
【0039】
FoIPコール設定の段階で、本発明で開示された原理に準拠するゲートウェイは、「FRP−PCM機能」を他のFoIP機能と交渉する。FRP−PCM運転モードは、リモート・ゲートウェイによって確認されない場合、無効にされなければならない。後者の場合、ゲートウェイによって中継することができないV34FAXコールなどのFAXコールは、標準のVBD運転モードを使用することによって転送され得る。
【0040】
本発明は、FAXリレー・セッション中に使用されるPCM方式を、FAX信号の他の変調方式と共に、FoIPプロトコルの不可欠な部分とみなす。FAX画像信号(即ち第2のタイプのFAX信号に関連する信号)のPCMベースの転送は、VBD転送とは異なり、この違いは、以下の通りである。
1)PCMストリームは、VBD及び圧縮済み音声ストリームに適用されるRTPルールではなく、FRP(FoIP)ルールに従って、一次IP FAXパケットにパケット化され、一次FAXパケットの上位レベルのパケット化は、RTP及び他のIPフォーマットも含み得る。例えば、T.38は、RTPにカプセル化することができる。
2)場合によって、ゲートウェイは、現在処理されているFAXセッション/コールにおける現在の段階に依存する実際の信号タイプに対応するように、PCM運転モードから復調運転モードに切り替えるまたはその逆を行うことを決定することができる。
3)ゲートウェイは、FAXコール全体を通じてFoIP運転モードのままであり、つまり、所与のFAXコール中、「Audio」と、「VBD」と、「FoIP」との状態/運転モード間で遷移は行われない。従って、PCMタイプのデータ・ストリームは、本質的に、状態間の遷移/切り替え中に起こり得る一時的に置き違えられた静寂の「ギャップ」や中断に敏感ではない(即ち歪まない)。
4)同時にFRP−PCMタイプのデータ・ストリームを転送するゲートウェイは、FoIP方法を使用することによって中継されるFAX制御信号(即ち第1のタイプの信号に属する信号)を処理し得る。
【0041】
次に図1(従来技術)を参照すると、ゲートウェイ100は、時に、シリアル・ポート・インターフェイスまたはTDMポート101から、8kHzでサンプリングされた電話、FAX、またはモデム(「電話/Fax/モデム」)アナログ信号を受信し得る。圧縮形式の場合、入力サンプルは、ゲートウェイによって線形16ビット・サンプル(102)に拡張される。入力サンプルの受信と同時に、ゲートウェイ100は、出力サンプルをシリアルまたはTDMポート101に送信する。必要に応じて、出力サンプルは、送信される前に、ゲートウェイ100によって圧縮される。
【0042】
アナログ信号インターフェイス101に送信された出力サンプルは、着信信号をフィルタリングし、それによってエコーレス信号104を取得するための参照(reference)として、エコー・キャンセラ103によって使用される。音声/FAX/データ・コール弁別器105は、エコーの無い入力信号104を常に監視する。弁別器105が音声信号を検出した場合、着信サンプルは、音声エンコーダ106に転送される。弁別器がFAX信号を検出した場合、サンプルは、復調のためにFAXリレー108に転送される。モデム信号が弁別器105によって検出された場合、入力サンプルは、VBDエンコーダ107に転送される。ゲートウェイの従来の動作に関連して上述したように、入力信号102がsuper−G3(即ちV.34)FAX機から発している場合、ゲートウェイ100は、モデム・コールによって発せられたかのように、VBDパス107経由でサンプルを送る。この解決策による結果は、上述した。
【0043】
信号処理のパスに応じて、ゲートウェイ100は、リアルタイムのトランスポート・プロトコルRTP(109)またはFAXリレー・プロトコルT.38(110)に従って出力ビット・ストリームをパケット化し、パケット(111)をネットワーク・パケット・インターフェイス(112)に転送する。ネットワーク・パケット・インターフェイスは、それを、場合によって何らかの修正の後、IPネットワーク(図示せず)に転送する。インターフェイス112を通過するビット・ストリームは、時として、圧縮済み音声信号またはPAM符号化モデム信号、または復調済みFAX信号に関係し得る。
【0044】
以下では、図1に示されているブロックについては、これ以上説明しない。というのは、こうした機能は、voice over IP技術の分野の当業者によく知られているからである。
【0045】
図2及び図3を参照すると、これらは、それぞれ本発明による発信(200)及び応答(300)のFAXコールを処理するFAXリレーのブロック図を示している。FAX制御信号に関して、ゲートウェイ200及び300は、同様の双方向通信処理を実行する。つまり、ゲートウェイ200及び300は、それぞれ、接続されているFAX機との間でFAX制御信号を送信及び受信することができる。一方向のみに伝わるFAX画像信号に関して、ゲートウェイ200は、このタイプの信号を発信側FAX機から受信するだけであり、ゲートウェイ300は、FAX画像信号を応答側FAX機に送信するだけである。
【0046】
FAXリレー・ゲートウェイ200/300は、エコー・キャンセラ103によってフィルタリングされた、サンプリングされた入力FAX信号102を受信する。ゲートウェイ200/300のFAXリレー状態機械(図示せず)は、入力信号がどのように処理されるべきかを決定する。一態様において、後者の決定は、エコー無しの入力サンプル104を監視する信号検出器201/301によって行われる入力信号分析に従って行われる。別の態様において、決定は、IPネットワークから受信されたFAXパケットの監視に基づく。分析プロセスの一部として、状態機械は、接続されているFAX機との間で送信及び受信された以前の信号シーケンスの履歴を考慮する。現在受信されているまたは処理されている信号(即ちFAX制御またはFAX画像)のタイプに関する決定は、信号ごとに行われる。FAX画像信号をどのように処理するかに関する決定は、FAXコールごとに一度、FAXコールのタイプ(即ち標準のG3またはV.34 FAXコール)と、現在のコールを処理するのに必要(かつ使用可能)な計算リソース量と、に応じて、状態機械によって行われる。
【0047】
状態機械は、信号104がT.30制御タイプ信号に関係すると決定した場合、信号104を「T.30制御パス」に送り、ここで信号104は、まず、T.30制御受信機202/302によって処理される。
【0048】
受信機202及び302は、FAX制御信号を復調するようにうまく設計されており、2003/07付けのT.30標準によれば、こうしたFAX制御信号は、以下の通りである。V21(周波数偏移キーイング−FSK、300bps)と、V.34 INFO(差分位相偏位キーイング−DPSK、600bps)と、V.34制御チャネル(直交振幅変調−QAM、1200bpsまたは2400bps)と、である。受信機202/302は、受信された信号(104)の周波数スペクトルに似た周波数スペクトルで動作する。この文脈では、受信機202/302は、従来のように動作する。つまり、受信機202/302は、FAX信号104を復調して、そこから情報/メッセージをバイナリ形式で抽出する。その後、FAXリレー状態機械は、抽出されたバイナリ・データを、T.30コマンド/応答分析機205/305を介して転送し、パケット・キュー208/308をパケタイザ110に出力し、パケタイザは、バイナリ・データをパケット化し、結果として得られたFoIPパケット111(図1、図2、図3)をパケット・インターフェイス112(図1)に転送する。
【0049】
しかし、ゲートウェイ200の状態機械が、信号104はFAX制御タイプの信号に関係していないと決定すると、信号104が異なる復調方式に従って復調されるべきか、またはPCM符号化されるべきかに関する第2の決定に、到達する。後者の決定は、以下で詳述するように、信号タイプによって決まる。
【0050】
「V.xx」受信機(203)は、T.30トレーニング・チェックTCFと画像とのG3 FAXコールに使用される、V.27(DPSK、2.4/4.8kpbs)、V.29(QAM、7.2/9.6kbps)、V.17/V.33(トレリス符号化変調−TCM、7.2/9.6/12.0/14.4bps)などの信号の復調のためにうまく設計されている。ゲートウェイ構成と、復調を行うために使用可能なリソースとに応じて、受信機203は、有効または無効にされる。FAXリレー状態機械によって呼び出されると、受信機203は、TCFまたはFAX画像データ(206)を抽出し、パケット・キュー208を介してFoIPパケタイザ(110)に転送し、パケタイザは、抽出されたデータをパケット化し、結果として生じたパケット111(図1と図2)をパケット・インターフェイス112(図1)に転送する。
【0051】
PCMエンコーダ(204)は、「透過的に」転送されるべきであると状態機械が決定した信号のG.711 A−lawまたはμ−lawタイプの圧縮を実行する。理論的には、状態機械は、変調標準V.27と、V.29と、V.17と、V.33とのうちの任意の1つに関連するV.xx復調アクティビティを無効にする、または弱めることを決定することができ、この場合、無効にされた位相C FAX画像と、先行する位相B TCFとの信号は、PCM運転モードを使用して転送される。V.34 FAXコールの場合、以下の信号グループ、Line probe(位相B)信号、プライマリ・チャネル等化器トレーニング(位相B)信号、プライマリ・チャネル(位相C)信号は、PCM符号化信号として転送される。FAXリレー200は、FoIPプロトコルによって要求されたルールを使用することによって、結果として生じたPCMデータをパケット化(110)する。
【0052】
現在のT 38 Recommendationによれば、V.34 INFO及びline probeと、V.34等化器トレーニングとの信号は、中継されるのではなく、代わりに、ゲートウェイで/によってローカルに生成される。また、T.30 TCF信号も、ゲートウェイによってローカルに生成され得る。本発明によれば、V.34 INFO信号は、復調された後で中継され、V.34 line probeと、V.34等化器トレーニングと、任意選択でT.30 TCFとの信号は、PCMによって転送される。これは、関与するFAXレートを効果的に現在のライン状態に適合させ、応答側FAX機によって後で入ってくる位相C画像信号をうまく受信するために必須である。
【0053】
本発明は、本発明のために3つのT.30 INDICATOR及び2つのT.30 DATAタイプを使用して拡張された、2004/04のT.38プロトコル・バージョンを使用する。3つのT.30 INDICATORは、次の通りである:
・V.34 INFO
・PCM、G711 μ−law
・PCM、G.711 A−law。
2つのT.30 DATAタイプは、次の通りである:
・INFOデータ
・PCMデータ。
【0054】
入力FAX信号の処理と同時に、ゲートウェイ200及び300は、接続されているFAX機に出力信号を送信する。デフォルトでは、IPネットワークからのFAXパケットが無い場合、FAXリレー送信機は、その出力を弱める。
【0055】
FAXリレー・デパケタイザ218/318は、IPネットワークからFoIPビット・ストリームを受信し(「FoIP Packet In」)、紛失したパケットを回復し、誤った順序で到着するパケットを並べ替え、余分な冗長データを削除する。冗長データは、そのタイプ(即ち、210/310、313、または316)に従ってバッファされる。FAXリレー状態機械は、FAX送信プロトコルT30に準拠する方法で、到着するデータを、するとしたら、いつ、どのように再変調し、または復号するか(場合によって)を決定する。
【0056】
中継されたFAX制御信号は、T.30応答/コマンド・キュー210/310を通過し、送信機212/312によって再変調される。T.30応答/コマンド信号/データ生成器211/311は、着信パケットが遅れる場合、それぞれのFAX送信装置間の接続の中断を防ぐためにT.30信号/データをローカルに生成するように、T.30応答/コマンド・キュー210/310と共に動作する。送信されたFAX制御信号の持続時間は、音調成分の長さと、HDLCフラグまたはフィル・ビットの量とを変えることによって、ネットワーク遅延に、調整される。
【0057】
発信側から中継されたFAX画像またはTCFデータは、V.xxジッター・バッファ313を通過し、V.xx送信機315によって再変調される。これは必ずしもそうである必要はないが、応答側ゲートウェイのV.xx送信機315は、通常、リモート・ゲートウェイと発信側FAXとによって使用されているものに似た変調標準とデータ・レートとを使用することによってデータを再変調する。V.xxデータ生成器314は、ゲートウェイ300によってローカルに生成することができる、または生成されるはずである画像関連の信号のバイナリ・データのソースとして使用される。例えば、こうした画像関連のデータは、TCF、HDLCフラグ、及びT.4フィル・ビットとすることができる。
【0058】
FRP−PCMタイプのストリームがIPネットワークから到着すると、データ・ストリームは、まず、バッファされ(316)、次いでPCM復号化されて(317)、出力信号を生成する。
【0059】
FAXリレー200(図2)及び300(図3)は、実際に、本明細書で開示された同じ新しいFAXリレーを指すことに留意されたい。図2及び図3は、上記で明確に示したように、それぞれFAXリレーの「発信側」と「応答側」との部分、セクション、または要素を図示している。
【0060】
本発明で開示された方法は、2つの従来の方法、即ちFoIPとVBDとの間の妥協を提供するという点で、従来技術より有利である:
・本発明で開示された方法は、信頼性と帯域幅の利用とに関して、VBDに比べて有利である;
・本発明で開示されたゲートウェイは、従来のFoIPゲートウェイに対して複雑度がより低い。というのは、本発明で開示された新しい原理によれば、FAX画像送信(V.27、V.29、V.17/V.33、V34)のT.30 Recommendationによって与えられる信号変調標準を使用しないで済むからである。
【0061】
VBDに比べて、本発明で開示された方法及びFAXリレーは、他の態様において有利である。例えば、FAX制御信号の転送は、FoIP対VBDの利益に恵まれている。より詳細には、本発明で開示された方法及びFAXリレーは、次の特徴がある:
・低ビット・レートで中継されるFAX制御信号と静寂期間との帯域幅を節約する;
・半二重PCMタイプのデータ・ストリームを有し、それによって、そうでなければ逆方向のチャネリングに必要となる通信帯域幅を節約する;
・エコーが無く、新しいゲートウェイは、エコーを、IPを介してリモート・ゲートウェイと、接続されているFAXとに戻さず、従って、かなり良い信号対雑音比を提示する;
・T.30信号フロー定義に従ってFAX信号を送信するため、信号/データ衝突から十分に保護される;
・FAX制御信号のパケット・ロスから十分に保護される;
・FAX通信に関与するIPネットワーク及び/またはFAX機によってもたらされる信号遅延の問題を解決するために、FAXスプーフィングを有効にする;
・T30違反を克服する;
・IPネットワークから受信されたPCMデータ・ストリームの十分長いバッファリングによって、ネットワーク・ジッターと、クロック同期エラーとの影響を抑える。
【0062】
本発明の幾つかの特徴を本明細書に示し、説明してきたが、当業者であれば、多くの修正、置き換え、変更、均等物をすぐに思い付くであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の意図内に含まれるようなすべての修正と変更とをカバーするものと理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】IPネットワークを介したFAXコールの配信に使用される従来のゲートウェイ例を示すブロック図(従来技術)である。
【図2】本発明の一部の好ましい実施形態による、「発信」運転モードになっているFAXリレー例における信号フローを示すブロック図である。
【図3】本発明の一部の好ましい実施形態による、「応答」運転モードになっているFAXリレー例における信号フローを示すブロック図である。
【符号の説明】
【0064】
100 ゲートウェイ
101 インターフェイスまたはTOMポート
103 エコー・キャンセラ
104 エコーレス信号
105 音声/FAX/データ・コール弁別器
106 音声エンコーダ
107 VBDエンコーダ
108 FAXリレー
109 トランスポート・プロトコルRTP
110 FAXリレー・プロトコルT.38
111 パケット
112 ネットワーク・パケット・インターフェイス
200 発信FAXコール
201 信号検出器
202 T.30制御受信機
203 V.xx受信機
204 PCMエンコーダ
205 T.30コマンド
206 TCFまたはFAX画像データ
208 パケット・キュー
210 T.30応答キュー
211 T.30応答データ生成器
212 送信機
218 FAXリレー・デパケタイザ
300 応答FAXコール
301 信号検出器
302 T.30制御受信機
305 T.30応答分析機
308 パケット・キュー
310 T.30コマンド・キュー
311 T.30コマンド・データ生成器
312 送信機
313 ジッター・バッファ
314 V.xxデータ生成器
315 V.xx送信機
318 FAXリレー・デパケタイザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
FAXコールをゲートウェイからIPネットワークにリアルタイムで配信する方法であって、第1のタイプの信号と第2のタイプの信号とを区別するステップを含み、前記第1のタイプに属する信号は、前記ゲートウェイにおいて復調された後、前記ゲートウェイによって前記IPネットワークに転送され、前記第2のタイプの信号は、予め定められた条件に基づいて復調された後またはPCM符号化された後、前記ゲートウェイによって前記IPネットワークに転送される、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記第1のタイプの信号は、一般に「FAX制御信号」に関連付けられており、前記第2のタイプの信号は、一般に「FAX画像信号」に関連付けられている、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記予め定められた条件が満たされる場合、前記第2のタイプの信号は、復調された後に前記ゲートウェイによって中継され、そうでない場合、前記第2のタイプの信号は、PCM符号化された後に転送される、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記予め定められた条件は、前記復調プロセスの実行に必要な前記ゲートウェイにおける計算リソースの可用性、及び/または、前記ゲートウェイが通信する前記FAX機によって使用される前記変調方式を前記ゲートウェイが両方共サポートするかどうかと関係する、方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法であって、前記「FAX制御信号」は、{V.8変更済みアンサー・トーンを含むアンサーFAXトーン、V.21(FSK、300bps)、V.34 INFO(DPSK、600bps)、V.34制御チャネル(QAM、1200bpsまたは2400bps)}から成る信号のグループに属する任意の信号である、方法。
【請求項6】
請求項2に記載の方法であって、前記「FAX画像信号」は、{V.27(位相Bと位相C)、V.29(位相Bと位相C)、V.17/V.33(位相Bと位相C)、V34 Line probe(位相B)、V.34プライマリ・チャネル等化器トレーニング(位相B)、V34プライマリ・チャネル(位相C)}から成る信号のグループに属する任意の信号である、方法。
【請求項7】
ゲートウェイによって出ていくFoIP(fax over IP)信号をリアルタイムで処理する方法であって、
a)前記FAX信号を受信し、そのFAX信号特性に基づいて、それを第1のタイプの信号、または第2のタイプの信号の何れかに関連付けるステップと、
b)前記FAX信号が前記第1のタイプの信号に関連付けられている場合、または、前記FAX信号が前記第2のタイプの信号に関連付けられ、予め定義された条件に基づいている場合、前記FAX信号を復調し、結果として生じたFRPパケット化データを前記IPネットワークに出力するステップと、または
c)前記FAX信号をPCM符号化し、前記予め定義された条件に基づいて、結果として生じたFRP−PCMパケット化データを前記IPネットワークに出力するステップと、
を含む方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記第1のタイプの信号は、一般に「FAX制御信号」に関連付けられており、前記第2のタイプの信号は、一般に「FAX画像信号」に関連付けられている、方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、前記予め定められた条件は、前記復調プロセスの実行に必要な前記ゲートウェイにおける計算リソースの可用性、及び/または、前記ゲートウェイが通信する前記FAX機によって使用される前記変調方式を前記ゲートウェイが両方共サポートするかどうかと関係する、方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法であって、前記「FAX制御信号」は、{V.8変更済みアンサー・トーンを含むアンサーFAXトーン、V.21(FSK、300bps)、V.34 INFO(DPSK、600bps)、V.34制御チャネル(QAM、1200bpsまたは2400bps)}から成るグループに属する任意の信号である、方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法であって、前記「FAX画像信号」は、{V.27(位相Bと位相C)、V.29(位相Bと位相C)、V.17/V.33(位相Bと位相C)、V34 Line probe(位相B)、V.34プライマリ・チャネル等化器トレーニング(位相B)、V.34プライマリ・チャネル(位相C)}から成る信号のグループに属する任意の信号である、方法。
【請求項12】
IPネットワークから受信されるFoIP(fax over IP)信号をリアルタイムでゲートウェイによって処理する方法であって、
a)前記受信されたFAX信号がFRPタイプのデータであるか、FRP−PCMタイプのデータであるかを決定するステップと、
b)前記FAX信号がFRPタイプのデータであると決定された場合、FAX信号を再変調し、結果として生じた信号を目的の受信側に転送するステップと、または
c)前記着信FAX信号がFRP−PCMタイプのデータであると決定された場合、FAX信号をPCM復号化し、結果として生じた信号を目的の受信側に転送するステップと、
を含む方法。
【請求項13】
出ていくFAX信号を、IPネットワークに配信する前に、リアルタイムで処理するFAXリレーであって、
a)FAX端末装置とインターフェイスするインターフェイスと、
b)第1のタイプの信号と第2のタイプの信号とを区別し、前記FAX信号を前記第1のタイプの信号または前記第2のタイプの信号と関連付ける区別手段と、
c)予め定められた条件を格納し、前記条件が満たされているかどうかを判定する格納手段と、
d)それぞれ、FAX信号を復調して、またFAX信号をPCM符号化して、対応するパケットを前記IPネットワークに出力する、復調器及びPCMエンコーダと、
を含み、
前記第1のタイプに属する信号は、前記FAXリレーにおいて復調された後、前記FAXリレーによって前記IPネットワークに中継され、前記第2のタイプの信号は、前記予め定められた条件に基づいて、復調された後またはPCM符号化された後、前記FAXリレーによって前記IPネットワークに転送される、FAXリレー。
【請求項14】
請求項13に記載のFAXリレーであって、前記第1のタイプの信号は、一般に「FAX制御信号」に関連付けられており、前記第2のタイプの信号は、一般に「FAX画像信号」に関連付けられている、FAXリレー。
【請求項15】
請求項13に記載のFAXリレーであって、前記予め定められた条件は、前記復調プロセスの実行に必要な前記ゲートウェイにおける計算リソースの可用性、及び/または、前記ゲートウェイが通信する前記FAX機によって使用される前記変調方式を前記ゲートウェイが両方共サポートするかどうかと関係する、FAXリレー。
【請求項16】
請求項14に記載のFAXリレーであって、前記「FAX制御信号」は、{V.8変更済みアンサー・トーンを含むアンサーFAXトーン、V.21(FSK、300bps)、V.34 INFO(DPSK、600bps)、V.34制御チャネル(QAM、1200bpsまたは2400bps)}から成るグループに属する任意の信号である、FAXリレー。
【請求項17】
請求項14に記載のFAXリレーであって、前記「FAX画像信号」は、{V.27(位相Bと位相C)、V.29(位相Bと位相C)、V.17/V.33(位相Bと位相C)、V34 Line probe(位相B)、V.34プライマリ・チャネル等化器トレーニング(位相B)、V.34プライマリ・チャネル(位相C)}から成るグループに属する任意の信号である、FAXリレー。
【請求項18】
請求項13に記載のFAXリレーであって、
受信されたFAXコール信号に関連するパケットを、前記IPネットワークから受信する受信機と、
前記パケットをバッファリングするバッファと、
着信パケットが遅れる場合、それぞれのFAX端末装置間の接続の中断を防ぐためにFAX関連信号をローカルに生成するローカル信号/データ生成器と、
それぞれ、復調されたFAX信号を再変調する、またPCM符号化されたFAX信号をPCM復号化する、再変調器及びPCMデコーダと、
FAX端末装置と通信するインターフェイスと、
を更に含むFAXリレー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−333488(P2006−333488A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−144797(P2006−144797)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(504163911)オーディオコーズ・リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】AUDIOCODES LTD.
【Fターム(参考)】