信号入力回路、及び集積回路
【課題】センサ信号の生成元に制限を与えることや、構成を複雑化、大型化することなく、信号入力端子のオープンや、センサ信号を伝達させる伝達経路上の断線を検出する。
【解決手段】センサ信号入力回路100のIC110では、ADコンバータ116により、信号入力端子111から入力された0〜5Vの範囲のセンサ信号の電圧値が検知される。また、IC110では、検査コンデンサ150が5Vに設定された状態で、マルチプレクサ114,検査スイッチ118により、いずれかの信号入力端子111と検査コンデンサ150とが導通され、ADコンバータにより信号ライン119dの電圧値が検知される。さらに、同一の信号入力端子について、検査コンデンサ150が0Vに設定された状態で同様にして電圧値が検知され、検知された各電圧値が、5V付近,0V付近である場合に、信号入力端子のオープン等が生じたものとみなされる。
【解決手段】センサ信号入力回路100のIC110では、ADコンバータ116により、信号入力端子111から入力された0〜5Vの範囲のセンサ信号の電圧値が検知される。また、IC110では、検査コンデンサ150が5Vに設定された状態で、マルチプレクサ114,検査スイッチ118により、いずれかの信号入力端子111と検査コンデンサ150とが導通され、ADコンバータにより信号ライン119dの電圧値が検知される。さらに、同一の信号入力端子について、検査コンデンサ150が0Vに設定された状態で同様にして電圧値が検知され、検知された各電圧値が、5V付近,0V付近である場合に、信号入力端子のオープン等が生じたものとみなされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部から入力された入力信号に応じて処理を行う信号入力回路等に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンの内部の温度を測定する温度センサや、スロットル開度を検知するスロットルセンサ等、車両には多くのセンサが搭載されており、車載装置では、このようなセンサからの入力信号の電圧レベルをAD変換により検知する等して各種測定が行われる。このような車載装置では、従来から、AD変換により検知された入力信号の電圧レベルに基づき、センサの故障検出が行われていた。なお、車載用途では、外来ノイズの影響を受け易い環境にあることから、センサのダイナミックレンジを広く取り、外来ノイズの影響を最小限にする必要がある。一方、AD変換を行うICにおける入力信号の入力端子のオープンが生じた際には、IC内部に生成される寄生容量によりAD変換回路への入力電圧レベルが不定となってしまい、AD変換の結果から入力端子のオープンを検出することはできなかった。ここで、入力端子オープン等を検出する方法として、複数のセンサ、複数の入力回路、複数のADコンバータで多重化した上で、複数のAD変換結果の関係性から判定する方法があるが、当然ながらコストアップしてしまう。
【0003】
そこで、特許文献1には、センサ等から入力信号が入力される入力端子と、信号ラインにより入力端子に接続されたADコンバータと、信号ラインと他のラインとの間に設けられたコンデンサと、コンデンサと入力端子との間の接続状態を制御するために信号ライン上に設けられたSWとを有する断線検出装置について記載されている。この断線検出装置は、AD変換を行わない期間に、SWによりコンデンサと入力端子との間が遮断されると共に、コンデンサが負電源に接続され、コンデンサの両端は、入力信号の電圧の変動範囲外となる負の電圧に設定される。そして、AD変換を行う際には、SWによりコンデンサと入力端子とADコンバータとが互いに接続され、AD変換では、正常時には入力端子の電圧値が検知されると共に、入力端子のオープン発生時にはコンデンサにより生成される負の電圧が検知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−55966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明によれば、入力端子のオープン等を検出することができる。しかしながら、ADコンバータにより入力信号の変動範囲外の電圧値を検知する必要があり、入力信号を生成するセンサ等を調整し、入力信号の変動範囲をADコンバータにより検知可能な電圧範囲よりも狭くするか、或いは、ADコンバータを、入力信号の変動範囲よりも広範囲の電圧を検知可能な構成とする必要がある。このため、使用するセンサ等に制限を与えてしまうおそれや、ADコンバータの構成が複雑化、大型化してしまうおそれがある。
【0006】
特に、既に述べたように、外来ノイズの影響を受け易い車載用途のADコンバータにおいては、センサのダイナミックレンジを広く取り、外来ノイズの影響を最小限に抑える必要があり、センサからの入力信号の変動範囲を狭くすることは困難である。このため、ADコンバータを、入力信号の変動範囲よりも広範囲の電圧を検知可能な構成とする必要があり、ADコンバータの構成が複雑化、大型化してしまうという問題があった。
【0007】
本願発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、入力信号の生成元に制限を与えることや、構成を複雑化、大型化することなく、入力信号が入力される信号入力端子のオープンや、入力信号を伝達させる伝達経路上の断線を検出することができる信号入力回路等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に鑑みてなされた請求項1に記載の発明は、予め定められた変動範囲内で電圧値が変動する入力信号が信号入力端子を介して入力される信号入力装置が搭載された信号入力回路に関するものである。この信号入力回路は、一端が信号入力端子に、他端が基準電位に接続される検査コンデンサと、信号入力装置内部に設けられ、検査コンデンサと信号入力端子とを結ぶ検査経路を導通,遮断する接続部と、信号入力装置内部に設けられ、検査コンデンサを充放電することで、該検査コンデンサの両端を変動範囲内の電圧に設定する充放電部と、を備える。また、信号入力装置内部に設けられ、接続部により検査経路を遮断させる検査経路遮断を行った後、充放電部により検査コンデンサの両端を予め定められた端子検査電圧値に設定する充放電手順と、接続部により検査経路を導通させる検査経路導通を行う導通手順とを順次行う端子異常検出処理を実行する判定処理部を備える。
【0009】
そして、判定処理部は、端子検査電圧値を第1端子検査電圧値とした端子異常検出処理を実行すると共に、端子検査電圧値を、第1端子検査電圧値とは異なる第2端子検査電圧値とした端子異常検出処理を実行し、それぞれの端子異常検出処理を実行した後の検査経路の電圧値に基づき、該信号入力端子、或いは、該信号入力端子に入力された入力信号の伝達経路の異常である端子異常を検出する。
【0010】
なお、端子異常とは、例えば、信号入力端子のオープンや、検査経路等といった入力信号を伝達させる伝達経路上の断線を意味する。
また、判定処理部は、例えば、AD変換回路を有していても良く、AD変換により検査経路の電圧値を検知することで、端子異常を検出しても良い。また、判定処理部は、検査経路の電圧の変化を検知する回路を有していても良く、導通手順の前後で検査経路の電圧値がどの程度変化したかを検知することで、端子異常を検出しても良い。
【0011】
請求項1に記載の端子異常検出処理では、充放電手順にて検査コンデンサが端子検査電圧値に設定され、その後、導通手順により、検査コンデンサと信号入力端子との間が導通される。このとき、端子異常が生じている場合には、検査コンデンサは測定装置の外部に導通されず、検査コンデンサの充放電が行われないため、検査経路の電圧値は、検査コンデンサにより生成される端子検査電圧値、或いはその付近の値となる。一方、端子異常が生じていない場合には、検査コンデンサの充放電が行われ、検査経路の電圧値は、一時的に検査コンデンサにより生成される端子検査電圧値付近の値となるが、その後、入力信号の電圧値となる。したがって、導通手順の後の検査経路の電圧値に基づき、端子異常を検出することができる。
【0012】
しかしながら、仮に入力信号の電圧値が端子検査電圧値付近である場合には、端子異常が発生していなくても、導通手順を経た後の検査経路の電圧値は端子検査電圧値付近となり、端子異常が誤検出されるおそれがある。
【0013】
そこで、請求項1に記載の信号入力回路は、第1端子検査電圧値での端子異常検出処理と第2端子検査電圧値での端子異常検出処理を実行し、各端子異常検出処理の実行後の検査経路の電圧値に基づき、端子異常を検出するのである。これにより、第1端子検査電圧値での端子異常検出処理の実行後の検査経路の電圧値が第1端子検査電圧値付近であり、尚且つ、第2端子検査電圧値での端子異常検出処理の実行後の検査経路の電圧値が第2端子検査電圧値付近である場合に、端子異常が発生したとみなす等といったことが可能となる。したがって、入力信号の電圧値が第1端子検査電圧値付近、或いは第2端子検査電圧値付近であったとしても、端子異常の誤検出を防ぐことができる。
【0014】
このように、請求項1に記載の信号入力回路によれば、検査コンデンサに入力信号の変動範囲内の電圧値を設定することで端子異常が検出される。このため、信号入力装置が検知可能な電圧範囲を入力信号の変動範囲よりも広げる必要が無くなり、信号入力装置の構成が複雑化、大型化してしまうことを防ぐことができる。あるいは、入力信号の変動範囲を信号入力装置により検知可能な電圧範囲よりも狭める必要が無くなり、入力信号の生成元に制限を与えてしまうことが無くなる。
【0015】
したがって、請求項1に記載の信号入力回路によれば、入力信号の生成元に制限を与えることや、構成を複雑化、大型化することなく、入力信号が入力される信号入力端子のオープンや、入力信号を伝達させる伝達経路上の断線を検出することができるのである。
【0016】
なお、請求項2に記載されているように、検査コンデンサの容量は、信号入力装置内部に生じる寄生容量よりも十分大きくても良い。
こうすることにより、端子検査電圧値が設定された検査コンデンサと検査経路とを導通させるに際して、寄生容量の影響による検査経路の電圧値の変化を抑えることができる。このため、端子異常が生じた場合に、端子異常検出処理の導通手順により高い精度で検査経路を端子検査電圧値にすることができ、端子異常の検出精度を高めることができる。
【0017】
また、請求項3に記載されているように、検査コンデンサは、信号入力装置の外部に設けられていても良い。
こうすることにより、信号入力装置内部の寄生容量等に応じて、検査コンデンサの容量を容易に変更することができる。
【0018】
また、信号入力装置は、複数の入力信号が入力される多チャンネルの装置として構成されていても良い。
すなわち、請求項4に記載されているように、信号入力装置には、異なる入力信号が入力される複数の信号入力端子が設けられており、接続部は、それぞれの信号入力端子についての検査経路を一括して導通,遮断する検査スイッチと、それぞれの信号入力端子について、検査スイッチとの間の端子経路を導通,遮断する選択スイッチとを有しており、検査スイッチと選択スイッチとにより、それぞれの信号入力端子についての検査経路を導通,遮断しても良い。
【0019】
そして、判定処理部は、検査経路遮断では、接続部により、全ての信号入力端子についての検査経路を遮断させ、検査経路導通では、接続部により、いずれか1つの信号入力端子についての検査経路を導通させると共に、他の信号入力端子についての検査経路を遮断させても良い。また、いずれか一つの信号入力端子を検査対象として端子異常検出処理を実行し、端子異常検出処理の導通手順では、検査対象の信号入力端子についての検査経路を導通させる検査経路導通を行い、端子異常検出処理を実行した後に、検査対象の信号入力端子についての検査経路の電圧値に基づき、該信号入力端子についての端子異常を検出しても良い。
【0020】
こうすることにより、信号入力装置に設けられた各信号入力端子についての端子異常を検出することができる。
また、請求項5に記載されているように、信号入力端子と基準電位との間に設けられた入力側コンデンサをさらに備えていても良い。
【0021】
こうすることにより、端子異常が生じていない場合において、検査経路と基準電位との間の容量を大きくすることができ、導通手順を行うことによる検査経路の電圧値の変動が抑えられる。このため、端子異常検出処理の影響による入力信号の電圧値の変動を抑えることができる。
【0022】
また、請求項6に記載されているように、入力側コンデンサの容量は、検査コンデンサの容量よりも大きくても良い。
こうすることにより、信号入力端子の電圧値の変化を抑えることができ、端子異常検出処理の影響による入力信号の電圧値の変動を抑えることができる。
【0023】
ところで、入力側コンデンサが設けられていない場合には、予め定められた検査電圧値に設定された検査コンデンサと検査経路とを導通させることで、検査経路の電圧値は一時的に検査電圧値付近まで変動する。一方、入力側コンデンサが設けられている場合には、検査経路と基準電位との間の容量が大きくなり、検査電圧値に設定された検査コンデンサと検査経路とを導通させた際の検査経路の電圧値の変動幅は、入力側コンデンサが設けられていない場合に比べて小さくなる。
【0024】
そこで、請求項7に記載の信号入力回路では、判定処理部は、予め定められた期間において、検査経路における信号入力端子と検査スイッチとの間の検査区間の電圧の変化を検知する電圧変化検知手段を有し、いずれか一つの信号入力端子に接続された入力側コンデンサを検査対象とし、該入力側コンデンサについての異常であるコンデンサ異常を検出するためのコンデンサ異常検出処理をさらに実行する。そして、コンデンサ異常検出処理において、検査経路遮断を行った後に、充放電部により検査コンデンサの両端を予め定められたコンデンサ検査電圧値に設定し、その後、検査対象の入力側コンデンサに接続された信号入力端子についての検査経路導通を行い、電圧変化検知手段により、該検査経路導通の前の第1時点と、該検査経路導通の後の第2時点との間で、検査区間の電圧値がどの程度変化したかを検知し、検知された電圧値の変化に基づき、コンデンサ異常を検出する。
【0025】
なお、コンデンサ異常とは、例えば、入力側コンデンサのオープン等を意味する。
こうすることにより、入力側コンデンサのオープンを検出することが可能となる。
しかしながら、入力信号の電圧値がコンデンサ検査電圧値に近い値である場合には、入力側コンデンサのオープンが生じていても、検査経路の導通の前後で検査区間の電圧値が十分に変動せず、入力側コンデンサのオープンを検出することができない。
【0026】
そこで、請求項8に記載の信号入力回路では、判定処理部は、同一の入力側コンデンサを検査対象として、コンデンサ検査電圧値を第1コンデンサ検査電圧値とするコンデンサ異常検出処理と、コンデンサ検査電圧値を、第1コンデンサ検査電圧値とは異なる第2コンデンサ検査電圧値とするコンデンサ異常検出処理とを実行し、それぞれのコンデンサ異常検出処理にて検知された検査区間の電圧値の変化に基づき、コンデンサ異常を検出する。
【0027】
こうすることにより、第1コンデンサ検査電圧値と第2コンデンサ検査電圧値のうちの一方については、入力信号の電圧値との差分を十分なものとすることができる。このため、入力側コンデンサのオープンが生じている場合には、第1コンデンサ検査電圧値でのコンデンサ異常検出処理と、第2コンデンサ検査電圧値でのコンデンサ異常検出処理のうちの少なくとも一方では、検査経路の導通の前後で検査区間の電圧値を大きく変動させることができる。したがって、確実に入力側コンデンサのオープンを検出することができる。
【0028】
なお、請求項9に記載されているように、電圧変化検知手段は、検査区間の電圧値を保持する電圧値保持回路と、検査区間の電圧値と、電圧値保持回路に保持された電圧値との差分を検知し、該差分を保持する差分保持回路と、を有していても良い。そして、判定処理部は、コンデンサ異常検出処理において、電圧値保持回路により、第1時点の検査区間の電圧値を保持させると共に、差分保持回路により、電圧値保持回路に保持された電圧値と、第2時点の検査区間の電圧値の差分を保持させることで、第1時点と第2時点との間で検査区間の電圧値がどの程度変化したかを検知しても良い。
【0029】
このような構成を有することで、確実に検査区間の電圧値がどの程度変化したかを検知することができる。
ところで、検査コンデンサの電圧値を検査電圧値に設定した後に、いずれかの信号入力端子と検査コンデンサとの間を導通させると、該信号入力端子に設けられた入力側コンデンサと検査コンデンサとの間で電荷の移動が生じ、該信号入力端子の電圧変化が生じる。ここで、信号入力装置の各信号入力端子には、入力側コンデンサと共にフィルタ回路を構成する入力側抵抗が設けられていても良く、このような入力側抵抗の端子のオープンが生じていない場合には、検査コンデンサや入力側コンデンサと外部との間で電荷が移動するため、上記電圧変化が生じた後、信号入力端子の電圧値は入力信号の電圧値に戻る。これに対し、入力側抵抗のオープンが生じている場合には、外部との間で電荷の移動が生じず、変化後の電圧が維持される。このため、入力側抵抗のオープンが生じている場合に、検査コンデンサに検査電圧値を設定する処理と、該検査コンデンサといずれかの信号入力端子との間を導通させる処理とを繰り返すと、該信号入力端子の電圧が段階的に変化し、検査電圧値に近づく。したがって、これらの処理を繰り返した後の信号入力端子の電圧値を検知することで、入力側抵抗のオープンを検出することができる。
【0030】
そこで、請求項10に記載の信号入力回路は、信号入力端子に接続され、該信号入力端子に接続された入力側コンデンサと共にフィルタ回路をなす入力側抵抗をさらに備え、判定処理部は、いずれか一つの信号入力端子に接続された入力側抵抗を検査対象とし、該入力側抵抗についての異常である抵抗異常を検出するための抵抗異常検出処理をさらに実行する。そして、抵抗異常検出処理において、検査経路遮断を行った後に、充放電部により検査コンデンサの両端を予め定められた抵抗検査電圧値に設定し、その後、検査対象の入力側抵抗に接続された信号入力端子についての検査経路導通を行う手順を複数回にわたり行い、抵抗異常検出処理を実行した後の検査経路の電圧値に基づき、抵抗異常を検出する。
【0031】
なお、抵抗異常とは、例えば、入力側抵抗のオープン等を意味する。
こうすることにより、入力側抵抗のオープンを検出することが可能となる。
しかしながら、入力信号の電圧値が抵抗検査電圧値付近である場合には、入力側抵抗のオープンが生じていない場合であっても、上記処理を繰り返した後には、信号入力端子は抵抗検査電圧値付近の電圧値となる。
【0032】
そこで、請求項11に記載の信号入力回路では、判定処理部は、同一の入力側抵抗を検査対象として、抵抗検査電圧値を第1抵抗検査電圧値とする抵抗異常検出処理と、抵抗検査電圧値を、第1抵抗検査電圧値とは異なる第2抵抗検査電圧値とする抵抗異常検出処理とを実行し、これらの抵抗異常検出処理を実行した後の検査経路の電圧値に基づき、抵抗異常を検出する。
【0033】
こうすることにより、第1抵抗検査電圧値での抵抗異常検出処理を実行した後の信号入力端子の電圧値が第1抵抗検査電圧値の付近であり、尚且つ、第2抵抗検査電圧値での抵抗異常検出処理を実行した後の信号入力端子の電圧値が第2抵抗検査電圧値の付近である場合に、入力側抵抗のオープンが生じているとみなすことができる。このため、仮に入力信号の電圧値が第1抵抗検査電圧値付近、或いは第2抵抗検査電圧値付近であったとしても、入力側抵抗のオープンが誤検出されてしまうことを防ぐことができる。
【0034】
ところで、検査スイッチのON固着が生じ、検査経路が常時導通された状態となっている場合には、検査コンデンサと検査経路とは同じ電圧値となる。
そこで、請求項12に記載の信号入力回路では、判定処理部は、検査スイッチにより検査経路を遮断させた後に、充放電部により検査コンデンサの両端を予め定められた検査電圧値に設定する検査スイッチ異常検出処理をさらに実行し、該検査スイッチ異常検出処理を実行した後の検査経路の電圧値に基づき、検査スイッチの異常を検出する。
【0035】
こうすることにより、検査スイッチのON固着の検出が可能となる。
また、請求項13に記載の信号入力回路では、判定処理部は、検査スイッチにより検査経路を遮断させると共に、選択スイッチにより全ての信号入力端子についての端子経路を遮断させた後に、充放電部により検査コンデンサの両端を予め定められた検査電圧値に設定し、その後、検査スイッチにより検査経路を導通させる充放電部異常検出処理をさらに実行し、該充放電部異常検出処理を実行した後の検査経路の電圧値に基づき、充放電部と、接続部と、検査コンデンサとのうちの少なくともいずれか一つについての異常を検出する。
【0036】
詳しく説明すると、充放電部異常検出処理により検査経路が導通されると、正常時には、検査経路は検査電圧値となる。しかしながら、そもそも検査コンデンサに検査電圧値が設定されていない場合(すなわち、充放電部や検査コンデンサに異常が生じている場合)や、端子経路が導通されており、検査経路に入力信号が入力されている場合(すなわち、選択スイッチのON固着が生じている場合)には、検査経路は検査電圧値とならないおそれがある。また、検査スイッチのOFF固着が生じ、検査経路が常時遮断されている場合においても、検査経路は検査電圧値とならないおそれがある。
【0037】
このため、請求項13に記載の信号入力回路によれば、充放電部異常検出処理の実行後の検査経路の電圧値と検査電圧値とを比較する等して、充放電部と、選択スイッチと、検査スイッチと、検査コンデンサとのうちの少なくともいずれか一つについての異常を検出することができる。
【0038】
また、請求項3等に記載の信号入力回路に搭載された信号入力装置を集積回路として構成し、流通させても良い(請求項14)し、検査コンデンサが内蔵された請求項1等に記載の信号入力装置を集積回路として構成し、流通させても良い(請求項15)。このような集積回路を用いた場合であっても、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】第1実施形態におけるセンサ信号入力回路の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態における5Vチャージ処理のフローチャートと、0Vチャージ処理のフローチャートである。
【図3】第1実施形態におけるIC異常検出処理のフローチャートである。
【図4】第1実施形態におけるIC異常検出処理のフローチャートである。
【図5】第1実施形態におけるIC異常検出処理のフローチャートである。
【図6】第1実施形態におけるIC異常検出処理により検出される異常の一覧を示す表である。
【図7】センサ信号が0Vである場合に、入力側抵抗のオープン発生後に5Vチャージ処理等を繰り返した場合の信号入力端子の電圧変化を示すタイミングチャートである。
【図8】センサ信号が5Vである場合に、入力側抵抗のオープン発生後に0Vチャージ処理等を繰り返した場合の信号入力端子の電圧変化を示すタイミングチャートである。
【図9】第1実施形態における入力側抵抗異常検出処理のフローチャートである。
【図10】センサ信号が0Vである場合に、検査コンデンサに5Vを設定した状態で検査コンデンサと信号入力端子とを導通させた際の、信号入力端子の電圧変化を示すタイミングチャートである。
【図11】センサ信号が5Vである場合に、検査コンデンサに0Vを設定した状態で検査コンデンサと信号入力端子とを導通させた際の、信号入力端子の電圧変化を示すタイミングチャートである。
【図12】第1実施形態における入力側コンデンサ異常検出処理のフローチャートである。
【図13】第2実施形態におけるセンサ信号入力回路の構成を示すブロック図である。
【図14】第2実施形態におけるIC異常検出処理のフローチャートである。
【図15】第2実施形態におけるIC異常検出処理のフローチャートである。
【図16】第2実施形態におけるIC異常検出処理のフローチャートである。
【図17】センサ信号が0Vである場合に、入力側抵抗のオープン発生後に5Vチャージ処理等を繰り返した場合の信号入力端子の電圧変化を示すタイミングチャートである。
【図18】センサ信号が5Vである場合に、入力側抵抗のオープン発生後に0Vチャージ処理等を繰り返した場合の信号入力端子の電圧変化を示すタイミングチャートである。
【図19】第2実施形態における入力側抵抗異常検出処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0041】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態のセンサ信号入力回路について説明する。
[構成の説明]
図1は、第1実施形態のセンサ信号入力回路100の構成を示すブロック図である。このセンサ信号入力回路100には、温度センサや車両のアクセルの操作状態を検知するスロットルセンサ等のように、測定対象の状態やユーザの操作に応じて0V〜5Vの範囲で電圧値が変化するセンサ信号を生成する複数の第1〜第Nセンサ200a〜200cが接続されており、これらのセンサから入力されたセンサ信号の電圧値をAD変換により検知し、検知した電圧値に基づき処理を行うよう構成されている。
【0042】
具体的には、センサ信号入力回路100は、第1〜第Nセンサ200a〜200cにそれぞれ接続された第1〜第N外部入力端子120a〜120cを有すると共に、第1〜第N外部入力端子120a〜120cにそれぞれ接続された第1〜第N信号入力端子111a〜111cを備え、これらの端子を介して第1〜第Nセンサ200a〜200cから入力されたセンサ信号のAD変換を行うIC110を有している。なお、IC110は、マイコンやAD変換用IC等として構成されていても良い。
【0043】
また、センサ信号入力回路100は、第1〜第N外部入力端子120a〜120cに接続された第1〜第N抵抗130a〜130cと、第1〜第N外部入力端子120a〜120cと第1〜第N信号入力端子111a〜111cとの間にそれぞれ設けられた第1〜第Nフィルタ回路140a〜140cを有する。また、センサ信号入力回路100は、一端がIC110の端子に、他端が基準電位に接続され、第1〜第N信号入力端子111a〜111c等の検査(詳細については後述する)に用いられる検査コンデンサ150を有する。なお、第1フィルタ回路140aは、第1外部入力端子120aと第1信号入力端子111aとを結ぶライン上に設けられた入力側抵抗140a−1と、第1信号入力端子111aと基準電位との間に設けられた入力側コンデンサ140a−2を有しており、他のフィルタ回路もこれと同様に構成されている。
【0044】
また、IC110は、第1〜第N信号入力端子111a〜111cと信号ライン119dとの接続状態をそれぞれ制御する第1〜第Nスイッチ114a〜114c等から構成されるマルチプレクサ114(MPXとも記載)と、AD変換により0〜5Vの範囲で信号ライン119dの電圧値を検知するADコンバータ116と、サージ電流から回路を保護するため、第1〜第N信号入力端子111a〜111cとマルチプレクサ114との間にそれぞれ設けられた第1〜第Nサージ保護回路113a〜113cとを有している。なお、ADコンバータ116には、信号ライン119dに接続されるサンプリングコンデンサ(図示なし)が設けられており、信号ライン119dを伝達する信号によりチャージされたサンプリングコンデンサの電圧値をAD変換により検知することで、信号ライン119dの電圧値が検知される。また、第1サージ保護回路113aは、第1信号入力端子111aとマルチプレクサ114とを結ぶ第1入力ライン119aにアノードが接続され、5V電源にカソードが接続されたダイオードと、第1入力ライン119aにカソードが接続され、基準電位にアノードが接続されたダイオードとから構成されており、他のサージ保護回路もこれと同様に構成されている。
【0045】
また、IC110は、信号ライン119dと上述の検査コンデンサ150とを結ぶ検査ライン119e上に設けられ、該検査ライン119eを導通,遮断する検査スイッチ118と、検査コンデンサ150に電圧を印加する検査用電源117と、所定期間において信号ライン119dで電圧値がどの程度変化したかを検知する電圧変化検知回路112と、マルチプレクサ114,ADコンバータ116,検査用電源117,検査スイッチ118,電圧変化検知回路112を制御する制御回路115とを有している。
【0046】
なお、検査用電源117は、5V電源との接続状態を設定する5Vスイッチ117aと、基準電位との接続状態を設定する0Vスイッチ117bとから構成されており、これらのスイッチの一方をONすることで、5V或いは0Vの電圧が検査コンデンサ150に印加される。
【0047】
また、電圧変化検知回路112は、制御回路115からの判定電圧保持信号に応じて信号ライン119dの電圧値を保持するラッチ回路として構成された判定電圧保持回路112aと、判定電圧保持回路112aに保持された電圧値と信号ライン119dの電圧値との差分を検知する判定回路112bと、制御回路115からの判定結果保持信号に応じて判定回路112bにより検知された差分を判定結果保持値として保持する判定結果保持回路112cとを有している。
【0048】
また、IC110の内部では、第1〜第N信号入力端子111a〜111cと基準電位との間や、信号ライン119dと基準電位との間等に、5pF程度の容量の寄生容量110a〜110dが生成される。
【0049】
なお、各信号入力端子に設けられた入力側コンデンサの容量は検査コンデンサ150の容量よりも大きく、一例として、入力側コンデンサの容量が0.1μF、検査コンデンサ150の容量が0.01μFであっても良い。
【0050】
[動作の説明]
次に、第1実施形態のセンサ信号入力回路100の動作について説明する。センサ信号入力回路100は、検査用電源117や検査スイッチ118やマルチプレクサ114等により、検査対象となるいずれか一つの信号入力端子に接続された入力側コンデンサと検査コンデンサ150との間で電荷の移動を生じさせることで、センサ信号の伝達経路の断線等といった各種異常を検出するよう構成されている。
【0051】
(1)5Vチャージ処理について
まず、検査コンデンサ150に5Vの電圧を印加することで、検査コンデンサ150の電圧値を5Vに設定する5Vチャージ処理について、図2(a)に記載のフローチャートを用いて説明する。この処理は、異常検出を行う際にIC110の制御回路115により実行される処理である。
【0052】
S305では、IC110の制御回路115は、マルチプレクサ114のスイッチを全てOFFとし、全ての信号入力端子と信号ライン119dとの間の接続状態を遮断状態に設定する。そして、S310に処理を移行する。
【0053】
S310では、制御回路115は、検査スイッチ118をOFFとし、信号ライン119dと検査コンデンサ150との間の接続状態を遮断状態に設定する。そして、S315に処理を移行する。
【0054】
S315では、制御回路115は、検査用電源117の5Vスイッチ117aをON、0Vスイッチ117bをOFFとし、検査コンデンサ150に5Vの電圧を印加する。そして、S320に処理を移行する。
【0055】
S320では、制御回路115は、電圧の印加の開始後、所定時間が経過したか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S320:Yes)、S325に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S320:No)、S320に処理を移行する。
【0056】
S325では、制御回路115は、5Vスイッチ117aをOFFとして検査コンデンサ150への電圧の印加を終了し、本処理を終了する。
(2)0Vチャージ処理について
次に、検査コンデンサ150に0Vの電圧を印加することで、検査コンデンサ150の電圧値を0Vに設定する0Vチャージ処理について、図2(b)に記載のフローチャートを用いて説明する。この処理は、異常検出を行う際にIC110の制御回路115により実行される処理である。なお、0Vチャージ処理は5Vチャージ処理と類似した処理であるので、5Vチャージ処理との相違点を中心に説明する。
【0057】
0Vチャージ処理では、5Vチャージ処理のS305〜S325にそれぞれ相当するS330〜S350が行われる。
5Vチャージ処理のS315に相当するS340では、制御回路115は、検査用電源117の5Vスイッチ117aをOFF、0Vスイッチ117bをONとし、検査コンデンサ150に0Vの電圧を印加する。そして、S345に処理を移行する。
【0058】
また、5Vチャージ処理のS325に相当するS350では、制御回路115は、0Vスイッチ117bをOFFとして検査コンデンサ150への電圧の印加を終了し、本処理を終了する。
【0059】
なお、S340,S350以外では、5Vチャージ処理における対応するステップと同様の処理が行われる。
(3)IC異常検出処理について
次に、IC110の信号入力端子のオープン、或いは信号入力端子から検査スイッチ118までの経路上の断線である端子異常の検出について説明する。
【0060】
検査コンデンサ150を全ての信号入力端子から遮断した状態で、検査コンデンサ150に対し、センサ信号の変動範囲内の検査電圧値を印加し、検査コンデンサ150の両端を検査電圧値に設定した後に、検査コンデンサ150といずれかの信号入力端子とを導通状態とする。このとき、信号ライン119dの電圧値が、検査コンデンサ150により生成される検査電圧値付近で保持される場合には、検査コンデンサ150の充放電が行われておらず、端子異常が生じていると考えられる。
【0061】
しかしながら、センサ信号自体が検査電圧値付近である場合には、端子異常が生じていなくても信号ライン119dが検査電圧値付近となるため、端子異常と断定することはできない。そこで、本実施形態では、5Vチャージ処理と0Vチャージ処理を実行した後に、検査コンデンサ150と信号入力端子とを導通状態とし、信号ライン119dの電圧値を検知する。そして、5Vチャージ処理の後と、0Vチャージ処理の後の双方において、信号ライン119dが5V,0V付近となった場合には、端子異常が生じたものとみなすのである。
【0062】
続いて、端子異常等を検出するIC異常検出処理について、図3〜5に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、いずれか一つの信号入力端子を検査対象として実行され、センサ信号入力回路100の動作中に、検査対象とする信号入力端子を切り替えながら定期的に実行される処理である。
【0063】
S401では、IC110の制御回路115は、5Vチャージ処理を実行して検査コンデンサ150の電圧を5Vに設定し、S402に処理を移行する。
S402では、制御回路115は、ADコンバータ116にAD変換を行わせ、信号ライン119dの電圧を検知する。そして、S403に処理を移行する。
【0064】
S403では、制御回路115は、検知した電圧値が5V或いは5V付近の値であるかを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S403:Yes)、S404に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S403:No)、図4のS408に処理を移行する。
【0065】
S404では、制御回路115は、0Vチャージ処理を実行して検査コンデンサ150の電圧を0Vに設定し、S405に処理を移行する。
S405では、制御回路115は、ADコンバータ116にAD変換を行わせ、信号ライン119dの電圧を検知する。そして、S406に処理を移行する。
【0066】
S406では、制御回路115は、検知した電圧値が0V或いは0V付近の値であるかを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S406:Yes)、S407に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S406:No)、図4のS408に処理を移行する。
【0067】
S407では、制御回路115は、検査スイッチ118のON固着が生じているとみなし、本処理を終了する。
続いて、図4に基づき説明を行う。S403やS406にて否定判定が得られた場合に移行するS408では、制御回路115は、5Vチャージ処理を実行し、S409に処理を移行する。
【0068】
S409では、制御回路115は、検査スイッチ118をONとし、S410に処理を移行する。
S410では、制御回路115は、ADコンバータ116にAD変換を行わせ、信号ライン119dの電圧を検知する。そして、S411に処理を移行する。
【0069】
S411では、制御回路115は、検知した電圧値が5V或いは5V付近の値であるかを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S411:Yes)、S412に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S411:No)、S417に処理を移行する。
【0070】
S412では、制御回路115は、0Vチャージ処理を実行し、S413に処理を移行する。
S413では、制御回路115は、検査スイッチ118をONとし、S414に処理を移行する。
【0071】
S414では、制御回路115は、ADコンバータ116にAD変換を行わせ、信号ライン119dの電圧を検知する。そして、S415に処理を移行する。
S415では、制御回路115は、検知した電圧値が0V或いは0V付近の値であるかを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S415:Yes)、図5のS423に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S415:No)、S416に処理を移行する。
【0072】
S416では、制御回路115は、検査用電源117の異常(5Vスイッチ117aのON固着,0Vスイッチ117bのOFF固着,基準電位の異常のうちの少なくとも一つ)が生じているとみなし、本処理を終了する。
【0073】
S411にて否定判定が得られた場合に移行するS417では、制御回路115は、0Vチャージ処理を実行し、S418に処理を移行する。
S418では、制御回路115は、検査スイッチ118をONとし、S419に処理を移行する。
【0074】
S419では、制御回路115は、ADコンバータ116にAD変換を行わせ、信号ライン119dの電圧を検知する。そして、S420に処理を移行する。
S420では、制御回路115は、検知した電圧値が0V或いは0V付近の値であるかを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S420:Yes)、S421に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S420:No)、S422に処理を移行する。
【0075】
S421では、制御回路115は、検査用電源117の異常(5Vスイッチ117aのOFF固着,0Vスイッチ117bのON固着,5V電源の異常のうちの少なくとも一つ)が生じているとみなし、本処理を終了する。
【0076】
一方、S422では、制御回路115は、検査スイッチ118のOFF固着,検査コンデンサ150のオープン,マルチプレクサ114のスイッチのON固着のうちの少なくとも一つが生じているとみなし、本処理を終了する。
【0077】
続いて、図5に基づき説明を行う。S415にて肯定判定が得られた場合に移行するS423では、制御回路115は、5Vチャージ処理を実行し、S424に処理を移行する。
【0078】
S424では、制御回路115は、検査スイッチ118をONとし、S425に処理を移行する。
S425では、制御回路115は、検査対象の信号入力端子に接続されたマルチプレクサ114のスイッチをONとし、該信号入力端子と信号ライン119dとの間の接続状態を導通状態に設定する。そして、S426に処理を移行する。
【0079】
S426では、制御回路115は、ADコンバータ116にAD変換を行わせ、信号ライン119dの電圧を検知する。そして、S427に処理を移行する。
S427では、制御回路115は、検知した電圧値が5V或いは5V付近の値であるかを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S427:Yes)、S428に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S427:No)、S434に処理を移行する。
【0080】
S428では、制御回路115は、0Vチャージ処理を実行し、S429に処理を移行する。
S429では、制御回路115は、検査スイッチ118をONとし、S430に処理を移行する。
【0081】
S430では、制御回路115は、検査対象の信号入力端子に接続されたマルチプレクサ114のスイッチをONとし、S431に処理を移行する。
S431では、制御回路115は、ADコンバータ116にAD変換を行わせ、信号ライン119dの電圧を検知する。そして、S432に処理を移行する。
【0082】
S432では、制御回路115は、検知した電圧値が0V或いは0V付近の値であるかを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S432:Yes)、S433に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S432:No)、S434に処理を移行する。
【0083】
S433では、制御回路115は、端子異常、或いは、検査対象の信号入力端子に接続されるマルチプレクサ114のスイッチのOFF固着が生じているとみなし、本処理を終了する。
【0084】
一方、S434では、制御回路115は、信号入力端子のオープン等の異常は無いものとみなし、本処理を終了する。
なお、図6には、IC異常検出処理により検出される異常の一覧を示す表が記載されている。該表に記載されているように、IC異常検出処理のS401〜S407では、5Vチャージ処理後に検知された電圧値が5V付近、かつ、0Vチャージ処理後に検知された電圧値が0V付近である場合には、検査スイッチ118のON固着が検出される。
【0085】
また、IC異常検出処理のS408〜S422では、5Vチャージ処理後に検知された電圧値が5V付近、かつ、0Vチャージ処理後に検知された電圧値が0V付近でない場合には、5Vスイッチ117aのON固着,0Vスイッチ117bのOFF固着,基準電位の異常のうちのいずれかが検出される。また、5Vチャージ処理後に検知された電圧値が5V付近でなく、かつ、0Vチャージ処理後に検知された電圧値が0V付近である場合には、5Vスイッチ117aのOFF固着,0Vスイッチ117bのON固着,5V電源の異常のうちのいずれかが検出される。また、5Vチャージ処理後に検知された電圧値が5V付近でなく、かつ、0Vチャージ処理後に検知された電圧値が0V付近でない場合には、検査スイッチ118のOFF固着,検査コンデンサ150のオープン,マルチプレクサ114のスイッチのON固着のうちのいずれかが検出される。
【0086】
また、IC異常検出処理のS423〜S434では、5Vチャージ処理後に検知された電圧値が5V付近、かつ、0Vチャージ処理後に検知された電圧値が0V付近である場合には、検査対象の信号入力端子から検査スイッチ118までの間の断線(端子異常),検査対象の信号入力端子に接続されるマルチプレクサ114のスイッチのOFF固着のうちのいずれかが検出される。
【0087】
(4)入力側抵抗異常検出処理について
次に、第1〜第N信号入力端子111a〜111cに接続されたフィルタ回路140a〜140cを構成する入力側抵抗のオープンを検出する入力側抵抗異常検出処理について説明する。
【0088】
(4−1)概要について
センサ信号入力回路100のIC110では、5Vチャージ処理或いは0Vチャージ処理が実行された後に、いずれかの信号入力端子と検査コンデンサ150との間を導通状態に設定する処理(導通処理と記載)が実行されると、該信号入力端子に接続された入力側コンデンサと検査コンデンサ150との間で電荷の移動が生じる。そして、正常時には、センサ信号入力回路100の外部と入力側コンデンサ,検査コンデンサとの間で電荷が移動するため、導通処理の後、一時的に信号入力端子の電圧値が変動するが、その後、信号入力端子の電圧値はセンサ信号の電圧値となる。これに対し、入力側抵抗のオープンが生じている場合には、センサ信号入力回路100の外部との間で電荷の移動が生じず、5Vチャージ処理等と導通処理とを複数回にわたり実行すると、信号入力端子の電圧値が5V或いは0Vに近づく。
【0089】
センサ信号入力回路100では、5Vチャージ処理等と導通処理とを複数回にわたり実行した後の信号入力端子の電圧値を検知することで、該信号入力端子に接続された入力側抵抗の断線を検出する。
【0090】
具体例を挙げて説明する。図7には、センサ信号の電圧値が0Vである場合において、入力側抵抗のオープン発生後に5Vチャージ処理と導通処理とを繰り返し行った場合の、該入力側抵抗に接続される信号入力端子の電圧値Vinの変化を示すタイミングチャートが記載されている。
【0091】
図7に記載されているように、入力側抵抗のオープンが生じた後には、5Vチャージ処理と導通処理とを実行する度(図7では導通処理をMPX ONと記載)に信号入力端子の電圧値Vinが段階的に増加する。なお、導通処理等の実行後のVinの増加値は、検査コンデンサ150や入力側コンデンサの容量や、寄生容量等に基づき定められる。図7は、一例として、検査コンデンサ150,入力側コンデンサの容量,信号入力端子の寄生容量,信号ライン119dの寄生容量を、0.01μF,0.1μF,5pF,5pFとした場合のVinの変化を示している。
【0092】
また、図8には、センサ信号の電圧値が5Vである場合において入力側抵抗のオープンが生じた後に、0Vチャージ処理と導通処理とを繰り返し行った場合の、信号入力端子の電圧値Vinの変化を示すタイミングチャートが記載されている。
【0093】
図8に記載されているように、入力側抵抗のオープンが生じた後、0Vチャージ処理と導通処理とを実行する度に、信号入力端子の電圧値Vinが段階的に減少する。なお、導通処理等の実行後のVinの減少値もまた、検査コンデンサ150や入力側コンデンサの容量や、寄生容量等に基づき定められ、図8は、検査コンデンサ150等の容量を図7の場合と同様にした時のVinの変化を示している。
【0094】
ここで、センサ信号の電圧値が5V付近或いは0V付近である場合には、入力側抵抗のオープンが生じていない場合であっても、5Vチャージ処理等と導通処理とを繰り返した後には、信号入力端子の電圧値は、5V付近或いは0V付近となる。
【0095】
そこで、入力側抵抗異常検出処理では、5Vチャージ処理と導通処理とを複数回にわたり実行した後の信号入力端子の電圧値が5V付近であり、尚且つ、0Vチャージ処理と導通処理とを複数回にわたり実行した後に信号入力端子の電圧値が0V付近である場合に、入力側抵抗のオープンが発生したものとみなす。
【0096】
(4−2)詳細について
次に、入力側抵抗異常検出処理の詳細について、図9に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、いずれか一つの入力側抵抗を検査対象として実行され、センサ信号入力回路100の動作中に、検査対象とする入力側抵抗を切り替えながら定期的に実行される処理である。
【0097】
S505では、IC110の制御回路115は、5Vチャージ処理を実行し、S510に処理を移行する。
S510では、制御回路115は、検査スイッチ118をONとし、S515に処理を移行する。
【0098】
S515では、制御回路115は、検査対象の入力側抵抗に繋がる信号入力端子に接続されたマルチプレクサ114のスイッチをONとし、S520に処理を移行する。
S520では、制御回路115は、5Vチャージ処理の実行回数が予め定められた閾値を超えたか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S520:Yes)、S525に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S520:No)、S505に処理を移行する。
【0099】
S525では、制御回路115は、ADコンバータ116にAD変換を行わせ、信号ライン119dの電圧を検知する。そして、S530に処理を移行する。
S530では、制御回路115は、検知した電圧値が5V或いは5V付近の値であるかを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S530:Yes)、S535に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S530:No)、S570に処理を移行する。
【0100】
S535では、制御回路115は、0Vチャージ処理を実行し、S540に処理を移行する。
S540では、制御回路115は、検査スイッチ118をONとし、S545に処理を移行する。
【0101】
S545では、制御回路115は、検査対象の入力側抵抗に繋がる信号入力端子に接続されたマルチプレクサ114のスイッチをONとし、S550に処理を移行する。
S550では、制御回路115は、0Vチャージ処理の実行回数が予め定められた閾値を超えたか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S550:Yes)、S555に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S550:No)、S535に処理を移行する。
【0102】
S555では、制御回路115は、ADコンバータ116にAD変換を行わせ、信号ライン119dの電圧を検知する。そして、S560に処理を移行する。
S560では、制御回路115は、検知した電圧値が0V或いは0V付近の値であるかを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S560:Yes)、S565に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S560:No)、S570に処理を移行する。
【0103】
S565では、制御回路115は、検査対象の入力側抵抗のオープンが生じているとみなし、本処理を終了する。
一方、S570では、制御回路115は、検査対象の入力側抵抗の異常は無いものとみなし、本処理を終了する。
【0104】
(5)入力側コンデンサ異常検出処理について
次に、第1〜第N信号入力端子111a〜111bに接続されたフィルタ回路140a〜140cを構成する入力側コンデンサのオープンを検出する入力側コンデンサ異常検出処理について説明する。
【0105】
(5−1)概要について
第1実施形態のセンサ信号入力回路100では、5Vチャージ処理或いは0Vチャージ処理の後に、いずれかの信号入力端子と検査コンデンサ150との間を導通状態に設定する処理(導通処理と記載)が実行されると、検査コンデンサ150の充放電が生じ、信号入力端子の電圧が一時的に変動する。そして、信号入力端子に入力側コンデンサが接続されていない場合には、入力側コンデンサが接続されている場合に比べて信号入力端子の電圧の変動幅が大きくなる。センサ信号入力回路100では、この変動幅を検知することで、入力側コンデンサのオープンが検出される。
【0106】
具体例を挙げて説明する。図10には、検査対象の入力側コンデンサに接続された信号入力端子に入力されるセンサ信号の電圧値が0Vである場合において、5Vチャージ処理の後に導通処理を実行した際の信号入力端子の電圧値Vinの変化を示すタイミングチャートが記載されている。なお、入力側コンデンサの容量をC1,IC110内部に生成される寄生容量をC2及びC3,検査コンデンサ150の容量をC4とすると共に、入力側抵抗の抵抗値をR1としている。また、図10におけるVC4は、導通処理の直前に検査コンデンサ150により生成される電圧であり、ここでは、5Vチャージ処理の後に導通処理が実行されるため、VC4は5Vとなる。また、図10(a)のタイミングチャートは、正常時の電圧値Vinの変化を示しており、図10(b)のタイミングチャートは、入力側コンデンサのオープン発生時の電圧値Vinの変化を示している。
【0107】
正常時には、導通処理が実行されると(図10では検査SW ONと記載)、VinはVC4×(C2+C3+C4)/(C1+C2+C3+C4)(V)まで上昇し、その後、時定数τを(C1+C2+C3+C4)×R1として減少する(図10(a)参照)。
【0108】
一方、入力側コンデンサの断線時には、導通処理が実行されると、VinはVC4×(C3+C4)/(C2+C3+C4)(V)まで上昇し、その後、時定数τを(C2+C3+C4)×R1として減少する(図10(b)参照)。
【0109】
また、図11には、検査対象の入力側コンデンサに接続された信号入力端子に入力されるセンサ信号の電圧値が5Vである場合において、0Vチャージ処理の後に導通処理を実行した際の信号入力端子の電圧値Vinの変化を示すタイミングチャートが記載されている。なお、図11(a)のタイミングチャートは、正常時の電圧値Vinの変化を示しており、図11(b)のタイミングチャートは、入力側コンデンサのオープン発生時の電圧値Vinの変化を示している。
【0110】
正常時には、導通処理が実行されると(図11では検査SW ONと記載)、Vinは、5×(C2+C3+C4)/(C1+C2+C3+C4)(V)となり、その後、時定数τを(C1+C2+C3+C4)×R1としてVinが増加する(図11(a)参照)。
【0111】
一方、入力側コンデンサの断線時には、導通処理が実行されると、Vinは、5×(C3+C4)/(C2+C3+C4)(V)となり、その後、時定数τを(C2+C3+C4)×R1としてVinが増加する(図11(b)参照)。
【0112】
このため、入力側コンデンサ異常検出処理では、導通処理の直前に判定電圧保持信号を出力すると共に、導通処理の直後に判定結果保持信号を出力することで、電圧変化検知回路112により導通処理の前後における信号入力端子の電圧値の変化を検知する。そして、この電圧値の変化が予め定められた閾値を超えるか否かにより、入力側コンデンサのオープンが検出されるのである。
【0113】
ここで、仮にセンサ信号の電圧値が5Vである場合には、入力側コンデンサのオープンが生じている際に5Vチャージ処理と導通処理とを行ったとしても、十分な変動が生じず、入力側コンデンサのオープンを検出することができない。また、センサ信号の電圧値が0Vである場合に0Vチャージ処理と導通処理とを行った場合も同様である。このため、入力側コンデンサ異常検出処理では、5Vチャージ処理と0Vチャージ処理とを実行すると共に、各処理の実行後に導通処理を行い、一方の導通処理の後の電圧値の変化が閾値を越える場合には、入力側コンデンサのオープンが生じたものとみなしている。
【0114】
なお、この閾値は、5Vチャージ処理により入力側コンデンサの断線を検出する場合であれば、導通処理の直前に検査コンデンサ150により生成される電圧VC4に基づき設定しても良く、一例として、VC4の半分程度としても良い。
【0115】
また、0Vチャージ処理により入力側コンデンサの断線を検出する場合であれば、センサ信号の最大電圧値に基づき上記閾値を設定しても良く、一例として、該最大電圧値の半分程度としても良い。
【0116】
(5−2)詳細について
次に、入力側コンデンサ異常検出処理の詳細について、図12に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、いずれか一つの入力側コンデンサを検査対象として実行され、センサ信号入力回路100の動作中に、検査対象とする入力側コンデンサを切り替えながら定期的に実行される処理である。
【0117】
S605では、IC110の制御回路115は、5Vチャージ処理を実行し、S610に処理を移行する。
S610では、制御回路115は、検査対象の入力側コンデンサに繋がる信号入力端子に接続されたマルチプレクサ114のスイッチをONとし、S615に処理を移行する。
【0118】
S615では、制御回路115は、判定電圧保持信号を出力し、判定電圧保持回路112aに信号ライン119dの電圧値を保持させる。そして、S620に処理を移行する。
S620では、制御回路115は、検査スイッチ118をONとし、S625に処理を移行する。
【0119】
S625では、制御回路115は、判定結果保持回路112cに対して判定結果保持信号を出力し、判定回路112bにより信号ライン119dの電圧値と判定電圧保持回路112aに保持された電圧値との差分(判定結果保持値)を検知させ、判定結果保持値を判定結果保持回路112cに保持させる。そして、S630に処理を移行する。
【0120】
S630では、制御回路115は、判定結果保持回路112cに保持された判定結果保持値が、予め定められた閾値を超えるか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S630:Yes)、S635に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S630:No)、S640に処理を移行する。
【0121】
S635では、制御回路115は、検査対象の入力側コンデンサのオープンが生じているとみなし、本処理を終了する。
S640では、制御回路115は、0Vチャージ処理を実行し、S645に処理を移行する。
【0122】
S645では、制御回路115は、検査対象の入力側コンデンサに繋がる信号入力端子に接続されたマルチプレクサ114のスイッチをONとし、S650に処理を移行する。
S650では、制御回路115は、判定電圧保持信号を出力し、判定電圧保持回路112aに信号ライン119dの電圧値を保持させる。そして、S655に処理を移行する。
【0123】
S655では、制御回路115は、検査スイッチ118をONとし、S660に処理を移行する。
S660では、制御回路115は、判定結果保持回路112cに対して判定結果保持信号を出力し、判定回路112bにより信号ライン119dの電圧値と判定電圧保持回路112aに保持された電圧値との差分(判定結果保持値)を検知させ、判定結果保持値を判定結果保持回路112cに保持させる。そして、S665に処理を移行する。
【0124】
S665では、制御回路115は、判定結果保持回路112cに保持された判定結果保持値が、予め定められた閾値を超えるか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S665:Yes)、S670に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S665:No)、S675に処理を移行する。
【0125】
S670では、制御回路115は、検査対象の入力側コンデンサのオープンが生じているとみなし、本処理を終了する。
一方、S675では、制御回路115は、検査対象の入力側コンデンサの異常は無いものとみなし、本処理を終了する。
【0126】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のセンサ信号入力回路について説明する。
[構成の説明]
図13は、第2実施形態のセンサ信号入力回路800の構成を示すブロック図である。このセンサ信号入力回路800には、第1実施形態と同様の第1〜第Nセンサ200a〜200cが接続されており、これらのセンサから入力された0V〜5Vの範囲のセンサ信号に応じて処理を実行するよう構成されている。
【0127】
具体的には、センサ信号入力回路800は、第1実施形態と同様の第1〜第N外部入力端子820a〜820cを有すると共に、第1〜第N外部入力端子820a〜820cにそれぞれ接続された第1〜第N信号入力端子811a〜811cを備えるIC810を有している。
【0128】
また、センサ信号入力回路800は、第1実施形態と同様の第1〜第N抵抗830a〜830cと、第1〜第Nフィルタ回路840a〜840cと、検査コンデンサ850とを有している。なお、第1フィルタ回路840aは、第1実施形態と同様の入力側抵抗840a−1と入力側コンデンサ840a−2を有しており、他のフィルタ回路もこれと同様に構成されている。
【0129】
また、IC810は、第1実施形態と同様に第1〜第Nスイッチ814a〜814cを備えるマルチプレクサ814と、信号ライン819dと上述の検査コンデンサ850とを結ぶ検査ライン819eを導通,遮断する検査スイッチ818と、を有している。
【0130】
また、IC810は、第1実施形態と同様の第1〜第Nサージ保護回路813a〜813c,検査用電源817,電圧変化検知回路812を有していると共に、マルチプレクサ814,電圧変化検知回路812,検査用電源817,検査スイッチ818を制御する制御回路815を有している。
【0131】
また、IC810の内部では、第1〜第N信号入力端子811a〜811cと基準電位との間や、信号ライン819dと基準電位との間等に、5pF程度の容量の寄生容量810a〜810cが生成される。
【0132】
なお、各信号入力端子に設けられた入力側コンデンサの容量は検査コンデンサ850の容量よりも大きく、一例として、入力側コンデンサの容量が0.1μF、検査コンデンサ850の容量が0.01μFであっても良い。
【0133】
[動作の説明]
次に、第2実施形態のセンサ信号入力回路800の動作について説明する。センサ信号入力回路800においても、第1実施形態と同様の5Vチャージ処理や0Vチャージ処理が実行され、検査対象の信号入力端子に接続された入力側コンデンサと検査コンデンサ150との間で電荷の移動を生じさせることで、端子異常等が検出される。しかしながら、第1実施形態のセンサ信号入力回路100では、ADコンバータ116により信号ライン119dの電圧値を検知することで電荷の移動が検出されるが、第2実施形態のセンサ信号入力回路800では、電圧変化検知回路812により信号ライン819dの電圧値の変化を検知することで電荷の移動が検出され、この点において相違している。
【0134】
(1)IC異常検出処理について
次に、第1〜第N信号入力端子811a〜811cのオープンや、該信号入力端子からのセンサ信号の伝達経路における断線等の検出を行うIC異常検出処理について、図14〜16に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、いずれか一つの信号入力端子を検査対象として実行され、センサ信号入力回路800の動作中に、検査対象とする信号入力端子を切り替えながら定期的に実行される処理である。
【0135】
S901では、IC810の制御回路815は、マルチプレクサ814の全てのスイッチをOFF,検査スイッチ818をONとすると共に、検査用電源817の5Vスイッチ817aをONとして信号ライン819dに5Vの電圧を印加し、さらに、判定電圧保持信号を出力することで、判定電圧保持回路812aに5Vの電圧値を保持させる。そして、S902に処理を移行する。
【0136】
S902では、制御回路815は、5Vチャージ処理を実行し、S903に処理を移行する。
S903、及びこれに続くS904では、制御回路815は、判定回路812bにより、信号ライン819dの電圧値と判定電圧保持回路812aに保持された5Vの電圧値との差分(判定結果保持値)を検知させ、その後、判定結果保持回路812cに対して判定結果保持信号を出力して該判定結果保持値を判定結果保持回路812cに保持させる。そして、S905に処理を移行する。
【0137】
S905では、制御回路115は、判定結果保持回路812cに保持された差分(判定結果保持値)が0V或いは0V付近の値であるかを判定する(すなわち、信号ライン819dの電圧値が5V或いは5V付近の値であるかを判定する)。そして、肯定判定が得られた場合には(S905:Yes)、S906に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S905:No)、図15のS912に処理を移行する。
【0138】
S906では、制御回路815は、マルチプレクサ814の全てのスイッチをOFF,検査スイッチ818をONとすると共に、検査用電源817の0Vスイッチ817bをONとして信号ライン819dに0Vの電圧を印加し、さらに、判定電圧保持信号を出力することで、判定電圧保持回路812aに0Vの電圧値を保持させる。そして、S907に処理を移行する。
【0139】
S907では、制御回路815は、0Vチャージ処理を実行し、S908に処理を移行する。
S908、及びこれに続くS909では、制御回路815は、判定回路812bにより、信号ライン819dの電圧値と判定電圧保持回路812aに保持された0Vの電圧値との差分(判定結果保持値)を検知させ、その後、判定結果保持回路812cに対して判定結果保持信号を出力して該判定結果保持値を判定結果保持回路812cに保持させる。そして、S910に処理を移行する。
【0140】
S910では、制御回路815は、判定結果保持回路812cに保持された差分(判定結果保持値)が0V或いは0V付近の値であるかを判定する(すなわち、信号ライン819dの電圧値が0V或いは0V付近の値であるかを判定する)。そして、肯定判定が得られた場合には(S910:Yes)、S911に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S910:No)、図15のS912に処理を移行する。
【0141】
S911では、制御回路815は、検査スイッチ818のON固着が生じているとみなし、本処理を終了する。
続いて、図15に基づき説明を行う。S905やS910にて否定判定が得られた場合に移行するS912では、制御回路815は、上述のごとく、判定電圧保持回路812aに5Vの電圧値を保持させ、S913に処理を移行する。
【0142】
S913では、制御回路815は、5Vチャージ処理を実行し、S914に処理を移行する。
S914では、制御回路815は、検査スイッチ818をONとし、S915に処理を移行する。
【0143】
S915、及びこれに続くS916では、制御回路815は、上述のごとく、信号ライン819dの電圧値と判定電圧保持回路812aに保持された5Vの電圧値との差分(判定結果保持値)を判定結果保持回路812cに保持させる。そして、S917に処理を移行する。
【0144】
S917では、制御回路815は、判定結果保持回路812cに保持された差分(判定結果保持値)が0V或いは0V付近の値であるかを判定する(すなわち、信号ライン819dの電圧値が5V或いは5V付近の値であるかを判定する)。そして、肯定判定が得られた場合には(S917:Yes)、S918に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S917:No)、S925に処理を移行する。
【0145】
S918では、上述のごとく、判定電圧保持回路812aに0Vの電圧値を保持させ、S919に処理を移行する。
S919では、制御回路815は、0Vチャージ処理を実行し、S920に処理を移行する。
【0146】
S920では、制御回路815は、検査スイッチ818をONとし、S921に処理を移行する。
S921、及びこれに続くS922では、制御回路815は、上述のごとく、信号ライン819dの電圧値と判定電圧保持回路812aに保持された0Vの電圧値との差分(判定結果保持値)を判定結果保持回路812cに保持させる。そして、S923に処理を移行する。
【0147】
S923では、制御回路815は、判定結果保持回路812cに保持された差分(判定結果保持値)が0V或いは0V付近の値であるかを判定する(すなわち、信号ライン819dの電圧値が0V或いは0V付近の値であるかを判定する)。そして、肯定判定が得られた場合には(S923:Yes)、図16のS933に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S923:No)、S924に処理を移行する。
【0148】
S924では、制御回路815は、検査用電源817の異常(5Vスイッチ817aのON固着,0Vスイッチ817bのOFF固着,基準電位の異常のうちの少なくとも一つ)が生じているとみなし、本処理を終了する。
【0149】
S917にて否定判定が得られた場合に移行するS925では、上述のごとく、判定電圧保持回路812aに0Vの電圧値を保持させ、S926に処理を移行する。
S926では、制御回路815は、0Vチャージ処理を実行し、S927に処理を移行する。
【0150】
S927では、制御回路115は、検査スイッチ118をONとし、S928に処理を移行する。
S928、及びこれに続くS929では、制御回路815は、上述のごとく、信号ライン819dの電圧値と判定電圧保持回路812aに保持された0Vの電圧値との差分(判定結果保持値)を判定結果保持回路812cに保持させる。そして、S930に処理を移行する。
【0151】
S930では、制御回路815は、判定結果保持回路812cに保持された差分(判定結果保持値)が0V或いは0V付近の値であるかを判定する(すなわち、信号ライン819dの電圧値が0V或いは0V付近の値であるかを判定する)。そして、肯定判定が得られた場合には(S930:Yes)、S931に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S930:No)、S932に処理を移行する。
【0152】
S931では、制御回路815は、検査用電源817の異常(5Vスイッチ817aのOFF固着,0Vスイッチ817bのON固着,5V電源の異常のうちの少なくとも一つ)が生じているとみなし、本処理を終了する。
【0153】
一方、S932では、制御回路815は、検査スイッチ818のOFF固着,検査コンデンサ850のオープン,マルチプレクサ814のスイッチのON固着のうちの少なくとも一つが生じているとみなし、本処理を終了する。
【0154】
続いて、図16に基づき説明を行う。S923にて肯定判定が得られた場合に移行するS933では、制御回路815は、5Vチャージ処理を実行し、S934に処理を移行する。
【0155】
S934では、制御回路815は、検査スイッチ818をONとし、S935に処理を移行する。
S935では、制御回路815は、判定電圧保持信号を出力することで、判定電圧保持回路812aに5Vの電圧値を保持させ、S936に処理を移行する。
【0156】
S936では、制御回路815は、検査対象の信号入力端子に接続されたマルチプレクサ814のスイッチをONとし、S937に処理を移行する。
S937、及びこれに続くS938では、制御回路815は、上述のごとく、信号ライン819dの電圧値と判定電圧保持回路812aに保持された5Vの電圧値との差分(判定結果保持値)を判定結果保持回路812cに保持させる。そして、S939に処理を移行する。
【0157】
S939では、制御回路815は、判定結果保持回路812cに保持された差分(判定結果保持値)が0V或いは0V付近の値であるかを判定する(すなわち、信号ライン819dの電圧値が5V或いは5V付近の値であるかを判定する)。そして、肯定判定が得られた場合には(S939:Yes)、S940に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S939:No)、S948に処理を移行する。
【0158】
S940では、制御回路815は、0Vチャージ処理を実行し、S941に処理を移行する。
S941では、制御回路815は、検査スイッチ818をONとし、S942に処理を移行する。
【0159】
S942では、制御回路815は、判定電圧保持信号を出力することで、判定電圧保持回路812aに0Vの電圧値を保持させ、S943に処理を移行する。
S943では、制御回路815は、検査対象の信号入力端子に接続されたマルチプレクサ814のスイッチをONとし、S944に処理を移行する。
【0160】
S944、及びこれに続くS945では、制御回路815は、上述のごとく、信号ライン819dの電圧値と判定電圧保持回路812aに保持された0Vの電圧値との差分(判定結果保持値)を判定結果保持回路812cに保持させる。そして、S946に処理を移行する。
【0161】
S946では、制御回路815は、判定結果保持回路812cに保持された差分(判定結果保持値)が0V或いは0V付近の値であるかを判定する(すなわち、信号ライン819dの電圧値が0V或いは0V付近の値であるかを判定する)。そして、肯定判定が得られた場合には(S946:Yes)、S947に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S946:No)、S948に処理を移行する。
【0162】
S947では、制御回路815は、検査対象の信号入力端子についての端子異常、或いは、検査対象の信号入力端子に接続されるマルチプレクサ814のスイッチのOFF固着のうちの少なくとも一方が生じているとみなし、本処理を終了する。
【0163】
一方、S948では、制御回路815は、信号入力端子のオープン等の異常は無いものとみなし、本処理を終了する。
(2)入力側抵抗異常検出処理について
次に、第1〜第N信号入力端子811a〜811bに接続されたフィルタ回路840a〜840cを構成する入力側抵抗のオープンを検出する入力側抵抗異常検出処理について説明する。第2実施形態のセンサ信号入力回路800においても、第1実施形態と同様の方法で入力側抵抗のオープンが検出される。しかしながら、第2実施形態では、ADコンバータに替えて電圧変化検知回路812により信号入力端子の電圧の変化が検出され、この点において相違している。
【0164】
具体例を挙げて説明すると、図17には、センサ信号の電圧値が0Vである場合において、入力側抵抗のオープン発生後に、5Vチャージ処理と、該入力側抵抗に接続される信号入力端子と検査コンデンサ850との間を導通状態に設定する処理(導通処理)とを繰り返し行った場合の、該信号入力端子の電圧値Vinの変化を示すタイミングチャートが記載されている。なお、このタイミングチャートは、図7に記載のタイミングチャートに相当するものである。図17に記載されているように、第2実施形態のセンサ信号入力回路800では、1回目の5Vチャージ処理及び導通処理が実行される直前に、判定電圧保持回路812aに5Vの電圧値が保持される。また、5Vチャージ処理及び導通処理が所定回数(一例として17回)にわたり実行された後に、信号ライン819dの電圧値と判定電圧保持回路812aに保持された5Vの電圧値との差分(判定結果保持値)が判定結果保持回路812cに保持される。そして、判定結果保持値により、信号ライン819dの電圧値が5V或いは5V付近の値であるかが判定されるのである。
【0165】
また、図18には、センサ信号の電圧値が5Vである場合において、入力側抵抗のオープン発生後に、0Vチャージ処理と、導通処理とを繰り返し行った場合の、信号入力端子の電圧値Vinの変化を示すタイミングチャートが記載されている。なお、このタイミングチャートは、図8に記載のタイミングチャートに相当するものである。図18に記載されているように、第2実施形態のセンサ信号入力回路800では、1回目の0Vチャージ処理及び導通処理が実行される直前に、判定電圧保持回路812aに0Vの電圧値が保持される。また、0Vチャージ処理及び導通処理が所定回数(一例として17回)にわたり実行された後に、信号ライン819dの電圧値と判定電圧保持回路812aに保持された0Vの電圧値との差分(判定結果保持値)を判定結果保持回路812cに保持される。そして、判定結果保持値により、信号ライン819dの電圧値が0V或いは0V付近の値であるかが判定されるのである。
【0166】
次に、入力側抵抗異常検出処理の詳細について、図19に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、いずれか一つの入力側抵抗を検査対象として実行され、センサ信号入力回路800の動作中に、検査対象とする入力側抵抗を切り替えながら定期的に実行される処理である。
【0167】
S1005では、IC810の制御回路815は、上述のごとく、判定電圧保持回路812aに5Vの電圧値を保持させ、S1010に処理を移行する。
S1010では、制御回路815は、5Vチャージ処理を実行し、S1015に処理を移行する。
【0168】
S1015では、制御回路815は、検査スイッチ118をONとし、S1020に処理を移行する。
S1020では、制御回路815は、検査対象の入力側抵抗に繋がる信号入力端子に接続されたマルチプレクサ814のスイッチをONとし、S1025に処理を移行する。
【0169】
S1025では、制御回路815は、5Vチャージ処理の実行回数が予め定められた閾値を超えたか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S1025:Yes)、S1030に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S1025:No)、S1010に処理を移行する。
【0170】
S1030、及びこれに続くS1035では、制御回路815は、上述のごとく、信号ライン819dの電圧値と判定電圧保持回路812aに保持された5Vの電圧値との差分(判定結果保持値)を判定結果保持回路812cに保持させる。そして、S1040に処理を移行する。
【0171】
S1040では、制御回路815は、判定結果保持回路812cに保持された差分(判定結果保持値)が0V或いは0V付近の値であるかを判定する(すなわち、信号ライン819dの電圧値が5V或いは5V付近の値であるかを判定する)。そして、肯定判定が得られた場合には(S1040:Yes)、S1050に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S1040:No)、S1045に処理を移行する。
【0172】
S1045では、制御回路815は、検査対象の入力側抵抗の異常は無いものとみなし、本処理を終了する。
S1050では、制御回路815は、上述のごとく、判定電圧保持回路812aに0Vの電圧値を保持させ、S1055に処理を移行する。
【0173】
S1055では、制御回路815は、0Vチャージ処理を実行し、S1060に処理を移行する。
S1060では、制御回路815は、検査スイッチ118をONとし、S1065に処理を移行する。
【0174】
S1065では、制御回路815は、検査対象の入力側抵抗に繋がる信号入力端子に接続されたマルチプレクサ814のスイッチをONとし、S1070に処理を移行する。
S1070では、制御回路815は、0Vチャージ処理の実行回数が予め定められた閾値を超えたか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S1070:Yes)、S1075に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S1070:No)、S1055に処理を移行する。
【0175】
S1075、及びこれに続くS1080では、制御回路815は、上述のごとく、信号ライン819dの電圧値と判定電圧保持回路812aに保持された0Vの電圧値との差分(判定結果保持値)を判定結果保持回路812cに保持させる。そして、S1085に処理を移行する。
【0176】
S1085では、制御回路815は、判定結果保持回路812cに保持された差分(判定結果保持値)が0V或いは0V付近の値であるかを判定する(すなわち、信号ライン819dの電圧値が0V或いは0V付近の値であるかを判定する)。そして、肯定判定が得られた場合には(S1085:Yes)、S1090に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S1085:No)、S1095に処理を移行する。
【0177】
S1090では、制御回路815は、検査対象の入力側抵抗の断線が生じているとみなし、本処理を終了する。
一方、S1095では、制御回路815は、検査対象の入力側抵抗の異常は無いものとみなし、本処理を終了する。
【0178】
(3)入力側コンデンサ異常検出処理について
第2実施形態のセンサ信号入力回路800においても、第1〜第N信号入力端子811a〜811bに接続されたフィルタ回路840a〜840cを構成する入力側コンデンサの断線を検出する入力側コンデンサ異常検出処理が実行される。本処理は、第1実施形態の入力側コンデンサ異常検出処理と同様であるため、説明を省略する。
【0179】
[効果]
第1,第2実施形態のセンサ信号入力回路によれば、検査コンデンサにセンサ信号の変動範囲(0〜5V)内の電圧値を設定することで端子異常等が検出される。このため、ICにより検知可能な電圧範囲をセンサ信号の変動範囲よりも広げる必要が無くなり、ICに搭載されたADコンバータや電圧変化検知回路の構成が複雑化、大型化してしまうことを防ぐことができる。あるいは、センサ信号の変動範囲をICにより検知可能な電圧範囲よりも狭める必要が無くなり、センサ信号入力回路に接続されるセンサに制限を与えてしまうことが無くなる。
【0180】
したがって、第1,第2実施形態のセンサ信号入力回路によれば、センサに制限を与えることや、ICの構成を複雑化、大型化することなく、ICの信号入力端子のオープンや、IC内部におけるセンサ信号の伝達経路上の断線を検出することができるのである。
【0181】
[他の実施形態]
(1)第1実施形態のIC異常検出処理のS401〜S407や、S408〜S422や、S423〜S434では、5Vチャージ処理,0Vチャージ処理が順次実行されると共に、各処理の後に信号ライン819dの電圧値が検知され、該電圧値に基づき各種異常が検出されるが、5Vチャージ処理と0Vチャージ処理の実行順序を入れ替えても良い。このような場合であっても、同様の効果を得ることができる。第1実施形態における入力側抵抗異常検出処理,入力側コンデンサ異常検出処理や、第2実施形態におけるIC異常検出処理,入力側抵抗異常検出処理,入力側コンデンサ異常検出処理に関しても同様である。
【0182】
(2)また、第1,第2実施形態の入力側抵抗異常検出処理や入力側コンデンサ異常検出処理では、5Vチャージ処理と0Vチャージ処理が実行される。しかしながら、例えば、過去の測定結果等に基づき現在のセンサ信号の電圧値を推定すると共に、推定した現在のセンサ信号の電圧値が5Vに近い場合は0Vチャージ処理を、該電圧値が0Vに近い場合は5Vチャージを選択し、選択した処理を実行した後の信号ラインの電圧値に基づき、異常の有無を判定しても良い。このような場合であっても、入力側抵抗や入力側コンデンサのオープンを検出することができる。
【0183】
(3)第1,第2実施形態では、検査コンデンサがICの外部に設けられているが、検査コンデンサをICに内蔵させた場合であっても、同様の効果を得ることができる。また、検査コンデンサに印加する電圧は0V或いは5Vとなっているが、これに限定されることは無く、センサ信号の変動範囲内で変更することができる。また、入力側コンデンサの容量は0.1μF、検査コンデンサの容量は0.01μFとなっているが、これに限定されることは無く、異なる値が設定されている場合であっても同様の効果を得ることができる。
【0184】
(4)また、第1,第2実施形態では、N個のセンサ信号が入力される多チャンネルの構成となっているが、これに限定されることは無く、一つの信号が入力されるよう構成されていても良い。このような場合であっても、同様の効果を得ることができる。
【0185】
[特許請求の範囲との対応]
上記実施形態の説明で用いた用語と、特許請求の範囲の記載に用いた用語との対応を示す。
【0186】
第1,第2実施形態のセンサ信号入力回路が信号入力回路に、ICが信号入力装置或いは集積回路に、検査用電源が充放電部に、マルチプレクサが選択スイッチに、検査スイッチ及びマルチプレクサが接続部に、センサ信号が入力信号に相当する。
【0187】
また、第1実施形態におけるIC110の制御回路115,ADコンバータ116,電圧変化検知回路112と、第2実施形態におけるIC810の制御回路815,電圧変化検知回路812が、それぞれ判定処理部に相当する。そして、電圧変化検知回路が電圧変化検知手段に相当すると共に、判定電圧保持回路が電圧値保持回路に、判定回路,判定結果保持回路が差分保持回路に相当する。
【0188】
また、第1実施形態のIC異常検出処理のS401〜S407が検査スイッチ異常検出処理に、S408〜S422が充放電部異常検出処理に、S423〜S434が端子異常検出処理に相当する。
【0189】
また、第2実施形態のIC異常検出処理のS901〜S911が検査スイッチ異常検出処理に、S912〜S932が充放電部異常検出処理に、S933〜S948が端子異常検出処理に相当する。
【0190】
また、第1実施形態のIC異常検出処理のS423,S428が充放電手順に、S424,S429が導通手順に相当する。
また、第2実施形態のIC異常検出処理のS933,S940が、充放電手順に、S934,S941が導通手順に相当する。
【0191】
また、入力側コンデンサ異常検出処理がコンデンサ異常検出処理に、入力側コンデンサのオープンがコンデンサ異常に相当する。
また、入力側抵抗異常検出処理が抵抗異常検出処理に、入力側抵抗のオープンが抵抗異常に相当する。
【符号の説明】
【0192】
100…センサ信号入力回路、110…IC、111…信号入力端子、112…電圧変化検知回路、112a…判定電圧保持回路、112b…判定回路、112c…判定結果保持回路、113…サージ保護回路、114…マルチプレクサ、115…制御回路、116…ADコンバータ、117…検査用電源、117a…5Vスイッチ、117b…0Vスイッチ、118…検査スイッチ、119d…信号ライン、119e…検査ライン、120…外部入力端子、130…抵抗、140…フィルタ回路、150…検査コンデンサ、200…センサ、800…センサ信号入力回路、810…IC、811…信号入力端子、812…電圧変化検知回路、812a…判定電圧保持回路、812b…判定回路、812c…判定結果保持回路、813…サージ保護回路、814…マルチプレクサ、815…制御回路、817…検査用電源、817a…5Vスイッチ、817b…0Vスイッチ、818…検査スイッチ、819d…信号ライン、819e…検査ライン、820…外部入力端子、830…抵抗、840…フィルタ回路、850…検査コンデンサ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部から入力された入力信号に応じて処理を行う信号入力回路等に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンの内部の温度を測定する温度センサや、スロットル開度を検知するスロットルセンサ等、車両には多くのセンサが搭載されており、車載装置では、このようなセンサからの入力信号の電圧レベルをAD変換により検知する等して各種測定が行われる。このような車載装置では、従来から、AD変換により検知された入力信号の電圧レベルに基づき、センサの故障検出が行われていた。なお、車載用途では、外来ノイズの影響を受け易い環境にあることから、センサのダイナミックレンジを広く取り、外来ノイズの影響を最小限にする必要がある。一方、AD変換を行うICにおける入力信号の入力端子のオープンが生じた際には、IC内部に生成される寄生容量によりAD変換回路への入力電圧レベルが不定となってしまい、AD変換の結果から入力端子のオープンを検出することはできなかった。ここで、入力端子オープン等を検出する方法として、複数のセンサ、複数の入力回路、複数のADコンバータで多重化した上で、複数のAD変換結果の関係性から判定する方法があるが、当然ながらコストアップしてしまう。
【0003】
そこで、特許文献1には、センサ等から入力信号が入力される入力端子と、信号ラインにより入力端子に接続されたADコンバータと、信号ラインと他のラインとの間に設けられたコンデンサと、コンデンサと入力端子との間の接続状態を制御するために信号ライン上に設けられたSWとを有する断線検出装置について記載されている。この断線検出装置は、AD変換を行わない期間に、SWによりコンデンサと入力端子との間が遮断されると共に、コンデンサが負電源に接続され、コンデンサの両端は、入力信号の電圧の変動範囲外となる負の電圧に設定される。そして、AD変換を行う際には、SWによりコンデンサと入力端子とADコンバータとが互いに接続され、AD変換では、正常時には入力端子の電圧値が検知されると共に、入力端子のオープン発生時にはコンデンサにより生成される負の電圧が検知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−55966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明によれば、入力端子のオープン等を検出することができる。しかしながら、ADコンバータにより入力信号の変動範囲外の電圧値を検知する必要があり、入力信号を生成するセンサ等を調整し、入力信号の変動範囲をADコンバータにより検知可能な電圧範囲よりも狭くするか、或いは、ADコンバータを、入力信号の変動範囲よりも広範囲の電圧を検知可能な構成とする必要がある。このため、使用するセンサ等に制限を与えてしまうおそれや、ADコンバータの構成が複雑化、大型化してしまうおそれがある。
【0006】
特に、既に述べたように、外来ノイズの影響を受け易い車載用途のADコンバータにおいては、センサのダイナミックレンジを広く取り、外来ノイズの影響を最小限に抑える必要があり、センサからの入力信号の変動範囲を狭くすることは困難である。このため、ADコンバータを、入力信号の変動範囲よりも広範囲の電圧を検知可能な構成とする必要があり、ADコンバータの構成が複雑化、大型化してしまうという問題があった。
【0007】
本願発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、入力信号の生成元に制限を与えることや、構成を複雑化、大型化することなく、入力信号が入力される信号入力端子のオープンや、入力信号を伝達させる伝達経路上の断線を検出することができる信号入力回路等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に鑑みてなされた請求項1に記載の発明は、予め定められた変動範囲内で電圧値が変動する入力信号が信号入力端子を介して入力される信号入力装置が搭載された信号入力回路に関するものである。この信号入力回路は、一端が信号入力端子に、他端が基準電位に接続される検査コンデンサと、信号入力装置内部に設けられ、検査コンデンサと信号入力端子とを結ぶ検査経路を導通,遮断する接続部と、信号入力装置内部に設けられ、検査コンデンサを充放電することで、該検査コンデンサの両端を変動範囲内の電圧に設定する充放電部と、を備える。また、信号入力装置内部に設けられ、接続部により検査経路を遮断させる検査経路遮断を行った後、充放電部により検査コンデンサの両端を予め定められた端子検査電圧値に設定する充放電手順と、接続部により検査経路を導通させる検査経路導通を行う導通手順とを順次行う端子異常検出処理を実行する判定処理部を備える。
【0009】
そして、判定処理部は、端子検査電圧値を第1端子検査電圧値とした端子異常検出処理を実行すると共に、端子検査電圧値を、第1端子検査電圧値とは異なる第2端子検査電圧値とした端子異常検出処理を実行し、それぞれの端子異常検出処理を実行した後の検査経路の電圧値に基づき、該信号入力端子、或いは、該信号入力端子に入力された入力信号の伝達経路の異常である端子異常を検出する。
【0010】
なお、端子異常とは、例えば、信号入力端子のオープンや、検査経路等といった入力信号を伝達させる伝達経路上の断線を意味する。
また、判定処理部は、例えば、AD変換回路を有していても良く、AD変換により検査経路の電圧値を検知することで、端子異常を検出しても良い。また、判定処理部は、検査経路の電圧の変化を検知する回路を有していても良く、導通手順の前後で検査経路の電圧値がどの程度変化したかを検知することで、端子異常を検出しても良い。
【0011】
請求項1に記載の端子異常検出処理では、充放電手順にて検査コンデンサが端子検査電圧値に設定され、その後、導通手順により、検査コンデンサと信号入力端子との間が導通される。このとき、端子異常が生じている場合には、検査コンデンサは測定装置の外部に導通されず、検査コンデンサの充放電が行われないため、検査経路の電圧値は、検査コンデンサにより生成される端子検査電圧値、或いはその付近の値となる。一方、端子異常が生じていない場合には、検査コンデンサの充放電が行われ、検査経路の電圧値は、一時的に検査コンデンサにより生成される端子検査電圧値付近の値となるが、その後、入力信号の電圧値となる。したがって、導通手順の後の検査経路の電圧値に基づき、端子異常を検出することができる。
【0012】
しかしながら、仮に入力信号の電圧値が端子検査電圧値付近である場合には、端子異常が発生していなくても、導通手順を経た後の検査経路の電圧値は端子検査電圧値付近となり、端子異常が誤検出されるおそれがある。
【0013】
そこで、請求項1に記載の信号入力回路は、第1端子検査電圧値での端子異常検出処理と第2端子検査電圧値での端子異常検出処理を実行し、各端子異常検出処理の実行後の検査経路の電圧値に基づき、端子異常を検出するのである。これにより、第1端子検査電圧値での端子異常検出処理の実行後の検査経路の電圧値が第1端子検査電圧値付近であり、尚且つ、第2端子検査電圧値での端子異常検出処理の実行後の検査経路の電圧値が第2端子検査電圧値付近である場合に、端子異常が発生したとみなす等といったことが可能となる。したがって、入力信号の電圧値が第1端子検査電圧値付近、或いは第2端子検査電圧値付近であったとしても、端子異常の誤検出を防ぐことができる。
【0014】
このように、請求項1に記載の信号入力回路によれば、検査コンデンサに入力信号の変動範囲内の電圧値を設定することで端子異常が検出される。このため、信号入力装置が検知可能な電圧範囲を入力信号の変動範囲よりも広げる必要が無くなり、信号入力装置の構成が複雑化、大型化してしまうことを防ぐことができる。あるいは、入力信号の変動範囲を信号入力装置により検知可能な電圧範囲よりも狭める必要が無くなり、入力信号の生成元に制限を与えてしまうことが無くなる。
【0015】
したがって、請求項1に記載の信号入力回路によれば、入力信号の生成元に制限を与えることや、構成を複雑化、大型化することなく、入力信号が入力される信号入力端子のオープンや、入力信号を伝達させる伝達経路上の断線を検出することができるのである。
【0016】
なお、請求項2に記載されているように、検査コンデンサの容量は、信号入力装置内部に生じる寄生容量よりも十分大きくても良い。
こうすることにより、端子検査電圧値が設定された検査コンデンサと検査経路とを導通させるに際して、寄生容量の影響による検査経路の電圧値の変化を抑えることができる。このため、端子異常が生じた場合に、端子異常検出処理の導通手順により高い精度で検査経路を端子検査電圧値にすることができ、端子異常の検出精度を高めることができる。
【0017】
また、請求項3に記載されているように、検査コンデンサは、信号入力装置の外部に設けられていても良い。
こうすることにより、信号入力装置内部の寄生容量等に応じて、検査コンデンサの容量を容易に変更することができる。
【0018】
また、信号入力装置は、複数の入力信号が入力される多チャンネルの装置として構成されていても良い。
すなわち、請求項4に記載されているように、信号入力装置には、異なる入力信号が入力される複数の信号入力端子が設けられており、接続部は、それぞれの信号入力端子についての検査経路を一括して導通,遮断する検査スイッチと、それぞれの信号入力端子について、検査スイッチとの間の端子経路を導通,遮断する選択スイッチとを有しており、検査スイッチと選択スイッチとにより、それぞれの信号入力端子についての検査経路を導通,遮断しても良い。
【0019】
そして、判定処理部は、検査経路遮断では、接続部により、全ての信号入力端子についての検査経路を遮断させ、検査経路導通では、接続部により、いずれか1つの信号入力端子についての検査経路を導通させると共に、他の信号入力端子についての検査経路を遮断させても良い。また、いずれか一つの信号入力端子を検査対象として端子異常検出処理を実行し、端子異常検出処理の導通手順では、検査対象の信号入力端子についての検査経路を導通させる検査経路導通を行い、端子異常検出処理を実行した後に、検査対象の信号入力端子についての検査経路の電圧値に基づき、該信号入力端子についての端子異常を検出しても良い。
【0020】
こうすることにより、信号入力装置に設けられた各信号入力端子についての端子異常を検出することができる。
また、請求項5に記載されているように、信号入力端子と基準電位との間に設けられた入力側コンデンサをさらに備えていても良い。
【0021】
こうすることにより、端子異常が生じていない場合において、検査経路と基準電位との間の容量を大きくすることができ、導通手順を行うことによる検査経路の電圧値の変動が抑えられる。このため、端子異常検出処理の影響による入力信号の電圧値の変動を抑えることができる。
【0022】
また、請求項6に記載されているように、入力側コンデンサの容量は、検査コンデンサの容量よりも大きくても良い。
こうすることにより、信号入力端子の電圧値の変化を抑えることができ、端子異常検出処理の影響による入力信号の電圧値の変動を抑えることができる。
【0023】
ところで、入力側コンデンサが設けられていない場合には、予め定められた検査電圧値に設定された検査コンデンサと検査経路とを導通させることで、検査経路の電圧値は一時的に検査電圧値付近まで変動する。一方、入力側コンデンサが設けられている場合には、検査経路と基準電位との間の容量が大きくなり、検査電圧値に設定された検査コンデンサと検査経路とを導通させた際の検査経路の電圧値の変動幅は、入力側コンデンサが設けられていない場合に比べて小さくなる。
【0024】
そこで、請求項7に記載の信号入力回路では、判定処理部は、予め定められた期間において、検査経路における信号入力端子と検査スイッチとの間の検査区間の電圧の変化を検知する電圧変化検知手段を有し、いずれか一つの信号入力端子に接続された入力側コンデンサを検査対象とし、該入力側コンデンサについての異常であるコンデンサ異常を検出するためのコンデンサ異常検出処理をさらに実行する。そして、コンデンサ異常検出処理において、検査経路遮断を行った後に、充放電部により検査コンデンサの両端を予め定められたコンデンサ検査電圧値に設定し、その後、検査対象の入力側コンデンサに接続された信号入力端子についての検査経路導通を行い、電圧変化検知手段により、該検査経路導通の前の第1時点と、該検査経路導通の後の第2時点との間で、検査区間の電圧値がどの程度変化したかを検知し、検知された電圧値の変化に基づき、コンデンサ異常を検出する。
【0025】
なお、コンデンサ異常とは、例えば、入力側コンデンサのオープン等を意味する。
こうすることにより、入力側コンデンサのオープンを検出することが可能となる。
しかしながら、入力信号の電圧値がコンデンサ検査電圧値に近い値である場合には、入力側コンデンサのオープンが生じていても、検査経路の導通の前後で検査区間の電圧値が十分に変動せず、入力側コンデンサのオープンを検出することができない。
【0026】
そこで、請求項8に記載の信号入力回路では、判定処理部は、同一の入力側コンデンサを検査対象として、コンデンサ検査電圧値を第1コンデンサ検査電圧値とするコンデンサ異常検出処理と、コンデンサ検査電圧値を、第1コンデンサ検査電圧値とは異なる第2コンデンサ検査電圧値とするコンデンサ異常検出処理とを実行し、それぞれのコンデンサ異常検出処理にて検知された検査区間の電圧値の変化に基づき、コンデンサ異常を検出する。
【0027】
こうすることにより、第1コンデンサ検査電圧値と第2コンデンサ検査電圧値のうちの一方については、入力信号の電圧値との差分を十分なものとすることができる。このため、入力側コンデンサのオープンが生じている場合には、第1コンデンサ検査電圧値でのコンデンサ異常検出処理と、第2コンデンサ検査電圧値でのコンデンサ異常検出処理のうちの少なくとも一方では、検査経路の導通の前後で検査区間の電圧値を大きく変動させることができる。したがって、確実に入力側コンデンサのオープンを検出することができる。
【0028】
なお、請求項9に記載されているように、電圧変化検知手段は、検査区間の電圧値を保持する電圧値保持回路と、検査区間の電圧値と、電圧値保持回路に保持された電圧値との差分を検知し、該差分を保持する差分保持回路と、を有していても良い。そして、判定処理部は、コンデンサ異常検出処理において、電圧値保持回路により、第1時点の検査区間の電圧値を保持させると共に、差分保持回路により、電圧値保持回路に保持された電圧値と、第2時点の検査区間の電圧値の差分を保持させることで、第1時点と第2時点との間で検査区間の電圧値がどの程度変化したかを検知しても良い。
【0029】
このような構成を有することで、確実に検査区間の電圧値がどの程度変化したかを検知することができる。
ところで、検査コンデンサの電圧値を検査電圧値に設定した後に、いずれかの信号入力端子と検査コンデンサとの間を導通させると、該信号入力端子に設けられた入力側コンデンサと検査コンデンサとの間で電荷の移動が生じ、該信号入力端子の電圧変化が生じる。ここで、信号入力装置の各信号入力端子には、入力側コンデンサと共にフィルタ回路を構成する入力側抵抗が設けられていても良く、このような入力側抵抗の端子のオープンが生じていない場合には、検査コンデンサや入力側コンデンサと外部との間で電荷が移動するため、上記電圧変化が生じた後、信号入力端子の電圧値は入力信号の電圧値に戻る。これに対し、入力側抵抗のオープンが生じている場合には、外部との間で電荷の移動が生じず、変化後の電圧が維持される。このため、入力側抵抗のオープンが生じている場合に、検査コンデンサに検査電圧値を設定する処理と、該検査コンデンサといずれかの信号入力端子との間を導通させる処理とを繰り返すと、該信号入力端子の電圧が段階的に変化し、検査電圧値に近づく。したがって、これらの処理を繰り返した後の信号入力端子の電圧値を検知することで、入力側抵抗のオープンを検出することができる。
【0030】
そこで、請求項10に記載の信号入力回路は、信号入力端子に接続され、該信号入力端子に接続された入力側コンデンサと共にフィルタ回路をなす入力側抵抗をさらに備え、判定処理部は、いずれか一つの信号入力端子に接続された入力側抵抗を検査対象とし、該入力側抵抗についての異常である抵抗異常を検出するための抵抗異常検出処理をさらに実行する。そして、抵抗異常検出処理において、検査経路遮断を行った後に、充放電部により検査コンデンサの両端を予め定められた抵抗検査電圧値に設定し、その後、検査対象の入力側抵抗に接続された信号入力端子についての検査経路導通を行う手順を複数回にわたり行い、抵抗異常検出処理を実行した後の検査経路の電圧値に基づき、抵抗異常を検出する。
【0031】
なお、抵抗異常とは、例えば、入力側抵抗のオープン等を意味する。
こうすることにより、入力側抵抗のオープンを検出することが可能となる。
しかしながら、入力信号の電圧値が抵抗検査電圧値付近である場合には、入力側抵抗のオープンが生じていない場合であっても、上記処理を繰り返した後には、信号入力端子は抵抗検査電圧値付近の電圧値となる。
【0032】
そこで、請求項11に記載の信号入力回路では、判定処理部は、同一の入力側抵抗を検査対象として、抵抗検査電圧値を第1抵抗検査電圧値とする抵抗異常検出処理と、抵抗検査電圧値を、第1抵抗検査電圧値とは異なる第2抵抗検査電圧値とする抵抗異常検出処理とを実行し、これらの抵抗異常検出処理を実行した後の検査経路の電圧値に基づき、抵抗異常を検出する。
【0033】
こうすることにより、第1抵抗検査電圧値での抵抗異常検出処理を実行した後の信号入力端子の電圧値が第1抵抗検査電圧値の付近であり、尚且つ、第2抵抗検査電圧値での抵抗異常検出処理を実行した後の信号入力端子の電圧値が第2抵抗検査電圧値の付近である場合に、入力側抵抗のオープンが生じているとみなすことができる。このため、仮に入力信号の電圧値が第1抵抗検査電圧値付近、或いは第2抵抗検査電圧値付近であったとしても、入力側抵抗のオープンが誤検出されてしまうことを防ぐことができる。
【0034】
ところで、検査スイッチのON固着が生じ、検査経路が常時導通された状態となっている場合には、検査コンデンサと検査経路とは同じ電圧値となる。
そこで、請求項12に記載の信号入力回路では、判定処理部は、検査スイッチにより検査経路を遮断させた後に、充放電部により検査コンデンサの両端を予め定められた検査電圧値に設定する検査スイッチ異常検出処理をさらに実行し、該検査スイッチ異常検出処理を実行した後の検査経路の電圧値に基づき、検査スイッチの異常を検出する。
【0035】
こうすることにより、検査スイッチのON固着の検出が可能となる。
また、請求項13に記載の信号入力回路では、判定処理部は、検査スイッチにより検査経路を遮断させると共に、選択スイッチにより全ての信号入力端子についての端子経路を遮断させた後に、充放電部により検査コンデンサの両端を予め定められた検査電圧値に設定し、その後、検査スイッチにより検査経路を導通させる充放電部異常検出処理をさらに実行し、該充放電部異常検出処理を実行した後の検査経路の電圧値に基づき、充放電部と、接続部と、検査コンデンサとのうちの少なくともいずれか一つについての異常を検出する。
【0036】
詳しく説明すると、充放電部異常検出処理により検査経路が導通されると、正常時には、検査経路は検査電圧値となる。しかしながら、そもそも検査コンデンサに検査電圧値が設定されていない場合(すなわち、充放電部や検査コンデンサに異常が生じている場合)や、端子経路が導通されており、検査経路に入力信号が入力されている場合(すなわち、選択スイッチのON固着が生じている場合)には、検査経路は検査電圧値とならないおそれがある。また、検査スイッチのOFF固着が生じ、検査経路が常時遮断されている場合においても、検査経路は検査電圧値とならないおそれがある。
【0037】
このため、請求項13に記載の信号入力回路によれば、充放電部異常検出処理の実行後の検査経路の電圧値と検査電圧値とを比較する等して、充放電部と、選択スイッチと、検査スイッチと、検査コンデンサとのうちの少なくともいずれか一つについての異常を検出することができる。
【0038】
また、請求項3等に記載の信号入力回路に搭載された信号入力装置を集積回路として構成し、流通させても良い(請求項14)し、検査コンデンサが内蔵された請求項1等に記載の信号入力装置を集積回路として構成し、流通させても良い(請求項15)。このような集積回路を用いた場合であっても、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】第1実施形態におけるセンサ信号入力回路の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態における5Vチャージ処理のフローチャートと、0Vチャージ処理のフローチャートである。
【図3】第1実施形態におけるIC異常検出処理のフローチャートである。
【図4】第1実施形態におけるIC異常検出処理のフローチャートである。
【図5】第1実施形態におけるIC異常検出処理のフローチャートである。
【図6】第1実施形態におけるIC異常検出処理により検出される異常の一覧を示す表である。
【図7】センサ信号が0Vである場合に、入力側抵抗のオープン発生後に5Vチャージ処理等を繰り返した場合の信号入力端子の電圧変化を示すタイミングチャートである。
【図8】センサ信号が5Vである場合に、入力側抵抗のオープン発生後に0Vチャージ処理等を繰り返した場合の信号入力端子の電圧変化を示すタイミングチャートである。
【図9】第1実施形態における入力側抵抗異常検出処理のフローチャートである。
【図10】センサ信号が0Vである場合に、検査コンデンサに5Vを設定した状態で検査コンデンサと信号入力端子とを導通させた際の、信号入力端子の電圧変化を示すタイミングチャートである。
【図11】センサ信号が5Vである場合に、検査コンデンサに0Vを設定した状態で検査コンデンサと信号入力端子とを導通させた際の、信号入力端子の電圧変化を示すタイミングチャートである。
【図12】第1実施形態における入力側コンデンサ異常検出処理のフローチャートである。
【図13】第2実施形態におけるセンサ信号入力回路の構成を示すブロック図である。
【図14】第2実施形態におけるIC異常検出処理のフローチャートである。
【図15】第2実施形態におけるIC異常検出処理のフローチャートである。
【図16】第2実施形態におけるIC異常検出処理のフローチャートである。
【図17】センサ信号が0Vである場合に、入力側抵抗のオープン発生後に5Vチャージ処理等を繰り返した場合の信号入力端子の電圧変化を示すタイミングチャートである。
【図18】センサ信号が5Vである場合に、入力側抵抗のオープン発生後に0Vチャージ処理等を繰り返した場合の信号入力端子の電圧変化を示すタイミングチャートである。
【図19】第2実施形態における入力側抵抗異常検出処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0041】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態のセンサ信号入力回路について説明する。
[構成の説明]
図1は、第1実施形態のセンサ信号入力回路100の構成を示すブロック図である。このセンサ信号入力回路100には、温度センサや車両のアクセルの操作状態を検知するスロットルセンサ等のように、測定対象の状態やユーザの操作に応じて0V〜5Vの範囲で電圧値が変化するセンサ信号を生成する複数の第1〜第Nセンサ200a〜200cが接続されており、これらのセンサから入力されたセンサ信号の電圧値をAD変換により検知し、検知した電圧値に基づき処理を行うよう構成されている。
【0042】
具体的には、センサ信号入力回路100は、第1〜第Nセンサ200a〜200cにそれぞれ接続された第1〜第N外部入力端子120a〜120cを有すると共に、第1〜第N外部入力端子120a〜120cにそれぞれ接続された第1〜第N信号入力端子111a〜111cを備え、これらの端子を介して第1〜第Nセンサ200a〜200cから入力されたセンサ信号のAD変換を行うIC110を有している。なお、IC110は、マイコンやAD変換用IC等として構成されていても良い。
【0043】
また、センサ信号入力回路100は、第1〜第N外部入力端子120a〜120cに接続された第1〜第N抵抗130a〜130cと、第1〜第N外部入力端子120a〜120cと第1〜第N信号入力端子111a〜111cとの間にそれぞれ設けられた第1〜第Nフィルタ回路140a〜140cを有する。また、センサ信号入力回路100は、一端がIC110の端子に、他端が基準電位に接続され、第1〜第N信号入力端子111a〜111c等の検査(詳細については後述する)に用いられる検査コンデンサ150を有する。なお、第1フィルタ回路140aは、第1外部入力端子120aと第1信号入力端子111aとを結ぶライン上に設けられた入力側抵抗140a−1と、第1信号入力端子111aと基準電位との間に設けられた入力側コンデンサ140a−2を有しており、他のフィルタ回路もこれと同様に構成されている。
【0044】
また、IC110は、第1〜第N信号入力端子111a〜111cと信号ライン119dとの接続状態をそれぞれ制御する第1〜第Nスイッチ114a〜114c等から構成されるマルチプレクサ114(MPXとも記載)と、AD変換により0〜5Vの範囲で信号ライン119dの電圧値を検知するADコンバータ116と、サージ電流から回路を保護するため、第1〜第N信号入力端子111a〜111cとマルチプレクサ114との間にそれぞれ設けられた第1〜第Nサージ保護回路113a〜113cとを有している。なお、ADコンバータ116には、信号ライン119dに接続されるサンプリングコンデンサ(図示なし)が設けられており、信号ライン119dを伝達する信号によりチャージされたサンプリングコンデンサの電圧値をAD変換により検知することで、信号ライン119dの電圧値が検知される。また、第1サージ保護回路113aは、第1信号入力端子111aとマルチプレクサ114とを結ぶ第1入力ライン119aにアノードが接続され、5V電源にカソードが接続されたダイオードと、第1入力ライン119aにカソードが接続され、基準電位にアノードが接続されたダイオードとから構成されており、他のサージ保護回路もこれと同様に構成されている。
【0045】
また、IC110は、信号ライン119dと上述の検査コンデンサ150とを結ぶ検査ライン119e上に設けられ、該検査ライン119eを導通,遮断する検査スイッチ118と、検査コンデンサ150に電圧を印加する検査用電源117と、所定期間において信号ライン119dで電圧値がどの程度変化したかを検知する電圧変化検知回路112と、マルチプレクサ114,ADコンバータ116,検査用電源117,検査スイッチ118,電圧変化検知回路112を制御する制御回路115とを有している。
【0046】
なお、検査用電源117は、5V電源との接続状態を設定する5Vスイッチ117aと、基準電位との接続状態を設定する0Vスイッチ117bとから構成されており、これらのスイッチの一方をONすることで、5V或いは0Vの電圧が検査コンデンサ150に印加される。
【0047】
また、電圧変化検知回路112は、制御回路115からの判定電圧保持信号に応じて信号ライン119dの電圧値を保持するラッチ回路として構成された判定電圧保持回路112aと、判定電圧保持回路112aに保持された電圧値と信号ライン119dの電圧値との差分を検知する判定回路112bと、制御回路115からの判定結果保持信号に応じて判定回路112bにより検知された差分を判定結果保持値として保持する判定結果保持回路112cとを有している。
【0048】
また、IC110の内部では、第1〜第N信号入力端子111a〜111cと基準電位との間や、信号ライン119dと基準電位との間等に、5pF程度の容量の寄生容量110a〜110dが生成される。
【0049】
なお、各信号入力端子に設けられた入力側コンデンサの容量は検査コンデンサ150の容量よりも大きく、一例として、入力側コンデンサの容量が0.1μF、検査コンデンサ150の容量が0.01μFであっても良い。
【0050】
[動作の説明]
次に、第1実施形態のセンサ信号入力回路100の動作について説明する。センサ信号入力回路100は、検査用電源117や検査スイッチ118やマルチプレクサ114等により、検査対象となるいずれか一つの信号入力端子に接続された入力側コンデンサと検査コンデンサ150との間で電荷の移動を生じさせることで、センサ信号の伝達経路の断線等といった各種異常を検出するよう構成されている。
【0051】
(1)5Vチャージ処理について
まず、検査コンデンサ150に5Vの電圧を印加することで、検査コンデンサ150の電圧値を5Vに設定する5Vチャージ処理について、図2(a)に記載のフローチャートを用いて説明する。この処理は、異常検出を行う際にIC110の制御回路115により実行される処理である。
【0052】
S305では、IC110の制御回路115は、マルチプレクサ114のスイッチを全てOFFとし、全ての信号入力端子と信号ライン119dとの間の接続状態を遮断状態に設定する。そして、S310に処理を移行する。
【0053】
S310では、制御回路115は、検査スイッチ118をOFFとし、信号ライン119dと検査コンデンサ150との間の接続状態を遮断状態に設定する。そして、S315に処理を移行する。
【0054】
S315では、制御回路115は、検査用電源117の5Vスイッチ117aをON、0Vスイッチ117bをOFFとし、検査コンデンサ150に5Vの電圧を印加する。そして、S320に処理を移行する。
【0055】
S320では、制御回路115は、電圧の印加の開始後、所定時間が経過したか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S320:Yes)、S325に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S320:No)、S320に処理を移行する。
【0056】
S325では、制御回路115は、5Vスイッチ117aをOFFとして検査コンデンサ150への電圧の印加を終了し、本処理を終了する。
(2)0Vチャージ処理について
次に、検査コンデンサ150に0Vの電圧を印加することで、検査コンデンサ150の電圧値を0Vに設定する0Vチャージ処理について、図2(b)に記載のフローチャートを用いて説明する。この処理は、異常検出を行う際にIC110の制御回路115により実行される処理である。なお、0Vチャージ処理は5Vチャージ処理と類似した処理であるので、5Vチャージ処理との相違点を中心に説明する。
【0057】
0Vチャージ処理では、5Vチャージ処理のS305〜S325にそれぞれ相当するS330〜S350が行われる。
5Vチャージ処理のS315に相当するS340では、制御回路115は、検査用電源117の5Vスイッチ117aをOFF、0Vスイッチ117bをONとし、検査コンデンサ150に0Vの電圧を印加する。そして、S345に処理を移行する。
【0058】
また、5Vチャージ処理のS325に相当するS350では、制御回路115は、0Vスイッチ117bをOFFとして検査コンデンサ150への電圧の印加を終了し、本処理を終了する。
【0059】
なお、S340,S350以外では、5Vチャージ処理における対応するステップと同様の処理が行われる。
(3)IC異常検出処理について
次に、IC110の信号入力端子のオープン、或いは信号入力端子から検査スイッチ118までの経路上の断線である端子異常の検出について説明する。
【0060】
検査コンデンサ150を全ての信号入力端子から遮断した状態で、検査コンデンサ150に対し、センサ信号の変動範囲内の検査電圧値を印加し、検査コンデンサ150の両端を検査電圧値に設定した後に、検査コンデンサ150といずれかの信号入力端子とを導通状態とする。このとき、信号ライン119dの電圧値が、検査コンデンサ150により生成される検査電圧値付近で保持される場合には、検査コンデンサ150の充放電が行われておらず、端子異常が生じていると考えられる。
【0061】
しかしながら、センサ信号自体が検査電圧値付近である場合には、端子異常が生じていなくても信号ライン119dが検査電圧値付近となるため、端子異常と断定することはできない。そこで、本実施形態では、5Vチャージ処理と0Vチャージ処理を実行した後に、検査コンデンサ150と信号入力端子とを導通状態とし、信号ライン119dの電圧値を検知する。そして、5Vチャージ処理の後と、0Vチャージ処理の後の双方において、信号ライン119dが5V,0V付近となった場合には、端子異常が生じたものとみなすのである。
【0062】
続いて、端子異常等を検出するIC異常検出処理について、図3〜5に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、いずれか一つの信号入力端子を検査対象として実行され、センサ信号入力回路100の動作中に、検査対象とする信号入力端子を切り替えながら定期的に実行される処理である。
【0063】
S401では、IC110の制御回路115は、5Vチャージ処理を実行して検査コンデンサ150の電圧を5Vに設定し、S402に処理を移行する。
S402では、制御回路115は、ADコンバータ116にAD変換を行わせ、信号ライン119dの電圧を検知する。そして、S403に処理を移行する。
【0064】
S403では、制御回路115は、検知した電圧値が5V或いは5V付近の値であるかを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S403:Yes)、S404に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S403:No)、図4のS408に処理を移行する。
【0065】
S404では、制御回路115は、0Vチャージ処理を実行して検査コンデンサ150の電圧を0Vに設定し、S405に処理を移行する。
S405では、制御回路115は、ADコンバータ116にAD変換を行わせ、信号ライン119dの電圧を検知する。そして、S406に処理を移行する。
【0066】
S406では、制御回路115は、検知した電圧値が0V或いは0V付近の値であるかを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S406:Yes)、S407に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S406:No)、図4のS408に処理を移行する。
【0067】
S407では、制御回路115は、検査スイッチ118のON固着が生じているとみなし、本処理を終了する。
続いて、図4に基づき説明を行う。S403やS406にて否定判定が得られた場合に移行するS408では、制御回路115は、5Vチャージ処理を実行し、S409に処理を移行する。
【0068】
S409では、制御回路115は、検査スイッチ118をONとし、S410に処理を移行する。
S410では、制御回路115は、ADコンバータ116にAD変換を行わせ、信号ライン119dの電圧を検知する。そして、S411に処理を移行する。
【0069】
S411では、制御回路115は、検知した電圧値が5V或いは5V付近の値であるかを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S411:Yes)、S412に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S411:No)、S417に処理を移行する。
【0070】
S412では、制御回路115は、0Vチャージ処理を実行し、S413に処理を移行する。
S413では、制御回路115は、検査スイッチ118をONとし、S414に処理を移行する。
【0071】
S414では、制御回路115は、ADコンバータ116にAD変換を行わせ、信号ライン119dの電圧を検知する。そして、S415に処理を移行する。
S415では、制御回路115は、検知した電圧値が0V或いは0V付近の値であるかを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S415:Yes)、図5のS423に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S415:No)、S416に処理を移行する。
【0072】
S416では、制御回路115は、検査用電源117の異常(5Vスイッチ117aのON固着,0Vスイッチ117bのOFF固着,基準電位の異常のうちの少なくとも一つ)が生じているとみなし、本処理を終了する。
【0073】
S411にて否定判定が得られた場合に移行するS417では、制御回路115は、0Vチャージ処理を実行し、S418に処理を移行する。
S418では、制御回路115は、検査スイッチ118をONとし、S419に処理を移行する。
【0074】
S419では、制御回路115は、ADコンバータ116にAD変換を行わせ、信号ライン119dの電圧を検知する。そして、S420に処理を移行する。
S420では、制御回路115は、検知した電圧値が0V或いは0V付近の値であるかを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S420:Yes)、S421に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S420:No)、S422に処理を移行する。
【0075】
S421では、制御回路115は、検査用電源117の異常(5Vスイッチ117aのOFF固着,0Vスイッチ117bのON固着,5V電源の異常のうちの少なくとも一つ)が生じているとみなし、本処理を終了する。
【0076】
一方、S422では、制御回路115は、検査スイッチ118のOFF固着,検査コンデンサ150のオープン,マルチプレクサ114のスイッチのON固着のうちの少なくとも一つが生じているとみなし、本処理を終了する。
【0077】
続いて、図5に基づき説明を行う。S415にて肯定判定が得られた場合に移行するS423では、制御回路115は、5Vチャージ処理を実行し、S424に処理を移行する。
【0078】
S424では、制御回路115は、検査スイッチ118をONとし、S425に処理を移行する。
S425では、制御回路115は、検査対象の信号入力端子に接続されたマルチプレクサ114のスイッチをONとし、該信号入力端子と信号ライン119dとの間の接続状態を導通状態に設定する。そして、S426に処理を移行する。
【0079】
S426では、制御回路115は、ADコンバータ116にAD変換を行わせ、信号ライン119dの電圧を検知する。そして、S427に処理を移行する。
S427では、制御回路115は、検知した電圧値が5V或いは5V付近の値であるかを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S427:Yes)、S428に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S427:No)、S434に処理を移行する。
【0080】
S428では、制御回路115は、0Vチャージ処理を実行し、S429に処理を移行する。
S429では、制御回路115は、検査スイッチ118をONとし、S430に処理を移行する。
【0081】
S430では、制御回路115は、検査対象の信号入力端子に接続されたマルチプレクサ114のスイッチをONとし、S431に処理を移行する。
S431では、制御回路115は、ADコンバータ116にAD変換を行わせ、信号ライン119dの電圧を検知する。そして、S432に処理を移行する。
【0082】
S432では、制御回路115は、検知した電圧値が0V或いは0V付近の値であるかを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S432:Yes)、S433に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S432:No)、S434に処理を移行する。
【0083】
S433では、制御回路115は、端子異常、或いは、検査対象の信号入力端子に接続されるマルチプレクサ114のスイッチのOFF固着が生じているとみなし、本処理を終了する。
【0084】
一方、S434では、制御回路115は、信号入力端子のオープン等の異常は無いものとみなし、本処理を終了する。
なお、図6には、IC異常検出処理により検出される異常の一覧を示す表が記載されている。該表に記載されているように、IC異常検出処理のS401〜S407では、5Vチャージ処理後に検知された電圧値が5V付近、かつ、0Vチャージ処理後に検知された電圧値が0V付近である場合には、検査スイッチ118のON固着が検出される。
【0085】
また、IC異常検出処理のS408〜S422では、5Vチャージ処理後に検知された電圧値が5V付近、かつ、0Vチャージ処理後に検知された電圧値が0V付近でない場合には、5Vスイッチ117aのON固着,0Vスイッチ117bのOFF固着,基準電位の異常のうちのいずれかが検出される。また、5Vチャージ処理後に検知された電圧値が5V付近でなく、かつ、0Vチャージ処理後に検知された電圧値が0V付近である場合には、5Vスイッチ117aのOFF固着,0Vスイッチ117bのON固着,5V電源の異常のうちのいずれかが検出される。また、5Vチャージ処理後に検知された電圧値が5V付近でなく、かつ、0Vチャージ処理後に検知された電圧値が0V付近でない場合には、検査スイッチ118のOFF固着,検査コンデンサ150のオープン,マルチプレクサ114のスイッチのON固着のうちのいずれかが検出される。
【0086】
また、IC異常検出処理のS423〜S434では、5Vチャージ処理後に検知された電圧値が5V付近、かつ、0Vチャージ処理後に検知された電圧値が0V付近である場合には、検査対象の信号入力端子から検査スイッチ118までの間の断線(端子異常),検査対象の信号入力端子に接続されるマルチプレクサ114のスイッチのOFF固着のうちのいずれかが検出される。
【0087】
(4)入力側抵抗異常検出処理について
次に、第1〜第N信号入力端子111a〜111cに接続されたフィルタ回路140a〜140cを構成する入力側抵抗のオープンを検出する入力側抵抗異常検出処理について説明する。
【0088】
(4−1)概要について
センサ信号入力回路100のIC110では、5Vチャージ処理或いは0Vチャージ処理が実行された後に、いずれかの信号入力端子と検査コンデンサ150との間を導通状態に設定する処理(導通処理と記載)が実行されると、該信号入力端子に接続された入力側コンデンサと検査コンデンサ150との間で電荷の移動が生じる。そして、正常時には、センサ信号入力回路100の外部と入力側コンデンサ,検査コンデンサとの間で電荷が移動するため、導通処理の後、一時的に信号入力端子の電圧値が変動するが、その後、信号入力端子の電圧値はセンサ信号の電圧値となる。これに対し、入力側抵抗のオープンが生じている場合には、センサ信号入力回路100の外部との間で電荷の移動が生じず、5Vチャージ処理等と導通処理とを複数回にわたり実行すると、信号入力端子の電圧値が5V或いは0Vに近づく。
【0089】
センサ信号入力回路100では、5Vチャージ処理等と導通処理とを複数回にわたり実行した後の信号入力端子の電圧値を検知することで、該信号入力端子に接続された入力側抵抗の断線を検出する。
【0090】
具体例を挙げて説明する。図7には、センサ信号の電圧値が0Vである場合において、入力側抵抗のオープン発生後に5Vチャージ処理と導通処理とを繰り返し行った場合の、該入力側抵抗に接続される信号入力端子の電圧値Vinの変化を示すタイミングチャートが記載されている。
【0091】
図7に記載されているように、入力側抵抗のオープンが生じた後には、5Vチャージ処理と導通処理とを実行する度(図7では導通処理をMPX ONと記載)に信号入力端子の電圧値Vinが段階的に増加する。なお、導通処理等の実行後のVinの増加値は、検査コンデンサ150や入力側コンデンサの容量や、寄生容量等に基づき定められる。図7は、一例として、検査コンデンサ150,入力側コンデンサの容量,信号入力端子の寄生容量,信号ライン119dの寄生容量を、0.01μF,0.1μF,5pF,5pFとした場合のVinの変化を示している。
【0092】
また、図8には、センサ信号の電圧値が5Vである場合において入力側抵抗のオープンが生じた後に、0Vチャージ処理と導通処理とを繰り返し行った場合の、信号入力端子の電圧値Vinの変化を示すタイミングチャートが記載されている。
【0093】
図8に記載されているように、入力側抵抗のオープンが生じた後、0Vチャージ処理と導通処理とを実行する度に、信号入力端子の電圧値Vinが段階的に減少する。なお、導通処理等の実行後のVinの減少値もまた、検査コンデンサ150や入力側コンデンサの容量や、寄生容量等に基づき定められ、図8は、検査コンデンサ150等の容量を図7の場合と同様にした時のVinの変化を示している。
【0094】
ここで、センサ信号の電圧値が5V付近或いは0V付近である場合には、入力側抵抗のオープンが生じていない場合であっても、5Vチャージ処理等と導通処理とを繰り返した後には、信号入力端子の電圧値は、5V付近或いは0V付近となる。
【0095】
そこで、入力側抵抗異常検出処理では、5Vチャージ処理と導通処理とを複数回にわたり実行した後の信号入力端子の電圧値が5V付近であり、尚且つ、0Vチャージ処理と導通処理とを複数回にわたり実行した後に信号入力端子の電圧値が0V付近である場合に、入力側抵抗のオープンが発生したものとみなす。
【0096】
(4−2)詳細について
次に、入力側抵抗異常検出処理の詳細について、図9に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、いずれか一つの入力側抵抗を検査対象として実行され、センサ信号入力回路100の動作中に、検査対象とする入力側抵抗を切り替えながら定期的に実行される処理である。
【0097】
S505では、IC110の制御回路115は、5Vチャージ処理を実行し、S510に処理を移行する。
S510では、制御回路115は、検査スイッチ118をONとし、S515に処理を移行する。
【0098】
S515では、制御回路115は、検査対象の入力側抵抗に繋がる信号入力端子に接続されたマルチプレクサ114のスイッチをONとし、S520に処理を移行する。
S520では、制御回路115は、5Vチャージ処理の実行回数が予め定められた閾値を超えたか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S520:Yes)、S525に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S520:No)、S505に処理を移行する。
【0099】
S525では、制御回路115は、ADコンバータ116にAD変換を行わせ、信号ライン119dの電圧を検知する。そして、S530に処理を移行する。
S530では、制御回路115は、検知した電圧値が5V或いは5V付近の値であるかを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S530:Yes)、S535に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S530:No)、S570に処理を移行する。
【0100】
S535では、制御回路115は、0Vチャージ処理を実行し、S540に処理を移行する。
S540では、制御回路115は、検査スイッチ118をONとし、S545に処理を移行する。
【0101】
S545では、制御回路115は、検査対象の入力側抵抗に繋がる信号入力端子に接続されたマルチプレクサ114のスイッチをONとし、S550に処理を移行する。
S550では、制御回路115は、0Vチャージ処理の実行回数が予め定められた閾値を超えたか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S550:Yes)、S555に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S550:No)、S535に処理を移行する。
【0102】
S555では、制御回路115は、ADコンバータ116にAD変換を行わせ、信号ライン119dの電圧を検知する。そして、S560に処理を移行する。
S560では、制御回路115は、検知した電圧値が0V或いは0V付近の値であるかを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S560:Yes)、S565に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S560:No)、S570に処理を移行する。
【0103】
S565では、制御回路115は、検査対象の入力側抵抗のオープンが生じているとみなし、本処理を終了する。
一方、S570では、制御回路115は、検査対象の入力側抵抗の異常は無いものとみなし、本処理を終了する。
【0104】
(5)入力側コンデンサ異常検出処理について
次に、第1〜第N信号入力端子111a〜111bに接続されたフィルタ回路140a〜140cを構成する入力側コンデンサのオープンを検出する入力側コンデンサ異常検出処理について説明する。
【0105】
(5−1)概要について
第1実施形態のセンサ信号入力回路100では、5Vチャージ処理或いは0Vチャージ処理の後に、いずれかの信号入力端子と検査コンデンサ150との間を導通状態に設定する処理(導通処理と記載)が実行されると、検査コンデンサ150の充放電が生じ、信号入力端子の電圧が一時的に変動する。そして、信号入力端子に入力側コンデンサが接続されていない場合には、入力側コンデンサが接続されている場合に比べて信号入力端子の電圧の変動幅が大きくなる。センサ信号入力回路100では、この変動幅を検知することで、入力側コンデンサのオープンが検出される。
【0106】
具体例を挙げて説明する。図10には、検査対象の入力側コンデンサに接続された信号入力端子に入力されるセンサ信号の電圧値が0Vである場合において、5Vチャージ処理の後に導通処理を実行した際の信号入力端子の電圧値Vinの変化を示すタイミングチャートが記載されている。なお、入力側コンデンサの容量をC1,IC110内部に生成される寄生容量をC2及びC3,検査コンデンサ150の容量をC4とすると共に、入力側抵抗の抵抗値をR1としている。また、図10におけるVC4は、導通処理の直前に検査コンデンサ150により生成される電圧であり、ここでは、5Vチャージ処理の後に導通処理が実行されるため、VC4は5Vとなる。また、図10(a)のタイミングチャートは、正常時の電圧値Vinの変化を示しており、図10(b)のタイミングチャートは、入力側コンデンサのオープン発生時の電圧値Vinの変化を示している。
【0107】
正常時には、導通処理が実行されると(図10では検査SW ONと記載)、VinはVC4×(C2+C3+C4)/(C1+C2+C3+C4)(V)まで上昇し、その後、時定数τを(C1+C2+C3+C4)×R1として減少する(図10(a)参照)。
【0108】
一方、入力側コンデンサの断線時には、導通処理が実行されると、VinはVC4×(C3+C4)/(C2+C3+C4)(V)まで上昇し、その後、時定数τを(C2+C3+C4)×R1として減少する(図10(b)参照)。
【0109】
また、図11には、検査対象の入力側コンデンサに接続された信号入力端子に入力されるセンサ信号の電圧値が5Vである場合において、0Vチャージ処理の後に導通処理を実行した際の信号入力端子の電圧値Vinの変化を示すタイミングチャートが記載されている。なお、図11(a)のタイミングチャートは、正常時の電圧値Vinの変化を示しており、図11(b)のタイミングチャートは、入力側コンデンサのオープン発生時の電圧値Vinの変化を示している。
【0110】
正常時には、導通処理が実行されると(図11では検査SW ONと記載)、Vinは、5×(C2+C3+C4)/(C1+C2+C3+C4)(V)となり、その後、時定数τを(C1+C2+C3+C4)×R1としてVinが増加する(図11(a)参照)。
【0111】
一方、入力側コンデンサの断線時には、導通処理が実行されると、Vinは、5×(C3+C4)/(C2+C3+C4)(V)となり、その後、時定数τを(C2+C3+C4)×R1としてVinが増加する(図11(b)参照)。
【0112】
このため、入力側コンデンサ異常検出処理では、導通処理の直前に判定電圧保持信号を出力すると共に、導通処理の直後に判定結果保持信号を出力することで、電圧変化検知回路112により導通処理の前後における信号入力端子の電圧値の変化を検知する。そして、この電圧値の変化が予め定められた閾値を超えるか否かにより、入力側コンデンサのオープンが検出されるのである。
【0113】
ここで、仮にセンサ信号の電圧値が5Vである場合には、入力側コンデンサのオープンが生じている際に5Vチャージ処理と導通処理とを行ったとしても、十分な変動が生じず、入力側コンデンサのオープンを検出することができない。また、センサ信号の電圧値が0Vである場合に0Vチャージ処理と導通処理とを行った場合も同様である。このため、入力側コンデンサ異常検出処理では、5Vチャージ処理と0Vチャージ処理とを実行すると共に、各処理の実行後に導通処理を行い、一方の導通処理の後の電圧値の変化が閾値を越える場合には、入力側コンデンサのオープンが生じたものとみなしている。
【0114】
なお、この閾値は、5Vチャージ処理により入力側コンデンサの断線を検出する場合であれば、導通処理の直前に検査コンデンサ150により生成される電圧VC4に基づき設定しても良く、一例として、VC4の半分程度としても良い。
【0115】
また、0Vチャージ処理により入力側コンデンサの断線を検出する場合であれば、センサ信号の最大電圧値に基づき上記閾値を設定しても良く、一例として、該最大電圧値の半分程度としても良い。
【0116】
(5−2)詳細について
次に、入力側コンデンサ異常検出処理の詳細について、図12に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、いずれか一つの入力側コンデンサを検査対象として実行され、センサ信号入力回路100の動作中に、検査対象とする入力側コンデンサを切り替えながら定期的に実行される処理である。
【0117】
S605では、IC110の制御回路115は、5Vチャージ処理を実行し、S610に処理を移行する。
S610では、制御回路115は、検査対象の入力側コンデンサに繋がる信号入力端子に接続されたマルチプレクサ114のスイッチをONとし、S615に処理を移行する。
【0118】
S615では、制御回路115は、判定電圧保持信号を出力し、判定電圧保持回路112aに信号ライン119dの電圧値を保持させる。そして、S620に処理を移行する。
S620では、制御回路115は、検査スイッチ118をONとし、S625に処理を移行する。
【0119】
S625では、制御回路115は、判定結果保持回路112cに対して判定結果保持信号を出力し、判定回路112bにより信号ライン119dの電圧値と判定電圧保持回路112aに保持された電圧値との差分(判定結果保持値)を検知させ、判定結果保持値を判定結果保持回路112cに保持させる。そして、S630に処理を移行する。
【0120】
S630では、制御回路115は、判定結果保持回路112cに保持された判定結果保持値が、予め定められた閾値を超えるか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S630:Yes)、S635に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S630:No)、S640に処理を移行する。
【0121】
S635では、制御回路115は、検査対象の入力側コンデンサのオープンが生じているとみなし、本処理を終了する。
S640では、制御回路115は、0Vチャージ処理を実行し、S645に処理を移行する。
【0122】
S645では、制御回路115は、検査対象の入力側コンデンサに繋がる信号入力端子に接続されたマルチプレクサ114のスイッチをONとし、S650に処理を移行する。
S650では、制御回路115は、判定電圧保持信号を出力し、判定電圧保持回路112aに信号ライン119dの電圧値を保持させる。そして、S655に処理を移行する。
【0123】
S655では、制御回路115は、検査スイッチ118をONとし、S660に処理を移行する。
S660では、制御回路115は、判定結果保持回路112cに対して判定結果保持信号を出力し、判定回路112bにより信号ライン119dの電圧値と判定電圧保持回路112aに保持された電圧値との差分(判定結果保持値)を検知させ、判定結果保持値を判定結果保持回路112cに保持させる。そして、S665に処理を移行する。
【0124】
S665では、制御回路115は、判定結果保持回路112cに保持された判定結果保持値が、予め定められた閾値を超えるか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S665:Yes)、S670に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S665:No)、S675に処理を移行する。
【0125】
S670では、制御回路115は、検査対象の入力側コンデンサのオープンが生じているとみなし、本処理を終了する。
一方、S675では、制御回路115は、検査対象の入力側コンデンサの異常は無いものとみなし、本処理を終了する。
【0126】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のセンサ信号入力回路について説明する。
[構成の説明]
図13は、第2実施形態のセンサ信号入力回路800の構成を示すブロック図である。このセンサ信号入力回路800には、第1実施形態と同様の第1〜第Nセンサ200a〜200cが接続されており、これらのセンサから入力された0V〜5Vの範囲のセンサ信号に応じて処理を実行するよう構成されている。
【0127】
具体的には、センサ信号入力回路800は、第1実施形態と同様の第1〜第N外部入力端子820a〜820cを有すると共に、第1〜第N外部入力端子820a〜820cにそれぞれ接続された第1〜第N信号入力端子811a〜811cを備えるIC810を有している。
【0128】
また、センサ信号入力回路800は、第1実施形態と同様の第1〜第N抵抗830a〜830cと、第1〜第Nフィルタ回路840a〜840cと、検査コンデンサ850とを有している。なお、第1フィルタ回路840aは、第1実施形態と同様の入力側抵抗840a−1と入力側コンデンサ840a−2を有しており、他のフィルタ回路もこれと同様に構成されている。
【0129】
また、IC810は、第1実施形態と同様に第1〜第Nスイッチ814a〜814cを備えるマルチプレクサ814と、信号ライン819dと上述の検査コンデンサ850とを結ぶ検査ライン819eを導通,遮断する検査スイッチ818と、を有している。
【0130】
また、IC810は、第1実施形態と同様の第1〜第Nサージ保護回路813a〜813c,検査用電源817,電圧変化検知回路812を有していると共に、マルチプレクサ814,電圧変化検知回路812,検査用電源817,検査スイッチ818を制御する制御回路815を有している。
【0131】
また、IC810の内部では、第1〜第N信号入力端子811a〜811cと基準電位との間や、信号ライン819dと基準電位との間等に、5pF程度の容量の寄生容量810a〜810cが生成される。
【0132】
なお、各信号入力端子に設けられた入力側コンデンサの容量は検査コンデンサ850の容量よりも大きく、一例として、入力側コンデンサの容量が0.1μF、検査コンデンサ850の容量が0.01μFであっても良い。
【0133】
[動作の説明]
次に、第2実施形態のセンサ信号入力回路800の動作について説明する。センサ信号入力回路800においても、第1実施形態と同様の5Vチャージ処理や0Vチャージ処理が実行され、検査対象の信号入力端子に接続された入力側コンデンサと検査コンデンサ150との間で電荷の移動を生じさせることで、端子異常等が検出される。しかしながら、第1実施形態のセンサ信号入力回路100では、ADコンバータ116により信号ライン119dの電圧値を検知することで電荷の移動が検出されるが、第2実施形態のセンサ信号入力回路800では、電圧変化検知回路812により信号ライン819dの電圧値の変化を検知することで電荷の移動が検出され、この点において相違している。
【0134】
(1)IC異常検出処理について
次に、第1〜第N信号入力端子811a〜811cのオープンや、該信号入力端子からのセンサ信号の伝達経路における断線等の検出を行うIC異常検出処理について、図14〜16に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、いずれか一つの信号入力端子を検査対象として実行され、センサ信号入力回路800の動作中に、検査対象とする信号入力端子を切り替えながら定期的に実行される処理である。
【0135】
S901では、IC810の制御回路815は、マルチプレクサ814の全てのスイッチをOFF,検査スイッチ818をONとすると共に、検査用電源817の5Vスイッチ817aをONとして信号ライン819dに5Vの電圧を印加し、さらに、判定電圧保持信号を出力することで、判定電圧保持回路812aに5Vの電圧値を保持させる。そして、S902に処理を移行する。
【0136】
S902では、制御回路815は、5Vチャージ処理を実行し、S903に処理を移行する。
S903、及びこれに続くS904では、制御回路815は、判定回路812bにより、信号ライン819dの電圧値と判定電圧保持回路812aに保持された5Vの電圧値との差分(判定結果保持値)を検知させ、その後、判定結果保持回路812cに対して判定結果保持信号を出力して該判定結果保持値を判定結果保持回路812cに保持させる。そして、S905に処理を移行する。
【0137】
S905では、制御回路115は、判定結果保持回路812cに保持された差分(判定結果保持値)が0V或いは0V付近の値であるかを判定する(すなわち、信号ライン819dの電圧値が5V或いは5V付近の値であるかを判定する)。そして、肯定判定が得られた場合には(S905:Yes)、S906に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S905:No)、図15のS912に処理を移行する。
【0138】
S906では、制御回路815は、マルチプレクサ814の全てのスイッチをOFF,検査スイッチ818をONとすると共に、検査用電源817の0Vスイッチ817bをONとして信号ライン819dに0Vの電圧を印加し、さらに、判定電圧保持信号を出力することで、判定電圧保持回路812aに0Vの電圧値を保持させる。そして、S907に処理を移行する。
【0139】
S907では、制御回路815は、0Vチャージ処理を実行し、S908に処理を移行する。
S908、及びこれに続くS909では、制御回路815は、判定回路812bにより、信号ライン819dの電圧値と判定電圧保持回路812aに保持された0Vの電圧値との差分(判定結果保持値)を検知させ、その後、判定結果保持回路812cに対して判定結果保持信号を出力して該判定結果保持値を判定結果保持回路812cに保持させる。そして、S910に処理を移行する。
【0140】
S910では、制御回路815は、判定結果保持回路812cに保持された差分(判定結果保持値)が0V或いは0V付近の値であるかを判定する(すなわち、信号ライン819dの電圧値が0V或いは0V付近の値であるかを判定する)。そして、肯定判定が得られた場合には(S910:Yes)、S911に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S910:No)、図15のS912に処理を移行する。
【0141】
S911では、制御回路815は、検査スイッチ818のON固着が生じているとみなし、本処理を終了する。
続いて、図15に基づき説明を行う。S905やS910にて否定判定が得られた場合に移行するS912では、制御回路815は、上述のごとく、判定電圧保持回路812aに5Vの電圧値を保持させ、S913に処理を移行する。
【0142】
S913では、制御回路815は、5Vチャージ処理を実行し、S914に処理を移行する。
S914では、制御回路815は、検査スイッチ818をONとし、S915に処理を移行する。
【0143】
S915、及びこれに続くS916では、制御回路815は、上述のごとく、信号ライン819dの電圧値と判定電圧保持回路812aに保持された5Vの電圧値との差分(判定結果保持値)を判定結果保持回路812cに保持させる。そして、S917に処理を移行する。
【0144】
S917では、制御回路815は、判定結果保持回路812cに保持された差分(判定結果保持値)が0V或いは0V付近の値であるかを判定する(すなわち、信号ライン819dの電圧値が5V或いは5V付近の値であるかを判定する)。そして、肯定判定が得られた場合には(S917:Yes)、S918に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S917:No)、S925に処理を移行する。
【0145】
S918では、上述のごとく、判定電圧保持回路812aに0Vの電圧値を保持させ、S919に処理を移行する。
S919では、制御回路815は、0Vチャージ処理を実行し、S920に処理を移行する。
【0146】
S920では、制御回路815は、検査スイッチ818をONとし、S921に処理を移行する。
S921、及びこれに続くS922では、制御回路815は、上述のごとく、信号ライン819dの電圧値と判定電圧保持回路812aに保持された0Vの電圧値との差分(判定結果保持値)を判定結果保持回路812cに保持させる。そして、S923に処理を移行する。
【0147】
S923では、制御回路815は、判定結果保持回路812cに保持された差分(判定結果保持値)が0V或いは0V付近の値であるかを判定する(すなわち、信号ライン819dの電圧値が0V或いは0V付近の値であるかを判定する)。そして、肯定判定が得られた場合には(S923:Yes)、図16のS933に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S923:No)、S924に処理を移行する。
【0148】
S924では、制御回路815は、検査用電源817の異常(5Vスイッチ817aのON固着,0Vスイッチ817bのOFF固着,基準電位の異常のうちの少なくとも一つ)が生じているとみなし、本処理を終了する。
【0149】
S917にて否定判定が得られた場合に移行するS925では、上述のごとく、判定電圧保持回路812aに0Vの電圧値を保持させ、S926に処理を移行する。
S926では、制御回路815は、0Vチャージ処理を実行し、S927に処理を移行する。
【0150】
S927では、制御回路115は、検査スイッチ118をONとし、S928に処理を移行する。
S928、及びこれに続くS929では、制御回路815は、上述のごとく、信号ライン819dの電圧値と判定電圧保持回路812aに保持された0Vの電圧値との差分(判定結果保持値)を判定結果保持回路812cに保持させる。そして、S930に処理を移行する。
【0151】
S930では、制御回路815は、判定結果保持回路812cに保持された差分(判定結果保持値)が0V或いは0V付近の値であるかを判定する(すなわち、信号ライン819dの電圧値が0V或いは0V付近の値であるかを判定する)。そして、肯定判定が得られた場合には(S930:Yes)、S931に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S930:No)、S932に処理を移行する。
【0152】
S931では、制御回路815は、検査用電源817の異常(5Vスイッチ817aのOFF固着,0Vスイッチ817bのON固着,5V電源の異常のうちの少なくとも一つ)が生じているとみなし、本処理を終了する。
【0153】
一方、S932では、制御回路815は、検査スイッチ818のOFF固着,検査コンデンサ850のオープン,マルチプレクサ814のスイッチのON固着のうちの少なくとも一つが生じているとみなし、本処理を終了する。
【0154】
続いて、図16に基づき説明を行う。S923にて肯定判定が得られた場合に移行するS933では、制御回路815は、5Vチャージ処理を実行し、S934に処理を移行する。
【0155】
S934では、制御回路815は、検査スイッチ818をONとし、S935に処理を移行する。
S935では、制御回路815は、判定電圧保持信号を出力することで、判定電圧保持回路812aに5Vの電圧値を保持させ、S936に処理を移行する。
【0156】
S936では、制御回路815は、検査対象の信号入力端子に接続されたマルチプレクサ814のスイッチをONとし、S937に処理を移行する。
S937、及びこれに続くS938では、制御回路815は、上述のごとく、信号ライン819dの電圧値と判定電圧保持回路812aに保持された5Vの電圧値との差分(判定結果保持値)を判定結果保持回路812cに保持させる。そして、S939に処理を移行する。
【0157】
S939では、制御回路815は、判定結果保持回路812cに保持された差分(判定結果保持値)が0V或いは0V付近の値であるかを判定する(すなわち、信号ライン819dの電圧値が5V或いは5V付近の値であるかを判定する)。そして、肯定判定が得られた場合には(S939:Yes)、S940に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S939:No)、S948に処理を移行する。
【0158】
S940では、制御回路815は、0Vチャージ処理を実行し、S941に処理を移行する。
S941では、制御回路815は、検査スイッチ818をONとし、S942に処理を移行する。
【0159】
S942では、制御回路815は、判定電圧保持信号を出力することで、判定電圧保持回路812aに0Vの電圧値を保持させ、S943に処理を移行する。
S943では、制御回路815は、検査対象の信号入力端子に接続されたマルチプレクサ814のスイッチをONとし、S944に処理を移行する。
【0160】
S944、及びこれに続くS945では、制御回路815は、上述のごとく、信号ライン819dの電圧値と判定電圧保持回路812aに保持された0Vの電圧値との差分(判定結果保持値)を判定結果保持回路812cに保持させる。そして、S946に処理を移行する。
【0161】
S946では、制御回路815は、判定結果保持回路812cに保持された差分(判定結果保持値)が0V或いは0V付近の値であるかを判定する(すなわち、信号ライン819dの電圧値が0V或いは0V付近の値であるかを判定する)。そして、肯定判定が得られた場合には(S946:Yes)、S947に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S946:No)、S948に処理を移行する。
【0162】
S947では、制御回路815は、検査対象の信号入力端子についての端子異常、或いは、検査対象の信号入力端子に接続されるマルチプレクサ814のスイッチのOFF固着のうちの少なくとも一方が生じているとみなし、本処理を終了する。
【0163】
一方、S948では、制御回路815は、信号入力端子のオープン等の異常は無いものとみなし、本処理を終了する。
(2)入力側抵抗異常検出処理について
次に、第1〜第N信号入力端子811a〜811bに接続されたフィルタ回路840a〜840cを構成する入力側抵抗のオープンを検出する入力側抵抗異常検出処理について説明する。第2実施形態のセンサ信号入力回路800においても、第1実施形態と同様の方法で入力側抵抗のオープンが検出される。しかしながら、第2実施形態では、ADコンバータに替えて電圧変化検知回路812により信号入力端子の電圧の変化が検出され、この点において相違している。
【0164】
具体例を挙げて説明すると、図17には、センサ信号の電圧値が0Vである場合において、入力側抵抗のオープン発生後に、5Vチャージ処理と、該入力側抵抗に接続される信号入力端子と検査コンデンサ850との間を導通状態に設定する処理(導通処理)とを繰り返し行った場合の、該信号入力端子の電圧値Vinの変化を示すタイミングチャートが記載されている。なお、このタイミングチャートは、図7に記載のタイミングチャートに相当するものである。図17に記載されているように、第2実施形態のセンサ信号入力回路800では、1回目の5Vチャージ処理及び導通処理が実行される直前に、判定電圧保持回路812aに5Vの電圧値が保持される。また、5Vチャージ処理及び導通処理が所定回数(一例として17回)にわたり実行された後に、信号ライン819dの電圧値と判定電圧保持回路812aに保持された5Vの電圧値との差分(判定結果保持値)が判定結果保持回路812cに保持される。そして、判定結果保持値により、信号ライン819dの電圧値が5V或いは5V付近の値であるかが判定されるのである。
【0165】
また、図18には、センサ信号の電圧値が5Vである場合において、入力側抵抗のオープン発生後に、0Vチャージ処理と、導通処理とを繰り返し行った場合の、信号入力端子の電圧値Vinの変化を示すタイミングチャートが記載されている。なお、このタイミングチャートは、図8に記載のタイミングチャートに相当するものである。図18に記載されているように、第2実施形態のセンサ信号入力回路800では、1回目の0Vチャージ処理及び導通処理が実行される直前に、判定電圧保持回路812aに0Vの電圧値が保持される。また、0Vチャージ処理及び導通処理が所定回数(一例として17回)にわたり実行された後に、信号ライン819dの電圧値と判定電圧保持回路812aに保持された0Vの電圧値との差分(判定結果保持値)を判定結果保持回路812cに保持される。そして、判定結果保持値により、信号ライン819dの電圧値が0V或いは0V付近の値であるかが判定されるのである。
【0166】
次に、入力側抵抗異常検出処理の詳細について、図19に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、いずれか一つの入力側抵抗を検査対象として実行され、センサ信号入力回路800の動作中に、検査対象とする入力側抵抗を切り替えながら定期的に実行される処理である。
【0167】
S1005では、IC810の制御回路815は、上述のごとく、判定電圧保持回路812aに5Vの電圧値を保持させ、S1010に処理を移行する。
S1010では、制御回路815は、5Vチャージ処理を実行し、S1015に処理を移行する。
【0168】
S1015では、制御回路815は、検査スイッチ118をONとし、S1020に処理を移行する。
S1020では、制御回路815は、検査対象の入力側抵抗に繋がる信号入力端子に接続されたマルチプレクサ814のスイッチをONとし、S1025に処理を移行する。
【0169】
S1025では、制御回路815は、5Vチャージ処理の実行回数が予め定められた閾値を超えたか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S1025:Yes)、S1030に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S1025:No)、S1010に処理を移行する。
【0170】
S1030、及びこれに続くS1035では、制御回路815は、上述のごとく、信号ライン819dの電圧値と判定電圧保持回路812aに保持された5Vの電圧値との差分(判定結果保持値)を判定結果保持回路812cに保持させる。そして、S1040に処理を移行する。
【0171】
S1040では、制御回路815は、判定結果保持回路812cに保持された差分(判定結果保持値)が0V或いは0V付近の値であるかを判定する(すなわち、信号ライン819dの電圧値が5V或いは5V付近の値であるかを判定する)。そして、肯定判定が得られた場合には(S1040:Yes)、S1050に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S1040:No)、S1045に処理を移行する。
【0172】
S1045では、制御回路815は、検査対象の入力側抵抗の異常は無いものとみなし、本処理を終了する。
S1050では、制御回路815は、上述のごとく、判定電圧保持回路812aに0Vの電圧値を保持させ、S1055に処理を移行する。
【0173】
S1055では、制御回路815は、0Vチャージ処理を実行し、S1060に処理を移行する。
S1060では、制御回路815は、検査スイッチ118をONとし、S1065に処理を移行する。
【0174】
S1065では、制御回路815は、検査対象の入力側抵抗に繋がる信号入力端子に接続されたマルチプレクサ814のスイッチをONとし、S1070に処理を移行する。
S1070では、制御回路815は、0Vチャージ処理の実行回数が予め定められた閾値を超えたか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S1070:Yes)、S1075に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S1070:No)、S1055に処理を移行する。
【0175】
S1075、及びこれに続くS1080では、制御回路815は、上述のごとく、信号ライン819dの電圧値と判定電圧保持回路812aに保持された0Vの電圧値との差分(判定結果保持値)を判定結果保持回路812cに保持させる。そして、S1085に処理を移行する。
【0176】
S1085では、制御回路815は、判定結果保持回路812cに保持された差分(判定結果保持値)が0V或いは0V付近の値であるかを判定する(すなわち、信号ライン819dの電圧値が0V或いは0V付近の値であるかを判定する)。そして、肯定判定が得られた場合には(S1085:Yes)、S1090に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S1085:No)、S1095に処理を移行する。
【0177】
S1090では、制御回路815は、検査対象の入力側抵抗の断線が生じているとみなし、本処理を終了する。
一方、S1095では、制御回路815は、検査対象の入力側抵抗の異常は無いものとみなし、本処理を終了する。
【0178】
(3)入力側コンデンサ異常検出処理について
第2実施形態のセンサ信号入力回路800においても、第1〜第N信号入力端子811a〜811bに接続されたフィルタ回路840a〜840cを構成する入力側コンデンサの断線を検出する入力側コンデンサ異常検出処理が実行される。本処理は、第1実施形態の入力側コンデンサ異常検出処理と同様であるため、説明を省略する。
【0179】
[効果]
第1,第2実施形態のセンサ信号入力回路によれば、検査コンデンサにセンサ信号の変動範囲(0〜5V)内の電圧値を設定することで端子異常等が検出される。このため、ICにより検知可能な電圧範囲をセンサ信号の変動範囲よりも広げる必要が無くなり、ICに搭載されたADコンバータや電圧変化検知回路の構成が複雑化、大型化してしまうことを防ぐことができる。あるいは、センサ信号の変動範囲をICにより検知可能な電圧範囲よりも狭める必要が無くなり、センサ信号入力回路に接続されるセンサに制限を与えてしまうことが無くなる。
【0180】
したがって、第1,第2実施形態のセンサ信号入力回路によれば、センサに制限を与えることや、ICの構成を複雑化、大型化することなく、ICの信号入力端子のオープンや、IC内部におけるセンサ信号の伝達経路上の断線を検出することができるのである。
【0181】
[他の実施形態]
(1)第1実施形態のIC異常検出処理のS401〜S407や、S408〜S422や、S423〜S434では、5Vチャージ処理,0Vチャージ処理が順次実行されると共に、各処理の後に信号ライン819dの電圧値が検知され、該電圧値に基づき各種異常が検出されるが、5Vチャージ処理と0Vチャージ処理の実行順序を入れ替えても良い。このような場合であっても、同様の効果を得ることができる。第1実施形態における入力側抵抗異常検出処理,入力側コンデンサ異常検出処理や、第2実施形態におけるIC異常検出処理,入力側抵抗異常検出処理,入力側コンデンサ異常検出処理に関しても同様である。
【0182】
(2)また、第1,第2実施形態の入力側抵抗異常検出処理や入力側コンデンサ異常検出処理では、5Vチャージ処理と0Vチャージ処理が実行される。しかしながら、例えば、過去の測定結果等に基づき現在のセンサ信号の電圧値を推定すると共に、推定した現在のセンサ信号の電圧値が5Vに近い場合は0Vチャージ処理を、該電圧値が0Vに近い場合は5Vチャージを選択し、選択した処理を実行した後の信号ラインの電圧値に基づき、異常の有無を判定しても良い。このような場合であっても、入力側抵抗や入力側コンデンサのオープンを検出することができる。
【0183】
(3)第1,第2実施形態では、検査コンデンサがICの外部に設けられているが、検査コンデンサをICに内蔵させた場合であっても、同様の効果を得ることができる。また、検査コンデンサに印加する電圧は0V或いは5Vとなっているが、これに限定されることは無く、センサ信号の変動範囲内で変更することができる。また、入力側コンデンサの容量は0.1μF、検査コンデンサの容量は0.01μFとなっているが、これに限定されることは無く、異なる値が設定されている場合であっても同様の効果を得ることができる。
【0184】
(4)また、第1,第2実施形態では、N個のセンサ信号が入力される多チャンネルの構成となっているが、これに限定されることは無く、一つの信号が入力されるよう構成されていても良い。このような場合であっても、同様の効果を得ることができる。
【0185】
[特許請求の範囲との対応]
上記実施形態の説明で用いた用語と、特許請求の範囲の記載に用いた用語との対応を示す。
【0186】
第1,第2実施形態のセンサ信号入力回路が信号入力回路に、ICが信号入力装置或いは集積回路に、検査用電源が充放電部に、マルチプレクサが選択スイッチに、検査スイッチ及びマルチプレクサが接続部に、センサ信号が入力信号に相当する。
【0187】
また、第1実施形態におけるIC110の制御回路115,ADコンバータ116,電圧変化検知回路112と、第2実施形態におけるIC810の制御回路815,電圧変化検知回路812が、それぞれ判定処理部に相当する。そして、電圧変化検知回路が電圧変化検知手段に相当すると共に、判定電圧保持回路が電圧値保持回路に、判定回路,判定結果保持回路が差分保持回路に相当する。
【0188】
また、第1実施形態のIC異常検出処理のS401〜S407が検査スイッチ異常検出処理に、S408〜S422が充放電部異常検出処理に、S423〜S434が端子異常検出処理に相当する。
【0189】
また、第2実施形態のIC異常検出処理のS901〜S911が検査スイッチ異常検出処理に、S912〜S932が充放電部異常検出処理に、S933〜S948が端子異常検出処理に相当する。
【0190】
また、第1実施形態のIC異常検出処理のS423,S428が充放電手順に、S424,S429が導通手順に相当する。
また、第2実施形態のIC異常検出処理のS933,S940が、充放電手順に、S934,S941が導通手順に相当する。
【0191】
また、入力側コンデンサ異常検出処理がコンデンサ異常検出処理に、入力側コンデンサのオープンがコンデンサ異常に相当する。
また、入力側抵抗異常検出処理が抵抗異常検出処理に、入力側抵抗のオープンが抵抗異常に相当する。
【符号の説明】
【0192】
100…センサ信号入力回路、110…IC、111…信号入力端子、112…電圧変化検知回路、112a…判定電圧保持回路、112b…判定回路、112c…判定結果保持回路、113…サージ保護回路、114…マルチプレクサ、115…制御回路、116…ADコンバータ、117…検査用電源、117a…5Vスイッチ、117b…0Vスイッチ、118…検査スイッチ、119d…信号ライン、119e…検査ライン、120…外部入力端子、130…抵抗、140…フィルタ回路、150…検査コンデンサ、200…センサ、800…センサ信号入力回路、810…IC、811…信号入力端子、812…電圧変化検知回路、812a…判定電圧保持回路、812b…判定回路、812c…判定結果保持回路、813…サージ保護回路、814…マルチプレクサ、815…制御回路、817…検査用電源、817a…5Vスイッチ、817b…0Vスイッチ、818…検査スイッチ、819d…信号ライン、819e…検査ライン、820…外部入力端子、830…抵抗、840…フィルタ回路、850…検査コンデンサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた変動範囲内で電圧値が変動する入力信号が信号入力端子を介して入力される信号入力装置が搭載された信号入力回路であって、
一端が前記信号入力端子に、他端が基準電位に接続される検査コンデンサと、
前記信号入力装置内部に設けられ、前記検査コンデンサと前記信号入力端子とを結ぶ検査経路を導通,遮断する接続部と、
前記信号入力装置内部に設けられ、前記検査コンデンサを充放電することで、該検査コンデンサの両端を前記変動範囲内の電圧に設定する充放電部と、
前記信号入力装置内部に設けられ、前記接続部により前記検査経路を遮断させる検査経路遮断を行った後、前記充放電部により前記検査コンデンサの両端を予め定められた端子検査電圧値に設定する充放電手順と、前記接続部により前記検査経路を導通させる検査経路導通を行う導通手順とを順次行う端子異常検出処理を実行する判定処理部と、
を備え、
前記判定処理部は、前記端子検査電圧値を第1端子検査電圧値とした前記端子異常検出処理を実行すると共に、前記端子検査電圧値を、前記第1端子検査電圧値とは異なる第2端子検査電圧値とした前記端子異常検出処理を実行し、それぞれの前記端子異常検出処理を実行した後の前記検査経路の電圧値に基づき、前記信号入力端子、或いは、該信号入力端子に入力された前記入力信号の伝達経路の異常である端子異常を検出すること、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項2】
請求項1に記載の信号入力回路において、
前記検査コンデンサの容量は、前記信号入力装置内部に生じる寄生容量よりも十分大きいこと、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項3】
請求項1または請求項2のうちのいずれか1項に記載の信号入力回路において、
前記検査コンデンサは、前記信号入力装置の外部に設けられていること、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の信号入力回路において、
前記信号入力装置には、異なる前記入力信号が入力される複数の前記信号入力端子が設けられており、
前記接続部は、それぞれの前記信号入力端子についての前記検査経路を一括して導通,遮断する検査スイッチと、それぞれの前記信号入力端子について、前記検査スイッチとの間の端子経路を導通,遮断する選択スイッチとを有しており、前記検査スイッチと前記選択スイッチとにより、それぞれの前記信号入力端子についての前記検査経路を導通,遮断し、
前記判定処理部は、
前記検査経路遮断では、前記接続部により、全ての前記信号入力端子についての前記検査経路を遮断させ、前記検査経路導通では、前記接続部により、いずれか1つの前記信号入力端子についての前記検査経路を導通させると共に、他の前記信号入力端子についての前記検査経路を遮断させ、
いずれか一つの前記信号入力端子を検査対象として前記端子異常検出処理を実行し、
前記端子異常検出処理の前記導通手順では、検査対象の前記信号入力端子についての前記検査経路を導通させる前記検査経路導通を行い、
前記端子異常検出処理を実行した後に、検査対象の前記信号入力端子についての前記検査経路の電圧値に基づき、該信号入力端子についての前記端子異常を検出すること、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項5】
請求項4に記載の信号入力回路において、
前記信号入力端子と基準電位との間に設けられた入力側コンデンサをさらに備えること、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項6】
請求項5に記載の信号入力回路において、
前記入力側コンデンサの容量は、前記検査コンデンサの容量よりも大きいこと、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の信号入力回路において、
前記判定処理部は、
予め定められた期間において、前記検査経路における前記信号入力端子と前記検査スイッチとの間の検査区間の電圧の変化を検知する電圧変化検知手段を有し、
いずれか一つの前記信号入力端子に接続された前記入力側コンデンサを検査対象とし、該入力側コンデンサについての異常であるコンデンサ異常を検出するためのコンデンサ異常検出処理をさらに実行し、
前記コンデンサ異常検出処理において、前記検査経路遮断を行った後に、前記充放電部により前記検査コンデンサの両端を予め定められたコンデンサ検査電圧値に設定し、その後、検査対象の前記入力側コンデンサに接続された前記信号入力端子についての前記検査経路導通を行い、前記電圧変化検知手段により、該検査経路導通の前の第1時点と、該検査経路導通の後の第2時点との間で、前記検査区間の電圧値がどの程度変化したかを検知し、
前記コンデンサ異常検出処理にて検知された前記検査区間の電圧値の変化に基づき、前記コンデンサ異常を検出すること、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項8】
請求項7に記載の信号入力回路において、
前記判定処理部は、同一の前記入力側コンデンサを検査対象として、前記コンデンサ検査電圧値を第1コンデンサ検査電圧値とする前記コンデンサ異常検出処理と、前記コンデンサ検査電圧値を、前記第1コンデンサ検査電圧値とは異なる第2コンデンサ検査電圧値とする前記コンデンサ異常検出処理とを実行し、それぞれの前記コンデンサ異常検出処理にて検知された前記検査区間の電圧値の変化に基づき、前記コンデンサ異常を検出すること、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の信号入力回路において、
前記電圧変化検知手段は、
前記検査区間の電圧値を保持する電圧値保持回路と、
前記検査区間の電圧値と、前記電圧値保持回路に保持された電圧値との差分を検知し、該差分を保持する差分保持回路と、
を有し、
前記判定処理部は、前記コンデンサ異常検出処理において、前記電圧値保持回路により、前記第1時点の前記検査区間の電圧値を保持させると共に、前記差分保持回路により、前記電圧値保持回路に保持された電圧値と、前記第2時点の前記検査区間の電圧値の差分を保持させることで、前記第1時点と前記第2時点との間で前記検査区間の電圧値がどの程度変化したかを検知すること、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項10】
請求項5から請求項9のうちのいずれか1項に記載の信号入力回路において、
前記信号入力端子に接続され、該信号入力端子に接続された前記入力側コンデンサと共にフィルタ回路をなす入力側抵抗をさらに備え、
前記判定処理部は、
いずれか一つの前記信号入力端子に接続された前記入力側抵抗を検査対象とし、該入力側抵抗についての異常である抵抗異常を検出するための抵抗異常検出処理をさらに実行し、
前記抵抗異常検出処理において、前記検査経路遮断を行った後に、前記充放電部により前記検査コンデンサの両端を予め定められた抵抗検査電圧値に設定し、その後、検査対象の前記入力側抵抗に接続された前記信号入力端子についての前記検査経路導通を行う手順を複数回にわたり行い、
前記抵抗異常検出処理を実行した後の前記検査経路の電圧値に基づき、前記抵抗異常を検出すること、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項11】
請求項10に記載の信号入力回路において、
前記判定処理部は、同一の前記入力側抵抗を検査対象として、前記抵抗検査電圧値を第1抵抗検査電圧値とする前記抵抗異常検出処理と、前記抵抗検査電圧値を、前記第1抵抗検査電圧値とは異なる第2抵抗検査電圧値とする前記抵抗異常検出処理とを実行し、これらの抵抗異常検出処理を実行した後の前記検査経路の電圧値に基づき、前記抵抗異常を検出すること、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項12】
請求項5から請求項11のうちのいずれか1項に記載の信号入力回路において、
前記判定処理部は、前記検査スイッチにより前記検査経路を遮断させた後に、前記充放電部により前記検査コンデンサの両端を予め定められた検査電圧値に設定する検査スイッチ異常検出処理をさらに実行し、該検査スイッチ異常検出処理を実行した後の前記検査経路の電圧値に基づき、前記検査スイッチの異常を検出すること、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項13】
請求項5から請求項12のうちのいずれか1項に記載の信号入力回路において、
前記判定処理部は、前記検査スイッチにより前記検査経路を遮断させると共に、前記選択スイッチにより全ての前記信号入力端子についての前記端子経路を遮断させた後に、前記充放電部により前記検査コンデンサの両端を予め定められた検査電圧値に設定し、その後、前記検査スイッチにより前記検査経路を導通させる充放電部異常検出処理をさらに実行し、該充放電部異常検出処理を実行した後の前記検査経路の電圧値に基づき、前記充放電部と、前記接続部と、前記検査コンデンサとのうちの少なくともいずれか一つについての異常を検出すること、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項14】
予め定められた変動範囲内で電圧値が変動する入力信号が信号入力端子を介して入力される集積回路であって、
一端が基準電位に接続された状態で当該集積回路の外部に設けられた検査コンデンサと前記信号入力端子とを結ぶ検査経路を導通,遮断する接続部と、
前記検査コンデンサを充放電することで、該検査コンデンサの両端を前記変動範囲内の電圧に設定する充放電部と、
前記接続部により前記検査経路を遮断させる検査経路遮断を行った後、前記充放電部により前記検査コンデンサの両端を予め定められた端子検査電圧値に設定する充放電手順と、前記接続部により前記検査経路を導通させる検査経路導通を行う導通手順とを順次行う端子異常検出処理を実行する判定処理部と、
を備え、
前記判定処理部は、前記端子検査電圧値を第1端子検査電圧値とした前記端子異常検出処理を実行すると共に、前記端子検査電圧値を、前記第1端子検査電圧値とは異なる第2端子検査電圧値とした前記端子異常検出処理を実行し、それぞれの前記端子異常検出処理を実行した後の前記検査経路の電圧値に基づき、前記信号入力端子、或いは、該信号入力端子に入力された前記入力信号の伝達経路の異常である端子異常を検出すること、
を特徴とする集積回路。
【請求項15】
予め定められた変動範囲内で電圧値が変動する入力信号が信号入力端子を介して入力される集積回路であって、
一端が前記信号入力端子に、他端が基準電位に接続される検査コンデンサと、
前記検査コンデンサと前記信号入力端子とを結ぶ検査経路を導通,遮断する接続部と、
前記検査コンデンサを充放電することで、該検査コンデンサの両端を前記変動範囲内の電圧に設定する充放電部と、
前記接続部により前記検査経路を遮断させる検査経路遮断を行った後、前記充放電部により前記検査コンデンサの両端を予め定められた端子検査電圧値に設定する充放電手順と、前記接続部により前記検査経路を導通させる検査経路導通を行う導通手順とを順次行う端子異常検出処理を実行する判定処理部と、
を備え、
前記判定処理部は、前記端子検査電圧値を第1端子検査電圧値とした前記端子異常検出処理を実行すると共に、前記端子検査電圧値を、前記第1端子検査電圧値とは異なる第2端子検査電圧値とした前記端子異常検出処理を実行し、それぞれの前記端子異常検出処理を実行した後の前記検査経路の電圧値に基づき、前記信号入力端子、或いは、該信号入力端子に入力された前記入力信号の伝達経路の異常である端子異常を検出すること、
を特徴とする集積回路。
【請求項1】
予め定められた変動範囲内で電圧値が変動する入力信号が信号入力端子を介して入力される信号入力装置が搭載された信号入力回路であって、
一端が前記信号入力端子に、他端が基準電位に接続される検査コンデンサと、
前記信号入力装置内部に設けられ、前記検査コンデンサと前記信号入力端子とを結ぶ検査経路を導通,遮断する接続部と、
前記信号入力装置内部に設けられ、前記検査コンデンサを充放電することで、該検査コンデンサの両端を前記変動範囲内の電圧に設定する充放電部と、
前記信号入力装置内部に設けられ、前記接続部により前記検査経路を遮断させる検査経路遮断を行った後、前記充放電部により前記検査コンデンサの両端を予め定められた端子検査電圧値に設定する充放電手順と、前記接続部により前記検査経路を導通させる検査経路導通を行う導通手順とを順次行う端子異常検出処理を実行する判定処理部と、
を備え、
前記判定処理部は、前記端子検査電圧値を第1端子検査電圧値とした前記端子異常検出処理を実行すると共に、前記端子検査電圧値を、前記第1端子検査電圧値とは異なる第2端子検査電圧値とした前記端子異常検出処理を実行し、それぞれの前記端子異常検出処理を実行した後の前記検査経路の電圧値に基づき、前記信号入力端子、或いは、該信号入力端子に入力された前記入力信号の伝達経路の異常である端子異常を検出すること、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項2】
請求項1に記載の信号入力回路において、
前記検査コンデンサの容量は、前記信号入力装置内部に生じる寄生容量よりも十分大きいこと、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項3】
請求項1または請求項2のうちのいずれか1項に記載の信号入力回路において、
前記検査コンデンサは、前記信号入力装置の外部に設けられていること、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の信号入力回路において、
前記信号入力装置には、異なる前記入力信号が入力される複数の前記信号入力端子が設けられており、
前記接続部は、それぞれの前記信号入力端子についての前記検査経路を一括して導通,遮断する検査スイッチと、それぞれの前記信号入力端子について、前記検査スイッチとの間の端子経路を導通,遮断する選択スイッチとを有しており、前記検査スイッチと前記選択スイッチとにより、それぞれの前記信号入力端子についての前記検査経路を導通,遮断し、
前記判定処理部は、
前記検査経路遮断では、前記接続部により、全ての前記信号入力端子についての前記検査経路を遮断させ、前記検査経路導通では、前記接続部により、いずれか1つの前記信号入力端子についての前記検査経路を導通させると共に、他の前記信号入力端子についての前記検査経路を遮断させ、
いずれか一つの前記信号入力端子を検査対象として前記端子異常検出処理を実行し、
前記端子異常検出処理の前記導通手順では、検査対象の前記信号入力端子についての前記検査経路を導通させる前記検査経路導通を行い、
前記端子異常検出処理を実行した後に、検査対象の前記信号入力端子についての前記検査経路の電圧値に基づき、該信号入力端子についての前記端子異常を検出すること、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項5】
請求項4に記載の信号入力回路において、
前記信号入力端子と基準電位との間に設けられた入力側コンデンサをさらに備えること、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項6】
請求項5に記載の信号入力回路において、
前記入力側コンデンサの容量は、前記検査コンデンサの容量よりも大きいこと、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の信号入力回路において、
前記判定処理部は、
予め定められた期間において、前記検査経路における前記信号入力端子と前記検査スイッチとの間の検査区間の電圧の変化を検知する電圧変化検知手段を有し、
いずれか一つの前記信号入力端子に接続された前記入力側コンデンサを検査対象とし、該入力側コンデンサについての異常であるコンデンサ異常を検出するためのコンデンサ異常検出処理をさらに実行し、
前記コンデンサ異常検出処理において、前記検査経路遮断を行った後に、前記充放電部により前記検査コンデンサの両端を予め定められたコンデンサ検査電圧値に設定し、その後、検査対象の前記入力側コンデンサに接続された前記信号入力端子についての前記検査経路導通を行い、前記電圧変化検知手段により、該検査経路導通の前の第1時点と、該検査経路導通の後の第2時点との間で、前記検査区間の電圧値がどの程度変化したかを検知し、
前記コンデンサ異常検出処理にて検知された前記検査区間の電圧値の変化に基づき、前記コンデンサ異常を検出すること、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項8】
請求項7に記載の信号入力回路において、
前記判定処理部は、同一の前記入力側コンデンサを検査対象として、前記コンデンサ検査電圧値を第1コンデンサ検査電圧値とする前記コンデンサ異常検出処理と、前記コンデンサ検査電圧値を、前記第1コンデンサ検査電圧値とは異なる第2コンデンサ検査電圧値とする前記コンデンサ異常検出処理とを実行し、それぞれの前記コンデンサ異常検出処理にて検知された前記検査区間の電圧値の変化に基づき、前記コンデンサ異常を検出すること、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の信号入力回路において、
前記電圧変化検知手段は、
前記検査区間の電圧値を保持する電圧値保持回路と、
前記検査区間の電圧値と、前記電圧値保持回路に保持された電圧値との差分を検知し、該差分を保持する差分保持回路と、
を有し、
前記判定処理部は、前記コンデンサ異常検出処理において、前記電圧値保持回路により、前記第1時点の前記検査区間の電圧値を保持させると共に、前記差分保持回路により、前記電圧値保持回路に保持された電圧値と、前記第2時点の前記検査区間の電圧値の差分を保持させることで、前記第1時点と前記第2時点との間で前記検査区間の電圧値がどの程度変化したかを検知すること、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項10】
請求項5から請求項9のうちのいずれか1項に記載の信号入力回路において、
前記信号入力端子に接続され、該信号入力端子に接続された前記入力側コンデンサと共にフィルタ回路をなす入力側抵抗をさらに備え、
前記判定処理部は、
いずれか一つの前記信号入力端子に接続された前記入力側抵抗を検査対象とし、該入力側抵抗についての異常である抵抗異常を検出するための抵抗異常検出処理をさらに実行し、
前記抵抗異常検出処理において、前記検査経路遮断を行った後に、前記充放電部により前記検査コンデンサの両端を予め定められた抵抗検査電圧値に設定し、その後、検査対象の前記入力側抵抗に接続された前記信号入力端子についての前記検査経路導通を行う手順を複数回にわたり行い、
前記抵抗異常検出処理を実行した後の前記検査経路の電圧値に基づき、前記抵抗異常を検出すること、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項11】
請求項10に記載の信号入力回路において、
前記判定処理部は、同一の前記入力側抵抗を検査対象として、前記抵抗検査電圧値を第1抵抗検査電圧値とする前記抵抗異常検出処理と、前記抵抗検査電圧値を、前記第1抵抗検査電圧値とは異なる第2抵抗検査電圧値とする前記抵抗異常検出処理とを実行し、これらの抵抗異常検出処理を実行した後の前記検査経路の電圧値に基づき、前記抵抗異常を検出すること、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項12】
請求項5から請求項11のうちのいずれか1項に記載の信号入力回路において、
前記判定処理部は、前記検査スイッチにより前記検査経路を遮断させた後に、前記充放電部により前記検査コンデンサの両端を予め定められた検査電圧値に設定する検査スイッチ異常検出処理をさらに実行し、該検査スイッチ異常検出処理を実行した後の前記検査経路の電圧値に基づき、前記検査スイッチの異常を検出すること、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項13】
請求項5から請求項12のうちのいずれか1項に記載の信号入力回路において、
前記判定処理部は、前記検査スイッチにより前記検査経路を遮断させると共に、前記選択スイッチにより全ての前記信号入力端子についての前記端子経路を遮断させた後に、前記充放電部により前記検査コンデンサの両端を予め定められた検査電圧値に設定し、その後、前記検査スイッチにより前記検査経路を導通させる充放電部異常検出処理をさらに実行し、該充放電部異常検出処理を実行した後の前記検査経路の電圧値に基づき、前記充放電部と、前記接続部と、前記検査コンデンサとのうちの少なくともいずれか一つについての異常を検出すること、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項14】
予め定められた変動範囲内で電圧値が変動する入力信号が信号入力端子を介して入力される集積回路であって、
一端が基準電位に接続された状態で当該集積回路の外部に設けられた検査コンデンサと前記信号入力端子とを結ぶ検査経路を導通,遮断する接続部と、
前記検査コンデンサを充放電することで、該検査コンデンサの両端を前記変動範囲内の電圧に設定する充放電部と、
前記接続部により前記検査経路を遮断させる検査経路遮断を行った後、前記充放電部により前記検査コンデンサの両端を予め定められた端子検査電圧値に設定する充放電手順と、前記接続部により前記検査経路を導通させる検査経路導通を行う導通手順とを順次行う端子異常検出処理を実行する判定処理部と、
を備え、
前記判定処理部は、前記端子検査電圧値を第1端子検査電圧値とした前記端子異常検出処理を実行すると共に、前記端子検査電圧値を、前記第1端子検査電圧値とは異なる第2端子検査電圧値とした前記端子異常検出処理を実行し、それぞれの前記端子異常検出処理を実行した後の前記検査経路の電圧値に基づき、前記信号入力端子、或いは、該信号入力端子に入力された前記入力信号の伝達経路の異常である端子異常を検出すること、
を特徴とする集積回路。
【請求項15】
予め定められた変動範囲内で電圧値が変動する入力信号が信号入力端子を介して入力される集積回路であって、
一端が前記信号入力端子に、他端が基準電位に接続される検査コンデンサと、
前記検査コンデンサと前記信号入力端子とを結ぶ検査経路を導通,遮断する接続部と、
前記検査コンデンサを充放電することで、該検査コンデンサの両端を前記変動範囲内の電圧に設定する充放電部と、
前記接続部により前記検査経路を遮断させる検査経路遮断を行った後、前記充放電部により前記検査コンデンサの両端を予め定められた端子検査電圧値に設定する充放電手順と、前記接続部により前記検査経路を導通させる検査経路導通を行う導通手順とを順次行う端子異常検出処理を実行する判定処理部と、
を備え、
前記判定処理部は、前記端子検査電圧値を第1端子検査電圧値とした前記端子異常検出処理を実行すると共に、前記端子検査電圧値を、前記第1端子検査電圧値とは異なる第2端子検査電圧値とした前記端子異常検出処理を実行し、それぞれの前記端子異常検出処理を実行した後の前記検査経路の電圧値に基づき、前記信号入力端子、或いは、該信号入力端子に入力された前記入力信号の伝達経路の異常である端子異常を検出すること、
を特徴とする集積回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−145410(P2012−145410A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3173(P2011−3173)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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