説明

信号処理装置および方法、プログラム、並びに記録媒体

【課題】 盲人にとって暮らしやすい環境を提供できるようにする。
【解決手段】 点字ブロック1021−1乃至1021−3、点字ブロック1022−1乃至1022−3、または点字ブロック1023、およびそれらの点字ブロックに隣接する路面の下に埋設された信号電極1101−11乃至1101−16などの信号電極は信号処理装置1150に接続されており、それぞれ点字ブロックの種類を特定可能であって、点字ブロックの中央からの距離を表す値の信号を出力する。盲人であるユーザ1001の靴1003に取り付けられた小型信号処理装置の信号電極が、点字ブロックまたは点字ブロックに隣接する路面の下に埋設された信号電極1101からの信号を受信し、ユーザ1001の立っている場所を特定して靴1003の内部に突起を生成することでユーザ1001に対して進むべき方向などを提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号処理装置および方法、プログラム、並びに記録媒体に関し、特に、盲人にとって暮らしやすい環境を提供できるようにする信号処理装置および方法、プログラム、並びに記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、障害者など社会的弱者に対する福祉活動が盛んになっており、例えば、盲人の道案内のために、道路や歩道などの路面に表面に所定の形状の突起を有する点字ブロックが配置されている。
【0003】
また近年、無線通信の技術も進歩しており、例えば、2.4GHz帯域を用いる無線伝送方式(いわゆるBluetooth)によりパソコン、周辺機器、家電、携帯電話機など、デバイスを問わないデータ交換の実現が期待されているほか、人体など通常の通信媒体とはことなる導体を用いて送信機と受信機による通信を行う技術も提案されている(例えば、特許文献1または特許文献2参照。)。
【0004】
例えば、このような新しい無線通信技術を利用して盲人や聾者など、外界とのコミュニケーションにハンディキャップをもつ人々にもより多くの情報が提供され、社会的弱者にとっても暮らしやすい環境が提供されることが期待されている。
【0005】
【特許文献1】特表平11−509380号公報
【特許文献2】特開10−229357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、路面に点字ブロックを配置しても、点字ブロック上にものが置かれたり、人が立ち止まったりする場合があり、必ずしも盲人にとって歩行しやすい環境にあるとは言えない例が多々あった。また、例えば歩行中の盲人が障害物を避けるなどして、一度、歩道上の点字ロックが配置された部分から遠ざかると、再び点字ブロックがある部分に戻ることが困難であった。
【0007】
一方、特許文献1の技術では、送信器、人体、受信器、アースグラウンドと結合された閉回路が構成され、信号が伝達されるというものであるため、送信器および受信器の人体から遠い方の電極とアースグラウンドとの結合はきわめて希薄で、実質的には閉回路を構成しにくい。また、特許文献2の技術では、送信器、人体、受信器、大気と結合された閉回路が構成され、信号を伝達するというものであるため、大気を介して結合するには、送信器と受信器がかなり近くに配置されなければならない。
【0008】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、盲人にとって暮らしやすい環境を提供できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の側面は、盲人用の点字ブロックおよび前記点字ブロックの敷設位置から所定の距離の範囲の路面の下にそれぞれ埋設される複数の導体板から送信される信号を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された信号に基づいて、前記導体板が埋設されている路面上の点字ブロックまたは前記導体板が埋設されている路面から所定の距離の範囲の点字ブロックの種類を特定する特定手段と、前記受信手段により受信された信号に基づいて、ユーザが現在立っている場所の前記点字ブロックからの距離および前記点字ブロックに対する前記ユーザの向きに関する情報を取得する取得手段と、前記特定手段により特定された前記点字ブロックの種類および前記取得手段により取得された前記点字ブロックからの距離および前記点字ブロックに対する前記ユーザの向きに関する情報に基づいて、前記ユーザの触覚を刺激する所定の形状と高さの突起を生成する突起生成手段とを備える信号処理装置である。
【0010】
ユーザが着用する靴の一部に取り付けられ、前記突起生成手段は、前記靴の内側であって、前記ユーザの足の裏に接触する部分に前記突起を生成するようにすることができる。
【0011】
ユーザが使用する杖の一部に取り付けられ、前記突起生成手段は、前記杖の柄の部分であって、前記ユーザの手のひらに接触する部分に前記突起を生成するようにすることができる。
【0012】
出力値を判定するための基準点を得るための基準電極と、前記基準電極よりも通信媒体に対して静電結合が強くなるように設けられた複数の信号電極とをさらに備え、前記受信手段は、前記信号電極と前記基準電極との間の電位差に基づく信号を受信し、前記特定手段は、前記信号が表す値に基づいて、前記導体板が埋設されている路面上の点字ブロックまたは前記導体板が埋設されている路面から所定の距離の範囲の点字ブロックの種類を特定するようにすることができる。
【0013】
前記導体板のそれぞれは、複数の領域に分割されて構成され、前記複数の信号電極は、所定の距離だけ互いに離れた位置に取り付けられ、前記導体板の個々の領域がそれぞれ送信する信号であって、それぞれ所定の大きさの値に対応する信号を、前記信号電極の位置に応じて受信するようにすることができる。
【0014】
前記取得手段は、複数の信号電極のそれぞれにおいて受信された信号の値の大きさを比較することにより、ユーザが現在立っている場所の前記点字ブロックからの距離および前記点字ブロックに対する前記ユーザの向きに関する情報を取得するようにすることができる。
【0015】
前記突起生成手段は、前記点字ブロックの種類に応じて前記突起の形状を選択し、ユーザが現在立っている場所の前記点字ブロックからの距離および前記点字ブロックに対する前記ユーザの向きに応じて前記突起の高さを選択して前記突起を生成するようにすることができる。
【0016】
少なくとも2つの異なる信号電極を有し、第1の信号電極は、ユーザが着用する靴の前部に設けられ、第2の信号電極は、前記靴の後部に設けられるようにすることができる。
【0017】
前記複数の信号電極は、ユーザが使用する杖の先端部に設けられるようにすることができる。
【0018】
少なくとも2つの異なる信号電極を有し、第1の信号電極は、ユーザが着用する靴に設けられ、第2の信号電極は、前記ユーザが使用する杖に設けられるようにすることができる。
【0019】
本発明の第1の側面は、盲人用の点字ブロックおよび前記点字ブロックの敷設位置から所定の距離の範囲の路面の下にそれぞれ埋設される複数の導体板から送信される信号を受信し、受信された信号に基づいて、前記導体板が埋設されている路面上の点字ブロックまたは前記導体板が埋設されている路面から所定の距離の範囲の点字ブロックの種類を特定し、受信された信号に基づいて、ユーザが現在立っている場所の前記点字ブロックからの距離および前記点字ブロックに対する前記ユーザの向きに関する情報を取得し、特定された前記点字ブロックの種類および取得された前記点字ブロックからの距離および前記点字ブロックに対する前記ユーザの向きに関する情報に基づいて、前記ユーザの触覚を刺激する所定の形状と高さの突起を生成するステップを含む信号処理方法である。
【0020】
本発明の第1の側面は、盲人用の点字ブロックおよび前記点字ブロックの敷設位置から所定の距離の範囲の路面の下にそれぞれ埋設される複数の導体板から送信される信号の受信を制御し、受信された信号に基づいて、前記導体板が埋設されている路面上の点字ブロックまたは前記導体板が埋設されている路面から所定の距離の範囲の点字ブロックの種類の特定を制御し、受信された信号に基づいて、ユーザが現在立っている場所の前記点字ブロックからの距離および前記点字ブロックに対する前記ユーザの向きに関する情報の取得を制御し、特定された前記点字ブロックの種類および取得された前記点字ブロックからの距離および前記点字ブロックに対する前記ユーザの向きに関する情報に基づいて、前記ユーザの触覚を刺激する所定の形状と高さの突起の生成を制御するステップを含むコンピュータが読み取り可能なプログラムである。
【0021】
本発明の第1の側面においては、盲人用の点字ブロックおよび前記点字ブロックの敷設位置から所定の距離の範囲の路面の下にそれぞれ埋設される複数の導体板から送信される信号が受信され、受信された信号に基づいて、前記導体板が埋設されている路面上の点字ブロックまたは前記導体板が埋設されている路面から所定の距離の範囲の点字ブロックの種類が特定され、受信された信号に基づいて、ユーザが現在立っている場所の前記点字ブロックからの距離および前記点字ブロックに対する前記ユーザの向きに関する情報が取得され、特定された前記点字ブロックの種類および取得された前記点字ブロックからの距離および前記点字ブロックに対する前記ユーザの向きに関する情報に基づいて、前記ユーザの触覚を刺激する所定の形状と高さの突起が生成される。
【0022】
本発明の第2の側面は、出力値を判定するための基準点を得るための基準電極と、前記基準電極よりも通信媒体に対して静電結合が強くなるように設けられた複数の信号電極と、前記基準電極と前記信号電極との間の電位差に基づく信号の送受信を制御する制御手段とを備える信号処理装置であって、複数の前記信号電極がそれぞれ盲人用の点字ブロックおよび前記点字ブロックの敷設位置から所定の距離の範囲の路面の下に埋設され、前記制御手段が複数の前記信号電極からそれぞれ異なる値の信号を送信する信号処理装置である。
【0023】
本発明の第2の側面においては、複数の前記信号電極がそれぞれ盲人用の点字ブロックおよび前記点字ブロックの敷設位置から所定の距離の範囲の路面の下に埋設され、前記制御手段が複数の前記信号電極からそれぞれ異なる値の信号が送信される。
【発明の効果】
【0024】
本発明の第1の側面によれば、歩行中の盲人に、点字ブロックと同様に、触覚を刺激して誘導することが可能となる。従って、盲人にとって暮らしやすい環境を提供できる。
【0025】
本発明の第2の側面によれば、路面の広い範囲から、盲人に路面の状況を知らせるための情報を発信することが可能となる。従って、盲人にとって暮らしやすい環境を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、発明の詳細な説明に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、発明の詳細な説明に記載されていることを確認するためのものである。従って、発明の詳細な説明中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0027】
本発明の第1の側面の信号処理装置は、盲人用の点字ブロックおよび前記点字ブロックの敷設位置から所定の距離の範囲の路面の下にそれぞれ埋設される複数の導体板(例えば、図9の信号電極1101)から送信される信号を受信する受信手段(例えば、図24のステップS101の処理を実行する図13の制御部1255)と、前記受信手段により受信された信号に基づいて、前記導体板が埋設されている路面上の点字ブロックまたは前記導体板が埋設されている路面上に隣接する点字ブロックの種類を特定する特定手段(例えば、図24のステップS104の処理を実行する図13の制御部1255)と、前記受信手段により受信された信号に基づいて、ユーザが現在立っている場所の前記点字ブロックからの距離および前記点字ブロックに対する前記ユーザの向きに関する情報を取得する取得手段(例えば、図24のステップS105の処理を実行する図13の制御部1255)と、前記特定手段により特定された前記点字ブロックの種類および前記取得手段により取得された前記点字ブロックからの距離および前記点字ブロックに対する前記ユーザの向きに関する情報に基づいて、前記ユーザの触覚を刺激する所定の形状と高さの突起を生成する突起生成手段(例えば、図13の突起生成部1261)とを備える。
【0028】
この信号処理装置は、ユーザが着用する靴(例えば、図9の靴1003)の一部に取り付けられ、前記突起生成手段は、前記靴の内側であって、前記ユーザの足の裏に接触する部分に前記突起を生成する(例えば、図20に示されるように突起を生成する)ようにすることができる。
【0029】
この信号処理装置は、ユーザが使用する杖(例えば、図9の杖1002)の一部に取り付けられ、前記突起生成手段は、前記杖の柄の部分であって、前記ユーザの手のひらに接触する部分に前記突起を生成する(例えば、図26に示されるように突起を生成する)ようにすることができる。
【0030】
この信号処理装置は、出力値を判定するための基準点を得るための基準電極(例えば、図13の基準電極1202)と、前記基準電極よりも通信媒体に対して静電結合が強くなるように設けられた複数の信号電極(例えば、図13の信号電極1201)とをさらに備え、前記受信手段は、前記信号電極と前記基準電極との間の電位差に基づく信号を受信し、前記特定手段は、前記信号が表す値に基づいて、前記導体板が埋設されている路面上の点字ブロックまたは前記導体板が埋設されている路面上に隣接する点字ブロックの種類を特定するようにすることができる。
【0031】
この信号処理装置は、前記導体板のそれぞれが、複数の領域(例えば、小電極)に分割されて構成され、前記複数の信号電極(例えば、図10の信号電極1201aまたは1201b)は、所定の距離だけ互いに離れた位置に取り付けられ、前記導体板の個々の領域がそれぞれ送信する信号であって、それぞれ所定の大きさの値に対応する信号を、前記信号電極の位置に応じて受信するようにすることができる。
【0032】
この信号処理装置は、少なくとも2つの異なる信号電極を有し、第1の信号電極(例えば、図11の信号電極1201a)は、ユーザが着用する靴の前部に設けられ、第2の信号電極(例えば、図11の信号電極1201b)は、前記靴の後部に設けられるようにすることができる。
【0033】
この信号処理装置は、前記複数の信号電極は、ユーザが使用する杖(例えば、図25の杖1002)の先端部に設けられるようにすることができる。
【0034】
この信号処理装置は、少なくとも2つの異なる信号電極を有し、第1の信号電極(例えば、図27の信号電極1201)は、ユーザが着用する靴に設けられ、第2の信号電極(例えば、図27の信号電極1301)は、前記ユーザが使用する杖に設けられるようにすることができる。
【0035】
本発明の第1の側面の信号処理方法は、盲人用の点字ブロックおよび前記点字ブロックの敷設位置から所定の距離の範囲の路面の下にそれぞれ埋設される複数の導体板(例えば、図9の信号電極1101)から送信される信号を受信し(例えば、図24のステップS101の処理)、受信された信号に基づいて、前記導体板が埋設されている路面上の点字ブロックまたは前記導体板が埋設されている路面上に隣接する点字ブロックの種類を特定(例えば、図24のステップS104の処理)し、受信された信号に基づいて、ユーザが現在立っている場所の前記点字ブロックからの距離および前記点字ブロックに対する前記ユーザの向きに関する情報を取得(例えば、図24のステップS105の処理)し、特定された前記点字ブロックの種類および取得された前記点字ブロックからの距離および前記点字ブロックに対する前記ユーザの向きに関する情報に基づいて、前記ユーザの触覚を刺激する所定の形状と高さの突起を生成する(例えば、図24のステップS106の処理)ステップを含む。
【0036】
本発明の第2の側面の信号処理装置は、出力値を判定するための基準点を得るための基準電極(例えば、図12の基準電極1102)と、前記基準電極よりも通信媒体に対して静電結合が強くなるように設けられた複数の信号電極(例えば、図12の信号電極1101)と、前記基準電極と前記信号電極との間の電位差に基づく信号の送受信を制御する制御手段(例えば、図12の制御部1155)とを備える信号処理装置(例えば、図9の信号処理装置1150)であって、複数の前記信号電極がそれぞれ盲人用の点字ブロックおよび前記点字ブロックの敷設位置から所定の距離の範囲の路面の下に埋設され、前記制御手段が複数の前記信号電極からそれぞれ異なる値の信号を送信する。
【0037】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。最初に本発明において利用する無線通信について図1乃至図8を参照して詳細に説明する。
【0038】
図1は、本発明を適用した通信システムの一実施形態に係る構成例を示す図である。
【0039】
図1において、通信システム100は、送信装置110、受信装置120、および通信媒体130により構成され、送信装置110と受信装置120が通信媒体130を介して信号を送受信するシステムである。つまり、通信システム100において、送信装置110より送信された信号は、通信媒体130を介して伝送され、受信装置120により受信される。
【0040】
送信装置110は、送信信号電極111、送信基準電極112、および送信部113を有している。送信信号電極111は、通信媒体130を介して伝送させる信号を送信するための電極であり、信号の高低差を判定するための基準点を得るための電極である送信基準電極112よりも通信媒体130に対して静電結合が強くなるように設けられる。送信部113は、送信信号電極111と送信基準電極112との間に設けられ、これらの電極間に受信装置120へ伝達したい電気信号(電位差)を与える。
【0041】
受信装置120は、受信信号電極121、受信基準電極122、および受信部123を有している。受信信号電極121は、通信媒体130を介して伝送される信号を受信するための電極であり、信号の高低差を判定するための基準点を得るための電極である受信基準電極122よりも通信媒体130に対して静電結合が強くなるように設けられる。受信部123は、受信信号電極121と受信基準電極122との間に設けられ、これらの電極間に生じた電気信号(電位差)を所望の電気信号に変換し、送信装置110の送信部113で生成された電気信号を復元する。
【0042】
通信媒体130は、電気信号を伝達可能な物理的特性を有する物質、例えば、導電体や誘電体等により構成される。例えば、通信媒体130は、金属に代表される導電体(例えば、銅、鉄、またはアルミ等)により構成される。また例えば、通信媒体130は、純水、ゴム、ガラス、若しくは食塩水等の電解液、または、これらの複合体である生体等の誘電体により構成される。この通信媒体130はどのような形状であってもよく、例えば、線状、板状、球状、角柱、または円柱等、任意の形状であってもよい。
【0043】
このような通信システム100において、最初に、各電極と、通信媒体または装置周辺空間との関係について説明する。なお、以下において、説明の便宜上、通信媒体130が完全導体であるものとする。また、送信信号電極111と通信媒体130との間、および、受信信号電極121と通信媒体130との間には空間が存在し、電気的な結合はないものとする。すなわち、送信信号電極111または受信信号電極121と、通信媒体130との間には、それぞれ、静電容量が形成される。
【0044】
また、送信基準電極112は送信装置110周辺の空間に向くように設けられており、受信基準電極122は受信装置120周辺の空間に向くように設けられている。一般的に、導体が空間に存在する場合、その導体の表面近傍の空間に静電容量が形成される。例えば、導体の形状を半径r[m]の球としたとき、その静電容量Cは、以下の式(1)のように求められる。
【0045】
【数1】

【0046】
式(1)において、πは円周率を示す。また、εは、導体を取り囲む媒質の誘電率を示し、以下の式(2)のように求められる。
【0047】
【数2】

【0048】
ただし、式(2)において、ε0は、真空中の誘電率を示し、8.854×10−12[F/m]である。また、εrは比誘電率を示し、真空の誘電率ε0に対する比率を示す。
【0049】
上述した式(1)に示されるように半径rが大きい程、静電容量Cは大きくなる。なお、球以外の複雑な形状の導体の静電容量Cの大きさは、上述した式(1)のように、簡単に表現することはできないが、その導体の表面積の大きさに応じて変化することは明らかである。
【0050】
以上のように、送信基準電極112は、送信装置110周辺の空間に対して静電容量を形成し、受信基準電極122は、受信装置120周辺の空間に対して静電容量を形成する。すなわち、送信装置110および受信装置120の外部の仮想無限遠点からみたとき、送信基準電極112や受信基準電極122の電位は固定的であり、変動しにくいことを示している。
【0051】
次に、通信システム100における通信の仕組みの原理について説明する。なお、以下において、説明の便宜上、または前後関係等から、コンデンサを単に静電容量と表現する場合もあるが、これらは同意である。
【0052】
また、以下において、図1の送信装置110と受信装置120は、装置間が十分な距離を保つように配置されており、相互の影響を無視できるものとする。また、送信装置110において、送信信号電極111は通信媒体130とのみ静電結合し、送信基準電極112は送信信号電極111に対して十分な距離が置かれ、相互の影響は無視できる(静電結合しない)ものとする。同様に、受信装置120において、受信信号電極121は通信媒体130とのみ静電結合し、受信基準電極122は受信信号電極121に対して十分な距離が置かれ、相互の影響は無視できる(静電結合しない)ものとする。さらに、実際には、送信信号電極111、受信信号電極121、および通信媒体130も、空間内に配置されている以上、それぞれ空間に対する静電容量を有することになるが、ここでは、説明の便宜上、それらを無視できるものとする。
【0053】
図2は、図1の通信システム100を等価回路で表した図である。通信システム200は、通信システム100を等価回路で表したものであり、実質的に通信システム100と等価である。
【0054】
すなわち、通信システム200は、送信装置210、受信装置220、および接続線2230を有しているが、この送信装置210は図1に示される通信システム100の送信装置110に対応し、受信装置220は図1に示される通信システム100の受信装置120に対応し、接続線230は図1に示される通信システム100の通信媒体130に対応する。
【0055】
図2の送信装置210において、信号源213−1および接地点213−2は、図1の送信部113に対応する。信号源213−1は、送信用の信号として、特定周期ω×t[rad]の正弦波を生成する。ここで、t[s]は時間を示す。また、ω[rad/s]は角周波数を示し、以下の式(3)のように表すことができる。
【0056】
【数3】

【0057】
式(3)において、πは円周率、f[Hz]は信号源213−1が生成する信号の周波数を示す。接地点213−2は、送信装置210内における回路のグランドに接続される点である。つまり信号源213の端子の一方は、送信装置210内における回路の、所定の基準電位に設定される。
【0058】
Cte214は、コンデンサであり、図1の送信信号電極111と通信媒体130との間の静電容量を表すものである。つまり、Cte214は、信号源213−1の接地点213−2と反対側の端子と、接続線230との間に設けられている。また、Ctg215は、コンデンサであり、図1の送信基準電極112の空間に対する静電容量を表すものである。Ctg215は、信号源213−1の設置点213−2側の端子と、空間上の、送信装置110を基準とした無限遠点(仮想点)を示す接地点216との間に設けられている。
【0059】
図2の受信装置220において、Rr223−1、検出器223−2、および接地点223−3は、図1の受信部123に対応する。Rr223−1は、受信信号を取り出すための負荷抵抗(受信負荷)であり、増幅器により構成される検出器223−2は、このRr223−1の両側の端子間の電位差を検出して増幅する。接地点223−3は、受信装置220内における回路のグランドに接続される点である。つまりRr223−1の端子の一方(検出器223−2の入力端子の一方)は、受信装置220内における回路の、所定の基準電位に設定される。
【0060】
なお、検出器223−2が、さらに、例えば、検出した変調信号を復調したり、検出された信号に含まれる符号化された情報を復号したりする等、その他の機能を備えるようにしてもよい。
【0061】
Cre224は、コンデンサであり、図1の受信信号電極121と通信媒体130との間の静電容量を表すものである。つまり、Cre224は、Rr223−1の接地点223−3と反対側の端子と、接続線230との間に設けられている。また、Crg225は、コンデンサであり、図1の受信基準電極122の空間に対する静電容量を表すものである。Crg225は、Rr223−1の設置点223−3側の端子と、空間上の、受信装置120を基準とした無限遠点(仮想点)を示す接地点226との間に設けられている。
【0062】
接続線230は、完全導体である通信媒体130を表している。なお、図2の通信システム200において、Ctg215とCrg225は、等価回路上、接地点216と接地点226を介して、互いに電気的に接続されているように表現されているが、実際には、これらは互いに電気的に接続されている必要はなく、それぞれが、送信装置210または受信装置220周辺の空間に対して静電容量を形成していればよい。つまり、接地点216と接地点226が電気的に接続されている必要はなく、互いに独立であってもよい。
【0063】
なお、導体があれば、周囲の空間に対して、必ずその表面積の大きさに比例した静電容量が形成される。つまり、例えば、送信装置210と受信装置220は、互いにどんなに離れていてもよい。例えば、図1の通信媒体130が完全導体である場合、接続線230の導電率は無限大とみなせるので、接続線230の長さは通信に影響しない。なお、通信媒体130が導電率の十分な導体であれば、実用上、送信装置と受信装置間との距離は通信の安定性に影響しない。
【0064】
通信システム200において、信号源213−1、Rr223−1、Cte214、Ctg215、Creコンデンサ224、およびCrg225から成る回路が形成されている。直列接続された4つのコンデンサ(Cte214、Ctg215、Creコンデンサ224、およびCrg225)の合成容量Cxは以下の式(4)で表すことができる。
【0065】
【数4】

【0066】
また、信号源213−1が生成する正弦波vt(t)を、以下の式(5)のように表す。
【0067】
【数5】

【0068】
ここで、Vm[V]は信号源電圧の最大振幅電圧を表しており、θ[rad]は初期位相角を表している。つまり、信号源213−1による電圧の実効値Vtrms[V]は以下の式(6)のように求めることができる。
【0069】
【数6】

【0070】
回路全体での合成インピーダンスZは、次の式(7)のように求めることができる。
【0071】
【数7】

【0072】
つまり、Rr223−1の両端に生じる電圧の実効値Vrrmsは式(8)のように求めることができる。
【0073】
【数8】

【0074】
従って、式(8)に示されるように、Rr223−1の抵抗値が大きい程、また、静電容量Cxが大きく、信号源213−1の周波数f[Hz]が高い程、1/((2×π×f×Cx)2)の項が小さくなり、Rr223−1の両端に、より大きな信号を生じさせることができる。
【0075】
例えば、送信装置210の信号源213−1による電圧の実効値Vtrmsを2[V]に固定し、信号源213−1が生成する信号の周波数fを1[MHz]、10[MHz]、または100[MHz]とし、Rr223−1の抵抗値を10K[Ω]、100K[Ω]、または1M[Ω]とし、回路全体の静電容量Cxを0.1[pF]、1[pF]、または10[pF]としたときの、Rr223−1の両端に生じる電圧の実効値Vrrmsの計算結果は図3に示される表250のようになる。
【0076】
表250に示されるように、実効値Vrrmsの計算結果は、その他の条件が同じ場合、周波数fが1[MHz]のときよりも10[MHz]のときの方が大きくなり、受信負荷であるRr223−1の抵抗値が10K[Ω]のときよりも1M[Ω]の時のほうが大きくなり、静電容量Cxが0.1[pF]のときよりも10[pF]の時のほうが大きな値をとる。すなわち、周波数fの値、Rr223−1の抵抗値、および静電容量Cxが大きいほど、大きな実効値Vrrms得られる。
【0077】
また、表250より、ピコファラド以下の静電容量でも、Rr223−1には電気信号が発生することが分かる。すなわち、伝送される信号の信号レベルが微小な場合、受信装置220の検出器223−2によって検出した信号を増幅する等すれば、通信が可能となる。
【0078】
以上の結果から、基本原理として、空間と成す静電容量を利用することによって、送信装置から受信装置への信号の受け渡しが可能である。
【0079】
以上において説明した送信基準電極や受信基準電極の空間に対する静電容量は、各電極の位置に空間が存在すれば形成可能である。従って、上述した送信装置および受信装置は、通信媒体によって送信信号電極と受信信号電極が結合されていれば、互いの距離に依存せずに通信の安定性を得ることができる。
【0080】
次に、送信装置と受信装置の間の距離の大きさによる通信への影響について説明する。上述したように、本発明の原理によれば、送信基準電極と受信基準電極の空間に十分な静電容量を形成できていれば、送受信装置間近辺の大地による経路や、その他の電気的な経路を必要とせず、送信信号電極と受信信号電極の距離に依存しない。従って、例えば、図4に示される通信システム700のように、送信装置710と受信装置720を遠距離におき、十分な導電性あるいは誘電性を持った通信媒体730により送信信号電極711、受信信号電極721を静電的に結合することによって通信が可能である。このとき、送信基準電極712は送信装置710の外部の空間と静電結合し、受信基準電極722は受信装置720の外部の空間と静電結合する。従って、送信基準電極712と受信基準電極722は、互いに静電結合する必要がない。但し、通信媒体730がより長く、大きくなることによって空間に対する静電容量も増加するため、各パラメータを決定する際にこれらについて考慮する必要がある。
【0081】
なお、図4の通信システム700は、図1の通信システム100に対応するシステムであり、送信装置710は送信装置110に対応し、受信装置720は受信装置120に対応し、通信媒体730は通信媒体130に対応する。
【0082】
送信装置710において、送信信号電極711、送信基準電極712、および信号源713−1は、それぞれ、送信信号電極111、送信基準電極112、および送信部113(またはその一部)に対応する。同様に、受信装置720において、受信信号電極721、受信基準電極722、およびRr723−1は、それぞれ、受信信号電極121、受信基準電極122、および受信部123(またはその一部)に対応する。
【0083】
従って、これらの各部についての説明は省略する。
【0084】
以上のように通信システム700は、物理的な基準点経路を不要とし、通信信号伝達経路のみによる通信を実現することができる。
【0085】
なお、以上においては、送信信号電極および受信信号電極が通信媒体と非接触であるように説明したが、これに限らず、送信基準電極および受信基準電極がそれぞれの装置周辺空間との間で十分な静電容量が得られるのであれば、送信信号電極と受信信号電極の間を、導電性を有する通信媒体で接続するようにしてもよい。
【0086】
次に、以上のような通信システムの具体的な適用例について説明する。例えば、以上のような通信システムは、生体を通信媒体とすることもできる。図5は、人体を介して通信を行う場合の通信システムの例を示す模式図である。図5において、通信システム750は、人体の腕部に取り付けられた送信装置760から音楽データを送信し、人体の頭部に取り付けられた受信装置770によってその音楽データを受信して音声に変換し、出力してユーザに視聴させるシステムである。この通信システム750は、上述した通信システム(例えば、通信システム100)に対応したシステムであり、送信装置760や受信装置770は、それぞれ、送信装置110や受信装置120に対応する。また、通信システム750において人体780は、通信媒体であり、図1の通信媒体130に対応する。
【0087】
つまり、送信装置760は、送信信号電極761、送信基準電極762、および送信部763を有しており、それぞれ、図1の送信信号電極111、送信基準電極112、および送信部113に対応する。また、受信装置770は、受信信号電極771、受信基準電極772、および受信部773を有しており、それぞれ、図1の受信信号電極121、受信基準電極122、および受信部123に対応する。
【0088】
従って、通信媒体である人体780に、送信信号電極761および受信信号電極771が接触または近接されるように、送信装置760および受信装置770が設置される。送信基準電極762および受信基準電極772は、空間に対して静電容量を持てばよいので、周辺に大地との結合や、送受信装置(または電極)同士の結合も不要である。
【0089】
図6は、通信システム750を実現する他の例について説明する図である。図6において、受信装置770は、人体780に対して足裏部において接触(または近接)し、人体780の腕部に取り付けられた送信装置760との間で通信を行う。この場合も、通信媒体である人体780に接触(または近接)されるように、送信信号電極761と受信信号電極771が設けられ、空間に向けて送信基準電極762と受信基準電極772が設けられている。特に、大地を通信経路の1つとしていた従来技術では実現不可能な応用例である。
【0090】
このように、本発明によれば、人体などを通信媒体として、ケーブルなどの有線設備を設けることなく、無線通信を行うことが可能となる。
【0091】
以上のような通信システムにおいて、通信媒体に流す信号の変調方式としては、送信装置と受信装置の両方において対応可能であれば、特に制限はなく、通信システム全体の系の特性を踏まえた上で、最適な方式を選択することが出来る。具体的に変調方式としては、ベースバンド、または振幅変調、または周波数変調されたアナログ信号か、ベースバンド、または振幅変調、または周波数変調、または位相変調されたデジタル信号のうちのいずれか1つ、または複数の混合であってもよい。
【0092】
さらに、以上のような通信システムにおいて、1つの通信媒体を利用して、複数の通信が成立させ、全二重通信や、単一の通信媒体による複数の装置同士による通信等を実行することができるようにしてもよい。
【0093】
このような多重通信を実現する方法の例を説明する。1つ目は、スペクトラム拡散方式を適用させる方法である。この場合、送信装置と受信装置の間で互いに周波数帯域幅と特定の時系列コードを取り決めておく。そして送信装置は、この周波数帯域幅の中で、もとの信号を時系列コードによって周波数的に変化させ、周波数帯域全体に拡散させてから送信する。受信装置は、この拡散した成分を受信した後、その受信した信号を積分することで受信信号を復号する。
【0094】
周波数の拡散によって得られる効果を説明する。シャノンとハートレーのチャネル容量の定理によれば、次の式が成り立つ。
【0095】
【数9】

【0096】
ここで、C[bps]はチャネル容量を示し、通信路に流すことの出来る理論上の最大データレートを示す。B[Hz]はチャネル帯域幅を示す。S/Nは信号対ノイズ電力比(SN比)を示す。さらに、上式をマクローリン展開し、S/Nが低いものとすると、上述した式(9)は、次の式(10)のように近似することができる。
【0097】
【数10】

【0098】
これにより、例えばS/Nがノイズフロア以下のレベルであったとすると、S/N<<1となるが、チャネル帯域幅Bを広げることで、チャネル容量Cを所望のレベルに引き上げることが出来る。
【0099】
時系列コードを通信路毎に異なるようし、周波数拡散の動きを異なるようにすれば、相互に干渉することなく周波数が拡散し、相互の混信がなくなることで、同時に複数の通信を行うことができる。
【0100】
2つ目は、送信装置と受信装置の間で互いに周波数帯域幅を決め、それをさらに複数の領域に分割する周波数分割方式を適用させる方法である。この場合、送信装置(または受信装置)は、特定の周波数帯域割り振りの規則に従うか、通信開始時に空いている周波数帯域を検出し、その検出結果に基づいて周波数帯域の割り振りを行う。
【0101】
つまり、通信経路毎に異なる周波数帯域を利用することにより、相互の混信を抑制し、1つの通信媒体において、同時に複数の通信を行うことができる。また、周波数分割方式を用いることにより、多対一通信や、多対多通信も行うことができる。
【0102】
3つ目は、送信装置と受信装置の間で互いに通信時間を複数に分割する時分割方式を適用させる方法である。この場合、送信装置(または受信装置)は、特定の時間分割規則に従うか、通信開始時に空いている時間領域を検出し、その検出結果に基づいて通信時間の分割を行う。
【0103】
つまり、通信経路毎に異なる時間帯域において通信を行うことにより、相互の混信を抑制し、1つの通信媒体において、同時に複数の通信を行うことができる。また、時分割方式を用いることにより、多対一通信や、多対多通信も行うことができる。
【0104】
さらに、上述した以外の方法として、1つ目から3つ目までの通信方式のうちの2つ以上を組み合わせるようにしてもよい。
【0105】
送信装置および受信装置が、同時に複数の他の装置と通信を行うことができるということは、特定のアプリケーションにおいては、特に重要になる。例えば、交通機関のチケットへの応用を想定すると、定期券の情報を有する装置Aと電子マネー機能を有する装置Bの両方を所持した利用者が、自動改札機を利用する際、上記のような方式を使用することで、装置A及び装置Bと同時に通信することで、例えば、利用区間が定期券外の区間も含まれていた場合に、不足金額分を装置Bの電子マネーから差し引くといった便利な用途に利用することが出来る。
【0106】
以上のような送信装置と受信装置との間の通信において実行される通信処理の流れについて、図1の通信システム100の送信装置110と受信装置120との通信の場合を例に、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0107】
送信装置110の送信部113は、ステップS11において、送信対象となる信号を発生し、ステップS12において、その発生した信号を、送信信号電極111を介して、通信媒体130上に送信する。信号を送信すると送信装置の送信部113は、通信処理を終了する。送信装置110より送信された信号は、通信媒体130を介して受信装置120に供給される。受信装置120の受信部123は、ステップS21において、受信信号電極121を介して、その信号を受信し、ステップS22において、その受信した信号を出力する。受信した信号を出力した受信部123は、通信処理を終了する。
【0108】
以上のように、送信装置110および受信装置120は、通信媒体130を介して、複雑な処理を必要とせずに、単純な処理により、基本的な通信を行うことができる。つまり、送信装置110および受信装置120は、基準電極を用いて閉回路を構築する必要がないため、信号電極を介して送受信するのみで、環境に影響されずに安定した通信処理を容易に行うことができる。これにより送信装置110および受信装置120(通信システム100)は、環境に影響されずに安定した通信を行うための通信処理の負荷を軽減し、製造コストを削減することもできる。また、通信処理の構造が単純化されることにより、通信システム100は、変調、符号化、暗号化、または多重化など、多様な通信方式を容易に併用することができる。
【0109】
なお、以上の通信システムにおいては、送信装置と受信装置を別体として構成するように説明したが、これに限らず、上述した送信装置と受信装置の両方の機能を有する送受信装置を用いて通信システムを構築するようにしてもよい。
【0110】
図8は、本発明を適用した通信システムの他の構成例を示す図である。
【0111】
図8において、通信システム950は、送受信装置961、送受信装置962、および通信媒体130を有する。通信システム950は、送受信装置961と送受信装置962が通信媒体130を介して双方向に信号を送受信するシステムである。
【0112】
送受信装置961は、図1の送信装置110と同様の送信部110と、受信装置120と同様の受信部120の両方の構成を有している。すなわち、送受信装置961は、送信信号電極111、送信基準電極112、送信部113、受信信号電極121、受信基準電極122、および受信部123を有している。
【0113】
つまり送受信装置961は、送信部110を用いて通信媒体130を介して信号を送信し、受信部120を用いて通信媒体130を介して供給される信号を受信する。このとき、送受信装置961は、送信部110による通信と、受信部120による通信とが混信しないように構成されている。
【0114】
送受信装置962は、送受信装置961と同様の構成を有し、同様に動作するのでその説明を省略する。つまり送受信装置961と送受信装置962は、互いに同様の方法で、通信媒体130を介して、双方向に通信を行う。
【0115】
このようにすることにより、通信システム950(送受信装置961および送受信装置962)は、ケーブルなどの有線設備を設けることなく、双方向の無線通信を容易に実現することができる。
【0116】
なお、図8の例では、送受信で異なる電極を用いているが、信号電極、および基準電極を一組だけ設け、送受信を切り替えるようにしてもよい。
【0117】
次に、図1乃至図8を参照して上述した無線通信を利用した盲人誘導システムについて説明する。
【0118】
図9は、本発明を適用した盲人誘導システム1000の一実施形態に係る構成例を示す図である。同図において、ユーザ1001は、盲人であり、盲人用の杖1002を手にもって、後述する盲人誘導用の靴1003を履いている。
【0119】
この例では、ユーザ1001が歩行する路面上に盲人用の点字ブロックが配置されている。表面に図中縦方向に長い複数の線状の突起を有する点字ブロック1021−1乃至1021−3、および図中横方向(左右方向)に長い複数の線状の突起を有する点字ブロック1022−1乃至1022−3は、盲人に対して進む方向を提示するための点字ブロックとされる。また、表面に複数の丸型の突起を有する点字ブロック1023は、歩道の曲がり角などに配置され、盲人に対して、進むべき方向が変わることなどに備えての注意を喚起するための点字ブロックとされる。なお、ここでは、曲がり角に、1つの点字ブロック1023が配置されているが、実際には、曲がり角に複数の点字ブロック1023が配置される。
【0120】
すなわち、盲人であるユーザ1001は、杖1002や、路面を足で踏んだときの感触などにより点字ブロック1021−1乃至1021−3、1023、および1022−1乃至1022−3の形状(表面の突起)を認識することにより、歩道の形状に沿って、図中縦方向に進み、その後曲がり角(点字ブロック1023の位置)で90°方向を換えて、図中横方向に進むことができる。
【0121】
しかしながら、点字ブロック上に障害物が置かれている場合、ユーザ1001の歩行は困難になる。この例では、点字ブロック1021−3上に障害物となる鞄1041が置かれている。このような場合、ユーザ1001が歩行中、点字ブロック1021−3にさしかかったとき、歩道上で点字ブロック1021−3の右側または左側に寄って、鞄1041を避けて進まなければならず、このとき、点字ブロック1021−3の右側または左側の路面に点字ブロックが配置されていないため、進むべき方向を見失ってしまう。仮に、路面の幅一杯に点字ブロックを配置しておけば、ユーザ1001に進むべき方向を提示することができるが、点字ブロックの表面には、上述した突起があり、あまり多く点字ブロックを配置すると、健常者の歩行や自転車、ベビーカーなどの走行の妨げになってしまう。
【0122】
そこで、本発明においては、路面の下に複数の信号電極を埋設し、図1乃至図8を参照して上述した無線通信を利用して、ユーザ1001に進むべき方向などの情報を提供する。
【0123】
この例では、路面の下に長方形の板状の信号電極1101が埋設されている。ここでは、信号電極1101−11乃至1101−16のみに符号が付されているが他の信号電極も同様の構成とされ、一様に路面の下の所定の深さに埋設されている。なお、路面の下に埋設された信号電極を個々に区別する必要がない場合、単に信号電極1101と称する。各信号電極は、路面上の点字ブロックの大きさと形状に基づく所定の大きさと形状を有するように構成され、この例では、2つの信号電極1101−13および1101−14が1つの点字ブロック1021−1とほぼ同じ大きさと形状となるように構成されている。
【0124】
複数の信号電極1101のそれぞれは、後述するように、実際にはさらに細かく分割された複数の小電極で構成され、信号処理装置1150の制御に基づいて、個々の小電極が所定の信号を発信(送信)するように構成されている。
【0125】
信号処理装置1150は、予め定められた場所(例えば、公共の建物内)などに設置され、複数の信号電極1101のそれぞれに、ユーザ1001に進むべき方向などの情報に対応する信号を送信させる。信号電極1101から送信された信号は、例えば、ユーザ1001の靴1003に設けられた小型の信号処理装置により受信され、後述するように、小型の信号処理装置により受信された信号に基づいて靴1003の内部の突起の形状が変化されることによりユーザ1001に対して進むべき方向などの情報が提供される。
【0126】
図10は、靴1003の構成例を示す図である。この例では、靴1003に小型信号処理装置1250、信号電極1201aおよび1201b、並びに基準電極1202が取り付けられている。信号電極1201aおよび1201b、並びに基準電極1202は、いずれも小型信号処理装置1250に接続され、図1乃至図8を参照して上述した無線通信に用いられる。
【0127】
図11は、靴1003を裏側から見た(靴の底面の)図である。同図に示されるように信号電極1201aおよび1201bは、それぞれ靴1003の前(つま先側)および後(かかと側)に取り付けられており、2つの信号電極によりことなる信号を受信可能となるように構成されている。なお、2つの信号電極は、例えば、後述する小型信号処理装置1250の制御部1255の制御に基づいて導通状態を切り替えられる(個々の電極が順番にON/OFFされる)ことにより、それぞれ(別々に)信号を受信するように構成されている。
【0128】
図12は、信号処理装置1150の内部構成例を示すブロック図である。
【0129】
同図において信号発生部1151は、例えば、小型信号処理装置1250などに対して情報を送信するとき、制御部1155の制御に基づいてその情報に対応する信号を発生する。信号復調部1152は、外部から情報(情報に対応する信号)を受信したとき、信号を復調し、復調した信号を制御部1155に供給する。
【0130】
送受信切替部1153は、信号電極1101との接続を、例えば制御部1155からの制御に基づいて信号発生部1151または信号復調部1152のいずれか一方に切り替える。
【0131】
制御部1155は、例えばCPU、ROM、およびRAM等を含んで構成され、各種のプログラムなどを実行することにより、信号発生部1151、信号復調部1152の動作を制御する。例えば、制御部1155は、信号発生部1151、または信号復調部1152を制御して、小型信号処理装置1250などとの間で送受信される信号の生成または復調を行わせる。また、制御部1155は、必要に応じて情報を、メモリ1154に記憶させたり、メモリ1154から読み出したりする。
【0132】
メモリ1154は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などにより構成され、制御部1155の制御に基づいて、各種の情報を記憶する。なお、メモリ1154には、予め信号処理装置1150(個々の信号処理装置)に固有のIDが記憶されている。
【0133】
基準電極1102および信号電極1101は、図1乃至図8を参照して上述した無線通信に用いられる基準電極および信号電極であり、信号電極1101は、通信媒体(例えば、路面など)に近接するように設けられ、基準電極1202は、空間に向くように設けられる。例えば、基準電極1102は、図8の送信基準電極112、または受信基準電極122に対応し、信号電極1101は、図8の送信信号電極111、または受信信号電極121に対応することになる。なお、通信媒体は、単一の物体であってもよいし、複数の導電体や誘電体が組み合わせられたものであってもよい。図9の例では、歩道の路面が通信媒体となる。なお、図9を参照して上述したように、信号電極1101は、実際には、複数の信号電極により構成されている。
【0134】
図13は、小型信号処理装置1250の内部構成例を示すブロック図である。同図において、信号発生部1251乃至制御部1255は、図12の信号発生部1151乃至1155に対応する機能ブロックであり、それぞれ同様の機能を有しているので詳細な説明は省略する。
【0135】
信号電極1201は、図10と図11を参照して上述したように、実際には、信号電極1201aと1201bにより構成される。基準電極1202は、空間に向くように設けられる。例えば、基準電極1102は、図8の送信基準電極112、または受信基準電極122に対応し、信号電極1101は、図8の送信信号電極111、または受信信号電極121に対応することになる。
【0136】
突起生成部1261は、制御部1255の制御に基づいて、靴1003の内側(ユーザ1001の足に触れる部分)に、予め定められた形状の突起を生成する。例えば、突起生成部1261は、空気圧を増減させるコンプレッサーなどを有する構成とされ、靴1003の内部の所定の部位の空気圧を増加させることにより、予め定められた形状の突起を生成(隆起)させ、逆に、靴1003の内部の所定の部位の空気圧を減少させることにより、その突起を消滅させる。
【0137】
次に、複数の信号電極1101のそれぞれが出力する信号について説明する。図14は、点字ブロック1021−1、および点字ブロック1021の図中左側の路面1031−1と図中右側の路面1032−1の下部に埋設された信号電極が出力する信号の例を示す図である。図中矢印の下側に、点字ブロック1021−1、および点字ブロック1021の図中左側の路面1031−1と図中右側の路面1032−1の下部にそれぞれ埋設された信号電極1101−11乃至1101−16が拡大されて示されている。
【0138】
上述したように、複数の信号電極1101のそれぞれは、実際にはさらに細かく分割された複数の小電極で構成され、この例では、信号電極1101−11乃至1101−16のそれぞれが、図中縦方向(上下方向)に8個、図中横方向(左右方向)に4個(合計32個)の正方形で示される小電極で構成される。そして、各信号電極の32個の小電極のそれぞれが信号処理装置1150(制御部1155)の制御に基づいて所定の信号を出力する。小電極の大きさは、例えば、靴1003の信号電極1201aまたは1201bと同等の大きさとされる。
【0139】
この例では、図中下から2番目の小電極のそれぞれに、その小電極が出力する信号の値が示されている。例えば、信号電極1101−11を構成する図中最も左側(適宜第1列目と称する)の小電極は、値「0x10」に対応する信号を出力する。ここで、「0x」は、表記される数値が16進数であることを表す記号であり、「0x」に続いて記述される数値は、16進数の数値であるものとし、図中に示される小電極の信号の値は「0x」に続いて記述される数値のみが表記されている。また、同図においては、図中下から2番目の小電極のみに小電極の信号の値が示されているが、同じ列に属する信号電極は、すべて同じ値の信号を出力するものとする。すなわち、信号電極1101−11の第1列目に属する8個の小電極の全てが値「0x10」に対応する信号を出力する。
【0140】
また、信号電極1101−11の第2列目に属する8個の小電極は、それぞれ値「0x11」に対応する信号を出力し、第3列目と第4列目に属するそれぞれ8個の小電極は、値「0x12」に対応する信号と、値「0x13」に対応する信号とを出力する。すなわち、信号電極1101−11の小電極は、図中右側の小電極ほど(点字ブロック1021に近づくほど)大きい値の信号を出力するように設定されている。
【0141】
同様に、信号電極1101−12の第1列目乃至第4列目に属するそれぞれ8個の小電極は、値「0x14」に対応する信号乃至値「0x17」に対応する信号を出力する。すなわち、信号電極1101−12の小電極も、図中右側の小電極ほど(点字ブロック1021に近づくほど)大きい値の信号を出力するように設定されている。
【0142】
信号電極1101−16の第1列目乃至第4列目に属するそれぞれ8個の小電極は、値「0x13」に対応する信号乃至値「0x10」に対応する信号を出力する。すなわち、信号電極1101−16の小電極は、図中左側の小電極ほど(点字ブロック1021に近づくほど)大きい値の信号を出力するように設定されている。
【0143】
同様に、信号電極1101−15の第1列目乃至第4列目に属するそれぞれ8個の小電極は、値「0x17」に対応する信号乃至値「0x14」に対応する信号を出力する。すなわち、信号電極1101−15の小電極も、図中左側の小電極ほど(点字ブロック1021に近づくほど)大きい値の信号を出力するように設定されている。
【0144】
信号電極1101−13の第1列目乃至第4列目に属するそれぞれ8個の小電極は、値「0x18」に対応する信号乃至値「0x1b」に対応する信号を出力する。すなわち、信号電極1101−13の小電極は、図中右側の小電極ほど(点字ブロック1021の中央に近づくほど)大きい値の信号を出力するように設定されている。
【0145】
信号電極1101−14の第1列目乃至第4列目に属するそれぞれ8個の小電極は、値「0x1b」に対応する信号乃至値「0x18」に対応する信号を出力する。すなわち、信号電極1101−14の小電極は、図中左側の小電極ほど(点字ブロック1021の中央に近づくほど)大きい値の信号を出力するように設定されている。
【0146】
このように、点字ブロック1021または点字ブロック1021に隣接する左右の路面の下に埋設される信号電極は、点字ブロック1021の中央に近づくほど大きい値の信号を出力するように構成されている。
【0147】
同様にして、点字ブロック1021と90°異なる方向を示す点字ブロック1022または点字ブロック1022に隣接する路面の下に埋設される信号電極も点字ブロック1022の中央に近づくほど大きい値の信号を出力するように構成されている。例えば、図15に示されるように、点字ブロック1022の図中上側の路面1033−1の下部に埋設される信号電極は、図中最も上側の小電極が値「0x30」に対応する信号を出力し、点字ブロック1022の図中下側の路面1034−1の下部に埋設される信号電極は、図中最も下側の小電極が値「0x30」に対応する信号を出力し、点字ブロック1022−1の下部に埋設される信号電極は、点字ブロック1022−1の中央が値「0x3b」を出力するように構成されている。
【0148】
注意を喚起するための点字ブロック1023または点字ブロック1023に隣接する路面の下に埋設される信号電極は、それぞれ全て値「0xff」または「0xfe」を出力するように構成されている。すなわち、図16に示されるように、点字ブロック1023−1の下部に埋設される信号電極は、全ての小電極において値「0xff」に対応する信号を出力し、点字ブロック1023−1の図中左側の路面1035−1および点字ブロック1023−1図中右側の路面1036−1の下部に埋設される信号電極は、いずれも全ての小電極において値「0xfe」に対応する信号を出力するように構成される。
【0149】
このように、点字ブロックの種類に応じて、また、点字ブロックの中央からの距離に応じて、路面の下に埋設された信号電極から異なる値の信号が出力される。なお、出力される信号は、上述した値に対して、例えばFM変調やAM変調が施されて出力されるようにしてもよい。
【0150】
図17は、例えば、歩道の四つ角に埋設される信号電極から出力される信号の値の例を示す図である。同図において、枠1051または枠1052で示される部分には、それぞれ表面に図中縦方向(上下方向)に長い複数の線状の突起を有する点字ブロック1021が3枚敷設され、枠1053または枠1054で示される部分には、それぞれ図中横方向(左右方向)に長い複数の線状の突起を有する点字ブロック1022が3枚敷設される。また、枠1055で示される部分には、表面に複数の丸型の突起を有する点字ブロック1023が5枚敷設される。
【0151】
そして、図中複数の正方形として示される領域の中に表示される数値は、その領域に対応する信号電極(信号電極の小電極)が出力する値を示している。例えば、枠1051の図中最も下側の正方形の領域は、点字ブロック1021の下部に埋設される信号電極に対応する領域であり、「0x18−0x1b」と記述されている。これは、この点字ブロック1021の下部に埋設される信号電極(実際には、信号電極を構成する小電極)が、値「0x18」から値「0x1b」までに対応する信号を出力することを表している。
【0152】
また、同図においてハッチングされている図中複数の正方形として示される領域の中に表示される数値は、他の領域の中に表示される数値と異なっている。例えば、枠1051の図中最も上側の正方形の領域、または枠1052の図中最も下側の正方形の領域は、ともに、点字ブロック1021の下部に埋設される信号電極に対応する領域であるが、枠1051または1052内の他の領域と異なり、「0x28−0x2b」と記述されており、枠1053の図中最も右側の正方形の領域、または枠1054の図中最も左側の正方形の領域は、ともに、点字ブロック1022の下部に埋設される信号電極に対応する領域であるが、枠1053または1054内の他の領域と異なり、「0x48−0x4b」と記述されている。
【0153】
このように、曲がり角に近い位置では出力される信号が大きくなるようにしてもよい。このようにすることで、歩行中の盲人に対して、曲がり角が近づいていることを知らせることができる。
【0154】
このような値の信号を出力する信号電極が埋設された路面の上を、図10と図11を参照して上述したような構成を有する靴1003を履いてあることにより、靴1003の信号電極1201aおよび1201bにより、各信号電極1101から出力される信号が受信される。
【0155】
図18は、図14を参照して上述した、信号電極(および信号電極を構成する小電極)の上を歩くユーザ1001の靴1003の向きの例を示す図である。図中記号Aで示される向きにおいては、靴1003の信号電極1201aおよび1201bにより受信される信号の値は、いずれも「0x13」(または「0x14」)となる。図中記号Bで示される向きにおいては、靴1003の信号電極1201aおよび1201bにより受信される信号の値は、それぞれ「0x19」および「0x1b」となり、図中記号Cで示される向きにおいては、靴1003の信号電極1201aおよび1201bにより受信される信号の値は、それぞれ「0x17」または「0x13」となる。このように、靴1003の向きにより異なる値の信号を検出させることが可能となる。
【0156】
図19は、靴1003の内部に設けられる突起生成部の例を示す図である。同図に示されるように突起生成部1261は、靴1003の内部(靴底の上側であって、ユーザ1001の足に接触する部分)の中央付近に設けられ、制御部1255の制御に基づいて所定の高さで隆起するように構成されている。
【0157】
例えば、制御部1255の制御により、突起生成部1261が、図20に示されるように、靴1003の前部が高くなり、靴1003の後部が低くなるように隆起される。また、突起生成部1261は、図20の場合とは逆に、靴1003の前部が低くなり、靴1003の後部が高くなるように隆起されることも可能である。さらに、突起生成部1261は、靴1003の前部と靴1003の後部とが同じ高さになるように隆起されることも可能であり、また、隆起される部分の幅(図19の上下方向の幅)が制御部1255の制御に基づいて、広くなったり狭くなったりするように構成されている。
【0158】
図21乃至図23は、受信した信号の値、および靴1003の向きに応じて変化して隆起する突起生成部1261の形状の例について説明する図である。
【0159】
図21は、曲がり角付近における靴1003の内部の突起生成部1261の形状の例を示している。同図に示されるように、靴1003が図中記号A乃至Cで示される位置と向きにおいては、いずれも同じ幅であって靴1003の幅とほぼ同等の幅の部分が突起生成部1261において隆起されている。ただし、図中記号Bで示される場合、靴1003の信号電極1201aおよび1201bで受信される信号の値は、「0xff」となり、図中記号AまたはCの場合の信号の値「0xfe」より大きい値となるので、図中記号Bで示される場合、突起生成部1261の隆起の高さが図中記号AまたはCの場合と比較して高くなるように制御される。
【0160】
勿論、図中記号Bで示される場合、突起生成部1261の隆起の高さが図中記号AまたはCの場合と比較して低くなるように制御されるようにしても構わない。
【0161】
図22は、点字ブロック1021付近における靴1003の内部の突起生成部1261の形状の例を示している。同図に示されるように、靴1003が図中記号A乃至Cで示される位置と向きにおいては、いずれも同じ幅であって図21の場合と比較してより狭い幅の部分が突起生成部1261において隆起されている。
【0162】
同図において、図中記号Aで示される場合、靴1003の信号電極1201aおよび1201bで受信される信号の値は、いずれも「0x13」となり、突起生成部1261において隆起される部分の高さは、靴1003の前部も後部も同じ高さとされる。
【0163】
一方、図中記号BまたはCで示される場合、靴1003の信号電極1201aおよび1201bで受信される信号の値は、それぞれ「0x19」および「0x1b」、または、それぞれ「0x17」または「0x13」となるので、突起生成部1261において図中ハッチングされた部分がより高く隆起される。なお、図中記号Cの場合に比べて記号Bの場合の方が全体的に高く(あるいは低く)隆起するようにすることもでき、これにより点字ブロックの上に立っているのか、点字ブロックの近くに立っているのか区別することができる。
【0164】
図23は、点字ブロック1022付近における靴1003の内部の突起生成部1261の形状の例を示している。同図に示されるように、靴1003が図中記号A乃至Cで示される位置と向きにおいては、いずれも同じ幅であって図21の場合と比較してより狭い幅の部分が突起生成部1261において隆起されている。
【0165】
同図において、図中記号AまたはBで示される場合、靴1003の信号電極1201aおよび1201bで受信される信号の値は、それぞれ「0x32」および「0x36」、または、それぞれ「0x3b」または「0x39」となるので、突起生成部1261において図中ハッチングされた部分がより高く隆起される。一方、図中記号Cで示される場合、靴1003の信号電極1201aおよび1201bで受信される信号の値は、いずれも「0x33」となり、突起生成部1261において隆起される部分の高さは、靴1003の前部も後部も同じ高さとされる。なお、図中記号Aの場合に比べて記号Bの場合の方が全体的に高く(あるいは低く)隆起するようにすることもでき、これにより点字ブロックの上に立っているのか、点字ブロックの近くに立っているのか区別することができる。
【0166】
このように、受信される信号の値に応じて突起生成部1261において隆起される部分の幅と高さを変えることにより、盲人の足の裏に刺激を与えて、盲人の進むべき方向を提示したり、注意喚起を促したりすることが可能となる。
【0167】
次に、図24のフローチャートを参照して、靴1003の小型信号処理装置1250による突起生成処理について説明する。
【0168】
ステップS101において、小型信号処理装置1250の制御部1255は、信号電極1201aおよび1201bを介して、路面の下に埋設された信号電極1101から送信される信号を受信する。
【0169】
ステップS102において、制御部1255は、新たな信号を受信したか否かを判定し、新たに信号を受信していないと判定された場合、処理は、ステップS101に戻る。一方、ステップS102において、新たに信号を受信したと判定された場合、処理は、ステップS103に進む。
【0170】
ステップS103において、制御部1255は、ステップS101の処理で受信した信号の値を解析する。このとき、受信された信号に基づいて、上述したように、「0x10」乃至「0xff」の値が取得される。
【0171】
ステップS104において、制御部1255は、ステップS103の処理で解析された値に基づいて、現在立っている場所の点字ブロックの種類を特定する。上述したように、点字ブロック1021乃至1023、および点字ブロック1021乃至1023に隣接する路面の下部に埋設された信号電極は、それぞれ点字ブロックの種類に応じて異なる値の信号を出力する。ステップS104では、取得された値に基づいて点字ブロック(または隣接する路面)の種類が特定される。例えば、ステップS103で解析されて取得された値が「0x10」であった場合、現在立っている場所が点字ブロック1021に隣接する路面であると特定される。
【0172】
ステップS105において、制御部1255は、ステップS103の処理で解析されて取得された信号の値の大きさを比較する。上述したように、路面の下部に埋設された信号電極から送信される信号は、信号電極1201aおよび1201bの2種類の信号電極を介して受信され、ステップS105では、信号電極1201aを介して受信された信号の値の大きさと、信号電極1201bを介して受信された信号の値の大きさとが比較される。図21乃至図23を参照して上述したように、信号電極1201aを介して受信された信号の値の大きさと、信号電極1201bを介して受信された信号の値の大きさとを比較することにより、ユーザ1001が立っている位置と点字ブロックとの距離、および点字ブロックに対するユーザ1001の向きが特定されることになる。
【0173】
ステップS106において、制御部1255は、突起生成部1261を制御して、ステップS104の処理で特定された点字ブロックの種類と、ステップS105の処理での比較結果に基づいて、突起を隆起させる。このとき、例えば、図21乃至図23を参照して説明したように、点字ブロック(または隣接する路面)の種類と、信号電極1201aおよび1201bにより受信した信号の値の大きさの違いに基づいて、異なる幅と異なる高さの突起が隆起される。
【0174】
このようにして、靴1003の内部に突起が生成される。このようにすることで、盲人の足の裏に刺激を与えて、盲人の進むべき方向を提示したり、注意喚起を促したりすることが可能となる。例えば、点字ブロック上に障害物があり、点字ブロックが敷設されていない場所を歩かなければならない場合であっても、あたかも点字ブロック上を歩いているように、盲人の足の裏に刺激を与えることが可能となり、一度点字ブロックが配置された部分から遠ざかっても、簡単に、再び点字ブロックがある部分に戻ることができる。その結果、盲人にとって暮らしやすい環境を提供することができる。
【0175】
さらに、交通の事情などにより点字ブロックを配置できない場所にであっても、本発明によれば、あたかも点字ブロック上を歩いているように、盲人の足の裏に刺激を与えることができる。その結果、交通の利便性を妨げることなく、盲人にとって暮らしやすい環境を提供することができる。
【0176】
以上においては、靴1003に設けられた信号電極1201aまたは1201bにより、路面の下部に埋設された信号電極1101から送信される信号を受信する例について説明したが、杖1002に信号電極を設けて、路面の下部に埋設された信号電極1101から送信される信号を受信するようにしてもよい。
【0177】
図25は、この場合の杖1002の構成例を示す図である。同図に示されるように、杖1002の先端部(地面に接触する部分)に信号電極1301aと1301bとが設けられている。また、杖1002の内部には、図13を参照して上述したものと同様の小型信号処理装置が内蔵されており、靴1003の場合と同様に、2種類の信号電極(1301aと1301b)で受信した信号の値に基づいて突起を生成するように構成されている。
【0178】
杖1002においては、図26に示されるように、突起生成部が杖1002の柄(ユーザ1001が杖を握る部分)に設けられる。このようにすることで、専用の靴1003を履いていなくても、杖1002の柄の突起が隆起されて、盲人の手のひらが刺激されるようにし、盲人に対して進むべき方向を提示したり、注意喚起を促したりすることが可能となる。
【0179】
あるいはまた、靴1003と杖1002の双方の信号電極を介して路面の下部に埋設された信号電極1101から送信される信号を受信するようにしてもよい。
【0180】
図27は、この場合の例を示す図である。同図に示されるように、杖1002の先端部に信号電極1301が設けられており、靴1003の下部に信号電極1201が設けられている。この場合、杖1002の内部と、靴1003の内部とに、図13を参照して上述したものと同様の小型信号処理装置が内蔵され、靴1003の場合と同様に、2種類の信号電極(1201と1301)で受信した信号の値に基づいて突起を生成するように構成されている。なお、靴1003の小型信号処理装置と、杖1002の小型信号処理装置は、いずれも図1乃至図8を参照して上述した無線通信に対応しているので、ユーザ1001の人体を通信媒体として通信を行うことができる。突起生成部は、図19を参照して上述したように、靴1003の内部に設けられるようにしてもよいし、図26を参照して上述したように、杖1002の柄の部分に設けられるようにしてもよい。
【0181】
なお、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。上述した一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0182】
上述した一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、インターネットなどのネットワークや、リムーバブルメディアなどからなる記録媒体からインストールされる。
【0183】
なお、この記録媒体は、ユーザにプログラムを配信するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フロッピディスク(登録商標)を含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disk)(登録商標)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディアにより構成されるものだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに配信される、プログラムが記録されているROMや、記憶部に含まれるハードディスクなどで構成されるものも含む。
【0184】
本明細書において上述した一連の処理を実行するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0185】
【図1】本発明を適用した通信システムの一実施形態に係る構成例を示す図である。
【図2】理想状態における、図1の通信システムの等価回路の例を示す図である。
【図3】図2のモデルにおいて、受信負荷抵抗の両端に生じる電圧の実効値の計算結果の例を示す図である。
【図4】図1の通信システムの配置例を示す図である。
【図5】本発明を適用した通信システムの一実施形態に係る実際の利用例を示す図である。
【図6】本発明を適用した通信システムの一実施形態に係る他の利用例を示す図である。
【図7】通信処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図8】本発明を適用した通信システムの、さらに他の構成例を示す図である。
【図9】本発明を適用した盲人誘導システムの一実施形態に係る構成例を示す図である。
【図10】図9の靴の構成例を示す図である。
【図11】図10の靴を別の角度からみた図である。
【図12】図9の信号処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図13】図10の小型信号処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図14】点字ブロックの付近に埋設される信号電極が出力する信号の値の例を示す図である。
【図15】別の点字ブロックの付近に埋設される信号電極が出力する信号の値の例を示す図である。
【図16】別の点字ブロックの付近に埋設される信号電極が出力する信号の値の例を示す図である。
【図17】四つ角付近に埋設される信号電極から出力される信号の値の例を示す図である。
【図18】図14の信号電極(および信号電極を構成する小電極)上を歩くユーザの靴の向きの例を示す図である。
【図19】突起生成部の例を示す図である。
【図20】突起生成部の突起が隆起した場合の例を示す図である。
【図21】受信した信号の値、および靴の向きに応じて変化して隆起する突起生成部の形状の例について説明する図である。
【図22】受信した信号の値、および靴の向きに応じて変化して隆起する突起生成部の形状の別の例について説明する図である。
【図23】受信した信号の値、および靴の向きに応じて変化して隆起する突起生成部の形状のさらに別の例について説明する図である。
【図24】突起生成処理の例を説明するフローチャートである。
【図25】杖に信号電極を設ける場合の例を示す図である。
【図26】杖に突起生成部を設ける場合の例を示す図である。
【図27】杖と靴に信号電極を設ける場合の例を示す図である。
【符号の説明】
【0186】
100 通信システム, 110 送信装置, 111 送信信号電極, 112 送信基準電極, 113 送信部, 120 受信装置, 121 受信信号電極, 122 受信基準電極, 123 受信部, 130 通信媒体, 961および962 送受信装置, 1001 ユーザ 1002 杖, 1003 靴, 1021乃至1023 点字ブロック 1101 信号電極, 1102 基準電極, 1150 信号処理装置, 1201 信号電極, 1202 基準電極, 1255 制御部, 1261 突起生成部, 1301 信号電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
盲人用の点字ブロックおよび前記点字ブロックの敷設位置から所定の距離の範囲の路面の下にそれぞれ埋設される複数の導体板から送信される信号を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された信号に基づいて、前記導体板が埋設されている路面上の点字ブロックまたは前記導体板が埋設されている路面から所定の距離の範囲の点字ブロックの種類を特定する特定手段と、
前記受信手段により受信された信号に基づいて、ユーザが現在立っている場所の前記点字ブロックからの距離および前記点字ブロックに対する前記ユーザの向きに関する情報を取得する取得手段と、
前記特定手段により特定された前記点字ブロックの種類および前記取得手段により取得された前記点字ブロックからの距離および前記点字ブロックに対する前記ユーザの向きに関する情報に基づいて、前記ユーザの触覚を刺激する所定の形状と高さの突起を生成する突起生成手段と
を備える信号処理装置。
【請求項2】
ユーザが着用する靴の一部に取り付けられ、
前記突起生成手段は、前記靴の内側であって、前記ユーザの足の裏に接触する部分に前記突起を生成する
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
ユーザが使用する杖の一部に取り付けられ、
前記突起生成手段は、前記杖の柄の部分であって、前記ユーザの手のひらに接触する部分に前記突起を生成する
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項4】
出力値を判定するための基準点を得るための基準電極と、前記基準電極よりも通信媒体に対して静電結合が強くなるように設けられた複数の信号電極とをさらに備え、
前記受信手段は、前記信号電極と前記基準電極との間の電位差に基づく信号を受信し、前記特定手段は、前記信号が表す値に基づいて、前記導体板が埋設されている路面上の点字ブロックまたは前記導体板が埋設されている路面から所定の距離の範囲の点字ブロックの種類を特定する
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記導体板のそれぞれは、複数の領域に分割されて構成され、前記複数の信号電極は、所定の距離だけ互いに離れた位置に取り付けられ、前記導体板の個々の領域がそれぞれ送信する信号であって、それぞれ所定の大きさの値に対応する信号を、前記信号電極の位置に応じて受信する
請求項4に記載の信号処理装置。
【請求項6】
前記取得手段は、複数の信号電極のそれぞれにおいて受信された信号の値の大きさを比較することにより、ユーザが現在立っている場所の前記点字ブロックからの距離および前記点字ブロックに対する前記ユーザの向きに関する情報を取得する
請求項5に記載の信号処理装置。
【請求項7】
前記突起生成手段は、前記点字ブロックの種類に応じて前記突起の形状を選択し、ユーザが現在立っている場所の前記点字ブロックからの距離および前記点字ブロックに対する前記ユーザの向きに応じて前記突起の高さを選択して前記突起を生成する
請求項6に記載の信号処理装置。
【請求項8】
少なくとも2つの異なる信号電極を有し、第1の信号電極は、ユーザが着用する靴の前部に設けられ、第2の信号電極は、前記靴の後部に設けられる
請求項5に記載の信号処理装置。
【請求項9】
前記複数の信号電極は、ユーザが使用する杖の先端部に設けられる
請求項5に記載の信号処理装置。
【請求項10】
少なくとも2つの異なる信号電極を有し、第1の信号電極は、ユーザが着用する靴に設けられ、第2の信号電極は、前記ユーザが使用する杖に設けられる
請求項5に記載の信号処理装置。
【請求項11】
盲人用の点字ブロックおよび前記点字ブロックの敷設位置から所定の距離の範囲の路面の下にそれぞれ埋設される複数の導体板から送信される信号を受信し、
受信された信号に基づいて、前記導体板が埋設されている路面上の点字ブロックまたは前記導体板が埋設されている路面から所定の距離の範囲の点字ブロックの種類を特定し、
受信された信号に基づいて、ユーザが現在立っている場所の前記点字ブロックからの距離および前記点字ブロックに対する前記ユーザの向きに関する情報を取得し、
特定された前記点字ブロックの種類および取得された前記点字ブロックからの距離および前記点字ブロックに対する前記ユーザの向きに関する情報に基づいて、前記ユーザの触覚を刺激する所定の形状と高さの突起を生成する
ステップを含む信号処理方法。
【請求項12】
盲人用の点字ブロックおよび前記点字ブロックの敷設位置から所定の距離の範囲の路面の下にそれぞれ埋設される複数の導体板から送信される信号の受信を制御し、
受信された信号に基づいて、前記導体板が埋設されている路面上の点字ブロックまたは前記導体板が埋設されている路面から所定の距離の範囲の点字ブロックの種類の特定を制御し、
受信された信号に基づいて、ユーザが現在立っている場所の前記点字ブロックからの距離および前記点字ブロックに対する前記ユーザの向きに関する情報の取得を制御し、
特定された前記点字ブロックの種類および取得された前記点字ブロックからの距離および前記点字ブロックに対する前記ユーザの向きに関する情報に基づいて、前記ユーザの触覚を刺激する所定の形状と高さの突起の生成を制御する
ステップを含むコンピュータが読み取り可能なプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムが記録されている記録媒体。
【請求項14】
出力値を判定するための基準点を得るための基準電極と、前記基準電極よりも通信媒体に対して静電結合が強くなるように設けられた複数の信号電極と、
前記基準電極と前記信号電極との間の電位差に基づく信号の送受信を制御する制御手段とを備える信号処理装置であって、
複数の前記信号電極がそれぞれ盲人用の点字ブロックおよび前記点字ブロックの敷設位置から所定の距離の範囲の路面の下に埋設され、
前記制御手段が複数の前記信号電極からそれぞれ異なる値の信号を送信する
信号処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2007−33713(P2007−33713A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−215062(P2005−215062)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】