説明

信号処理装置及びそのクロック供給方法、並びに電子機器

【課題】再生中、動的にクロック周波数を変更する必要がなく、回路構成を簡素化できる信号処理装置を提供する。
【解決手段】入力装置6よりオーディオ再生開始の指示が入力されると、記憶装置制御部13は、記憶装置3からオーディオデータのトラック情報を取得する。クロック判定部12は、転送されたトラック情報を解析し、データフォーマットに対応するクロック周波数を選択する。クロック生成部11は、選択されたクロック周波数に変更してクロック信号を生成出力する。記憶装置制御部13は、記憶装置3から再生すべきトラックのオーディオデータを取得し、オーディオ再生部14は、このオーディオデータのデコード等を行ってオーディオ信号を生成し、オーディオ出力装置2に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオデータなどのコンテンツデータを再生する際、内部回路に供給されるクロック信号のクロック周波数を変更可能な信号処理装置及びそのクロック供給方法、並びに電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などのモバイル機器では、動画再生やオーディオ再生などのメディア処理を行える製品が数多く出回っている。市場では、このような製品に対し、低消費電力化を図ってメディア処理を長時間行えるようにすることが要望されている。
【0003】
従来、クロック周波数は、信号処理回路を含む内部回路が最高動作時に必要とされる一定のクロック周波数に設定されていた。このため、各内部回路の動作状況によっては、過剰なクロック周波数でクロック信号を供給している場合があり、無駄に電力が消費されていた。
【0004】
これに対し、クロック信号が供給される周辺回路の動作状態に応じて、クロック周波数を切り替えるクロック制御回路が提案されている(特許文献1参照)。このクロック制御回路では、動作状態に応じた最適なクロック周波数を割り当てることが可能であり、無駄な電力消費を抑えることができる。
【0005】
また、記憶領域のデータ残量が少ない場合、システムクロック周波数を高く、データ残量が多い場合、システムクロック周波数を低く調節するクロック周波数制御装置が提案されている(特許文献2参照)。このクロック周波数制御装置では、全体的なシステムクロック周波数を低減させることで、低消費電力化を図ることができる。
【0006】
【特許文献1】特開2000−66759号公報
【特許文献2】特開2006−147134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の構成では、以下に掲げる問題があった。すなわち、上記特許文献1では、内部回路の動作状態に応じて、システムクロック周波数を変動させる必要があるので、クロック制御回路が複雑になっていた。
【0008】
また、上記特許文献2では、オーディオストリーム処理の動作状態で動的にクロック周波数を変更する場合、クロック周波数変更時にストリームデータの欠落が発生しないように、バッファメモリを用いる必要があった。また、上記特許文献1の場合と同様、動作時に動的にクロック周波数を変動させる必要があるので、クロック制御回路が複雑であった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、無駄な電力消費を削減するとともに、再生中、動的にクロック周波数を変更する必要がなく、クロック信号を制御する回路の構成を簡素化することが可能な信号処理装置及びそのクロック供給方法、並びに電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、第1に、記憶装置に記録されたコンテンツデータを出力装置で再生するための信号処理を行う信号処理装置であって、前記記憶装置に記録されている前記コンテンツデータのデータフォーマットを取得するデータフォーマット取得部と、前記取得したデータフォーマットに対応するクロック周波数を決定するクロック周波数決定部と、前記決定されたクロック周波数のクロック信号を生成し、当該信号処理装置の各部に供給するクロック生成部とを備えるものである。
【0011】
これにより、コンテンツデータのデータフォーマットから最適なクロック周波数が決定されるので、無駄な電力消費を削減できるとともに、再生中、動的にクロック周波数を変更する必要がなく、クロック信号を制御する回路の構成を簡素化することが可能となる。また、クロック周波数を変更した後、コンテンツデータを再生するので、例えば再生中のストリームデータの欠落を防止するためのバッファメモリ等が不要となり、より一層無駄な電力を削減可能となる。
【0012】
また、第2に、本発明は、上記の信号処理装置であって、前記コンテンツデータの再生開始を指示する再生開始指示部を備え、前記データフォーマット取得部は、前記再生開始が指示されると、前記コンテンツデータに関するトラック情報を取得し、このトラック情報から前記データフォーマットを解析して取得するものとする。
これにより、コンテンツデータの再生開始前に簡単にデータフォーマットを取得することができる。
【0013】
また、第3に、本発明は、上記の信号処理装置であって、前記コンテンツデータを再生する順番が記述されたプレイリスト情報を取得するプレイリスト情報取得部を備え、前記データフォーマット取得部は、前記コンテンツデータのトラックの再生が終了する度に、次のコンテンツデータに関するトラック情報を取得するものとする。
これにより、複数のコンテンツデータを順番に連続して再生する場合であっても、再生中、動的にクロック周波数を変更する必要を無くすことができる。
【0014】
また、第4に、本発明は、上記の信号処理装置であって、前記クロック周波数決定部は、当該信号処理装置が前記記憶装置に記録されているコンテンツデータを再生しない状態にある場合、当該信号処理装置の動作に必要とされる略最低限のクロック周波数に設定するものとする。
これにより、コンテンツデータを再生していない状態では、電力消費を著しく抑えることができる。
【0015】
また、第5に、本発明の信号処理装置は、上記いずれかに記載の信号処理装置の各機能が搭載されたLSIからなるものとする。
このように、回路構成が簡略化されることで、LSIの設計が容易になり、省電力化や小型化を図ることが可能となる。
【0016】
また、第6に、本発明は、上記いずれかに記載の信号処理装置と、前記コンテンツデータが記録された記憶装置と、前記コンテンツデータを再生する出力装置とを備えた電子機器を提供する。
これにより、音楽再生機能、動画再生機能などを有する電子機器をコンパクトな構成とし、その電力消費を抑えることが可能となる。
【0017】
また、第7に、本発明は、記憶装置に記録されたコンテンツデータを出力装置で再生するための信号処理を行う信号処理装置のクロック供給方法であって、前記記憶装置に記録されている前記コンテンツデータのデータフォーマットを取得するデータフォーマット取得ステップと、前記取得したデータフォーマットに対応するクロック周波数を決定するクロック周波数決定ステップと、前記決定されたクロック周波数のクロック信号を生成し、当該信号処理装置の各部に供給するクロック生成ステップとを有するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、無駄な電力消費を削減するとともに、再生中、動的にクロック周波数を変更する必要がなく、クロック信号を制御する回路の構成を簡素化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下の実施形態では、本実施形態に係る信号処理装置をオーディオデータ等の再生を行う音楽再生装置に適用した構成例を示して説明する。本実施形態に係る信号処理装置として、ASIC(特定用途向け集積回路)等の半導体装置により構成される大規模半導体集積回路(LSI)を用いた例を示す。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る音楽再生装置の構成を示すブロック図である。音楽再生装置は、LSIにより構成される信号処理装置(以下、LSIと称する)1と、出力装置の一例としてのオーディオ出力装置2と、コンテンツデータの一例としてのオーディオデータが記録された記憶装置3と、再生開始指示部の機能を有する入力装置6を有して構成される。LSI1には、各部に供給するクロック信号を生成するクロック生成部11と、クロック周波数決定部の機能を有するクロック判定部12と、データフォーマット取得部及びプレイリスト情報取得部の機能を有する記憶装置制御部13と、オーディオ再生部14とが設けられている。また、LSI1には、電力を供給するバッテリ電源8が接続されている。
【0021】
LSI1は、記憶装置3からオーディオ再生に必要なデータを取得し、オーディオ出力装置2にオーディオの電気信号(オーディオ信号)を出力する機能を有する。オーディオ出力装置2は、オーディオ信号を音に変換する機能を有するスピーカ及びアンプなどにより構成される。
【0022】
記憶装置3は、プレイリスト情報、トラック情報及びオーディオデータを保存可能な記憶媒体である。記憶媒体としては、不揮発性メモリやHDDなど、データを保持しておくことが可能な媒体が挙げられる。また、プレイリスト情報は、再生するトラックの順番などの情報を保持する。トラック情報は、そのトラックのコーデック情報などの情報を保持する。オーディオデータは、様々な種類のデータフォーマット(例えば、MP3、WMA(登録商標)、WAV、AAC(商標登録)形式などの記録フォーマット)によりエンコードされているデータである。オーディオデータには、暗号化されたものも含まれる。
【0023】
クロック生成部11は、可変周波数発振部などを備え、任意のクロック周波数のクロック信号を生成し、LSI1の内部回路に供給する機能を有する。また、クロック判定部12は、記憶装置3内のトラック情報からデータフォーマット(記録フォーマット)を解析し、解析されたデータフォーマットの種類から最適なクロック周波数を決定する。さらに、クロック判定部12は、クロック生成部11に対し、LSI1の内部回路に供給されるクロック信号のクロック周波数を、決定したクロック周波数に指定する機能を有する。
【0024】
図2はデータフォーマットの種類から決定されるクロック周波数を示すテーブルである。このテーブルは、クロック判定部12に格納されている。ここでは、データフォーマットがMP3形式である場合、クロック周波数は周波数Aであり、データフォーマットがWMA(登録商標)形式である場合、クロック周波数は周波数Aと異なる周波数Bであることが示されている。
【0025】
記憶装置制御部13は、記憶装置3内のデータを読み出し、クロック判定部12またはオーディオ再生部14に転送する機能を有する。オーディオ再生部14は、オーディオデータのデコードを行い、オーディオ出力装置2にオーディオ信号を送信する機能を有する。
【0026】
上記構成を有する音楽再生装置の動作を示す。図3は第1の実施形態の音楽再生装置におけるオーディオ再生処理手順を示すフローチャートである。この処理は、使用者から入力装置6を介してオーディオ再生開始の指示が入力されると、LSI1によって実行される。まず、記憶装置制御部13は、記憶装置3からオーディオ再生開始が指示されたオーディオデータに関するトラックのトラック情報を取得し、クロック判定部12に転送する(ステップS11)。
【0027】
クロック判定部12は、転送されたトラック情報を解析し、図2のテーブルを参照してオーディオデータのデータフォーマットに対応するクロック周波数を選択し、クロック生成部11に通知する(ステップS12)。クロック生成部11は、通知されたクロック周波数に従って、LSI1の各部(内部回路)に供給されるクロック信号のクロック周波数を変更する(ステップS13)。これにより、データフォーマットに対応するクロック周波数のクロック信号が生成出力される。
【0028】
そして、記憶装置制御部13は、クロック周波数が変更されるを待つ(ステップS14)。ここで、クロック周波数の変更は、デフォルトのクロック周波数からの変更を意味する。データフォーマットに対応するクロック周波数がデフォルトのクロック周波数と一致する場合、変更することなくそのまま設定でよいことは勿論である。クロック周波数が変更されると、記憶装置制御部13は、記憶装置3から、再生すべきトラックに対応したオーディオデータを取得し、オーディオ再生部14に転送する(ステップS15)。オーディオ再生部14は、転送されたオーディオデータを受け取ると、オーディオデータに応じたオーディオ信号を生成し、オーディオ出力装置2に出力する(ステップS16)。オーディオ出力装置2は、入力したオーディオ信号を音に変換する。
【0029】
この後、記憶装置制御部13は、トラックの再生が終了したか否かを判別する(ステップS17)。再生が終了していない場合、ステップS16の処理に戻り、同様の処理を繰り返す。一方、トラックの再生が終了すると、本処理を終了する。
【0030】
このように、第1の実施形態の信号処理装置によれば、データフォーマットからクロック周波数が決定されるので、オーディオ再生開始時にクロック周波数を変更することができ、オーディオ再生の途中でクロック周波数を変更する必要がなくなる。これにより、従来のようにクロックを制御する回路が複雑になることはなく、回路構成を簡略化することができる。また、ストリームデータの欠落を防止するためのバッファメモリも不要となる。このように、回路構成が簡略化され、バッファメモリも不要となるので、これらが必要とする電力を削減することができる。
【0031】
(第2の実施形態)
図4は本発明の第2の実施形態に係る音楽再生装置の構成を示すブロック図である。前記第1の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付すことによりその説明を省略する。第2の実施形態では、信号処理装置を構成するLSI1は、さらにプレイリスト解析部15を有して構成される。
【0032】
プレイリスト解析部15は、記憶装置3内のプレイリスト情報を解析し、再生すべきトラック情報を特定し、特定したトラック情報をクロック判定部12に通知する機能を有する。その他の各部の構成は前記第1の実施形態と同様である。ここで、プレイリスト情報には、再生するトラックの順番などの情報が保持される。また、使用者は、入力装置6を介して記憶装置3内のプレイリスト情報を予め設定することが可能である。記憶装置3内には、少なくとも1つのプレイリスト情報が登録されている。
【0033】
図5は第2の実施形態の音楽再生装置におけるオーディオ再生処理手順を示すフローチャートである。この処理は、使用者から入力装置6を介してオーディオ再生開始の指示が入力されると、LSI1によって実行される。まず、記憶装置制御部13は、記憶装置3からプレイリスト情報を取得し、プレイリスト解析部15に転送する(ステップS21)。
【0034】
プレイリスト解析部15は、プレイリスト情報を解析し(ステップS22)、プレイリスト情報内のトラックを全て再生したか否かを判別する(ステップS23)。プレイリスト情報内のトラックを全て再生した場合、本処理を終了する。一方、プレイリスト情報内のトラックの再生が全て終了していない場合、前記第1の実施形態のステップS1〜S7の処理と同様、ステップS24〜S30の処理を行う。
【0035】
即ち、記憶装置制御部13は、記憶装置3からプレイリスト情報に登録された次のトラックのトラック情報を取得し、クロック判定部12に転送する(ステップS24)。クロック判定部12は、転送されたクロック情報を解析し、図2のテーブルを参照してデータフォーマットに対応するクロック周波数を選択し、クロック生成部11に通知する(ステップS25)。クロック生成部11は、通知されたクロック周波数に従って、LSI1の各部に供給されるクロック信号のクロック周波数を変更する(ステップS26)。
【0036】
そして、記憶装置制御部13は、クロック周波数が変更されるを待つ(ステップS27)。クロック周波数が変更されると、記憶装置制御部13は、記憶装置3から、再生すべきトラックに対応したオーディオデータを取得し、オーディオ再生部14に転送する(ステップS28)。オーディオ再生部14は、転送されたオーディオデータを受け取ると、オーディオデータに応じたオーディオ信号を生成し、オーディオ出力装置2に出力する(ステップS29)。オーディオ出力装置2は、入力したオーディオ信号を音に変換する。
【0037】
この後、記憶装置制御部13は、トラックの再生が終了したか否かを判別する(ステップS30)。再生が終了していない場合、ステップS29の処理に戻り、同様の処理を繰り返す。一方、トラックの再生が終了すると、ステップS23の処理に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0038】
このように、第2の実施形態の信号処理装置によれば、プレイリスト情報内のトラックを順番に再生する際、各々のトラックのデータフォーマットが異なっていても、最適なクロック周波数を選択して再生することができる。
【0039】
なお、上述した第2の実施形態では、LSI1は、入力装置3を介して使用者からオーディオ再生開始が指示されると、記憶装置3内のプレイリスト情報を取得してオーディオ再生動作を開始したが、一部構成を変更して、再生開始指示部の機能を有するホストCPUを用い、ホストCPUからの指示に従って、LSI1が自走して処理を実行するようにしてもよい。
【0040】
図6は第2の実施形態の音楽再生装置の変形例の構成を示すブロック図である。この変形例は、ホストCPU5からの指示に従ってLSI1が自走する場合の構成例である。LSI1には、バッテリ電源8から電力が供給されるホストCPU5が接続されており、入力装置6は接続されていない構成となっている。
【0041】
ホストCPU5から特定のプレイリスト情報を指定する情報がLSI1に送られると、LSI1は、前述した図5の処理と同様、指定された特定のプレイリスト情報を記憶装置3から取得してオーディオ再生動作を開始する。
【0042】
オーディオ再生動作を開始した後、LSI1はホストCPU5に依存することなく自走するので、ホストCPU5に対し、その電源を停止したり、あるいは最低クロック周波数に下げることが可能である。これにより、ホストCPU5が存在する音楽再生装置においても、低消費電力化を図ることができる。
【0043】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の信号処理装置及び音楽再生装置は、前記第2の実施形態と同一の構成を有するので、その説明を省略する。但し、第3の実施形態では、第2の実施形態と比べ、プレイリスト解析部15及びクロック判定部12の機能が異なる。
【0044】
即ち、プレイリスト解析部15は、記憶装置3内のプレイリスト情報を解析し、再生すべきトラック情報を特定し、特定したトラック情報をクロック判定部12に通知する機能に加え、再生すべきトラック情報が無くなった場合、LSI1のクロック周波数を必要最低限のクロック周波数に変更する通知を行う機能を有する。
【0045】
クロック判定部12は、記憶装置3内のトラック情報からデータフォーマットを解析し、解析したデータフォーマットの種類からクロック周波数を決定し、LSI1の各部(内部回路)に供給するクロック周波数をクロック生成部11に指定する機能に加え、プレイリスト解析部15からLSI1のクロック周波数を最低クロック周波数に変更する通知を受け取り、クロック生成部11に最低クロック周波数を指定する機能を有する。
【0046】
図7は第3の実施形態の音楽再生装置におけるオーディオ再生処理手順を示すフローチャートである。この処理は、使用者から入力装置6を介してオーディオ再生開始の指示が入力されると、LSI1によって実行される。まず、記憶装置制御部13は、前記第2の実施形態のステップS21〜S23の処理と同様、ステップS41〜S43の処理を行う。即ち、記憶装置制御部13は、記憶装置3からプレイリスト情報を取得し、プレイリスト解析部15に転送する(ステップS41)。
【0047】
プレイリスト解析部15は、プレイリスト情報を解析し(ステップS42)、プレイリスト情報内のトラックを全て再生したか否かを判別する(ステップS43)。プレイリスト情報内のトラックの再生が全て終了していない場合、前記第1の実施形態のステップS1〜S7や前記第2の実施形態のステップS24〜S30と同様、ステップS44〜S50の処理を行う。
【0048】
即ち、記憶装置制御部13は、記憶装置3からプレイリスト情報に登録された次のトラックのトラック情報を取得し、クロック判定部12に転送する(ステップS44)。クロック判定部12は、転送されたクロック情報を解析し、図2のテーブルを参照してデータフォーマットに対応するクロック周波数を選択し、クロック生成部11に通知する(ステップS45)。クロック生成部11は、通知されたクロック周波数に従って、LSI1の各部に供給されるクロック信号のクロック周波数を変更する(ステップS46)。
【0049】
そして、記憶装置制御部13は、クロック周波数が変更されるを待つ(ステップS47)。クロック周波数が変更されると、記憶装置制御部13は、記憶装置3から、再生すべきトラックに対応したオーディオデータを取得し、オーディオ再生部14に転送する(ステップS48)。オーディオ再生部14は、転送されたオーディオデータを受け取ると、オーディオデータに応じたオーディオ信号を生成し、オーディオ出力装置2に出力する(ステップS49)。オーディオ出力装置2は、入力したオーディオ信号を音に変換する。
【0050】
この後、記憶装置制御部13は、トラックの再生が終了したか否かを判別する(ステップS50)。再生が終了していない場合、ステップS49の処理に戻り、同様の処理を繰り返す。一方、トラックの再生が終了すると、ステップS43の処理に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0051】
また一方、ステップS43でプレイリスト情報内のトラックを全て再生した場合、プレイリスト解析部15は、クロック判定部12に対し、必要最低限のクロック周波数に設定するように通知する(ステップS51)。なお、必要最低限のクロック周波数に限らず、それに近い値のクロック周波数であってもよい。クロック判定部12は、プレイリスト解析部15から通知を受けると、クロック生成部11に必要最低限のクロック周波数に設定するように指示する(ステップS52)。そして、クロック生成部53は、この指示に従って、LSI1のクロック周波数を最低クロック周波数に変更する(ステップS53)。この後、本処理を終了する。
【0052】
このように、第3の実施形態の信号処理装置によれば、オーディオ再生動作を行っていない場合、LSI1の各部に供給されるクロック信号のクロック周波数を、必要最低限のクロック周波数に下げることができる。これにより、より一層の低消費電力を実現することができる。
【0053】
なお、本実施形態は、上記構成に限らず、種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施形態では、音楽再生装置に適用した場合を示したが、コンテンツデータを再生する他の電子機器として、動画像データなどを再生する動画再生装置、ゲーム機、これらの複合機、あるいはこれらの機能を有する携帯情報端末などに適用してもよい。動画再生装置に適用される場合、動画データのデータフォーマットとして、MPEG、Quicktime(登録商標)、AVIなどの記録フォーマットが挙げられる。すなわち、本実施形態の信号処理装置は、オーディオデータを再生する携帯型音楽再生機器や音楽再生機能を持つ携帯電話装置などの電子機器に搭載可能である。また、オーディオデータの再生に限らず、動画データ再生機能を持つ携帯端末機器などの用途にも応用できる。
【0054】
また、上記各実施形態のLSIは、ASIC(特定用途向け集積回路)で構成されるが、プログラマブルゲートアレイ、DSP、マイクロプロセッサ等を内蔵する回路で構成されてもよく、ROMに格納されたプログラムをプロセッサ等が実行することによって、上記LSIの機能を実現させることも可能である。
【0055】
上述したように、本実施形態によれば、無駄な電力消費を削減するとともに、再生中、動的にクロック周波数を変更する必要がなく、クロック信号を制御する回路の構成を簡素化することができる。また、再生中のストリームデータの欠落を防止するためのバッファメモリを不要にでき、より一層無駄な電力を削減できる。
【0056】
なお、本発明は上記の実施形態において示されたものに限定されるものではなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、無駄な電力消費を削減するとともに、再生中、動的にクロック周波数を変更する必要がなく、クロック信号を制御する回路の構成を簡素化することが可能となる効果を有し、オーディオデータなどのコンテンツデータを再生する際、内部回路に供給されるクロック信号のクロック周波数を変更可能な信号処理装置及びそのクロック供給方法、並びに電子機器等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る音楽再生装置の構成を示すブロック図
【図2】本実施形態においてデータフォーマットの種類から決定されるクロック周波数を示すテーブル
【図3】第1の実施形態の音楽再生装置におけるオーディオ再生処理手順を示すフローチャート
【図4】本発明の第2の実施形態に係る音楽再生装置の構成を示すブロック図
【図5】第2の実施形態の音楽再生装置におけるオーディオ再生処理手順を示すフローチャート
【図6】第2の実施形態の音楽再生装置の変形例の構成を示すブロック図
【図7】第3の実施形態の音楽再生装置におけるオーディオ再生処理手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0059】
1 LSI(信号処理装置)
2 オーディオ出力装置
3 記憶装置
5 ホストCPU
6 入力装置
11 クロック生成部
12 クロック判定部
13 記憶装置制御部
14 オーディオ再生部
15 プレイリスト解析部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶装置に記録されたコンテンツデータを出力装置で再生するための信号処理を行う信号処理装置であって、
前記記憶装置に記録されている前記コンテンツデータのデータフォーマットを取得するデータフォーマット取得部と、
前記取得したデータフォーマットに対応するクロック周波数を決定するクロック周波数決定部と、
前記決定されたクロック周波数のクロック信号を生成し、当該信号処理装置の各部に供給するクロック生成部と
を備える信号処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の信号処理装置であって、
前記コンテンツデータの再生開始を指示する再生開始指示部を備え、
前記データフォーマット取得部は、前記再生開始が指示されると、前記コンテンツデータに関するトラック情報を取得し、このトラック情報から前記データフォーマットを解析して取得する信号処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の信号処理装置であって、
前記コンテンツデータを再生する順番が記述されたプレイリスト情報を取得するプレイリスト情報取得部を備え、
前記データフォーマット取得部は、前記コンテンツデータのトラックの再生が終了する度に、次のコンテンツデータに関するトラック情報を取得する信号処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の信号処理装置であって、
前記クロック周波数決定部は、当該信号処理装置が前記記憶装置に記録されているコンテンツデータを再生しない状態にある場合、当該信号処理装置の動作に必要とされる略最低限のクロック周波数に設定する信号処理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の信号処理装置の各機能が搭載されたLSIからなる信号処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の信号処理装置と、前記コンテンツデータが記録された記憶装置と、前記コンテンツデータを再生する出力装置とを備えた電子機器。
【請求項7】
記憶装置に記録されたコンテンツデータを出力装置で再生するための信号処理を行う信号処理装置のクロック供給方法であって、
前記記憶装置に記録されている前記コンテンツデータのデータフォーマットを取得するデータフォーマット取得ステップと、
前記取得したデータフォーマットに対応するクロック周波数を決定するクロック周波数決定ステップと、
前記決定されたクロック周波数のクロック信号を生成し、当該信号処理装置の各部に供給するクロック生成ステップと
を有する信号処理装置のクロック供給方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−77755(P2008−77755A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−255777(P2006−255777)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】