説明

信号出力装置および電子制御装置

【課題】回転体の回転角度が出力信号の出力レベルを反転させるべき目的の角度になっても、特定の基準タイミングから規定時間が経過するまでは出力信号を反転させない、という時間制限機能を実現するために必要なソフトウェア処理負荷を低減する
【解決手段】第1タイマモジュール31(第2タイマモジュール32)は、クランク軸の回転に同期してカウント動作する角度カウンタ41の値がレジスタ42の値に達し、且つ、予め設定された動作開始条件が成立するとプリセット値からのダウンカウント動作を開始するダウンカウンタ51の値がレジスタ52の値に一致した場合に、第1タイマ出力信号(第2タイマ出力信号)の出力レベルを、所定のパルスオン時間が経過するまでハイにする。そして動作開始条件は、第2タイマ出力信号(第1タイマ出力信号)の出力レベルがハイからローに反転したことである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力信号の出力レベルを回転体の回転角度に応じて変化させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のエンジンを制御する電子制御装置では、エンジンのクランク軸の回転に応じて所定角度毎にエッジが生じるクランク信号をクランクセンサから入力して、エンジンの1サイクルにおけるクランク軸の回転角度(いわゆるクランク角)を表す角度カウンタを、上記クランク信号に基づきカウント動作させ、その角度カウンタのカウント値によりクランク角を把握するようになっており、その角度カウンタのカウント値が目的のクランク角に該当する設定値と一致したら、燃料噴射弁や点火装置を作動させるための信号の出力を行う(例えば、出力信号の出力レベルをローレベルからハイレベルに反転させる)ようになっている。
【0003】
そして、出力信号をローレベルからハイレベルに反転させるべき目的の角度にクランク軸の回転角度が達しても、出力信号における前回のレベル反転(すなわち、ハイレベルからローレベルへの反転)から規定時間が経過するまでは出力信号を反転させない、という時間制限機能を実現するために、出力信号がハイレベルからローレベルに反転した時刻から規定時間が経過した時点での時刻を設定し、この設定時刻以前で出力信号がローレベルからハイレベルに反転することを禁止するように構成された信号出力装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−64015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の技術では、出力信号がハイレベルからローレベルに反転した時刻から規定時間が経過した時点での時刻を算出するというソフトウェア処理が必要であるため、このソフトウェア処理に要する時間より短い時間制限を行うことができないという問題があった。
【0006】
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであり、クランク軸などの回転体の回転角度が出力信号の出力レベルを反転させるべき目的の角度になっても、特定の基準タイミングから規定時間が経過するまでは出力信号を反転させない、という時間制限機能を実現するために必要なソフトウェア処理負荷を低減する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の信号出力装置では、角度カウンタが、回転体の回転に同期してカウント動作し、さらに角度比較回路が、角度カウンタの値と、角度カウンタの値と比較される値がセットされる角度レジスタの値とを比較し、角度カウンタの値が角度レジスタの値に達すると、角度一致信号を出力する。
【0008】
また時間ダウンカウンタが、予め設定された動作開始条件が成立すると、予め設定されたプリセット値から一定時間毎にカウント値を減算させるダウンカウント動作を開始し、さらに時間比較回路が、時間ダウンカウンタの値と、時間ダウンカウンタの値と比較される値がセットされる時間レジスタの値とを比較し、時間ダウンカウンタの値が時間レジスタの値に一致すると、時間一致信号を出力する。
【0009】
そして信号出力制御手段が、角度比較回路から角度一致信号が出力され、且つ、時間比較回路から時間一致信号が出力されると、出力信号の出力レベルを、ハイレベルとローレベルとのうちの一方である特定レベルから、特定レベルに対して反対のレベルである特定反対レベルに反転させ、その後、予め設定された信号出力時間が経過すると、出力信号の出力レベルを特定反対レベルから特定レベルに反転させる。
【0010】
なお、上記の動作開始条件は、出力信号の出力レベルが特定反対レベルから特定レベルに反転したことである。
このように構成された信号出力装置では、出力信号の出力レベルが特定反対レベルから特定レベルに反転すると、時間ダウンカウンタが、予め設定されたプリセット値からのダウンカウント動作を開始し、時間ダウンカウンタの値が時間レジスタの値に一致すると、時間一致信号を出力する。
【0011】
そして、角度比較回路から角度一致信号が出力され、且つ、時間比較回路から時間一致信号が出力されると、出力信号の出力レベルが特定レベルから特定反対レベルに反転する。
【0012】
すなわち、出力信号の出力レベルが特定反対レベルから特定レベルに反転してから、時間ダウンカウンタのプリセット値と時間レジスタの値との差に相当する時間が経過するまでは、その前に角度カウンタの値が角度レジスタの値に達したとしても、出力信号の出力レベルが特定レベルから特定反対レベルに反転しない。
【0013】
このため、回転体の回転角度が出力信号の出力レベルを特定レベルから反転させるべき目的の出力反転角度になっても、特定の基準タイミングから規定時間が経過するまでは出力信号を反転させない、という時間制限機能を実現したい場合には、その出力反転角度の値を角度レジスタにセットするとともに、時間レジスタの値との差が規定時間に相当する値をプリセット値として時間ダウンカウンタにセットするだけでよい。
【0014】
すなわち、このように構成された請求項1に記載の信号出力装置によれば、特定の基準タイミングから規定時間が経過した時点での時刻を算出するというソフトウェア処理が不要になるため、上記の時間制限機能を実現するために必要なソフトウェア処理負荷を低減することができる。
【0015】
また、請求項2および請求項3に記載の信号出力装置のように、角度カウンタ、角度レジスタ、角度比較回路、時間ダウンカウンタ、時間レジスタ、時間比較回路、および信号出力制御手段から構成される第1信号出力手段と、第1信号出力手段とは別に、角度カウンタ、角度レジスタ、角度比較回路、時間ダウンカウンタ、時間レジスタ、時間比較回路、および信号出力制御手段から構成される第2信号出力手段とを備えている場合には、第1信号出力手段の角度レジスタに第1出力反転角度の値をセットするとともに、第2信号出力手段の角度レジスタに第2出力反転角度の値をセットすることによって、第1信号出力手段および第2信号出力手段からそれぞれ異なる回転角度になったときに出力信号を出力させることができる。
【0016】
そして、請求項2に記載の信号出力装置では、第1信号出力手段における動作開始条件は、第2信号出力手段から出力される出力信号の出力レベルが特定反対レベルから特定レベルに反転したことであり、第2信号出力手段における動作開始条件は、第1信号出力手段から出力される出力信号の出力レベルが特定反対レベルから特定レベルに反転したことである。
【0017】
このように構成された信号出力装置では、第2信号出力手段から出力される出力信号の出力レベルが特定反対レベルから特定レベルに反転すると、第1信号出力手段における時間ダウンカウンタが、プリセット値からのダウンカウント動作を開始し、時間ダウンカウンタの値が時間レジスタの値に一致すると、時間一致信号を出力する。そして、角度比較回路から角度一致信号が出力され、且つ、時間比較回路から時間一致信号が出力されると、第1信号出力手段における出力信号の出力レベルが特定レベルから特定反対レベルに反転する。
【0018】
一方、第1信号出力手段から出力される出力信号の出力レベルが特定反対レベルから特定レベルに反転すると、第2信号出力手段における時間ダウンカウンタが、予め設定されたプリセット値からのダウンカウント動作を開始し、時間ダウンカウンタの値が時間レジスタの値に一致すると、時間一致信号を出力する。そして、角度比較回路から角度一致信号が出力され、且つ、時間比較回路から時間一致信号が出力されると、第2信号出力手段における出力信号の出力レベルが特定レベルから特定反対レベルに反転する。
【0019】
また、請求項3に記載の信号出力装置では、第1信号出力手段における動作開始条件は、第1信号出力手段の信号出力制御手段から出力される出力信号の出力レベルが特定反対レベルから特定レベルに反転したことであり、第2信号出力手段における動作開始条件は、第2信号出力手段の信号出力制御手段から出力される出力信号の出力レベルが特定反対レベルから特定レベルに反転したことであり、第1信号出力手段の信号出力制御手段は、第1信号出力手段の角度比較回路から角度一致信号が出力され、且つ、第2信号出力手段の時間比較回路から時間一致信号が出力されると、出力信号の出力レベルを、特定レベルから特定反対レベルに反転させ、第2信号出力手段の信号出力制御手段は、第2信号出力手段の角度比較回路から角度一致信号が出力され、且つ、第1信号出力手段の時間比較回路から時間一致信号が出力されると、出力信号の出力レベルを、特定レベルから特定反対レベルに反転させる。
【0020】
このように構成された信号出力装置では、第1信号出力手段から出力される出力信号の出力レベルが特定反対レベルから特定レベルに反転すると、第1信号出力手段における時間ダウンカウンタが、プリセット値からのダウンカウント動作を開始し、時間ダウンカウンタの値が時間レジスタの値に一致すると、第1信号出力手段の時間比較回路が時間一致信号を出力する。そして、第2信号出力手段の角度比較回路から角度一致信号が出力され、且つ、第1信号出力手段の時間比較回路から時間一致信号が出力されると、第2信号出力手段における出力信号の出力レベルが特定レベルから特定反対レベルに反転する。
【0021】
一方、第2信号出力手段から出力される出力信号の出力レベルが特定反対レベルから特定レベルに反転すると、第2信号出力手段における時間ダウンカウンタが、プリセット値からのダウンカウント動作を開始し、時間ダウンカウンタの値が時間レジスタの値に一致すると、第2信号出力手段の時間比較回路が時間一致信号を出力する。そして、第1信号出力手段の角度比較回路から角度一致信号が出力され、且つ、第2信号出力手段の時間比較回路から時間一致信号が出力されると、第1信号出力手段における出力信号の出力レベルが特定レベルから特定反対レベルに反転する。
【0022】
したがって、請求項2および請求項3に記載の信号出力装置によれば、回転体の回転角度が出力信号の出力レベルを特定レベルから反転させるべき目的の第1出力反転角度(第2出力反転角度)になっても、第2信号出力手段(第1信号出力手段)における出力信号の出力レベルが特定反対レベルから特定レベルに反転してから規定時間が経過するまでは、第1信号出力手段(第2信号出力手段)における出力信号を反転させない、という時間制限機能を実現することができる。すなわち、特定の基準タイミングから規定時間が経過するまでは出力信号を反転させないという時間制限機能を、それぞれ異なる回転角度になったときに出力信号を出力する第1信号出力手段および第2信号出力手段との間で実現することができる。
【0023】
また、請求項4に記載の電子制御装置は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の信号出力装置と、値設定処理手段とを備え、値設定処理手段は、出力信号の出力レベルを特定レベルから反転させるべき回転体の回転角度である出力反転角度の値を角度レジスタにセットするとともに、出力信号の出力を禁止する禁止時間分のカウント値をプリセット値として時間ダウンカウンタにセットする。
【0024】
このように構成された電子制御装置は、請求項1〜請求項3に記載の信号出力装置を用いて上記の時間制限機能を実現するものであり、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の信号出力装置と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】ECU11の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態のタイマモジュール29の構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態のダウンカウンタ制御回路55の動作を表す一覧表である。
【図4】初期設定処理、第1,2パルス設定処理を示すフローチャートである。
【図5】第1実施形態のタイマモジュール31,32の動作を示すタイミングチャートである。
【図6】第2実施形態のタイマモジュール29の構成を示すブロック図である。
【図7】時間コンペアマッチ信号選択部48の動作を表す一覧表である。
【図8】初期設定処理を示すフローチャートである。
【図9】第2実施形態のタイマモジュール31,32の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施形態)
以下に本発明の第1実施形態について図面とともに説明する。
図1は、本実施形態の電子制御装置(以下、ECUという)11の構成を示すブロック図である。
【0027】
ECU11は、図1に示すように、車両の内燃機関型エンジンを制御するエンジン制御装置であり、エンジン1を制御するための様々な処理を行うマイコン(マイクロコンピュータ)13と、当該ECU11の外部とマイコン13との間で信号の入出力を行わせるための外部入出力回路15とを備えている。
【0028】
また、ECU11の外部には、エンジン1に燃料を噴射するインジェクタ(電磁式燃料噴射弁)2、エンジン1の点火プラグを着火させるためのイグナイタ(点火装置)3、エンジン1の吸入空気量を調節する電子スロットル4、エンジン1のクランク軸の回転に応じて所定角度毎(例えば30°CA毎)にエッジが生じるクランク信号を出力するクランクセンサ5、エンジン1の冷却水の温度を検出する水温センサ6、および電子スロットル4の開度を検出するスロットルセンサ7など、エンジン1を運転させるための各種アクチュエータおよびエンジン1の運転状態を検出するための各種センサが接続されている。
【0029】
そして、クランクセンサ5からのクランク信号など、ハイレベルとローレベルとに変化する信号については、外部入出力回路15により波形整形されてマイコン13に入力され、水温センサ6およびスロットルセンサ7からの信号など、アナログ信号については、外部入出力回路15に備えられたA/D変換器(図示省略)によりデジタル信号に変換されてマイコン13に入力される。
【0030】
また各種アクチュエータには、マイコン13からの駆動信号に従い外部入出力回路15を介して駆動電流が供給される。特にインジェクタ2は、マイコン13から出力される噴射パルス信号がハイレベルのときに通電されて開弁する。またイグナイタ3は、マイコン13から出力される点火パルス信号がハイレベルのときに通電され、その点火パルス信号がローレベルに戻って通電が遮断されたときに、点火プラグに火花を発生させる。
【0031】
一方、マイコン13には、周知のCPU21、ROM23、RAM25、および入出力ポート27などに加え、噴射パルス信号と点火パルス信号を出力するための回路としてタイマ(TIMER)モジュール29が備えられている。
【0032】
図2は、タイマモジュール29の構成を示すブロック図である。
タイマモジュール29は、エンジンの各気筒に対応して設けられ、本実施形態では、図2に示すように、エンジンの第1気筒に対応する第1タイマモジュール31と、エンジンの第2気筒に対応する第2タイマモジュール32とから構成される。
【0033】
そしてタイマモジュール31,32は、角度カウンタ41と、コンペアマッチレジスタ42と、比較回路43と、ダウンカウント開始制御部44と、ダウンカウント出力制御部45と、ダウンカウンタ46とを備えている。
【0034】
これらのうち角度カウンタ41は、クランクセンサ5からのクランク信号に基づき、そのクランク信号に有効なエッジが生じる上記所定角度よりも小さい分解能でカウント動作して、そのカウント値がクランク角(エンジン1の1サイクルにおけるクランク軸の回転角度)を上記分解能で表すカウンタである。つまり、マイコン13では、角度カウンタ41のカウント制御を行うための図示しないカウント制御回路が、クランク信号から、そのクランク信号を逓倍した逓倍クロック(詳しくは、周期がクランク信号の周期の逓倍数分の1であるクロック)を生成し、その逓倍クロックにより角度カウンタ41を繰り返しカウント動作させている。なお、このようなカウント制御回路の構成と作用については公知であるため、詳細な説明を省略する。
【0035】
またコンペアマッチレジスタ42は、角度カウンタ41の値と比較される値がセットされるレジスタである。
また比較回路43は、角度カウンタ41の値とコンペアマッチレジスタ42の値とを比較して、角度カウンタ41の値がコンペアマッチレジスタ42の値に達すると、コンペアマッチ信号を出力する。以下、比較回路43から出力されるコンペアマッチ信号を角度コンペアマッチ信号という。なお比較回路43は、角度コンペアマッチ信号を出力すると、CPU21によりリセットされるまで、その角度コンペアマッチ信号を出力し続けるラッチ回路(図示省略)を有している。
【0036】
またダウンカウント開始制御部44は、ダウンカウンタ51と、コンペアマッチレジスタ52と、比較回路53と、レジスタ54と、ダウンカウンタ制御回路55とを備えている。
【0037】
そしてダウンカウンタ51は、任意の時間に相当する値(データ)をダウンカウンタ制御回路55によりプリセットすることが可能であり、ダウンカウンタ制御回路55からのダウンカウント開始信号を受けると、マイコン13における内部クロックに従いプリセット値からのダウンカウント動作を開始し、そのカウント値が0になる(すなわち、プリセット値に相当するタイマ時間が経過する)とダウンカウント動作を終了する。
【0038】
またコンペアマッチレジスタ52は、ダウンカウンタ51の値と比較される固定値として0がセットされているレジスタである。
また比較回路53は、比較回路43と同様の構成を有しており、ダウンカウンタ51の値とコンペアマッチレジスタ52の値とを比較して、カウンタ51の値がコンペアマッチレジスタ52の値に達すると、コンペアマッチ信号を出力する。以下、比較回路53から出力されるコンペアマッチ信号を時間コンペアマッチ信号という。
【0039】
またレジスタ54は、ダウンカウンタ51の上記プリセット値がダウンカウンタ制御回路55によりセットされるレジスタである。
またダウンカウンタ制御回路55は、後述のモード設定値に基づいて、第1タイマモジュール31および第2タイマモジュール32の少なくとも何れか一方のダウンカウンタ46からの出力信号を入力し、ダウンカウンタ51に上記プリセット値をセットする処理と、ダウンカウンタ51のダウンカウント動作を開始する処理とを実行する。
【0040】
次にダウンカウント出力制御部45は、比較回路43の角度コンペアマッチ信号および比較回路53の時間コンペアマッチ信号の両方が入力すると、パルスオントリガ信号を生成し、生成した信号をダウンカウンタ46へ出力する。なおパルスオントリガ信号は、ダウンカウンタ46からの出力信号の出力レベルをアクティブレベル(本実施形態ではハイレベル)に変化させるための信号である。
【0041】
またダウンカウンタ46は、CPU21により任意の時間に相当する値(データ)がプリセット可能であり、ダウンカウント出力制御部45からのパルスオントリガ信号を受けると、噴射パルス信号または点火パルス信号としての出力信号をローからハイに反転させるとともに、マイコン13における内部クロックに従いプリセット値からのダウンカウント動作を開始し、そのカウント値が0になる(すなわち、プリセット値に相当するタイマ時間が経過する)と、出力信号をハイからローに戻す。
【0042】
次に、ダウンカウンタ制御回路55の動作モードについて図3を用い説明する。図3は、ダウンカウンタ制御回路55の動作を表す一覧表である。なお、図3の一覧表において、「設定値」とは、CPU21によって設定される動作モードの設定値(以下、モード設定値という)である。
【0043】
図3に示すように、ダウンカウンタ制御回路55は、CPU21から与えられるモード設定値により、0〜2の何れかの動作モードに設定される。そして、その設定された動作モード毎の規則で、ダウンカウンタ51にプリセット値をセットする処理(以下、プリセット処理ともいう)と、ダウンカウンタ51のダウンカウント動作を開始する処理(以下、ダウン開始処理ともいう)とを実行する。
【0044】
すなわち、「モード設定値=0」の場合には、第1タイマモジュール31のダウンカウンタ46からの出力信号(以下、第1タイマ出力信号という)がローレベルからハイレベルに変化したときにプリセット処理を実行するとともに、第1タイマ出力信号がハイレベルからローレベルに変化したときにダウン開始処理を実行する。なお第1タイマ出力信号は、第1タイマモジュール31から出力される噴射パルス信号または点火パルス信号である。
【0045】
また、「モード設定値=1」の場合には、第2タイマモジュール32のダウンカウンタ46からの出力信号(以下、第2タイマ出力信号という)がローレベルからハイレベルに変化したときにプリセット処理を実行するとともに第2タイマ出力信号がハイレベルからローレベルに変化したときにダウン開始処理を実行する。なお第1タイマ出力信号は、第2タイマモジュール32から出力される噴射パルス信号または点火パルス信号である。
【0046】
また、「モード設定値=2」の場合には、第1,2タイマ出力信号の何れかがローレベルからハイレベルに変化したときにプリセット処理を実行するとともに、第1,2タイマ出力信号の何れかがハイレベルからローレベルに変化したときにダウン開始処理を実行する。
【0047】
次に、上記のタイマモジュール29を用いて噴射パルス信号または点火パルス信号を出力するためにCPU21が実行する処理について、図4のフローチャート用いて説明する。
【0048】
まず図4(a)は、ECU11が起動した直後に1回のみ実行する初期設定処理を示すフローチャートである。
図4(a)に示すように、CPU21が初期設定処理の実行を開始すると、まずS10にて、第1タイマモジュール31のレジスタ54に、ダウンカウンタ51の上記プリセット値として時間TLに相当する値をセットする。なお時間TLは、第1タイマ出力信号がローになってから第2タイマ出力信号がハイになるまで、および第2タイマ出力信号がローになってから第1タイマ出力信号がハイになるまでの時間間隔の最小値として規定されている時間である。以下、時間TLを規定時間TLともいう。
【0049】
そしてS20にて、第1タイマモジュール31のダウンカウンタ制御回路55のモード設定値を「1」に設定する。
さらにS30にて、第2タイマモジュール32のレジスタ54に、ダウンカウンタ51の上記プリセット値として時間TLに相当する値をセットする。そしてS40にて、第2タイマモジュール32のダウンカウンタ制御回路55のモード設定値を「0」に設定して、初期設定処理を終了する。
【0050】
またCPU21は、図示しない別の制御処理により、各種センサからの信号に基づきエンジン1の運転状態を検出するとともに、その検出結果を用いて、第1タイマ出力信号がローからハイへ変化する角度a1(以下、第1パルスオン角度a1という)と、第1タイマ出力信号をハイレベルにしている時間T1(以下、第1パルスオン時間T1という)と、第2タイマ出力信号がローからハイへ変化する角度a2(以下、第2パルスオン角度a2という)と、第2タイマ出力信号をハイレベルにしている時間T2(以下、第2パルスオン時間T2という)とを算出する。
【0051】
図4(b)は、第1タイマモジュール31から第1タイマ出力信号を出力するためにCPU21が実行する第1パルス設定処理を示すフローチャートである。なお、この第1パルス設定処理は、クランク角が、第1パルスオン角度a1となる前の任意のタイミングで実行される。
【0052】
そして、CPU21が第1パルス設定処理の実行を開始すると、図4(b)に示すように、まずS110にて、第1タイマモジュール31のコンペアマッチレジスタ42に第1パルスオン角度a1に相当する値をセットする。そしてS120にて、第1タイマモジュール31のダウンカウンタ46に、プリセット値として第1パルスオン時間T1に相当する値をセットし、第1パルス設定処理を終了する。
【0053】
図4(c)は、第2タイマモジュール32から第2タイマ出力信号を出力するためにCPU21が実行する第2パルス設定処理を示すフローチャートである。なお、この第2パルス設定処理は、クランク角が、第2パルスオン角度a2となる前の任意のタイミングで実行される。
【0054】
そして、CPU21が第2パルス設定処理の実行を開始すると、図4(c)に示すように、まずS210にて、第2タイマモジュール32のコンペアマッチレジスタ42に第2パルスオン角度a2に相当する値をセットする。そしてS220にて、第2タイマモジュール32のダウンカウンタ46に、プリセット値として第2パルスオン時間T2に相当する値をセットし、第2パルス設定処理を終了する。
【0055】
次に、このように構成されたECU11の動作を図5を用いて説明する。図5は、タイマモジュール31,32の動作を示すタイミングチャートである。
まず、図5に示すように、角度カウンタ41の値が第1パルスオン角度a1になって、第1タイマモジュール31の比較回路43から角度コンペアマッチ信号が出力されたとき(すなわち、角度コンペアマッチ信号がハイになったとき)に(時刻t1を参照)、ダウンカウント出力制御部45からのパルスオントリガ信号がハイになって、第1タイマモジュール31のダウンカウンタ46からの出力信号(第1タイマ出力信号)がローからハイになる。また、これと同時に、第1タイマモジュール31のダウンカウンタ46でダウンカウント動作が開始されるとともに、第2タイマモジュール32のダウンカウンタ51のカウント値が規定時間TLに相当する値にセットされ、さらに第2タイマモジュール32の角度コンペアマッチ信号がハイからローになる。
【0056】
その後、第1パルスオン時間T1が経過してダウンカウンタ46のカウント値が0になると(時刻t2を参照)、第1タイマ出力信号がハイからローに戻るとともに、第2タイマモジュール32のダウンカウンタ51でダウンカウント動作が開始される。
【0057】
もし、第1タイマ出力信号のパルスオフ時刻t2から規定時間TLが経過した時刻t4よりも前に、クランク角が第2タイマ出力開始角度a2になった場合には(時刻t3を参照)、第2タイマモジュール32の比較回路43から角度コンペアマッチ信号が出力される(すなわち、角度コンペアマッチ信号がハイになる)。
【0058】
その後、第2タイマモジュール32において、ダウンカウンタ51のカウント値が0になって、比較回路53から時間コンペアマッチ信号が出力されたとき(すなわち、時間コンペアマッチ信号がハイになったとき)に(時刻t4を参照)、ダウンカウント出力制御部45からのパルスオントリガ信号がハイになって、第2タイマモジュール32のダウンカウンタ46からの出力信号(第2タイマ出力信号)がローからハイになる。また、これと同時に、第2タイマモジュール32のダウンカウンタ46でダウンカウント動作が開始されるとともに、第1タイマモジュール31のダウンカウンタ51のカウント値が規定時間TLに相当する値にセットされ、さらに第1タイマモジュール31の角度コンペアマッチ信号がハイからローになる。
【0059】
その後、第2タイマモジュール32において、時間T2が経過してダウンカウンタ46のカウント値が0になると(時刻t5を参照)、第2タイマ出力信号がハイからローに戻るとともに、第1タイマモジュール31のダウンカウンタ51でダウンカウント動作が開始される。そして、第2タイマ出力信号のパルスオフ時刻t5から規定時間TLが経過して、第1タイマモジュール31のダウンカウンタ51のカウント値が0になると(時刻t6を参照)、第1タイマモジュール31の比較回路53から時間コンペアマッチ信号が出力される(すなわち、時間コンペアマッチ信号がハイになる)。
【0060】
一方、もし、第1タイマ出力信号のパルスオフ時刻t2から規定時間TLが経過した時刻t4よりも後に、クランク角が第2タイマ出力開始角度a2になった場合には(不図示)、第2タイマモジュール32において、角度カウンタ41の値がコンペアマッチレジスタ42にセットされた第2タイマ出力開始角度a2になるよりも先に、ダウンカウンタ51のカウント値が0になり、比較回路53からの時間コンペアマッチ信号がハイになる。
【0061】
そして、その後、角度カウンタ41の値が第2タイマ出力開始角度a2になって、比較回路43からの角度コンペアマッチ信号がハイになった時に、ダウンカウント出力制御部45からのパルスオントリガ信号がハイになって、第2タイマモジュール32のダウンカウンタ46からの出力信号(第2タイマ出力信号)がローからハイになる。
【0062】
このように構成されたECU11では、第1タイマモジュール31(第2タイマモジュール32)の角度カウンタ41が、クランク軸の回転に同期してカウント動作し、さらに、第1タイマモジュール31(第2タイマモジュール32)の比較回路43が、第1タイマモジュール31(第2タイマモジュール32)の角度カウンタ41の値と、第1タイマモジュール31(第2タイマモジュール32)の角度カウンタ41の値と比較される値がセットされるコンペアマッチレジスタ42の値とを比較し、角度カウンタ41の値がコンペアマッチレジスタ42の値に達すると、角度コンペアマッチ信号を出力する。
【0063】
また、第1タイマモジュール31(第2タイマモジュール32)のダウンカウンタ51は、第2タイマ出力信号(第1タイマ出力信号)の出力レベルがハイからローに反転すると、プリセット値からのダウンカウント動作を開始し、さらに、第1タイマモジュール31(第2タイマモジュール32)の比較回路53は、第1タイマモジュール31(第2タイマモジュール32)のダウンカウンタ51の値と、第1タイマモジュール31(第2タイマモジュール32)のダウンカウンタ51の値と比較される値がセットされるコンペアマッチレジスタ52とを比較し、ダウンカウンタ51の値がコンペアマッチレジスタ52の値に一致すると、時間コンペアマッチ信号を出力する。
【0064】
そして、第1タイマモジュール31(第2タイマモジュール32)のダウンカウンタ46は、第1タイマモジュール31(第2タイマモジュール32)の比較回路43から角度コンペアマッチ信号が出力され、且つ、第1タイマモジュール31(第2タイマモジュール32)の比較回路53から時間コンペアマッチ信号が出力されると、第1タイマ出力信号(第2タイマ出力信号)の出力レベルを、ローからハイに反転させ、その後、予め設定された第1パルスオン時間T1(第2パルスオン時間T2)が経過すると、第1タイマ出力信号(第2タイマ出力信号)の出力レベルをハイからローに反転させる。
【0065】
すなわち、第2タイマ出力信号(第1タイマ出力信号)の出力レベルがハイからローに反転してから、ダウンカウンタ51のプリセット値とコンペアマッチレジスタ52の値との差に相当する時間が経過するまでは、その前に角度カウンタ41の値がコンペアマッチレジスタ42の値に達したとしても、第1タイマ出力信号(第2タイマ出力信号)の出力レベルがローからハイに反転しない。
【0066】
このため、クランク軸の回転角度が第1タイマ出力信号(第2タイマ出力信号)の出力レベルをローから反転させるべき目的の出力反転角度になっても、特定の基準タイミングから規定時間が経過するまでは第1タイマ出力信号(第2タイマ出力信号)を反転させない、という時間制限機能を実現したい場合には、その出力反転角度の値をコンペアマッチレジスタ42にセットするとともに、コンペアマッチレジスタ52の値との差が規定時間に相当する値をプリセット値としてダウンカウンタ51にセットするだけでよい。
【0067】
すなわち、このように構成されたECU11によれば、特定の基準タイミングから規定時間が経過した時点での時刻を算出するというソフトウェア処理が不要になるため、上記の時間制限機能を実現するために必要なソフトウェア処理負荷を低減することができる。
【0068】
以上説明した実施形態において、タイマモジュール29は本発明における信号出力装置、角度カウンタ41は本発明における角度カウンタ、コンペアマッチレジスタ42は本発明における角度レジスタ、比較回路43は本発明における角度比較回路、ダウンカウンタ51およびダウンカウンタ制御回路55は本発明における時間ダウンカウンタ、コンペアマッチレジスタ52は本発明における時間レジスタ、比較回路53は本発明における時間比較回路、ダウンカウント出力制御部45およびダウンカウンタ46は本発明における信号出力制御手段、タイマモジュール31は本発明における第1信号出力手段、タイマモジュール32は本発明における第2信号出力手段、S10,S30,S110,S210の処理は本発明における値設定処理手段である。
【0069】
また、角度コンペアマッチ信号は本発明における角度一致信号、時間コンペアマッチ信号は本発明における時間一致信号、ローレベルは本発明における特定レベル、ハイレベルは本発明における特定反対レベル、第1パルスオン時間T1および第2パルスオン時間T2は本発明における信号出力時間である。
【0070】
(第2実施形態)
以下に本発明の第2実施形態について図面とともに説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分のみを説明する。
【0071】
第2実施形態のECU11は、タイマモジュール29の構成と初期設定処理が変更された点以外は第1実施形態と同じである。
図6は、第2実施形態のタイマモジュール29の構成を示すブロック図である。図7は、時間コンペアマッチ信号選択部48の動作を表す一覧表である。
【0072】
図6に示すように、第2実施形態のタイマモジュール29は、時間コンペアマッチ信号選択部48が追加された点と、第1タイマモジュール31のダウンカウンタ制御回路55には第1,2タイマ出力信号のうち第1タイマ出力信号のみが入力される点と、第2タイマモジュール32のダウンカウンタ制御回路55には第1,2タイマ出力信号のうち第2タイマ出力信号のみが入力される点と、ダウンカウンタ制御回路55の動作が変更された点以外は第1実施形態と同じである。
【0073】
まず時間コンペアマッチ信号選択部48は、第1タイマモジュール31の比較回路53から出力される時間コンペアマッチ信号(以下、第1時間コンペアマッチ信号という)と、第2タイマモジュール32の比較回路53から出力される時間コンペアマッチ信号(以下、第2時間コンペアマッチ信号という)とを入力し、後述の初期設定処理で設定されるモード設定値に基づいて、第1,2時間コンペアマッチ信号の何れかを選択する処理を実行する。
【0074】
具体的には、時間コンペアマッチ信号選択部48は、「モード設定値=0」の場合に、入力した第1,2時間コンペアマッチ信号のうち第1時間コンペアマッチ信号のみを出力し、「モード設定値=1」の場合に、入力した第1,2時間コンペアマッチ信号のうち第2時間コンペアマッチ信号のみを出力する(図7を参照)。
【0075】
またダウンカウンタ制御回路55は、入力するタイマ出力信号(第1,2タイマ出力信号の何れか)がローレベルからハイレベルに変化したときにプリセット処理を実行するとともに、入力するタイマ出力信号がハイレベルからローレベルに変化したときにダウン開始処理を実行する。
【0076】
図8は、第2実施形態の初期設定処理を示すフローチャートである。
図8に示すように、CPU21が初期設定処理の実行を開始すると、まずS10にて、第1タイマモジュール31のレジスタ54に、ダウンカウンタ51の上記プリセット値として時間TLに相当する値をセットする。そしてS25にて、第1タイマモジュール31の時間コンペアマッチ信号選択部48のモード設定値を「1」に設定する。
【0077】
さらにS30にて、第2タイマモジュール32のレジスタ54に、ダウンカウンタ51の上記プリセット値として時間TLに相当する値をセットする。そしてS45にて、第2タイマモジュール32の時間コンペアマッチ信号選択部48のモード設定値を「0」に設定して、初期設定処理を終了する。
【0078】
次に、このように構成されたECU11の動作を図9を用いて説明する。図9は、第2実施形態のタイマモジュール31,32の動作を示すタイミングチャートである。
まず、図9に示すように、角度カウンタ41の値が第1パルスオン角度a1になって、第1タイマモジュール31の比較回路43から角度コンペアマッチ信号が出力されたとき(すなわち、角度コンペアマッチ信号がハイになったとき)に(時刻t1を参照)、ダウンカウント出力制御部45からのパルスオントリガ信号がハイになって、第1タイマモジュール31のダウンカウンタ46からの出力信号(第1タイマ出力信号)がローからハイになる。また、これと同時に、第1タイマモジュール31のダウンカウンタ46でダウンカウント動作が開始されるとともに、第1タイマモジュール31のダウンカウンタ51のカウント値が規定時間TLに相当する値にセットされ、さらに第1タイマモジュール31の角度コンペアマッチ信号がハイからローになる。
【0079】
その後、第1パルスオン時間T1が経過してダウンカウンタ46のカウント値が0になると(時刻t2を参照)、第1タイマ出力信号がハイからローに戻るとともに、第1タイマモジュール31のダウンカウンタ51でダウンカウント動作が開始される。
【0080】
もし、第1タイマ出力信号のパルスオフ時刻t2から規定時間TLが経過した時刻t4よりも前に、クランク角が第2タイマ出力開始角度a2になった場合には(時刻t3を参照)、第2タイマモジュール32の比較回路43から角度コンペアマッチ信号が出力される(すなわち、角度コンペアマッチ信号がハイになる)。
【0081】
その後、第1タイマモジュール31において、ダウンカウンタ51のカウント値が0になって、比較回路53から時間コンペアマッチ信号が出力されたとき(すなわち、時間コンペアマッチ信号がハイになったとき)に(時刻t4を参照)、第2タイマモジュール32のダウンカウント出力制御部45からのパルスオントリガ信号がハイになって、第2タイマモジュール32のダウンカウンタ46からの出力信号(第2タイマ出力信号)がローからハイになる。また、これと同時に、第2タイマモジュール32のダウンカウンタ46でダウンカウント動作が開始されるとともに、第2タイマモジュール32のダウンカウンタ51のカウント値が規定時間TLに相当する値にセットされ、さらに第2タイマモジュール32の角度コンペアマッチ信号がハイからローになる。
【0082】
その後、第2タイマモジュール32において、時間T2が経過してダウンカウンタ46のカウント値が0になると(時刻t5を参照)、第2タイマ出力信号がハイからローに戻るとともに、第2タイマモジュール32のダウンカウンタ51でダウンカウント動作が開始される。そして、第2タイマ出力信号のパルスオフ時刻t5から規定時間TLが経過して、第2タイマモジュール32のダウンカウンタ51のカウント値が0になると(時刻t6を参照)、第2タイマモジュール32の比較回路53から時間コンペアマッチ信号が出力される(すなわち、時間コンペアマッチ信号がハイになる)。
【0083】
一方、もし、第1タイマ出力信号のパルスオフ時刻t2から規定時間TLが経過した時刻t4よりも後に、クランク角が第2タイマ出力開始角度a2になった場合には(不図示)、第2タイマモジュール32の角度カウンタ41の値がコンペアマッチレジスタ42にセットされた第2タイマ出力開始角度a2になるよりも先に、第1タイマモジュール31のダウンカウンタ51のカウント値が0になり、第1タイマモジュール31の比較回路53からの時間コンペアマッチ信号がハイになる。
【0084】
そして、その後、角度カウンタ41の値が第2タイマ出力開始角度a2になって、第2タイマモジュール32の比較回路43からの角度コンペアマッチ信号がハイになった時に、第2タイマモジュール32のダウンカウント出力制御部45からのパルスオントリガ信号がハイになって、第2タイマモジュール32のダウンカウンタ46からの出力信号(第2タイマ出力信号)がローからハイになる。
【0085】
このように構成されたECU11では、第1タイマモジュール31(第2タイマモジュール32)の角度カウンタ41が、クランク軸の回転に同期してカウント動作し、さらに、第1タイマモジュール31(第2タイマモジュール32)の比較回路43が、第1タイマモジュール31(第2タイマモジュール32)の角度カウンタ41の値と、第1タイマモジュール31(第2タイマモジュール32)の角度カウンタ41の値と比較される値がセットされるコンペアマッチレジスタ42の値とを比較し、角度カウンタ41の値がコンペアマッチレジスタ42の値に達すると、角度コンペアマッチ信号を出力する。
【0086】
また、第1タイマモジュール31(第2タイマモジュール32)のダウンカウンタ51は、第1タイマ出力信号(第2タイマ出力信号)の出力レベルがハイからローに反転すると、プリセット値からのダウンカウント動作を開始し、さらに、第1タイマモジュール31(第2タイマモジュール32)の比較回路53は、第1タイマモジュール31(第2タイマモジュール32)のダウンカウンタ51の値と、第1タイマモジュール31(第2タイマモジュール32)のダウンカウンタ51の値と比較される値がセットされるコンペアマッチレジスタ52とを比較し、ダウンカウンタ51の値がコンペアマッチレジスタ52の値に一致すると、時間コンペアマッチ信号を出力する。
【0087】
そして、第1タイマモジュール31(第2タイマモジュール32)のダウンカウンタ46は、第1タイマモジュール31(第2タイマモジュール32)の比較回路43から角度コンペアマッチ信号が出力され、且つ、第2タイマモジュール32(第1タイマモジュール31)の比較回路53から時間コンペアマッチ信号が出力されると、第1タイマ出力信号(第2タイマ出力信号)の出力レベルを、ローからハイに反転させ、その後、予め設定された第1パルスオン時間T1(第2パルスオン時間T2)が経過すると、第1タイマ出力信号(第2タイマ出力信号)の出力レベルをハイからローに反転させる。
【0088】
すなわち、第2タイマ出力信号(第1タイマ出力信号)の出力レベルがハイからローに反転してから、ダウンカウンタ51のプリセット値とコンペアマッチレジスタ52の値との差に相当する時間が経過するまでは、その前に角度カウンタ41の値がコンペアマッチレジスタ42の値に達したとしても、第1タイマ出力信号(第2タイマ出力信号)の出力レベルがローからハイに反転しない。
【0089】
このため、クランク軸の回転角度が第1タイマ出力信号(第2タイマ出力信号)の出力レベルをローから反転させるべき目的の出力反転角度になっても、特定の基準タイミングから規定時間が経過するまでは第1タイマ出力信号(第2タイマ出力信号)を反転させない、という時間制限機能を実現したい場合には、その出力反転角度の値をコンペアマッチレジスタ42にセットするとともに、コンペアマッチレジスタ52の値との差が規定時間に相当する値をプリセット値としてダウンカウンタ51にセットするだけでよい。
【0090】
すなわち、このように構成されたECU11によれば、特定の基準タイミングから規定時間が経過した時点での時刻を算出するというソフトウェア処理が不要になるため、上記の時間制限機能を実現するために必要なソフトウェア処理負荷を低減することができる。
【0091】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採ることができる。
例えば上記実施形態においては、タイマモジュール29が第1タイマモジュール31と第2タイマモジュール32の2つのタイマモジュールを備えるものを示したが、本発明は、3つ以上のタイマモジュールを備えている場合でも適用可能である。
【0092】
また、回転体はエンジンのクランク軸以外でもよい。
また、第1,2タイマ出力信号がローからハイに反転したタイミングをECU11が記憶するようにしてもよい。これにより、上記の時間制限のためにクランク軸の回転角度が出力反転角度になっても第1,2タイマ出力信号がローからハイに反転しなかった場合において実際に第1,2タイマ出力信号がローからハイに反転したタイミングを後で確認することができ、故障解析に用いることができる。
【符号の説明】
【0093】
1…エンジン、2…インジェクタ、3…イグナイタ、4…電子スロットル、5…クランクセンサ、6…水温センサ、7…スロットルセンサ、11…ECU、13…マイコン、15…外部入出力回路、21…CPU、23…ROM、25…RAM、27…入出力ポート、29…タイマモジュール、31…第1タイマモジュール、32…第2タイマモジュール、41…角度カウンタ、42…コンペアマッチレジスタ、43…比較回路、44…ダウンカウント開始制御部、45…ダウンカウント出力制御部、46…ダウンカウンタ、48…時間コンペアマッチ信号選択部、51…ダウンカウンタ、52…コンペアマッチレジスタ、53…比較回路、54…レジスタ、55…ダウンカウンタ制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体の回転角度に応じて出力信号の出力レベルを変化させる信号出力装置であって、
前記回転体の回転に同期してカウント動作するとともに、カウント値が前記回転体の回転角度を示す角度カウンタと、
前記角度カウンタの値と比較される値がセットされるレジスタである角度レジスタと、
前記角度カウンタの値と前記角度レジスタの値とを比較し、前記角度カウンタの値が前記角度レジスタの値に達すると、角度一致信号を出力する比較回路である角度比較回路と、
予め設定された動作開始条件が成立すると、予め設定されたプリセット値から一定時間毎にカウント値を減算させるダウンカウント動作を開始する時間ダウンカウンタと、
前記時間ダウンカウンタの値と比較される値がセットされるレジスタである時間レジスタと、
前記時間ダウンカウンタの値と前記時間レジスタの値とを比較し、前記時間ダウンカウンタの値が前記時間レジスタの値に一致すると、時間一致信号を出力する比較回路である時間比較回路と、
前記角度比較回路から前記角度一致信号が出力され、且つ、前記時間比較回路から前記時間一致信号が出力されると、前記出力信号の出力レベルを、ハイレベルとローレベルとのうちの一方である特定レベルから、前記特定レベルに対して反対のレベルである特定反対レベルに反転させ、その後、予め設定された信号出力時間が経過すると、前記出力信号の出力レベルを前記特定反対レベルから前記特定レベルに反転させる信号出力制御手段とを備え、
前記動作開始条件は、前記出力信号の出力レベルが前記特定反対レベルから前記特定レベルに反転したことである
ことを特徴とする信号出力装置。
【請求項2】
前記角度カウンタ、前記角度レジスタ、前記角度比較回路、前記時間ダウンカウンタ、前記時間レジスタ、前記時間比較回路、および前記信号出力制御手段から構成される第1信号出力手段と、
前記第1信号出力手段とは別に、前記角度カウンタ、前記角度レジスタ、前記角度比較回路、前記時間ダウンカウンタ、前記時間レジスタ、前記時間比較回路、および前記信号出力制御手段から構成される第2信号出力手段とを備え、
前記第1信号出力手段における前記動作開始条件は、前記第2信号出力手段から出力される前記出力信号の出力レベルが前記特定反対レベルから前記特定レベルに反転したことであり、
前記第2信号出力手段における前記動作開始条件は、前記第1信号出力手段から出力される前記出力信号の出力レベルが前記特定反対レベルから前記特定レベルに反転したことである
ことを特徴とする請求項1に記載の信号出力装置。
【請求項3】
前記角度カウンタ、前記角度レジスタ、前記角度比較回路、前記時間ダウンカウンタ、前記時間レジスタ、前記時間比較回路、および前記信号出力制御手段から構成される第1信号出力手段と、
前記第1信号出力手段とは別に、前記角度カウンタ、前記角度レジスタ、前記角度比較回路、前記時間ダウンカウンタ、前記時間レジスタ、前記時間比較回路、および前記信号出力制御手段から構成される第2信号出力手段とを備え、
前記第1信号出力手段における前記動作開始条件は、前記第1信号出力手段から出力される前記出力信号の出力レベルが前記特定反対レベルから前記特定レベルに反転したことであり、
前記第2信号出力手段における前記動作開始条件は、前記第2信号出力手段から出力される前記出力信号の出力レベルが前記特定反対レベルから前記特定レベルに反転したことであり、
前記第1信号出力手段の前記信号出力制御手段は、
前記第1信号出力手段の前記角度比較回路から前記角度一致信号が出力され、且つ、前記第2信号出力手段の前記時間比較回路から前記時間一致信号が出力されると、前記出力信号の出力レベルを、前記特定レベルから前記特定反対レベルに反転させ、
前記第2信号出力手段の前記信号出力制御手段は、
前記第2信号出力手段の前記角度比較回路から前記角度一致信号が出力され、且つ、前記第1信号出力手段の前記時間比較回路から前記時間一致信号が出力されると、前記出力信号の出力レベルを、前記特定レベルから前記特定反対レベルに反転させる
ことを特徴とする請求項1に記載の信号出力装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の信号出力装置と、
前記出力信号の出力レベルを前記特定レベルから反転させるべき前記回転体の回転角度である出力反転角度の値を前記角度レジスタにセットするとともに、前記出力信号の出力を禁止する禁止時間分のカウント値を前記プリセット値として前記時間ダウンカウンタにセットする値設定処理手段とを備える
ことを特徴とする電子制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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