説明

信号灯器及び交通信号制御機

【課題】 右折矢印ランプに黄表示部と矢印青表示部とを併せて備えることにより、矢印青表示部の消灯が間近いことを、同じ灯器内にある黄表示部の点灯により知らせ、右折を安全に且つ確実に指示することができる信号灯器を提供する。
【解決手段】 この右折矢印ランプ1は、青色の発光ダイオード2aを右方を指示する矢印形状となるよう複数配置して矢印青表示部2を構成すると共に、黄色の発光ダイオード3aを矢印青表示部2を包囲する円形面状となるよう複数配置して黄表示部3として構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号灯器及び交通信号制御機に関し、さらに詳しくは、信号灯器に併設された右折矢印ランプの構成と、その制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本の道路交通信号機の制御は、ステップ信号生成部から所定のピッチで出力されるステップ信号に基づいて1ステップ毎に信号灯器を切り替えるステップ制御方式により行われている。このステップ制御方式はステップ信号の変化がステップ単位にシリアルに行われるため、安全性の点では非常に優れた方式といえる。また、通常の信号機は青、黄、赤の三色のランプを備えているが、交通量が多い交差点においては、右折のみに通行権を与える右折矢印ランプを備えた信号機が使用される。この種の信号機にあっては、左折、直進、右折に通行権を与える青ランプの後に、右折矢印ランプを点灯表示する所謂、時差式制御が行われている。この場合、右折矢印ランプを点灯させた後に当該右折矢印による表示が終了間近であることを予告するために黄色ランプを点灯表示するようにしているが、この黄色ランプとしては通常の青色ランプの後に点灯する黄色ランプと同一の灯器を使用しているため、黄色の意味が紛らわしく、直進しようとしている車両が一瞬の黄色ランプの点灯を見て直進可能と判断してしまう危険性がある。
特許文献1には、青色のLEDランプを、右方を指示する矢印形状となるよう多数配置して第1のLEDランプ群(矢印信号部)を構成すると共に、第1のLEDランプ群を包囲する円形面状となるよう多数配置して第2のLEDランプ群を構成する。これにより、LEDランプ全体が円形面状となり青色信号部を構成する。また第1の発光駆動回路により第1のLEDランプ群を発光駆動すると共に、第2の発光駆動回路により第1のLEDランプ群及び第2のLEDランプ群を同時に発光駆動する。これにより、第1及び第2の発光駆動回路を一般的な交通信号機の制御系に取付けるだけで、青色信号部及び矢印信号部の点灯制御が可能となる信号機モジュールについて開示されている。
【特許文献1】特開平10−261197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし特許文献1に開示されている従来技術は、同色の点灯色により円形面状と矢印形状を切り換えて点灯する発明であり、信号灯器を減らす効果はあるが、同一の灯器で、且つ同列に赤と青矢印が点灯するため、一瞬の判断に迷いが生じる虞があるといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑み、右折矢印ランプに黄表示部と矢印青表示部とを併せて備えることにより、矢印青表示部の消灯が間近いことを、同じ灯器内にある黄表示部の点灯により知らせ、右折を安全に且つ確実に指示することができる信号灯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、青、黄、赤の各ランプの他に、右折のみに通行権を与える右折矢印ランプを併設した信号灯器において、前記右折矢印ランプは、矢印青表示部の他に黄表示部を備えていることを特徴とする。
本発明の右折矢印ランプは、同一ランプ内に右折可を表示する矢印青表示部と、右折注意を表示する黄表示部を備え、信号灯器の黄ランプと明確に区別するようにしたものである。
請求項2は、前記右折矢印ランプが備えた前記矢印青表示部及び前記黄表示部は、夫々の点灯色を有する複数の発光ダイオードにより構成されていることを特徴とする。
同一ランプ内に異なる表示色と形状を表示するには、ドット状のランプで構成する必要がある。その点発光ダイオードは照度と消費電力及び寿命の点で最適である。
請求項3は、前記右折矢印ランプは、複数の青色の発光ダイオードにより右方を指示する矢印形状となるよう前記矢印青表示部を構成すると共に、黄色の発光ダイオードにより前記矢印青表示部を包囲するよう前記黄表示部を構成したことを特徴とする。
本発明は青色の発光ダイオードを矢印状に構成して矢印青表示部を作り、その周囲を黄色の発光ダイオードにより円形状に包囲して黄表示部を構成する。
【0005】
請求項4は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の信号灯器を制御する交通信号制御機であって、前記赤ランプを点灯して直進車両の停止を指示すると同時に、前記右折矢印ランプを点灯して右折車両のみに通行権を与える場合、前記赤ランプを点灯し続けながら前記矢印青表示部を所定時間点灯した後、該矢印青表示部から前記黄表示部に切換えて所定時間点灯するように制御することを特徴とする。
本発明の信号灯器を制御する交通信号制御機は、赤ランプを点灯して直進車両を停止すると共に、右折矢印ランプを点灯して右折車両のみに通行権を与える場合、赤ランプを点灯したまま、矢印青表示部を点灯して右折可とし、所定時間後、矢印青表示部を消灯して黄表示部を所定時間点灯するように制御するものである。
請求項5は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の信号灯器を制御する交通信号制御機であって、前記赤ランプを点灯して直進車両の停止を指示すると同時に、前記右折矢印ランプを点灯して右折車両のみに通行権を与える場合、前記赤ランプを点灯し続けながら前記矢印青表示部を所定時間点灯した後、前記赤ランプを消灯して前記矢印青表示部から前記黄表示部に切換えて所定時間点灯するように制御することを特徴とする。
本発明の信号灯器を制御する交通信号制御機は、赤ランプを点灯して直進車両を停止すると共に、右折矢印ランプを点灯して右折車両のみに通行権を与える場合、赤ランプを点灯し続けながら、矢印青表示部を点灯して右折可とし、所定時間後、矢印青表示部を消灯して黄表示部を所定時間点灯するように制御するものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、右折矢印ランプは、同一ランプ内に右折可を表示する矢印青表示部と、右折注意を表示する黄表示部を備え、信号灯器の黄ランプと右折矢印ランプの黄表示部とを明確に区別するようにして、右折の安全性を更に高めることができる。
また請求項2では、右折矢印ランプが備えた矢印青表示部及び黄表示部は、夫々の点灯色を有する複数の発光ダイオードにより構成されているので、照度が高く、且つ消費電力を低くすることが可能となり寿命を永くすることができる。
また請求項3では、青色の発光ダイオードを矢印状に構成して矢印青表示部を作り、その周囲を黄色の発光ダイオードにより円形状に包囲して黄表示部を構成するので、矢印青表示部と黄表示部を明確に判断できるように表示することができる。特に、矢印青表示部の点灯時に消灯状態にある黄表示部からは黄色を視認できず、黄表示部の点灯時には消灯状態にある矢印青表示部からは青色を視認できないように構成するので、両表示色が同時に出現することはなく、両表示色が同時に視認されることがない。
また請求項4では、赤ランプを点灯して直進車両を停止すると共に、右折矢印ランプを点灯して右折車両のみに通行権を与える場合、赤ランプを点灯したまま、矢印青表示部を点灯して右折可とし、所定時間後、矢印青表示部を消灯して黄表示部を所定時間点灯するように制御するので、直進と左折を停止すると共に、信号灯器の黄ランプと右折矢印ランプの黄表示部とを明確に区別するようにして、右折の安全性を更に高めることができる。
また請求項5では、赤ランプを点灯して直進車両を停止すると共に、右折矢印ランプを点灯して右折車両のみに通行権を与える場合、赤ランプを点灯し続けながら、矢印青表示部を点灯して右折可とし、所定時間後、矢印青表示部を消灯して黄表示部を所定時間点灯するように制御するので、従来の信号制御を踏襲しつつ、信号灯器の黄ランプと右折矢印ランプの黄表示部とを明確に区別するようにして、右折の安全性を更に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の実施形態に係る右折矢印ランプの外観構成図である。青、黄、赤により車両に左折、直進及び右折の通行、注意、停止を指示する各ランプの他に、右折のみに通行権を与える右折矢印ランプ1を併設した信号灯器において、この右折矢印ランプ1は、青色の発光ダイオード2aを右方を指示する矢印形状となるよう複数配置して矢印青表示部2を構成すると共に、黄色の発光ダイオード3aを矢印青表示部2を包囲する円形面状となるよう複数配置して黄表示部3として構成されている。図1(a)は矢印青表示部が点灯している様子を示す図であり、図1(b)は黄表示部が点灯している様子を示す図である。このように本発明の右折矢印ランプ1は、黄表示部3と矢印青表示部2とを併せて備えていて、右折矢印ランプ1が備えた矢印青表示部2及び黄表示部3は、夫々の点灯色を有する複数の発光ダイオード2a、3aにより構成されている。そして図1(a)のように、矢印青表示部2を点灯しているときは、黄表示部3を消灯し、図1(b)のように黄表示部3が点灯しているときは、矢印青表示部2を消灯する。このとき矢印青表示部2が消灯した部分には、発光ダイオード2aがあるが点灯していないため、多少照度は低下するが、黄色の発光ダイオードの照度が大きいため左程遠方からは目立たない。
【0008】
図2は本発明の右折矢印ランプを備えた信号灯器の1周期の表示手順を示すフローチャートである。図2(a)は第1の実施形態に係る表示手順を示すフローチャートである。まず青ランプ(G)を点灯して車両の左折、直進、右折に通行権を与える(S1)。その時間が経過すると(S2)、次に青ランプ(G)を消灯して黄ランプ(Y)を点灯する。これにより交差点内の車両を排除する(S3)。その時間が経過すると(S4)、黄ランプ(Y)を消灯して赤ランプ(R)を点灯して車両の左折、直進を停止すると共に、右折矢印ランプの矢印青表示部2(A)を点灯する(S5)。その時間が経過すると(S6)、赤ランプ(R)を点灯のまま右折矢印ランプの矢印青表示部2(A)を消灯して同じ右折矢印ランプ内の黄表示部3(YA)を点灯する(S7)。その時間が経過すると(S8)、赤ランプ(R)を点灯のまま右折矢印ランプの黄表示部3(YA)を消灯する(S9)。その後はこの動作を繰り返す。
図2(b)は第2の実施形態に係る点灯の手順を示すフローチャートである。同じ動作には図2(a)と同じステップ番号を付して説明する。本実施形態はステップS6までは、第1の実施形態と同じであるので説明を省略する。本実施形態では、ステップS6以降、赤ランプ(R)と右折矢印ランプの矢印青表示部2(A)を消灯して同じ右折矢印ランプ内の黄表示部3(YA)を点灯する(S10)。その時間が経過すると(S11)、赤ランプ(R)を再び点灯して右折矢印ランプの黄表示部3(YA)を消灯する(S12)。その後はこの動作を繰り返す。
【0009】
図3は本発明の右折矢印ランプを備えた信号灯器の1周期の信号表示を更に解り易くするために、従来の信号灯器との比較で説明する図である。図3(a)は従来の信号表示を表し、図3(b)は本発明の信号表示を表す。この図中Gは青ランプの点灯、Yは黄ランプの点灯、Rは赤ランプの点灯、Aは右折矢印ランプの矢印青表示部の点灯、AYは右折矢印ランプの黄表示部の点灯を表すものとする。そして表示順を1)〜5)として表す。
表示順1)〜3)までは従来の信号表示と本発明の信号表示は同じである。即ち、表示順1)では、Gを点灯して車両の左折、直進、右折に通行権を与える。所定の時間経過後、表示順2)では、Gを消灯してYを点灯し交差点内の車両を排除する。所定の時間経過後、表示順3)では、Yを消灯してRを点灯して車両の左折、直進を停止すると共に、右折矢印ランプの矢印青表示部Aを点灯する。次に、表示順4)では、従来の信号表示では所定の時間経過後、RとAを消灯して再びYを点灯し、Aの消灯を予告する。しかし、本発明の信号表示では、表示順4)では、2種類の表示方法があり、1つは(b−a)に示すように、Rを点灯のまま右折矢印ランプのAを消灯して同じ右折矢印ランプ内のAYを点灯させる。また2つ目として(b−b)に示すように、Rと右折矢印ランプのAを消灯して同じ右折矢印ランプ内のAYを点灯させる。次に表示順5)では、従来の信号表示はYを消灯してRを点灯し、車両の左折、直進、右折の全てを停止する。また本発明の信号表示は、(b−a)の場合は、Rを点灯のまま、AYを消灯し、車両の左折、直進、右折の全てを停止する。また(b−b)の場合は、AYを消灯してRを点灯し、車両の左折、直進、右折の全てを停止する。
【0010】
図4はシングルステップカウンタ方式の動作を説明する現示階梯図であり、従来の信号灯器との比較で説明する図である。図4(a)は従来のシングルステップカウント方式の動作を説明する現示階梯図である。横軸にステップ数を示し、縦軸に各信号名を示す。また、同じ図の中に各信号の流れ図を示す。ここで、太い黒線は信号機が青であることを示し、縦筋は点滅を示し、波型は信号機が黄であることを示し、矢印は矢印方向に進行可であることを示し、二重線は信号機が赤であることを示している。また1P、2Pは歩行者用信号機を示し、S1、S2は車両用信号機を示し、1A、2Aは右折矢印ランプの矢印青表示部の点灯を示す。
次に図4を参照してシングルステップカウンタ方式の動作を説明するが、説明を更に明確にするために、図6の交差点の模式図を併せて参照しながら説明する。尚、同じ構成要素には同じ参照番号を付して説明する。
まずステップ1では、歩行者用信号機1Pと車両用信号機S1は青、右折矢印ランプの矢印青表示部1A、2Aは無灯火、歩行者用信号機2Pと車両用信号機S2は赤となっている。即ち、歩行者20、22は信号機1Pにより進行が可であり、車両26、30も信号機S1により進行が可である。
次にステップ2では、歩行者用信号機1Pは点滅、車両用信号機S1は青、右折矢印ランプの矢印青表示部1A、2Aは無灯火、歩行者用信号機2Pと車両用信号機S2は赤となっている。即ち、歩行者20、22は信号機1Pにより注意が促され、車両26、30は信号機S1により進行が可である。
次にステップ3では、歩行者用信号機1Pは赤、車両用信号機S1は青、右折矢印ランプの矢印青表示部1A、2Aは無灯火、歩行者用信号機2Pと車両用信号機S2は赤となっている。即ち、歩行者20、22は信号機1Pにより停止となり、車両26、30は信号機S1により進行が可である。
次にステップ4では、歩行者用信号機1Pは赤、車両用信号機S1は黄、右折矢印ランプの矢印青表示部1A、2Aは無灯火、歩行者用信号機2Pと車両用信号機S2は赤となっている。即ち、歩行者20、22は信号機1Pにより停止となり、車両26、30は信号機S1により注意が促されている。
次にステップ5では、歩行者用信号機1Pは赤、車両用信号機S1は赤、右折矢印ランプの矢印青表示部1Aは右折可、2Aは無灯火、歩行者用信号機2Pと車両用信号機S2は赤となっている。即ち、歩行者20、22は信号機1Pにより停止となり、車両26、30は信号機S1により右折が可である。
次にステップ6では、歩行者用信号機1Pは赤、車両用信号機S1は黄、右折矢印ランプの矢印青表示部1A、2Aは無灯火、歩行者用信号機2Pと車両用信号機S2は赤となっている。
即ち、歩行者20、22は信号機1Pにより停止となり、車両26、30は信号機S1により右折は注意が促されている。
次にステップ7では、全ての信号機が赤となり停止である。そしてステップ8以降は交差する信号機2P、S2、2Aがステップ1からステップ7までと同様の動作を繰り返す。
【0011】
図4(b)は本発明のシングルステップカウンタ方式の動作を説明する現示階梯図である。横軸にステップ数を示し、縦軸に各信号名を示す。また、同じ図の中に各信号の流れ図を示す。ここで、太い黒線は信号機が青であることを示し、縦筋は点滅を示し、波型は信号機が黄であることを示し、矢印は矢印方向に進行可であることを示し、二重線は信号機が赤であることを示している。また1P、2Pは歩行者用信号機を示し、S1、S2は車両用信号機を示し、1A、2Aは右折矢印ランプの矢印青表示部の点灯を示し、1AY、2AYは右折矢印ランプの黄表示部の点灯を示す。
図4(b)では、ステップ4までは従来と同様であるので説明を省略する。ステップ5では、歩行者用信号機1Pは赤、車両用信号機S1は赤、右折矢印ランプ矢印青表示部1Aは右折可、2Aは無灯火、歩行者用信号機2Pと車両用信号機S2は赤となっている。即ち、歩行者20、22は信号機1Pにより停止となり、車両26、30は信号機S1により右折が可である。
次にステップ6では、歩行者用信号機1Pは赤、車両用信号機S1も赤、右折矢印ランプの黄表示部1AYは点灯、2A、2AYは無灯火、歩行者用信号機2Pと車両用信号機S2は赤となっている。
即ち、歩行者20、22は信号機1Pにより停止となり、車両26、30は信号機S1により直進は停止となり、右折矢印ランプの黄表示部1AYにより右折は注意が促されている。
次にステップ7では、全ての信号機が赤となり停止である。そしてステップ8以降は交差する信号機2P、S2、2Aがステップ1からステップ7までと同様の動作を繰り返す。
尚、ステップ6において、右折矢印ランプの黄表示部1AYが点灯のとき、車両用信号機S1を無灯火にしてもよい。
【0012】
図5は本発明の信号制御機によるデュアルステップカウンタ方式のN方向の直進、左折及びS方向の右折の交通需要が多い場合の動作を説明する現示階梯図である。
まずN方向のステップ1では、歩行者用信号機1Pは赤、車両用信号機S1は赤、右折矢印ランプの矢印青表示部1Aは点灯で右折可、2Aは無灯火、歩行者用信号機2Pと車両用信号機S2は赤となっている。即ち、歩行者20、22は信号機1Pにより停止となり、車両26、30は信号機S1により右折が可である。
次にステップ2では、歩行者用信号機1Pは赤、車両用信号機S1も赤、右折矢印ランプの黄表示部1AYは点灯、2A、2AYは無灯火、歩行者用信号機2Pと車両用信号機S2は赤となっている。
即ち、歩行者20、22は信号機1Pにより停止となり、車両26、30は信号機S1により直進は停止となり、右折矢印ランプの黄表示部1AYにより右折は注意が促されている。
次にステップ3では、歩行者用信号機1Pと車両用信号機S1は青、右折矢印ランプの矢印青表示部1A、2Aは無灯火、歩行者用信号機2Pと車両用信号機S2は赤となっている。即ち、歩行者20、22は信号機1Pにより進行が可となり、車両26、30は信号機S1により進行が可である。
【0013】
次にステップ4では、歩行者用信号機1Pは点滅、車両用信号機S1は青、右折矢印ランプの矢印青表示部1A、2Aは無灯火、歩行者用信号機2Pと車両用信号機S2は赤となっている。即ち、歩行者20、22は信号機1Pにより注意が促され、車両26、30は信号機S1により進行が可である。
次にステップ5では、歩行者用信号機1Pは赤、車両用信号機S1は青、右折矢印ランプの矢印青表示部1A、2Aは無灯火、歩行者用信号機2Pと車両用信号機S2は赤となっている。即ち、歩行者20、22は信号機1Pにより停止となり、車両26、30は信号機S1により進行が可である。
次にステップ6では、歩行者用信号機1Pは赤、車両用信号機S1は黄、右折矢印ランプの矢印青表示部1A、2Aは無灯火、歩行者用信号機2Pと車両用信号機S2は赤となっている。
即ち、歩行者20、22は信号機1Pにより停止となり、車両26、30は信号機S1により直進は停止で右折は注意が促されている。
次にステップ7では、全ての信号機が赤となり停止である。そしてステップ8以降は交差する信号機2P、S2、2Aがステップ1からステップ7までと同様の動作を繰り返す。
以下、S方向の各ステップもN方向と同様の動作を行なうが、各ステップの時間が異なる。例えば、N方向のステップ1では時限が5であるが、S方向のステップ1では時限が倍の10となるように設定することにより、S方向の右折の交通量がN方向に比べて多い場合に、S方向の右折矢印ランプの矢印青表示部1Aの時間を長くすることにより、効率の良い制御ができる。
【0014】
以上のとおり本発明によれば、右折矢印ランプ1は、同一ランプ内に右折可を表示する矢印青表示部2と、右折注意を表示する黄表示部3を備え、信号灯器の黄ランプと右折矢印ランプの黄表示部とを明確に区別するようにして、右折の安全性を更に高めることができる。
また、右折矢印ランプ1が備えた矢印青表示部2及び黄表示部3は、夫々の点灯色を有する複数の発光ダイオード2a、3aにより構成されているので、照度が高く、且つ消費電力を低くすることが可能となり寿命を永くすることができる。
また、青色の発光ダイオード2aを矢印状に構成して矢印青表示部2を作り、その周囲を黄色の発光ダイオード3aにより円形状に包囲して黄表示部3を構成するので、矢印青表示部2と黄表示部3を明確に判断できるように表示することができる。
また、赤ランプRを点灯して直進車両を停止すると共に、右折矢印ランプ1を点灯して右折車両のみに通行権を与える場合、赤ランプRを点灯したまま、矢印青表示部2を点灯して右折可とし、所定時間後、矢印青表示部2を消灯して黄表示部3を所定時間点灯するように制御するので、直進と左折を停止すると共に、信号灯器の黄ランプYと右折矢印ランプ1の黄表示部3とを明確に区別するようにして、右折の安全性を更に高めることができる。
また、赤ランプRを点灯して直進車両を停止すると共に、右折矢印ランプ1を点灯して右折車両のみに通行権を与える場合、矢印青表示部2を点灯して右折可とし、所定時間後、矢印青表示部2を消灯して黄表示部3を所定時間点灯するように制御するので、従来の信号制御を踏襲しつつ、信号灯器の黄ランプYと右折矢印ランプ1の黄表示部3とを明確に区別するようにして、右折の安全性を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る右折矢印ランプの外観構成図である。
【図2】本発明の右折矢印ランプを備えた信号灯器の1周期の表示手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の右折矢印ランプを備えた信号灯器の1周期の信号表示を更に解り易くするために、従来の信号灯器との比較で説明する図である。
【図4】シングルステップカウンタ方式の動作を説明する現示階梯図であり、従来の信号灯器との比較で説明する図である。
【図5】本発明の信号制御機によるデュアルステップカウンタ方式のN方向の直進、左折及びS方向の右折の交通需要が多い場合の動作を説明する現示階梯図である。
【図6】本発明の信号制御機を説明するための交差点の模式図である。
【符号の説明】
【0016】
1 右折矢印ランプ、2a 青色の発光ダイオード、2 矢印青表示部、3a 黄色の発光ダイオード、3 黄表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
青、黄、赤の各ランプの他に、右折のみに通行権を与える右折矢印ランプを併設した信号灯器において、
前記右折矢印ランプは、矢印青表示部の他に黄表示部を備えていることを特徴とする信号灯器。
【請求項2】
前記右折矢印ランプが備えた前記矢印青表示部及び前記黄表示部は、夫々の点灯色を有する複数の発光ダイオードにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の信号灯器。
【請求項3】
前記右折矢印ランプは、複数の青色の発光ダイオードにより右方を指示する矢印形状となるよう前記矢印青表示部を構成すると共に、黄色の発光ダイオードにより前記矢印青表示部を包囲するよう前記黄表示部を構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の信号灯器。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の信号灯器を制御する交通信号制御機であって、
前記赤ランプを点灯して直進車両の停止を指示すると同時に、前記右折矢印ランプを点灯して右折車両のみに通行権を与える場合、前記赤ランプを点灯し続けながら前記矢印青表示部を所定時間点灯した後、該矢印青表示部から前記黄表示部に切換えて所定時間点灯するように制御することを特徴とする交通信号制御機。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の信号灯器を制御する交通信号制御機であって、
前記赤ランプを点灯して直進車両の停止を指示すると同時に、前記右折矢印ランプを点灯して右折車両のみに通行権を与える場合、前記赤ランプを点灯し続けながら前記矢印青表示部を所定時間点灯した後、前記赤ランプを消灯して前記矢印青表示部から前記黄表示部に切換えて所定時間点灯するように制御することを特徴とする交通信号制御機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−133749(P2007−133749A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−327560(P2005−327560)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】