説明

信号生成装置

【課題】PWM信号のパルス幅(デューティ比)を精緻に調整する。
【解決手段】信号生成装置10は、単位期間T毎の合計パルス幅Wtが指定光量Lに応じて可変に設定されたPWM信号W[n]を生成する。制御回路30は、各単位期間T内の制御期間C[k]毎に相異なるパルス幅p[k]のパルスを配置したイネーブル信号OENを生成する。単位回路42[n]は、指定光量Lに応じて各単位期間T内の制御期間C[n]毎にアクティブレベルまたは非アクティブレベルに設定された初期変調信号S[n]を生成し、各単位期間Tのうち初期変調信号S[n]がアクティブレベルとなる制御期間C[k]のパルス幅がイネーブル信号OENのパルス幅p[k]に設定されたPWM信号W[n]を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指定値に応じてパルス幅が可変に設定されたパルス幅変調信号(以下「PWM信号」という)を生成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子等の様々な被駆動素子の制御にパルス幅変調が利用される。例えば特許文献1には、発光素子を発光させる駆動信号の出力の許可/禁止をPWM信号に応じて制御する技術が開示されている。また、特許文献2には、複数のパルスを時系列に配列した駆動信号とその整数倍の周期のPWM信号(カットオフパルス)との乗算信号を各発光素子に供給する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−152158号公報
【特許文献2】特開2005−149132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1および特許文献2には、発光素子に対する駆動信号の出力の許可/禁止をPWM信号で制御する技術が開示されているに過ぎず、発光素子の光量の指定値と実際の光量との関係の調整については何ら言及されていない。以上の事情を考慮して、本発明は、発光素子等の被駆動素子に供給されるPWM信号のパルス幅(デューティ比)を精緻に調整することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明に係る信号生成装置は、単位期間毎の合計パルス幅が指定値(例えば指定光量L)に応じて可変に設定されたPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成する信号生成装置であって、各単位期間内の複数の制御期間のうち一の制御期間と他の制御期間とでパルス幅が相違するように制御期間毎にパルスを配置したイネーブル信号を生成する制御手段と、指定値に応じて各単位期間内の制御期間毎に第1レベルまたは第2レベルに設定された初期変調信号を生成する初期変調手段と、各単位期間内の複数の制御期間のうち初期変調信号が第1レベルとなる制御期間のパルス幅がイネーブル信号の当該制御期間でのパルス幅に応じて設定されたPWM信号を生成するパルス規定手段とを具備する。
【0006】
以上の構成においては、初期変調信号が第1レベルとなる制御期間のパルス幅がイネーブル信号の当該制御期間でのパルス幅に応じて設定され、かつ、一の制御期間と他の制御期間とでイネーブル信号のパルス幅は相違する。したがって、初期変調信号をPWM信号として出力する構成や、制御期間毎のイネーブル信号のパルス幅が同一である構成と比較して、PWM信号の合計パルス幅(またはデューティ比)を精緻に調整することが可能である。なお、「複数の制御期間のうち一の制御期間と他の制御期間とでパルス幅が相違する」とは、複数の制御期間のうちの特定の2個の制御期間でイネーブル信号のパルス幅が相違することを意味する。したがって、全部の制御期間についてパルス幅が相違する構成には限定されない。
【0007】
複数のPWM信号を並列に生成する場合に好適に採用される信号生成装置は、相異なるPWM信号に対応する複数の単位回路と、各単位期間内の複数の制御期間のうち一の制御期間と他の制御期間とでパルス幅が相違するように制御期間毎にパルスを配置したイネーブル信号を生成して複数の単位回路に共通に供給する制御手段とを具備し、複数の単位回路の各々は、当該単位回路に対する指定値に応じて各単位期間内の制御期間毎に第1レベルまたは第2レベルに設定された初期変調信号を生成する初期変調手段と、各単位期間内の複数の制御期間のうち初期変調信号が第1レベルとなる制御期間のパルス幅がイネーブル信号の当該制御期間でのパルス幅に応じて設定されたPWM信号を生成するパルス規定手段とを含む。以上の構成では、制御手段が生成したイネーブル信号が複数の単位回路に対して共通に供給されるから、前述の効果に加え、単位回路毎にイネーブル信号を別個に生成する構成と比較して信号生成装置の構成が簡素化されるという利点がある。
【0008】
本発明に係る信号生成装置の第1態様において、初期変調手段は、各単位期間の始点から指定値に応じた個数の制御期間にて初期変調信号を第1レベルに設定するとともに当該単位期間の残余の制御期間にて初期変調信号を第2レベルに設定し、制御手段は、PWM信号の合計パルス幅が指定値に対して非線形に変化するようにイネーブル信号の各制御期間でのパルス幅を設定する。以上の態様によれば、PWM信号の合計パルス幅を指定値に応じて非線形に(例えば指数関数的に)変化させることが可能である。また、初期変調信号は、単位期間の始点から指定値に応じた個数の制御期間にて第1レベルに設定されるとともに残余の制御期間にて第2レベルに設定されるから、初期変調手段に初期変調信号を生成させるための制御処理(制御期間毎の初期変調信号のレベルを指定値に応じて指示する処理)が簡素化されるという利点もある。なお、第1態様の具体例は第1実施形態として後述される。
【0009】
本発明に係る信号生成装置の第2態様において、制御手段は、イネーブル信号の各制御期間でのパルス幅が所定値の累乗の系列となるようにイネーブル信号を生成し、初期変調手段は、各単位期間内の複数の制御期間のうち指定値に応じて選択された1以上の制御期間にて初期変調信号を第1レベルに設定するとともに当該単位期間の残余の制御期間にて初期変調信号を第2レベルに設定する。以上の態様では、イネーブル信号の各制御期間でのパルス幅が所定値の累乗の系列(すなわち等比数列)に設定され、かつ、複数の制御期間のうち指定値に応じて選択された1以上の制御期間にて初期変調信号が第1レベルに設定されるから、PWM信号の合計パルス幅の段階数を第1態様と比較して増加させることが可能である。なお、第2態様の具体例は第2実施形態として後述される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係る発光装置のブロック図である。
【図2】信号生成装置の動作の説明図である。
【図3】各単位回路のブロック図である。
【図4】第1実施形態の変形例に係る信号生成装置の動作の説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る信号生成装置の動作の説明図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る発光装置のブロック図である。
【図7】第3実施形態の分配回路の動作の説明図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る発光装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<A:第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る信号生成装置10を利用した発光装置100のブロック図である。発光装置100は、遊技機(例えばパチンコやパチスロ)等の各種の電子機器の電飾や表示に好適な表示装置であり、図1に示すように信号生成装置10と発光素子部20とを具備する。
【0012】
発光素子部20は、N個(Nは自然数)の発光素子22[1]〜22[N]を含んで構成される。各発光素子22[n](n=1〜N)は、電流の供給で発光する被駆動素子である。例えばLED(Light Emitting Diode)が各発光素子22[n]として好適に採用される。各発光素子22[n]の陽極は、発光素子22[n]に供給される電流を一定に維持する定電流素子24(CRD:Current Regulative Diode)を介して電源線に接続される。
【0013】
信号生成装置10は、N個の発光素子22[1]〜22[N]の各々を駆動して光量(輝度の時間積分)を制御する電子回路であり、制御回路30と駆動回路40とを具備する。なお、制御回路30と駆動回路40とは好適には別体の集積回路で構成されるが、制御回路30と駆動回路40とを単体の集積回路で実現した構成も採用され得る。
【0014】
制御回路30は、演算処理装置(CPU)やタイミング発生回路等(図示略)を含んで構成され、各種の制御信号(LD,OEN,D[1]〜D[N])の出力で駆動回路40を制御する。駆動回路40は、制御回路30による制御のもとで各発光素子22[n]を駆動する回路であり、相異なる発光素子22[n]に対応するN系統のPWM信号W[1]〜W[N]を並列に生成および出力する。
【0015】
図1に示すように、駆動回路40は、相異なる発光素子22[n]に対応するN個の単位回路42[1]〜42[N]を含んで構成される。単位回路42[n]は、発光素子22[n]に指定された光量(以下「指定光量」という)Lに応じたPWM信号W[n]を生成して出力する。単位回路42[n]の出力端には発光素子22[n]の陰極が接続される。したがって、発光素子22[n]の光量は、指定光量Lに応じて可変に制御される。
【0016】
図2は、信号生成装置10の動作の説明図である。図2に示すように、PWM信号W[n]は、点灯レベルVONおよび消灯レベルVOFFの一方から他方に順次に変動する。点灯レベルVONは、発光素子22[n]を発光させる電圧(アクティブレベルに相当するローレベル)に設定され、消灯レベルVOFFは、発光素子22[n]を消灯させる電圧(非アクティブレベルに相当するハイレベル)に設定される。PWM信号W[n]が点灯レベルVONに設定される時間長の総和(以下「合計パルス幅」という)Wtは、図2に図示された単位期間T毎に指定光量Lに応じて可変に設定される。すなわち、単位期間Tは、1個の指定光量LがPWM信号W[n]で表現される周期に相当する。発光素子22[n]の光量は、単位期間Tを周期として制御される。
【0017】
図1の制御回路30は、ラッチ信号LDとイネーブル信号OENとN系統の制御データD[1]〜D[N]とを生成して駆動回路40(単位回路42[1]〜42[N])に出力する。ラッチ信号LDとイネーブル信号OENとは、N個の単位回路42[1]〜42[N]に対して共通に供給される。
【0018】
ラッチ信号LDは、図2に示すように、各単位期間Tを時間軸上で区分した複数(以下の例示では8個)の制御期間C(C[1]〜C[8])を規定する。具体的には、ラッチ信号LDは、各制御期間C[k](k=1〜8)の始点に所定幅のパルスを配置した信号である。制御期間C[1]〜C[8]は、本実施形態では相等しい時間長に設定される。
【0019】
イネーブル信号OENは、ラッチ信号LDで規定される制御期間C[k]毎にパルス(本実施形態では負パルス)を配置した信号である。単位期間T内の各制御期間C[k]でのパルス幅p[k]は、単位期間Tの時間長tを基準として制御期間C[k]毎に可変に設定される。具体的には、制御期間C[1]およびC[2]でのパルス幅p[1]およびp[2]は時間長tの1/32に設定され、制御期間C[3]でのパルス幅p[3]は時間長tの2/32に設定され、制御期間C[4]〜C[8]でのパルス幅p[4]〜p[8]は時間長tの4/32(すなわち制御期間C[k]と同じ時間長)に設定される。
【0020】
図1の制御回路30は、発光素子22[n]の指定光量Lに応じた制御データD[n]を単位期間T毎に駆動回路40の単位回路42[n]に出力する。制御データD[n]は、単位期間T内の制御期間C[k]毎に発光素子22[n]の点灯/消灯を指示する8個の制御ビットd1〜d8の系列である。図2に示すように、第1実施形態の制御回路30は、制御データD[n]の8個の制御ビットd1〜d8のうち先頭から指定光量Lに応じた個数の制御ビットdkを1(点灯)に設定するとともに残余の制御ビットdkを0(消灯)に設定する。例えば、指定光量Lが3である場合、制御回路30は、制御データD[n]の制御ビットd1〜d3を1に設定するとともに制御ビットd4〜d8を0に設定する。図2に示すように、制御回路30は、制御データD[n]の制御ビットd1〜d8の各々を、制御期間C[k]に同期して順次に単位回路42[n]に供給する。制御期間C[k]の始点では制御データD[n]の制御ビットdkが単位回路42[n]に供給される。
【0021】
図3は、単位回路42[n]のブロック図である。駆動回路40を構成するN個の単位回路42[1]〜42[N]の構成は同様である。図3に示すように、単位回路42[n]は、制御データD[n]に応じたパルス幅の初期変調信号S[n]を生成する初期変調回路52と、イネーブル信号OENおよび初期変調信号S[n]に応じたPWM信号W[n]を生成するパルス規定回路54とを含んで構成される。
【0022】
初期変調回路52は、制御回路30から供給される制御データD[n]のパルス幅変調で初期変調信号S[n]を生成する。図2には、指定光量L(L=1〜8)毎に初期変調信号S[n]の波形が図示されている。図2に示すように、初期変調信号S[n]は、単位期間Tのうち制御データD[n]の制御ビットdkが1に設定された各制御期間C[k]にてアクティブレベル(ハイレベル)に設定され、単位期間Tの残余の制御期間C[k]にて非アクティブレベル(ローレベル)に設定される。すなわち、単位期間Tの始点から指定光量Lに応じた個数の制御期間C[k]にわたる期間が初期変調信号S[n]のパルス幅(アクティブレベルの期間)に相当する。制御回路30から順次に供給される制御データD[n]の各制御ビットdkをラッチ信号LDの前縁の時点(制御期間C[k]の始点)で取込むとともに出力するラッチ回路が、初期変調回路52として好適に採用される。
【0023】
図3のパルス規定回路54は、図2に示すように、各単位期間Tの8個の制御期間C[1]〜C[8]のうち初期変調信号S[n]がアクティブレベルとなる制御期間C[k]でのパルス幅がイネーブル信号OENにおける当該制御期間C[k]でのパルス幅p[k]に応じて設定されたPWM信号W[n]を生成する論理回路であり、図3に示すように反転回路542と否定論理積回路544とを含んで構成される。反転回路542は、イネーブル信号OENの反転信号OEを生成する。否定論理積回路544は、反転回路542が生成した反転信号OEと初期変調回路52が生成した初期変調信号S[n]との否定論理積(NAND)をPWM信号W[n]として出力する。
【0024】
すなわち、PWM信号W[n]は、図2に示すように、単位期間T内の8個の制御期間C[1]〜C[8]のうち初期変調信号S[n]がアクティブレベル(ハイレベル)となる各制御期間C[k]にパルス幅p[k]のパルス(本実施形態では負パルス)を選択的に配置した波形となる。例えば、指定光量Lが1である場合、単位期間Tの制御期間C[1]のみにパルス幅p[1]のパルスを配置したPWM信号W[n]が生成され、指定光量Lが2である場合、単位期間Tの制御期間C[1]およびC[2]にパルス幅p[1]およびp[2]の2個のパルスを配置したPWM信号W[n]が生成される。また、指定光量Lが4である場合、パルス幅p[1]〜p[4]の4個のパルスを制御期間C[1]〜C[4]に配置したPWM信号W[n]が生成される。
【0025】
したがって、PWM信号W[n]の単位期間T内の合計パルス幅Wtは、指定光量Lに応じて非線形に変化する。具体的には、PWM信号W[n]の合計パルス幅Wtは、指定光量Lが1である場合に(1/32)t(デューティ比1/32)に設定され、指定光量Lが2である場合に(2/32)t(デューティ比2/32)に設定され、指定光量Lが3である場合に(4/32)t(デューティ比4/32)に設定され、指定光量Lが4である場合に(8/32)t(デューティ比8/32)に設定される。すなわち、指定光量Lが4以下となる範囲内では、指定光量L毎の合計パルス幅Wtの相対比が2の累乗(等比級数)となるように合計パルス幅Wtが指定光量Lに応じて指数関数的に変化する。したがって、発光素子22[n]の実際の光量は、指定光量Lに応じて非線形(ガンマ特性)に変化する。
【0026】
以上に説明したように、本実施形態では、初期変調信号S[n]の各パルス幅(制御期間C[k]の時間長の整数倍)をイネーブル信号OENに応じて縮小することでPWM信号W[n]が生成されるから、初期変調信号S[n]をPWM信号W[n]として各発光素子22[n]に供給する構成(以下「対比例」という)と比較して、PWM信号W[n]の合計パルス幅Wtの刻み幅(変動量の最小値)が充分に縮小される。したがって、各発光素子22[n]の光量を精緻に制御することが可能である。
【0027】
なお、本実施形態では合計パルス幅Wtの最小値(刻み幅)が縮小されるから、合計パルス幅Wtの最小値と最大値との相対比を増加させることが可能である。具体的には、図2に示すように、合計パルス幅Wtの最小値((1/32)t)と合計パルス幅Wtの最大値((24/32)t)との相対比は1:24である。他方、対比例における合計パルス幅Wt(初期変調信号S[n]のパルス幅)の最小値と最大値との相対比は1:8となる。すなわち、第1実施形態によれば、発光素子22[n]の発光のコントラスト(最小光量と最大光量との相対比)を、対比例と比較して3倍に高めることが可能である。
【0028】
また、本実施形態では、各制御期間C[k]でのPWM信号W[n]のパルス幅を規定するイネーブル信号OENのパルス幅p[k]が制御期間C[k]毎に相異なる数値に設定される。したがって、指定光量LとPWM信号W[n]の合計パルス幅Wt(デューティ比)との関係を多様に制御する(例えば前述の例示のように合計パルス幅Wtを指定光量Lに対して非線形に変化させる)ことが可能である。
【0029】
なお、各制御期間C[k]でのイネーブル信号OENのパルス幅p[1]〜p[8]は以上の例示に限定されない。例えば、イネーブル信号OENのパルス幅p[1]〜p[8]は、図4に示す数値(p[1]:p[2]:p[3]:p[4]:p[5]:p[6]:p[7]:p[8]=1:0.4:0.6:0.8:1.2:4:4:4)に設定される。以上の構成によれば、指定光量Lが4以下となる範囲内で、PWM信号W[n]の指定光量L毎の合計パルス幅Wtの相対比が1.4の累乗(1:1.4:2:2.8)となるように合計パルス幅Wtが光量に応じて指数関数的に変化する。
【0030】
<B:第2実施形態>
本発明の第2実施形態を以下に説明する。なお、以下に例示する各態様において作用や機能が第1実施形態と同様である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0031】
図5は、第2実施形態における信号生成装置10の動作の説明図である。図5に示すように、第2実施形態のイネーブル信号OENは、単位期間T内の制御期間C[1]〜C[4]でのパルス幅p[1]〜p[4]の相対比が2の累乗(p[1]:p[2]:p[3]:p[4]=1:2:4:8)となるように生成される。具体的には、制御期間C[1]でのパルス幅p[1]は単位期間Tの時間長tの1/128(制御期間C[k]の1/16)に設定され、制御期間C[2]でのパルス幅p[2]は時間長tの2/128(制御期間C[k]の2/16)に設定され、制御期間C[3]でのパルス幅p[3]は時間長tの4/128(制御期間C[k]の4/16)に設定され、制御期間C[4]でのパルス幅p[4]は時間長tの8/128(制御期間C[k]の8/16)に設定される。制御期間C[5]〜C[8]でのパルス幅p[5]〜p[8]は時間長tの1/8(制御期間C[k]の時間長)に設定される。
【0032】
第2実施形態では発光素子22[n]の指定光量Lを80段階(0〜79)の何れかに指定することが可能である。制御回路30は、制御データD[n]の制御ビットd1〜d8の数値(1/0)の組合せが指定光量L毎に相違するように制御データD[n]を生成する。具体的には、制御回路30は、指定光量Lに応じた定数B(B=L−16x)が16を下回る最大の整数xを算定し(L−16x<16)、制御データD[n]の制御ビットd5〜d8のうち整数xに相当する個数の制御ビットdkを1(点灯)に設定するとともに制御ビットd5〜d8の残余の制御ビットdkを0(消灯)に設定する。また、制御回路30は、制御ビットd1〜d4の各数値を、定数Bの2進表記を構成する各ビットに設定する。制御ビットd1が定数Bの最下位ビットに相当し、制御ビットd4が定数Bの最上位ビットに相当する。
【0033】
例えば、指定光量Lが61である場合の整数xは3であるから、制御回路30は、図5に示すように、制御データD[n]のうちの3個の制御ビットd5〜d7を1に設定するとともに残余の制御ビットd8を0に設定する。また、変数Bは13(2進表記で1101)であるから、制御回路30は、制御データD[n]のうちの制御ビットd1,d3およびd4を1に設定するとともに制御ビットd2を0に設定する。他方、指定光量Lが5(2進表記で0101)である場合の整数xは0であるから(B=5)、図5に示すように、制御ビットd5〜d8は何れも0に設定され、かつ、制御ビットd1およびd3が1に設定されるとともに制御ビットd2およびd4が0に設定される。
【0034】
各単位回路42[n](初期変調回路52,パルス規定回路54)の動作は第1実施形態と同様である。すなわち、初期変調信号S[n]は、制御データD[n]の制御ビットdkが1となる制御期間C[k]でアクティブレベルに設定され、制御ビットdkが0となる制御期間C[k]で非アクティブレベルに設定される。第1実施形態では、単位期間T毎に1個のパルスが初期変調信号S[n]に配置されるが、第2実施形態では、図5に示すように、個数および位置が指定光量L(制御データD[n])に応じて可変に設定された1個以上のパルスが単位期間T毎に初期変調信号S[n]に配置される。パルス規定回路54は、第1実施形態と同様に、単位期間Tのうち初期変調信号S[n]がアクティブレベルとなる制御期間C[k]にイネーブル信号OENのパルス幅p[k]のパルスを配置することでPWM信号W[n]を生成する。
【0035】
第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第2実施形態では、イネーブル信号OENのパルス幅p[k](p[1]〜p[4])が制御期間C[k]毎に相違し、かつ、初期変調信号S[n]のパルスの個数や位置が指定光量Lに応じて可変に設定される。したがって、PWM信号W[n]のパルスの個数および位置と各パルスのパルス幅p[k]との組合せ毎に単位期間T毎のPWM信号W[n]の合計パルス幅Wt(デューティ比)は相違する。すなわち、単位期間T毎のPWM信号W[n]の合計パルス幅Wtの段階数は、第1実施形態と比較して増加する。したがって、微細な刻み幅で各発光素子22[n]の光量を精緻かつ多様に制御することが可能である。なお、第2実施形態におけるPWM信号W[n]の合計パルス幅Wtは、図5に示すように指定光量Lに応じて直線的に変化する。
【0036】
ところで、第2実施形態では、制御データD[n]のうち1(または0)に設定される各制御ビットdkの位置や個数を指定光量Lに応じて多様に変化させる必要がある。他方、第1実施形態では、制御データD[n]のうち先頭から指定光量Lに応じた個数の制御ビットdkを1に設定して残余の制御ビットdkを0に設定すれば足りる。すなわち、第1実施形態によれば、指定光量Lに応じた制御データD[k]を生成する制御回路30の負荷が第2実施形態と比較して軽減されるという利点がある。すなわち、制御回路30の負荷を軽減するという観点からは第1実施形態が有利であり、PWM信号W[n]の合計パルス幅Wtの段階数を増加させるという観点からは第2実施形態が有利である。
【0037】
<C:第3実施形態>
図6は、第3実施形態に係る発光装置100Aのブロック図である。図6に示すように、第3実施形態の発光装置100Aは、信号生成装置10AとM個(Mは2以上の自然数)の発光素子部20[1]〜20[M]とを具備する。発光素子部20[1]〜20[M]の各々は第1実施形態の発光素子部20と同様の構成である。
【0038】
信号生成装置10Aは、制御回路30と分配回路60AとM個の駆動回路40[1]〜40[M]とを含んで構成される。駆動回路40[1]〜40[M]の各々は、第1実施形態の駆動回路40と同様の構成である。すなわち、駆動回路40[m](m=1〜M)は、制御回路30による制御のもとで発光素子部20[m]の発光素子22[1]〜22[N]を駆動する。制御回路30が生成したラッチ信号LDおよびイネーブル信号OENは、M個の駆動回路40[1]〜40[M]に対して共通に供給される。
【0039】
制御回路30は、各発光素子部20[m]の発光素子22[1]〜22[N]に対応するN系統の制御データDm[1]〜Dm[N]の各制御ビットdkを時分割で順次に出力する。制御データDm[1]〜Dm[N]は、第1実施形態の制御データD[1]〜D[N]に相当する。分配回路60Aは、制御回路30が生成した制御データDm[1]〜Dm[N]をM個の駆動回路40[1]〜40[M]の各々に時分割で分配する回路であり、図6に示すように選択回路62とM個の取込回路64[1]〜64[M]とを含んで構成される。
【0040】
選択回路62は、M個の取込回路64[1]〜64[M]の各々を順次に選択する。具体的には、選択回路62は、図7に示すように、取込回路64[1]〜64[M]に出力するM系統の選択信号SEL[1]〜SEL[M]を、選択期間H[m]毎に順次にアクティブレベル(取込回路64[m]の選択を意味するハイレベル)に設定する。各選択期間H[m]では、第m番目の発光素子部20[m]の制御データDm[1]〜Dm[N]の各制御ビットdkが制御回路30からM個の取込回路64[1]〜64[M]に供給される。
【0041】
取込回路64[m]は、選択回路62から供給される選択信号SEL[m]がアクティブレベルに遷移する時点(選択期間H[m]の始点)で、制御回路30から供給されている制御データDm[1]〜Dm[N]を取込むとともに駆動回路40[m]に対して並列に出力する。駆動回路40[m]に対する制御データDm[1]〜Dm[N]の出力は、次回に選択信号SEL[m]がアクティブレベルに遷移するまで維持される。
【0042】
以上の説明から理解されるように、N系統の制御データDm[1]〜Dm[N]がM個の駆動回路40[1]〜40[M]の各々に対して選択期間H[m]毎に時分割で順次に供給される。そして、第M番目の選択期間H[M]の経過後にラッチ信号LDがアクティブレベルに遷移する。したがって、各取込回路64[m]から出力されている制御データDm[1]〜Dm[N](制御ビットdk)が駆動回路40[1]〜40[M]の各々に対して一斉に取込まれる。
【0043】
制御データDm[1]〜Dm[N]に応じた各発光素子22[1]〜22[N]の制御は第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第3実施形態では、制御回路30が出力する制御データDm[1]〜Dm[N]が時分割で駆動回路40[1]〜40[M]に分配されるから、第1実施形態と比較して、制御回路30と各駆動回路40[m]とを接続する配線の総数を削減しながら発光素子22[n]の総数(M×N個)を増加させることが可能である。
【0044】
<D:第4実施形態>
図8は、第4実施形態に係る発光装置100Bのブロック図である。図8に示すように、第4実施形態の発光装置100Bは、第3実施形態の発光装置100Aの分配回路60Aを分配回路60Bに置換した構成である。分配回路60Bは、制御回路30からシリアルに供給される制御データDm[n]の各制御ビットdkを(M×N)系統に並列に分配する。例えば、制御回路30から供給されるクロック信号CLKに同期して制御ビットdkを順次に後段に転送する(M×N)段のシフトレジスタ回路が分配回路60Bとして採用される。なお、図8では分配回路60Bを1個の要素として便宜的に図示したが、分配回路60Bは、例えば相異なる駆動回路40[m]に対応するM個の集積回路(各々は例えばN段のシフトレジスタ回路)で構成され得る。
【0045】
各制御ビットdkが分配回路60Bの全部(M×N個)の出力段に転送されると、制御回路30から駆動回路40[1]〜40[M]に供給されるラッチ信号LDがアクティブレベルに設定される。したがって、第3実施形態と同様に、制御データDm[1]〜Dm[N]が駆動回路40[1]〜40[M]の各々に一斉に取込まれて各発光素子22[n]の点灯/消灯が制御される。第4実施形態においても第3実施形態と同様の効果が実現される。
【0046】
なお、第3実施形態や第4実施形態では、第1実施形態を前提とした構成を例示したが、制御期間C[k]毎のイネーブル信号OENのパルス幅p[k]を2の累乗に設定する第2実施形態にも第3実施形態や第4実施形態の構成は同様に適用される。
【0047】
<E:変形例>
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は適宜に併合され得る。
【0048】
(1)変形例1
以上の各形態で例示した各要素の個数は任意である。例えば、単位期間T内の制御期間C[k]の個数は任意に変更され得る。したがって、制御ビットbkの個数やPWM信号W[n]の合計パルス幅Wtの段階数も任意に変更される。また、以上の各形態で例示した各回路の具体的な構成は適宜に変更される。例えば、単位回路42[n]の構成は図3の例示に限定されない。
【0049】
(2)変形例2
以上の各形態では、PWM信号W[n]を発光素子22[n]の駆動に利用した発光装置100を例示したが、PWM信号W[n]の供給先は発光素子22[n]に限定されない。例えば、以上の各形態で生成されたPWM信号W[1]〜W[N]の供給でモータを駆動する構成も採用され得る。PWM信号W[n]を利用した駆動の対象は、発光素子22[n]やモータを含む被駆動素子として包括される。
【符号の説明】
【0050】
100……発光装置、10……信号生成装置、20……発光素子部、22[1]〜22[N]……発光素子、24……定電流素子、30……制御回路、40……駆動回路、42[1]〜42[N]……単位回路、52……初期変調回路、54……パルス規定回路、542……反転回路、544……否定論理積回路。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
単位期間毎の合計パルス幅が指定値に応じて可変に設定されたPWM信号を生成する信号生成装置であって、
前記各単位期間内の複数の制御期間のうち一の制御期間と他の制御期間とでパルス幅が相違するように前記制御期間毎にパルスを配置したイネーブル信号を生成する制御手段と、
前記指定値に応じて前記各単位期間内の前記制御期間毎に第1レベルまたは第2レベルに設定された初期変調信号を生成する初期変調手段と、
前記各単位期間内の前記複数の制御期間のうち前記初期変調信号が前記第1レベルとなる制御期間のパルス幅が前記イネーブル信号の当該制御期間でのパルス幅に応じて設定された前記PWM信号を生成するパルス規定手段と
を具備する信号生成装置。
【請求項2】
単位期間毎の合計パルス幅が指定値に応じて可変に設定された複数のPWM信号を並列に生成する信号生成装置であって、
相異なる前記PWM信号に対応する複数の単位回路と、
前記各単位期間内の複数の制御期間のうち一の制御期間と他の制御期間とでパルス幅が相違するように前記制御期間毎にパルスを配置したイネーブル信号を生成して前記複数の単位回路に共通に供給する制御手段と、
前記複数の単位回路の各々は、
当該単位回路に対する前記指定値に応じて前記各単位期間内の前記制御期間毎に第1レベルまたは第2レベルに設定された初期変調信号を生成する初期変調手段と、
前記各単位期間内の前記複数の制御期間のうち前記初期変調信号が前記第1レベルとなる制御期間のパルス幅が前記イネーブル信号の当該制御期間でのパルス幅に応じて設定された前記PWM信号を生成するパルス規定手段とを含む
信号生成装置。
【請求項3】
前記初期変調手段は、前記各単位期間の始点から前記指定値に応じた個数の制御期間にて前記初期変調信号を前記第1レベルに設定するとともに当該単位期間の残余の制御期間にて前記初期変調信号を前記第2レベルに設定し、
前記制御手段は、前記PWM信号の合計パルス幅が前記指定値に対して非線形に変化するように前記イネーブル信号の前記各制御期間でのパルス幅を設定する
請求項1または請求項2の信号生成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記イネーブル信号の前記各制御期間でのパルス幅が所定値の累乗の系列となるように前記イネーブル信号を生成し、
前記初期変調手段は、前記各単位期間内の複数の制御期間のうち前記指定値に応じて選択された1以上の制御期間にて前記初期変調信号を前記第1レベルに設定するとともに当該単位期間の残余の制御期間にて前記初期変調信号を前記第2レベルに設定する
請求項1または請求項2の信号生成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−211271(P2011−211271A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74139(P2010−74139)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】