説明

修正部材及びその製造方法

【課題】易切断性、ひび割れ耐性及び耐水性、該剥離層の柔軟性、水性インクによる滲み耐性が良好で、インクジェットプリンターで出力される高品位専用紙に適用しても画像再現性を向上できる修正部材の提供。
【解決手段】離型層1を有する修正部材10において、(イ)前記剥離層被膜4には、ポリビニルアルコール11.5〜20.0重量%、アクリル酸系ポリマー4.0〜10.0重量%、ポリビニルアルコール可塑剤0.4〜0.8重量%、並びに、天然ゴム及びイソプレン重合物2.0〜6.0重量%及び充填剤が含有され、(ロ)前記天然ゴムに対する前記イソプレン重合物の配合比が、1対1.0〜1対5.0であり、(ハ)前記ポリビニルアルコールに対する前記アクリル酸系ポリマーの配合比が、1対0.2〜1対1.0であり、かつ、(ニ)前記充填剤が、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体69〜73重量%で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、修正部材に関するものであり、さらに、詳しくは、紙、フィルム、ラベル、人形等の有形部の表面に水性インクによる印字、印画された文字、図形、模様等の像を消去し、修正するのに適した修正部材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者らは、良好な易切断性、ひび割れ耐性、インク吸収性、画像再現性及び耐ブロッキング性を良好に維持しつつ、転写性及び隠蔽性をいっそう向上させた修正部材(特願2010−140427)(未公開)を提案した。図3は、本発明者らが提案した修正部材の拡大断面図である。図3に示されているように、本発明者らが提案した修正部材110は、離型層101と、該離型層101の表面に設けられた支持体102と、該支持体102の表面に設けられた剥離層104と、該剥離層104の表面に設けられた白色隠蔽層105と、該白色隠蔽層105の表面に設けられた粘着剤層106と、を有している。そして、本発明の修正部材110においては、(イ)前記剥離層10が、ポリビニルアルコール、イソプレン重合物、ポリビニルアルコール可塑剤及び充填剤を少なくとも含む被膜で構成され、(ロ)前記被膜に、前記ポリビニルアルコール24〜27重量%と前記ポリイソプレン重合物0.5〜3.5重量%とが含有され、(ハ)前記ポリビニルアルコールが、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールで構成され、かつ、(ニ)前記充填剤が、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成されている。
【0003】
図4に示されているように、前記修正部材110は、被転写紙107の表面に印画された図形、模様等の像を覆い被せるように粘着剤層106を下にして、該修正部材110を被転写紙107の表面に接着させる段階(第1段階)[a]、支持体102の表面に剥離層104の表面近傍部分104bを保持した状態で剥離層104の本体部分104aから支持体102を剥離する段階(第2段階)[b]、及び、露出した剥離層104の本体部分104aの表面に修正された文字、図形、模様等の像を印字、印画する段階(第3段階)[c]を順次経て、被転写紙107の表面に印字、印画された文字、図形、模様等の像の修正がなされる。
【0004】
このような修正部材110は、前記剥離層104に前記ポリイソプレン重合物を含有させたことに起因する空隙を生じさせて該剥離層104の嵩密度を低減させることにより、該剥離層104の剥離力を低減させると共に該剥離層104のインク吸収性を高めることができ、それらのために、易切断性、ひび割れ耐性、インク吸収性、画像再現性及び耐ブロッキング性を良好に維持しつつ、転写性及び隠蔽性をいっそう向上させた修正部材を提供することができる、という効果を有するものである。
【0005】
ところで、前記剥離層104に含有されるリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成された充填剤は、機械的な分散処理を施したり、分散剤を配合したりしなくてもほぼ単分散な状態でインク中に存在しているが、5.5μmもの大粒径を有するものであって、しかも、高吸油量(150ml/100g)を有するものであるので、塗布組成物を乾燥する(溶媒が蒸発し被膜形成する)過程においては、被膜形成剤(PVA)の吸着や偏在を伴いながら凝集傾向を示すので、前記剥離層104を構成する成分の配合調整によって被膜の機械強度及び剥離力を操作する場合においても、配慮すべき重要な技術的事項となっており、そのために、先行技術においては、水性インクに対する受容性があって、しかも、支持体への密着性の低いPVA(可塑剤を含む)を固形分中に24重量%以上を配合しなければ、両特性を安定化させることができないという問題があった。加えて、前記した配合構成であっても多量の液滴を受容した場合には、滲み等による印画品位の低下やインク層のひび割れは避けられないという問題があった。また、前記剥離層104を厚膜化してインク受容性を拡大させることも考えられるが、該剥離層104を過度に厚膜化(例えば、12μmを超える厚膜化)すると耐ひび割れ性や切断性が低下してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特願2010−140427(未公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
【0008】
即ち、本発明は、剥離層を薄膜化させても、該剥離層による水性インクの受容性を維持しつつ良好な易切断性、ひび割れ耐性及び耐水性を保持できると共に、該剥離層の柔軟性を保ちながら水性インクによる滲みを防止でき、しかも、インクジェットプリンターで出力される高品位専用紙に適用しても画像再現性を向上できる修正部材を低コストで提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、離型層と、該離型層の表面に設けられた支持体と、該支持体の表面に設けられた剥離層と、該剥離層の表面に設けられた白色隠蔽層と、該白色隠蔽層の表面に設けられた粘着剤層と、を有する修正部材において、(イ)前記剥離層が、ポリビニルアルコール、アクリル酸系ポリマー、ポリビニルアルコール可塑剤、天然ゴム、イソプレン重合物及び充填剤を少なくとも含む被膜で構成され、(ロ)前記被膜には、ポリビニルアルコール11.5〜20.0重量%、アクリル酸系ポリマー4.0〜10.0重量%、ポリビニルアルコール可塑剤0.4〜0.8重量%、並びに、天然ゴム及びイソプレン重合物2.0〜6.0重量%が、含有され、(ハ)前記天然ゴムに対する前記イソプレン重合物の配合比が、1対1.0〜1対5.0とされ、(ニ)前記ポリビニルアルコールに対する前記アクリル酸系ポリマーの配合比が、1対0.2〜1対1.0とされている、かつ、(ホ)前記充填剤が、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体69〜73重量%で構成されていることを特徴とする修正部材である。
【0010】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、(イ)前記白色隠蔽層が、天然ゴムラテックス、ポリビニルアルコール及びイソプレン重合物で構成される被膜形成樹脂と、アクリル酸系ポリマーと、充填剤とを少なくとも含む被膜で構成され、 (ロ)前記被膜には、前記天然ゴムラテックス14〜17重量%と、前記ポリビニルアルコール2〜4重量%と、前記イソプレン重合物1〜3重量%とが含有され、(ハ)アクリル酸系ポリマー3〜4重量%が含有され、かつ、(ニ)前記充填剤が、酸化チタン65〜74重量%及びリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体4〜9重量%で構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、前記粘着剤層が、アクリル系粘着剤で構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に記載された発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載された発明において、前記剥離層の層厚が、6.0μm以上8.0μm未満とされていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項5に記載された発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載された発明において、前記白色隠蔽層の層厚が、19.0μmとされていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項6に記載された発明は、請求項1〜5いずれか1項に記載された発明において、前記粘着層の層厚が、1.0μmとされていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項7に記載された発明は、請求項1〜6いずれか1項に記載された発明において、被転写紙の表面に、前記粘着剤層、前記白色隠蔽層、及び、前記離型層を順次有する請求項1〜5のいずれか1項に記載された修正部材であって、前記剥離層が、その表面近傍部分から凝集剥離されていることを特徴とする修正部材である。
【0016】
請求項8に記載された発明は、一方の面に離型層を設けた支持体を準備する工程、前記支持体の他方の面に剥離層を形成する工程、前記剥離層の表面に白色隠蔽層を形成する工程、及び、前記白色隠蔽層の表面に粘着剤層を形成する工程、を順次有する修正部材の製造方法であって、前記支持体の他方の面に、ポリアクリル酸ソーダ(固形分40%の水溶液)4〜9重量%、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール(固形分20%の水溶液)20〜30重量%、イソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)と天然ゴムラテックス(固形分62%のコロイド状懸濁液)とを重量比:1対5.0で混合してなるゴム混合物1.5〜3.0重量%、ポリビニルアルコール可塑剤0.1〜0.3重量%、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成される充填剤21〜25重量%、及び、水38〜45重量%からなる塗布組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記剥離層を形成することを特徴とする修正部材の製造方法である。
【0017】
請求項9に記載された発明は、請求項8に記載された発明において、前記剥離層の表面に、アクリル酸・無水マレイン酸共重合体塩(固形分37%の水溶液5〜7重量%、天然ゴムラテックス(固形分62%のコロイド状懸濁液)13〜15重量%、イソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)0.9〜2.8重量%、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール(固形分20%の水溶液)の水溶液7〜9重量%、酸化チタン及びリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成される充填剤41〜45重量%、並びに、水29〜31重量%からなる塗布組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記白色隠蔽層を形成することを特徴とするものである。
【0018】
請求項10に記載された発明は、請求項8又は9に記載された発明において、 前記白色隠蔽層の表面に、アクリル系粘着剤(固形分55%の水系エマルジョン)40〜50重量%、及び、水50〜60重量%からなる粘着剤組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記粘着剤層を形成することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1,4に記載された発明によれば、離型層と、該離型層の表面に設けられた支持体と、該支持体の表面に設けられた剥離層と、該剥離層の表面に設けられた白色隠蔽層と、該白色隠蔽層の表面に設けられた粘着剤層と、を有する修正部材において、(イ)前記剥離層が、ポリビニルアルコール、アクリル酸系ポリマー、ポリビニルアルコール可塑剤、天然ゴム、イソプレン重合物及び充填剤を少なくとも含む被膜で構成され、(ロ)前記被膜には、ポリビニルアルコール11.5〜20.0重量%、アクリル酸系ポリマー4.0〜10.0重量%、ポリビニルアルコール可塑剤0.4〜0.8重量%、並びに、天然ゴム及びイソプレン重合物2.0〜6.0重量%が、含有され、(ハ)前記天然ゴムに対する前記イソプレン重合物の配合比が、1対1.0〜1対5.0とされ、(ニ)前記ポリビニルアルコールに対する前記アクリル酸系ポリマーの配合比が、1対0.2〜1対1.0とされている、かつ、(ホ)前記充填剤が、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体69〜73重量%で構成されているので、前記充填剤を高密度化させて、前記被膜の結合力と柔軟性とを向上させることができ、それらのために、剥離層を薄膜化させても、該剥離層による水性インクの受容性を維持しつつ良好な易切断性、ひび割れ耐性及び耐水性を保持できると共に、該剥離層の柔軟性を保ちながら水性インクによる滲みを防止でき、しかも、インクジェットプリンターで出力される高品位専用紙に適用しても画像再現性を向上できる修正部材を低コストで提供することができる。
【0020】
請求項2,5に記載された発明によれば、(イ)前記白色隠蔽層が、天然ゴムラテックス、ポリビニルアルコール及びイソプレン重合物で構成される被膜形成樹脂と、アクリル酸系ポリマーと、充填剤とを少なくとも含む被膜で構成され、 (ロ)前記被膜には、前記天然ゴムラテックス14〜17重量%と、前記ポリビニルアルコール2〜4重量%と、前記イソプレン重合物1〜3重量%とが含有され、(ハ)アクリル酸系ポリマー3〜4重量%が含有され、かつ、(ニ)前記充填剤が、酸化チタン65〜74重量%及びリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体4〜9重量%で構成されているので、従来の白色隠蔽層におけるケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールの一部をケン化度:95〜96モル%のポリビニルアルコール及び グリセリンに置換して、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールの含有量を大幅に減少させることができると共に、従来の白色隠蔽層におけるリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体の一部を前記酸化チタンに置換して、該白色隠蔽層におけるリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体を大幅に減少させることができ、それらのために、本発明における前記白色隠蔽層における着色剤の高充填と該白色隠蔽層の高密度化を実現することができ、よって、本発明における隠蔽力及び耐ひび割れ性をいっそう向上させた修正部材を提供することができる。
【0021】
請求項3,6に記載された発明によれば、前記粘着剤層が、アクリル系粘着剤で構成されているので、前記粘着剤層におけるアクリル系粘着剤の一部を天然ゴムラテックス及びイソプレン重合物に置換して該粘着剤層を薄膜化してもその引張せん断接着強さを向上させることができ、そのために、切断性及び耐ひび割れ性を最適化した修正部材を提供することができる。
【0022】
請求項7に記載された発明によれば、被転写紙の表面に、前記粘着剤層、前記白色隠蔽層、及び、前記離型層を順次有する請求項1〜5のいずれか1項に記載された修正部材であって、前記剥離層が、その表面近傍部分から凝集剥離されたものであるので、その凝集剥離された剥離層の本体部分の表面が微細な凹凸を有したものとなり、そのために、凝集剥離された後の該剥離層の本体部分の表面の光沢感を抑制させると共に、剥離層の本体部の表面、に水性インクで印字、印画する際に、該水性インクの浸透性がいっそう向上させることができ、しかも、水性インクによる滲みの発生や変色の発生をいっそう防止することができる。
【0023】
請求項8に記載された発明によれば、一方の面に離型層を設けた支持体を準備する工程、前記支持体の他方の面に剥離層を形成する工程、前記剥離層の表面に白色隠蔽層を形成する工程、及び、前記白色隠蔽層の表面に粘着剤層を形成する工程、を順次有する修正部材の製造方法であって、前記支持体の他方の面に、ポリアクリル酸ソーダ(固形分40%の水溶液)4〜9重量%、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール(固形分20%の水溶液)20〜30重量%、イソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)と天然ゴムラテックス(固形分62%のコロイド状懸濁液)とを重量比:1対5.0で混合してなるゴム混合物1.5〜3.0重量%、ポリビニルアルコール可塑剤0.1〜0.3重量%、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成される充填剤21〜25重量%、及び、水38〜45重量%からなる塗布組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記剥離層を形成するものであるので、前記充填剤(リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体)を高密度化させて、前記被膜の結合力と柔軟性とを向上させるることができ、それらのために、剥離層を薄膜化させても、該剥離層による水性インクの受容性を維持しつつ良好な易切断性、ひび割れ耐性及び耐水性を保持できると共に、該剥離層の柔軟性を保ちながら水性インクによる滲みを防止でき、しかも、インクジェットプリンターで出力される高品位専用紙に適用しても画像再現性を向上できる修正部材を低コストで提供することができる。
【0024】
請求項9に記載された発明によれば、前記剥離層の表面に、アクリル酸・無水マレイン酸共重合体塩(固形分37%の水溶液5〜7重量%、天然ゴムラテックス(固形分62%のコロイド状懸濁液)13〜15重量%、イソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)0.9〜2.8重量%、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール(固形分20%の水溶液)の水溶液7〜9重量%、酸化チタン及びリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成される充填剤41〜45重量%、並びに、水29〜31重量%からなる塗布組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記白色隠蔽層を形成するので、前記白色隠蔽層におけるケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールの一部をケン化度:95〜96モル%のポリビニルアルコール及び グリセリンに置換して、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールの含有量を大幅に減少させることができると共に、前記白色隠蔽層におけるリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体の一部を前記酸化チタンに置換して、該白色隠蔽層におけるリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体大幅に減少させることができ、それらのために、前記白色隠蔽層における着色剤の高充填と該白色隠蔽層の高密度化を実現することができ、よって、隠蔽力及び耐ひび割れ性をいっそう向上させた修正部材を提供することができる。
【0025】
請求項10に記載された発明によれば、前記白色隠蔽層の表面に、アクリル系粘着剤(固形分55%の水系エマルジョン)40〜45重量%、前記天然ゴムラテックス(固形分62%のコロイド懸濁液)3〜14重量%及びイソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)0.8〜4.5重量%からなる粘着剤組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記粘着剤層を形成するので、前記粘着剤層におけるアクリル系粘着剤の一部を天然ゴムラテックス及びイソプレン重合物に置換して該粘着剤層を薄膜化してもその引張せん断接着強さを向上させることができ、そのために、切断性及び耐ひび割れ性を最適化した修正部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態を示す修正部材の拡大横断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示す修正部材の使用態様を説明する説明図であって、(a)は、被転写紙の表面に印字、印画された図形、模様等の像を覆い被せるように粘着剤層を下にして、修正部材を被転写紙の表面に接着させる段階(第1段階)を示し、(b)支持体の表面に剥離層の表面近傍部分を保持した状態で剥離層から支持体を剥離する段階(第2段階)を示し、そして、(c)露出した剥離層の本体部分の表面に修正された文字、図形、模様等の像を印字、印画する段階(第3段階)を示す。
【図3】従来の修正部材の拡大横断面図である。
【図4】従来の修正部材の使用態様を説明する説明図であって、(a)は、被転写紙の表面に印字、印画された図形、模様等の像を覆い被せるように粘着剤層を下にして、修正部材を被転写紙の表面に接着させる段階(第1段階)を示し、(b)支持体の表面に剥離層の表面近傍部分を保持した状態で剥離層から支持体を剥離する段階(第2段階)を示し、そして、(c)露出した剥離層の本体部分の表面に修正された文字、図形、模様等の像を印字、印画する段階(第3段階)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0028】
本発明における「凝集剥離」は、例えば、図2に示されているように、剥離層4自体が剥離時に破壊されて起こる剥離である。前記剥離層4自体が剥離時に破壊されて起こる剥離は、該剥離層4を構成する充填剤及び被膜形成剤の内で被膜形成剤の配合割合を少なくして、各層間の接着力よりも該剥離層4の結合力(被膜強度)を低く抑えることにより、可能になる。このような凝集剥離は、インク層を構成する前記剥離層4、前記白色隠蔽層5及び前記粘着剤層6の各界面間の接着力並びに各層間の凝集力の中でも最も強度の低い該剥離層4で起こる。本明細書においては、このように定義される凝集剥離を「凝集剥離」という。
【0029】
図1,2に示されているように、本発明の修正部材10は、離型層1と、該離型層1の表面に設けられた支持体2と、該支持体2の表面に設けられた剥離層4と、該剥離層4の表面に設けられた白色隠蔽層5と、該白色隠蔽層5の表面に設けられた粘着剤層6と、を有している。本発明の修正部材10においては、後述する実施例に示されているように、(イ)前記剥離層1が、ポリビニルアルコール、アクリル酸系ポリマー、アクリル酸系ポリマーと、天然ゴム、イソプレン重合物及び充填剤を少なくとも含む被膜で構成され、
(ロ)前記被膜には、ポリビニルアルコール11.5〜20.0重量%、アクリル酸系ポリマー4.0〜1.0重量%、ポリビニルアルコール可塑剤0.4〜0.8重量%、並びに、天然ゴム及びイソプレン重合物2.0〜6.0重量%が、含有され、(ハ)前記天然ゴムに対する前記イソプレン重合物の配合比が、1対1.0〜1対5.0とされ、(ニ)前記ポリビニルアルコールに対する前記アクリル酸系ポリマーの配合比が、1対0.2〜1対1.0とされ、かつ、(ホ)前記充填剤が、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体69〜73重量%で構成されている。
【0030】
前記剥離層4を構成する被膜におけるポリビニルアルコールの含有量が、11.5重量%未満であると、 被膜強さが不足するので、耐ひび割れ性が損なわれる。そして、前記剥離層4を構成する被膜におけるポリビニルアルコールの含有量が、20.0重量%を超えると、前記剥離層4の凝集剥離を確保することができなくなるので、転写した被膜が界面剥離されることとなって鏡面化されることとなり、しかも、被膜強さが過剰となるので、被膜の切断性が損なわれる。それ故、前記剥離層4を構成する被膜におけるポリビニルアルコールの含有量は、好ましくは、11.5〜20.0重量%である。
【0031】
前記剥離層4を構成する被膜におけるアクリル酸系ポリマーの含有量が、4.0重量%未満であると、十分な分散性が得られななくなるので、不均一な空隙地域が増し、そのために、薄膜化した場合に十分なインク吸収性や画像再現性が得られなくなる。そして、前記剥離層4を構成する被膜におけるアクリル酸系ポリマーの含有量が、10.0重量%を超えると、被膜が高密化するので、凝集剥離を確保することができなくなり、そのために、転写した被膜が界面剥離されることとなって鏡面化されることとなり、しかも、被膜の強度が不足することとなって、被膜の耐ひび割れ性が損なわれることとなる。それ故、前記剥離層4を構成する被膜におけるアクリル酸系ポリマーの含有量は、好ましくは、4.0〜10.0重量%重量%である。
【0032】
前記剥離層4を構成する被膜における前記天然ゴムに対する前記イソプレン重合物の配合比が、1対1.0未満であると、前記剥離層4の剥離力が高くなって、転写性が低下する。そして、前記剥離層4を構成する被膜における前記天然ゴムに対する前記イソプレン重合物の配合比が、1対5.0を超えると、被膜強さが低下して耐ひび割れ性が損なわれる。それ故、前記剥離層4を構成する被膜における前記天然ゴムに対する前記イソプレン重合物の配合比は、好ましくは、1対1.0〜1対5.0である。
【0033】
前記剥離層4を構成する被膜における前記ポリビニルアルコールに対する前記アクリル酸系ポリマーの配合比が、1対0.5未満であると、前記ポリビニルアルコールの分散性が乏しいので、充分な分散性を得ることができなくなり、そのために、剥離層4の薄膜化ができなくなる。そして、前記剥離層4を構成する被膜における前記ポリビニルアルコールに対する前記アクリル酸系ポリマーの配合比が、1対1.5を超えると、被膜強さが不足するので、耐ひび割れ性が損なわれる、しかも、前記ポリビニルアルコールと前記アクリル酸系ポリマーとの相溶性が低下するので、塗布液がゲル化し、そのために、塗布液の安定性が損なわれることとなる。
【0034】
したがって、従来のインクジェットプリンターにおいては、用いられる用紙の種類に応じて液滴量の調整が行なわれており、特に、ハガキ等の厚紙や高品位且つ精細な出力を目的とするインク受容性を高める処理を施したインクジェット通常はがき、スーパーファイン紙、高品位専用紙、ハイグレード紙等の用紙では、多量の液滴を受容できるようにしなければならなかったが、本発明のように、離型層1と、該離型層1の表面に設けられた支持体2と、該支持体2の表面に設けられた剥離層4と、該剥離層4の表面に設けられた白色隠蔽層5と、該白色隠蔽層5の表面に設けられた粘着剤層6と、を有する修正部材10において、(イ)前記剥離層1が、ポリビニルアルコール、アクリル酸系ポリマー、アクリル酸系ポリマーと、天然ゴム、イソプレン重合物及び充填剤を少なくとも含む被膜で構成され、(ロ)前記被膜には、ポリビニルアルコール11.5〜20.0重量%、アクリル酸系ポリマー4.0〜1.0重量%、ポリビニルアルコール可塑剤0.4〜0.8重量%、並びに、天然ゴム及びイソプレン重合物2.0〜6.0重量%が、含有され、(ハ)前記天然ゴムに対する前記イソプレン重合物の配合比が、1対1.0〜1対5.0とされ、(ニ)前記ポリビニルアルコールに対する前記アクリル酸系ポリマーの配合比が、1対0.2〜1対1.0とされ、かつ、(ホ)前記充填剤が、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体69〜73重量%で構成されていると、前記充填剤を高密度化させて、前記被膜の結合力と柔軟性とを向上させることができ、それらのために、剥離層4を薄膜化させても、該剥離層4による水性インクの受容性を維持しつつ良好な易切断性、ひび割れ耐性及び耐水性を保持できると共に、該剥離層4の柔軟性を保ちながら水性インクによる滲みを防止でき、しかも、インクジェットプリンターで出力される高品位専用紙に適用しても画像再現性を向上できる修正部材10を低コストで提供することができる。
【0035】
前記リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)は、花弁状多孔質構造を有する比表面積、吸油性の極めて大きな微粒子であって、既に、水性エマルジョン塗料の艶消し剤として市販されているものである。前記剥離層1の厚みは、好ましくは、6.0μm以上8.0 μmである。
【0036】
図1,2に示されているように、本発明の修正部材10においては、後述する実施例に示されているように、(イ)前記白色隠蔽層5が、天然ゴムラテックス、ポリビニルアルコール及びイソプレン重合物で構成される被膜形成樹脂と、アクリル酸系ポリマーと、充填剤とを少なくとも含む被膜で構成され、(ロ)前記被膜には、前記天然ゴムラテックス14〜17重量%と、前記ポリビニルアルコール2〜4重量%と、前記イソプレン重合物1〜3重量%とが含有され、(ハ)アクリル酸系ポリマー3〜4重量%が含有され、かつ、(ニ)前記充填剤が、酸化チタン65〜74重量%及びリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体4〜9重量%で構成されている。前記白色隠蔽層5の厚みは、好ましくは、19.0μmである。
【0037】
本発明の修正部材10は、従来の白色隠蔽層105におけるポリビニルアルコールを一部ケン化度95〜96モル%のポリビニルアルコール及びグリセリンに置換するものであるので、従来の白色隠蔽層105におけるポリビニルアルコールの含有率を8重量%から2.7重量%に減量することができる。また、本発明の修正部材10は、従来の白色隠蔽層105におけるリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体の一部を酸化チタンに置換するものであるので、従来の白色隠蔽層105におけるリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体の含有率を21.2重量%から10重量%に大幅に減量することができ、そのために、白色隠蔽層5における着色剤の高充填と同層の高密度化を実現することができ、よって、白色隠蔽層5の隠蔽力及び耐ひび割れ性を向上させることができる。これに対して、前記先行技術に記載された白色隠蔽層105では、ポリビニルアルコールは、最適な被膜強度を持つ反面、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体を安定分散させるには大量に配合する必要があるので、耐ひび割れ性や隠蔽性に対してはマイナス作用となる。しかしながら、本発明の前記白色隠蔽層5におけるポリビニルアルコール及びグリセリンは、分散能が高いので、少量添加が可能となる。
【0038】
したがって、本発明のように、(イ)前記白色隠蔽層5が、天然ゴムラテックス、ポリビニルアルコール及びイソプレン重合物で構成される被膜形成樹脂と、アクリル酸系ポリマーと、充填剤とを少なくとも含む被膜で構成され、(ロ)前記被膜には、前記天然ゴムラテックス14〜17重量%と、前記ポリビニルアルコール2〜4重量%と、前記イソプレン重合物1〜3重量%とが含有され、(ハ)アクリル酸系ポリマー3〜4重量%が含有され、かつ、(ニ)前記充填剤が、酸化チタン65〜74重量%及びリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体4〜9重量%で構成されていると、従来の白色隠蔽層105におけるケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールの一部をケン化度:95〜96モル%のポリビニルアルコール及び グリセリンに置換して、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールの含有量を大幅に減少させることができると共に、従来の白色隠蔽層105におけるリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体の一部を前記酸化チタンに置換して、該白色隠蔽層105におけるリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体を大幅に減少させることができ、それらのために、本発明の前記白色隠蔽層5における着色剤の高充填と該白色隠蔽層5の高密度化を実現することができ、よって、隠蔽力及び耐ひび割れ性をいっそう向上させた修正部材10を提供することができる。
【0039】
図1,2に示されているように、本発明の修正部材10においては、後述する実施例に示されているように、アクリル系粘着剤で構成されている。前記粘着剤層6の厚みは、好ましくは、1μmである。
【0040】
前記粘着剤層6におけるイソプレン重合物は、上述した白色隠蔽層5におけるイソプレン重合物と同様に、前記天然ゴムラテックスの可塑剤として含有させたものである。したがって、前記粘着剤層6におけるイソプレン重合物は、前記白色隠蔽層5におけるイソプレン重合物と同様な機能を有したものであるが、前記天然ゴムラテックスの最大の特性であるゴム弾性(感圧性)を活かすことができるものであるので、前記粘着剤層6を超薄膜化しても高い剪断接着力と被膜強度の最適化が可能になる。また、本発明の修正部材10は、従来の粘着剤層106におけるアクリル系粘着剤(アクリル酸エステル共重合物)を天然ゴムラテックス及びイソプレン重合物に一部置換することにより、同層の厚みを2μmから1μmに薄膜化しても、その引張せん断接着強さを向上しせ、なおかつ、切断性及び耐ひび割れ性を最適化する為に機能する。
【0041】
したがって、本発明のように、アクリル系粘着剤で構成されていると、前記粘着剤層6におけるアクリル系粘着剤の一部を天然ゴムラテックス及びイソプレン重合物に置換して該粘着剤層6を薄膜化してもその引張せん断接着強さを向上させることができ、そのために、切断性及び耐ひび割れ性を最適化した修正部材10を提供することができる。
【0042】
図2に示されているように、この修正部材10は、被転写紙7の表面に印画された図形、模様等の像を覆い被せるように粘着剤層6を下にして、修正部材10を被転写紙7の表面に接着させる段階(第1段階)[a]、支持体2の表面に剥離層4の表面近傍部分4bを保持した状態で剥離層4の本体部分4aから支持体2を剥離する段階(第2段階)[b]、及び、露出した剥離層4の本体部分4aの表面に修正された文字、図形、模様等の像を印字、印画する段階(第3段階)[c]を順次経て、被転写紙7の表面に印字、印画された文字、図形、模様等の像の修正がなされる。
【0043】
図2に示されているように、本発明の修正部材10を被転写紙7の表面に印画された図形、模様等の像を覆い被せるように粘着剤層6を下にして被転写紙7の表面に接着させた後、支持体2の表面に剥離層4の表面近傍部分4bを保持した状態で剥離層の本体部分4aから支持体2を剥離した段階では、本発明の修正部材10は、被転写紙7の表面に、前記粘着剤層6、前記白色隠蔽層5、及び、前記離型層1を順次有する請求項1〜5のいずれか1項に記載された修正部材10であって、前記剥離層4が、その表面近傍部分4bから凝集剥離されたものとなっている。前記凝集剥離された後における剥離層の本体部分4aは、図2に示されているように、その表面に微細な凹凸を有している。本発明の修正部材10は、前記凝集剥離された後における剥離層4の本体部分4aがその表面に微細な凹凸を有したものとなるが故に、該剥離層4の本体部分4aの表面の光沢感を抑制させると共に、水性インクによる印字、印画の滲みの発生や変色の発生を防止するものとなる。
【0044】
前記離型層1は、修正部材10をローラ状に巻き取ったときに、粘着剤層6が支持体2に粘着して剥がれなくなるのを防止するために使用されるものであって、シリコーンで構成される離型剤であるが、本発明の目的に反しない限り、シリコーン以外の離型剤であってもかまわない。
【0045】
本発明の修正部材10の製造方法は、一方の面に離型層1を設けた支持体を準備する工程、前記支持体2の他方の面に剥離層1を形成する工程、前記剥離層1の表面に白色隠蔽層5を形成する工程、及び、前記白色隠蔽層5の表面に粘着剤層6を形成する工程、を順次有している。そして、前記支持体10の他方の面に、ポリアクリル酸ソーダ(固形分40%の水溶液)4〜9重量%、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール(固形分20%の水溶液)20〜30重量%、イソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)と天然ゴムラテックス(固形分62%のコロイド状懸濁液)とを重量比:1対5.0で混合してなるゴム混合物1.5〜3.0重量%、ポリビニルアルコール可塑剤0.1〜0.3重量%、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成される充填剤21〜25重量%、及び、水38〜45重量%からなる塗布組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記剥離層を形成する。
【0046】
前記剥離層4を形成する塗布組成物は、例えば、次のようにして製造される。即ち、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール(デンカポバールB−04、電気化学工業社製)、ケン化度:95〜96モル%のポリビニルアルコール(デンカポバールH−12、電気化学工業社製)、及び、ポリビニルアルコール可塑剤(精製グリセリン、ミヨシ油脂社製)を水(イオン交換水)に加熱溶解して、ポリビニルアルコール混合溶液とする。次に、ポリアクリル酸ソーダ(アクリアリックDL40、 日本触媒社製)に水(イオン交換水)を加えて濃度調整した溶液とし、この濃度調整した溶液にリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)を投入した後、ビーズミルを用いて分散して、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体分散液とする。そして、前記リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体分散液に前記ポリビニルアルコール混合溶液、イソプレン重合物(LIR−700、クラレ社製)、及び、天然ゴムラテックス(ウニマックHA、プラネット化学研究所社製)を混合して前記剥離層4を形成する塗布組成物を得る。
【0047】
このように、一方の面に離型層1を設けた支持体を準備する工程、前記支持体2の他方の面に剥離層1を形成する工程、前記剥離層1の表面に白色隠蔽層5を形成する工程、及び、前記白色隠蔽層5の表面に粘着剤層6を形成する工程、を順次有する修正部材10の製造方法において、前記支持体10の他方の面に、ポリアクリル酸ソーダ(固形分40%の水溶液)4〜9重量%、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール(固形分20%の水溶液)20〜30重量%、イソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)と天然ゴムラテックス(固形分62%のコロイド状懸濁液)とを重量比:1対5.0で混合してなるゴム混合物1.5〜3.0重量%、ポリビニルアルコール可塑剤0.1〜0.3重量%、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成される充填剤21〜25重量%、及び、水38〜45重量%からなる塗布組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記剥離層を形成すると、前記充填剤(リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体)を高密度化させて、前記被膜の結合力と柔軟性とを向上させるることができ、それらのために、剥離層4を薄膜化させても、該剥離層4による水性インクの受容性を維持しつつ良好な易切断性、ひび割れ耐性及び耐水性を保持できると共に、該剥離層4の柔軟性を保ちながら水性インクによる滲みを防止でき、しかも、インクジェットプリンターで出力される高品位専用紙に適用しても画像再現性を向上できる修正部材10を低コストで提供することができる。
【0048】
また、本発明の修正部材10の製造方法では、 前記剥離層4の表面に、アクリル酸・無水マレイン酸共重合体塩(固形分37%の水溶液5〜7重量%、天然ゴムラテックス(固形分62%のコロイド状懸濁液)13〜15重量%、イソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)0.9〜2.8重量%、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール(固形分20%の水溶液)の水溶液7〜9重量%、酸化チタン及びリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成される充填剤41〜45重量%、並びに、水29〜31重量%からなる塗布組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記白色隠蔽層5を形成する。
【0049】
前記白色隠蔽層5を形成する塗布組成物は、例えば、86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール(デンカポバールB−04、電気化学工業社製)、95〜96モル%のポリビニルアルコール(デンカポバールH−12、電気化学工業社製)及びポリビニルアルコール可塑剤(精製グリセリン、ミヨシ油脂社製)を水(イオン交換水)に加熱溶解し、この溶解したポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール可塑剤の混合溶液に酸化チタン(酸化チタンR−45M、堺化学工業社製)及びリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体をビーズミルを用いて分散して酸化チタン及びリン酸カルシウム・炭酸カルシウムの複合体分散液を作製した後、前記酸化チタン及び前記リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体の分散液に天然ゴムラレックス(ユニマックHA、プラネット化学研究所社製)、イソプレン重合物(LIR−700、クラレ社製)、並びに、水(イオン交換水)を均一に混合することによって得る。
【0050】
このように、前記剥離層4の表面に、アクリル酸・無水マレイン酸共重合体塩(固形分37%の水溶液5〜7重量%、天然ゴムラテックス(固形分62%のコロイド状懸濁液)13〜15重量%、イソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)0.9〜2.8重量%、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール(固形分20%の水溶液)の水溶液7〜9重量%、酸化チタン及びリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成される充填剤41〜45重量%、並びに、水29〜31重量%からなる塗布組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記白色隠蔽層5を形成すると、前記白色隠蔽層5におけるケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールの一部をケン化度:95〜96モル%のポリビニルアルコール及び グリセリンに置換して、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコールの含有量を大幅に減少させることができると共に、前記白色隠蔽層5におけるリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体の一部を前記酸化チタンに置換して、該白色隠蔽層5におけるリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体大幅に減少させることができ、それらのために、前記白色隠蔽層5における着色剤の高充填と該白色隠蔽層5の高密度化を実現することができ、よって、隠蔽力及び耐ひび割れ性をいっそう向上させた修正部材10を提供することができる。
【0051】
また、本発明の修正部材10の製造方法では、前記白色隠蔽層5の表面に、アクリル系粘着剤(固形分55%の水系エマルジョン)40〜45重量%、前記天然ゴムラテックス(固形分62%のコロイド懸濁液)3〜14重量%及びイソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)0.8〜4.5重量%からなる粘着剤組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記粘着剤層6を形成する。前記粘着剤層6を形成する塗布組成物は、例えば、アクリル系粘着剤(AE−150FT、一方社油脂工業社製)、天然ゴムラレックス(ユニマックHA、プラネット化学研究所社製)及びイソプレン重合物(LIR−700、クラレ社製)、並びに、水(イオン交換水)を均一に混合することによって得る。このように、前記白色隠蔽層5の表面に、アクリル系粘着剤(固形分55%の水系エマルジョン)40〜45重量%、前記天然ゴムラテックス(固形分62%のコロイド懸濁液)3〜14重量%及びイソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)0.8〜4.5重量%からなる粘着剤組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記粘着剤層6を形成すると、前記粘着剤層6におけるアクリル系粘着剤の一部を天然ゴムラテックス及びイソプレン重合物に置換して該粘着剤層6を薄膜化してもその引張せん断接着強さを向上させることができ、そのために、切断性及び耐ひび割れ性を最適化した修正部材10を提供することができる。
【0052】
次に、本発明の修正部材10の製造方法を詳細に説明する。
【0053】
即ち、本発明の修正部材10は、例えば、(1)予め、片面のみに離型剤処理を施した20μm厚の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)の離型剤未処理面に、前記「剥離層4を形成する塗布組成物」を、その湿潤時の塗膜厚:21μm、乾燥時の塗膜厚:6.5μmとなるように、ダイレクトグラビア、オフセットグラビア、スロットダイ、コンマ等の塗布手段で塗布した後、直ちに80〜100℃の熱風で乾燥して剥離層4を形成し、(2)前記剥離層4の表面に、前記「白色隠蔽層5を形成する塗布組成物」を、その湿潤時の塗膜厚:27μm、乾燥時の塗膜厚:20μmとなるように、ダイレクトグラビア、オフセットグラビア、スロットダイ、コンマ等の塗布手段で塗布した後、直ちに80〜100℃の熱風で乾燥し、(3)前記白色隠蔽層5の表面に、前記「粘着剤層6を形成する塗布組成物」を、その湿潤時の塗膜厚:3μm、乾燥時の塗膜厚:1μmとなるように、ダイレクトグラビア、オフセットグラビア、スロットダイ、コンマ等の塗
布手段で塗布した後、直ちに80〜100℃の熱風で乾燥して粘着剤層6を形成する、ことによって、製造される。
【0054】
(実施例1)
(1)予め、一方の面にシリコーンで構成される離型層を設けた20μm厚の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムで構成される支持体を準備する工程、
(2)前記支持体の他方の面に、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)(一次粒子径:5.5μm、吸油量:150ml/100g)23.2重量%、アクリル酸ソーダ6.4重量%、ポリビニルアルコール(ケン化度:86.5〜89.5モル%、固形分:20%、水溶液)25.9重量%、グリセリン(粘稠性液体、融点18℃)0.2重量%、高級アルコール/高級脂肪酸エステル混合物(固形分:30%、水系エマルジョン)0.4重量%、イソプレン重合物(水系エマルジョン、固形分:30%、分子量:28000、Tg:−63℃)0.5重量%、天然ゴムラテックス(コロイド懸濁液、固形分:62%、Tg:−70℃)1.8重量%、及び、イオン交換水41.6を含有する水分散体からなる塗布組成物を塗布して7.0μm厚の剥離層を形成する工程、
(3)前記剥離層の表面に、酸化チタン(一次粒子径:0.3μm、吸油量:18ml/100g)39.1重量%、天然ゴムラテックス(コロイド懸濁液、固形分:62%、Tg:−70℃)13.7重量%、イソプレン重合物(水系エマルジョン、固形分:60%、分子量:28000、Tg:−63℃)1.9重量%、アクリル酸・無水マレイン酸共重合体塩5.1重量%、ポリビニルアルコール(水溶液、固形分:20%、ケン化度:86.5〜89.5モル%)8.5重量%、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)(一次粒子径:5.5μm、吸油量:150ml/100g)4.4重量%、カーボンブラック(C.I Pigment Black 7)0.001重量%、及び、イオン交換水27.3重量%を含有する水分散体からなる塗布組成物を、塗布し加熱乾燥して19.0μm厚の白色隠蔽層を形成する工程、並びに、 (4)アクリル系粘着剤(水系エマルジョン、固形分:55%)44.5重量%、及び、イオン交換水55.5重量%を含有する粘着剤組成物を前記白色隠蔽層の表面に塗布し乾燥して1.0μm厚の粘着剤層を形成する工程、
を順次経てインク層の総厚みを27.0μmとした修正部材を得た。
【0055】
このようにして得られた修正部材における剥離層を構成する被膜には、ポリビニルアルコール15.9重量%、天然ゴム及びイソプレン重合物4.3重量%、並びに、アクリル酸系ポリマー7.8重量%が含有され、その際、天然ゴム対イソプレン重合物の比が1対3.72とされ、そして、ポリビニルアルコール対アクリル酸系ポリマーの比が1対0.49とされていた。
【0056】
(実施例2)
前記実施例1の(2)工程において、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)(一次粒子径:5.5μm、吸油量:150ml/100g)23.2重量%、アクリル酸・無水マレイン酸共重合体塩5.1重量%、ポリビニルアルコール(水溶液、固形分:20%、ケン化度:86.5〜89.5モル%)6.9重量%、ポリビニルアルコール(ケン化度:86.5〜89.5モル%、固形分:20%、水溶液)25.9重量%、グリセリン(粘稠性液体、融点18℃)0.2重量%、高級アルコール/高級脂肪酸エステル混合物(固形分:30%、水系エマルジョン)0.4重量%、イソプレン重合物(水系エマルジョン、固形分:30%、分子量:28000、Tg:−63℃)0.5重量%、天然ゴムラテックス(コロイド懸濁液、固形分:62%、Tg:−70℃)1.8重量%、及び、イオン交換水41.1を含有する水分散体からなる塗布組成物とした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを27.0μmの修正部材を得た。
【0057】
このようにして得られた修正部材における剥離層を構成する被膜には、ポリビニルアルコール15.9重量%、天然ゴム及びイソプレン重合物4.3重量%、並びに、アクリル酸系ポリマー7.8重量%が含有され、その際、天然ゴム対イソプレン重合物の比が1対3.72とされ、そして、ポリビニルアルコール対アクリル酸系ポリマーの比が1対0.49とされていた。
【0058】
(実施例3)
前記実施例1の(2)工程において、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)(一次粒子径:5.5μm、吸油量:150ml/100g)23.2重量%、アクリル酸ソーダ6.4重量%、ポリビニルアルコール(ケン化度:86.5〜89.5モル%、固形分:20%、水溶液)25.9重量%、グリセリン(粘稠性液体、融点18℃)0.2重量%、高級アルコール/高級脂肪酸エステル混合物(固形分:30%、水系エマルジョン)0.4重量%、イソプレン重合物(水系エマルジョン、固形分:30%、分子量:28000、Tg:−63℃)0.25重量%、天然ゴムラテックス(コロイド懸濁液、固形分:62%、Tg:−70℃)0.90重量%、及び、イオン交換水42.8を含有する水分散体からなる塗布組成物とした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを27.0μmの修正部材を得た。
【0059】
このようにして得られた修正部材における剥離層を構成する被膜には、ポリビニルアルコール16.2重量%、天然ゴム及びイソプレン重合物2.2重量%、並びに、アクリル酸系ポリマー8.0重量%が含有され、その際、天然ゴム対イソプレン重合物の比が1対3.72とされ、そして、ポリビニルアルコール対アクリル酸系ポリマーの比が1対0.49とされていた。
【0060】
(実施例4)
前記実施例1の(2)工程において、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)(一次粒子径:5.5μm、吸油量:150ml/100g)23.2重量%、アクリル酸ソーダ6.4重量%、ポリビニルアルコール(ケン化度:86.5〜89.5モル%、固形分:20%、水溶液)25.9重量%、グリセリン(粘稠性液体、融点18℃)0.2重量%、高級アルコール/高級脂肪酸エステル混合物(固形分:30%、水系エマルジョン)0.4重量%、イソプレン重合物(水系エマルジョン、固形分:30%、分子量:28000、Tg:−63℃)0.70重量%、天然ゴムラテックス(コロイド懸濁液、固形分:62%、Tg:−70℃)2.5重量%、及び、イオン交換水40.7を含有する水分散体からなる塗布組成物とした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを27.0μmの修正部材を得た。
【0061】
このようにして得られた修正部材における剥離層を構成する被膜には、ポリビニルアルコール15.6重量%、天然ゴム及びイソプレン重合物5.9重量%、並びに、アクリル酸系ポリマー7.7重量%が含有され、その際、天然ゴム対イソプレン重合物の比が1対3.69とされ、そして、ポリビニルアルコール対アクリル酸系ポリマーの比が1対0.49とされていた。
【0062】
(実施例5)
前記実施例1の(2)工程において、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)(一次粒子径:5.5μm、吸油量:150ml/100g)23.2重量%、アクリル酸ソーダ6.4重量%、ポリビニルアルコール(ケン化度:86.5〜89.5モル%、固形分:20%、水溶液)25.9重量%、グリセリン(粘稠性液体、融点18℃)0.2重量%、高級アルコール/高級脂肪酸エステル混合物(固形分:30%、水系エマルジョン)0.4重量%、イソプレン重合物(水系エマルジョン、固形分:30%、分子量:28000、Tg:−63℃)0.85重量%、天然ゴムラテックス(コロイド懸濁液、固形分:62%、Tg:−70℃)0.85重量%、及び、イオン交換水42.2を含有する水分散体からなる塗布組成物とした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを27.0μmの修正部材を得た。
【0063】
このようにして得られた修正部材における剥離層を構成する被膜には、ポリビニルアルコール16.0重量%、天然ゴム及びイソプレン重合物3.2重量%、並びに、アクリル酸系ポリマー7.9重量%が含有され、その際、天然ゴム対イソプレン重合物の比が1対1.03とされ、そして、ポリビニルアルコール対アクリル酸系ポリマーの比が1対0.49とされていた。
【0064】
(実施例6)
前記実施例1の(2)工程において、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)(一次粒子径:5.5μm、吸油量:150ml/100g)23.2重量%、アクリル酸ソーダ6.4重量%、ポリビニルアルコール(ケン化度:86.5〜89.5モル%、固形分:20%、水溶液)25.9重量%、グリセリン(粘稠性液体、融点18℃)0.2重量%、高級アルコール/高級脂肪酸エステル混合物(固形分:30%、水系エマルジョン)0.4重量%、イソプレン重合物(水系エマルジョン、固形分:30%、分子量:28000、Tg:−63℃)0.30重量%、天然ゴムラテックス(コロイド懸濁液、固形分:62%、Tg:−70℃)1.44重量%、及び、イオン交換水42.2を含有する水分散体からなる塗布組成物とした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを27.0μmの修正部材を得た。
【0065】
このようにして得られた修正部材における剥離層を構成する被膜には、ポリビニルアルコール16.0重量%、天然ゴム及びイソプレン重合物3.3重量%、並びに、アクリル酸系ポリマー7.9重量%が含有され、その際、天然ゴム対イソプレン重合物の比が1対4.96とされ、そして、ポリビニルアルコール対アクリル酸系ポリマーの比が1対0.49とされていた。
【0066】
(実施例7)
前記実施例1の(2)工程において、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)(一次粒子径:5.5μm、吸油量:150ml/100g)23.2重量%、アクリル酸ソーダ3.3重量%、ポリビニルアルコール(ケン化度:86.5〜89.5モル%、固形分:20%、水溶液)32.0重量%、グリセリン(粘稠性液体、融点18℃)0.2重量%、高級アルコール/高級脂肪酸エステル混合物(固形分:30%、水系エマルジョン)0.4重量%、イソプレン重合物(水系エマルジョン、固形分:30%、分子量:28000、Tg:−63℃)0.5重量%、天然ゴムラテックス(コロイド懸濁液、固形分:62%、Tg:−70℃)1.8重量%、及び、イオン交換水38.6を含有する水分散体からなる塗布組成物とした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを27.0μmの修正部材を得た。
【0067】
このようにして得られた修正部材における剥離層を構成する被膜には、ポリビニルアルコール19.6重量%、天然ゴム及びイソプレン重合物4.3重量%、並びに、アクリル酸系ポリマー4.0重量%が含有され、その際、天然ゴム対イソプレン重合物の比が1対3.72とされ、そして、ポリビニルアルコール対アクリル酸系ポリマーの比が1対0.21とされていた。
【0068】
(実施例8)
前記実施例1の(2)工程において、前記支持体の他方の面に、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)(一次粒子径:5.5μm、吸油量:150ml/100g)23.2重量%、アクリル酸ソーダ9.6重量%、ポリビニルアルコール(ケン化度:86.5〜89.5モル%、固形分:20%、水溶液)19.4重量%、グリセリン(粘稠性液体、融点18℃)0.2重量%、高級アルコール/高級脂肪酸エステル混合物(固形分:30%、水系エマルジョン)0.4重量%、イソプレン重合物(水系エマルジョン、固形分:30%、分子量:28000、Tg:−63℃)0.5重量%、天然ゴムラテックス(コロイド懸濁液、固形分:62%、Tg:−70℃)1.8重量%、及び、イオン交換水44.9を含有する水分散体からなる塗布組成物を塗布して8.0μm厚の剥離層を形成とした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを30.0μmの修正部材を得た。
【0069】
このようにして得られた修正部材における剥離層を構成する被膜には、ポリビニルアルコール11.9重量%、天然ゴム及びイソプレン重合物4.3重量%、並びに、アクリル酸系ポリマー11.8重量%が含有され、その際、天然ゴム対イソプレン重合物の比が1対3.72とされ、そして、ポリビニルアルコール対アクリル酸系ポリマーの比が1対0.99とされていた。
【0070】
(実施例9)
前記実施例1の(2)工程において、前記支持体の他方の面に、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)(一次粒子径:5.5μm、吸油量:150ml/100g)23.2重量%、アクリル酸ソーダ6.4重量%、ポリビニルアルコール(ケン化度:86.5〜89.5モル%、固形分:20%、水溶液)25.9重量%、グリセリン(粘稠性液体、融点18℃)0.2重量%、高級アルコール/高級脂肪酸エステル混合物(固形分:30%、水系エマルジョン)0.4重量%、イソプレン重合物(水系エマルジョン、固形分:30%、分子量:28000、Tg:−63℃)0.5重量%、天然ゴムラテックス(コロイド懸濁液、固形分:62%、Tg:−70℃)1.8重量%、及び、イオン交換水41.6を含有する水分散体からなる塗布組成物を塗布して6.0μm厚の剥離層を形成とした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを28.0μmの修正部材を得た。
【0071】
このようにして得られた修正部材における剥離層を構成する被膜には、ポリビニルアルコール15.9重量%、天然ゴム及びイソプレン重合物4.3重量%、並びに、アクリル酸系ポリマー7.8重量%が含有され、その際、天然ゴム対イソプレン重合物の比が1対3.72とされ、そして、ポリビニルアルコール対アクリル酸系ポリマーの比が1対0.49とされていた。
【0072】
(実施例10)
前記実施例1の(2)工程において、前記支持体の他方の面に、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)(一次粒子径:5.5μm、吸油量:150ml/100g)23.2重量%、アクリル酸ソーダ6.4重量%、ポリビニルアルコール(ケン化度:86.5〜89.5モル%、固形分:20%、水溶液)25.9重量%、グリセリン(粘稠性液体、融点18℃)0.2重量%、高級アルコール/高級脂肪酸エステル混合物(固形分:30%、水系エマルジョン)0.4重量%、イソプレン重合物(水系エマルジョン、固形分:30%、分子量:28000、Tg:−63℃)0.5重量%、天然ゴムラテックス(コロイド懸濁液、固形分:62%、Tg:−70℃)1.8重量%、及び、イオン交換水41.6を含有する水分散体からなる塗布組成物を塗布して8.0μm厚の剥離層を形成とした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを30.0μmの修正部材を得た。
【0073】
このようにして得られた修正部材における剥離層を構成する被膜には、ポリビニルアルコール15.9重量%、天然ゴム及びイソプレン重合物4.3重量%、並びに、アクリル酸系ポリマー7.8重量%が含有され、その際、天然ゴム対イソプレン重合物の比が1対3.72とされ、そして、ポリビニルアルコール対アクリル酸系ポリマーの比が1対0.49とされていた。
【0074】
(比較例1)
前記実施例1の(2)工程において、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)(一次粒子径:5.5μm、吸油量:150ml/100g)23.2重量%、アクリル酸ソーダ6.4重量%、ポリビニルアルコール(ケン化度:86.5〜89.5モル%、固形分:20%、水溶液)25.9重量%、グリセリン(粘稠性液体、融点18℃)0.2重量%、高級アルコール/高級脂肪酸エステル混合物(固形分:30%、水系エマルジョン)0.4重量%、イソプレン重合物(水系エマルジョン、固形分:30%、分子量:28000、Tg:−63℃)0.10重量%、天然ゴムラテックス(コロイド懸濁液、固形分:62%、Tg:−70℃)0.36重量%、及び、イオン交換水43.4を含有する水分散体からなる塗布組成物を塗布して8.0μm厚の剥離層を形成とした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを30.0μmの修正部材を得た。
【0075】
このようにして得られた修正部材における剥離層を構成する被膜には、ポリビニルアルコール16.4重量%、天然ゴム及びイソプレン重合物0.9重量%、並びに、アクリル酸系ポリマー8.1重量%が含有され、その際、天然ゴム対イソプレン重合物の比が1対3.72とされ、そして、ポリビニルアルコール対アクリル酸系ポリマーの比が1対0.49とされていた。
【0076】
(比較例2)
前記実施例1の(2)工程において、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)(一次粒子径:5.5μm、吸油量:150ml/100g)23.2重量%、アクリル酸ソーダ6.4重量%、ポリビニルアルコール(ケン化度:86.5〜89.5モル%、固形分:20%、水溶液)25.9重量%、グリセリン(粘稠性液体、融点18℃)0.2重量%、高級アルコール/高級脂肪酸エステル混合物(固形分:30%、水系エマルジョン)0.4重量%、イソプレン重合物(水系エマルジョン、固形分:30%、分子量:28000、Tg:−63℃)1.00重量%、天然ゴムラテックス(コロイド懸濁液、固形分:62%、Tg:−70℃)3.6重量%、及び、イオン交換水39.3を含有する水分散体からなる塗布組成物を塗布して8.0μm厚の剥離層を形成とした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを30.0μmの修正部材を得た。
【0077】
このようにして得られた修正部材における剥離層を構成する被膜には、ポリビニルアルコール15.2重量%、天然ゴム及びイソプレン重合物8.3重量%、並びに、アクリル酸系ポリマー7.5重量%が含有され、その際、天然ゴム対イソプレン重合物の比が1対3.72とされ、そして、ポリビニルアルコール対アクリル酸系ポリマーの比が1対0.49とされていた。
【0078】
(比較例3)
前記実施例1の(2)工程において、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)(一次粒子径:5.5μm、吸油量:150ml/100g)23.2重量%、アクリル酸ソーダ6.4重量%、ポリビニルアルコール(水溶液、固形分:20%、ケン化度:86.5〜89.5モル%)25.9重量%、グリセリン(粘稠性液体、融点18℃)0.2重量%、高級アルコール/高級脂肪酸エステル混合物(固形分:30%、水系エマルジョン)0.4重量%、イソプレン重合物(水系エマルジョン、固形分:30%、分子量:28000、Tg:−63℃)1.70重量%、天然ゴムラテックス(コロイド懸濁液、固形分:62%、Tg:−70℃)0.60重量%、及び、イオン交換水41.6を含有する水分散体からなる塗布組成物を塗布して8.0μm厚の剥離層を形成とした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを30.0μmの修正部材を得た。
【0079】
このようにして得られた修正部材における剥離層を構成する被膜には、ポリビニルアルコール15.9重量%、天然ゴム及びイソプレン重合物4.3重量%、並びに、アクリル酸系ポリマー7.8重量%が含有され、その際、天然ゴム対イソプレン重合物の比が1対0.36とされ、そして、ポリビニルアルコール対アクリル酸系ポリマーの比が1対0.49とされていた。
【0080】
(比較例4)
前記実施例1の(2)工程において、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)(一次粒子径:5.5μm、吸油量:150ml/100g)23.2重量%、アクリル酸ソーダ6.4重量%、ポリビニルアルコール(水溶液、固形分:20%、ケン化度:86.5〜89.5モル%)6.9重量%、ポリビニルアルコール(ケン化度:86.5〜89.5モル%、固形分:20%、水溶液)25.9重量%、グリセリン(粘稠性液体、融点18℃)0.2重量%、高級アルコール/高級脂肪酸エステル混合物(固形分:30%、水系エマルジョン)0.4重量%、イソプレン重合物(水系エマルジョン、固形分:30%、分子量:28000、Tg:−63℃)0.20重量%、天然ゴムラテックス(コロイド懸濁液、固形分:62%、Tg:−70℃)2.00重量%、及び、イオン交換水41.7を含有する水分散体からなる塗布組成物を塗布して8.0μm厚の剥離層を形成とした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを30.0μmの修正部材を得た。
【0081】
このようにして得られた修正部材における剥離層を構成する被膜には、ポリビニルアルコール15.9重量%、天然ゴム及びイソプレン重合物4.2重量%、並びに、アクリル酸系ポリマー7.8重量%が含有され、その際、天然ゴム対イソプレン重合物の比が1対10.3とされ、そして、ポリビニルアルコール対アクリル酸系ポリマーの比が1対0.49とされていた。
【0082】
(比較例5)
前記実施例1の(2)工程において、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)(一次粒子径:5.5μm、吸油量:150ml/100g)23.2重量%、アクリル酸ソーダ1.6重量%、ポリビニルアルコール(水溶液、固形分:20%、ケン化度:86.5〜89.5モル%)35.4重量%、グリセリン(粘稠性液体、融点18℃)0.2重量%、高級アルコール/高級脂肪酸エステル混合物(固形分:30%、水系エマルジョン)0.4重量%、イソプレン重合物(水系エマルジョン、固形分:30%、分子量:28000、Tg:−63℃)0.5重量%、天然ゴムラテックス(コロイド懸濁液、固形分:62%、Tg:−70℃)1.8重量%、及び、イオン交換水36.9を含有する水分散体からなる塗布組成物を塗布して7.0μm厚の剥離層を形成とした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを27.0μmの修正部材を得た。
【0083】
このようにして得られた修正部材における剥離層を構成する被膜には、ポリビニルアルコール21.7重量%、天然ゴム及びイソプレン重合物4.3重量%、並びに、アクリル酸系ポリマー2.0重量%が含有され、その際、天然ゴム対イソプレン重合物の比が1対3.72とされ、そして、ポリビニルアルコール対アクリル酸系ポリマーの比が1対0.09とされていた。
【0084】
(比較例6)
前記実施例1の(2)工程において、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)(一次粒子径:5.5μm、吸油量:150ml/100g)23.2重量%、アクリル酸ソーダ13.0重量%、ポリビニルアルコール(水溶液、固形分:20%、ケン化度:86.5〜89.5モル%)12.8重量%、グリセリン(粘稠性液体、融点18℃)0.2重量%、高級アルコール/高級脂肪酸エステル混合物(固形分:30%、水系エマルジョン)0.4重量%、イソプレン重合物(水系エマルジョン、固形分:30%、分子量:28000、Tg:−63℃)0.5重量%、天然ゴムラテックス(コロイド懸濁液、固形分:62%、Tg:−70℃)1.8重量%、及び、イオン交換水48.1を含有する水分散体からなる塗布組成物を塗布して7.0μm厚の剥離層を形成とした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを27.0μmの修正部材を得た。
【0085】
このようにして得られた修正部材における剥離層を構成する被膜には、ポリビニルアルコール7.8重量%、天然ゴム及びイソプレン重合物4.3重量%、並びに、アクリル酸系ポリマー15.9重量%が含有され、その際、天然ゴム対イソプレン重合物の比が1対3.72とされ、そして、ポリビニルアルコール対アクリル酸系ポリマーの比が1対2.03とされていた。
【0086】
(比較例7)
前記実施例1の(2)工程において、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)(一次粒子径:5.5μm、吸油量:150ml/100g)23.2重量%、アクリル酸ソーダ6.4重量%、ポリビニルアルコール(水溶液、固形分:20%、ケン化度:86.5〜89.5モル%)25.9重量%、グリセリン(粘稠性液体、融点18℃)0.2重量%、高級アルコール/高級脂肪酸エステル混合物(固形分:30%、水系エマルジョン)0.4重量%、イソプレン重合物(水系エマルジョン、固形分:30%、分子量:28000、Tg:−63℃)0.5重量%、天然ゴムラテックス(コロイド懸濁液、固形分:62%、Tg:−70℃)1.8重量%、及び、イオン交換水41.6を含有する水分散体からなる塗布組成物を塗布して4.0μm厚の剥離層を形成とした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを24.0μmの修正部材を得た。
【0087】
このようにして得られた修正部材における剥離層を構成する被膜には、ポリビニルアルコール15.9重量%、天然ゴム及びイソプレン重合物4.3重量%、並びに、アクリル酸系ポリマー7.8重量%が含有され、その際、天然ゴム対イソプレン重合物の比が1対3.72とされ、そして、ポリビニルアルコール対アクリル酸系ポリマーの比が1対0.49とされていた。
【0088】
(比較例8)
前記実施例1の(2)工程において、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)(一次粒子径:5.5μm、吸油量:150ml/100g)23.2重量%、アクリル酸ソーダ6.4重量%、ポリビニルアルコール(水溶液、固形分:20%、ケン化度:86.5〜89.5モル%)25.9重量%、グリセリン(粘稠性液体、融点18℃)0.2重量%、高級アルコール/高級脂肪酸エステル混合物(固形分:30%、水系エマルジョン)0.4重量%、イソプレン重合物(水系エマルジョン、固形分:30%、分子量:28000、Tg:−63℃)0.5重量%、天然ゴムラテックス(コロイド懸濁液、固形分:62%、Tg:−70℃)1.8重量%、及び、イオン交換水41.6を含有する水分散体からなる塗布組成物を塗布して10.0μm厚の剥離層を形成とした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを30.0μmの修正部材を得た。
【0089】
このようにして得られた修正部材における剥離層を構成する被膜には、ポリビニルアルコール15.9重量%、天然ゴム及びイソプレン重合物4.3重量%、並びに、アクリル酸系ポリマー7.8重量%が含有され、その際、天然ゴム対イソプレン重合物の比が1対3.72とされ、そして、ポリビニルアルコール対アクリル酸系ポリマーの比が1対0.49とされていた。
【0090】
(比較例9)
前記実施例1の(2)工程において、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体(ポロネックス、丸尾カルシウム社製)(一次粒子径:5.5μm、吸油量:150ml/100g)17.8重量%、ポリビニルアルコール(水溶液、固形分:20%、ケン化度:86.5〜89.5モル%)34.7重量%、グリセリン(粘稠性液体、融点18℃)1.5重量%、高級アルコール/高級脂肪酸エステル混合物(固形分:30%、水系エマルジョン)0.6重量%、イソプレン重合物(水系エマルジョン、固形分:30%、分子量:28000、Tg:−63℃)0.5重量%、及び、イオン交換水44.9を含有する水分散体からなる塗布組成物を塗布して9.5μm厚の剥離層を形成とした以外は、実施例1と同様にして、インク層の総厚みを30.5μmの修正部材を得た。
【0091】
このようにして得られた修正部材における剥離層を構成する被膜には、ポリビニルアルコール26.0重量%、並びに、天然ゴム及びイソプレン重合物1.1重量%、が含有され、その際、天然ゴム対イソプレン重合物の比が1対0.00とされ、そして、ポリビニルアルコール対アクリル酸系ポリマーの比が1対0.00とされていた。
【0092】
以上、実施例1〜10及び比較例1〜9で得た修正部材の「剥離力(N/10mm)」、「引張せん断接着強さ(N/10mm2 )」、「引張強さ(N/10mm2 )」、「転写性」、「切断性」、「耐ひび割れ性」、「インク吸収性」、「画像再現性」及び「耐ブロッキング性」について試験した。前記「剥離力(N/10mm)」は、JIS Z 0237 10.4.1に準拠して測定した。前記「引張りせん断接着強さ」は、JIS K6850:2000 接着剤−剛性被接着剤の引張りせん断接着強さ試験方法 に準拠して測定した《但し、試験片については、JIS Z0237:2000 粘着テープ・粘着テープ試験方法(10.2.4 圧着装置、10.3.1 試験の準備)を適用し、そして、接着片を破壊する際の速度は、JIS Z023:2000 粘着テープ・粘着テープ試験方法(8.3 試験方法)を適用した》。前記「引張強さ(N/10mm2 )」は、JIS Z 0237 8に準拠して測定した。前記「転写性」は、転写具(WHIPER mini(5mm)、プラスステーショナリ社製)を用い、被転写紙を普通紙として、目視により測定した。前記「切断性」は、転写後に転写具を持ち上げた際に、テープ切れ善し悪しを目視により測定した。前記「耐ひび割れ性」は、転写した修正インクにおけるひび割れの有無を目視により測定した。前記「インク吸収性」、前記「画像再現性」及び「耐ブロッキング性」は、それそれ、転写具(WHIPER mini(5mm)、プラスステーショナリ社製)、及び、プリンター(PMG−850、EPSON社製)を用いて、被転写紙を普通紙として、目視により測定した。
【0093】
測定結果は、次の表1、2に示される。
【0094】
【表1】

【0095】
【表2】

【0096】
表1,2に記載された、「剥離力」の要求品質は、3.0〜15.0N/10mmとし、「引張せん断接着強さ」の要求品質は、12.0〜27.0N/10mm2 とし、そして、「引張強さ」の要求品質は、150〜350N/10mm2 とした。また、「転写性」の要求品質は、スムースに転写でき、被転写紙への定着が良好であることし、「切断性」の要求品質は、転写後に転写具を持ち上げた際に、テープ切れが良好であることとし、「耐ひび割れ性」は、転写した修正インクにひび割れがないこととし、「インク吸収性」は、インクが直ちに吸収されて滲みがないとし、「画像再現性」は、印画原稿と同等の色彩及び印画品位であることとし、そして、「耐ブロッキング性」は、巻き回したテープを引き出す際に、インク層が支持体の反対側へ移行することがないこととした。
【0097】
そして、判定基準は、次のとおりとした。即ち、前記要求品質を遙かに越えるものは、◎とし、前記要求品質を越えるものは、○とし、前記要求品質を僅かに下回るものは、△とし、前記要求品質を遙かに下回るものは、×とした。
【0098】
表1,2から次のことがわかる。即ち、比較例1では、切断性、耐ひび割れ性及び耐ブロッキング性が前記要求品質を遙かに下回り、比較例2では、転写性及び切断性が前記要求品質を遙かに下回と共にインク吸収性及び画像再現性が前記要求品質を僅かに下回り、比較例3では、切断性が前記要求品質を僅かに下回と共に耐ブロッキング性が前記要求品質を遙かに下回り、比較例4では、切断性が前記要求品質を僅かに下回と共に耐ブロッキング性が前記要求品質を遙かに下回り、比較例5では、インク吸収性及び画像再現性が前記要求品質を遙かに下回り、比較例6では、耐ブロッキング性が前記要求品質を遙かに下回り、比較例7では、インク吸収性及び画像再現性が前記要求品質を遙かに下回り、比較例8では、切断性及び耐ブロッキング性が前記要求品質を遙かに下回り、そして、比較例9では、インク吸収性及び画像再現性が前記要求品質を僅かに下回っているが、実施例1〜10は、いずれの特性も、前記要求品質を上回っているか、遙かに上回っている。
【符号の説明】
【0099】
1 離型層
2 支持体
4 剥離層
4a 本体部分
4b 表面近傍部分
5 白色隠蔽層
6 粘着剤層
10 修正部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
離型層と、該離型層の表面に設けられた支持体と、該支持体の表面に設けられた剥離層と、該剥離層の表面に設けられた白色隠蔽層と、該白色隠蔽層の表面に設けられた粘着剤層と、を有する修正部材において、
(イ)前記剥離層が、ポリビニルアルコール、アクリル酸系ポリマー、ポリビニルアルコール可塑剤、天然ゴム、イソプレン重合物及び充填剤を少なくとも含む被膜で構成され、
(ロ)前記被膜には、ポリビニルアルコール11.5〜20.0重量%、アクリル酸系ポリマー4.0〜10.0重量%、ポリビニルアルコール可塑剤0.4〜0.8重量%、並びに、天然ゴム及びイソプレン重合物2.0〜6.0重量%が、含有され、
(ハ)前記天然ゴムに対する前記イソプレン重合物の配合比が、1対1.0〜1対5.0とされ、
(ニ)前記ポリビニルアルコールに対する前記アクリル酸系ポリマーの配合比が、1対0.2〜1対1.0とされている、かつ、
(ホ)前記充填剤が、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体69〜73重量%で構成されている
ことを特徴とする修正部材。
【請求項2】
(イ)前記白色隠蔽層が、天然ゴムラテックス、ポリビニルアルコール及びイソプレン重合物で構成される被膜形成樹脂と、アクリル酸系ポリマーと、充填剤とを少なくとも含む被膜で構成され、
(ロ)前記被膜には、前記天然ゴムラテックス14〜17重量%と、前記ポリビニルアルコール2〜4重量%と、前記イソプレン重合物1〜3重量%とが含有され、
(ハ)アクリル酸系ポリマー3〜4重量%が含有され、かつ、
(ニ)前記充填剤が、酸化チタン65〜74重量%及びリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体4〜9重量%で構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の修正部材。
【請求項3】
(イ)前記粘着剤層が、アクリル系粘着剤、天然ゴムラテックス及びイソプレン重合物で構成され、そして、
(ロ)前記粘着剤層には、前記天然ゴムラテックス7〜24重量%と前記イソプレン重合物2〜7重量%とが含有されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の修正部材。
【請求項4】
前記剥離層の層厚が、6.0μm以上8.0μm未満とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の修正部材。
【請求項5】
前記白色隠蔽層の層厚が、19.0μmとされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の修正部材。
【請求項6】
前記粘着層の層厚が、1.0μmとされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の修正部材。
【請求項7】
被転写紙の表面に、前記粘着剤層、前記白色隠蔽層、及び、前記離型層を順次有する請求項1〜6のいずれか1項に記載された修正部材であって、前記剥離層が、その表面近傍部分から凝集剥離されていることを特徴とする修正部材。
【請求項8】
一方の面に離型層を設けた支持体を準備する工程、前記支持体の他方の面に剥離層を形成する工程、前記剥離層の表面に白色隠蔽層を形成する工程、及び、前記白色隠蔽層の表面に粘着剤層を形成する工程、を順次有する修正部材の製造方法であって、前記支持体の他方の面に、ポリアクリル酸ソーダ(固形分40%の水溶液)4〜9重量%、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール(固形分20%の水溶液)20〜30重量%、イソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)と天然ゴムラテックス(固形分62%のコロイド状懸濁液)とを重量比:1対5.0で混合してなるゴム混合物1.5〜3.0重量%、ポリビニルアルコール可塑剤0.1〜0.3重量%、リン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成される充填剤21〜25重量%、及び、水38〜45重量%からなる塗布組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記剥離層を形成することを特徴とする修正部材の製造方法。
【請求項9】
前記剥離層の表面に、アクリル酸・無水マレイン酸共重合体塩(固形分37%の水溶液5〜7重量%、天然ゴムラテックス(固形分62%のコロイド状懸濁液)13〜15重量%、イソプレン重合物(固形分60%の水系エマルジョン)0.9〜2.8重量%、ケン化度:86.5〜89.5モル%のポリビニルアルコール(固形分20%の水溶液)の水溶液7〜9重量%、酸化チタン及びリン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体で構成される充填剤41〜45重量%、並びに、水29〜31重量%からなる塗布組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記白色隠蔽層を形成することを特徴とする請求項8に記載の修正部材の製造方法。
【請求項10】
前記白色隠蔽層の表面に、アクリル系粘着剤(固形分55%の水系エマルジョン)40〜50重量%、及び、水50〜60重量%からなる粘着剤組成物を被覆した後、加熱乾燥して、前記粘着剤層を形成することを特徴とする請求項8又は9に記載の修正部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−18902(P2013−18902A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154671(P2011−154671)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(592205045)株式会社北村製作所 (10)
【Fターム(参考)】