説明

個人情報を含む書類情報入力システム及びその方法並びに書類情報管理装置及びそのプログラム

【課題】作業者に複数台の端末を見られた場合であっても、作業者が個人情報を認識することなく登録作業を行うことを可能とする。
【解決手段】帳簿を読み取り、当該読み取った情報を電子化したデータであるスキャンイメージを、分割後の情報に基づいて個人が特定できないように分割すると共に、分割後のイメージそれぞれに元となった帳簿を識別するための識別符号を付す。分割後のイメージをデータ入力用端末に読み取らせる。識別符号が付された分割後のイメージに基づいて入力されたデータと、識別符号と、の組合せをデータ入力用端末から取得し、当該取得したデータを識別符号に基づいて帳簿毎に復元する。データ入力用端末に対して識別符号を表示させず、且つ、データ入力用端末に対して分割後のイメージを元となった帳簿との関係に基づいた規則性を持たないように表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は書類情報の入力に関し、より詳細には、個人情報の保護に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の用紙に手書き等で記入された文字等の情報を、コンピュータで処理可能とするために、データ入力者が用紙に記入された文字等の情報を読み取り、読み取った内容をコンピュータ入力することが一般的に行われている。
【0003】
このような技術の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1では、所定様式の入力原票に手書きで記入された個別データの内容をイメージデータとして画面に表示し、個別データ未記入状態の入力原票の内容を備えたテキストデータをイメージデータと共に画面に併せて表示する。そして、オペレータが画面上のイメージデータを見ながらテキストデータを入力するので、入力項目の飛ばし等のミスが発生するのを軽減させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−69513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように特許文献1等の技術を用いれば、データ入力者が用紙に記入された文字等の情報を読み取り、読み取った内容をコンピュータ入力することが可能となる。
【0006】
他方、近年、個人情報の保護に関する法律が全面施行されたこと等もあり、個人情報を保護するべきという意識が広まりつつある。特に、個人情報を取り扱う事業者は、あらかじめ本人の同意を得なければ、個人データを第三者に提供してはならないため、より一層の個人情報を保護するための対策が求められているという側面がある。
【0007】
この側面から考えると、特許文献1等の技術では、個人情報などの機密情報が含まれる書類の情報を登録するとき、情報を登録する作業者に機密情報が漏れるおそれがあるという問題があった。
【0008】
機密情報の漏洩を防止するために作業者に見せる書類イメージを機密情報として認識できない単位に分割し、複数台の端末の画面にイメージを表示し、複数の作業者から入力させるということも考えられる。しかしこのようにしたとしても、複数台の端末を見られた場合、情報を合成されると、機密情報が認識される可能性があり問題となる。
【0009】
そこで、本発明は、作業者に複数台の端末を見られた場合であっても、作業者が個人情報を認識することなく登録作業を行うことが可能な、個人情報を含む書類情報入力システム及びその方法並びに書類情報管理装置及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の観点によれば、複数のデータ入力用端末と接続され、帳簿に含まれる書類情報を管理する書類情報管理装置において、前記帳簿を読み取り、当該読み取った情報を電子化したデータであるスキャンイメージを格納するスキャンイメージ格納手段と、前記スキャンイメージに含まれる情報を、分割後の情報に基づいて個人が特定できないように分割すると共に、分割後のイメージそれぞれに元となった帳簿を識別するための識別符号を付すイメージ分割手段と、前記識別符号が付された分割後のイメージを格納し、当該格納されている前記識別符号が付された分割後のイメージを前記データ入力用端末に読み取らせる分割イメージ格納手段と、前記識別符号が付された分割後のイメージに基づいて入力されたデータと、前記識別符号と、の組合せを前記データ入力用端末から取得し、当該取得したデータを前記識別符号に基づいて前記帳簿毎に復元する入力情報復元手段と、を備え、前記データ入力用端末に対して前記識別符号を表示させず、且つ、前記データ入力用端末に対して前記分割後のイメージを元となった帳簿との関係に基づいた規則性を持たないように表示させることを特徴とする書類情報管理装置が提供される。
【0011】
本発明の第2の観点によれば、データ入力者がデータを入力するための複数のデータ入力用端末と、前記複数のデータ入力用端末と接続され、帳簿に含まれる書類情報を管理する書類情報管理装置と、を有する情報入力システムにおいて、前記データ入力用端末は、前記書類情報管理装置の指示に従った順番で表示を行い、前記書類情報管理装置は、本発明の第1の観点により提供される上記の書類情報管理装置であることを特徴とする情報入力システムが提供される。
【0012】
本発明の第3の観点によれば、複数のデータ入力用端末と接続され、帳簿に含まれる書類情報を管理する書類情報管理装置に組み込まれる書類情報管理プログラムにおいて、前記帳簿を読み取り、当該読み取った情報を電子化したデータであるスキャンイメージを格納するスキャンイメージ格納手段と、前記スキャンイメージに含まれる情報を、分割後の情報に基づいて個人が特定できないように分割すると共に、分割後のイメージそれぞれに元となった帳簿を識別するための識別符号を付すイメージ分割手段と、前記識別符号が付された分割後のイメージを格納し、当該格納されている前記識別符号が付された分割後のイメージを前記データ入力用端末に読み取らせる分割イメージ格納手段と、前記識別符号が付された分割後のイメージに基づいて入力されたデータと、前記識別符号と、の組合せを前記データ入力用端末から取得し、当該取得したデータを前記識別符号に基づいて前記帳簿毎に復元する入力情報復元手段と、を備え、前記データ入力用端末に対して前記識別符号を表示させず、且つ、前記データ入力用端末に対して前記分割後のイメージを元となった帳簿との関係に基づいた規則性を持たないように表示させる書類情報管理装置としてコンピュータを機能させることを特徴とする書類情報管理プログラムが提供される。
【0013】
本発明の第4の観点によれば、データ入力者がデータを入力するための複数のデータ入力用端末と、前記複数のデータ入力用端末と接続され、帳簿に含まれる書類情報を管理する書類情報管理装置と、を有するシステムが行う情報入力方法において、前記書類情報管理装置が、前記帳簿を読み取り、当該読み取った情報を電子化したデータであるスキャンイメージを格納するスキャンイメージ格納ステップと、前記書類情報管理装置が、前記スキャンイメージに含まれる情報を、分割後の情報に基づいて個人が特定できないように分割すると共に、分割後のイメージそれぞれに元となった帳簿を識別するための識別符号を付すイメージ分割ステップと、前記書類情報管理装置が、前記識別符号が付された分割後のイメージを格納し、当該格納されている前記識別符号が付された分割後のイメージを前記データ入力用端末に読み取らせる分割イメージ格納ステップと、前記データ入力用端末が、前記書類情報管理装置の指示に従った順番で表示を行うステップと、前記書類情報管理装置が、前記識別符号が付された分割後のイメージに基づいて入力されたデータと、前記識別符号と、の組合せを前記データ入力用端末から取得し、当該取得したデータを前記識別符号に基づいて前記帳簿毎に復元する入力情報復元ステップと、を備え、前記データ入力用端末に対して前記識別符号を表示させず、且つ、前記データ入力用端末に対して前記分割後のイメージを元となった帳簿との関係に基づいた規則性を持たないように表示させることを特徴とする情報入力方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、分割したイメージデータを、識別符号を伴うことなく、且つ、規則性がないように表示することから、作業者に複数台の端末を見られた場合であっても、作業者が個人情報を認識することなく登録作業を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態全体の基本的構成を表す図である。
【図2】本発明の実施形態における各データについて示す図(1/3)である。
【図3】本発明の実施形態における各データについて示す図(2/3)である。
【図4】本発明の実施形態における各データについて示す図(3/3)である。
【図5】本発明の実施形態全体の基本的動作を表すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
本実施形態では、個人情報などの機密情報とは、特定の個人の氏名、住所、電話番号、カード番号などをまとめて一つの情報として表示することで特定の情報として認識されることに着目している。そして本実施形態は、書類に記載されている氏名、住所、電話番号などを、意味を持たない単位までイメージ分割して、それぞれの分割イメージを別のオペレータの端末に表示し、かつ、ランダムに表示することでオペレータに意味のある個人情報として認識されずに情報入力の作業を行うものである。
【0018】
図1を参照すると本実施形態は、帳簿群100、スキャナ200、書類情報管理装置300、データ入力用端末400及びネットワーク500を有する。
【0019】
帳簿群は、個人情報が記載された書類である。具体的にはどのような書類であってもよいが、例えば、何らかの会員情報簿や、社員情報簿、申込書、といった書類である。
【0020】
スキャナ200は、帳簿群100に含まれる各書類を読み取り、イメージデータとして電子化する機能を有する。なお、スキャナ200は本実施形態特有のものである必要はなく、汎用のスキャナを利用することが可能である。更に、電子化後のイメージデータはどのようなフォーマットに準拠していてもよい。例えば、JPEG/JFIF(Joint Photographic Experts Group File Interchange Format)、GIF(Graphics Interchange Format)、BMP/DIB(Microsoft(登録商標) Windows(登録商標) Device Independent Bitmap)といったフォーマットに準拠していてもよい。
【0021】
書類情報管理装置300は、本実施形態特有の装置であり、例えば、本実施形態特有のプログラムを組み込まれたデータベースサーバとして実現される。
【0022】
書類情報管理装置300は、スキャンイメージ格納データベース310、イメージ認識/分割部320、分割イメージ格納データベース330、入力情報復元部340及び書類情報データベース350を有している。
【0023】
ここで、各データベースは書類情報管理装置300が利用する記憶装置により実現される。具体的には、この記憶装置は、HDD(Hard disk drive)やFlash SSD(Solid State Drive)により実現される。また、この記憶装置は書類情報管理装置300に含まれていてもよいが、外部の記憶装置(図示を省略する)を利用するようにしてもよい。この場合記憶装置を別のコンピュータとして実現し、バスやUSB規格に準拠したケーブル、インターネット等の手段を用いて接続するようにしてもよい。更に、単一の記憶装置により実現されてもよいが、複数の記憶装置の組合せにより実現されていてもよい。また、イメージ認識/分割部320及び入力情報復元部340は書類情報管理装置300の有する演算装置等のハードウェアが、書類情報管理装置300に組み込まれたソフトウェアと協働することにより実現される。
【0024】
スキャンイメージ格納データベース310にはスキャナ200により変換されたイメージデータが格納される。格納されるイメージデータの具体的内容については後述する。
【0025】
イメージ認識/分割部320は、スキャンイメージ格納データベース310に格納されているイメージデータを認識し、個人情報が特定できない単位にまで分割する。なお、分割後のイメージデータには、復元のために識別符号が付与される。
【0026】
分割イメージ格納データベース330は、イメージ認識/分割部320により分割され、識別符号が付された後のデータである分割後イメージデータが格納される。分割イメージ格納データベース330に格納された分割後イメージデータは各データ入力用端末400に送信される。
【0027】
入力情報復元部340は、各データ入力用端末400から返信されてくる入力情報を付与されている識別符号に基づいて復元する。
【0028】
書類情報データベース350は、入力情報復元部340が復元した入力情報を格納するデータベースである。
【0029】
データ入力用端末400は、データ入力者が直接操作をする端末であり、それぞれネットワーク500を介して書類情報管理装置300と接続されている。また、データ入力用端末400は、情報を提示する表示部と、データ入力者からの入力を受け付ける入力部を含んでいる。具体的には、ディスプレイ及びキーボードを有するパーソナルコンピュータである。データ入力用端末400自体は、本実施形態特有の装置であってもよいが、汎用のパーソナルコンピュータに本実施形態特有のプログラムを組み込んだものであってもよい。また、データ入力用端末400は一台であってもよいが、図示するように複数台であってもよく、台数に特に制限は無い。
【0030】
ネットワーク500は、書類情報管理装置300とデータ入力用端末400を接続するネットワークである。ネットワーク500の一例としては、例えばインターネットやイントラネット、LAN(Local Area Network)等が挙げられる。ネットワーク500は有線接続により実現されてもよいが、その一部又は全部が無線接続により実現されてもよい。
【0031】
続いて、図2、図3及び図4を参照して、本実施形態で扱う各データの具体的な内容について説明する。なお、図2〜図4においては、その図を用いた説明に直接関係しない箇所については図示を省略する。例えば、図2であれば入力情報復元部340及び書類情報データベース350や、データ入力用端末400について図示を省略している。
【0032】
まず、帳簿群100には複数の書類情報110が含まれている。書類情報110−aを参照して説明すると、本実施形態では、書類情報110−aに「氏名」、「住所」及び「郵便番号」が記載されているものとする。なお、これらはあくまで一例であり、これらの項目が記載されてなくともよく、これらの項目と共に又はこれらの項目に替わって、他の項目が付加されていてもよい。
【0033】
スキャンイメージ格納データベース310には、各書類のスキャンイメージデータ(スキャンイメージ120−a、スキャンイメージ120−b及びスキャンイメージ120−c)が格納されている。
【0034】
分割イメージ格納データベース330には分割後イメージデータ130(イメージデータ130−a、イメージデータ130−b及びイメージデータ130−c)が含まれている。分割後イメージデータ130は、帳票のイメージを個人情報として認識できない単位に分割されたイメージである項目内容132として格納されている。また、分割されたイメージである項目内容132は、それぞれ帳票を特定する、帳票識別番号である識別番号131と一緒に格納されている。
【0035】
続いて図3を参照すると、分割イメージ格納データベース330に格納された分割後イメージデータ130が各データ入力用端末400に送信されていることが分かる。データ入力用端末400には、データ入力プログラム410が搭載されている。また、データ入力プログラム410は、入力画面1000を制御する。
【0036】
各データ入力用端末400の表示部には、表示画面1000として記載されている情報が表示される。具体的には、表示画面1000には、分割後イメージデータ130に含まれていた書類のイメージである項目内容132と、当該項目内容132を見ながらイメージの内容を入力する入力項目133が表示される。なお、識別番号131は表示されず、データ入力者には認識できないようになっている。
【0037】
更に、本実施形態では項目内容132及び入力項目133の表示順を元となる帳簿と対応する順番ではなくランダムな順番としている。例えば、表示画面1000−1において「氏」に関しては項目データ未入力の帳票イメージの識別番号順に表示し、「電話番号上4桁」の表示では、項目データ未入力の帳票イメージ識別番号の逆順に表示する等が考えられる。本実施形態では、一例として表示画面1000−1において「氏」に関しては上から識別番号131がb、a、cの順で表示されているが、「電話番号上4桁」に関しては上から識別番号131がc、a、bの順で表示されている。また、表示画面1000−2においは「名」に関しては上から識別番号131がc、a、bの順で表示されているが、「電話番号下4桁」に関しては上から識別番号131がb、a、cの順で表示されている。このようにランダムに、すなわち規則性を持たせないように表示させることにより、例えば或る人物が表示画面1000−1及び表示画面1000−2の両方を参照したとしても、各イメージをつなぎ合わせて、個人情報を認識することは困難となる。
【0038】
加えて、入力画面1000で表示される書類のイメージは、画面には表示されない、識別番号131で管理されており、分割された書類のイメージである項目内容132と入力項目132は識別番号131で関連付けられる。
【0039】
図3の例では、入力画面1000−1で表示/入力する項目は、氏名の「氏」と電話番号の上4桁とする。また、別の端末、データ入力用端末400−2に搭載されているデータ入力プログラム410−2から表示される入力画面1000−2は、氏名の「名」と電話番号の下6桁を入力する画面を有する。
【0040】
更に図4を参照すると、書類情報データベース350には復元後のイメージデータである復元後イメージ140が格納されている。
【0041】
続いて、図1〜4と共に図5のシーケンス図を参照して本実施形態の動作について説明する。
【0042】
まず、書類の内容をデータ化したい書類をイメージで取り込み、取り込んだ書類イメージを分割格納する流れを説明する。
【0043】
図2の書類110をスキャナ200で読込み(ステップS11)、書類情報管理装置300が有しているスキャンイメージ格納データベース310にイメージを格納する(ステップS12)。このとき、各イメージはスキャナから読み込まれたままの書類イメージ120の状態である。
【0044】
そして、スキャナで書類を読込み、各書類のイメージ化が終了した時点で、イメージ認識/分割部320が起動し、スキャンイメージ格納データベース310を読み取る(ステップS13)。続けて、各帳票に認識番号131を付与し、イメージを認識し、イメージの分割を行う(ステップS14)。
【0045】
分割にあたっては、各項目が個人情報として認識されることが出来ない単位に分割される。たとえば、氏名であれば、氏と名でイメージを分割したり、電話番号であれば、上5桁、下5桁で分割する。本実施形態では、具体的にどのように分割してもよく、特に制限はない。
【0046】
分割されたイメージは、帳票を識別する識別番号と一緒に、分割イメージ格納データベース330に格納する(ステップS15)。
【0047】
次に分割イメージ格納データベース330に格納されているイメージデータをデータ入力用端末400に表示し、書類情報を入力する流れを説明する。
【0048】
図3の分割された帳票イメージデータである分割後イメージ120は、書類情報管理装置300に配置された、分割イメージ格納データベース330に格納されている。まず、書類情報管理装置300が、分割後イメージ120を各データ入力用端末400に送信する(ステップS16)。
【0049】
データ入力用端末400−1には、データ入力プログラム410−1が搭載されており、データ入力プログラム410−1は、入力画面1000−1を制御し、表示を行う(ステップS17)。
【0050】
例えば、入力画面1000−1は、書類のイメージを表示する部分132と書類のイメージを見ながらイメージの内容を入力する入力項目133を有している。
【0051】
入力画面1000−1で表示される書類のイメージは、画面には表示されない、識別番号131で管理されており、分割された書類のイメージ132と入力項目133は識別番号131で関連付けられる。
【0052】
図3の例では、入力画面1000−1で表示/入力する項目は、氏名の「氏」と電話番号の上4桁とする。また、別の端末、データ入力用端末400−2に搭載されているデータ入力プログラム410−2から表示される入力画面1000−2は、氏名の「名」と電話番号の下6桁を入力する画面を有する。
【0053】
このように、入力画面1000−1と入力画面1000−2では、データ未入力のイメージを表示する際、各イメージの種類ごとに表示順のルールを変えることで、ランダム表示を行う。
【0054】
例えば、入力画面1000−1の「氏」の表示では、項目データ未入力の帳票イメージの識別番号順に表示し、「電話番号上4桁」の表示では、項目データ未入力の帳票イメージ識別番号の逆順に表示するなどする。
【0055】
このように、ランダム表示させることで、オペレータが各イメージをつなぎ合わせて、個人情報が認識出来てしまうことができないという効果を奏する。
【0056】
そして、データ入力用端末400は上述した表示画面1000を参照したデータ入力者からの入力を受け付ける(ステップS18)。
【0057】
最後に、入力画面から入力された入力項目が、ひとつの帳票データとして格納される流れを説明する。
【0058】
図4の書類情報管理装置300が有する入力情報復元部340に対して、入力画面1000−1、入力画面1000−2で入力された項目が送信される(ステップS19)。
【0059】
これを受けた入力情報復元部340は識別番号131に基づいて復元を行い(ステップS20)、復元後のデータを書類情報データベース350に格納する(ステップS21)。
【0060】
具体的には、例えば識別番号131−aに対するいずれかのイメージの入力が行われた際、識別番号131−aの書類情報データを格納する枠を作成し、識別番号と、その入力項目の情報を格納する。そのほかの情報は未入力状態となる。
【0061】
次に識別番号131−aに対するイメージに対する情報の入力が行われた際には、先に作成されていた書類情報データを格納する枠に対して、情報を更新する。
【0062】
更新後、未入力項目がないか、チェックを行い、未入力項目が無くなった段階で、状態管理の項目を「入力完了」と更新し、書類データの入力が完了したことが、他のプログラムなどからも識別できるようにする。
【0063】
以上説明した本発明の実施形態は、以下に示すような多くの効果を奏する。
【0064】
第1の効果は個人情報などの機密情報をコンピュータに登録する際、情報漏えいのリスクを無くすことが可能なことである。
【0065】
その理由は、通常の入力項目を分割入力させる方式に比べ、ランダム表示を行うことでより情報漏えいリスクが低減できるからである。
【0066】
第2の効果はより効率的にデータ登録を行うことが出来ることである。
【0067】
その理由は、項目単位の登録を行うことで、登録作業が単純化されるからである。
【0068】
続いて、上述した実施形態を変形した他の実施形態について説明する。
【0069】
上述した実施形態では、ひとつの画面で、1種類のイメージを複数表示/入力する例を挙げていた。もっとも、ランダム表示を行う考え方に基づけば、1枚の帳票の項目を1画面に配置し、表示内容はそれぞれ異なる帳票のイメージを表示するということも可能である。例えば表示画面1000に書類情報110−aの氏、書類情報110−bの名、書類情報110−cの住所前半、書類情報110−dの住所後半、書類情報110−eの電話番号前半、書類情報110−bの電話番号後半というように表示させてもよい。
【0070】
複数種類の帳票に対して項目を分割し、画面には1つの画面で表示させることもできる。すなわちフォーマットの異なる帳簿の項目を組みあわせて1つの画面で表示させる。例えば、或る人物の氏名と住所が記載された第1のフォーマットの帳簿と、第1のフォーマットの帳簿に記載されている人物とは全く関係しない人物の入会日と会員番号が記載された第2のフォーマットの帳簿の各項目を組みあわせて表示させることができる。そして、例えばデータ入力用端末400−1には第1のフォーマットの帳簿に含まれる氏名と第2のフォーマットの帳簿に含まれる入会日を入力させる。これにより、画面上ではより各項目の関連性を認識することが出来なくなり、情報漏えいリスクを低減することが可能となる。
【0071】
なお、上記実施形態では、プログラムが、書類情報管理装置300やデータ入力用端末400に予め記憶されているものとして説明した。しかし、動作合成装置を、装置の全部又は一部として動作させ、あるいは、上述の処理を実行させるためのプログラムを、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical Disk(Disc))BD(Blu-ray Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータにインストールし、上述の手段として動作させ、あるいは、上述の工程を実行させてもよい。
【0072】
さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを格納しておき、例えば、搬送波にプログラムを重畳させて、コンピュータにダウンロード等してプログラムを実行してもよい。
【0073】
なお、本発明の実施形態である書類情報管理装置300やデータ入力用端末400は、ハードウェアにより実現することもできるが、コンピュータをその書類情報管理装置300やデータ入力用端末400として機能させるためのプログラムをコンピュータがコンピュータ読み取り可能な記録媒体から読み込んで実行することによっても実現することができる。
【0074】
また、本発明の実施形態による書類情報管理方法は、ハードウェアにより実現することもできるが、コンピュータにその方法を実行させるためのプログラムをコンピュータがコンピュータ読み取り可能な記録媒体から読み込んで実行することによっても実現することができる。
【0075】
また、上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0076】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0077】
(付記1) 複数のデータ入力用端末と接続され、帳簿に含まれる書類情報を管理する書類情報管理装置において、
前記帳簿を読み取り、当該読み取った情報を電子化したデータであるスキャンイメージを格納するスキャンイメージ格納手段と、
前記スキャンイメージに含まれる情報を、分割後の情報に基づいて個人が特定できないように分割すると共に、分割後のイメージそれぞれに元となった帳簿を識別するための識別符号を付すイメージ分割手段と、
前記識別符号が付された分割後のイメージを格納し、当該格納されている前記識別符号が付された分割後のイメージを前記データ入力用端末に読み取らせる分割イメージ格納手段と、
前記識別符号が付された分割後のイメージに基づいて入力されたデータと、前記識別符号と、の組合せを前記データ入力用端末から取得し、当該取得したデータを前記識別符号に基づいて前記帳簿毎に復元する入力情報復元手段と、
を備え、
前記データ入力用端末に対して前記識別符号を表示させず、且つ、前記データ入力用端末に対して前記分割後のイメージを元となった帳簿との関係に基づいた規則性を持たないように表示させることを特徴とする書類情報管理装置。
【0078】
(付記2) 付記1に記載の書類情報管理装置において、
前記データ入力用端末に、複数の帳簿のそれぞれ同じ項目から分割した同一種類の複数のイメージを複数の項目分読み取らせ、
前記データ入力用端末に、前記複数のイメージを表示させる際に前記イメージの種類毎に表示順を変えることを特徴とする書類情報管理装置。
【0079】
(付記3) 付記1に記載の書類情報管理装置において、
一つの帳簿から分割された異なる種類のイメージをそれぞれ異なる前記データ入力用端末に読み取らせることを特徴とする書類情報管理装置。
【0080】
(付記4) 付記1に記載の書類情報管理装置において、
前記帳簿には複数の種類があり、前記書類情報管理装置は、異なる種類の帳簿の異なる種類の項目のイメージを組みあわせて前記データ入力用端末に読み取らせることを特徴とする書類情報管理装置。
【0081】
(付記5) 付記1に記載の書類情報管理装置において、
前記データ入力用端末に一枚の帳簿を再現した配置で前記分割後のイメージを表示させ、当該表示させた各イメージはそれぞれ異なる帳簿が元となっていることを特徴とする書類情報管理装置。
【0082】
(付記6) データ入力者がデータを入力するための複数のデータ入力用端末と、前記複数のデータ入力用端末と接続され、帳簿に含まれる書類情報を管理する書類情報管理装置と、を有する情報入力システムにおいて、
前記データ入力用端末は、前記書類情報管理装置の指示に従った順番で表示を行い、
前記書類情報管理装置は、付記1乃至5の何れか1に記載の書類情報管理装置であることを特徴とする情報入力システム。
【0083】
(付記7) 複数のデータ入力用端末と接続され、帳簿に含まれる書類情報を管理する書類情報管理装置に組み込まれる書類情報管理プログラムにおいて、
前記帳簿を読み取り、当該読み取った情報を電子化したデータであるスキャンイメージを格納するスキャンイメージ格納手段と、
前記スキャンイメージに含まれる情報を、分割後の情報に基づいて個人が特定できないように分割すると共に、分割後のイメージそれぞれに元となった帳簿を識別するための識別符号を付すイメージ分割手段と、
前記識別符号が付された分割後のイメージを格納し、当該格納されている前記識別符号が付された分割後のイメージを前記データ入力用端末に読み取らせる分割イメージ格納手段と、
前記識別符号が付された分割後のイメージに基づいて入力されたデータと、前記識別符号と、の組合せを前記データ入力用端末から取得し、当該取得したデータを前記識別符号に基づいて前記帳簿毎に復元する入力情報復元手段と、
を備え、
前記データ入力用端末に対して前記識別符号を表示させず、且つ、前記データ入力用端末に対して前記分割後のイメージを元となった帳簿との関係に基づいた規則性を持たないように表示させる書類情報管理装置としてコンピュータを機能させることを特徴とする書類情報管理プログラム。
【0084】
(付記8) データ入力者がデータを入力するための複数のデータ入力用端末と、前記複数のデータ入力用端末と接続され、帳簿に含まれる書類情報を管理する書類情報管理装置と、を有するシステムが行う情報入力方法において、
前記書類情報管理装置が、前記帳簿を読み取り、当該読み取った情報を電子化したデータであるスキャンイメージを格納するスキャンイメージ格納ステップと、
前記書類情報管理装置が、前記スキャンイメージに含まれる情報を、分割後の情報に基づいて個人が特定できないように分割すると共に、分割後のイメージそれぞれに元となった帳簿を識別するための識別符号を付すイメージ分割ステップと、
前記書類情報管理装置が、前記識別符号が付された分割後のイメージを格納し、当該格納されている前記識別符号が付された分割後のイメージを前記データ入力用端末に読み取らせる分割イメージ格納ステップと、
前記データ入力用端末が、前記書類情報管理装置の指示に従った順番で表示を行うステップと、
前記書類情報管理装置が、前記識別符号が付された分割後のイメージに基づいて入力されたデータと、前記識別符号と、の組合せを前記データ入力用端末から取得し、当該取得したデータを前記識別符号に基づいて前記帳簿毎に復元する入力情報復元ステップと、
を備え、
前記データ入力用端末に対して前記識別符号を表示させず、且つ、前記データ入力用端末に対して前記分割後のイメージを元となった帳簿との関係に基づいた規則性を持たないように表示させることを特徴とする情報入力方法。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、例えば、各種の申し込み書類のコンピュータへの情報登録業務等に好適である。
【符号の説明】
【0086】
100 帳簿群
110 書類情報
120 スキャンイメージ
130 分割後イメージデータ
131 識別番号
132 項目内容
133 入力項目
140 復元後イメージ
200 スキャナ
300 書類情報管理装置
310 スキャンイメージ格納データベース
320 イメージ認識/分割部
330 分割イメージ格納データベース
340 入力情報復元部
350 書類情報データベース
400 データ入力用端末
500 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデータ入力用端末と接続され、帳簿に含まれる書類情報を管理する書類情報管理装置において、
前記帳簿を読み取り、当該読み取った情報を電子化したデータであるスキャンイメージを格納するスキャンイメージ格納手段と、
前記スキャンイメージに含まれる情報を、分割後の情報に基づいて個人が特定できないように分割すると共に、分割後のイメージそれぞれに元となった帳簿を識別するための識別符号を付すイメージ分割手段と、
前記識別符号が付された分割後のイメージを格納し、当該格納されている前記識別符号が付された分割後のイメージを前記データ入力用端末に読み取らせる分割イメージ格納手段と、
前記識別符号が付された分割後のイメージに基づいて入力されたデータと、前記識別符号と、の組合せを前記データ入力用端末から取得し、当該取得したデータを前記識別符号に基づいて前記帳簿毎に復元する入力情報復元手段と、
を備え、
前記データ入力用端末に対して前記識別符号を表示させず、且つ、前記データ入力用端末に対して前記分割後のイメージを元となった帳簿との関係に基づいた規則性を持たないように表示させることを特徴とする書類情報管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の書類情報管理装置において、
前記データ入力用端末に、複数の帳簿のそれぞれ同じ項目から分割した同一種類の複数のイメージを複数の項目分読み取らせ、
前記データ入力用端末に、前記複数のイメージを表示させる際に前記イメージの種類毎に表示順を変えることを特徴とする書類情報管理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の書類情報管理装置において、
一つの帳簿から分割された異なる種類のイメージをそれぞれ異なる前記データ入力用端末に読み取らせることを特徴とする書類情報管理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の書類情報管理装置において、
前記帳簿には複数の種類があり、前記書類情報管理装置は、異なる種類の帳簿の異なる種類の項目のイメージを組みあわせて前記データ入力用端末に読み取らせることを特徴とする書類情報管理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の書類情報管理装置において、
前記データ入力用端末に一枚の帳簿を再現した配置で前記分割後のイメージを表示させ、当該表示させた各イメージはそれぞれ異なる帳簿が元となっていることを特徴とする書類情報管理装置。
【請求項6】
データ入力者がデータを入力するための複数のデータ入力用端末と、前記複数のデータ入力用端末と接続され、帳簿に含まれる書類情報を管理する書類情報管理装置と、を有する情報入力システムにおいて、
前記データ入力用端末は、前記書類情報管理装置の指示に従った順番で表示を行い、
前記書類情報管理装置は、請求項1乃至5の何れか1項に記載の書類情報管理装置であることを特徴とする情報入力システム。
【請求項7】
複数のデータ入力用端末と接続され、帳簿に含まれる書類情報を管理する書類情報管理装置に組み込まれる書類情報管理プログラムにおいて、
前記帳簿を読み取り、当該読み取った情報を電子化したデータであるスキャンイメージを格納するスキャンイメージ格納手段と、
前記スキャンイメージに含まれる情報を、分割後の情報に基づいて個人が特定できないように分割すると共に、分割後のイメージそれぞれに元となった帳簿を識別するための識別符号を付すイメージ分割手段と、
前記識別符号が付された分割後のイメージを格納し、当該格納されている前記識別符号が付された分割後のイメージを前記データ入力用端末に読み取らせる分割イメージ格納手段と、
前記識別符号が付された分割後のイメージに基づいて入力されたデータと、前記識別符号と、の組合せを前記データ入力用端末から取得し、当該取得したデータを前記識別符号に基づいて前記帳簿毎に復元する入力情報復元手段と、
を備え、
前記データ入力用端末に対して前記識別符号を表示させず、且つ、前記データ入力用端末に対して前記分割後のイメージを元となった帳簿との関係に基づいた規則性を持たないように表示させる書類情報管理装置としてコンピュータを機能させることを特徴とする書類情報管理プログラム。
【請求項8】
データ入力者がデータを入力するための複数のデータ入力用端末と、前記複数のデータ入力用端末と接続され、帳簿に含まれる書類情報を管理する書類情報管理装置と、を有するシステムが行う情報入力方法において、
前記書類情報管理装置が、前記帳簿を読み取り、当該読み取った情報を電子化したデータであるスキャンイメージを格納するスキャンイメージ格納ステップと、
前記書類情報管理装置が、前記スキャンイメージに含まれる情報を、分割後の情報に基づいて個人が特定できないように分割すると共に、分割後のイメージそれぞれに元となった帳簿を識別するための識別符号を付すイメージ分割ステップと、
前記書類情報管理装置が、前記識別符号が付された分割後のイメージを格納し、当該格納されている前記識別符号が付された分割後のイメージを前記データ入力用端末に読み取らせる分割イメージ格納ステップと、
前記データ入力用端末が、前記書類情報管理装置の指示に従った順番で表示を行うステップと、
前記書類情報管理装置が、前記識別符号が付された分割後のイメージに基づいて入力されたデータと、前記識別符号と、の組合せを前記データ入力用端末から取得し、当該取得したデータを前記識別符号に基づいて前記帳簿毎に復元する入力情報復元ステップと、
を備え、
前記データ入力用端末に対して前記識別符号を表示させず、且つ、前記データ入力用端末に対して前記分割後のイメージを元となった帳簿との関係に基づいた規則性を持たないように表示させることを特徴とする情報入力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−168854(P2012−168854A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30745(P2011−30745)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】