説明

個別化した疾病管理を提供するためのシステム及び方法

【課題】患者ごとの病状に合わせた疾病管理システム及び方法を提供すること。
【解決手段】患者のために医師が定義したルールを、患者の血糖値測定システム等に記憶させ、生活様式における事象又は血糖値測定時もしくは記録時に起動させる。パターン分析をリアルタイムで実施し、患者が病状を管理するに当たり、患者の行動に正の効果をもたらすような、事前に医師が作成した助言を表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康を管理するためのシステム及び方法に関する。特に、本発明は、慢性疾患を有する患者へ個別化した疾病管理を提供するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、持続的なモニタリングならびに、体重及び運動のデータと同様、血糖レベル、薬物療法、栄養条件などの健康因子の調節を必要とする慢性疾患である。糖尿病を有する患者及び彼らの医師にとって、このような情報の量は、患者の疾病の管理に好ましい影響を及ぼす作用の変化を起こさせるために、効果的に追跡及び使用するのが困難なことがある。
【0003】
さらに複雑にする事項は、各患者が治療管理に際して耐えるにあたり異なる性格を有しているという事実である。すなわち、幾人かの患者では、好ましかろうと好ましくなかろうと、管理の強化に対して迅速に反応するかもしれないため、強化が非常にほとんど必要とされないのに対し、他の患者は、望ましい変化を生じるのにより多くの反復を必要とするかもしれない。正対負の管理の強化の有効性はまた、患者間で有意に変動することもある。ある患者については、医用装置又は他の装置といずれかの頻度で相互作用する必要性が、彼らの疾病を管理する彼らの能力に負の効果を与え得る障害として見られ得るのに対し、他の患者では、このような相互作用及び構成の意味及び提供されうる管理を現実に享受できる。
【0004】
個々の患者はまた、彼らの行動に影響を及ぼし、治療計画の有効性に影響を及ぼす可能性がある身体的属性及び習慣を有している。すなわち、幾人かの糖尿病患者は、インスリン耐性、摂食に対する嫌悪、及び相対的に不活発な生活様式の1つ以上を呈し得るのに対し、他の糖尿病患者は、インスリンに反応し、健康な食事及び運動療法を維持し得るが、高いストレスレベルを有し得る。典型的には、各患者は、治療の経過にわたり発現の程度が変動することがあり、そして個々の患者の全体的な健康及び治療の進行に関連して有意性が変動することがあり、相対的に正及び負の身体的及び行動学的属性の組み合わせを呈することがある。
【0005】
糖尿病管理における困難な課題にかかわる医師及び患者を援助するためのいくつもの方法及びシステムが通常利用可能である。例えば、ライフ・スキャン(LifeScan)社のワン・タッチ(OneTouch)(登録商標)糖尿病管理ソフトウェア(Diabetes Management Software)などの糖尿病データ管理ソフトウェアは、血糖測定システムから結果をアップロードし、この情報をデータベースに保存する。このシステム、及びそれに似た他者はまた、特異的な事情情報(すなわち、タグ、フラグ、及び/又はコメント)を統合するか、又は患者の血糖値の結果に影響し得るさらなる生活様式情報(すなわち、運動時間、栄養情報)を含めるように試みてもよい。その後、これらのシステムは、医師又は患者が、過去の問題に関して患者に思い出させるか医師に警告するために今後使用され得るデータベースに質問すると、種々の報告を作成することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの種類のそれぞれの方法及び/又はシステムは、疾病管理の複雑な課題の分野で医師と同様に患者に対し非常に貴重な援助を提供してきたが、提供し得る援助に制約があった。すなわち、従来の方法及びシステムは、患者の挙動に反応できないか、患者に対し提供される情報、要求される情報又は提供され、要求される情報の頻度に合わせて変更されない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、リアルタイムでデータを処理し、医師が定義した疾病管理のための助言を提供する、例外に基づいたパターン分析及び報告のための指針が、従来の手法による疾病管理に対する有用な代替案を提供する。例外に基づいたパターン分析法は、リアルタイムで医師が追跡する際に必要とみなされる全ての健康にかかるパラメータを分析するために、個々の患者に固有な、事前に医師が定義した一連のルールに依る。例外に基づいた報告により、例外に基づいたパターン分析モジュールにより起動され、ルールに対する例外に基づいた、医師が定義したリアルタイムの助言が提供される。そのような方法により、患者と医師の双方は、病状管理に対する患者の遵守意識を理解し、進んで努力する能力を高めることができる。
【0008】
本発明は、患者の病状管理において患者を援助するために、患者に特異的で、医師が定義したルールを用いている。患者のために医師が定義した一連のルールは、患者の血糖測定システム中に維持されることができ、生活様式上の事象又は血糖結果が期待されるか記録されると作動する。パターン分析は、リアルタイムで稼動可能であり、患者が病状を管理するような振る舞いに正の影響を与えるように、医師が作成した助言を患者に提供する。さらに、専門家は、患者である使用者からの保存された全てのデータ記録をダウンロードし、医師の元を訪問する間の期間の患者である使用者の結果の詳細の報告を作成することができる。
【0009】
本発明の1つの態様によれば、患者は病状管理のための一連のルールを定めるために医師に評価される。前記評価により、医師に対して、医師が定義したルールのパラメータの設定のための指針が提供される。これらのパラメータは、好ましくは、影響と有意性の両面からなる。影響とは、前記ルールによる測定値が、患者の健康にとって好ましい(以下、正という。)又は好ましくない(以下、負という。)影響を有するか否かの決定でよい。有意性とは、前記ルールによる影響がいかに重要であるかでよい。有意性は、前記ルールの影響に重みをつけて考察してよい。さらに、有意性と影響は、特に活動の報告するきっかけとなるために用いられる、ルールのパラメータとして考察してよい。前記評価に基づき、医師はまた、患者、医師又は双方に対し報告するきっかけとなるルールに関係する複数のパラメータを設定することができる。これらのパラメータは、医師の患者に対する評価に基づいてもよく、好ましくは、違背される又は遵守されるルールの影響と有意性のパラメータに基づいてきっかけとなってもよい、報告ルールが作動したら、報告又は他の出力が好ましくは患者、医師又は双方に提供される。
【0010】
本発明の別の態様において、患者の疾病管理特性に基づいたパターン分析ルール及び報告の起動に合わせて変更される、個別化された疾病管理方法が提供される。前記方法は、少なくとも1つのパターン分析ルールを定め、少なくとも1つの患者の疾病管理特性を決定し、少なくとも1つのパターン分析ルールをニーズに合わせて変更(カスタマイズ)する段階を含む。少なくとも1つのパターン分析ルールは、ルールのパラメータと起動の報告を含む。起動の報告は、ルール・パラメータの閾値を含む。前記方法は、従って、ルール・パラメータ閾値を少なくとも1つの患者の疾病管理特性に基づいて調整することにより、起動の報告に合わせて変更(カスタマイズ)される段階をさらに含む。
【0011】
本発明のさらに別の態様では、個別化された疾病管理システムが提供される。前記システムは、データ・ソース、処理装置、記憶装置及びプログラム命令を含む。プログラム命令は、少なくとも1つの患者の疾病管理特性に合わせて変更できる複数の疾病管理パラメータのうち少なくとも一つを含み、例外に基づいたデータをデータ・ソースから取得し、少なくとも1つの患者に特有で医師が定義したルールをデータ・ソースから取得し、少なくとも1つの患者に特有で医師が定義したルールを起動するための少なくとも1つの特性の設定を規定する。
【0012】
本発明について、前記及び他の特徴、様相及び長所は、以下の記載、添付の特許請求の範囲の記載及び図面に関して理解を深めることになるであろう。図1は、本発明による疾病管理システムの一例を示す概略図である。図2は、本発明による、コンピュータにより実行される方法におけるパターン分析のための設定を提供するために、使用者とインターフェイスをとるためのダイアログ・ウインドウ(対話表示窓)の概略図の一例である。図3は、本発明による、コンピュータにより実行される方法における報告頻度の設定を提供するために、使用者とインターフェイスをとるためのダイアログ・ウインドウ(対話表示窓)の概略図の一例である。図4は、本発明による、コンピュータにより実行される方法における専門家用出力装置に送信される出力の概略図の一例である。図5は、本発明による、コンピュータにより実行される方法における患者用出力装置に送信されうる出力の概略図の一例である。そして、図6は、本発明による方法の各ステップにおける手順を示すフローチャートである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、リアルタイムでデータを処理し、例外に基づいたパターン分析及び報告を入手することができるため、患者の病状に合わせた助言を適時適切に得ることができ、より細やかな患者の病状管理が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明に記載の例外に基づいたパターン分析及び例外に基づいた報告のためのコンピュータ・プログラム112を実行する典型的なシステム100を示す。システム100には、示されるように、データ・ソース102、通信リンク104、及び好ましくは1つ以上のデータ入力装置108、表示装置110、及び出力装置114に接続される処理部106が含まれる。データ・ソース102の例には、米国において記載される様に、血液又は間質液中のグルコースを検出するための血糖測定システム及び連続計量システムが含まれる。特許出願第10/432827号は、2003年12月29日に出願され、すべての目的について参照することにより本明細書に完全に組み入れられる。他の代表的な例には、いずれかの体液(例、血液、尿、間質液等)の中の分析物又は指標物(例、コレステロール又はHbAlc)を検出するための計量システムが含まれる。一般に、データ・ソース102は、身体的特徴について検査するよう設計された計量及び測定装置等の、いかなる形式のデータ入力を含んでよい。データ・ソース102にはさらに、例えば運動の質及び時間、体重データ、糖尿病薬物療法の形式及び量、及び一般的な栄養情報などの生活様式情報を入力するための入力装置(例、ボタン、キー、タッチスクリーン、オンスクリーンメニュー、ユーザー・インターフェイス等)を含んでよい。
【0015】
図示のように、データ・ソース102は、通信リンク104を介して処理部106に接続され、いずれかの公知の又は将来開発される有線又は無線の通信リンクを含んでよい。通信リンク104の例には、ダイレクト・シリアル又はUSBケーブル、TCP/IP又はイーサネット(登録商標)ベースのネットワーク接続、及びIEEE 802.11、赤外線、又はブルートゥースなどのプロトコールを使用した無線接続が含まれる。あるいは、データ・ソース102は、適切なケーブル等を介して処理部106へ直接接続されてもよい。
【0016】
処理部106には好ましくは、情報を記録し保存するための装置(例、メモリ、ディスクドライブ、又は他の着脱可能な記憶装置、データベース等)、及びプログラム112内などの望ましいソフトウェア内のアルゴリズムを使用してデータ・ソース102からのデータを処理するための装置(例、中央処理装置すなわちCPU)が含まれる。処理部106の例には、パーソナルコンピュータ又はネットワーク接続されたコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、血糖計量システム、及び携帯電話が含まれる。入力装置108の例には、キーボード、キーパッド、マウス、ジョイスティック、スタイレット、及び中央処理装置により使用可能な他のものが含まれる。表示装置110の例には、パーソナルコンピュータ又はネットワーク接続されたコンピュータのための表示装置と、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、及び血糖計量システムのための液晶ディスプレイ(LCD)とが含まれる。あるいは、点灯及び/又は明滅することによって情報を通信するための装置においてLEDなどの1つ以上の光源を使用してよい。出力装置114の例には、プリンタ、ファックス機、電子メール警告、テキスト警告、及び処理部106に記憶するために保存されるファイルが含まれる。
【0017】
処理部106にはさらに、本発明に記載の例外に基づいた報告と組み合わせた例外に基づいたパターン分析を提供するためのコンピュータ・プログラム又は命令112を含む。例外に基づいたパターン分析は、医師の定義した計量又は前もって確立された条件のいずれかが適合していない場合、又は適合している場合、専門家である使用者(例、医師又は看護師、又は管理機能を有するいずれかの人)又は患者である使用者に自動的に通告してよい。例外に基づいた報告は、適切な行動を取り扱い、及び/又は賞賛するために、計画された遵守事項に対する例外に基づき、専門家である使用者又は患者である使用者の注意を喚起するよう設計される。
【0018】
一般に、データは、計量装置102によって経時的に回収され、典型的には複数の試料を含む。例外に基づいたパターン分析は好ましくは、回収されたデータを分析し、警告、警告、又は他の情報を使用者(患者又は専門家)へ提供するために使用される。パターン分析は好ましくは、経時的に又は多くの試料から回収されるデータにおける一般的な傾向又はパターンを識別するのに使用される。例外に基づいたパターン分析は一般に、許容可能なデータ限界の範囲外になるデータと、好ましくは疾病管理方法のデータ限界に対する例外とを識別するための方法である。パターン分析のルールは、疾病管理におけるデータについての許容レベルを設定するのに使用される。許容限界の外側の発生及び/又は発生の平均を探すことによって、患者が治療法に対して承諾していないか、又は疾病が治療されつつあるか又は管理されつつある方法に他の問題があることが明らかであるといえる。
【0019】
疾病の管理が患者に合わせて変更され得るシステムにおいて、患者の特徴及び彼らの疾病が医師又は他の医療従事者によって評価され、それによりパターン分析ルールの各々と関連した影響及び有意性が特定の患者に合わせて変更されることが望ましい。例えば、グルコースの管理について、ルールは、間接的な低血糖条件又は高血糖条件など、グルコース測定又は全ての測定結果の平均が範囲の外側である回数を追跡するよう設定することができ、このようなルールは、「最後の14日間の平均が目標を20%下回る/上回るか又は上位目標を上回るときを報告すること」でもよく、上述中、影響は「負」に設定され、有意性は「低」及び「高」の間の中間に設定される。したがって、最後の14日間の平均が毎回事前に決めておいた範囲の外であれば、ルールは違背されたとみなされ、例外が発生する。一度例外が発生すると、プログラム112は、影響及び有意性のパラメータならびに報告についての設定に基づいて、報告、警告、又は他の指標が患者及び/又は専門家使用者へ提供されるべきであるかどうかを決定するよう作成される。影響のレベル及び有意性のパラメータならびに報告についての設定は典型的に、以下に詳述されるような専門家である使用者によって設定される。
【0020】
コンピュータ・プログラム112は、好ましくは、多くのステップを実行するために、処理部106を調節する。コンピュータ・プログラム112は好ましくは、ユーザーがその機能へアクセスできるよう、標準的なユーザー・インターフェイス(例、メニュー及びダイアログ)を利用する。コンピュータ・プログラム112は、例えばデザインの選択の実際のところ、構造化問い合わせ言語(SQL)、ビジュアルベーシック、C++などのいかなるコンピュータ言語で書き込まれてもよく、処理部106などのコンピュータ処理部と接続されたハードドライブなどのいかなるコンピュータにより読み取り可能な記憶装置に保存することができる。
【0021】
コンピュータ・プログラム112には好ましくは、例外に基づいたパターン分析ユニットと、例外に基づいた報告ユニットの両者が含まれる。これらのユニットの各々は、サブルーチン、又はコンピュータ・プログラム112のサブプログラムとして検証することができる。あるいは、これらのユニットは、コンピュータ・プログラム112によって呼び出され初期化される個別のプログラムであってもよい。パターン分析及び報告ユニットは、ソフトウェア112、又はデータ分類及び分析のために装置106の記憶部にも提供される他の個別のソフトウェアにおいて提供されるアルゴリズム、ならびに使用者がコンピュータ・プログラム112の処理を制御することを助けるための専門システムツールへのアクセスを提供することができる。データ・ソース102からの入力データは、コンピュータ・プログラム112へ組み込まれ、例外に基づいたパターン分析ユニットは、入力データを分析し、特異的なパターン基準を満たすかどうかを決定する。次に、例外に基づいた報告ユニットは好ましくは、患者である使用者及び関連の専門家である使用者(例、医師、糖尿病教育者、又は看護師)のために報告を作成する。このような報告は、装置102、処理部106、表示装置110、及び印刷装置114を含む、いかなる多様な装置においても作成し、閲覧することができる。
【0022】
図2は、専門家である使用者がパターン分析、すなわち、「パターン分析用設定」のためにルールを設定するのに使用することができる典型的なダイアログ・ウインドウ200を示す。ウインドウ200は、表示装置110上に、又は代わりに、処理部106とネットワークで接続可能な別の表示装置上に表示することができる。シーケンスに記載されていても、これらのルールを起動する選択は、何時選択してもよく、患者である使用者の治療の経過の間、任意の時点で、専門家である使用者により対話を通じて変更してもよい。本発明によれば、前記ルールは、好ましくは、食事療法中のタイプ2糖尿病、経口薬物療中のタイプ2糖尿病、及び妊娠期間などの患者の形態ごとにソフトウェアパッケージ中で事前に定義される。あるいは、ソフトウェアが特定の患者又は医師の使用に合わせて変更可能になるように、ルールの形式は、好ましくは、専門家である使用者によって変更/プログラムされることができる。パターン分析用の設定に対し変更を実施する際は、典型的には、処理部106とデータ・ソース102との間の通信リンク104において行われる。言い換えれば、設定は、好ましくは、データ・ソース102へダウンロードされる。
【0023】
任意で、専門家である使用者は、どのような順序で医師が定義したパターン分析を選択し、そのための設定を提供してもよい。専門家である使用者は、コンピュータ・プログラム112へのアクセスを有する医師、看護師、他の医療技師、データ入力者、及び他のいかなる管理者等でよい。また、医師又は他の健康管理提供者は、特定の疾病又は個人に合わせて変更するために、医師が定義したパターン分析ルールを再定義してもよい。専門家である使用者は、いかなるパターン分析ルールを、患者である使用者についての治療の経過に応じて、選択するか又は選択しないか取捨選択してもよい。
【0024】
専門家の使用者が選択する各パターン分析ルールについて、専門家の使用者は、そのパターン分析ルールに対する例外とそのパターン分析ルールの特性を報告するための限界を設定してもよい。限界は、好ましくは、ルールに従って設定され、それには例えば、時間(例、時又は日)及び百分率を含んでもよい。例えば、データ・ソース102の測定結果が2日間平均で、目標を少なくとも20%下回る場合、なんらかの機能(警報、警告、報告等)が起動するようなルールの特性を医師が設定することを欲してもよい。設定可能な特性には、「影響」210及び「有意性」216も含んでよい。影響とは、前記ルールと関連した測定結果が患者の健康にとって正又は負どちらの影響を有するかについての決定であってよい。有意性とは、前記ルールと関連した影響が患者の健康にとっていかに重要であろうかということでよい。有意性は、ルールに対する影響に重み付けをすることにより検討してもよい。さらに、有意性及び影響は、とりわけ報告活動を開始するのに使用される、ルール・パラメータとして検討してもよい。専門家である使用者は、各パターン分析ルールについて「負」212又は「正」214の表示の横に配置されるラジオボタンをクリックすることによって「影響」210を設定してもよい。専門家である使用者は、スライドスケール上でスライドバー221を移動させることにより、「低」218、「高」220又は「低」218と「高」220の表示の間の所定の指示値のパターン分析ルールの「有意性」216を設定してもよい。したがって、患者の個々の特徴に関する考慮(すなわち、疾病管理の間に患者がどのように反応しがちであるか)を含め、専門家である使用者の分析又は患者の評価に基づいて、専門家である使用者は、ルールの違背(又は遵守)が患者の治療に負又は正のいずれの効果を有するかどうかを、及びそのルールの違背(又は遵守)が特定の患者の治療に対していかに有意であるかを決定してもよい。あるいは、図2に示されるラジオボタン及びスライドバーに制限せず、数値選択、ドロップ・ダウン・メニュー、ボタンなどの他のユーザー・インターフェイス設定オプション及び機構を使用してもよい。医師又は他の医療従事者による患者の評価を通じて、各パターン分析ルールについての「影響」210及び「有意性」216は、好ましくは、評価の間に決定される患者の特徴に従って設定される。例えば、図2にあるように、低血糖は、高血糖よりもより有意であると医師によって考察される。したがって、低い結果のパターン(すなわち、ある時間の低グルコース値の読み取り)について、「有意性」216は、高レベル220に設定されることになる。低い結果は、患者である使用者の健康に及ぼす負の影響を有する。それゆえ、「負」212の「影響」210が、ウインドウ200において選択される。パターン分析ルールが(ルールについて設定されるパラメータに基づいて)作動し、「影響」210及び「有意性」216の事前に設定済みの報告特性と合致するか超過する場合、ルールに対する例外の報告が、図3について後述する通り起動する。例えば、パターン分析ルール及び報告ルールが作動するとき、1つの選択肢として、患者は例外についての警告を受信する。患者である使用者に対する警告の一例は、後述の表1の通りである。
【0025】
更に、図2を参照すると、パターン分析ルールを設定するためのウインドウ200には、図示のように、目標及び限界222、全体管理の測定224、時間枠による全体管理の測定226、傾向及び移行228、ならびに検査パターン230等のタブが含まれる。これらは、図2に示されるタブであるが、より多くの又はより少ないタブが考慮される。
【0026】
本発明によれば、「目標及び限界」222タブには好ましくは、「目標外の全体的な平均」232、「全体的な検査は目標内」234、「低結果のパターン」236及び「好結果のパターン」238用に1つ以上のルールを設定するためのセクションがある。「目標外の全体的な平均」232について、専門家である使用者は、「過去X日間についての全体的な平均が、Y%目標を下回るか又は目標を上回るときに報告する」という表示の横のボックス240をチェックし、ボックス242及び244にX及びYについての値を入れることによって、例外を報告するための限界値X及びYを選択できる(図2は、それぞれ例として14日間及び20%であるときの値を示す)。低血糖のトレースを扱う患者について、Xは、約1〜14日の範囲でよく、Yは、0〜100%、より典型的には約10〜20%の範囲でよい。専門家である使用者は、日数入力ボックス242に隣接する上下の矢印をクリックすることによって、所望の日数を選択できる。専門家である使用者は、百分率ボックス244に隣接する上下の矢印をクリックすることによって、百分率を選択できる。専門家である使用者は、(前述のように)「負」212又は「正」214のいずれか横のラジオボタンをクリックし、(前述のように)「有意性」216についてのバー221をスライドすることによって、「影響」210も選択できる。
【0027】
このパターン分析ルールに対する例外が、経時的にデータを回収することによって引き起こされる場合、患者である使用者は、次に一例として示す文言により気づかされる。すなわち、報告ボックス246に示されるように、「あなたの全体的な平均は、あなたの目標範囲内ではありません(あなたは、あなたの食事、インスリン、及び/又は薬物療法に対する変更による管理レベルを改善する方法について、主治医と論議したくなるかもしれません)。」である。インターフェイスウインドウ200は、例えば入力可能なテキストボックスとして、又は予め決めておいた警告リストへのドロップダウン又は他のアクセス方法のように起動警告に合わせて変えることができる。専門家である使用者は、報告ボックス246、250、256、及び260の警告を、特定の患者及び特定の疾病に合わせて設定できる。コンピュータ・プログラム112は、このパターン分析ルールに対する例外についての基準が満たされると判定したならば、患者である使用者に対する前記例外を報告するための基準が満たされているかどうかを決定する。従来のシステムに対する代替案として、本発明は、患者の特徴及び疾病に関する医師の評価を介して決定される影響及び有意性パラメータの使用によって、ルールを最適なものに変更することができる。有意性パラメータは、報告基準が満たされる時刻に到達するまで、少なくとも特定の最小の有意性を有するルール違背のみが集められるような方法で使用される。一度報告基準が満たされると、患者の疾病治療をよりよく管理するための方法として、患者の行動に影響を及ぼすために、又は医師による使用のために、警告が患者又は専門家である使用者へ提供される。
【0028】
「全体的な検査は目標内」234の設定について、専門家である使用者は、「過去X日間についてのすべての結果が目標のY%以下以内又はY%以上以内なら報告する。」という表示の横のボックス248をチェックし、Y及びXについての値を入れることによって、例外を報告するために限界Y及びXを選択することができる。Yは、約0〜100%の範囲でよく、Xは約0〜21日間の範囲でよい。専門家である使用者は、百分率ボックス244に隣接する上下の矢印をクリックすることによって、百分率を選択できる。専門家である使用者は、日数入力ボックス242に隣接する上下の矢印をクリックすることによって、所望の日数を選択できる。専門家である使用者は、(前述のように)「負」212又は「正」214のいずれか横のラジオボタンをクリックし、(前述のように)「有意性」216についてのバー221をスライドすることによって、「影響」210も選択できる。このパターン分析ルールに対する例外が発生する場合、患者である使用者は、次に一例として示す文言により気づかされる。すなわち、報告ボックス250に示されるように、「おめでとうございます、全体として、あなたはあなたの目標範囲内にとどまっています(あなたは、ご自分の成功の理由とあなたの健康に対する恩恵について主治医と論議したくなるかもしれません)。」である。この場合、警告は「正」であり、患者である使用者へ提供されるとき、患者の疾病に関する患者の良好な管理を強化するために、患者である使用者へ正しいことを強調することができる。詳細は後述するが、コンピュータ・プログラム112は、このパターン分析ルールに対する例外についての基準が満たされると判定したならば、患者である使用者に対する前記例外を報告するための基準が満たされているかどうかを決定する。
【0029】
「低結果のパターン」236の設定について、「過去X日間においてZ以上(又は以下)の低結果のとき報告する。」という表示の横のボックス252をチェックし、ボックス254及び242にそれぞれZ及びXについての値を入れることによって、専門家である使用者は、例外を報告することについての限界Z及びXを選択することができる。Zは、約0〜5の範囲でよく、Xは約0〜21日の範囲でよい。専門家である使用者は、数値ボックス254に隣接する上下の矢印をクリックすることによって、低結果の数値を選択できる。専門家である使用者は、日数入力ボックス242に隣接する上下の矢印をクリックすることによって、所望の日数を選択できる。専門家である使用者は、(前述のように)負212又は正214のいずれか横のラジオボタンをクリックし、(前述のように)有意性216についてのバー221をスライドすることによって、影響210も選択できる。このパターン分析ルールに対する例外が発生する場合、患者である使用者は、次に一例として示す文言により気づかされる。すなわち、報告ボックス256に示されるように、「あなたは、低結果のパターンを経験しています(あなたは、この悪化の理由ならびにインスリン及び/又は薬物療法に対する変更が合併症の危険性を低下させるのに必要であるかどうかを主治医と論議したくなるかもしれません)」である。この場合、警告は「負」であり、患者である使用者へ提供されるとき、患者の疾病に関する患者の管理の不手際を強調するために、又は医療従事者によって提供される治療が効果的ではなく、変更される必要があり得ることを患者に警告するために、患者である使用者へ誤っていることを強調することができる。詳細は後述するが、コンピュータ・プログラム112は、このパターン分析ルールに対する例外についての基準が満たされると判定したならば、患者である使用者に対する前記例外を報告するための基準が満たされているかどうかを決定する。
【0030】
「高結果のパターン」238の設定について、専門家である使用者は、「過去X日間におけるZ以上の(又は以下の)高結果のとき報告する。」という表示の横のボックス258をチェックし、Z及びXについての値を入れることによって、例外を報告することについての限界Z及びXを選択できる。Zは、約0〜10の範囲でよく、Xは、約0〜21日の範囲でよい。専門家である使用者は、数値ボックス254に隣接する上下の矢印をクリックすることによって、高結果の数値を選択できる。専門家である使用者は、日数入力ボックス242に隣接する上下の矢印をクリックすることによって、所望の日数を選択できる。次に、専門家である使用者は、(前述のように)「負」212又は「正」214の横のどちらかのラジオボタンをクリックし、(前述のように)「有意性」216についてのスライドバー221をスライドさせることによって、「影響」210を選択できる。このパターン分析ルールに対する例外が、引き起こされる場合、患者である使用者は、次に一例として示す文言により気づかされる。すなわち、報告ボックス260に示されるように「あなたは、高結果のパターンを経験しています(あなたは、この悪化の理由並びにインスリン及び/又は薬物療法に対する変更が合併症の危険性を低下させるのに必要であるかどうかを主治医と論議したくなるかもしれません)」である。この場合、警告は「負」であり、患者である使用者へ提供されるとき、患者の疾病に関する患者の管理の不手際を強調するために、又は医療従事者によって提供される治療が効果的ではなく、変更される必要があり得ることを患者に警告するために、患者である使用者へ誤っていることを強調することができる。詳細は後述するが、コンピュータ・プログラム112は、このパターン分析ルールに対する例外についての基準が満たされると判定したならば、患者である使用者に対する前記例外を報告するための基準が満たされているかどうかを決定する。
【0031】
パターン分析ルール232、234、236、及び238の全てについて、本発明に係るシステムは、本明細書中に示され記載されるルールに制限されるものではない。パターン分析ルールのいかなる数値も、本発明の条件を満たせばよい。ここで示され記載されるシステムは、使用者がいかなる形式のルールでもほぼ設定できることにより、使用者に対しかなりの柔軟性与えることになる。
【0032】
なおも図2を参照すると、各患者についての適切なパターン分析設定を許容するためには、専門家である使用者は、「適用」ボタン262又は「OK」ボタン264をクリックしてよく、パターン分析設定オプションに対するいかなる変化をも許容せずに中止するためには、専門家である使用者は、「中止」ボタン266をクリックしてもよい。設定が変更されると、計測装置102は、新しい設定に更新される必要があり、次回の処理部106と装置102との通信の間を含む後刻実行されてもよい。設定変更が中止される場合、装置はそのままの設定にとどまる。このウインドウにおけるいかなる特徴についてのより多くの情報を得るため、専門家である使用者は「情報」ボタン268をクリックしてよい。
【0033】
図2に示されるように、ルール設定用の他のタブには、全体管理の測定224、時間枠による全体管理の測定226、傾向及び移行228、及び検査パターン230が含まれる。各タブにおけるウインドウの形式は、目標及び限界222と同様でよく、各ルールには好ましくは、例外を報告するための限界を設定するためのセクション、及び影響210及び有意性216などの特性を設定するためのセクションが含まれる。ルールが記載されたタブウインドウの一例及び例外を報告するための限界が記載された制限についての文例は、以下の表1の通りである。前述のように、限界は好ましくは専門家である使用者によって決定され、ルールに対する例外が引き起こされる場合、患者である使用者は好ましくは適切な文例により気づかされる。
【0034】
【表1】

表1に列挙される前述のルールに加えて、当業者は、制限文が「負の」ルールの代わりに「正」のルールとして提供されてもよいことを認識するであろう。例えば、表1における最初の制限文は、「過去_日間の全体の標準偏差が_mg/dLより大きい場合報告」と記載することができる。ルールは、他に測定された値(例、糖尿病患者についてのHbA1cの結果)用に、又は看護されている場所で看護師が使用するための集中的なインスリン療法の手順の実行用に含まれてもよい。また、影響の設定は、設定値未満又は設定値超過として特徴付けてもよい。
【0035】
図3は、専門家である使用者が報告についての頻度を設定するためのダイアログ・ウインドウ300、すなわち「報告の設定」表示の一例である。患者である使用者のために、専門家である使用者は、パターン分析ルールに対する正及び負の例外が患者である使用者へ報告される頻度を識別できる。「報告の設定」のためのウインドウ300には、好ましくは、「報告された負及び/又は正の例外」310、「例外を報告する最小の閾値」312及び「報告された例外の最大の反復回数」314についてのルールを設定するためのセクションが含まれる。報告された負及び/又は正の例外310について、専門家である使用者は、「D時間又はD日ごとにZ件の負の例外の影響の最大値を報告する」表示の横の選択用ボックス316をチェックし、及び/又は「D時間又はD日ごとにZ件の正の例外の影響の最大値を報告する」表示の横の選択用ボックス318をチェックすることによって選択する。ここで、例えばグルコースを監視する例では、Zは、約0〜99の範囲でよく、Dは約0〜24時間又は約0〜21日間の範囲でよい。専門家である使用者は、数値ボックス320に隣接する上下の矢印をクリックすることによって、ある時間内にいくつの正又は負の例外が報告されるかを設定できる。専門家である使用者は、時間ボックス322に隣接する上下の矢印をクリックすることによって、及び時間表示の横のラジオボタン324をクリックするか又は日数表示の横のラジオボタン326をクリックすることによって、正又は負のいずれかの例外が報告される頻度を設定できる。これらの設定を調節することによって、専門家である使用者は、患者の特徴に基づいて、患者がどれだけ頻繁に及びどの程度の強度で、治療法内にとどまってはいけない又は治療法内にとどまるための正の強化が提供されるような警告を受ければよいか設定できる。例えば、頻繁な催促が患者のためになると専門家である使用者が決定した場合、催促の頻度が高くなるように設定を調整できる。しかしながら、患者の中には、頻繁な催促や警告を不快に感じ、これらを無視してしまう者もいる。患者の評価によりこのような患者の特徴が決定された場合、たいていは、催促や警告の頻度が少なくなるように設定してもよい。
【0036】
例外を報告する最小の閾値312について、専門家である使用者は、「最小_の有意性を有する例外の負の影響のみを報告する」表示の横のボックス328をチェックし、及び/又は「最小_の有意性を有する例外の正の影響のみを報告する」表示の横のボックス330をチェックすることにより、ルールを起動できる。どちらの場合でも、専門家は、スライドする目盛りのタブを「低」334又は「高」336のいずれかの端にむけてドラッグすることにより、「有意性」216を選択することができる。ここで、有意性の設定は一般に、ルール・パラメータ閾値の設定として理解してよい。患者の特徴を評価する際、医師は好ましくは、どのルールが、いつ守られないかが患者の疾病管理に最も有意に影響するかを決定する。したがって、有意性の設定を変更することによって、専門家である使用者は、最も有意な方法で患者の疾病を管理するために、どのルール監視されるべきか制御することができる。
【0037】
報告された例外の最大の反復回数314について、専門家である使用者は、「例外がE件報告されるごとに又はX日ごとに、最大Z回の特定の例外の負の影響を報告する」表示の横のボックス338をチェックし、及び/又は「例外がE件報告されるごとに又はX日ごとに、最大Z回の特定の例外の正の影響を報告する」表示の横のボックス340をチェックすることによって設定できる。ここで、Zは、約1〜10の範囲でよく、Eは約1〜5の範囲でよく、Xは約1〜21日の範囲でよい。専門家である使用者は、数値ボックス320に隣接する上下の矢印をクリックすることによって、特定の例外の負又は正の影響が報告される回数を設定できる。専門家である使用者は、頻度ボックス342の横の矢印を上下にクリックし、「例外」の横のラジオボタン344をクリックするか又は「日数」の横のラジオボタン346をクリックすることによって、特定の負又は正の影響が報告される頻度を設定できる。すべての患者についての適切な報告頻度を承認するために、専門家である使用者は「適用」ボタン348又は「OK」ボタン350をクリックし、報告頻度にいかなる変更も加えず中止するためには、専門家である使用者は「中止」ボタン352をクリックする。
【0038】
このウインドウにおけるいかなる特徴についてのより多くの情報を得るために、専門家である使用者は「情報」ボタン354をクリックできる。多くの特定の設定及び設定の範囲が提供されてきたが、本発明は、開示に限定されるものではない。本願明細書の記載以外の設定及び設定の範囲を使用することもできる。
【0039】
図4は、コンピュータ・プログラム112によって専門家である使用者の出力装置114へ出力される「専門家による報告」400の一例を示す。「専門家による報告」400には、好ましくは、「表題」410、「要約」412、及びデータブロック414が含まれる。「表題」410には、好ましくは、「専門家による報告」400が起案された対象の患者を識別するための手段が含まれる。例として、「表題」410は患者名を列挙するが、「表題」410には計量システム、シリアル番号、患者のカルテ番号、又は患者の情報を追跡する他の手段などの情報を含んでもよい。データブロック414には、図示のように、複数の行416が含まれ、各行は、好ましくは、1日の記録からのデータを含み、さらに、複数の列418が含まれ、各列には、好ましくは、1期間の記録からのデータが含まれる。専門家による報告の例は、2004年11月2日に出願された米国特許仮出願第60/624804号明細書にさらに記載され、すべての目的について参照することにより本願明細書にも全て織り込まれる。要約412には、好ましくは、医師が定義し、事前に設定した基準に基づき、詳細について後述するコンピュータ・プログラム112によって作成された文言のリストが含まれる。
【0040】
図5は、本発明に記載のコンピュータ・プログラム112によって、患者である使用者の出力装置504(例、表示装置)へ出力される、患者への報告500の一例を示す。患者への報告500は、出力装置114などのいかなる出力装置に出力してよい。患者への報告500は、最新の日付506、記録時間508、血糖結果510、及び患者の要約512についての記載位置を含む。患者の要約512には、医師が定義し、事前に設定された基準に基づき、コンピュータ・プログラム112によって作成された文言が含まれる。
【0041】
図6は、本発明に記載方法600を示すフローチャートの一例である。方法600は、好ましくは、始めに、ステップ610で、図1〜5に関して記述したように、コンピュータ・システム100を提供することを含む。提供されるシステムには、好ましくは、入力装置、処理装置、糖尿病管理と関連した情報を入力、処理、及び報告するための報告装置が含まれる。処理600の間、個々の生活様式に関連する事象及び血糖結果がコンピュータ・プログラム112へ統合される(例、アップロード又はアクセスされる)。次に、後述するように、コンピュータ・プログラム112は、医師が定義したパターン分析に対する分析及び例外の報告についての医師が定義した分析ルールと、専門家である使用者及び患者である使用者に対する報告ルールと組み合わせに基づいて情報を分析する。
【0042】
ステップ620及び630において、及び図2に記載のように、少なくとも1つの、患者に特異的で医師が定義したパターン分析ルールが定義され、システム100へプログラムされ、少なくとも1つの患者に特異的で医師が定義したルールを報告するための少なくとも1つの限界が、それぞれ設定される。医師は、好ましくは、例えば「過去X日間についての全体的な平均が、Y%目標を下回るか又は目標を上回るときに報告する」という表示の横のボックス240をチェックすることにより、特定の患者に適当な一以上のパターン分析ルールを選択する。ここで、Xは約1〜14日間の範囲でよく、Yは約10〜20%の範囲でよい。医師は、適切な日数を設定するために、日数入力ボックス242に隣接する上下の矢印をクリックし、前記パターン分析ルールのための適切な百分率を設定するために、百分率ボックス244に隣接する上下の矢印をクリックする。
【0043】
ステップ640で、及び図2に示されるように、少なくとも1つの患者に特異的で医師が定義したルールを起動ための少なくとも1つの特性は、医師によって設定される。医師は、好ましくは、影響210及び有意性218を、ステップ620において確立された各パターン分析ルールごとに選択する。影響210を設定するために、医師は、特定の患者である使用者の必要性に基づいて、「負」212又は「正」214の横のラジオボタンをクリックする。「有意性」218を設定するために、医師は、特定の患者である使用者の必要性に基づいて、「低」218及び「高」220の間でスライド目盛り上でタブ221をスライドさせる。
【0044】
ステップ650で、及び図3に示されるように、少なくとも1つの患者に特異的で医師が定義したルールを報告するための少なくとも1つの頻度は、好ましくは、医師によって設定される。医師は、例外が認められた際に報告ルールが起動する頻度を設定する。患者に特異的で、医師が定義したパターン分析ルールの例外が、患者である使用者へ報告される頻度を設定するため、医師は、例えば、「各D時間又はD日でZの負の例外の影響の最大値を報告する」表示の横の選択用ボックス316をチェックすることによって割合を選択する。ここで、Zは約0〜99の範囲でよく、Dは約0〜24時間の範囲であり得るか又は約0〜21日間の範囲でよい。医師は、ステップ620において確立されるパターン分析ルールに対する例外を報告するための適切な数値を設定するために、数値ボックス320に隣接する上下の矢印をクリックし、適切な時間を設定するために時間ボックス322に隣接する上下の矢印をクリックする。
【0045】
次に、ステップ660で、少なくとも1つの結果又は少なくとも1つの生活様式に関連した事象が、予測されるか又は記録されるとき、少なくとも1つの患者に特異的で、医師が定義したルールが起動する。コンピュータ・プログラム112は、好ましくは、例外及びそれらが報告されるかどうかを追跡する。そしてこれらの結果は、将来の例外のパターン分析を処理する際に利用できる。入力データが記録されるか又は予測されるとき、コンピュータ・プログラム112は、パターン分析ルールを分析し、どのパターン分析ルールに対する例外が発生したか決定する。パターン分析ルールが起動した場合、コンピュータ・プログラム112は、好ましくは、報告頻度に対する例外が発生したか決定する。
【0046】
次に、ステップ670で、コンピュータ・プログラム112は、好ましくは、例外に基づいたパターン分析報告を医師へ提供するか、又は、患者に対して計測システム上で、又は代わりの出力装置上で医師又は患者に対し助言を表示する。コンピュータ・プログラム112がパターン分析ルールに対する例外を決定し、報告する頻度条件を満たしたとき、コンピュータ・プログラム112は、好ましくは、患者である使用者のための計測システム504の表示装置502上に表示される患者の要約512を作成する。コンピュータ・プログラム112は、好ましくは、データ・ソース102からのデータが専門家である使用者が所有する処理部106へ転送されると、専門家である使用者のために、専門家のための報告400を作成する。
【0047】
前述のソフトウェア構成要素は、独立型のコンピュータ・プログラム112、又は例えばライフ・スキャン社(Life Scan Inc.)製のワン・タッチ(登録商標)糖尿病管理ソフトウェア(OneTouch Diabetes Management Software)などの既存のコンピュータ・プログラム112へと統合されるコンピュータ・モジュールを含んでよい。いずれかの形態において、コンピュータ・プログラム112によって、好ましくは、処理部106は、データ・ソース102からのデータを受容し、入力されるデータを保存し、メイン・コンピュータ・プログラム112及び医師が定義した管理に関する選択肢の組み合わせに関連した複数の関連機能拡張用ソフトウェアを用いて受容し保存したデータを処理し、及び患者である使用者と専門家である使用者の双方が閲覧できる文言を作成する。
【0048】
分析の基準及び報告の基準は、好ましくは、ROM、フラッシュメモリなどの不揮発性半導体記憶部品、あるいはハードディスク又はその類似物などの不揮発性記憶装置に保存され、それにより個々の基準は、専門家である使用者の必要に応じて付加され、削除され、又は変更することができる。各ユニットの機能は、ハードウェア及びコンピュータ・プログラム112が協調して作動することによって実現される。
【0049】
いくつかの態様を参照して本発明を記載した。本願明細書で記載した、いかなる特許又は特許出願に関するすべての開示を参照することにより、本願明細書により組み入れることができる。前述の詳細な記述及び種々の例は、理解を明確にするためのみのものである。それにより、不必要な制限があると理解してはならない。本発明の範囲から逸脱せずに記載される態様において、多くの変更を行ってもよいことは、当業者に自明であろう。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載される構造に制限されるべきではないが、特許請求の範囲に記載される構造及びそれらの構造の等価物によってのみ制限されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明による疾病管理システムを示す概略図の一例である。
【図2】本発明に係る、コンピュータにより実行される方法におけるパターン分析のための設定を提供するために、使用者とインターフェイスをとるためのダイアログ・ウインドウ(対話表示窓)の概略図の一例である。
【図3】本発明に係る、コンピュータにより実行される方法における報告頻度のための設定を提供するために、使用者とインターフェイスをとるためのダイアログ・ウインドウ(対話表示窓)の概略図の一例である。
【図4】本発明に係る、コンピュータにより実行される方法における専門家用出力装置に送信されうる出力の概略図の一例である。
【図5】本発明に係る、コンピュータにより実行される方法における患者用出力装置に送信されうる出力の概略図の一例である。
【図6】本発明による方法の各ステップにおける手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
100 本発明に記載の例外に基づいたパターン分析及び例外に基づいた報告のためのコンピュータ・プログラム112を実行する典型的なシステム
102 データ・ソース
104 通信リンク
106 処理部
108 データ入力装置108
110 表示装置
114 出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者個人の症状に合わせた疾病管理方法であって、
a)ルール・パラメータを含む例外に基づいたパターン分析ルール、及び前記ルール・パラメータに基づいた報告の起動を含む例外に基づいた報告ルールを定義するステップと、
b)少なくとも一つの患者の疾病管理特性を決定するステップと、
c)前記少なくとも一つの患者の疾病管理特性に基づき前記ルール・パラメータを調節することにより、前記パターン分析ルールをカスタマイズするステップと、
d)少なくとも一つの患者の疾病管理特性に基づく前記報告の起動を調節することにより、前記報告ルールをカスタマイズするステップと、を含む疾病管理方法。
【請求項2】
前記少なくとも一つの患者の疾病管理特性を決定するステップが、医師による患者の評価を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
複数のパターン分析ルールを定義することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記パターン分析ルールが、検査周期、データ入力周期、投薬周期、報告周期及び報告内容の少なくとも一つにより少なくとも部分的に定義される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記パターン分析ルールの前記ルール・パラメータが、影響パラメータ及び有意性パラメータの少なくとも一つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも一つの患者の疾病管理特性が、インスリン受容性、血圧、血糖、体重、コレステロールレベル及びグリコシル化されたヘモグロビンレベルの少なくとも一つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも一つの患者の疾病管理特性が、心理的特性を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記心理的特性が、食事の嗜好、ストレスレベル、活動のレベル、検査に対する自発性、フィードバックに対する応答性、記録保存の自発性、治療計画の維持能力の少なくとも一つを含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
患者個人の症状に合わせた疾病管理方法用の、例外に基づいたパターン分析及び例外に基づいた報告をコンピュータ上で実行する方法であって、
a)少なくとも一つの患者に特異で且つ医師が定義したルールを定義するステップと、
b)少なくとも一つの前記患者に特異で且つ医師が定義したルールに対する例外を定義する少なくとも一つのパラメータを設定するステップと、
c)前記少なくとも一つの患者に特異で且つ医師が定義したルールに対する例外の報告の起動を少なくとも設定するステップと、
d)医師により規定された頻度で、少なくとも一つの医師により作成された助言を提供するステップと、を含む方法。
【請求項10】
例外に基づいたデータを保管し、例外に基づいた報告を作成することをさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
例外に基づいたデータが、血糖値測定システム、ウエブ上のプログラム及びコンピュータ上のプログラムの少なくとも一つに保管され、得られる、請求項10記載の方法。
【請求項12】
少なくとも一つの報告の、患者に特異で且つ医師が定義した基準の少なくとも一つの起動が、起動に至る事象の影響、及び患者に対する前記起動に至る事象の影響の重大性を含む、請求項9記載の方法。
【請求項13】
起動に至る事象の影響が正又は負である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
起動に至る事象の重大性が低い又は高い、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記医師により規定された頻度が、起動に至る事象の影響、前記起動に至る事象の影響の重大性、及び前記起動に至る事象の報告の反復性に基づいて起動に至る事象を報告する少なくとも一つの閾値を含む、請求項9記載の方法。
【請求項16】
患者個人の症状に合わせた疾病管理システムであって、
データ・ソース、処理装置及び記憶装置と、
少なくとも一つの患者の疾病管理特性に応じてカスタマイズ可能な複数の疾病管理パラメータを含むプログラム命令であって、前記データ・ソースから例外に基づくデータを獲得し、前記データ・ソースから少なくとも一つの患者に特異で且つ医師が定義したルールを獲得し、少なくとも一つの患者に特異で且つ医師が定義したルールを発動するための少なくとも一つの特性の設定を提供するプログラム命令と、を含むシステム。
【請求項17】
前記データ・ソースが、血糖測定システム、携帯情報端末、携帯電話、ウエブ上のプログラム及びコンピュータ上のプログラムの少なくとも一つである、請求項16記載のシステム。
【請求項18】
前記プログラム命令が、少なくとも一つの患者に特異で且つ医師が定義したルールを報告するための少なくとも一つの制限を設定する、請求項16記載のシステム。
【請求項19】
前記プログラム命令が、少なくとも一つの結果が予測されるとき、少なくとも一つの患者に特異で且つ医師が定義したルールを起動する、請求項16記載のシステム。
【請求項20】
前記プログラム命令が、医師が作成した少なくとも一つの助言を医師が定義した頻度で提供する、請求項16記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−317196(P2007−317196A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−136201(P2007−136201)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(596159500)ライフスキャン・インコーポレイテッド (100)
【氏名又は名称原語表記】Lifescan,Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 Gibraltar Drive,Milpitas,California 95035,United States of America
【Fターム(参考)】