説明

個別導体にプラスチック材料を塗布する方法及び該個別導体から製造されたHTS複合体

本発明は、レーベル導体の形式を有する高温超伝導(HTS)複合体の少なくとも1つの個別導体(10)にプラスチック材料を塗布する方法に関する。更に、この方法で製作される高温超伝導(HTS)複合体が記載されている。少なくとも1つの個別導体(10)は、少なくとも1つの支持体(11)と少なくとも1つの超伝導層とを備えている。前記個別導体に粒子(12)が塗布される(2,6)。これに引き続いて、熱処理(3,7,8)が行なわれ、その結果、前記粒子(12)の部分的又は全面的な溶融が起こり、冷却後に前記個別導体(10)の上にプラスチック材料層(13)が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーベル(Roebel)導体の形式を有する高温超伝導(HTS)複合体の少なくとも1つの個別導体にプラスチック材料(Kunststoff)を塗布する方法及びこの方法で製造された高温超伝導(HTS)複合体に関し、ここで、前記少なくとも1つの個別導体は、少なくとも1つの支持体と少なくとも1つの超伝導層とを備えている。
【背景技術】
【0002】
レーベル導体は、しばしば、エネルギー工学で利用されている。何故なら、個々の電気導体の相互の「交差」ないし「交錯」が、レーベル導体全体に通電されたときの低い電気損失につながるからである。一連の用途において、レーベル導体は、交番する磁界に曝される。このとき、個々の電気導体において、結合電流が誘導され、これが、いわゆるAC損失を生じさせる。個々の電気導体を相互に絶縁することによって、結合電流を防止することができる。
【0003】
例えば銅やアルミニウムでできている従来のレーベル複合導体においては、通常、絶縁のために従来の絶縁塗料が用いられる。従来のレーベル複合導体の絶縁方法を、レーベル導体の形式を有する高温超伝導(HTS)複合体に転用することは、限定的にしか可能ではなく、ないしは不可能である。第1に、高温超伝導(HTS)複合体は、通常、個々の電気導体を帯材の形態で備えており、これらの帯材は、高いアスペクト比を有している。例えば、Bi−クプラート(cuprat)−HTS帯材における、典型的なアスペクト比、即ち、厚さに対する幅、は、10よりも大きいかこれに等しく、YBCO(イットリウム・バリウム・酸化銅)帯材では、20よりも大きいかこれに等しい。そのため、従来の絶縁塗料では、「エッジの膜厚減少」や「ドッグボーン形成」が生じ、帯材の外周に亘って絶縁壁厚が著しく不均一になる。
【0004】
第2に、絶縁材料は、110°Kを下回る温度で、脆くなったり砕けたりすることなく適用可能でなければならない。典型的なHTS材料は、110°Kを下回る温度になって初めて転移温度、即ち、超伝導性、を示す。こうした低い温度で脆くならず、又は機械的な統合性を失わないのは、高価値なプラスチック材料だけである。従って、絶縁のためには、高価値なプラスチック材料しか使用することができない。
【0005】
更に留意すべきは、絶縁壁厚が、臨界電流ないし動作電流を導体断面積で割ったもの、いわゆるエンジニアリング電流密度、を低減させることである。従って、小さい壁厚が好ましい。従来の塗料絶縁では、エッジの膜厚減少が生じるために、壁厚を限定的にしか最小化することができない。
【0006】
レーベル個別導体のS字型の転位ゾーンでは、S字型の形成前における絶縁は、絶縁体が弾性を有している場合にのみ可能である。高温超伝導体は、通常、セラミック素材で構成されており、即ち、高温超伝導体は脆い。高温超電導体を破断させずに塑性屈曲させることができる場合−例えばBi−クプラート−HTS帯材の場合がそうなのだが−に限り、S字ゾーンの形成前に絶縁を行なうことができる。YBCO高温超伝導体の場合には、幅の広い帯材から個別導体を打抜くことによって、S字ゾーンを形成せざるを得ない。絶縁は、打抜きの後で初めて有意義となる。
【0007】
絶縁の1つの簡単な手法は、レーベル個別導体に、粘着性のカプトンテープを、一重又は二重に巻きつけることである。カプトンテープ自体は、通常、13μmよりも大きい範囲内の厚さを有している。接着剤層と所要の重なり合いとによって、個別導体のそれぞれの側で、巻きつけによって、30μmを超える厚さの増加が生じる。カプトンテープ巻きつけ技法は、個別導体の、特に個別導体相互間の、滑り性の低下につながる。このことは、個別導体が組み合わされてなる複合導体の柔軟性ないし可撓性の低下をもたらす。巻きつけ技法は、既に形成済みのS字ゾーン形態を有する個別導体には、適用できない。
【0008】
別の絶縁手法が、ポリアミドをベースとして可能である。この場合、所要の重なり合いは、絶縁によって、個別導体のそれぞれの側で、50μmを超える厚さ増大につながる。
【0009】
別法として、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)をチューブ形状に共押出成形することによって、絶縁を行なうことができる。このことは、例えば特許文献1によって公知である。この手法により、HTS帯材の細長い側辺にわたっても、個別導体の均一な絶縁が実現される。それぞれの側の厚さ増大は20〜40μmである。この技法は、BiクプラートをベースとするHTS−レーベル複合導体でも実証されている。しかしながら、この技術は、S字ゾーン形成が絶縁前に既に行なわれている、YBCO材料をベースとするHTS−レーベル複合導体の絶縁には適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第12730151B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
レーベル導体の形式を有する高温超伝導(HTS)複合体の少なくとも1つの個別導体にプラスチック材料を塗布する本発明の方法の課題は、均一で非常に薄い絶縁層の形成を可能にする、個別導体を絶縁する簡単な手法を提供することにある。特に、本発明の方法の課題は、絶縁体が塗布されたときに、個別導体の超伝導性を改善し又は少なくとも損なわず若しくは僅かしか損なわない手法を提供することにある。更に別の課題は、組み合わされたときに可撓で柔軟な複合体導体を与える個別導体を、絶縁する方法を提供することにある。レーベル導体の形式による本発明の高温超伝導(HTS)複合体の課題は、低い温度でも、特に個別導体の絶縁の観点から、機械的な統合性を維持する、安定で機械的に柔軟な伝導性の複合導体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の課題は、レーベル導体の形式を有する高温超伝導(HTS)複合体の少なくとも1つの個別導体にプラスチック材料を塗布する方法に関しては、請求項1の特徴によって達成され、上述の方法によって製造されるレーベル導体の形式を有する高温超伝導(HTS)複合体に関しては、請求項12の特徴によって達成される。
【0013】
レーベル導体の形式を有する高温超伝導(HTS)複合体の少なくとも1つの個別導体に、プラスチック材料を塗布する本発明の方法の有利な実施形態及び高温超伝導(HTS)複合体の有利な実施形態は、それぞれ付属の従属請求項から明らかとなる。このとき、主請求項の特徴を従属請求項の特徴と組み合わせ及び/又は従属請求項の特徴を相互に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】高温超伝導(HTS)複合体の個別導体を、粒子で、プラスチックコーティングするためのプロセスのフローチャートである。
【図2】個別導体を、粒子で、プラスチックコーティングするための分散プロセスのフローチャートである。
【図3】図1の方法によって粒子でコーティングされた個別導体の、溶融焼きなましのプロセスステップ前の図である。
【図4】図1の方法によって粒子でコーティングされた個別導体の、溶融焼きなましのプロセスステップ後の図である。
【図5】図2の方法によって粒子でコーティングされた個別導体の、乾燥焼きなましのプロセスステップ前の図である。
【図6】図2の方法によって粒子でコーティングされた個別導体の、乾燥焼きなましのプロセスステップ後の図である。
【図7】図2の方法によって粒子でコーティングされた個別導体の、溶融焼きなましのプロセスステップ後の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
レーベル導体の形式を有する高温超伝導(HTS)複合体の少なくとも1つの個別導体にプラスチック材料を塗布する本発明の方法においては、少なくとも1つの個別導体は、少なくとも1つの支持体と少なくとも1つの超伝導層とを備えている。少なくとも1つの個別導体に粒子が塗布され、引き続いて熱処理が行なわれる。
【0016】
粒子の塗布とこれに続く熱処理の結果、少なくとも1つの個別導体上の電気絶縁プラスチック材料層が形成される。それと同時に、熱処理によって超伝導層の超伝導性が改善される。個別導体の少なくとも1つの支持体に対する超伝導層の付着性が、熱処理によって改善される。低い温度でも機械的に安定な平滑で脆くない絶縁層が、少なくとも1つの支持体及び少なくとも1つの超伝導層の上に形成される。
【0017】
粒子は、熱スプレー及び/又は分散法及び/又は静電的な相互作用に基づく方法によって、塗布することができる。
【0018】
熱処理は、100℃から500℃の温度範囲で、特に120℃から430℃の温度範囲で、実施することができる。このような温度で粒子が溶融し、これに続く冷却時に相互に機械的に結合し、且つ、少なくとも1つの支持体及び/又は少なくとも1つの超伝導層と安定的に結合する。上述の温度範囲では、少なくとも1つの超伝導層の焼なましが行なわれ、それによって、超伝導層の結晶構造が改善され、それに伴って低い温度での超伝導性が改善されるばかりでなく、支持体に対する超伝導層の付着性も改善される。
【0019】
少なくとも1つの個別導体には、実質的に、10μmよりも小さい範囲内の直径を有する粒子を塗布することができる。それにより、20μmよりも小さい範囲内の厚さを有するプラスチック材料層を形成することができる。
【0020】
粒子は、部分的又は全面的に、熱可塑性プラスチック材料、特にPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)材料若しくはPEEEK材料若しくはPEEKEK材料若しくはPEKK材料、から構成することができ、又は、これらを含んでなることができ、又は、これらから部分的又は全面的に成り立っていてよい。これらの材料は、低い温度で、特に超伝導装置の動作温度でないときに、絶縁の脆化を引き起こさない。このような材料は、電気絶縁性であり、時間的にも機械的にも安定している。これらの材料は、良好な滑り性を有する平滑な表面を形成することができる。その溶融温度は、300℃から500℃の範囲内であり、従って、上述した熱処理の温度範囲内にある。
【0021】
熱処理に際して、支持媒体をプラスチック材料から取り除くことができる。そのようにして、特にプラスチック材料層を塗布するための拡散法の場合、その中に粒子を分散体として含有している支持媒体を、熱処理の際に蒸発ないし気化させることができる。支持媒体が蒸発した後に、機械的に安定な平滑な絶縁層が形成される。
【0022】
熱処理の際に、粒子は、溶融させて相互に結合させ及び/又は少なくとも1つの個別導体と機械的に安定的に結合させられる。これにより、個別導体への絶縁層の良好な付着が可能になるとともに、平滑で、多孔性ではない機械的に安定な層の形成が可能になる。
【0023】
熱処理の際に、高温超伝導(HTS)複合体の超伝導性が改善され、且つ、少なくとも1つの超伝導層の支持体への付着が改善される。超伝導材料の焼なましは、広い範囲に亘る結晶構造の形成を可能にし、これにより、超伝導層の特に単結晶の結晶構造における亀裂や破断が低減されないし無くなる。高い温度で、超伝導材料と、支持体の材料ないし支持基材上の緩衝層との、機械的に安定な結合が起きる。個別導体の超伝導層の特性の改善の結果、高温超伝導(HTS)複合体の特性が改善される。
【0024】
プラスチック材料は、少なくとも1つの個別導体の上に、実質的に平滑な、及び/又は、電気絶縁性の、及び/又は、可撓性の、及び/又は、実質的に摺動可能な、表面を形成することができる。個別導体表面のこのような特性により、個別導体から、良好な超伝導性と低い温度で長時間に亘って安定な機械的特性とを有する、機械的に安定な柔軟な高温超伝導(HTS)複合体が生成する。
【0025】
少なくとも1つの個別導体へのプラスチック材料の塗布は、個別導体の賦形前に、特に個別導体のS字型への成形前に及び/又は特に打抜きによる賦形前に、行なうことができる。
【0026】
別法として、少なくとも1つの個別導体へのプラスチック材料の塗布は、個別導体の賦形後に、特に個別導体のS字型への成形後に及び/又は特に打抜きによる賦形後に、行なうことができる。
【0027】
上述の方法で製造された、レーベル導体の形式による本発明の高温超伝導(HTS)複合体は、複数の個別導体が組み合わされてできている。これらの個別導体は、少なくとも1つの支持体と、少なくとも1つの超伝導層と、少なくとも1つの支持体上に及び/又は少なくとも1つの超伝導層の上に形成されたプラスチック材料層とを、それぞれ備えている。個別導体は、レーベル導体が形成され、隣接して連続する個別導体がそれぞれの端部で接触領域を介して電気的に接触し、個別導体表面の残りの領域がそれぞれプラスチック材料層で被覆されて隣接する個別導体から電気的に絶縁されるように、互いに組み合わされる。
【0028】
個別導体のプラスチック材料層は、10μmよりも小さい範囲内の最大厚さを有することができる。それにより、高い「エンジニアリング電流強さ」、即ち、高い臨界電流が可能となる。従来の塗料絶縁で発生するようなエッジの膜厚減少は生じないか、ないしは、その程度が低減される。プラスチック材料層は、超伝導層の転移温度を下回る温度でも使用可能であるので、即ち、そのような温度でも脆くならず、個別導体相互の摺動を可能にするので、それによって、高温超伝導(HTS)複合体は、可撓性であり且つ柔軟である。
【0029】
上述の方法で製造される、レーベル導体の形式による本発明の高温超伝導(HTS)複合体について、レーベル導体の形式を有する高温超伝導(HTS)複合体の少なくとも1つの個別導体にプラスチック材料層を塗布する本発明の方法が組み合わされた上述の利点が得られる。
【0030】
次に、本発明の好ましい実施形態を従属請求項の特徴に基づく好ましい発展例と共に、以下の図面を参照しながら、より詳しく説明するが、これに限定をするものではない。
【0031】
図1には、プラスチック材料12からなる「乾燥した」粒子で、個別導体10を、粒子コーティングするためのプロセス略図1が示されている。これに対応して、図3と図4には、個々のプロセスステップ後の個別導体10が図示されている。個別導体10は、少なくとも1つの超伝導層を有する支持体11を備えている。支持体は、例えば鋼材で、できている。層は、例えばYBCO材料で、構成されていてよく、支持体11の1つ又は複数の側の表面の薄いコーティングとして形成されていてよい。超伝導層の付着性を改善するために、支持体11の表面とその上にある超伝導層との間に、1つ又は複数の緩衝層が配置されていてもよい。
【0032】
図1に示す方法において、個別導体10をプラスチック材料でコーティングするための粒子12は、第1のステップで、静電塗装によって又は粉体塗装によって、個別導体10に塗布される。引き続き、コーティングされた個別導体10に、連続加熱炉の中で、熱処理3、例えば430℃の温度における、いわゆる溶融焼なまし、が施される。これによって、粒子12は、その表面で又は全面的に、溶融して、隣接する粒子12と及び/又は個別導体10の表面と、結合する。方法1のこれに続くステップにおいて、コーティングされた個別導体10は、例えば圧縮空気区間4によって、周囲温度まで冷却される。
【0033】
方法1の結果、例えば図4に示すように、プラスチック材料でコーティングされた個別導体10が得られる。プラスチック材料層13は、支持体11及び/又は超伝導層を全面的に取り囲んでもよく、或いは図4に示すように、支持体11又は超伝導層の特定の領域だけを覆ってもよい。
【0034】
個別導体10をコーティングする代替方法5が、図2に示されている。図5、図6及び図7には、方法5の様々なプロセスステップの後の個別導体10が図示されている。図1の方法と同様に、図2に示す方法の出発点としての役目をするのは、超伝導層、及び、支持体11と超伝導層との間に配置されていてもよい1つ又は複数の緩衝層を有する支持体11である。
【0035】
支持体11及び/又は、図3から図7では明瞭化のために図示しない、超伝導層の上に、プラスチック材料からなる粒子12と支持媒体14とを含有してなる分散体6が塗布される。分散体6の塗布は、スプレーノズルを用いて又は直接的なノズル塗布によって、行なうことができる。これに続くプロセスステップでは、コーティングされた個別導体10に、例えば連続加熱炉の中において約120℃で乾燥焼なまし7が、施される。この結果、図6に示すように、粒子12の支持媒体14が蒸発し、粒子12が、実質的に「乾燥した」状態で、超伝導層を有する支持体11の上に存在する。これに続くプロセスステップでは、図1に示すプロセスと同様に、溶融焼なまし8が、120℃から430℃の範囲内の温度で行なわれる。これによって、粒子12は、部分的又は全面的に溶融して相互に結合し、及び/又は個別導体10の表面、即ち支持体11の表面、と及び/又は超伝導層の表面と、結合する。次いで、個別導体10を圧縮空気区間9で周囲温度まで冷却することができる。これにより、プラスチック材料から成る、閉じた層又は開いた層13が、超伝導層を備える支持体11の上に、形成され、その様子は、図7に示されている。
【0036】
図1又は図2の方法に基づく粒子12によるコーティング後に、複数の個別導体10を使用して、レーベル導体の形式を有する高温超伝導(HTS)複合体を製作することができる。このとき、個別導体10は、コーティング前にS字型にされ、又は、コーティング後にコーティングされた帯材からS字型に打ち抜かれ、又は、レーザ加工により切り抜かれる。コーティングされた個別導体10は、「交差された」導体構造、いわゆるレーベル導体、を得るために、互いに組み合わされる。個別導体10は、端部では、部分的にのみコーティングされるか又はコーティングされておらず、これは、相前後して配置された個別導体相互の電気接触を可能にするためである。相前後して配置されていない隣接する個別導体10は、プラスチック材料層13により、相互に電気絶縁される。
【0037】
プラスチック材料層13の材料としては、PEEKを使用することができる。しかしながら、各プロセスで適用される温度に依存して、これ以外の材料も使用することができる。
【符号の説明】
【0038】
10 個別導体
11 支持体
12 粒子
13 プラスチック材料層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーベル導体の形式を有する高温超伝導(HTS)複合体の、少なくとも1つの支持体(11)と少なくとも1つの超伝導層とを備える、少なくとも1つの個別導体(10)に、プラスチック材料(1,5)を塗布する方法であって、前記少なくとも1つの個別導体(10)に粒子(12)が塗布され(2,6)、次いで、熱処理(3,7,8)が行なわれることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記粒子(12)が、熱スプレー及び/又は分散法(6)及び/又は静電的相互作用に基づく方法(2)によって、塗布されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱処理(3,7,8)が、100℃から500℃の温度範囲で、特に120℃から430℃の温度範囲で、実施されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの個別導体(10)に、10μmよりも小さい範囲内の直径を有する粒子(12)が、実質的に、塗布され、及び/又は、塗布された前記粒子によって20μmよりも小さい範囲内の厚さを有するプラスチック材料層(13)が形成されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記粒子(12)が、部分的又は全面的に、熱可塑性プラスチック材料で、特にPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)材料又はPEEEK材料又はPEEKEK材料又はPEKK材料で、構成されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記熱処理(7)の際に、支持媒体が前記プラスチック材料から取り除かれることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記熱処理(3,8)の際に、前記粒子が溶融して相互に結合し、及び/又は、前記少なくとも1つの個別導体と機械的に安定的に結合することを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記熱処理(3,7,8)により、前記高温超伝導(HTS)複合体の超伝導性が改善され、及び/又は、前記支持体(11)に対する前記少なくとも1つの超伝導層の付着性が改善されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記プラスチック材料が、前記少なくとも1つの個別導体(10)の上に、実質的に平滑な、及び/又は電気絶縁性の、及び/又は可撓の、及び/又は、実質的に摺動可能な、表面を形成することを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの個別導体への前記プラスチック材料(2,6)の塗布が、前記個別導体(10)の賦形前に、特に前記個別導体(10)のS字型への成形前に及び/又は特に打抜きによる賦形前に、行なわれることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの個別導体への前記プラスチック材料(2,6)の塗布が、前記個別導体の賦形後に、特に前記個別導体のS字型への成形後に及び/又は特に打抜きによる成形後に、行なわれることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の方法で製作されたレーベル導体の形式を有する高温超伝導(HTS)複合体であって、前記高温超伝導(HTS)複合体が複数の個別導体(10)が組み合わされて構成されており、これらの個別導体が、それぞれ、少なくとも1つの支持体(11)と、少なくとも1つの超伝導層と、少なくとも1つの前記支持体(11)及び/又は少なくとも1つの前記超伝導層の上に形成されたプラスチック材料層(13)とを、備えており、前記個別導体(10)が、レーベル導体が形成され、隣接して連続する前記個別導体(10)がそれぞれの端部で接触領域を介して電気的に接触し、前記個別導体(10)の表面の残りの領域がそれぞれ前記プラスチック材料層(13)で被覆されて隣接する前記個別導体(10)から電気的に絶縁されるように、互いに組み合わされていることを特徴とする高温超伝導(HTS)複合体。
【請求項13】
個別導体(10)の前記プラスチック材料層(13)が、それぞれ、10μmよりも小さい範囲内の最大厚さを有していることを特徴とする、請求項12に記載の高温超伝導(HTS)複合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−506947(P2013−506947A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531412(P2012−531412)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064473
【国際公開番号】WO2011/039265
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】