説明

偏光レンズまたはホトクロミズムレンズを形成する方法

【課題】 異なる熱可塑性プラスチックと熱硬化性プラスチックを結合した界面を安定させる偏光レンズまたはホトクロミズムレンズを形成する方法を提供する。
【解決手段】 偏光膜を提供するステップaと、第一表面および第二表面の上に電極を塗布するステップbと、ステップbの材料の両面に接着剤を塗布して乾燥させるステップcと、熱可塑性プラスチック材料のレンズを提供するステップdと、ステップcで形成した部分とステップdで形成した部分との間の前側に接着剤と電極を提供するステップeと、接着剤を熟成させるステップfと、熱硬性単量体と前側ガラスモールドを提供するステップgと、重合するステップhと、ステップgにおける熱硬性材料とステップdにおける熱可塑性プラスチック材料のレンズを結合し、偏光またはホトクロミズムのポリ炭酸エステルレンズを形成するステップiとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性と熱可塑性材料を結合してポリ炭酸エステル偏光レンズまたはホトクロミズム光学レンズを形成する方法に関し、詳しく言えば、プラスチック材料の表面処理により結合効果を高める方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光が垂直方向と水平方向との波長を混合するのに対し、一般の偏光レンズは、垂直方向の波長の光または水平方向の波長の光を選択して透過させることにより、ほかの波長を遮蔽するものである。したがって、水面またはコンクリートの道路または金属物からの眩しい光線または反射は、偏光レンズの遮断により明らかに低減するようになる。偏光効果を持たないサングラスのレンズは、光の透過量を減少させることはできるが、垂直方向または水平方向の波長を濾過する機能がないため、眩しい光線を低減させることはできない。
【0003】
従来のプラスチック偏光レンズは、以下の方法により製造されるものである。第一の方法は、平坦な偏光膜をポリエチレン基アルコールPVAに浸漬し、トリアセテート繊維素およびポリ炭酸エステルのどちらか一方或いは両方を添加するか、または、いずれも添加せず、そののち、所要の形状および大きさに裁断し、弧度を形成する。この方法の長所は、製造が容易で、コストが低いことである。欠点は、形成される光学的弧度があまり安定せず、レンズに傷が付き易く、度の調整付きレンズが製造できず、かつ材質の高吸水性のせいで短期間内に惑光阻止効果を劣化させることである。
【0004】
第二の方法は、サンドイッチ法と称され、二枚のレンズの間に偏光膜を挟み、圧延する方法である。この方法の長所は、度の調整付きレンズを製造でき、表面に比較的硬いコーティングの形成を可能にすることである。欠点は、圧延する過程で空気が吸い込まれやすいため、泡が発生し易くなり、レンズが使用中に剥離する恐れがあることである。
【0005】
第三の方法は、平坦な形状または弧形のPVA膜をアクリルまたはポリ炭酸エステルと射出成形機において混合することによって形成するか、熱硬化性単量体の重合により形成する方法である。この方法の長所は、製造が容易であり、度付きレンズが製造できることである。欠点は、この方法により製造されるレンズは傷が付きやすく、かつレンズの高吸水性のせいで短期間内に惑光阻止効果が劣化しやすいことであり、また、生産コストが比較的に低いのに対して設備にかかるコストがかなり高いことである。ポリ炭酸エステルは、材質の応力およびねじれがアクリルに近似している。PVA膜は、内部層が分離し易い。レンズ内のPVA膜の湾曲には、異なる配置と弧度変化が様々ある。前述の直接型作りまたは鋳造の方法は、挿入した偏光膜に不安定な状態を呈させ、かつ視覚上の光波を反射させることがある。
【0006】
また、最近、市販のプラスチック偏光膜は満足するような防熱防水効果を持たない。この点は、暫く使用した後、惑光防止効果を劣化させる原因となる。それは、偏光膜が比較的厚いプラスチックレンズに保護されないか、それから独立しないからである。かつ無機ガラスから形成されるレンズに比べて、これらの従来のプラスッチク偏光レンズは、摩損に耐えられる硬度および抵抗性に比較的劣っている。
【0007】
二種類の脂肪類材質(熱可塑性と熱硬化性)の混合によりレンズを形成することを可能にするだけでなく、レンズの両面に比較的に硬くて良いコーティング層を有する方法は研究の価値がある課題であるとされる。
【0008】
従来のポリ炭酸エステルのホトクロミズムレンズは、有機ホトクロミズム染料により塗布されるポリ炭酸エステル材質から形成されるか、ホトクロミズム染料を前表面レンズに浸透させるという浸入法により形成されるものである。光線がレンズを透過するのに伴って紫外線の曝露が発生し、紫外線の曝露量が高ければ高いほど、遮蔽された光透過の量が少なくなると考えられる。
【0009】
熱可塑性材質を重合すること、例えば、レンズの度付きの部分に使用されるポリ炭酸エステルの熱可塑性プラスチックと熱硬性材質から偏光膜とホトクロミズム単量体を形成することは、一つの挑戦だと考えられる。それは、従来の重合と型作りの製造方法において、高温が必要となるが、高温はホトクロミズム染料の触媒作用を破壊するからである。現今、SOLA International社の製品またはEssilor, Younger Optice,Shamir社の製品などの市販のホトクロミズムポリ炭酸エステルのレンズは、殆ど浸入法により製造されるものである。
【0010】
熱硬性材料から形成されるホトクロミズムレンズを製造し、かつポリ炭酸エステルとの結合により光学的ホトクロミズム機能を保持できる方法が求められる。
熱硬性材料とポリ炭酸エステルの結合により形成することを可能にすると同時にホトクロミズム機能を保持可能であるレンズは、もっとも必要であるとされる。そして、ホトクロミズム単量体をポリ炭酸エステルのレンズの中に結合することにより、ポリ炭酸エステルの重合によるホトクロミズム偏光レンズと同じように内部の応力が極めて少なく、光学品質が高いポリ炭酸エステルレンズを形成する方法も、偏光ポリ炭酸エステルの光学レンズに近似するものを製造する方法も必要であるとされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、異なる熱可塑性プラスチックと熱硬化性プラスチックを結合した界面を安定させる表面処理方法を提供することにある。広汎に言えば、加熱後の化学単量体はプラスチック材料とポリ炭酸エステルレンズの交互連結を強化可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明により提供される偏光光学レンズまたはホトクロミズム光学レンズの製造方法は、第一表面および第二表面を有するPVA膜を提供するステップと、第一表面および第二表面の上に電子電荷を分布させるステップと、第一表面および第二表面の上に接着剤を塗布して乾燥させるステップと、第一表面および第二表面を有する熱可塑性プラスチック材料を提供するステップと、熱可塑性プラスチック材料の一つの表面の上に電子電荷を分布させるステップと、熱硬性単量体を提供して重合するステップと、熱可塑性材料と前述のPVA膜を結合し、ポリ炭酸エステルのホトクロミズムレンズを形成するステップとを含む。
【0013】
また、本発明により提供されるプラスチック偏光レンズの製造方法は、放電装置により基礎表面を処理すると同時に、特別な処理方法によりコーティングおよび熟成の作業を進めるように放電し、並びにPVA偏光膜の表面を塗布処理し、そして、光化学技術によりPVA偏光フィルムを形成するステップと、PVA偏光フィルムとポリ炭酸エステルレンズの間に適当な接着剤を塗布し、そして、光化学技術によりレンズユニットを形成するステップと、PVA偏光フィルムをポリ炭酸エステルの前端の弧度に沿って均質に貼付けかつ安定させ、その実際の弧度によりもっとも重要な光学品質を提供するステップと、前述のレンズユニットを背面モールド1にして前ガラスモールド2に装着し、その二つのモールドの間に単量体を注入し、制御可能なプログラムにより単一固体ユニットに形成するまで加熱するステップと、重合単量体からPVA偏光フィルムの上に薄膜を形成することにより、ポリ炭酸エステル材質と同じような硬さを有し、偏光膜を保護するステップとを含む。厳密に言うと、熱硬性材質から形成されるものは、ただの前レンズだけでなく、保護層でもある。前述の単量体は、任意の材料でもよい。例えば、ホトクロミズム単量体によりホトクロミズムポリ炭酸エステルレンズまたはホトクロミズム偏光ポリ炭酸エステルレンズを形成可能である。また、ポリ炭酸エステルレンズの代わりにほかの種類のポリ炭酸エステルレンズを使用可能であるという説明は必要がないと考えられる。
【0014】
本発明は前述の方法により製造するレンズをも提供する。
射出成形によるレンズは、一般によく見かけられているレンズであって、高温および型作り過程における高圧のせいで高い内部応力が生じるとともに、光学的ねじれが生じ、特に、射出成形によるレンズが偏光である場合、内部応力が明らかに現れる。熱硬性プラスチックの結合に伴い、使用者がポリ炭酸エステルレンズではなく、熱硬性プラスチックレンズを見る場合、ポリ炭酸エステルレンズの内部応力が減少する。また、ほかの熱硬性プラスチック製のレンズは前側の厚さが0.05mmから1.2mmの間である。したがって、ポリ炭酸エステルレンズ(後側)のもっとも薄い厚さを少なくとも1.2mmに維持すれば、抗衝撃性を提供可能である。
【0015】
本発明では、ポリ炭酸エステルレンズにPVAフィルムを加え、背面ガラスモールド、例えば、レンズモールドセットIを形成する。従って、本方法は、前述の直接鋳造方法のように別の背面ガラスモールドが必要ない。
【0016】
また、本発明は、ポリ炭酸エステルレンズの表面浸入の方法の代わりに新しい方法を提供することで、ポリ炭酸エステルホトクロミズムレンズを形成するものである。
また、本発明は、単焦点レンズ、双焦点レンズ、複数焦点レンズ、漸進式レンズおよびその類似物などの設計が異なるレンズの製造方法をも提供する。
【0017】
本発明では、ステップの順を逆にし、前述の製造過程を進めてもよい。前レンズを使用して背面PVA偏光膜を結合することにより、レンズモールドセットIIのようなものを形成し、そして、ガラスモールドセットIの背面に重合単量体を注入する。特に、本方法は、任意の種類の偏光レンズまたはホトクロミズムレンズを有効に製造可能である。硬質コーティング層をポリ炭酸エステル偏光レンズの凹面および凸面両面に分布させるのが、一番好ましい。
本発明のもう一つの特徴および長所は、以下の具体的な実施例による詳細な記載を参考にすれば、明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施例において、偏光PVAフィルムがポリ炭酸エステルレンズ(後側)と重合レンズ(前側)に貼り付けられることを示す断面図である。
図2は、ポリ炭酸エステルの偏光レンズの断面図である。
【0019】
図3は、ポリ炭酸エステルのホトクロミズムレンズの断面図である。
図4は、ポリ炭酸エステルのホトクロミズムレンズと偏光レンズの断面図である。
図5は、硬質コーティング層を有するポリ炭酸エステルの偏光レンズの断面図である。
【0020】
図6は、本発明の標準実施例のプロセスである。
本発明では、熱可塑性プラスチック材料は重合する時に三度空間に配列する分子を有する化学単量体であれば一番好ましく、かつ重合物は明らかな柔軟性を持つものでもなく、加熱されると湾曲するものでもない。例えば、フタル酸ジアリル(diallyl phthalate)とアリルジグリコール(allyl diglycol)炭酸エステル(n=1.60)(例えば、CR−39は石油から抽出され、かつ重合を可能にする熱可塑性エステルの多脂肪族で、屈折率がn=1.499である)を含有するものにしてもよい。希釈された少量の前述のフタル酸ジアリル(diallyl phthalate、n=1.59)を使用してもよい。また、2.2*bis(4−methacryloxy diethoxy)フエニル)プロパン(n=1.55から1.56)にしてもよい。屈折率は、CR−39単量体を混合する量の百分率によって異なる。
【0021】
本発明に使用される熱可塑性材料は、長鎖(two dimensions)に配列するる分子を有し、かつ加熱されると、軟らかくなり、圧縮を可能にするようになる。これらは、一定の数量でもいいが、必ずしも同じポリ炭酸エステル構造でなくてもよく、例えば、アメリカ特許第6367930号により掲示されるBayer、General Electricなどの各社製のポリ炭酸エステルである。また、同極ポリ炭酸エステル、異極ポリ炭酸エステルおよびメチル基アクリル酸エステルなどの混合物またはその類似物などを使用してもよい。
【0022】
本発明に使用されるホトクロミズム材料は、熱可塑性ポリウレタン樹脂TPU(thermosetting resin polyurethane TPU)とホトクロミズム材料を混合する混合剤にしてもよい。例えば、spirooxazines、fulgides、fulgimides、naphthopyrans、mixturesまたはその類似製品などのホトクロミズム混合剤のいずれか一つでもよい。
本発明に使用される偏光膜は、周知の製造方法によるポリエチレン基アルコールで作るものが一番好ましい。
【0023】
接着剤は、周知の技術によりポリ炭酸エステルを結合する接着材料、例えば、Loctite社(アメリカ)製の接着剤#3103、#3201、#3211、#3301、#3311、#3321、#3341または#3381などのいずれでもよい。これらの接着剤は要素だと考えられ、特に、チキソトロピー接着剤が、紫外線または強い光線に曝露されれば、早く乾燥するようになり、且つたわみ性のある透明な接着剤に形成される。第一接着剤26と第二接着剤28に適用される材料は、良好な光学特性を持つ必要がある。つまり、光学的高透明度を有し、そして、日光に曝露されても黄色にならず、射出成形の際に、コントロールを失うことなく、たわみ性を有し、そして、固化の際に、最小の縮小性を有し、前述の材料に一致する必要があることが要求される。そのほかに接着剤として使用可能な材料は、アクリル類、エポキシ基樹脂類およびアミノギ酸エステル類などがある。例えば、Loctite FMD−207、FMD−338およびFMD−436と3311などのLoctite社製の全ての接着剤、Norland社製の光学接着剤型番号68およびSummers Laboratories社製の接着剤型番号SK−9などの接着剤の材料は、加熱処理または紫外線の照射処理により熟成させる必要がある。
【0024】
本発明により製造されるレンズは、周知の方法により表面にコーティング層を形成することで、硬度を改善することを採用してもよい。また、レンズは、周知の方法により抗反射層を塗布することで、光学的現象を改善することを採用してもよい。
【0025】
コロナ放電は、放電の一種であって、導体の表面または同じ伝導線の二つの導体の間に頻繁に発光し、電力により周囲環境をイオン化させることである。コロナ放電は、転換および形成される状態における自由電子集団の基本形式である。
【0026】
コロナ放電の過程では、プラスチックはコロナ放電の中に曝露され、通常、現場の空気(酸素)と環境圧力の下に置かれることで、表面が不平滑になり、そして、機械との連結によりプラスチック表面に反作用が生じる位置を提供可能であるため、表面の湿度および活性を増加させる。理論上の表面に用いて活性機能を増加させる材料は、カルボニル基、カルボキシル基、水素過酸化物、アセトアルデヒド、エーテル、脂肪またはカルボン酸族などの周知の接着剤である。
【0027】
ガラスモールドは、偏光膜の前側を形成する型であるため、ガラスモールドの設計により、単焦点レンズ、双焦点レンズ、漸進式レンズ、複数焦点レンズまたは混合式レンズなどの異なるレンズを形成可能である。ガラスモールドは、一般のガラスモールドメーカーに設計してもらってもよい。こられの形式のレンズのいずれも、本発明の方法により製造することが可能である。
【0028】
底層塗料は、ジエメチルエチルケトン(CH3COC25)混合物とイソシアン酸塩フエニル(S=P(O−CH2−NCO)364)とエチル基、酢酸塩またはクロルベンゼン混合物の混合物のいずれでもよい。CAS No.78−93−8を参考されたい。その一部の記載は、下記の通りである。「一種の混合物(重量の百分率)は60:1から65:1であり、60:1のA:Bで使用するのが一番好ましい。混合の動作は、温度が18℃から28℃の室内で完成させることが可能であり、湿度を30%から50%にし、5分間攪拌するのが比較的好ましい」。
【0029】
レンズが基本塗料の中に浸付される場合、取り出すスピードが速ければ速いほど、表面コーティング層の厚さが薄くなり、逆に取り出すスピードが遅ければ遅いほど、表面コーティング層の厚さが厚くなる。偏光器(大きさが10センチ前後)を全部取り出すには、浸付から溶液から取り出すまでの時間が120秒から180秒であれば、比較的好ましく、150秒前後が一番好ましい。
【0030】
それに対し、放電は、高電圧により生じるイオン団を表面に分布させて付着させるのが一番好ましいことである。例えば、コロナ放電による電子放電装置をポリ炭酸エステルレンズと偏光器の表面に3秒から5秒直接放電させ、また、他の実施例では、イオンガンを密閉室内で表面に直接放電させる。
【0031】
硬質コーティング層の溶液は、日本のTokuyama社製のTS−56、フランスのCouget光学会社グループ製のTitanまたはSkyward、韓国のLC社製のST11、日本のNRC社製の硬質コーティング層またはほかのこの分野に関連する周知の溶液などのいずれでもよい。
【0032】
製造のプロセスは下記の通りである。
1、初歩のステップ
a、電子電荷をPVA偏光膜の両側に分布させる。電子放電ユニットはTech Sale社販売のMultiDyneコロナ放電システムなどでもよい。放電距離は、コロナ放電のトップから底層までの5センチから15センチであり、状況に応じて放電距離が異なる。
【0033】
b、偏光膜を接着剤の中に浸付し、低温、低湿度および圧力の下で乾燥させ、図1に示すように、PVAフィルム3を形成する。
c、適当な状態でポリ炭酸エステルレンズ1の前側に電子電荷を分布させる。
【0034】
2、製造
a、底側にガラスモールドII6を上向きに装着し、そして、PVAフィルム3とともにモールド穴背部の弧度に沿って重ねる。PVAフィルム3の中央に接着材2を注入し、そののち、ポリ炭酸エステルレンズ1をPVAフィルム3の上に重ね、適当に押す。
【0035】
b、PVAフィルム、ポリ炭酸エステルレンズ1、ポリ炭酸エステルレンズ2、ポリ炭酸エステルレンズ3およびポリ炭酸エステルレンズ6を光化学反応のプロセスに移す。
c、光化学反応のプロセスが完了した後、さらにもっと強い光化学反応のプロセスを執行する。ガラスモールド6からレンズユニットを取り出せば、一セットの背面側端ユニット(モールドセットI)が完成する。
【0036】
d、前端に新しいガラスモールドII6を下向きに装着し、かつガラスモールドII6の背面側に接触しないようにする。
e、単量体4または単量体5をガラスモールドII6の背面側に注入する。
【0037】
f、モールドセットI前側をガラスモールドII6上に下向きに重ねる。
g、一セットにまとめられた全部のユニットをオーブンに移し、制御プログラムにより重合する。単量体(ホトクロミズム単量体を含む)は異なるプラスチック材料の間の主要な鎖結合を有するように適当に重合される。
【0038】
h、プログラムにより重合されたレンズを冷却させ、固体のレンズを形成する。
i、ポリ炭酸エステル偏光レンズまたはホトクロミズムレンズとガラスモールドII6を分離すると、ポリ炭酸エステル偏光レンズまたはホトクロミズムレンズが完成する。
【0039】
j、周知の技術による硬質コーティング層をポリ炭酸エステル偏光レンズの一側または両側に形成する。それによって、レンズの傷付き防止にあたる硬度を増加させ、レンズの透明度を保持し、使用寿命を延ばすことが可能である。
【0040】
k、周知の技術による惑光防止コーティング層をポリ炭酸エステル偏光レンズの一側または両側に形成する。惑光防止コーティング層は光の透過性を増加させ、レンズからの惑光と反射光を減少させ、使用者に快適な視覚効果を提供することが可能である。
【0041】
全ての論理にも拘わらず、接着剤の反応に伴い、アミノギ酸エステルが生じ、PVA膜がポリ炭酸エステル単量体に付着する。塗装溶液に含まれるイソシアン酸塩の作用により、加熱されて紫外線に曝露されて重合された後のPVAとポリ炭酸エステルを一致させ、例えば、一種の接着材ではなく、塗装単量体を形成する。
【0042】
長所は下記の通りである。
本発明によるポリ炭酸エステル偏光レンズは、視覚上の品質を改善でき、内部応力が比較的少なく、鋳造に使用するガラス背面モールドの必要がないものである。本発明による方法は、レンズが形成される際に硬質コーティング層または惑光防止コーティング層の少なくともいずれか一方を分布させることが可能である。本発明は、従来の薄膜で被覆する製造方法またはいずれかの鋳造または射出の装置と異なり、ポリ炭酸エステルとそのほかの熱可塑性と熱硬化性プラスチック材料を使用し、一つのステップで偏光とホトクロミズムのレンズを形成する新しい方法を提供するものでもある。もう一つの長所は、本方法により偏光または不偏光のホトクロミズムのポリ炭酸エステルレンズを形成することを可能にすることである。本発明は、移転結合の技術により一つのプロセスにおいてホトクロミズムポリ炭酸エステルレンズを形成することが可能である。それに対し、従来の高温による型作り方法は、ホトクロミズム染料の活性化機能を破壊することである。
【0043】
以下、実施例に基づいて本発明を詳しく説明する。以下の実施例では、百分率は、特別な説明がなければ、重量の百分率を指す。
(第一実施例)
(S1)接着材。
接着材を射出溝に注入し、泡を除去する。
【0044】
(S2)底層コーティング層溶液。
重量60のコーティング層材料、例えば、沸いたアクリル酸と、脂肪族アミノギ酸エステルと、アクリル酸オリゴマーとを取り、重量1のアクリルアミドを取って混合し、そして、21℃の密閉環境の下で5分間攪拌し、空気または酸素に曝露しないようにする。
【0045】
(S3)単量体。
熱硬性単量体(例えば、アメリカのPPGまたは日本のNihon Yushi社製のCR39など)および一種のIPPガイドユニットを混合し、使用するまで−20℃で保存する。
(S4)コロナ放電を使用する。
【0046】
(S5)偏光膜。
その膜(日本のTalex製)をスタントの上に支持し、その外側表面を表面から5センチから15センチの距離でコロナ放電ユニット(Tech Sales社製のMultiDyneコロナ放電システム)の下で3秒間曝露し、その膜を塵防止および温度と湿度がコントロールされた容器の中で20分以内で保持する。
【0047】
(S6)(S5)において形成された偏光膜を90角度で底層コーティング層溶液(S2)に2.5分間浸付し、かつ振ることや風にあたることをしないようにし、クリーンルームで8時間乾燥させ、そのルームの相対的な湿度を少なくとも40%に維持する。無塵と湿度がコントロールされている容器の中に置くのが一番好ましい。乾燥区域には気流を濾過するフィルターがある。安定化した気圧により汚染された空気が入り込むことを避けることが可能である。
【0048】
(S7)ポリ炭酸エステルレンズ。
レンズ材料(アメリカのPolyite社から取得可能)をスタンドに置き、安定化したコロナ放電源の下でレンズの前表面を7秒間曝露し、材料を無塵と温度と湿度とがコントロールされている容器の中で20分間保持する。
(S8)型を洗浄して用意する。
レンズの生産
【0049】
(第二実施例)
(P1)接着材を射出する。
ガラスモールドII8前側をスタンドの上に下向きに装着し、180度の角度でPVCフィルム(S6)をガラスモールドの上に重ね、そしてPVCフィルムの中央に0.8gの接着材を注入する。ポリ炭酸エステルレンズ(S7)をPVCフィルムの上に重ね、かつ接着材が平坦になり、均質に分布するようになるまで押し続ける。
【0050】
(P2)放射する。
接着材レンズ(P1)の凸状面を3分間、下の凹上面を3.5分間熟成させる。
(P3)単量体を注入する。
ガラスモールドII(S8)前端をスタンドの上に下向きに装着し、2.7gの単量体(S3)をガラスモールド(S8)の中に注入する。放射により熟成したレンズ(P2)を上面に重ね、かつ水平に保持する。焼き盤を水平に維持する。
【0051】
(P4)重合する。
レンズ(P3)を無酸素のオーブンの中で18時間置き、重合する。
(P5)分離して乾燥させる。
オーブンの中で重合されたレンズ(P4)を取り出し、ガラスモールドIIから分離し、少なくもと2時間熟成させる。
【0052】
(P6)チェックする。
視覚レンズの標準に基づいてすべてのレンズの品質をチェックする。
(P7)縁を整える。
レンズの辺縁の屑を除去する。
【0053】
(P8)硬質コーティング層。
レンズを清浄して乾燥させ、硬質コーティング層溶液、例えば、日本のTokuyama社製のTS−56、フランスのCouget光学会社グループ製のTitanまたはSkyward、韓国のLG社製のST11、日本のNRC社製の硬質コーティング層またはほかのこの分野に関連する周知の溶液のいずれか一つの中に浸付する。そして、90℃のオーブンでコーティング層を3時間熟成させる。コーティングされた後のレンズはオーブンにおいて熟成するか、紫外線の下で熟成する。
(P9)レンズを包装し、シールを貼り付ける。
【0054】
図6は、本実施例のプロセスを示す図である。材料は罫線のプロックで表示され、準備のプロセスおよびステップは破線のプロックで表示され、製造のプロセスはダブル罫線のプロックで表示されている。
【0055】
(第三実施例)
放射により1と2の接着材を熟成させる例である。
注意すべきなのは、熟成の要素(距離、倍数および時間)を変更でき、全部の熟成エネルギーを秒―ミリワットまたは平方センチにすれば十分だということである。紫外線は、市販の波長が340nmから440nmの紫外線ランプだったら使用できる。金属ハロゲン物は、市販の波長が365nmから420nmの金属ハロゲンランプでもよい。ランプ箱は、熱気がないように設けられることで、高温のせいで偏光器を損壊することを避けることが可能である(温度を100度以下に維持しなければならない)。
表1は、実験のデーター、熟成の実行と最終のプロセスを示す。
【0056】
【表1】

【0057】
(第四実施例)
(P4)単量体を重合する。
加熱により実行する。
実験1は、試験のプロセスと最高温度90℃でCR−39を18時間熟成させる。
【0058】
実験2は、紫外線を介し、もう一つの単量体を重合プログラムに従って加工する。
実験1で、一部の単量体、例えば、N=1.56の鮮明な材料またはホトクロミズム材料(例えば、Sunsensor)は、プロセスの時間が比較的短く、高温のせいで偏光器を損壊することを減少させ、また、紫外線を20分間放射することにより熟成させることが可能である。
【0059】
上記の詳しい記載により本発明の標準実施例の一部しか説明できなかったが、この分野に関連する技術はもうすぐ注目を引くと考えられ、かつこれらの技術は実験により修正し、かつ本発明の精神に背くことなく本発明の実質の長所を維持することが可能であるので、これらに関する修正は本発明の請求範囲に属すべきである。
そして、説明すべきなのは、本発明に引用された記載は、すべて登録を取得した先行技術または公開された申請案をまとめたものだということである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明を適用した偏光レンズまたはホトクロミズムレンズを形成する方法において、偏光PVAフィルムがポリ炭酸エステルレンズ(後側)と重合レンズ(前側)に貼り付けられる状態を示す断面図である。
【図2】本発明を適用した偏光レンズまたはホトクロミズムレンズを形成する方法により形成されるポリ炭酸エステルの偏光レンズの断面図である。
【図3】本発明を適用した偏光レンズまたはホトクロミズムレンズを形成する方法により形成されるポリ炭酸エステルのホトクロミズムレンズの断面図である。
【図4】本発明を適用した偏光レンズまたはホトクロミズムレンズを形成する方法により形成されるポリ炭酸エステルのホトクロミズムレンズと偏光レンズの断面図である。
【図5】本発明を適用した偏光レンズまたはホトクロミズムレンズを形成する方法により形成される硬いコーティング層を有するポリ炭酸エステルの偏光レンズの断面図である。
【図6】本発明を適用した偏光レンズまたはホトクロミズムレンズを形成する方法のプロセスを示すブロック図である。
【符号の説明】
【0061】
1 ポリ炭酸エステルレンズ、2 接着材、3 PVAフィルム、4 単量体、5 単量体、6 ガラスモールド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一表面および第二表面を有する偏光膜を提供するステップ(a)と、
第一表面および第二表面の上に電極を塗布するステップ(b)と、
ステップ(b)における材料の両面に接着剤を塗布して乾燥させるステップ(c)と、
第一表面および第二表面を有する熱可塑性プラスチック材料のレンズを提供するステップ(d)と、
ステップ(c)で形成した部分とステップ(d)で形成した部分との間の前側に接着剤と電極を提供するステップ(e)と、
接着剤を熟成させるステップ(f)と、
熱硬性単量体と前側ガラスモールドを提供するステップ(g)と、
重合するステップ(h)と、
ステップ(g)における熱硬性材料とステップ(d)における熱可塑性プラスチック材料のレンズを結合し、偏光またはホトクロミズムのポリ炭酸エステルレンズを形成するステップ(i)と、
を含むことを特徴とする偏光ポリ炭酸エステル光学レンズの製造方法。
【請求項2】
第一表面および第二表面を有する熱可塑性材料のレンズを提供するステップ(a)と、
二つの表面の上に電極と接着剤を塗布するステップ(b)と、
接着剤を熟成させるステップ(c)と、
ステップ(c)で形成される部分とガラスモールドとの間に熱硬性ホトクロミズム単量体を提供するステップ(d)と、
重合するステップ(e)と、
ステップ(d)における熱硬性材料とステップ(a)における熱可塑性材料のレンズを結合し、ホトクロミズムポリ炭酸エステルレンズを形成するステップ(i)と、
を含むことを特徴とするホトクロミズムポリ炭酸エステルレンズの製造方法。
【請求項3】
第一表面および第二表面を有する偏光膜を提供するステップ(a)と、
第一表面および第二表面の上に電極を塗布するステップ(b)と、
ステップ(b)における材料の両面に接着剤を塗布して乾燥させるステップ(c)と、
第一表面および第二表面を有する熱硬性材料のレンズを提供するステップ(d)と、
ステップ(d)で形成される部分の前側に電極を提供し、ステップ(c)で形成される部分とステップ(d)で形成される部分との間に接着剤を提供するステップ(e)と、
接着剤を熟成させるステップ(f)と、
ステップ(f)で形成される部分とガラスモールド前側の間に熱硬性単量体を提供するステップ(g)と、
重合するステップ(h)と、
ステップ(g)における熱硬性材料とステップ(d)における熱硬性プラスチック材料のレンズを結合し、偏光またはホトクロミズムの少なくともいずれか一方のプラスチックレンズを形成するステップ(i)と、
を含むことを特徴とする偏光プラスチック光学レンズの製造方法。
【請求項4】
第一表面および第二表面を有する偏光膜を提供するステップ(a)と、
第一表面および第二表面の上に電極を塗布するステップ(b)と、
ステップ(b)における材料の両面に接着剤を塗布して乾燥させるステップ(c)と、
第一表面および第二表面を有する熱硬性ホトクロミズム材料のレンズを提供するステップ(d)と、
ステップ(d)で形成される部分の背面側に電極を提供し、ステップ(c)で形成される部分とステップ(d)で形成される部分との間に接着剤を提供するステップ(e)と、
接着剤を熟成させるステップ(f)と、
ステップ(f)で形成される部分とガラスモールド背面側との間に熱硬性ホトクロミズム単量体を提供するステップ(g)と、
重合するステップ(h)と、
ステップ(g)における熱硬性材料とステップ(d)における熱硬性材料のレンズを結合し、偏光またはホトクロミズムの少なくともいずれか一方のプラスチックレンズを形成するステップ(i)と、
を含むことを特徴とする偏光プラスチック光学レンズの製造方法。
【請求項5】
熱硬性ホトクロミズムレンズは、CR39、1.56及びその類似物を含むことを特徴とする請求項4に記載の偏光プラスチック光学レンズの製造方法。
【請求項6】
第一表面および第二表面を有する偏光膜を提供するステップ(a)と、
第一表面および第二表面の上に電極を塗布するステップ(b)と、
ステップ(b)における材料の両面に接着剤を塗布して乾燥させるステップ(c)と、
第一表面および第二表面を有する熱硬性材料のホトクロミズムレンズを提供するステップ(d)と、
ステップ(d)で形成される部分の背面側に電極を提供し、ステップ(c)で形成される部分とステップ(d)で形成される部分との間に接着剤を提供するステップ(e)と、
接着剤を熟成させるステップ(f)と、
ステップ(f)で形成される部分とガラスモールド背面側との間に熱硬性ホトクロミズム単量体を提供するステップ(g)と、
重合するステップ(h)と、
ステップ(g)における熱硬性材料とステップ(d)における熱硬性プラスチック材料のレンズを結合し、偏光またはホトクロミズムの少なくともいずれか一方のポリ炭酸エステルレンズを形成するステップ(i)と、
を含むことを特徴とする偏光ポリ炭酸エステル光学レンズの製造方法。
【請求項7】
第一表面および第二表面を有する偏光膜を提供するステップ(a)と、
第一表面および第二表面の上に電極を塗布するステップ(b)と、
ステップ(b)における材料の両面に接着剤を塗布して乾燥させるステップ(c)と、
第一表面および第二表面を有する熱可塑性材料のレンズを提供するステップ(d)と、
ステップ(c)で形成される部分とステップ(d)で形成される部分との間の前側に電極と接着剤を提供するステップ(e)と、
接着剤を熟成させるステップ(f)と、
ステップ(f)で形成される部分とガラスモールド前側の間に熱可塑性材料のレンズを提供するステップ(g)と、
ステップ(g)の背面側に電極と接着剤を提供するステップ(h)と、
接着剤を熟成させるステップ(i)と、
ステップ(g)における熱硬性材料とステップ(d)における熱可塑性材料のレンズを結合し、偏光またはホトクロミズムの少なくともいずれか一方のポリ炭酸エステルレンズを形成するステップ(j)と、
を含むことを特徴とする偏光ポリ炭酸エステル光学レンズの製造方法。
【請求項8】
第一表面および第二表面を有する熱可塑性材料のレンズを提供するステップ(a)と、
一つの表面の上に電極と接着剤を塗布するステップ(b)と、
接着剤を熟成させるステップ(c)と、
ステップ(c)で形成される部分とガラスモールド前側との間に熱可塑性ホトクロミズムレンズを提供するステップ(d)と、
背面側に電極と接着剤を提供するステップ(e)と、
接着剤を熟成させるステップ(h)と、
ステップ(d)における熱可塑性ホトクロミズムレンズとステップ(a)における熱可塑性材料のレンズを結合し、ホトクロミズムポリ炭酸エステルレンズを形成するステップ(i)と、
を含むことを特徴とするホトクロミズムポリ炭酸エステルレンズの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−30852(P2006−30852A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−212868(P2004−212868)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(502160198)寶利徠光學科技股▲分▼有限公司 (2)
【Fターム(参考)】