説明

健康及び美容増進のための乾燥粉体

【課題】 ルバーブの成分等を変性滅失させずに乾燥粉体となしたうえ希釈によりジャム状、ソース状若しくはジュース状に復元できる健康と美容増進の乾燥粉体の提供。
【解決手段】 ルバーブの葉柄を細かく磨砕のうえ、この重量に対し10乃至30重量%割合の糖類を配合のうえ煮熟によりペクチンの溶解溶液となしたうえ、真空乾燥、真空凍結乾燥若しくは噴霧乾燥させて乾燥粉体となす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は健康増進特には生活習慣病の予防や、整腸作用と便秘予防による美容性を著しく高めることの可能な食品や飲料を簡便に作成できる乾燥粉体に存する。
【背景技術】
【0002】
ルバーブ(和名食用ダイオウ)は、我が国には明治初期頃より導入された長期に亘る栽培の歴史を有するものの、近年にいたるまで消費の拡大には至っていなかった。
このルバーブはその和名において周知される如く、その根部には漢方薬としての優れた効能を保持するものであるため主としてその根部が利用されていたものと考えられる。
反面ルバーブの葉にはシュウ酸が多量に含まれていることから廃棄されていたものであるが、その葉柄については水溶性食物繊維を多量に含む食物繊維からなるペクチン並びにカリウムイオンを含有することから、近年の生活習慣病の予防や整腸作用と便秘予防等の期待が富みに高まっており、而もかかるペクチンは煮熟により極めて短時にゲル化してジャム状食品が形成できること、及び近年の食生活の欧米化に伴いパン食やパスタ等の拡大とともにスイーツ類の拡大と且健康指向とも相俟って、かかるジャム状食品も高い脚光を浴びつつある状況にある。
【0003】
而して近年では生活水準の向上と前記の如く食生活の欧米化とにより、ルバーブからなるジャム状食品も杏様の香味とリンゴより強い酸味及び配合される糖類からなる甘味とによる味覚とが味覚嗜好とも合致するため大幅なる消費拡大化が予想されるに至っている。
ところでルバーブは原産地をロシア南部とする比較的高冷地に適応した作物ではあるが、その主たる使用部位は葉柄であって、且その収穫も初夏から晩秋に亘る短期であり、反面かかるルバーブからなる食品や飲料は周年に亘って消費されるものであるから、当然に素材としてのルバーブも周年を通して保存させる手段も要請される。
【0004】
ところでルバーブの葉柄には略93%重量割合の水分が含有されてなるものの、該水分は水溶性食物繊維を多量に含むペクチンと結合された状態に保持されてなるため、一般的野菜に比べて萎稠もしにくく特に低温貯蔵によって可成りの長期保存も可能なものの、各種酵素類の作用により変性が進行することから、乾燥粉体状となし保存することが好適とされている。
【0005】
野菜や果物等についての乾燥方法としては天日乾燥、温風乾燥、冷風乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥及び真空凍結乾燥等多種に亘る乾燥方法が有り、それぞれの野菜や果物等の特性や製品に要請される特性等を勘案のうえ適宜の乾燥方法が選択されるものであるが、ルバーブにおいては水溶性食物繊維を多量に含む食物繊維と且カリウムイオン等を変性や滅失させることなく、而も特有の杏様の香味とリンゴに勝る酸味、及び美味さの基本となる甘味とを容易に希釈復元しえる復元性を保持させることが、ケーキ類、菓子類、ゼリー類その他のスイーツ類或いは飲料等の製品化に好都合であって、より好ましくは噴霧乾燥や真空乾燥或いは真空凍結乾燥が最適である。
【0006】
これがためルバーブの葉柄を煮熟により短時にペクチンを溶解せしめ且ゲル化を防止するため所要の重量割合の糖類を配合し、粘調の溶解溶液となしたるうえ噴霧乾燥、真空乾燥或いは真空凍結乾燥により、本発明目的が実現できることを究明し本発明に至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はルバーブの保有する栄養成分を変性滅失させることなく、その香味と酸味及び甘味をバランス良く保有させた乾燥粉体となし、水との希釈によりジャム状、ソース状若しくはジュース状に復元し、以って生活習慣病の予防や、整腸作用と便秘の予防による美容性を高めることの可能な食品や飲料を簡便に作成できる乾燥粉体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために本発明が採用した技術的手段は、ルバーブの葉柄を細かく磨砕のうえ、該磨砕されたルバーブの葉柄に対して10乃至30重量%の糖類を配合のうえ煮熟して未ゲル状の粘調な溶解溶液となしたうえ、噴霧乾燥、真空乾燥若しくは真空凍結乾燥により乾燥粉体となしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上述の如き構成からなるものであって、本発明においては水溶性食物繊維を含む食物繊維からなるペクチンを多量に含むばかりか、併せてカリウムイオンをも多量に含有するとともに、ルバーブ自体の杏様の香味とリンゴを凌ぐ酸味及び糖類による甘味とも相俟って今日の味覚嗜好とも合致するとともに、ルバーブの葉柄を細かく磨砕することにより、煮熟に際して全体への受熱効果が著しく高まり、短時間内にペクチンの溶解溶出が図られるとともに、混合される糖類が磨砕ルバーブの重量に対して10乃至30重量%割合に制約されてなるから煮熟によるペクチンの溶解溶出がなされてもゲル化せずに粘調な溶解溶液状を呈するため、乾燥粉体化に際して真空乾燥や真空凍結による乾燥はもとより極めて簡便安価な噴霧乾燥が容易に利用できるため、乾燥度合の高い高品質の乾燥粉体が形成される。
【0010】
加えて、かかる乾燥粉体はルバーブの水溶性食物繊維を含む食物繊維やカリウムイオン等の成分と、本来的に含有されてなる有機酸と且煮熟に際して配合される10乃至30重量%割合の糖類等により略15乃至20倍に濃縮された状態で乾燥されるから、使用目的に合わせて略2乃至10倍に加水希釈させてジャム状やソース状若しくはジュース状に復元使用すれば良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
ルバーブの葉柄を細かく磨砕のうえ、この磨砕ルバーブに対し30重量%割合の糖類を配合のうえ煮熟し、ペクチンを溶解溶出させた粘調の溶解溶液となしたうえ、噴霧乾燥により形成させた乾燥粉体。
【実施例1】
【0012】
以下に本発明実施例を図とともに詳細に説明すれば、図1は本発明における製造工程の説明図であって、収穫状態にあるルバーブを根元と葉部とを切断のうえ、葉柄10を利用するものである。
即ちかかるルバーブの葉柄10には、100g当りで略糖質が3,600mgと蛋白質900mgの他に、水溶性食物繊維を含む食物繊維素900mg、カリウム320mg並びにカルシウム60mg等の成分が含有されてなり、且これら成分が急速に拡大化している生活習慣病に対しての優れた予防効果を保持すること、及び整腸作用と便通の促進とにより、特に女性の美肌効果の向上に大きく寄与することが、周知の事実とされている。
更に今日においては生活水準の向上と、且食生活の欧米化とにより、パン類やパスタ類の摂取量の拡大とともに、ケーキ類やスイーツ類の併食も著しく拡大化している。
【0013】
ところで収穫されたルバーブの葉柄10は、栽培中に付着する砂泥や塵埃を初め、病害虫の卵や幼虫等を除去するために洗浄1がなされるもので、かかる洗浄1は通常においては水道水による洗浄1で十分であって、かかる事由は該洗浄1に引続いて塵砕2及び糖類配合3と、且次いで煮熟4までは連続して而も短時間内に処理されるものであって、特に煮熟4においては少なくとも160乃至180℃程度で加熱が施されてペクチン2Aの溶解溶出がなされるものであるから、かかる煮熟4において微生物や菌類の殺菌と且酵素類の失活もなされることによる。
【0014】
洗浄1が施されたルバーブの葉柄10は、煮熟4において加熱しペクチン2を短時に且積極的に溶解溶出せしめるうえから細かく磨砕2が施されることが、煮熟4における加熱により短時に効率良く受熱せしめるうえから望まれるもので、大きくてもその大きさは1乃至5mm以下で通常では0.1乃至1.0mm程度が好適である。
かかる磨砕2の具体的手段には特段に制約は無いが、多量の磨砕2には磨砕装置の使用が望まれるもので、具体的磨砕装置としてはカッターミルや堅形気流式粉砕機、若しくはクラッシュミル、コーミル等が挙げられる。図2には磨砕2されたルバーブの葉柄10の状態が示されている。
【0015】
磨砕されたルバーブの葉柄10には、本来的に保持する杏様の香味とリンゴを超える酸味の有機酸に、美味さを創出させるための甘味を付与せしめるうえから糖類配合3がなされる。
この糖類3Aの配合割合は、対象とする野菜若しくは果物等のペクチン2Aの溶出量や含有有機酸濃度と量とによりゲル化状態も異なるものであるが、本発明の如くルバーブの葉柄10を対象とする場合には、磨砕2したルバーブの葉柄10の重量に対して糖類3A特にはショ糖で40乃至45重量%以上の配合量ではゲル化現象が発生する。しかしながら本発明においては、高い濃縮率と且長期保存性を保持した乾燥粉体6を形成することにある。
【0016】
これがためには真空乾燥や真空凍結乾燥或いは噴霧乾燥等の乾燥5が施されて形成されるものであるが、ゲル状となした場合には乾燥時の水分蒸散性が極めて悪くなること、及び噴霧乾燥には粘調な溶解溶液状物が好都合であることにもある。従って本発明においては粘調な溶解溶液4Aとなすうえからも、糖類3Aの配合量は磨砕2されたルバーブの葉柄10の重量に対し10乃至30重量%割合の配合が望まれる。
無論糖類3Aの配合量が10重量%割合以下と少なくなると、美味しさの重要な要素となる甘さの不足にもつながる。
【0017】
かくして磨砕2されたルバーブの葉柄10に所要の糖類3Aが配合されたうえは、ペクチン2Aの溶解溶出をせしめて粘調な溶解溶液4Aとなすための煮熟4が施される。図3には煮熟4の例示図が示されてなり、該煮熟4は磨砕2されたルバーブの葉柄10と配合された糖類3Aとを、実質的に160乃至180℃若しくはそれ以上の温度の加熱容器4B内で撹拌翼4C等で撹拌させることにより略10乃至15分程度でペクチン2Aが溶解されて溶解溶液4Aが形成される。
【0018】
かかる如くして形成された溶解溶液4Aは、乾燥粉体6を形成するために乾燥5が施される。
この乾燥5の具体的手段としては真空乾燥や真空凍結乾燥或いは噴霧乾燥等が挙げられるが、乾燥手段によっては乾燥操作面の複雑さに加えて乾燥装置も高額となることから、噴霧乾燥5Aが好適であって、該噴霧乾燥5Aについて具体的に説明すれば、図4は噴霧乾燥の説明図であって、該噴霧乾燥5Aは図示する如くホッパー50Aの周辺の適宜位置には加熱空気50Bをその中央に向けて放散する加熱空気孔50Cが形成され、該加熱空気孔50Cからは略120乃至180℃程度の加熱空気50Bが放散されるよう構成されている。
【0019】
そしてホッパー50Aの下辺はやや傾斜のうえ、乾燥され堆積される乾燥粉体6を排出しえるよう排出口50Dが設けられている。
他方かかるホッパー50Aの中心に向って噴霧ノズル50Eが配位されてなるとともに、該噴射ノズル50Eの中央には煮熟4において形成された粘調の溶解溶液4Aを供給する供給管50Jが配位され、且この供給管50Jを周回し、而もその先端部より高圧空気50Fを高速噴出させることにより、供給管50Jの先端から排出される溶解溶液4Aを噴霧拡散40Aさせて、加熱空気50Bとの接触により瞬時に乾燥粉体6となすものである。かかる場合において形成される乾燥粉体6の粒径については、噴霧ノズル50Eと供給管50Jとの空隙50Gを狭く形成のうえ高速で噴出させて噴霧拡散40Aをホッパー50A内に広範囲に噴散させることにより微細な粒径で、更に空隙50Gを広く且緩やかに噴散させることで粗い粒径の乾燥粉体6の形成が可能となる。
【0020】
本発明における目的の一つは長期保存性を保持させて安定した供給と価格の保持と、他の一つは生活習慣病の予防と整腸作用や快便性を高めて美容性を著しく高める成分を変性や滅失させることなく、且略15乃至20倍に濃縮させた乾燥粉体であって、適宜の希釈によりジャム状やソース状若しくはジュース状に復元できるため、パン類やケーキ類の甘味材やスイーツ類の甘味ソース或いは健康飲料や美容飲料若しくは清涼飲料等広範囲に復元使用ができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
使用目的に合わせた香味や酸味及び甘味に適合するよう希釈させることで、食品にも飲料にも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】 本発明の製造工程の説明図である。
【図2】 磨砕されたルバーブの葉柄の説明図である。
【図3】 煮熟の例示図である。
【図4】 噴霧乾燥の説明図である。
【符号の説明】
【0023】
1 洗浄
2 磨砕
2A ペクチン
3 糖類配合
3A 糖類
4 煮熟
4A 溶解溶液
4B 加熱容器
4C 撹拌翼
40A 噴霧拡散
5 乾燥
5A 噴霧乾燥
50A ホッパー
50B 加熱空気
50C 加熱空気孔
50D 排出口
50E 噴霧ノズル
50F 高圧空気
50G 空隙
50J 供給管
6 乾燥粉体
10 ルバーブの葉柄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルバーブの葉柄を洗浄のうえ細かく磨砕し、この重量に対して10乃至30重量%割合で糖類を配合し、煮熟によりペクチンが溶解された溶解溶液となしたうえ、この溶解溶液を真空乾燥、真空凍結乾燥若しくは噴霧乾燥により形成させてなることを特徴とする、健康と美容増進のための乾燥粉体。
【請求項2】
磨砕されたルバーブの葉柄に配合される糖類がショ糖である、請求項1記載の健康と美容増進のための乾燥粉体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−83270(P2011−83270A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256521(P2009−256521)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【出願人】(504384516)
【出願人】(509209568)有限会社トウースカイ (2)
【Fターム(参考)】