説明

健康器具及び健康器具の製造方法。

【課題】任意の形状に成形することにより、肩や腰、足など任意の部位を適度に刺激しつつ温熱によって肩こりや腰痛などを解消し、あるいは腹などを温められる程度に保温効果を持続することができるようにした健康器具を提供する。
【解決手段】この健康器具は、マイクロ波を吸収することによって発熱する芯体1が、耐熱性と弾力性とを有している被覆体10によって被覆されている。芯体1は、焼成によりリチウム−鉄系複合酸化物を形成する材料が含有された陶磁器材料によって形成されている。被覆体10は、シリコーンゴムによって成形されている。また、芯体1は、球形、卵形、テーパ軸形、長楕球形、軸形、カップ形、並列させた2個の半球体、円盤形のいずれかに形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肩や腰、足など任意の部位を適度に刺激しつつ温熱によって痛みなどを解消し、あるいは腹などを温められるようにした健康器具、及びこの健康器具を製造するための健康器具の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肩こりや腰痛などの治療手段として、シップ薬や温熱を利用する健康器具などが各種提供されている。シップ薬は、使い捨てであったり、かぶれたりするなどの不具合がある。また、健康器具は各種提供されているが、特許文献1には、水分子を含む岩石を砕いた状態で布の袋に入れた温熱健康器具が開示されている。この温熱健康器具は、電子レンジによって加熱されることにより、岩石から遠赤外線が放射され、温熱効果を発揮し、しかも、繰り返して使用することができるようにされている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−144478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された温熱健康器具は、砕かれた岩石が袋に入れられているため、任意の形状に成形されていない。したがって、この温熱健康器具は、単に肩や腰の上において患部を温めるにすぎず、指圧のように適度な刺激を作用させることができない。しかも、岩石は袋に入れられているため、加熱されても、温度が急速に低下し、肩こりや腰痛などを解消することができる時間、連続して使用し続けることができない。
【0005】
そこで、本発明は、任意の形状に成形することにより、肩や腰、足など任意の部位を適度に刺激しつつ温熱によって肩こりや腰痛などを解消し、あるいは腹などを温められる程度に保温効果を持続することができるようにした健康器具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る健康器具は、マイクロ波を吸収することによって発熱する芯体が、耐熱性と弾力性とを有している被覆体によって被覆されていることを特徴としている。
【0007】
この健康器具は、電子レンジのようなマイクロ波を照射する加熱器具によって加熱してから使用する。加熱された健康器具は、芯体が例えば50〜200℃程度の高温になるが、被覆体の表面が手で握ることのできる温度に温められた状態となる。また、被覆体は、耐熱性によって保温効果が発揮され、肩こりや腰痛などを解消し、あるいは腹などを温められる程度の温度、手で握ることのできる温度が維持される。そして、被覆体が弾力性を有していることから、被覆体を肩や腰、足などの任意の部位に押し付けると、被覆体が適度に変形する。したがって、当該部位は適度に刺激されつつ温められる。
【0008】
また、前記本発明に係る健康器具において、前記芯体は、焼成によりリチウム−鉄系複合酸化物を形成する材料が陶磁器材料に含有させた材料によって形成されていることが好ましい。この健康器具によれば、焼成によりリチウム−鉄系複合酸化物を形成する材料が陶磁器材料中に含有された材料によって芯体が形成されることにより、芯体はマイクロ波を吸収し、自己発熱性に優れたものとすることができる。したがって、この健康器具は、電子レンジのようなマイクロ波を照射する加熱器具によって芯体を簡単に、しかも短時間で50〜200℃程度の高温に加熱して使用することができる。
【0009】
また、前記本発明に係る健康器具において、前記被覆体は、シリコーンゴムによって成形されていることが好ましい。この健康器具によれば、被覆体がシリコーンゴムによって成形されることにより、被覆体を2〜30mm程度の厚さとするだけで、芯体が例えば50〜200℃程度の高温に加熱されても、被覆体の表面を手で握ることのできる温度にすることができる。また、シリコーンゴムは、耐熱性を有していることから、繰り返し加熱されても劣化することがない。さらに、シリコーンゴムは、弾力性を有するだけでなく、手触り感がよいため、使い心地をよいものとすることができる。
【0010】
また、前記本発明に係る健康器具において、前記芯体は、球形、卵形、テーパ軸形、長楕球形、軸形、カップ形、並列させた2個の半球体、円盤形のいずれかに形成されていることが好ましい。この健康器具によれば、芯体が球体、卵形、テーパ軸形、長楕球形、軸形、あるいはカップ形に形成されていると、手の中に入れる状態に持ちやすいものとすることができ、そして、芯体が並列された2個の半球体とされていると、この健康器具を腰や背中に2か所で押し当て、あるいは肩の上に載せて使用することができ、そして、芯体が円盤形とされていると、腹の上に押し当てて使用することができる。なお、この健康器具はこの使用方法に限定することなく、使用者は自由に使用することができる。
【0011】
また、前記本発明に係る健康器具において、前記被覆体の表面には、複数本の突条が設けられていることが好ましい。この健康器具によれば、複数本の突条が設けられていることにより、各突条がいわゆるツボを押圧することになり、刺激効果を高めることができる。
【0012】
また、前記本発明に係る健康器具において、前記被覆体の一部には、偏肉部が設けられていることが好ましい。この健康器具によれば、被覆体の一部に厚肉の偏肉部が設けられていることにより、部分的に弾力性が強調され、あるいは持ちやすく、滑りにくいものとすることができる。また、厚肉の偏肉部は、他の部分よりも温度が低くなるため、任意の部位を低い温度で温めることができる。
【0013】
また、前記本発明に係る健康器具の製造方法は、芯体を予め加熱することによって、芯体を高温の状態にしておく工程と、金型上に平板状の被覆体をセットし、該被覆体上に高温の状態とされた芯体を載せる工程と、該芯体上に平板状の被覆体を被せる工程と、前記と異なる金型を被覆体を覆うように前記金型に重ね合わせる工程と、両金型を高温に加熱することによって被覆体を溶融する工程と、両金型の加熱を停止し、溶融した被覆体を凝固させる工程とを含んでいることを特徴としている。
【0014】
この健康器具の製造方法によれば、芯体が予め加熱されることにより、被覆体をセットした金型を加熱したときに、この熱が芯体に奪われることがないため、芯体を予め加熱しないときよりも製造時間を短縮することができる。また、芯体が予め加熱されることにより、芯体中に含まれている気泡が減少し、芯体と被覆体との間に空気溜りないし膨張した部分が生じないようにすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、マイクロ波を吸収することによって発熱する芯体を、耐熱性と弾力性とを有している被覆体によって被覆した健康器具が提供されることにより、肩や腰、足など任意の部位を適度に刺激しつつ、肩こりや腰痛などを解消し、あるいは腹などを温められる温熱によって温め続けることができるため、マッサージ効果が発揮され、痛みなどを解消し、また快さを得られるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の健康器具の実施形態について図1ないし図10を参照しながら説明する。この健康器具は、マイクロ波を吸収することによって発熱する芯体1が、耐熱性と弾力性とを有している被覆体10によって被覆されていることを特徴としている。
【0017】
芯体1は、焼成によりリチウム−鉄系複合酸化物を形成する材料を陶磁器材料に含有させたもので、後記のように任意の形状に成形される。陶磁器材料としては、コージェライト、ムライト、ペタライト、チタン酸アルミニウム、アルミナなどのセラミックス粉末、あるいはこれらのセラミックスの複合粉末、さらには陶磁器用陶土、各種粘度鉱物が挙げられ、粒径が0.1mm以下、好ましくは5μm以下の粉末状で使用される。
【0018】
これらの陶磁器材料は、焼成後にSiO2、Al2O3、TiO2、MgO、Li2Oなどの酸化物となる。また、陶磁器材料としては、鉛、クロム、ニッケル、亜鉛、銅などの有害成分を含有しないことが好ましいが、含有したとしても焼成後において、有害金属酸化物が陶磁器材料中に0.5質量%以下、好ましくは、0.1質量%以下であれば使用することができる。
【0019】
そして、焼成によりリチウム−鉄系複合酸化物を形成する材料における鉄成分としては、水酸化鉄{Fe(OH)2、Fe(OH)3、FeOOH}、酸化鉄(FeO、Fe2O3、Fe3O4)、また、焼成により除去される陰イオンを含有する鉄化合物が挙げられ、リチウム成分としては、炭酸リチウム、塩化リチウム、フッ化リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウム、リン酸リチウムなどが挙げられる。この材料が粉末状である場合、粒径は、0.1mm以下、好ましくは5μm以下とされる。
【0020】
そして、焼成によって、前記の鉄化合物はFe2O3になり、リチウム化合物はLi2Oになるが、焼成後において、Li2OがFe2O3に対して0.1〜10%質量%、好ましくは1〜8質量%となるように鉄化合物とリチウム化合物とが混合される。なお、Li2Oの含有率が10質量%より多いと、焼成体の熱膨張率が上昇し、リチウム−鉄系複合酸化物の形成に寄与しないLi2Oが焼成後においても残存するという問題が生じる。
【0021】
そして、焼成によりリチウム−鉄系複合酸化物を形成する材料には、希土類元素(Pr、Nd、Dy)を含有させることが好ましい。希土類元素に由来する酸化物は、それ自体マイクロ波を吸収して自己発熱性の機能を発揮するため、希土類元素を含有した陶磁器材料はより一層、発熱性に優れたものとすることができる。
【0022】
また、焼成によりリチウム−鉄系複合酸化物を形成する材料と陶磁器材料との混合に対しては、炭化珪素粉末を添加して焼成することが好ましい。炭化珪素は、それ自体マイクロ波を吸収して自己発熱性の機能を発揮することが知られている。
【0023】
炭化珪素粉末は、粒径が0.1〜10μm、好ましくは0.5〜5μmのものが使用される。粒径が0.1μm未満であると、自己発熱性が低下し、10μmを超えると、成形性が悪化するからである。また、炭化珪素の添加量の割合は、0.5〜15質量%、好ましくは0.5〜10質量%とされる。炭化珪素の添加量が0.5質量%よりも少ないと、強度を向上させることができず、15質量%よりも多いと、釉薬との接着性が低下するからである。
【0024】
そして、焼成に際して、陶磁器材料粒子と接する炭化珪素粒子の表面に酸化されてガラス緻密層が形成されることにより、芯体1は強度が向上される。また、芯体1は、炭化珪素粒子の内部が未酸化状態で残るため、マイクロ波吸収性が維持される。
【0025】
そして、芯体1は、陶磁器材料(酸化物基準)に対して、焼成によりリチウム−鉄系複合酸化物を形成する材料(酸化物基準)を0.5〜50質量%の割合、好ましくは1〜40質量%で混合して成形される。この配合量が50質量%よりも多いと、マイクロ波による急激な自己発熱と熱膨張の上昇などの問題が生じるからである。なお、焼成によりリチウム−鉄系複合酸化物を形成する材料と陶磁器材料との混合方法としては、粉末−粉末、粉末−溶液、溶液−溶液のいずれの形態でもよい。
【0026】
そして、陶磁器材料、リチウム化合物と鉄系化合物との混合物、水、バインダー、さらに分散剤を混合した成形材料が押出成形、プレス成形などによって所定の形状の成形物に形成される。この成形物は、800〜1500℃、好ましくは1200〜1450℃の温度で0.5〜3時間、好ましくは1〜2時間、焼成されて芯体1に形成される。なお、焼成によりリチウム−鉄系複合酸化物を形成する材料は、鉄化合物とリチウム化合物とを混合し、予め、1000℃で仮焼きし、リチウム−鉄系複合酸化物を生成させ、このリチウム−鉄系複合酸化物を0.1mm以下の粒径に粉砕して陶磁器材料と混合してもよい。
【0027】
このようにして形成された芯体1は、焼成によって、LiFe5O8、LiFeO2、Li5FeO4などのリチウム−鉄系複合酸化物が形成され、マイクロ波を吸収し、自己発熱性に優れたものとなる。この芯体1は、リチウム酸化物の含有量が多くなるにつれて、発熱量が増大する。
【0028】
このような芯体1が耐熱性と弾力性とを有しているシリコーンゴムなどの被覆体10によって被覆されることにより、健康器具が製造される。この健康器具の製造方法について簡単に説明する。
【0029】
まず、電子レンジのようなマイクロ波を照射する加熱器具、あるいは、一般的な加熱器具によって、芯体1を予め加熱しておく。芯体1は、加熱されることによって、内部に含まれる気泡が減少する。
【0030】
次に、一方の金型(下金型)上に平板状の被覆体をセットし、この被覆体の上に前記の加熱された芯体1を載せる。次に、この芯体1の上に、前記と異なる平板状の被覆体を被せる。したがって、芯体1は、2枚の被覆体に挟まれた状態となる。
【0031】
次に、他方の金型(上金型)が上側の被覆体を覆うように下金型に重ね合わされる。そして、上下の金型を加熱することによって、被覆体を溶融させる。前記のように芯体1が予め加熱されているため、上下の金型の熱が芯体1に奪われず、被覆体は、均等に伝熱され、また、芯体1が加熱されていないとした場合よりも短時間で溶融する。
【0032】
次に、上下の金型の加熱を停止し、溶融した被覆体を芯体1の外周面に沿う形状に凝固させる。すると、芯体1を被覆体10によって被覆した健康器具が製造される。芯体1には、前記のように内部の気泡が減少しているため、気泡に起因して芯体1と被覆体10との間に空気溜り、あるいは膨張した部分が生じていない。最後に、両金型を離型させ、製造された健康器具を金型から取り出す。健康器具の周囲に余分なエッジ(ばり)が突き出ているときは、バリを除去する。
【0033】
ここで、芯体1を被覆体10によって被覆した健康器具の具体的な形態について図面を参照しながら説明する。
【0034】
図1に示した第1の健康器具は、芯体1が球形であり、芯体1の周囲が一定の厚さで被覆体10によって被覆され、手で握ることができる程度の大きさの球形に形成されている。図2に示した第2の健康器具は、芯体1が卵形であり、芯体1の周囲が一定の厚さで被覆体10によって被覆され、手で握ることができる程度の大きさの卵形に形成されている。第2の健康器具は、長さと幅が例えば100mmと68mmとされ、被覆体10の厚さが例えば2〜30mm程度とされる。なお、第1と第2の健康器具は、被覆体10を一定の厚さに設けることなく、部分的に厚くした偏肉部(図示せず)を設けてもよい。
【0035】
図3に示した第3の健康器具は、芯体1が中間部をわずかに凹ませたテーパ状の軸形(細身の瓢箪形)であり、芯体1の周囲が一定の厚さで被覆体10によって被覆され、手で握ることができる程度の大きさに形成されている。この第3の健康器具は、中間部11がわずかに凹んだテーパ軸形に形成されていることによって、手にフィットする。また、例えば拡径した端面側には、被覆体10の厚さを他の部分の被覆体10よりも厚くした偏肉部12が設けられている。この偏肉部12は、弾力性が他の部分よりも大きくなっている。ただし、偏肉部12は、縮径した端面側に設けてもよいし、偏肉部12を設けることなく、被覆体10の厚さを全面に亘って一定にしてもよい。
【0036】
図4に示した第4の健康器具は、芯体1がテーパ状の長楕球形であり、芯体1の周囲が被覆体10に被覆され、全体として手で握ることができる程度のテーパ状の長楕球形に形成されている。この第4の健康器具は、被覆体10の表面に複数本の環状の突条13,13,…が一端部14側から他端部15側にかけて一定間隔に設けられている。
【0037】
図5に示した第5の健康器具は、芯体1が円柱状の軸形に形成され、芯体1の周囲が被覆体10に被覆され、全体として手で握ることができる大きさに形成されている。被覆体10の両端部14,15は、中間部11よりも拡径し、中間部11には、多数の突条13,13,…と溝16,16,…とが交互に形成されている。両端部14,15の外径は、中間部11の突条13,13,…の外径よりも大きく、中間部11の突条13,13,…が突出しないようにされている。
【0038】
図6に示した第6の健康器具は、芯体1がカップ形状に形成され、芯体1の周囲が被覆体10に被覆され、全体として手で握ることができる程度のカップ形状に形成されている。この第6の健康器具の被覆体10には、長さ(軸)方向の中間部11において厚肉とされた偏肉部12を設けることによって、持ちやすく、かつ、滑りにくいものとされている。ただし、第6の健康基部は、偏肉部12を設けることなく、被覆体10の外径を全長に亘って同一としてもよい。また、第6の健康器具におけるカップ形状の概念は、図示しないが、いわゆる碗形状を含む。
【0039】
図7に示した第7の健康器具は、芯体1が半球体であり、2個の芯体1,1が間隔を空けて並列され、芯体1の周囲が被覆体10に被覆され、両手で握ることができる程度の大きさの二つの山状の部分17,17が形成されている。したがって、芯体1と芯体1との間には、凹んだ部分18が形成されている。この凹んだ部分18の被覆体10は、芯体1の周囲を被覆している部分の被覆体10よりも厚く形成されている。なお、図示しないが、芯体1,1,…は3個以上並列させたものとしてもよい。
【0040】
図8に示した第8の健康器具は、芯体1が底面を緩やかな凸曲面状とし、上面を盛り上げた変形長円半球形であり、芯体1の周囲が一定の厚さで被覆体10に被覆され、手で握ることができる程度の大きさの長円半球形に形成されている。芯体1の上面であって中心から偏心した2か所には、窪んだ部分が形成され、この部分に被覆体10を厚肉にした偏肉部12が設けられている。この部分の被覆体10は、偏肉部12によって弾力性が富んだものとされてい。
【0041】
図9に示した第9の健康器具は、芯体1の底面を平坦にし、上面を盛り上げた状態の長円半球形であり、芯体1の周囲が一定の厚さで被覆体10に被覆され、手で握ることができる程度の大きさの長円半球形に形成されている。この被覆体10は、底面19が平坦に形成され、表面である上面20には、複数本の突条13,13,…が一端部14側から他端部15側にかけて一定間隔に設けられている。
【0042】
図10に示した第10の健康器具は、芯体1の底面を緩やかな凸曲面状とし、上面を盛り上げた円盤形であり、芯体1の周囲が一定の厚さで被覆体10に被覆され、両手で持つことができる程度の大きさで上面を盛り上げた円盤形に形成されている。この被覆体10の表面である上面20には、複数本の突条13,13,…が一端部14側から他端部15側にかけて一定間隔に設けられている。
【0043】
ここで、前記の各健康器具の使用例について説明する。いずれの健康器具においても、電子レンジのようなマイクロ波を照射する加熱器具によって加熱する。芯体1は加熱時間にもよるが、例えば50〜200℃程度に加熱されるが、被覆体10の表面は手で握ることのできる程度の温度とされる。したがって、使用者がこの健康器具、具体的には被覆体10を手に持って体の任意の部位に押し当てることができる。
【0044】
例えば、第1ないし第6の健康器具は、手から露出している被覆体10の表面を肩、腰、腹、脹脛(ふくらはぎ)、土踏まずなど任意の部位に押し当てる。すると、任意の部位は、適温に加熱されている被覆体10によって温められつつ、押し当てられることによって適度に刺激され、マッサージ効果が得られる。使用者がピンポイント的な刺激を希望する場合は、第2ないし第4の健康器具の比較的尖っている部分を押し当てる。
【0045】
また、第3の健康器具においては、弾力性を求める使用者は被覆体10の偏肉部12を押し当てる。この偏肉部12は、他の部分よりも温度が低くなっている。したがって、比較的高い温熱を求める使用者は、偏肉部12以外を押し当てるというように、使用状態を選択することができる。
【0046】
また、突条13,13,…を有する第4、第5、第9、第10の健康器具は、手で握ったり、肩や土踏まず、腹などに押し当てたりすることにより、突条13,13,…が手や肩、土踏まず、腹などのツボを集中的に刺激することができる。なお、第4の健康器具は長楕球形に形成され、第5の健康器具は軸形に形成されているため、ともに握りやすく、また環状の突条13,13,…が設けられているため、方向性を考慮することなくツボを刺激することができる。
【0047】
また、第5の健康器具は、床の上に置いて、土踏まずを突条13,13,…に押し付けて使用することができる。第5の健康器具は、両端部14,15が拡径し、突条13,13,…が床に当接しないことから、熱が突条13,13,…から逃げず、温熱効果を長時間持続させることができる。
【0048】
また、第6の健康器具は、面状の端面、環状の端面、あるいは側面を任意の部位に押し付け、それぞれ、異なる刺激性を感じることができる。すなわち、面状の端面は、分布荷重が加えられる状態となるため、緩やかな刺激が加えられ、環状の端面は、集中荷重が加えられるため、強い刺激が加えられ、側面は、偏肉部12によって柔らかい刺激が加えられる。
【0049】
また、第7の健康器具は、凹んだ部分18を肩に載せ、2つの山状の部分17,17が肩を挟むようにしたり、平坦な面を床に置き、あるいは椅子の背もたれに宛がって、2つの山状の部分17,17が腰や背中を押し当てたりすることにより、当該部位を温めつつ、適度に刺激することができる。
【0050】
また、第8の健康器具は、手に持って、あるいは床やデスクなどに置いて、腕を載せて使用することができる。使用者は、偏肉部12において、柔らかい刺激が加えられる。比較的高温で強い刺激が加えられるようにするには、偏肉部12以外を押し付ける。
【0051】
また、第9の健康器具は、底面19を床に置き、使用者が上面20を踏み、あるいは座った状態で上面20を踏んで体重を掛けることより、突条13,13,…が土踏まずのツボを集中的に刺激する。底面19が平坦に形成されていることにより、安定性に優れ、使用者は、第9の健康器具の上に立っても転がることなく使用することができる。
【0052】
また、第10の健康器具は、使用者が仰向けに寝そべって、あるいは任意の姿勢で、上面20を下向きにして腹に載せ、あるいは押し当てることにより、又は上面20を上向きにして床上に置き、使用者が俯けに寝そべって突条13,13,…が腹を所々刺激するようにする。
【0053】
このようにいずれの健康器具も、体の任意の部位を適度に刺激しつつ、温熱によって温めることができるため、使用者は、痛みなどが解消され、また快さが得られる。さらに、被覆体10が弾力性を有していることから、刺激された部位は、握り心地がよいものとされる。さらに、被覆体10によって肩こりや腰痛などを解消し、あるいは快さを得られる程度の長時間にわたって温熱効果を維持することができる。また、温熱効果がなくなると、再度、加熱して繰り返し、使用することができる。
【0054】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定することなく種々変更することができる。例えば、使用方法は、前記の使用例に当然限定することなく、第5又は第6の健康器具の周縁部を肩に押し当てるなどしてもよい。また、第1又は第2の健康器具において突条13,13,…を設けてもよいし、逆に、第3ないし第6の健康器具において突条13,13,…を設けなくてもよい。さらに、特に第1及び第2の健康器具においては、一部分を面取りし、転がらないようにすることもできる。
【0055】
また、芯体1は、焼成によりリチウム−鉄系複合酸化物を形成する材料が含有された陶磁器材料によって形成されたものに限られず、例えば、SiO2、C、Fe2、Al2、O3、Mn、CaOを混合したものなどによって形成してもよい。さらに、被覆体10は、シリコーンゴムに限定されず、耐熱性の樹脂などによって成形してもよい。
【0056】
また、健康器具の製造方法として、キャビティ内にピンを突設した金型を使用し、芯体1をピンで支持し、キャビティ内に溶融したゴムや樹脂などを流入することによって製造してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る健康器具の実施形態の第1例であって、(a)は正面図、(b)は正面断面図である。
【図2】本発明に係る健康器具の実施形態の第2例であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は正面断面図である。
【図3】本発明に係る健康器具の実施形態の第3例であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は正面断面図である。
【図4】本発明に係る健康器具の実施形態の第4例であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は正面断面図である。
【図5】本発明に係る健康器具の実施形態の第5例であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は正面断面図である。
【図6】本発明に係る健康器具の実施形態の第6例であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は正面断面図である。
【図7】本発明に係る健康器具の実施形態の第7例であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面断面図である。
【図8】本発明に係る健康器具の実施形態の第8例であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面断面図である。
【図9】本発明に係る健康器具の実施形態の第9例であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面断面図である。
【図10】本発明に係る健康器具の実施形態の第10例であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1……芯体
10…被覆体
12…偏肉部
13…突条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波を吸収することによって発熱する芯体が、耐熱性と弾力性とを有している被覆体によって被覆されていることを特徴とする健康器具。
【請求項2】
前記芯体は、焼成によりリチウム−鉄系複合酸化物を形成する材料が陶磁器材料に含有させた材料によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の健康器具。
【請求項3】
前記被覆体は、シリコーンゴムによって成形されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の健康器具。
【請求項4】
前記芯体は、球形、卵形、テーパ軸形、長楕球形、軸形、カップ形、並列させた2個の半球体、円盤形のいずれかに形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の健康器具。
【請求項5】
前記被覆体の表面には、複数本の突条が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の健康器具。
【請求項6】
前記被覆体の一部には、偏肉部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の健康器具。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかの健康器具の製造方法であって、
芯体を予め加熱することによって、芯体を高温の状態にしておく工程と、
金型上に平板状の被覆体をセットし、該被覆体上に高温の状態とされた芯体を載せる工程と、
該芯体上に平板状の被覆体を被せる工程と、
前記と異なる金型を被覆体を覆うように前記金型に重ね合わせる工程と、
両金型を高温に加熱することによって被覆体を溶融する工程と、
両金型の加熱を停止し、溶融した被覆体を凝固させる工程とを含んでいることを特徴とする健康器具の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−29282(P2010−29282A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−192248(P2008−192248)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(391057052)株式会社サンパック (16)
【Fターム(参考)】