説明

健康情報管理システムおよびその方法並びにその方法を記録した記録媒体及びその方法を伝送する伝送媒体

【課題】 検診等により収集された健康情報を、その匿名性を担保しつつ、その健康情報の提供を希望する者に提供し、その対価を各健康情報登録者にその貢献度に応じて配分可能な健康情報管理システムの提供。
【解決手段】 健康情報管理システムは、提供仕様に対する健康情報の一致度の頻度統計を導出する統計手段E1、提供仕様に該当する健康情報登録者の健康情報を抽出し、健康情報利用者端末に提供する健康情報提供手段E2、分配係数を決定する分配係数決定手段E3、情報の出力対価を対応する分配係数で重み付けした頻度の合計で按分することにより、分配単価を決定する損益計算手段E4、出力対価を健康情報利用者口座から引き去り、各健康情報登録者について分配単価と分配係数の積を健康情報登録者口座に振り込む決済手段E5を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康情報管理システム及びその方法又はその方法を記録した記録媒体及びその方法を伝送する伝送媒体に関し、特に、検診等により収集された健康情報の一部を含む情報及び/又はそれを加工した情報を、その匿名性を担保しつつ、その情報の提供を希望する者に提供し、その対価としての運用益を各健康情報登録者にその貢献度に応じて配分する健康情報管理システム及びその方法又はその方法を記録した記録媒体及びその方法を伝送する伝送媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、患者が医師による検査等を要望する場合、一般的には患者が病院などの医療機関を来訪することになるが、その場合、医療機関における受診順を待つなど患者にとって負担が大きく、検査等を敬遠する要因となっている。
【0003】
また、検査の中には、インフォームドコンセントなどと呼称される事前説明を要するものもある。特に、遺伝子を解析する遺伝子検査では、患者の将来や子孫に発症する病気まで高確率で予想できるため、この検査の可否を患者本人に即座に決断させることが難しい場合もある。
【0004】
上述のように現行の診療体制では、検査が実行されるまでに患者や担当医師等に多大な時間と手間が必要となり、患者にとって閾の高いものとなり、自覚症状が軽度な病気で、診断や治療の実行が遅延している間に病状が悪化することすらある。
【0005】
例えば、子宮内膜症と呼称される女性の病気では、粘膜細胞を内包した月経の血液が卵管から体内に逆流し、この体内で粘膜細胞が異常増殖する。この場合、自覚症状として疼痛が発生するものの、この疼痛は一般的には月経の終了とともに終了するため、病気ではない通常の生理痛と自覚されがちであり、子宮内膜症を発症している女性の大部分が診断や治療を実行せずに病状を悪化させているのが実情である。しかし、この子宮内膜症も、悪化すると危険な病気であり、当然ながら初期に発見して治療することが好ましい。
【0006】
こうした現状を踏まえて、患者と医師との多大な時間と手間とを必要とすることなく患者を検査可能な遠隔検査方法として、患者により自身の検体が検査施設まで郵送され、この検査施設では郵送された検体に所定の検査を実行し、該検査結果をデータ処理装置にデータ登録し、このデータ処理装置にデータ登録された検査結果を患者にインターネットによりデータ取得させる方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照のこと。)
【特許文献1】特開2002-157332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に例示されたものは、あくまでも、検査等に伴う患者並びに医師等の手間を軽減している技術に過ぎず、遺伝子診断等の高価な検査が必要な場合、その検診費用が患者個々の負担になっている点では、同じであって、遺伝子診断に対する心理的な嫌悪感とも相まって、依然として、検診が進まないのが現状である。
【0008】
例えば、上述の子宮内膜症を例に挙げれば、大部分の女性が月経時に疼痛が発生しても生理痛と判断して、来院を躊躇しがちであったものが、検査費用を前払いする形で検査容器を購入し検体を検査施設まで郵送するだけで済み、患者自身は病院を来訪する必要がなくなったことから、受診に際しての手間が大幅に改善した。
【0009】
しかしながら、現在では、遺伝子診断は、受診者数が限られていることとも相まって、郵送容器の販売価格は高額とならざるを得ず、その一方、検診の結果得られる、遺伝子診断情報は、究極の個人情報であるにもかかわらず、自身にとっては単なるデータの羅列で、医師等による直接の診断を待つ必要があり、結果として費用対効果的に見合わないものとなる傾向が強い。しかも、究極の個人情報である遺伝子診断情報が間接的に漏洩される危険や見返りのない二次利用に対する懸念を払拭することもできない。
【0010】
以上のとおり、従来の技術は、検診に付随する手続負担を緩和するための、単なる補助ツールの発明に過ぎず、自身の健康情報を積極的に活用し、それによって、検査費用の捻出を初めとした具体的な利益を追求することを目的とした技術ではない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、こうした技術的課題を解決すべく発案されたものであり、具体的には、製薬企業等、有償であっても遺伝子情報を含む各種検査や診断の結果に関する情報の入手を欲するセクターの存在と、個人を特定しうる情報をマスキングしても情報の有価性を失わない形で情報提供できる提供態様の存在を前提として、種々の検診結果や診断結果を収集し、その結果情報の一部を含む情報若しくはそれを基に加工した二次情報を含む情報を、匿名性を維持しつつ前記セクターに対して有償提供し、その提供の対価を受診者個々に、その対価に対する寄与分に応じて還元するものである。
【0012】
すなわち、本発明は、以上の過程を通じて、検診費用等の一部乃至全部が補填され、さらには、自身の個人情報の秘匿を計りつつ積極的に自身の健康情報を運用できる健康情報管理機関の可能性に着眼したものである。
【0013】
ここで、上記前提を満たす態様の一例としては、個人を特定しうる情報についてマスキングした後の性別、年齢、居住地域等の各種個人情報、既往歴等についての情報、受診した検査についての結果情報、担当医師等による診断結果情報等の各種情報の組み合わせにより前記セクターから指定される属性に該当する受診者レコードを、本発明のシステムを運用する健康情報管理団体が収集した情報データベースから探索し、その該当受診者に対して前記セクターが企画する治験への参加同意書を発行し、該同意書が得られた受診者のリストを該セクターに有償提供する態様などが現実的に想定されよう。
【0014】
そのほかの態様としては、本発明のシステムを運用する健康情報管理団体が、収集した情報データベースを用いて、データマイニング用分析エンジンにより独自に導出したカスケード情報それ自体、若しくは該導出されたカスケードに基づいて、匿名化処理後の診断結果等を分子情報に翻訳するなどした加工された情報を、前記セクターに有償提供する態様なども含み得る。
【0015】
本発明(1)は、健康情報登録者の個人情報と検診情報を含む健康情報を記憶する第1記憶手段、健康情報利用者から属性別に要求された提供仕様を記憶する第2記憶手段、該健康情報登録者と該健康情報利用者の口座情報を記憶する第3記憶手段とを少なくとも含むホストコンピュータと、前記提供仕様を入力する入力手段と前記ホストコンピュータから提供された情報を出力する出力手段を少なくとも含む健康情報利用者端末とを少なくとも含み、前記ホストコンピュータと前記健康情報利用者端末を通信可能に結合した健康情報管理システムであって、
前記ホストコンピュータは、
前記第1記憶手段から該当する健康情報登録者の健康情報を抽出し、該健康情報登録者の健康情報の少なくとも一部を含む情報及び/又はその健康情報を加工した情報を前記健康情報利用者端末に提供する健康情報提供手段、
前記健康情報提供手段によって提供された情報の出力対価を提供した情報に対する貢献度に応じて、前記健康情報提供者間で按分することにより、各健康情報提供に対する振り込み額をそれぞれ決定する配当額決定手段、
前記出力対価合計を健康情報利用者口座から引き去り、各健康情報登録者について対応する前記配当額を健康情報登録者口座に振り込むべく、前記第3記憶手段の記憶内容を更新する決済手段、
をさらに含むことを特徴とする、健康情報管理システムである。
また、本発明(2)は、健康情報登録者の個人情報と検診情報を含む健康情報を記憶する第1記憶手段、健康情報利用者から属性別に要求された提供仕様を記憶する第2記憶手段、該健康情報登録者と該健康情報利用者の口座情報を記憶する第3記憶手段とを少なくとも含むホストコンピュータと、該提供仕様を入力する入力手段と該ホストコンピュータから提供された情報を出力する出力手段を少なくとも含む健康情報利用者端末とを少なくとも含み、該ホストコンピュータと該健康情報利用者端末を通信可能に結合した健康情報管理システムであって、
前記ホストコンピュータは、
前記健康情報登録者毎に前記提供仕様に対する健康情報の一致度を算出し、該一致度に基づいて健康情報登録者の健康情報を分類し、該属性毎の頻度統計を導出する統計手段、
前記提供仕様及び/又は前記頻度統計に基づいて、前記第1記憶手段から該当する健康情報登録者の健康情報を抽出し、該健康情報登録者の健康情報の少なくとも一部を含む情報及び/又はその健康情報を加工した情報を前記健康情報利用者端末に提供する健康情報提供手段、
前記属性毎の提供仕様及び/又は前記頻度統計に基づいて、属性毎の分配係数を決定する分配係数決定手段、
前記健康情報提供手段によって提供された情報の出力対価を前記提供仕様単位で集計した出力対価合計から該提供仕様のための必要経費を控除した額を、対応する前記分配係数で重み付けした前記属性別の頻度の合計で按分することにより、分配単価を決定する損益計算手段、
前記出力対価合計を健康情報利用者口座から引き去り、各健康情報登録者について対応する属性の前記分配単価と前記分配係数の積をそれぞれの健康情報登録者口座に振り込むべく、前記第3記憶手段の記憶内容を更新する決済手段、
をさらに含むことを特徴とする、健康情報管理システムである。
本発明(3)は、前記一致度が、前記提供仕様における指定された健康情報のデータ列に対する類似度であることを特徴とする、本発明(2)の健康情報管理システム。
本発明(4)は、前記健康情報提供手段は、該当する健康情報登録者のうちランダム抽出によってさらに絞り込まれた健康情報登録者の健康情報及び/又はその加工した情報のみを前記健康情報利用者端末に提供するものであることを特徴とする、本発明(2)又は(3)の何れか1発明の健康情報管理システム。
本発明(5)は、前記分配係数決定手段が、属性毎の収益の期待値とその合計との比によって決定されることを特徴とする、本発明(2)〜(4)の何れか1発明の健康情報管理システム。
本発明(6)は、前記ホストコンピュータにおける、前記統計手段、前記健康情報提供手段、前記分配係数決定手段、前記損益計算手段、前記決済手段は、前記健康情報利用者から入力された提供仕様の数だけ、その入力順に実行し、逐次決済するものであることを特徴とする、本発明(2)〜(5)の何れか1発明の健康情報管理システム。
本発明(7)は、前記ホストコンピュータと通信可能に結合した、サービス情報出力用の健康情報登録者端末をさらに含むことを特徴とする、本発明(1)〜(6)の何れか1項記載の健康情報管理システム。
本発明(8)は、前記ホストコンピュータと通信可能に結合した、個人情報及び/又は検診情報送信用の健康情報登録者端末をさらに含むことを特徴とする、本発明(1)〜(6)の何れか1発明の健康情報管理システム。
本発明(9)は、ホストコンピュータと、提供仕様を入力する入力手段と該ホストコンピュータから提供された情報を出力する出力手段を少なくとも含む健康情報利用者端末とを少なくとも含み、該ホストコンピュータと該健康情報利用者端末を通信可能に結合したハードウェア資源上で、少なくとも次の各工程を実行することを特徴とする、健康情報管理方法。
健康情報登録者の個人情報と検診情報を含む健康情報を記憶する第1記憶工程、健康情報利用者から属性別に要求された提供仕様を記憶する第2記憶工程、該健康情報登録者と該健康情報利用者の口座情報を記憶する第3記憶工程、
前記第1記憶工程で記憶された健康情報から該当する健康情報登録者の健康情報を抽出し、該健康情報登録者の健康情報の少なくとも一部を含む情報及び/又はその健康情報を加工した情報を前記健康情報利用者端末に提供する健康情報提供工程、
前記健康情報提供工程で提供された情報の出力対価を提供した情報に対する貢献度に応じて、前記健康情報提供者間で按分することにより、各健康情報提供に対する振り込み額をそれぞれ決定する配当額決定工程、
前記出力対価合計を健康情報利用者口座から引き去り、各健康情報登録者について対応する前記配当額を健康情報登録者口座に振り込むべく、前記第3記憶工程で記憶された記憶内容を更新する決済工程。
本発明(10)は、ホストコンピュータと、提供仕様を入力する入力手段と該ホストコンピュータから提供された情報を出力する出力手段を少なくとも含む健康情報利用者端末とを少なくとも含み、該ホストコンピュータと該健康情報利用者端末を通信可能に結合したハードウェア資源上で、少なくとも次の各工程を実行することを特徴とする、健康情報管理方法。
健康情報登録者の個人情報と検診情報を含む健康情報を記憶する第1記憶工程、健康情報利用者から属性別に要求された提供仕様を記憶する第2記憶工程、該健康情報登録者と該健康情報利用者の口座情報を記憶する第3記憶工程と、
前記健康情報登録者毎に前記提供仕様に対する健康情報の一致度を算出し、該一致度に基づいて健康情報登録者の健康情報を分類し、該属性毎の頻度統計を導出する統計工程、
前記提供仕様及び/又は前記頻度統計に基づいて、前記第1記憶工程で記憶された健康情報から該当する健康情報登録者の健康情報を抽出し、該健康情報登録者の健康情報の少なくとも一部を含む情報及び/又はその健康情報を加工した情報を前記健康情報利用者端末に提供する健康情報提供工程、
前記属性毎の提供仕様及び/又は前記頻度統計に基づいて、属性毎の分配係数を決定する分配係数決定工程、
前記健康情報提供工程で提供された情報の出力対価を前記提供仕様単位で集計した出力対価合計から該提供仕様のための必要経費を控除した額を、対応する前記分配係数で重み付けした前記属性別の頻度の合計で按分することにより、分配単価を決定する損益計算工程、
前記出力対価合計を健康情報利用者口座から引き去り、各健康情報登録者について対応する属性の前記分配単価と前記分配係数の積をそれぞれの健康情報登録者口座に振り込むべく、前記第3記憶工程で記憶された記憶内容を更新する決済工程。
本発明(11)は、前記一致度が、前記提供仕様における指定された健康情報のデータ列に対する類似度であることを特徴とする、本発明(10)の健康情報管理方法。
本発明(12)は、前記健康情報提供工程は、該当する健康情報登録者のうちランダム抽出によってさらに絞り込まれた健康情報登録者の健康情報及び/又はその加工した情報のみを前記健康情報利用者端末に提供するものであることを特徴とする、本発明(10)又は(11)の何れか1発明の健康情報管理方法。
本発明(13)は、前記分配係数決定手段が、属性毎の収益の期待値とその合計との比によって決定されることを特徴とする、本発明(10)〜(12)の何れか1発明の健康情報管理方法。
本発明(14)は、前記統計工程、前記健康情報提供工程、前記分配係数決定工程、前記損益計算工程、前記決済工程は、前記健康情報利用者から入力された提供仕様の数だけ、その入力順に実行し、逐次決済するものであることを特徴とする、本発明(10)〜(13)の何れか1発明の健康情報管理方法。
本発明(15)は、前記ハードウェア資源が、前記ホストコンピュータと通信可能に結合した、サービス情報出力用の健康情報登録者端末をさらに含むことを特徴とする、本発明(9)〜(14)の何れか1発明の健康情報管理方法。
本発明(16)は、前記ハードウェア資源が、前記ホストコンピュータと通信可能に結合した、個人情報及び/又は検診情報送信用の健康情報登録者端末をさらに含むことを特徴とする、本発明(9)〜(14)の何れか1項記載の健康情報管理方法。
本発明(17)は、本発明(9)〜(16)の何れか1発明の健康情報管理方法を機械により読み取り可能に記録した記録媒体。
本発明(18)は、本発明(9)〜(16)の何れか1発明の健康情報管理方法を機械により実行可能に伝送する伝送媒体。
【0016】
ここで、「健康情報登録者」とは、本発明にかかる健康情報管理システムへの加入に同意し、個人を特定しうる情報を含む所要の個人情報と、検査結果や診断結果に関する、少なくとも一項目以上の検診結果情報を格納した会員のことをいう。一方、「健康情報利用者」とは、製薬企業に代表される、本発明にかかる健康管理システムによって提供される検診結果情報等を有償にて入手を希望するセクターのことである。
【0017】
また、「健康情報」とは、氏名、住所、性別、年齢、病歴、家族歴、生活習慣、嗜好等の個人を特定できる情報を含むいわゆる個人情報と、受診した検査結果、該検査結果から医師等によって下される診断結果等からなる検診結果情報を少なくとも含む、健康情報登録者毎に格納される情報の総称である。ここで、前記検診結果情報を類型化すると、各種検査によって得られた数値等の具体値データからなり解釈等の余地のない分子情報と、個人情報や該分子情報を総合して医師等によって下された診断結果情報に大別される。なお、この分子情報には、経時的な検査結果における推移などの分子病態情報(エンドポイントマーカーなどの具体的な分子の有無やその増減で客観的に表現されるものであり、疾病の有無や推移、治療薬の服用前後などで変動するものが含まれる。)と、一塩基多型などに代表される、個人の体質の規定に関わり経時的に変化しない体質情報が含まれうる。
【0018】
「属性」とは、健康情報利用者が情報の開示を希望する対象群の類型のことであり、例えば、(個人を特定できる情報を除く)年齢、性別、既往歴等の前記個人情報、並びに前記分子情報や前記診断結果情報のうちの全部又は一部の検診結果情報の組み合わせによって構成され、健康情報利用者によって発注毎に設定されるものである。そして、「提供仕様」とは、その発注毎に設定される属性に関する情報を少なくとも含み、その属性毎に設定された情報開示を求める症例数やその単価等の情報を含んだ、発注内容の総称のことである。
【0019】
「口座情報」とは、本健康情報管理システムの処理を巡る、健康情報登録者並びに健康情報利用者単位の課金口座の情報である。前者については、入会金の振り込み、検査費用等の引き落とし、システム運用益の振り込み等の金銭収支に関する情報であり、一方後者は、本システムから提供された情報の対価としての引き去り等の金銭収支に関する情報である。
【0020】
「一致度」とは、各健康情報の前記属性への属否を代表的なものとし、さらには、属性を構成する個人情報並びに検診情報の具体値の組み合わせに対する各健康情報の類似度(ホモロジー)等であってもよい。その定義は、健康情報利用者の設定した提供仕様の内容による。そして、「頻度統計」とは、かかる一致度を基準に、各健康情報を健康情報登録者単位で類型化した際の、一致度(類似度)に対する度数分布(ヒストグラム)を代表的なものとする。
【0021】
「分配係数」とは、健康情報利用者から支払われる出力対価の、各健康情報登録者への分配比率に関する係数で、提供仕様単位で属性毎に設定される。例えば、提供仕様に一致度毎の情報提供1件当たりの価格とその情報数が指定されている場合や本健康情報管理システム側で予め情報の提供価格が属性毎に設定されている場合にあっては、その頻度統計から逆算される損益配分比率に関する係数である。その外、情報の需要と供給の関係によって相対的に決まる提供価格に基づいて、頻度統計から逆算して求めることもできる。
【0022】
同様に、「情報の出力対価」についても、提供仕様で指定される場合もあれば、本健康情報管理システム側で予め定価の形で設定されている場合もありうる。そして、「出力対価合計」は、その属性毎の出力対価を提供仕様単位で集計した合計額のことである。そして、出力対価合計から必要経費を控除した額を、対応する分配係数で重み付けした属性別の頻度の合計で按分することで、単位貢献当たりの分配額が決定される。この単位貢献当たりの分配額のことを「分配単価」とよぶ。
【0023】
「健康情報登録者の健康情報の少なくとも一部を含む情報及び/又はその健康情報を加工した情報」とは、個人情報保護の観点から健康情報利用者に提供できない健康情報があることから、前者は、一部をマスキングした健康情報や提供仕様から必要のない情報を分離した後の健康情報をいい、後者は、健康情報登録者の個々の健康情報自体ではなく、それらの情報から本健康情報管理システムが二次的な情報を抽出し、更なる付加価値を持たせた加工情報の総称である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明にかかるシステム構成の概要を図1に示す。本システムの中核部分であるホストコンピュータ(host)には、処理を統括する中央演算ユニット(CPU)を有し、該中央演算ユニット(CPU)は、会員であるところの健康情報登録者の個人情報と検診結果情報を含む健康情報を記憶する第1記憶手段(DB1)、製薬企業等、健康情報の入手利用を希望する健康情報利用者から寄せられる健康情報の提供仕様を利用者毎に独立に記憶する第2記憶手段(DB2)、前記健康情報登録者と健康情報利用者のそれぞれの決済口座についての口座情報を第3記憶手段のそれぞれとバスライン(BL)を介して接続しており、必要に応じて各記憶手段内を検索して所望の情報を読み出すことができる。
【0025】
ここで、第1記憶手段には、会員として登録する際に自己申告した氏名、年齢、住所、既往歴、家族歴等の個人情報を格納するとともに、各会員が入会後に行う検査や診断の結果についても格納される。なお、具体的な数値や自然語として生のデータを格納するほかに、検索利用時の便宜を考えて、所定の量子化処理(例えば、検査の陽性が「1」で、陰性が「0」。)を施して格納しておくことが望ましい。
【0026】
一方、第2記憶手段には、健康情報利用者が本管理システムに対して提供を求める仕様について、利用者毎に独立して記憶されている。具体的には、第1記憶手段に格納されている各項目(個人を特定できる情報を除く個人情報や検診結果情報)の具体値の組み合わせから構成される属性、希望情報量とその単価とともに指定された情報の提供仕様が記憶されている。治験等にあっては、フェーズに応じて必要とされる対象者のタイプも異なれば、その対象者の人数も異なることから、健常者群を含む重篤度別の登録者数とそれぞれの1登録者当たりの情報提供単価等が提供仕様として予め指定される。
【0027】
但し、提供を求める情報の種類としては、具体的な検査結果データや診断結果データに限るものではなく、対象群に対して、管理システム側から治験参加についての同意書を発行してもらうことを前提として、それに同意した者の個人情報といった情報も指定できる。この場合の単価は、取得された同意書一件当たりの単価ということになる。
【0028】
また、このホストコンピュータ(host)は、インターネット等のネットワーク技術を介して、個々の製薬企業等、健康情報利用者(C1〜Cn)の端末(T-C1〜T-Cn)と接続している。この端末(T-C1〜T-Cn)には、提供仕様を入力するための入力手段と該提供仕様に従ってホストコンピュータから提供される情報を出力するための出力手段を含む。
【0029】
その他、このホストコンピュータ(host)は、オープンネットワーク乃至は専用回線を通じて金融機関(bank)の中央演算ユニット(CPU)と接続しており、前記第3記憶手段に記憶された口座情報に基づき、金融機関に開設されている実口座に対して、振り込みや引き落としといった処理を実行することを可能とする。
【0030】
更に、ホストコンピュータ(host)が、インターネット等のネットワークを介して、個々の健康情報登録者とも接続する場合もある。例えば、治験に参加する者を募集する態様にあっては、同意書の発行プロセス等を実行するためのものであり、また、検査情報が在宅にて収集可能である態様にあっては、その検査情報を、自動的にネットワークを介して第1記憶手段に格納するためのものである。
【0031】
一方、ホストコンピュータ(host)の中央演算ユニット(CPU)には、少なくとも次の5つの分析エンジン機能を備えている。即ち、(i)統計手段、(ii)健康情報提供手段、(iii)分配係数決定手段、(iv)損益計算手段、及び(v)決済手段の5つの機能実現手段である。
【0032】
まず、統計手段(E1)は、前記健康情報登録者毎に前記提供仕様に対する健康情報の一致度を算出し、該一致度に基づいて健康情報登録者の健康情報を分類し、該属性毎の頻度統計を導出する機能実現手段である。第1記憶手段に格納されている健康情報登録者の健康情報と第2記憶手段に格納されている健康情報利用者から指定された提供仕様の属性とを比較し、一致性を評価する。場合によっては、必ずしも完全一致する健康情報登録者が必要数存在しない場合もあるので、類似度等をもって、指定属性に近い者から指定された情報量分だけを情報提供の対象とすることもある。
【0033】
次に、健康情報提供手段(E2)は、提供仕様及び/又は頻度統計に基づいて、前記第1記憶手段から該当する健康情報登録者の健康情報を抽出し、該健康情報登録者の健康情報の少なくとも一部を含む情報及び/又はその健康情報を加工した情報を健康情報利用者端末に提供する機能実現手段である。健康情報の抽出の基準は、提供仕様と頻度統計の、何れか一方でも良いし、それを組み合わせたものであっても構わない。即ち、例えば、提供仕様で指定される属性に対して完全一致する健康情報登録者が提供仕様に指定される情報量より多い場合には、ランダム抽選等の手段により絞り込まれた情報が提供され、一方少ない場合には、完全一致した健康情報登録者全員の情報に加えて、不足分を類似度の高い属性群からランダム抽出しても良い。
【0034】
また、分配係数決定手段(E3)は、前記属性毎の提供仕様及び/又は前記頻度統計に基づいて、属性分類毎の分配係数を決定する機能実現手段である。そもそも、本健康情報管理システムは、会員の健康情報等を、製薬企業等に提示し、その対価を受けることで収益を上げ、会員にその収益に対する貢献度に応じて配当するシステムであることから、ここでいう収益に対する貢献度に相当する計算処理上の概念として、収益の分配係数を決める必要がある。提供仕様が属性毎に指定されていることから、この分配係数も属性毎に決定される。例えば、指定属性に完全一致する群にのみに利益を還元し、その他の群には還元しない、シンプルな配分規則の場合にあっては、完全一致する群の分配係数が、"指定属性に完全一致した登録者の人数分の1"であるのに対し、その他の属性の登録者の分配係数は、"0"となる。
【0035】
一方、損益計算手段(E4)は、前記健康情報提供手段によって提供された情報の出力対価を前記提供仕様単位で集計した出力対価合計から該提供仕様のための必要経費を控除した額を、対応する前記分配係数で重み付けした前記属性別の頻度の合計で按分することにより、分配単価を決定する機能実現手段である。本健康情報管理システムは、提供仕様単位で、属性毎に収支をとることを基本とするシステムであることから、そこでの必要経費は、属性に依らず提供仕様単位で全ての健康情報登録者に公平に分配されるべき性格のものである。従って、提供仕様等に基づいて各属性の群が獲得する出力対価を集計し、前記分配係数決定手段(E3)によって属性毎に求めた分配係数で重み付けした属性頻度別の頻度の合計で按分することで、単位貢献当たりの分配単価が提供仕様毎に決定できる。
【0036】
さらに、決済手段(E5)は、前記出力対価合計を健康情報利用者口座から引き去り、各健康情報登録者について対応する属性の前記分配単価と前記分配係数の積をそれぞれの健康情報登録者口座に振り込むべく、前記第3記憶手段の記憶内容を更新する機能実現手段である。前記損益計算手段によって、単位貢献当たりの分配単価が提供仕様毎に決定されているために、この分配単価に、対応する前記分配係数決定手段によって属性毎に決定された分配係数をかけることで、当該提供仕様にかかる健康情報登録者個々への配当額が算出でき、該配当額が、健康情報登録者口座の振り込み額として反映されるように第3記憶手段の内容が更新される。
【0037】
一方、本健康情報管理システムを実際に運用する場合の情報と金品の流れの全体鳥瞰図を図2に示す。まず、会員となる者が、管理者側に検体と受診料を送る。具体的には、前述の従来の技術のように、受診料を試験容器の購入代金として支払い、所定の様式に従った申し込み用紙を添えて検体を郵送するなどの方法が考えられる。
【0038】
管理者側は、検体と申し込み用紙を受領し、氏名、年齢、性別、既往歴、問診結果などの個人情報を第1記憶手段に格納するとともに、検体を検査・解析し、その結果についても、情報として第1記憶手段に格納する。同一の検査が複数回行われる場合にあっては、その経時的変化である分子病態情報が抽出し易いように格納される。ここで、検体の解析自体は、管理者側が直接行っても良いし、解析業者に解析料を支払って、解析してもらったデータを受け取っても良い。
【0039】
ここで、個人情報の漏洩の危険を考慮して、通常、個人を特定可能な個人情報の一部を切り離す等の匿名化処理が施される。こうして個人を特定可能な情報から分離された健康情報の群が出来上がる。この状態のままの健康情報であっても活用することは可能であるが、効率的且つ詳細な類型化を実現するために、分析エンジンによって知見される(又は既に知見されている)カスケード等に基づいて、ターゲット集団を抽出する際に必要となる検診結果情報のみに絞り込む整理処理を行うとともに、第1記憶手段に記憶された生のデータを所望の類型化に適した値に再量子化し、所要の分子情報への翻訳処理がなされることが望ましい。
【0040】
こうして得られた個人情報並びに分子情報に基づいて、診断や解析が行われ、その結果が会員である健康情報登録者に紐付けて第1記憶手段における健康情報の内容が更新される。これを受けて、その診断結果等が各会員に送付されることになる。
【0041】
その一方で、個人情報、分子情報や解析結果等の検診結果情報の蓄積は、製薬企業等の研究機関(client)にとって非常に魅力的な価値ある情報となることから、健康情報利用者とのビジネスが成立しうる環境が調う。ここで、喘息や花粉症に保険適用を有するロイコトリエンC4受容体拮抗剤(商品名:プランルカスト)について、月経困難症への適用の治験を計画した場合を例にして説明する。すなわち、月経血中にロイコトリエンC4濃度をELISA法で測定した結果、鎮痛剤が無効な月経困難症症例の30%について200pg/ml以上の高値を示すことが判明し、それらの症例に対してロイコトリエンC4受容体拮抗剤(商品名:プランルカスト)を投薬した結果、症状が軽減乃至消失する有効症例(レスポンダー)の存在が確認されたことから、ロイコトリエンC4受容体拮抗剤(商品名:プランルカスト)の月経困難症への適用についての治験が想定される。
【0042】
しかしその一方で、症状が変化しない無効症例(ノンレスポンダー)の存在も明らかになっている。そこで、ロイコトリエン合成酵素の遺伝子多型を解析したところ、LTC4S-444が変異型Cにホモ若しくはヘテロで置換されている症例では80%がレスポンダーであるのに対し、A/Aホモの場合には大多数がノンレスポンダーであり、しかも副作用を呈する症例を認めている。
【0043】
こうした状況を踏まえると、月経困難症の患者に対してランダムに治験を実施した場合、日本人女性の65%が、LTC4S-444がA/Aホモのノンレスポンダーであるため、約2/3が無効症例となることが予想される。有効な治験症例数が仮に100症例必要であるとした場合、300症例以上の治験が必要となり、一症例当たり200万円程度の治験費用を要すると予想されるために、少なくとも200症例分の少なくとも約4億円の無駄な支出を覚悟しなければならない。
【0044】
ここで、ロイコトリエン合成酵素の遺伝子多型に関する情報が事前に判明している集団を対象に被験者を募集することができれば、LTC4S-444が変異型Cにホモ若しくはヘテロで置換されている人(すなわち、28%を占めるA/C若しくは7%を占めるC/Cの症例者)のみを対象に治験を実施することができることから、無効症例を大幅に減らすことができ、ひいては製薬会社等の無駄な支出を削減できる。
【0045】
これに対し、本発明の健康情報管理システムの構築には、その検査に要する費用は1症例当たり3000円程度に過ぎず、しかも月経困難症と診断されている者に絞って当該検査を実施すれば良いことから、(会員数の規模にも依るが)製薬会社等が節約できる費用に比して格段に小さい投資となる。また検査によっては、他の治験薬についての被験者絞込み時にも活用できる汎用的な検査もあることから、システム平均での製薬会社等が節約できる費用に比しての投資額の割合は一層小さくなると考えられる。
【0046】
健康情報利用者側から入力される情報提供仕様に基づいて、情報開示が行われる。その情報開示の対価が健康情報管理システム側に支払われる。
【0047】
健康情報利用者から支払われる対価は、いわば会員によって登録された健康情報をシステムが運用したことによって創出された運用益であると考えられることから、システムの運営費用等の必要経費を控除した上で、運用益に対する貢献の度合いに応じて配当として各会員に分配される。これによって、各会員は、高価な検査であってもその一部が配当によって賄われることから、比較的廉価での受診を可能にする。
【実施例】
【0048】
図3は、ある新薬に対する治験計画を企図する健康情報利用者から、検査項目α(例えば、月経血中のロイコトリエンC4濃度)が陽性(例えば、200pg/ml以上)、βが陰性、γが陰性、・・・、ω(例えば、LTC4S-444)が陽性(例えば、「A/C」又は「C/C」)という属性について単価x(=10,000)円で100件、それ以外の属性(例えば、対照群が必要な場合)については、単価y(=2,000)円で100件の情報開示を求める提供仕様が入力された場合の処理である。ここでの情報開示とは、該当属性の者に治験への参加についての同意書を発行し、それに同意した会員にアクセスするための最低限の個人情報をいう。
【0049】
図3の統計手段(E1)により、提供仕様に指定される各検査項目の陽陰のデータ列に対する、第1記憶手段に予め格納されている各健康情報登録者の健康情報から抽出された対応データ列がそれぞれ照合され、一致度(類似度)別にヒストグラムを作成される。ヒストグラムの横軸である類似度は周知のデータ列の類似度検索エンジンを利用できる。なお、以降、説明を簡単にするために、データ列が完全一致するか否かのみでの属性分類に留める。
【0050】
従って、提供仕様に指定される属性にn(=200)人が属し、それ以外の属性にはm-n(=800)人が属する一方、各属性による収益は、提供仕様に指定される属性がx×100(=1,000,000)円、それ以外の属性がy×100(=200,000)円となることから、その合計額(=¥1,200,000)が、当該提供仕様を発注した健康情報利用者口座から引き落とされるように第3記憶手段の記憶内容が更新される。
【0051】
一方、図3には、分配係数決定手段(E3)が、それぞれの分配係数を、属性毎の収益の期待値とその合計との比によって決定する場合が例示されており、属性に合致する群と合致しない群の分配係数は、それぞれ分配係数ε1が(x×100)/n(=0.995)、分配係数ε0が(y×100)/m-n(=0.005)と算出される。さらに、図4の損益計算手段(E4)により、分配単価が、当該提供仕様にかかる経費がcost(¥200,000=¥1,000×200例)のときに、(x×100+y×100−cost)/(n×ε1+(m-n)×ε0)(=\4,930)と算出される。
【0052】
そして、図4の決済手段(E5)により、この分配単価に該当する分配係数(ε1又はε0)を掛けたものが、それぞれの会員である健康情報登録者への配当としての振り込み額(該当者群=¥4,900、非該当者群=¥25)となり、それぞれの第3記憶手段の記憶内容が更新される。
【0053】
なお、分配係数の決定の手法は、これに限るものではなく、提供仕様単位で、運用益の創出に対する貢献度に見合った形で配当額が決まるものであれば、提供仕様に範囲内で如何なるものも許容される。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、検診等により収集された健康情報の一部を含む情報及び/又はそれを加工した情報を、その匿名性を担保しつつ、その情報の提供を希望する者に提供し、その対価としての運用益を各健康情報登録者にその貢献度に応じて配分する健康情報管理システムを提供するものである。
【0055】
さらに、本発明は、健康情報登録者が登録した健康情報を、その健康情報を求める健康情報利用者に積極的に開示し、その対価を健康情報利用者から徴収し、その運用益を各健康情報登録者に貢献度に応じて配当として還元することにより、検査料を補填しつつ、さらに健康情報自体を基にして金銭的な運用を積極的に行う健康情報管理システムを提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明のシステム構成についての概略図
【図2】本発明を巡る情報と金品の流れを説明する模式図
【図3】本発明の実施例1における処理過程の説明図(その1)
【図4】本発明の実施例1における処理過程を説明図(その2)
【符号の説明】
【0057】
Host ホストコンピュータ
CPU 中央演算ユニット
E1 統計手段
E2 健康情報提供手段
E3 分配係数決定手段
E4 損益計算手段
E5 決済手段
DB1 第1記憶手段
DB2 第2記憶手段
DB3 第3記憶手段
BL バスライン
R 通信手段
C1〜Cn 健康情報利用者
T-C1〜Cn 健康情報利用者端末
Med-A〜X 治験薬
M1〜Mm 健康情報登録者
T-M1〜Mm 健康情報登録者端末
C 同意書
Bank 決済金融機関
DB-bank 預金情報記憶手段
A-M1〜Cn 健康情報登録者(健康情報利用者)口座ファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
健康情報登録者の個人情報と検診情報を含む健康情報を記憶する第1記憶手段、健康情報利用者から属性別に要求された提供仕様を記憶する第2記憶手段、該健康情報登録者と該健康情報利用者の口座情報を記憶する第3記憶手段とを少なくとも含むホストコンピュータと、前記提供仕様を入力する入力手段と前記ホストコンピュータから提供された情報を出力する出力手段を少なくとも含む健康情報利用者端末とを少なくとも含み、前記ホストコンピュータと前記健康情報利用者端末を通信可能に結合した健康情報管理システムであって、
前記ホストコンピュータは、
前記第1記憶手段から該当する健康情報登録者の健康情報を抽出し、該健康情報登録者の健康情報の少なくとも一部を含む情報及び/又はその健康情報を加工した情報を前記健康情報利用者端末に提供する健康情報提供手段、
前記健康情報提供手段によって提供された情報の出力対価を提供した情報に対する貢献度に応じて、前記健康情報提供者間で按分することにより、各健康情報提供に対する振り込み額をそれぞれ決定する配当額決定手段、
前記出力対価合計を健康情報利用者口座から引き去り、各健康情報登録者について対応する前記配当額を健康情報登録者口座に振り込むべく、前記第3記憶手段の記憶内容を更新する決済手段、
をさらに含むことを特徴とする、健康情報管理システム。
【請求項2】
健康情報登録者の個人情報と検診情報を含む健康情報を記憶する第1記憶手段、健康情報利用者から属性別に要求された提供仕様を記憶する第2記憶手段、該健康情報登録者と該健康情報利用者の口座情報を記憶する第3記憶手段とを少なくとも含むホストコンピュータと、該提供仕様を入力する入力手段と該ホストコンピュータから提供された情報を出力する出力手段を少なくとも含む健康情報利用者端末とを少なくとも含み、該ホストコンピュータと該健康情報利用者端末を通信可能に結合した健康情報管理システムであって、
前記ホストコンピュータは、
前記健康情報登録者毎に前記提供仕様に対する健康情報の一致度を算出し、該一致度に基づいて健康情報登録者の健康情報を分類し、該属性毎の頻度統計を導出する統計手段、
前記提供仕様及び/又は前記頻度統計に基づいて、前記第1記憶手段から該当する健康情報登録者の健康情報を抽出し、該健康情報登録者の健康情報の少なくとも一部を含む情報及び/又はその健康情報を加工した情報を前記健康情報利用者端末に提供する健康情報提供手段、
前記属性毎の提供仕様及び/又は前記頻度統計に基づいて、属性毎の分配係数を決定する分配係数決定手段、
前記健康情報提供手段によって提供された情報の出力対価を前記提供仕様単位で集計した出力対価合計から該提供仕様のための必要経費を控除した額を、対応する前記分配係数で重み付けした前記属性別の頻度の合計で按分することにより、分配単価を決定する損益計算手段、
前記出力対価合計を健康情報利用者口座から引き去り、各健康情報登録者について対応する属性の前記分配単価と前記分配係数の積をそれぞれの健康情報登録者口座に振り込むべく、前記第3記憶手段の記憶内容を更新する決済手段、
をさらに含むことを特徴とする、健康情報管理システム。
【請求項3】
前記一致度が、前記提供仕様における指定された健康情報のデータ列に対する類似度であることを特徴とする、請求項2記載の健康情報管理システム。
【請求項4】
前記健康情報提供手段は、該当する健康情報登録者のうちランダム抽出によってさらに絞り込まれた健康情報登録者の健康情報及び/又はその加工した情報のみを前記健康情報利用者端末に提供するものであることを特徴とする、請求項2又は3の何れか1項記載の健康情報管理システム。
【請求項5】
前記分配係数決定手段が、属性毎の収益の期待値とその合計との比によって決定されることを特徴とする、請求項2〜4の何れか1項記載の健康情報管理システム。
【請求項6】
前記ホストコンピュータにおける、前記統計手段、前記健康情報提供手段、前記分配係数決定手段、前記損益計算手段、前記決済手段は、前記健康情報利用者から入力された提供仕様の数だけ、その入力順に実行し、逐次決済するものであることを特徴とする、請求項2〜5の何れか1項記載の健康情報管理システム。
【請求項7】
前記ホストコンピュータと通信可能に結合した、サービス情報出力用の健康情報登録者端末をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項記載の健康情報管理システム。
【請求項8】
前記ホストコンピュータと通信可能に結合した、個人情報及び/又は検診情報送信用の健康情報登録者端末をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項記載の健康情報管理システム。
【請求項9】
ホストコンピュータと、提供仕様を入力する入力手段と該ホストコンピュータから提供された情報を出力する出力手段を少なくとも含む健康情報利用者端末とを少なくとも含み、該ホストコンピュータと該健康情報利用者端末を通信可能に結合したハードウェア資源上で、少なくとも次の各工程を実行することを特徴とする、健康情報管理方法。
健康情報登録者の個人情報と検診情報を含む健康情報を記憶する第1記憶工程、健康情報利用者から属性別に要求された提供仕様を記憶する第2記憶工程、該健康情報登録者と該健康情報利用者の口座情報を記憶する第3記憶工程、
前記第1記憶工程で記憶された健康情報から該当する健康情報登録者の健康情報を抽出し、該健康情報登録者の健康情報の少なくとも一部を含む情報及び/又はその健康情報を加工した情報を前記健康情報利用者端末に提供する健康情報提供工程、
前記健康情報提供工程で提供された情報の出力対価を提供した情報に対する貢献度に応じて、前記健康情報提供者間で按分することにより、各健康情報提供に対する振り込み額をそれぞれ決定する配当額決定工程、
前記出力対価合計を健康情報利用者口座から引き去り、各健康情報登録者について対応する前記配当額を健康情報登録者口座に振り込むべく、前記第3記憶工程で記憶された記憶内容を更新する決済工程。
【請求項10】
ホストコンピュータと、提供仕様を入力する入力手段と該ホストコンピュータから提供された情報を出力する出力手段を少なくとも含む健康情報利用者端末とを少なくとも含み、該ホストコンピュータと該健康情報利用者端末を通信可能に結合したハードウェア資源上で、少なくとも次の各工程を実行することを特徴とする、健康情報管理方法。
健康情報登録者の個人情報と検診情報を含む健康情報を記憶する第1記憶工程、健康情報利用者から属性別に要求された提供仕様を記憶する第2記憶工程、該健康情報登録者と該健康情報利用者の口座情報を記憶する第3記憶工程と、
前記健康情報登録者毎に前記提供仕様に対する健康情報の一致度を算出し、該一致度に基づいて健康情報登録者の健康情報を分類し、該属性毎の頻度統計を導出する統計工程、
前記提供仕様及び/又は前記頻度統計に基づいて、前記第1記憶工程で記憶された健康情報から該当する健康情報登録者の健康情報を抽出し、該健康情報登録者の健康情報の少なくとも一部を含む情報及び/又はその健康情報を加工した情報を前記健康情報利用者端末に提供する健康情報提供工程、
前記属性毎の提供仕様及び/又は前記頻度統計に基づいて、属性毎の分配係数を決定する分配係数決定工程、
前記健康情報提供工程で提供された情報の出力対価を前記提供仕様単位で集計した出力対価合計から該提供仕様のための必要経費を控除した額を、対応する前記分配係数で重み付けした前記属性別の頻度の合計で按分することにより、分配単価を決定する損益計算工程、
前記出力対価合計を健康情報利用者口座から引き去り、各健康情報登録者について対応する属性の前記分配単価と前記分配係数の積をそれぞれの健康情報登録者口座に振り込むべく、前記第3記憶工程で記憶された記憶内容を更新する決済工程。
【請求項11】
前記一致度が、前記提供仕様における指定された健康情報のデータ列に対する類似度であることを特徴とする、請求項10記載の健康情報管理方法。
【請求項12】
前記健康情報提供工程は、該当する健康情報登録者のうちランダム抽出によってさらに絞り込まれた健康情報登録者の健康情報及び/又はその加工した情報のみを前記健康情報利用者端末に提供するものであることを特徴とする、請求項10又は11の何れか1項記載の健康情報管理方法。
【請求項13】
前記分配係数決定手段が、属性毎の収益の期待値とその合計との比によって決定されることを特徴とする、請求項10〜12の何れか1項記載の健康情報管理方法。
【請求項14】
前記統計工程、前記健康情報提供工程、前記分配係数決定工程、前記損益計算工程、前記決済工程は、前記健康情報利用者から入力された提供仕様の数だけ、その入力順に実行し、逐次決済するものであることを特徴とする、請求項10〜13の何れか1項記載の健康情報管理方法。
【請求項15】
前記ハードウェア資源が、前記ホストコンピュータと通信可能に結合した、サービス情報出力用の健康情報登録者端末をさらに含むことを特徴とする、請求項9〜14の何れか1項記載の健康情報管理方法。
【請求項16】
前記ハードウェア資源が、前記ホストコンピュータと通信可能に結合した、個人情報及び/又は検診情報送信用の健康情報登録者端末をさらに含むことを特徴とする、請求項9〜14の何れか1項記載の健康情報管理方法。
【請求項17】
請求項9〜16の何れか1項記載の健康情報管理方法を機械により読み取り可能に記録した記録媒体。
【請求項18】
請求項9〜16の何れか1項記載の健康情報管理方法を機械により実行可能に伝送する伝送媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−127122(P2006−127122A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−314035(P2004−314035)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(504401709)株式会社ピリオドック (3)
【Fターム(参考)】