説明

健康状態インジケータを備えた患者監視システム

【課題】患者監視システムを提供する。
【解決手段】患者監視システムは、患者の健康状態を評価して、その患者についての健康状態インジケータを生成するように構成されているコンピュータを含む。健康状態インジケータは、患者の評価された健康状態を視覚的に伝えるように構成されている視覚的勾配を有する。システムはまた、コンピュータに動作上接続された表示装置を含む。表示装置は、視覚的勾配を有する健康状態インジケータを表示するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康状態インジケータを備えた患者監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数患者(multi-patient) 表示装置は、一人の技術者により複数の患者を大体同時に監視することを可能にする。複数患者表示装置は、通常、複数の技術者が一つの場所から多数の患者を包括的に監視するようにした集中患者監視システム内に実装され、また複数の異なる患者に関する患者データを病院の廊下において視覚的に伝える廊下表示システム内に実装される。
【0003】
幾種類かの従来の複数患者表示装置は、一人の技術者により96人もの患者を監視することができるよう構成されている。このような従来の複数患者表示装置による1つの問題は、全ての表示された情報を評価して、注意を必要とする特定の患者を識別することが困難である虞があることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6292184号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本書では上述の短所、欠点及び問題に対処するが、それは以下の記載を読んで理解することによって明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態におけるシステムでは、患者の健康状態を評価して、その患者についての健康状態インジケータを生成するように構成されているコンピュータを含む。健康状態インジケータは、患者の評価された健康状態を視覚的に伝えるように構成されている視覚的勾配(visual gradient) を有する。システムはまた、コンピュータに動作上接続された表示装置を含む。表示装置は、視覚的勾配を有する健康状態インジケータを表示するように構成される。
【0007】
別の実施形態における患者監視システムでは、複数の患者の各々についての健康状態インジケータを生成するように構成されているコンピュータを含む。健康状態インジケータは、可変範囲の色飽和度及び/又は強度により患者の健康状態評価を視覚的に伝えるように構成されている色勾配を含む。患者監視システムはまた、コンピュータに動作上接続された複数患者表示装置を含む。複数患者表示装置は、複数の患者の各々についての健康状態インジケータを大体同時に表示するように構成される。
【0008】
別の実施形態における方法では、複数の患者の各々から患者データを取得する段階を含む。本方法はまた、患者データに基づいて複数の患者の各々の健康状態を評価して、複数の患者の各々についての健康状態インジケータを生成するようにコンピュータを具現する段階を含む。健康状態インジケータは、可変範囲の色飽和度及び/又は強度により健康状態評価を視覚的に伝えるように構成される。本方法はまた、複数の患者の各々についての健康状態インジケータを大体同時に表示する段階を含む。
【0009】
本発明の様々な他の特徴、目的及び利点が、当業者には、添付の図面及び図面についての詳しい説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、一実施形態に従った集中患者監視システムの概略図である。
【図2】図2は、一実施形態に従った図1の集中患者監視システムの複数患者表示装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳しい説明では、その一部を形成すると共に、実施することのできる特定の実施形態を例として示す添付の図面を参照する。それらの実施形態は、当業者が実施することができるほどに詳しく説明するが、他の実施形態を利用することができること、及びそれらの実施形態の範囲から逸脱することなく論理的、機械的、電気的及び他の変更を行うことができることを理解されたい。従って、以下の詳しい説明は、本発明の範囲を制限するものと考えるべきではない。
【0012】
図1について説明すると、一実施形態に従った患者監視システム10が示されている。患者監視システム10はコンピュータ12及び表示装置14を含む。患者監視システム10は、以後、一実施形態に従って、一人の技術者16により複数の患者18a〜18nを大体同時に監視することができるように構成されている集中患者監視システム10として説明する。しかしながら、他の監視システムも想定できることが理解されよう。同様に、表示装置14は、以後、一実施形態に従って、複数患者表示装置14として説明する。しかしながら、他の種類の表示装置も想定することができる。1つの代替実施形態では、表示装置14は単一患者表示装置を有することができる。
【0013】
コンピュータ12は複数の個別患者監視システム20a〜20nに接続される。個別患者監視システム20a〜20nは、それぞれ一人ずつ患者18a〜18nを監視して、監視している特定の特性に基づいて患者データを生成し、且つその患者データをコンピュータ12へ伝送するように構成されている。非制限的態様では、個別患者監視システム20a〜20nは、各々、心電計、血圧モニタ、体温計、及び/又はパルス酸素濃度計を有することができる。これに対応して、個別患者監視システム20a〜20nによって生成された患者データは、心電図(ECG)データ、血圧データ、体温データ、及び/又はパルスデータを有することができる。
【0014】
コンピュータ12は、各患者の健康状態を評価するために患者監視システム20a〜20nからの患者データを評価するように構成される。非制限的態様では、コンピュータ12は、患者データの大きさ及び/又はデータの変化速度を分析することによって患者の健康状態を評価するように構成することができる。一例として、心拍数データが第1の所定の値よりも低下することは、患者の健康状態が中程度であって、近い将来に注意が必要になることを示しており、他方、心拍数データが第2の所定の値よりも低下することは、患者の健康状態が悪くなっていて、即時の手当を必要としていることを示している。
【0015】
コンピュータ12はまた、各々の監視対象の患者についてユーザー・インターフェースを生成するように構成される。一実施形態によれば、各々のユーザー・インターフェースは、生の患者データ及び視覚可能な健康状態インジケータを有する。図2に複数の模範的なユーザー・インターフェース100〜130及び健康状態インジケータ132〜138が示されている。後でより詳しく説明するように、各々の健康状態インジケータは、例えば、非常に良好な健康状態から極めて悪い健康状態に至る広い範囲の患者の健康状態評価を視覚的に伝えるように具現することができる。
【0016】
複数患者表示装置14はコンピュータ12に接続されており、且つ複数の異なる患者の各々についてのユーザー・インターフェースを視覚的に提供するように構成されている。図2に示された実施形態では、複数患者表示装置14は16個の明確な領域に分割されており、その各領域は、技術者16が単一の表示装置により16人の異なる患者を大体同時に監視できるように、異なるユーザー・インターフェースを視覚的に提供するように構成されている。しかしながら、別の複数患者表示装置構成も考えられることを理解されたい。
【0017】
これまで患者の健康状態を評価するための集中患者監視システム10の動作を説明したが、このような情報を視覚的に提供するための複数患者表示装置14の具現例を以下に詳しく説明する。図2を参照して説明すると、一実施形態に従った複数患者表示装置14が示されている。複数患者表示装置14は、コンピュータ12からの入力に基づいて16個のユーザー・インターフェース100〜130を大体同時に表示するように構成されている。一実施形態によれば、各々のユーザー・インターフェースは生の患者データ(図示せず)及び視覚可能な健康状態インジケータ(例えば、状態インジケータ132〜138)を有する。生の患者データは、一般的に、各患者のより詳細な分析を可能にするように提供される。視覚可能な健康状態インジケータは、他の方法で可能であるよりも遠隔の場所から観察者が患者の健康状態を素早く評価できるように構成されている。以下に、幾つかの視覚可能な健康状態インジケータの実施形態をより詳しく述べる。
【0018】
健康状態インジケータ132〜138は、可変レベルの色相、飽和度又は強度により患者の健康状態を伝えるように構成されている色勾配を具現する。この開示の目的のために、色勾配は、1つ以上の色のスペクトル又は範囲として定義すべきである。一例として、赤勾配は、真っ黒(色が全く存在しない)から明るい赤に至るまでの範囲を有することができる。また、この開示の目的のために、用語「色相」は、純粋な色(例えば、赤、黄、緑、青など)を表し、また「飽和度」は、白に対する色の純度レベルを表し、また「強度」は、黒に対する色純度レベルを表す。
【0019】
ここで、各々の色勾配は、多数の視覚的に明確に区別し得るレベルの飽和度または強度を有することができ、もって対応した大きい範囲の患者健康状態評価(例えば、限定するものではないが、良好な健康状態、中程度の健康状態、悪い健康状態及び重篤な健康状態を含む)を視覚的に伝えることができることを理解されたい。また、色勾配により、技術者が即時の手当を必要としている患者を素早く識別できるようになり、また他の方法で可能なよりも離れた距離からそうすることができるようになることを理解されたい。
【0020】
例示の目的で、より強い色を、図2に点密度をより大きくすることによって描いている。従って、何ら点描を行っていない健康状態インジケータ132は、無色(すなわち、黒)を表し、また、最小範囲の点密度を持つ健康状態インジケータ134は最小範囲の色強度を表す。同様に、中位の範囲の点密度を持つ健康状態インジケータ136は中位の範囲の色強度を表し、また、最も広い幅の点密度を持つ健康状態インジケータ138は最大範囲の色強度を表す。
【0021】
一実施形態に従って、色勾配は、所与の患者の健康状態に関する情報を視覚的に伝えるために単一の色相で具現することができる。一例として、色勾配132は、監視対象の患者が良好な健康状態にあることを伝えるために無色(すなわち、黒)で表すことができる。同様に、色勾配134は、患者の中程度の健康状態を伝えるのに適した、強度のない状態(すなわち、黒)から非常に小さい強度の赤(すなわち、臙脂)までの最小色範囲で表すことができる。色勾配136は、患者の悪い健康状態を伝えるのに適した、強度のない状態(すなわち、黒)から中位の範囲の強度の赤色までの中位の色範囲で表すことができ、また、色勾配138は、即時の手当を必要とする重篤な患者の健康状態を伝えるのに適した、強度のない状態(すなわち、黒)から高強度の赤(すなわち、明るい赤)までの最も広い範囲の赤い着色で表すことができる。
【0022】
別の実施形態によれば、色勾配は、患者の健康状態評価と該健康状態評価の基になった特定の種類の患者データとの両方を伝えるために複数の色相で具現することができる。一例として、色勾配132〜138は、心拍数に基づいた患者の健康状態評価を伝えるために様々なレベルの赤の飽和度または強度、並びに血圧に基づいた患者の健康状態評価を伝えるために様々なレベルの青の飽和度または強度で具現することができる。
【0023】
代替態様では、上記の色勾配を、コントラスト勾配または照明勾配のような他の視覚的勾配と置換し又は組み合わせることができる。例えば、白黒表示装置は、患者の健康状態評価を伝えるために可変レベルのコントラスト又は照明を持つグレースケール勾配を具現することができる。これらの代替の視覚的勾配は、例えば、色盲の技術者が確実に患者の状態を容易に且つ便利に識別できるように具現することができる。
【0024】
別の実施形態によれば、健康状態インジケータ132〜138は、形状及び/又は相対的大きさに基づいて患者の健康状態を伝えるのに適した視覚的勾配を具現する。一例として、ユーザー・インターフェース102の比較的小さい割合を占める健康状態インジケータ134は、患者の中程度の健康状態を表すことができる。同様に、ユーザー・インターフェース112の中間の割合を占める健康状態インジケータ136は、患者の悪い健康状態を表すことができ、また、ユーザー・インターフェース128の相対的に大きな割合を占める健康状態インジケータ138は、即時の手当を必要とする患者の重篤な健康状態を表すことができる。
【0025】
本明細書では、最良の形態を含めて、本発明を開示するため、また当業者が、任意の装置又はシステムを作り且つ使用すること及び任意の取り入れた方法を遂行することを含めて、本発明を実施できるようにするために、様々な例を使用した。本発明の特許可能な範囲は「特許請求の範囲」の記載によって定められ、当業者に考えられる他の例を含むことができる。このような他の例は、それらが「特許請求の範囲」の文字通りの記載から異っていない構造的要素を持っている場合、又は「特許請求の範囲」の文字通りの記載から実質的に差異のない等価な構造的要素を含んでいる場合、許請求の範囲内に入るものとする。
【符号の説明】
【0026】
10 患者監視システム
16 技術者
18a〜18n 患者
20a〜20n 個別の患者監視システム
100〜130 ユーザー・インターフェース
132 健康状態インジケータ
134 健康状態インジケータ
136 健康状態インジケータ
138 健康状態インジケータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の健康状態を評価して、その患者についての健康状態インジケータを生成するように構成されているコンピュータであって、前記健康状態インジケータが、患者の評価された健康状態を視覚的に伝えるように構成されている視覚的勾配を有している、当該コンピュータと、
前記コンピュータに動作上接続された表示装置であって、前記視覚的勾配を有する前記健康状態インジケータを表示するように構成されている当該表示装置と、
を有するシステム。
【請求項2】
前記視覚的勾配は、単一の色相を持つ色勾配を含んでいる、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記視覚的勾配は、複数の色相を持つ色勾配を含んでいる、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記視覚的勾配は、患者の健康状態評価を可変レベルのコントラストで伝えるように構成されているコントラスト勾配を含んでいる、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記視覚的勾配は、患者の健康状態評価を可変レベルの照明で伝えるように構成されている照明勾配を含んでいる、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記健康状態インジケータは、患者の健康状態評価を可変の形状で伝えるように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記健康状態インジケータは、患者の健康状態評価を可変の大きさで伝えるように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記健康状態インジケータは生の患者データを有している、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記表示装置は複数患者表示装置を有している、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
複数の患者の各々についての健康状態インジケータを生成するように構成されているコンピュータであって、前記健康状態インジケータが、可変範囲の色飽和度及び/又は強度により患者の健康状態評価を視覚的に伝えるように構成されている色勾配を含んでいる、当該コンピュータと、
前記コンピュータに動作上接続された複数患者表示装置であって、複数の患者の各々についての健康状態インジケータを大体同時に表示するように構成されている当該複数患者表示装置と、
を有する患者監視システム。
【請求項11】
前記健康状態インジケータは生の患者データを有している、請求項10記載の患者監視システム。
【請求項12】
前記複数患者表示装置は複数の明確な領域に分割されており、その各領域は別々の健康状態インジケータを表示するように構成されている、請求項10記載の患者監視システム。
【請求項13】
前記健康状態インジケータは、患者の健康状態評価を可変の形状で伝えるように構成されている、請求項10記載の患者監視システム。
【請求項14】
前記健康状態インジケータは、患者の健康状態評価を可変の大きさで伝えるように構成されている、請求項10記載の患者監視システム。
【請求項15】
複数の患者の各々から患者データを取得する段階と、
前記患者データに基づいて前記複数の患者の各々の健康状態を評価して、前記複数の患者の各々についての健康状態インジケータを生成するようにコンピュータを具現する段階であって、前記健康状態インジケータが、可変範囲の色飽和度及び/又は強度により健康状態評価を視覚的に伝えるように構成されている、当該段階と、
前記複数の患者の各々についての前記健康状態インジケータを大体同時に表示する段階と、
を有している方法。
【請求項16】
前記健康状態インジケータは、患者の健康状態評価を可変の形状で伝えるように構成されている、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記健康状態インジケータは、患者の健康状態評価を可変の大きさで伝えるように構成されている、請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記健康状態インジケータを大体同時に表示する前記段階は、複数患者表示装置を具現することを有している、請求項15記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−291606(P2009−291606A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129762(P2009−129762)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】