説明

健康管理システム

【課題】 生体データ測定用具として尿糖測定装置を備える健康管理システムであって、被検者に時間の無駄遣いをさせないシステムを提供する。
【解決手段】 採尿部が便器に取り付けられた尿糖測定装置と、手洗器前方の床に埋設された体重計と、メインパネルに一体化された体脂肪計と、尿糖測定装置の操作部の近傍に配設去れた血圧計と、鏡と手洗器の間に配設されたメインパネルを備え、これらの装置がトイレ内に配設されており、前記尿糖測定装置で測定された尿糖値と体重計で測定された体重値と体脂肪計で測定された体脂肪値と血圧計で測定された血圧値の信号を前記メインパネルに送信し表示する健康管理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動洗浄便座に組み込まれた生体データ測定用具と、自動洗浄便座のリモコンを兼ねるメインパネルとを備え、メインパネルは、生体データ測定用具と通信を行い、生体データ測定用具が測定した生体データを表示する健康管理システムが特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2003−093349
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
昨今の肥満の増加と、肥満に伴う糖尿病の増加とに鑑みると、生体データ測定用具として尿糖測定装置を備える健康管理システムの構築は、人々の健康促進に資するところ大であると考えられる。尿糖測定装置は、便器に近接して配設するのが妥当である。特許文献1のように、便座に着座した状態で操作される自動洗浄便座のリモコンがメインパネルを構成していると、尿糖測定装置においては一般に測定から尿糖値表示まで時間が掛かるため、被検者は尿糖値が表示されるまで便座に座ったまま無為な時間を過ごさねばならず、時間の無駄になる。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、生体データ測定用具として尿糖測定装置を備える健康管理システムであって、被検者に時間の無駄遣いをさせないシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明においては、採尿部が便器に取り付けられた尿糖測定装置と、尿糖測定装置が測定した尿糖値を表示するメインパネルとを備え、メインパネルは手洗器の近傍に配設されていることを特徴とする健康管理システムを提供する。
本発明に係る健康管理システムにおいては、メインパネルは手洗器の近傍に配設されているので、便器に取り付けられた尿糖測定装置の採尿部に尿を投入した被検者が便座から離れ、手洗器まで移動し手洗器で手を洗っている頃に、被検者の近傍に在るメインパネルに尿糖値が表示されることになる。被検者は尿糖測定後、有為な時間を過ごしつつ尿糖値の表示を待つので、時間の無駄遣いをしなくて済む。
【0005】
本発明の好ましい態様においては、手洗器はトイレ内に配設されている。
手洗器がトイレ内に配設されている場合には、家庭用トイレでは一般にトイレは一人の使用者により占有されるので、尿糖値を他者に見られるおそれが無く、被検者のプライバシーが保たれる。
【0006】
本発明の好ましい態様においては、メインパネルは、上下に配設された鏡と手洗器との間に配設されている。
手洗器の上方に鏡が配設されている場合には、鏡と手洗器の間にメインパネルを配設すれば、手を洗うために被検者が上体をやや斜めに傾けた際に視線の先にメインパネルが位置することになる。この結果、メインパネルの視認性が向上する。
【0007】
本発明においては、採尿部が便器に取り付けられた尿糖測定装置と、尿糖測定装置が測定した尿糖値を表示するメインパネルとを備え、メインパネルは被検者が立位で見易い高さ位置に配設されていることを特徴とする健康管理システムを提供する。
本発明に係る健康管理システムにおいては、メインパネルは被検者が立位で見易い高さ位置に配設されているので、便器に取り付けられた尿糖測定装置の採尿部に尿を投入した被検者が便座から立ち上がり、便器洗浄を行い或いは着衣を整えている頃に、立位で見易い高さ位置に配設されたメインパネルに尿糖値が表示されることになる。被検者は尿糖測定後、有為な時間を過ごしつつ尿糖値の表示を待つので、時間の無駄遣いをしなくて済む。
【0008】
本発明の好ましい態様においては、尿糖測定装置の計測部は、便器後方に配設されたキャビネット内に収納されており、尿糖測定装置の操作部は、便器近傍の壁面に取り付けられている。
尿糖測定装置の採尿部は便器に取り付けられているので、尿糖測定装置の操作部と計測部とは便器の近傍に配設するのが望ましい。計測部を便器後方のキャビネット内に収納すれば、計測部を採尿部に近接配置でき、且つ計測部を偶発的な外力から保護することができる。また便器周りがすっきりし清掃性が向上する。操作部が便器近傍の壁面に取り付けられていれば、被検者は便座に座った状態で、操作部を容易に手動操作することができ、便利である。
【0009】
本発明の好ましい態様においては、健康管理システムは体重計を備え、体重計は手洗器前方の床に埋設されており、メインパネルは体重計の測定データを表示する。
体重計が手洗器前方の床に埋設されていれば、被検者は、手を洗う際に体重計に乗って体重を測定することができるので便利である。メインパネルに体重計の測定データが表示されれば、被検者は、尿糖値に加えて体重を確認できるので便利である。
【0010】
本発明の好ましい態様においては、健康管理システムは体脂肪計を備え、メインパネルは、体脂肪計と一体化されており、体脂肪率を表示する。
健康管理システムが体脂肪計を備えれば、被検者は尿糖値に加えて体脂肪率を確認できるので便利である。体脂肪計とメインパネルとが一体化されていれば、両者を別体とする場合に比べて、システムが小型化され、両者を接続する外部配線の取り回しスペースが不要になり、健康管理システムを配設したスペースの狭小化が抑制される。
【0011】
本発明の好ましい態様においては、健康管理システムは、血圧計を備え、血圧計は尿糖装置の操作部の近傍に配設されており、メインパネルは血圧計の測定データを表示する。
血圧計が、便器近傍の壁面に取り付けられた尿糖装置の操作部の近傍に配設されていれば、被検者は、便座に座った状態で血圧を計れるので便利である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る健康管理システムにおいては、メインパネルは手洗器の近傍に配設されているので、便器に取り付けられた尿糖測定装置の採尿部に尿を投入した被検者が便座から離れ、手洗器まで移動し手洗器で手を洗っている頃に、被検者の近傍に在るメインパネルに尿糖値が表示されることになる。被検者は尿糖測定後、有為な時間を過ごしつつ尿糖値の表示を待つので、時間の無駄遣いをしなくて済む。
【0013】
本発明の実施例に係る健康管理システムを説明する。
【実施例1】
【0014】
図1、2に示すように、健康管理システムAは、医療用具である尿糖計1、血圧計2と、健康用具である体重計3、体脂肪計4と、メインパネル5とを備えている。健康管理システムAはトイレ室B内に配設されている。
【0015】
尿糖計1は有線式のリモコン操作部1aと、採尿部1bと、センサーを有する計測部1cとを有している。操作部1aは便器6の一方の側方で便器6に近接するトイレ側壁7に取り付けられ、採尿部1bは便器6に取り付けられ、計測部1cは便器6後方のキャビネット8内に配設されている。
便座に着座した被検者が操作部1aを手動操作して計測部1cを起動させ、採尿部1bから図示しない採尿器を採尿位置まで引き出し、採尿器に尿を投入すると、尿は計測部1cへ送られる。計測部1cは、センサーを用いて尿の物理的、化学的性質を測定し、尿糖値を演算する。尿糖値は、赤外線、無線、有線等による一方向通信により、メインパネル5に送信される。
【0016】
血圧計2は操作部2aとセンサー2bとを有している。操作部2aとセンサー2bとは、前記トイレ側壁7に取り付けられたカウンター9が有する収容器に収容されている。血圧計2は、尿糖計の操作部1aの近傍に配設されている。
便座に着座した被検者が操作部2aを手動操作してセンサー2bを起動させ、センサー2bを収容器から取り出して手首に装着し、腕をカウンター9に置くと、センサー2bは被検者の血圧を測定する。血圧値は、赤外線、無線、有線等による一方向通信により、メインパネル5に送信される。
【0017】
体重計3はセンサー3aを有している。センサー3aは、便器6の他方の側方で便器6から離隔するトイレ側壁10に取り付けられた手洗器11前方のトイレ床に埋設されている。
被検者が立位で手を洗う際にセンサー3aに乗ると、センサー3aは被検者の体重を測定する。体重値は、赤外線、無線、有線等により、メインパネル5に送信される。
【0018】
体脂肪計4はセンサー4aと演算部4bとを有している。センサー4a、演算部4bは手洗器11の上方に配設されている。体脂肪計4は、メインパネル5と一体に形成されている。体脂肪計4の操作部はメインパネル5が有している。
被検者が立位で手を洗う際に、メインパネル5が有する体脂肪計4の操作部を手動操作してセンサー4aと演算部4bとを起動させる。被検者が体重計のセンサー3aに乗り、体脂肪計の一対のセンサー4aを両手で握ると、センサー4aは被検者の電気抵抗値を測定する。体重計3からメインパネル5に送信された被検者の体重値が、赤外線、無線、有線等によりメインパネル5から体脂肪計4に送信される。体脂肪計の演算部4bは、センサー4aが測定した被検者の電気抵抗値と、メインパネル5から受信した被検者の体重値と、予めメインパネル5に入力した身長、年齢、性別等の個人情報とに基づいて、被検者の体脂肪率を演算する。体脂肪率値は、赤外線、無線、有線等により、メインパネル5に送信される。
【0019】
メインパネル5は、表示部5aと、複数の個人認証スイッチ5bと、認証された個人の生体データを記憶するメモリー5cと、個人情報入力スイッチ5dと、体脂肪計4の操作部5eとを有している。
メインパネル5は、手洗器11と、手洗器11の上方でトイレ側壁10に取り付けられた鏡12との間に配設されて、トイレ側壁10に取り付けられている。
被検者の尿糖値、血圧値、体重値、体脂肪率値は、表示部5aに表示される。
被検者は、個人情報入力スイッチ5dを操作して年齢、性別、身長等の個人情報を入力することができる。個人情報は表示部5aに表示される。
被検者は個人認証スイッチ5bの何れかを操作してメインパネル5に自身を認証させることができる。被検者は、表示部5aに表示された個人情報と、尿糖値、血圧値、体重値、体脂肪率値等の被検者個人の生体データとを、認証された自分のデータとしてメモリー5cに記憶させることができる。
【0020】
健康管理システムAにおいては、メインパネル5は手洗器11の近傍に配設されているので、便器6に取り付けられた尿糖計1の採尿部1bに尿を投入した被検者が便座から立ち上がり、手洗器11まで移動し手洗器11で手を洗っている頃に、メインパネル5に尿糖値が表示されることになる。被検者は尿糖測定後、有為な時間を過ごしつつ尿糖値の表示を待つので、時間の無駄遣いをしなくて済む。
【0021】
家庭用トイレでは一般にトイレは一人の使用者により占有される。健康管理システムAにおいては、手洗器11がトイレB内に配設されているので、尿糖値を他者に見られるおそれが無く、被検者のプライバシーが保たれる。
【0022】
健康管理システムAにおいては、メインパネル5は、上下に配設された鏡12と手洗器11との間に配設されているので、被検者が手を洗うために上体をやや斜めに傾けた際に、視線の先にメインパネル5が位置することになる。この結果、メインパネル5の視認性が向上する。
【0023】
健康管理システムAにおいては、尿糖計1の採尿部1bを便器6に取り付けたので、尿糖計の操作部1aと計測部1cとは便器6の近傍に配設するのが望ましい。計測部部1cは、便器6後方のキャビネット7内に収納されることにより、便器6に近接配置され、且つ偶発的な外力から保護されている。また便器周りがすっきりし清掃性が向上している。操作部1aは便器6近傍のトイレ側壁8に取り付けられており、被検者は便座に座った状態で、操作部1aを容易に手動操作することができ、便利である。
【0024】
健康管理システムAにおいては、体重計3が手洗器11前方のトイレ床に埋設されており、被検者は、手洗器11で手を洗う際に体重計3に乗って体重を測定することができるので、便利である。メインパネル5に体重計の測定データが表示され、被検者は、手を洗いながら、尿糖値に加えて体重を確認できるので、便利である。
【0025】
健康管理システムAにおいては、被検者は尿糖値に加えて体脂肪率を確認できるので便利である。体脂肪計4とメインパネル5とが一体化されているので、両者を別体とする場合に比べて、システムが小型化され、健康管理システムを配設することによるトイレBのスペースの狭小化が抑制されている。
【0026】
健康管理システムAにおいては、血圧計2が、便器6近傍のトイレ側壁7に取り付けられた尿糖装置の操作部1aの近傍に配設されており、被検者は、便座に座った状態で血圧を計れるので便利である。
【実施例2】
【0027】
手洗器11は、トイレ室Bの外に在っても良い。この場合、体重計3、体脂肪計4、メインパネル5、鏡12等も、手洗器11と共にトイレ室Bの外に移動することになる。
【実施例3】
【0028】
メインパネル5を、手洗器11とは関わりなく、トイレ室B内或いはトイレ室B外の、被検者が立位で見易い高さ位置に配設しても良い。
メインパネル5が、被検者が立位で見易い高さ位置に配設されていれば、便器6に取り付けられた尿糖計1の採尿部1bに尿を投入した被検者が便座から立ち上がり、便器洗浄を行い或いは着衣を整えている頃に、立位で見易い高さ位置に配設されたメインパネル5に尿糖値が表示されることになる。被検者は尿糖測定後、有為な時間を過ごしつつ尿糖値の表示を待つので、時間の無駄遣いをしなくて済む。
【実施例4】
【0029】
メインパネル5を、健康用具である体脂肪計4と別体にしても良い。
メインパネル5が、体脂肪計4と別体であれば、メインパネル5の設置位置の制約が少なくなり、最も使い勝手の良い位置、例えばカウンター9上に、メインパネル5を設置することが可能になる。この結果、健康管理システムの利便性が更に向上する。尚この場合、体脂肪計4の操作部は、メインパネル5ではなく体脂肪計4が有するように構成するのが望ましい。
【実施例5】
【0030】
実施例1〜4において、血圧計2以外の医療用具をメインパネル5に接続しても良く、体重計3、体脂肪計4以外の健康用具をメインパネル5に接続しても良い。
メインパネル5に接続される医療用具、健康用具の数は2に限定されない。
【実施例6】
【0031】
体重計3で測定した体重を、体脂肪計4に手動入力するように構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、尿糖測定装置と、尿糖測定装置が測定した尿糖値を表示するメインパネルとを備える健康管理システムに、利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施例に係る健康管理システムのブロック図である。
【図2】本発明の第1実施例に係る健康管理システムの機器配置を示すトイレ室の斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
1 尿糖計
2 血圧計
3 体重計
4 体脂肪計
5 メインパネル
6 便器
7 キャビネット
8、10 トイレ側壁
9 カウンター
11 手洗器
12 鏡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
採尿部が便器に取り付けられた尿糖測定装置と、尿糖測定装置が測定した尿糖値を表示するメインパネルとを備え、メインパネルは手洗器の近傍に配設されていることを特徴とする健康管理システム。
【請求項2】
手洗器はトイレ内に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の健康管理システム。
【請求項3】
メインパネルは、上下に配設された鏡と手洗器との間に配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の健康管理システム。
【請求項4】
採尿部が便器に取り付けられた尿糖測定装置と、尿糖測定装置が測定した尿糖値を表示するメインパネルとを備え、メインパネルは被検者が立位で見易い高さ位置に配設されていることを特徴とする健康管理システム。
【請求項5】
尿糖測定装置の計測部は、便器後方に配設されたキャビネット内に収納されており、尿糖測定装置の操作部は、便器近傍の壁面に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の健康管理システム。
【請求項6】
体重計を備え、体重計は手洗器前方の床に埋設されており、メインパネルは体重計の測定データを表示することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の健康管理システム。
【請求項7】
体脂肪計を備え、メインパネルは、体脂肪計と一体化されており、体脂肪率を表示することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の健康管理システム。
【請求項8】
血圧計を備え、血圧計は尿糖測定装置の操作部の近傍に配設されており、メインパネルは血圧計の測定データを表示することを特徴とする請求項5に記載の健康管理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−17560(P2006−17560A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−194910(P2004−194910)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】