説明

側溝用蓋

【課題】雨水の取水能力が高められると共に軽量化も可能となり取り扱い易く、しかも丈夫な側溝用蓋を提供する。
【解決手段】コンクリートにより成形される蓋本体1に上下に貫通される導水口2を開設し、該導水口2には所定の隙間8の間隔離して平行に配置される木製の桟木7を固着した構成からなる。そして、側溝20の上面に側溝用蓋Aを被せて敷設した状態では、雨水が導水口2の各桟木7間の隙間8に導入され側溝20へ排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車道や歩道の側部に沿って配設された側溝の上面に被せて敷設される側溝用蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車道や歩道には、その側部に沿って雨水を排出するための側溝が連続して配設されている。この側溝は、コンクリート製からなり長手方向に対して直交する断面が上面を開放したU字状に成形されている。そして、その上面には、例えば同じくコンクリート製からなる多数枚の側溝用蓋が被せて敷設される。これら側溝用蓋は、平面長方形状の一枚板からなり雨水を側溝内に導く導水口は開設されておらず、専ら側溝の上端縁とこれと同じ側の側溝用蓋の両側端縁間又は隣り合う側溝用蓋間の隙間を介して雨水を側溝の中に導入して排出するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−220542号公報(第4−5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記特許文献1の側溝用蓋は、各側溝用蓋の周囲に成形される隙間から側溝内に雨水を導入するようにしているが、一般にそれら隙間の間隔は狭いため雨水の取水性に劣る。このため、例えば大量の雨が降った場合など、側溝内に導入される雨水の量よりも流れ込む雨水の量の方が多くてその付近の道路や歩道の表面に水が溜まってしまい、しばしば人の歩行や車輌の通行の妨げになっている。
【0004】
しかも、前記側溝用蓋は比較的厚みが厚く総てコンクリートにより成形されているので、その重量が嵩み、輸送や側溝への敷設作業上の取扱いに大変苦労しているのが現状である。また、側溝用蓋はコンクリート製であることから、何らかの衝撃で亀裂や破損が生じ易い。
【0005】
そこで、本発明は前記課題を解決すべくなされたもので、雨水の取水能力が高められると共に軽量化も可能となり取り扱い易く、しかも丈夫な側溝用蓋を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するため本発明に係る側溝用蓋は、コンクリートにより成形される蓋本体に上下に貫通される導水口を開設し、前記導水口には所定の隙間間隔離して平行に配置される木製の桟木を固着した構成からなる。
【0007】
また、前記導水口の中央部にコンクリートにより蓋本体と一体に成形される所定幅の梁部を配設することが好ましい。
【0008】
また、前記各桟木の両端部はコンクリートにより成形される蓋本体の内部に埋入されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る側溝用蓋は、コンクリートにより成形される蓋本体に上下に貫通される導水口を開設し、該導水口には所定の隙間の間隔離して平行に配置される木製の桟木を固着するようにしたので、広い導水口を有することになり大量の雨が降っても雨水が前記導水口の各桟木間の隙間から側溝内に導入されることとなり取水能力が高い。よって、道路や歩道の表面に交通の妨げとなる水溜りができ難いという効果がある。
【0010】
また、各桟木は木製であることから、側溝用蓋全体の軽量化が可能になり、その輸送や側溝への敷設作業上の取扱いが容易になる。しかも、曲げ強さを備えていることから、衝撃にも強く亀裂や破損が生じ難い。
【0011】
導水口の中央部にコンクリートにより蓋本体と一体に成形される所定幅の梁部を配設するようにすれば、長期に亘り使用され桟木がやや腐朽した状態で、仮に車輌のタイヤが側溝用蓋の上面に乗ってその側溝用蓋に荷重が掛かっても、前記梁部によって持ち応えられ、導水口内にタイヤが落ちるといった危険性が回避される。
【0012】
各桟木の両端部をコンクリートにより成形される蓋本体の内部に埋入するようにすれば、その部位がコンクリートにより包み込まれ腐朽を防ぐことができ、耐久性の向上が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る側溝用蓋の実施の形態を図面に基き詳しく説明する。図1は本発明に係る側溝用蓋の斜視図、図2は同平面図、図3は図2のX−X線断面図、図4は図2のY−Y線断面図である。側溝用蓋Aは、平面長方形状の蓋本体1からなる。この蓋本体1はコンクリートにより成形され、例えば、外周の長辺1aの長さが約500mm、短辺1bの長さが約400mm、厚さ約100mmに設定されている。後記するように、その両長辺1a,1a側が側溝20の両側壁21,21の上端部に受け止められ支持されることになる。
【0014】
そして、前記蓋本体1には、上下に貫通されかつ内周の各長辺2aと各短辺2bがこれらと対応する前記蓋本体1の長辺1aと短辺1bにそれぞれ平行となるな長方形状の導水口2が開設される。これにより、周囲に同じ幅、例えば約50mm、の長方形状の枠部3が成形される。導水口2の中央部、すなわち内周の対向する長辺2a,2aの中央部間に、例えば幅約50mmの梁部4が設けられる。これにより、導水口2は等分に二分割されることになる。
【0015】
前記枠部3の各外側面は、下方に進むに従い窄まるように漸次内側に傾斜している。これは、側溝20内に側溝用蓋Aを上から被せ易くするためである。また、枠部3における両短辺1b,1b側の内の一方の外側面に、その中央に位置して上端面と下端面が開放する凹窪部5が凹設されている。該凹窪部5の底面5aには、指が差し込める程度の指掛け溝6が横断状に設けられている。この凹窪部5は、前記導水口2と同じくこの中に雨水を導入させて下方へ排出させるための通路として使用するためであり、また、前記指掛け溝6は側溝用蓋Aを側溝20の上面から引き上げるとき指が掛けられるようにするためである。
【0016】
前記導水口2には、梁部4の両側にそれぞれ四本ずつの木製の桟木7が配設される。各桟木7は、例えば幅が約25mmに設定され、前記梁部4と平行に所定の隙間8の間隔、例えば15mm、離して配設される。前記各桟木7をもう少し詳しく説明すると、各桟木7は断面が縦長長方形状に成形され、その両端上部の隅角部に該各隅角部を各辺に対しそれぞれ直角に切除した切欠部9,9が設けられている。
【0017】
各桟木7が導水口2内に平行に配置して固着された状態では、各桟木7の両端部であり前記各切欠部9に相当する幅の突出部位10,10が、コンクリートである枠部3内に埋入され、各桟木7がしっかりと固定される。また、前記蓋本体1はコンクリートにより成形されるが、図5に示すようにその中に鉄筋11が方形枠状に配筋されており、蓋本体1の強度の強化を図っている。
【0018】
側溝用蓋Aは、通常、型枠(図示せず。)内の所定位置に前記方形枠状に配筋された鉄筋11を配置すると共に、同じく所定の位置に前記各桟木7をそれぞれ平行に配置する。そして、この状態で型枠内に生コンクリートを流して固化させ、その後、養生など所定の工程を経て成形される。
【0019】
本発明に係る側溝用蓋Aは上記構成からなり、その使用状態を説明する。図6は側溝用蓋の使用状態を示す一部断面にした側溝の斜視図である。側溝20は道路又は歩道Rの一側に沿って埋設される。該側溝20は、コンクリートにより成形され、長手方向に対して直交する断面が上面を開放するU字状に成形されている。そして、両側壁21,21の上端内側に、その長手方向に沿って側溝用蓋Aの長辺1a,1a側の下面を受け止め支持する段部22,22が設けられる。
【0020】
側溝用蓋Aは、前記側溝20の上面に配置すると共に外周の両長辺1a,1a側の下面を両側壁21,21の段部22,22の上面に乗せて敷設する。このようにして、側溝20の上面に多くの側溝用蓋Aが連続して敷設される。そこで、雨が降った場合、車道又は歩道Rの雨水は、図6矢印に示すように導水口2の各桟木7間の隙間8から導入され、下方の側溝20内に排出される。ただ、前記蓋本体1外側面に設けられた凹窪部5を介しても雨水の一部が側溝20内に排出される。
【0021】
このように、本発明はコンクリートにより成形される蓋本体1に上下に貫通される導水口2を開設すると共に該導水口2に所定の隙間8の間隔離して木製の桟木7を配置固定するようにしたので、広い導水口2を有することになり雨水が導水口2の各桟木7間の隙間8から側溝20内に導入されることとなり取水性能が高い。
【0022】
また、前記各桟木7は木製であることから、側溝用蓋A全体の軽量化が可能になり、その輸送や側溝20への敷設作業上の取扱いが容易になる。しかも、木製である各桟木7は曲げ強さを備えていることから衝撃に強く、例えば幅が25mm程度であっても亀裂や破損が生じ難い。
【0023】
導水口2の中央部にコンクリートにより蓋本体1と一体に成形される所定幅の梁部4を配設するようにしたので、長期に亘り使用され桟木7がやや腐朽した状態で、仮に車輌のタイヤが側溝用蓋Aの上面に乗ってその側溝用蓋Aに荷重が掛かっても、梁部4によって持ち応えられ、導水口2内にタイヤが落ちるといった危険性が回避される。
【0024】
各桟木7の両端部である突出部位10,10をコンクリートにより成形される蓋本体1の内部に埋入するようにしたので、その部位がコンクリートにより包み込まれ腐朽を防ぐことができ、耐久性の向上が可能になる。
【0025】
各桟木7は側溝20の長手方向に対し直交する向きに配置されるので、例えば歩道Rでは前記各桟木7が歩行者が歩く方向と直交することとなり、歩行者が濡れた桟木7の上面に乗っても滑りにくく転倒して怪我をするといった危険性が少ない。
【0026】
コンクリート製の側溝用蓋Aに、木製の桟木7を使用することにより、所謂山から切り出される杉や桧等の間伐材が利用でき、これら木材の有効利用が図られることになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る側溝用蓋の斜視図。
【図2】同平面図。
【図3】図2のX−X線断面図。
【図4】図2のY−Y線断面図。
【図5】鉄筋の配筋状態を透視して示す蓋本体の斜視図。
【図6】側溝用蓋の使用状態を示す一部断面にした側溝の斜視図。
【符号の説明】
【0028】
1 蓋本体
2 導水口
4 梁部
7 桟木
8 隙間
10 端部(突出部位)
20 側溝
A 側溝用蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートにより成形される蓋本体に上下に貫通される導水口を開設し、前記導水口には所定の隙間間隔離して平行に配置される木製の桟木を固着したことを特徴とする側溝用蓋。
【請求項2】
前記導水口の中央部にコンクリートにより前記蓋本体と一体に成形される所定幅の梁部を配設した請求項1記載の側溝用蓋。
【請求項3】
前記各桟木の両端部はコンクリートにより成形される前記蓋本体の内部に埋入されている請求項1又は2記載の側溝用蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−170113(P2007−170113A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−371976(P2005−371976)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(598003210)木曽建設産業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】