説明

側面伝導冷却型高出力コンデンサ

熱的および電気的に伝導性を有する金属から形成され、内側を向くように配置された、2つの実質的に平行な平面状のL字型あるいはC字型の金属製ブラケット(1)を備えるコンデンサ(10)であって、該ブラケットの間に2つ以上のコンデンサ素子(2)が電気的および熱的に接続されており、取り付けボルト(3)により前記コンデンサをヒートシンクに固定することを可能にするために、各ブラケットが1つ以上の穴(4)を備えている、コンデンサ。各ブラケットは、そのブラケットにおいて平行している部材に開けられた1つ以上の穴を有していてもよい。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、電力コンデンサの分野に関する。より具体的には、本発明は、電力コンデンサの取り付けおよび冷却の方法、装置に関する。
[発明の背景]
1978年以前においては、例えば電磁誘導加熱器などに用いられる伝導冷却型のコンデンサは、コンデンサのどちらか一方側において2つのプレート間に接続されていた。フランス特許No.2360975は、銀メッキされた雲母などの誘電体層であって、2つの金属板電極の間に配設されエポキシ樹脂などの絶縁材料に包み込まれた誘電体層を備える側面冷却型の電力コンデンサについて記載している。各プレートは、誘電体層の平面に平行なフランジによって延出されている。フランジは、水冷式バスバー上への取り付け用の、プレートに対して垂直なつまみを有している。
【0002】
米国特許No.5953201は、コンデンサ固定ボルトを受容するための穴であってコンデンサ電極のそれぞれを貫通する1つ以上の穴を有する、側面伝導冷却型のコンデンサを開示している。側面伝導冷却型のコンデンサのためのこの構成は、従来の構成において用いられた固定脚部の代わりとなる、接触面を有する固体銅の電極を用いる。この構成はまた、巻き付けられたポリプロピレンフィルムのコンデンサ素子を利用し、2つの貫通穴を用いて取り付けられる。しかし、この構成には、大量の銅も必要とする固体電極の機械加工が必要とされるため、製造処理に費用がかかるという欠点がある。
【0003】
米国特許No.7002789は、2つ以上の容量性素子を有し、2つ以上の容量性素子が「弓形」部を含む2つのブラケットの向かい合うL字部の間に配置された、バスバー上に取り付け可能なコンデンサセンブリを開示している。前記容量性素子は、1組のL字型部の間にて「弓形の」ブラケット部を有する、1組のブラケットの間に配置されている。各容量性素子は、一方のブラケットのコンデンサ着座面に接する一端部と、他方のブラケットの着座面に接する他端部とを有する。しかし、これらブラケットの「弓形」部の複雑さにより、費用が増大する。
【0004】
以上で述べた方法はどれも、効果的な冷却が可能でありながら、小型、軽量、かつ費用効率のよい電力コンデンサの製造の問題点に対する満足のゆく解決法を提供していない。
従って、本発明の1つの目的は、効果的な冷却が可能でありながら、小型、軽量、かつ費用効率のよい伝導冷却型の電力コンデンサを製造する方法を提供することである。
【0005】
本発明の他の目的および効果は、説明が進むにつれて明らかになるであろう。
[発明の概要]
本発明は、熱的及び電気的に伝導性を有する材料から形成され、内側を向くように配置された、2つの実質的に平行な平面状の金属製ブラケット(L字型あるいはC字型でありうる)を備えるコンデンサを対象にしている。平面状の金属製ブラケットの間には、2つ以上のコンデンサ素子が電気的および熱的に接続されている。各金属製ブラケットは、取り付けボルトによりコンデンサをヒートシンクに固定するための1つ以上の穴を備えている。あるいは、ブラケットの間に多数のコンデンサ素子が配置されていてもよい。
【0006】
本コンデンサは、ヒートシンクとの接触面積を増大させるため、銅製のブラケットから外側に延出する追加的な面を更に備えても良く、その追加的な面がコンデンサから外側に延出した接続脚上に位置するように構成されていてもよい。ボルト挿入点はまた、その追加的な面の外側部分に設置されていてもよい。
【0007】
機械的強度を増し、美観を良くするために、ブラケット間の空間が樹脂あるいは他の充填材料で充填されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の上記および他の特徴と効果は、添付の図面を参照し、以下の例示的であって非制限的な、好適な実施例の詳細な説明を通じて、よりよく理解されるであろう。
【図1】本発明の好適な一実施例による、L字型のブラケットを備えた伝導冷却型の電力コンデンサの構成を、概略的に示している。
【図2】本発明の好適な一実施例による、C字型のブラケットを備えた伝導冷却型電力コンデンサの構成を、概略的に示している。
【図3】本発明の他の好適な実施例による、C字型のブラケットを備え、冷却用接触面積が増大した伝導冷却型の電力コンデンサの構成を、概略的に示している。
【図4】本発明の更なる好適な実施例による、複数のより小さいコンデンサ素子を用いる伝導冷却型の電力コンデンサの構成を、概略的に示している。
【図5】本発明の好適な一実施例による伝導冷却型の電力コンデンサの実施を、概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[好適な実施例の詳細な説明]
本発明は、電力コンデンサを簡略化するため及び製造コストを低減させるため、従来技術の解決法の問題点を解消する、伝導冷却型の電力コンデンサを開示している。提案された伝導冷却型の電力コンデンサは、側面を、電気的および熱的接続を提供する1組のバスバー(電磁誘導加熱利用において、バスバーは通常水冷式である)に直接的に接続するように構成されており、内側に曲げられた固定脚部によって特徴付けられている。固定は、穴を貫通する取付けボルトを用いて行われる。
【0010】
図1は、本発明の好適な一実施例による、前記伝導冷却型の電力コンデンサの構造を概略的に説明している。この実施例において、伝導冷却型の電力コンデンサ10は、内側を向いて配置された2つのL字型の薄板銅製ブラケット1を備える。2つの主表面5の間には、2つ以上のコンデンサ素子2が電気的および熱的に接続されている。取付け穴4が、各電極の固定基部(固定脚部として機能する)に開けられて、例えば米国特許No.5,953,201に記載されているような従来の構成において用いられた技術との後方互換性を保ちながら、コンデンサ10をバスバーに接続できるようになっている。
【0011】
図2は、本発明の別の好適な実施例による、前記伝導冷却型の電力コンデンサの構造を概略的に説明している。この別の実施例において、コンデンサ20は、平行部材における1組の穴4を許容するために用いられる、C字部6を備えており、各C字部は、既存の構成において用いられているC字部と同様に、L字部の構成と比べて、取付け位置をコンデンサ20の外側に移動することにより、ボルト3の固定頭部へのアクセスが改善されるという利点を有する。
【0012】
図3は、本発明の別の好適な実施例による、前記伝導冷却型の電力コンデンサの構造を概略的に説明している。この別の実施例において、コンデンサ30は、コンデンサ300とバスバーとの間における熱排出面8の断面積を増加させるために、側方に広がる固定面7を備えたC字部を含む。
【0013】
図4は、本発明の更なる好適な実施例による伝導冷却型の電力コンデンサの構造を概略的に説明している。この別の実施例において、コンデンサ40は、上記図2で説明されたような1組のC字断面の電極を備える。2つの主表面5が平面状かつ平行であるため、上記図2に示されている各コンデンサ素子を数個(本例では4つ)の小さめのコンデンサ素子2に置き換えることができる。
【0014】
図5は、本発明の好適な一実施例による、伝導冷却型の電力コンデンサの実施を概略的に説明している。この別の実施例において、コンデンサ20は、上記図2で説明されたような1組のC字断面の電極を備える。コンデンサ素子(図示なし)は、2つの主表面5の間に電気的および熱的に接続されている。2つの主表面5間の空間は、機械的強度を増すとともに美観を良くするため、樹脂あるいは他の充填材11で充填されている。コンデンサ20を水冷式バスバー13に接続することができるよう、各電極の基部12を固定するために、取付けボルト3が用いられる。
【0015】
上記の実施例および記載は、言うまでもなく説明目的のためだけに提示されており、決して本発明を限定するためのものではない。当業者には分かるように、上記の技術のうち2つ以上を採用して、全く本発明の範囲を逸脱することなく、本発明を多種多様な方法で実施することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側を向くように配置された、2つの実質的に平行な平面状の金属製ブラケットを備えるコンデンサであって、該ブラケットの間に2つ以上のコンデンサ素子が電気的および熱的に接続されており、各ブラケットが、取付けボルトにより前記コンデンサをヒートシンクに固定することを可能にする1つ以上の穴を備える、コンデンサ。
【請求項2】
前記金属製ブラケットが、熱的および電気的に伝導性を有する金属から形成されたL字型の薄板ブラケットであることを特徴とする、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記金属製ブラケットが、熱的および電気的に伝導性を有する金属から形成されたC字型の薄板ブラケットであり、該ブラケットのそれぞれが、そのブラケットにおいて平行している部材に開けられた1つ以上の穴を備えていることを特徴とする、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項4】
更に、銅製のブラケットから外側に延出する追加的な面を備え、該追加的な面がコンデンサから外側に延出した接続脚上に位置することにより、ヒートシンクとの接触面積を増大させることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項5】
ボルト挿入点が、前記追加的な面の外側部分に設置されていることを特徴とする、請求項4に記載のコンデンサ。
【請求項6】
前記ブラケット間の空間が樹脂あるいは他の充填材料で充填されており、それによって機械的強度が増すとともに美観が良くなることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項7】
複数のコンデンサ素子が前記平面状のブラケットの間に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のコンデンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−515847(P2011−515847A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500347(P2011−500347)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際出願番号】PCT/IL2009/000313
【国際公開番号】WO2009/116046
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(510251660)セレム パッシブ コンポーネンツ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】