偽造防止書類を識別するための偽造防止素子、および、その製造方法
本発明は、紙幣、有価証書、または、紙の公文書などの偽造防止書類を識別するための、少なくとも1つの電気的に制御可能な表示部と前記少なくとも1つの表示部を制御する少なくとも1つの圧電エネルギー供給部とを有する偽造防止素子に関する。
本偽造防止素子は、電場中で配向可能な液晶を有する表示層を含む前記少なくとも1つの電気的に制御可能な表示部を有し、かつ、圧電物質からなる少なくとも1つの層を有し、前記少なくとも1つの表示部をを制御する前記少なくとも1つの圧電エネルギー供給部を有する多層化された柔軟なフィルム本体によって形成され、前記フィルム本体の面に垂直な方向の厚さが最大で70μmを有している。
本偽造防止素子は、電場中で配向可能な液晶を有する表示層を含む前記少なくとも1つの電気的に制御可能な表示部を有し、かつ、圧電物質からなる少なくとも1つの層を有し、前記少なくとも1つの表示部をを制御する前記少なくとも1つの圧電エネルギー供給部を有する多層化された柔軟なフィルム本体によって形成され、前記フィルム本体の面に垂直な方向の厚さが最大で70μmを有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣、有価証書、または、紙の公文書などの偽造防止書類を識別するために、電気的に制御可能な少なくとも1つの表示部、および、その少なくとも1つの表示部を制御する少なくとも1つの圧電エネルギー供給部を有する偽造防止素子と、この様な偽造防止素子を備えた偽造防止書類と、そのような偽造防止素子の製造方法と、さらに、この様な偽造防止素子を有する転写フィルムとに関する。
【背景技術】
【0002】
上で述べたタイプの偽造防止素子が備えられ、力学的に柔軟なカード型の偽造防止書類が、EP634732B1により公知となっている。
【0003】
有効性を照合するために、上記の柔軟なカードには、2つの柔軟な電極を有する偽造防止素子または照合手段と、その2つの柔軟な電極の間に、一つ目には、力学的圧力の作用下で電荷を生成する圧電物質を有する少なくとも1つの層が設けられた第1の構造と、二つ目には、上記の電荷の作用下で、少なくとも2つの光学的状態を切り替え可能とする第2の構造とが備えられている。
【0004】
EP634732B1に基づく上記のカードには、第1の構造の領域に、通常、厚さ25μmの圧電物質からなる2枚のフィルムと、第2の構造の領域に、各電極を有する2つの柔軟な基材の間に、厚さ50μmの切替可能層とが設けられている。
【0005】
上記の基材の一方には、開口または窓部が形成されたコーティングが施される。
その開口または窓部によって、切替可能層の光学的状態の変化が露出されるか、透過光の中で見た場合に、その変化を目で見えるようにすることができる。
【0006】
個人のIDカードやクレジットカードなどの柔軟なカードは、普通0.5〜1mmの厚さを有しているので、上記の第1の構造と第2の構造とを、比較的容易にカードに一体化することができる。
【0007】
また一方で、例えば、紙幣、有価証書、または、紙の公文書などの著しく薄い偽造防止書類の識別および偽造防止に関しても、電気的に制御可能な表示部を有する偽造防止素子は、次第に興味深いものとなっている。
【0008】
これらの偽造防止書類は、普通200μmより薄い厚さの範囲、具体的には50μm〜200μmの厚さ、特に85μm〜140μmの厚さを有しているので、日常の使用において、そこに接合された偽造防止素子によって、それの柔軟性および特性により、偽造防止書類全体の刻印模様が損なわれることはほとんどない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】EP634732B1
【発明の概要】
【0010】
しかしながら、カードの分野で知られている偽造防止素子を、著しく薄い偽造防止書類に転用することは、容易にはできないことがわかってきた。
【0011】
このように、再現可能な方法で機能すると同時に、力学的要求も満たし、相応に薄い偽造防止素子の製造に関連して問題が明らかになってきた。
【0012】
そこで、電気的に制御可能な少なくとも1つの表示部と、その少なくとも1つの表示部を制御する少なくとも1つの圧電エネルギー供給部とからなり、厚さが200μmより薄い偽造防止書類用の偽造防止素子を提供することを本発明の目的とする。
【0013】
紙幣、有価証書、または、紙の公文書などの偽造防止書類を識別するために、電気的に制御可能な少なくとも1つの表示部と、少なくとも1つの表示部を制御する少なくとも1つの圧電エネルギー供給部とからなる偽造防止素子に関して、電場中で向き付け可能な液晶を有する表示層を含む電気的に制御可能な少なくとも1つの表示部と、さらに、少なくとも1つの表示部を制御し、かつ、圧電物質からなる少なくとも1つの層を有する少なくとも1つの圧電エネルギー供給部とを有する多層化された柔軟なフィルム本体によって、フィルム本体の面に垂直な方向に、最大で70μmの厚さの偽造防止素子を形成することにより目的は達成される。
【0014】
上記の偽造防止書類の使い勝手や耐久性は、上記の偽造防止素子によって、かなり損なわれるが、最大で70μmの厚さの、この様な偽造防止素子は、全体に刻印模様が無い、200μmより薄い偽造防止書類に利用できることが分かっている。
【0015】
偽造防止素子は、それが付与された偽造防止書類を曲げても損傷せずに耐えられるように形成される。
【0016】
本実施例では、偽造防止素子に対する最小曲げ半径を、偽造防止書類の厚さの程度とするが、それを1mm以上とするのが望ましい。
【0017】
各層、或いは、フィルム素子それ自体が、単独で使用されることがない場合には、表示部と圧電エネルギー供給部とを形成するのに必要とされる層を、とりわけ薄く、具体的には、約24μmより薄く形成することも可能である。
【0018】
特に、そのことは、フィルム本体が、オプションの第1のキャリアフィルムと、少なくとも領域内に形成された第1の電極層と、圧電物質からなり第1の電極層の領域に形成された層と、さらに、領域内でかつ第1の電極層の同一面内に形成された表示層と、オプションで少なくとも領域内に形成された透明な接着層と、少なくとも領域内に形成された透明な第2の電極層と、オプションで透明な保護層とを有する場合に、偽造防止素子の第1の実施例において有益であるとわかる。
【0019】
そのことは、上記のフィルム本体が、オプションの第1のキャリアフィルムと、少なくとも領域内に形成された第1の電極層と、さらに、少なくとも同一面内の第1のキャリアフィルムの領域に形成された第2の電極層と、圧電物質からなり第1の電極層および第2の電極層の領域に形成された層と、さらに、領域内でかつ第1の電極層および第2の電極層の同一面内に形成された表示層と、オプションで透明な接着層と、オプションで保護層とを有する場合に、偽造防止素子の第2の実施例において有益であるとわかる。
【0020】
オプションの第1のキャリアフィルムの厚さは、10μmから50μmの範囲であるのが望ましい。
【0021】
第1のキャリアフィルムの形成に適すると分かっているものは、特に、PET、PEN、PE、PI、PP、PC、PTFE、紙などの物質、その他、その導電性によって同時に第1の電極層を形成する金属フィルムであってもよい。
【0022】
本実施例では、第1のキャリアフィルムを多層状に形成し、それらを、例えば異なる物質からなる別個の層によって構成してもよい。
【0023】
具体的には、第1のキャリアフィルムを、2つまたは3つの別個の層によって構成する。
【0024】
上記の偽造防止素子の構造によって、第1のキャリアフィルムを、そこに後から付与される層か、或いは他に、キャリア機能を一切有さない、例えば、接着層を形成する層のための、物理的キャリアとして利用することができる。
【0025】
また、その際、偽造防止素子の領域における薄い偽造防止書類の剛性が、第1のキャリアフィルムによって設定可能となり、それによって圧電エネルギー供給部の機能性が保証される。
【0026】
さらに、そのことは、第1の実施例と第2の実施例とが組み合わされる場合に、上記の偽造防止素子において有益であるとわかる。
【0027】
本実施例において、第1の実施例では、エネルギー供給部が、一方の電極層が圧電物質からなる層の下に配置され、他方の電極層が圧電物質からなる層の上に配置されたところにあるが、例えば、第2の実施例では、表示部が、両電極層が上記の同一面内で互いに平行にかつ表示層の下に配置されたところにあってもよい。
【0028】
そのことは、本実施例において、フィルム本体が、表示部の領域では、少なくとも領域内に形成された第1の電極層と、さらに、少なくとも同一面内の領域に形成された第2の電極層と、第1の電極層および第2の電極層の領域に形成された表示層と、オプションで透明な接着層と、オプションで透明な保護層とを有しており、フィルム本体が、エネルギー供給部の領域では、少なくとも領域内に形成された追加的な第2の電極層と、そこに圧電物質からなる少なくとも1つの層と、さらに、上記の少なくとも1つの層に追加的な第1の電極層とを有しており、そこでは、いずれの場合にも、表示部の第1の電極層および第2の電極層が、エネルギー供給部の追加的な電極層の1つに導電性を有して接続されているような場合に、有益であるとわかる。
【0029】
逆に、第1の実施例において、一方の電極層が表示層の下方に配置され、他方の電極層が表示層の上方に配置されているところに表示部があってもよいし、第2の実施例において、電極層が同一面内に互いに平行かつ圧電物質からなる層の下方に配置されているところにエネルギー供給部があってもよい。
【0030】
そのことは、本実施例において、フィルム本体が、表示部の領域では、少なくとも領域内に形成された第1の電極層と、第1の電極層の領域に形成された表示層と、オプションで透明な接着層と、少なくとも領域内に形成された第2の電極層と、オプションで透明な保護層とを有しており、フィルム本体が、エネルギー供給部の領域では、領域内に形成された第1の電極層と、さらに、少なくとも同一面内の領域に形成された第2の電極層と、そこに圧電物質からなる少なくとも1つの層と、さらに、上記の少なくとも1つの層にオプションで透明な接着層と、オプションで透明な保護層とを有しており、そこでは、いずれの場合にも、表示部の第1の電極層および第2の電極層が、エネルギー供給部の電極層の一方に導電性を有して接続されているような場合には、有益であるとわかる。
【0031】
フィルム本体は、第1の電極層や第2の電極層に隣接する少なくとも1つの接着補助層を有するのが望ましい。
【0032】
少なくとも1つの接着補助層を上記のフィルム素子に利用することによって、別個の層の間の中間層の十分な接着力と、偽造防止書類の耐用年数内での偽造防止素子の機能性とが保証される。
【0033】
さらに、そのことは、フィルム本体が、フィルム本体の面を垂直に見て、表示層の少なくとも領域の周囲に枠部を形成する支持層を有する場合に、好都合である。
【0034】
この様な支持層は、表示部の力学的安定性に寄与すると共に、電極層が同一面に配置されていない場合には、表示層の領域で電場を可能な限り一定とし、その領域で表示部が一様に切り替わるように、表示層の領域における第1の電極層と第2の電極層との距離の標準化するのに寄与する。
【0035】
さらに、被覆や、表示部の光学的な境界設定や、第2の電極層の接着の最適化を、支持層によって行うことができる。
【0036】
第1の実施例、第2の実施例、さらに、それらを組み合わた実施例でも、特に、表示部とエネルギー供給部との間の移行領域においても、第1の電極層と第2の電極層との電気的短絡を避けるために、支持層は電気的絶縁性を有して形成される。
【0037】
本実施例では、表示層の領域の広さを、枠部によって囲まれる領域の広さより、小さくも、等しくも、大きくも設定することができる。
【0038】
第1の実施例においても、第2の実施例においても、支持層が、表示層に重なる少なくとも1つのウェブを形成するのが望ましい。
【0039】
本実施例では、この様なウェブを、枠部に接合するか、或いは、そこから切り取る方法で配置することができる。
【0040】
本実施例では、ウェブが、第1のキャリアフィルムに垂直に見て、線状、点状、または、面状の構造になっていることがわかる。
【0041】
本実施例では、例えば、図形表現、シンボル、パターン領域などの直線、波線、または、輪郭線を、線状のウェブによって形成することができる。
【0042】
点状のウェブには、何か他の方法で、円形、楕円形、角形、文字形、或いは、グラフィカルに形成された輪郭を付与することができる。
【0043】
面状のウェブは、線状、或いは、点状のウェブより、はるかに大きい面積の広さを有するので、その結果、ここでは、ずっと複雑な輪郭でさえも実現可能となる。
【0044】
少なくとも1つのウェブによって、表示部の一層の力学的な安定化が可能となる。
【0045】
そのことは、特に、支持層によってさらに形成された枠部内に格子状の構造を可能な限り一緒に形成している複数のウェブがある場合に、望ましい。
【0046】
支持層を、紫外線硬化ラッカー、乾熱印刷インクによって、或いは、圧電物質からなる層と同一の物質によって形成するのが望ましい。
【0047】
また一方で、原理的には、表示部の力学的剛性および力学的負荷容量の増加に寄与し、特に、ラミネート工程の間に、表示層より狭い範囲に押し込むことができる、あらゆる層が適している。
【0048】
したがって、特に高着色率を有する電気的絶縁性のスクリーン印刷インク層や、同様のものが使用可能となる。
【0049】
そのことは、特に、支持層が視認可能なデザイン要素を形成している場合に、望ましい。
【0050】
このために、支持層は着色され、特に、そこでは、少なくとも領域内に、有色透明の支持層か、有色不透明の支持層か、或いは、その両方を設けることができる。
【0051】
場合によっては存在する表示層の乱れた周縁を、偽造防止素子を見ている人に対して覆うか、或いは、少なくとも大部分を隠すために、支持層によって表示層のための整った境界が形成されるのが望ましい。
【0052】
また、支持層が、例えば、図形表現、イメージ、モチーフ、シンボル、ロゴ、ポートレート、パターン、英数字の文字、文書などのグラフィカルに構成された輪郭を有して表示するのが望ましい。
【0053】
したがって、デザイン要素を、色の配置、或いは、色の配置と支持層の輪郭のグラフィカルな配置とによって表現することができる。
【0054】
第1の電極層は、1nmから500nmの層厚を有するのが望ましい。
【0055】
本実施例では、不透明か、或いは、少なくとも局所的に透明となるように、第1の電極層を形成してもよい。
【0056】
アルミニウム、銀、金、クロム、銅などの金属または金属合金、酸化インジウムスズ(ITO)などの導電性を有する非金属的無機物質、カーボンナノチューブ、および、PEDOT、PANIなどの導電性ポリマーが、第1の電極層を形成するのに有益であるとわかる。
【0057】
少なくとも第1の実施例では、第2の電極層は、少なくとも局所的に透明となるように形成されており、1nmから500nmの層厚を有するのが望ましい。
【0058】
アルミニウム、銀、金、クロム、銅などを含む金属または金属合金からなる薄い層、酸化インジウムスズ(ITO)などを含む導電性の非金属的無機物質からなる薄い層、カーボンナノチューブからなる薄い層、および、PEDOT、PANIなどを含む透明な導電性ポリマーからなる薄い層は、少なくとも局所的に透明な第2の電極層を形成するのに有益であるとわかる。
【0059】
特に、金属性または非金属性の無機電極層を形成する場合には、電極層を、蒸着、或いは、スパッタリングによって形成するのが望ましく、特に、ポリマー電極層を形成する場合には、電極層を、スクリーン印刷、凸版印刷、凹版印刷、或いは、ブレードコーティングなどの従来の印刷方法によって形成するのが望ましい。
【0060】
また一方で、型押し加工によって電極層を形成するための転写フィルムの利用も可能である。
【0061】
電極層が領域内だけに形成される場合には、特に、パターン、モチーフ、格子などが、上記の電極層によって形成される。
【0062】
この様なパターンやモチーフを追加的な補助手段なしで視認可能とするのが望ましい。
【0063】
保護層を、単独の第2のキャリアフィルムとして形成するか、或いは、その薄い層厚を利用して単独でない保護ラッカー層として形成するのが望ましい。
【0064】
第1のキャリアフィルムと第2のキャリアフィルムとを、同一物質によって形成するのが望ましい。
【0065】
保護層を、有色透明となるように形成するのが望ましい。
【0066】
上記の保護層は、PET、PEN、PE、PI、PP、PC、または、PTFEなどによって形成される。
【0067】
そのことは、偽造防止素子を偽造防止書類に型押し加工によって付与できるように、フィルム本体が転写フィルムに付与されている場合に、有益であるとわかる。
【0068】
このような転写フィルムには、転写フィルムのキャリアフィルムに配置され、そこから剥離可能とされた、本発明に係る少なくとも1つの偽造防止素子が設けられている。
【0069】
転写フィルムのキャリアフィルムから進めると、本実施例では、型押し加工後に転写フィルムのキャリアフィルムからフィルム素子を剥離できるように、いつでも剥離層が設けられている。
【0070】
保護ラッカー層として形成されたオプションの透明な保護層と、さらに偽造防止素子の残りの部分の構造とが、剥離層の、転写フィルムのキャリアフィルムから遠い側に設けられるのが望ましい。
【0071】
特に冷間接着または熱融着による接着層によって、フィルム本体を偽造防止書類に固定することができる。
【0072】
また一方で、本実施例では、接着層を、物理的な搬送体としての機能を必要としない第1のキャリアフィルムによって予め形成してもよい。
【0073】
そのことは、偽造防止素子の内部の透明な接着層が、最大で層厚2μmを有する場合に、有益であるとわかる。
【0074】
透明な接着層は、導電性の物質か、或いは電気的絶縁性の物質により形成されているが、電気的絶縁性を有する物質の方が望ましい。
【0075】
偽造防止素子の第1の実施例において導電性の接着層を利用することにより、表示層と第2の電極層との間と、さらに圧電物質からなる層と第2の電極層との間とに電気的な接続が形成される一方で、電気的絶縁性の物質からなる接着層を利用することにより、特に全域に形成された接着層の場合には、表示層と第2の電極層との間と、さらに圧電物質からなる層と第2の電極層との間との電気的な接続がない場合には、表示層の容量接合と、さらに圧電物質からなる層の容量接合が生じる。
【0076】
それにもかかわらず、表示層の光学的状態の変化を引き起こすのに十分な強さの電場が第1の電極層と第2の電極層との間に生成され、エネルギー供給部によって生じさせることができる分極が十分に大きい場合には、表示部は機能する。
【0077】
接着層を、紫外線照射下で架橋硬化する接着剤、光化学的、或いは、熱的に可活性な接着剤、冷間接着剤、または、圧力接着剤(PSA)によって形成するのが望ましい。
【0078】
圧電物質からなる層が形成された後に、特にロールトゥロール法で行われる上記の層の分極形成が実行される。
【0079】
本実施例では、単独の第1のキャリアフィルムが帯状で使用され、ローラーに巻き上げられた状態で供給される。
【0080】
第1のキャリアフィルムは上記のローラーから引き出され、それに別個の層を付与するために、引き続き、異なる工程の装置に供給される。
【0081】
第1の実施例では、圧電物質からなる層が形成された後に、それによる分極形成がより確実に実行可能になるように、上記の層に追加して導電性の透明補助層を付与するのが望ましい。
【0082】
第1の実施例では、表示層の層の厚さ方向に、少なくとも50MV/mの電場を与えるのが望ましい。
【0083】
このために、第1の電極層および導電性の追加的な補助層、或いは、第1の電極層および第2の電極層が電気的に接点接続され、特に500Vから20kVの電圧が供給される。
【0084】
第2の実施例では、1つの平面内に配置された第1の電極層と第2の電極層との間に電圧が印加されるところでは、上と同様の手順が採用される。
【0085】
そのことは、本実施例では、少なくともエネルギー供給部の領域において、分極形成工程を実行するために、分極される圧電物質からなる層に、その接点接続を改善するための導電性の補助層が、第1の電極層から、それの遠い側に追加して付与される場合に、有益であるとわかる。
【0086】
上記の補助層は、特に、PEDOTやPANIなどの導電性のポリマーによって形成されるが、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)からなる透明な金属層、透明な誘電層、或いは、カーボンナノチューブを含む層なども適している。
【0087】
上記の補助層は、上記の圧電物質からなる層に上から印刷するのが望ましい。
【0088】
上記の補助層と、上記の圧電物質からなる層の、補助層から遠い側の電極層との間の短絡は避ける必要がある。
【0089】
第1の実施例では、上記のエネルギー供給部の領域において、圧電物質からなる層が4箇所のうち3箇所の周縁で電極層を越えてはみ出すように、特に、少なくとも圧電エネルギー供給部の領域において、圧電物質からなる層がエネルギー供給部に割り当てられた電極層の領域の広さより大きい面積の広さとなるのが望ましい。
【0090】
結果として第1の電極層と第2の電極層との短絡を確実に回避できる。
【0091】
エネルギー供給部は、第4の周縁の領域で表示部に接触している。
【0092】
圧電物質からなる層は、最大で層厚30μm、特に最大で層厚5μmを有するのが望ましい。
【0093】
圧電物質からなる、そのような薄い層を印刷工程によって形成することができ、特に適度の剛性がある場合には、曲げ荷重が加えられたときに電圧を生成する性能は驚くほど持続する。
【0094】
また一方で、曲げによってだけではなく、熱的に圧電物質からなる層上に生じさせた温度勾配によっても、エネルギー供給部を機能させることができる。
【0095】
エネルギー供給部の領域に適度な剛性が同時に付与されていない場合には、そのような薄い層厚の圧電物質からなる層を偽造防止書類に適用しても、それは機能的な圧電エネルギー供給部とはならないことが認識されている。
【0096】
上記の圧電物質からなる層の生成電圧は、エネルギー供給部の領域の、偽造防止素子と偽造防止書類とからなる複合部材の剛性を利用して設定可能である。
【0097】
本実施例では、一方でエネルギー供給部は表示部の切り替えに最低限必要とされる電圧または電場の強さを生じさせなければならず、他方で薄い偽造防止書類の特性を局所から複合部材の剛性が取り扱い中の損傷や偽造防止書類の耐用年数の原因となるほどの広い領域に改善する必要はないものの、偽造防止素子と偽造防止書類とからなる複合部材の剛性をエネルギー供給部の領域で調整する必要がある。
【0098】
そのことは、ポリビニリデンフルオライドすなわちPVDF類などのポリマーが圧電物質として使用される場合には、有益であるとわかる。
【0099】
また一方で、ポリアミド、ポリウレタン、フルオロポリマー、および、特に、それらに由来するコポリマーなどの他の圧電物質も使用可能である。
【0100】
表示層は、最大で層厚20μm、とりわけ最大で層厚5μmを有するのが望ましい。
【0101】
表示層は、特に、少なくとも1つのPDLC(=ポリマー分散液晶)の層によって形成される。
【0102】
また一方で、電流または電圧の作用下で、発光したり、色の遷移を生じたりするような光学的変化を生じさせる、例えば、エレクトロクロミック物質のような他の物質を利用することが、LEDを形成するような層構造や電気泳動表示素子のような表示層の形成にも役立つ。
【0103】
そのことは、表示層が、特に圧電エネルギー供給部を曲げることによって第1の電極層と第2の電極層との間に生じる電場の作用下で透明になる場合には、特に望ましい。
【0104】
結果として、表示層の、見る人から遠い側に配置された情報が見え、透明な表示層を通して読むことができる。
【0105】
そのような情報は、特に目視で、追加的な補助手段なしで読まれる。
【0106】
そのことは、第1の電極層と、場合によっては第2の電極層とが、光学的に変化する効果を生成する回折性を示す凹凸構造部を有する場合に、有益であるとわかる。
【0107】
第1の電極層に対向する第1のキャリアフィルムの表面に、回折性を示す、特に型押しされた凹凸構造部を導入するのが望ましい。
【0108】
別の方法、或いは、それとの組み合わせとして、第2の電極層を反射層として機能させるのが望ましいので、圧電物質からなる層に凹凸構造部を型押し加工してもよい。
【0109】
本実施例では、第1のキャリアフィルムを型押し加工可能な熱可塑性物質によって形成するか、或いは、第1の電極層に対向する第1のキャリアフィルムの表面に、特に型押し加工された回折性を示す凹凸構造部が導入される、紫外線硬化ラッカーまたは熱可塑性物質からなる複製のラッカー層などの型押し加工可能な層が設けられる。
【0110】
隣接する電極層は回折性を示す凹凸構造部に非常に薄く形成されているので、凹凸構造部は、電極層の、第1のキャリアフィルムから遠い側に押し付けられる。
【0111】
見る角度によって変わる色やモチーフの変化、明るさの変化、ホログラム、キネグラム(登録商標)などが生じるような光学的に変化する効果が、上記の押し付けられた凹凸構造部での入射光の回折によって生じる。
【0112】
本実施例では、凹凸構造部によって生じる光学的に変化する効果がはっきりと現れるように、凹凸構造部に押し付けられた上記の電極層を、高い反射率を有する金属や透明物質からなる反射層として形成するのが望ましい。
【0113】
上記の凹凸構造部を、第1の電極層の、場合によっては第2の電極層の、圧電物質からなる層と重なる第1の領域に配置するか、第1の電極層の、場合によっては第2の電極層の、表示層と重なる第2の領域に配置するか、或いは、その両方とするのが望ましい。
【0114】
そのことは、本実施例では、支持層によって形成されたデザイン要素と回折性を示す凹凸構造部によって生成される光学的に変化する効果とが相互に影響し合うように支持層が構成され、特に、それらが相互に関連した認識可能な情報内容を伝える場合には、有利になることがわかる。
【0115】
また、そのことは、表示層が透明に切り替わるときだけ認識可能になる情報が、デザイン要素と光学的に変化する効果とに相互に影響し合い、それらが相互に関連した認識可能な情報内容を伝える場合には、有益であるとわかる。
【0116】
そのことは、第1のキャリアフィルムと、第1の電極層と、第2の電極層との少なくとも一つが透明である場合には、特に望ましい。
【0117】
また、そのことは、圧電物質からなる層や支持層が透明である場合には、有効である。
【0118】
そのことは、偽造防止素子が全体的に透明で、また、表示層も透明な光学的状態に切り替っている場合には、特に望ましい。
【0119】
本発明に係る少なくとも1つの、最大で200μmの厚さの、特に50〜200μmの厚さの、本実施例では、望ましくは、85〜140μmの厚さの偽造防止素子を有する、紙幣、有価証書、または、紙の公文書などの偽造防止書類において目的は達成される。
【0120】
本実施例では、偽造防止書類に、少なくとも1つの偽造防止素子を、帯状に、或いは、ラベルとして埋め込んでもよい。
【0121】
また、そのことは、少なくとも1つの偽造防止素子が付与された後に、偽造防止書類が、少なくとも1種類の不透明な印刷インクや、少なくとも1種類の不透明な有色ラッカーによって印刷され、それによって偽造防止素子の領域だけが覆われる場合には、有効である。
【0122】
本実施例では、圧電エネルギー供給部の領域の偽造防止書類と偽造防止素子とからなる複合部材の剛性を、圧電物質からなる層を曲げることによって表示部を切り替えるための十分に高い電圧を生成し、かつ、それによって生じた押圧力および力学的応力がエネルギー供給部のより広い領域、特にエネルギー供給部の全域に分散するように設定する必要がある。
【0123】
上記の剛性は、偽造防止素子を偽造防止書類に付与する前後に、通常、目標とする領域に不透明な印刷インクや不透明な有色ラッカーを付与したり、全域を含む追加的な透明層を付与したり、その両方が行われることによって影響を受けるが、これにより、剛性を必要とされる範囲に合わせることができる。
【0124】
そのことは、少なくとも1つの偽造防止素子の少なくとも電気的に制御可能な表示部が、偽造防止書類の少なくとも透明な領域の領域内に配置された場合には、望ましい。
【0125】
本実施例では、偽造防止素子が、窓部開口として形成された透明な領域に及んでいてもよいし、偽造防止書類の透明なフィルムの領域に配置されてもよい。
【0126】
結果として、表示部の領域で、透明な第1の電極層と第2の電極層とが選択された場合には、表示部を両側から見ることができる。
【0127】
本実施例では、少なくとも1つの偽造防止素子を、偽造防止書類上に配置しても、偽造防止書類内部に埋め込んでもよい。
【0128】
少なくとも1つの偽造防止素子を、転写フィルムまたはラミネートフィルムを利用して、型押し加工によって、偽造防止書類の表面に付与するのが望ましい。
【0129】
偽造防止書類内部への導入は、偽造防止書類の製造の間に、それが達成されるほど早いのが望ましい。
【0130】
そうすれば、紙からなる偽造防止書類の場合には、少なくとも1つの偽造防止素子を、紙の製造と同じくらい早く、紙に導入できる。
【0131】
圧電物質からなる層と、表示層と、支持層と、接着層とのうち少なくとも1つを印刷工程によって形成することによって、本発明に係る偽造防止素子の製造方法において目的が達成される。
【0132】
このような印刷層を形成するための印刷用展色剤は、本実施例では、特に、ペースト、インク、ラッカー、または、溶液として供給される。
【0133】
特に、乾いた層に要求される層厚を達成するのに必要とされる各印刷用展色剤の全量が一度の印刷工程で印刷される場合には、とりわけ低粘度の印刷用展色剤を使用した印刷工程が、形成された層の周縁のはみ出しや乱れの原因となる。
【0134】
同質の固形物を含む低粘度の印刷用展色剤による繰り返しの印刷工程によって、この様な印刷用展色剤が、少なくとも十分に乾いた第1の層に再度印刷されるので、所望の層厚を有し、かつ、整った輪郭を有する一様な機能層が形成可能となる。
層の周縁のはみ出しや乱れは、それによって効果的に避けられる。
【0135】
この目的には、特に、フラットベッドスクリーン印刷、回転式スクリーン印刷、凹版印刷、凸版印刷、または、ブレードコーティング法などの印刷工程が適している。
【0136】
最大で200μmの厚さの偽造防止書類の識別および偽造防止に利用可能な、偽造防止素子を形成するための特に薄い層の形成、或いは、最大で70μmの厚さの偽造防止素子の形成が、印刷法によって、とりわけ合理的に可能となる。
【0137】
また、第1の積層体が、少なくとも第1の電極層と、圧電物質からなる層と、オプションの補助層と、表示層と、第1のキャリアフィルムに形成されたオプションの支持層とによって形成され、第2の積層体が、少なくとも第2の電極層と、保護層に形成された接着層とによって形成され、第1の積層体と第2の積層体とが、第1の積層体の第1のキャリアフィルムから遠い側にラミネートされた第2の積層体の接着層によって接続されることにより、保護層を有する第1の実施例に対応する本発明に係る偽造防止素子の製造方法において目的が達成される。
【0138】
第1の積層体が、少なくとも第1の電極層と、第2の電極層と、圧電物質からなる層と、表示層と、第1のキャリアフィルムに形成されたオプションの支持層とによって形成され、第2の積層体が、少なくとも上記保護層に形成された接着層によって形成され、第1の積層体と第2の積層体とが、第1の積層体の第1のキャリアフィルムから遠い側にラミネートされた第2の積層体の接着層によって接続されることにより、第2の実施例に対応する本発明に係る偽造防止素子の製造方法において目的が達成される。
【0139】
そのことは、本実施例では、第1の積層体が、ローラーからローラーへ搬送される第1のキャリアフィルムと、その工程において、少なくとも第1の電極層と、圧電物質からなる上記の層と、上記の表示層と、ひき続いて第1のキャリアフィルムに形成されるオプションの支持層とによって形成される場合には、有益であるとわかる。
【0140】
第2の積層体は、ローラーからローラーへ搬送される保護層と、その工程において、場合によっては第2の電極層と、少なくとも上記の保護層に形成された接着層とによって形成されるのが望ましい。
【0141】
フィルム素子が転写フィルムに形成される場合には、剥離層が、特に印刷により、ロールトゥロール法におけるキャリアフィルムに付与され、保護ラッカー層として形成された保護層が、特に印刷により、その剥離層に付与される。
【0142】
それから、フィルム素子の追加的な層が、ひき続いて保護ラッカー層に形成される。
【0143】
また、そのことは、接着補助層、第1の電極層、および、第2の電極層からなるグループからなる少なくとも1つの層が、さらに加えて、印刷工程によって形成される場合には、有効である。
【0144】
図1〜図7bは、例として、本発明に係る異なる偽造防止素子、それが備えられた偽造防止書類、および、型押し加工によって偽造防止素子を付与するための転写フィルムを示している。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1a】第1の偽造防止素子を断面図で示している。
【図1b】第1の偽造防止素子の第1の積層体を図1aの平面図で示している。
【図2a】第2の偽造防止素子を断面図で示している。
【図2b】第2の偽造防止素子の第1の積層体を図2aの平面図で示している。
【図3a】偽造防止書類の第3の偽造防止素子を断面図で示している。
【図3b】第3の偽造防止素子の第1の積層体を図3aの平面図で示している。
【図4a】第4の偽造防止素子を断面図で示している。
【図4b】第4の偽造防止素子の第1の積層体を図4aの平面図で示している。
【図5】図3aに対応する第3の偽造防止素子を形成するための転写フィルムを断面図で示している。
【図6a】A−A´断面における第5の偽造防止素子を示している。
【図6b】第5の偽造防止素子を図6aの平面図で示している。
【図7a】B−B´断面における第6の偽造防止素子を示している。
【図7b】第6の偽造防止素子を図7aの平面図で示している。
【発明を実施するための形態】
【0146】
図1aは、圧電エネルギー供給部1aと電気的に制御可能な表示部1bとからなる第1の偽造防止素子1を断面図で示している。
【0147】
PETからなる第1のキャリアフィルム2の領域に、不透明で金属性の第1の電極層3aが配置される。
【0148】
第1の電極層3aは、蒸着またはスパッタリングによって、第1のキャリアフィルム2に形成される。
【0149】
圧電物質(ここではPVDF)からなる層厚15μmの透明な層4が、第1の電極層3aの領域に配置され、その透明な層は、4箇所のうち3箇所の周縁で、第1の電極層3aを越えてはみ出ている。
【0150】
PVDFからなり、さらに分極された層4は、PVDFを含む液剤を印刷する工程と、それに続く乾燥工程とによって形成される。
【0151】
PVDFからなる層4を、例えば印刷された導電性の補助層によって覆うのが望ましい(ここでは別々には図示されていない)。
【0152】
PVDFからなる層4の分極形成のために、補助層と第1の電極層3aとの間に電圧を一時的に印加すると、その電圧によって少なくとも50MV/mの電場が生じる。
【0153】
また、第1の電極層3aには、PDLCからなる層厚10μmの表示層5が形成される。
【0154】
表示層5は、プレポリマーおよび液晶物質を含む液剤を印刷する工程と、それに続く乾燥工程とによって形成される。
【0155】
表示層5が形成された後に、表示層5の周囲に枠部を形成する、紫外線硬化ラッカーからなる有色不透明の支持層6を付与する。
【0156】
第1のキャリアフィルム2と、第1の電極層3aと、PVDFからなる層4と、表示層5と、支持層6とによって、第1の積層体が形成されている(平面図として図1b参照)。
【0157】
第1のキャリアフィルム2を、第1のローラーから引き離し、第1のキャリアフィルム2に上記の複数の層を付与し、それを第2のローラーに巻き上げて、ローラーからローラーへ搬送することによって、第1の積層体を第1のキャリアフィルム2に形成するのが望ましい。
【0158】
PVDFからなる層4、または、場合によっては導電性を有する補助層と、表示層5と、支持層6とを、紫外線硬化接着剤からなる層厚1μmの透明な接着層7によって覆う。
【0159】
PEDOTからなる層厚0.1μmの透明な第2の電極層3bと、さらにPETからなる透明な保護層8とを、接着層7の全域に配置する。
【0160】
保護層8は、第2の電極層3bと接着層7と一緒にして、1つの第2の積層体として形成され、単独の第2のキャリアフィルムとして一つにまとめられる。
その第2の積層体は、第1の積層体に接合、或いは、接着接合される。
【0161】
第2のキャリアフィルムを、第1のローラーから引き離し、第2のキャリアフィルムに層3b、層7を付与し、それを第2のローラーに巻き上げて、特に、ローラーからローラーへ搬送することによって、第2の積層体を形成する。
【0162】
第1の積層体と第2の積層体とは、ラミネートによって一緒に接合される。
【0163】
別の方法として、転写フィルムによって、第2の電極層に第1の積層体を型押しすることもできるので、単独の保護層8が不要となる。
【0164】
その他には、第2の電極層と一緒に型押しされるように、転写フィルムに付与された、薄くて単独でない保護ラッカー層を、第1の積層体上に付与してもよい。
【0165】
導電性を有する補助層がPVDFからなる層4に配置されていない場合には、第1の電極層3aと第2の電極層3bとの間に電圧を印加することによって、PVDFからなる層4に分極が生じる。
【0166】
図1bは、第1の電極層3aがPVDFからなる透明な層4を通して見えるような、第1の偽造防止素子1の第1の積層体を、図1aの平面図で示している。
【0167】
支持層6は表示層5の周縁を覆っている。
【0168】
図2aは、圧電エネルギー供給部1aと電気的に制御可能な表示部1bとからなる第2の偽造防止素子1´を断面図で示している。
【0169】
金属からなる不透明な第1の電極層3aが、PETからなる第1のキャリアフィルム2の領域に配置される。
【0170】
第1の電極層3aは、蒸着やスパッタリングによって、第1のキャリアフィルム2に形成される。
【0171】
圧電物質(ここではPVDF)からなる層厚20μmの透明な層4が、第1の電極層3aの領域に配置され、その透明な層は、4箇所の全ての周縁で第1の電極層3aを越えてはみ出しており、第1の電極層3aに表示層5を形成するための領域を空けたままにしている。
【0172】
さらに上で示された方法で分極されたPVDFからなる層4は、PVDFを含む液剤を印刷する工程と、それに続く乾燥工程とによって形成される。
【0173】
また、第1の電極層3aに、PDLCからなる層厚10μmの表示層5が形成される。
【0174】
表示層5は、プレポリマーおよび液晶物質を含む液剤を印刷する工程と、それに続く乾燥工程とによって形成される。
【0175】
表示部1bの領域では、表示層5の周囲で枠部を形成する支持層6が、PVDFからなる層4によって一緒に形成される。
【0176】
第1のキャリアフィルム2と、第1の電極層3aと、PVDFからなる層4と、それゆえ支持層6と、表示層5とによって、第1の積層体が形成されている(平面図として図2b参照)。
【0177】
第1のキャリアフィルム2を、第1のローラーから引き離し、第1のキャリアフィルム2に上記の複数の層を付与し、それを第2のローラーに巻き上げて、ローラーからローラーへ搬送することによって、第1の積層体を第1のキャリアフィルム2に形成するのが望ましい。
【0178】
PVDFからなる層4と、それゆえ支持層6と、表示層5とは、紫外線硬化接着剤からなる層厚2μmの透明な接着層7によって覆われる。
【0179】
ITOからなる層厚50nmの透明な第2の電極層3bと、さらにPETからなる透明な保護層8とを、接着層7の全域に配置する。
【0180】
保護層8は、第2の電極層3bと接着層7と一緒にして、1つの第2の積層体として形成され、単独の第2のキャリアフィルムとして一つにまとめられる。
その第2の積層体は、第1の積層体に接合、或いは、接着接合される。
【0181】
第2のキャリアフィルムを、第1のローラーから引き離し、第2のキャリアフィルムに複数の層を付与し、それを第2のローラーに巻き上げて、特に、ローラーからローラーへ搬送することによって、第2の積層体を形成する。
【0182】
第1の積層体と第2の積層体とは、ラミネートによって一緒に接合される。
【0183】
図2bは、第1の電極層3aがPVDFからなる透明な層4と、それゆえ支持層6とを通して見えるような、第2の偽造防止素子1´の第1の積層体を、図2aの平面図で示している。
【0184】
図3aは、透光領域102を設けた紙からなる、基材101を有する偽造防止書類100の第3の偽造防止素子1´´を断面図で示している。
【0185】
第3の偽造防止素子l´´は、圧電エネルギー供給部1aと、電気的に制御可能な表示部1bとを有している。
【0186】
金属からなる半透明な第1の電極層3aが、PETからなる第1のキャリアフィルム2の領域に配置され、基材101に、例えば、接着接合される。
【0187】
第1の電極層3aは、蒸着やスパッタリングによって、第1のキャリアフィルム2に形成される。
【0188】
圧電物質(ここではPVDF)からなる層厚20μmの透明な層4が、第1の電極層3aの領域に配置され、その透明な層は、4箇所の全ての周縁で第1の電極層3aを越えてはみ出しており、第1の電極層3aに表示層5を形成するための領域を空けたままにしている。
【0189】
さらに上述された方法で分極されたPVDFからなる層4は、PVDFを含む液剤を印刷する工程と、それに続く乾燥工程とによって形成される。
【0190】
また、第1の電極層3aに、PDLCからなる層厚10μmの表示層5が形成される。
【0191】
表示層5は、プレポリマーおよび液晶物質を含む液剤を印刷する工程と、それに続く乾燥工程とによって形成される。
【0192】
表示部1bの領域では、表示層5の周囲で枠部を形成する支持層6が、PVDFからなる層4によって一緒に形成される。
【0193】
第1のキャリアフィルム2と、第1の電極層3aと、PVDFからなる層4と、それゆえ支持層6と、表示層5とによって、第1の積層体が形成されている(平面図として図3b参照)。
【0194】
第1のキャリアフィルム2を、第1のローラーから引き離し、第1のキャリアフィルム2に上記の複数の層を付与し、それを第2のローラーに巻き上げて、ローラーからローラーへ搬送することによって、第1の積層体を第1のキャリアフィルム2に形成するのが望ましい。
【0195】
PVDFからなる層4と、それゆえ支持層6と、表示層5とが、紫外線硬化接着剤からなる層厚1μmの透明な接着層7によって覆われる。
【0196】
PEDOTからなる層厚0.1μmの透明な第2の電極層3bと、さらにPETからなる透明な保護層8とを一つにまとめた単独でないラッカー層を、接着層7の全域に配置する。
【0197】
保護層8は、第2の電極層3bと接着層7と一緒にして、1つの第2の積層体として形成される。
その第2の積層体は、第1の積層体に接合、或いは、接着接合される。
【0198】
キャリアフィルム201を、第1のローラーから引き離し、キャリアフィルム201に保護ラッカー層と追加的な層とを付与し、それを第2のローラーに巻き上げて、特に、ローラーからローラーへ搬送することにより、そこに付与された剥離層202を有する転写フィルム200のキャリアフィルム201によって、第2の積層体を形成する(図5参照)。
【0199】
第1の積層体と第2の積層体とは、ラミネートによって一緒に接合される。
【0200】
このとき、転写フィルム200は偽造防止素子 1´´を形成するためのフィルム素子を含んでいる。
【0201】
型押し加工工程において、温度の作用下で、基材101または第1のキャリアフィルム2に配置される接着層を利用して、転写フィルム200を偽造防止書類100に対して押圧し、基材101の領域に固定するのが望ましい。
【0202】
最終的に、偽造防止素子1´´が基材101に残るように、転写フィルム200のキャリアフィルム201を剥がす。
【0203】
図3bは、第1の電極層3aがPVDFからなる透明な層4と、それゆえ支持層6とを通して見えるような、第3の偽造防止素子1´´の第1の積層体を、図3aの平面図で示している。
【0204】
第1の電極層3aは開口102´を有しており、偽造防止素子1´´が基材101に固定された後に、開口102´は透光領域102に対して正確に対応して配置される。
【0205】
第1の電極層3aのパターン状の領域31は、それまで通り、開口102´の内側に存在している。
【0206】
上記の領域には回折性を示す凹凸構造部(ここでは不図示)が付与されているので、パターン状の領域31が光学的に変化する効果を示す。
【0207】
図4aは、圧電エネルギー供給部1aと電気的に制御可能な表示部1bとからなる第4偽造防止素子1を断面図で示している。
【0208】
PETからなる第1のキャリアフィルム2の領域に、不透明で金属性の第1の電極層3aが配置される。
【0209】
第1の電極層3aは、蒸着またはスパッタリングによって、第1のキャリアフィルム2に形成される。
【0210】
圧電物質(ここではPVDF)からなる層厚20μmの透明な層4が、第1の電極層3aの領域に配置されており、その透明な層は、4箇所のうち3箇所の周縁で、第1の電極層3aを越えてはみ出ている。
【0211】
PVDFからなり、さらに上述された方法で分極された層4は、PVDFを含む液剤を印刷する工程と、それに続く乾燥工程とによって形成される。
【0212】
PEDOTからなる導電性の補助層3cが、PVDFからなる層4に付与されるので、PVDFからなる層4の、分極工程中の電気的な接触接続が、その補助層によって改善される。
【0213】
また、紫外線硬化ラッカーからなる有色不透明の支持層6が、第1の電極層3aと、枠部が形成される上記の支持層と、後で、第1の電極層3aに形成される表示層5のための3つの点状のウェブとに付与される。
【0214】
PDLCからなる層厚10μmの表示層5は、プレポリマーおよび液晶物質を含む液剤を印刷する工程と、さらに、それに続く乾燥工程とによって形成される。
【0215】
第1のキャリアフィルム2と、第1の電極層3aと、PVDFからなる層4と、補助層3cと、表示層5と、支持層6とによって、第1の積層体が形成されている(平面図として図4b参照)。
【0216】
第1のキャリアフィルム2を、第1のローラーから引き離し、第1のキャリアフィルム2に上記の複数の層を付与し、それを第2のローラーに巻き上げて、ローラーからローラーへ搬送することによって、第1の積層体を第1のキャリアフィルム2に形成するのが望ましい。
【0217】
PVDFと、表示層5と、支持層6とからなる層4の全域が、熱溶融性{ねつ ようゆう せい}接着剤からなる層厚2μmの透明な接着層7に覆われる。
【0218】
ITOからなる層厚50nmの透明な第2の電極層3bと、さらにPETからなる透明な保護層8とを、接着層7の全域に配置する。
【0219】
保護層8は、第2の電極層3bと接着層7と一緒にして、1つの第2の積層体として形成され、単独の第2のキャリアフィルムとして一つにまとめられる。
その第2の積層体は、第1の積層体に接合、或いは、接着接合される。
【0220】
第2の積層体は、第1のローラーから引き離され、複数の層が付与され、第2のローラーに巻き上げられ、特に、ローラーからローラーへ搬送される第2のキャリアフィルムによって形成される。
【0221】
第1の積層体と第2の積層体とは、ラミネートによって一緒に接合される。
【0222】
図4bは、第1の電極層3aが透明な補助層3cとPVDFからなる透明な層4とを通して見えるような、第4偽造防止素子1´´´の第1の積層体を、図4aの平面図で示している。
【0223】
支持層6は、表示層5の周縁を光学的に遮蔽している。
【0224】
図5は、保護層8としての単独でない保護ラッカー層を有し、図3aに対応する、第3の偽造防止素子 1´´を形成するための転写フィルム200の一部を断面図で示している。
【0225】
転写フィルム200のキャリアフィルム201の全域で、剥離する層に、ろう質の剥離層202が付与され、保護ラッカー層として一つにまとめられた保護層8が、その全域に付与される。
【0226】
また、偽造防止書類100(図3a参照)に偽造防止素子 1´´を固定し、そこからキャリアフィルム200を剥離可能とするために、(ここでは示されない)接着層を、転写フィルム200のキャリアフィルム201から遠い側に配置してもよい。
【0227】
別の方法として、キャリア機能はキャリアフィルム201によって付与されるので、キャリア機能を有さない第1のキャリアフィルム2がここにあってもよいし、第1のキャリアフィルム2を、単独でない接着層として一つにまとめてもよい。
【0228】
図6aは、圧電エネルギー供給部1aと電気的に制御可能な表示部1bとを有する第2の実施例に対応する第5の偽造防止素子1´´´´をA−A´断面で示している。
【0229】
それぞれ金属からなる、不透明な第1の電極層3aと、さらに不透明な第2の電極層3bとが、PETからなる第1のキャリアフィルム2の領域に配置される。
【0230】
第1の電極層3aと第2の電極層3bとが、蒸着またはスパッタリングを用いて、第1のキャリアフィルム2の1つの面内に互いに平行に、かつ、互いに電気的に絶縁されて形成される。
【0231】
圧電物質(ここではPVDF)からなる層厚15μmの透明な層4が、エネルギー供給部1aの領域の第1の電極層3aおよび第2の電極層3bに配置される。
【0232】
第1の電極層3aと第2の電極層3bとの間の電圧の印加によって、さらに分極されたPVDFからなる層4は、PVDFを含む液剤を印刷する工程と、それに続く乾燥工程とによって形成される。
【0233】
また、PDLCからなる層厚10μmの表示層5が、表示部1bの領域の第1の電極層3aおよび第2の電極層3bに形成される。
【0234】
表示層5は、プレポリマーと液晶物質とを含む液剤を印刷する工程と、それに続く乾燥工程とによって形成される。
【0235】
表示層5が形成された後に、表示層5の周囲に枠部を形成する、紫外線硬化ラッカーからなる有色不透明の支持層(ここでは不図示)を付与してもよい。
【0236】
PETからなる透明な保護層8によって、さらに圧電物質からなる層4を覆うこともできたが、ここでは表示層5だけを覆っている。
【0237】
図6bは、第5の偽造防止素子1´´´´を図6aの平面図で示しており、第1の電極層3aと第2の電極層3bとが、エネルギー供給部1aの領域のPVDFからなる透明な層4と、さらに表示部1bの領域の表示層5および保護層8とを通して見える。
【0238】
図7aは、第1の実施例と第2の実施例との組み合せに対応する、B−B´断面での第6の偽造防止素子 1´´´´´を示している。
【0239】
第1の実施例では、1つの電極層が圧電物質からなる層の下方に配置され、1つの電極層が圧電物質からなる層の上方に配置された圧電エネルギー供給部1aが形成される。
【0240】
第2の実施例では、2つの電極層が、同一面内で、表示層の下に、互いに平行に配置され、かつ、互いに電気的に絶縁された状態で、電気的に制御可能な表示部1bが形成される。
【0241】
図7aでは、表示部1bの領域において、金属性の不透明な第1の電極層3a´と、さらに金属性の不透明な第2の電極層3b´とが、PETからなる第1のキャリアフィルム2の領域に配置される。
【0242】
第1の電極層3a´と第2の電極層3b´とが、蒸着やスパッタリングを利用して、第1のキャリアフィルム2の1つの面内で互いに平行に、かつ、互いに電気的に絶縁されて形成される。
【0243】
また、PDLCからなる層厚10μmの表示層5が、表示部1bの領域の第1の電極層3a´および第2の電極層3b´に形成される。
【0244】
表示層5は、プレポリマーおよび液晶物質を含む液剤を印刷する工程と、それに続く乾燥工程とによって形成される。
【0245】
表示層5の形成の前後に、紫外線硬化ラッカーからなり、表示層5の周囲に枠部を形成する有色不透明の支持層(ここでは不図示)を付与してもよい。
【0246】
また、図7aでは、エネルギー供給部1aの領域において、追加的な第2の電極層3b´´が、第1のキャリアフィルム2に配置され、その電極層は、圧電物質(本実施例ではPVDF)からなる層厚15μmの透明層4によって領域が覆われる。
【0247】
第2の電極層3b´と、追加的な第2の電極層3b´´とは、導電性を有して互いに接続され、一つにまとめられる。
【0248】
PEDOTからなる追加的な第1の電極層3a´´´は、PVDFからなる層4に印刷工程により形成され、そこから領域3a´´を利用して、第1の電極層3a´に導電性を有して接続される。
【0249】
PVDFからなる層4は、PVDFを含む液剤を印刷する工程と、それに続く乾燥工程によって形成され、さらに、追加的な第1の電極層3a´´´と追加的な第2の電極層3b´´との間の電圧の印加によって分極される。
【0250】
ここでは明瞭さのために図示されていない透明な保護層によって、表示部1bやエネルギー供給部1aを覆うことができる。
【0251】
図7bは、第1の電極層3a´と第2の電極層3b´とが、表示層5と、場合によっては表示部1bの領域の保護層とを通して見え、エネルギー供給部1aの領域では、追加的な第2の電極層3b´´が、PVDFからなる透明な層4と、追加的な第1の電極層3´´´とを通して見えるような、第6の偽造防止素子1´´´´´を図7aの平面図で示している。
【0252】
図面における実例は、単に本発明に係る偽造防止素子の可能な構成の例として示しているものであり、当業者は、本発明を知った上で、発明の段階を経ずに、或いは、本発明の概念から離れることなく、様々な追加的な偽造防止素子を製造することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣、有価証書、または、紙の公文書などの偽造防止書類を識別するために、電気的に制御可能な少なくとも1つの表示部、および、その少なくとも1つの表示部を制御する少なくとも1つの圧電エネルギー供給部を有する偽造防止素子と、この様な偽造防止素子を備えた偽造防止書類と、そのような偽造防止素子の製造方法と、さらに、この様な偽造防止素子を有する転写フィルムとに関する。
【背景技術】
【0002】
上で述べたタイプの偽造防止素子が備えられ、力学的に柔軟なカード型の偽造防止書類が、EP634732B1により公知となっている。
【0003】
有効性を照合するために、上記の柔軟なカードには、2つの柔軟な電極を有する偽造防止素子または照合手段と、その2つの柔軟な電極の間に、一つ目には、力学的圧力の作用下で電荷を生成する圧電物質を有する少なくとも1つの層が設けられた第1の構造と、二つ目には、上記の電荷の作用下で、少なくとも2つの光学的状態を切り替え可能とする第2の構造とが備えられている。
【0004】
EP634732B1に基づく上記のカードには、第1の構造の領域に、通常、厚さ25μmの圧電物質からなる2枚のフィルムと、第2の構造の領域に、各電極を有する2つの柔軟な基材の間に、厚さ50μmの切替可能層とが設けられている。
【0005】
上記の基材の一方には、開口または窓部が形成されたコーティングが施される。
その開口または窓部によって、切替可能層の光学的状態の変化が露出されるか、透過光の中で見た場合に、その変化を目で見えるようにすることができる。
【0006】
個人のIDカードやクレジットカードなどの柔軟なカードは、普通0.5〜1mmの厚さを有しているので、上記の第1の構造と第2の構造とを、比較的容易にカードに一体化することができる。
【0007】
また一方で、例えば、紙幣、有価証書、または、紙の公文書などの著しく薄い偽造防止書類の識別および偽造防止に関しても、電気的に制御可能な表示部を有する偽造防止素子は、次第に興味深いものとなっている。
【0008】
これらの偽造防止書類は、普通200μmより薄い厚さの範囲、具体的には50μm〜200μmの厚さ、特に85μm〜140μmの厚さを有しているので、日常の使用において、そこに接合された偽造防止素子によって、それの柔軟性および特性により、偽造防止書類全体の刻印模様が損なわれることはほとんどない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】EP634732B1
【発明の概要】
【0010】
しかしながら、カードの分野で知られている偽造防止素子を、著しく薄い偽造防止書類に転用することは、容易にはできないことがわかってきた。
【0011】
このように、再現可能な方法で機能すると同時に、力学的要求も満たし、相応に薄い偽造防止素子の製造に関連して問題が明らかになってきた。
【0012】
そこで、電気的に制御可能な少なくとも1つの表示部と、その少なくとも1つの表示部を制御する少なくとも1つの圧電エネルギー供給部とからなり、厚さが200μmより薄い偽造防止書類用の偽造防止素子を提供することを本発明の目的とする。
【0013】
紙幣、有価証書、または、紙の公文書などの偽造防止書類を識別するために、電気的に制御可能な少なくとも1つの表示部と、少なくとも1つの表示部を制御する少なくとも1つの圧電エネルギー供給部とからなる偽造防止素子に関して、電場中で向き付け可能な液晶を有する表示層を含む電気的に制御可能な少なくとも1つの表示部と、さらに、少なくとも1つの表示部を制御し、かつ、圧電物質からなる少なくとも1つの層を有する少なくとも1つの圧電エネルギー供給部とを有する多層化された柔軟なフィルム本体によって、フィルム本体の面に垂直な方向に、最大で70μmの厚さの偽造防止素子を形成することにより目的は達成される。
【0014】
上記の偽造防止書類の使い勝手や耐久性は、上記の偽造防止素子によって、かなり損なわれるが、最大で70μmの厚さの、この様な偽造防止素子は、全体に刻印模様が無い、200μmより薄い偽造防止書類に利用できることが分かっている。
【0015】
偽造防止素子は、それが付与された偽造防止書類を曲げても損傷せずに耐えられるように形成される。
【0016】
本実施例では、偽造防止素子に対する最小曲げ半径を、偽造防止書類の厚さの程度とするが、それを1mm以上とするのが望ましい。
【0017】
各層、或いは、フィルム素子それ自体が、単独で使用されることがない場合には、表示部と圧電エネルギー供給部とを形成するのに必要とされる層を、とりわけ薄く、具体的には、約24μmより薄く形成することも可能である。
【0018】
特に、そのことは、フィルム本体が、オプションの第1のキャリアフィルムと、少なくとも領域内に形成された第1の電極層と、圧電物質からなり第1の電極層の領域に形成された層と、さらに、領域内でかつ第1の電極層の同一面内に形成された表示層と、オプションで少なくとも領域内に形成された透明な接着層と、少なくとも領域内に形成された透明な第2の電極層と、オプションで透明な保護層とを有する場合に、偽造防止素子の第1の実施例において有益であるとわかる。
【0019】
そのことは、上記のフィルム本体が、オプションの第1のキャリアフィルムと、少なくとも領域内に形成された第1の電極層と、さらに、少なくとも同一面内の第1のキャリアフィルムの領域に形成された第2の電極層と、圧電物質からなり第1の電極層および第2の電極層の領域に形成された層と、さらに、領域内でかつ第1の電極層および第2の電極層の同一面内に形成された表示層と、オプションで透明な接着層と、オプションで保護層とを有する場合に、偽造防止素子の第2の実施例において有益であるとわかる。
【0020】
オプションの第1のキャリアフィルムの厚さは、10μmから50μmの範囲であるのが望ましい。
【0021】
第1のキャリアフィルムの形成に適すると分かっているものは、特に、PET、PEN、PE、PI、PP、PC、PTFE、紙などの物質、その他、その導電性によって同時に第1の電極層を形成する金属フィルムであってもよい。
【0022】
本実施例では、第1のキャリアフィルムを多層状に形成し、それらを、例えば異なる物質からなる別個の層によって構成してもよい。
【0023】
具体的には、第1のキャリアフィルムを、2つまたは3つの別個の層によって構成する。
【0024】
上記の偽造防止素子の構造によって、第1のキャリアフィルムを、そこに後から付与される層か、或いは他に、キャリア機能を一切有さない、例えば、接着層を形成する層のための、物理的キャリアとして利用することができる。
【0025】
また、その際、偽造防止素子の領域における薄い偽造防止書類の剛性が、第1のキャリアフィルムによって設定可能となり、それによって圧電エネルギー供給部の機能性が保証される。
【0026】
さらに、そのことは、第1の実施例と第2の実施例とが組み合わされる場合に、上記の偽造防止素子において有益であるとわかる。
【0027】
本実施例において、第1の実施例では、エネルギー供給部が、一方の電極層が圧電物質からなる層の下に配置され、他方の電極層が圧電物質からなる層の上に配置されたところにあるが、例えば、第2の実施例では、表示部が、両電極層が上記の同一面内で互いに平行にかつ表示層の下に配置されたところにあってもよい。
【0028】
そのことは、本実施例において、フィルム本体が、表示部の領域では、少なくとも領域内に形成された第1の電極層と、さらに、少なくとも同一面内の領域に形成された第2の電極層と、第1の電極層および第2の電極層の領域に形成された表示層と、オプションで透明な接着層と、オプションで透明な保護層とを有しており、フィルム本体が、エネルギー供給部の領域では、少なくとも領域内に形成された追加的な第2の電極層と、そこに圧電物質からなる少なくとも1つの層と、さらに、上記の少なくとも1つの層に追加的な第1の電極層とを有しており、そこでは、いずれの場合にも、表示部の第1の電極層および第2の電極層が、エネルギー供給部の追加的な電極層の1つに導電性を有して接続されているような場合に、有益であるとわかる。
【0029】
逆に、第1の実施例において、一方の電極層が表示層の下方に配置され、他方の電極層が表示層の上方に配置されているところに表示部があってもよいし、第2の実施例において、電極層が同一面内に互いに平行かつ圧電物質からなる層の下方に配置されているところにエネルギー供給部があってもよい。
【0030】
そのことは、本実施例において、フィルム本体が、表示部の領域では、少なくとも領域内に形成された第1の電極層と、第1の電極層の領域に形成された表示層と、オプションで透明な接着層と、少なくとも領域内に形成された第2の電極層と、オプションで透明な保護層とを有しており、フィルム本体が、エネルギー供給部の領域では、領域内に形成された第1の電極層と、さらに、少なくとも同一面内の領域に形成された第2の電極層と、そこに圧電物質からなる少なくとも1つの層と、さらに、上記の少なくとも1つの層にオプションで透明な接着層と、オプションで透明な保護層とを有しており、そこでは、いずれの場合にも、表示部の第1の電極層および第2の電極層が、エネルギー供給部の電極層の一方に導電性を有して接続されているような場合には、有益であるとわかる。
【0031】
フィルム本体は、第1の電極層や第2の電極層に隣接する少なくとも1つの接着補助層を有するのが望ましい。
【0032】
少なくとも1つの接着補助層を上記のフィルム素子に利用することによって、別個の層の間の中間層の十分な接着力と、偽造防止書類の耐用年数内での偽造防止素子の機能性とが保証される。
【0033】
さらに、そのことは、フィルム本体が、フィルム本体の面を垂直に見て、表示層の少なくとも領域の周囲に枠部を形成する支持層を有する場合に、好都合である。
【0034】
この様な支持層は、表示部の力学的安定性に寄与すると共に、電極層が同一面に配置されていない場合には、表示層の領域で電場を可能な限り一定とし、その領域で表示部が一様に切り替わるように、表示層の領域における第1の電極層と第2の電極層との距離の標準化するのに寄与する。
【0035】
さらに、被覆や、表示部の光学的な境界設定や、第2の電極層の接着の最適化を、支持層によって行うことができる。
【0036】
第1の実施例、第2の実施例、さらに、それらを組み合わた実施例でも、特に、表示部とエネルギー供給部との間の移行領域においても、第1の電極層と第2の電極層との電気的短絡を避けるために、支持層は電気的絶縁性を有して形成される。
【0037】
本実施例では、表示層の領域の広さを、枠部によって囲まれる領域の広さより、小さくも、等しくも、大きくも設定することができる。
【0038】
第1の実施例においても、第2の実施例においても、支持層が、表示層に重なる少なくとも1つのウェブを形成するのが望ましい。
【0039】
本実施例では、この様なウェブを、枠部に接合するか、或いは、そこから切り取る方法で配置することができる。
【0040】
本実施例では、ウェブが、第1のキャリアフィルムに垂直に見て、線状、点状、または、面状の構造になっていることがわかる。
【0041】
本実施例では、例えば、図形表現、シンボル、パターン領域などの直線、波線、または、輪郭線を、線状のウェブによって形成することができる。
【0042】
点状のウェブには、何か他の方法で、円形、楕円形、角形、文字形、或いは、グラフィカルに形成された輪郭を付与することができる。
【0043】
面状のウェブは、線状、或いは、点状のウェブより、はるかに大きい面積の広さを有するので、その結果、ここでは、ずっと複雑な輪郭でさえも実現可能となる。
【0044】
少なくとも1つのウェブによって、表示部の一層の力学的な安定化が可能となる。
【0045】
そのことは、特に、支持層によってさらに形成された枠部内に格子状の構造を可能な限り一緒に形成している複数のウェブがある場合に、望ましい。
【0046】
支持層を、紫外線硬化ラッカー、乾熱印刷インクによって、或いは、圧電物質からなる層と同一の物質によって形成するのが望ましい。
【0047】
また一方で、原理的には、表示部の力学的剛性および力学的負荷容量の増加に寄与し、特に、ラミネート工程の間に、表示層より狭い範囲に押し込むことができる、あらゆる層が適している。
【0048】
したがって、特に高着色率を有する電気的絶縁性のスクリーン印刷インク層や、同様のものが使用可能となる。
【0049】
そのことは、特に、支持層が視認可能なデザイン要素を形成している場合に、望ましい。
【0050】
このために、支持層は着色され、特に、そこでは、少なくとも領域内に、有色透明の支持層か、有色不透明の支持層か、或いは、その両方を設けることができる。
【0051】
場合によっては存在する表示層の乱れた周縁を、偽造防止素子を見ている人に対して覆うか、或いは、少なくとも大部分を隠すために、支持層によって表示層のための整った境界が形成されるのが望ましい。
【0052】
また、支持層が、例えば、図形表現、イメージ、モチーフ、シンボル、ロゴ、ポートレート、パターン、英数字の文字、文書などのグラフィカルに構成された輪郭を有して表示するのが望ましい。
【0053】
したがって、デザイン要素を、色の配置、或いは、色の配置と支持層の輪郭のグラフィカルな配置とによって表現することができる。
【0054】
第1の電極層は、1nmから500nmの層厚を有するのが望ましい。
【0055】
本実施例では、不透明か、或いは、少なくとも局所的に透明となるように、第1の電極層を形成してもよい。
【0056】
アルミニウム、銀、金、クロム、銅などの金属または金属合金、酸化インジウムスズ(ITO)などの導電性を有する非金属的無機物質、カーボンナノチューブ、および、PEDOT、PANIなどの導電性ポリマーが、第1の電極層を形成するのに有益であるとわかる。
【0057】
少なくとも第1の実施例では、第2の電極層は、少なくとも局所的に透明となるように形成されており、1nmから500nmの層厚を有するのが望ましい。
【0058】
アルミニウム、銀、金、クロム、銅などを含む金属または金属合金からなる薄い層、酸化インジウムスズ(ITO)などを含む導電性の非金属的無機物質からなる薄い層、カーボンナノチューブからなる薄い層、および、PEDOT、PANIなどを含む透明な導電性ポリマーからなる薄い層は、少なくとも局所的に透明な第2の電極層を形成するのに有益であるとわかる。
【0059】
特に、金属性または非金属性の無機電極層を形成する場合には、電極層を、蒸着、或いは、スパッタリングによって形成するのが望ましく、特に、ポリマー電極層を形成する場合には、電極層を、スクリーン印刷、凸版印刷、凹版印刷、或いは、ブレードコーティングなどの従来の印刷方法によって形成するのが望ましい。
【0060】
また一方で、型押し加工によって電極層を形成するための転写フィルムの利用も可能である。
【0061】
電極層が領域内だけに形成される場合には、特に、パターン、モチーフ、格子などが、上記の電極層によって形成される。
【0062】
この様なパターンやモチーフを追加的な補助手段なしで視認可能とするのが望ましい。
【0063】
保護層を、単独の第2のキャリアフィルムとして形成するか、或いは、その薄い層厚を利用して単独でない保護ラッカー層として形成するのが望ましい。
【0064】
第1のキャリアフィルムと第2のキャリアフィルムとを、同一物質によって形成するのが望ましい。
【0065】
保護層を、有色透明となるように形成するのが望ましい。
【0066】
上記の保護層は、PET、PEN、PE、PI、PP、PC、または、PTFEなどによって形成される。
【0067】
そのことは、偽造防止素子を偽造防止書類に型押し加工によって付与できるように、フィルム本体が転写フィルムに付与されている場合に、有益であるとわかる。
【0068】
このような転写フィルムには、転写フィルムのキャリアフィルムに配置され、そこから剥離可能とされた、本発明に係る少なくとも1つの偽造防止素子が設けられている。
【0069】
転写フィルムのキャリアフィルムから進めると、本実施例では、型押し加工後に転写フィルムのキャリアフィルムからフィルム素子を剥離できるように、いつでも剥離層が設けられている。
【0070】
保護ラッカー層として形成されたオプションの透明な保護層と、さらに偽造防止素子の残りの部分の構造とが、剥離層の、転写フィルムのキャリアフィルムから遠い側に設けられるのが望ましい。
【0071】
特に冷間接着または熱融着による接着層によって、フィルム本体を偽造防止書類に固定することができる。
【0072】
また一方で、本実施例では、接着層を、物理的な搬送体としての機能を必要としない第1のキャリアフィルムによって予め形成してもよい。
【0073】
そのことは、偽造防止素子の内部の透明な接着層が、最大で層厚2μmを有する場合に、有益であるとわかる。
【0074】
透明な接着層は、導電性の物質か、或いは電気的絶縁性の物質により形成されているが、電気的絶縁性を有する物質の方が望ましい。
【0075】
偽造防止素子の第1の実施例において導電性の接着層を利用することにより、表示層と第2の電極層との間と、さらに圧電物質からなる層と第2の電極層との間とに電気的な接続が形成される一方で、電気的絶縁性の物質からなる接着層を利用することにより、特に全域に形成された接着層の場合には、表示層と第2の電極層との間と、さらに圧電物質からなる層と第2の電極層との間との電気的な接続がない場合には、表示層の容量接合と、さらに圧電物質からなる層の容量接合が生じる。
【0076】
それにもかかわらず、表示層の光学的状態の変化を引き起こすのに十分な強さの電場が第1の電極層と第2の電極層との間に生成され、エネルギー供給部によって生じさせることができる分極が十分に大きい場合には、表示部は機能する。
【0077】
接着層を、紫外線照射下で架橋硬化する接着剤、光化学的、或いは、熱的に可活性な接着剤、冷間接着剤、または、圧力接着剤(PSA)によって形成するのが望ましい。
【0078】
圧電物質からなる層が形成された後に、特にロールトゥロール法で行われる上記の層の分極形成が実行される。
【0079】
本実施例では、単独の第1のキャリアフィルムが帯状で使用され、ローラーに巻き上げられた状態で供給される。
【0080】
第1のキャリアフィルムは上記のローラーから引き出され、それに別個の層を付与するために、引き続き、異なる工程の装置に供給される。
【0081】
第1の実施例では、圧電物質からなる層が形成された後に、それによる分極形成がより確実に実行可能になるように、上記の層に追加して導電性の透明補助層を付与するのが望ましい。
【0082】
第1の実施例では、表示層の層の厚さ方向に、少なくとも50MV/mの電場を与えるのが望ましい。
【0083】
このために、第1の電極層および導電性の追加的な補助層、或いは、第1の電極層および第2の電極層が電気的に接点接続され、特に500Vから20kVの電圧が供給される。
【0084】
第2の実施例では、1つの平面内に配置された第1の電極層と第2の電極層との間に電圧が印加されるところでは、上と同様の手順が採用される。
【0085】
そのことは、本実施例では、少なくともエネルギー供給部の領域において、分極形成工程を実行するために、分極される圧電物質からなる層に、その接点接続を改善するための導電性の補助層が、第1の電極層から、それの遠い側に追加して付与される場合に、有益であるとわかる。
【0086】
上記の補助層は、特に、PEDOTやPANIなどの導電性のポリマーによって形成されるが、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)からなる透明な金属層、透明な誘電層、或いは、カーボンナノチューブを含む層なども適している。
【0087】
上記の補助層は、上記の圧電物質からなる層に上から印刷するのが望ましい。
【0088】
上記の補助層と、上記の圧電物質からなる層の、補助層から遠い側の電極層との間の短絡は避ける必要がある。
【0089】
第1の実施例では、上記のエネルギー供給部の領域において、圧電物質からなる層が4箇所のうち3箇所の周縁で電極層を越えてはみ出すように、特に、少なくとも圧電エネルギー供給部の領域において、圧電物質からなる層がエネルギー供給部に割り当てられた電極層の領域の広さより大きい面積の広さとなるのが望ましい。
【0090】
結果として第1の電極層と第2の電極層との短絡を確実に回避できる。
【0091】
エネルギー供給部は、第4の周縁の領域で表示部に接触している。
【0092】
圧電物質からなる層は、最大で層厚30μm、特に最大で層厚5μmを有するのが望ましい。
【0093】
圧電物質からなる、そのような薄い層を印刷工程によって形成することができ、特に適度の剛性がある場合には、曲げ荷重が加えられたときに電圧を生成する性能は驚くほど持続する。
【0094】
また一方で、曲げによってだけではなく、熱的に圧電物質からなる層上に生じさせた温度勾配によっても、エネルギー供給部を機能させることができる。
【0095】
エネルギー供給部の領域に適度な剛性が同時に付与されていない場合には、そのような薄い層厚の圧電物質からなる層を偽造防止書類に適用しても、それは機能的な圧電エネルギー供給部とはならないことが認識されている。
【0096】
上記の圧電物質からなる層の生成電圧は、エネルギー供給部の領域の、偽造防止素子と偽造防止書類とからなる複合部材の剛性を利用して設定可能である。
【0097】
本実施例では、一方でエネルギー供給部は表示部の切り替えに最低限必要とされる電圧または電場の強さを生じさせなければならず、他方で薄い偽造防止書類の特性を局所から複合部材の剛性が取り扱い中の損傷や偽造防止書類の耐用年数の原因となるほどの広い領域に改善する必要はないものの、偽造防止素子と偽造防止書類とからなる複合部材の剛性をエネルギー供給部の領域で調整する必要がある。
【0098】
そのことは、ポリビニリデンフルオライドすなわちPVDF類などのポリマーが圧電物質として使用される場合には、有益であるとわかる。
【0099】
また一方で、ポリアミド、ポリウレタン、フルオロポリマー、および、特に、それらに由来するコポリマーなどの他の圧電物質も使用可能である。
【0100】
表示層は、最大で層厚20μm、とりわけ最大で層厚5μmを有するのが望ましい。
【0101】
表示層は、特に、少なくとも1つのPDLC(=ポリマー分散液晶)の層によって形成される。
【0102】
また一方で、電流または電圧の作用下で、発光したり、色の遷移を生じたりするような光学的変化を生じさせる、例えば、エレクトロクロミック物質のような他の物質を利用することが、LEDを形成するような層構造や電気泳動表示素子のような表示層の形成にも役立つ。
【0103】
そのことは、表示層が、特に圧電エネルギー供給部を曲げることによって第1の電極層と第2の電極層との間に生じる電場の作用下で透明になる場合には、特に望ましい。
【0104】
結果として、表示層の、見る人から遠い側に配置された情報が見え、透明な表示層を通して読むことができる。
【0105】
そのような情報は、特に目視で、追加的な補助手段なしで読まれる。
【0106】
そのことは、第1の電極層と、場合によっては第2の電極層とが、光学的に変化する効果を生成する回折性を示す凹凸構造部を有する場合に、有益であるとわかる。
【0107】
第1の電極層に対向する第1のキャリアフィルムの表面に、回折性を示す、特に型押しされた凹凸構造部を導入するのが望ましい。
【0108】
別の方法、或いは、それとの組み合わせとして、第2の電極層を反射層として機能させるのが望ましいので、圧電物質からなる層に凹凸構造部を型押し加工してもよい。
【0109】
本実施例では、第1のキャリアフィルムを型押し加工可能な熱可塑性物質によって形成するか、或いは、第1の電極層に対向する第1のキャリアフィルムの表面に、特に型押し加工された回折性を示す凹凸構造部が導入される、紫外線硬化ラッカーまたは熱可塑性物質からなる複製のラッカー層などの型押し加工可能な層が設けられる。
【0110】
隣接する電極層は回折性を示す凹凸構造部に非常に薄く形成されているので、凹凸構造部は、電極層の、第1のキャリアフィルムから遠い側に押し付けられる。
【0111】
見る角度によって変わる色やモチーフの変化、明るさの変化、ホログラム、キネグラム(登録商標)などが生じるような光学的に変化する効果が、上記の押し付けられた凹凸構造部での入射光の回折によって生じる。
【0112】
本実施例では、凹凸構造部によって生じる光学的に変化する効果がはっきりと現れるように、凹凸構造部に押し付けられた上記の電極層を、高い反射率を有する金属や透明物質からなる反射層として形成するのが望ましい。
【0113】
上記の凹凸構造部を、第1の電極層の、場合によっては第2の電極層の、圧電物質からなる層と重なる第1の領域に配置するか、第1の電極層の、場合によっては第2の電極層の、表示層と重なる第2の領域に配置するか、或いは、その両方とするのが望ましい。
【0114】
そのことは、本実施例では、支持層によって形成されたデザイン要素と回折性を示す凹凸構造部によって生成される光学的に変化する効果とが相互に影響し合うように支持層が構成され、特に、それらが相互に関連した認識可能な情報内容を伝える場合には、有利になることがわかる。
【0115】
また、そのことは、表示層が透明に切り替わるときだけ認識可能になる情報が、デザイン要素と光学的に変化する効果とに相互に影響し合い、それらが相互に関連した認識可能な情報内容を伝える場合には、有益であるとわかる。
【0116】
そのことは、第1のキャリアフィルムと、第1の電極層と、第2の電極層との少なくとも一つが透明である場合には、特に望ましい。
【0117】
また、そのことは、圧電物質からなる層や支持層が透明である場合には、有効である。
【0118】
そのことは、偽造防止素子が全体的に透明で、また、表示層も透明な光学的状態に切り替っている場合には、特に望ましい。
【0119】
本発明に係る少なくとも1つの、最大で200μmの厚さの、特に50〜200μmの厚さの、本実施例では、望ましくは、85〜140μmの厚さの偽造防止素子を有する、紙幣、有価証書、または、紙の公文書などの偽造防止書類において目的は達成される。
【0120】
本実施例では、偽造防止書類に、少なくとも1つの偽造防止素子を、帯状に、或いは、ラベルとして埋め込んでもよい。
【0121】
また、そのことは、少なくとも1つの偽造防止素子が付与された後に、偽造防止書類が、少なくとも1種類の不透明な印刷インクや、少なくとも1種類の不透明な有色ラッカーによって印刷され、それによって偽造防止素子の領域だけが覆われる場合には、有効である。
【0122】
本実施例では、圧電エネルギー供給部の領域の偽造防止書類と偽造防止素子とからなる複合部材の剛性を、圧電物質からなる層を曲げることによって表示部を切り替えるための十分に高い電圧を生成し、かつ、それによって生じた押圧力および力学的応力がエネルギー供給部のより広い領域、特にエネルギー供給部の全域に分散するように設定する必要がある。
【0123】
上記の剛性は、偽造防止素子を偽造防止書類に付与する前後に、通常、目標とする領域に不透明な印刷インクや不透明な有色ラッカーを付与したり、全域を含む追加的な透明層を付与したり、その両方が行われることによって影響を受けるが、これにより、剛性を必要とされる範囲に合わせることができる。
【0124】
そのことは、少なくとも1つの偽造防止素子の少なくとも電気的に制御可能な表示部が、偽造防止書類の少なくとも透明な領域の領域内に配置された場合には、望ましい。
【0125】
本実施例では、偽造防止素子が、窓部開口として形成された透明な領域に及んでいてもよいし、偽造防止書類の透明なフィルムの領域に配置されてもよい。
【0126】
結果として、表示部の領域で、透明な第1の電極層と第2の電極層とが選択された場合には、表示部を両側から見ることができる。
【0127】
本実施例では、少なくとも1つの偽造防止素子を、偽造防止書類上に配置しても、偽造防止書類内部に埋め込んでもよい。
【0128】
少なくとも1つの偽造防止素子を、転写フィルムまたはラミネートフィルムを利用して、型押し加工によって、偽造防止書類の表面に付与するのが望ましい。
【0129】
偽造防止書類内部への導入は、偽造防止書類の製造の間に、それが達成されるほど早いのが望ましい。
【0130】
そうすれば、紙からなる偽造防止書類の場合には、少なくとも1つの偽造防止素子を、紙の製造と同じくらい早く、紙に導入できる。
【0131】
圧電物質からなる層と、表示層と、支持層と、接着層とのうち少なくとも1つを印刷工程によって形成することによって、本発明に係る偽造防止素子の製造方法において目的が達成される。
【0132】
このような印刷層を形成するための印刷用展色剤は、本実施例では、特に、ペースト、インク、ラッカー、または、溶液として供給される。
【0133】
特に、乾いた層に要求される層厚を達成するのに必要とされる各印刷用展色剤の全量が一度の印刷工程で印刷される場合には、とりわけ低粘度の印刷用展色剤を使用した印刷工程が、形成された層の周縁のはみ出しや乱れの原因となる。
【0134】
同質の固形物を含む低粘度の印刷用展色剤による繰り返しの印刷工程によって、この様な印刷用展色剤が、少なくとも十分に乾いた第1の層に再度印刷されるので、所望の層厚を有し、かつ、整った輪郭を有する一様な機能層が形成可能となる。
層の周縁のはみ出しや乱れは、それによって効果的に避けられる。
【0135】
この目的には、特に、フラットベッドスクリーン印刷、回転式スクリーン印刷、凹版印刷、凸版印刷、または、ブレードコーティング法などの印刷工程が適している。
【0136】
最大で200μmの厚さの偽造防止書類の識別および偽造防止に利用可能な、偽造防止素子を形成するための特に薄い層の形成、或いは、最大で70μmの厚さの偽造防止素子の形成が、印刷法によって、とりわけ合理的に可能となる。
【0137】
また、第1の積層体が、少なくとも第1の電極層と、圧電物質からなる層と、オプションの補助層と、表示層と、第1のキャリアフィルムに形成されたオプションの支持層とによって形成され、第2の積層体が、少なくとも第2の電極層と、保護層に形成された接着層とによって形成され、第1の積層体と第2の積層体とが、第1の積層体の第1のキャリアフィルムから遠い側にラミネートされた第2の積層体の接着層によって接続されることにより、保護層を有する第1の実施例に対応する本発明に係る偽造防止素子の製造方法において目的が達成される。
【0138】
第1の積層体が、少なくとも第1の電極層と、第2の電極層と、圧電物質からなる層と、表示層と、第1のキャリアフィルムに形成されたオプションの支持層とによって形成され、第2の積層体が、少なくとも上記保護層に形成された接着層によって形成され、第1の積層体と第2の積層体とが、第1の積層体の第1のキャリアフィルムから遠い側にラミネートされた第2の積層体の接着層によって接続されることにより、第2の実施例に対応する本発明に係る偽造防止素子の製造方法において目的が達成される。
【0139】
そのことは、本実施例では、第1の積層体が、ローラーからローラーへ搬送される第1のキャリアフィルムと、その工程において、少なくとも第1の電極層と、圧電物質からなる上記の層と、上記の表示層と、ひき続いて第1のキャリアフィルムに形成されるオプションの支持層とによって形成される場合には、有益であるとわかる。
【0140】
第2の積層体は、ローラーからローラーへ搬送される保護層と、その工程において、場合によっては第2の電極層と、少なくとも上記の保護層に形成された接着層とによって形成されるのが望ましい。
【0141】
フィルム素子が転写フィルムに形成される場合には、剥離層が、特に印刷により、ロールトゥロール法におけるキャリアフィルムに付与され、保護ラッカー層として形成された保護層が、特に印刷により、その剥離層に付与される。
【0142】
それから、フィルム素子の追加的な層が、ひき続いて保護ラッカー層に形成される。
【0143】
また、そのことは、接着補助層、第1の電極層、および、第2の電極層からなるグループからなる少なくとも1つの層が、さらに加えて、印刷工程によって形成される場合には、有効である。
【0144】
図1〜図7bは、例として、本発明に係る異なる偽造防止素子、それが備えられた偽造防止書類、および、型押し加工によって偽造防止素子を付与するための転写フィルムを示している。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1a】第1の偽造防止素子を断面図で示している。
【図1b】第1の偽造防止素子の第1の積層体を図1aの平面図で示している。
【図2a】第2の偽造防止素子を断面図で示している。
【図2b】第2の偽造防止素子の第1の積層体を図2aの平面図で示している。
【図3a】偽造防止書類の第3の偽造防止素子を断面図で示している。
【図3b】第3の偽造防止素子の第1の積層体を図3aの平面図で示している。
【図4a】第4の偽造防止素子を断面図で示している。
【図4b】第4の偽造防止素子の第1の積層体を図4aの平面図で示している。
【図5】図3aに対応する第3の偽造防止素子を形成するための転写フィルムを断面図で示している。
【図6a】A−A´断面における第5の偽造防止素子を示している。
【図6b】第5の偽造防止素子を図6aの平面図で示している。
【図7a】B−B´断面における第6の偽造防止素子を示している。
【図7b】第6の偽造防止素子を図7aの平面図で示している。
【発明を実施するための形態】
【0146】
図1aは、圧電エネルギー供給部1aと電気的に制御可能な表示部1bとからなる第1の偽造防止素子1を断面図で示している。
【0147】
PETからなる第1のキャリアフィルム2の領域に、不透明で金属性の第1の電極層3aが配置される。
【0148】
第1の電極層3aは、蒸着またはスパッタリングによって、第1のキャリアフィルム2に形成される。
【0149】
圧電物質(ここではPVDF)からなる層厚15μmの透明な層4が、第1の電極層3aの領域に配置され、その透明な層は、4箇所のうち3箇所の周縁で、第1の電極層3aを越えてはみ出ている。
【0150】
PVDFからなり、さらに分極された層4は、PVDFを含む液剤を印刷する工程と、それに続く乾燥工程とによって形成される。
【0151】
PVDFからなる層4を、例えば印刷された導電性の補助層によって覆うのが望ましい(ここでは別々には図示されていない)。
【0152】
PVDFからなる層4の分極形成のために、補助層と第1の電極層3aとの間に電圧を一時的に印加すると、その電圧によって少なくとも50MV/mの電場が生じる。
【0153】
また、第1の電極層3aには、PDLCからなる層厚10μmの表示層5が形成される。
【0154】
表示層5は、プレポリマーおよび液晶物質を含む液剤を印刷する工程と、それに続く乾燥工程とによって形成される。
【0155】
表示層5が形成された後に、表示層5の周囲に枠部を形成する、紫外線硬化ラッカーからなる有色不透明の支持層6を付与する。
【0156】
第1のキャリアフィルム2と、第1の電極層3aと、PVDFからなる層4と、表示層5と、支持層6とによって、第1の積層体が形成されている(平面図として図1b参照)。
【0157】
第1のキャリアフィルム2を、第1のローラーから引き離し、第1のキャリアフィルム2に上記の複数の層を付与し、それを第2のローラーに巻き上げて、ローラーからローラーへ搬送することによって、第1の積層体を第1のキャリアフィルム2に形成するのが望ましい。
【0158】
PVDFからなる層4、または、場合によっては導電性を有する補助層と、表示層5と、支持層6とを、紫外線硬化接着剤からなる層厚1μmの透明な接着層7によって覆う。
【0159】
PEDOTからなる層厚0.1μmの透明な第2の電極層3bと、さらにPETからなる透明な保護層8とを、接着層7の全域に配置する。
【0160】
保護層8は、第2の電極層3bと接着層7と一緒にして、1つの第2の積層体として形成され、単独の第2のキャリアフィルムとして一つにまとめられる。
その第2の積層体は、第1の積層体に接合、或いは、接着接合される。
【0161】
第2のキャリアフィルムを、第1のローラーから引き離し、第2のキャリアフィルムに層3b、層7を付与し、それを第2のローラーに巻き上げて、特に、ローラーからローラーへ搬送することによって、第2の積層体を形成する。
【0162】
第1の積層体と第2の積層体とは、ラミネートによって一緒に接合される。
【0163】
別の方法として、転写フィルムによって、第2の電極層に第1の積層体を型押しすることもできるので、単独の保護層8が不要となる。
【0164】
その他には、第2の電極層と一緒に型押しされるように、転写フィルムに付与された、薄くて単独でない保護ラッカー層を、第1の積層体上に付与してもよい。
【0165】
導電性を有する補助層がPVDFからなる層4に配置されていない場合には、第1の電極層3aと第2の電極層3bとの間に電圧を印加することによって、PVDFからなる層4に分極が生じる。
【0166】
図1bは、第1の電極層3aがPVDFからなる透明な層4を通して見えるような、第1の偽造防止素子1の第1の積層体を、図1aの平面図で示している。
【0167】
支持層6は表示層5の周縁を覆っている。
【0168】
図2aは、圧電エネルギー供給部1aと電気的に制御可能な表示部1bとからなる第2の偽造防止素子1´を断面図で示している。
【0169】
金属からなる不透明な第1の電極層3aが、PETからなる第1のキャリアフィルム2の領域に配置される。
【0170】
第1の電極層3aは、蒸着やスパッタリングによって、第1のキャリアフィルム2に形成される。
【0171】
圧電物質(ここではPVDF)からなる層厚20μmの透明な層4が、第1の電極層3aの領域に配置され、その透明な層は、4箇所の全ての周縁で第1の電極層3aを越えてはみ出しており、第1の電極層3aに表示層5を形成するための領域を空けたままにしている。
【0172】
さらに上で示された方法で分極されたPVDFからなる層4は、PVDFを含む液剤を印刷する工程と、それに続く乾燥工程とによって形成される。
【0173】
また、第1の電極層3aに、PDLCからなる層厚10μmの表示層5が形成される。
【0174】
表示層5は、プレポリマーおよび液晶物質を含む液剤を印刷する工程と、それに続く乾燥工程とによって形成される。
【0175】
表示部1bの領域では、表示層5の周囲で枠部を形成する支持層6が、PVDFからなる層4によって一緒に形成される。
【0176】
第1のキャリアフィルム2と、第1の電極層3aと、PVDFからなる層4と、それゆえ支持層6と、表示層5とによって、第1の積層体が形成されている(平面図として図2b参照)。
【0177】
第1のキャリアフィルム2を、第1のローラーから引き離し、第1のキャリアフィルム2に上記の複数の層を付与し、それを第2のローラーに巻き上げて、ローラーからローラーへ搬送することによって、第1の積層体を第1のキャリアフィルム2に形成するのが望ましい。
【0178】
PVDFからなる層4と、それゆえ支持層6と、表示層5とは、紫外線硬化接着剤からなる層厚2μmの透明な接着層7によって覆われる。
【0179】
ITOからなる層厚50nmの透明な第2の電極層3bと、さらにPETからなる透明な保護層8とを、接着層7の全域に配置する。
【0180】
保護層8は、第2の電極層3bと接着層7と一緒にして、1つの第2の積層体として形成され、単独の第2のキャリアフィルムとして一つにまとめられる。
その第2の積層体は、第1の積層体に接合、或いは、接着接合される。
【0181】
第2のキャリアフィルムを、第1のローラーから引き離し、第2のキャリアフィルムに複数の層を付与し、それを第2のローラーに巻き上げて、特に、ローラーからローラーへ搬送することによって、第2の積層体を形成する。
【0182】
第1の積層体と第2の積層体とは、ラミネートによって一緒に接合される。
【0183】
図2bは、第1の電極層3aがPVDFからなる透明な層4と、それゆえ支持層6とを通して見えるような、第2の偽造防止素子1´の第1の積層体を、図2aの平面図で示している。
【0184】
図3aは、透光領域102を設けた紙からなる、基材101を有する偽造防止書類100の第3の偽造防止素子1´´を断面図で示している。
【0185】
第3の偽造防止素子l´´は、圧電エネルギー供給部1aと、電気的に制御可能な表示部1bとを有している。
【0186】
金属からなる半透明な第1の電極層3aが、PETからなる第1のキャリアフィルム2の領域に配置され、基材101に、例えば、接着接合される。
【0187】
第1の電極層3aは、蒸着やスパッタリングによって、第1のキャリアフィルム2に形成される。
【0188】
圧電物質(ここではPVDF)からなる層厚20μmの透明な層4が、第1の電極層3aの領域に配置され、その透明な層は、4箇所の全ての周縁で第1の電極層3aを越えてはみ出しており、第1の電極層3aに表示層5を形成するための領域を空けたままにしている。
【0189】
さらに上述された方法で分極されたPVDFからなる層4は、PVDFを含む液剤を印刷する工程と、それに続く乾燥工程とによって形成される。
【0190】
また、第1の電極層3aに、PDLCからなる層厚10μmの表示層5が形成される。
【0191】
表示層5は、プレポリマーおよび液晶物質を含む液剤を印刷する工程と、それに続く乾燥工程とによって形成される。
【0192】
表示部1bの領域では、表示層5の周囲で枠部を形成する支持層6が、PVDFからなる層4によって一緒に形成される。
【0193】
第1のキャリアフィルム2と、第1の電極層3aと、PVDFからなる層4と、それゆえ支持層6と、表示層5とによって、第1の積層体が形成されている(平面図として図3b参照)。
【0194】
第1のキャリアフィルム2を、第1のローラーから引き離し、第1のキャリアフィルム2に上記の複数の層を付与し、それを第2のローラーに巻き上げて、ローラーからローラーへ搬送することによって、第1の積層体を第1のキャリアフィルム2に形成するのが望ましい。
【0195】
PVDFからなる層4と、それゆえ支持層6と、表示層5とが、紫外線硬化接着剤からなる層厚1μmの透明な接着層7によって覆われる。
【0196】
PEDOTからなる層厚0.1μmの透明な第2の電極層3bと、さらにPETからなる透明な保護層8とを一つにまとめた単独でないラッカー層を、接着層7の全域に配置する。
【0197】
保護層8は、第2の電極層3bと接着層7と一緒にして、1つの第2の積層体として形成される。
その第2の積層体は、第1の積層体に接合、或いは、接着接合される。
【0198】
キャリアフィルム201を、第1のローラーから引き離し、キャリアフィルム201に保護ラッカー層と追加的な層とを付与し、それを第2のローラーに巻き上げて、特に、ローラーからローラーへ搬送することにより、そこに付与された剥離層202を有する転写フィルム200のキャリアフィルム201によって、第2の積層体を形成する(図5参照)。
【0199】
第1の積層体と第2の積層体とは、ラミネートによって一緒に接合される。
【0200】
このとき、転写フィルム200は偽造防止素子 1´´を形成するためのフィルム素子を含んでいる。
【0201】
型押し加工工程において、温度の作用下で、基材101または第1のキャリアフィルム2に配置される接着層を利用して、転写フィルム200を偽造防止書類100に対して押圧し、基材101の領域に固定するのが望ましい。
【0202】
最終的に、偽造防止素子1´´が基材101に残るように、転写フィルム200のキャリアフィルム201を剥がす。
【0203】
図3bは、第1の電極層3aがPVDFからなる透明な層4と、それゆえ支持層6とを通して見えるような、第3の偽造防止素子1´´の第1の積層体を、図3aの平面図で示している。
【0204】
第1の電極層3aは開口102´を有しており、偽造防止素子1´´が基材101に固定された後に、開口102´は透光領域102に対して正確に対応して配置される。
【0205】
第1の電極層3aのパターン状の領域31は、それまで通り、開口102´の内側に存在している。
【0206】
上記の領域には回折性を示す凹凸構造部(ここでは不図示)が付与されているので、パターン状の領域31が光学的に変化する効果を示す。
【0207】
図4aは、圧電エネルギー供給部1aと電気的に制御可能な表示部1bとからなる第4偽造防止素子1を断面図で示している。
【0208】
PETからなる第1のキャリアフィルム2の領域に、不透明で金属性の第1の電極層3aが配置される。
【0209】
第1の電極層3aは、蒸着またはスパッタリングによって、第1のキャリアフィルム2に形成される。
【0210】
圧電物質(ここではPVDF)からなる層厚20μmの透明な層4が、第1の電極層3aの領域に配置されており、その透明な層は、4箇所のうち3箇所の周縁で、第1の電極層3aを越えてはみ出ている。
【0211】
PVDFからなり、さらに上述された方法で分極された層4は、PVDFを含む液剤を印刷する工程と、それに続く乾燥工程とによって形成される。
【0212】
PEDOTからなる導電性の補助層3cが、PVDFからなる層4に付与されるので、PVDFからなる層4の、分極工程中の電気的な接触接続が、その補助層によって改善される。
【0213】
また、紫外線硬化ラッカーからなる有色不透明の支持層6が、第1の電極層3aと、枠部が形成される上記の支持層と、後で、第1の電極層3aに形成される表示層5のための3つの点状のウェブとに付与される。
【0214】
PDLCからなる層厚10μmの表示層5は、プレポリマーおよび液晶物質を含む液剤を印刷する工程と、さらに、それに続く乾燥工程とによって形成される。
【0215】
第1のキャリアフィルム2と、第1の電極層3aと、PVDFからなる層4と、補助層3cと、表示層5と、支持層6とによって、第1の積層体が形成されている(平面図として図4b参照)。
【0216】
第1のキャリアフィルム2を、第1のローラーから引き離し、第1のキャリアフィルム2に上記の複数の層を付与し、それを第2のローラーに巻き上げて、ローラーからローラーへ搬送することによって、第1の積層体を第1のキャリアフィルム2に形成するのが望ましい。
【0217】
PVDFと、表示層5と、支持層6とからなる層4の全域が、熱溶融性{ねつ ようゆう せい}接着剤からなる層厚2μmの透明な接着層7に覆われる。
【0218】
ITOからなる層厚50nmの透明な第2の電極層3bと、さらにPETからなる透明な保護層8とを、接着層7の全域に配置する。
【0219】
保護層8は、第2の電極層3bと接着層7と一緒にして、1つの第2の積層体として形成され、単独の第2のキャリアフィルムとして一つにまとめられる。
その第2の積層体は、第1の積層体に接合、或いは、接着接合される。
【0220】
第2の積層体は、第1のローラーから引き離され、複数の層が付与され、第2のローラーに巻き上げられ、特に、ローラーからローラーへ搬送される第2のキャリアフィルムによって形成される。
【0221】
第1の積層体と第2の積層体とは、ラミネートによって一緒に接合される。
【0222】
図4bは、第1の電極層3aが透明な補助層3cとPVDFからなる透明な層4とを通して見えるような、第4偽造防止素子1´´´の第1の積層体を、図4aの平面図で示している。
【0223】
支持層6は、表示層5の周縁を光学的に遮蔽している。
【0224】
図5は、保護層8としての単独でない保護ラッカー層を有し、図3aに対応する、第3の偽造防止素子 1´´を形成するための転写フィルム200の一部を断面図で示している。
【0225】
転写フィルム200のキャリアフィルム201の全域で、剥離する層に、ろう質の剥離層202が付与され、保護ラッカー層として一つにまとめられた保護層8が、その全域に付与される。
【0226】
また、偽造防止書類100(図3a参照)に偽造防止素子 1´´を固定し、そこからキャリアフィルム200を剥離可能とするために、(ここでは示されない)接着層を、転写フィルム200のキャリアフィルム201から遠い側に配置してもよい。
【0227】
別の方法として、キャリア機能はキャリアフィルム201によって付与されるので、キャリア機能を有さない第1のキャリアフィルム2がここにあってもよいし、第1のキャリアフィルム2を、単独でない接着層として一つにまとめてもよい。
【0228】
図6aは、圧電エネルギー供給部1aと電気的に制御可能な表示部1bとを有する第2の実施例に対応する第5の偽造防止素子1´´´´をA−A´断面で示している。
【0229】
それぞれ金属からなる、不透明な第1の電極層3aと、さらに不透明な第2の電極層3bとが、PETからなる第1のキャリアフィルム2の領域に配置される。
【0230】
第1の電極層3aと第2の電極層3bとが、蒸着またはスパッタリングを用いて、第1のキャリアフィルム2の1つの面内に互いに平行に、かつ、互いに電気的に絶縁されて形成される。
【0231】
圧電物質(ここではPVDF)からなる層厚15μmの透明な層4が、エネルギー供給部1aの領域の第1の電極層3aおよび第2の電極層3bに配置される。
【0232】
第1の電極層3aと第2の電極層3bとの間の電圧の印加によって、さらに分極されたPVDFからなる層4は、PVDFを含む液剤を印刷する工程と、それに続く乾燥工程とによって形成される。
【0233】
また、PDLCからなる層厚10μmの表示層5が、表示部1bの領域の第1の電極層3aおよび第2の電極層3bに形成される。
【0234】
表示層5は、プレポリマーと液晶物質とを含む液剤を印刷する工程と、それに続く乾燥工程とによって形成される。
【0235】
表示層5が形成された後に、表示層5の周囲に枠部を形成する、紫外線硬化ラッカーからなる有色不透明の支持層(ここでは不図示)を付与してもよい。
【0236】
PETからなる透明な保護層8によって、さらに圧電物質からなる層4を覆うこともできたが、ここでは表示層5だけを覆っている。
【0237】
図6bは、第5の偽造防止素子1´´´´を図6aの平面図で示しており、第1の電極層3aと第2の電極層3bとが、エネルギー供給部1aの領域のPVDFからなる透明な層4と、さらに表示部1bの領域の表示層5および保護層8とを通して見える。
【0238】
図7aは、第1の実施例と第2の実施例との組み合せに対応する、B−B´断面での第6の偽造防止素子 1´´´´´を示している。
【0239】
第1の実施例では、1つの電極層が圧電物質からなる層の下方に配置され、1つの電極層が圧電物質からなる層の上方に配置された圧電エネルギー供給部1aが形成される。
【0240】
第2の実施例では、2つの電極層が、同一面内で、表示層の下に、互いに平行に配置され、かつ、互いに電気的に絶縁された状態で、電気的に制御可能な表示部1bが形成される。
【0241】
図7aでは、表示部1bの領域において、金属性の不透明な第1の電極層3a´と、さらに金属性の不透明な第2の電極層3b´とが、PETからなる第1のキャリアフィルム2の領域に配置される。
【0242】
第1の電極層3a´と第2の電極層3b´とが、蒸着やスパッタリングを利用して、第1のキャリアフィルム2の1つの面内で互いに平行に、かつ、互いに電気的に絶縁されて形成される。
【0243】
また、PDLCからなる層厚10μmの表示層5が、表示部1bの領域の第1の電極層3a´および第2の電極層3b´に形成される。
【0244】
表示層5は、プレポリマーおよび液晶物質を含む液剤を印刷する工程と、それに続く乾燥工程とによって形成される。
【0245】
表示層5の形成の前後に、紫外線硬化ラッカーからなり、表示層5の周囲に枠部を形成する有色不透明の支持層(ここでは不図示)を付与してもよい。
【0246】
また、図7aでは、エネルギー供給部1aの領域において、追加的な第2の電極層3b´´が、第1のキャリアフィルム2に配置され、その電極層は、圧電物質(本実施例ではPVDF)からなる層厚15μmの透明層4によって領域が覆われる。
【0247】
第2の電極層3b´と、追加的な第2の電極層3b´´とは、導電性を有して互いに接続され、一つにまとめられる。
【0248】
PEDOTからなる追加的な第1の電極層3a´´´は、PVDFからなる層4に印刷工程により形成され、そこから領域3a´´を利用して、第1の電極層3a´に導電性を有して接続される。
【0249】
PVDFからなる層4は、PVDFを含む液剤を印刷する工程と、それに続く乾燥工程によって形成され、さらに、追加的な第1の電極層3a´´´と追加的な第2の電極層3b´´との間の電圧の印加によって分極される。
【0250】
ここでは明瞭さのために図示されていない透明な保護層によって、表示部1bやエネルギー供給部1aを覆うことができる。
【0251】
図7bは、第1の電極層3a´と第2の電極層3b´とが、表示層5と、場合によっては表示部1bの領域の保護層とを通して見え、エネルギー供給部1aの領域では、追加的な第2の電極層3b´´が、PVDFからなる透明な層4と、追加的な第1の電極層3´´´とを通して見えるような、第6の偽造防止素子1´´´´´を図7aの平面図で示している。
【0252】
図面における実例は、単に本発明に係る偽造防止素子の可能な構成の例として示しているものであり、当業者は、本発明を知った上で、発明の段階を経ずに、或いは、本発明の概念から離れることなく、様々な追加的な偽造防止素子を製造することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電気的に制御可能な表示部(1b)と、
前記少なくとも1つの表示部(1b)を制御する、少なくとも1つの圧電エネルギー供給部(1a)と、
を有する、紙幣、有価証書、または、紙の公文書などの偽造防止書類(100)の識別のための偽造防止素子(1,1´,1´´,1´´´,1´´´´,1´´´´´)であって、
電場中で配向可能な液晶を有する表示層(5)を含む前記少なくとも1つの電気的に制御可能な表示部(1b)を有し、かつ、
圧電物質からなる少なくとも1つの層(4)を有し、前記少なくとも1つの表示部(1b)を制御する前記少なくとも1つの圧電エネルギー供給部(1a)を有する
多層化された柔軟なフィルム本体
によって形成され、
前記フィルム本体の面に垂直な方向の厚さが最大で70μmを有する
ことを特徴とする偽造防止素子(1,1´,1´´,1´´´,1´´´´,1´´´´´)。
【請求項2】
前記フィルム本体が、
オプションの第1のキャリアフィルム(2)と、
少なくとも領域内に形成された第1の電極層(3a)と、
圧電物質からなり、かつ、前記第1の電極層(3a)の領域に形成された層(4)と、
また、領域内に、かつ、前記第1の電極層(3a)の同一面内に形成された表示層(5)と、
さらに、オプションで少なくとも領域内に形成された透明な接着層(7)と、
少なくとも領域内に形成された透明な第2の電極層(3b)と、
オプションで透明な保護層(8)と、
を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の偽造防止素子。
【請求項3】
前記フィルム本体が、
オプションの第1のキャリアフィルムと、
少なくとも領域内に形成された第1の電極層(3a)と、
また、少なくとも前記同一面内の領域に形成された第2の電極層(3b)と、
圧電物質からなり、かつ、第1の電極層(3a)および第2の電極層(3b)の領域に形成された層(4)と、
また、領域内でかつ第1の電極層(3a)および第2の電極層(3b)の前記同一面内に形成された表示層(5)と、
オプションで透明な接着層(7)と、
オプションで透明な保護層(8)と、
を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の偽造防止素子。
【請求項4】
前記フィルム本体が、
前記表示部(1b)の領域において、
少なくとも領域内に形成された第1の電極層(3a´)と、
また、少なくとも前記同一面の領域に形成された第2の電極層(3b´)と、
第1の電極層(3a´,3b´)および第2の電極層(3a´,3b´)の領域に形成された表示層(5)と、
オプションで透明な接着層(7)と、
オプションで透明な保護層(8)と、
を有するか、
前記フィルム本体が、
前記エネルギー供給部(1a)の領域において、
少なくとも領域内に形成された追加的な第2の電極層(3b´´)と、
そこに圧電物質からなる少なくとも1つの層(4)と、
また、前記少なくとも1つの層(4)に追加的な第1の電極層(3a´´´)と、
を有し、
いずれの場合にも、前記表示部(1b)の第1の電極層および第2の電極層が、前記エネルギー供給部(1a)の追加的な電極層の1つに導電性を有して接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の偽造防止素子。
【請求項5】
前記フィルム本体が、
前記表示部(1b)の領域において、
少なくとも領域内に形成された第1の電極層と、
前記第1の電極層の領域に形成された表示層(5)と、
オプションで透明な接着層(7)と、
少なくとも領域内に形成された第2の電極層と、
オプションで透明な保護層と、
を有するか、
前記フィルム本体が、
前記エネルギー供給部(1a)の領域において、
領域内に形成された第1の電極層と、
また、少なくとも前記同一面内の領域に形成された第2の電極層と、
そこに圧電物質からなる少なくとも1つの層(4)と、
また、前記少なくとも1つの層(4)に、オプションで透明な接着層(7)と、
オプションで透明な保護層と、
を有し、
いずれの場合にも、前記表示部の第1の電極層および第2の電極層が、前記エネルギー供給部(1a)の電極層の1つに導電性を有して接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の偽造防止素子。
【請求項6】
前記フィルム本体が、
前記第1の電極層(3a,3a´,3a´´,3a´´´)と前記第2の電極層(3b,3b´,3b´´)との少なくとも一方に隣接する少なくとも1つの接着補助層を有する
ことを特徴とする請求項2ないし請求項5のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項7】
前記フィルム本体が、
前記フィルム本体の面を垂直に見て、少なくとも前記表示層(5)の領域の周囲に枠部を形成する支持層(6)を有する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項8】
さらに、前記支持層(6)が、前記表示層(5)と重なり合う少なくとも1つのウェブを形成する
ことを特徴とする請求項7に記載の偽造防止素子。
【請求項9】
前記支持層(6)が、紫外線硬化ラッカー、乾熱印刷インクから形成されるか、あるいは、圧電物質からなる層と同一の物質によって形成される
ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の偽造防止素子。
【請求項10】
前記支持層(6)が、視認可能なデザイン要素を形成する
ことを特徴とする請求項7ないし請求項9のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項11】
前記保護層(8)が、第2のキャリアフィルム、または、保護ラッカー層によって形成される
ことを特徴とする請求項2ないし請求項10のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項12】
前記保護層(8)が色付いた透明である
ことを特徴とする請求項2ないし請求項11のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項13】
前記接着層(7)が最大で2μmの層厚を有する
ことを特徴とする請求項2ないし請求項12のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項14】
前記接着層(7)が電気的絶縁性を有する物質によって形成される
ことを特徴とする請求項2ないし請求項13のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項15】
圧電物質からなる前記層(4)が、最大で30μmの層厚、とりわけ最大で5μmの層厚を有する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項14のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項16】
前記圧電物質が、ポリマー、とりわけPVDFすなわちポリビニリデンフルオライド類であることを特徴とする請求項1ないし請求項15のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項17】
前記表示層(5)が最大で20μmの層厚、とりわけ最大で5μmの層厚を有する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項16のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項18】
前記表示層(5)が電場の作用下で透明となる
ことを特徴とする請求項1ないし請求項17のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項19】
前記表示層(5)がPDLCの少なくとも1つの層によって形成される
ことを特徴とする請求項1ないし請求項18のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項20】
前記第1の電極層(3a,3a´)と、場合によっては第2の電極層(3b,3b´,3b´´)とが、光学的に変化する効果を生成するような回折性を示す凹凸構造部を有する
ことを特徴とする請求項2ないし請求項19のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項21】
前記凹凸構造部が、
圧電物質からなる層(4)が重ね合わされた、
前記第1の電極層(3a,3a´)と、場合によっては第2の電極層(3b,3b´,3b´´)との第1の領域と、
前記表示層(5)が重ね合わされた、
前記第1の電極層(3a,3a´)と、場合によっては第2の電極層(3b,3b´,3b´´)との第2の領域と、
の少なくとも一方に配置される
ことを特徴とする請求項20に記載の偽造防止素子。
【請求項22】
前記第1のキャリアフィルム(2)と、
前記第1の電極層(3a,3a´)と、
前記第2の電極層(3b,3b´,3b´´)と、
の少なくとも1つが透明である
ことを特徴とする請求項2ないし請求項21のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項23】
圧電物質からなる前記層(4)と、
前記支持層(6)と、
の少なくとも一方が透明である
ことを特徴とする請求項1ないし請求項22のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項24】
前記支持層(6)が色付けして形成される
ことを特徴とする請求項7ないし請求項9または請求項23のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項25】
少なくとも1つの偽造防止素子(1,1´,1´´,1´´´,1´´´´,1´´´´´)を有する、紙幣、有価証書、または、紙の公文書などの偽造防止書類(100)であって、
最大で200μmの厚さを有する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項24のうち何れか1項に記載の偽造防止書類(100)。
【請求項26】
前記少なくとも1つの偽造防止素子(1,1´,1´´,1´´´,1´´´´,1´´´´´)の少なくとも前記電気的に制御可能な表示部(1b)が、少なくとも前記偽造防止書類(100)の透明な領域(102)内の領域に配置される
ことを特徴とする請求項25に記載の偽造防止書類。
【請求項27】
前記少なくとも1つの偽造防止素子(1,1´,1´´,1´´´´,1´´´´´)が、前記偽造防止書類(100)に配置されるか、あるいは、前記偽造防止書類(100)に埋め込まれることを特徴とする請求項25または請求項26に記載の偽造防止書類。
【請求項28】
圧電物質と、前記表示層(5)と、支持層(6)と、前記接着層(7)との少なくとも1つからなる層(4)が印刷工程によって形成される
ことを特徴とする請求項1ないし請求項24のうち何れか1項に記載の偽造防止素子の製造方法。
【請求項29】
第1の積層体が、
少なくとも前記第1の電極層(3a)と、
圧電物質からなる層(4)と、
前記表示層(5)と、
前記第1のキャリアフィルム(2)に形成された前記オプションの支持層(6)と、
によって形成され、
第2の積層体が、
少なくとも前記第2の電極層(3b)と、
前記保護層(8)に形成された前記接着層(7)と、
によって形成され、
第1の積層体および第2の積層体が、
前記第1の積層体の前記第1のキャリアフィルム(2)から遠い側にラミネートされた前記第2の積層体の前記接着層(7)と、
によって接続される
ことを特徴とする請求項2に記載の偽造防止素子の製造方法。
【請求項30】
第1の積層体が、
少なくとも第1の電極層(3a)および第2の電極層(3b)と、
圧電物質からなる前記層(4)と、
前記表示層(5)と、
前記第1のキャリアフィルム(2)に形成された前記オプションの支持層(6)と、
によって形成され、
第2の積層体が、
少なくとも前記保護層(8)に形成された前記接着層(7)
によって形成され、
第1の積層体および第2の積層体が、
前記第1の積層体の前記第1のキャリアフィルム(2)から遠い側にラミネートされた前記第2の積層体の前記接着層(7)によって接続される
ことを特徴とする請求項3に記載の偽造防止素子の製造方法。
【請求項31】
前記第1の積層体が、
ローラーからローラーへ搬送される前記第1のキャリアフィルム(2)と、
前記工程において、
少なくとも前記第1の電極層(3a)と、
圧電物質からなる層(4)と、
前記表示層(5)と、
前記第1のキャリアフィルム(2)に形成された前記オプションの支持層(6)と、
によって形成される
ことを特徴とする請求項29または請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第2の積層体が、
ローラーからローラーへ搬送される前記保護層(8)と、
前記工程において、場合によっては前記保護層(8)に形成された前記第2の電極層(3b)および少なくとも前記接着層(7)と、
によって形成される
ことを特徴とする請求項29ないし請求項31のうち何れか1項に記載の方法。
【請求項33】
さらに、前記少なくとも1つの接着補助層と、前記第1の電極層(3a)と、前記第2の電極層(3b)と、からなるグループのうちの少なくとも1つの層が、印刷工程によって形成される
ことを特徴とする請求項28ないし請求項32のうち何れか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1つの偽造防止素子が、前記転写フィルム(200)のキャリアフィルム(201)に配置され、そこから剥離可能となっている
ことを特徴とする請求項1ないし請求項24のうち何れか1項に記載の少なくとも1つの偽造防止素子を有する転写フィルム(200)。
【請求項1】
少なくとも1つの電気的に制御可能な表示部(1b)と、
前記少なくとも1つの表示部(1b)を制御する、少なくとも1つの圧電エネルギー供給部(1a)と、
を有する、紙幣、有価証書、または、紙の公文書などの偽造防止書類(100)の識別のための偽造防止素子(1,1´,1´´,1´´´,1´´´´,1´´´´´)であって、
電場中で配向可能な液晶を有する表示層(5)を含む前記少なくとも1つの電気的に制御可能な表示部(1b)を有し、かつ、
圧電物質からなる少なくとも1つの層(4)を有し、前記少なくとも1つの表示部(1b)を制御する前記少なくとも1つの圧電エネルギー供給部(1a)を有する
多層化された柔軟なフィルム本体
によって形成され、
前記フィルム本体の面に垂直な方向の厚さが最大で70μmを有する
ことを特徴とする偽造防止素子(1,1´,1´´,1´´´,1´´´´,1´´´´´)。
【請求項2】
前記フィルム本体が、
オプションの第1のキャリアフィルム(2)と、
少なくとも領域内に形成された第1の電極層(3a)と、
圧電物質からなり、かつ、前記第1の電極層(3a)の領域に形成された層(4)と、
また、領域内に、かつ、前記第1の電極層(3a)の同一面内に形成された表示層(5)と、
さらに、オプションで少なくとも領域内に形成された透明な接着層(7)と、
少なくとも領域内に形成された透明な第2の電極層(3b)と、
オプションで透明な保護層(8)と、
を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の偽造防止素子。
【請求項3】
前記フィルム本体が、
オプションの第1のキャリアフィルムと、
少なくとも領域内に形成された第1の電極層(3a)と、
また、少なくとも前記同一面内の領域に形成された第2の電極層(3b)と、
圧電物質からなり、かつ、第1の電極層(3a)および第2の電極層(3b)の領域に形成された層(4)と、
また、領域内でかつ第1の電極層(3a)および第2の電極層(3b)の前記同一面内に形成された表示層(5)と、
オプションで透明な接着層(7)と、
オプションで透明な保護層(8)と、
を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の偽造防止素子。
【請求項4】
前記フィルム本体が、
前記表示部(1b)の領域において、
少なくとも領域内に形成された第1の電極層(3a´)と、
また、少なくとも前記同一面の領域に形成された第2の電極層(3b´)と、
第1の電極層(3a´,3b´)および第2の電極層(3a´,3b´)の領域に形成された表示層(5)と、
オプションで透明な接着層(7)と、
オプションで透明な保護層(8)と、
を有するか、
前記フィルム本体が、
前記エネルギー供給部(1a)の領域において、
少なくとも領域内に形成された追加的な第2の電極層(3b´´)と、
そこに圧電物質からなる少なくとも1つの層(4)と、
また、前記少なくとも1つの層(4)に追加的な第1の電極層(3a´´´)と、
を有し、
いずれの場合にも、前記表示部(1b)の第1の電極層および第2の電極層が、前記エネルギー供給部(1a)の追加的な電極層の1つに導電性を有して接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の偽造防止素子。
【請求項5】
前記フィルム本体が、
前記表示部(1b)の領域において、
少なくとも領域内に形成された第1の電極層と、
前記第1の電極層の領域に形成された表示層(5)と、
オプションで透明な接着層(7)と、
少なくとも領域内に形成された第2の電極層と、
オプションで透明な保護層と、
を有するか、
前記フィルム本体が、
前記エネルギー供給部(1a)の領域において、
領域内に形成された第1の電極層と、
また、少なくとも前記同一面内の領域に形成された第2の電極層と、
そこに圧電物質からなる少なくとも1つの層(4)と、
また、前記少なくとも1つの層(4)に、オプションで透明な接着層(7)と、
オプションで透明な保護層と、
を有し、
いずれの場合にも、前記表示部の第1の電極層および第2の電極層が、前記エネルギー供給部(1a)の電極層の1つに導電性を有して接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の偽造防止素子。
【請求項6】
前記フィルム本体が、
前記第1の電極層(3a,3a´,3a´´,3a´´´)と前記第2の電極層(3b,3b´,3b´´)との少なくとも一方に隣接する少なくとも1つの接着補助層を有する
ことを特徴とする請求項2ないし請求項5のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項7】
前記フィルム本体が、
前記フィルム本体の面を垂直に見て、少なくとも前記表示層(5)の領域の周囲に枠部を形成する支持層(6)を有する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項8】
さらに、前記支持層(6)が、前記表示層(5)と重なり合う少なくとも1つのウェブを形成する
ことを特徴とする請求項7に記載の偽造防止素子。
【請求項9】
前記支持層(6)が、紫外線硬化ラッカー、乾熱印刷インクから形成されるか、あるいは、圧電物質からなる層と同一の物質によって形成される
ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の偽造防止素子。
【請求項10】
前記支持層(6)が、視認可能なデザイン要素を形成する
ことを特徴とする請求項7ないし請求項9のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項11】
前記保護層(8)が、第2のキャリアフィルム、または、保護ラッカー層によって形成される
ことを特徴とする請求項2ないし請求項10のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項12】
前記保護層(8)が色付いた透明である
ことを特徴とする請求項2ないし請求項11のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項13】
前記接着層(7)が最大で2μmの層厚を有する
ことを特徴とする請求項2ないし請求項12のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項14】
前記接着層(7)が電気的絶縁性を有する物質によって形成される
ことを特徴とする請求項2ないし請求項13のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項15】
圧電物質からなる前記層(4)が、最大で30μmの層厚、とりわけ最大で5μmの層厚を有する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項14のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項16】
前記圧電物質が、ポリマー、とりわけPVDFすなわちポリビニリデンフルオライド類であることを特徴とする請求項1ないし請求項15のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項17】
前記表示層(5)が最大で20μmの層厚、とりわけ最大で5μmの層厚を有する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項16のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項18】
前記表示層(5)が電場の作用下で透明となる
ことを特徴とする請求項1ないし請求項17のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項19】
前記表示層(5)がPDLCの少なくとも1つの層によって形成される
ことを特徴とする請求項1ないし請求項18のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項20】
前記第1の電極層(3a,3a´)と、場合によっては第2の電極層(3b,3b´,3b´´)とが、光学的に変化する効果を生成するような回折性を示す凹凸構造部を有する
ことを特徴とする請求項2ないし請求項19のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項21】
前記凹凸構造部が、
圧電物質からなる層(4)が重ね合わされた、
前記第1の電極層(3a,3a´)と、場合によっては第2の電極層(3b,3b´,3b´´)との第1の領域と、
前記表示層(5)が重ね合わされた、
前記第1の電極層(3a,3a´)と、場合によっては第2の電極層(3b,3b´,3b´´)との第2の領域と、
の少なくとも一方に配置される
ことを特徴とする請求項20に記載の偽造防止素子。
【請求項22】
前記第1のキャリアフィルム(2)と、
前記第1の電極層(3a,3a´)と、
前記第2の電極層(3b,3b´,3b´´)と、
の少なくとも1つが透明である
ことを特徴とする請求項2ないし請求項21のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項23】
圧電物質からなる前記層(4)と、
前記支持層(6)と、
の少なくとも一方が透明である
ことを特徴とする請求項1ないし請求項22のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項24】
前記支持層(6)が色付けして形成される
ことを特徴とする請求項7ないし請求項9または請求項23のうち何れか1項に記載の偽造防止素子。
【請求項25】
少なくとも1つの偽造防止素子(1,1´,1´´,1´´´,1´´´´,1´´´´´)を有する、紙幣、有価証書、または、紙の公文書などの偽造防止書類(100)であって、
最大で200μmの厚さを有する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項24のうち何れか1項に記載の偽造防止書類(100)。
【請求項26】
前記少なくとも1つの偽造防止素子(1,1´,1´´,1´´´,1´´´´,1´´´´´)の少なくとも前記電気的に制御可能な表示部(1b)が、少なくとも前記偽造防止書類(100)の透明な領域(102)内の領域に配置される
ことを特徴とする請求項25に記載の偽造防止書類。
【請求項27】
前記少なくとも1つの偽造防止素子(1,1´,1´´,1´´´´,1´´´´´)が、前記偽造防止書類(100)に配置されるか、あるいは、前記偽造防止書類(100)に埋め込まれることを特徴とする請求項25または請求項26に記載の偽造防止書類。
【請求項28】
圧電物質と、前記表示層(5)と、支持層(6)と、前記接着層(7)との少なくとも1つからなる層(4)が印刷工程によって形成される
ことを特徴とする請求項1ないし請求項24のうち何れか1項に記載の偽造防止素子の製造方法。
【請求項29】
第1の積層体が、
少なくとも前記第1の電極層(3a)と、
圧電物質からなる層(4)と、
前記表示層(5)と、
前記第1のキャリアフィルム(2)に形成された前記オプションの支持層(6)と、
によって形成され、
第2の積層体が、
少なくとも前記第2の電極層(3b)と、
前記保護層(8)に形成された前記接着層(7)と、
によって形成され、
第1の積層体および第2の積層体が、
前記第1の積層体の前記第1のキャリアフィルム(2)から遠い側にラミネートされた前記第2の積層体の前記接着層(7)と、
によって接続される
ことを特徴とする請求項2に記載の偽造防止素子の製造方法。
【請求項30】
第1の積層体が、
少なくとも第1の電極層(3a)および第2の電極層(3b)と、
圧電物質からなる前記層(4)と、
前記表示層(5)と、
前記第1のキャリアフィルム(2)に形成された前記オプションの支持層(6)と、
によって形成され、
第2の積層体が、
少なくとも前記保護層(8)に形成された前記接着層(7)
によって形成され、
第1の積層体および第2の積層体が、
前記第1の積層体の前記第1のキャリアフィルム(2)から遠い側にラミネートされた前記第2の積層体の前記接着層(7)によって接続される
ことを特徴とする請求項3に記載の偽造防止素子の製造方法。
【請求項31】
前記第1の積層体が、
ローラーからローラーへ搬送される前記第1のキャリアフィルム(2)と、
前記工程において、
少なくとも前記第1の電極層(3a)と、
圧電物質からなる層(4)と、
前記表示層(5)と、
前記第1のキャリアフィルム(2)に形成された前記オプションの支持層(6)と、
によって形成される
ことを特徴とする請求項29または請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第2の積層体が、
ローラーからローラーへ搬送される前記保護層(8)と、
前記工程において、場合によっては前記保護層(8)に形成された前記第2の電極層(3b)および少なくとも前記接着層(7)と、
によって形成される
ことを特徴とする請求項29ないし請求項31のうち何れか1項に記載の方法。
【請求項33】
さらに、前記少なくとも1つの接着補助層と、前記第1の電極層(3a)と、前記第2の電極層(3b)と、からなるグループのうちの少なくとも1つの層が、印刷工程によって形成される
ことを特徴とする請求項28ないし請求項32のうち何れか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1つの偽造防止素子が、前記転写フィルム(200)のキャリアフィルム(201)に配置され、そこから剥離可能となっている
ことを特徴とする請求項1ないし請求項24のうち何れか1項に記載の少なくとも1つの偽造防止素子を有する転写フィルム(200)。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【公表番号】特表2011−501818(P2011−501818A)
【公表日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527346(P2010−527346)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/007721
【国際公開番号】WO2009/043482
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(507370644)レオンハード クルツ シュティフトゥング ウント コー. カーゲー (21)
【出願人】(309011206)ポリイイーツェー ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー (3)
【氏名又は名称原語表記】PoryIC Gmbh & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Tucherstrasse 2 90763 Furth Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/007721
【国際公開番号】WO2009/043482
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(507370644)レオンハード クルツ シュティフトゥング ウント コー. カーゲー (21)
【出願人】(309011206)ポリイイーツェー ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー (3)
【氏名又は名称原語表記】PoryIC Gmbh & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Tucherstrasse 2 90763 Furth Germany
【Fターム(参考)】
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