説明

偽造防止積層体、偽造防止転写箔、偽造防止シール、偽造防止媒体、及びこれらの製造方法並びに偽造防止積層体の製造装置

【課題】本発明は、レリーフ構造とレリーフ効果層を精度良く配置した、レリーフ構造を含む光学素子からなる、安価で生産性が高く、装飾性にも優れた視覚効果を得られる、高品質の、偽造防止積層体、偽造防止転写箔、偽造防止シール、偽造防止媒体、及びこれらの製造方法並びにその製造装置を提供する。
【解決手段】少なくとも、レリーフ構造形成層(イ)と、前記レリーフ構造形成層(イ)の片側に、部分的に設けられたレリーフ構造部(ロ)と、前記レリーフ構造部(ロ)と重ならないように、同一面上に、部分的に設けられた土手部(ハ)と、前記土手部(ハ)に囲われ、レリーフ構造部(ロ)を含むレリーフ構造囲われ部(ニ)と、前記レリーフ構造囲われ部(ニ)のみを覆うように配置された光学薄膜からなり、前記レリーフ構造形成層(イ)を透過した光の少なくとも一部を反射させるレリーフ効果層(ホ)と、を順次積層して具備してなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偽造、改ざん、貼り替え、又は、秘密にされるべき情報の盗み読み、等の不正の防止対策や、万一そのような不正が心配されても不正の有無の判別を容易とする対策、これらの対策を必要とされる技術分野に関する。より詳しくは、例えば、商品券やクレジットカード等の有価証券類の偽造防止対策とか、ブランド品や高級品等の一般に高価なものへ適用希望が多い真正品であることの証明の為の偽造防止対策、これらのニーズに好適な技術、また、デザインによっては装飾性にも優れた視覚効果を得られる技術であって、レリーフ構造を含む光学素子を利用した、視認性の高い、偽造防止積層体、偽造防止転写箔、偽造防止シール、偽造防止媒体、及びこれらの製造方法並びに偽造防止積層体の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真技術を利用した複写機が普及し、これを利用して誰でも簡単に紙などに印刷された文字や画像を複写することができるようになった。特に、最近のカラーデジタル複写機によれば、原稿か複写物か見分けが極めて困難な複写物でさえも容易に作成することができるようになった。
【0003】
一般的なカラーデジタル複写機の原理は、原稿に光を照射し、反射光をCCDラインセンサで検知する。CCDラインセンサでは、反射光の強度に応じたデジタル信号を生成し、複写機内のメモリに送信する。この読み取り過程をレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3色について行い、それぞれの場合のデジタル信号をメモリに格納する。次に格納されたデジタル信号に基づいて、レーザ光を感光体ドラムの表面に照射し、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)のトナーを感光体ドラムの上に順次静電吸着し、これらのトナーを順次紙などのシート上に転写して定着させる。これにより、カラーの画像が形成された精巧な複写物を得ることができる。
【0004】
かかるカラー複写は便利である反面、株券、債券、約束手形、小切手などの有価証券や、入場券、搭乗券などの印刷物などが容易に偽造されるという問題が増加している。このため、容易に複写できないように印刷物に複製防止対策を施す提案が種々なされている。
【0005】
例えば、カラー複写による複写物の色が原稿の色と異なるようにする技術が提案されている。その例として原稿とされうる有価証券などに非常に淡い色で着色すると、複写物では淡い色の部分が正確に再現できないもの、また、原稿に大きさの異なる網点を形成しておくと複写しても小さい網点の再現性が悪化するもの、さらにカラー複写機のトナーにない色である緑、紫、橙、金、銀等を印刷することで複写物の色の再現性が悪化するもの、また、人間の視認度が低い領域、例えば380nm〜450nmおよび650〜780nmあたりの波長域に特徴をもたせた2種類のインキを用いることで見た目には同色であるが、カラー複写機での複写物は異なる色に再現するものなどがある。
【0006】
しかし、カラー複写機では、3色に分解されてメモリに格納されたデジタルデータを変更することによって、出力する色を補正することが可能である。また、カラー複写機と同様の原理を利用してカラースキャナーで読み込んだデジタルデータをコンピュータで補正し、カラープリンタまたはカラー複写機で出力するようなデジタルプレスが普及しつつある。従って、現在多少の手間をかければ、原稿の色を精巧に再現することが可能であり、上記のような技術では偽造を完全に防止することは困難である。
【0007】
また、例えばカラー複写機では再現不可能な特殊部分を有価証券などに設けておく技術も提案されている。このうち、ホログラム箔などのOVD(Optical Variable Device)箔(特許文献1、2参照)を有価証券などの表面上に設ける技術はすでに実用化されている。これによれば、ホログラムの銀面の光が鏡面反射するため、CCDラインセンサに反射光が入射せず、原稿で銀面だった部分が複写物では黒色に再現されるもの、あるいは、屈折率の異なるセラミックを適当な膜厚を持つ複数層に積層すると、見る角度によって色が変化する特殊な光学薄膜が形成され(特許文献3参照)、かかる性質は、複写物では得ることができないので、容易に真偽判定が可能であるもの、さらにまた、この方法で形成された薄膜を細かく砕き、破片をインキに混入して印刷を行う方法も提案されている。
【0008】
しかしながら、ホログラムはエンボス技術が発達したためレリーフ型の回折光を用いた反射層の形成が以前より低難易度化していること、及び多層薄膜フィルムが一般の包装用フィルムとして販売され始めたことなどから、偽造防止効果が低化してきた。
【0009】
この為、近年のホログラムでは、回折光を発生させる領域を部分的に備え、例えば、ホログラムによるのマイクロ文字やマイクロパターンを表現することで、偽造防止効果を向上させる方法が提案されている。(特許文献4参照)
このような、回折光を発生させる領域を部分的に備えるホログラムは、一般的に、レリーフ型の回折構造に対し、パターン状の金属等の反射層を設ける方法で製造される。金属等の反射層のパターン化は、下記の4種の方法が一般的である。(特許文献5参照)
1)水洗インキを基材上にネガパターンで印刷しておき、その上から蒸着やスパッタリングを用いて全面に金属反射層を形成し、印刷されてある水洗インキを水で洗い流すと同時にその上の金属反射層を取り除くことによりパターンを形成する水洗シーライト加工。
【0010】
2)金属反射層上にマスク材をポジパターンで印刷し、マスク剤で印刷されていない部分を腐食剤で腐食させることによりパターンを形成するエッチング加工。
【0011】
3)金属反射層の除去したい部分に強いレーザを当てて金属等の反射層を選択的に破壊することによりパターンを形成するレーザ加工。
【0012】
4)金属反射層上にフォトレジスト剤を全面に印刷し、ポジパターンでフォトレジストした後、ネガパターン部のフォトレジスト剤を溶解除去し、同時に、又は別工程で金属反射層を腐食させることによりパターンを形成するフォトレジスト加工。
【0013】
しかしながら、上記のいずれの方法においても、回折光によるホログラムの絵柄パターンと、反射層のパターンの位置合わせが必要となる為、良品率の低下を招く。また、僅かではあるものの、水洗インキ、マスク材、レーザー加工、フォトレジスト加工時の位置ズレ(見当ズレ)が生じることから、高品質で、偽造防止効果の高いホログラムを作ることは困難であった。
【0014】
回折光によるホログラムの絵柄パターンに対し、金属反射層のパターンを位置精度良く設ける方法としては、電子制御により左右に稼働するステージと、該ステージと連動する描写機械を使用する方法が提案されている。(特許文献6参照)この方法に依れば、割と見当精度のよい製品が安定して製造可能であることが推測され、文献に記載の通り、「少量生産に特に大きなメリットがある」ことは考えられるが、生産性が低く、大量生産には向かない。また、製造工程は前記の4方法と比べ基本的な発想は変わらず、煩雑なままである。また、同文献にて、スプレーによるエッチング剤、エッチングレジスト、又は洗い流しマスク描画の製造方法が提案されているが、単純に平坦なフィルム上にスプレーするだけでは、スプレーインキのハネが生じることや、スプレーインキの塗布量が多くなった
際に液だれ、滲みが生じる。
【0015】
下記に公知文献を記す。
【特許文献1】特開平6−259013号公報
【特許文献2】特開平7−089293号公報
【特許文献3】特表2004−505158号公報
【特許文献4】特開2005−99090号公報
【特許文献5】特開2003−255115号公報
【特許文献6】特表2006−511700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記技術的背景を考慮してなされたものであって、レリーフ構造とレリーフ効果層を設計図柄通りのパターンで形成し、そのレリーフ構造とレリーフ効果層を精度良く配置した、レリーフ構造を含む光学素子からなる、安価で生産性が高く、装飾性にも優れた視覚効果を得られる、高品質の、偽造防止積層体、偽造防止転写箔、偽造防止シール、偽造防止媒体、及びこれらの製造方法並びにその製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を達成するための解決手段として、
まず、請求項1に係る発明は、少なくとも、レリーフ構造形成層(イ)と、
前記レリーフ構造形成層(イ)の片側に、部分的に設けられたレリーフ構造部(ロ)と、前記レリーフ構造部(ロ)と重ならないように、同一面上に、部分的に設けられた土手部(ハ)と、
前記土手部(ハ)に囲われ、レリーフ構造部(ロ)を含むレリーフ構造囲われ部(ニ)と、
前記レリーフ構造囲われ部(ニ)のみを覆うように配置された光学薄膜からなり、前記レリーフ構造形成層(イ)を透過した光の少なくとも一部を反射させるレリーフ効果層(ホ)と、
を順次積層して具備してなることを特徴とする偽造防止積層体である。
【0018】
請求項2に係る発明は、少なくとも、前記レリーフ構造囲われ部(ニ)上のレリーフ効果層(ホ)を覆うように配置されたエッチングマスク層(ヘ)を具備してなることを特徴とする請求項1に記載の偽造防止積層体である。
【0019】
請求項3に係る発明は、前記レリーフ構造部(ロ)のレリーフ構造が、レリーフ型光学素子、もしくは、前記レリーフ構造部(ロ)のレリーフ構造とレリーフ効果層(ホ)との組み合わせにより光学効果をもたらすレリーフ型光学素子であることを特徴とする請求項1または2に記載の偽造防止積層体である。
【0020】
請求項4に係る発明は、少なくとも、前記レリーフ構造囲われ部(ニ)が、前記土手部(ハ)により1mm2以下の任意のパターンにブロック化されているレリーフ構造囲われブロック部(ト)を具備してなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の偽造防止積層体である。
【0021】
請求項5に係る発明は、シート状支持体上に、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の偽造防止積層体を、転写の際に前記支持体から剥離し被転写体に移行可能とするように積層配置し、該偽造防止積層体を覆うようにして、少なくとも、前記支持体から最も遠い位置に接着層を積層してなることを特徴とする偽造防止転写箔である。
【0022】
請求項6に係る発明は、シート状支持体上に、少なくとも、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の偽造防止積層体を配置し、該偽造防止積層体を覆うようにして、少なくとも、前記支持体から最も遠い位置に、熱又は圧力によって接着性を呈する接着層を積層してなることを特徴とする偽造防止シールである。
【0023】
請求項7に係る発明は、請求項1ないし4に記載のいずれか1項に記載の偽造防止積層体それ自体、または、シート状支持体上に、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の、偽造防止積層体、偽造防止転写箔、偽造防止シールの少なくとも1つ以上を積層してなることを特徴とする偽造防止媒体である。
【0024】
請求項8に係る発明は、少なくとも、(イ)レリーフ構造形成層の片側に、(ロ)レリーフ構造形成部、(ハ)土手部を成形し、全面にレリーフ効果層を設けた後、前記土手部(ハ)を利用し、該土手部に囲われたレリーフ構造囲われ部(ニ)にのみ、液滴法によりレリーフ効果層(ホ)を設けるか、もしくは、少なくとも、前記土手部に囲われたレリーフ構造囲われ部(ニ)にのみ、液滴法によりエッチングマスク層(へ)を形成した後、エッチング処理により、レリーフ構造囲われ部(ニ)以外の部分上に配置された、レリーフ効果層(ホ)を除去することを特徴とする請求項1に記載の偽造防止積層体の製造方法である。
【0025】
請求項9に係る発明は、シート状の支持体上に、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の偽造防止積層体を、転写の際に前記支持体から剥離し被転写体に移行可能とするように積層配置し、該偽造防止積層体を覆うようにして、少なくとも、前記支持体から最も遠い位置に接着層を積層することを特徴とする偽造防止転写箔の製造方法である。
【0026】
請求項10に係る発明は、シート状支持体上に、少なくとも、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の偽造防止積層体を配置し、該偽造防止積層体を覆うようにして、少なくとも、前記支持体から最も遠い位置に、熱又は圧力によって接着性を呈する接着層を積層することを特徴とする偽造防止シールの製造方法である。
【0027】
請求項11に係る発明は、シート状支持体上に、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の偽造防止積層体、偽造防止転写箔、偽造防止シールの少なくとも1つ以上を積層することを特徴とする偽造防止媒体の製造方法である。
【0028】
請求項12に係る発明は、少なくとも、レリーフ構造囲われ部(ニ)のレリーフ構造のパターン、レリーフ構造の光学特性、およびレリーフ構造の表面形状、さらに、レリーフ構造囲われブロック部(ト)のブロックのパターン、ブロック内のレリーフ構造の光学特性、およびブロック内のレリーフ構造の表面形状の1つ以上を、位置情報と共にデジタルデータとして読み取り、認識した後、土手部(ハ)を利用して、前記レリーフ構造囲われ部(ニ)のみを覆うように、前記レリーフ効果層(ホ)を液適法により形成することを特徴とする偽造防止積層体の製造装置である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、レリーフ構造とレリーフ効果層を設計図柄通りのパターンで形成し、そのレリーフ構造とレリーフ効果層を精度良く配置した、レリーフ構造を含む光学素子からなる、安価で生産性が高く、装飾性にも優れた視覚効果を得られる、高品質の、偽造防止積層体、偽造防止転写箔、偽造防止シール、偽造防止媒体、及びこれらの製造方法並びにその製造装置を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明に係る、偽造防止積層体、偽造防止転写箔、偽造防止シール、又は、偽造防止媒体の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明に係る偽造防止積層体の断面図である。この偽造防止積層体(1)は少なくとも、レリーフ構造形成層(2)の片面に、レリーフ構造部(3)、土手部(4)が設けられており、土手部に囲われ、レリーフ構造部分を含む、レリーフ構造囲われ部(5)という領域が存在する。前記、レリーフ構造囲われ部分のみを覆うように配置されており、レリーフの凹凸に密着して設けられた、レリーフ効果層(6)を順次積層した構造を有する。
【0031】
図2は、本発明に係る第2の偽造防止積層体の断面図である。この偽造防止積層体(7)は少なくとも、レリーフ構造形成層(8)の片面に、レリーフ構造部(9)、土手部(10)が設けられており、土手部に囲われ、レリーフ構造部分を含む、レリーフ構造囲われ部(11)という領域が存在する。前記、レリーフ構造囲われ部分のみを覆うように配置された、レリーフ効果層(12)、及び、エッチングマスク層(13)を順次積層した構造を有する。
【0032】
図3は、本発明に係る第3の偽造防止積層体(14)であって少なくとも、土手部(15)により、1mm2以下の任意のパターンにブロック化されている、レリーフ構造囲われブロック部(16)という領域を有する。この偽造防止積層体を、レリーフ構造部分側から見た正面図である。
【0033】
図4は、図3の破線(17)部分の断面図である。この偽造防止積層体(14)は少なくとも、レリーフ構造形成層(18)の片面に、レリーフ構造部(19)、土手部(20)が設けられている。前記の土手部により、1mm2以下の任意のパターンにブロック化されている、レリーフ構造囲われブロック部(21)という領域が存在する。そして、前記、レリーフ構造囲われブロック部(21)のみを覆うように配置された、レリーフ効果層(22)を順次積層した構造を有する。
【0034】
図5は、本発明に係る偽造防止転写箔の断面図である。この偽造防止転写箔(23)は少なくとも、支持体(24)、偽造防止積層体(25)、接着剤(26)を順次積層した構造を有しており、偽造防止積層体(25)と接着剤(26)によって構成される転写層(27)は、支持体(24)より剥離し被転写体に移行可能である。図6は、本発明に係る偽造防止シールの断面図である。この偽造防止シール(28)は少なくとも、支持体(29)、偽造防止積層体(30)、接着剤(31)を順次積層した構造を有する。図7は、本発明に係る第2の偽造防止媒体の断面図である。この偽造防止媒体(32)は、支持体(33)上に、積層体、又は転写箔、又はシール(34)の少なくとも1つ以上を貼付し、積層した構造を有する。
【0035】
以下、本発明の転写シートを構成する各部材についてより詳細に説明する。
【0036】
本発明の偽造防止積層体に使用される、レリーフ構造形成層(2)、(8)、(18)は、その表面にレリーフ構造と、土手部(4)、(10)、(20)が形成される。これらの形状は、プレス成形法、又はフォトポリマー法等の公知の加工法によって形成される。加工方法によって、レリーフ構造形成層としての材料の要求特性が異なるため、以下に詳細を記す。
【0037】
プレス方法による成形では、その表面にプレス版(レリーフ型)にて凹凸面を成形できるという性能が要求される。レリーフ構造形成層(2)、(8)、(18)の主材料は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線または電子線硬化性樹脂のいずれでもよい。たとえばアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂や、反応性水酸基を有するアクリルポリオールやポリエステルポリオールなどにポリイ
ソシアネートを架橋剤として添加して架橋したウレタン樹脂や、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂などの熱硬化樹脂や、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどの紫外線または電子線硬化樹脂などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、これら以外のものであっても、その表面に凹凸面を形成できれば適宜使用することができる。プレス成形の場合、平板状のホットコールドプレス法とロールエンボス法が挙げられる。これらの方法では、レリーフ構造形成層の樹脂を融点以上に加熱溶融した後、成型したいレリーフ形状、及び土手形状のネガパターンを有するレリーフ型を押し当てて形状を転写する。その後、レリーフ構造形成層の樹脂をガラス転移温度以下まで下げて樹脂を固化し、レリーフ型から離型する事で、所望のレリーフ形状、及び土手形状を得ることができる。なお、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂を使用する場合、レリーフ形状、及び土手形状を形成し、レリーフ型から離型した後に、熱、紫外線、電子線により樹脂を硬化させることで、耐性の良いレリーフ形状を有する塗膜が得ることもできる。
【0038】
一方、フォトポリマー法(2P法、感光性樹脂法)は、放射線硬化性樹脂をレリーフ型(復製用型)と平担な基材(プラスチックフィルム等)との間に流し込み放射線で硬化させた後、この硬化膜を基板ごと、複製用型から剥離する方法により、レリーフ構造部、及び土手部を備えた、レリーフ構造形成層(2)、(8)、(18)を得る事が出来る。この2P法では、スタンパと基板との間に樹脂を広げる際に、樹脂の中から気泡を除去することが重要である。気泡が残存すると、レリーフ上に欠損部分ができ、期待する光学効果が得られず、不良品となるおそれがあるからである。使用される放射線硬化樹脂としては、一般的な紫外線硬化型樹脂が使用される。また、これら以外のものであっても、その表面に凹凸面を形成できる感光性樹脂を含むワニスであれば適宜使用することができる。
【0039】
本発明のレリーフ構造(3)、(9)、(19)は、レリーフの形状自体、又は、レリーフ構造形成層を透過した光を反射させるレリーフ効果層を設ける事によって何らかの光学効果をもたらす光学素子であり、プリズム、凸レンズ、凹レンズ、凸シリンドリカルレンズ、凹シリンドリカルレンズ、レンチキュラーレンズ、フレネルレンズ、回折格子、正弦回折格子、ブレーズ格子、サブ波長格子、偏光子等のレリーフ形状を有する。また、上記以外の形状でも、公知の光学素子の形状であれば適宜、レリーフ形状として使用できる。本発明の積層体において、例えば、レリーフ構造部に、回折光を発生させる為の凹凸からなるレリーフ構造を設け、そのレリーフ構造部の凹凸面に沿ってレリーフ効果層が設置された場合には、レリーフ効果層の凹凸表面で屈折、反射され、回折光は互いに干渉して色鮮やかな構造色を呈する。この回折現象によって得られる構造色は、観察者の位置によって異なる色彩を示す。
【0040】
本発明の土手部(4)、(10)、(20)は、レリーフ効果層用の液状インキ又はエッチングマスク層用の液状インキを液滴法によって塗工する際に、液状インキのはみ出しを防止する効果がある。土手部は、液状インキを溜める堰である。この為、レリーフ構造部と、レリーフ効果層の位置制度を向上させるには、レリーフ構造部と、土手部を同時に成型する事が好ましい。成型方法については、前記のレリーフ構造と同様に、プレス成形法、フォトポリマー法等が挙げられる。
【0041】
土手部の形状については、液状インキの堰き止め効果、及び成型性を考慮しデザインする必要が有る。
【0042】
プレス成形法、又はフォトポリマー法のいずれの方法においても、成形される形状のアスペクト比が大きくなるほど、また、土手部の底面部分の面積に対する、先端部分の面積比率が大きくなればなるほど、土手部の成形が困難であり、また仮に成形されたとしても欠損が生じやすい。欠損を防止する為には、土手部のアスペクト比を下げるほか、土手部
をブロック状(任意の連続形状や、格子形状)にする事で、土手部の連続面積を増やし、構造的に土手部の強度を上げる手法が挙げられる。なお、土手高さについては、必要なインキの塗工量から算出し適宜決定すれば良い。図3、及び図4は、このような土手部の、液状インキの堰き止め効果、及び成型性を考慮したデザインの例である。
【0043】
本発明のレリーフ効果層(6)、(12)、(22)は、レリーフ構造囲われ部(5)、(11)、(21)のみを覆うように配置された光学薄膜からなり、レリーフ構造形成層を透過した光を反射させる事を特徴とする。この為、レリーフ構造形成層よりも屈折率が高い高屈折率材料を使用することによって光学効果を得ることもできる。この場合、両層の屈折率の差は、0.2以上であることが好ましい。屈折率の差を0.2以上にすることによって、レリーフ構造形成層とレリーフ効果層との界面で屈折および反射が起こり、レリーフ形状による光学効果を得ることができる。なお、レリーフ効果層は少なくとも一部分、又は全体が複層であっても良く、又、部分的に異なる材料を使用しても良い。
【0044】
レリーフ効果層(6)、(12)、(22)を液適法で設ける場合には、アルミニウム、銀、ニッケル、金、銅、錫、インジウム、コバルトなどの微細な金属粉または金属ナノ粒子などを水、有機溶剤、及び有機高分子樹脂に分散して得られる高輝性光反射インキや、有機ポリマーの微粒子を水、有機溶剤、及び有機高分子樹脂に分散して得られる微粒子樹脂反射インキを使用することもできる。さらに、高輝性反射インキ、又は微粒子樹脂反射インキに使用可能である、高屈折率微粒子材料の例を以下に挙げる。以下に示す化学式または化合物名の後に続くカッコ内の数値は屈折率nを示す。セラミックスとしては、Sb23(3.0)、Fe23(2.7)、TiO2(2.6)、CdS(2.6)、CeO2(2.3)、ZnS(2.3)、PbCl2(2.3)、CdO(2.2)、Sb23(2.0)、WO3(2.0)、SiO(2.0)、Si23(2.5)、In23(2.0)、PbO(2.6)、Ta23(2.4)、ZnO(2.1)、ZrO2(2.0)、MgO(1.6)、Si22(1.5)、MgF2(1.4)、CeF3(1.6)、CaF2(1.3〜1.4)、AlF3(1.6)、Al23(1.6)、GaO(1.7)などが挙げられる。有機ポリマーとしては、ポリエチレン(1.51)、ポリプロピレン(1.49)、ポリテトラフルオロエチレン(1.35)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.60)などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの材料の微粒子は、屈折率、反射率、透過率などの光学特性や、耐候性、層間密着性などに基づいて適宜選択され、水、有機溶剤などの各種溶媒に分散されるほか、少量のバインダーを入れる事も可能である。なお、使用する微粒子は2種以上の粒子を組み合わせても良い。また、液適法によりレリーフ効果層を設ける場合は、レリーフ構造形成層のレリーフ形成面を溶剤によりアタックさせないようにする注意が必要である。また、乾燥後の膜厚は0.001〜10μm程度になるように調整すればよい。
【0045】
一方、液適法によってエッチングマスク層を設ける場合、レリーフ効果層は前述の液適法以外の方法で設けても良い。例えば、、Al、Sn、Cr、Ni、Cu、Au、Agなどの金属材料の単体、またはこれらの化合物を、公知の真空蒸着またはスパッタリングにより成膜してもよい。
【0046】
上記以外の材料の例を以下に挙げる。以下に示す化学式または化合物名の後に続くカッコ内の数値は屈折率nを示す。セラミックスとしては、Sb2O3(3.0)、Fe2O3(2.7)、TiO2(2.6)、CdS(2.6)、CeO2(2.3)、ZnS(2.3)、PbCl2(2.3)、CdO(2.2)、Sb23(2.0)、WO3(2.0)、SiO(2.0)、Si23(2.5)、In23(2.0)、PbO(2.6)、Ta23(2.4)、ZnO(2.1)、ZrO2(2.0)、MgO(1.6)、Si22(1.5)、MgF2(1.4)、CeF3(1.6)、CaF2(1.3〜1.4)、AlF3(1.6)、Al23(1.6)、GaO(1.7)などが挙げられる。有機ポリマーとしては、ポリエチレン(1.51)、ポリプロピレン(1.49)、ポリテトラフルオロエチレン(1.35)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.60)などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの材料は、屈折率、反射率、透過率などの光学特性や、耐候性、層間密着性などに基づいて適宜選択され、薄膜の形態で形成される。形成方法としては、膜厚、成膜速度、積層数、光学膜厚などの制御が可能な、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法など公知の方法を適宜使用することができる。なお、本発明において光学膜厚とは、n・d(ここで、nは屈折率、dは膜厚である)で与えられる量を意味する。
【0047】
本発明のエッチングマスク層(13)は、レリーフ効果層をエッチングする際のエッチングマスクであり、酸やアルカリに対する耐久性を持っていることが好ましい。一般的な、アルミ反射膜のエッチング手法を一例を挙げると、40〜50℃程度に熱した1.5NのNaOH溶液中に、10〜20秒浸すものであるため、2倍の40秒程度浸して塗膜に変化なければ十分な耐性があると判断される。また、エッチングマスクに耐熱性を持たせる事で、レリーフ形状に耐熱性を付与する事が可能である。この場合、特開2005−99090号公報に記載の公知の耐熱樹脂材料をエッチングマスクに用いれば良い。但し、本発明では、液滴法によりパターンが形成される。
【0048】
本発明の偽造防止転写箔(23)における、支持体(24)は、厚みが安定しており、かつ耐熱性の高いポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いるのが一般的であるが、その材料は特に限定されない。その他のフィルム材料として、高い耐熱性を示すポリエチレンナフタレート樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルムなどを同様の目的で使用することができる。また、他のフィルム材料、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、耐熱塩化ビニルなども、塗液の塗工条件(乾燥条件)、蒸着加工、スパッタ加工、レリーフ成型時のプレス加工等における熱条件、張力条件、プレス条件が許せば使用できる。
【0049】
本発明の偽造防止転写箔(23)において、積層体(25)は支持体(24)から剥離可能であってもよい。なお、支持体(24)と積層体(25)との間に、支持体から剥離可能な剥離保護層、又は、支持体から剥離しない離型層と呼ばれる層が設けられる場合があるが、これらの層はいずれも必須ではない。すなわち、これらの層は、転写された積層体(25)の表面を保護する意図で、又は安定した剥離強度を得る事で、転写する際の転写性能を高める意図で、設計により適宜設けてもよい。
【0050】
剥離保護層としては、ポリメチルメタクリレート樹脂と他の熱可塑性樹脂たとえば塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体もしくはニトロセルロース樹脂との混合物、またはポリメチルメタクリレート樹脂とポリエチレンワックスとの混合物などが挙げられる。また、酢酸セルロース樹脂と熱硬化性樹脂たとえばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、熱硬化型アクリル樹脂またはメラミン樹脂との混合物を塗工した後、熱により硬化させたものも好ましい例として挙げられる。又、離型層としては、シリコン樹脂、フッ素樹脂等の離型性のある樹脂が挙げられ、特に離型紙用の材料が用いられる。これらの樹脂を支持体(24)に塗工する事で、積層体(25)の離型性、剥離性を制御する事が可能である。
【0051】
本発明の偽造防止転写箔(23)において、接着剤層(26)には、様々な被転写材(例えば、紙・プラスチック)に接した状態で熱および圧力を与えられることにより、被転写材に接着する機能を有する公知の感熱樹脂(感熱性接着材料)が使用される。
【0052】
本発明の偽造防止シール(28)において、支持体(29)および接着剤(31)は、例えば、公知のステッカー製造に用いられる材料および手法を適宜用いて、製造できる。
【0053】
また、貼り付けられたステッカーを剥すと、ステッカーが破壊してしまうように、層間
に剥離する部分を設けたり、ステッカーに切れ込みを入れることも可能である。これによると、ステッカーが破壊されるので、ステッカーを別の基材に貼り替えて利用しようとする不正を図られても再利用を阻止することに有効である。また、これによると、ステッカーが破壊されるので、(ステッカーの下方に秘密の情報が設けてある場合に)秘密の情報の盗み読みした後に元の箇所にこの本物のステッカーを貼りつけたり、秘密の情報を改ざんした後に元の箇所にこの本物のステッカーを貼りつけたり、といった不正を阻止することにも有効である。
【0054】
以上、一実施例を説明してきたが、意匠性を向上すべく各層を着色することや表面もしくは層間に印刷を施す等、使用の目的により適宜利用可能である。また、各層の接着性を鑑み、各層間に接着アンカー層を設けることや、コロナ放電処理・プラズマ処理・フレーム処理等の各種易接着処理を施すことも可能である。
【実施例】
【0055】
以下、具体的な実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
【0056】
<実施例1>
本発明に係る偽造防止積層体を製造するために、下記に示すように、レリーフ形成層、及びレリーフ効果層に用いるインキ組成物を用意した。
「レリーフ構造形成層インキ組成物」
ウレタン樹脂 15.0重量部
アクリルシリコン樹脂 5.0重量部
メチルエチルケトン 50.0重量部
酢酸エチル 30.0重量部
「レリーフ効果層インキ組成物」
銀粒子分散インキ(50nm銀粒子、水分散体) 100.0重量部
厚み23μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる支持体上に、レリーフ構造形成層インキ組成物を膜厚2μmとなるように塗布し、150℃、10secの条件で焼き付け、乾燥してレリーフ構造形成層を形成した。次いで、ロールエンボス法により、レリーフ構造形成層の表面に回折格子を構成する微小凹凸のレリーフ構造部と、土手部を形成した。次に、液適法(インキジェット法)によって、レリーフ構造囲われ部のみにレリーフ効果層インキ組成物を塗工し、乾燥して所望の偽造防止積層体を得た。
【0057】
<実施例2>
本発明に係る偽造防止積層体を製造するために、下記に示すように、レリーフ形成層、及びエッチングマスク層に用いるインキ組成物を用意した。
【0058】
アクリルシリコン樹脂 5.0重量部
メチルエチルケトン 50.0重量部
酢酸エチル 30.0重量部
「エッチングマスク層インキ組成物」
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体 20.0重量部
メチルエチルケトン 50.0重量部
酢酸エチル 30.0重量部
厚み23μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる支持体上に、レリーフ構造形成層インキ組成物を膜厚2μmとなるように塗布し、150℃、10secの条件で焼き付け、乾燥してレリーフ構造形成層を形成した。次いで、ロールエンボス法により、レリーフ構造形成層層の表面に回折格子を構成する微小凹凸のレリーフ構造部と、土手部を形成した。次に、アルミニウムを50nmの膜厚となるように真空蒸着
して、全面にレリーフ効果層を形成した。その後、液適法(インクジェット法)によって、レリーフ構造囲われ部のみにエッチングマスク層組成物を塗布、乾燥させた。次に、50℃に加熱された1.5NのNaOH溶液が入った浴槽に10秒間浸すことにより、上記エッチングマスク層不存在部のレリーフ効果層をエッチングした後、0.1NのHCl溶液にて中和し、その後水洗・乾燥工程を経て、所望の偽造防止積層体を得た。
【0059】
<比較例1>
実施例1と同様にして、厚み23μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる支持体上に、レリーフ構造形成層インキ組成物を膜厚2μmとなるように塗布し、150℃、10secの条件で焼き付け、乾燥してレリーフ構造形成層を形成した。次いで、ロールエンボス法により、レリーフ構造形成層の表面に回折格子を構成する微小凹凸のレリーフ構造部を形成した。次に、アルミニウムを50nmの膜厚となるように真空蒸着して、全面にレリーフ効果層を形成した。その後、レリーフ構造部分と同一のパターンとなるように、液適法(インクジェット法)によって0.5μmの厚みとなるようにエッチングマスク層組成物をパターン印刷し、エッチングマスク層を形成した。次に、50℃に加熱された1.5NのNaOH溶液が入った浴槽に10秒間浸すことにより、上記エッチングマスク層不存在部のレリーフ効果層(アルミ蒸着)をエッチングした後、0.1NのHCl溶液にて中和し、その後水洗・乾燥工程を経て、所望の偽造防止積層体を得た。
【0060】
実施例1、2、及び比較例1の積層体をそれぞれ20サンプル作成し、設計図柄における、レリーフ構造部分とレリーフ効果層の位置ズレ幅について測定し、位置ズレのバラツキに関して評価した。また、液適法で発生する液ハネ、及び液ダレに起因するレリーフ効果層の面積を測定し、液ハネ液ダレ不良の発生について評価した。その評価結果を表1に示す。
【0061】
[位置ズレの評価]
実施例1、実施例2、及び比較例1の積層体をそれぞれ20サンプル作成し、設計図柄を基準とし、レリーフ構造部分とレリーフ効果層の位置ズレ幅について測定し、位置ズレのバラツキに関して評価した。
【0062】
[液ハネ、液ダレの評価]
実施例1、実施例2、及び比較例1の積層体をそれぞれ20サンプル作成し、液適法で発生する液ハネ、及び液ダレに起因するレリーフ効果層の面積を測定し、設計面積との比較により、液ハネ液ダレ不良の発生について評価した。なお、面積の測定は、スキャナーにて画像取り込みを実施した後に、測定したい面積部のピクセル数を計数した後、実面積に換算した。
【0063】
[評価基準]
○:設計面積に対し、液ダレ液ハネ不良面積が、0.0〜0.1%
△:設計面積に対し、液ダレ液ハネ不良面積が、0.2〜0.9%
×:設計面積に対し、液ダレ液ハネ不良面積が、1.0%以上
【0064】
【表1】

【0065】
表1からわかるように、実施例1、2の積層体では、位置ズレ平均が0.01mm未満で良好であるのに対し、比較例1では最大で0.2mmの位置ズレが生じる。また、実施例1、及び2に対し、比較例1は、液ダレ液ハネ不良面積が多い。
【0066】
以上のことから、レリーフ構造とレリーフ効果層を設計図柄通りのパターンで形成し、
そのレリーフ構造とレリーフ効果層を精度良く配置した、レリーフ構造を含む光学素子からなる、安価で生産性が高く、装飾性にも優れた視覚効果を得られる、高品質の、偽造防止積層体、偽造防止転写箔、偽造防止シール、偽造防止媒体、及びこれらの製造方法並びにその製造装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態に係る第1の偽造防止積層体の断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る第2の偽造防止積層体の断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る第3の偽造防止積層体の正面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る第3の偽造防止積層体の断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る偽造防止転写箔の断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る偽造防止シールの断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る偽造防止媒体の断面図である。
【符号の説明】
【0068】
1:第1の偽造防止積層体
2:レリーフ構造形成層
3:レリーフ構造部
4:土手部
5:レリーフ構造囲われ部
6:レリーフ効果層
7:第2の偽造防止積層体
8:レリーフ構造形成層
9:レリーフ構造部
10:土手部
11:レリーフ構造囲われ部
12:レリーフ効果層
13:エッチングマスク層
14:第3の偽造防止積層体
15:土手部
16:レリーフ構造囲われブロック部
17:破線
18:レリーフ構造形成層
19:レリーフ構造部
20:土手部
21:レリーフ構造囲われ部
22:レリーフ効果層
23:偽造防止転写箔
24:支持体25:偽造防止積層体
26:接着層
27:転写層
28:偽造防止シール
29:支持体
30:偽造防止積層体
31:接着層
32:偽造防止媒体
33:支持体
34:積層体、又は転写箔、又はシール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、レリーフ構造形成層(イ)と、
前記レリーフ構造形成層(イ)の片側に、部分的に設けられたレリーフ構造部(ロ)と、前記レリーフ構造部(ロ)と重ならないように、同一面上に、部分的に設けられた土手部(ハ)と、
前記土手部(ハ)に囲われ、レリーフ構造部(ロ)を含むレリーフ構造囲われ部(ニ)と、
前記レリーフ構造囲われ部(ニ)のみを覆うように配置された光学薄膜からなり、前記レリーフ構造形成層(イ)を透過した光の少なくとも一部を反射させるレリーフ効果層(ホ)と、
を順次積層して具備してなることを特徴とする偽造防止積層体。
【請求項2】
少なくとも、前記レリーフ構造囲われ部(ニ)上のレリーフ効果層(ホ)を覆うように配置されたエッチングマスク層(ヘ)を具備してなることを特徴とする請求項1に記載の偽造防止積層体。
【請求項3】
前記レリーフ構造部(ロ)のレリーフ構造が、レリーフ型光学素子、もしくは、前記レリーフ構造部(ロ)のレリーフ構造とレリーフ効果層(ホ)との組み合わせにより光学効果をもたらすレリーフ型光学素子であることを特徴とする請求項1または2に記載の偽造防止積層体。
【請求項4】
少なくとも、前記レリーフ構造囲われ部(ニ)が、前記土手部(ハ)により1mm2以下の任意のパターンにブロック化されているレリーフ構造囲われブロック部(ト)を具備してなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の偽造防止積層体。
【請求項5】
シート状支持体上に、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の偽造防止積層体を、転写の際に前記支持体から剥離し被転写体に移行可能とするように積層配置し、該偽造防止積層体を覆うようにして、少なくとも、前記支持体から最も遠い位置に接着層を積層してなることを特徴とする偽造防止転写箔。
【請求項6】
シート状支持体上に、少なくとも、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の偽造防止積層体を配置し、該偽造防止積層体を覆うようにして、少なくとも、前記支持体から最も遠い位置に、熱又は圧力によって接着性を呈する接着層を積層してなることを特徴とする偽造防止シール。
【請求項7】
請求項1ないし4に記載のいずれか1項に記載の偽造防止積層体それ自体、または、シート状支持体上に、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の、偽造防止積層体、偽造防止転写箔、偽造防止シールの少なくとも1つ以上を積層してなることを特徴とする偽造防止媒体。
【請求項8】
少なくとも、(イ)レリーフ構造形成層の片側に、(ロ)レリーフ構造形成部、(ハ)土手部を成形し、全面にレリーフ効果層を設けた後、前記土手部(ハ)を利用し、該土手部に囲われたレリーフ構造囲われ部(ニ)にのみ、液滴法によりレリーフ効果層(ホ)を設けるか、もしくは、少なくとも、前記土手部に囲われたレリーフ構造囲われ部(ニ)にのみ、液滴法によりエッチングマスク層(へ)を形成した後、エッチング処理により、レリーフ構造囲われ部(ニ)以外の部分上に配置された、レリーフ効果層(ホ)を除去することを特徴とする請求項1に記載の偽造防止積層体の製造方法。
【請求項9】
シート状の支持体上に、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の偽造防止積層体を、
転写の際に前記支持体から剥離し被転写体に移行可能とするように積層配置し、該偽造防止積層体を覆うようにして、少なくとも、前記支持体から最も遠い位置に接着層を積層することを特徴とする偽造防止転写箔の製造方法。
【請求項10】
シート状支持体上に、少なくとも、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の偽造防止積層体を配置し、該偽造防止積層体を覆うようにして、少なくとも、前記支持体から最も遠い位置に、熱又は圧力によって接着性を呈する接着層を積層することを特徴とする偽造防止シールの製造方法。
【請求項11】
シート状支持体上に、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の偽造防止積層体、偽造防止転写箔、偽造防止シールの少なくとも1つ以上を積層することを特徴とする偽造防止媒体の製造方法。
【請求項12】
少なくとも、レリーフ構造囲われ部(ニ)のレリーフ構造のパターン、レリーフ構造の光学特性、およびレリーフ構造の表面形状、さらに、レリーフ構造囲われブロック部(ト)のブロックのパターン、ブロック内のレリーフ構造の光学特性、およびブロック内のレリーフ構造の表面形状の1つ以上を、位置情報と共にデジタルデータとして読み取り、認識した後、土手部(ハ)を利用して、前記レリーフ構造囲われ部(ニ)のみを覆うように、前記レリーフ効果層(ホ)を液適法により形成することを特徴とする偽造防止積層体の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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