説明

傘のしずく取り装置

【課題】本発明は傘を差し込む際に傘の先で破損させることなく布地についた雨滴を掻き取ることを実現可能とした傘のしずく取り装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】複数の柱状部材16を有し、この柱状部材16同士が所定の間隙を隔てて放射状に配置されると共に、放射状に配置された柱状部材16の中心部に傘の挿入空間が形成された雨滴回収部3と、柱状部材16同士が相対する壁面13に突設された雨滴掻き取り板12とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傘のしずく取り装置に関する。詳しくは、濡れた傘のしずくを掻き取る傘のしずく取り装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の傘のしずく取り装置として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。
具体的には、特許文献1に記載された傘のしずく取り装置は、図13に示すように、装置ボディ101の傘の差し込み口102に弾性を有する複数の吸水体103が所定間隔を開けて放射状に設けられ、複数の吸水体の中間に傘の挿入空間が形成されている。
【0003】
ここで、吸水体103は、例えばポリエステル系繊維による鹿子編組織等の裏面にアクリル、ウレタン、又はフッ素樹脂等の防水コーティングを施して形成される特殊な布体104を、吸水体103の形状を呈する弾性材105の表面に覆着して構成されている。
【0004】
このような複数の吸水体103の挿入空間に閉じた状態の濡れた傘106を差し込んで、隣接する各吸水体103の隙間(クリアランス)に傘地をそれぞれ挿入し、傘106を差込方向に沿って摺動させることによって、傘地表面のしずくを吸水体103で吸水して除去できる。
【0005】
なお、吸水体同士のクリアランスは、傘を差し込んだ場合に、傘の骨が吸水体同士のクリアランスに入り込んで傘地が各吸水体の表面に圧接し、吸水体が傘地表面のしずくを吸水することができる程度の間隔に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2004/001307号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、吸水体同士のクリアランスは、傘を差し込んだ場合に傘地が吸水体の表面に圧接する程度に幅狭に構成されているために、傘の骨が吸水体同士のクリアランスに入り込み難かった。
【0008】
また、傘を挿し込んだ際に吸水体同士のクリアランス内に傘の骨が入り込み難いため、傘地が縮んでしまって傘地の一部のみしか吸水体の表面に接触せず、傘地に付いたしずくを充分に取ることができないこともあった。
【0009】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであって、傘地についた雨滴を充分に掻き取ることが可能な傘のしずく取り装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明に係る傘のしずく取り装置は、複数の柱状部材を有し、該柱状部材同士が所定の間隙を隔てて放射状に配置されると共に、放射状に配置された柱状部材の中心部に傘の挿入空間が形成された雨滴回収部と、前記柱状部材同士が相対する壁面に突設された雨滴掻き取り板とを備える。
【0011】
ここで、複数の柱状部材を有し、柱状部材同士が所定の間隙を隔てて放射状に配置されると共に、放射状に配置された柱状部材の中心部に傘の挿入空間が形成された雨滴回収部と、柱状部材同士が相対する壁面に突設された雨滴掻き取り板とを備えることによって、柱状部材同士の間隙を充分に設けることができ、傘を挿入空間に差し込む際に、傘地が縮むことなく柱状部材同士の間隙に入り込み、上下摺動を繰り返すことで雨滴掻き取り板が傘地に付いた水滴を充分に掻き取ることができる。
【0012】
また、柱状部材が、下端が開放された中空体であると共に、雨滴掻き取り板が突設された壁面に雨滴回収穴部が開口されたことによって、雨滴掻き取り板で回収された傘地に付着した水滴は壁面に開口された雨滴回収穴部より柱状部材内に回収することが可能となる。
【0013】
また、柱状部材の上端が、放射状に配置された柱状部材の中心部に向けて下り傾斜状に形成されることによって、傘を柱状部材の中心部の挿入空間に差し込む際に、柱状部材の上端を傘の先で傷つけることなくスムーズに差し入れることが可能となる。
【0014】
また、放射状に配置された柱状部材の中心部に形成された傘の挿入空間が、下方に向けて順次狭搾状となる様に柱状部材が傾斜して配置されることによって、傘を挿入空間に挿し入れる際に、傘地が柱状部材に均一に接触することが可能となる。
【0015】
また、放射状に配置された柱状部材の中心部に形成された傘の挿入空間が、下方に向けて順次狭搾状となる様に柱状部材が順次膨出状に形成されることによって、柱状部材を故意に傾斜させることなく、傘を挿入空間に挿し入れる際に、傘地が柱状部材に均一に接触することが可能となる。
【0016】
また、雨滴掻き取り板が弾性材料により形成されることによって、傘地に圧接した状態で水滴を掻き取ることが可能となる。
【0017】
また、柱状部材及び雨滴掻き取り板が合成樹脂素材により形成されることによって、柱状部材に水が浸み込むことがなく、使用後の洗浄等のメンテナンスを簡略化することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、傘地に付着した雨滴を確実に掻き取ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を適用した傘のしずく取り装置の一例を説明するための平面模式図である。
【図2】図1のA−A線における端面を説明するための模式図である。
【図3】本発明を適用した傘のしずく取り装置において雨滴回収部カバーを取り付けない状態を説明するための平面模式図である。
【図4】本発明を適用した傘のしずく取り装置における雨滴回収部の一例を説明するための平面模式図である。
【図5】本発明を適用した傘のしずく取り装置における雨滴回収部の一例を説明するための正面模式図である。
【図6】本発明を適用した傘のしずく取り装置における雨滴回収部の一例を説明するための側面模式図である。
【図7】本発明を適用した傘のしずく取り装置を収納ケースに収納した状態の一例を示す一部断面模式図である。
【図8】本発明を適用した傘のしずく取り装置における傘のしずく取り過程を説明するための模式図である。
【図9】本発明を適用した傘のしずく取り装置における吸水過程を説明するための模式図である。
【図10】本発明を適用した傘のしずく取り装置の他の例を説明するための平面模式図である。
【図11】図9のB−B線における端面を説明するための模式図である。
【図12】本発明を適用した他の例による傘のしずく取り装置における吸水過程を説明するための模式図である。
【図13】従来の傘のしずく取り装置を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を参酌しながら説明し、本発明の理解に供する。
【0021】
<実施例1>
図1は本発明を適用した傘のしずく取り装置の一例を説明するための平面模式図、図2は図1のA−A線における端面を説明するための模式図である。また、図3は本発明を適用した傘のしずく取り装置における支持フレーム上に雨滴回収部カバーを省略した状態を説明するための平面模式図ある。
【0022】
ここで示す傘のしずく取り装置1は、環状の支持フレーム2と、この支持フレーム2にその上部が取り付けられた雨滴回収部3とを有して構成されている。
【0023】
また、雨滴回収部3は、その中心部に傘の挿入空間25が形成される様に、8個の柱状部材16が、所定の間隔を持って放射状に集合して構成されている。
【0024】
ここで、支持フレーム2は外周縁が円形状であり、その内周縁は一定間隔を設けて8個の辺部4が形成されて構成されている。
【0025】
また、それぞれの辺部4の略中央位置には下方に略直角状に折曲げられた係留片8が形成されている。
【0026】
更に、この辺部4の裏面には、上端が取付ネジ6で固定された状態で、その下方に向けて下端が支持フレーム2の中心方向に傾斜するように雨滴回収部取付板部5が垂設されて構成されている。
【0027】
この雨滴回収部取付板部5は、その上下方向の適宜箇所に柱状部材16を固定するためのネジ穴20が設けられて構成されている。
【0028】
また、図2に示すように、支持フレーム2上には雨滴回収部カバー31が取付ネジ6で取り付けられている。
この雨滴回収部カバー31は図1に示すように、ゴム製の板材で形成されると共に、その直径が支持フレーム2の直径と略同径の円形状をなしている。
【0029】
ここで、雨滴回収部カバー31は柱状部材16の個数に合わせて8分割とされ、その中心部に傘を挿し通せる空隙部32が形成されて構成されている。
【0030】
更に、雨滴回収部カバー31の周縁部には、支持フレーム2の取付ネジ6の取付位置に対応する箇所にネジ挿通穴33が貫設されると共に、雨滴回収部カバー31にナイロン(図示せず。)が被せて構成されている。
【0031】
次に、図4は本発明を適用した傘のしずく取り装置における雨滴回収部の一例を説明するための平面模式図、図5は本発明を適用した傘のしずく取り装置における雨滴回収部の一例を説明するための正面模式図、図6は本発明を適用した傘のしずく取り装置における雨滴回収部の一例を説明するための側面模式図である。
【0032】
ここで、雨滴回収部3を構成する柱状部材16はプラスチックなどの合成樹脂材により内部が中空状に形成されており、底辺7の幅が支持フレーム2の辺部4の幅と略同等とされ、その平面の断面形状が略三角形状をなす柱状に形成されている。
【0033】
また、柱状部材16の頂部11は鋭角状ではなく丸みを帯びた形状とされ、底辺7から頂部11の両側壁面が雨滴掻き取り壁面13とされている。更に底辺7の上下方向に渡って雨滴回収部取付板部5のネジ穴20に対応する箇所に雌ネジ部21が設けられて構成されている。
【0034】
更に、柱状部材16の上端には、支持フレーム2の係留片8が嵌め入れられる係留溝9が形成されると共に、係留溝9から頂部11に向けて下方へ傾斜面10が形成されて構成されている。また、柱状部材16の下端は開口状とされている。
【0035】
また、柱状部材16の外周壁の上部には、柱状部材16の雨滴掻き取り壁面13に対して一定幅を設けて水平状に頂部11を周回するようにして傘押圧壁面部34が突設形成されている。
【0036】
更に、傘押圧壁面部34の下部には雨滴掻き取り板12が、傘押圧壁面部34の周回幅と略同等となるように柱状部材16の雨滴掻き取り壁面13に対して一定幅を設けて水平状に頂部11を周回するようにして突設して構成されている。更に、雨滴掻き取り板12は、上下方向に振幅可能なように弾性を有する合成樹脂素材により形成されている。
【0037】
また、それぞれの雨滴掻き取り板12上面に接した雨滴掻き取り壁面13には、柱状部材16の中空内部14と連通状とされる雨滴回収穴部15、15が並列状に開口している。
【0038】
ここで、図2及び図3に示すように、支持フレーム2のそれぞれの辺部4の係留片8を柱状部材16の上端の係留溝9内に嵌め込んだ状態で、雨滴回収部取付板部5と柱状部材16の底辺7に配置されるネジ穴20及び雌ネジ部21を合わせて締結ネジ22によって締結される。
【0039】
このようにして構成された雨滴回収部3は、柱状部材16の雨滴掻き取り板12同士が一定のクリアランスを持って配置されることとなる。
【0040】
更に、雨滴回収部3の傘の挿入空間25は、8個の柱状部材16が支持フレーム2の中心方向に傾斜させた状態で取り付けられることで、雨滴回収部3の下方に向かうに従って順次穴径が小さくなるように形成されることとなる。
【0041】
ここで、傘のしずく取り装置1は、上端に傘を差し込むための円形の開口部23が形成されると共に、この開口部23を未使用時に閉鎖する蓋部26が取り付けられた収納ケース24内に取り付けられている(図7参照)。
【0042】
この収納ケース24の開口部23の開口縁27に傘のしずく取り装置1の支持フレーム2(図示せず。)が係留されている。
【0043】
また、収納ケース24の底面には水受トレー29が配置され、この水受トレー29は収納ケース24の外壁面に設けられた開閉扉30を通じて出し入れがなされることとなる。
【0044】
このようにして収納ケース24内に取り付けられた傘のしずく取り装置1では、雨水により濡れた傘Cを閉じて収納ケース24の開口部23を通して、雨滴回収部3の8個の柱状部材16の各頂部11との間に形成される傘の挿入空間25内に傘Cが差し込まれることとなる。
【0045】
ここで、図8(図8(イ)は雨滴回収部内に傘の先が入り込む状態の正面模式図、図8(ロ)は雨滴回収部内に傘の先が入り込む状態の平面断面模式図を示す。)及び図9(図9(イ)は雨滴回収部内にて傘の出し入れ状態を説明するための正面模式図、図9(ロ)は雨滴回収部内にて傘の出し入れ状態を説明するための正面断面模式図を示す。)を用いて傘のしずく取り装置の吸水過程について説明する。
【0046】
先ず、雨滴回収部3の上端に設けられた雨滴回収部カバー31の空隙部32に傘の先Dを差し込むことで、分割とされた雨滴回収部カバー31が傘地Eに密接しながら傘地Eについた雨滴を掻き取ることとなる。
【0047】
更に、雨滴回収部3の柱状部材16の各頂部11との間に形成される傘の挿入空間25内に傘の先Dを差し込むことで、傘地Eが8個の柱状部材16の間に除々に挿入されることとなる。
【0048】
この場合に、8個の柱状部材16の上部に傘押圧壁面部34が形成されることで傘Cの出し入れの際に傘Cの周囲が均等に押圧され、その結果傘Cの出し入れがスムーズに行うことが可能となる。
【0049】
ここで、8個の柱状部材16の各頂部11との間に形成される傘の挿入空間25は雨滴回収部3の下方に向かうに従って順次穴径が小さくなるように形成されている。また、傘Cの傘地Eは、先端側(手で把持する側とは反対側)より基端側(手で把持する側)に向けて拡がる様に構成されている。そのため、常に傘地Eは雨滴回収部3の柱状部材16の雨滴掻き取り壁面13に密接状に保持されることとなる。
【0050】
ここで、傘地Eに付着した雨滴は、柱状部材16の雨滴掻き取り壁面13に設けられる雨滴掻き取り板12で掻き取られて雨滴掻き取り壁面13に開口された雨滴回収穴部15より柱状部材16内に落下して水受トレー29内に回収される。
【0051】
また、雨滴回収穴部15内に回収されない雨滴は柱状部材16の壁面を伝って落下して水受トレー29内に回収される。
【0052】
このようにして傘Cを2〜3回の摺動を繰り返すことで、傘地Eの雨滴のほぼ全てが除去でき、雨滴は雨滴回収部3を構成する柱状部材16の雨滴回収穴部15内及び雨滴掻き取り壁面13より下方の水受トレー29に案内されて回収されることとなる。なお、水受けトレー29内に一定量の雨水が貯水されると水受けトレー29を収納ケース24外へ引き出して処理する。
【0053】
以上の構成よりなる本発明を適用した傘のしずく取り装置では、弾性を有する雨滴掻き取り板12が傘地Eに密着しながら傘Cの上下方向に繰り返される摺動に応じて傘地Eに付着した雨水を確実に除去することが可能となる。
【0054】
更に、除去された雨水は雨滴掻き取り壁面13に開口された雨滴回収穴部15より柱状部材16内部に排出されることで、雨滴掻き取り壁面13に雨水が残ることがなく、雨水が傘地Eに再び付着することを防止できる。
【0055】
また、各柱状部材16同士のクリアランスを充分に取り、雨滴掻き取り壁面13に雨滴掻き取り板12を設けることで、傘の骨(図示せず。)は各柱状部材16同士のクリアランス内に入り込み易くなる。
【0056】
これにより、傘地Eが縮むことなく傘地Eに雨滴掻き取り板12が圧接することとなり、傘地Eに付いた水を確実に除去することが可能となる。
【0057】
また、雨滴回収部3の上端が傘の挿入空間25に向けて下方へ傾斜面10が形成された構成とされることで、傘Cの先を雨滴回収部3の傘の挿入空間25内に差し込む際に傘Cの先で各柱状部材16の上端面を突き破ることを低減することが可能となる。
【0058】
即ち、柱状部材16の上端面が水平状である場合には、傘Cの先を雨滴回収部3の傘の挿入空間25内に差し込む際に傘Cの先で柱状部材の上端面を突き破ってしまうことが懸念されるものの、傾斜面10が形成されることで、こうした点を解消することができる。
【0059】
なお、実施例1では各柱状部材の上部に傘押圧壁面部を形成するものであるが、必ずしも各柱状部材の上部に傘押圧壁面部に形成する必要性はなく、例えば各柱状部材の雨滴掻き取り壁面の全体に雨滴掻き取り板を設けた構成であっても構わない。しかし、傘の出し入れがスムーズに行うことができるという点において各柱状部材の上部に傘押圧壁面部を形成することが望ましい。
【0060】
また、実施例1では雨滴回収部の上端に雨滴回収部カバーを設けるものであるが、必ずしも設ける必要性はない。しかし、雨滴回収部に傘を差し込む際に雨滴を除去するという点において雨滴回収部カバーを設けることが望ましい。
【0061】
<実施例2>
図10は本発明を適用した傘のしずく取り装置の他の例を説明するための平面模式図、図11は図10のB−B線における端面を説明するための模式図である。
【0062】
ここで示す傘のしずく取り装置1は、環状の支持フレーム2と、この支持フレーム2にその上部が取り付けられた雨滴回収部3とを有して構成されている。
【0063】
また、雨滴回収部3は、その中心部に傘の挿入空間25が形成される様に、8個の柱状部材16が、所定の間隔を持って放射状に集合して構成されている。
【0064】
ここで、支持フレーム2は外周縁が円形状であり、その内周縁は一定間隔を設けて8個の辺部4が形成されて構成されている。
【0065】
また、それぞれの辺部4の略中央位置には下方に略直角状に折曲げられた係留片8が形成されている。
【0066】
更に、この辺部4の裏面には、上端が取付ネジ6で固定された状態で、その下方に向けて雨滴回収部取付板部5が垂設されて構成されている。
【0067】
この雨滴回収部取付板部5は、その上下方向の適宜箇所に柱状部材16Aを固定するためのネジ穴20が開口されて構成されている。
【0068】
ここで、雨滴回収部3を構成する柱状部材16Aはプラスチックなどの合成樹脂材により内部が中空状に形成されており、底辺7の幅が支持フレーム2の辺部4の幅と略同等とされ、その平面の断面形状が略三角形状をなす柱状に形成されている。
【0069】
また、柱状部材16Aの頂部11は鋭角状ではなく丸みを帯びた形状とされ、底辺7から頂部11の両側壁面が雨滴掻き取り壁面13とされている。更に底辺7の上下方向に沿って柱状部材16Aのネジ穴20に対応する箇所に雌ネジ部21が設けられて構成されている。
【0070】
更に、柱状部材16Aの上端には、支持フレーム2の係留片8が嵌め入れられる係留溝9が形成されると共に、柱状部材16Aの上端の係留溝9から頂部11に向けて下方へ傾斜面10が形成されて構成されている。また、柱状部材16Aの下端は開口状とされている。
【0071】
また、柱状部材16Aの外周壁の上下方向に渡って一定間隔ごとに雨滴掻き取り板12、12、・・が周設されている。
【0072】
この雨滴掻き取り板12は、柱状部材16Aの雨滴掻き取り壁面13に対して一定幅を設けて水平状に頂部11を周回するようにして突設して構成されている。更に、雨滴掻き取り板12は、上下方向に振幅可能なように弾性を有する合成樹脂素材により形成されている。
【0073】
また、それぞれの雨滴掻き取り板12上面に接した雨滴掻き取り壁面13には、柱状部材16Aの中空内部14と連通状とされる雨滴回収穴部15、15が並列状に開口している。
【0074】
ここで、図10及び図11に示すように、支持フレーム2のそれぞれの辺部4の係留片8を柱状部材16Aの上端の係留溝9内に嵌め込んだ状態で、雨滴回収部取付板部5と柱状部材16Aの底辺7に配置されるネジ穴20及び雌ネジ部21を合わせて締結ネジ22によって締結される。
【0075】
このようにして構成された雨滴回収部3は、柱状部材16Aの雨滴掻き取り板12同士が一定のクリアランスを持って配置されることとなる。
【0076】
更に、8個の柱状部材16Aの底辺7から頂部11までの長さが、雨滴回収部3の上部から下部に向けて順次長くなるように形成されている。これにより雨滴回収部3の8個の柱状部材16Aの各頂部11との間に形成される傘の挿入空間25は、雨滴回収部3の下端に向かうに従って順次穴径が小さくなるように形成されることとなる。
【0077】
ここで、前記図7に示すように、傘のしずく取り装置1は、上端に傘を差し込むための円形の開口部23が形成されると共に、この開口部23を未使用時に閉鎖する蓋部26が取り付けられた収納ケース24内に取り付けられている。
【0078】
この収納ケース24の開口部23の開口縁27に傘のしずく取り装置1の支持フレーム2が係留されて締結用ネジ28で締結固定されている。
【0079】
また、収納ケース24の底面には水受トレー29が配置され、この水受トレー29は収納ケース24の外壁面に設けられた開閉扉30を通じて出し入れがなされることとなる。
【0080】
このようにして収納ケース24内に取り付けられた傘のしずく取り装置1では、雨水により濡れた傘Cを閉じて収納ケース24の開口部23を通して、雨滴回収部3の8個の柱状部材16Aの各頂部11との間に形成される傘の挿入空間25内に傘Cが差し込まれることとなる。
【0081】
このような傘のしずく取り装置1では、図12(図12(イ)は雨滴回収部内に傘の先が入り込む状態の正面模式図、図12(ロ)は雨滴回収部内に傘の先が入り込む状態の平面断面模式図を示す。)に示すように、各雨滴回収部3の頂部11との間に形成される傘の挿入空間25内に傘の先Dを差し込むことで、傘地Eが8個の柱状部材16Aの間に除々に挿入されることとなる。
【0082】
ここで、雨滴回収部3の8個の柱状部材16Aの各頂部11との間に形成される傘の挿入空間25は雨滴回収部3の下端に向かうに従って順次穴径が小さくなるように形成されている。また、傘Cの傘地Eは、先端側(手で把持する側とは反対側)より基端側(手で把持する側)に向けて拡がる様に構成されている。そのため、常に傘地Eは柱状部材16Aの雨滴掻き取り壁面13に密接状に保持されることとなる。
【0083】
ここで、傘地Eに付着した雨滴は、柱状部材16Aの雨滴掻き取り壁面13に設けられる雨滴掻き取り板12で掻き取られて雨滴掻き取り壁面13に開口された雨滴回収穴部15より柱状部材16A内に落下して水受トレー29内に回収される。
【0084】
また、柱状部材16A内に回収されない雨滴は柱状部材16Aの雨滴掻き取り壁面13を伝って落下して水受トレー29内に回収される。
【0085】
このようにして傘Cの2〜3回の摺動を繰り返すことで、傘地Eの雨滴のほぼ全てが除去され、雨滴は雨滴回収穴部15内及び雨滴掻き取り壁面13より下方の水受トレー29に案内されて回収されることとなる。なお、水受けトレー29内に一定量の雨水が貯水されると水受けトレー29を収納ケース24外へ引き出して処理する。
【0086】
以上の構成よりなる本発明を適用した傘のしずく取り装置では、弾性を有する雨滴掻き取り板12が傘地Eに密着しながら傘Cの上下方向に繰り返される摺動に応じて傘地Eに付着した雨水を確実に除去することが可能となる。更に、除去された雨水は雨滴掻き取り壁面13に開口された雨滴回収穴部15より柱状部材16A内部に排出されることで、雨滴掻き取り壁面13に水が残ることがなく、雨水が傘地Eに再び付着することを防止できる。
【0087】
また、雨滴回収部3の柱状部材16Aの底辺7から頂部11までの長さが、雨滴回収部3の上部から下部に向けて順次長くなるように形成されることで、支持フレーム2で各柱状部材16Aを鉛直に取り付けることが可能となる。これにより、雨滴回収部3の傘の挿入空間25内の穴径の調整が不要となる。
【0088】
なお、実施例2では雨滴回収部カバーを設けない場合を詳述するものであるが前記実施例1と同様に雨滴回収部の上端に雨滴回収部カバーを設ける構成であっても構わない。
【0089】
また、実施例2では各柱状部材の上部に傘押圧壁面部を形成しない場合を詳述するものであるが前記実施例1と同様に各柱状部材の上部に傘押圧壁面部を設ける構成であっても構わない。
【符号の説明】
【0090】
1 傘のしずく取り装置
2 支持フレーム
3 雨滴回収部
4 辺部
5 雨滴回収部取付板部
6 取付ネジ
7 底辺
8 係留片
9 係留溝
10 傾斜面
11 頂部
12 雨滴掻き取り板
13 雨滴掻き取り壁面
14 中空内部
15 雨滴回収穴部
16、16A 柱状部材
20 ネジ穴
21 雌ネジ部
22 締結ネジ
23 開口部
24 収納ケース
25 傘の挿入空間
26 蓋部
27 開口縁
28 締結用ネジ
29 水受トレー
30 開閉扉
31 雨滴回収部カバー
32 空隙部
33 ネジ挿通穴
34 傘押圧壁面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の柱状部材を有し、該柱状部材同士が所定の間隙を隔てて放射状に配置されると共に、放射状に配置された柱状部材の中心部に傘の挿入空間が形成された雨滴回収部と、
前記柱状部材同士が相対する壁面に突設された雨滴掻き取り板とを備える
傘のしずく取り装置。
【請求項2】
前記雨滴掻き取り板が突設された壁面に雨滴回収穴部が開口された
請求項1に記載の傘のしずく取り装置。
【請求項3】
前記柱状部材の上端は、放射状に配置された柱状部材の中心部に向けて下り傾斜状に形成された
請求項1または請求項2に記載の傘のしずく取り装置。
【請求項4】
放射状に配置された柱状部材の中心部に形成された傘の挿入空間が、下方に向けて順次狭搾状となる様に、前記柱状部材が傾斜して配置された
請求項1、請求項2または請求項3に記載の傘のしずく取り装置。
【請求項5】
放射状に配置された柱状部材の中心部に形成された傘の挿入空間が、下方に向けて順次狭搾状となる様に、前記柱状部材が順次膨出状に形成された
請求項1、請求項2または請求項3に記載の傘のしずく取り装置。
【請求項6】
前記雨滴掻き取り板は、弾性材料により形成された
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載の傘のしずく取り装置。
【請求項7】
前記柱状部材及び前記雨滴掻き取り板は、合成樹脂素材により形成された
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5または請求項6に記載の傘のしずく取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−52749(P2012−52749A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196484(P2010−196484)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(510237332)
【出願人】(510237343)株式会社アムレインジ (1)
【出願人】(510237664)株式会社アルファエコ (1)
【Fターム(参考)】