説明

備品管理システム

【課題】作業者による更新作業の労力を低減しつつ、書類や物品の送り先や備品の使用管理者を明確に把握することが可能な備品管理システムを提供する。
【解決手段】備品管理システムにおいて、作業場所で作業者が身に付ける、この作業者を識別することができる作業者情報を無線通信で応答する作業者応答器と、備品に付され備品情報を無線通信で応答する備品応答器と、作業者応答器及び備品応答器と無線通信を行うアンテナと、アンテナを介した無線通信によって作業者情報および上記備品情報を取得する質問器と、作業者と、作業場所と、備品との対応表を記憶した備品管理部と、作業者情報が取得された場合に、識別される作業者と、作業者情報と共に取得された備品情報によって識別される備品と、作業者情報が取得されたアンテナに対応した作業場所とを対応付けて、備品管理部の対応表中の、この作業者に関わる部分を更新する更新部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、備品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種団体や企業では、部署の設置・廃止や新人の配属といった人事組織の変更が定期あるいは不定期に実施されており、組織変更に伴い、構成員の座席移動や備品の配置変更が行われている。人事総務部門では、構成員の所属部署や部署の構成についての人事組織情報、および備品の所在といった総務情報を管理している。一般には、人事組織の情報はデータベースとして電子化されて、人事総務部門で集中的に管理更新され、備品の所在といった情報は構成員の申告によって更新されるケースが多い。
【0003】
図17は、従来の人事総務情報管理システムの構成を説明する図である。
【0004】
図17に示す人事総務情報管理システムでは、人事総務部門が管理する人事総務サーバ901に人事総務情報テーブル902が記憶されている。人事総務テーブル902には、組織構成員の構成員ID、氏名、構成員が所属する事務所の事務所ID、電話番号、およびFAX番号の組が記憶されている。なお、ここで「事務所」は、部署がある建物内の場所を意味しており、事務所IDは、例えば001−2Fであれば、第1の建物のうちの2階フロアを表している。組織変更が生じた場合、人事総務部門の担当者は人事総務サーバ901を操作して、人事総務情報テーブル902内の事務所IDを変更する。人事総務サーバ901は構成員が使用するパーソナルコンピュータ(PC)903,904,905に通信可能に接続されている。構成員はPC903,904,905をそれぞれ操作して人事総務サーバ901に情報を送信することによって、人事総務情報テーブル902内の各構成員に対応する電話番号やFAX番号を更新する。
【0005】
情報の更新には全構成員の作業が求められており、更新作業の実施を構成員に任せると作業の時期が遅れたり、作業が実施されなかったりして、人事総務情報テーブル902の内容が現状と食い違う事態が生じる。この結果、例えば、書類や荷物が予期しない場所に配達されたり、電話の転送が失敗したり、備品の使用管理者が不明確になるといった問題が生じる。
【0006】
プロジェクタやコピー機といった共用の資産を管理する資産管理システムの分野では、資産にRFIDタグを付し、区画ごとに設置されたタグリーダによって位置を検出することが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−202502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の資産管理システムでは資産の場所を把握することはできるが、書類や物品の送り先を把握することはできず、また、備品の使用管理者が不明確となる問題が解決されておらず、かかる問題を解決することが望まれている。
【0008】
上記事情に鑑み、本件開示は、作業者による更新作業の労力を低減しつつ、書類や物品の送り先や備品の使用管理者を明確に把握することが可能な備品管理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本件開示の備品管理システムの基本形態は、作業場所を占有しこの作業場所で作業する作業者が身に付ける、この作業者を直接あるいは間接に識別することができる作業者情報を記憶した、外部からの無線通信による質問に対しこの作業者情報を無線通信で応答する作業者応答器と、
上記作業者が利用する備品に付され、この備品を直接あるいは間接に識別することができる備品情報を記憶した、外部からの無線通信による質問に対しこの備品情報を無線通信で応答する備品応答器と、
上記作業場所を通信範囲として上記作業者応答器及び上記備品応答器と無線通信を行うアンテナと、
上記アンテナに接続され、このアンテナを介した無線通信によって上記作業者応答器および上記備品応答器のうち上記作業場所に存在する上記作業者応答器および上記備品応答器に質問してそれら作業者応答器および備品応答器から上記作業者情報および上記備品情報を取得する質問器と、
上記作業者と、この作業者に占有された作業場所と、この作業者が利用する備品との対応表を記憶した備品管理部と、
上記質問器によって上記作業者情報が取得された場合に、この作業者情報によって識別される作業者と、上記備品情報のうちこの作業者情報と共に取得された備品情報によって識別される備品と、この作業者情報が取得されたアンテナに対応した作業場所とを対応付けて、上記備品管理部の対応表中の、この作業者に関わる部分を更新する更新部とを備えている。
【0010】
この基本形態によれば、作業場所で作業する作業者が身に付ける作業者応答器からの作業者情報と、備品に付された備品応答器からの備品情報が取得され、備品管理部の対応表中の作業者に関わる部分が更新されるので、作業者による更新作業の労力を低減しつつ、作業場所や備品の使用管理者を明確に把握することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、備品管理システムの上記基本形態によれば、作業者による更新作業の労力を低減しつつ、作業場所や備品の使用管理者を明確に把握することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
上記基本形態に対し、「上記作業者応答器および上記備品応答器が、規格として共通の応答器であって、各応答器を識別する識別情報を上記作業者情報および上記備品情報として記憶しているものであり、
上記作業者および上記備品と、上記識別情報との対応表を記憶している応答器管理部を備え、
上記更新部が、上記作業者および上記備品を、上記識別情報に基づいて上記応答器管理部の対応表から知得するものである」という応用形態は好適である。
【0013】
この好適な応用形態によれば、共通規格の応答器を作業者応答器として利用することができ、また備品応答器として利用することもできるため管理労力が低減する。
【0014】
上記基本形態に対し、「上記備品応答器として、パーソナルコンピュータに付されたPC応答器と、このパーソナルコンピュータを除く他の備品に付された非PC応答器とを備え、
上記パーソナルコンピュータと上記作業者との対応表を記憶したPC管理部を備え、
上記更新部が、上記質問器によって上記作業者情報が取得され、かつ、この作業者情報と共に、この作業者情報によって識別される作業者に対し上記PC管理部の対応表で対応したパーソナルコンピュータに付されたPC応答器からの備品情報も取得された場合に、上記備品管理部の対応表中の、この作業者に関わる部分を更新するものである」という応用形態は好適である。
【0015】
この好適な応用形態によれば、作業者の作業者情報と、作業者に対応したパーソナルコンピュータの備品情報の双方が取得された場合に更新が行われるので、備品管理部の対応表における情報の確度が向上する。
【0016】
上記基本形態に対し、「上記備品応答器として、電話機に付された電話機応答器と、上記作業場所で電話機と接続される回線ケーブルに付されたケーブル応答器と、この電話機およびこの回線ケーブルを除く他の備品に付された非電話応答器とを備え、
上記電話機と電話番号との対応表を記憶した電話管理部を備え、
上記更新部が、上記電話管理部の対応表で対応した電話機に付された電話機応答器からの備品情報と、ケーブル応答器からの備品情報が取得された場合に、上記備品管理部の対応表中の、この回線ケーブルに関わる部分と、上記電話管理部の対応表中のこの電話機に対応した電話番号とを対応付けて表示するものである」という応用形態は好適である。
【0017】
この好適な応用形態によれば、電話機が移動した場合、電話機に接続される回線ケーブルに対し、この電話機でかつて使用されていた電話番号を割り当てるための情報が容易に得られる。
【0018】
基本形態および応用形態について上記説明した備品管理システムに対する具体的な実施形態を、以下図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、備品管理システムの具体的な一実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【0020】
図1に示す備品管理システム1は、例えば作業服やIDバッジに取り付けられて、作業者が身に付ける作業者応答器11、机に付される机応答器12、PCに付されるPC応答器13、椅子に付される椅子応答器14、電話機に付される電話機応答器15、電話機が接続される回線ケーブルに付されるケーブル応答器16、FAXに付されるFAX応答器17、これら作業者応答器11、机応答器12、PC応答器13、椅子応答器14、電話機応答器15、ケーブル応答器16、FAX応答器17と通信を行うアンテナ20a,20b、アンテナ20a,20bに接続された質問器30、質問器30を制御する質問器ホスト40、ならびに人事総務情報が記憶された人事総務サーバ50を備えている。なお、備品管理システム1が有する作業者応答器11、机応答器12、PC応答器13、椅子応答器14、電話機応答器15、ケーブル応答器16、FAX応答器17、アンテナ20a,20b、質問器30、および、質問器ホスト40は、図1に示す数に限られず、備品管理システム1が設置される人事組織の規模に応じた数だけ配備される。
【0021】
作業者応答器11、机応答器12、PC応答器13、椅子応答器14、電話機応答器15、ケーブル応答器16、およびFAX応答器17は、規格として共通のRFID(Radio Frequency IDentification)タグで構成されており、個々のRFIDタグの識別が可能な応答器番号が記憶されている。つまり、作業者応答器11、机応答器12、PC応答器13、椅子応答器14、電話機応答器15、ケーブル応答器16、およびFAX応答器17は、共通のハードウェア構成を有しており、記憶される情報および取り付けられる対象が異なる。以降、作業者応答器11、机応答器12、PC応答器13、椅子応答器14、電話機応答器15、ケーブル応答器16、およびFAX応答器17を総称して単に応答器11〜17と称する場合がある。また、応答器11〜17のうち、作業者応答器11を除く残りの机応答器12、PC応答器13、椅子応答器14、電話機応答器15、ケーブル応答器16、およびFAX応答器17を、備品としての机72、PC73、椅子74、電話機75、回線ケーブル76、およびFAX77に付される備品応答器12〜17と称する場合もある。ここで、備品応答器12〜17のうち、PC応答器13を除く残りの机応答器12、椅子応答器14、電話機応答器15、ケーブル応答器16、およびFAX応答器17が、上述した応用形態における非PC応答器の一例に相当する。
【0022】
応答器11〜17は、図示しないアンテナ、無線通信部、および、応答器番号を記憶する記憶部を有しており、アンテナ20a,20bを介した質問器30からの無線通信による質問に対し、応答器番号を無線通信で応答する。応答器番号の詳細については後述する。
【0023】
質問器30は、作業者応答器11および備品応答器12〜17とアンテナ20a,20b,…を介して無線通信を行う。質問器30は、無線通信によって作業者応答器11および備品応答器12〜17に質問し、作業者応答器11および備品応答器12〜17から応答器番号を取得する。
【0024】
人事総務サーバ50は、作業者と作業場所と備品との対応表である人事総務情報テーブルや、応答器11〜17に記憶された応答器番号と応答器11〜17が取り付けられた対象との対応表である応答器テーブルといった各種対応表を記憶している。ここで、人事総務サーバ50は、上述した基本形態における備品管理部の一例に相当する。
【0025】
質問器ホスト40は、一方で、例えば構内通信網によって人事総務サーバ50と接続され、また、他方で質問器30と接続されている。質問器ホスト40は、質問器30に作業者応答器11および備品応答器12〜17と通信を行わせ応答器番号を取得させるとともに、質問器30で取得された応答器番号に基づいて、人事総務サーバ50の人事総務情報テーブルを更新する。質問器ホスト40は、作業者が使用するパーソナルコンピュータ(PC)60a,60b,60cとも構内通信網で接続されており、作業者によるPC73a,60b,60cへの操作によって入力された信号や情報を受信する。ここで、質問器ホスト40は、上述した基本形態における更新部の一例に相当する。
【0026】
質問器ホスト40および人事総務サーバ50は同様のハードウェア構成を有しているので、質問器ホスト40に代表させてハードウェア構成を説明する。
【0027】
図2は、図1に示す質問器ホスト40のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0028】
図2に示す質問器ホスト40は、CPU41、メモリ42、ハードディスク装置(HDD)43、光ディスク装置44、通信IF45、入力装置46、および表示装置47を備えている。
【0029】
CPU41は、各種プログラムを実行する機能を有する制御部であり、質問器ホスト40全体を制御している。HDD43または光ディスク装置44の媒体には、CPU41で実行されることで質問器ホスト40の動作を制御する各種プログラムやそれら各種プログラムの実行に必要な各種定数が記憶されている。CPU41は、HDD43または光ディスク装置44の媒体に記憶されたプログラムをメモリ42に移し、メモリ42を作業領域として使いながらプログラムを実行する。これによって、質問器ホスト40の各処理が実行される。通信インターフェース(IF)45は、質問器30および人事総務サーバ50との接続を担う。入力装置46は操作者による操作を受け付け、表示装置47は各種情報を画面に表示する。
【0030】
続いて、人事総務サーバ50に記憶されている各種テーブルについて説明する。
【0031】
図3は、人事総務サーバ50に記憶されている応答器テーブルの例を示す図である。
【0032】
図3に示す応答器テーブル500には、個々の応答器11〜17について、応答器の応答器番号、応答器が取り付けられる対象の種別、および、応答器が取り付けられる対象を個々に識別する対象IDの組が記憶されている。例えば図3に示す例では、応答器番号として16進数で16桁の番号が示されている。応答器テーブルの1行目には、応答器の応答器番号’0x0000,0123,4567,0001’に対し、この応答器が付けられる対象が’作業者’であることと、対象である作業者のIDすなわち作業者ID’123456’が対応付けられている。応答器テーブルの1行目は、応答器番号’0x0000,0123,4567,0001’が記憶された応答器は、作業者応答器11であり、作業者IDが’123456’である作業者に身に付けられていることを意味する。
【0033】
応答器テーブルの2行目には、PC応答器13の応答器番号’0x0000,0123,6789,0001’に対し、応答器が付けられる対象の種別が’PC’であることと、対象であるPCのIDすなわちPC_ID’PC0001’が対応付けられている。つまり、2行目は、応答器番号’0x0000,0123,6789,0001’が記憶された応答器は、PC応答器13として、IDが’PC0001’であるPCに取り付けられていることを意味する。
【0034】
RFIDタグにはユニークな応答器番号が予め記憶されており、人事総務の担当者は、RFIDタグを対象に取り付けるとともに人事総務サーバ50を操作して応答器番号に対応する応答器テーブル500の対象種別および対象IDを更新する。このことによって、RFIDタグが、作業者応答器11、机応答器12、PC応答器13、椅子応答器14、電話機応答器15、ケーブル応答器16、およびFAX応答器17のいずれかとして機能することとなる。
【0035】
ここで、応答器11〜17に記憶された応答器番号が、上述した応用形態における識別情報の一例に相当する。また、作業者応答器11に記憶された応答器番号が、上述した基本形態における作業者情報の一例に相当する。また、備品である机応答器12、PC応答器13、椅子応答器14、電話機応答器15、ケーブル応答器16、およびFAX応答器17に記憶された応答番号が、上述した基本形態における備品情報の一例に相当する。また、応答器テーブルを記憶している人事総務サーバ50が、上述した応用形態における応答器管理部の一例に相当する。
【0036】
人事総務サーバ50に記憶されている、応答器テーブル500の他のテーブルについては後に説明する。
【0037】
図4は、図1に示す備品管理システムが有する各装置の配置例を示す図であり、図5は、図4の配置例における配置場所を含んだフロア全体の配置を示す図である。
【0038】
図4には、企業のある部署の配置が示されている。この部署では、作業者のそれぞれに机が割り当てられており、各作業者は割り当てられた机の周辺を作業場所として占有し、この作業場所で作業する。この部署が使用しているフロアには、図5に示すように、図4に示す部署を含めA1〜A5,B1〜B5の10の部署があり、図4に示す部署の識別名は’B3’である。各作業者が占有する作業場所には図5に示すように、部署名を含む作業場所のIDが割り当てられている。例えば、図4に示す部署の作業場所には作業場所IDとして’B3−01’〜’B3−09’が割り当てられる。作業場所のIDは、社内便で作業者に書類や荷物の送る場合の送り先としても利用されている。
【0039】
図4に示す部署では、9つの作業場所に対応して、9つの机72(72a,72b,…72i)が配置されている。作業者のそれぞれには、机72の他に、PC73(73a,73b,…73i)、椅子74(74a,74b,…74i)、電話機75(75a,75b,…75i)、が割り当てられている。なお、図2では符号の表示の見易さのため、添え字がa,b,iの符号のみを表示し、添え字がc,d,e,f,g,hの符号については表示を省略している。また、図4では図示しないが、各机72の位置には、電話交換機80(図8参照)に接続された回線ケーブル76も敷設されている。また、図4に示す部署はFAX77を有しており、FAX77が配置された場所は10番目の作業場所として、共同の作業場所となっている。
【0040】
作業者が人事組織変更等によって席を移動する場合には、各自に割り当てられたPC、椅子、電話機を新たな作業場所に移動させる。また机を移動させることもある。
【0041】
作業者71a,71b,…71iのそれぞれは、作業者応答器11a,11b,…11iを身に付けている。なお、図4に示す例では、作業者のうちの幾人かは離席中である。
【0042】
また、机72a,72b,…72iのそれぞれには机応答器12a,12b,…12iが取り付けられており、PC73a,73b,…73iのそれぞれにはPC応答器13a,13b,…73i取り付けられている。また、椅子74a,74b,…74iのそれぞれには椅子応答器14a,14b,…14iが取り付けられており、電話機75a,75b,…75iのそれぞれには電話機応答器15a,15b,…15iが取り付けられている。また、FAX77にはFAX応答器17が取り付けられている。
【0043】
アンテナ20(20a,20b,…20i)は、机72(72a,72b,…72i)の配置に沿って配置されている。アンテナ20のそれぞれは、作業者に割り当てられた机の周辺である作業場所を通信範囲として、応答器11〜16と無線通信を行えるように設置されている。また、共用のFAX77が設置された共用の作業場所にもアンテナ21が設置されている。
【0044】
図6および図7は、各作業者の作業場所に設置されたアンテナの通信範囲を示す図である。図6は平面図であり、図7は側面図である。
【0045】
図6および図7に示す配置では、アンテナ20は、作業場所Aを通信範囲すなわち有効電磁界強度の範囲とする位置および向きに配置されている。作業場所Aは、図6および図7に示す例では作業者71に割り当てられた机72の周辺である。アンテナ20は、作業者71の作業者応答器11、机72に付される机応答器12、PC73に付されるPC応答器13、椅子74に付される椅子応答器14、および電話機に付される電話機応答器15が、作業者71が通常に作業を行う状態で通信範囲に納まる位置および向きに取り付けられている。またアンテナ20は、隣接する別のアンテナ20と通信範囲が互いに重ならないように取付けおよび調整されている。
【0046】
図8は、図4に示した各装置の電気的接続を示すブロック図である。
【0047】
電話機75(75a,75b,…75i)のそれぞれに接続された回線ケーブル76(76a,76b,…76i)の電話機側の端付近には、ケーブル応答器16(16a,16b,…16i)が取り付けられている。ケーブル応答器16は、図4に示すアンテナ20の通信範囲にそれぞれ配置されている。回線ケーブル76の電話機75と反対側の端は電話交換機80に接続されている。電話交換機80では、回線ケーブル76のそれぞれに対して電話番号(内線番号、外線番号)が設定されている。この設定は、電話交換機の保守を行うオペレータが、後述する、回線ケーブルと電話番号の対応表を見ながら、電話交換機80の設定データあるいは配線を変更することによって、変更される。これによって、回線ケーブルに接続された電話機の電話番号が決定する。なお、電話機のそれぞれと、その電話機(回線ケーブルでない)で使用されている電話番号との対応関係は、人事総務サーバ50に記憶されている。
【0048】
アンテナ20(20a,20b,…20i)は、質問器30に接続されており、質問器30は質問器ホスト40に接続されている。質問器ホスト40は、例えば構内通信網によって、人事総務サーバ50およびPC73(73a,73b,…73i)と接続されている。人事総務サーバ50は、質問器ホスト40からの要求に応じて、記憶されている各種テーブルを質問器ホスト40に送信し、また、これらのテーブルの書き換えを行う。これによって、質問器ホスト40は人事総務サーバ50に記憶された各種テーブルを参照し更新する。
【0049】
ここで、人事総務サーバ50に記憶されている各種テーブルについて説明する。
【0050】
図9は、人事総務サーバ50に記憶されている作業者情報テーブルを示す図である。
【0051】
図9に示す作業者情報テーブル510には、組織の構成員である作業者ごとに、作業者ID511、氏名512、所属513、メールアドレス514、PC_ID515、事務所ID516、作業場所517、電話機ID518、FAX_ID519、机ID521、および、椅子ID522の組が記憶されている。例えば作業者情報テーブル510の1行目に注目すると、作業者ID511として’123456’、氏名512として’富士太郎’、所属513として’営業部’、メールアドレス514として’fuji.tarou@abc.co.jp’、PC_ID515として’PC0001’、事務所ID516として’001−2F’、作業場所517として’001−2f−A03−01’、電話機ID518として’ET0001’、FAX_ID519として’EF0003’、机ID521として’ED0001’、および、椅子ID522として’EC0001’が記憶されている。
【0052】
作業者情報テーブル510のうち、作業者ID511、氏名512、所属513、メールアドレス514、PC_ID515、事務所ID516は人事組織の情報であり、人事総務部門の担当者による人事総務サーバ50の入力・更新操作により追加・更新される。作業者情報テーブル510のうち、残りの作業場所517、電話機ID518、FAX_ID519、机ID521、および椅子ID522は、質問器ホスト40によって更新される。以降、作業者情報テーブル510に記憶された、PC_ID515、電話機ID518、FAX_ID519、机ID521、および、椅子ID522を、備品IDとも総称する。
【0053】
図10は、人事総務サーバ50に記憶されている電話FAXテーブルを示す図である。
【0054】
電話FAXテーブル530は、電話機またはFAXごとに、電話/FAX_ID531、外線番号532、内線番号533、設置位置534、および回線ケーブルID535が記憶された対応表である。備品管理システム1が設置される組織では、人事総務部門の担当者によって、電話機・FAXに対し外線番号および内線番号の割当てが行われている。電話機・FAXに対する割当ては人為的なものであり、電話交換機80では、回線ケーブルに対し外線番号および内線番号が設定されている。したがって、ある番号に対する回線信号は、その番号に対応する回線ケーブルに接続された電話機またはFAXに送られることとなる。このため、電話交換機80における番号設定では、回線ケーブルに対し、その回線ケーブルに接続される電話機・FAXに割り当てられた外線番号および内線番号が設定されている。電話FAXテーブル530は、電話交換機80における番号設定の内容を決定するために用いられる。
【0055】
電話FAXテーブル530のうち、電話/FAX_ID531、外線番号532、内線番号533は、人事総務部門の担当者による人事総務サーバ50の入力操作により記憶される。残りの、設置位置534、および回線ケーブルID535は、質問器ホスト40によって更新される。設置位置534は、作業場所のIDである。ここで、電話FAXテーブル530を記憶した人事総務サーバ50が、上述した応用形態における電話管理部の一例に相当する。
【0056】
図11は、人事総務サーバ50に記憶されている机・椅子テーブルを示す図である。
【0057】
図11に示す机・椅子テーブル540は、備品としての机・椅子の所在位置を確認する際に用いられる対応表であり、机/椅子ID541および設置位置542の組が記憶されている。机・椅子テーブル540のうち設置位置542が質問器ホスト40によって更新される。
【0058】
図12は、人事総務サーバ50に記憶されているPCテーブルを示す図である。
【0059】
図12に示すPCテーブル550は、PCの設置位置を確認する際に用いられる対応表であり、PC_ID551、IPアドレス552、および設置位置553の組が記憶されている。PCテーブル550のうち設置位置553が質問器ホスト40によって更新される。
【0060】
図13は、人事総務サーバ50に記憶されているアンテナ位置テーブルを示す図である。
【0061】
図13に示すアンテナ位置テーブル560は、特定の作業場所にある応答器と無線通信するアンテナを特定するために参照される。アンテナ位置テーブル560には、質問器ID561、アンテナ設置事務所ID562、アンテナ位置563〜564、および、FAX_ID565の組が記憶されている。アンテナ位置テーブル560のうちFAX_ID565は質問器ホスト40によって更新される。アンテナ位置563〜564には、質問器に接続されたアンテナ20,21の設置位置が記憶されている。
【0062】
質問器ホスト40による上述したテーブルの更新の態様には、作業者の要求による個別更新、人事総務部門の担当者による一斉更新、および、一定の時期ごとに行う一斉更新がある。個別更新は、個々の作業者71がPC73を操作し、更新する作業場所を指定することによって開始され、各テーブル内の、操作した作業者に関する組の部分が更新される。また、一斉更新は、人事総務部門の担当者による人事総務サーバ50の操作によって、または定期的に開始され、各テーブルの全ての組が更新される。
【0063】
続いて、備品管理システム1における管理処理を、質問器ホスト40の処理を中心に説明する。
【0064】
図14は、質問器ホストの管理処理を説明するフローチャートである。
【0065】
質問器ホスト40は、操作により、定期的な更新のためのタイマーセットを行う(S100)。この処理では、人事総務部門の担当者による質問器ホスト40の操作に応じて、定期的な更新を行う時期の日時が設定される。日時が設定されると、質問器ホスト40は計時を開始し、設定された時刻にタイムアップ信号を出力する。このステップS100で更新時期設定の操作が行われない場合には、定期的な更新は行わないものとして、タイムアップ信号の出力は停止する。
【0066】
次に、質問器ホスト40は信号待ちを行う(S200)。信号I200を受信すると、質問器ホスト40は信号の種類を判定する(S300)。信号I200がPC73から送信されてきた個別更新要求信号の場合(S300でYes)、質問器ホスト40は、信号I200で指定されたPC73の作業場所について個別更新処理を行う(S2000)。信号I200が一斉更新要求信号の場合(S400でYes)、またはタイムアップ信号の場合(S500でYes)、質問器ホスト40は一斉更新処理を行う(S2000)。また、質問器ホスト40は、担当者による終了操作があった場合には、図14の管理処理を終了するが(S600でYes)、それ以外の場合には(S600でNo)、上記ステップS200の信号待ち処理からの処理を繰り返す。
【0067】
図15は、質問器ホストの個別更新処理を説明するフローチャートである。
【0068】
個別更新処理では、PC73から、個別更新要求信号とともに作業場所を表すIDが送られてくる。質問器ホスト40は、アンテナ位置テーブル560(図13)を参照して、指定された作業場所のIDに対応するアンテナを特定し、質問器30に、この特定されたアンテナ20から、応答器に対する質問の信号を送信させる(S2001)。
【0069】
例えば、一人の作業者71aが、図4に示す部署の、B3−01で示す作業場所にPC73a、椅子74a、電話機75aを持ってきて、机72a周辺の作業場所に設置した場合を考える。この一人の作業者71aが、PC73aを操作し更新用のウェブページにアクセスすると、作業場所を選択するための地図が表示される。作業者71aが、地図中の自分の作業場所を選択すると、選択した作業場所に応じたIDが質問器ホスト40に送信される。作業者71aについての例では、B3−01に対応した作業場所が選択されると、作業場所を表す情報’B3−01’とともに個別更新要求信号がPC73aから質問器ホスト40に送信される。質問器ホスト40は、アンテナ位置テーブル560を参照して’B3−01’に対応するアンテナ#1、すなわち図4に示すアンテナ20aから、信号を送信させる。このステップS2001の処理によって、質問器30がアンテナ20を介して、B3−01で特定された作業場所にある応答器と無線通信を行う。
【0070】
次に、質問器ホスト40は、応答器番号の取得を行う(S2100)。この処理で、質問器ホスト40は、応答器11〜17からアンテナ20および質問器30を介して、応答器番号を取得し、さらに、人事総務サーバ50に記憶されている応答器テーブル(図3)から、取得された応答器番号に基づいて、作業者IDおよび備品IDを取得する。例えば図3の例によると、取得された応答器番号が’0x0000,0123,4567,0001’の場合、この応答器番号は、’123456’の作業者IDを有する作業者によって身に付けられた作業者応答器11のものである。また、取得された応答器番号が’0x0000,0123,6789,0001’の場合、この応答器番号は、’PC0001’のPC_IDを有するPCに取り付けられたPC応答器13のものである。このステップS2100の応答器番号取得処理では、アンテナ位置テーブル560を参照して、特定された作業場所が属する部署の共用の作業場所に対応するアンテナ21からも信号を発信させ、FAX応答器からの応答器番号、およびFAX_ID取得を試みる。FAX_IDが取得された場合には、アンテナ位置テーブル560(図13)のうち、今回応答器番号を取得したアンテナの位置が含まれる組のFAX_IDを、取得されたFAX_IDで更新する。
【0071】
次に、質問器ホスト40は、作業者応答器11の応答器番号が取得されたか否か判定する(S2200)。作業者応答器11からの応答器番号が取得されなかった場合には、例えば、誤った操作によって作業者が離席中の作業場所を指定した個別更新要求信号が出力され、本来予定されない作業場所のアンテナ20から質問信号が出力されたとみなす。そして、質問器ホスト40は、上記ステップS300で個別更新要求信号を送信してきたPC73に、作業者応答器番号取得失敗のメッセージを送信し表示させる(S2220)。この処理により、備品の情報が、作業者の情報に対応づけられないまま更新されてしまうことが防止できる。
【0072】
ステップS2200の作業者応答器番号の取得判定で、作業者応答器11からの応答器番号が取得されたと判定された場合(S2200Yes)、質問器ホスト40は、上記ステップS2100の処理でPC応答器13の応答器番号が取得されたか否か判定する(S2300)。応答器番号が取得されなかった場合には、誤った操作によって、個別更新要求信号が出力され、たまたま作業者が座っていた作業場所のアンテナから誤って質問がなされたとみなし、取得された作業者IDのメールアドレス宛に、PC応答器番号取得が失敗したことを表すメールを送信する。
【0073】
ステップS2300のPC応答器番号取得判定で、PC応答器からの応答器番号が取得されたと判定された場合(S2300Yes)、質問器ホスト40は、応答器番号が得られたPCが、応答器番号が得られた作業者のものであるか否かを判定する(S2400)。より詳細には、質問器ホスト40は、作業者情報テーブル510を参照し、ステップS2100で取得された作業者IDが記憶された組のPC_IDと、ステップS2100で取得されたPC_IDが一致するか否かを判定する。一般に、PCは作業者専用として割り当てられる。作業者が所属部署の移動等により作業場所を変更する場合には、少なくともPCを伴って移動するのが普通である。
【0074】
質問器ホスト40は、ステップS2400の処理で、作業者情報テーブル510のPC_IDと取得されたPC_IDが一致すると判定した場合に(S2400でYes)、次の備品ID確認表示を行う(S2500)。より詳細には、応答器テーブル(図3)を参照して、取得された応答器番号から得られた備品のID、例えばPC_ID、電話機ID等を、個別更新要求信号を送信してきたPC73に送信して表示させる。また、PC73の作業者に確認操作を促す表示もさせる。
【0075】
PC73に表示された内容で情報の更新を承認した作業者がPC73を確認操作すると、確認信号が質問器ホスト40に送信されてくる。質問器ホスト40は、確認信号が質問器ホスト40に送信されてくると(S2510でYes)、データベース更新処理を行う(S2600)。このステップで、質問器ホスト40は、作業者情報テーブル510中の、取得された作業者IDに関わる部分を更新する。詳細には、取得された作業者IDを含む組の情報を、取得された備品IDに応じて更新する。質問器ホスト40は、より詳細には、作業者情報テーブル510中の、アンテナが設置された作業場所517、電話機ID518、机ID521、および、椅子ID522を更新する。これによって、特定の作業者71についての情報が更新される。また、質問器ホスト40は、アンテナ位置テーブル560を参照し、応答器番号を取得したアンテナの場所が含まれた組のFAX_IDで、作業者情報テーブル510のうち応答器番号を取得したアンテナの場所が含まれた組のFAX_IDを更新する。
【0076】
このステップS2600のデータベース更新処理では、図10に示す電話FAXテーブル530、図11に示す机・椅子テーブル540、図12に示すPCテーブル550も更新される。上記ステップS2100の応答器番号取得処理で電話機IDまたはFAXIDと、ケーブルIDが取得された場合には、電話FAXテーブル530のうち、得られた電話機IDまたはFAXIDが含まれる組の設置位置を、応答器番号を取得したアンテナに対応する作業場所で更新し、さらに、この組のケーブルIDも更新する。質問器ホスト40更新された電話FAXテーブル530を印刷等によって表示する。これによって、電話FAXテーブル530のうち回線ケーブルのケーブルIDと、この回線ケーブルと同じ作業場所にある電話機に対応した電話番号とが対応付けて表示される。
【0077】
電話交換機80の管理者によって、この電話交換機80における、回線ケーブルに対する外線番号および内線番号の設定が、更新された電話FAXテーブル530に基づいて変更された場合には、作業者が移動した電話機75の外線番号および内線番号が移動先で維持される。
【0078】
また、机IDまたは椅子IDが取得された場合、質問器ホスト40は、机・椅子テーブル540のうち、得られた机IDまたは椅子IDが含まれる組の設置位置を、応答器番号を取得したアンテナの作業場所の情報で更新する。また、質問器ホスト40は、PCテーブル550のうち、得られたPC_IDが含まれる組の設置位置を、応答器番号を取得したアンテナに対応する作業場所の情報で更新する。
【0079】
上述した処理では、作業者応答器からの作業者IDが取得された場合に作業者情報テーブル510の更新処理が行われるので、作業者が使用していない作業場所にたまたま備品が置かれているような場合に、作業者情報テーブル510が誤って変更されてしまう事態が防止される。また、さらに、作業者IDと、この作業者IDに対応したPC_IDの双方が取得された場合に更新が行われるので、情報の確度がさらに向上する
なお、上記ステップS2510において、PC73に表示された内容に不同意の作業者によるPC73の操作によって、再試行信号が質問器ホスト40に送信されてきた場合には(S2510でNo)、アンテナの通信不良による情報のエラーの可能性がある。この場合、質問器ホスト40は、上述したステップS2001およびステップS2100と同様の、質問信号送信処理と応答器番号取得処理を再び行う(S2540,S2560)。
【0080】
また、ステップS2400におけるPCと作業者の一致判定において、PCのIDが、作業者IDに対応するPCのIDと一致しない場合(S2400)、上述したように、原則として作業者情報テーブル510の更新は行わない。ただしこの場合、例外として、質問器ホスト40は、PC73に不一致メッセージを表示させ、処理続行するか否か確認操作を促す表示を行わせる(S2420)。PCの確認操作により確認信号が得られなかった場合には図14の主処理(メインルーチン)に復帰するが(S2430でNo)、確認信号が得られた場合には、他の作業者に対する確認処理を行う(S2440)。より詳細には、質問器ホスト40は、作業者情報テーブル510を参照し、上記ステップS2100で得られた作業者IDの作業者と同じ事務所IDを有する別の作業者(例えば上司)のメールアドレスに確認のメールを送る。そして、確認のメールに対し、処理続行を確認するメールが返信されてきた場合に限り、ステップS2500、S2510の更新処理を行う。
【0081】
図16は、質問器ホストの一斉更新処理を説明するフローチャートである。
【0082】
一斉更新処理では、上述した個別更新処理における応答器番号の取得、DBの更新を、配置されたすべてのアンテナ20について行う。図16に示す処理では、通信するアンテナを順次変更しながら同様の処理を繰り返す。
【0083】
一斉更新処理では、質問器ホスト40は、まず、質問器30に、1つのアンテナ20から、応答器に対して質問の信号を送信させる(S3001)。この後、質問器ホスト40は、作業者応答器番号取得判定(S3200)、PC応答器番号取得判定(S3300)、そして、応答器番号が得られたPCが、応答器番号が得られた作業者のものであるか否かの判定(S3400)を行う。これらの処理は、図15を参照して説明したステップS2001、ステップS2100、ステップS2200、ステップS2300、ステップS2400の処理と同様である。
【0084】
次に、質問器ホスト40は、作業者の備品IDの変更があるか否かを判定する。より詳細には、質問器ホスト40は、作業者情報テーブル510を参照し、得られた作業者IDの組に含まれる備品IDが、上記ステップS3100の番号取得処理で得られた備品IDと異なるか否かを判定する(S3500)。変更がある場合(S3500でYes)、質問器ホスト40は、応答器番号から、作業者情報テーブル510を参照して得られた、備品のID、例えばPC_ID、電話機IDが示された電子メールを、作業者IDに対応するメールアドレスに送信する。この電子メールには、作業者に変更指示メールの送信を促す表示も含まれている。作業者によるPC73の変更指示操作によって、PC73から変更指示メールが送信されてきた場合(S3700でYes)、質問器ホスト40は、データベース更新処理を行う(S3800)。データベース更新処理は、図15のステップS2600の処理と同様であり、作業者情報テーブル510、電話FAXテーブル530、机・椅子テーブル540、PCテーブル550が更新される。
【0085】
すべての作業場所に配置されたアンテナについて応答器番号の取得がなされた場合(S3900でYes)、質問器ホスト40は一斉更新処理を終了する。この一方で、応答器番号取得がなされていない作業場所が残っている場合には(S3900でNo)、通信するアンテナを別のものに変更して、上述したステップS3001からの処理を繰り返す。
【0086】
一斉更新処理を行うことによって、すべての作業場所に配置されたアンテナについて応答器番号の取得がなされ、作業者情報テーブル510が全面的に更新される。
【0087】
図19に示す従来のシステムのように、作業場所や備品の登録・変更を、作業者の入力操作により行うと、登録操作に要する延べ時間が長時間化する。例えば、平成16年度の総務省統計局によると、日本における300名以上(大企業とされる従業員数)の企業は11638社あり、常用雇用者数は13,357,780人である。備品情報の更新は、異動の都度行われるが、ここで、仮に、上記常用雇用者数に対し、毎年0.5%の新人配属があり、1%の定期異動があるとすると、情報更新のための操作時間を5分としても、更新操作に要する延べ時間は、13,357,780×0.015×5/60=16700時間となる。
【0088】
上述した備品管理システム1によれば、作業者による作業は確認のみであり、作業時間を短縮することが可能である。また、備品管理システム1によれば、人事総務サーバ50の作業者情報テーブル510中の作業者に関わる部分が更新されるので、作業者による更新作業の労力を低減しつつ、作業者に対する書類や物品の送り先や備品の使用管理者を明確に把握することが可能となる。
【0089】
なお、具体的な各実施形態に対する上記説明では、「課題を解決するための手段」で説明した基本形態における「作業者を直接あるいは間接に識別することができる作業者情報を記憶した」作業者応答器の一例として、応答器テーブルを用いて作業者を間接的に識別可能な応答器番号を記憶した作業者応答器11が示されているが、基本形態における作業者応答器は、応答器番号以外にも、作業者を直接に識別可能な作業者IDを記憶したものであってもよい。
【0090】
また、具体的な各実施形態に対する上記説明では、「課題を解決するための手段」で説明した基本形態における備品応答器の一例として机応答器12、PC応答器13、椅子応答器14、電話機応答器15、ケーブル応答器16、およびFAX応答器17が示されているが、この備品応答器は、工具、書籍またはキャビネットに取り付けられる応答器であってもよく、また、作業者応答器のように、備品を直接に識別可能な机IDやPC_IDを記憶したものであってもよい。
【0091】
また、具体的な各実施形態に対する上記説明では、「課題を解決するための手段」で説明した基本形態における備品管理部の一例として、応答器ホストとは独立した人事総務サーバ50が示されているが、この備品管理部は、人事総務サーバ以外にも、例えば応答器ホストに内蔵されたHDDといった記憶部であってもよい。
【0092】
また、具体的な各実施形態に対する上記説明では、「課題を解決するための手段」で説明した応用形態における応答器管理部および電話管理部の一例として人事総務サーバ50が示されているが、この応答器管理部および電話管理部のそれぞれは、人事総務サーバ以外にも備品管理部から独立したサーバであってもよく、あるいは応答器ホストに内蔵された記憶部であってもよい。
【0093】
また、具体的な各実施形態に対する上記説明では、「課題を解決するための手段」で説明した基本形態における作業者応答器および備品応答器の一例として共通規格のRFIDタグで構成された応答器が示されているが、この作業者応答器および備品応答器は、互いに異なる規格を有していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】備品管理システムの具体的な一実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す質問器ホスト40のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】人事総務サーバ50に記憶されている応答器テーブルの例を示す図である。
【図4】図1に示す備品管理システムが有する各装置の配置例を示す図である。
【図5】図4の配置例における配置場所を含んだフロア全体の配置を示す図である。
【図6】各作業者の作業場所に設置されたアンテナの通信範囲を示す平面図である。
【図7】各作業者の作業場所に設置されたアンテナの通信範囲を示す側面図である。
【図8】図4に示した各装置の電気的接続を示すブロック図である。
【図9】人事総務サーバに記憶されている作業者情報テーブルを示す図である。
【図10】人事総務サーバに記憶されている電話FAXテーブルを示す図である。
【図11】人事総務サーバに記憶されている机・椅子テーブルを示す図である。
【図12】人事総務サーバに記憶されているPCテーブルを示す図である。
【図13】人事総務サーバに記憶されているアンテナ位置テーブルを示す図である。
【図14】質問器ホストの管理処理を説明するフローチャートである。
【図15】質問器ホストの個別更新処理を説明するフローチャートである。
【図16】質問器ホストの一斉更新処理を説明するフローチャートである。
【図17】従来の人事総務情報管理システムの構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0095】
1 備品管理システム
11 作業者応答器
12〜17 備品応答器
12 机応答器
13 PC応答器
14 椅子応答器
15 電話機応答器
16 ケーブル応答器
17 FAX応答器
20 アンテナ
30 質問器
40 質問器ホスト(更新部)
50 人事総務サーバ(備品管理部、応答器管理部、PC管理部、電話管理部)
71 作業者
72〜77 備品
72 机
73 PC
74 椅子
75 電話機
76 回線ケーブル
77 FAX
500 応答器テーブル(応答器管理部の対応表)
510 作業者情報テーブル(備品管理部の対応表、PC管理部の対応表)
530 電話FAXテーブル(電話管理部の対応表)
540 机・椅子テーブル
550 PCテーブル
560 アンテナ位置テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業場所を占有し該作業場所で作業する作業者が身に付ける、該作業者を直接あるいは間接に識別することができる作業者情報を記憶した、外部からの無線通信による質問に対し該作業者情報を無線通信で応答する作業者応答器と、
前記作業者が利用する備品に付され、該備品を直接あるいは間接に識別することができる備品情報を記憶した、外部からの無線通信による質問に対し該備品情報を無線通信で応答する備品応答器と、
前記作業場所を通信範囲として前記作業者応答器及び前記備品応答器と無線通信を行うアンテナと、
前記アンテナに接続され、該アンテナを介した無線通信によって前記作業者応答器および前記備品応答器のうち前記作業場所に存在する前記作業者応答器および前記備品応答器に質問してそれら作業者応答器および備品応答器から前記作業者情報および前記備品情報を取得する質問器と、
前記作業者と、該作業者に占有された作業場所と、該作業者が利用する備品との対応表を記憶した備品管理部と、
前記質問器によって前記作業者情報が取得された場合に、該作業者情報によって識別される作業者と、前記備品情報のうち該作業者情報と共に取得された備品情報によって識別される備品と、該作業者情報が取得されたアンテナに対応した作業場所とを対応付けて、前記備品管理部の対応表中の、該作業者に関わる部分を更新する更新部とを備えたことを特徴とする備品管理システム。
【請求項2】
前記作業者応答器および前記備品応答器が、規格として共通の応答器であって、各応答器を識別する識別情報を前記作業者情報および前記備品情報として記憶しているものであり、
前記作業者および前記備品と、前記識別情報との対応表を記憶している応答器管理部を備え、
前記更新部が、前記作業者および前記備品を、前記識別情報に基づいて前記応答器管理部の対応表から知得するものであることを特徴とする請求項1記載の備品管理システム。
【請求項3】
前記備品応答器として、パーソナルコンピュータに付されたPC応答器と、該パーソナルコンピュータを除く他の備品に付された非PC応答器とを備え、
前記パーソナルコンピュータと前記作業者との対応表を記憶したPC管理部を備え、
前記更新部が、前記質問器によって前記作業者情報が取得され、かつ、該作業者情報と共に、該作業者情報によって識別される作業者に対し前記PC管理部の対応表で対応したパーソナルコンピュータに付されたPC応答器からの備品情報も取得された場合に、前記備品管理部の対応表中の、該作業者に関わる部分を更新するものであることを特徴とする請求項1または2記載の備品管理システム。
【請求項4】
前記備品応答器として、電話機に付された電話機応答器と、前記作業場所で電話機と接続される回線ケーブルに付されたケーブル応答器と、該電話機および該回線ケーブルを除く他の備品に付された非電話応答器とを備え、
前記電話機と電話番号との対応表を記憶した電話管理部を備え、
前記更新部が、前記電話管理部の対応表で対応した電話機に付された電話機応答器からの備品情報と、ケーブル応答器からの備品情報が取得された場合に、前記備品管理部の対応表中の、該回線ケーブルに関わる部分と、前記電話管理部の対応表中の該電話機に対応した電話番号とを対応付けて表示するものであることを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の備品管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−245229(P2009−245229A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91909(P2008−91909)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】