説明

傷シーラントとしての組成物

本発明は、噴霧可能なまたは液の形態で木質植物用の傷シーラントとして好適である組成物に関する。本発明はまた、かかる傷シーラントを用いて、木質植物を植物病原真菌による感染、特にエスカ感染から保護する方法に関する。これらの組成物は、a)フィルムを形成する水不溶ポリマー、ワックスおよびそれらの混合物のなかから選択される、溶解したまたは分散した形態の水不溶シーリング剤;b)少なくとも1つの植物保護剤;c)少なくとも1つの揮発性希釈剤、特に水性希釈剤;ならびに、適宜、d)シーリング材料を基準として10〜100重量%、特に10〜80重量%の量の少なくとも1つの非イオン表面活性物質を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質植物用の傷シーラントとして好適である、液、特に噴霧可能な形態の組成物に関する。本発明はまた、かかる傷シーラントを用いて、植物病原真菌による感染、特にエスカ(esca)感染から木質植物を保護する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
木質植物は気候因子だけでなく、害虫や植物病原体による攻撃にも曝される。これらの害虫や植物病原体は、細菌、酵母、ウイルス、そして主に昆虫および有害真菌を含む。これらは、木質植物の樹皮もしくは皮質によって保護されない木質表面または木質部の傷に浸透する。その木質は損傷を受ける。それ故に、植物の木質の表面および細孔ならびに傷は十分保護する必要がある。
【0003】
細菌、酵母、ウイルスなどの一連の植物病原体、しかし主に有害真菌は、例えば、果樹の日常の剪定によりまたは虫害によりおよび接ぎ木により傷を受けると、木質部の傷中に浸透し、そこから植物全体に感染することが知られている。かかる感染は、木質の品質を損じ、植物の病気を生じ、収率を低下し、木質部の果実保持能力を失わせ、または植物の死をもたらす。この障害は不可逆的であることが多い。かかる傷を介する感染を避けるために、原則として、木質部の傷は、例えばワックス状剪定化合物を用いて大気および水に対してシールする。
【0004】
1930年代以後、木質の傷、例えばブドウのつるの剪定傷をタールまたは除染活性のある物質によりシールすることが知られている。様々な樹脂様物質が植物の表面処理用におよび傷のシール用に使われている。最初はタールまたは瀝青が好まれた。しかし、これらの材料は時を経ると脆くなり、その後の病原体の攻撃を可能にする。
【0005】
近年、様々なラテックス様物質、ポリマーまたはポリマー/樹脂混合物が樹木の木質部表面用の傷シーラントとして記載されている(例えば、DE 35 37516、DD 290 350、GB 2090851を参照されたい)。原則として、これらの薬剤は、タールまたは瀝青の場合のように非常に粘性があり、かつこれらの施用は広い面積を覆う傷についてのみ意味がある。例えば、噴霧による効率的な施用は不可能である。
【0006】
BE 0 100 1499は、次いで、殺真菌剤または殺細菌剤を含む油性、無水製剤の施用により、多年性植物の傷の病気を治療または防除する方法を記載する。この製剤は油性媒質中に、特にシプロコナゾールなどのコナゾール殺真菌剤を、好ましくは、増粘剤であるチクソトロピー性アジュバント(剪断力で液状化する)と一緒に含有する。これにより得られる傷シールの耐久性は満足なものでない。
【0007】
WO87/00399とWO87/00400は、インヒビターの存在のもとでアルキルメタクリレートを反応させることにより得られる殺真菌活性物質、樹脂および生成物を含む、木質植物用の傷シーラントを記載している。しかし、これらの組成物は、アルキルメタクリレート単量体と揮発性オリゴマーの含量が高いことによるリスクが無いわけではない。また、貯蔵すると、インヒビターの分解および自発重合をもたらし、この組成物が無用になりうる。
【0008】
WO 2006/100259は、縮合による架橋可能であるシリコーンオイル、適宜に架橋剤、および適宜に植物保護剤を含む水性組成物の使用を記載する。シリコーンは重合する能力があるので、その貯蔵安定性は限られる。
【0009】
近年、ブドウのつるにおける木質の病気エスカ(esca)がブドウ栽培の問題となっている。エスカは真菌病原体の複合体を含む。文献によると、エスカ症候群に関係する病原体はフォミチポリア・プンクタタ(Fomitiporia punctata)(同義、Phellinus punctatus)、フォミチポリア・メジテラナ(Fomitiporia mediterrana)、ファエオアクレモニウム属(Phaeoacremonium spp.):ファエオアクレモニウム・アレフィルム(Phaeoacremonium aleophilum)およびファエモニエラ・クラミドスポルム(Phaemoniella chlamydosporum)である。エスカ感染したブドウのつるの木質から単離された具体的な真菌はフォミチポラ・メジテラナ(Fomitiporia mediterrana)(white rot:白腐れ)である。
【0010】
ブドウのつるの病原体による感染は、傷、特に切傷を介して起こり、切傷は数か月にわたって感染に感受性がある。大気に浮遊する胞子または分生子は切傷に到着し、ブドウのつるに侵襲して増殖する。植物の木質部の侵襲が起こって数年後に最初の症候群が現れる。木質は腐敗し、脈管束が破壊される。
【0011】
今までエスカに対する有効な保護対策はなく、感染した木質を植物から取除くことにより感染の可能性を最小化することしかなかった。ブドウのつるの剪定後に曝される部分の機械的保護は、傷シーラントを剪定部位に施用して病原体浸透を防止することにより行うことができる。
【0012】
Das Deutsche Weinmagazin, pp. 12 to 15, 1/6th January 2007は、ブドウ栽培におけるエスカ感染および白腐れを保護処理するための樹脂剪定化合物などの傷シーリング材料の使用を記載している。この製剤によると、施用は剪定-噴霧鋏みを用いて行う。得られる保護は、しかし、全く満足というものではない。
【0013】
先の国際特許出願第PCT/EP 2007/052643号は、エスカ感染の治療および保護処理用のストロビルリンの使用を記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】DE 35 37516
【特許文献2】DD 290 350
【特許文献3】GB 2090851
【特許文献4】BE 0 100 1499
【特許文献5】WO87/00399
【特許文献6】WO87/00400
【特許文献7】WO 2006/100259
【特許文献8】PCT/EP 2007/052643
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Das Deutsche Weinmagazin, pp. 12 to 15, 1/6th January 2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、本発明の目的は、木質植物の傷に対する傷シーラント(本明細書では以後「表面シーラント」とも呼ぶ)であって、従来技術の欠点を克服しかつ特に木質植物の真菌病原体の保護処理用におよびとりわけブドウのつるのエスカの処理用に好適である前記傷シーラントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的は、液剤、特に噴霧可能な組成物であって、
a)フィルムを形成する水不溶性ポリマー、ワックスおよびそれらの混合物のなかから選択される、溶解または分散した形態の水不溶性シーリング材料;
b)好ましくはストロビルリンからなる群およびステロール生合成脱メチル化インヒビター(DMI殺真菌剤)の群より選択される少なくとも1つの植物保護剤、特にストロビルリンおよび特にピラクロストロビンの群からの少なくとも1つの活性成分;
c)少なくとも1つの揮発性希釈剤、特に水性希釈剤、ならびに
d)シーリング材料を基準として10〜100重量%、特に10〜80重量%の量の少なくとも1つの非イオン表面活性物質
を含む前記組成物により達成される。
【0018】
従って、本発明の第1の主題はかかる液組成物、特に噴霧可能な組成物に関する。同様に、本発明の主題事項は、かかる液、特に木質植物の傷に対する傷シーラントとしての噴霧可能な組成物の使用である。
【0019】
かかる組成物は取扱いが簡単でありまた、適宜、噴霧可能な粘稠性へ希釈後に、自動化噴霧法で使用することができ、かつ広範囲に施用することができるという事実が特徴である。かかる組成物は、シーリング材料と木質表面との、特に木質植物の傷との接着性が優れていることが特徴である。
【0020】
さらに、本発明による組成物は、シーリング材料および/または活性成分の、傷領域の木質物質中への浸透が優れていることにより、その故に植物病原体による植物の感染または攻撃から、特に長期持続性がありかつ効率的な保護(保護処理)を可能にすることが特徴である。もしこの組成物が殺真菌活性成分を含有すれば、これらは木質植物を植物病原真菌による感染、特にエスカ感染から保護するのに特に好適である。本組成物は傷領域の木質物質中への浸透が優れていることによって、本発明の組成物はまた、特に、病原体が原因である木質植物の病気の、特に植物病原真菌が原因である病気の保護処理(治療処理)用に、そして特にブドウのつるのエスカの処理用に好適である。さらに、本組成物は貯蔵安定性があり、原則として、単量体などの重合しうる成分を含まない。さらに、本発明による組成物は優れた凍結-融解安定性を有する。
【0021】
従って、本発明のさらなる主題は、木質植物を植物病原体による感染または攻撃、特に植物病原真菌による感染、とりわけブドウのつるをエスカ感染から保護する方法であって、本発明による液組成物を、適宜、噴霧可能な粘稠性へ希釈した後に、木質植物の傷へ、特にブドウのつるの傷への施用を含む前記方法である。
【0022】
従って、本発明のさらなる主題は、植物病原体、特に植物病原真菌により感染または攻撃された木質植物を治療する、特にエスカ感染を治療する方法であって、適宜、噴霧可能な粘稠性へ希釈後に、木質植物の傷へ、特にブドウのつるの傷へ、本発明による液組成物を施用するステップを含んでなる前記方法である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明により処理した様々なブドウのつる木質部の繊維軸沿いの切断面の光顕微鏡写真を示す。第1行は、それぞれの事例における、処理した剪定部位の上面図を示す。第2行は、処理した剪定部位域の長軸方向の切片を示す。第3行は、いくつかの処理したブドウのつる木質部の長軸方向の切片を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
用語「噴霧可能な」は、組成物が周囲温度(例えば20℃にて)で高流動性の液であり(低粘度を有する)、噴霧装置で施用できることを意味する。原則として、噴霧可能な組成物の20℃における動粘度は500mPa・sの値(DIN EN ISO 1652に規定されたBrookfield測定法)を越えないであろう、そして1〜500mPa・s、好ましくは1.5〜400mPa・sそして特に2〜300mPa・sの範囲の値を有することが多い。好ましくは、噴霧可能な組成物の10℃における動粘度は500mPa・sの値(DIN EN ISO 1652に規定されたBrookfield測定法)を越えないであろう、そして1〜500mPa・s、好ましくは1.5〜400mPa・sそして特に2〜300mPa・sの範囲の値を有することが多いであろう。好ましくは、噴霧可能な組成物の4℃における動粘度は500mPa・sの値(DIN EN ISO 1652に規定されたBrookfield測定法)を越えないであろう、そして1〜500mPa・s、好ましくは1.5〜400mPa・s、特に2〜300mPa・sの範囲の値を有することが多いであろう。
【0025】
用語「流動性」または「液」は、その組成物が周囲温度(例えば 20℃)で液である(低または中粘度を有する)こと意味する。原則として、液組成物の20℃での動粘度は2000 mPa・s以下の値(DIN EN ISO 1652に規定されたBrookfield測定法)であろう、そして2〜2000mPa・sの範囲の値を有することが多いであろう。本発明の第1の実施形態において、本発明の流動性組成物は高流動性の液である、すなわち、1〜500mPa・sの粘度を有する。本発明の第2の実施形態において、本発明の流動性組成物は中度の粘度である、すなわち、500〜2000mPa・sの粘度を有する。
【0026】
本発明による組成物は、揮発性希釈剤が乾くときに、出来るだけ低い温度で密着フィルムを形成すること、すなわち低い最低フィルム化温度を有することが有利である。低い最低フィルム化温度(MFT)は、その温度以下では組成物が乾燥時に密着フィルムを形成しない温度である。MFTはDIN ISO 2115に規定されたように決定される。従って、DIN ISO 2115に規定された組成物のMFTは好ましくは、30℃以下、特に20℃以下、とりわけ好ましくは10℃以下、そして特に5℃以下である。最低フィルム化温度は、公知のように、ポリマーまたはワックス状シーリング材料の融点にまたはガラス転移温度に依存し、かつ、必要があれば、可塑化物質、例えば、沸点ほぼ200℃の遅蒸発性の非極性有機溶媒、例えば、高沸点炭化水素画分、脂肪族、脂環族または芳香族ジカルボン酸のジC2-C14-アルキルエステル、非イオン乳化剤を添加することにより調節することができる。
【0027】
ある好ましい実施形態において、シーリング材料はエチレン系不飽和単量体または架橋可能なシロキサンオリゴマーなどの重合可能な物質を含まない。
【0028】
ある好ましい実施形態において、組成物は本質的に、エチレン系不飽和単量体などの重合可能な物質を含まない。組成物は、総重量を基準として、好ましくは、0.1重量%以下、特に0.01重量%以下しか単量体などの重合可能な物質を含まない。
【0029】
一実施形態において、組成物は架橋インヒビターを含まない。
【0030】
一実施形態において、組成物は、水不溶性無機固体、例えば、二酸化ケイ素、ケイ酸塩、アルミナ、アルミノケイ酸塩、炭酸カルシウム、酸化バリウム、二酸化チタンその他などの充填剤を、全く含まないかまたは5重量%未満、特に1重量%未満しか含まない。
【0031】
好ましくは、組成a)、b)、c)およびd)の合計は、組成の合計重量を基準として、少なくとも95重量%、特に少なくとも99重量%または少なくとも99.9重量%である。
【0032】
傷のシーリングは、組成中に存在する水不溶性シーリング材料により行われる。選んだ溶媒または希釈剤c)に応じて、水不溶性シーリング材料は溶解したまたは分散した形態で存在する。用語「水不溶性」は、水中のシーリング材料の溶解度が無視しうる、すなわち、脱イオン水中の溶解度がpH 3〜12および20℃で0.1g/l未満、特に10ppm未満であることを意味する。
【0033】
シーリング材料が分散した形態で存在する組成物、すなわち、シーリング材料が揮発性希釈剤c)中で分散した粒子の形態で存在する組成物が、本発明では好ましい。原則として、シーリング材料の分散した粒子は、2μm以下、特に1μm以下そして特に500nm以下の粒子径を有し、例えば、10nm〜1000nmの範囲、特に20〜500nmの範囲および50〜250nmの範囲にある。本明細書で詳述した粒子径は、動的光散乱により測定できる重量平均粒子径である。ここに記載した方法は当業者には公知であり、例えば、H. Wiese in D. Distler, Waessrige Polymerdispersionen, Wiley-VCH 1999, Kapitel 4.2.1, p. 40 et seq.およびその引用文献; H. Auweter, D. Horn, J. Colloid Interf. Sci. 105 (1985) 399;D. Lilge, D. Horn, Colloid Polym. Sci. 269 (1991) 704;または H. Wiese, D. Horn, J. Chem. Phys. 94 (1991) 6429に記載されている。
【0034】
本発明に好適なシーリング材料はポリマーおよびワックスならびにそれらの混合物である。
【0035】
シーリング材料がポリマーの場合、良いフィルム形成を達成するために、ポリマーは架橋していないかまたは架橋程度の弱いことが好ましい。ポリマーがガラス転移温度を有する場合、同温度は好ましくは50℃未満、特に30℃未満(DIN 53765、ASTM D 3418またはDIN EN ISO 11357-2に規定されるDSC(示差走査熱量計)を用いて測定して)である。
【0036】
本発明によるシーリング材料として好適なポリマーの例は、ポリエステル、特に脂肪族および芳香脂肪族のポリエステル、ポリウレタン、ならびに好ましくは炭素原子から成る主鎖をもつポリマー、特にスチレンアクリレートおよび直鎖アクリレートなどのアクリレートポリマー、ポリ酢酸ビニルなどのポリマー(これらはさらに詳しく以下に説明するであろう)、およびワックス状ポリマーならびにそれらの混合物である。
【0037】
好適なポリエステルの例は、アルカンジオールおよび/またはポリエーテルジオールと脂肪族および/または芳香族ジカルボン酸との、任意に、三価もしくは多価(例えば、四、五もしくは六価)アルコールまたはポリカルボン酸の存在のもとでの縮合物であって、例えば、C2-C6-アルカンジオールおよび/またはジC2-C4-アルキレングリコールとテレフタル酸および/またはアジピン酸との縮合により得られるポリマーである。
【0038】
本発明の一実施形態において、シーリング材料a)は少なくとも1つのポリウレタンを含む。好適なポリウレタンは、ジまたはポリイソシアネートと、イソシアネートに反応性がある少なくとも2つの基、特に少なくとも2つのヒドロキシル基をもつジ-または多官能性化合物との反応生成物である。
【0039】
好適なジイソシアネートは、式X(NCO)2[式中、Xは、4〜12個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、6〜15個の炭素原子を有する脂環族または7〜15個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基である]で表される。かかるジイソシアネートの例は、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1-イソシアナト-3,5,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)、2,2-ビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)プロパン、トリメチルヘキサンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトベンゼン、2,4-ジイソシアナトトルエン、2,6-ジイソシアナトトルエン、4,4'-ジイソシアナトジフェニルメタン、2,4'-ジイソシアナトジフェニルメタン、p-キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン(HMDI)のtrans/trans、cis/cisおよびcis/trans異性体などの異性体ならびにこれらの化合物から成る混合物である。好ましいジイソシアネートは1-イソシアナト-3,5,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)およびビス-(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン(HMDI)である。これらのイソシアネートの混合物、例えば、ジイソシアナトトルエンとジイソシアナトジフェニルメタンのそれぞれの構造異性体の混合物、例えば2,4-ジイソシアナトトルエン80mol%と2,6-ジイソシアナトトルエン20mol%の混合物、2,4-ジイソシアナトトルエンおよび/または2,6-ジイソシアナトトルエンなどの芳香族イソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートまたはIPDIなどの脂肪族または脂環族のイソシアネートとの混合物も好適である。ポリイソシアネートの例は、上記ジイソシアネートのビウレットおよびシアヌレートならびにこれらのジイソシアネートのオリゴマー生成物であって、これらは、フリーのイソシアネート基に加えてさらにキャップされたイソシアネート基、例えばイソシアヌレート、ビウレット、尿素、アロファネート、ウレトジオンまたはカルボジイミド基を保持する。
【0040】
少なくとも2つのヒドロキシル基をもつ化合物は低分子量ジまたはポリオール、およびポリマーポリオール、例えば、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリアクリレートポリオールおよびポリエーテルジオール、ならびにこれらの混合物である。優れたフィルム形成および弾性の点で好適なジ-またはポリオールは相対的に高分子量のジオールであり、そのモル質量はほぼ500〜5000g/mol、好ましくはほぼ1000〜3000g/molである。
【0041】
好ましくは、ポリウレタンは、少なくとも40重量%、とりわけ好ましくは少なくとも60重量%までそして非常にとりわけ好ましくは少なくとも80重量%までのジイソシアネート、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオールおよび/またはポリエステルジオールから構成する。
【0042】
好ましくは、ポリウレタンは、ポリウレタンを基準にして、10重量%を超える、とりわけ好ましくは30重量%を超える、特に40重量%を超えるまたは50重量%を超える、非常にとりわけ好ましくは60重量%を超える量のポリエステルジオールを含む。ポリエステルジオールは、特に、構造成分として用いられる。ポリエステルジオールをポリエーテルジオールとの混合物で用いる場合、ポリエステルジオールとポリエーテルジオールの混合物の好ましくは少なくとも50mol%、とりわけ好ましくは少なくとも80mol%、非常にとりわけ好ましくは100mol%がポリエステルジオールである。
【0043】
ポリウレタンに水-分散性を与えるために、ポリウレタンに、重合によって、好ましくは、少なくとも1つのイソシアネート基、または少なくとも1つのイソシアネート基と反応性のある基、および、さらに、少なくとも1つの親水基または親水基に変換できる1つの基を保持する化合物を組み込んでおく。(潜在的)親水基はポリエチレンオキシド基などの非イオン基、または、好ましくは、イオン(潜在的)親水基、例えば、スルホン酸基またはカルボン酸基の形態であってもよい。
【0044】
好適なポリエステルポリオールの例は、例えば、Ullmanns Encyklopaedie der Technischen Chemie, 第4版, Volume 19、pp. 62〜65に記載の公知のポリエステルポリオールである。二価アルコールと二価カルボン酸との反応により得られるポリエステルポリオールを使うことが好ましい。フリーのカルボン酸の代わりに、対応するポリカルボン酸無水物もしくは低級アルコールの対応するポリカルボン酸エステルまたはそれらの混合物を使用して、ポリエステルポリオールを製造することも可能である。ポリカルボン酸は脂肪族、脂環族、芳香脂肪族、芳香族またはヘテロ環族であってもよく、そして任意に、例えばハロゲン原子により置換されていてもよく、および/または不飽和であってもよい。記載しうる例は、スベリン酸、アゼライン酸、フタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラクロロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水グルタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、二量体脂肪酸である。好ましいのは、一般式HOOC-(CH2)y-COOH[式中、yは数字の1〜20であり、好ましくは偶数の2〜20である]のジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸およびドデカンジカルボン酸である。
【0045】
ポリエステルポリオールの調製に好適なジオールは、例えば、エチレングリコール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ブテン-1,4-ジオール、ブチン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンなどのビス-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン類、2-メチルプロパン-1,3-ジオール、メチルペンタンジオール、さらにジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコールおよびポリブチレングリコールである。好ましいのは、一般式HO-(CH2)x-OH[式中、xは数字の2〜20、好ましくは偶数の2〜12である]のアルコールである。例は、エチレングリコール、ブタン-1,4-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、オクタン-1,8-ジオールおよびドデカン-1,12-ジオールである。さらに好ましいのは、ネオペンチルグリコールおよびペンタン-1,5-ジオールである。これらのジオールはまた、ポリウレタンを合成するためのジオールとして直接用いることもできる。
【0046】
好適な他のポリエステルジオールは、末端ヒドロキシル基を有する、ラクトンのホモポリマーまたはラクトンの混合ポリマー、好ましくはアダクツの形態を取るラクトンならびに好適な二官能性出発分子に基づくものである。好適なラクトンは好ましくは、一般式HO-(CH2)z-COOH[式中、zは数字の1〜20であり、メチレンユニットの1個のH原子もC1-C4-アルキル基により置換されていてもよい]の化合物から誘導されるものである。例は、ε-カプロラクトン、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトンおよび/またはメチル-ε-カプロラクトンおよびそれらの混合物である。好適な出発成分の例は、ポリエステルポリオールに対する構造成分として先に記載した低分子量二価アルコールである。ε-カプロラクトンの対応するポリマーがとりわけ好ましい。ラクトンポリマーを調製するための出発分子として利用できる他の分子は、低分子ポリエステルジオールまたはポリエーテルジオールである。ラクトンポリマーの代わりに、ラクトンに相当する化学的に等価のヒドロキシカルボン酸のポリ縮合物を利用することも可能である。
【0047】
また、さらなるポリカーボネートジオール、例えば、ホスゲンを、ポリエステルポリオール用構造成分として先に記載した低分子量アルコールの過剰量と反応させることにより得られるポリカーボネートジオールも好適である。
【0048】
ポリウレタンを調製するのに好適な他のジオールはポリエーテルジオールである。特に、これらのポリエーテルジオールは、例えば、BF3の存在のもとでエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、スチレンオキシドもしくはエピクロロヒドリンのホモ重合により、またはこれらの化合物の、適宜、混合物としてまたは相次いで、反応性水素原子をもつ出発成分、例えば、アルコールまたはアミン、例えば水、エチレングリコール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンまたはアニリンとの付加反応により得ることができるポリエーテルジオールの形態をとる。とりわけ好ましいのは、240〜5000g/mol、および、なかでも500〜4500g/molのモル質量をもつポリテトラヒドロフランである。さらに、ポリエステルジオールおよびポリエーテルジオールの混合物を単量体として利用することもできる。
【0049】
ポリウレタンを調製するのに好適である他の物質は、ポリヒドロキシポリオレフィンおよびモノエチレン性不飽和単量体に基づく比較しうるポリヒドロキシポリマー、好ましくは2つの末端ヒドロキシル基をもつもの、例えば、α-ω-ジヒドロキシポリブタジエン、α-ω-ジヒドロキシポリメタクル酸エステルまたはα-ω-ジヒドロキシポリアクリル酸エステルである。かかる化合物は、例えばEP-A 622 378に開示されている。さらなる好適なポリオールはポリアセタール、ポリシロキサンおよびアルキッド樹脂である。
【0050】
ポリウレタンの硬度と弾性率は、前記の高分子量ジオールに加えて、ジオールとしてまた、ほぼ60〜500g/mol、好ましくは62〜200g/molのモル質量をもつ低分子量ジオールを使用することによって増加することができる。
【0051】
使用する低分子量ジオールは、とりわけ、ポリエステルポリオールの調製用に記載した短鎖アルカンジオールの構造成分であり、好ましくは、2〜12個の炭素原子および偶数個の炭素原子をもつ非分枝ジオールおよびペンタン-1,5-ジオールおよびネオペンチル-グリコールである。さらに、好適なジオールはフェノール類またはビスフェノールAまたはFである。
【0052】
好適な単量体の他の例はアミノ基を保持する多官能性化合物であって、例えば、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、イソホロンジアミン、1,4-シクロヘキシルジアミン、N-(2-アミノエチル)エタノールアミンまたはピペラジンが挙げられる。
【0053】
好ましくは、ポリウレタンは約30℃、特に約40℃、とりわけ好ましくは約50℃または約60℃または約70℃の融点を有し;一般に、融点は150℃以下、特に100℃以下である。さらに、融点は特に30〜150℃、とりわけ好ましくは40〜150℃および非常にとりわけ好ましくは30〜100℃および特に50〜80℃の範囲内にある。ポリウレタンは好ましくは20 J/gを超える融解エンタルピーを有する。融点および融解のエンタルピーはDSCを用いて測定する。融点は、典型的には、測定を行う前に循環空気で乾燥するオーブン中で72時間40℃にて乾燥しておいた厚さ200μmのポリウレタンフィルムについて測定する。測定を実施するために、ほぼ13mgのポリウレタンを皿に移す。皿をシールし、サンプルを120℃に加熱し、20 K/分で冷却し、20時間20℃で温度調節する。このように処理したサンプルをDIN 53765に規定されたDSC法により、サンプルを20 K/minで加熱して測定する。融点をDIN 53765に規定されるピーク温度として、また融解のエンタルピーをDIN 53765の図4のようにして測定する。
【0054】
ある好ましい実施形態において、シーリング材料は水-不溶性アクリレートポリマー、特に架橋度の低いアクリレートポリマー(アクリレートゴム)である。
【0055】
アクリレートポリマーは、アクリル酸エステルのホモ-およびコポリマー(適宜、コモノマーとしてビニル-芳香族単量体(スチレンアクリレート)とのまたはメタクリル酸エステル(直鎖アクリレート)とのコポリマー)を意味することを当業者は理解している。かかるアクリレートポリマーは当業者に周知であって、例えば、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th ed. on CD-ROM, Wiley-VCH 1997, Polyacrylates (Erich Penzel)に記載されており、例えば、溶液または水性分散液として、BASF Aktiengesellschaftの商品名Acronal(登録商標)のもとで市場において入手可能であり、例えば、製品は商品名Acronal(登録商標)290 D、Acronal(登録商標)A 603、Acronal(登録商標)S 725およびAcronal(登録商標)S 260のもとで販売されている。
【0056】
アクリレート単量体は、主な単量体として通常C1-C20-アルキル(メタ)アクリレートまたはC1-C20-アルキル(メタ)アクリレートの20個以下の炭素原子を含むカルボン酸のビニルエステルとの混合物、20個以下の炭素原子のビニル芳香族、モノエチレン性不飽和ニトリル、ハロゲン化ビニル、1〜10個の炭素原子を有するアルコールのビニルエーテル、2〜8個の炭素原子および1または2つの二重結合を有するモノまたは共役ジエチレン性不飽和脂肪族炭化水素、あるいは、これらの単量体の混合物を含む。主な単量体は、原則として、アクリレートポリマーを構成する単量体の少なくとも80重量%および特に少なくとも90重量%を占める。
【0057】
用語「アルキル(メタ)アクリレート」および「(メタ)アクリル酸エステル」はアクリル酸だけでなくメタクリル酸の(アルキル)エステルを含む。アルキル(メタ)アクリレートと記載しうるのは、例えば、C1-C10-アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、2-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-プロピルヘプチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、2-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレートおよび2-プロピルヘプチルメタクリレートである。その他の好適なものは、特にまた、アルキル(メタ)アクリレートの混合物、例えば、少なくとも2種のアルキルアクリレートの混合物または少なくとも1種のアルキルアクリレートと少なくとも1種のアルキルメタクリレートとの混合物である。
【0058】
好適なビニル芳香族化合物はビニルトルエン、α-およびp-メチルスチレン、α-ブチル-スチレン、4-n-ブチルスチレン、4-n-デシルスチレンおよび、好ましくは、スチレンである。
【0059】
モノエチレン性不飽和ニトリルの例はアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルである。
【0060】
1〜20個の炭素原子を有するカルボン酸のビニルエステルの例は、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベルサチン酸ビニルおよび、特に、酢酸ビニルである。
【0061】
ハロゲン化ビニルは、塩素、フッ素または臭素により置換されたエチレン性不飽和化合物、好ましくは塩化ビニルおよび塩化ビニリデンである。
【0062】
記載しうるビニルエーテルの例はビニルメチルエーテルまたはビニルイソブチルエーテルである。好ましい物質は1〜4個の炭素原子を有するアルコールのビニルエーテルである。
【0063】
記載しうる2〜8個の炭素原子および1つまたは2つのオレフィン二重結合を有する脂肪族炭化水素はエチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレンおよびクロロプレンである。
【0064】
好ましい主な単量体は、C1-C10-アルキル(メタ)アクリレート(直鎖アクリレート)およびC1-C10-アルキル(メタ)アクリレートとビニル芳香族、特にスチレン(スチレンアクリレート)との混合物である。
【0065】
スチレンアクリレートの場合、アルキル(メタ)アクリレートのビニル芳香族(特にスチレン)に対する重量比は、例えば10:90〜90:10、好ましくは20:80〜80:20でありうる。
【0066】
主な単量体に加えて、アクリレートポリマー(以下においてポリアクリレートとも呼ぶ)はさらなる単量体を組み込むことができる。これには、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基またはホスホン酸基などの1つの酸性基をもつモノエチレン性不飽和単量体(親水性酸性単量体)およびこれらの単量体の塩、特にアルカリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニウム塩が挙げられる。好ましい物質は、少なくとも1つのカルボン酸基を有するモノエチレン性不飽和単量体である。記載しうる例は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸またはフマル酸およびアコニチン酸である。ポリアクリレート中の親水性酸性単量体の含量は一般に10重量%以下に当たる。所望であれば、親水性酸性単量体の量は、ポリアクリレート中に組み込まれた単量体の合計量を基準として通常、0.1〜10重量%の範囲であり、特に0.2〜5重量%の範囲である。
【0067】
さらなる単量体の例はまた、原則として少なくとも80g/l(25℃にて)の高い水溶解度をもつ中性モノエチレン性不飽和単量体(中性親水性単量体)、例えばヒドロキシル基を含む単量体、特にC2-C4-ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸のポリC2-C3-アルキレングリコールとのエステル、(メタ)アクリルアミドなどのモノエチレン性不飽和アミド、および尿素基またはイミダゾリノン基をもつモノエチレン性不飽和単量体(例えばN-ビニルウレアまたはN-(メタクリルオキシ)エチルイミダゾリン-2-オンなど)である。ポリアクリレート中の中性親水性単量体の含量は一般に10重量%以下の量である。所望であれば、中性親水性単量体の量は通常、ポリアクリレートに組み込まれた単量体の合計量を基準として、0.1〜10重量%の範囲、特に0.2〜5重量%の範囲である。
【0068】
さらなる単量体は特に、少なくとも2つの、好ましくは2〜6つの、とりわけ好ましくは2〜4つの、非常にとりわけ好ましくは2〜3つの、そして特に2つの、フリーラジカル重合能力をもつ非共役二重結合を有する化合物である。かかる化合物はまた架橋リンカー単量体とも呼ばれる。架橋リンカー単量体の量は、所望であれば、通常、ポリアクリレートに組み込まれた単量体の合計量を基準として、0.1〜10重量%の範囲、特に0.2〜5重量%の範囲である。
【0069】
架橋リンカー単量体中のエチレン性不飽和官能基の例は、(メタ)アクリル、ビニルエーテル、ビニルエステル、アリルエーテルおよびアリルエステル基である。架橋リンカー単量体の例は、1,2-エタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、ジビニルベンゼン、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、メタリルアクリレート、メタリルメタクリレート、(メタ)アクリル酸ブタ-3-エン-2-イルエステル、(メタ)アクリル酸ブタ-2-エン-1-イルエステル、(メタ)アクリル酸3-メチルブタ-2-エン-1-イルエステル、(メタ)アクリル酸のゲラニオール、シトロネロール、シンナミルアルコールとのエステル、グリセロールモノ-または-ジアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノ-または-ジアリルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコールモノアリルエーテル、1,3-プロパンジオールモノアリルエーテル、1,4-ブタンジオールモノアリルエーテルおよびさらにイタコン酸ジアリルである。好ましいのは、アリルアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4-ブタンジオールジアクリレートおよび1,6-ヘキサンジオールジアクリレートである。
【0070】
好ましいシーリング材料は、ビニル芳香族、アルキル(メタ)アクリレート、任意に、例えば、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドおよび(メタ)アクリル酸などのさらなる親水性単量体および、適宜、架橋リンカー単量体から成るポリアクリレートである。例えば、かかる好ましいポリアクリレート乳液は共重合された形で20〜50重量%のスチレン、30〜80重量%のアルキル(メタ)アクリレート、0〜20重量%の、例えば、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドおよび(メタ)アクリル酸などのさらなる親水性単量体、ならびに0〜10重量%、特に0.1%〜10重量%の架橋リンカー単量体(重量%の量はポリアミドを構成する単量体の合計量を基準とする)を含む。
【0071】
好ましいシーリング材料はさらに、アルキル(メタ)アクリレート、任意に、例えば、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドおよび(メタ)アクリル酸などのさらなる親水性単量体、および、適宜、架橋リンカー単量体から成るポリアクリレートである。例えば、かかる好ましいポリアクリレート乳液は共重合された形で20〜50重量%のアルキルメタクリレート、30〜80重量%のアルキルアクリレート、0〜20重量%の例えば、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドおよび(メタ)アクリル酸などのさらなる親水性単量体、および0〜10重量%、特に0.1〜10重量%の架橋リンカー単量体(重量%の量はポリアクリレートを構成する単量体の合計量を基準とする)を含む。
【0072】
原則として、ポリアクリレートは、乳化重合により調製され、その場合、ポリアクリレートは水性ポリマー分散液(乳液)として存在する。フリーラジカル乳化重合による水性ポリマー分散液の調製は公知である(Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, volume XIV, Makromolekulare Stoffe, loc. cit., pages 133 et seq.を参照)。
【0073】
とりわけ好ましい実施形態において、シーリング材料はポリアクリレートであり、その場合、アクリレートゴム、すなわち、低架橋したポリアクリレートの形態をとる。かかるアクリレートゴムの調製は当業者に公知であり、例えば、EP0099532にグラフトベースとして記載されている。例えば、かかる好ましいポリアクリレートゴムは、共重合した形で、80〜100重量%のアルキルアクリレート、0〜20重量%のアルキルメタクリレート、例えば(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドおよび(メタ)アクリル酸などの0〜20重量%の親水性単量体、ならびに、0〜10重量%、特に0.1〜10重量%の架橋リンカー単量体(重量%の量はポリアクリレートを構成する単量体の合計量を基準とする)を含む。具体的な実施形態において、シーリング材料はポリアルキルアクリレート、例えばポリブチルアクリレート、特に架橋したポリアルキルアクリレート、例えば架橋したポリブチルアクリレート、すなわち少なくとも1つのアルキルアクリレート、例えばn-ブチルアクリレートと架橋リンカー単量体から成るポリアクリレートである。
【0074】
アルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレートに関する用語「アルキル」は1〜20個の、そしてさらに特に1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基を意味する。
【0075】
さらなる好適なシーリング材料は、主な単量体として、共役ジエチレン性不飽和炭化水素(共役した2つの二重結合を有する炭化水素)、特にブタジエン、またはかかる炭化水素とビニル芳香族、特にスチレンとの混合物(まとめて、ポリブタジエンラテックスとも呼ぶ)および、適宜、先に記載した親水性コモノマーからなるホモまたはコポリマーである。主な単量体の親水性コモノマーに対する比については、先に記載したことがここでも同様に適用される。
【0076】
さらなるとりわけ好ましい本発明の実施形態によると、シーリング材料はワックスまたはワックス状ポリマーである。特に、シーリング材料は、極性官能基、例えばカルボキシル基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、ケト基、ポリエーテル基その他を有する極性官能基ワックスまたはワックス状ポリマーの形をとり、これらの基がワックス状成分の分散を支援する。特に、ワックスまたはワックス状ポリマーは、中和能力のあるカルボキシル基を有する。有利なのは、ワックスまたはワックス状ポリマーがDIN EN ISO 2114に規定された通り測定して、少なくとも1mg KOH/gおよび、特に5〜250mg KOH/gの範囲の酸価を有することである。
【0077】
好適なワックスは特に、DIN 53765(DIN 51007も参照されたい)に規定したDSC法により測定して、好ましくは少なくとも40℃、特に少なくとも60℃および特に少なくとも75℃、例えば40℃〜150℃の範囲の、特に60℃〜140℃の範囲の、非常にとりわけ好ましくは75℃〜135℃の範囲の融点をもつワックスである。
【0078】
ワックスは天然ワックスまたは合成ワックスであってもよい。
【0079】
記載しうる天然ワックスの例は、密ろう、カルナウバワックス、カンデリラワックス、樹皮ワックス、オウリコウリ(ouricouri)ワックス、サトウキビワックス、モンタン酸およびエステルワックス、およびコルクワックスである。
【0080】
記載しうる合成ワックスの例は、フィッシャー・トロプスワックス、ポリオレフィンワックスなどのパラフィンおよびワックス状ポリマー、特にポリエチレンワックス、またはエチレンコポリマーワックス(例えば、エチレンのフリーラジカル重合、またはエチレンと、例えば、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルとのフリーラジカル共重合により、またはチーグラー・ナッタ触媒またはメタロセン触媒を用いる重合により得ることができる)、部分的に酸化したワックス、特に部分的に酸化したポリオレフィンワックスである。さらにポリイソブチレンワックスを挙げることができる。記載しうる他の物質はパラフィン混合物であり;これは、12個以上の炭素原子を有しかつ少なくとも40℃、好ましくは40℃〜150℃の範囲の融点、とりわけ好ましくは60℃〜140℃の範囲の融点、非常にとりわけ好ましくは75℃〜135℃の範囲の融点をもつ炭化水素の混合物を意味すると解釈される。
【0081】
この関係で用語「ポリエチレンワックス」はエチレンのホモポリマーワックスだけではなく、ポリエチレンと合計で20重量%までの、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンまたは1-ドデセンなどのオレフィン系コモノマーとのコポリマーも含む。
【0082】
好適なシーリング材料は特に、極性ポリオレフィンワックス、特に極性ポリエチレンワックスである。極性ポリオレフィンワックスはカルボキシル基を保持し、かつ原則として、DIN EN ISO 2114に規定の通り測定して、少なくとも1mg KOH/g、好ましくは少なくとも5mg KOH/gおよび特に1〜250mg KOH/gまたは5〜150mg KOH/gの範囲の酸価を有する。
【0083】
極性ポリオレフィンワックスは、最初に非極性ポリオレフィンワックスの酸化生成物(酸化ワックス、またはポリオレフィン酸化物としても知られる)、例えばポリエチレンワックスの酸化生成物(ポリエチレン酸化物)またはポリプロピレンワックスの酸化生成物;Fischer-Tropschフィッシャー・トロップスワックスの酸化物;カルボキシル基を保持するオレフィン(特にエチレンまたはプロペンなどのC2-C6-オレフィン)と酸素基を保持する単量体(例えば、アクリル酸またはメタクリル酸などのモノエチレン性不飽和C3-C6-モノカルボン酸)および、適宜、脂肪族C2-C10-カルボン酸のビニルエステル(酢酸ビニルまたはプロピオン酸ビニルなど)とのコポリマー;ならびにモノエチレン性不飽和C3-C6-モノカルボン酸とC1-C18-アルカノールまたはC5-C12-シクロアルカノールとのエステル(特にアクリル酸またはメタクリル酸のエステル、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、2-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、3-プロピルヘプチルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートおよびメタクリル酸の対応するエステル)を含む。極性ポリオレフィンワックスはさらに、上記オレフィンコポリマーの酸化生成物を含む。
【0084】
特に好ましい実施形態において、シーリング材料は、ワックス酸化物およびカルボキシル基を含有するエチレンのコポリマーのなかから選択される少なくとも1つの極性ワックスを含む。特に、シーリング材料は、分散液中に存在するワックス構成成分の合計重量を基準として、少なくとも50重量%、特に少なくとも80重量%および特に少なくとも90重量%の、少なくとも1つの極性ワックス、特に好ましくは、ワックス酸化物、特にポリエチレンワックス酸化物、およびカルボキシル基を含有するエチレンのコポリマーのなかから選択される極性ポリオレフィンワックスを含む。
【0085】
特に、極性ポリオレフィンワックスは、上記範囲の酸価を有する部分的に酸化されたポリエチレンワックス、および極性カルボシル基を保持するオレフィンコポリマー、特にカルボキシル基を保持するエチレンのコポリマー、およびそれらの酸化物のなかから選択され、ここで前記オレフィンコポリマーは、
i)50〜99重量%、特に60〜95重量%、およびとりわけ70〜90重量%の少なくとも1つのC2-C6-オレフィン、特にプロペン、エテンまたはそれらの混合物、とりわけエテン;
ii)1〜50重量%、特に5〜40重量%およびとりわけ10〜30重量%の少なくとも1つのモノエチレン性不飽和C3-C6-モノカルボン酸(アクリル酸またはメタクリル酸など)および/またはC4-C6-ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸など)またはこれらの混合物、とりわけアクリル酸、メタクリル酸および/またはマレイン酸;
または
i)50〜98重量%、特に60〜93重量%およびとりわけ70〜89重量%の少なくとも1つのC2-C6-オレフィン、特にプロペン、エテンまたはそれらの混合物、とりわけエテン;
ii)1〜50重量%、特に5〜40重量%およびとりわけ10〜29重量%の少なくとも1つのモノエチレン性不飽和C3-C6-モノカルボン酸(アクリル酸またはメタクリル酸など)および/またはC4-C6-ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸など)またはこれらの混合物、とりわけアクリル酸、メタクリル酸および/またはマレイン酸;または
iii)1〜30重量%、例えば2〜20重量%、特に2〜15重量%の1以上のモノエチレン性不飽和単量体であって、モノエチレン性不飽和C3-C6-モノカルボン酸とC1-C18-アルカノールまたはC5-C12-シクロアルカノールとのエステル、モノエチレン性不飽和C4-C8-ジカルボン酸とC1-C18-アルカノールまたはC5-C12-シクロアルカノールとのジエステル、特にアクリル酸またはメタクリル酸とC1-C18-アルカノールまたはC5-C12-シクロアルカノールとのエステルのなかから、および脂肪族C2-C18-カルボン酸のビニルエステル(酢酸ビニルまたはプロピオン酸ビニルなど)のなかから選択されるモノエチレン性不飽和単量体
から構成される。
【0086】
本明細書に詳述した単量体比率は、それぞれの場合に、極性ポリオレフィンワックスを構成する単量体の合計重量に対するものである。「本質的に」は、この場合、ポリマーが上記単量体a)、b)および、適宜、c)の少なくとも95重量%、特に、少なくとも99重量%、およびとりわけ独占的に構成することを意味する。しかし、当業者は、かかるポリマーは単量体成分に加えて、さらに重合触媒(開始剤)の成分を含みうることを理解している。
【0087】
極性ポリオレフィンワックスは典型的には、1,000〜150,000ダルトンの範囲、しばしば2,000〜120,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する。分解することなく融解するワックスまたは低〜中分子量のワックス状ポリマーの場合、これらは140℃で100〜10,000mm2/sec(DFG標準法 C-IV7 (68))の範囲の融解粘度によって、あるいは、非融解ワックス状ポリマーについては、少なくとも1の最小メルトフローインデックスMFI(DIN 53753に従って160℃にて325gの負荷のもとで)によって特徴付けられる。
【0088】
上記ワックス成分は当技術分野では公知であり、例えば、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th ed, CD-ROM版, Wiley VCH, Weinheim 1997, chapter "Wachse(ワックス)"、特に、section 3 "Montanwachse(モンタン ワックス)" およびsection 6 "Polyolefinwachse(ポリオレフィンワックス)"、ならびにDE-A 3420168、DE-A 3512564 "waxy copolymers(ワックス状コポリマー)"、および Kunststoffhandbuch volume 4, p. 161 et seq., Karl-Hanser-Verlag, 1969、および それらの引用文献、DE-A 2126725、DE 2035706、EP-A 28384、DE-A 1495938、DE-A 1520008、DE-A 1570652、DE-A 3112163、DE-A 3720952、DE-A 3720953、DE-A 3238652およびWO97/41158に記載されている。かかる製品はまた、例えばBASFからLuwax(登録商標)OAタイプまたはLuwax(登録商標)EASタイプ、ClariantからLicowax PED、HoneywellからAC3...およびAC6...タイプおよびHoneywellからAC5...の商品名でそれぞれ市販されている。
【0089】
シーリング材料として使用される極性ポリオレフィンワックスは、典型的には、ワックス粒子が上記の平均粒子径を有する水性分散液の形態で使用される。ワックスは、好ましくは、これらの分散液中に、少なくとも部分的に中和された形態で存在する、すなわち、極性ポリオレフィンワックス中の少なくともいくらかの、好ましくは少なくとも60mol%のカルボキシル基は塩基で中和されている。塩基はまた、水性ワックス分散液中の極性ポリオレフィンワックス中の酸基を基準にして、過剰に、例えば、ワックス分散液中の全ての酸基を中和するのに必要な塩基の量を基準にして、100mol%まで、好ましくは50mol%までの過剰で、存在してもよい。かかるワックス分散液は通常、中性〜塩基性pH、好ましくは6〜12の範囲、そして特に7〜11.5の範囲のpH値を有する。従って、かかるワックス分散液は通常、塩基の活性をもつ1以上の物質、例えばアルカリ金属の水酸化物および/または炭酸塩および/または水素炭酸塩、または好ましくは、例えばアンモニアおよび例えば、アルキルアミン、N-アルキルエタノールアミン、アルカノールアミンおよびポリアミンなどの有機アミンのようなアミンを含む。記載しうるアルキルアミンの例は、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミン、メチルアミンである。好ましいアミンはモノアルカノールアミン、N,N-ジアルキルアルカノールアミン、N-アルキルアルカノール-アミン、ジアルカノールアミン、N-アルキルアルカノールアミンおよびトリアルカノールアミンであって、それぞれの場合にヒドロキシルアルキル部分に2〜18個の炭素原子および、適宜、それぞれの場合にアルキル部分に1〜6個の炭素原子、好ましくはアルカノール部分に2〜6個の炭素原子および、適宜、アルキル部分に1または2個の炭素原子を有する。非常にとりわけ好ましいのはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、n-ブチルジエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミンおよび2-アミノ-2-メチルプロパン-1-オールである。非常にとりわけ好ましいのはアンモニアおよびN,N-ジメチルエタノールアミンである。記載しうるポリアミンの例は、エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンである。
【0090】
本発明による組成物中のシーリング材料の量は、原則として、組成物の合計量を基準として40重量%の値を超えないであろう、そしてそれぞれ組成物の合計量を基準として1〜40重量%、特に2〜35重量%または5〜30重量%の範囲であることが多い。原則として、より低い濃度の、例えば、それぞれ組成物の合計量を基準として、0.1〜40重量%の範囲、特に0.5〜30重量%の範囲、または1〜20重量%の範囲のシーリング材料も、噴霧可能な組成物で実行可能である。
【0091】
本発明による組成物は、原則として、シーリング材料に加えて、少なくとも1つの植物保護用の活性成分(=植物保護剤)、好ましくはストロビルリンおよびコナゾール殺真菌剤のなかから選択される少なくとも1つの活性成分、特にストロビルリン、とりわけピラクロストロビンから選択される少なくとも1つの活性成分を含む。
【0092】
本発明による組成物は、少なくとも1つの植物保護剤b)を、活性成分のシーリング材料に対する重量比が1:106〜1:1の範囲、しばしば1:105〜1:1の範囲または1:104〜1:1の範囲、好ましくは1:100〜1:1の範囲およびとりわけ1:80〜1:2の範囲およびとりわけ1:50〜1:5の範囲である量だけ含む。本発明による組成物中の活性成分の量は、好ましくは、活性成分のシーリング材料に対する重量比が1:100〜1:1の範囲、および特に1:80〜1:2の範囲、およびとりわけ1:50〜1:5であるように選ばれる。組成物中の活性成分の濃度は、原則として、組成物の合計重量を基準として、20重量%の値を超えないであろう、そして一般に、それぞれの場合に、組成物の合計重量を基準として、0.00001〜20重量%の範囲、しばしば0.0001〜20重量%の範囲または0.001〜20重量%の範囲、または0.01〜20重量%の範囲、好ましくは0.05〜20重量%の範囲、特に0.1〜15重量%または0.2〜10重量%である。原則的に、さらに低濃度の活性成分、例えば、0.01〜20重量%の範囲、特に0.02〜10重量%の範囲または0.05〜5重量%の範囲でも噴霧可能な組成物で実行することができる。
【0093】
植物保護剤の例は、特に、昆虫、細菌、ウイルス、酵母または真菌などの植物病原体による攻撃が原因である木質植物の病気の治療、または木質植物の保護に好適であることが公知の活性成分である。従って、用語「植物保護剤」は生物統計的にまたは殺生物的に活性のある物質、例えば、細菌統計的におよび/または真菌統計的に活性な物質、ならびに昆虫の発生(例えば幼若ホルモン)を妨害する物質、そして特に殺真菌剤、殺虫剤および殺細菌剤を含む。
【0094】
一実施形態において、本発明による組成物は殺真菌剤、殺虫剤、殺細菌剤、および酵母に対してまたはウイルスに対して活性である物質のなかから選択される少なくとも1つの植物保護剤を含む。当業者はかかる活性成分に馴染みがある。上記の活性成分の組合わせも存在しうる。
【0095】
ある好ましい実施形態において、本発明による組成物は殺虫剤、殺真菌剤および殺虫剤と殺真菌剤の組合わせのなかから選択される少なくとも1つの活性成分を含む。
【0096】
具体的な実施形態において、本発明による組成物は、植物保護剤b)として、殺真菌剤または少なくとも1つの殺虫剤の少なくとも1つの殺真菌剤との組合わせのなかから選択される少なくとも1つの活性成分を含む。少なくとも1つの殺真菌活性のある成分の量は、好ましくは、本発明による組成物中の活性成分のシーリング材料に対する重量比が1:100〜1:1の範囲、特に1:80〜1:2の範囲、そしてとりわけ1:50〜1:5の範囲になるように選ばれる。
【0097】
植物保護剤として好適である殺真菌剤の例は、ステロール生合成メチル化インヒビター(DMI)、例えば、アゾール、特にコナゾール(すなわちトリアゾール環またはイミダゾール環をもつアゾール)のグループから、ピペラジン、ピリジンおよびイミダゾール(ペフラゾエート、トリホリン、ピリフェノックス、フェナリモル、イマザリル、プロクロラズおよびトリフルミゾールなど)のグループからの殺真菌剤;カルボキサミドおよびカルボキシアニリド;窒素を含有するヘテロシクリル化合物;ストロビルリンおよび「Ool」殺真菌剤;カーバメートおよびジチオカーバメート;メチルベンズイミダゾール;DMI、グアニジン、抗生物質;有機金属化合物;硫黄を含有するヘテロシクリル化合物;有機リン化合物、亜リン酸およびその塩;有機塩素化合物、ニトロフェニル誘導体;無機活性成分(ボルドー混合物、酢酸銅、水酸化銅、オキシ塩化銅、塩基性硫酸銅、硫黄など);スピロキサミン、シフルフェナミド、シモキサニルまたはメトラフェノンである。
【0098】
本発明による組成物は、好ましくは、エスカなどの木質の病気に対する治療または保護用に、または他の有害真菌または昆虫による感染に対する保護用に、ならびに/またはエスカ、他の有害真菌および/または昆虫に感染した木質植物の治療用に有用な、少なくとも1つの植物保護剤を含む。
【0099】
好ましい殺真菌剤は木質の病気に対して活性である。特に好ましい殺真菌剤は木質の病気エスカに関係する複合体に対して活性である殺真菌剤である。特に好ましい殺真菌剤はストロビルリングループ由来の殺真菌剤である。また、特に好ましいのはコナゾール殺真菌剤グループ、とりわけトリアゾール構造をもつもの由来の殺真菌剤である。かかる殺真菌剤はエスカに関係する木質の病気の治療に有効である。
【0100】
具体的な実施形態において、本発明による組成物は、2つの殺真菌剤を含み、その2つの殺真菌剤のうちの少なくとも1つはストロビルリンのグループから選択され、そして少なくとも1つのさらなるものはストロビルリンでない殺真菌剤、例えば、DMI殺真菌剤のなかから、好ましくはコナゾール殺真菌剤のグループ、とりわけトリアゾール構造をもつものから選択される。
【0101】
具体的な実施形態において、本発明による組成物は、b/c1複合体のレベルでミトコンドリアの呼吸鎖に関わる少なくとも1つの殺真菌活性成分を含む。この部位のミトコンドリアの呼吸鎖を阻害する活性成分は、当技術分野でとりわけ殺真菌剤として公知である(例えば、Dechema monographs Vol. 129, 27-38, VCH Verlagsgemeinschaft Weinheim 1993;Natural Product Reports 1993, 565-574;Biochem. Soc. Trans. 22, 63S (1993)を参照)。b/c1複合体のレベルでミトコンドリアの呼吸鎖に関わり、かつ好ましくは本発明による組成物中の成分として存在しうるとりわけ重要な活性成分クラスはストロビルリンである。
【0102】
ストロビルリンはかなり前から殺真菌剤として公知であるが、また殺虫剤としても記載されている(EP-A 178 826;EP-A 253 213;WO 93/15046;WO 95/18789;WO 95/21153;WO 95/21154;WO 95/24396;WO 96/01256;WO 97/15552;WO 97/27189)。かかる呼吸鎖インヒビターのさらなる例は、ファモキサドンすなわち(5-メチル-5-(4-フェノキシフェニル)-3-(フェニルアミノ)-2,4-オキサゾリジンジオン)である。
【0103】
本発明のある好ましい実施形態において、本発明による組成物は、木質植物、特にブドウのつるのエスカ病の保護または治療用に好適である少なくとも1つのストロビルリンを、適宜、少なくとも1つのさらなる活性成分と組合わせて含む。
【0104】
1つのさらなる好ましい本発明の実施形態において、本発明による組成物は少なくとも1つのストロビルリンを、木質植物、特にブドウのつるにおける細菌および/またはウイルス感染の保護または治療用に有用な少なくとも1つのさらなる活性成分と組合わせて含む。
【0105】
本発明のさらなる実施形態において、本発明による組成物は少なくとも1つのストロビルリンを、木質植物、特にブドウのつるにおける昆虫侵襲の保護および/または治療に対して有用な少なくとも1つのさらなる活性成分と組合わせて含む。
【0106】
ストロビルリンは特に:
1)一般式I:
【化1】

[式中、Xはハロゲン、C1-C4-アルキルまたはトリフルオロメチルであり;
mは0または1であり;
QはC(=CH-CH3)-COOCH3、C(=CH-OCH3)-COOCH3、C(=N-OCH3)-CONHCH3、C(=N-OCH3)-COOCH3、N(-OCH3)-COOCH3、または基Q1:
【化2】

(ここで、#はフェニル環との結合を示す)であり;
Aは-O-B、-CH2O-B、-OCH2-B、-CH2S-B、-CH=CH-B、-C≡C-B、-CH2O-N=C(R1)-B、-CH2S-N=C(R1)-B、-CH2O-N=C(R1)-CH=CH-B、または-CH2O-N=C(R1)-C(R2)=N-OR3であり、
Bはフェニル、ナフチル、5〜6員を有するヘテロアリールまたは5または6員を有し、1、2または3個のN原子および/または1個の酸素または硫黄原子または1または2個の酸素および/または硫黄原子を含むヘテロシクリル(ここで、環系は無置換であってもまたは1、2または3つの基Raにより置換されていてもよい)であり;
Raは、独立して、シアノ、ニトロ、アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルキルカルボニル、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルスルフィニル、C3-C6-シクロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルオキシカルボニル、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ-C1-C6-アルキルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルケニルオキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、5-または6-員のヘテロシクリル、5-または6-員のヘテロアリール、5-または6-員のヘテロアリールオキシ、C(=NORA)-RBまたはOC(RA)2-C(RB)=NORB(ここで、環状基は無置換であってもまたは1、2または3つの基Rbにより置換されていてもよい)であり;
Rbは、独立して、シアノ、ニトロ、アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルスルフィニル、C3-C6-シクロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルコキシカルボニル、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ-C1-C6-アルキルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルケニルオキシ、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-シクロアルケニル、フェニル、フェノキシ、フェニルチオ、ベンジル、ベンジルオキシ、5-または6-員のヘテロシクリル、5-または6-員のヘテロアリール、5-または6-員のヘテロアリールオキシまたはC(=NORA)-RBであり;
RA、RBは独立して、水素またはC1-C6-アルキルであり;
R1は水素、シアノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C3-C6-シクロアルキル、
C1-C4-アルコキシまたはC1-C4-アルキルチオであり;
R2はフェニル、フェニルカルボニル、フェニルスルホニル、5-または6-員のヘテロアリール、5-または6-員のヘテロアリールカルボニルまたは5-または6-員のヘテロアリールスルホニル(ここで、上述の環状基は無置換であってもまたは1、2または3つの基Raにより置換されていてもよい);C1-C10-アルキル、C3-C6-シクロアルキル、C2-C10-アルケニル、C2-C10-アルキニル、C1-C10-アルキルカルボニル、C2-C10-アルケニルカルボニル、C3-C10-アルキニルカルボニル、C1-C10-アルキルスルホニルまたはC(=NORa)-Rb(ここで、これらの基の炭化水素基は無置換であってもまたは1、2または3つの基Rcにより置換されていてもよい)であり;
Rcは、お互いに独立して、シアノ、ニトロ、アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルスルフィニル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルコキシカルボニル、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ-C1-C6-アルキルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、ジ-C1-C6-アルキルアミノチオカルボニル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルケニルオキシ、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-シクロアルキルオキシ、5-または6-員のヘテロシクリル、5-または6-員のヘテロシクリルオキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、フェニル、フェノキシ、フェニルチオ、5-または6-員のヘテロアリール、5-または6-員のヘテロアリールオキシおよびヘテロアリールチオのなかから選択され(ここで、上述の環状基は部分的にまたは全てハロゲン化されているかまたは1、2または3つの基Raにより置換されていてもよい)、および
R3は水素、C1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルキニル(ここで、3つの最後に記述した基は無置換であってもまたは1、2または3つの基Rcにより置換されていてもよい)である]
に記載の活性成分;ならびに
2)次の活性成分:メチル(2-クロロ-5-[1-(3-メチルベンジルオキシイミノ)エチル]ベンジル)カルバマート、メチル(2-クロロ-5-[1-(6-メチルピリジン-2-イルメトキシイミノ)エチル]ベンジル)カルバマート、メチル2-(オルト-((2,5-ジメチルフェニルオキシメチレン)フェニル)-3-メトキシアクリレート、N-メチル-2-(2-(6-(3-クロロ-2-メチルフェノキシ)-5-フルオロピリミジン-4-イルオキシ)フェニル)-2-メトキシイミノアセトアミド、およびメチル3-メトキシ-2-(2-(N-(4-メトキシフェニル)シクロプロパンカルボキシイミドイルスルファニルメチル)フェニル)アクリレート
である。
【0107】
これらの活性成分はかなり前から殺真菌剤として公知である。その調製も従来技術から公知である。
【0108】
一実施形態において、本発明による組成物は1以上の式Iのストロビルリンを活性成分b)として含む。
【0109】
他の実施形態において、本発明による組成物はメチル(2-クロロ-5-[1-(3-メチルベンジルオキシイミノ)エチル]ベンジル)カルバマート、メチル(2-クロロ-5-[1-(6-メチルピリジン-2-イルメトキシイミノ)エチル]ベンジル)カルバマート、およびメチル2-(オルト-((2,5-ジメチルフェニルオキシメチレン)フェニル)-3-メトキシアクリレートのなかから選択される少なくとも1つのストロビルリンを含む。
【0110】
本発明のある好ましい実施形態において、ストロビルリンは式I(式中、QはN(-OCH3)-COOCH3である)の化合物であり;これらの活性成分はWO 93/15046およびWO 96/01256に記載されている。
【0111】
本発明の他の好ましい実施形態において、ストロビルリンは式I(式中、QはC(=CH-OCH3)-COOCH3である)の化合物であり;これらの活性成分はEP-A 178 826およびEP-A 278 595に記載されている。
【0112】
本発明のさらに好ましい実施形態において、ストロビルリンは式I(式中、QはC(=N-OCH3)-COOCH3である)の化合物であり;これらの活性成分はEP-A 253 213およびEP-A 254 426に記載されている。
【0113】
本発明のさらに好ましい実施形態において、ストロビルリンは式I(式中、QはC(=N-OCH3)-CONHCH3である)の化合物であり;これらの活性成分はEP-A 398 692、EP-A 477 631およびEP-A 628 540に記載されている。
【0114】
本発明のさらに好ましい実施形態において、ストロビルリンは式I(式中、QはC(=CH-CH3)-COOCH3である)の化合物であり;これらの活性成分はEP-A 280 185およびEP-A 350 691に記載されている。
【0115】
本発明のさらに好ましい実施形態において、ストロビルリンは式I(式中、AはCH2O-N=C(R1)-Bであり、R1とBは式Iで与えられた意味を有する)の化合物であり;これらの活性成分はEP-A 460 575およびEP-A 463 488に記載されている。
【0116】
本発明のある好ましい実施形態において、ストロビルリンは式I(AはO-Bであり、R1とBは式Iで与えられた意味を有する)の化合物であり;これらの活性成分はEP-A 382 375およびEP-A 398 692に記載されている。
【0117】
本発明のある好ましい実施形態において、ストロビルリンは式I(Aは-CH2O-N=C(R1)-C(R2)=N-OR3であり、R1、R2およびR3は式Iで与えられた意味を有する)の化合物であり;これらの活性成分はWO 95/18789、WO 95/21153、WO 95/21154、WO 97/05103およびWO 97/06133に記載されている。
【0118】
とりわけ好ましいのは、式I
[式中、
QはN(-OCH3)-COOCH3であり、
AはCH2-O-であり、
Bは、3-ピラゾリルまたは1,2,4-トリアゾール-3-イルのなかから選択され、
ここでBは
-ハロゲン、メチル、トリフルオロメチル、および
-フェニルまたはピリジル、とりわけ2-ピリジル(ここで、フェニルおよびピリジルは1〜3つの基Rbにより置換されていてもよい)
からなる群より選択される1つまたは2つの置換基と結合している]
のストロビルリンである。
【0119】
これらの活性成分は、特に式II:
【化3】

【0120】
[式中、Tは炭素または窒素原子であり、Ra'は独立してハロゲン、メチルおよびトリフルオロメチルのなかから選択され、yは0、1または2であり、Rbは式Iに定義された通りであり、xは0、1、2、3または4である]により記載される。
【0121】
とりわけ好ましい式IIの活性成分は式II':
【化4】

[式中、Rbは式Iに定義した通りである]である。
【0122】
本発明によれば、ストロビルリンは、次の表1〜7に掲げた物質のなかから選択するのがとりわけ好ましい。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【0123】
とりわけ好ましいのはストロビルリン:化合物II-5(ピラクロストロビン)、III-1(クレソキシム-メチル)、III-3(ジモキシストロビン)、III-11(ZJ0712)、lV-3(ピコキシストロビン)、V-6(トリフロキシストロビン)、V-9(エネストロブリン)、VI-16(オリサストロビン)、VII-1(メトミノストロビン)、VIII-1(アゾキシストロビン)、およびVIII-11(フルオキサストロビン)である。非常にとりわけ好ましいのはピラクロストロビン:(化合物II-5)、クレソキシム-メチル(化合物III-1)またはアゾキシストロビン(化合物VIII-1)であり、ピラクロストロビンが最も好ましい。
【0124】
本発明による組成物は、ストロビルリンのグループからの活性成分の代わりにまたは一緒に、ストロビルリン以外の1以上の植物保護剤を含んでもよい。記載しうるのは、特にカルボキサミド類、アゾール類、特にコナゾール、窒素を含有するヘテロ環式化合物類、カーバメート類、ジチオカーバメート類および他の殺真菌剤のなかから選択される殺真菌活性成分であって、前記他の殺真菌剤にはドジン、イミノクタジン、グアザチン、カスガマイシン、ポリオキシン、ストレプトマイシン、バリダマイシンA、フェンチン塩、イソプロチオラン、ジチアノン、エジフェンホス、ホセチル、ホセチルアルミニウム、イプロベンホス、ピラゾホス、トルクロホス-メチル、リン酸およびその塩、チオファネート-メチル、クロロタロニル、ジクロフルアニド、トリルフルアニド、フルスルファミド、フタリド、ヘキサクロロベンゼン、ペンシクロン、キントゼン、ビナパクリル、ジノカップ、ジノブトン、ボルドー混合物、酢酸銅、水酸化銅、酸化銅、塩基性硫酸銅、硫黄、スピロキサミン、シフルフェナミド、シモキサニルおよびメトラフェノンが含まれる。
【0125】
好適な殺真菌剤の例は、以下に具体的に掲げる殺真菌活性成分である:
カルボキサミド類:
-カルボキシアニリド:ベナラキシル、ベナラキシル-M、ベノダニル、ビキサフェン、ボスカリド、カルボキシン、メプロニル、フェンフラム、フェンヘキサミド、フルトラニル、フラメトピル、メタラキシル、オフレース、オキサジキシル、オキシカルボキシン、ペンチオピラド、チフルザミド、チアジニル、2-アミノ-4-メチル-チアゾール-5-カルボキシアニリド、
2-クロロ-N-(1,1,3-トリメチルインダン-4-イル)ニコチンアミド、
N-(4'-ブロモビフェニル-2-イル)-4-ジフルオロメチル-2-メチルチアゾール-5-カルボキサミド、
N-(4'-トリフルオロメチルビフェニル-2-イル)-4-ジフルオロメチル-2-メチルチアゾール-5-カルボキサミド、
N-(4'-クロロ-3'-フルオロビフェニル-2-イル)-4-ジフルオロメチル-2-メチルチアゾール-5-カルボキサミド、
N-(3',4'-ジクロロ-4-フルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチルピラゾール-4-イルカルボキサミド、
N-(3',4'-ジクロロ-5-フルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、
N-(2-(1,3-ジメチルブチル)フェニル)-1,3,3-トリメチル-5-フルオロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、
N-(4'-クロロ-3',5'-ジフルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、
N-(4'-クロロ-3',5-ジフルオロビフェニル-2-イル)-3-トリフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、
N-(3',4'-ジクロロ-5-フルオロビフェニル-2-イル)-3-トリフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、
N-(3',5-ジフルオロ-4'-メチルビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、
N-(3',5-ジフルオロ-4'-メチルビフェニル-2-イル)-3-トリフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、
N-(2-ビシクロプロピル-2-イルフェニル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、
N-(cis-2-ビシクロプロピル-2-イルフェニル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、
N-(trans-2-ビシクロプロピル-2-イルフェニル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、
N-(2-シアノフェニル)-3,4-ジクロロイソチアゾール-5-カルボキサミド;
-カルボン酸モルホリド: ジメトモルフ、フルモルフ;
-ベンズアミド: フルメトベル、フルピコリド(ピコベンザミド)、フルオピラム、ゾキサミド、
N-(3-エチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシル)-3-ホルミルアミノ-2-ヒドロキシベンズアミド;
-その他のカルボキサミド: カルプロパミド、ジクロシメット、マンジプロパミド、オキシテトラサイクリン、シルチオファム、
N-(6-メトキシピリジン-3-イル)シクロプロパンカルボキサミド、
N-(2-(4-[3-(4-クロロフェニル)プロパ-2-イニルオキシ]-3-メトキシフェニル)エチル)-2-メタンスルホニルアミノ-3-メチルブチルアミド、
N-(2-(4-[3-(4-クロロフェニル)プロパ-2-イニルオキシ]-3-メトキシ-フェニル)エチル)-2-エタンスルホニルアミノ-3-メチルブチルアミド;
【0126】
アゾール類:
-トリアゾール:アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾール-M、エニルコナゾール、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルシラゾール、フルキンコナゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、オキスポコナゾール、パクロブトラゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメノール、トリアジメホン、トリチコナゾール、ウニコナゾール、1-(4-クロロフェニル)-2-([1,2,4]トリアゾール-1-イル)シクロヘプタノール;
-イミダゾール:シアゾファミド、イマザリル、イマザリル-硫酸塩、ペフラゾエート、プロクロラズ、トリフルミゾール;
-ベンゾイミダゾール:ベノミル、カルベンダジム、フベリダゾール、チアベンダゾール;
-その他:エタボキサム、エトリジアゾール、ヒメキサゾール;
(本明細書で詳述したアゾールのうち、トリアゾールおよびイミダゾールのなかで挙げた化合物はまた、コナゾールまたはコナゾール殺真菌剤と呼ばれる);
【0127】
窒素を含有するヘテロ環式化合物類:
-ピリジン:フルアジナム、ピリフェノックス、
3-[5-(4-クロロフェニル)-2,3-ジメチルイソキサゾリジン-3-イル]ピリジン、
2,3,5,6-テトラクロロ-4-メタンスルホニルピリジン、
3,4,5-トリクロロピリジン-2,6-ジカルボニトリル、
N-(1-(5-ブロモ-3-クロロピリジン-2-イル)エチル)-2,4-ジクロロニコチンアミド、
N-((5-ブロモ-3-クロロピリジン-2-イル)メチル)-2,4-ジクロロニコチンアミド;
-ピリミジン:ブピリメート、シプロジニル、ジフルメトリム、フェリムゾン、フェナリモル、メパニピリム、ニトラピリン、ヌアリモール、ピリメタニル;
-ピペラジン:トリホリン;
-ピロール:フルジオキソニル、フェンピクロニル;
-モルホリン:アルジモルフ、ドデモルフ、フェンプロピモルフ、トリデモルフ;
-ジカルボキシイミド:イプロジオン、プロシミドン、ビンクロゾリン;
-その他の窒素を含有するヘテロ環式化合物:アシベンゾラル-S-メチル、アニラジン、カプタン、カプタホル、ダゾメット、ジクロメジン、フェノキサニル、ホルペット、フェンプロピジン、ファモキサドン、フェナミドン、オクチリノン、プロベナゾール、プロキナジド、ピロキロン、キノキシフェン、トリシクラゾール、後に定義する式IXのアゾロピリミジン、例えば、
5-クロロ-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、
6-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、
6-(4-tert-ブチルフェニル)-5-メチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、
5-メチル-6-(3,5,5-トリメチルヘキシル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、
5-メチル-6-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、
5-エチル-6-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2,7-ジアミン、
6-エチル-5-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、
5-エチル-6-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、
5-エチル-6-(3,5,5-トリメチルヘキシル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、
6-オクチル-5-プロピル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、
5-メトキシメチル-6-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、
6-オクチル-5-トリフルオロメチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、
5-トリフルオロメチル-6-(3,5,5-トリメチルヘキシル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、
2-ブトキシ-6-ヨード-3-プロピルクロメン-4-オン、
N-ジメチル-3-(3-ブロモ-6-フルオロ-2-メチルインドール-1-スルホニル)-[1,2,4]トリアゾール-1-スルホンアミド;
【0128】
カーバメート類とジチオカーバメート類:
-ジチオカーバメート:フェルバム、マンコゼブ、マンネブ、メチラム、メタム、プロピネブ、チラム、ジネブ、ジラム;
-カーバメート:ジエトフェンカルブ、フルベンチアバリカルブ、イプロバリカルブ、プロパモカルブ、
メチル3-(4-クロロフェニル)-3-(2-イソプロポキシカルボニルアミノ-3-メチルブチリルアミノ)-プロピオナート、4-フルオロフェニルN-(1-(1-(4-シアノフェニル)エタンスルホニル)ブタ-2-イル)カルバマート;
【0129】
その他の殺真菌剤:
-グアニジン:ドジン、イミノクタジン、グアザチン;
-抗生物質:カスガマイシン、ポリオキシン、ストレプトマイシン、バリダマイシンA;
-有機金属化合物:フェンチン塩;
-硫黄を含有するヘテロシクリル化合物:イソプロチオラン、ジチアノン;
-有機リン化合物:エジフェンホス、ホセチル、ホセチルアルミニウム、イプロベンホス、ピラゾホス、トルクロホス-メチル、亜リン酸およびその塩;
-有機塩素化合物:チオファネート-メチル、クロルタロニル、ジクロフルアニド、トリルフルアニド、フルスルファミド、フタリド、ヘキサクロルベンゼン、ペンシクロン、キントゼン;
-ニトロフェニル誘導体:ビナパクリル、ジノカップ、ジノブトン;
-無機活性成分:ボルドー混合物、酢酸銅、水酸化銅、オキシ塩化銅、塩基性硫酸銅、硫黄;
-その他:スピロキサミン、シフルフェナミド、シモキサニル、メトラフェノン、ビフェニル、ブロノポル、ジフェニルアミン、ミルジオマイシン、オキシン-銅、プロヘキサジオン-カルシウム、トリルフルアニド、
N-(シクロプロピルメトキシイミノ-(6-ジフルオロメトキシ-2,3-ジフルオロフェニル)メチル)-2-フェニルアセトアミド、
N'-(4-(4-クロロ-3-トリフルオロメチルフェノキシ)-2,5-ジメチルフェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン、
N'-(4-(4-フルオロ-3-トリフルオロメチルフェノキシ)-2,5-ジメチルフェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン、
N'-(2-メチル-5-トリフルオロメチル-4-(3-トリメチルシラニルプロポキシ)フェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン、
N'-(5-ジフルオロメチル-2-メチル-4-(3-トリメチルシラニルプロポキシ)フェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン。
【0130】
とりわけストロビルリンに対する混合パートナーは窒素を含有するヘテロ環式化合物、カーバメート、ジチオカーバメートおよびモルホリンのなかから選択される、特にジエトフェンカルブ、フルベンチアバリカルブ、イプロバリカルブ、プロパモカルブ、メチル3-(4-クロロフェニル)-3-(2-イソプロポキシカルボニルアミノ-3-メチル-ブチリルアミノ)プロピオナート、4-フルオロフェニルN-(1-(1-(4-シアノフェニル)エタンスルホニル)ブタ-2-イル)カルバマート、フェルバム、マンコゼブ、マンネブ、メチラム、メタム、プロピネブ、チラム、ジネブ、ジラム、アルジモルフ、ドデモルフ、フェンプロピモルフ、トリデモルフおよびホルペット、とりわけメチラム、フェンプロピモルフおよびホルペットのなかから選択される殺真菌剤である。
【0131】
本発明による組成物のある好ましい実施形態において、活性成分b)はストロビルリン、特に好ましいと記載したストロビルリン、特にピラクロストロビンであるか、または1以上のストロビルリンの先に定義した1以上のさらなる殺真菌剤との混合物である。非常に特に好ましいのは、ストロビルリンが特に好ましいと記載したストロビルリン、特にピラクロストロビンである混合物である。
【0132】
本発明のとりわけ好ましい実施形態において、組成物中の活性成分は、ピラクロストロビン、クレソキシム-メチル、ジモキシストロビン、ピコキシストロビン、トリフロキシストロビン、エネストロブリン、オリサストロビン、メトミノストロビン、アゾキシストロビンおよびフルオキサストロビンから選択されるストロビルリンを含み、このストロビルリンは組成物中で、任意に、1つまたは2つの先に定義したさらなる殺真菌剤と一緒に存在し、ピラクロストロビンが好ましいストロビルリンである。ストロビルリンとさらなる殺真菌剤の組合わせの例は、限定されるものでないが、ピラクロストロビンとメチラム、アゾキシストロビンとメチラム、クレソキシム-メチルとメチラム、ピラクロストロビンとホルペット、アゾキシストロビンとホルペット、クレソキシム-メチルとホルペットを含む。
【0133】
本発明の他の好ましい実施形態において、組成物中に存在する植物保護剤は、コナゾール殺真菌剤のグループからの少なくとも1つの殺真菌活性成分、特にトリアゾール類のグループから選択されるコナゾール殺真菌剤、特にエポキシコナゾールを含む。この実施形態において、組成物はコナゾール殺真菌剤を唯一の活性成分としてまたはさらなる活性成分、例えば、殺虫剤または殺真菌活性成分と組合わせて含んでもよい。特に、活性成分の組合わせは、少なくとも1つのコナゾール殺真菌剤、とりわけエポキシコナゾールと少なくとも1つのストロビルリン、特にピラクロストロビン、ならびに、適宜、さらなる活性成分、例えばフェンプロピジン;2つの異なるコナゾール殺真菌剤、とりわけエポキシコナゾールとエポキシコナゾール以外の少なくとも1つのさらなるコナゾール殺真菌剤、特にプロクロラズ、シプロコナゾール、フルキンコナゾール、ヘキサコナゾール、メトコナゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、テブコナゾールおよびトリチコナゾールのなかから選択されるコナゾール殺真菌剤、とりわけメトコナゾール、フルキンコナゾールおよびプロチオコナゾールとの組合わせである。
【0134】
他の好ましい本発明の実施形態において、組成物中に存在する植物保護剤は、式IX:
【化5】

[式中、置換基は次の意味を有する:
G、E、Qについては、
a)GはNであり;EはC-W2でありおよびQはNまたはC-W3であり;
b)GはC-W1であり;EはC-W2でありおよびQはNであり;または
c)GはC-W1であり;EはNでありおよびQはC-W3であり;
W1、W2、W3はそれぞれお互いに独立して水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-C4-アルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルキニル、C1-C4-ハロアルキル、ヒドロキシ-C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、C2-C6-ハロアルケニル、C2-C6-ハロアルキニル、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-ハロシクロアルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-ハロアルコキシ、C1-C4-アルキルチオ、C1-C4-アルキルスルフィニルまたはC1-C4-アルキルスルホニル、ホルミル、チオカルバモイル、C1-C4-アルキルカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニル、C1-C4-アルキルアミノカルボニル、アミノカルボニル、ジ-(C1-C4-アルキル)アミノカルボニル、C1-C4-アルコキシイミノカルボニル、ヒドロキシイミノアルキル、CR10R11OR12、C(R13)=NR14であり;
R10,R11,R12はお互いに独立して水素、C1-C8-アルキル、C3-C6-シクロアルキル、C1-C8-アルコキシ-C1-C8-アルキル、C2-C8-アルケニル、C2-C8-アルキニル、ベンジルであり;
R11とR12は一緒にオキシ-C1-C5-アルキレンオキシ(ここで、炭素鎖はメチル、エチル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、エトキシメチルのなかから選択される1〜3つの基により置換されていてもよい)であってもよく;
R13は水素またはC1-C8-アルキルであり;
R14はC1-C8-アルキル、C3-C6-シクロアルキル、フェニル、フェニルアミノであり、フェニル基は1〜5つの基Rbにより置換されていてもよく;
RはNR1R2、またはC1-C10-アルキル、C1-C10-ハロアルキル、C2-C10-アルケニル、C2-C10-ハロアルケニル、C2-C10-アルキニル、C2-C10-ハロアルキニル、C3-C12-シクロアルケニル、C3-C12-ハロシクロアルケニル、フェニル、ハロフェニル、ナフチル、ハロナフチル、または1個の炭素原子が結合しかつ部分的にまたは全てハロゲン化されていてもよい、酸素、窒素および硫黄原子からなる群より選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含む5、6、7、8、9または10員の飽和、部分的不飽和または芳香族ヘテロ環であり;ここで、Rは1、2、3または4つの同一のまたは異なる基Raを含んでもよく;
Raは、お互いに独立して、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシル、C1-C6-アルキル、C2-C6-アルキニル、C3-C6-シクロアルキル、C3-C8-シクロアルケニル、C1-C6-アルコキシ、C2-C6-アルケニルオキシ、C3-C6-アルキニルオキシ、C3-C6-シクロアルコキシ、C3-C6-シクロアルケニルオキシ、C(O)RΠ、C(O)ORΠ、C(S)ORΠ、C(O)SRΠ、C(S)SRΠ、OC(O)ORΠ、C1-C6-アルキルチオ、アミノ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ-C1-C6-アルキルアミノ、アミノカルボニル、C(O)NHRΠ、C(O)NRΠ2、C1-C6-アルキレン、オキシ-C1-C4-アルキレン、オキシ-C1-C3-アルキレンオキシ(ここで二価の基は同じ原子または隣接する原子と結合していてもよい)、フェニル、ナフチル、酸素、窒素および硫黄原子からなる群より選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含む5、6、7、8、9または10員の飽和、部分的不飽和または芳香族ヘテロ環のなかから選択され;
RΠはC1-C8-アルキル、C3-C8-アルケニル、C3-C8-アルキニル、フェニル、ナフチル、酸素、窒素および硫黄原子からなる群より選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含む5、6、7、8、9または10員の飽和、部分的不飽和または芳香族ヘテロ環であるか、またはC3-C6-シクロアルキルまたはC3-C6-シクロアルケニルであり、基RΠは部分的にまたは全てハロゲン化されていてもよく;
上記の基RaおよびRΠにおける脂肪族、脂環族または芳香族基は順に、1、2または3つの基Rbを保持することも可能であり;
Rbはシアノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノチオカルボニル、ジアルキルアミノチオカルボニル、(これらの基のアルキル基は1〜6個の炭素原子を含み、上記のこれらの基のアルケニルまたはアルキニル基は2〜8個の炭素原子を含む);シクロアルキル、シクロアルコキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ(ここで環系は3〜10環員を含む);アリール、アリールオキシ、アリールチオ、アリール-C1-C6-アルコキシ、アリール-C1-C6-アルキル、ヘタリール、ヘタリールオキシ、ヘタリールチオ、(ここでアリール基は好ましくは6〜10個の環員を含み、ヘタリール基は5または6環員を含み、環系は部分的にまたは全てハロゲン化されるおよび/またはアルキルまたはハロアルキル基により置換されることも可能である);
R1、R2はお互いに独立して水素、C1-C12-アルキル、C2-C12-アルケニル、C2-C12-アルキニル、C3-C8-シクロアルキル、C3-C6-シクロアルケニル、C1-C8-アルコキシ、C2-C8-アルケニルオキシ、C2-C8-アルキニルオキシ、C3-C8-シクロアルコキシ、NH2、C1-C8-アルキルアミノ、ジ-C1-C8-アルキルアミノ、フェニル、ナフチルまたは酸素、窒素および硫黄原子からなる群より選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含む5または6員の飽和、部分的不飽和または芳香族ヘテロ環、またはZ-Y-(CR7R8)p-(CR5R6)q-CR3R4-#(式中、#は窒素原子との結合部位である)であり;そして
R3,R4,R5,R6,R7,R8はお互いに独立して水素、ハロゲン、C1-C8-アルキル、C1-C8-ハロアルキル、C2-C8-アルケニル、C2-C8-ハロアルケニル、C2-C8-アルキニル、C2-C8-ハロアルキニル、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-ハロシクロアルキル、C3-C6-シクロアルケニル、C3-C6-ハロシクロアルケニル、フェニル、ナフチルまたは酸素、窒素および硫黄原子からなる群より選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含む5または6員の飽和、部分的不飽和または芳香族ヘテロ環(この環状基は部分的にまたは全てハロゲン化されていてもよくおよび/または 1以上のRΠにより置換されていてもよい);
R5はまたR3またはR7と、これらの基と結合している原子と一緒に5、6、7、8、9または10員の飽和または部分的不飽和の環を形成してもよく、その環は炭素原子に加えて、酸素、窒素および硫黄原子からなる群より選択される1、2または3個のヘテロ原子を環員として含んでもよくおよび/またはその環は1以上の置換基Raを保持してもよく;
R3はR4と、R5はR6と、R7はR8とそれぞれ一緒にカルボニル基を形成するための酸素を意味するか、または、スピロ基を形成するためのC2-C5-アルキレンまたはアルケニレン、アルキニレン鎖(この鎖は酸素、窒素および硫黄原子からなる群より選択される1、2または3個のヘテロ原子により中断されてもよい)であり;
R1とR3は共同でそれらが結合している窒素原子と一緒に5、6、7、8、9または10員の飽和、部分的不飽和または芳香族ヘテロ環を形成してもよく、この環は炭素原子に加えて酸素、窒素および硫黄原子からなる群より選択される1、2または3個のさらなるヘテロ原子を環員として含んでもよく;
R3、R4、R5、R6、R7、R8はお互いに独立して部分的にまたは全てハロゲン化されていてもよく;
R1〜R8はそれぞれの場合に独立して1、2、3または4個の同一のまたは異なる基Raを保持してもよく;
Yは酸素または硫黄であり;
Zは水素、カルボキシル、ホルミル、C1-C8-アルキル、C1-C8-ハロアルキル、C2-C8-アルケニル、C2-C8-ハロアルケニル、C2-C8-アルキニル、C2-C8-ハロアルキニル、C3-C6-シクロアルキル、C3-C8-シクロアルケニル、C(O)RΠ、C(O)ORΠ、C(S)ORΠ、C(O)SRΠ、C(S)SRΠ、C(NRA)SRΠ、C(S)RΠ、C(NRΠ)NRARB、C(NRΠ)RA、C(NRΠ)ORA、C(O)NRARB、C(S)NRARB、C1-C8-アルキルスルフィニル、C1-C8-アルキルチオ、C1-C8-アルキルスルホニル、C(O)-C1-C4-アルキレン-NRAC(NRΠ)NRARB、C(S)-C1-C4-アルキレン-NRAC(NRΠ)NRARB、C(NRΠ)-C1-C4-アルキレン-NRAC(NRΠ)NRARB、フェニル、ナフチル、酸素、窒素および硫黄原子からなる群より選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含む5、6、7、8、9または10員の飽和、部分的不飽和または芳香族ヘテロ環(このヘテロ環は直接またはカルボニル、チオカルボニル、C1-C4-アルキルカルボニルまたはC1-C4-アルキルチオカルボニル基を介して結合されている)であり;基Zの炭素鎖は1以上の基Rbにより置換されていてもよく;
RA、RBはお互いに独立して水素、C2-アルケニル、C2-アルキニルまたはRΠにおいて記載した基の1つであり;RAとRBは結合している窒素原子と一緒に、またはRAとRΠは結合している炭素およびヘテロ原子(これを経由して結合している)と一緒に、3〜10員の飽和、部分的不飽和または芳香族の単環または二環の環を形成してもよく、この環は炭素原子に加えて、酸素、窒素および硫黄原子からなる群より選択される1、2または3個のさらなるヘテロ原子、1以上のオキソ基および/または1以上の置換基Rbを環員として含んでもよく;または
Zはまた、R6またはR8と共に5または6員の飽和または部分的不飽和の環を形成してもよく、この環は炭素原子およびYに加えて、窒素および硫黄からなる群より選択される1または2個のさらなるヘテロ原子を環員として含んでもよくおよび/または以下に定義する1以上の置換基Raを保持してもよく;
Z基は部分的にまたは全てハロゲン化されていてもよくおよび/または1、2または3つの基Rbを保持してもよく;
R1とR2はまた、それらが結合する窒素原子と一緒に、部分的または全てハロゲン化されていてもよい5、6、7、8、9または10員の飽和、部分的不飽和または芳香族単環または二環式ヘテロ環を形成してもよく、その環は炭素原子に加えて、酸素、窒素および硫黄原子からなる群より選択される1、2または3個のさらなるヘテロ原子を環員として含んでもよく、およびRa、Z-Y-#およびZ-Y-(CR5R6)q-CR3R4-#(ここで#はヘテロ環との結合部位である)のなかから選択される1、2または3つの置換基を保持してもよく;
pは0、1、2、3、4、または5であり;
qは0または1であり;
Wはフェニルまたは炭素原子に加えて、酸素、窒素および硫黄原子からなる群より選択される1、2または3個のさらなるヘテロ原子を環員として含有する5または6員のヘテロアリールであり;ここでその環系は、基Lmに加えて、少なくとも1つの置換基P1を保持し、
P1はY1-Y2-Tであり;
Y1はCRARB、C(=T2)O、C(=T2)NRA、O、OC(=T2)、NRAまたはS(O)rであり;
Y2はC1-C8-アルキレン、C2-C8-アルケニレン、C2-C8-アルキニレンであり、ここでY2はNRA、O、S(O)rからなる群より選択される1、2または3個のヘテロ原子により中断されてもよく
rは0、1または2であり;
TはYR、YRA、NRARB、YNRARB、C(NORA)RB、S(O)rRA、N(RA)-T1-C(=T2)-T3、T1-C(=T2)-[(Y2)q-C(=T2)]p-T3、T1-C(=T2)-[Y2-T1-C(=T2)]p-T3、T1-C(=T2)-[T1-Y2-C(=T2)]p-T3またはT1-C(=T2)-[NRA-(NRB)q-C(=T2)]p-T3であり;
T1は直接結合、O、S、NRAであり;
T2はY、NRAであり;
T3はR、RB、RΠ、YRB、NRARBであり;
ここで基P1中の炭素原子は部分的にまたは全てハロゲン化されていてもおよび/または1以上の基Rbにより置換されていてもよく;
Lはハロゲン、ヒドロキシ、シアナト(OCN)、シアノ、ニトロ、C1-C8-アルキル、C1-C8-ハロアルキル、C2-C10-アルケニル、C2-C10-ハロアルケニル、C2-C10-アルキニル、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-ハロシクロアルキル、C3-C6-シクロアルケニル、C1-C8-アルコキシ、C1-C8-ハロアルコキシ、C2-C10-アルケニルオキシ、C2-C10-アルキニルオキシ、C3-C6-シクロアルキルオキシ、C3-C6-シクロアルケニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、ジ-(C1-C4)-アルキルアミノ、C1-C4-アルキルカルボニルアミノ、C(O)-RΦ、C(S)-RΦ、S(O)r-RΦ;C1-C8-アルコキシイミノ-(C1-C8)-アルキル、C2-C10-アルケニルオキシイミノ-(C1-C8)-アルキル、C2-C10-アルキニルオキシイミノ-(C1-C8)-アルキル、C2-C10-アルキニルカルボニル、C3-C6-シクロアルキルカルボニル、または酸素、窒素および硫黄原子からなる群より選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含む5、6、7、8、9または10員の飽和、部分的不飽和または芳香族ヘテロ環であり;
RΦは水素、C1-C4-アルキル、C1-C2-ハロアルキル、C1-C4-アルコキシ、C2-C4-アルケニルオキシ、C2-C4-アルキニルオキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノ、ジ-C1-C4-アルキルアミノであり;ここで基RΦは、1、2または3つの同一のまたは異なる以上に定義した基Rbにより置換されていてもよく;
mは0、1、2、3、4または5であり;
Xはハロゲン、シアノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-アルコキシまたはC1-C4-ハロアルコキシ、アミノ、C1-C4-アルキルアミノまたはジ-C1-C4-アルキルアミノ、特にハロゲンである]
で表されるアゾロピリミジンのグループからの少なくとも1つの殺真菌活性成分およびその農学的に許容される塩を含む。
【0135】
好ましいアゾロピリミジンは、GおよびQがNであり、EがCHであり、およびXがハロゲン、特に塩素である。好ましい式IXの化合物の例は、
5-クロロ-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、
6-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、
6-(4-tert-ブチルフェニル)-5-メチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、
5-メチル-6-(3,5,5-トリメチルヘキシル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、
5-メチル-6-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、
5-エチル-6-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2,7-ジアミン、
6-エチル-5-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、
5-エチル-6-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、
5-エチル-6-(3,5,5-トリメチル-ヘキシル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、
6-オクチル-5-プロピル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、
5-メトキシメチル-6-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、
6-オクチル-5-トリフルオロメチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、
5-トリフルオロメチル-6-(3,5,5-トリメチルヘキシル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミンおよびその農学的に許容される塩である。
【0136】
この実施形態において、組成物は、式IXのアゾロピリミジンに加えて、さらに、1以上のさらなる植物保護剤、特に殺真菌剤を含みうる。アゾロピリミジンIXと一緒に使用することができる殺真菌剤の次のリストは、説明を意図するものであって、決して可能な組合わせを制限するものでない。
【0137】
ストロビルリン:
例えば、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロブリン、フルオキサストロビン、クレソキシム-メチル、メトミノストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、トリフロキシストロビン、オリサストロビン、メチル(2-クロロ-5-[1-(3-メチルベンジルオキシイミノ)エチル]ベンジル)カルバマート、メチル(2-クロロ-5-[1-(6-メチルピリジン-2-イルメトキシイミノ)エチル]ベンジル)カルバマート、メチル2-(オルト-((2,5-ジメチルフェニルオキシメチレン)フェニル)-3-メトキシアクリラート;
【0138】
カルボキサミド類
-カルボキシアニリド:例えばベナラキシル、ベノダニル、ボスカリド、カルボキシン、メプロニル、フェンフラム、フェンヘキサミド、フルトラニル、フラメトピル、メタラキシル、オフレース、オキサジキシル、オキシカルボキシン、ペンチオピラド、チフルザミド、チアジニル、
4-ジフルオロメチル-2-メチルチアゾール-5-(4'-ブロモビフェニル-2-イル)カルボキサミド、
4-ジフルオロメチル-2-メチルチアゾール-5-(4'-トリフルオロメチルビフェニル-2-イル)カルボキサミド、
4-ジフルオロメチル-2-メチルチアゾール-5-(4'-クロロ-3'-フルオロビフェニル-2-イル)カルボキサミド、
3-ジフルオロメチル-1-メチルピラゾール-4-(3',4'-ジクロロ-4-フルオロビフェニル-2-イル)カルボキサミド、
3-ジフルオロメチル-1-メチルピラゾール-4-(3',4'-ジクロロ-5-フルオロビフェニル-2-イル)カルボキサミド、
3,4-ジクロロイソチアゾール-5-(2-シアノフェニル)カルボキサミド;
-カルボン酸モルホリド:ジメトモルフ、フルモルフ;
-ベンズアミド:フルメトベル、フルオピコリド(ピコベンザミド)、ゾキサミド;
-その他のカルボキサミド:カルプロパミド、ジクロシメット、マンジプロパミド、
N-(2-(4-[3-(4-クロロフェニル)プロパ-2-イニルオキシ]-3-メトキシフェニル)エチル)-2-メタンスルホニルアミノ-3-メチル-ブチルアミド、
N-(2-(4-[3-(4-クロロフェニル)プロパ-2-イニルオキシ]-3-メトキシフェニル)エチル)-2-エタンスルホニルアミノ-3-メチルブチルアミド、
【0139】
アゾール類
-トリアゾール:ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、エニルコナゾール、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルシラゾール、フルキンコナゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメノール、トリアジメホン、トリチコナゾール;-イミダゾール:シアゾファミド、イマザリル、ペフラゾエート、プロクロラズ、トリフルミゾール;
-ベンゾイミダゾール:ベノミル、カルベンダジム、フベリダゾール、チアベンダゾール;-その他:エタボキサム、エトリジアゾール、ヒメキサゾール;
【0140】
窒素を含有するヘテロシクリル化合物
-ピリジン:フルアジナム、ピリフェノックス、3-[5-(4-クロロフェニル)-2,3-ジメチルイソキサゾリジン-3-イル]ピリジン;
-ピリミジン:ブピリメート、シプロジニル、フェリムゾン、フェナリモル、メパニピリム、ヌアリモール、ピリメタニル;
-ピペラジン:トリホリン;-ピロール:フルジオキソニル、フェンピクロニル;-モルホリン:アルジモルフ、ドデモルフ、フェンプロピモルフ、トリデモルフ;-ジカルボキシイミド:イプロジオン、プロシミドン、ビンクロゾリン;
-その他:アシベンゾラル-S-メチル、アニラジン、カプタン、カプタホル、ダゾメット、ジクロメジン、フェノキサニル、ホルペット、フェンプロピジン、ファモキサドン、フェナミドン、オクチリノン、プロベナゾール、プロキナジド、ピロキロン、キノキシフェン、トリシクラゾール、2-ブトキシ-6-ヨード-3-プロピルクロメン-4-オン、3-(3-ブロモ-6-フルオロ-2-メチルインドール-1-スルホニル)-[1,2,4]トリアゾール-1-ジメチルスルホンアミド;
【0141】
カーバメート類およびジチオカーバメート類
-ジチオカーバメート;フェルバム、マンコゼブ、マンネブ、メチラム、メタム、プロピネブ、チラム、ジネブ、ジラム;
-カーバメート:ジエトフェンカルブ、フルベンチアバリカルブ、イプロバリカルブ、プロパモカルブ、メチル3-(4-クロロ-フェニル)-3-(2-イソプロポキシカルボニルアミノ-3-メチルブチリルアミノ)プロピオナート、4-フルオロフェニルN-(1-(1-(4-シアノフェニル)エタンスルホニル)ブタ-2-イル)カルバマート;
【0142】
その他の殺真菌剤
-グアニジン:ドジン、イミノクタジン、グアザチン;
-抗生物質:カスガマイシン、ポリオキシン、ストレプトマイシン、バリダマイシンA;
-有機金属化合物:フェンチン塩;
-硫黄を含有するヘテロシクリル化合物:イソプロチオラン、ジチアノン;
-有機リン化合物:エジフェンホス、ホセチル、ホセチルアルミニウム、イプロベンホス、ピラゾホス、トルクロホス-メチル、亜リン酸およびその塩;
-有機塩素化合物:チオファネートメチル、クロロタロニル、ジクロフルアニド、トリルフルアニド、フルスルファミド、フタリド、ヘキサクロロベンゼン、ペンシクロン、キントゼン;
-ニトロフェニル誘導体:ビナパクリル、ジノカップ、ジノブトン;
-無機活性成分:ボルドー混合物、酢酸銅、水酸化銅、オキシ塩化銅、塩基性硫酸銅、硫黄;
-その他:スピロキサミン、シフルフェナミド、シモキサニル、メトラフェノン。
【0143】
組成物中に存在する殺真菌活性成分に応じて、組成物は、木質植物を次の真菌病原体による感染から保護するために、またはこれらの病原体による感染および/またはそれらが原因となる病気を治療するために用いることができる。
【0144】
ボトリオスフェリア(Botryosphaeria)属、シリンドロカルポン(Cylindrocarpon)属、エウティパ・ラタ(Eutypa lata)、ネオネクトリア・リリオデンドリ(Neonectria liriodendri)およびキウロコタケ(Stereum hirsutum);
子嚢菌類(Ascomycetes)、不完全菌類(Deuteromycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)、卵菌類(Peronosporomycetes(同義語:oomycetes))、および不完全真菌(Fungi imperfecti);
子嚢菌類(Ascomycetes)、例えば、オフィオストマ属(Ophiostoma spp.)、セラトシスティス属(Ceratocystis spp.)、アウレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)、スクレロホマ属(Sclerophoma spp.)、カエトミウム属(Chaetomium spp.)、フミコラ属(Humicola spp.)、ペトリエラ属(Petriella spp.)、トリクルス属(Trichurus spp.)など;
担子菌類(Basidiomycetes)、例えば、コニオホラ属(Coniophora spp.)、コリオルス属(Coriolus spp.)、グロエオフィルム属(Gloeophyllum spp.)、レンチヌス属(Lentinus spp.)、プレウロタス属(Pleurotus spp.)、ポリア属(Poria spp.)、セルプラ属(Serpula spp.)およびチロミセス属(Tyromyces spp.)など;
不完全菌類(Deuteromycetes)、例えば、アスペルギルス属(Aspergillus spp.)、クラドスポリウム属(Cladosporium spp.)、ペニシリウム属(Penicillium spp.)、トリコデルマ属(Trichoderma spp.)、アルタナリア属(Alternaria spp.)、パエシロミセス属(Paecilomyces spp.)など;および接合菌類(Zygomycetes)、例えば、ムコール属(Mucor spp.)など;
グロメレラ・シングラタ(Glomerella cingulata)、グイグナルディア・ブデリ(Guignardia budelli)、イサリオプシス・クラビスポラ(Isariopsis clavispora);
フォモプシス属(Phomopsis species)、例えば、P・ビチコラ(P. viticola)、プラスモラ・ビチコラ(Plasmopara viticola)、シュードペジクラ・トラケイフィライ(Pseudopezicula tracheiphilai)、エリシフェ(Erysiphe、同義語:Uncinula)・ネカトル(necator)など。
【0145】
一実施形態において、本発明は特に次の菌類が原因である病気を保護および治療するのに好適である:
ファエモニエラ(Phaemoniella)属(chlamydospora、aleophilum、parasiticum)、
ファエオアクレモニウム(Phaeoacremonium)属(aleophilum、inflatipes、chlamydosporum、angustius、viticola、rubrigenum、parasiticum)、
フォルミチポラ・メジテラネア(Formitipora mediterranea、同義Phellinus punctatus、Phellinius igniarius、Fomitiporia punctata)、
エウティパ・ラタ(Eutypa lata)、エウティパ・アルメニアカエ(Eutypa armeniacae)、リベルテラ・ブレファリス(Libertella blepharis)、
キウロコタケ(Stereum hirsutum)、
フォモプシス(Phomopsis)属(viticola、amygdalii)、
ボトリオスフェリア(Botryosphaeria)属(australis、dothidea、obtusa、stevensii、parva、rhodina)、
シリンドロカルポン(Cylindrocarpon)属(destructans、optusisporum)、
カンピロカルポン(Campylocarpon)属、
グイグナルディア(Guignardia )属(budelli、rubrigenum)、
エルシノエ・アンペリナ(Elsinoe ampelina)、
ヴェルティシリウム(Verticilium)属、
アルミラリア・メレア(Armillaria mellea)、
クリトピルス・ホブソニイ(Clitopilus hobsonii)、
フラムリナ・ヴェルチペス(Flammulina velutipes)、
プロイロツス・プルモナリウス(Pleurotus pulmonarius)
イノノツス・ヒスピヅス(Inonotus hispidus)、
トラメテス・ヒルスタ(Trametes hirsuta)、トラメテス・ヴェルシコロル(Trametes versicolor)、
ペニフォラ・インカルナテ(Peniphora incarnate)
ヒルネオラ・アウリクラエ−ユダエ(Hirneola auriculae-judae)、
ジアポルテ(Diaporthe)属(helianthi、ambigua)、
プロイロストモフォラ種(Pleurostomophora sp.)
カドフォラ種(Cadophora sp.)
フィアレモニウム種(Phialemonium sp.)。
【0146】
一実施形態において、本発明による組成物は特にブドウのつるのエルシノエ・アンペリナ(Elsinoe ampelina)に対して保護しかつ防除するのに好適である。
【0147】
ある好ましい実施形態においては、本発明による組成物を木質植物、とりわけブドウのつるをエスカから保護するために、すなわち、木質植物、とりわけブドウのつるをエスカ病に関係する病原複合体による感染から保護するために用いる。本発明による組成物はまた、木質植物、とりわけブドウのつるを治療するために、またはエスカを引き起こす病原体に感染した木質植物を治療するために用いることもできる。以上に既に説明したように、この病気は、中欧でしばしば主な病原体ファエモニエラ・クラミドスポラ(Phaeomoniella chlamydospora)、ファエオアクレモニウム属(aleophilum、inflatipes、chlamydosporum)、およびフォルミチポラ・メジテラネア(Formitipora mediterranea、同義、Phellinus punctatus、Fomitiporia punctata)により引き起こされる。この場合、本発明による組成物は好ましくは、少なくとも1つのストロビルリン、特に少なくとも1つの 好ましいとして示したストロビルリン、とりわけピラクロストロビンを、適宜、少なくとも1つのさらなる植物保護剤、とりわけ殺真菌剤と組合わせて含むものであり、好ましい組合わせについて先に記載したことはここでも適用される。
【0148】
本発明による組成物は広範囲のブドウのつる変種のエスカに対する保護またはエスカの治療用に好適である。ブドウのつる変種の例は、白ワインおよび赤ワインブドウのつる変種、例えば、白ワインのブドウのつる変種、例えば、ミュラー・トゥールガオ、バックス、リースリング、ショイレーベ、シルヴァーナ、ケルナー、グートエーデル、ファーベルレーベ、オルテガ、フクセルレーベ、エルプリング、モリオ・ムスカート、サルタナ、シャルドネ、アイレン、トレッビアーノおよびトレッビアーノ変種、レジーナ、シュナンブラン、パルディーリョ、マスカットゴールド、マカベオ、ヴェルシュリースリング、パロミノ、グートエーデル、セミヨン、コロンバール、フェルナン・ピレス、ペドロ・ヒメネス、グリューナー・フェルトリーナー、ピノ・グリ、ピノ・ブラン、カタラット・ビアンコ、ガルガネーガ、ミュスカデ、パレリャーダ、ソーヴィニョン・ブランおよびゲヴュルツトラミネール、ならびにまた赤ワインのブドウのつる変種、例えば、ドルンフェルダー、レンベルガー、テンプラニーニョ、カリニャン、グルナッシュ・ノワール、メルロー、カベルネ・ソーヴィニョン、サンジョヴェーゼ、シラーズ、ボバル、モナストレル、イサベラ、ピノ・ノワール、パイス、サンソー、カベルネ・フラン、ガメ、セレーサ、クリオージャ、カダルカ、アリカンテ・ブーシェ、コンコード、カルディナーレ、ジンファンデル、マルベック、プリミティーヴォ、ピノ・ムニエ、レゲント、サン・ローラン、アコロン、ドゥンケルフェルダー、カベルネ・ミトス、ドルサ、キュビン、ドリオ、ポルトギーザー、メンシア、シェルヴァおよびトロリンガーなどである。
【0149】
他の実施形態において、本発明による組成物は細菌に対する少なくとも1つの活性成分、好ましくは根頭がんしゅ病(Agrobacterium vitis)および/またはフィトプラズマ(phytoplasmas)に対する活性をもつ少なくとも1つの活性成分を含む。殺細菌活性成分が、本発明による組成物中に単独で、または1以上の他の活性成分、特に殺真菌活性をもつ成分、そしてとりわけストロビルリンのグループからの1以上の活性成分と一緒に存在してもよい。
【0150】
さらなる実施形態において、本発明による組成物は少なくとも1つの殺虫剤を含む。殺虫剤は、本発明による組成物中に単独で、または1以上の他の活性成分、特に殺真菌活性をもつ成分、そしてとりわけストロビルリンのグループからの1以上の活性成分と一緒に存在してもよい。
【0151】
次の殺虫剤のリストに詳しく記載した物質のグループは、本発明による組成物中に存在してもよい物質のクラスの例である。ここに掲げるのは説明のためであって、以下に掲げた殺虫剤に限定するものではない。
【0152】
有機(チオ)リン酸塩、カーバメート、ピレスロイド、幼若ホルモン擬似体、ニコチンの受容体アゴニスト/アンタゴニスト、GABAゲート塩化物チャネルアンタゴニスト、塩化物チャネルアクチベーター、METII、IIまたはIII化合物、酸化性リン酸化のデカップラー、酸化性リン酸化のインヒビター、脱皮インヒビター、相乗作用因子(synergist)、ナトリウム-チャネルブロッキング化合物、燻蒸剤(fumigant)、選択的なフィーディングブロッカー、ダニ成長インヒビター、キチン合成インヒビター、脂質生合成インヒビター、リアノジン受容体モジュレーター、アントラニルアミド、マロノニトリル化合物および微生物破壊剤(例えば:バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)など)。
【0153】
これらのグループのなかからの化合物は市販されているかまたは文献、例えば、The Pesticide Manual、13th Edition、British Crop Protection Council (2003)から公知である。
【0154】
特別な実施形態において、本発明による表面シーラントは、次の昆虫に対して活性のあることが当業者に公知である殺虫剤を含有する:
同翅類(Homoptera):
セミ科:周期ゼミ(Magiciada septendecim)、Magicicada cassini、Magicicada septendecula;
カタカイガラムシ科(Coccidae):欧州果実カイガラムシ(Lecanium corni)
ココイデア科(Cocoidea:カイガラムシ類科):シルト虱(Pulvinaria vitis、Heliococcus bohemicus、Phenaloccus aceris)
マルカイガラムシ科(Diaspididae):Diaspididae uvae(ブドウのスケール)
半翅目(Hemiptera):
シュードカタカイガラムシ科(Pseudococcidae):ブドウのコナカイガラムシ(Pseudococcus maritimus、Planococcus ficus)
ネアブラムシ属(Phylloxera):ネアブラムシ属(Viteus vitifoliae)、ネアブラムシ(Pemphigus bursarius)
甲虫目(Coleoptera):
ゾウムシ科(Curculionidae):Ampeloglypter sesostris (ブドウの茎のコブムシ)、Ampeloglypter ampelopsis(ブドウの茎の取巻きムシ)、ブタクサ属甲虫(Xylosandrus germanus、Xyleborinus saxeseni)
ハムシ科(Chrysomelidae):Fidia viticida(ブドウの根ムシ)
カミキリムシ科(Cerambycidae):Clytoleptus albobasciatus(ブドウの幹クイムシ)
キクイムシ科(Scolytidae):欧州キクイムシ(Xyleborus dispar)、黒幹クイムシ (Xylosandrus germanus)
鱗翅目(Lepidoptera):
スカシバガ科(Sesiidae): Vitacea polistiformis (ブドウの根クイムシ)
ハマキガ科(Tortricidae):欧州ブドウのガ(Eupoecilia amiguella)、欧州ブドウのつるのガ(Lobesia botrana)
直翅目(Orthoptera):
コオロギ科(Gryllidae):Oecanthus fultoni(スノーツリーコオロギ)
総翅目(Thysanoptera):
アザミウマ科(Thripidae):アザミウマ、とりわけRebenthrips(ブドウのつるのアザミウマ)
クモ綱(Arachnida):
ダニ目(Acari):ブドウのサビダニ(Calepitrimerus vitis)、ブドウのつるの葉の発疹ダニ
等翅目(Isoptera):シロアリ
他の実施形態において、組成物は細菌に対する少なくとも1つの活性成分、特に、根頭がんしゅ病(Agrobacterium vitis)および/またはフィトプラズマ(phytoplasmas)に対して有効である活性成分を含む。
【0155】
一実施形態においては、本発明による組成物は、植物の抵抗刺激剤、好ましくはメッセンジャー物質様物質またはメッセンジャー物質の活性を修飾する物質を含む。本発明による組成物は、抵抗性刺激剤を好ましくは少なくとも1つの殺真菌剤または殺虫剤と組合わせて含む。とりわけ好ましい物質はエチレン、サリチル酸またはジャスモン酸エステルの活性を有するものまたは植物中のこれらの内因性物質の活性を修飾するものである。非常に特に好ましいのはジャスモン酸メチルおよび安息香酸誘導体である。サリチル酸が最も好ましい。
【0156】
シーリング材料および植物保護剤に加えて、本発明による噴霧可能な組成物およびまた本発明による流動性組成物は少なくとも1つの揮発性希釈剤を含む。
【0157】
揮発性希釈剤は、水だけでなく、1barにて150℃未満の沸点をもつ有機溶媒も意味すると解釈される。希釈剤は、成分a)およびb)を溶解、または分散または乳化する役割を果たす。
【0158】
好適な揮発性希釈剤は水、C1-C6-アルカノール、特にエタノール、n-およびイソ-プロパノール、n-ブタノールなどのC2-C4-アルカノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどの3〜6個の炭素原子を有するケトン、さらに、エチレングリコールおよびこれらの溶媒の混合物、特に水との混合物である。本発明のある好ましい実施形態において、希釈剤は水性希釈剤、すなわち水かまたは水と上記有機溶媒の1つとの混合物であって、ほとんどまたは全く水と混和し、水が主成分であって、希釈剤(例えば水または水とC2-C4-アルカノール、3〜6個の炭素原子を有するケトンおよびエチレングリコールのなかから選択される有機溶媒との混合物)の合計量を基準として、特に少なくとも70体積%、特に少なくとも80体積%、そしてとりわけ少なくとも90または95体積%に当たる。
【0159】
希釈剤の量は広範囲で変わりうるのであって、一般に少なくとも50重量%、しばしば少なくとも55重量%、特に少なくとも60重量%である。希釈剤の量は典型的には、全組成物の合計重量を基準として、50〜99.84重量%の範囲、しばしば、55〜99.8重量%の範囲、そしてとりわけ、60〜99.5重量%の範囲、または60〜99.3重量%の範囲、または60〜98.85重量%の範囲、または60〜97.9重量%の範囲、または60〜95.9重量%の範囲、または60〜92.8重量%の範囲である。適宜、組成物を施用前に、その初期体積の、例えば1.5〜100倍まで希釈することが有利でありうる。
【0160】
上記成分a)、b)およびc)だけでなく、本発明による組成物は、成分d)として少なくとも1つの非イオン表面活性物質、特に少なくとも1つのポリC2-C3-アルキレンオキシド基を有する少なくとも1つの非イオン表面活性物質を含む。この物質は、処理植物の木質中への活性成分の浸透を改善しかつ、原則として、処理する傷領域上に優れたシールの形成も生じうる。
【0161】
好ましいのは、0.25%の濃度の非イオン表面活性物質であり、20℃で表面張力を少なくとも半減する。当業技術者は表面張力を測定する方法を熟知し、例えば、DIN EN 14 370およびDIN 53914に記載されている。
【0162】
好ましいのは、Griffin HLB値(J. Soc. Cosmet. Chem. 1, 311 (1950)および5, 249, (1954)、ならびに H. Molletら, Formulation Technology, Wiley-VCH 2001, p. 70-72を参照)が14以下、例えば7〜14の範囲、とりわけ10〜14の範囲であるオン 表面活性物質である。
【0163】
好適な非イオン表面活性物質の例は、特に、任意にお互いに、少なくとも1つのポリオール、例えば1または2つのポリアルキレンオキシド基、特にポリC2-C3-アルキレンオキシド基を介して連結された疎水部分、例えばC8-C20-アルキル基、C4-C20-アルキルフェノール基、1、2または3つの脂肪酸基を有する化合物、例えば:
-ポリC2-C3-アルコキシル化C8-C20-アルカノール、特に、ポリC2-C3-アルコキシル化n-デカノール、ポリC2-C3-アルコキシル化n-ドデカノール、ポリC2-C3-アルコキシル化イソトリデカノール、ポリC2-C3-アルコキシル化ミリスチルアルコール、ポリC2-C3-アルコキシル化セチルアルコール、ポリC2-C3-アルコキシル化ステアリルアルコール;
-ポリC2-C3-アルコキシル化C4-C20-アルキルフェノール、例えば、ポリC2-C3-アルコキシル化ブチルフェノール、ポリC2-C3-アルコキシル化オクチルフェノール、ポリC2-C3-アルコキシル化ノニルフェノール;
-ポリC2-C3-アルコキシル化モノ-、ジ-またはトリスチリルフェニルエーテル;
-ポリエトキシル化ヒマシ油;
-ポリC2-C3-アルコキシル化ソルビタン脂肪酸エステル、例えば、ポリC2-C3-アルコキシル化ソルビタントリオレイン酸エステル、および
-ポリアルキレン-オキシド-修飾したシロキサン、特に、ポリC2-C3-アルキレン-オキシド-修飾したシロキサン、とりわけ好ましくはポリアルキレン-オキシド-修飾したオリゴマーのポリメチルシロキサン(オリゴマー化の好ましくは2〜6)、非常にとりわけ好ましくはポリC2-C3-アルキレン-オキシド-修飾したオリゴマーのポリメチルシロキサン(オリゴマー化の程度は好ましくは2〜6である)、特に好ましくはポリアルキレン-オキシド-修飾したヘプタメチルトリシロキサン、最も好ましくはポリC2-C3-アルキレン-オキシド-修飾したヘプタメチルトリシロキサンである。
【0164】
「ポリアルコキシル化した」、または「ポリアルキレン-オキシド-修飾した」は、その物質が、反復するC2-C3-アルキレンオキシド単位(ポリC2-C3-アルコキシル化、またはポリC2-C3-アルキレン-オキシド-修飾した)、すなわち反復するエチレンオキシド単位(-CH2CH2O-)および/または反復するプロピレンオキシド単位(-CH(CH3)CH2O-)から構成される少なくとも1つのポリエーテル鎖を有することを意味する。反復する単位の数は、公知の方式で、疎水性部分のタイプおよび反復するプロピレンオキシド単位の量に依存し、好ましくは、4〜20の範囲、とりわけ4〜15の範囲である。
【0165】
とりわけ好ましい実施形態において、使用する非イオン表面活性物質d)は疎水性をもつように修飾したシロキサン、例えば、Silwet L(Union CarbideまたはOSi Specialities, IncまたはLeu + Gygax AG)、またはSylgard(登録商標)309(Dow Corning)銘柄の製品である。これらのなかでも、好ましいのは特に、ポリアルキレン-オキシド-修飾したシロキサン、特にポリC2-C3-アルキレン-オキシド-修飾したシロキサンである。非常に特に好ましいはポリアルキレン-オキシド-修飾したオリゴマーのポリメチルシロキサン(オリゴマー化の程度は2〜6である)、特にポリC2-C3-アルキレン-オキシド-修飾したオリゴマーのポリメチルシロキサン(オリゴマー化の程度は2〜6である)である。最も好ましいのはポリアルキレン-オキシド-修飾したヘプタメチルトリシロキサン、特にポリC2-C3-アルキレン-オキシド-修飾したヘプタメチルトリシロキサン、とりわけ、例えば、Silwet L-77(Leu + Gygax AG)、Ranman Komponente B(ISK Bioscience Europe S.A.)またはPentra-Bark(Agrichem)の製品のポリアルキレン-オキシド-修飾したヘプタメチルトリシロキサンである。
【0166】
本発明による組成物は、上記の非イオン表面活性物質をシーリング材料(成分a))を基準として、少なくとも10重量%、とりわけ好ましくは少なくとも15重量%または20重量%、例えば、5〜100重量%、特に10〜80重量%、とりわけ好ましくは15〜70重量%または20〜60重量%の範囲の量だけ含む。組成物の合計量を基準として、非イオン表面活性物質の量は、原則として、0.5〜20重量%、特に1〜18重量%または2〜15重量%の範囲である。原則として、非イオン表面活性物質がさらに低い濃度、例えば0.05〜20重量%、特に0.05〜18重量%または0.05〜15重量%の範囲である、噴霧可能な組成物も可能である。
【0167】
本発明のとりわけ好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、シーリング材料a)として、少なくとも1つの極性ポリエチレン系ワックス、すなわち先に定義したポリエチレンオキシドワックスまたはカルボキシル基を保持するエチレンのコポリマー;活性成分b)として、少なくとも1つのストロビルリンのグループからの活性成分、特に、少なくとも1つの好ましいと記載したストロビルリン、とりわけピラクロストロビン、適宜、1以上のさらなる殺真菌活性成分と組合わせて、例えば、1以上のコナゾール殺真菌剤、とりわけエポキシコナゾールと組合わせて;成分c)として、少なくとも1つの溶媒または希釈剤、とりわけ水性希釈剤;ならびに成分d)として、シーリング材料を基準にして少なくとも10重量%、とりわけ好ましくは少なくとも15重量%または20重量%、例えば10〜100重量%、特に10〜80重量%、とりわけ好ましくは15〜70重量%または20〜60重量%の量の少なくとも1つの非イオン表面活性物質を含むものであって、前記非イオン表面活性物質は少なくとも1つのポリC2-C3-アルキレンオキシドグループ、特にポリC2-C3-アルキレン-オキシド-修飾したポリメチルシロキサン、とりわけポリC2-C3-アルキレン-オキシド-修飾したヘプタメチルトリシロキサンを含む。組成物中の成分a)、b)、c)およびd)の濃度と相対的比率および粘度については、先に記載したことがここでも適用される。特に本発明による組成物は噴霧可能な製剤である。
【0168】
本発明のとりわけ好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、シーリング材料a)として、少なくともフィルムを形成するアクリレートポリマー、特に弱く架橋したアクリレートゴムそして特にブチルアクリレートゴム;活性成分b)として、少なくとも1つのストロビルリンのグループからの活性成分、特に、少なくとも1つの好ましいと記載したストロビルリン、とりわけピラクロストロビン、適宜、1以上のさらなる殺真菌活性成分と組合わせて、例えば、1以上のコナゾール殺真菌剤、とりわけエポキシコナゾールと組合わせて;成分c)として、少なくとも1つの溶媒または希釈剤、とりわけ水性希釈剤;ならびに成分d)として、シーリング材料を基準にして、少なくとも5重量%、特に少なくとも10重量%、とりわけ好ましくは少なくとも15重量%または20重量%、例えば5〜100重量%、特に10〜80重量%、とりわけ好ましくは15〜70重量%または20〜60重量%の量の少なくとも1つの非イオン表面活性物質を含むものであって、前記非イオン表面活性物質は少なくとも1つのポリC2-C3-アルキレンオキシドグループ、特にポリC2-C3-アルキレン-オキシド-修飾したポリメチルシロキサン、とりわけポリC2-C3-アルキレン-オキシド-修飾したヘプタメチルトリシロキサンを含む。組成物中の成分a)、b)、c)およびd)の濃度と相対的比率および粘度については、先に記載したことがここでも適用される。
【0169】
特に本発明による組成物は噴霧可能な製剤である。
【0170】
上記構成成分a)、b)、c)およびd)に加えて、本組成物は少量のさらなる構成成分、例えば、表面活性物質(成分d)中にまだ存在しなければ)、殺細菌剤、消泡剤、着色剤などを含んでもよい。
【0171】
この関係で好適な表面活性物質は、例えば、陰イオン表面活性物質、例えば芳香族スルホン酸、例えばリグニン-、フェノール-、ナフタレン-およびジブチルナフタレンスルホン酸の、および脂肪酸の、アリールスルホン酸の、アルキルエーテルの、ラウリルエーテルの、脂肪アルコール硫酸エステルおよび脂肪アルコールグリコールエーテル硫酸エステルのアルカリ、アルカリ土類またはアンモニウム塩、、スルホン化ナフタレンおよびその誘導体のホルムアルデヒドとの縮合物、ナフタレン、またはナフタレンスルホン酸のフェノールおよびホルムアルデヒドとの縮合物、フェノールの、またはフェノールスルホン酸のホルムアルデヒドとの縮合物、フェノールのホルムアルデヒドとの縮合物、ならびに亜硫酸ナトリウム、リグニン亜硫酸塩廃液、リン酸化トリスチリルフェノールエトキシレートの塩またはそれらの混合物である。その他の好適である成分は、非イオン表面活性物質(成分d)中にまだ存在しなければ)、例えば、エトキシル化アルカノール、例えばエトキシル化イソトリデシルアルコールなど、エトキシル化アルキルフェノール、例えばエトキシル化イソオクチル-、オクチル-またはノニルフェノールなど、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、エトキシル化ヒマシ油、エトキシル化トリスチリルフェノール、ラウリルアルコールポリグリコールエーテル酢酸エステルおよびソルビタンエステルである。
【0172】
本発明による表面シーラント中に存在してもよい消泡剤は、通常、農芸化学品活性成分の製剤に用いられる全ての消泡剤である。消泡剤の例は、シリコーン乳剤(例えば、Wacker社のSilikon(登録商標) SRE、またはRhodia社のRhodorsil(登録商標)など)、長鎖アルコール、脂肪酸、有機フッ素化合物およびこれらの混合物である。
【0173】
殺細菌剤を加えて本発明による組成物を、微生物による攻撃に対して安定化させることができる。本発明による表面シーラント中に存在してもよい好適な殺細菌剤は、通常、農芸化学品活性成分の製剤用に用いられる全てのものであり、ジクロロフェンおよびベンジルアルコールヘミホルマール、およびイソチアゾロン系の殺細菌剤、例えば、ICI社のProxel(登録商標)、Thor Chemie社のActicide(登録商標) RSおよびRohm & Haas社のKathon(登録商標) MKなどである。
【0174】
一実施形態において、本発明による組成物は粘度-修飾した構成成分(構成成分a)、b)、c)および、適宜、d)は別として)を含有しないかまたはかかる構成成分を非有効な量しか含有しない。原則として、かかる組成物はニュートニアン流動特性を示す。
【0175】
他の実施形態において、本発明による組成物は、シュードプラスチックまたはチクソトロピー特性、すなわち静置時に高粘度、そして剪断力が作用すると低粘度を与える添加剤を含む。
【0176】
着色剤の例は、水に難溶である顔料、および水に溶解する染料の両方である。記載しうる例は、ローダミンB、C.I.ピグメントレッド112およびC.I.ソルベントレッド1、およびピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー80、ピグメントイェロー1、ピグメントイェロー13、ピグメントレッド112、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド53:1、ピグメントオレンジ43、ピグメントオレンジ34、ピグメントオレンジ5、ピグメントグリーン36、ピグメントグリーン7、ピグメントホワイト6、ピグメントブラウン25、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット49、アシッドレッド51、アシッドレッド52、アシッドレッド14、アシッドブルー9、アシッドイェロー23、ベーシックレッド10、ベーシックレッド108として知られる染料である。
【0177】
本発明による組成物は、成分a)、b)、c)および、適宜、d)および液組成物用の公知の製剤技法により存在してもよいさらなる構成成分を混合することにより調製される。原則として、その手順は、シーリング材料を反応容器中に希釈剤に溶解または分散した形態で導入し、さらなる構成成分を、適宜、さらなる希釈剤と共に組み込む。シーリング材料を水性分散液の形態で使用することが好ましい。同様に、活性成分は、好ましくは、希釈剤に混合または乳化することができる希釈剤または液相中の溶液、懸濁液または乳剤の剤形で使用することが好ましい。
【0178】
保護または治療すべき木質植物の傷領域上への組成物の施用は、通常の方式で実施することができ、保護または治療すべき木質植物の傷の性質に公知の方式で依存する。
【0179】
施用時、傷領域の表面に最初に含浸させ、それによって活性成分および、適宜、シーラントを表面域に浸透する。シーリング材料は、順に、永久弾性のある連続層またはフィルムを木質表面または傷表面上または内部に形成し、次いで植物病原体の浸透に対して傷をシールする。形成された層は風化、霜、紫外線、降雨および摩耗ならびに非植物毒に対して抵抗性である。
【0180】
噴霧施用は、植物材料中への浸透深さが十分達成するまで続け、浸透が好ましくは、維管束に向かって起こることが好ましい。しばしば、浸透深さは少なくとも0.2cm、特に少なくとも0.5cmおよびとりわけ好ましくは少なくとも1cm、2.5cmまでまたは3cm以上である。
【0181】
治療すべきまたは保護すべき傷は、風、霜または他の大気的影響の結果起こる自然の障害の形態でありうるし、またはそれらは剪定により生じた傷領域の形態でありうる。前記傷は、樹皮域の傷、または、木質の断面の何らかの傷、すなわち、のこぎり傷または切断傷によるものでありうる。
【0182】
好ましい実施形態によれば、施用は、組成物を少なくとも傷領域に噴霧することにより行う。用語「噴霧(spraying)」は組成物上への霧化(nebulizing)、吹付け(blowing)および飛散(splashing)を包含する。噴霧に用いる設備は、例えば、市販のアトマイザー、噴霧装置、手動噴霧器、および噴霧機能付き空気式または手動の剪定鋏みなどの通常の設備であって、その設備を用いて、組成物を通常の噴霧手順の範囲内で剪定傷を標的化して施用することができる。
【0183】
施用は、傷域を標的化して実施することができるし、または組成物を植物の木質部の広い領域全体に施用し、傷の空間的近位に位置する植物部分も組成物により処理することができる。本発明のとりわけ好ましい実施形態によると、施用は、いわゆるトンネル噴霧により実施し、その場合、果樹またはブドウのつるの農園において剪定処理後に、剪定域を標的化する方法で、本発明による組成物を、適宜希釈後に、噴霧し、過剰の噴霧液を回収する。このようにして、剪定部位および周囲の木質部を処理する。
【0184】
組成物の施用は、好ましくは、-10℃〜+30℃の範囲、とりわけ好ましくは-5℃〜+20℃の範囲および非常にとりわけ好ましくは-3℃〜+10℃の範囲の温度で行う。
【0185】
一実施形態においては、本発明による組成物を複数ステップによる方法で用いる。従って、例えば、木質植物の処理すべきまたは保護すべき表面へ、第1ステップで、第1の植物保護剤、特に殺真菌剤、またはこの活性成分の活性成分調製物を施用してもよく、次いで、その後のステップの1つで、本発明による組成物を本明細書に記載の方式で施用する。
【0186】
本発明による組成物は、昆虫、ウイルス、細菌または真菌による攻撃におよび遺伝子工学的方法を含む繁殖の結果として除草剤の施用に耐性のある作物を含む、任意の木質植物作物に用いることができる。特に、本発明による成果物はプラム、モモ、サクランボ、リンゴ、セイヨウナシ、シリアプラムなどの果樹を治療するために、とりわけブドウのつるを治療するために利用される。
【0187】
以下の実施例および図面は本発明を説明することを意図する。
【実施例】
【0188】
(実施例1)
材料
シーリング材料1:40重量%の陰イオン性の安定化水性ポリマー分散液の形態の架橋ポリブチルアクリレートであって、EP0099532の実施例1、A1に類似したやり方で調製した。
【0189】
シーリング材料2:酸化ポリエチレンワックス、酸価(DIN EN ISO 2114)20〜24mgKOH/g、融点(DIN 51007)126〜133℃、融解粘度(120℃、DIN 51526)4500mm/sec2であって;30重量%水性懸濁液、平均粒子径100nm、粘度(DIN EN ISO 2431、cup 4)20〜36s-1およびpH 9の形態であり、ほぼ7重量%のエトキシル化脂肪アルコール、0.4重量%のジエチルエタノールアミンおよびほぼ0.6重量%の水酸化カリウムを含有する。
【0190】
シーリング材料3:酸化ポリエチレンワックス、酸価(DIN EN ISO 2114)17.5〜19mgKOH/g、融点(DIN 51007)126〜133℃、融解粘度(120℃、DIN 51526)6500mm/sec2であって;30重量%水性懸濁液、平均粒子径100nm、粘度(DIN EN ISO 2431、cup 4)20〜60s-1およびpH 8.5の形態であり、ほぼ9重量%のエトキシル化オキソアルコールおよびほぼ0.5重量%の水酸化カリウムを含有する。
【0191】
シーリング材料4:90重量%のエチレンと10重量%のメタクリル酸とのコポリマー、融解粘度(120℃、DIN 51526)1400mm/sec2であって、ほぼ20重量%水性乳化剤を含まないジメチルエタノールアミン-中和化分散液の形態である。
【0192】
シーリング材料5:80重量%のエチレンと20重量%のメタクリル酸とのコポリマー、MFI値10(DIN 53753に記載の通り、160℃にて325gの荷重下で測定)であって、ほぼ25重量%水性乳化剤を含まないジメチルエタノールアミン中和化分散液の形態である。
【0193】
表面活性物質I:エトキシル化ヘプタメチルトリシロキサン純度89%、例えばSilwet L-77(Leu + Gygax AG、Birmenstorf CH)またはPentra-Bark(Agrichem Manufacturing Industries、Loganholme AU)。
【0194】
着色剤I:レッド・キサンテン染料(C.I. ベーシック・バイオレット10アセテート)の40重量%液調製物;
着色剤II:水、ジプロピレングリコール(体積比2:1)および非イオン乳化剤(10%、着色剤を基準にして)の混合物中の着色剤 C.I. ピグメント・レッド112の50重量%分散液。
【0195】
処方の調製
7重量部のシーリング材料の水性分散液を、攪拌容器中で、それぞれの事例で、0.1重量部の着色剤I(液調製物)および、適宜、1重量部の表面活性物質Iと均一になるまで混合した。ここでは、着色剤を用いて殺真菌活性成分を表現し、組成物または活性成分の木質材料中への浸透を可視化した。
【0196】

1)製剤中の構成成分の重量%
2)表面活性物質I
3)V=比較試験
4)回転粘度計を用いて記載温度Tおよび100 s-1の剪断勾配にて測定
5)測定系:K=円錐、6cm、0.59°、27μm;P=平行板、6cm
6)n.d.:測定せず
比較の方法としてPodexal(BASF Chile)を用いた:Podexalは市販のペースト形態の傷シーラントであり、シーラントとしてのポリアクリレート、赤色着色剤および殺真菌剤(ピラクロストロビン)を含む。
【0197】
手順:実験に備えて、いくつかの小さいブドウのつるの木質切片を準備した。良い再現性を確実にするため、全てのブドウのつるの木質切片は高さほぼ15mmおよび直径ほぼ8mmとした。さらに、それぞれの処理は二重で行った。ブドウのつるの木質切片を地上に置いて、頂部の曝された領域に問題の組成物を使い捨てピペットを用いて施用した。
【0198】
Podexalはブラシを用いて施用した。
【0199】
施用の10日後に、ブドウのつるの木質切片をピンサーを用いて繊維沿いに切開した。組成物1〜4およびPodexalの結果を顕微鏡下で目視により評価した。
【0200】
顕微鏡写真を図1に示す、ここで図1/1〜1/5はそれぞれ1つの実験におけるブドウのつるの木質切片3つの異なる写真であり、図1/1は組成物1で処理したブドウのつるの木質切片を示し、図1/2は組成物2で処理したブドウのつるの木質切片を示すなどであり、図5はPodexalで処理したブドウのつるの木質切片を示す。
【0201】
組成物1:この組成物を施用すると、最初に大きなドームを切片上に形成する。このドームは表面上に長時間残存し、最終的に、浸透する。深い浸透を観察することができる。
【0202】
組成物2:SASIを加えることによって浸透をさらに改善することができる。それぞれの試験において、活性成分は着色剤により示される範囲で、標本の末端に至るまで浸透した。
【0203】
組成物3:施用すると、組成物は大きいドームを形成した。乾燥時間の後、顕微鏡写真で、非常に強いかつ弾性のあるコートが曝された領域上に残存するのを見ることができる。着色剤により示された範囲で、浸透深さは中度であった。
【0204】
組成物4:施用すると、組成物は大きいドームを形成した。乾燥時間の後、顕微鏡写真で、コートが曝された領域上に残存するのを見ることができる。着色剤は、著しくかつ深い浸透を示し、浸透は木質切片の末端に至る。表面上の層厚さは、組成物3より薄く、多分、組成物の木質中への著しい浸透の結果であろう。
【0205】
Podexal:曝された領域への施用の後、Podexalは厚い保護層を形成する。
【0206】
顕微鏡下の試験によると、保護層の組成物は若干多孔性でありかつ非弾性であると思われる。
【0207】
(実施例2) 圃場条件下の噴霧性
施用特性を相互比較できるように、それぞれ、シーリング材料1〜5の水性分散液の7重量部を、着色剤II(活性成分の代わりに)の0.1重量部と混合し、鼻スプレーの手動噴霧用に通常使われるスプレーボトルに満たした。
【0208】
施用直前に、ブドウのつるを冬季剪定として剪定した。この実験において、施用時点と剪定時点との間に経過した時間は5分間であった。
【0209】
表面シーラントPodexalは製品粘度が高く噴霧できないので、塗布する必要があった。残りの2つの表面シーラントは噴霧可能であり、そして28日後でもなお剪定部位の被覆は優れていることを実証した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)水不溶性フィルムを形成するポリマーおよびワックスならびにそれらの混合物のなかから選択される、溶解したまたは分散した形態の水不溶性シーリング材料;
b)少なくとも1つの植物保護剤;
c)少なくとも1つの揮発性希釈剤;および
d)シーリング材料を基準として10〜100重量%の量の少なくとも1つの非イオン表面活性物質
を含む液組成物。
【請求項2】
20℃にて1〜500mPa・sの範囲の動粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
重合可能な構成成分を本質的に含まない、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
30℃以下の最低フィルム化温度(MFT)を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
シーリング材料がアクリレートポリマー、ワックスおよびワックス状ポリマーのなかから選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
シーリング材料がワックス酸化物およびカルボキシル基を含有するエチレンのコポリマーのなかから選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
シーリング材料がアクリレートポリマーのなかから選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
シーリング材料が希釈剤中に分散した形態で存在する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
希釈剤が希釈剤の合計量を基準として少なくとも70重量%の水を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1つのシーリング材料と少なくとも1つの植物保護剤を1:1〜106:1の重量比で含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
非イオン表面活性物質が少なくとも1つのポリC2-C3-アルキレンオキシド基を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
非イオン表面活性物質が少なくとも1つのポリC2-C3-アルコキシル化シランを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
植物保護剤が少なくとも1つの殺真菌植物保護剤を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
殺真菌植物保護剤がストロビルリンおよびステロール生合成脱メチル化インヒビター(DMI殺真菌剤)の群のなかから選択される少なくとも1つの活性成分を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
a)組成物の合計重量を基準として1〜40重量%の水不溶性シーリング材料;
b)組成物の合計重量を基準として0.05〜20重量%の少なくとも1つの植物保護剤;
c)組成物の合計重量を基準として少なくとも50重量%の量の少なくとも1つの揮発性希釈剤;および
d)シーリング材料を基準として10〜100重量%の少なくとも1つの非イオン表面活性物質
を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の噴霧可能な組成物。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の噴霧可能な組成物であって、
a)アクリレートポリマーのなかから選択される、分散した形態の水不溶性シーリング材料;
b)ストロビルリンおよびステロール生合成脱メチル化インヒビター(DMI殺真菌剤)の群から選択される、少なくとも1つの植物保護剤;
c)少なくとも1つの水性希釈剤、および
d)少なくとも1つのポリC2-C3-アルキレンオキシド基を有する、シーリング材料を基準として10〜100重量%の量の少なくとも1つの非イオン表面活性物質
を含む前記組成物。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の噴霧可能な組成物であって、
a)極性ポリエチレン系ワックスのなかから選択される、分散した形態の水不溶性シーリング材料;
b)ストロビルリンおよびステロール生合成脱メチル化インヒビター(DMI殺真菌剤)の群から選択される、少なくとも1つの植物保護剤;
c)少なくとも1つの水性希釈剤、および
d)少なくとも1つのポリC2-C3-アルキレンオキシド基を有する、シーリング材料を基準として10〜100重量%の量の少なくとも1つの非イオン表面活性物質、
を含む前記組成物。
【請求項18】
木質植物の傷に対するシーラントとして、請求項1〜17のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項19】
植物保護剤が、木質植物を植物病原真菌による感染から保護するための少なくとも1つの殺真菌植物保護剤を含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の液組成物の使用。
【請求項20】
木質植物をエスカ病に関係する病原体による感染から保護するための、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
木質植物がブドウのつるである、請求項19または20に記載の使用。
【請求項22】
木質植物を植物病原真菌による感染、特にエスカ感染から保護する方法であって、植物保護剤が少なくとも1つの木質植物の傷に対する殺真菌植物保護剤を含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載した液組成物の噴霧を含むものである前記方法。
【請求項23】
木質植物がブドウのつるである、請求項22に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−540418(P2010−540418A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525374(P2010−525374)
【出願日】平成20年9月23日(2008.9.23)
【国際出願番号】PCT/EP2008/062685
【国際公開番号】WO2009/040339
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】