説明

傾斜地の滑り面測定方法及び傾斜地の滑り面測定設備

【課題】傾斜地における複数点での岩盤位置の測定作業を容易に且つ精度良く実施でき、傾斜地の滑り面を精度良く算出可能とすることで、無駄な土木作業を極力少なくし得る傾斜地の滑り面測定方法及び傾斜地の滑り面測定設備を提供する。
【解決手段】自走式の作業車2と、作業車2と傾斜地の上部間に張設した昇降用ワイヤ4を用いて、傾斜地の上側へ作業車2をウィンチ3にて助勢する助勢装置5と、作業車2に設けた岩盤位置測定手段32とを備えた滑り面測定設備1を用い、助勢装置5により傾斜地の上側へ作業車2を助勢しながら、予め設定した測定位置MPへ作業車2を移動させ、該測定位置MPにおいて岩盤位置測定手段32により岩盤位置を測定し、複数の測定位置MPにおいて岩盤位置の測定を順次行って滑り面を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、山の斜面などの傾斜地における滑り面測定方法及び滑り面測定設備に関する。
【背景技術】
【0002】
山の斜面などの傾斜地に対して法面を施工するなどの土木作業を施す際には、施工後における地滑り等の発生を未然に防止するため、地滑りの発生し易い、岩盤と表層土との境界面を予め測定するとともに、傾斜地上部の地割れ位置を測定し、境界面と地割れ位置から想定滑り面を算出し、この想定滑り面に基づいて傾斜地の掘削やアンカーの打ち込みなどの土木作業を行っている。
【0003】
ところで、境界面の位置を正確に測定するためには、傾斜地の複数箇所においてボーリング作業を行って岩盤位置を測定したり、標準貫入試験により岩盤位置を測定したり必要がある。しかし、傾斜地上部への地質調査用ボーリング機械や標準貫入試験機の運搬は、傾斜地の勾配や傾斜地に自生している樹木により阻まれて、困難になるケースがほとんどで、通常は、土木作業を施す傾斜地の上下2点において、人手により簡易貫入試験を行って岩盤位置として測定し、この2点における岩盤位置と傾斜地上部の地割れ位置とから想定滑り面を算出しているのが実状である。ところで、簡易貫入試験では、質量5kgのハンマーを50cm自由落下させ、先端コーンが10cm貫入するのに要する回数(Nc値)を測定することになるが、傾斜地における人手による作業であることから、測定精度にバラツキが多く、しかも測定用ロッドの長さが1mたらずであることから、実際の岩盤位置を間接的にしか測定できないという問題があった。
【0004】
また、傾斜地に対して重機を用いて土木作業を行う場合には、傾斜地の下部から上部に至るパイロット道路を想定滑り面に基づいて施工した後、パイロット道路を利用して傾斜地の上部へ重機を移動させ、重機により傾斜地の上側から順番に想定滑り面に応じて予め設定した掘削面に沿って掘削等の土木作業を行っている。
【0005】
一方、傾斜地における土木作業に好適な土木作業設備として、土木作業面よりも上方位置(山側)に左右1対の固定点を設け、ブルドーザーやバックホウ等の作業車に左右1対のウィンチを設置して、両ウィンチから繰り出した昇降用ワイヤを前記固定点にそれぞれ固定し、作業車の上下移動や左右移動に応じて両ウィンチにより昇降用ワイヤを巻き取ったり、繰り出したりすることで、作業車の移動を助勢するように構成したものが提案され、実用化されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
しかし、前記土木作業設備では、作業車の上部旋回体にウィンチを固定している関係上、上部旋回体に組み付けたバケットアームを旋回させると、上部旋回体とともにウィンチが旋回し、昇降用ワイヤが引っ張られるので、これを防止するためバケットアームを常時下側へ向けて作業する必要があり、土木作業の作業性が大変悪かった。そこで、これを防止すため、作業車の下部走行体に環状部材を固定し、環状部材に沿って移動自在に連結部材を設け、左右1対の滑車を連結部材に固定し、両滑車に昇降用ワイヤを巻き掛けて、昇降用ワイヤをそれぞれ巻き取ったり、繰り出したりすることで、作業車の向きを変えたときでも、環状部材に沿って連結部材が回動することで、両滑車が作業車の山側に常時位置するように構成したものも提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
【特許文献1】特開平4−120319号公報
【特許文献2】特開2003−27520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、傾斜地における土木作業は、作業現場毎に各種測量を行って、予め工事内容を明記した報告書を作成し、それに沿って行っていおり、この報告書を作成するにあたり、傾斜地における想定滑り面の算出は、工事内容を決定するための重要な要素である。しかし、前述のように傾斜地においては、地質調査用ボーリング機械や標準貫入試験機の運搬が困難である場合が多く、主に簡易貫入試験の試験結果に基づいて算出している関係上、算出した想定滑り面には比較的大きな誤差が含まれる。このため、通常は安全係数を掛けるなどして、想定滑り面を安全サイドに設定しているが、このように想定滑り面を安全サイドに設定すると、傾斜地に対する掘削作業時に、岩盤が露出しているにも拘わらず、更なる掘削が余儀なくされることが多々あり、また岩盤が露出しているからといって、途中で工事内容を変更することもできないことから、無駄な作業であると分かりつつ、多大な労力と費用を投じて土木作業を行っているのが実状である。
【0009】
本発明の目的は、傾斜地における複数点での岩盤位置の測定作業を容易に且つ精度良く実施でき、傾斜地の滑り面を精度良く算出可能とすることで、無駄な土木作業を極力少なくし得る傾斜地の滑り面測定方法及び傾斜地の滑り面測定設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本出願人は、傾斜地における無駄な土木作業を極力少なくすべく、鋭意検討した結果、傾斜地の滑り面をより実際に近い滑り面に設定すれば、無駄な土木作業を極力少なくできるとの発想を得て、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明に係る傾斜地の滑り面測定方法は、自走式の作業車と、作業車と傾斜地の上部間に張設した昇降用ワイヤを用いて、傾斜地の上側へ作業車をウィンチにて助勢する助勢装置と、作業車に設けた岩盤位置測定手段とを備えた滑り面測定設備を用い、助勢装置により傾斜地の上側へ作業車を助勢しながら、予め設定した測定位置へ作業車を移動させ、該測定位置において岩盤位置測定手段により岩盤位置を測定し、複数の測定位置において岩盤位置の測定を順次行って滑り面を求めるものである。
【0012】
この滑り面測定方法では、助勢装置により傾斜地の上側へ作業車を助勢しながら、作業車を傾斜地の任意の位置へ移動させることができ、しかも作業車に岩盤位置測定手段を備えさせているので、パイロット道路等を施工することなく、複数の測定位置において岩盤位置を容易に測定することができる。特に、土砂崩れを起こした現場においては、樹木が倒れているので、樹木を伐採するなどの作業を行うことなく、作業車を移動させることができる。また、こうして得られた複数の岩盤位置の測定データを基にして、滑り面の位置を算出するので、滑り面を精度良く算出することができ、算出した滑り面に応じて土木作業を行うことで、無駄な掘削等の土木作業を大幅に省略できる。また、法面を施工する際には、アンカーピンの本数や長さを作業現場に応じたものに設定できるので、法面施工時における無駄なアンカーピンの施工作業も省略できる。
【0013】
ここで、前記傾斜地の上側の測定位置から順番に岩盤位置を測定するとともに、作業車により傾斜地に対して土木作業を施し、上側から順番に滑り面を測定しながら土木作業を施すことができる。傾斜地の岩盤位置の測定だけを先に行って、滑り面を算出した後、この滑り面に応じて土木作業を行うことも好ましいが、この発明のように岩盤位置の測定と土木作業とを交互に行うと、滑り面の測定と掘削等の土木作業を効率的に行えるので好ましい。
【0014】
前記岩盤位置測定手段として地質調査用ボーリング機械を作業車に着脱自在に設けることもできる。この場合には、地質調査用ボーリング機械を作業車に取り付けて、傾斜地を掘削し、岩盤位置を測定することができる。
【0015】
前記岩盤位置測定手段として標準貫入試験機を作業車に着脱自在に設けることができる。この場合には、標準貫入試験により得られたN値に基づいて岩盤位置を測定することができる。
【0016】
前記作業車の現在位置を測定する現在位置測定手段を設けることもできる。作業車の現在位置は、光学式の計測器等で計測することもできるが、GPS(グローバル ポジショニング システム)などの現在地位測定手段により測定すると、容易に測定できるので好ましい。
【0017】
前記作業車を遠隔操作するための遠隔操作手段を設けることが好ましい。作業車に作業員が乗り込んで、岩盤位置の測定作業や土木作業を行うことも可能であるが、傾斜地によっては、45°以上の急勾配の傾斜地も多々あり、そのような急勾配の傾斜地での作業は危険を伴なうものとなるので、本発明のように、安全な場所において作業車を遠隔操作できるように構成することが、作業者の安全性を向上する上で好ましい。
【0018】
前記助勢装置として、作業車に設けた動滑車と、傾斜地の土木作業予定面の外縁上部に設けた1対の固定点と、少なくとも一方の固定点に固定した定滑車と、土木作業予定面の外縁下に設けたウィンチとを備え、ウィンチから繰り出した昇降用ワイヤを他方の固定点に定滑車を介して案内し、両固定点間に張設された昇降用ワイヤを土木作業予定面側へ繰り出してその途中部に作業車の動滑車を引っ掛けてなるものを用いることが好ましい実施の形態である。このような助勢装置を用いると、重量物であるウィンチを土木作業予定面の下縁部に設置でき、傾斜地の上部には定滑車を設置するだけでよいので、滑り面測定設備の設置作業の労力を大幅に軽減できる。また、ウィンチは、1台だけでよく、特許文献1記載のように2台用いる必要がないので、滑り面測定設備の設備コストも安くなる。また、作業車に取り付けた滑車が、動滑車となるように昇降用ワイヤを張設するので、2倍の力で作業車を助勢することが可能となり、ウィンチとして出力の小さい小型なものを採用して、設備経済的な負担を軽減できる。
【0019】
本発明に係る傾斜地の滑り面測定設備は、自走式の作業車と、前記作業車と傾斜地の上部間に張設した昇降用ワイヤを用いて、傾斜地の上側へ作業車をウィンチにて助勢する助勢装置と、前記作業車に設けた岩盤位置測定手段と備えたものである。
【0020】
ここで、前記岩盤位置測定手段として地質調査用ボーリング機械を作業車に着脱自在に設けること、前記岩盤位置測定手段として標準貫入試験機を作業車に着脱自在に設けること、前記作業車の現在位置を測定する現在位置測定手段を設けること、前記作業車を遠隔操作するための遠隔操作手段を設けること、前記助勢装置として、作業車に設けた動滑車と、傾斜地の土木作業予定面の外縁上部に設けた1対の固定点と、少なくとも一方の固定点に固定した定滑車と、土木作業予定面の外縁下部に設けたウィンチとを備え、ウィンチから繰り出した昇降用ワイヤを他方の固定点に定滑車を介して案内し、両固定点間に張設された昇降用ワイヤを土木作業予定面側へ繰り出してその途中部に作業車の動滑車を引っ掛けてなるものを用いること、などが好ましい実施の形態である。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る傾斜地の滑り面測定方法及び滑り面測定設備によれば、助勢装置により傾斜地の上側へ作業車を助勢しながら、作業車を傾斜地の任意の位置へ移動させることができ、しかも作業車に岩盤位置測定手段を備えさせているので、パイロット道路等を施工することなく、複数の測定位置において岩盤位置を容易に測定することができる。特に、土砂崩れを起こした現場においては、樹木が倒れているので、樹木を伐採するなどの作業を行うことなく、作業車を移動させることができる。また、こうして得られた複数の岩盤位置の測定データを基にして、滑り面の位置を算出するので、滑り面を精度良く算出することができ、算出した滑り面に応じて土木作業を行うことで、無駄な掘削等の土木作業を大幅に省略できる。また、法面を施工する際には、アンカーピンの本数や長さを作業現場に応じたものに設定できるので、法面施工時における無駄なアンカーピンの施工作業も省略できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1〜図3に示すように、傾斜地の滑り面測定設備1は、自走式の作業車2と、ウィンチ3から繰り出される昇降用ワイヤ4を用いて傾斜地の上側へ作業車2を助勢する助勢装置5と、岩盤位置GPを測定するための岩盤位置測定装置6と、作業車2と助勢装置5と岩盤位置測定装置6とを遠隔操作するための無線コントローラ7とを備えている。
【0023】
作業車2と助勢装置5と岩盤位置測定装置6とを遠隔操作するため、作業車2には、無線機10と、無線機10からの信号に基づいて作業車2の各種油圧機器11及び各種電気機器12を制御する制御手段13が設けられている。また、助勢装置5には、無線機20と、無線機20からの信号に基づいて助勢装置5のウィンチ3の駆動を制御する制御手段21とが設けられている。更に、岩盤位置測定装置6には、無線機30と、無線機30からの信号に基づいて岩盤位置測定手段32などを制御する制御手段31が設けられている。そして、無線コントローラ7により、助勢装置5と作業車2とを遠隔操作して、土木作業予定面CSに予め設定した測定位置MP付近に作業車2を移動させ、岩盤位置測定装置6を遠隔操作して、測定位置MPにおいて岩盤までの深さDを測定できるように構成されている。この滑り面測定設備1では、作業車2付近の安全な場所において、作業者Wが無線コントローラ7を操作して、作業車2と助勢装置5と岩盤位置測定装置6を操作できるように構成したが、作業員が実際に作業車2に乗り込んで手動にて作業車2と助勢装置5と岩盤位置測定装置6を操作するように構成した設備も本発明の範疇である。
【0024】
作業車2は、油圧ショベルやブルドーザーなど、任意の構成の作業機械を採用することができる。図2、図4に示す作業車2は、クローラ式の下部走行部14と、下部走行部14に旋回可能に設けた上部旋回部15とを備えた油圧ショベルで、上部旋回部15に回動自在に取り付けたブーム16と、ブーム16に回動自在に取り付けたアーム17とを介して岩盤位置測定手段32を回動自在に支持するとともに、複数の油圧シリンダ18により岩盤位置測定手段32を操作可能となした周知の構成のものである。この作業車2には、図3に示すように、無線機10と、無線機10からの信号に基づいて作業車2の各種油圧機器11及び各種電気機器12を制御する制御手段13が設けられ、無線コントローラ7を操作することで、作業者Wが乗り込んで操作する場合と同様に作業車2を自在に操作できるように構成されている。尚、この作業車2のアーム17の先端部に、岩盤位置測定手段32に代えて、バケットや削岩機等を着脱自在に取り付けることで、滑り面測定設備1を、傾斜地を掘削等するための土木作業設備としてそのまま利用することができる。
【0025】
岩盤位置測定装置6は、図2〜図5に示すように、アーム17の先端部に取り付けた岩盤位置測定手段32と、上部旋回部15の旋回角度θ1を測定する旋回角測定手段33と、ブーム16とアーム17と岩盤位置測定手段32の角度θ2〜θ4をそれぞれ測定する角度測定手段34〜36と、傾斜地の勾配θを測定する勾配測定手段37と、作業車2の現在位置を測定するGPS(グローバル ポジショニング システム)からなる現在位置測定手段38と、無線コントローラ7との間でデータや信号の授受を行う無線機30と、岩盤位置測定手段32を制御する制御手段31とを備えている。制御手段31では、現在位置測定手段38から得られた作業車2の現在位置情報を無線コントローラ7に対して送信する。そして、無線コントローラ7では、それに設けた図示外のディスプレイ上に傾斜地の地図とともに測定位置MPと作業車2の現在位置を表示させて、所望の測定位置MPへ作業車2を容易に操作できるように構成されている。また、岩盤位置GPの測定時、制御手段31では、無線コントローラ7の操作に応じて、岩盤位置測定手段32への必要な給電及び圧油の供給などを制御して、測定位置MPにおける岩盤の深さDを測定する。更に、制御手段31では、作業車2の各部の寸法が予め入力格納されており、この各部の寸法のデータと測定して得られた角度θ1〜θ4と勾配θと作業車2の現在位置の3次元座標データとに基づいて、測定位置MP(岩盤位置測定手段32による傾斜面の掘削開始位置)の3次元座標を演算し、岩盤位置測定手段32により測定した岩盤の深さDに基づいて測定位置MPにおける岩盤の3次元座標を岩盤位置GPとして算出する。但し、岩盤位置GPの3次元座標の算出は、固定基地に設置のパソコンへ必要なデータを送信することで、該パソコンにおいて算出することもできる。
【0026】
岩盤位置測定手段32としては、岩盤位置GPを測定できるものであれば任意の構成のものを採用できる。具体的には、地質調査用ボーリング機械や標準貫入試験機40や簡易貫入試験機を用いることができるが、それ以外に、弾性波探査や電気探査や音波探査などの機器を採用することもできる。例えば、標準貫入試験を行う場合には、図5に示すように、途中部にノッキングブロック41を設けたボーリングロッド42と、ボーリングロッド42の下端部に取り付けたサンプラー43と、ノッキングブロック41よりも上側においてボーリングロッド42に上下移動自在に設けたドライブハンマー44とを有する標準貫入試験機40と、図4に示すボーリング機械45とをアーム17の先端部に取り付け、ボーリング機械45により傾斜地に対して鉛直にボーリング孔46を形成した後、サンプラー43をボーリング孔46の底まで挿入して標準貫入試験機40をボーリング孔46にセットし、ドライブハンマー44を設定高さからノッキングブロック41に対して自由落下させ、サンプラー43が地中に30cm貫入するのに必要な打撃回数をN値として記録し、ボーリング孔46を例えば1mずつ段階的に掘り下げて、上記と同様にしてN値を測定し、例えばN値20以上になった深さDを求めることになる。尚、サンプラー43に代えて、ボーリングロッド42の下端部にコアチューブを取り付け、コアを抜き取り検査して岩盤位置GPを測定することも可能である。
【0027】
尚、ボーリング孔46の形成時に発生するスライムを撮像する撮像手段39を岩盤位置測定手段32或いは作業車2に設け、撮像した画像データを無線コントローラ7に送信して、無線コントローラ7のディスプレイ(図示略)にてスライムの性状変化を目視しながらボーリング深さを設定できるように構成することも好ましい実施の形態である。つまり、岩盤近くになるとスライムの性状が変化するので、そのタイミングでボーリングを中断して、標準貫入試験を行うことで、何度もボーリング孔46を掘り下げることなく、適正な岩盤までの深さDを迅速且つ容易に測定することができる。また、岩盤位置測定手段32への圧油の供給及び給電は、作業車2側から供給することになる。
【0028】
助勢装置5は、図1、図2に示すように、作業車2に設けた動滑車22と、土木作業予定面CSの外縁における第1側CSaの下側に設置したウィンチ3と、無線コントローラ7からの指令を受信する無線機20と、無線機20からの信号に基づいて助勢装置5のウィンチ3の駆動を制御する制御手段21と、土木作業予定面CSの外縁付近の傾斜地に、土木作業予定面CSの外縁に沿って相互に間隔をあけて設けた複数の固定点23と、少なくとも土木作業予定面CSの第1側CSaにおける複数の固定点23にそれぞれ取り付けた複数の定滑車24とを備え、ウィンチ3から繰り出した昇降用ワイヤ4の途中部を、複数の定滑車24により、土木作業予定面CSの外縁に沿って着脱可能に案内し、昇降用ワイヤ4の先端部を土木作業予定面CSの外縁における第2側CSbに設置の固定点23に固定し、第1側CSaの定滑車24と、昇降用ワイヤ4の先端部を固定した固定点23又は第2側CSbに設置の定滑車24との間に張設される昇降用ワイヤ4を土木作業予定面CS側へ繰り出して、その途中部に作業車2の動滑車22を引っ掛けたものである。
【0029】
尚、第1側CSaの下端に設置されている定滑車24は、昇降用ワイヤ4をウィンチ3側へ単に案内するためのもので、省略することも可能であるし、1つ以上設けることも可能である。また、定滑車24は、少なくとも上部2箇所の固定点23の一方に取り付けてあればよく、その他の定滑車24は省略することもできる。更に、ウィンチ3を土木作業予定面CSの上部に設定して、定滑車24を介することなく昇降用ワイヤ4を繰り出したり、巻き取ったりできるように構成したものも本発明の範疇であるし、作業車2に2台のウィンチ3を設置して、このウィンチ3から繰り出した昇降用ワイヤ4の先端部を土木作業予定面CSの上部2箇所に固定し、2台のウィンチ3を操作することで、作業車2を土木作業予定面CSに対して左右方向及び上下方向に移動可能となした助勢装置5など、周知の構成の助勢装置5を用いることもできる。
【0030】
ウィンチ3は、図1に示すように、昇降用ワイヤ4を巻装したドラム25と、ドラム25を正方向と逆方向とに回転方向を切り替え可能に駆動する駆動手段26とを備えた周知の構成のもので、無線コントローラ7の操作により、ドラム25の回転方向を遠隔操作して、昇降用ワイヤ4を繰り出したり、巻き取ったりできるように構成されている。
【0031】
動滑車22及び定滑車24は、異種構成のものを採用することも可能であるが、同じ構成のものを採用することが、滑車22、24の製作コストを低減できるので好ましい。両滑車22、24について説明すると、図6〜図8に示すように、昇降用ワイヤ4が掛けられる滑車本体50が設けられ、滑車本体50の上下両側には上面板51と下面板52とが設けられている。上面板51及び下面板52は、滑車本体50よりもやや大きな平面サイズの取付板53と、それを補強する前後方向に細長い補強板54とで構成され、上面板51及び下面板52はその先端部間に設けたスペーサ板55で連結されている。上面板51及び下面板52の略中央部には回転軸56が架設状に設けられ、滑車本体50は上面板51及び下面板52間において回転軸56に回転自在に支持されている。
【0032】
上面板51は本体部51aと開閉板51bとに分割構成され、開閉板51bは、本体部51aの端部に設けた枢支ピン57を中心に、図8(b)に実線で図示の閉鎖位置と、仮想線で図示の開放位置とにわたって回動自在に支持され、開閉板51bを開放位置に回動させた状態で、滑車本体50に対して昇降用ワイヤ4を着脱できるように構成されている。開閉板51bを閉鎖位置に保持するため、下側の取付板53の後端部には連結ブロック58が固定され、連結ブロック58には上方へ突出する連結ピン59が植設され、開閉板51bの後端部には連結ピン59が挿通可能なピン孔60が形成され、開閉板51bを閉鎖位置に回動させて、連結ピン59をピン孔60に装着した状態で、連結ピン59の先端部に図示外のピン部材を装着することで、開閉板51bを閉鎖位置に保持できるように構成されている。連結ブロック58には後方へ延びる連結具62が取り付けられ、定滑車24及び動滑車22は、連結具62の後端部に着脱自在に取り付けたシャックル63を介して固定点23又は作業車2の連結手段70にそれぞれ取り付けられている。
【0033】
連結手段70は、作業車2に対して動滑車22を回動自在に連結するためのものである。連結手段70について説明すると、図4、図6に示すように、作業車2の下部走行部14と上部旋回部15間において下部走行部14には円板状の支持板71が略水平に設けられ、支持板71の外周部にはリング状部材72が全周にわたって設けられ、リング状部材72には支持板71の上下両側へ突出する案内部72aが形成されている。支持板71の外周部には側面視コ字状の可動部材73が外嵌状に設けられ、可動部材73にはリング状部材72の案内部72aの内周面及び外周面に当接する複数のローラ74と、リング状部材72の上面及び下面に当接する複数のローラ75が設けられ、可動部材73は、これら複数のローラ74、75により、リング状部材72に沿った方向にのみ回動自在に案内されている。可動部材73の前面には1対のブラケット76が固定され、両ブラケット76には略水平な枢支軸77を中心に連結部材78が回動自在に支持され、連結部材78には略鉛直方向の連結軸79が設けられ、動滑車22はシャックル63により連結軸79に掛け止めされて、可動部材73とともにリング状部材72に沿って回動自在に作業車2に取り付けられている。また、動滑車22を、枢支軸77を中心に上下方向に回動自在に支持するとともに、連結軸79を中心に左右方向に回動自在に支持することで、凸凹な土木作業予定面CSでの土木作業時における作業車2の揺動等を吸収して、動滑車22と昇降用ワイヤ4とが常時適正な位置関係に維持できる。尚、連結軸79に対して連結用ワイヤ70を用いて動滑車22を連結することもできる。この場合には、連結用ワイヤ70の長さを岩盤位置測定手段32の移動範囲よりも長く設定することで、動滑車22や昇降用ワイヤ4に邪魔されることなく、作業車2の上側の測定位置MPにおける岩盤位置GPを測定することができる。
【0034】
図7に示すように、固定点23は、土木作業予定面CSの外縁の適所に生育する樹木で構成され、定滑車24は、ワイヤロープや繊維ロープなどからなるロープ80を固定点23としての樹木に巻き掛けて、ロープ80の両端部に形成したアイに定滑車24のシャックル63を掛け止めすることにより、固定点23に固定設置されている。
【0035】
傾斜地に対する固定点23の設置強度を高めるため、昇降用ワイヤ4による固定点23の引っ張り側とは反対側には、該反対側へ固定点23を引っ張って固定点23の横倒れを防止する補強手段81が設けられている。この補強手段81について説明すると、固定点23に対する昇降用ワイヤ4の引っ張り側とは反対側に生育する1乃至複数本の樹木が補強点82として設けられ、固定点23及び補強点82としての樹木にはロープ84がそれぞれ巻き掛けられている。両ロープ84の両端部のアイにはシャックル85、86がそれぞれ取り付けられ、一方のシャックル85にはターンバックル87の一端部が連結され、他方のシャックル86には補強用ワイヤ83の一端が連結されている。ターンバックル87の他端部と補強用ワイヤ83の他端部とはシャックル88で連結され、ターンバックル87を回転操作して、固定点23と補強点82間に一定の引っ張り力を作用させ、昇降用ワイヤ4の張力による固定点23の横倒れを防止できるように構成されている。但し、この補強手段81は、任意の個数設けることができるし、固定点23の設置強度を十分に確保できる場合には省略することも可能である。
【0036】
尚、本実施の形態では、土木作業予定面CS付近の傾斜地に生育する樹木を固定点23及び補強点82として利用したが、適当な樹木が生育していない場合には、図9に示すように、固定点23の施工位置における傾斜地に、一定間隔をあけて深さ2〜3mの1対の孔90を左右に間隔をあけて形成して、該孔90にアンカーボルト91をセットした状態で、コンクリート92を流し込んで、1対のアンカーボルト91を相互に一定間隔をあけて傾斜地に埋設状に固定し、両アンカーボルト91の上端部を連結する連結板93を傾斜地に略平行に固定して、固定点23及び補強点82を設けることができる。この場合には、この連結板93の途中部に形成した取付孔94にロープ80を挿通させ、このロープ80の両端部に形成のアイにシャックル63を用いて定滑車24を連結したり、昇降用ワイヤ4の先端部を固定したりすることになる。尚、固定点23及び補強点82としては、図9に例示した以外の任意の構成のものを採用することができる。
【0037】
次に、前記滑り面測定設備1を用いた滑り面測定方法について説明する。
先ず、セッティング工程において、図1に実線で示すように、土木作業予定面CSの外縁に沿って間隔をあけて複数の固定点23に設け、これら複数の固定点23に定滑車24を取り付けるとともに、土木作業予定面CSの第1側CSaの下側にウィンチ3を設置する。次に、ウィンチ3から繰り出した昇降用ワイヤ4を複数の定滑車24により土木作業予定面CSの外縁に沿って第1側CSaから第2側CSbへ案内するとともに、昇降用ワイヤ4の先端部を土木作業予定面CSの第2側CSbにおける最上部の固定点23に固定する。次に、第1側CSaの最上部の定滑車24と昇降用ワイヤ4を固定した固定点23間に張設される昇降用ワイヤ4を土木作業予定面CS側へ繰り出して、その途中部に作業車2の動滑車22を引っ掛けて、滑り面測定設備1を土木作業予定面CSにセットする。また、土木作業現場の下側へ土砂等が落下しないように、予め土木作業予定面CSの下端縁に沿ってフェンスFを設置する。
【0038】
尚、固定点23の個数は、土木作業予定面CSの高さや形状に応じて任意に設定できる。また、土木作業予定面CSに樹木が自生している場合には、複数の定滑車を設置した後、昇降用ワイヤ4の途中部を複数の定滑車で案内し、昇降用ワイヤ4の端部を固定点23に固定しないで、昇降用ワイヤ4を土木作業予定面CSの一側上部の定滑車24から、土木作業予定面CSの下部へ引き出して作業車2に固定し、作業車2を1本吊り状態で助勢しながら下側から順番に作業車2で樹木を順次伐採し、昇降用ワイヤ4に沿った一定範囲の樹木を伐採した後、昇降用ワイヤ4を繰り出す定滑車24を隣の定滑車24に架け替えて、昇降用ワイヤ4で作業車2を支持しながら上側から順番に樹木を伐採し、上記作業を順番に繰り返して、土木作業予定面CSにける樹木を順次伐採する。そして、前述のように昇降用ワイヤ4の端部を固定点23に固定するとともに、昇降用ワイヤ4の途中部に作業車2の動滑車22を引っ掛けて、滑り面測定設備1を土木作業予定面CSにセットすることになる。但し、樹木の伐採作業は他の方法により行うこともできる。
【0039】
次に、測定工程において、作業車2を目視可能な安全な場所においてウィンチ3及び作業車2を遠隔操作して、昇降用ワイヤ4が弛まないようにウィンチ3を操作しながら、予め設定した土木作業予定面CSの上部の測定位置MP付近へ作業車2を移動させる。このとき、作業車2の土木作業予定面CSの上側への移動は、作業車2のクローラによる走行と、ウィンチ3による昇降用ワイヤ4の巻き上げ力によりなされ、また左右方向及び下方への移動は、昇降用ワイヤ4に一定の張力を作用させて作業車2の横転を防止しつつ、平地での移動と同様に、進む方向へ作業車2を旋回させて、走行することになる。作業車2の移動可能な範囲は、昇降用ワイヤ4が掛けられている定滑車24のうち、土木作業予定面CSの第1側CSa及び第2側CSbの最上部における1対の定滑車24間の領域内で、しかもV字状に張設される動滑車22に至る昇降用ワイヤ4の角度θが120°を超えると、昇降用ワイヤ4に大きな張力が作用するので、角度θが120°以下となるような、最上部の定滑車24よりも下側の範囲に設定されるので、この範囲内で作業を行うことになる。
【0040】
こうして、作業車2を測定位置MP付近へ移動させた後、標準貫入試験を行う場合には、図2に示すように、先ずボーリング機械45により測定位置MPにボーリング孔46を形成する。ボーリング孔46の深さは、任意に設定可能であるが、撮像手段39にてボーリング時におけるスライムを撮像し、その映像を無線コントローラ7の図示外のディスプレイにて目視して、スライムの性状変化を観察しながらボーリングを行うことで、スライムの性状が岩盤付近における性状になったときの深さに設定することができる。次に、図5に示すように、ボーリング機械45に代えて標準貫入試験機40をボーリング孔46にセットして、標準貫入試験を行い、N値が20以上になったときにおける、測定位置MPからの深さDを測定し、測定位置MPにおける岩盤位置GPの三次元座標を算出する。
【0041】
こうして、土木作業予定面CSの上部に対する岩盤位置GPの測定後、次のワイヤ掛替え工程において、作業車2の横転を防止した状態で、図1に仮想線で示すように、昇降用ワイヤ4が掛けられている第1側CSaの最上部の定滑車24から昇降用ワイヤ4を取り外す作業と、昇降用ワイヤ4の先端部が固定されている固定点23を第2側CSbの最上部の固定点23から、その下側の固定点23へ切り替える作業の一方又は双方の作業を行ってから、ウィンチ3により昇降用ワイヤ4の弛みを巻き取って、作業車2を下側へ移動させ、前記測定工程と同様に、次の段の岩盤位置GPを測定し、以降、昇降用ワイヤ4の最上部の位置を下側へ切り替える作業と、作業車2による岩盤位置GPの測定作業を交互に行って、土木作業予定面CSの上側から順番に岩盤位置GPを測定することになる。図1では、作業車2により岩盤位置GPの測定を行う土木作業予定面CSを、最上部の第1段目からその下側の第2段目へ移行させるときには、最上部の定滑車24から昇降用ワイヤ4を取り外し、第2段目からその下側の第3段目へ移行させるときには、上から2つ目の定滑車24から昇降用ワイヤ4を取り外し、第3段目からその下側の第4段目へ移行させるときには、上から3つ目の定滑車24から昇降用ワイヤ4を取り外すとともに、昇降用ワイヤ4の固定点23を第2側CSbの途中部の固定点23に移動させることになる。尚、定滑車24の設置箇所や定滑車24に対する昇降用ワイヤ4の架け替え作業は、土木作業予定面CSの形状等に応じて任意に設定することができる。
【0042】
こうして、土木作業予定面CSの岩盤位置GPを順次測定した後、これらの岩盤位置GPの三次元座標データに基づいて滑り面SFを算出することになるが、例えば平面距離や傾斜面に沿った距離において10mおきの測定位置MPにおける岩盤位置GPを測定するので、算出した滑り面SF(図2参照)は、実際の岩盤位置GPに適合した精度のよいものとなる。このため、この滑り面SFに基づいて、傾斜面に対して土木作業を行うと、無駄な土木作業を極力少なくして、土木作業の工期の短縮と経費の節減を図ることが可能となる。尚、本実施の形態では、土木作業予定面CSの滑り面SFの測定だけを行ったが、岩盤位置測定手段32に代えてバケットや削岩機を作業車2のアーム17に取り付けることで、測定作業と同様にして作業車2を土木作業予定面CSに沿って移動させながら、上側から順番に土木作業を行うことができる。また、滑り面SFの測定と土木作業とを土木作業予定面CSの上側から交互に行って、滑り面SFの測定と土木作業を並行して行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】傾斜地の滑り面測定設備の正面図
【図2】岩盤位置測定時における作業車付近の縦断面図
【図3】滑り面測定設備の制御系の説明図
【図4】作業車の側面図
【図5】標準貫入試験機の説明図
【図6】動滑車及び連結手段の平面図
【図7】定滑車の設置構造の説明図
【図8】(a)は定滑車の平面図、(b)は定滑車の側面図
【図9】固定点及び補強点の設置構造の説明図
【符号の説明】
【0044】
1 滑り面測定設備 2 作業車
3 ウィンチ 4 昇降用ワイヤ
5 助勢装置 6 岩盤位置測定装置
7 無線コントローラ
10 無線機 11 各種油圧機器
12 各種電気機器 13 制御手段
14 下部走行部 15 上部旋回部
16 ブーム 17 アーム
18 油圧シリンダ
20 無線機 21 制御手段
22 動滑車 23 固定点
24 定滑車 25 ドラム
26 駆動手段
30 無線機 31 制御手段
32 岩盤位置測定手段 33 旋回角測定手段
34 角度測定手段 35 角度測定手段
36 角度測定手段 37 勾配測定手段
38 現在位置測定手段 39 撮像手段
40 標準貫入試験機 41 ノッキングブロック
42 ボーリングロッド 43 サンプラー
44 ドライブハンマー 45 ボーリング機械
46 ボーリング孔
50 滑車本体 51 上面板
51a 本体部 51b 開閉板
52 下面板 53 取付板
54 補強板 55 スペーサ板
56 回転軸 57 枢支ピン
58 連結ブロック 59 連結ピン
60 ピン孔 62 連結具
63 シャックル
70 連結手段 70 連結用ワイヤ
71 支持板 72 リング状部材
72a 案内部 73 可動部材
74 ローラ 75 ローラ
76 ブラケット 77 枢支軸
78 連結部材 79 連結軸
80 ロープ 81 補強手段
82 補強点 83 補強用ワイヤ
84 ロープ 85 シャックル
86 シャックル 87 ターンバックル
88 シャックル
90 孔 91 アンカーボルト
92 コンクリート 93 連結板
94 取付孔
CS 土木作業予定面 CSa 第1側
CSb 第2側 F フェンス
W 作業者 MP 測定位置
GP 岩盤位置 SF 滑り面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走式の作業車と、作業車と傾斜地の上部間に張設した昇降用ワイヤを用いて、傾斜地の上側へ作業車をウィンチにて助勢する助勢装置と、作業車に設けた岩盤位置測定手段とを備えた滑り面測定設備を用い、助勢装置により傾斜地の上側へ作業車を助勢しながら、予め設定した測定位置へ作業車を移動させ、該測定位置において岩盤位置測定手段により岩盤位置を測定し、複数の測定位置において岩盤位置の測定を順次行って滑り面を求めることを特徴とする傾斜地の滑り面測定方法。
【請求項2】
前記傾斜地の上側の測定位置から順番に岩盤位置を測定するとともに、作業車により傾斜地に対して土木作業を施し、上側から順番に滑り面を測定しながら土木作業を施す請求項1記載の傾斜地の滑り面測定方法。
【請求項3】
前記岩盤位置測定手段として地質調査用ボーリング機械を作業車に着脱自在に設けた請求項1又は2記載の傾斜地の滑り面測定方法。
【請求項4】
前記岩盤位置測定手段として標準貫入試験機を作業車に着脱自在に設けた請求項1〜3のいずれか1項記載の傾斜地の滑り面測定方法。
【請求項5】
前記作業車の現在位置を測定する現在位置測定手段を設けた請求項1〜4のいずれか1項記載の傾斜地の滑り面測定方法。
【請求項6】
前記作業車を遠隔操作するための遠隔操作手段を設けた請求項1〜5のいずれか1項記載の傾斜地の滑り面測定方法。
【請求項7】
前記助勢装置として、作業車に設けた動滑車と、傾斜地の土木作業予定面の外縁上部に設けた1対の固定点と、少なくとも一方の固定点に固定した定滑車と、土木作業予定面の外縁下に設けたウィンチとを備え、ウィンチから繰り出した昇降用ワイヤを他方の固定点に定滑車を介して案内し、両固定点間に張設された昇降用ワイヤを土木作業予定面側へ繰り出してその途中部に作業車の動滑車を引っ掛けてなるものを用いた請求項1〜6のいずれか1項記載の傾斜地の滑り面測定方法。
【請求項8】
自走式の作業車と、
前記作業車と傾斜地の上部間に張設した昇降用ワイヤを用いて、傾斜地の上側へ作業車をウィンチにて助勢する助勢装置と、
前記作業車に設けた岩盤位置測定手段と、
備えた傾斜地の滑り面測定設備。
【請求項9】
前記岩盤位置測定手段として地質調査用ボーリング機械を作業車に着脱自在に設けた請求項8記載の傾斜地の滑り面測定設備。
【請求項10】
前記岩盤位置測定手段として標準貫入試験機を作業車に着脱自在に設けた請求項8又は9記載の傾斜地の滑り面測定設備。
【請求項11】
前記作業車の現在位置を測定する現在位置測定手段を設けた請求項8〜10のいずれか1項記載の傾斜地の滑り面測定設備。
【請求項12】
前記作業車を遠隔操作するための遠隔操作手段を設けた請求項8〜11のいずれか1項記載の傾斜地の滑り面測定設備。
【請求項13】
前記助勢装置として、作業車に設けた動滑車と、傾斜地の土木作業予定面の外縁上部に設けた1対の固定点と、少なくとも一方の固定点に固定した定滑車と、土木作業予定面の外縁下部に設けたウィンチとを備え、ウィンチから繰り出した昇降用ワイヤを他方の固定点に定滑車を介して案内し、両固定点間に張設された昇降用ワイヤを土木作業予定面側へ繰り出してその途中部に作業車の動滑車を引っ掛けてなるものを用いた請求項8〜12のいずれか1項記載の傾斜地の滑り面測定設備。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−303231(P2007−303231A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−135009(P2006−135009)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(505222989)株式会社サカテック (4)
【出願人】(501491619)株式会社ケイエフ (8)
【出願人】(506164350)
【Fターム(参考)】