傾斜磁場コイル装置、及び、磁気共鳴イメージング装置
【課題】漏れ磁場を大きくすることなく、傾斜磁場を大きくすることが可能な傾斜磁場コイル装置を提供する。
【解決手段】磁気共鳴イメージング装置の撮像領域に強度が線形に傾斜する磁場分布を作る渦巻き形状の第1コイル12a〜12dと、第1コイル12a〜12dを挟んで撮像領域の反対側に配置され、第1コイル12a〜12dがその反対側に作る漏れ磁場を抑制する渦巻き形状の第2コイル16a〜16dとを備え、第2コイル16a〜16dを流れる電流ISは、第1コイル12a〜12dを流れる電流IMより少なく(IM>IS)、第2コイル16a〜16dのターン数TSは、第1コイル12a〜12dのターン数TMより大きく(TM<TS)、第2コイル16a〜16dの導体幅WSは、第1コイル12a〜12dの導体幅WMより狭い(WM>WS)。
【解決手段】磁気共鳴イメージング装置の撮像領域に強度が線形に傾斜する磁場分布を作る渦巻き形状の第1コイル12a〜12dと、第1コイル12a〜12dを挟んで撮像領域の反対側に配置され、第1コイル12a〜12dがその反対側に作る漏れ磁場を抑制する渦巻き形状の第2コイル16a〜16dとを備え、第2コイル16a〜16dを流れる電流ISは、第1コイル12a〜12dを流れる電流IMより少なく(IM>IS)、第2コイル16a〜16dのターン数TSは、第1コイル12a〜12dのターン数TMより大きく(TM<TS)、第2コイル16a〜16dの導体幅WSは、第1コイル12a〜12dの導体幅WMより狭い(WM>WS)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴イメージング(以下、MRIと称す)装置に用いられる傾斜磁場コイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MRI装置は、均一な静磁場中に置かれた被検体に高周波パルスを照射したときに生じる核磁気共鳴現象を利用して、被検体に物理的、化学的性質を示す断面画像を得る装置であり、特に、医療用として用いられている。
【0003】
MRI装置は、被検体が挿入される撮像領域に均一な静磁場を生成する磁石装置と、その撮像領域に位置情報を付与するために空間的に強度が勾配した傾斜磁場をパルス状に発生させる傾斜磁場コイル装置と、被検体に高周波パルスを照射するRFコイルと、被検体からの磁気共鳴信号を受信する受信コイルと、受信した信号を処理して画像を表示するコンピュータシステムとから構成されている。
【0004】
MRI装置の性能向上の手段としては、まず、磁石装置が発生する静磁場強度の向上がある。静磁場強度が高い程、より鮮明な画像と多様な断面画像を得ることが出来るため、MRI装置はより高い静磁場強度を指向して開発が続けられている。他の性能向上の手段としては、傾斜磁場の強度の向上と、傾斜磁場をパルス状に高速に発生させる高速駆動がある。これらは、撮像時間の短縮と画質の向上に寄与し、近年盛んに使用されるようになった高速撮像法で多用されている。特に、傾斜磁場コイル装置の駆動電源装置の性能向上により、高速なスイッチングと大電流の通電が可能になっている。
【0005】
強力な傾斜磁場を発生するためには、傾斜磁場コイル装置に流す電流を大きくする、又は、傾斜磁場コイル装置の巻き数を多くするなどの方法がある。しかしながら、傾斜磁場コイル装置の巻き数を増やすと、傾斜磁場コイル装置の端部に発生する誘導電圧が大きくなり、絶縁のためのスペースが必要となるため、傾斜磁場コイル装置の小型化が難しい。また、傾斜磁場コイル装置の巻き数を増やすと、線間スペースが増え、傾斜磁場コイル装置における導体の占積率が低下し、電流密度が高くなるために温度上昇が起こりやすくなる。一方、傾斜磁場コイル装置を流れる電流を大きくするためには、大電流の通電に対応した幅広の導体が必要となるが、幅広の導体の湾曲部においては、導体の幅方向の電流密度分布に偏りが生じ、設計で意図した傾斜磁場が発生しない場合がある。
【0006】
傾斜磁場コイル装置にはパルス状の電流が流れるため、パルス状の磁場(漏れ磁場)が磁石装置の金属容器部分に渦電流を生じ、渦電流による磁場が画像に影響を与える。このため、高速に大電流をスイッチングして通電する傾斜磁場コイル装置は、撮像領域に傾斜磁場を生成するメインコイルと、パルス状の磁場(傾斜磁場と漏れ磁場)が撮像領域以外の不要な部分に漏れないようにするシールドコイルとを有している場合が多い。
【0007】
大電流を高速なパルス波形で流すための手段としては、特許文献1にあるように、一つのコイルを複数の並列導体で構成し、それぞれのインダクタンスが同一になるような回路構成とするものが提案されている。この他に、渦電流の磁場を低減する手段として、超電導コイルを磁石装置に採用したMRI装置において、その磁石装置の振動による変動磁場を低抵抗率の導体板によって低減するものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】英国特許GB2331808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
MRI装置には、鮮明な画像が高速に得られることが求められている。このため、傾斜磁場コイル装置には、出来るだけ大きな磁束密度の傾斜磁場を出来るだけ高速に発生させることが求められている。従って、傾斜磁場コイル装置には高電圧、又は、大電流が印加されることになり、高電圧の印加により導体間の電位差が増大し、大電流の印加により傾斜磁場コイル装置の発熱が増大する傾向にある。さらに、大きな傾斜磁場を発生させるため、漏れ磁場も大きくなる傾向にあり、この漏れ磁場により磁石装置の金属容器に渦電流が生成し、この渦電流により生じた磁場が画像に影響を与えると考えられる。
【0010】
そこで、本発明の目的は、漏れ磁場を大きくすることなく、傾斜磁場を大きくすることが可能な傾斜磁場コイル装置を提供することであり、さらに、その傾斜磁場コイル装置が搭載されたMRI装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明は、
磁気共鳴イメージング装置の撮像領域に強度が線形に傾斜する磁場分布を作る渦巻き形状の第1コイルと、
前記第1コイルを挟んで前記撮像領域の反対側に配置され、前記第1コイルが前記反対側に作る漏れ磁場を抑制する渦巻き形状の第2コイルとを備え、
前記第2コイルを流れる電流は、前記第1コイルを流れる電流より少なく、
前記第2コイルのターン数は、前記第1コイルのターン数より大きく、
前記第2コイルの導体幅は、前記第1コイルの導体幅より狭い傾斜磁場コイル装置であることを特徴としている。
【0012】
また、本発明は、本発明に係る傾斜磁場コイル装置と、前記撮像領域に静磁場を作る磁石装置とを有するMRI装置であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、漏れ磁場を大きくすることなく、傾斜磁場を大きくすることが可能な傾斜磁場コイル装置を提供することができ、さらに、その傾斜磁場コイル装置が搭載されたMRI装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置のyメインコイル(第1コイル)とyシールドコイル(第2コイル)の周方向の展開図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置をy軸とz軸を含む平面で切断した断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置のyメインコイル(第1コイル)とyシールドコイル(第2コイル)の等価回路図である。
【図5A】本発明の第2の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置のyメインコイル(第1コイル)とyシールドコイル(第2コイル)の等価回路図である。
【図5B】本発明の第2の実施形態の変形例に係る傾斜磁場コイル装置のyメインコイル(第1コイル)とyシールドコイル(第2コイル)の等価回路図である。
【図6A】本発明の第3の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置のyメインコイル(第1コイル)とyシールドコイル(第2コイル)の等価回路図である。
【図6B】本発明の第3の実施形態の変形例に係る傾斜磁場コイル装置のyメインコイル(第1コイル)とyシールドコイル(第2コイル)の等価回路図である。
【図7A】本発明の第4の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置のyメインコイル(第1コイル)の周方向の展開図の4分の1(第1象限)である。
【図7B】本発明の第4の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置のyシールドコイル(第2コイル)の周方向の展開図の4分の1(第1象限)である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置(垂直磁場型)の斜視図である。
【図9A】本発明の第5の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置のyメインコイル(第1コイル)のz軸負側(z<0)の平面図の2分の1(第1−2象限)である。
【図9B】本発明の第5の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置のyシールドコイル(第2コイル)のz軸負側(z<0)の平面図の2分の1(第1−2象限)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
【0016】
(第1の実施形態)
図2に、本発明の第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング(MRI)装置100の斜視図を示す。MRI装置100は、概ね3重の円筒形状をしている。その3重の外側に磁石装置30を構成する円筒形状の真空容器1が設けられている。真空容器1の内側には、円筒形状の傾斜磁場コイル装置5が設けられている。傾斜磁場コイル装置5の内側には、円筒形状のRFコイル11が設けられている。被検体(患者)7は、ベッド25にねたままの状態でRFコイル11の内側に挿入され、断層画像が撮像される。真空容器1と傾斜磁場コイル装置5とRFコイル11の3重の円筒形状の中心軸は互いに概ね一致している。後記の説明を容易にするために、その中心軸に一致するようにz軸を設定している。y軸は垂直方向上向きに設定している。x軸は、水平方向に設定している。座標原点は、真空容器1と傾斜磁場コイル装置5とRFコイル11の3重の円筒形状の略中心に設定している。また、真空容器1と傾斜磁場コイル装置5とRFコイル11の3重の円筒形状の周方向として、θ方向を設定している。θ方向は、x軸方向をゼロ(0)[rad]とし、図2において反時計周りの回転方向を、θ方向の正方向に設定している。
【0017】
図3に、本発明の第1の実施形態に係るMRI装置100をy軸とz軸を含む平面(yz平面)で切断した断面図を示す。座標原点の周辺領域が撮像領域9となる。MRI装置100は、撮像領域9に形成される静磁場6の向きが水平方向(z軸方向)である水平磁場型MRI装置である。この撮像領域9に、被検体(患者)7を移動し、断層画像が撮像されることになる。磁石装置30は、この撮像領域9に均一な静磁場6を生成する。傾斜磁場コイル装置5は、この撮像領域9に位置情報を付与するために空間的に磁場強度が傾斜勾配した傾斜磁場10をパルス状に発生させる。RFコイル11は、被検体7に高周波パルスを照射する。図示を省略した受信コイルは、被検体7からの磁気共鳴信号を受信する。図示を省略したコンピュータシステムは、受信した磁気共鳴信号を処理して前記断層画像を表示する。そして、MRI装置100によれば、均一な静磁場中に置かれた被検体7に高周波パルスを照射したときに生じる核磁気共鳴現象を利用して、被検体7の物理的、化学的性質を表す断層画像を得ることができ、その断層画像は、特に、医療用に用いられている。
【0018】
磁石装置30には、z=0面(y軸とx軸を含む平面)に対して左右(z<0とz>0の部分)で対を成すように、静磁場主コイル(超伝導コイル)3と、静磁場6の周囲への漏れ(漏れ磁場)を抑制する静磁場シールドコイル(超伝導コイル)4と、図示を省略した磁性体が設けられている。これらのコイル3、4はそれぞれ、z軸を共通の中心軸とする円環形状をしている。静磁場主コイル3の外径より、静磁場シールドコイル4の内径の方が大きくなっている。また、これらのコイル3、4には、超伝導コイルを利用することが多く、その場合、コイル3、4は、3層構造の容器内に収納される。コイル3、4は、冷媒の液体ヘリウム(He)と共に液体ヘリウム容器8内に収容されている。液体ヘリウム容器8は、内部への熱輻射を遮断する輻射シールド2に内包されている。そして、中空円筒型容器である真空容器1は、液体ヘリウム容器8及び輻射シールド2を収容しつつ、内部を真空に保持している。真空容器1は、普通の室温の室内に配置されても、真空容器1内が真空になっているので、室内の熱が伝導や対流で、液体ヘリウム容器8に伝わることはない。また、輻射シールド2は、室内の熱が輻射によって真空容器1から液体ヘリウム容器8に伝わることを抑制している。このため、コイル3、4は、液体ヘリウムの温度である極低温に安定して設定することができ、超伝導電磁石として機能させることができる。液体ヘリウム容器8と、輻射シールド2と、真空容器1には、不必要な磁場が発生しないように非磁性の部材が用いられ、さらに、真空を保持しやすいことから非磁性の金属が用いられる。このため、液体ヘリウム容器8と、輻射シールド2と、特に、最外周に配置される真空容器1には、前記渦電流が発生し易い状況にある。
【0019】
傾斜磁場コイル装置5は、撮像領域9に、傾斜磁場を発生させる。傾斜磁場は、静磁場6と同じ方向の磁場の磁束密度が、x軸、y軸、z軸の3方向に互いに独立に、線形に傾斜した磁場であり、x軸、y軸、z軸の方向毎に発生させる時間を分け合って、x軸、y軸、z軸の3方向の傾斜磁場を順番に繰り返しパルス状に発生させる。具体的に、図3では、y軸方向に強度が線形に傾斜する傾斜磁場10を示している。
【0020】
磁石装置30と傾斜磁場コイル装置5の間には、図示を省略したシムと呼ばれる磁性体の小片が複数個置かれている。シムによれば、撮像領域9内に生成される静磁場6の磁場強度を部分的に調整することができ、静磁場6の磁場強度が均一になっている撮像領域9を提供することができる。
【0021】
図1に、本発明の第1の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置5のyメインコイル(第1コイル)12a〜12dと、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dの周方向(θ方向)の展開図を示す。傾斜磁場コイル装置5は、径方向に層構造をなし、撮像領域9側に配置される渦巻き状のyメインコイル(第1コイル)12a〜12dと、真空容器1側に配置される渦巻き状のyシールドコイル(第2コイル)16a〜16dを有している。yメインコイル(第1コイル)12a〜12dは、撮像領域9にy軸方向に強度が線形に傾斜する傾斜磁場10を発生させるが、中空円筒型容器である真空容器1等の外部空間にも、いわゆる漏れ磁場を発生させる。この中空円筒型容器である真空容器1への漏れ磁場を抑制するために、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dには、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dを流れる電流IMとは反対方向の電流ISが流されるようになっている。yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dは、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dを挟んで撮像領域9の反対側に配置されている。
【0022】
yメインコイル(第1コイル)12aと、yシールドコイル(第2コイル)16aとは、z軸座標の正の領域(z>0)に配置され、かつ、θ座標(周方向座標)の正の領域(0<θ<π)に配置され、yシールドコイル(第2コイル)16aは、yメインコイル(第1コイル)12aを内側にして重なり覆うように配置されている。
【0023】
yメインコイル(第1コイル)12bと、yシールドコイル(第2コイル)16bとは、z軸座標の正の領域(z>0)に配置され、かつ、θ座標(周方向座標)の負の領域(−π<θ<0)に配置され、yシールドコイル(第2コイル)16bは、yメインコイル(第1コイル)12bを内側にして重なり覆うように配置されている。
【0024】
yメインコイル(第1コイル)12cと、yシールドコイル(第2コイル)16cとは、z軸座標の負の領域(z<0)に配置され、かつ、θ座標(周方向座標)の負の領域(−π<θ<0)に配置され、yシールドコイル(第2コイル)16cは、yメインコイル(第1コイル)12cを内側にして重なり覆うように配置されている。
【0025】
yメインコイル(第1コイル)12dと、yシールドコイル(第2コイル)16dとは、z軸座標の負の領域(z<0)に配置され、かつ、θ座標(周方向座標)の正の領域(0<θ<π)に配置され、yシールドコイル(第2コイル)16dは、yメインコイル(第1コイル)12dを内側にして重なり覆うように配置されている。
【0026】
なお、傾斜磁場コイル装置5は、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dとyシールドコイル(第2コイル)16a〜16dの他にも、撮像領域9にx軸方向に強度が線形に傾斜する傾斜磁場10を発生させるxメインコイル(第1コイル、図示省略)と、xメインコイルが傾斜磁場10を発生させる際に発生させる漏れ磁場を抑制するxシールドコイル(第2コイル、図示省略)を有している。xメインコイルと、xシールドコイルは、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dとyシールドコイル(第2コイル)16a〜16dの形状はそのままに、配置位置を、θ方向にπ/2[rad]だけ移動させた構造をしている。
【0027】
また、傾斜磁場コイル装置5は、撮像領域9にz軸方向に強度が線形に傾斜する傾斜磁場10を発生させるzメインコイル(第1コイル、図示省略)と、zメインコイルが傾斜磁場10を発生させる際に発生させる漏れ磁場を抑制するzシールドコイル(第2コイル、図示省略)を有している。
【0028】
第1の実施形態や後記で説明する実施形態では、本発明を、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dとyシールドコイル(第2コイル)16a〜16dに適用した場合を例に説明するが、本発明は、xメインコイルとxシールドコイルにも同様に適用でき、zメインコイルとzシールドコイルにも同様に適用できるのである。
【0029】
傾斜磁場を作るyメインコイル(第1コイル)12a〜12dは、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dに比べて、撮像領域9に強い磁場(傾斜磁場)を発生させるために、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dの電流密度iMは、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dの電流密度iSより大きくなっている(iM>iS)。なお、電流密度とは、発生させる磁場の強度に比例し、電流の大きさと電流が流れる電線の長さ等に比例する値である。これにより、逆に解すと、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dの電流密度iSは、小さく制限されていることになる。この制限下で、外側に漏れる漏れ磁場を極力小さくするには、漏れ磁場が漏れる隙間をなくすように、密に電流ISを流し、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dが配置された領域内の電流分布のバラツキを小さくする。具体的には、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dのターン数TSを、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dのターン数TMより多くする(TM<TS)。yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dと、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dを配置する領域は限られるので、配置面積が上限で一定となれば、ターン数が多くなる程、1ターン毎の導体幅は狭くなる。このことから、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dの導体幅WSを、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dの導体幅WMより小さくする(WM>WS)。
【0030】
yメインコイル(第1コイル)12a〜12dを流れる電流IMと、ターン数TMの積が、電流密度iMに比例する(iM∝IM×TM)。yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dを流れる電流ISと、ターン数TSの積が、電流密度iSに比例する(iS∝IS×TS)。そして、前記(iM>iS)と(TM<TS)の関係式より、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dを流れる電流ISは、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dを流れる電流IMより小さくなり(IM>IS)、一致しない(IM≠IS)。比IM/ISは、比iM/iSよりも、比TM/TSの分だけ大きくなっている(IM/IS=(iM/iS)/(TM/TS))。したがって、実際には、電流密度iM、iSが決定され、ターン数TM、TSが決定され、電流IMが決定されると、電流ISは自ずと決定される。
【0031】
電流IMは、駆動電源装置14で発生し、パルス状の電流として流れる。yメインコイル(第1コイル)12aと12bと12cと12dは、直列に接続され、その直列に接続されたものが、駆動電源装置14に接続されている。このため、yメインコイル(第1コイル)12aと12bと12cと12dには、同じ大きさで同期した電流IMが流れる。
【0032】
電流ISは、駆動電源装置15で発生し、パルス状の電流として流れる。yシールドコイル(第2コイル)16aと16bと16cと16dは、直列に接続され、その直列に接続されたものが、駆動電源装置15に接続されている。このため、yシールドコイル(第2コイル)16aと16bと16cと16dには、同じ大きさで同期した電流ISが流れる。
【0033】
同期制御部17によって、駆動電源装置14が発生させるパルス状の電流IMと、駆動電源装置15が発生させるパルス状の電流ISが、同期するように制御され、磁場が同時に発生し、一方の磁場であるいわゆる漏れ磁場が、他方の磁場によって抑制される。このように、第1の実施形態によれば、傾斜磁場が大きくなった場合であっても、漏れ磁場を確実に小さくすることができる。
【0034】
図4に、本発明の第1の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置5のyメインコイル(第1コイル)12a〜12dとyシールドコイル(第2コイル)16a〜16dに関する等価回路図を示す。yメインコイル(第1コイル)12aと12bと12cと12dは、直列に接続され、電流IMが流れる。yシールドコイル(第2コイル)16aと16bと16cと16dは、直列に接続され、電流ISが流れる。
【0035】
yメインコイル(第1コイル)12a〜12dは、それぞれ、等価的に、抵抗RMと、インダクタンスLMの直列接続として表すことができる。同様に、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dは、それぞれ、等価的に、抵抗RSと、インダクタンスLSの直列接続として表すことができる。前記したように、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dのターン数TSは、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dのターン数TMより多く(TM<TS)、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dの導体幅WSは、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dの導体幅WMより小さいので(WM>WS)、抵抗RSは、抵抗RMより大きく(RM<RS)、インダクタンスLSは、インダクタンスLMより大きい(LM<LS)。同期制御部17は、抵抗RSと抵抗RMの大小関係と、インダクタンスLSのインダクタンスLMの大小関係に基づいて、駆動電源装置14で出力する電流IMと、駆動電源装置15で出力する電流ISを同期させる。
【0036】
(第2の実施形態)
図5Aに、本発明の第2の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置5のyメインコイル(第1コイル)12a〜12dとyシールドコイル(第2コイル)16a〜16dに関する等価回路図を示す。第2の実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dとyシールドコイル(第2コイル)16a〜16dとが、直列に接続されている点と、4つのyシールドコイル(第2コイル)16a〜16dが、2つずつ並列接続された2つの並列回路を有し、その2つの並列回路が直列に接続されている点である。これらの相違により、第2の実施形態では、駆動電源装置14を1つに集約することができる。このため、駆動電源装置間の同期をとる同期制御部17を省くことができる。
【0037】
また、前記2つの並列回路により、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dを流れる電流ISを、駆動電源装置14から出力される電流Iの分流によって電流Iの半分にすることができる(2IS=I)。yメインコイル(第1コイル)12a〜12dを流れる電流IMは、駆動電源装置14から出力される電流Iに等しい(IM=I)ので、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dを流れる電流ISは、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dを流れる電流IMの半分にすることができ(IM=2IS)、電流IMより小さくでき(IM>IS)、一致しない(IM≠IS)。これによって、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dから発生する磁場強度がyメインコイル(第1コイル)12a〜12dから発生する磁場強度より減少するので、漏れ磁場を抑えるべく、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dから発生する磁場強度を増加させる必要がある。yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dから発生する磁場強度の増加に当って、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dのターン数TSを、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dのターン数TMより多くし(TM<TS)、好ましくは2倍にする(2TM=TS)。yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dの導体幅WSを、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dの導体幅WMより狭くし(WM>WS)、好ましくは半分にする(WM=2WS)。第2の実施形態によっても、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dにおいて、漏れ磁場が漏れる隙間をなくすことができ、外側に漏れる漏れ磁場を極力小さくすることができる。
【0038】
(第2の実施形態の変形例)
図5Bに、本発明の第2の実施形態の変形例に係る傾斜磁場コイル装置5のyメインコイル(第1コイル)12a〜12dとyシールドコイル(第2コイル)16a〜16dに関する等価回路図を示す。第2の実施形態の変形例が、第2の実施形態と異なる点は、4つのyシールドコイル(第2コイル)16a〜16dが、互いに並列接続された並列回路を構成している点である。
【0039】
この並列回路により、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dを流れる電流ISを、駆動電源装置14から出力される電流Iの分流によって電流Iの4分の1にすることができる(4IS=I)。yメインコイル(第1コイル)12a〜12dを流れる電流IMは、駆動電源装置14から出力される電流Iに等しい(IM=I)ので、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dを流れる電流ISは、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dを流れる電流IMの4分の1にすることができ(IM=4IS)、電流IMより小さくでき(IM>IS)、一致しない(IM≠IS)。これによって、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dから発生する磁場強度がyメインコイル(第1コイル)12a〜12dから発生する磁場強度より減少するので、漏れ磁場を抑えるべく、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dから発生する磁場強度を増加させる必要がある。yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dから発生する磁場強度の増加に当って、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dのターン数TSを、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dのターン数TMより多くし(TM<TS)、好ましくは4倍にする(4TM=TS)。yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dの導体幅WSを、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dの導体幅WMより狭くし(WM>WS)、好ましくは4分の1にする(WM=4WS)。第2の実施形態の変形例によっても、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dにおいて、漏れ磁場が漏れる隙間をなくすことができ、外側に漏れる漏れ磁場を極力小さくすることができる。
【0040】
(第3の実施形態)
図6Aに、本発明の第3の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置5のyメインコイル(第1コイル)12a〜12dとyシールドコイル(第2コイル)16a〜16dに関する等価回路図を示す。第3の実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dとyシールドコイル(第2コイル)16a〜16dとが、並列に接続された並列回路を有している点である。この相違により、第3の実施形態では、駆動電源装置14を1つに集約することができ、駆動電源装置間の同期をとる同期制御部17を省くことができる。
【0041】
なお、第1の実施形態と同様に、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dのターン数TSは、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dのターン数TMより多く(TM<TS)、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dの導体幅WSは、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dの導体幅WMより狭くなっている(WM>WS)。抵抗RSは、抵抗RMより大きく(RM<RS)、インダクタンスLSは、インダクタンスLMより大きくなっている(LM<LS)。このため、並列回路では、駆動電源装置14から出力された電流Iは、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16d側よりも、yメインコイル(第1コイル)12a〜12d側に、多く流れ込もうとする。yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dを流れる電流ISが、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dを流れる電流IMより小さくなるように分流する(IM>IS)。そして、所望の電流比(IM/IS)を得るために、図6Aに示すように、可変抵抗18及び/又はインダクタンス(リアクトル)19を調整する調整機構22を設けてもよい。第3の実施形態によっても、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dにおいて、漏れ磁場が漏れる隙間をなくすことができ、外側に漏れる漏れ磁場を極力小さくすることができる。
【0042】
(第3の実施形態の変形例)
図6Bに、本発明の第3の実施形態の変形例に係る傾斜磁場コイル装置5のyメインコイル(第1コイル)12a〜12dとyシールドコイル(第2コイル)16a〜16dに関する等価回路図を示す。第3の実施形態の変形例が、第3の実施形態と異なる点は、4つのyメインコイル(第1コイル)12a〜12dが並列接続された並列回路を有している点である。4つのyメインコイル(第1コイル)12a〜12dの並列回路により、駆動電源装置14から出力された電流Iは、第3の実施形態より、一層、yメインコイル(第1コイル)12a〜12d側に、多く流れ込もうとする。yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dを流れる電流ISが、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dを流れる電流IMより一層小さくなる(IM>IS)。一方、第1の実施形態と同様に、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dのターン数TSは、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dのターン数TMより多く(TM<TS)、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dの導体幅WSは、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dの導体幅WMより小さくなっている(WM>WS)ので、第3の実施形態の変形例によっても、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dにおいて、漏れ磁場が漏れる隙間をなくすことができ、外側に漏れる漏れ磁場を極力小さくすることができる。
【0043】
(第4の実施形態)
図7Aに、本発明の第4の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置5のyメインコイル(第1コイル)12aの周方向(θ方向)の展開図を示し、図7Bに、yシールドコイル(第2コイル)16aの周方向(θ方向)の展開図を示す。第4の実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、yシールドコイル(第2コイル)16aの渦巻き形状の内側部20と外側部21で、分断されている点である。これにより、内側部20に流す電流IS2を、外側部21に流す電流IS1より小さくすることができる(IS1>IS2)。外側部21に流す電流IS1は、yメインコイル(第1コイル)12aに流す電流IMに等しくする(IM=IS1)。これにより、第1の実施形態と同様に、駆動電源装置が、駆動電源装置14と15の2つで済むことになる。
【0044】
内側部20では、少ない電流IS2(IS1>IS2)でも、磁場を外側部21と同程度まで大きくするために、ターン数TS2を増やし(1ターンあたりのピッチを減らし)、導体幅WS2を導体幅WS1より狭くする(WS1>WS2)必要がある。また、第1の実施形態と同様に、導体幅WS2を導体幅WMより狭くする(WM>WS2)必要がある。
【0045】
なお、第4の実施形態では、yシールドコイル(第2コイル)16aの渦巻き形状の内側部20と外側部21で、分断したが、yメインコイル(第1コイル)12aの渦巻き形状の内側部と外側部で分断してもよい。この場合、内側部に流す電流を、外側部に流す電流より小さくし、内側部に流す電流をyシールドコイル(第2コイル)16aに流す電流に等しくすればよい。
また、第1の実施形態から第4の実施形態では、MRI装置100、真空容器1や傾斜磁場コイル装置5が、円筒形状であるとしたが、これに限らないのであって、筒形状であればよいのである。
【0046】
(第5の実施形態)
図8に、本発明の第5の実施形態に係る磁気共鳴イメージング(MRI)装置(垂直磁場型)100の斜視図を示す。第5の実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、MRI装置100が、水平磁場型から垂直磁場型になった点である。第5の実施形態では、上下の円盤状の真空容器1(磁極)間が連結柱24によって連結され、真空容器1(磁極)間にある撮像領域9に鉛直方向の静磁場6が発生する。また、第5の実施形態では、傾斜磁場コイル装置5と、RFコイル11は、円板形状に形成される。傾斜磁場コイル装置5内に形成されるyメインコイル(第1コイル)12と、yシールドコイル(第2コイル)16も、円板形状に形成される。
【0047】
図9Aに、本発明の第5の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置5のyメインコイル(第1コイル)12のz軸負側(z<0)の平面図の2分の1(第1−2象限)を示し、図9Bに、yシールドコイル(第2コイル)16のz軸負側(z<0)の平面図の2分の1(第1−2象限)を示す。yメインコイル(第1コイル)12も、yシールドコイル(第2コイル)16も、2分の1だけ示しているので、略半円形上をしている。
【0048】
第1の実施形態と同様に、傾斜磁場を作るyメインコイル(第1コイル)12は、yシールドコイル(第2コイル)16に比べて、撮像領域9に強い磁場(傾斜磁場)を発生させるために、yメインコイル(第1コイル)12の電流密度iMは、yシールドコイル(第2コイル)16の電流密度iSより大きくなっている(iM>iS)。これにより、逆に解すと、yシールドコイル(第2コイル)16の電流密度iSは、小さく制限されていることになる。この制限下で、外側に漏れる漏れ磁場を極力小さくするには、漏れ磁場が漏れる隙間をなくすように、密に電流ISを流し、yシールドコイル(第2コイル)16が配置された領域内の電流分布のバラツキを小さくする。具体的には、yシールドコイル(第2コイル)16のターン数TSを、yメインコイル(第1コイル)12のターン数TMより多くする(TM<TS)。yシールドコイル(第2コイル)16と、yメインコイル(第1コイル)12を配置する領域は限られるので、配置面積が上限で一定となれば、ターン数が多くなる程、1ターン毎の導体幅は狭くなる。このことから、yシールドコイル(第2コイル)16の導体幅WSを、yメインコイル(第1コイル)12の導体幅WMより小さくする(WM>WS)。このように、第5の実施形態によっても、yシールドコイル(第2コイル)16において、漏れ磁場が漏れる隙間をなくすことができ、外側に漏れる漏れ磁場を極力小さくすることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 真空容器
5 傾斜磁場コイル装置
6 静磁場の向き
7 被検体(患者)
9 撮像領域
10 y軸方向に強度が線形に傾斜する傾斜磁場
12、12a〜12d 傾斜磁場コイル装置のyメインコイル(第1コイル)
16、16a〜16d 傾斜磁場コイル装置のyシールドコイル(第2コイル)
17 同期制御部
18 可変抵抗
19 リアクトル
20 yメインコイル(第1コイル)より細いyシールドコイル(第2コイル)の内側部
21 yメインコイル(第1コイル)より太いyシールドコイル(第2コイル)の外側部
30 磁石装置
100 磁気共鳴イメージング装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴イメージング(以下、MRIと称す)装置に用いられる傾斜磁場コイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MRI装置は、均一な静磁場中に置かれた被検体に高周波パルスを照射したときに生じる核磁気共鳴現象を利用して、被検体に物理的、化学的性質を示す断面画像を得る装置であり、特に、医療用として用いられている。
【0003】
MRI装置は、被検体が挿入される撮像領域に均一な静磁場を生成する磁石装置と、その撮像領域に位置情報を付与するために空間的に強度が勾配した傾斜磁場をパルス状に発生させる傾斜磁場コイル装置と、被検体に高周波パルスを照射するRFコイルと、被検体からの磁気共鳴信号を受信する受信コイルと、受信した信号を処理して画像を表示するコンピュータシステムとから構成されている。
【0004】
MRI装置の性能向上の手段としては、まず、磁石装置が発生する静磁場強度の向上がある。静磁場強度が高い程、より鮮明な画像と多様な断面画像を得ることが出来るため、MRI装置はより高い静磁場強度を指向して開発が続けられている。他の性能向上の手段としては、傾斜磁場の強度の向上と、傾斜磁場をパルス状に高速に発生させる高速駆動がある。これらは、撮像時間の短縮と画質の向上に寄与し、近年盛んに使用されるようになった高速撮像法で多用されている。特に、傾斜磁場コイル装置の駆動電源装置の性能向上により、高速なスイッチングと大電流の通電が可能になっている。
【0005】
強力な傾斜磁場を発生するためには、傾斜磁場コイル装置に流す電流を大きくする、又は、傾斜磁場コイル装置の巻き数を多くするなどの方法がある。しかしながら、傾斜磁場コイル装置の巻き数を増やすと、傾斜磁場コイル装置の端部に発生する誘導電圧が大きくなり、絶縁のためのスペースが必要となるため、傾斜磁場コイル装置の小型化が難しい。また、傾斜磁場コイル装置の巻き数を増やすと、線間スペースが増え、傾斜磁場コイル装置における導体の占積率が低下し、電流密度が高くなるために温度上昇が起こりやすくなる。一方、傾斜磁場コイル装置を流れる電流を大きくするためには、大電流の通電に対応した幅広の導体が必要となるが、幅広の導体の湾曲部においては、導体の幅方向の電流密度分布に偏りが生じ、設計で意図した傾斜磁場が発生しない場合がある。
【0006】
傾斜磁場コイル装置にはパルス状の電流が流れるため、パルス状の磁場(漏れ磁場)が磁石装置の金属容器部分に渦電流を生じ、渦電流による磁場が画像に影響を与える。このため、高速に大電流をスイッチングして通電する傾斜磁場コイル装置は、撮像領域に傾斜磁場を生成するメインコイルと、パルス状の磁場(傾斜磁場と漏れ磁場)が撮像領域以外の不要な部分に漏れないようにするシールドコイルとを有している場合が多い。
【0007】
大電流を高速なパルス波形で流すための手段としては、特許文献1にあるように、一つのコイルを複数の並列導体で構成し、それぞれのインダクタンスが同一になるような回路構成とするものが提案されている。この他に、渦電流の磁場を低減する手段として、超電導コイルを磁石装置に採用したMRI装置において、その磁石装置の振動による変動磁場を低抵抗率の導体板によって低減するものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】英国特許GB2331808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
MRI装置には、鮮明な画像が高速に得られることが求められている。このため、傾斜磁場コイル装置には、出来るだけ大きな磁束密度の傾斜磁場を出来るだけ高速に発生させることが求められている。従って、傾斜磁場コイル装置には高電圧、又は、大電流が印加されることになり、高電圧の印加により導体間の電位差が増大し、大電流の印加により傾斜磁場コイル装置の発熱が増大する傾向にある。さらに、大きな傾斜磁場を発生させるため、漏れ磁場も大きくなる傾向にあり、この漏れ磁場により磁石装置の金属容器に渦電流が生成し、この渦電流により生じた磁場が画像に影響を与えると考えられる。
【0010】
そこで、本発明の目的は、漏れ磁場を大きくすることなく、傾斜磁場を大きくすることが可能な傾斜磁場コイル装置を提供することであり、さらに、その傾斜磁場コイル装置が搭載されたMRI装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明は、
磁気共鳴イメージング装置の撮像領域に強度が線形に傾斜する磁場分布を作る渦巻き形状の第1コイルと、
前記第1コイルを挟んで前記撮像領域の反対側に配置され、前記第1コイルが前記反対側に作る漏れ磁場を抑制する渦巻き形状の第2コイルとを備え、
前記第2コイルを流れる電流は、前記第1コイルを流れる電流より少なく、
前記第2コイルのターン数は、前記第1コイルのターン数より大きく、
前記第2コイルの導体幅は、前記第1コイルの導体幅より狭い傾斜磁場コイル装置であることを特徴としている。
【0012】
また、本発明は、本発明に係る傾斜磁場コイル装置と、前記撮像領域に静磁場を作る磁石装置とを有するMRI装置であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、漏れ磁場を大きくすることなく、傾斜磁場を大きくすることが可能な傾斜磁場コイル装置を提供することができ、さらに、その傾斜磁場コイル装置が搭載されたMRI装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置のyメインコイル(第1コイル)とyシールドコイル(第2コイル)の周方向の展開図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置をy軸とz軸を含む平面で切断した断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置のyメインコイル(第1コイル)とyシールドコイル(第2コイル)の等価回路図である。
【図5A】本発明の第2の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置のyメインコイル(第1コイル)とyシールドコイル(第2コイル)の等価回路図である。
【図5B】本発明の第2の実施形態の変形例に係る傾斜磁場コイル装置のyメインコイル(第1コイル)とyシールドコイル(第2コイル)の等価回路図である。
【図6A】本発明の第3の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置のyメインコイル(第1コイル)とyシールドコイル(第2コイル)の等価回路図である。
【図6B】本発明の第3の実施形態の変形例に係る傾斜磁場コイル装置のyメインコイル(第1コイル)とyシールドコイル(第2コイル)の等価回路図である。
【図7A】本発明の第4の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置のyメインコイル(第1コイル)の周方向の展開図の4分の1(第1象限)である。
【図7B】本発明の第4の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置のyシールドコイル(第2コイル)の周方向の展開図の4分の1(第1象限)である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置(垂直磁場型)の斜視図である。
【図9A】本発明の第5の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置のyメインコイル(第1コイル)のz軸負側(z<0)の平面図の2分の1(第1−2象限)である。
【図9B】本発明の第5の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置のyシールドコイル(第2コイル)のz軸負側(z<0)の平面図の2分の1(第1−2象限)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
【0016】
(第1の実施形態)
図2に、本発明の第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング(MRI)装置100の斜視図を示す。MRI装置100は、概ね3重の円筒形状をしている。その3重の外側に磁石装置30を構成する円筒形状の真空容器1が設けられている。真空容器1の内側には、円筒形状の傾斜磁場コイル装置5が設けられている。傾斜磁場コイル装置5の内側には、円筒形状のRFコイル11が設けられている。被検体(患者)7は、ベッド25にねたままの状態でRFコイル11の内側に挿入され、断層画像が撮像される。真空容器1と傾斜磁場コイル装置5とRFコイル11の3重の円筒形状の中心軸は互いに概ね一致している。後記の説明を容易にするために、その中心軸に一致するようにz軸を設定している。y軸は垂直方向上向きに設定している。x軸は、水平方向に設定している。座標原点は、真空容器1と傾斜磁場コイル装置5とRFコイル11の3重の円筒形状の略中心に設定している。また、真空容器1と傾斜磁場コイル装置5とRFコイル11の3重の円筒形状の周方向として、θ方向を設定している。θ方向は、x軸方向をゼロ(0)[rad]とし、図2において反時計周りの回転方向を、θ方向の正方向に設定している。
【0017】
図3に、本発明の第1の実施形態に係るMRI装置100をy軸とz軸を含む平面(yz平面)で切断した断面図を示す。座標原点の周辺領域が撮像領域9となる。MRI装置100は、撮像領域9に形成される静磁場6の向きが水平方向(z軸方向)である水平磁場型MRI装置である。この撮像領域9に、被検体(患者)7を移動し、断層画像が撮像されることになる。磁石装置30は、この撮像領域9に均一な静磁場6を生成する。傾斜磁場コイル装置5は、この撮像領域9に位置情報を付与するために空間的に磁場強度が傾斜勾配した傾斜磁場10をパルス状に発生させる。RFコイル11は、被検体7に高周波パルスを照射する。図示を省略した受信コイルは、被検体7からの磁気共鳴信号を受信する。図示を省略したコンピュータシステムは、受信した磁気共鳴信号を処理して前記断層画像を表示する。そして、MRI装置100によれば、均一な静磁場中に置かれた被検体7に高周波パルスを照射したときに生じる核磁気共鳴現象を利用して、被検体7の物理的、化学的性質を表す断層画像を得ることができ、その断層画像は、特に、医療用に用いられている。
【0018】
磁石装置30には、z=0面(y軸とx軸を含む平面)に対して左右(z<0とz>0の部分)で対を成すように、静磁場主コイル(超伝導コイル)3と、静磁場6の周囲への漏れ(漏れ磁場)を抑制する静磁場シールドコイル(超伝導コイル)4と、図示を省略した磁性体が設けられている。これらのコイル3、4はそれぞれ、z軸を共通の中心軸とする円環形状をしている。静磁場主コイル3の外径より、静磁場シールドコイル4の内径の方が大きくなっている。また、これらのコイル3、4には、超伝導コイルを利用することが多く、その場合、コイル3、4は、3層構造の容器内に収納される。コイル3、4は、冷媒の液体ヘリウム(He)と共に液体ヘリウム容器8内に収容されている。液体ヘリウム容器8は、内部への熱輻射を遮断する輻射シールド2に内包されている。そして、中空円筒型容器である真空容器1は、液体ヘリウム容器8及び輻射シールド2を収容しつつ、内部を真空に保持している。真空容器1は、普通の室温の室内に配置されても、真空容器1内が真空になっているので、室内の熱が伝導や対流で、液体ヘリウム容器8に伝わることはない。また、輻射シールド2は、室内の熱が輻射によって真空容器1から液体ヘリウム容器8に伝わることを抑制している。このため、コイル3、4は、液体ヘリウムの温度である極低温に安定して設定することができ、超伝導電磁石として機能させることができる。液体ヘリウム容器8と、輻射シールド2と、真空容器1には、不必要な磁場が発生しないように非磁性の部材が用いられ、さらに、真空を保持しやすいことから非磁性の金属が用いられる。このため、液体ヘリウム容器8と、輻射シールド2と、特に、最外周に配置される真空容器1には、前記渦電流が発生し易い状況にある。
【0019】
傾斜磁場コイル装置5は、撮像領域9に、傾斜磁場を発生させる。傾斜磁場は、静磁場6と同じ方向の磁場の磁束密度が、x軸、y軸、z軸の3方向に互いに独立に、線形に傾斜した磁場であり、x軸、y軸、z軸の方向毎に発生させる時間を分け合って、x軸、y軸、z軸の3方向の傾斜磁場を順番に繰り返しパルス状に発生させる。具体的に、図3では、y軸方向に強度が線形に傾斜する傾斜磁場10を示している。
【0020】
磁石装置30と傾斜磁場コイル装置5の間には、図示を省略したシムと呼ばれる磁性体の小片が複数個置かれている。シムによれば、撮像領域9内に生成される静磁場6の磁場強度を部分的に調整することができ、静磁場6の磁場強度が均一になっている撮像領域9を提供することができる。
【0021】
図1に、本発明の第1の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置5のyメインコイル(第1コイル)12a〜12dと、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dの周方向(θ方向)の展開図を示す。傾斜磁場コイル装置5は、径方向に層構造をなし、撮像領域9側に配置される渦巻き状のyメインコイル(第1コイル)12a〜12dと、真空容器1側に配置される渦巻き状のyシールドコイル(第2コイル)16a〜16dを有している。yメインコイル(第1コイル)12a〜12dは、撮像領域9にy軸方向に強度が線形に傾斜する傾斜磁場10を発生させるが、中空円筒型容器である真空容器1等の外部空間にも、いわゆる漏れ磁場を発生させる。この中空円筒型容器である真空容器1への漏れ磁場を抑制するために、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dには、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dを流れる電流IMとは反対方向の電流ISが流されるようになっている。yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dは、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dを挟んで撮像領域9の反対側に配置されている。
【0022】
yメインコイル(第1コイル)12aと、yシールドコイル(第2コイル)16aとは、z軸座標の正の領域(z>0)に配置され、かつ、θ座標(周方向座標)の正の領域(0<θ<π)に配置され、yシールドコイル(第2コイル)16aは、yメインコイル(第1コイル)12aを内側にして重なり覆うように配置されている。
【0023】
yメインコイル(第1コイル)12bと、yシールドコイル(第2コイル)16bとは、z軸座標の正の領域(z>0)に配置され、かつ、θ座標(周方向座標)の負の領域(−π<θ<0)に配置され、yシールドコイル(第2コイル)16bは、yメインコイル(第1コイル)12bを内側にして重なり覆うように配置されている。
【0024】
yメインコイル(第1コイル)12cと、yシールドコイル(第2コイル)16cとは、z軸座標の負の領域(z<0)に配置され、かつ、θ座標(周方向座標)の負の領域(−π<θ<0)に配置され、yシールドコイル(第2コイル)16cは、yメインコイル(第1コイル)12cを内側にして重なり覆うように配置されている。
【0025】
yメインコイル(第1コイル)12dと、yシールドコイル(第2コイル)16dとは、z軸座標の負の領域(z<0)に配置され、かつ、θ座標(周方向座標)の正の領域(0<θ<π)に配置され、yシールドコイル(第2コイル)16dは、yメインコイル(第1コイル)12dを内側にして重なり覆うように配置されている。
【0026】
なお、傾斜磁場コイル装置5は、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dとyシールドコイル(第2コイル)16a〜16dの他にも、撮像領域9にx軸方向に強度が線形に傾斜する傾斜磁場10を発生させるxメインコイル(第1コイル、図示省略)と、xメインコイルが傾斜磁場10を発生させる際に発生させる漏れ磁場を抑制するxシールドコイル(第2コイル、図示省略)を有している。xメインコイルと、xシールドコイルは、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dとyシールドコイル(第2コイル)16a〜16dの形状はそのままに、配置位置を、θ方向にπ/2[rad]だけ移動させた構造をしている。
【0027】
また、傾斜磁場コイル装置5は、撮像領域9にz軸方向に強度が線形に傾斜する傾斜磁場10を発生させるzメインコイル(第1コイル、図示省略)と、zメインコイルが傾斜磁場10を発生させる際に発生させる漏れ磁場を抑制するzシールドコイル(第2コイル、図示省略)を有している。
【0028】
第1の実施形態や後記で説明する実施形態では、本発明を、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dとyシールドコイル(第2コイル)16a〜16dに適用した場合を例に説明するが、本発明は、xメインコイルとxシールドコイルにも同様に適用でき、zメインコイルとzシールドコイルにも同様に適用できるのである。
【0029】
傾斜磁場を作るyメインコイル(第1コイル)12a〜12dは、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dに比べて、撮像領域9に強い磁場(傾斜磁場)を発生させるために、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dの電流密度iMは、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dの電流密度iSより大きくなっている(iM>iS)。なお、電流密度とは、発生させる磁場の強度に比例し、電流の大きさと電流が流れる電線の長さ等に比例する値である。これにより、逆に解すと、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dの電流密度iSは、小さく制限されていることになる。この制限下で、外側に漏れる漏れ磁場を極力小さくするには、漏れ磁場が漏れる隙間をなくすように、密に電流ISを流し、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dが配置された領域内の電流分布のバラツキを小さくする。具体的には、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dのターン数TSを、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dのターン数TMより多くする(TM<TS)。yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dと、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dを配置する領域は限られるので、配置面積が上限で一定となれば、ターン数が多くなる程、1ターン毎の導体幅は狭くなる。このことから、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dの導体幅WSを、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dの導体幅WMより小さくする(WM>WS)。
【0030】
yメインコイル(第1コイル)12a〜12dを流れる電流IMと、ターン数TMの積が、電流密度iMに比例する(iM∝IM×TM)。yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dを流れる電流ISと、ターン数TSの積が、電流密度iSに比例する(iS∝IS×TS)。そして、前記(iM>iS)と(TM<TS)の関係式より、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dを流れる電流ISは、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dを流れる電流IMより小さくなり(IM>IS)、一致しない(IM≠IS)。比IM/ISは、比iM/iSよりも、比TM/TSの分だけ大きくなっている(IM/IS=(iM/iS)/(TM/TS))。したがって、実際には、電流密度iM、iSが決定され、ターン数TM、TSが決定され、電流IMが決定されると、電流ISは自ずと決定される。
【0031】
電流IMは、駆動電源装置14で発生し、パルス状の電流として流れる。yメインコイル(第1コイル)12aと12bと12cと12dは、直列に接続され、その直列に接続されたものが、駆動電源装置14に接続されている。このため、yメインコイル(第1コイル)12aと12bと12cと12dには、同じ大きさで同期した電流IMが流れる。
【0032】
電流ISは、駆動電源装置15で発生し、パルス状の電流として流れる。yシールドコイル(第2コイル)16aと16bと16cと16dは、直列に接続され、その直列に接続されたものが、駆動電源装置15に接続されている。このため、yシールドコイル(第2コイル)16aと16bと16cと16dには、同じ大きさで同期した電流ISが流れる。
【0033】
同期制御部17によって、駆動電源装置14が発生させるパルス状の電流IMと、駆動電源装置15が発生させるパルス状の電流ISが、同期するように制御され、磁場が同時に発生し、一方の磁場であるいわゆる漏れ磁場が、他方の磁場によって抑制される。このように、第1の実施形態によれば、傾斜磁場が大きくなった場合であっても、漏れ磁場を確実に小さくすることができる。
【0034】
図4に、本発明の第1の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置5のyメインコイル(第1コイル)12a〜12dとyシールドコイル(第2コイル)16a〜16dに関する等価回路図を示す。yメインコイル(第1コイル)12aと12bと12cと12dは、直列に接続され、電流IMが流れる。yシールドコイル(第2コイル)16aと16bと16cと16dは、直列に接続され、電流ISが流れる。
【0035】
yメインコイル(第1コイル)12a〜12dは、それぞれ、等価的に、抵抗RMと、インダクタンスLMの直列接続として表すことができる。同様に、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dは、それぞれ、等価的に、抵抗RSと、インダクタンスLSの直列接続として表すことができる。前記したように、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dのターン数TSは、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dのターン数TMより多く(TM<TS)、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dの導体幅WSは、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dの導体幅WMより小さいので(WM>WS)、抵抗RSは、抵抗RMより大きく(RM<RS)、インダクタンスLSは、インダクタンスLMより大きい(LM<LS)。同期制御部17は、抵抗RSと抵抗RMの大小関係と、インダクタンスLSのインダクタンスLMの大小関係に基づいて、駆動電源装置14で出力する電流IMと、駆動電源装置15で出力する電流ISを同期させる。
【0036】
(第2の実施形態)
図5Aに、本発明の第2の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置5のyメインコイル(第1コイル)12a〜12dとyシールドコイル(第2コイル)16a〜16dに関する等価回路図を示す。第2の実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dとyシールドコイル(第2コイル)16a〜16dとが、直列に接続されている点と、4つのyシールドコイル(第2コイル)16a〜16dが、2つずつ並列接続された2つの並列回路を有し、その2つの並列回路が直列に接続されている点である。これらの相違により、第2の実施形態では、駆動電源装置14を1つに集約することができる。このため、駆動電源装置間の同期をとる同期制御部17を省くことができる。
【0037】
また、前記2つの並列回路により、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dを流れる電流ISを、駆動電源装置14から出力される電流Iの分流によって電流Iの半分にすることができる(2IS=I)。yメインコイル(第1コイル)12a〜12dを流れる電流IMは、駆動電源装置14から出力される電流Iに等しい(IM=I)ので、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dを流れる電流ISは、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dを流れる電流IMの半分にすることができ(IM=2IS)、電流IMより小さくでき(IM>IS)、一致しない(IM≠IS)。これによって、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dから発生する磁場強度がyメインコイル(第1コイル)12a〜12dから発生する磁場強度より減少するので、漏れ磁場を抑えるべく、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dから発生する磁場強度を増加させる必要がある。yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dから発生する磁場強度の増加に当って、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dのターン数TSを、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dのターン数TMより多くし(TM<TS)、好ましくは2倍にする(2TM=TS)。yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dの導体幅WSを、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dの導体幅WMより狭くし(WM>WS)、好ましくは半分にする(WM=2WS)。第2の実施形態によっても、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dにおいて、漏れ磁場が漏れる隙間をなくすことができ、外側に漏れる漏れ磁場を極力小さくすることができる。
【0038】
(第2の実施形態の変形例)
図5Bに、本発明の第2の実施形態の変形例に係る傾斜磁場コイル装置5のyメインコイル(第1コイル)12a〜12dとyシールドコイル(第2コイル)16a〜16dに関する等価回路図を示す。第2の実施形態の変形例が、第2の実施形態と異なる点は、4つのyシールドコイル(第2コイル)16a〜16dが、互いに並列接続された並列回路を構成している点である。
【0039】
この並列回路により、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dを流れる電流ISを、駆動電源装置14から出力される電流Iの分流によって電流Iの4分の1にすることができる(4IS=I)。yメインコイル(第1コイル)12a〜12dを流れる電流IMは、駆動電源装置14から出力される電流Iに等しい(IM=I)ので、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dを流れる電流ISは、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dを流れる電流IMの4分の1にすることができ(IM=4IS)、電流IMより小さくでき(IM>IS)、一致しない(IM≠IS)。これによって、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dから発生する磁場強度がyメインコイル(第1コイル)12a〜12dから発生する磁場強度より減少するので、漏れ磁場を抑えるべく、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dから発生する磁場強度を増加させる必要がある。yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dから発生する磁場強度の増加に当って、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dのターン数TSを、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dのターン数TMより多くし(TM<TS)、好ましくは4倍にする(4TM=TS)。yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dの導体幅WSを、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dの導体幅WMより狭くし(WM>WS)、好ましくは4分の1にする(WM=4WS)。第2の実施形態の変形例によっても、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dにおいて、漏れ磁場が漏れる隙間をなくすことができ、外側に漏れる漏れ磁場を極力小さくすることができる。
【0040】
(第3の実施形態)
図6Aに、本発明の第3の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置5のyメインコイル(第1コイル)12a〜12dとyシールドコイル(第2コイル)16a〜16dに関する等価回路図を示す。第3の実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dとyシールドコイル(第2コイル)16a〜16dとが、並列に接続された並列回路を有している点である。この相違により、第3の実施形態では、駆動電源装置14を1つに集約することができ、駆動電源装置間の同期をとる同期制御部17を省くことができる。
【0041】
なお、第1の実施形態と同様に、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dのターン数TSは、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dのターン数TMより多く(TM<TS)、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dの導体幅WSは、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dの導体幅WMより狭くなっている(WM>WS)。抵抗RSは、抵抗RMより大きく(RM<RS)、インダクタンスLSは、インダクタンスLMより大きくなっている(LM<LS)。このため、並列回路では、駆動電源装置14から出力された電流Iは、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16d側よりも、yメインコイル(第1コイル)12a〜12d側に、多く流れ込もうとする。yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dを流れる電流ISが、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dを流れる電流IMより小さくなるように分流する(IM>IS)。そして、所望の電流比(IM/IS)を得るために、図6Aに示すように、可変抵抗18及び/又はインダクタンス(リアクトル)19を調整する調整機構22を設けてもよい。第3の実施形態によっても、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dにおいて、漏れ磁場が漏れる隙間をなくすことができ、外側に漏れる漏れ磁場を極力小さくすることができる。
【0042】
(第3の実施形態の変形例)
図6Bに、本発明の第3の実施形態の変形例に係る傾斜磁場コイル装置5のyメインコイル(第1コイル)12a〜12dとyシールドコイル(第2コイル)16a〜16dに関する等価回路図を示す。第3の実施形態の変形例が、第3の実施形態と異なる点は、4つのyメインコイル(第1コイル)12a〜12dが並列接続された並列回路を有している点である。4つのyメインコイル(第1コイル)12a〜12dの並列回路により、駆動電源装置14から出力された電流Iは、第3の実施形態より、一層、yメインコイル(第1コイル)12a〜12d側に、多く流れ込もうとする。yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dを流れる電流ISが、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dを流れる電流IMより一層小さくなる(IM>IS)。一方、第1の実施形態と同様に、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dのターン数TSは、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dのターン数TMより多く(TM<TS)、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dの導体幅WSは、yメインコイル(第1コイル)12a〜12dの導体幅WMより小さくなっている(WM>WS)ので、第3の実施形態の変形例によっても、yシールドコイル(第2コイル)16a〜16dにおいて、漏れ磁場が漏れる隙間をなくすことができ、外側に漏れる漏れ磁場を極力小さくすることができる。
【0043】
(第4の実施形態)
図7Aに、本発明の第4の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置5のyメインコイル(第1コイル)12aの周方向(θ方向)の展開図を示し、図7Bに、yシールドコイル(第2コイル)16aの周方向(θ方向)の展開図を示す。第4の実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、yシールドコイル(第2コイル)16aの渦巻き形状の内側部20と外側部21で、分断されている点である。これにより、内側部20に流す電流IS2を、外側部21に流す電流IS1より小さくすることができる(IS1>IS2)。外側部21に流す電流IS1は、yメインコイル(第1コイル)12aに流す電流IMに等しくする(IM=IS1)。これにより、第1の実施形態と同様に、駆動電源装置が、駆動電源装置14と15の2つで済むことになる。
【0044】
内側部20では、少ない電流IS2(IS1>IS2)でも、磁場を外側部21と同程度まで大きくするために、ターン数TS2を増やし(1ターンあたりのピッチを減らし)、導体幅WS2を導体幅WS1より狭くする(WS1>WS2)必要がある。また、第1の実施形態と同様に、導体幅WS2を導体幅WMより狭くする(WM>WS2)必要がある。
【0045】
なお、第4の実施形態では、yシールドコイル(第2コイル)16aの渦巻き形状の内側部20と外側部21で、分断したが、yメインコイル(第1コイル)12aの渦巻き形状の内側部と外側部で分断してもよい。この場合、内側部に流す電流を、外側部に流す電流より小さくし、内側部に流す電流をyシールドコイル(第2コイル)16aに流す電流に等しくすればよい。
また、第1の実施形態から第4の実施形態では、MRI装置100、真空容器1や傾斜磁場コイル装置5が、円筒形状であるとしたが、これに限らないのであって、筒形状であればよいのである。
【0046】
(第5の実施形態)
図8に、本発明の第5の実施形態に係る磁気共鳴イメージング(MRI)装置(垂直磁場型)100の斜視図を示す。第5の実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、MRI装置100が、水平磁場型から垂直磁場型になった点である。第5の実施形態では、上下の円盤状の真空容器1(磁極)間が連結柱24によって連結され、真空容器1(磁極)間にある撮像領域9に鉛直方向の静磁場6が発生する。また、第5の実施形態では、傾斜磁場コイル装置5と、RFコイル11は、円板形状に形成される。傾斜磁場コイル装置5内に形成されるyメインコイル(第1コイル)12と、yシールドコイル(第2コイル)16も、円板形状に形成される。
【0047】
図9Aに、本発明の第5の実施形態に係る傾斜磁場コイル装置5のyメインコイル(第1コイル)12のz軸負側(z<0)の平面図の2分の1(第1−2象限)を示し、図9Bに、yシールドコイル(第2コイル)16のz軸負側(z<0)の平面図の2分の1(第1−2象限)を示す。yメインコイル(第1コイル)12も、yシールドコイル(第2コイル)16も、2分の1だけ示しているので、略半円形上をしている。
【0048】
第1の実施形態と同様に、傾斜磁場を作るyメインコイル(第1コイル)12は、yシールドコイル(第2コイル)16に比べて、撮像領域9に強い磁場(傾斜磁場)を発生させるために、yメインコイル(第1コイル)12の電流密度iMは、yシールドコイル(第2コイル)16の電流密度iSより大きくなっている(iM>iS)。これにより、逆に解すと、yシールドコイル(第2コイル)16の電流密度iSは、小さく制限されていることになる。この制限下で、外側に漏れる漏れ磁場を極力小さくするには、漏れ磁場が漏れる隙間をなくすように、密に電流ISを流し、yシールドコイル(第2コイル)16が配置された領域内の電流分布のバラツキを小さくする。具体的には、yシールドコイル(第2コイル)16のターン数TSを、yメインコイル(第1コイル)12のターン数TMより多くする(TM<TS)。yシールドコイル(第2コイル)16と、yメインコイル(第1コイル)12を配置する領域は限られるので、配置面積が上限で一定となれば、ターン数が多くなる程、1ターン毎の導体幅は狭くなる。このことから、yシールドコイル(第2コイル)16の導体幅WSを、yメインコイル(第1コイル)12の導体幅WMより小さくする(WM>WS)。このように、第5の実施形態によっても、yシールドコイル(第2コイル)16において、漏れ磁場が漏れる隙間をなくすことができ、外側に漏れる漏れ磁場を極力小さくすることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 真空容器
5 傾斜磁場コイル装置
6 静磁場の向き
7 被検体(患者)
9 撮像領域
10 y軸方向に強度が線形に傾斜する傾斜磁場
12、12a〜12d 傾斜磁場コイル装置のyメインコイル(第1コイル)
16、16a〜16d 傾斜磁場コイル装置のyシールドコイル(第2コイル)
17 同期制御部
18 可変抵抗
19 リアクトル
20 yメインコイル(第1コイル)より細いyシールドコイル(第2コイル)の内側部
21 yメインコイル(第1コイル)より太いyシールドコイル(第2コイル)の外側部
30 磁石装置
100 磁気共鳴イメージング装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴イメージング装置の撮像領域に強度が線形に傾斜する磁場分布を作る渦巻き形状の第1コイルと、
前記第1コイルを挟んで前記撮像領域の反対側に配置され、前記第1コイルが前記反対側に作る漏れ磁場を抑制する渦巻き形状の第2コイルとを備え、
前記第2コイルを流れる電流は、前記第1コイルを流れる電流より少なく、
前記第2コイルのターン数は、前記第1コイルのターン数より大きく、
前記第2コイルの導体幅は、前記第1コイルの導体幅より狭いことを特徴とする傾斜磁場コイル装置。
【請求項2】
前記第1コイルに給電する第1電源と、
前記第2コイルに給電する第2電源とを有し、
前記第1電源と前記第2電源とは、互いに同期したパルス状の電流を出力することを特徴とする請求項1に記載の傾斜磁場コイル装置。
【請求項3】
前記第1コイルと前記第2コイルとが並列に接続された並列回路を有し、
前記並列回路では、前記第2コイルを流れる電流が、前記第1コイルを流れる電流より小さくなるように分流することを特徴とする請求項1に記載の傾斜磁場コイル装置。
【請求項4】
前記並列回路は、前記第1コイルと前記第2コイルを流れる電流を変えるために抵抗及び/又はインダクタンスを調整する調整機構を備えること特徴とする請求項3に記載の傾斜磁場コイル装置。
【請求項5】
複数の前記第2コイルが並列に接続された並列回路を有し、
前記並列回路に前記第1コイルが直列に接続され、
前記並列回路では、前記第2コイルを流れる電流が、前記第1コイルを流れる電流より小さくなるように分流することを特徴とする請求項1に記載の傾斜磁場コイル装置。
【請求項6】
前記第1コイル又は前記第2コイルの渦巻き形状の内側部を流れる電流は、前記内側部の外側に位置する前記渦巻き形状の外側部を流れる電流より小さく、
前記内側部の導体幅は、前記外側部の導体幅より小さいことを特徴とする請求項1に記載の傾斜磁場コイル装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の傾斜磁場コイル装置と、前記撮像領域に静磁場を作る磁石装置とを有することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項1】
磁気共鳴イメージング装置の撮像領域に強度が線形に傾斜する磁場分布を作る渦巻き形状の第1コイルと、
前記第1コイルを挟んで前記撮像領域の反対側に配置され、前記第1コイルが前記反対側に作る漏れ磁場を抑制する渦巻き形状の第2コイルとを備え、
前記第2コイルを流れる電流は、前記第1コイルを流れる電流より少なく、
前記第2コイルのターン数は、前記第1コイルのターン数より大きく、
前記第2コイルの導体幅は、前記第1コイルの導体幅より狭いことを特徴とする傾斜磁場コイル装置。
【請求項2】
前記第1コイルに給電する第1電源と、
前記第2コイルに給電する第2電源とを有し、
前記第1電源と前記第2電源とは、互いに同期したパルス状の電流を出力することを特徴とする請求項1に記載の傾斜磁場コイル装置。
【請求項3】
前記第1コイルと前記第2コイルとが並列に接続された並列回路を有し、
前記並列回路では、前記第2コイルを流れる電流が、前記第1コイルを流れる電流より小さくなるように分流することを特徴とする請求項1に記載の傾斜磁場コイル装置。
【請求項4】
前記並列回路は、前記第1コイルと前記第2コイルを流れる電流を変えるために抵抗及び/又はインダクタンスを調整する調整機構を備えること特徴とする請求項3に記載の傾斜磁場コイル装置。
【請求項5】
複数の前記第2コイルが並列に接続された並列回路を有し、
前記並列回路に前記第1コイルが直列に接続され、
前記並列回路では、前記第2コイルを流れる電流が、前記第1コイルを流れる電流より小さくなるように分流することを特徴とする請求項1に記載の傾斜磁場コイル装置。
【請求項6】
前記第1コイル又は前記第2コイルの渦巻き形状の内側部を流れる電流は、前記内側部の外側に位置する前記渦巻き形状の外側部を流れる電流より小さく、
前記内側部の導体幅は、前記外側部の導体幅より小さいことを特徴とする請求項1に記載の傾斜磁場コイル装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の傾斜磁場コイル装置と、前記撮像領域に静磁場を作る磁石装置とを有することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【公開番号】特開2012−24451(P2012−24451A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−167970(P2010−167970)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】
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