説明

像ぶれ補正装置

【課題】 ジンバル機構を用いて、屈曲撮像光学系のための像ぶれ補正装置を提供する。
【解決手段】 デジタルカメラは、屈曲撮像光学系を有する。屈曲撮像光学系は、屈曲光学系、ズームレンズ群22、および撮像素子23等から成る。屈曲撮像光学系をレンズ内枠40で保持し、レンズ内枠40を、さらにレンズ外枠30で保持する。カメラ本体は、レンズ外枠30を、撮像素子23の受光面23aの法線に平行なヨー軸Yを中心に揺動自在に支持する。レンズ外枠30は、レンズ内枠40をヨー軸Yと垂直なピッチ軸Pを中心に揺動自在に支持する。これにより、カメラ本体は、屈曲撮像光学系を、ピッチ軸Pおよびヨー軸Yを中心に揺動可能に支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置等における像ぶれ補正装置に関し、特にジンバル機構を利用した像ぶれ補正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラなどの撮像装置において撮像中に生じた手ぶれを補正するために、撮像装置の振動を検出し、その検出された振動量に応じて、撮像光学系の位置を補正する像ぶれ補正装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、撮像光学系の光軸に垂直な2方向に補正レンズを変位させ、撮像光学系を偏心させる像ぶれ補正装置が記載されている。また、特許文献2には、いわゆるジンバル機構を利用した像ぶれ補正装置が記載されている。この像ぶれ補正装置によれば、撮像素子を、その光軸に垂直なヨー軸およびピッチ軸を中心に回転させることにより、像ふれが補正される。
【特許文献1】特許第2641172号公報
【特許文献2】特開昭61−247170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年デジタルカメラの小型化の要望は強く、例えば屈曲光学系が搭載されたデジタルカメラが普及しつつなる。このような屈曲光学系搭載型のカメラは、レンズユニットをカメラの厚さ方向に並べる必要がないので、カメラの厚さを薄くすることができる。
【0005】
しかし、特許文献1に記載される像ぶれ補正装置においては、補正レンズを変位させるための第1および第2の扁平コイルが設けられ、この第1および第2の扁平コイルは、補正レンズと同一平面上に広がるように設けなければならない。また同様に、特許文献2に記載の像ぶれ補正装置においても、撮像素子を回転させるために、第1および第2のコイルを設け、それらコイルはいずれもレンズの周囲に配置しなければならない。
【0006】
したがって、特許文献1または2に記載される像ぶれ補正装置を、屈曲光学系搭載型のカメラに適用しようとすると、カメラの厚みが厚くなってしまい、デジタルカメラの小型化が困難になる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る像ぶれ補正装置は、被写体からの光を屈曲させる屈曲光学系と、屈曲光学系によって屈曲させられた光を受光する撮像素子とを含む屈曲撮像光学系を、撮像素子の受光面上に結像される被写体像のぶれを補正するために変位させる。そして、この像ぶれ補正装置は、撮像素子の受光面の法線に平行な第1軸を中心に屈曲撮像光学系を揺動変位させる第1駆動手段と、撮像素子の受光面の法線に対して垂直な第2軸を中心に屈曲撮像光学系を揺動変位させる第2駆動手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
以上の構成によれば、第1駆動手段を、撮像素子の受光面の法線の平行線上に効率良く配設させることができるので、像ぶれ補正装置の小型化を達成することができる。また、第1軸が撮像素子の受光面の重心に一致、また近接する場合、屈曲撮像光学系を、遠心力があまり発生させないように揺動させることができ、これにより屈曲撮像光学系を、少ない駆動力で揺動させ、また揺動の制御を容易にすることができる。
【0009】
また、このような構成によれば、例えば撮像素子の法線が撮像装置の厚さ方向に対して垂直な場合、例えば屈曲撮像光学系の周辺部に第1駆動手段を設けなくても良いので、撮像装置の厚さを薄くすることができる。
【0010】
第1駆動手段は、撮像素子の背面側に設けられることが好ましい。これにより、より効率良く、第1駆動手段を配設することができる。
【0011】
第1駆動手段は、例えば屈曲撮像光学系を揺動させるためのコイルを有す。このコイルの導線は、例えば第1軸の周りに、第1軸と垂直な垂直面に沿って捲かれている。また、例えばコイルは、その長手方向が第2軸の方向になるように捲かれる。このような構成によれば、コイルは、屈曲撮像光学系を効率よく揺動できるとともに、効率的に配設される。
【0012】
第2駆動手段は、例えば屈曲撮像光学系を揺動させるためのコイルを有す。このコイルの導線は、例えば第2軸の周りに、この第2軸と垂直な垂直面に沿って捲かれている。また、例えばコイルは、その長手方向が第1軸の方向になるように捲かれる。このような構成によれば、コイルは、屈曲撮像光学系を効率よく揺動できるとともに、効率的に配設される。
【0013】
本発明に係る像ぶれ補正装置は、屈曲撮像光学系を、第1軸または第2軸のいずれか一方の軸を中心に揺動自在に支持する第1の支持部材と、第1の支持部材を、他方の軸を中心に揺動支持する第2の支持部材とを備えることが好ましい。この場合、屈曲撮像光学系は、さらに保持部材に保持され、この保持部材が第1の支持部材に揺動自在に支持されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
第1駆動手段を、撮像素子の法線上、または法線に平行な同一線上の位置に効率良く配設させることができるので、像ぶれ補正装置が設けられる撮像装置の小型化を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、撮像装置がデジタルカメラである場合について、説明するが、撮像装置はデジタルカメラに限定されるわけではない。
【0016】
本実施形態に係るデジタルカメラ10を、前方から見た正面図を図1に示す。デジタルカメラ10は、略直方体で厚さ方向に薄いカメラ本体11を有し、カメラ本体11の内部には後述する撮影屈曲光学系が収容されている。カメラ本体11の前面11F上部には、屈曲撮像光学系の前面を露出させるための開口12が設けられる。前面11Fにおいて、開口12の横にはフラッシュ発光部13、測光センサ14、および測距センサ18が設けられる。本体11の上面11Uには、レリーズボタン15、電源ボタン16、および補正スイッチ17が設けられている。
【0017】
図2は、カメラ本体11の内部構造を示す背面図である。図3は、カメラ本体11の内部構造を示す側面図である。カメラ本体11の内部を背面側から見ると図2に示すようにその大部分は、回路基板100で占められ、その回路基板100は、背面から見ると、カメラ本体11の左側に配置される。回路基板100には、後述するCPU121やLCDモニタ117等が設けられる。カメラ本体11の内部の右側には、レンズ外枠30が設けられ、レンズ外枠30内には、レンズ内枠40を介して、屈曲撮像光学系が支持される。なお、以下の説明における左右上下とは、特別な言及をする場合を除き、図2に示すようにカメラ本体11を背面側から見たときの左右上下をいう。
【0018】
屈曲撮像光学系は、対物レンズ20、屈曲光学系21、ズームレンズ群22、撮像素子23を備える。撮像素子23は、受光面23aを備え、その受光面23aが受光した光を画像信号に変換することにより画像を撮像する。撮像素子23はカメラ本体11の下部に、受光面23aが上方から光を受けるように配置されており、光軸Xはデジタルカメラ10の上下方向に延びる。対物レンズ20、屈曲光学系21、ズームレンズ群22は、被写体からの光を撮像素子23に導いて、被写体像を撮像素子23上に結像させる。ここで、光軸Xは、ズームレンズ群22の光軸であって上下に延び、撮像素子23の受光面23aの重心(受光面上における有効画素領域の重心、要するに撮影領域の中心)を通る軸であって、受光面23aの法線に平行である。なお、以下述べる「受光面23aの法線」「光軸X」とは、特別な言及をする場合を除き、屈曲撮像光学系が後述するジンバル機構によって中立位置に支持されているときの「法線」「光軸X」である。
【0019】
屈曲光学系21は、開口12に対向して設けられ、光路を下方に折り曲げるように配置される。本実施形態において屈曲光学系21としては、ミラーが用いられるが、ミラーに限らず、プリズム等を用いて良い。対物レンズ20は、開口12と屈曲光学系21の間に配置される。ズームレンズ群22は、屈曲光学系21と撮像素子23との間に配置される。光軸Xは、屈曲光学系21の反射面の中心を通り、反射面に対して45゜の角度を成す。
【0020】
以上の構成により、開口12よりカメラ10の厚さ方向に入射された光は、対物レンズ20を通って屈曲光学系21で90°屈曲される。そして、その屈曲された光は、ズームレンズ群22を介して、撮像素子23に受光される。
【0021】
屈曲撮像光学系(対物レンズ20、屈曲光学系21、ズームレンズ群22、撮像素子23)は、カメラの上下方向に延びるレンズ内枠40に保持される。レンズ内枠40は、カメラの上下方向に延びるレンズ外枠30にさらに保持される。レンズ外枠(第1の支持部材)30は、レンズ内枠(保持部材)40を揺動可能に支持するとともに、カメラ本体(第2の支持部材)11は、さらにこのレンズ外枠30を揺動可能に支持し、屈曲撮像光学系は、いわゆるジンバル機構により支持される。なお、ズームレンズ群22は第1レンズ群22a、第2レンズ群22b、第3レンズ群22cの3つのレンズ群で構成されている。
【0022】
レンズ内枠40は、受光面23aの法線に対して垂直な同一線上において、レンズ内枠40の左面40Lおよび右面40Rの略中央部から、左右方向にそれぞれ突出するピッチ軸部41、42を有する。ピッチ軸部41、42は、それぞれ、レンズ外枠30に設けられたピッチ軸受け部33、34に回転自在に係合される。これにより、レンズ内枠40は、受光面23aの法線に垂直なピッチ軸Pを中心に揺動自在に、レンズ外枠30によって支持される。
【0023】
レンズ外枠30は、光軸Xと一致するように、カメラ10の上下方向に突出するヨー軸部31、32を有する。ヨー軸部31、32は、それぞれレンズ外枠30の下面30Dおよび上面30Uの略中央から突出し、それぞれカメラ本体11内部に設けられヨー軸受け部53、54に回転自在に係合される。これにより、レンズ外枠30は、光軸Xに一致するヨー軸Yを中心に揺動自在に、カメラ本体11に支持される。なお、ヨー軸部31、32(すなわち、ヨー軸Y)の設けられる位置は光軸X上に限らず、光軸Xに平行な同一線上であれば良く、すなわちヨー軸Yは、受光面23aの法線に平行であれば良い。
【0024】
ここで、レンズ外枠30から下方向に向けて突出するヨー軸部32は、上方向に向けて突出するヨー軸部31に比べ長く、またカメラの下面11Dに設けられたヨー軸受け部54も下面11Dから上方に向けて突出して設けられる。したがって、レンズ外枠30と、カメラ本体11の下面11Dの間には、一定の間隙が設けられ、この間隙にレンズ外枠30を揺動するための第1の駆動機構が設けられる。すなわち、第1の駆動機構は、光軸X(すなわち、ヨー軸Y)上において、撮像素子23の背面側に配設される。
【0025】
第1の駆動機構は、ヨーコイル55、第1および第2永久磁石56A、56B、軟磁性体材料から成るヨーク57を有する。ヨーク57は、図3に示すようにカメラ本体の下面11Dに固定される下面57Aと、下面57Aに連設されカメラ本体の前面11Fに沿って広がる側面57Bと、側面57Bに連設され下面57Aに対向して設けられる上面57Cとから構成され、ピッチ軸Pに沿って見ると、その断面形状が略コの字形状を呈する。下面57A、側面57B、および上面57Cは、ピッチ軸Pの延びる方向に略同一の長さで延びる。なお、下面57A、上面57Cは、それぞれ、ヨー軸部32(またはヨー軸受け部54)をヨーク57に挿通させるために、コの字形状の開口側から、その幅方向(図3の左右方向)のほぼ全体に亘って切り欠かれた切欠き部57D、57Eを有する(図2参照)。この切欠き部57D、57Eは、下面57A、上面57Cの長手方向の略中央部に位置し、ヨー軸Yは、下面57Aおよび上面57Cの略中央を挿通するように設けられる。
【0026】
ヨーク57のコの字型の凹部内部には、ヨーコイル55、第1および第2永久磁石56A、56Bが設けられる。ヨーコイル55は、固定部材55Bを介してレンズ外枠30の下面30Dに固定されている。ヨーコイル55は扁平コイルであって、ヨーコイル55の導線は、ヨー軸Yに対して垂直な垂直面において中空部55Aを中心に捲かれ、その中空部55Aの中心にヨー軸部32(またはヨー軸受け部54)が挿通される。そして、ヨーコイル55は、その長手方向がヨーク57の長さと略同一にピッチ軸Pの方向に延びる。また中空部55Aの端には、固定部材55Bに固定されるホールセンサ59が設けられる。ホールセンサ59は、固定部材55B、すなわちレンズ外枠30の変位量を検出する。ここで、検出される変位量は、デジタルカメラ10の厚さ方向の変位量である。第1永久磁石56Aおよび第2永久磁石56Bは、切欠き部57Dをこれらの間に配置して、下面57Aの上に固定される。
【0027】
ヨーコイル55に電流が流されると、ヨーコイル55の固定部材55Bに電磁力が作用され、固定部材55Bに連接されたレンズ外枠30は、この電磁力により、ヨー軸Yを中心にヨーイング方向に揺動させられる。
【0028】
レンズ内枠40から右方向に向けて突出するピッチ軸部42は、左方向に向けて突出するピッチ軸部41に比べ長く、またレンズ外枠30の右面30Rに設けられたピッチ軸受け部34もレンズ外枠30の内部に向けて突出して設けられる。したがって、レンズ内枠40と、右面30Rの間には、一定の間隙が設けられ、この間隙にレンズ内枠40を揺動するための第2の駆動機構が設けられる。そして、第2の駆動機構は、レンズ外枠30の内部において、ピッチ軸P上に配設される。
【0029】
第2の駆動機構は、第1の駆動機構と同様な構成であって、ピッチコイル75、第1および第2永久磁石76A、76B、ヨーク77を有する。ヨーク77は、カメラ外枠30の右面30Rに固定される下面77Aと、下面77Aに連設されカメラ本体の前面11Fに沿って広がる側面77Bと、側面77Bに連設され下面77Aに対向して設けられる上面77Cとから構成され、ヨー軸Yに沿って見ると、その断面形状が略コの字形状を呈する。下面77A、側面77B、および上面77Cは、ヨー軸Yの延びる方向に略同一の長さで延びる。なお、下面77A、上面77Cは、それぞれ、ピッチ軸部42(またはピッチ軸受け部34)を、ヨーク77に挿通させるために、コの字形状の開口側から、その幅方向(図3の左右方向)のほぼ全体に亘って切り欠かれた切欠き部77D、77Eを有する。この切欠き部77D、77Eは、下面77A、上面77Cの長手方向の略中央部に位置し、すなわちピッチ軸Pは、下面77A、上面77Cの略中央を挿通するように設けられる。
【0030】
ヨーク77のコの字型の凹部内部には、ピッチコイル75、第1および第2永久磁石76A、76Bが設けられる。ピッチコイル75は、固定部材75Bを介してレンズ内枠40の右面40Rに固定されている。ピッチコイル75は扁平コイルであって、ピッチコイル75の導線は、ピッチ軸部41、42に対して垂直な垂直面において中空部75Aを中心に捲かれ、その中空部75Aの中心にピッチ軸Pが挿通される。そして、ピッチコイル75は、その長手方向がヨーク77の長さと略同一にヨー軸Yの方向に延びる。また、中空部75Aの端には、固定部材75Bに固定されるホールセンサ79が設けられる。ホールセンサ79は、固定部材75B、すなわちレンズ内枠40の変位量を検出する。ここで、検出される変位量は、デジタルカメラ10の厚さ方向の変位量である。第1永久磁石76Aおよび第2永久磁石76Bは、切欠き部77Dをこれらの間に配置して、下面77Aの上に固定される。
【0031】
ピッチコイル75に電流が流されると、ピッチコイル75の固定部材75Bに電磁力が作用され、固定部材75Bに連接されたレンズ内枠30は、この電磁力により、ピッチ軸Pを中心にピッチング方向に揺動させられる。
【0032】
以上のように本実施形態においては、屈曲撮像光学系は、レンズ内枠40に保持され、このレンズ内枠40は、レンズ外枠30によってピッチ軸Pを中心に揺動自在に支持される。したがって、レンズ内枠40、すなわち屈曲撮像光学系は、レンズ外枠30に対して揺動可能である。また、レンズ外枠30は、カメラ本体11に対して、ヨー軸Yを中心に揺動自在に支持され、カメラ本体11に対して揺動可能である。以上の構成により、屈曲撮像光学系は、カメラ本体11に対して、ピッチ軸Pを中心に揺動可能であるとともに、ヨー軸Yを中心に揺動可能である。
【0033】
そして、本実施形態においては、レンズ外枠30の揺動中心であるヨー軸Yは、受光面23aの法線に平行に設けられ、これにより、第1駆動機構は、受光面23aの法線の平行線上に配設させることができる。したがって、第1駆動機構をレンズ外枠30の周囲に配設させる必要がないので、カメラ本体11の厚さを薄くすることができる。
【0034】
また、本実施形態では、揺動中心であるヨー軸Yが、光軸X(すなわち受光面23aの重心)と一致、また光軸Xに近接して設けられる場合、屈曲撮像光学系を揺動させたとしても、遠心力があまり発生しない。したがって、小さい駆動力で屈曲撮像光学系を揺動させることができる。さらに、遠心力の影響が少ないので、屈曲撮像光学系を、誤差なく目標位置に揺動変位させることができる。
【0035】
なお、本実施形態においては、レンズ外枠30が受光面23aの法線に平行なヨー軸Yを中心に揺動させられ、レンズ内枠40が受光面23aの法線に垂直なピッチ軸Pを中心に揺動させられたが、レンズ内枠40が受光面23aの法線に平行なヨー軸Yを中心に揺動させられ、レンズ外枠30が受光面23aの法線に垂直なピッチ軸Pを中心に揺動させられても良い。
【0036】
さらに、本実施形態においては、撮像面23aの法線は、カメラ本体11の上下方向に延びるが、カメラ本体11の左右方向に延びても良い。また、カメラ本体11の形態が異なれば、撮像素子23の法線は、他の方向に延びても良い。
【0037】
図4に本実施形態に係るデジタルカメラ10の回路構成図を示す。デジタルカメラ10に設けられたCPU121は、デジタルカメラ10の全体の動作を制御する。デジタルカメラ10の撮像に関する部分は、主電源のオンオフ切り替えを行うレリーズボタン15(図1参照)、電源ボタン16(図1参照)、撮像素子23を含む屈曲撮像光学系、LCDモニタ117、CPU121、撮像ブロック122、AE部123、およびAF部124から構成される。電源ボタン16の押下に対応してPonスイッチ16aのオンオフ状態が切り替えられ、これによりデジタルカメラ10の電源のオンオフ状態が切り替えられる。撮像素子23は、撮像ブロック122によって駆動させられ、受光面23a(図2参照)に受光された像が、画像信号に変換され、その画像信号は撮像ブロック122を介してCPU121に入力される。入力された画像信号は、LCDモニタ117に撮像された画像として表示される。なお、LCDモニタ117は、例えばカメラ本体11の背面側に設けられる。
【0038】
レリーズボタン15は、半押しすることにより測光スイッチ12aがオン状態にされ測光や測距及び合焦動作が行われ、全押しすることによりレリーズスイッチ13aがオン状態にされ撮影が行われ、撮影画像がメモリに記録される。撮影動作においては、フラッシュ発光部13が適宜駆動され、被写体に向けてフラッシュ光が照射される。
【0039】
AE部123は、測光センサ14(図1参照)を用いて、被写体の測光動作を実行して露光値を演算し、この露光値に基づき撮影に必要となる絞り値及び露光時間を演算する。AF部124は、測距センサ18(図1参照)を用い測距を行い、この測距結果に基づきズームレンズ群22の第1レンズ群22aを光軸X方向に変位させ焦点調節を行う。なお、ズームレンズ群22の第2レンズ群22bおよび第3レンズ群22cを光軸X方向に変位させて、撮像素子23に結像される像の倍率を変更することも可能である。
【0040】
デジタルカメラ10の像ブレ補正に関する部分は、像ブレ補正ボタン17(図1参照)、CPU121、角速度検出部125、ドライバ回路129、位置検出部146、及びヨーコイル55、ピッチコイル75等を含む第1および第2駆動機構から構成される。
【0041】
像ブレ補正ボタン17が押下されると、像ブレ補正スイッチ14aがオン状態にされ、測光など他の動作と独立して、角速度検出部125、位置検出部146、及びドライバ回路129等が駆動されて、一定時間ごとに像ブレ補正が行われる。本実施形態ではこの一定時間を1msであるとして説明する。
【0042】
角速度検出部125は、第1、第2角度センサ126、127、およびアンプ・ハイパスフィルタ回路128を有する。第1、第2角度センサ126、127は、それぞれデジタルカメラ本体11に固定され、デジタルカメラ10の手ぶれ等によるぶれを検出する。位置検出部146は、ホールセンサ59、79およびホール素子信号処理回路145で構成される。
【0043】
第1角度センサ126は、カメラ本体11のヨー軸Yを中心に回転するヨーイング方向の一定時間(1ms)ごとのヨー角速度を検出し、第2角度センサ127は、カメラ本体11のピッチ軸Pを中心に回転するピッチング方向の一定時間(1ms)ごとのピッチ角速度を検出する。アンプ・ハイパスフィルタ回路128は、角速度に関する信号を増幅した後、第1、第2角速度センサ126、127のヌル電圧やパンニングをカットし、ヨー角度速度vy、ピッチ角速度vpとしてアナログ信号をCPU121のA/D0、A/D1に入力する。
【0044】
CPU121は、A/D0、A/D1に入力されたヨー角度速度vy、ピッチ角速度vpをA/D変換した後、焦点距離などを考慮した変換係数によって一定時間(1ms)に生じた像ぶれ量を演算する。ここで、像ぶれ量は、ヨー角度速度vyからヨーイング方向の像ぶれ量が、ピッチ角速度vpからピッチング方向の像ぶれ量が演算される。CPU121は、演算により求めたヨーイング方向の像ぶれ量に応じて、像ぶれを補正するための屈曲撮像光学系のヨーイング方向に揺動すべき目標角度位置syを演算する。また、CPU121は、ピッチング方向の像ぶれ量に応じて、像ぶれを補正するための屈曲撮像光学系のピッチング方向に揺動すべき目標角度位置spを演算する。
【0045】
CPU121では、レンズ外枠30、レンズ内枠40をそれぞれ目標角度位置sy、spに揺動させるための必要な駆動力がそれぞれ計算される。そして、その必要な駆動力は、第1および第2PWMデューティdy、dpとして、それぞれCPU121のPWM0およびPWN1からドライバ回路129に出力される。ドライバ回路129では、この第1、第2PWMデューティdy、dpに応じて、ヨーコイル55、ピッチコイル75に電力がそれぞれ供給され、これによりレンズ外枠30、レンズ内枠40がそれぞれ揺動させられる。
【0046】
ホールセンサ59、79は、それぞれレンズ外枠30、およびレンズ内枠40のカメラ厚さ方向における変位量を検出する。検出された変位量は、ホール素子信号処理回路145を介して、位置検出信号ly、lpとしてCPU121のA/D2、A/D3に入力され、A/D変換される。ここで、レンズ外枠30、レンズ内枠40の揺動量は微少であるので、レンズ外枠30、レンズ内枠40の厚さ方向の変位量から、レンズ外枠30、レンズ内枠40の揺動量ldy、ldpがそれぞれ近似可能である。したがって、CPU121では、A/D変換された位置検出信号ly、lpに基づいて、レンズ外枠30、レンズ内枠40それぞれの揺動量ldy、ldpが算出される。
【0047】
第1および第2PWMデューティdy、dpは、この目標角度位置sp、syおよび、揺動量ldy、ldpにより、PID制御される。したがって、コイル55、75の駆動力は、ホールセンサ59および79によって検出された揺動量を参照しつつ、レンズ外枠30、レンズ内枠40が目標角度位置sp、syに変位できるように制御される。
【0048】
以上のように、本実施形態では、第1角度センサ126によってヨーイング方向の揺れが検出された場合、ドライバ回路129によって、レンズ外枠30(すなわち屈曲撮像光学系)がその揺れ方向とは逆方向のヨーイング方向に揺動させられる。これにより、撮像素子に発生するヨーイング方向の像ぶれが減少させられる。一方、第2角度センサ127で検出されたピッチング方向の揺れを打ち消すように、ドライバ回路129によって、レンズ内枠40(すなわち屈曲撮像光学系)がその揺れ方向とは逆のピッチング方向に揺動させられる。これにより、撮像素子に発生するピッチング方向の像ぶれは減少させられる。
【0049】
また、レンズ内枠40およびレンズ外枠30の揺動は、ホールセンサ59、79により検知されたレンズ内枠40およびレンズ外枠30の揺動量が検出されつつPID制御される。したがって、本実施形態では、屈曲撮像光学系を、目標角度位置sy、spに確実に揺動変位させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本実施形態に係るデジタルカメラの模式的な正面図である。
【図2】デジタルカメラの内部構造を示す背面図である。
【図3】デジタルカメラの内部構造を示す側面図である。
【図4】デジタルカメラの回路構成図である。
【符号の説明】
【0051】
10 デジタルカメラ
11 カメラ本体
12 開口
20 対物レンズ
21 屈曲光学系
22 ズームレンズ群
23 撮像素子
23a 受光面
30 レンズ外枠
31、32 ヨー軸部
33、34 ピッチ軸受け部
40 レンズ内枠
41、42 ピッチ軸部
53、54 ヨー軸受け部
55 ヨーコイル
57、77 ヨーク
75 ピッチコイル
P ピッチ軸
X 光軸
Y ヨー軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの光を屈曲させる屈曲光学系と、前記屈曲光学系によって屈曲させられた光を受光する撮像素子とを含む屈曲撮像光学系を、前記撮像素子の受光面上に結像される被写体像のぶれを補正するために変位させる像ぶれ補正装置において、
前記撮像素子の受光面の法線に平行な第1軸を中心に前記屈曲撮像光学系を揺動変位させる第1駆動手段と、
前記撮像素子の受光面の法線に対して垂直な第2軸を中心に前記屈曲撮像光学系を揺動変位させる第2駆動手段と
を備えることを特徴とする像ぶれ補正装置。
【請求項2】
前記第1駆動手段は、前記撮像素子の背面側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の像ぶれ補正装置。
【請求項3】
前記第1駆動手段は、前記屈曲撮像光学系を揺動させるためのコイルを有し、このコイルは、その導線が前記第1軸の周りに、前記第1軸と垂直な垂直面に沿って捲かれていることを特徴とする請求項1に記載の像ぶれ補正装置。
【請求項4】
前記第1駆動手段は、前記屈曲撮像光学系を揺動させるためのコイルを有し、このコイルは、その長手方向が前記第2軸の方向になるように捲かれることを特徴とする請求項1に記載の像ぶれ補正装置。
【請求項5】
前記第2駆動手段は、前記屈曲撮像光学系を揺動させるためのコイルを有し、このコイルは、その導線が前記第2軸の周りに、前記第2軸と垂直な垂直面に沿って捲かれていることを特徴とする請求項1に記載の像ぶれ補正装置。
【請求項6】
前記第2駆動手段は、前記屈曲撮像光学系を揺動させるためのコイルを有し、このコイルは、その長手方向が前記第1軸の方向になるように捲かれることを特徴とする請求項1に記載の像ぶれ補正装置。
【請求項7】
前記屈曲撮像光学系を、前記第1軸または第2軸のいずれか一方の軸を中心に揺動支持する第1の支持部材と、
前記第1の支持部材を、他方の軸を中心に揺動支持する第2の支持部材と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の像ぶれ補正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−259247(P2006−259247A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−76737(P2005−76737)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】