説明

元気姿勢測定装置

【課題】
本発明は、回答者が自己点検することにより自己の生活習慣全般の現状と、健康を増進し維持することのできる合理的な生活習慣を学び、また健康に向けての積極的な姿勢を持つことで、高いレベルの健康を勝ち得ることができる装置とその動作方法の提供することである。
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、生体の機能状態を評価するための分類項目ごとの質問に対するそれぞれの回答を指標化して回答値を取得し、取得した回答値の履歴を回答者ごとに保持し、回答値履歴に応じて評価値を定めた評価テーブルに従って当該回答値履歴を評価することで、自己の健康に向けての積極的な姿勢を表す元気姿勢値を得る元気姿勢測定装置、及び当該装置の動作方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人の健康の維持、増進への取り組みを測定する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、健康という概念は、「単に病気が無いだけでなく、身体的にも精神的にも社会的にも完全に良好な状態である」とされるが、操作的には心身に異常が見られない状態と解されてきた。例えば、人間ドックや健康診断で病気が発見されなかった場合には、多くの人はひとまず「自分は健康である。」と考える。通常、人間は病気でない状態、すなわち正常な生理的状態であれば、生体のホメオスターシス(恒常性維持機能)により、たとえ誤った生活習慣をとり続けていたとしてもある限度までは一定の機能状態を維持することができる。しかし、長期間にわたり誤った生活習慣をとり続けた場合、ホメオスターシス機能の利得が小さくなり、結果的に病理的状態に移行していく。したがって、検査結果で病気が発見されなかった場合であっても、それをもって直ちに健康であると断定することはできない。なぜなら、異常が見られないという未病状態に過ぎず、その後の生活習慣の如何によっては病理的状態に移行するという危険性を孕んでいるからである。したがって、若い頃から未病状態にならないように生活習慣を自己管理することは極めて重要である。
【0003】
真の健康は、病気に備え予防するという守りの姿勢と、健康に向けて積極的に心身を鍛えるような生活習慣を身に付けると言う攻めの姿勢とのバランスによって勝ち得ることができると考えられる。
【0004】
このうち、守りの姿勢には、例えば、健康診断や早期治療等の手段がある。具体的にはインフルエンザの流行前に予防接種を受けることや、年に1回人間ドックに入ること、漢方薬を飲む等が挙げられる。これらは病気という状態に対する危機管理の上で重要であり、特に中高年になれば誰もが心得ていることである。
【0005】
一方、積極的に心身を鍛えようとする攻めの姿勢を実践するには、攻めの目的意識を鮮明に持ち、生活習慣全般の現状を自ら点検し、その結果に基づいて生活習慣を再設計した上でそれを自己管理することが必須の条件である。それは、即ち、日常の適度な運動、規則正しい生活、バランスのよい食事の摂取等の自己制御という形で現れるものである。つまり、攻めの姿勢においては、生活習慣全般の現状について自己点検することで現在及びこれまでの生体の機能状態の履歴等を把握することが必要不可欠の条件となる。
【0006】
ここで「生体の機能状態」とは、人間の体を構成する身体、器官、組織等の機能の状態、及び人間の精神の機能の状態である。したがって、当該生体の機能状態が正常であることが「健康状態」であることを意味する。
【0007】
生体の機能状態を点検し、測定・評価するための方法としては、例えば「SF−36」等がある(非特許文献1)。SF−36では、「あなたの健康状態は?」「過去一ヶ月の間に、身体の痛みをどのくらい感じましたか?」等の質問に回答することで、回答者は生体の機能状態についての自己点検を行うことができ、生体の機能状態を容易に把握することができる。さらに、「SF−36」での測定結果の妥当性や正確性の問題を解決した特願2005−084983の元気・健康点検票によって、より正確に自身の生体の機能状態を把握することもできる。これらの方法は、医師の立場から生体の機能状態を把握する上では優れたものである。
【0008】
しかし、前記方法の結果に基づいて回答者が次に採るべき具体的な方法に関しては、これまで各人に任されており、万人が行える合理的手法の開発は遅れていた。つまり、医師の力を借りずに純粋に自己点検のみによって健康的な生活習慣を維持、増進していることを測定、評価する方法がこれまでに知られていないという問題があった。
【特許文献1】特願2005−084983
【非特許文献1】Fukuhara,S, et al.:Translation, adaptation, and validation of the SF−36 Health Surver for use in Japan.,J.Clin.Epidemiol.1998,51:1037−1044.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、上記問題点に鑑み、各人が健康を増進し維持することのできる合理的な生活習慣を学ぶことができる装置とその動作方法の提供である。また、本発明の他の課題は、各人が生活習慣全般の現状を自己点検することで自分自身が健康に向けての積極的な姿勢をとっているか否かを認識することができる装置とその動作方法の提供である。さらに、本発明の他の課題は、各人が健康に向けての目的意識を鮮明に持つことで、生活習慣の再設計と生活習慣の自己管理が可能になり、高いレベルの健康を勝ち得ることができる装置とその動作方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は生体の機能状態を評価するための分類項目ごとの質問に対するそれぞれの回答を指標化した回答値を取得する回答値取得部と、取得した回答値の履歴を回答者ごとに保持する回答値履歴保持部と、回答値履歴に応じて評価値を定めた評価テーブルを保持する評価テーブル保持部と、回答値履歴を評価テーブルに従って評価して得た評価値である元気姿勢値を取得する元気姿勢値取得部と、を有する元気姿勢測定装置を提供する。また、上記元気姿勢測定装置の動作方法も提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、回答者は健康を増進し維持することのできる生活習慣を自己点検によって学ぶことができる。また、自己点検によって自分自身が健康に向けての積極的な姿勢をとっているか否かを認識することができる。さらに、健康に向けての目的意識を鮮明に持つことができ、それにより生活習慣の再設計と自己管理が可能になり、高いレベルの健康を勝ち得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
【0013】
なお、実施形態1は、請求項1、2、3、4について説明するものである。
【0014】
<<実施形態1>>
【0015】
<概要>
【0016】
図1に本実施形態の概念図を示し、以下で本実施形態の概要について説明をする。図1は、2005年の各月同日に本実施形態の元気発明測定装置を用いて測定項目「呼吸」に関する質問について測定した結果、得られた元気姿勢値(0101)を示している。「元気姿勢値」とは、時系列上での異なる二点の回答値(0102)の比較から判断された値であって、自己の健康状態を維持、増進するための積極的、かつ前向きな行動の変遷である「元気姿勢」を客観的に評価するために数値化したものである。この図で示すように、回答値(0102)の変遷から判断した場合には、値は初回測定時から概ね上昇傾向にあるように見える。それゆえ、回答者は自分自身が健康的な生活を送っていると考える。しかし、隣接する各月の回答値の増減より算出された元気姿勢値を時系列で見た場合(0103)、元気姿勢値は健康的な姿勢(0104)を意味する正の値と、非健康的な姿勢(0105)を意味する負の値とを往来していることがわかる。すなわち、この回答者は呼吸に関する健康の認識が不十分であり、また健康に向けての積極的な姿勢をとる意識が欠けていることがわかる。ここでもし質問の内容が後述する健康を積極的に維持、増進する定型質問であったならば、この回答者は今後、質問の内容を意識して実践することで健康に向けての積極的な姿勢が改善されることになる。
【0017】
このように、本実施形態で説明する元気姿勢測定装置は、同一回答者の生体の機能状態を時系列上の異なる二点で比較し、その二点間における当該回答者の健康に向けての姿勢を測定する機能を備えた計算装置である。本装置を用いて回答者が複数回、自己点検を行うことで当該回答者は自身が健康的な生活習慣を維持、増進しているか否かを測定、評価することができる。
【0018】
<構成>
【0019】
図2は本実施形態における元気姿勢測定装置(0200)の機能ブロックの一例を示す図である。この図に示すように、本実施形態の元気姿勢測定装置は回答値取得部(0201)と、回答値履歴保持部(0202)と、評価テーブル保持部(0203)と、元気姿勢値取得部(0204)とから構成されている。以下にそれぞれの構成要素について具体的に説明をする。
【0020】
なお、以下に記載する本元気姿勢測定装置の機能ブロックは、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの両方として実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUやメモリ、バス、ハードディスクドライブ、CD−ROMやDVD−ROM等のメディア読取ドライブ、各種通信や印刷機器用の送受信ポート、インターフェース、その他の周辺装置等のハードウェア構成部や、それらハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラム等が挙げられる。
【0021】
本装置はメモリ上に展開されたプログラムを順次実行することで、メモリ上のデータや、インターフェースを介して入力されるデータの加工、蓄積、出力等により各部の機能が実現される。
【0022】
また、本発明は装置またはシステムとして実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、このような発明の一部をソフトウェアとして構成することができることもできる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるソフトウェア製品、及び同製品を記録媒体に固定した記録媒体も、当然にこの発明の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
【0023】
「回答値取得部」(0201)は生体の機能状態を評価するための分類項目ごとの質問に対するそれぞれの回答を指標化した回答値を取得するように構成されている。
【0024】
「生体の機能状態を評価」とは、生体の機能状態がどのような状態にあるかを判断し、その価値を定めることである。すなわち、健康状態にあるか否かを判断することを意味する。
【0025】
「生体の機能状態を評価するための分類項目」とは、生体の機能状態を評価する上で、当該機能に影響を及ぼし得る生活習慣や心的要因、生活環境等を分類した項目をいう。具体的には、例えば、「食生活」、「呼吸」、「睡眠」、「体温調節」、「運動」、「心」、「性」、「環境」、「客観的検査データ」等が挙げられる。ここで、「性」とは、生殖行動のみに限られるものではなく、広く愛情的な要素も含む。また、「客観的検査データ」とは、医療機関等において客観的に測定された検査データを意味する。具体的には人間ドック等や定期健康診断等で得られる検査データであり、より具体的には、例えば血圧、血糖、血中コレステロールの測定データ等が該当する。
【0026】
前記分類項目の数は特に限定しない。例えば、前述の9項目のいずれか一であってもよいし、二以上の組み合わせであってもよい。もちろん、前述の9項目以外の項目を設けても構わない。本発明の元気姿勢測定装置は、一義的には分類項目ごとに生体の機能状態を評価するものであるため、一の分類項目のみであっても何ら問題はない。しかし、健康状態は生活習慣の総合的な結果から形成されるものであって、各分類項目のバランスが重要であることを考慮した場合、より多くの分類項目を対象とすることが好ましい。
【0027】
(質問に関して)
【0028】
「質問」とは、前記分類項目に関連する生体の機能状態を評価する上で必要な問いである。
【0029】
質問の内容は、生体の機能状態を評価できる内容であれば特に制限はしない。望ましくは健康を積極的に維持、増進する内容の定型質問である。なぜなら、そのような質問を通して、回答者は健康を増進し維持することのできる生活習慣を学び、また現状における自己の健康状態を認識するようになるからである。また、それは健康に向けてのより積極的な攻めの姿勢の目的意識へと繋がることにもなるからである。さらに、目的意識が高まれば、生活習慣の再設計を図りそれを実践しようという自己管理の意識が確立するようにもなるからである。質問の内容は、例えば、分類項目が「食生活」であれば後述する食事内容、又は食事を取る回数、量、若しくは時間帯等に関する質問内容が挙げられる。これらは生活習慣病等の誘引原因と関連しており、その発症可能性を窺い知ることができる他、本人が意識して行動を取ればその危険性を回避できるので、健康を積極的に維持、増進するような内容であると言える。
【0030】
また、質問内容は、自己の身体の異常感に関する事項であってもよい。例えば、「普段頭痛は感じない」というような質問等が挙げられる。このような質問内容は、非健康状態の前兆に関連するため、生体の機能状態を評価に資するからである。
【0031】
さらに、質問内容は、測定の機会ごとに変更せず、同一の質問内容(定型質問形式であれば回答内容についても同様)にすることが望ましい。異なる機会に得た二点の回答を比較評価する上で質問内容等のベースが同一である方が、より正確な結果を得ることができるからである。
【0032】
以下に、「生体の機能状態を評価するため分類項目」例である「食生活」、「呼吸」、「睡眠」、「体温調節」、「運動」、「心」、「性」、「環境」、「客観的検査データ」のそれぞれにおける質問内容の具体例を示す。
【0033】
図3に「食生活」に関連する質問例を示す。食生活に関しては、この図にあるように、例えば「1.食事はゆっくり楽しんで食べています」「2.食事は規則的に3食、夜は控えめに食べています」「3.栄養や安全を吟味した食材の料理を食べています」という質問等が挙げられる。
【0034】
食生活に関するその他の質問例としては、上記以外に「季節感のある食材や料理を食べています」、「毎回できるだけ、穀物、豆、魚、肉、卵、乳製品、海草、野菜、果物等を組み合わせてバランスの良い食事をしています」、「夜食や間食は控えるようにしています」、「食間におなかがすいたらお茶や水を飲みます」、「塩辛いものやあぶらっこい食品を控えています」、「お酒を飲みすぎることはありません」、「唾液が十分出るまで良く噛んで食べるようにしています」、「毎回の食事は腹八分目を心がけています」、「自分の適正体重や必要な食事量(エネルギー)を知っています」、「歯磨きなどの虫歯予防に気をつけています」と言った質問例等も挙げられる。これらは全て意識すれば実行可能な生活習慣である。
【0035】
また、図3に「呼吸」に関連する質問例同様に示す。呼吸に関連する質問例として、「意識的に時々深呼吸する習慣があります」、「タバコは吸いません」、「日頃、早朝等、おいしい空気を吸っています」と言う質問等が挙げられる。これらは全て意識すれば実行可能な生活習慣である。
【0036】
呼吸に関するその他の質問例としては、「意識せずに自然に呼吸ができます」、「日常的に咳や痰は出ません」、「睡眠中いびきをかくことはありません」等の質問も挙げられる。これらは、本人が意識的に行おうとしても出来ることではないが、生活習慣の変化に伴って変化し得るものである。
【0037】
「睡眠」に関する質問例としては、「毎日ほぼ決まった時刻に起床するようにしています」、「昼間、生活の場に陽の光を入れています」、「夕方居眠りする習慣はありません」、「寝る前は、照明を落とし、眠くなってから床に入るようにしています」と言う質問等が挙げられる。これらの睡眠に関する質問例は生体リズムや睡眠改善、睡眠環境学等の研究、論文に基づいて、「生体リズムの規則性の確保」、「日中や就寝前の良好な覚醒状態の確保」、「就寝前のリラックスと睡眠への脳と身体の準備」、「良好な睡眠環境の整備」を4条件として設定された質問例である。また、これらはいずれも意識すれば実行可能な生活習慣である。
【0038】
睡眠に関するその他の質問例としては、「毎朝、目覚めた時、熟睡感・爽快感があります」、「昼間、耐えがたい眠気を感じることはありません」、「夜中に何度も目が覚めることはありません」、「室温や騒音等寝室の環境はよいと思います」等の質問も挙げられる。これらは、本人が意識的に行おうとしても出来ることではないが、生活習慣の変化に伴って変化し得るものである。
【0039】
「体温調節」に関する質問例としては、「熱すぎない風呂にゆっくり入るようにしています」、「穏やかな陽の光に当たるようにしています」、「こまめに水分補給するよう注意しています」、「「暑さ寒さに合わせて衣服の調節をしています」、「自分のいる部屋には温・湿度計を置いて、まめに見るようにしています」等の質問が挙げられる。これらはいずれも意識すれば実行可能な生活習慣である。
【0040】
体温調節に関するその他の質問例としては、「気温や湿度の変化を感じることができます」、「入浴すると気分がよくなります」等も挙げられる。これらは、本人が意識的に行おうとしても出来ることではないが、生活習慣の変化に伴って変化し得るものである。
【0041】
「運動」に関する質問例としては、「スポーツやダンス、レクリエーション活動に楽しく参加しています」、「意識して歩いたり、自転車に乗ったりしています」、「意識して階段を使うようにしています」、「健康づくりの運動としてウォーキングやジョギングを行っています」、「腹筋運動や腕立て伏せなどの筋力トレーニングを行っています」、「ストレッチや柔軟体操を意識して行っています」等が挙げられる。これらはいずれも意識すれば実行可能な生活習慣である。
【0042】
運動に関するその他の質問事項としては、「体力には余裕があります」「身体を動かして汗を流すことに快感を覚えます」等も挙げられる。これらは、本人が意識的に行おうとしても出来ることではないが、生活習慣の変化に伴って変化し得るものである。
【0043】
「心」に関する質問例としては、「将来の希望や実現したい夢を持っています」、「毎日、目的意識を持って生活しています」、「あまり思いつめたり、考え過ぎないようにしています」、「時々、自分の気持ちの状態を確認しています」、「読書や文化、芸術、スポーツ等に関心があります」等の質問が挙げられる。これらはいずれも意識すれば実行可能な生活習慣である。
【0044】
心に関するその他の質問例としては、「美しいものや良いことには素直に感動します」、「日常のことが気分良くやれています」、「記憶は大丈夫です」、「時間や気持ちにゆとりがあります」等の質問も挙げられる。これらは、本人が意識的に行おうとしても出来ることではないが、生活習慣の変化に伴って変化し得るものである。
【0045】
「性」に関する質問例としては、「家族や友人等に心配りをしています」、「家族で性について話し合うことがあります」、「家族やともだち、隣人等から愛情を受けています」、「スキンシップの愛情表現は大切だと思います」、「テレビでラブシーンや恋愛の場面が気になります」、「気になる異性に会うと、胸がときめきます」、「美しく、たくましくありたいと思います」、「伴侶(または異性の友達)がいます」、「愛することは美しいことだと思います」等の質問が挙げられる。
【0046】
「環境」に関する質問例としては、「住まいの内外の掃除をしています」、「ごみの分別はしっかり行っています」、「環境のことを考えて行動しています」、「身近な自然の"みどり"に触れるようにしています」、「車を使わず少々遠くても歩くか自転車に乗るようにしています」、「困っている人にやさしく対応しています」、「まわりの人々に迷惑をかけないようにしています」等の質問が挙げられる。これらはいずれも意識すれば実行可能な生活習慣である。
【0047】
環境に関するその他の質問例としては、「社会のもろもろの情報に関心があります」、「いろいろ相談できる友達がいます」、「暮らしの中の交通環境には特に問題はありません」、「物事や人に対して感謝の念を抱いています」、「近所に治安の面で不安な場所はありません」等の質問も挙げられる。
【0048】
「客観的検査データ」に関する質問例としては、「血糖値はいつも正常値範囲内にあります」、「血圧値は最大、最低共に正常値範囲内にあります」、「血清中の総コレステロール値はいつも正常範囲内にあります」「尿タンパクは検出されたことがありません」等の質問が挙げられる。当該客観的検査データは、いずれも本人が意識的に行おうとしても出来ることではないが、生活習慣の変化に伴って変化し得るものである。
【0049】
(回答に関して)
【0050】
「それぞれの回答」とは、分類項目ごとの回答のことである。各回答はその回答に対応する質問、及びその質問が属する分類項目と関連付けられていなければならない。
【0051】
回答の方式は、特に制限しない。好ましくは、質問事項に対して予め決められた定型回答方式である。これは、定型回答であれば後述する回答の指標化が容易であるという理由による。例えば、後述する図4で示すように、5段階のレベルの定型回答中から回答者自身が該当すると思うレベルを選択する方式が該当する。もちろんフリースタイルの文章の記入等による自由回答方式であっても構わない。ただし、その場合は後述する回答の指標化のために、キーワード等の出現ごとに数値化するためのテーブル等を予め用意しておく必要がある。
【0052】
「質問に対するそれぞれの回答を指標化した」とは、前記各分類項目の質問に対してなされた回答を数値化することである。この指標化は、例えば質問の回答が「Yes」「No」や「当てはまる」「どちらでもない」「あてはまらない」等の択一式回答であれば、「Yes=1点」、「No=0点」等のようにそれぞれの回答ごとに予め点数を設定しておくことで達成できる。各質問に対する回答はこのように予め設定された点数に変換し、当該変換された単一回答の点数をそのままか、又は回答の合計点数として、全得点数に対する割合として、若しくは平均点数として処理した数値として指標化することができる。本発明では、このように回答を指標化することで得られる数値を「回答値」と言う。
【0053】
指標化した回答値を取得する方法は二つに大別できる。
【0054】
第一の方法は、インターフェースから入力された回答を本実施形態の元気姿勢測定装置内で当該回答と対応付けられた回答値に自動的に変換する方法である。すなわち、定型回答、若しくはフリースタイルの文章の回答等をタッチパネル、キーボード、マウス等その他の入力デバイスで回答者に入力させることによって回答を取得し、その後当該装置内で予め保持されている指標化テーブルに基づいて当該回答から回答値を取得する方法である。あるいはマークシート形式等で回答者に回答させ、当該装置内に内蔵された、又は外付けの読取機で回答を読取り、予め保持されている指標化テーブルに基づいて回答値を取得する方法であってもよい。
【0055】
図4でこの方法について具体的な例を挙げて説明する。この図では元気姿勢値測定装置のタッチパネル型ディスプレイと装置内に保持された指標化テーブル、及びそれに基づいて回答値を取得する手順を示している。まず、ディスプレイ上に睡眠に関する質問として「質問1.毎日ほぼ決まった時刻に起床するようにしています」という質問が表示されている。回答者はこの質問を見て、「全くその通り」、「ほぼその通り」、「どちらかと言えばその通り」、「どちらかと言えば違う」「全く違う」という定型回答の中から、自分に該当する回答である「どちらかと言えばその通り」のボタン表示をタッチして、その回答を入力する。入力された回答と当該装置内に予め保持されている指標化テーブルに基づいて質問1と「どちらかと言えばその通り」という回答とに対応付けられた回答値「3」が選択される。以上の工程をもって入力された回答「どちらかと言えばその通り」は回答値「3」に自動的に変換され、回答値取得部はその回答値を取得することができる。
【0056】
回答がフリースタイルの文章のような自由回答方式で入力されるのであれば、予めキーワードとその得点を定めておき、入力された文章内のキーワードの出現回数や出現率に応じて累計点を算出し、その点数を指標としても良い。
【0057】
図5でこの方法について具体的な例を挙げて説明する。この図では元気姿勢値測定装置のディスプレイと装置内に保持されたキーワードテーブル、及びそれに基づいて回答値を取得する手順を示している。まず、回答者はディスプレイ上の質問に対して、フリースタイルの文章でキーボード等の入力デバイスによって回答を入力する。ここでは「あなたの最近の睡眠について感じていることを記入してください。」と言う質問に対して、回答者は「最近仕事が忙しく、帰宅が深夜のため睡眠時間が不十分です。朝も遅刻しがちの上、疲れが残っているため仕事中もよく居眠りをすることがあります。」という回答を入力している。当該装置は入力された回答の文章中から、装置内に予め保持されたキーワードテーブルに基づいてキーワードを検索、抽出し、テーブル上でそのキーワードと対応付けられた回答値をキーワードの出現に応じてカウントすることで回答値を得る。即ち、前記回答の文章においては、検索によりキーワードテーブルの「睡眠時間+不十分*睡眠不足(+=and、*=or)」「居眠り」、「朝+遅刻」の3つが該当するキーワードとして抽出される。抽出されたそれぞれのキーワードに対応するテーブル内の点数を合計した合計点が回答値となる。即ち、この図では合計点3が回答値であり、回答取得部はこの数値を取得することで目的を達成できる。
【0058】
回答、若しくは回答値を取得する方法として質問や回答をクイズ形式にしてゲーム性を高めたりする等の娯楽性を持たせるようにしてもよい。回答者は苦痛を感じることなく楽しみながら回答できるため、測定実施の反復性(習慣化)にも繋がる。本発明は複数回に渡り測定を行う必要があるため、反復性の向上は発明の目的にも資する。
【0059】
当該元気姿勢測定装置での回答の指標化は、例えば回答を指標化するためのプログラムがメモリ上に呼び出され、CPUがそのメモリ上のプログラムとハードディスク等の記憶媒体に蓄積されている上記テーブルのデータを演算処理することで実現される。
【0060】
第二の方法は、人が回答値変換表等を用いて予め変換して得た回答値をキーボード等の入力デバイスを介して直接回答値取得部に入力することによって取得する方法である。
【0061】
図6でこの方法について具体的に例を挙げて説明をする。この図では、睡眠に関する元気姿勢回答票(上図)と元気姿勢値測定装置のディスプレイ(下図)を示している。まず、回答者は元気姿勢値回答票に書かれた質問と注釈事項に従って回答することから始まる。ここでは、「以下の質問1〜4について、「全くその通り」であれば5を、「ほぼその通り」であれば4を、「どちらかと言えばその通り」であれば3を、「どちらかと言えば違う」であれば2を、「全く違う」であれば1をそれぞれ記入してください。」という注釈と「質問1.毎日ほぼ決まった時刻に起床するようにしています」、「質問2.昼間、生活の場に陽の光をいれています」、「質問3.夕方居眠りする習慣はありません」、「質問4.寝る前は証明を落とし、眠くなってから床に入るようにしています」という質問が記載されている。注釈に基づいて、回答者は睡眠についての質問1〜4について、それぞれ該当する数値である「3、4、2、3」を票に記入して回答している。ここで、元気姿勢値回答票は回答値変換表であり、前記数値「3、4、2、3」が、それぞれの質問に対する回答値となる。すなわち、回答者は注釈に従って数値として回答することで回答値に変換しているのである。続いて、回答者はこの変換された回答値を、元気姿勢値測定装置のディスプレイに表示された指示に従ってキーボード等を用いて当該装置に入力する。以上の工程をもって回答取得部入力された回答値を取得できる。
【0062】
なお、回答値への変換には重み付けでそれぞれの質問に異なる指標化関数が与えられていても良い。例えば食生活に関する質問で、「朝、昼、晩の3食しっかり食べること」のほうが「食事をゆっくり楽しんで食べること」よりも健康に対する影響が大きい場合、前者の回答の得点を2倍として計算し、指標を算出する、としてもよい。
【0063】
「回答値履歴保持部」(0202)は取得した回答値の履歴を回答者ごとに保持するように構成されている。
【0064】
「回答値履歴」とは、前記回答値取得部でこれまでに取得した回答値の履歴の他、当該回答の測定年月日、測定累積回数等が該当する。回答値履歴保持部は回答値履歴を回答者ごとに保持している。各測定機会における回答値を同一の回答者ごとに分類する方法は、例えば回答者の氏名、住所、生年月日等の個人情報か、あるいは最初の測定時に各回答者に割り当てられる個人登録番号等に基づいて行えばよい。この回答値履歴保持部は、例えばハードディスク等の磁気記憶装置や不揮発性メモリ、あるいは光学記録メディア等の記憶媒体で実施することができる。
【0065】
「評価テーブル保持部」(0203)は回答値履歴に応じて評価値を定めた評価テーブルを保持するように構成されている。
【0066】
「評価値」とは、同一回答者の回答値履歴より選択される時系列上の二点の同一項目、若しくは同一質問に対する回答値の比較に基づいて取得される数値である。つまり、回答者の健康に向けての姿勢を客観的に評価するために数値化した値である。選択される時系列上の二点の回答値は回答値履歴に保持されたいずれの回答値であってもよい。例えば、履歴上隣接して保持された二点の回答値であってもよいし、履歴上隣接していない回答値であってもよい。二点の回答値は回答者の任意で選択できる。なお、評価値は次の評価テーブル上に配置され、後述する方法によって取得される。
【0067】
「評価テーブル」とは、回答値履歴に応じて評価値を定めたテーブルであって、評価テーブル保持部に保持されている。
【0068】
評価テーブル上の評価値を取得する方法は、選択された二点の回答値間の変遷を評価できる方法であれば特に限定はしない。以下で、評価テーブルを定める上で評価値を取得する方法を具体的な例を挙げて説明する。
【0069】
(評価値取得方法の例)
【0070】
(1)選択された二点の回答値間の回答差分値から取得する方法
評価値取得方法は選択された二点の回答値間の回答差分値であってもよい。例えば、まず当該回答差分値を取得する前提として、質問が健康を積極的に維持、増進する内容であって、かつその回答を指標化した回答値yが図7で示すような1〜5で表されるとする。ここで回答値履歴から選択された二点の回答値をy、及びy(A、Bは回数であって、任意の自然数。但しA≠B)とし、yがyよりも新しい回答値であるとした場合、二点の回答値間の回答差分値Δyは次式1で表すことができる。
Δy=y−y・・・・・・・・・・・・・・(式1)
したがって、前記式1に基づいて作成される評価テーブルは、以下の表1で表される。
【表1】

【0071】
表1で表される評価テーブルの評価値によれば、評価値が正の値であれば回答者はB回目の測定時からA回目の測定時にかけて健康的な姿勢を取っていることを示し、回答者の健康状態は増進されているといえる。逆に、負の値であれば回答者はB回目の測定からA回目の測定時にかけて非健康的な姿勢を取っていることを示し、回答者の健康は減退しているといえる。評価値が0であれば、B回目の測定時の機能状態がよくも悪くも維持されているといえる。
【0072】
二点の回答値y、及びyは回答値履歴上で隣接する回答値であってもよい。その場合y、及びyはそれぞれy、及びyn−1(nは測定回数であり、2以上の自然数)で表すことができることから、前式1のΔyは次式2で表される。
Δy=y−yn−1・・・・・・・・・・・・・・(式2)
【0073】
(2)回答差分値とその差分値を生成した回答値とから取得する方法
評価テーブルは、時系列上の複数の機会から選択される二つ(二点)の回答値間の回答差分値と、その差分値を生成した回答値と、に応じて評価値を割り当てたテーブルであってもよい。例えば、前記(1)の評価値取得方法を基本として1〜5で表される回答値yのうちy=1,2の場合を非健康状態の領域、y=3,4,5を健康状態の領域とする。このとき、回答値y、及びyにおいて、y=1,2にある場合にはΔy>0となるように、y=3,4にある場合にはΔy≧0となるように、y=5の場合にはΔy<0とならないように、yにおける生活習慣を取り続けるならば、回答者が積極的、かつ前向きな姿勢を取っていることの証拠であり、回答者の健康は維持、増進される可能性がある。そこで、上記要素を考慮して表1で表される評価値を補正する。補正した評価値をgで表すとき、gはΔy=0の場合、Δy>0の場合、Δy<0の場合に分けて、以下のように定義される。
【0074】
(a)Δy=0の場合
=1の場合: g=−4・・・・・・・・・・・・・・・・・・(式3)
、yが共に最低回答値1の場合である。すなわち、回答者の健康状態に向けての積極的、かつ前向きな姿勢が全く認められないことを意味する。したがって、そのような姿勢に対して重いペナルティーを課している。
=2の場合: g=−2・・・・・・・・・・・・・・・・・・(式4)
、yが共に非健康的生活習慣である回答値2の場合である。すなわち、回答者の健康状態に向けての積極的、かつ前向きな努力が依然認められないことを意味する。したがってその姿勢に対して若干のペナルティーを課している。
≧3の場合: g=y−2・・・・・・・・・・・・・・・・(式5)
【0075】
前記式3、又は、4、又は5により、yが健康的生活習慣をとっていない場合(y=1、2)の評価値スコアは負の値を、また健康的行動を取っている場合(y=3、4、5)の評価値スコアはその程度に応じた正の値となる。
【0076】
(b)Δy>0の場合
≦2の場合: g=(y−3)+(Δy+2)
=(y+Δy)−3+2
=y−1・・・・・・・・・・・・・・・・(式6)
≧3の場合: g=y−2+Δy
=(y+Δy)−2
=y−2・・・・・・・・・・・・・・・・(式7)
【0077】
前記式6、又は7により、Δyが正の値の場合にはyの値が大きいほど評価値スコアは大きくなる。
【0078】
ただし、前記式6において
=1の場合: g=−4・・・・・・・・・・・・・・・・・・(式8)
とする。これはyがどの回答値であれ、時系列的に新しい回答値であるyで最低回答値1になった事を評価している。すなわち、時系列的に新しい回答値が最低回答値1であると言う事実は、回答者が健康状態に向けての積極的、かつ前向きな努力を全く行っていないことを意味する。そのような姿勢に対して重いペナルティーを課したものである。
【0079】
(c)Δy<0の場合
=1の場合: 前記式8と同じ
=2の場合: g=Δy−1・・・・・・・・・・・・・・・(式9)
≧3の場合: g=Δy・・・・・・・・・・・・・・・・・(式10)
【0080】
式9ではyで健康状態であったにもかかわらずyで非健康状態であるに2移行したことに対して次式10を補正したものである。すなわち、回答者が健康状態に向けての積極的、かつ前向きな努力を怠ったことに対して若干のペナルティーを課している。
【0081】
式10は、回答差分値を評価値としており、回答差分値が小さいほど回答者が健康状態に向けての積極的、かつ前向きな努力を行っていないと評価している。
【0082】
上記式3から式10に基づいて作成されるgの評価テーブルは、以下の表2で表すことができる。
【表2】

【0083】
表2で表される評価テーブルの評価値によれば、評価値が正の値であれば回答者は健康状態に向けての積極的、かつ前向きな姿勢を取っていることを示し、回答者のB回目の測定からA回目の測定時にかけての健康状態は維持、増進されている可能性が強いといえる。逆に、負の値であれば回答者のB回目の測定からA回目の測定時にかけての健康状態は減退しているといえる。
【0084】
なお、評価テーブル保持部は、例えばハードディスク等の磁気記憶装置や不揮発性メモリ、あるいは光学記録メディア等の記憶媒体で実施することができる。
【0085】
「元気姿勢値取得部」(0204)は回答値履歴を評価テーブルに従って評価して得た評価値である元気姿勢値を取得するように構成されている。すなわち、本元気姿勢値取得部において、前記回答値履歴保持部から特定の二点の回答値を取得し、当該二点の回答値を前記評価テーブル保持部より取得した特定の評価テーブルに対して適用することで目的とする元気姿勢値を取得することができる。
【0086】
元気姿勢値取得部での元気姿勢値の取得は、例えばハードディスク等の記憶媒体に蓄積されている前記回答値履歴のデータと回答値から元気姿勢値を取得するためのプログラムがメモリ上に呼び出され、CPUがそのメモリ上のプログラムとハードディスク等の記憶媒体に蓄積されている前記評価テーブルのデータを演算処理することで実現される。
【0087】
「元気姿勢」とは、自己の健康状態を維持、増進するための積極的、かつ前向きな行動の変遷である。元気姿勢は時系列における二点の生体の機能状態の比較から判断される。例えば、ある測定時点で例え健康状態であっても、過去の測定時点の生体の機能状態と比較して減退しているようであれば、元気姿勢は後退していることになる。逆に、ある測定時点で十分に健康状態にあるとは言えなくても、過去の測定時点の生体の機能状態と比較して増進しているようであれば、元気姿勢は向上していることとなる。つまり、回答者は当該元気姿勢を維持、増進するように努めることで、健康に対して積極的な攻めの姿勢に導かれることになる。
【0088】
「元気姿勢値」とは、回答値履歴を評価テーブルに従って評価して得た評価値であって、前記元気姿勢を客観的に評価するために数値化したものである。すなわち、当該元気姿勢値は、前記評価テーブルに基づいて回答値履歴より選択された二点の回答値に応じた評価値が選択されることで取得される。元気姿勢値を取得するための評価テーブルはいずれの評価値取得方法に基づくものであってもよい。回答者が自己の生活習慣が健康を維持、増進していることをより把握し易い点においては、前記表2から取得される評価値を元気姿勢値とすることがより好ましい。
【0089】
元気姿勢値は分類項目ごと平均値を算出することが好ましい。同一分類項目内に含まれる質問に対する元気姿勢値を平均化した「平均元気姿勢値」は、その項目の生体の機能情報を総合的に評価する上で便利だからである。平均元気姿勢値は各分類項目における元気姿勢値の総計を質問数で除することにより得られる。即ち、前記評価値取得方法例に従えば各分類項目における質問数をn(nは自然数)、各分類項目における元気姿勢値をΔy(n)、又はg(n)とするとき、平均元気姿勢値mは、前記評価値取得方法例に従えば次式11、又は12で表すことができる。
m=(1/n)ΣΔy(n) (式11)
m=(1/n)Σg(n) (式12)
【0090】
図8は、平均元気姿勢値の一例を説明するための図である。この図で示される元気姿勢値は前記表2の評価値テーブルから取得される評価値gとして表示している。4月8日での各分類項目の平均元気姿勢値は「食生活」がm=0.92、「呼吸」がm=2.3、「睡眠」がm=−0.75である。この結果から元気姿勢値が正の値である「食生活」、「呼吸」については前回測定値である3月8日から概ね健康的な生活習慣をとっていることがわかるが、「睡眠」については非健康的な生活習慣をとっており、全体としてはアンバランスであることがわかる。
【0091】
当該平均元気姿勢の取得は、例えば前記式12のプログラムがメモリ上に呼び出され、CPUがそのメモリ上のプログラムとハードディスク等の記憶媒体に蓄積されている各分類項目内の元気姿勢値のデータを演算処理することで実現される。
【0092】
前記元気姿勢値取得部によって取得された元気姿勢値、又は平均元気姿勢値(以下「元気姿勢値等」とする)は様々な形態で出力することができる。以下に元気姿勢値等の出力形態の具体例を挙げる。
【0093】
(元気姿勢値等をそのまま出力する形式)
【0094】
取得された元気姿勢値等を処理せずに出力する形式である。すなわち、元気姿勢値等が0を除く−4から4の範囲で示されるのであれば、当該数値そのものを出力する形式である。
【0095】
元気姿勢値等は単なる数値に過ぎないが、回答者は負の数値であった場合は自己の生活習慣が非健康的な姿勢をとっていることを把握することができる。それにより次回は正の数値になるよう生活習慣を改善する意識を持つようになる。また、正の数値であった場合は、次回はより大きな数値になるようにさらなる生活習慣の改善を目指すようになる。したがって、元気姿勢値等をそのまま出力する形式あっても本発明の目的は達成できる。
【0096】
(元気姿勢値等を図形化して出力する形式)
【0097】
取得された元気姿勢値等に基づいて当該元気姿勢値等を図形化して出力する形式である。ここで「図形化」とは取得した元気姿勢値等をその数値に応じたアイコンや図形に変換することである。
【0098】
図9は、元気姿勢値をアイコン、又は図形化した一例である。この図で示すようにアイコンであれば元気姿勢値に応じた顔アイコンを出力し、図形であれば元気姿勢値の数値に応じて方向や長さや大きさを変えた矢印や、色やサイズを変えた円を出力すればよい。
【0099】
元気姿勢値等を図形化する方法は、例えば元気姿勢測定装置が図形化テーブルを予め保持しておき、元気姿勢値取得部で取得した元気姿勢値等に応じて前記図形化テーブルに保持された対応する図形を出力する等の方法が挙げられる。
【0100】
本出力形式は元気姿勢値等を視覚的イメージとして捉える事ができることから無機的な数値と比較して記憶に残り易い。またアイコン等で示せばゲーム感覚で次はもっとよいアイコンを表示させようと生活習慣を改善する意識を持つようになることから、本発明の目的に資する。なお、図形化された元気姿勢値等と共に元気姿勢値等の数値を出力しても構わない。
【0101】
(元気姿勢評価情報を出力する形式)
【0102】
取得された元気姿勢値等に基づいて元気姿勢評価情報を出力する形式である。ここで「元気姿勢評価情報」とは元気姿勢値等から判断される回答者の現在の生活習慣を評価する情報であって、健康の維持、増進に寄与し生活習慣をより良くするための有用な情報をいう。例えば、睡眠の項目における平均元気姿勢値が−2であった場合には「睡眠に関して非健康的なようです。もっと注意してください。」等のように注意を促す情報等が挙げられる。元気姿勢評価情報は、より具体的な情報であってもよい。例えば、睡眠の項目において「昼間、生活の場に陽の光をいれています」という質問に関しての元気姿勢値のみが低く、他の質問の元気姿勢値は比較的高い場合には「部屋が暗くはありませんか?起床後はまずカーテンを開けて、もっと部屋に部屋に陽の光を取り入れるようにしましょう。」等の具体的な指示情報であってもよい。
【0103】
また、質問内容が健康の維持や増進に寄与する生活習慣についてのものであるならば、元気姿勢評価情報は「質問に書かれていることを意識して実行しましょう」等の情報であってもよい。元気姿勢評価情報は、全測定項目を総合判断した結果を出力してもよいし、分類項目ごと、又は個々の質問ごとに判断した結果を出力してもよい。
【0104】
図10は、元気姿勢評価情報の表示の一例を示した図である。この図に示すように、前回の回答値と今回の回答値から取得された元気姿勢値において、食生活に関する質問の平均元気姿勢値が負の値であった場合、本実施形態の元気姿勢測定装置はディスプレイ等にコメント:「前回よりも食生活に関する元気姿勢が低下しています。食に関する質問に書かれた内容を意識して行動することを心がけてください。他は元気姿勢がみられます。今後もこの元気姿勢を維持するように頑張ってください。」(1001)等の元気姿勢評価情報を表示すればよい。
【0105】
元気姿勢評価情報を出力する方法は、例えば元気姿勢測定装置が元気姿勢評価情報テーブルを予め保持しておき、取得した元気姿勢値等に応じて前記元気姿勢評価情報テーブルに保持された対応する元気姿勢評価情報を出力する等の方法が挙げられる。
【0106】
元気姿勢値等は現在の自己の生活習慣は把握できるが、それのみでは回答者は今後どのような行動をとればより理想的な生活習慣となるのかわからない。そのようなとき、本出力形式で現在の生活習慣の結果を考慮して今後のアドバイスとしての元気姿勢評価情報を得ることができれば回答者により親切であり、また便利である。なお、元気姿勢評価情報と共に元気姿勢値等(1002)を出力しても構わない。
【0107】
(元気姿勢値等を時系列で出力する場合)
【0108】
取得された複数の元気姿勢値等を、それらの元気姿勢値等を生成した回答値の履歴に基づいて時系列で出力する形式である。元気姿勢値等はそれ自体が時間的要素を含んでいるが、回答値履歴上の二点の生体の機能状態における行動の変遷しか見ることができない。そこで、複数の元気姿勢値等を時系列で出力することにより元気姿勢値等の変遷を把握することができるようになる。このような元気姿勢値等の変遷を見ることで、回答者は単数の測定結果に一喜一憂することなく、ある期間における自己の元気姿勢への取り組みの動きを窺い知ることができる。元気姿勢の効果は連続して行い、かつ一定期間を経た後に初めて現れるものである。すなわち、真の元気姿勢は、短期の結果では判断できず、ある程度の期間を置いて見なければわからない。そのような意味でも、元気姿勢値等を時系列で出力することは、本発明の目的に即すると言える。
【0109】
元気姿勢値等を時系列で出力する方法は、回答値履歴において連続した回答値のそれぞれから取得される元気姿勢値等を回答値履歴の時系列に沿って出力することが望ましい。連続した回答値から取得される元気姿勢値等は、その期間の元気姿勢等の変遷をより正確に反映しているためである。例えば、図1で示したように、1年間毎月所定の日に本発明の元気姿勢測定装置を用いて回答値を取得することで、隣接する各月から元気姿勢値が得られる。これを0101や0103のように時系列で出力することで、その年の自己の元気姿勢への取り組みやその効果の表れを即座に視認することができる。
【0110】
元気姿勢値等を時系列で出力する際の出力形式は、元気姿勢値等の時間的変遷が把握できる形式であれば特に限定しない。例えば、元気姿勢値等の数値そのもの(0101)、又は元気姿勢値等を図形化したものを時系列で並べて出力してもよいし、グラフ化(0103)して出力してもよい。回答者が視覚的に把握し易いという点においては、グラフ化して出力するのがこのましい。グラフ化は、例えば、元気姿勢値の履歴を横軸に、元気姿勢値等の数値を縦軸にして各測定機会における元気姿勢値をグラフ上にプロットすることによって得られるグラフ(0103)を出力すればよい。
【0111】
前記元気姿勢値取得部によって取得した元気姿勢値又は平均元気姿勢値は、例えばディスプレイ等に出力したりプリンタでプリントアウトしたりすることで回答者に対して表示することができる。
【0112】
(元気姿勢測定装置について)
【0113】
元気姿勢測定装置を利用する回答者の数は問わない。一人で利用してもよいし、複数人で利用してもよい。ただし、複数人で利用する場合には前述のように回答値履歴を回答者ごとに保持する必要がある。
【0114】
元気姿勢測定装置の形態は当該装置の機能を達成しうる形態であれば特に限定はしない。例えば、家庭のPCや病院等に設置される固定式計算装置であってもよいし、携帯電話やPDA(携帯情報端末)のような携帯型電子機器であってもよい。特に現在は携帯電話が一般社会に広く普及していることから、本装置を組み込んだ携帯電話等は便利である。携帯電話は、通常常時携帯していることから場所や時間を選ぶことなく気軽に測定を実施することができる上、測定の反復性も得られやすいため、本発明の目的に即する。
【0115】
<ハードウェア的構成>
図11に示すのは、本実施形態の元気姿勢測定装置におけるハードウェア的構成の一例である。本実施形態の元気姿勢測定装置は、元気姿勢値取得部(1109)であるCPU(1101)とメインメモリ(RAM等)(1102)、回答値履歴保持部及び評価テーブル保持部(1108)である記憶媒体(ハードディスクやフラッシュメモリ等)(1103)、回答値取得部(1107)であるインターフェース(1104)、そしてディスプレイ(1105)によって構成されている。
【0116】
タッチパネル、キーボード、マウス、その他の入力デバイスによって回答者から入力された回答、若しくは回答値はインターフェースの回答値取得部から入力される。例えば、この図では回答値として「3」が図示していないキーボードから入力されている。続いて、入力されたデータは、記憶媒体の回答値保持部において所定のアドレスを付されて格納される。この図では、入力データである「3」に「a3」のアドレスを付して格納している。また、評価テーブルはインターフェースから予め入力され、記憶媒体の評価テーブル保持部において所定のアドレスを付されて格納されている。この図では、b1のアドレスを付された表1、b2のアドレスを付された表2の二点の評価テーブルのデータが記憶媒体に格納されている。ここでCPUにより回答値を取得するための図示していない回答値取得プログラムがメインメモリ上に呼び出され、さらにCPUは記憶媒体に蓄積されている回答値と評価テーブルをメインメモリ上に呼び出す。この図では図示していないプログラムの他、二点の回答値a2:−1とa3:3、及び評価テーブルb1:表2がCPUによって記憶媒体からメインメモリに呼び出されている。これらのデータはメインメモリ上のプログラムに基づいてCPUによって演算処理が成されることで、目的の元気姿勢値を評価テーブルから取得することができる。
【0117】
<処理の流れ>
【0118】
図12に示すのは、本実施形態の元気姿勢測定装置における処理の流れの一例を表すフローチャートである。この図で示すように、まず、生体の機能状態を評価するための分類項目ごとの質問に対するそれぞれの回答を指標化した回答値を取得する(S0901:回答値取得ステップ)。次に、取得した回答値の履歴を回答者ごとに保持するために記録する(S0902:回答値履歴記録ステップ)。最後に、回答値履歴を評価テーブルに従って評価して得た評価値である元気姿勢値を取得する(S0903:元気姿勢値取得ステップ)。
【0119】
そして、元気姿勢値取得ステップで得られる結果である元気姿勢値を、必要に応じて当該結果に対する評価アドバイスと共にディスプレイ等で表示したりプリンタでプリントアウトしたり、あるいはネットワークを介して端末に対して送信したりする。
【0120】
以上の処理は、計算機に実行させるためのプログラムで実行することができ、また、このプログラムを計算機によって読み取り可能な記録媒体に記録することができる。
【0121】
<効果の簡単な説明>
【0122】
本実施形態によれば、自己点検によって自らが健康に向けての積極的な姿勢をとっているか否かを認識することができる。さらに、その結果から健康に向けての生活習慣の改善や自己管理の意識が高まり、高いレベルの健康を勝ち得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本実施形態の元気姿勢測定装置から得られる結果の概念図
【図2】本実施形態における元気姿勢測定装置の機能ブロック図の一例
【図3】「食生活」及び「呼吸」に関連する質問例を説明するための図
【図4】インターフェースから入力された定型回答を元気姿勢測定装置内で回答値に自動的に変換する方法を説明するための図
【図5】インターフェースから入力された自由回答を元気姿勢測定装置内で回答値に自動的に変換する方法を説明するための図
【図6】人が回答値変換表等を用いて予め変換して得た回答値を入力デバイスを介して直接回答値取得部に入力することによって回答値を取得する方法を説明するための図
【図7】回答を指標化した回答値yを説明するための図
【図8】平均元気姿勢値の一例を説明するための図
【図9】元気姿勢値をアイコン、又は図形化した一例を説明するための図
【図10】元気姿勢評価情報の表示の一例を示した図
【図11】本実施形態の元気姿勢測定装置におけるハードウェア的構成の一例
【図12】本実施形態の元気姿勢測定装置における処理の流れの一例を説明するための図
【符号の説明】
【0124】
0101:元気姿勢値
0102:回答値
0103:元気姿勢値のグラフ
0104:健康的姿勢
0105:非健康的姿勢

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の機能状態を評価するための分類項目ごとの質問に対するそれぞれの回答を指標化した回答値を取得する回答値取得部と、
取得した回答値の履歴を回答者ごとに保持する回答値履歴保持部と、
回答値履歴に応じて評価値を定めた評価テーブルを保持する評価テーブル保持部と、
回答値履歴を評価テーブルに従って評価して得た評価値である元気姿勢値を取得する元気姿勢値取得部と、
を有する元気姿勢測定装置。
【請求項2】
評価テーブル保持部に保持されている評価テーブルは、複数の機会から選択される二点の回答値間の回答差分値と、その差分値を生成した回答値と、に応じて評価値を割り当てたテーブルである請求項1に記載の元気姿勢測定装置。
【請求項3】
前記分類項目は、食生活、呼吸、睡眠、体温調節、運動、心、性、環境、客観的検査データのいずれか一、または二以上の組み合わせである請求項1から2のいずれか一に記載の元気姿勢測定装置。
【請求項4】
生体の機能状態を評価するための分類項目ごとの質問に対するそれぞれの回答を指標化した回答値を取得する回答値取得ステップと、
取得した回答値の履歴を回答者ごとに保持するために記録する回答値履歴記録ステップと、
回答値履歴を評価テーブルに従って評価して得た評価値である元気姿勢値を取得する元気姿勢値取得ステップと、
とからなる元気姿勢測定装置の動作方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−148935(P2007−148935A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344720(P2005−344720)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(505106726)栴檀学園東北福祉大学 (4)
【Fターム(参考)】