充填構造を使用して動脈瘤を治療するための方法及びシステム
動脈瘤嚢にわたってスカフォルドを留置し、その中を通る血流ルーメンを提供することによって、動脈瘤を治療する。スカフォルドを取り囲む動脈瘤空間は、動脈瘤空間を充填し内腔でのリーク及びスカフォルドの移動のリスクを低減するために、同時に又は順次拡張する1つ又は複数の拡張可能構造によって充填される。拡張可能構造は一般に膨張可能であり、任意で膨張管又は拡張可能構造に結合された構造を使用して、デリバリー・カテーテルによって送り込まれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に治療のための医療装置及び方法に関する。より詳細には、本発明は、腹部や他の動脈瘤にわたって充填するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
動脈瘤は、しばしば破裂しやすく、したがって患者に重篤なリスクを与える、血管の拡大すなわち「膨隆」である。動脈瘤はあらゆる血管に起こるが、脳血管又は患者の大動脈に起きると特に問題となる。
【0003】
本発明は、特に大動脈瘤と呼ばれる、大動脈に起きる動脈瘤に特に関する。腹部大動脈瘤(AAA)は、大動脈内での位置に基づいて、かつ形状と複雑性に基づいて分類される。腎動脈より下方に見られる動脈瘤は、腎臓下腹部大動脈瘤と呼ばれる。副腎腹部大動脈瘤は腎動脈より上方で起こり、胸部大動脈瘤(TAA)は上部大動脈の上行、横行又は下行部分で起きる。
【0004】
腎臓下動脈瘤が最も多く、全大動脈瘤の約80%である。副腎動脈瘤はそれより少なく、大動脈瘤の約20%である。胸部大動脈瘤は最も少なく、多くの場合、治療が最も困難である。ほとんど又はすべての現在の血管内システムはまた、経皮的導入には大きすぎる(12Fより大きい)。
【0005】
動脈瘤の最も多い形態は「紡錘状」であり、拡大部が大動脈の円周全体にわたって広がっている。それより少ないが、動脈瘤は、細いネックで血管の一方の側に結合した膨隆によって特徴付けられることもある。胸部大動脈瘤は多くの場合、大動脈壁、通常は中膜内の出血性の分離によって生じる解離性動脈瘤である。これらのタイプや形態の動脈瘤のそれぞれに最も一般的な治療は開放手術による修復である。開放手術による修復は、それ以外の点では適度に健康で重大な併存疾患のない患者において、非常に成功率が高い。しかし、腹部や胸部大動脈へのアクセスは実行が困難であり、また大動脈をクランプしなければならず、患者の心臓に重大な負担を与えるため、そのような開放手術には問題が多い。
【0006】
過去10年にわたり、開放手術を受けられない患者での大動脈瘤の治療には、内腔グラフトの使用が普及してきた。一般に、内腔での修復では、一方又は両方の鼠径部の腸骨動脈を通って「内腔的に」動脈瘤にアクセスする。次いで、様々なステント構造によって支持され結合された、一般に織地又は膜の管であるグラフトを埋め込み、通常はいくつかの部品又はモジュールのin situでの組立てが必要がある。成功した内腔処置では、回復期間が開放手術より大幅に短くなる。
【0007】
しかし、大動脈瘤の現在の内腔的な修復には多くの制限がある。内腔修復を受けた非常に多くの患者が、最初の修復手術から2年以内に近位側接合部(心臓に最も近い結合点)でのリークを経験している。そのようなリークは多くの場合、さらなる内腔手術によって治すことができるが、そのようなフォローアップの処置が必要になると、費用が大きく増加し、患者にとって望ましくないことは確かである。それより稀ではあるがより深刻な問題なのは、グラフトの移動であった。グラフトが対象の位置から移動したり滑った場合は、開放手術による修復が必要である。内腔グラフトを受ける患者は多くの場合、開放手術に適した候補者と考えられていないので、これは特に問題である。現在の内腔グラフト・システムの他の欠点は、展開及び構成に関する。現在のデバイスは、多くの形状が複雑な動脈瘤、特にショート・ネック又はノー・ネック動脈瘤と呼ばれる、腎動脈と動脈瘤の上端の間にほとんど空間がない腎臓下動脈瘤の治療には適していない。曲がりくねった形状の動脈瘤もまた、治療が困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの理由から、大動脈瘤の内腔治療と最小侵襲治療のための改良された方法及びシステムを提供することが望ましい。特に、移動に対する抵抗があり、比較的展開がしやすく、ショート・ネック又はノー・ネック動脈瘤並びに非常に不規則な形状及び非対称な形状のものを含む、すべてではないが多くの動脈瘤構造を治療することができ、エンドリークが最小限又はエンドリークが無い人工器官を提供するシステム及び方法を提供することが望ましい。単一ルーメン・ステントとグラフト、分岐ステントとグラフト、平行ステントとグラフトを含む、内腔ステント及びグラフの現在の設計、並びに同一所有者による以下の同時係属出願の対象である二重壁の充填構造と適合性がある、システム及び方法を提供することがさらに望ましい。システム及び方法は、好ましくは、ステントとグラフトを最初に留置するとき、ステントとグラフトを使用して展開可能である。さらに、内腔的又は経皮的に以前埋め込まれた大動脈ステントとグラフトを修復するための、システム及び方法を提供することが望ましい。これらの目的の少なくともいくつかは、以下に述べる本発明によって達成される。
【0009】
米国特許第2006/0025853号には、大動脈や他の動脈瘤を治療するための二重壁の充填構造が説明されている。同時係属中の同一所有者による出願第11/413,460号には、そのような二重壁の充填構造を大動脈内に固定し密封するためのライナーや増量剤の使用が説明されている。これらの係属中の出願の全開示を、参照によって本明細書に援用する。WO01/21108号には、大動脈瘤を充填するために中心グラフトに取り付けられた拡張可能なインプラントが説明されている。米国特許第5,330,528号、第5,534,024号、第5,843,160号、第6,168,592号、第6,190,402号、第6,312,462号、第6,312,463号、米国特許第2002/0045848号、米国特許第2003/0014075号、米国特許第2004/0204755号、米国特許第2005/0004660号、及びWO02/102282号も参照されたい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、動脈瘤、特に腹部大動脈瘤(AAA)及び胸部大動脈瘤(TAA)を含む大動脈瘤の治療のための方法及びシステムを提供する。治療は、血管カテーテルを使用して様々なシステム構成部品を前進させ操作する内腔的プロトコルにおいて特に有用である。しかし、いくつかの例では、システム及び方法はまた、動脈瘤壁の制御された孔を通して外部から動脈瘤にアクセスすることができる、動脈瘤の経皮的な最小侵襲治療にとっても有用である。
【0011】
本発明によるシステムは、動脈瘤をわたって留置されるように適合されたスカフォルドを含み、動脈瘤にわたる1つ又は複数の血流のルーメンを提供する。スカフォルドは、ベア・ステント、グラフト、ステント強化グラフト、二重壁の充填構造(同時係属中の出願第11/413,460号に詳細に記載されており、その全開示は参照によって本明細書に既に援用されている)等を含む、従来の動脈瘤治療のスカフォルドのどのようなタイプとすることもできる。任意で、スカフォルドは、スカフォルドが埋め込まれた後に動脈瘤嚢内に放出される薬剤で被覆し、含浸し、又は他の方法で薬剤を担持するように適合される。本発明は主に、動脈瘤にわたって所望の血流のルーメンを送り、スカフォルドの外面と動脈瘤壁の全部又は一部分の内面との間に動脈瘤空間を形成するように内腔的に留置される、ステントとグラフトに依存する。背景技術のセクションで上述したように、動脈瘤のスカフォルドの周りに残される動脈瘤空間ではリークを生じやすく、場合によってはスカフォルドが最初に埋め込まれた位置から移動することがある。どちらの結果も望ましくなく、本発明の方法及びシステムは、リークの危険を低減するために動脈瘤空間を密封することを助け、移動の危険を低減するために動脈瘤のスカフォルドを定位置に固定することも助ける。
【0012】
本発明は、動脈瘤空間内で膨張可能なバルーン又は袋など、1つ又は複数の拡張可能構造の展開を提供する。拡張可能構造は、一般に動脈瘤のスカフォルドを展開した後に留置され、より一般的には、スカフォルドの壁を通って動脈瘤空間内へと展開される。しかし、他の場合では、動脈瘤のスカフォルドを留置する前に、空間充填する拡張可能構造を展開させることができ、動脈瘤のスカフォルドを展開する前又は後のいずれかに、事前に展開された拡張可能構造を拡張させることができる。他の場合では、本発明の拡張可能構造を、最初に内腔又は他の動脈瘤を修復してから数日後、数週間後、又はそれより後に展開することができる。拡張可能構造は、以前埋め込まれたスカフォルドの周りに時間とともに開くことがある空洞の発達にとっても有用である。そのような「再」治療では、拡張可能構造を、動脈瘤のスカフォルドを通して留置することができ、又は動脈瘤の壁を通して経皮的に留置することができる。
【0013】
動脈瘤のスカフォルドを展開した後に動脈瘤空間を充填する場合、偶発的な破裂の危険を低減するために、動脈瘤嚢を過剰に圧迫しないようにすることが必要である。本発明は、拡張可能構造を拡張させがら動脈瘤空間内の加圧を制限するための様々なプロトコルを提供する。例えば、1つ又は複数の拡張可能構造に供給された過剰な拡張媒体を、動脈瘤空間内の圧力が過剰な場合、構造から選択的に抜き取ることができる。過剰な拡張媒体を抜き取るために、排出管又はルーメンを、拡張している拡張可能構造に連結する。そのような選択的な抜き取りを、圧力解放バルブ、フィードバック圧力制御システム等によって制御することができる。あるいは、拡張可能構造を拡張させがら動脈瘤空間から流体を抜き取ることによって、動脈瘤嚢内での過剰な加圧を制御することもできる。そのような制御を、動脈瘤空間内へと直接展開され、圧力解放バルブ又は能動的な圧力制御システムに連結される1つ又は複数の排出カテーテルによって、提供することができる。
【0014】
本発明の第1の態様では、スカフォルドの外面と動脈瘤壁の内面との間に動脈瘤空間を形成するように動脈瘤にわたってスカフォルドを留置することによって、血管の動脈瘤を治療するための方法が提供される。動脈瘤空間の少なくとも一部分を充填するために、スカフォルドを通り過ぎ、又は通過し、あるいは動脈瘤壁を通過する拡張媒体を使用して、少なくとも1つの拡張可能構造を拡張させる。
【0015】
スカフォルドは、動脈瘤にわたって配置することのできる従来の血管のスカフォルドのタイプを含むことができる。例えば、スカフォルドは、第1の端部を動脈瘤の一方の側で健康な血管に固定し、第2の端部を動脈瘤の他方の側で健康な血管に固定して、動脈瘤にわたって埋め込むのに十分な長さ及び適切な直径を有する、従来のベアメタル・ステントを含むことができる。そのようなベアメタル・ステントはバルーン拡張可能式、自己拡張式とすることができ、ラチェット式拡張等を備えることができる。あるいは、多くの場合、鉤、ステープル等を使用して、織地、編組み、又は他の血管グラフトを、動脈瘤のいずれかの側で健康な血管に固定することができる。グラフト構造は一般に血液不浸透性の壁を含み、したがって、以下で全般的に説明するが、拡張可能構造は一般にグラフトを展開する前に、一部が展開されたグラフトの周りに、又は動脈瘤壁を通って送り込まれる。ステントとグラフトに加えて、本発明は、一般に標的血管内で拡張され固定されるステント強化グラフト構造を使用することができる。そのようなステント−グラフトは、バルーン拡張可能式、自己拡張式、又はそれらの組合せとすることができる。
【0016】
本発明のシステム及び方法を使用して、様々な形状を有する動脈瘤を治療することができる。システム及び方法は、ほとんどの大動脈瘤のように、拡大部が血管を取り囲む(紡錘状)動脈瘤を治療するために特に有用であるが、血管壁の外周の一部分にのみ膨隆が見られる様々な非対称の動脈瘤を治療するためにも有用である。すべての場合において、リーク及びスカフォルドの移動を最も効果的に阻害するために、拡張可能構造が動脈瘤空間の空洞の少なくとも大部分、好ましくは全部を満たすことが、一般に望ましい。
【0017】
本発明の方法及びシステムは、単一のスカフォルド・システム及び複数のスカフォルド・システムの使用と適合性がある。線形の動脈瘤を治療する際、2つ以上のステント、グラフト、又は他のスカフォルドを、動脈瘤の全体的な長さを跨ぐように直列的に留置することができる。腹部大動脈瘤などの分岐した動脈瘤では、一対の平行なスカフォルドを動脈瘤内に留置し、大動脈から腸骨分枝血管のそれぞれへと拡張することができる。あるいは、分枝端部を有する分岐したスカフォルドを、大動脈から腸骨動脈へと留置する。そのような分枝血管を治療するとき、いずれかの端部にスカフォルドの長さにわたって延びるステント、カフ、その他の密封部材を追加することも可能である。
【0018】
拡張可能構造は一般に、流体の膨張媒体で膨張可能なバルーン又は他の構造である。そのような膨張可能構造は、一般に、動脈瘤壁やスカフォルドに一致させるだけでなく、動脈瘤空間に留置することができる、又は留置されている他の拡張可能構造に一致させるのに十分な可撓性を有する、流体不浸透性の壁を有する。膨張可能構造は弾性又は非弾性とすることができ、一般に、パリレン、ポリエステル(例えばDacron(登録商標))、PET、PTFE、及び/又はシリコーン、ポリウレタン、ラテックスなどのコンプライアント材料、又はそれらの組合せから形成される。一般に、膨張可能な部材の少なくとも一部分の一部又は全体を、スカフォルドの外壁と動脈瘤の内面との一致性を高めるために、ノンコンプライアント材料から形成することが好ましい。
【0019】
拡張可能構造の壁は単一の層からなることができ、あるいは、積層、接着、熱接合、超音波接合、又は他の方法で一緒に形成された、複数の層を含むこともできる。異なる層は、コンプライアント及び/又はノンコンプライアント材料を含む、異なる材料を含むことができる。構造壁はまた、編組み強化層、フィラメント強化層等を含む、様々な方法で強化されうる。
【0020】
本発明の拡張可能構造を、粉末、パレット、コイル、フォーム等の非流体の拡張媒体で拡張することができる。そのような例では、拡張可能構造を必ずしも不浸透性の材料から形成しなくてもよく、代わりに、格子、編組み、網、又は拡張媒体を収容するが血液及び流体を透過させることができる他の浸透性又は有孔性の構造から形成することができる。
【0021】
いくつかの例では、拡張可能構造を、一般に別個の拡張材料で拡張又は膨張させると同時にin situで押し出すことができる。デリバリー・カテーテルから送り込むことができる、様々な押し出し可能なポリマーが存在する。
【0022】
拡張可能構造の拡張は、一般に、少なくとも一部では、拡張構造を動脈瘤空間内に配置し充填するデリバリー・カテーテルを使用して実施される。最も一般的には、デリバリー・カテーテルはスカフォルドの内部に配置され、カテーテルの壁を通して拡張媒体を送り込む。しかし、他の例では、スカフォルドを留置する前又は後に拡張可能構造を配置し充填することができるように、デリバリー・カテーテルを、スカフォルドの一方の端部の周りに配置することができる。さらに他の例では、デリバリー・カテーテルは、充填を必要とする動脈瘤空間の空洞にアクセスするために、動脈瘤壁の孔を通過することができる。
【0023】
第1の例示的な実施形態では、スカフォルドを動脈瘤内に留置した後に、デリバリー・カテーテルを使用して、スカフォルドの壁を通して拡張可能構造を配置する。そのデリバリー・カテーテルは、他の開口に比べて大きく、拡張可能構造を送り込むことを特に意図した、スカフォルドの壁に形成された個別の窓又は開口を通過することができる。しかし、より一般的には、デリバリー・カテーテルは、本質的にスカフォルドのセル状構造の一部である開口又は割れ目を通過することができる。既に存在するセル状開口を通過することによって、複数の拡張可能構造を、処置の途中で決定することのできる位置に留置させることができる。
【0024】
代替的なプロトコルでは、デリバリー・カテーテルを使用して、スカフォルドを送り込む前に拡張可能構造を留置する。次いで、スカフォルドの少なくとも一方の端部をデリバリー・カテーテル上で展開し固定するように、スカフォルドを留置する。そのような例では、一般に、スカフォルドを展開した後で、拡張可能構造を膨張又は他の方法で拡張させる。あるいは、スカフォルドを拡張し埋め込むときに動脈瘤嚢を過剰に圧迫しないように注意が払われている限り、少なくとも一部では、スカフォルドを展開する前に拡張可能構造を拡張させることができる。
【0025】
さらに別のプロトコルでは、カニューレ又は他のデリバリー管を動脈瘤壁の孔を通過させることによって、デリバリー・カテーテルを動脈瘤空間内に導入することができる。動脈瘤の外壁にアクセスするために、胸腔鏡又は他の最小侵襲手法を使用して、カニューレを配置することができる。拡張可能構造のそのような経皮的展開は、初期治療後に時間が経ってから空洞又は動脈瘤嚢の拡張が起きる患者を治療するのに特に適している。
【0026】
一般に、動脈瘤空間を十分に充填するために、少なくとも2つの拡張可能構造が送り込まれる。多くの場合、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上の拡張可能構造を送り込むこともできる。一般に、治療医は、動脈瘤空間を蛍光透視法で視認しながら、複数の拡張可能構造を、動脈瘤のスカフォルドの壁を通して順次送り込む。次いで、蛍光透視法による視認で確認された通り、動脈瘤空間内の空洞を十分に充填するように十分な数の拡張部材を送り込む。他の例では、あるときは同時に送り込まれ、別なときは順次送り込まれる拡張可能構造も使用することのできる混合プロトコルで、2つ以上の拡張可能構造を同時に拡張させることもできる。
【0027】
本発明の第2の態様では、血管の動脈瘤を治療するためのシステムは、スカフォルド、拡張可能構造、デリバリー・カテーテルを含む。スカフォルドは、本発明の方法と併せて上記で全般的に説明した、いずれかのスカフォルドを含むことができる。デリバリー・カテーテルは、一般に少なくとも1つのルーメンを有する可撓性の細長い管状部材を含み、その中を通して拡張媒体を拡張可能構造へと送り込む。いくつかの実施形態では、拡張可能構造がデリバリー・カテーテルの遠位端に最初に取り付けられ、デリバリー・カテーテルのルーメンが拡張媒体を拡張可能構造へと送り込むためにのみ使用される。拡張可能構造は充填された後にデリバリー・カテーテルから取り外され、一般に、デリバリー・カテーテルを取り外した後に拡張媒体を構造内に閉じ込め保持するセルフシール・バルブ又は他のアタッチメント・ポートを含む。他の例では、デリバリー・カテーテルを、拡張可能構造や拡張媒体を拡張可能構造へと送り込むように適合させることができる。そのような例では、デリバリー・カテーテルを使用して、これらの構造を充填するとともに、2つ以上の拡張構造を順次送り込むことができる。さらに別の例では、別のデリバリー・カテーテル又はデリバリー・カテーテルの構成部品を使用して、拡張可能構造を送り込み、拡張可能構造を充填することができる。
【0028】
本発明のシステムは、デリバリー・カテーテル及び拡張可能構造を動脈瘤の壁を通して経皮的に配置するためのカニューレを、さらに含むことができる。カニューレは拡張可能構造を収容するための軸方向のルーメンを有し、及び/又はデリバリー・カテーテルを使用して従来の方法で動脈瘤にアクセスすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1を参照すると、本発明の原理によるスカフォルド10が、比較的健康な血管の領域の間を動脈瘤の長さにわたって動脈瘤内に留置されている。スカフォルド10は、腹部大動脈瘤AAAにあり、腎動脈RAから腸骨動脈IAへと延びていることが示されている。スカフォルド10は、動脈瘤内でバルーン拡張可能式又は自己拡張式とすることができるベアメタル・ステントとして示されている。スカフォルドは、より従来型のグラフト構造、ステント−グラフト構造を含むことができ、鉤、フック、ステープル、又はスカフォルドを健康な血管の領域内に固定するための他の要素を含むことができることが理解されよう。図1に示すように、環状の動脈瘤空間ASがスカフォルド10を周方向に取り囲んでいる。本発明の方法及びシステムは、エンドリークの危険を低減し、スカフォルドが移動しないように固定するために、動脈瘤空間の少なくとも一部、好ましくはほぼ全体を充填することを対象とする。
【0030】
ここで図2A、2Bを参照すると、例えばシリンジ20を使用してカテーテル12のルーメンを通して媒体を送り込むことによって、デリバリー・カテーテル12を使用して、拡張可能構造16を送り込み、拡張媒体で拡張可能構造を充填することができる。最も一般的には、図2Aに示すように、デリバリー・カテーテル12の遠位端14はスカフォルド10のセル状構造の開口を通って配置される。あるいは、図2Bに示すように、スカフォルド10の壁内に窓18が形成され、そこを通ってデリバリー・カテーテル12の遠位端14を配置することができるようになっている。そのような窓の使用は一般に、動脈瘤空間ASのほぼ全体を満たすことができる単一の拡張可能構造16のデリバリーとのみ適合性がある。したがって、動脈瘤空間ASの空洞領域を完全に満たすために、医師が必要に応じて複数の拡張可能構造16を送り込み配置することが可能になるので、一般にステント又は他のスカフォルド10のセル状構造の通常の開口を通して送り込むことが好まれる。
【0031】
複数の拡張可能構造16a〜16cを順次配置するための単一のデリバリー・カテーテル12の使用が図3に示されている。カテーテル12は、第1の拡張可能構造16aを送り込むために使用され、スカフォルド10の異なる部分を通って動かされ、突き出され、次いで第2の拡張可能構造16bを送り込むために使用される。図3には、膨張され送り込まれた第3の拡張可能構造16cが示されている。複数の拡張可能構造16を送り込むために単一のデリバリー・カテーテル12を使用するとき、一般に別個の膨張可能な部材を使用し、そこに膨張管が脱着可能に固定されていることが好ましい。したがって、膨張可能な拡張部材16を送り込み、膨張管で膨張させ、次いで取り外し、その位置に残すことができる。1つの膨張管を引き抜いた後、第2の膨張管を使用して第2の膨張可能な拡張可能構造16を送り込むことができる。デリバリー・カテーテル12を再配置し、及び/又は膨張可能な管(図示せず)を、空間の異なる部分を充填するために必要に応じてデリバリー・カテーテル12から動脈瘤空間ASの異なる領域へと拡張することによって、拡張可能構造16の配置が行われる。
【0032】
ここで図4を参照すると、別の拡張可能構造16を送り込むために図3のカテーテル12が使用され、第4と第5の拡張可能構造16d、16eが展開された状態で示されている。一般に蛍光透視法によって確認されるように、動脈瘤空間AS全体が充填されるまで、別の拡張可能構造16が追加される。単一のカテーテル12が、腸骨動脈IAを通して動脈瘤空間ASに導入されている。
【0033】
ここで図5を参照すると、一対のデリバリー・カテーテル12a、12bを使用して、2つの拡張可能構造16を同時に配置することができる。デリバリー・カテーテル12a、12bが2つの腸骨動脈IAを通して導入され、これらを使用して、複数の拡張可能構造16を同時に、及び順次送り込むことができる。
【0034】
ここで図6を参照すると、一対のデリバリー・カテーテル12a、12bを使用して、一対の平行なスカフォルド22、24を通して複数の拡張可能構造16を同時に、及び/又は順次送り込むことができる。スカフォルド22、24の上端は大動脈内に配置され腎動脈RAの周りに固定されており、下端はそれぞれ左右の腸骨動脈IA内にある。デリバリー・カテーテルは腸骨動脈を通ってスカフォルド22、24の下端へと導入される。同様に、図7に示すように、一対のデリバリー・カテーテル12a、12bを使用して、分岐ステント26の分岐した下端を通して、複数の拡張可能構造16を同時に又は順次送り込むことができる。これまで述べたすべての場合において、複数の拡張可能構造16は、動脈瘤空間AS内で血栓Tの領域の周りに一致するように特に適合されている。
【0035】
拡張可能構造16は様々な形態をとることができる。図8に示すように、拡張可能構造16Aは、一般に上述したポリマーである可撓性材料から形成された外壁を含む。デリバリー・カテーテル又は膨張管の遠位端に脱着可能に固定するために、バルブ構造30が設けられている。デリバリー・カテーテル管は上述の拡張可能な媒体のいずれか1つを送り込むことができ、バルブ30は一般にデリバリー・カテーテル膨張管が取り外された後に自己閉鎖する。図9に示すように、特定の充填形状を提供するために、拡張可能構造16Bをセミコンプライアント又はノンコンプライアント材料から形成することができる。拡張可能構造16Bは、スカフォルドを取り囲む環状の動脈瘤空間を充填するために特に有用なC字型の断面を有し、スカフォルドは拡張可能構造の軸方向の溝32内に受け入れられる。
【0036】
ここで図10Aから10Eを参照すると、拡張可能構造40をスカフォルド10の周りに押し出すことができる。適合性の高いバッグが、充填材料から圧力を受けてデリバリー・カテーテル12から押し出される。第1の押し出し可能な拡張可能構造40aを、図10Aに示すように第1のデリバリー・カテーテル12aによって送り込み、図10Bに示すように拡大させ、スカフォルド10に一致させる。任意で、第2の押し出し可能な拡張可能構造40bを、図10Cに示すように第2のデリバリー・カテーテル12bを使用して送り込む。押し出し可能な拡張可能構造の送り込みを、図10Dに示すように平行なステント22、24で、又は図10Eに示すように分岐したステント26で、同様に実施することができる。動脈瘤空間ASがほぼ充填された後、任意で加熱要素、クリップ、接着剤、又は押し出しを終端させる他の方法を使用して、押し出し可能な拡張可能構造40を密封する。次いで、押し出された拡張可能構造をその位置に残して、デリバリー・カテーテルを取り外す。
【0037】
上記で述べたように、拡張可能構造16を、スカフォルドの中心ルーメン又は通路からスカフォルドを取り囲む動脈瘤空間へと送り込むことができる。代替案として、図11A〜11Dに示すように、デリバリー・カテーテルをスカフォルドの外に配置することによって、拡張可能構造を送り込むこともできる。一般に、スカフォルド10を展開する前に拡張可能構造16が動脈瘤空間AS内に置かれるように、デリバリー・カテーテル12が配置される。次いで、スカフォルド10を留置する前に拡張可能構造16は拡張又は部分拡張されるが、より一般的には、スカフォルド10を完全に拡張した後で拡張される。図11Aに示すように、単一の拡張可能構造16を送り込むために単一のデリバリー・カテーテルが配置され、拡張可能構造16は単一のスカフォルド10を展開した後で拡張される。図11Bに示すように、デリバリー・カテーテル12a、12bによってそれぞれ送り込まれる一対の拡張可能構造16a、16bは、単一のスカフォルド10を展開する前に配置される。また、拡張可能構造16a、16bはスカフォルド10を展開した後に拡張される。単一又は一対の拡張可能構造16を送り込むためのデリバリー・カテーテル12の使用を、図11Cに示すように平行なスカフォルド22、24でも、図11Dに示すように分岐したスカフォルド26でも利用することができる。単一又は一対の拡張可能構造16のみの送り込みが図示されているが、デリバリー・カテーテル12、12a又は12bは、その位置に残される複数の拡張可能構造をデリバリー・カテーテルのルーメンを通して送り込むための別個の膨張管とともに、一緒に使用することもできることが理解されよう。拡張可能構造の送り込みが完了した後、デリバリー・カテーテル12を、スカフォルド12、22、24又は26の外部から引き抜く。
【0038】
開放格子すなわち網状のスカフォルドを使用する上述のすべての展開プロトコルでは、拡張可能構造を動脈瘤空間内で拡張させることによって、動脈瘤空間内にある流体又は物質を、スカフォルドのルーメン内へと移動させることができることが理解されよう。このことは、動脈瘤嚢の過剰な加圧の危険を低減するので有利である。
【0039】
ここで図12を参照すると、密封システムのスカフォルドを早期展開した後に、動脈瘤嚢の空洞に経皮的にアクセスし充填するための、本発明のシステムの使用が説明される。以前の出願第11/413,460号に全般的に説明されている通り、二重壁の充填構造50を腹部大動脈瘤AAA内で展開することができ、その全開示は既に参照によって本明細書に援用されている。図12に示す腹部大動脈瘤AAAは非常に非対称であるので、充填構造50が完全に展開された後であっても空洞領域が残される場合がある。本発明は、動脈瘤の壁に形成された孔を通して導入される拡張可能構造52の経皮的な留置を提供する。二重壁の充填構造50と併せて示したが、拡張可能構造のそのような経皮的導入を、動脈瘤空間の周辺部に空洞が残されるときはいつでも、又はより一般的には、動脈瘤の初期治療後にそのような空洞が発生するときに、実施できることが理解されよう。拡張可能構造52はいずれかの膨張可能部材又は上述の他の部材とすることができ、一般的にはカニューレ54(図13)又は他の管状導入デバイスを使用して導入される。カニューレ54は、拡張可能構造52を抑制された構成で担持する。拡張可能構造52は、膨張管56又は拡張媒体を拡張可能構造に送り込むための他のデバイスと連結されている。孔は従来の胸腔鏡又は他の手法によって動脈瘤の壁に形成される。空洞へのアクセスがなされると、孔を通してカニューレを導入することができ、拡張可能構造52をカニューレの遠位端から外へ前進させる。拡張可能構造が定位置に置かれた後、これを膨張させ、又は他の方法で膨張管56を通して拡張させることができる。拡張可能構造が完全に拡張し、及び/又は空洞が完全に充填された後、膨張部材56を取り外し、拡張可能構造52を密封することができる。任意で、空洞領域全体が充填されるまで、カニューレを通して別の拡張可能構造を導入することができる。
【0040】
上記は本発明の好ましい実施形態の完全な説明であるが、様々な改変、修正及び等価物を使用することができる。したがって、上記の説明は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を制限するとみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】腹部大動脈瘤にわたって留置され、スカフォルドの周りに動脈瘤空間を形成する単一のスカフォルドを示す図である。
【図2A】本発明の原理による拡張可能構造を配置し拡張するための、本発明の原理によるデリバリー・カテーテルの使用を示す図である。
【図2B】本発明の原理による拡張可能構造を配置し拡張するための、本発明の原理によるデリバリー・カテーテルの使用を示す図である。
【図3】本発明の原理による複数の拡張可能構造を送り込むための単一のデリバリー・カテーテルの使用を示す図である。
【図4】本発明の原理による複数の拡張可能構造を送り込むための単一のデリバリー・カテーテルの使用を示す図である。
【図5】本発明の原理による複数の拡張可能構造を送り込むための一対のデリバリー・カテーテルの使用を示す図である。
【図6】別個の平行なスカフォルドを通して拡張可能構造を送り込むための一対のデリバリー・カテーテルの使用を示す図である。
【図7】単一の分岐したスカフォルドを通して拡張可能構造を送り込むための一対のデリバリー・カテーテルの使用を示す図である。
【図8】本発明の原理による例示的な拡張可能構造におけるバルブの配置を示す図である。
【図9】本発明の原理による展開されたスカフォルドを受けるための軸方向の溝又は窪みを有する拡張可能構造を示す図である。
【図10】本発明の原理による一対の拡張可能構造を押し出すためのデリバリー・カテーテルの使用を示す図である。
【図11】本発明の原理によるデリバリー・カテーテルがスカフォルドの一方の端部を通って留置されている、拡張可能構造の送り込みを示す図である。
【図12】本発明の原理による二重壁の充填可能なスカフォルドの周りの空洞領域を充填するための拡張可能構造の使用を示す図である。
【図13】本発明の原理による、経皮的に動脈瘤壁を通って拡張可能構造を展開するために使用することができるカニューレを示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に治療のための医療装置及び方法に関する。より詳細には、本発明は、腹部や他の動脈瘤にわたって充填するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
動脈瘤は、しばしば破裂しやすく、したがって患者に重篤なリスクを与える、血管の拡大すなわち「膨隆」である。動脈瘤はあらゆる血管に起こるが、脳血管又は患者の大動脈に起きると特に問題となる。
【0003】
本発明は、特に大動脈瘤と呼ばれる、大動脈に起きる動脈瘤に特に関する。腹部大動脈瘤(AAA)は、大動脈内での位置に基づいて、かつ形状と複雑性に基づいて分類される。腎動脈より下方に見られる動脈瘤は、腎臓下腹部大動脈瘤と呼ばれる。副腎腹部大動脈瘤は腎動脈より上方で起こり、胸部大動脈瘤(TAA)は上部大動脈の上行、横行又は下行部分で起きる。
【0004】
腎臓下動脈瘤が最も多く、全大動脈瘤の約80%である。副腎動脈瘤はそれより少なく、大動脈瘤の約20%である。胸部大動脈瘤は最も少なく、多くの場合、治療が最も困難である。ほとんど又はすべての現在の血管内システムはまた、経皮的導入には大きすぎる(12Fより大きい)。
【0005】
動脈瘤の最も多い形態は「紡錘状」であり、拡大部が大動脈の円周全体にわたって広がっている。それより少ないが、動脈瘤は、細いネックで血管の一方の側に結合した膨隆によって特徴付けられることもある。胸部大動脈瘤は多くの場合、大動脈壁、通常は中膜内の出血性の分離によって生じる解離性動脈瘤である。これらのタイプや形態の動脈瘤のそれぞれに最も一般的な治療は開放手術による修復である。開放手術による修復は、それ以外の点では適度に健康で重大な併存疾患のない患者において、非常に成功率が高い。しかし、腹部や胸部大動脈へのアクセスは実行が困難であり、また大動脈をクランプしなければならず、患者の心臓に重大な負担を与えるため、そのような開放手術には問題が多い。
【0006】
過去10年にわたり、開放手術を受けられない患者での大動脈瘤の治療には、内腔グラフトの使用が普及してきた。一般に、内腔での修復では、一方又は両方の鼠径部の腸骨動脈を通って「内腔的に」動脈瘤にアクセスする。次いで、様々なステント構造によって支持され結合された、一般に織地又は膜の管であるグラフトを埋め込み、通常はいくつかの部品又はモジュールのin situでの組立てが必要がある。成功した内腔処置では、回復期間が開放手術より大幅に短くなる。
【0007】
しかし、大動脈瘤の現在の内腔的な修復には多くの制限がある。内腔修復を受けた非常に多くの患者が、最初の修復手術から2年以内に近位側接合部(心臓に最も近い結合点)でのリークを経験している。そのようなリークは多くの場合、さらなる内腔手術によって治すことができるが、そのようなフォローアップの処置が必要になると、費用が大きく増加し、患者にとって望ましくないことは確かである。それより稀ではあるがより深刻な問題なのは、グラフトの移動であった。グラフトが対象の位置から移動したり滑った場合は、開放手術による修復が必要である。内腔グラフトを受ける患者は多くの場合、開放手術に適した候補者と考えられていないので、これは特に問題である。現在の内腔グラフト・システムの他の欠点は、展開及び構成に関する。現在のデバイスは、多くの形状が複雑な動脈瘤、特にショート・ネック又はノー・ネック動脈瘤と呼ばれる、腎動脈と動脈瘤の上端の間にほとんど空間がない腎臓下動脈瘤の治療には適していない。曲がりくねった形状の動脈瘤もまた、治療が困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの理由から、大動脈瘤の内腔治療と最小侵襲治療のための改良された方法及びシステムを提供することが望ましい。特に、移動に対する抵抗があり、比較的展開がしやすく、ショート・ネック又はノー・ネック動脈瘤並びに非常に不規則な形状及び非対称な形状のものを含む、すべてではないが多くの動脈瘤構造を治療することができ、エンドリークが最小限又はエンドリークが無い人工器官を提供するシステム及び方法を提供することが望ましい。単一ルーメン・ステントとグラフト、分岐ステントとグラフト、平行ステントとグラフトを含む、内腔ステント及びグラフの現在の設計、並びに同一所有者による以下の同時係属出願の対象である二重壁の充填構造と適合性がある、システム及び方法を提供することがさらに望ましい。システム及び方法は、好ましくは、ステントとグラフトを最初に留置するとき、ステントとグラフトを使用して展開可能である。さらに、内腔的又は経皮的に以前埋め込まれた大動脈ステントとグラフトを修復するための、システム及び方法を提供することが望ましい。これらの目的の少なくともいくつかは、以下に述べる本発明によって達成される。
【0009】
米国特許第2006/0025853号には、大動脈や他の動脈瘤を治療するための二重壁の充填構造が説明されている。同時係属中の同一所有者による出願第11/413,460号には、そのような二重壁の充填構造を大動脈内に固定し密封するためのライナーや増量剤の使用が説明されている。これらの係属中の出願の全開示を、参照によって本明細書に援用する。WO01/21108号には、大動脈瘤を充填するために中心グラフトに取り付けられた拡張可能なインプラントが説明されている。米国特許第5,330,528号、第5,534,024号、第5,843,160号、第6,168,592号、第6,190,402号、第6,312,462号、第6,312,463号、米国特許第2002/0045848号、米国特許第2003/0014075号、米国特許第2004/0204755号、米国特許第2005/0004660号、及びWO02/102282号も参照されたい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、動脈瘤、特に腹部大動脈瘤(AAA)及び胸部大動脈瘤(TAA)を含む大動脈瘤の治療のための方法及びシステムを提供する。治療は、血管カテーテルを使用して様々なシステム構成部品を前進させ操作する内腔的プロトコルにおいて特に有用である。しかし、いくつかの例では、システム及び方法はまた、動脈瘤壁の制御された孔を通して外部から動脈瘤にアクセスすることができる、動脈瘤の経皮的な最小侵襲治療にとっても有用である。
【0011】
本発明によるシステムは、動脈瘤をわたって留置されるように適合されたスカフォルドを含み、動脈瘤にわたる1つ又は複数の血流のルーメンを提供する。スカフォルドは、ベア・ステント、グラフト、ステント強化グラフト、二重壁の充填構造(同時係属中の出願第11/413,460号に詳細に記載されており、その全開示は参照によって本明細書に既に援用されている)等を含む、従来の動脈瘤治療のスカフォルドのどのようなタイプとすることもできる。任意で、スカフォルドは、スカフォルドが埋め込まれた後に動脈瘤嚢内に放出される薬剤で被覆し、含浸し、又は他の方法で薬剤を担持するように適合される。本発明は主に、動脈瘤にわたって所望の血流のルーメンを送り、スカフォルドの外面と動脈瘤壁の全部又は一部分の内面との間に動脈瘤空間を形成するように内腔的に留置される、ステントとグラフトに依存する。背景技術のセクションで上述したように、動脈瘤のスカフォルドの周りに残される動脈瘤空間ではリークを生じやすく、場合によってはスカフォルドが最初に埋め込まれた位置から移動することがある。どちらの結果も望ましくなく、本発明の方法及びシステムは、リークの危険を低減するために動脈瘤空間を密封することを助け、移動の危険を低減するために動脈瘤のスカフォルドを定位置に固定することも助ける。
【0012】
本発明は、動脈瘤空間内で膨張可能なバルーン又は袋など、1つ又は複数の拡張可能構造の展開を提供する。拡張可能構造は、一般に動脈瘤のスカフォルドを展開した後に留置され、より一般的には、スカフォルドの壁を通って動脈瘤空間内へと展開される。しかし、他の場合では、動脈瘤のスカフォルドを留置する前に、空間充填する拡張可能構造を展開させることができ、動脈瘤のスカフォルドを展開する前又は後のいずれかに、事前に展開された拡張可能構造を拡張させることができる。他の場合では、本発明の拡張可能構造を、最初に内腔又は他の動脈瘤を修復してから数日後、数週間後、又はそれより後に展開することができる。拡張可能構造は、以前埋め込まれたスカフォルドの周りに時間とともに開くことがある空洞の発達にとっても有用である。そのような「再」治療では、拡張可能構造を、動脈瘤のスカフォルドを通して留置することができ、又は動脈瘤の壁を通して経皮的に留置することができる。
【0013】
動脈瘤のスカフォルドを展開した後に動脈瘤空間を充填する場合、偶発的な破裂の危険を低減するために、動脈瘤嚢を過剰に圧迫しないようにすることが必要である。本発明は、拡張可能構造を拡張させがら動脈瘤空間内の加圧を制限するための様々なプロトコルを提供する。例えば、1つ又は複数の拡張可能構造に供給された過剰な拡張媒体を、動脈瘤空間内の圧力が過剰な場合、構造から選択的に抜き取ることができる。過剰な拡張媒体を抜き取るために、排出管又はルーメンを、拡張している拡張可能構造に連結する。そのような選択的な抜き取りを、圧力解放バルブ、フィードバック圧力制御システム等によって制御することができる。あるいは、拡張可能構造を拡張させがら動脈瘤空間から流体を抜き取ることによって、動脈瘤嚢内での過剰な加圧を制御することもできる。そのような制御を、動脈瘤空間内へと直接展開され、圧力解放バルブ又は能動的な圧力制御システムに連結される1つ又は複数の排出カテーテルによって、提供することができる。
【0014】
本発明の第1の態様では、スカフォルドの外面と動脈瘤壁の内面との間に動脈瘤空間を形成するように動脈瘤にわたってスカフォルドを留置することによって、血管の動脈瘤を治療するための方法が提供される。動脈瘤空間の少なくとも一部分を充填するために、スカフォルドを通り過ぎ、又は通過し、あるいは動脈瘤壁を通過する拡張媒体を使用して、少なくとも1つの拡張可能構造を拡張させる。
【0015】
スカフォルドは、動脈瘤にわたって配置することのできる従来の血管のスカフォルドのタイプを含むことができる。例えば、スカフォルドは、第1の端部を動脈瘤の一方の側で健康な血管に固定し、第2の端部を動脈瘤の他方の側で健康な血管に固定して、動脈瘤にわたって埋め込むのに十分な長さ及び適切な直径を有する、従来のベアメタル・ステントを含むことができる。そのようなベアメタル・ステントはバルーン拡張可能式、自己拡張式とすることができ、ラチェット式拡張等を備えることができる。あるいは、多くの場合、鉤、ステープル等を使用して、織地、編組み、又は他の血管グラフトを、動脈瘤のいずれかの側で健康な血管に固定することができる。グラフト構造は一般に血液不浸透性の壁を含み、したがって、以下で全般的に説明するが、拡張可能構造は一般にグラフトを展開する前に、一部が展開されたグラフトの周りに、又は動脈瘤壁を通って送り込まれる。ステントとグラフトに加えて、本発明は、一般に標的血管内で拡張され固定されるステント強化グラフト構造を使用することができる。そのようなステント−グラフトは、バルーン拡張可能式、自己拡張式、又はそれらの組合せとすることができる。
【0016】
本発明のシステム及び方法を使用して、様々な形状を有する動脈瘤を治療することができる。システム及び方法は、ほとんどの大動脈瘤のように、拡大部が血管を取り囲む(紡錘状)動脈瘤を治療するために特に有用であるが、血管壁の外周の一部分にのみ膨隆が見られる様々な非対称の動脈瘤を治療するためにも有用である。すべての場合において、リーク及びスカフォルドの移動を最も効果的に阻害するために、拡張可能構造が動脈瘤空間の空洞の少なくとも大部分、好ましくは全部を満たすことが、一般に望ましい。
【0017】
本発明の方法及びシステムは、単一のスカフォルド・システム及び複数のスカフォルド・システムの使用と適合性がある。線形の動脈瘤を治療する際、2つ以上のステント、グラフト、又は他のスカフォルドを、動脈瘤の全体的な長さを跨ぐように直列的に留置することができる。腹部大動脈瘤などの分岐した動脈瘤では、一対の平行なスカフォルドを動脈瘤内に留置し、大動脈から腸骨分枝血管のそれぞれへと拡張することができる。あるいは、分枝端部を有する分岐したスカフォルドを、大動脈から腸骨動脈へと留置する。そのような分枝血管を治療するとき、いずれかの端部にスカフォルドの長さにわたって延びるステント、カフ、その他の密封部材を追加することも可能である。
【0018】
拡張可能構造は一般に、流体の膨張媒体で膨張可能なバルーン又は他の構造である。そのような膨張可能構造は、一般に、動脈瘤壁やスカフォルドに一致させるだけでなく、動脈瘤空間に留置することができる、又は留置されている他の拡張可能構造に一致させるのに十分な可撓性を有する、流体不浸透性の壁を有する。膨張可能構造は弾性又は非弾性とすることができ、一般に、パリレン、ポリエステル(例えばDacron(登録商標))、PET、PTFE、及び/又はシリコーン、ポリウレタン、ラテックスなどのコンプライアント材料、又はそれらの組合せから形成される。一般に、膨張可能な部材の少なくとも一部分の一部又は全体を、スカフォルドの外壁と動脈瘤の内面との一致性を高めるために、ノンコンプライアント材料から形成することが好ましい。
【0019】
拡張可能構造の壁は単一の層からなることができ、あるいは、積層、接着、熱接合、超音波接合、又は他の方法で一緒に形成された、複数の層を含むこともできる。異なる層は、コンプライアント及び/又はノンコンプライアント材料を含む、異なる材料を含むことができる。構造壁はまた、編組み強化層、フィラメント強化層等を含む、様々な方法で強化されうる。
【0020】
本発明の拡張可能構造を、粉末、パレット、コイル、フォーム等の非流体の拡張媒体で拡張することができる。そのような例では、拡張可能構造を必ずしも不浸透性の材料から形成しなくてもよく、代わりに、格子、編組み、網、又は拡張媒体を収容するが血液及び流体を透過させることができる他の浸透性又は有孔性の構造から形成することができる。
【0021】
いくつかの例では、拡張可能構造を、一般に別個の拡張材料で拡張又は膨張させると同時にin situで押し出すことができる。デリバリー・カテーテルから送り込むことができる、様々な押し出し可能なポリマーが存在する。
【0022】
拡張可能構造の拡張は、一般に、少なくとも一部では、拡張構造を動脈瘤空間内に配置し充填するデリバリー・カテーテルを使用して実施される。最も一般的には、デリバリー・カテーテルはスカフォルドの内部に配置され、カテーテルの壁を通して拡張媒体を送り込む。しかし、他の例では、スカフォルドを留置する前又は後に拡張可能構造を配置し充填することができるように、デリバリー・カテーテルを、スカフォルドの一方の端部の周りに配置することができる。さらに他の例では、デリバリー・カテーテルは、充填を必要とする動脈瘤空間の空洞にアクセスするために、動脈瘤壁の孔を通過することができる。
【0023】
第1の例示的な実施形態では、スカフォルドを動脈瘤内に留置した後に、デリバリー・カテーテルを使用して、スカフォルドの壁を通して拡張可能構造を配置する。そのデリバリー・カテーテルは、他の開口に比べて大きく、拡張可能構造を送り込むことを特に意図した、スカフォルドの壁に形成された個別の窓又は開口を通過することができる。しかし、より一般的には、デリバリー・カテーテルは、本質的にスカフォルドのセル状構造の一部である開口又は割れ目を通過することができる。既に存在するセル状開口を通過することによって、複数の拡張可能構造を、処置の途中で決定することのできる位置に留置させることができる。
【0024】
代替的なプロトコルでは、デリバリー・カテーテルを使用して、スカフォルドを送り込む前に拡張可能構造を留置する。次いで、スカフォルドの少なくとも一方の端部をデリバリー・カテーテル上で展開し固定するように、スカフォルドを留置する。そのような例では、一般に、スカフォルドを展開した後で、拡張可能構造を膨張又は他の方法で拡張させる。あるいは、スカフォルドを拡張し埋め込むときに動脈瘤嚢を過剰に圧迫しないように注意が払われている限り、少なくとも一部では、スカフォルドを展開する前に拡張可能構造を拡張させることができる。
【0025】
さらに別のプロトコルでは、カニューレ又は他のデリバリー管を動脈瘤壁の孔を通過させることによって、デリバリー・カテーテルを動脈瘤空間内に導入することができる。動脈瘤の外壁にアクセスするために、胸腔鏡又は他の最小侵襲手法を使用して、カニューレを配置することができる。拡張可能構造のそのような経皮的展開は、初期治療後に時間が経ってから空洞又は動脈瘤嚢の拡張が起きる患者を治療するのに特に適している。
【0026】
一般に、動脈瘤空間を十分に充填するために、少なくとも2つの拡張可能構造が送り込まれる。多くの場合、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上の拡張可能構造を送り込むこともできる。一般に、治療医は、動脈瘤空間を蛍光透視法で視認しながら、複数の拡張可能構造を、動脈瘤のスカフォルドの壁を通して順次送り込む。次いで、蛍光透視法による視認で確認された通り、動脈瘤空間内の空洞を十分に充填するように十分な数の拡張部材を送り込む。他の例では、あるときは同時に送り込まれ、別なときは順次送り込まれる拡張可能構造も使用することのできる混合プロトコルで、2つ以上の拡張可能構造を同時に拡張させることもできる。
【0027】
本発明の第2の態様では、血管の動脈瘤を治療するためのシステムは、スカフォルド、拡張可能構造、デリバリー・カテーテルを含む。スカフォルドは、本発明の方法と併せて上記で全般的に説明した、いずれかのスカフォルドを含むことができる。デリバリー・カテーテルは、一般に少なくとも1つのルーメンを有する可撓性の細長い管状部材を含み、その中を通して拡張媒体を拡張可能構造へと送り込む。いくつかの実施形態では、拡張可能構造がデリバリー・カテーテルの遠位端に最初に取り付けられ、デリバリー・カテーテルのルーメンが拡張媒体を拡張可能構造へと送り込むためにのみ使用される。拡張可能構造は充填された後にデリバリー・カテーテルから取り外され、一般に、デリバリー・カテーテルを取り外した後に拡張媒体を構造内に閉じ込め保持するセルフシール・バルブ又は他のアタッチメント・ポートを含む。他の例では、デリバリー・カテーテルを、拡張可能構造や拡張媒体を拡張可能構造へと送り込むように適合させることができる。そのような例では、デリバリー・カテーテルを使用して、これらの構造を充填するとともに、2つ以上の拡張構造を順次送り込むことができる。さらに別の例では、別のデリバリー・カテーテル又はデリバリー・カテーテルの構成部品を使用して、拡張可能構造を送り込み、拡張可能構造を充填することができる。
【0028】
本発明のシステムは、デリバリー・カテーテル及び拡張可能構造を動脈瘤の壁を通して経皮的に配置するためのカニューレを、さらに含むことができる。カニューレは拡張可能構造を収容するための軸方向のルーメンを有し、及び/又はデリバリー・カテーテルを使用して従来の方法で動脈瘤にアクセスすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1を参照すると、本発明の原理によるスカフォルド10が、比較的健康な血管の領域の間を動脈瘤の長さにわたって動脈瘤内に留置されている。スカフォルド10は、腹部大動脈瘤AAAにあり、腎動脈RAから腸骨動脈IAへと延びていることが示されている。スカフォルド10は、動脈瘤内でバルーン拡張可能式又は自己拡張式とすることができるベアメタル・ステントとして示されている。スカフォルドは、より従来型のグラフト構造、ステント−グラフト構造を含むことができ、鉤、フック、ステープル、又はスカフォルドを健康な血管の領域内に固定するための他の要素を含むことができることが理解されよう。図1に示すように、環状の動脈瘤空間ASがスカフォルド10を周方向に取り囲んでいる。本発明の方法及びシステムは、エンドリークの危険を低減し、スカフォルドが移動しないように固定するために、動脈瘤空間の少なくとも一部、好ましくはほぼ全体を充填することを対象とする。
【0030】
ここで図2A、2Bを参照すると、例えばシリンジ20を使用してカテーテル12のルーメンを通して媒体を送り込むことによって、デリバリー・カテーテル12を使用して、拡張可能構造16を送り込み、拡張媒体で拡張可能構造を充填することができる。最も一般的には、図2Aに示すように、デリバリー・カテーテル12の遠位端14はスカフォルド10のセル状構造の開口を通って配置される。あるいは、図2Bに示すように、スカフォルド10の壁内に窓18が形成され、そこを通ってデリバリー・カテーテル12の遠位端14を配置することができるようになっている。そのような窓の使用は一般に、動脈瘤空間ASのほぼ全体を満たすことができる単一の拡張可能構造16のデリバリーとのみ適合性がある。したがって、動脈瘤空間ASの空洞領域を完全に満たすために、医師が必要に応じて複数の拡張可能構造16を送り込み配置することが可能になるので、一般にステント又は他のスカフォルド10のセル状構造の通常の開口を通して送り込むことが好まれる。
【0031】
複数の拡張可能構造16a〜16cを順次配置するための単一のデリバリー・カテーテル12の使用が図3に示されている。カテーテル12は、第1の拡張可能構造16aを送り込むために使用され、スカフォルド10の異なる部分を通って動かされ、突き出され、次いで第2の拡張可能構造16bを送り込むために使用される。図3には、膨張され送り込まれた第3の拡張可能構造16cが示されている。複数の拡張可能構造16を送り込むために単一のデリバリー・カテーテル12を使用するとき、一般に別個の膨張可能な部材を使用し、そこに膨張管が脱着可能に固定されていることが好ましい。したがって、膨張可能な拡張部材16を送り込み、膨張管で膨張させ、次いで取り外し、その位置に残すことができる。1つの膨張管を引き抜いた後、第2の膨張管を使用して第2の膨張可能な拡張可能構造16を送り込むことができる。デリバリー・カテーテル12を再配置し、及び/又は膨張可能な管(図示せず)を、空間の異なる部分を充填するために必要に応じてデリバリー・カテーテル12から動脈瘤空間ASの異なる領域へと拡張することによって、拡張可能構造16の配置が行われる。
【0032】
ここで図4を参照すると、別の拡張可能構造16を送り込むために図3のカテーテル12が使用され、第4と第5の拡張可能構造16d、16eが展開された状態で示されている。一般に蛍光透視法によって確認されるように、動脈瘤空間AS全体が充填されるまで、別の拡張可能構造16が追加される。単一のカテーテル12が、腸骨動脈IAを通して動脈瘤空間ASに導入されている。
【0033】
ここで図5を参照すると、一対のデリバリー・カテーテル12a、12bを使用して、2つの拡張可能構造16を同時に配置することができる。デリバリー・カテーテル12a、12bが2つの腸骨動脈IAを通して導入され、これらを使用して、複数の拡張可能構造16を同時に、及び順次送り込むことができる。
【0034】
ここで図6を参照すると、一対のデリバリー・カテーテル12a、12bを使用して、一対の平行なスカフォルド22、24を通して複数の拡張可能構造16を同時に、及び/又は順次送り込むことができる。スカフォルド22、24の上端は大動脈内に配置され腎動脈RAの周りに固定されており、下端はそれぞれ左右の腸骨動脈IA内にある。デリバリー・カテーテルは腸骨動脈を通ってスカフォルド22、24の下端へと導入される。同様に、図7に示すように、一対のデリバリー・カテーテル12a、12bを使用して、分岐ステント26の分岐した下端を通して、複数の拡張可能構造16を同時に又は順次送り込むことができる。これまで述べたすべての場合において、複数の拡張可能構造16は、動脈瘤空間AS内で血栓Tの領域の周りに一致するように特に適合されている。
【0035】
拡張可能構造16は様々な形態をとることができる。図8に示すように、拡張可能構造16Aは、一般に上述したポリマーである可撓性材料から形成された外壁を含む。デリバリー・カテーテル又は膨張管の遠位端に脱着可能に固定するために、バルブ構造30が設けられている。デリバリー・カテーテル管は上述の拡張可能な媒体のいずれか1つを送り込むことができ、バルブ30は一般にデリバリー・カテーテル膨張管が取り外された後に自己閉鎖する。図9に示すように、特定の充填形状を提供するために、拡張可能構造16Bをセミコンプライアント又はノンコンプライアント材料から形成することができる。拡張可能構造16Bは、スカフォルドを取り囲む環状の動脈瘤空間を充填するために特に有用なC字型の断面を有し、スカフォルドは拡張可能構造の軸方向の溝32内に受け入れられる。
【0036】
ここで図10Aから10Eを参照すると、拡張可能構造40をスカフォルド10の周りに押し出すことができる。適合性の高いバッグが、充填材料から圧力を受けてデリバリー・カテーテル12から押し出される。第1の押し出し可能な拡張可能構造40aを、図10Aに示すように第1のデリバリー・カテーテル12aによって送り込み、図10Bに示すように拡大させ、スカフォルド10に一致させる。任意で、第2の押し出し可能な拡張可能構造40bを、図10Cに示すように第2のデリバリー・カテーテル12bを使用して送り込む。押し出し可能な拡張可能構造の送り込みを、図10Dに示すように平行なステント22、24で、又は図10Eに示すように分岐したステント26で、同様に実施することができる。動脈瘤空間ASがほぼ充填された後、任意で加熱要素、クリップ、接着剤、又は押し出しを終端させる他の方法を使用して、押し出し可能な拡張可能構造40を密封する。次いで、押し出された拡張可能構造をその位置に残して、デリバリー・カテーテルを取り外す。
【0037】
上記で述べたように、拡張可能構造16を、スカフォルドの中心ルーメン又は通路からスカフォルドを取り囲む動脈瘤空間へと送り込むことができる。代替案として、図11A〜11Dに示すように、デリバリー・カテーテルをスカフォルドの外に配置することによって、拡張可能構造を送り込むこともできる。一般に、スカフォルド10を展開する前に拡張可能構造16が動脈瘤空間AS内に置かれるように、デリバリー・カテーテル12が配置される。次いで、スカフォルド10を留置する前に拡張可能構造16は拡張又は部分拡張されるが、より一般的には、スカフォルド10を完全に拡張した後で拡張される。図11Aに示すように、単一の拡張可能構造16を送り込むために単一のデリバリー・カテーテルが配置され、拡張可能構造16は単一のスカフォルド10を展開した後で拡張される。図11Bに示すように、デリバリー・カテーテル12a、12bによってそれぞれ送り込まれる一対の拡張可能構造16a、16bは、単一のスカフォルド10を展開する前に配置される。また、拡張可能構造16a、16bはスカフォルド10を展開した後に拡張される。単一又は一対の拡張可能構造16を送り込むためのデリバリー・カテーテル12の使用を、図11Cに示すように平行なスカフォルド22、24でも、図11Dに示すように分岐したスカフォルド26でも利用することができる。単一又は一対の拡張可能構造16のみの送り込みが図示されているが、デリバリー・カテーテル12、12a又は12bは、その位置に残される複数の拡張可能構造をデリバリー・カテーテルのルーメンを通して送り込むための別個の膨張管とともに、一緒に使用することもできることが理解されよう。拡張可能構造の送り込みが完了した後、デリバリー・カテーテル12を、スカフォルド12、22、24又は26の外部から引き抜く。
【0038】
開放格子すなわち網状のスカフォルドを使用する上述のすべての展開プロトコルでは、拡張可能構造を動脈瘤空間内で拡張させることによって、動脈瘤空間内にある流体又は物質を、スカフォルドのルーメン内へと移動させることができることが理解されよう。このことは、動脈瘤嚢の過剰な加圧の危険を低減するので有利である。
【0039】
ここで図12を参照すると、密封システムのスカフォルドを早期展開した後に、動脈瘤嚢の空洞に経皮的にアクセスし充填するための、本発明のシステムの使用が説明される。以前の出願第11/413,460号に全般的に説明されている通り、二重壁の充填構造50を腹部大動脈瘤AAA内で展開することができ、その全開示は既に参照によって本明細書に援用されている。図12に示す腹部大動脈瘤AAAは非常に非対称であるので、充填構造50が完全に展開された後であっても空洞領域が残される場合がある。本発明は、動脈瘤の壁に形成された孔を通して導入される拡張可能構造52の経皮的な留置を提供する。二重壁の充填構造50と併せて示したが、拡張可能構造のそのような経皮的導入を、動脈瘤空間の周辺部に空洞が残されるときはいつでも、又はより一般的には、動脈瘤の初期治療後にそのような空洞が発生するときに、実施できることが理解されよう。拡張可能構造52はいずれかの膨張可能部材又は上述の他の部材とすることができ、一般的にはカニューレ54(図13)又は他の管状導入デバイスを使用して導入される。カニューレ54は、拡張可能構造52を抑制された構成で担持する。拡張可能構造52は、膨張管56又は拡張媒体を拡張可能構造に送り込むための他のデバイスと連結されている。孔は従来の胸腔鏡又は他の手法によって動脈瘤の壁に形成される。空洞へのアクセスがなされると、孔を通してカニューレを導入することができ、拡張可能構造52をカニューレの遠位端から外へ前進させる。拡張可能構造が定位置に置かれた後、これを膨張させ、又は他の方法で膨張管56を通して拡張させることができる。拡張可能構造が完全に拡張し、及び/又は空洞が完全に充填された後、膨張部材56を取り外し、拡張可能構造52を密封することができる。任意で、空洞領域全体が充填されるまで、カニューレを通して別の拡張可能構造を導入することができる。
【0040】
上記は本発明の好ましい実施形態の完全な説明であるが、様々な改変、修正及び等価物を使用することができる。したがって、上記の説明は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を制限するとみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】腹部大動脈瘤にわたって留置され、スカフォルドの周りに動脈瘤空間を形成する単一のスカフォルドを示す図である。
【図2A】本発明の原理による拡張可能構造を配置し拡張するための、本発明の原理によるデリバリー・カテーテルの使用を示す図である。
【図2B】本発明の原理による拡張可能構造を配置し拡張するための、本発明の原理によるデリバリー・カテーテルの使用を示す図である。
【図3】本発明の原理による複数の拡張可能構造を送り込むための単一のデリバリー・カテーテルの使用を示す図である。
【図4】本発明の原理による複数の拡張可能構造を送り込むための単一のデリバリー・カテーテルの使用を示す図である。
【図5】本発明の原理による複数の拡張可能構造を送り込むための一対のデリバリー・カテーテルの使用を示す図である。
【図6】別個の平行なスカフォルドを通して拡張可能構造を送り込むための一対のデリバリー・カテーテルの使用を示す図である。
【図7】単一の分岐したスカフォルドを通して拡張可能構造を送り込むための一対のデリバリー・カテーテルの使用を示す図である。
【図8】本発明の原理による例示的な拡張可能構造におけるバルブの配置を示す図である。
【図9】本発明の原理による展開されたスカフォルドを受けるための軸方向の溝又は窪みを有する拡張可能構造を示す図である。
【図10】本発明の原理による一対の拡張可能構造を押し出すためのデリバリー・カテーテルの使用を示す図である。
【図11】本発明の原理によるデリバリー・カテーテルがスカフォルドの一方の端部を通って留置されている、拡張可能構造の送り込みを示す図である。
【図12】本発明の原理による二重壁の充填可能なスカフォルドの周りの空洞領域を充填するための拡張可能構造の使用を示す図である。
【図13】本発明の原理による、経皮的に動脈瘤壁を通って拡張可能構造を展開するために使用することができるカニューレを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管の動脈瘤を治療するための方法であって、
スカフォルドの外面と動脈瘤壁の内面との間に動脈瘤空間を形成するように動脈瘤にわたってスカフォルドを留置するステップと、
動脈瘤空間の少なくとも一部分を充填するために、前記スカフォルドを通り過ぎ、又は通過し、あるいは動脈瘤壁を通過する拡張媒体を使用して、少なくとも1つの拡張可能構造を拡張させるステップとを含む方法。
【請求項2】
前記スカフォルドがベア・ステントを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステントが動脈瘤内でバルーン拡張可能式である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステントが動脈瘤内で自己拡張式である請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記スカフォルドが少なくとも一部が覆われたグラフトを含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記グラフトが動脈瘤内でバルーン拡張可能式である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記グラフトが動脈瘤内で自己拡張式である請求項5に記載の方法。
【請求項8】
動脈瘤が血管を取り囲み、前記スカフォルドが環状の動脈瘤空間を形成する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
動脈瘤が大動脈である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
動脈瘤が腹部大動脈にある請求項9に記載の方法。
【請求項11】
動脈瘤が胸部大動脈にある請求項9に記載の方法。
【請求項12】
拡張可能構造が環状の動脈瘤空間のほぼ全体を充填するように拡張される請求項8に記載の方法。
【請求項13】
留置するステップが、動脈瘤にわたって単一のスカフォルドを留置するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
血管が1つの主血管から2つの分枝血管へと分岐しており、
少なくとも2つの平行なスカフォルドが動脈瘤にわたって延び、少なくとも1つのスカフォルドが各分枝血管へと別個に延びている請求項1に記載の方法。
【請求項15】
留置するステップが、分岐したスカフォルドを主血管内に留置するステップを含み、分岐の一方の脚が主血管の各分枝内へと延びている請求項1に記載の方法。
【請求項16】
拡張するステップが、膨張可能構造を膨張媒体で膨張させるステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記膨張可能構造の少なくとも一部が弾性である請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記膨張可能構造の少なくとも一部が非弾性である請求項16に記載の方法。
【請求項19】
拡張するステップが、前記拡張可能構造を前記拡張媒体で押し出すステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項20】
拡張するステップが、少なくとも1つのデリバリー・カテーテルを前記スカフォルドの内部に配置し、前記デリバリー・カテーテルを通して前記拡張媒体を送り込むステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項21】
拡張するステップが、前記拡張媒体を送り込む前又は送り込むと同時に、前記デリバリー・カテーテルを通して前記拡張可能構造を送り込むステップをさらに含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
拡張するステップが、少なくとも1つのデリバリー・カテーテルを前記スカフォルドの一方の端部を過ぎて配置し、前記デリバリー・カテーテルを通して前記拡張媒体を送り込むステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項23】
拡張するステップが、前記拡張媒体を送り込む前に、前記デリバリー・カテーテルを通して前記拡張可能構造を送り込むステップをさらに含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
動脈瘤空間にアクセスするために外部から動脈瘤壁を穿孔するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項25】
カニューレが前記穿孔を通過し、前記拡張可能構造及び前記拡張媒体を前記カニューレを通して送り込むステップをさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項26】
拡張するステップが、少なくとも2つの拡張可能構造を拡張させるステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項27】
拡張するステップが、少なくとも5つの拡張可能構造を拡張させるステップを含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも2つの拡張可能構造が同時に拡張される請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも2つの拡張可能構造が順次拡張される請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記拡張媒体を送り込むために2つ以上のデリバリー・カテーテルが同時に配置される請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記拡張媒体を送り込むために2つ以上のデリバリー・カテーテルが順次配置される請求項1に記載の方法。
【請求項32】
動脈瘤にわたって前記スカフォルドを留置する前に、少なくとも1つの拡張可能構造が動脈瘤内に配置される請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1つの拡張可能構造を留置する前に、前記スカフォルドが動脈瘤にわたって留置される請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記拡張媒体が、流体、フォーム、ゲル、ポリマー又はガスを含む請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記拡張媒体が、前記拡張可能構造を拡張した後に硬化する請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記拡張媒体が粉末、ペレット又はコイルを含む請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記拡張可能構造が拡張されるとき、動脈瘤空間内での加圧を制御するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記加圧を制御するステップが、動脈瘤空間内の加圧が過剰な場合に前記拡張媒体を前記拡張可能構造から選択的に抜き取るステップをさらに含む請求項37に記載の方法。
【請求項39】
選択的に抜き取るステップが、前記拡張媒体を除去するために排出管又はルーメンを前記拡張可能構造に連結するステップを含む請求項38に記載の方法。
【請求項40】
加圧を制御するステップが、前記拡張可能構造が拡張されるとき動脈瘤空間から流体を抜き取るステップを含む請求項37に記載の方法。
【請求項41】
血管の動脈瘤を治療するためのシステムであって、
動脈瘤にわたって留置されるように適合されたスカフォルドと、
拡張媒体で拡張され、前記スカフォルドの外面と動脈瘤の内面との間の動脈瘤空間の少なくとも一部を充填するように適合された拡張可能構造と、
前記拡張可能構造が動脈瘤空間に配置されるとき、前記拡張媒体を前記拡張可能構造へ送り込むためのデリバリー・カテーテルとを含むシステム。
【請求項42】
前記スカフォルドがベア・ステントを含む請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記ステントがバルーン拡張可能式である請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記ステントが自己拡張式である請求項42に記載のシステム。
【請求項45】
前記スカフォルドが少なくとも一部が覆われたステントを含む請求項41に記載のシステム。
【請求項46】
前記グラフトがバルーン拡張可能式である請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
前記グラフトが自己拡張式である請求項45に記載のシステム。
【請求項48】
前記スカフォルドが前記デリバリー・カテーテルを受けるための窓を有する請求項41に記載のシステム。
【請求項49】
前記スカフォルドが腹部大動脈瘤又は胸部大動脈瘤を横断するように適合されている請求項41に記載のシステム。
【請求項50】
前記スカフォルドが、大動脈内にあるように適合された本体と、腸骨動脈に入るように適合された一対の脚を有する分岐したステントを含む請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
前記スカフォルドが、大動脈内で平行して、それぞれが腸骨動脈の一方へと配置されるように適合された一対のステントを含む請求項49に記載のシステム。
【請求項52】
前記拡張可能構造が膨張可能構造である請求項41に記載のシステム。
【請求項53】
前記膨張可能構造の少なくとも一部が弾性である請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
前記膨張可能構造の少なくとも一部が非弾性である請求項52に記載のシステム。
【請求項55】
前記膨張可能構造が、前記デリバリー・カテーテルに脱着可能に連結されるバルブを有する請求項52に記載のシステム。
【請求項56】
前記デリバリー・カテーテルから取り外されると、前記バルブが自己閉鎖する請求項55に記載のシステム。
【請求項57】
少なくとも2つの拡張可能構造を含む請求項41に記載のシステム。
【請求項58】
少なくとも5つの拡張可能構造を含む請求項57に記載のシステム。
【請求項59】
前記拡張可能構造が前記スカフォルドの周りに一致するように適合された請求項41に記載のシステム。
【請求項60】
前記拡張可能構造が前記スカフォルドを受けるための溝を有する請求項59に記載のシステム。
【請求項61】
動脈瘤空間にアクセスし、前記拡張可能構造及び前記デリバリー・カテーテルを動脈瘤空間へと送り込むために、外部から動脈瘤を穿孔するためのカニューレをさらに含む請求項41に記載のシステム。
【請求項62】
前記スカフォルドが、埋め込み後に前記スカフォルドから溶出する薬剤を担持する請求項1に記載の方法。
【請求項63】
前記スカフォルドが、埋め込み後に前記スカフォルドから溶出する薬剤を担持する請求項41に記載のシステム。
【請求項1】
血管の動脈瘤を治療するための方法であって、
スカフォルドの外面と動脈瘤壁の内面との間に動脈瘤空間を形成するように動脈瘤にわたってスカフォルドを留置するステップと、
動脈瘤空間の少なくとも一部分を充填するために、前記スカフォルドを通り過ぎ、又は通過し、あるいは動脈瘤壁を通過する拡張媒体を使用して、少なくとも1つの拡張可能構造を拡張させるステップとを含む方法。
【請求項2】
前記スカフォルドがベア・ステントを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステントが動脈瘤内でバルーン拡張可能式である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステントが動脈瘤内で自己拡張式である請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記スカフォルドが少なくとも一部が覆われたグラフトを含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記グラフトが動脈瘤内でバルーン拡張可能式である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記グラフトが動脈瘤内で自己拡張式である請求項5に記載の方法。
【請求項8】
動脈瘤が血管を取り囲み、前記スカフォルドが環状の動脈瘤空間を形成する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
動脈瘤が大動脈である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
動脈瘤が腹部大動脈にある請求項9に記載の方法。
【請求項11】
動脈瘤が胸部大動脈にある請求項9に記載の方法。
【請求項12】
拡張可能構造が環状の動脈瘤空間のほぼ全体を充填するように拡張される請求項8に記載の方法。
【請求項13】
留置するステップが、動脈瘤にわたって単一のスカフォルドを留置するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
血管が1つの主血管から2つの分枝血管へと分岐しており、
少なくとも2つの平行なスカフォルドが動脈瘤にわたって延び、少なくとも1つのスカフォルドが各分枝血管へと別個に延びている請求項1に記載の方法。
【請求項15】
留置するステップが、分岐したスカフォルドを主血管内に留置するステップを含み、分岐の一方の脚が主血管の各分枝内へと延びている請求項1に記載の方法。
【請求項16】
拡張するステップが、膨張可能構造を膨張媒体で膨張させるステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記膨張可能構造の少なくとも一部が弾性である請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記膨張可能構造の少なくとも一部が非弾性である請求項16に記載の方法。
【請求項19】
拡張するステップが、前記拡張可能構造を前記拡張媒体で押し出すステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項20】
拡張するステップが、少なくとも1つのデリバリー・カテーテルを前記スカフォルドの内部に配置し、前記デリバリー・カテーテルを通して前記拡張媒体を送り込むステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項21】
拡張するステップが、前記拡張媒体を送り込む前又は送り込むと同時に、前記デリバリー・カテーテルを通して前記拡張可能構造を送り込むステップをさらに含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
拡張するステップが、少なくとも1つのデリバリー・カテーテルを前記スカフォルドの一方の端部を過ぎて配置し、前記デリバリー・カテーテルを通して前記拡張媒体を送り込むステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項23】
拡張するステップが、前記拡張媒体を送り込む前に、前記デリバリー・カテーテルを通して前記拡張可能構造を送り込むステップをさらに含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
動脈瘤空間にアクセスするために外部から動脈瘤壁を穿孔するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項25】
カニューレが前記穿孔を通過し、前記拡張可能構造及び前記拡張媒体を前記カニューレを通して送り込むステップをさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項26】
拡張するステップが、少なくとも2つの拡張可能構造を拡張させるステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項27】
拡張するステップが、少なくとも5つの拡張可能構造を拡張させるステップを含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも2つの拡張可能構造が同時に拡張される請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも2つの拡張可能構造が順次拡張される請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記拡張媒体を送り込むために2つ以上のデリバリー・カテーテルが同時に配置される請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記拡張媒体を送り込むために2つ以上のデリバリー・カテーテルが順次配置される請求項1に記載の方法。
【請求項32】
動脈瘤にわたって前記スカフォルドを留置する前に、少なくとも1つの拡張可能構造が動脈瘤内に配置される請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1つの拡張可能構造を留置する前に、前記スカフォルドが動脈瘤にわたって留置される請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記拡張媒体が、流体、フォーム、ゲル、ポリマー又はガスを含む請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記拡張媒体が、前記拡張可能構造を拡張した後に硬化する請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記拡張媒体が粉末、ペレット又はコイルを含む請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記拡張可能構造が拡張されるとき、動脈瘤空間内での加圧を制御するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記加圧を制御するステップが、動脈瘤空間内の加圧が過剰な場合に前記拡張媒体を前記拡張可能構造から選択的に抜き取るステップをさらに含む請求項37に記載の方法。
【請求項39】
選択的に抜き取るステップが、前記拡張媒体を除去するために排出管又はルーメンを前記拡張可能構造に連結するステップを含む請求項38に記載の方法。
【請求項40】
加圧を制御するステップが、前記拡張可能構造が拡張されるとき動脈瘤空間から流体を抜き取るステップを含む請求項37に記載の方法。
【請求項41】
血管の動脈瘤を治療するためのシステムであって、
動脈瘤にわたって留置されるように適合されたスカフォルドと、
拡張媒体で拡張され、前記スカフォルドの外面と動脈瘤の内面との間の動脈瘤空間の少なくとも一部を充填するように適合された拡張可能構造と、
前記拡張可能構造が動脈瘤空間に配置されるとき、前記拡張媒体を前記拡張可能構造へ送り込むためのデリバリー・カテーテルとを含むシステム。
【請求項42】
前記スカフォルドがベア・ステントを含む請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記ステントがバルーン拡張可能式である請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記ステントが自己拡張式である請求項42に記載のシステム。
【請求項45】
前記スカフォルドが少なくとも一部が覆われたステントを含む請求項41に記載のシステム。
【請求項46】
前記グラフトがバルーン拡張可能式である請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
前記グラフトが自己拡張式である請求項45に記載のシステム。
【請求項48】
前記スカフォルドが前記デリバリー・カテーテルを受けるための窓を有する請求項41に記載のシステム。
【請求項49】
前記スカフォルドが腹部大動脈瘤又は胸部大動脈瘤を横断するように適合されている請求項41に記載のシステム。
【請求項50】
前記スカフォルドが、大動脈内にあるように適合された本体と、腸骨動脈に入るように適合された一対の脚を有する分岐したステントを含む請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
前記スカフォルドが、大動脈内で平行して、それぞれが腸骨動脈の一方へと配置されるように適合された一対のステントを含む請求項49に記載のシステム。
【請求項52】
前記拡張可能構造が膨張可能構造である請求項41に記載のシステム。
【請求項53】
前記膨張可能構造の少なくとも一部が弾性である請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
前記膨張可能構造の少なくとも一部が非弾性である請求項52に記載のシステム。
【請求項55】
前記膨張可能構造が、前記デリバリー・カテーテルに脱着可能に連結されるバルブを有する請求項52に記載のシステム。
【請求項56】
前記デリバリー・カテーテルから取り外されると、前記バルブが自己閉鎖する請求項55に記載のシステム。
【請求項57】
少なくとも2つの拡張可能構造を含む請求項41に記載のシステム。
【請求項58】
少なくとも5つの拡張可能構造を含む請求項57に記載のシステム。
【請求項59】
前記拡張可能構造が前記スカフォルドの周りに一致するように適合された請求項41に記載のシステム。
【請求項60】
前記拡張可能構造が前記スカフォルドを受けるための溝を有する請求項59に記載のシステム。
【請求項61】
動脈瘤空間にアクセスし、前記拡張可能構造及び前記デリバリー・カテーテルを動脈瘤空間へと送り込むために、外部から動脈瘤を穿孔するためのカニューレをさらに含む請求項41に記載のシステム。
【請求項62】
前記スカフォルドが、埋め込み後に前記スカフォルドから溶出する薬剤を担持する請求項1に記載の方法。
【請求項63】
前記スカフォルドが、埋め込み後に前記スカフォルドから溶出する薬剤を担持する請求項41に記載のシステム。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12】
【図13】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2009−521287(P2009−521287A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547709(P2008−547709)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/062257
【国際公開番号】WO2007/092103
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(506426133)ネリックス・インコーポレーテッド (9)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/062257
【国際公開番号】WO2007/092103
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(506426133)ネリックス・インコーポレーテッド (9)
【Fターム(参考)】
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