説明

充填装置及び充填装置のケーシング切れ検出装置

【課題】本願発明の目的は、充填装置の運転中のケーシング切れを検出する検出装置の取り付け箇所の自由度を高めて原料付着を防いで検出不能を防止するとともに、特別な支持手段を不要にし、且つケーシング切れ後の次の運転までの時間を短縮することである。
【解決手段】吐出口42からケーシング43内に充填物を吐出する充填ノズル40と、前記充填ノズル40に充填物を供給する充填ポンプ30と、未だ充填されていない収縮した状態のケーシングの後端部44aを前記充填ノズル40の吐出口42方向に押すケーシング押し装置80と、前記ケーシング押し装置80の移動途中の停止を検出する移動停止検出手段(ケーシング切れ検出装置)100と、を有し、前記ケーシング押し装置80が移動途中で停止した場合、前記移動停止検出手段100により前記ケーシング押し装置80の前記移動途中の停止を検出し、前記充填ポンプ30を停止する構成

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ソーセージや魚の飼料等を製造する充填装置における原料充填時のケーシング切れを間接的に検出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ソーセージ製品は、充填物である肉等の原料をセルロースケーシング・コラーゲンケーシング等の人工ケーシングや、羊腸、豚腸等の動物の腸のケーシング内に充填することによって製造される。また、養殖マグロの餌として、コラーゲンケーシングに原料を充填したソーセージ状配合飼料が製造されている。
【0003】
図19に従来の充填装置を示す。充填装置1は、例えば充填物である肉等の原料をケーシング2に送る充填ノズル3、原料を充填ノズル3に送る充填ポンプ4、充填ノズル3を回転する充填ノズル回転手段5、ケーシング2と係合する制動機構6、及び原料が充填された充填ケーシング7を前方(充填ノズル3と反対側)に送り狭窄するピンチャー装置8等を有している。
【0004】
そして、充填ポンプ4から充填ノズル3内に原料を送り、充填ノズル3の外周に装着した収縮ケーシング2を充填ノズル3及び制動機構6とともに回転させつつ、充填ノズル3内の原料を前方に引き出され引き伸ばされたケーシング内に充填し、原料が充填された充填ケーシング7をピンチャー装置8により狭窄するとともに、その狭窄部に充填ノズル3等の回動により捻りを形成して、ソーセージ製品等を製造している。
【0005】
なお、収縮ケーシング2の後端部2aは、ケーシング押し9により前方に押されている。そして、収縮ケーシング2の後端部2aの終端を光センサ10で検出し、光センサ10が終端を検出すると充填装置1は停止される(特許文献1参照)。
【0006】
ところで、人工ケーシング或いは動物腸の天然腸ケーシングは、収縮状態に形成され、その収縮状態で充填ノズルの外周上に装着され、充填時にピンチャー装置によって引き伸ばされ、内部に充填物である原料が充填される。そのため、ケーシングを引き伸ばした時等にケーシングにわずかでも傷が付くと、原料の充填時にその傷が広がりケーシングが破裂して切れることがある。
【0007】
充填装置は、自動運転される場合が多く、原料の充填時にケーシングが切れると、原料を送る充填ポンプを停止しない限り原料は、充填ノズルの吐出口から排出し続け、ピンチャー装置に衝突し周りに飛び散ることになる。特に、自動運転の場合、オペレータがケーシング切れに気付き、停止スイッチを押すことになるが、オペレータが充填装置から離れている時間が多くなりどうしても気付くのが遅れがちになる。気付くのが遅れるとそれだけ多くの原料が外部に排出されて無駄になるとともに、排出された原料を片づける手間も要し、それだけ生産効率が低下する。
【0008】
また、手動運転の場合、オペレータは、ケーシング切れをより早く気付くことができ、停止スイッチを素早く押すことができるが、気付いて停止スイッチを押すまでの間に原料は外部に排出され続け、それだけ原料が無駄になるとともに、排出された原料を片づける手間も必要になり、やはり生産効率が低下するという問題を有している。
【0009】
このような問題を解決するものとして、例えば、以下の特許文献2に記載されたものが知られている。このものは、充填ノズルの前方の上方に光学式の視覚センサ17を設け、この視覚センサ17により充填ケーシングを監視し、ケーシングが破れて原料が飛び出した場合にそれを検出して充填装置を停止するものである。
【0010】
また、例えば、以下の特許文献3に記載されたものが知られている。このものは、充填ノズルの前方のピンチャー装置の上方に光学式或いは機械式のセンサ34を設け、このセンサ34により充填ケーシングの径の均一性を監視し、ケーシング径の異常を検出した場合に充填装置を停止するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第3723656号公報
【特許文献2】実公平6−29989号公報
【特許文献3】特表2004−524008号公報
【特許文献4】特開平8−103206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記特許文献2に記載されたものは、充填ノズルの吐出口の上方にセンサを設け、直接的にケーシングの破裂を検出するものである。ところで、充填ノズルの吐出口の上方は、センサの設置場所が確保し難く、また、例えセンサの設置場所を確保できたとしても例えばL字状等からなる専用のセンサ支持手段を設け、その支持手段に取り付ける必要が生じるため、その分生産コストが高騰する。
【0013】
また、充填ノズルの吐出口近傍は、充填ノズルへの新しいケーシングのセット時にオペレータによる作業が行われたりする箇所であり、オペレータの手等に付着していた原料等が飛び散る恐れが大である。即ち、上記特許文献2に記載されたものは、充填作業中、或いは新しいケーシングのセット時等にセンサ検出部に原料等が付着してセンサが検出不能になる恐れを有している。
【0014】
更に、上記特許文献2に記載されたものは、ケーシングが破裂して原料が飛び散った場合、センサに原料が付着する恐れが大であり、新しいケーシングを装着して次の運転を開始する前に、センサ周りの掃除が必須となり、それだけ次の運転までに時間を要するため、生産効率が低下するという問題も有している。
【0015】
上記特許文献3に記載されたものもほぼ同様の問題を有している。即ち、上記特許文献3に記載されたものは、充填ノズルの前方のピンチャー装置の上方にセンサを設け、直接的にケーシングの破裂等を検出するものであり、カバー26に取り付けているが、その取付けには専用のセンサ支持手段が必要になり、その分生産コストが高騰する。
【0016】
また、上記したようにピンチャー装置の周辺は原料等が飛び散る恐れが大きい箇所であり、上記特許文献3に記載されたものも、充填作業中にセンサに原料等が付着して検出不能になる恐れを有している。
【0017】
更に、上記特許文献3に記載されたものは、上記特許文献2のものと同様にケーシングが破裂して原料が飛び散った場合、新しいケーシングを装着して次の運転を開始する前に、センサ周りの掃除が必須となり、それだけ次の運転までに時間を要するため、生産効率が低下するという問題も有している。
【0018】
上記特許文献4に記載されたものは、充填ノズル3の吐出口より若干後方の一枚状態にされるケーシングの外周に回転ローラ15を設けるとともに、この回転ローラ15の上方にセンサー16を設け、このセンサー16で回転ローラ15の回転を検出することによりケーシング切れを間接的に検出するものである。
【0019】
しかしながら、特許文献4に記載されるものも、引用文献2及び引用文献3のものと同様に、センサー16を充填ノズル3の吐出口に設けるものであり、その取付け箇所に制約を受けるとともに、特別な取付手段が必要になりそれだけ生産コストが高騰する。更には、原料等によりセンサーの検出部が汚れて検出が困難になる恐れを有している。
【0020】
本願発明の目的は、上記従来の問題を改善すること、即ち、充填装置の運転中のケーシング切れを検出する検出装置の取り付け箇所の自由度を高めて原料付着を防いで検出不能を防止するとともに、特別な支持手段を不要にし、且つケーシング切れ後の次の運転までの時間を短縮することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本願発明の特徴とするところは、以下の点にある。
【0022】
請求項1に係る発明は、吐出口からケーシング内に充填物を吐出する充填ノズルと、前記充填ノズルに充填物を供給する充填ポンプと、未だ充填されていない収縮した状態のケーシングの後端部を前記充填ノズルの吐出口方向に押すケーシング押し装置と、前記ケーシング押し装置の移動途中の停止を検出する移動停止検出手段と、を有し、前記ケーシング押し装置が移動途中で停止した場合、前記移動停止検出手段により前記ケーシング押し装置の停止を検出し、前記充填ポンプを停止する構成を特徴とする。
【0023】
即ち、前記移動停止検出手段は、ケーシング切れを間接的に検出するものである。なお、前記移動停止検出手段は、ケーシング切れのみではなく、例えば、ピンチャー装置が運転中に故障して停止した場合も間接的に検出することができる。
【0024】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成に加え、前記ケーシング押し装置は、シリンダー、ピストン及びロッドを有する流体シリンダーと、ケーシング押しとを有してなる構成を特徴とする。
【0025】
請求項3に係る発明は、請求項2の構成に加え、前記移動停止検出手段は、前記シリンダーに供給される流体の流量を検出するものである構成を特徴とする。
【0026】
請求項4に係る発明は、請求項2の構成に加え、前記移動停止検出手段は、前記シリンダーに供給される流体の圧力を検出するものである構成を特徴とする。
【0027】
請求項5に係る発明は、請求項2の構成に加え、前記移動停止検出手段は、前記ロッドの動きを検出するものである構成を特徴とする。
【0028】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項の構成に加え、前記充填ポンプを停止する前記移動停止検出手段による検出時は、前記ケーシング押し装置が移動途中で所定時間継続して停止する時である構成を特徴とする。
【0029】
請求項7に係る発明は、吐出口からケーシング内に充填物を吐出する充填ノズルと、前記充填ノズルに充填物を供給する充填ポンプと、未だ充填されていない収縮した状態のケーシングの後端部を前記充填ノズルの吐出口方向に押すケーシング押し装置と、を備えた充填装置のケーシング切れ検出装置であって、前記ケーシング切れ検出装置は、前記ケーシング押し装置が移動途中で停止した場合、前記ケーシング押し装置の移動途中の停止を検出する移動停止検出手段からなる構成を特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
ところで、充填装置の運転中にケーシングが破裂しケーシング切れが生じると、充填ノズル外周上の未だ充填されていない充填ノズルの長手方向に収縮したジャバラ状のケーシング(以下、収縮ケーシングという。)は、それ以上引き出されなくなり、収縮ケーシングの前端部が制動部材に当接する形態でその位置に留まることになる。すると、ケーシング押し装置が収縮ケーシングの後端部を押してもそれ以上押すことができなくなり、ケーシング押し装置もその位置に留まることになる。
【0031】
本願発明は、ケーシング切れに起因したケーシング押し装置の停止を、移動停止検出手段、例えば、エアシリンダー内に流れるエアの流量(ケーシング押し装置が停止するとエア流量はほぼ零になる)を検出する流量センサーとか、或いは、エアシリンダー内のエアの圧力(ケーシング押し装置が停止するとエア圧力が上昇する)を検出する圧力センサーとか、或いは、ケーシング押しを押すロッドの動き(ケーシング押し装置が停止するとロッドは停止する)を検出するリニアエンコーダーにより検出し、少なくとも充填ポンプ、或いはピンチャー装置、充填ノズル、制動部材、エアシリンダー及び充填ポンプの全て(以下、「少なくとも充填ポンプ」と「ピンチャー装置、充填ノズル、制動部材、エアシリンダー及び充填ポンプの全て」とを充填ポンプ等という。)を停止することにより、外部に排出される原料の量を最小限に抑えることができる。
【0032】
また、外部に排出される原料の量を最小限に抑えることができるため、ケーシング切れ後の次の運転までの時間を短縮することができ、生産効率の低下を最小限に抑えることができる。
【0033】
更に、移動停止検出手段は、エアシリンダーに連通するエア通路に設けることができるため、取付け箇所の自由度を高めることができる。更に、現状の装置に市販の流量センサー、圧力センサー及びリニアエンコーダーを簡単な取付手段で取り付けることができるため、生産コストの高騰を抑えることができる。更に、例えケーシング切れが生じたとしても移動停止検出手段は、充填ノズルの吐出口近傍ではなく、充填ノズルの吐出口近傍から後方側に遠く離れた箇所に設けており(実施例のように更にボックス内に設けることもできる。)、飛び出た原料が付着することはほとんどないため(実施例のようにボックス内に設ければ付着は全くなくなる。)、ケーシング切れ後の次の運転までの時間をより短縮することができる。
【0034】
ところで、ケーシング押し装置は、移動途中の動きは連続的であるが、例えば収縮ケーシングの長さの減少速度にばらつきが生じると、ケーシング押し装置が一瞬止まりその後動き出すという断続的動きをする場合がある。このような断続的動きをする場合(勿論ケーシング切れが生じていない場合)、移動停止検出手段がケーシング押し装置の一瞬の停止を検出(即ち誤検出)し、制御装置が充填ポンプ等を停止することになると、充填ポンプ等を停止する分生産効率が低下することになる。
【0035】
他の発明は、移動停止検出手段がケーシング押し装置の所定時間継続した停止を検出した場合に制御装置が充填ポンプ等を停止するものであり、上記のような生産効率の低下を防止することができる。
【0036】
更に、他の発明である充填装置のケーシング切れ検出装置は、ケーシング切れに起因した収縮ケーシング移動の停止をケーシング押し装置の移動停止を検出することによって、ケーシング切れを間接的に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】充填装置の正面図
【図2】ピンチャー装置及びボックスを除いた充填装置の平面図
【図3】更に充填ノズル及び充填ノズル用エアシリンダーを除いた図2に相当する平面図
【図4】充填ノズルの吐出口近傍を拡大した断面正面図
【図5】図4を上から見た断面図
【図6】ケーシング押し用エアシリンダーに移動停止検出手段を取り付けた初期状態時の概略断面図
【図7】ケーシング押し用エアシリンダーに移動停止検出手段を取り付けた移動時の概略断面図
【図8】ケーシング押し用エアシリンダーに移動停止検出手段を取り付けた停止時の概略断面図
【図9】ケーシング押し用エアシリンダーに他の移動停止検出手段を取り付けた初期状態時の概略断面図
【図10】ケーシング押し用エアシリンダーに他の移動停止検出手段を取り付けた移動時の概略断面図
【図11】ケーシング押し用エアシリンダーに他の移動停止検出手段を取り付けた停止時の概略断面図
【図12】ケーシング押し用エアシリンダーに更に他の移動停止検出手段を取り付けた初期状態時の概略断面図
【図13】ケーシング押し用エアシリンダーに更に他の移動停止検出手段を取り付けた移動時の概略断面図
【図14】ケーシング押し用エアシリンダーに更に他の移動停止検出手段を取り付けた停止時の概略断面図
【図15】ケーシング押し用エアシリンダーとケーシング押しとの取り付けを説明する図
【図16】制御装置による移動停止検出手段の制御フローを説明するフローチャート
【図17】制御装置による更に他の移動停止検出手段の制御フローを説明するフローチャート
【図18】制御装置による移動停止検出手段の他の制御フローを説明するフローチャート
【図19】従来の充填装置の平面図
【実施例】
【0038】
以下、図を参照して本願発明の実施例について説明する。なお、図1においてケーシング押し用エアシリンダー82側を後方側とし、ピンチャー装置70側を前方側とする。
【0039】
充填装置20は、箱状のケース部材21を有している。ケース部材21はその底部に脚22及びストッパ23が設けられる移動可能なもので、その上面の架台24には、充填装置20を構成する充填ポンプ30、充填ノズル40、制動機構56及びピンチャー装置70等が取り付けられている。
【0040】
充填ポンプ30は、充填物である肉等の原料を充填ノズル40に供給するものである。その駆動機構である変速可能な充填ポンプ用モーター31、ベルト32及び電磁クラッチ33等が、架台24の下のケース部材21内に設けられており、充填ポンプ30には、充填ポンプ用モーター31の回転がベルト32及び電磁クラッチ33を介して伝達される。そして、そのポンプ供給量は可変可能にされている。
【0041】
また、ケース部材21の左側の領域には制御ボックス25が設けられる。その内部には演算処理装置及びメモリ等を有する制御装置25Aが収納されている。そして、制御装置25Aは、充填装置20が有する充填ポンプ30、充填ノズル40、制動機構56及びピンチャー装置70等の駆動機構を制御するとともに、ケーシング切れ検出装置である後記移動停止検出手段100の信号を受けて充填ポンプ30等を停止させる。
【0042】
充填ポンプ30は、原料を収納する充填ブロック34を有しており、充填ノズル40の外周に設けられる開口40a(図2参照)がこの充填ブロック34内に位置すると、原料を充填ノズル40内に供給する。
【0043】
充填ノズル40は、丸パイプ状の直管部材であり、水平に設置され、その一端は回転継手41を介して充填ノズル40の駆動機構である充填ノズル用エアシリンダー45に連結されるとともに、その他端には吐出口42が形成されており、充填ポンプ30から押し出された原料を、充填ノズル40の外周上に装着される収縮ケーシング43の前方の一枚状ケーシング43aの前端部内に供給する。
【0044】
そして、この収縮ケーシング43の前端部44bは、吐出口42近傍の充填ノズル40の外周面上で前方に引き出され引き伸ばされて一枚状ケーシング43aになり、この一枚状ケーシング43a内の前方に原料が充填されて充填ケーシング43bになる。
【0045】
収縮ケーシング43は、この実施例の場合は人工ケーシングを用いている。人工ケーシングは、セルロースケーシングまたはコラーゲンケーシング等からなる長尺チューブ体をその軸方向に沿ってひだ状に折り畳んで圧縮した中空のひだ付ケーシングスティックであり、その一端側は開放され、その他端側は閉鎖されており、開放された側から充填ノズル40に装着されることになる。
【0046】
前記充填ノズル用エアシリンダー45は、図2に示すように、シリンダー45a、シリンダー45a内を摺動するピストン45b及びピストン45bに連結されるロッド45cを有している。そして、ロッド45cの他端は、外部に伸び前記回転継手41の充填ノズル40が連結される反対側に連結される。そのため、充填ノズル40は、充填ノズル用エアシリンダー45により前後方向に押され、且つ後記の回転用モーター48により回動される。
【0047】
また、充填ノズル用エアシリンダー45には、磁気近接スイッチである第1リードスイッチ46a及び第2リードスイッチ46bがシリンダー45aの外周面の左右端部に設けられている。また、シリンダー45aの左右端部近傍には、エアを導入したり排出したりするための第1通路47a及び第2通路47bが連通されており、エアコンプレッサ47cのエアが電磁弁47d及び第1通路47a或いは第2通路47bを介してシリンダー45a内に供給されている。
【0048】
エアコンプレッサ47cが駆動され、電磁弁47dを介して第1通路47aより充填ノズル用エアシリンダー45内にエアが供給されると、充填ノズル40はピンチャー装置70側に押し出される。そして、ピストン45bがシリンダー45aの右端部の位置に至ってそこで停止すると第2リードスイッチ46bは信号を発する。制御装置25Aはその信号を受け、ケーシングへの充填を開始させる。
【0049】
そして、収縮ケーシング43への充填が終了したり、或いはケーシング切れが生じて後記移動停止検出手段100がケーシング押し装置80の移動停止を検出した場合、充填ノズル用エアシリンダー45のピストン45bは、第1リードスイッチ46aの位置、即ち、充填ノズル40に収縮ケーシング43を装着するための初期位置まで戻り、その位置で停止することになる。
【0050】
充填ノズル40は、架台24の下のケース部材21内に設けられる変速可能な回転用モーター48、電磁クラッチ49、ベルト50及び回転プーリー51(図2参照)等からなる駆動機構により適宜回転数で回転可能にされている。
【0051】
架台24上には、前記回転プーリー51を回転自在に収納する第1ハウジング52が設けられており、回転用モーター48の回転は、電磁クラッチ49及びベルト50を介して第1ハウジング52内の回転プーリー51に伝達される。
【0052】
前記回転プーリー51には、第1クラッチ爪53(図2参照)が設けられている。また充填ノズル40の外周上には、前記第1クラッチ爪53と係合可能な第2クラッチ爪54(図2参照)が設けられている。そして、充填ノズル用エアシリンダー45によって充填ノズル40が図4の充填位置に押し出されると第1クラッチ爪53と第2クラッチ爪54とが係合し、回転プーリー51の回転が充填ノズル40に伝達される。
【0053】
架台24上には、更に第2ハウジング55が設けられる。この第2ハウジング55内には、一枚状ケーシング43aを充填ノズル40の外周方向に押圧する制動機構56が設けられる。図4及び図5に示すように制動機構56は、プーリー57及び制動部材58を有している。
【0054】
前記プーリー57は、軸受57aによって回転可能に保持され、このプーリー57の中央開口内には制動部材58が挿入されている。そしてプーリー57に制動部材58が挿入されると、両部材57、58は、ピン57bによりそれぞれの回動が規制され共回りする。
【0055】
前記制動部材58は、中央に丸い開口を有する筒状の部材で、その開口の内周面には軸方向に伸びた複数のリブ状突起58aが等間隔で放射状に伸びている。そして、その複数のリブ状突起58aの開口の内径は充填ノズル40の外径よりも大径とされており、その複数のリブ状突起58aと充填ノズル40の外周との間で引き伸ばされた一枚状ケーシング43aが形成されることになる。テーパ開口部58bは、収縮ケーシング43の前端部44bの当接を受けて、前端部44bの位置を規定する。
【0056】
前記回転用モーター48は両軸タイプのもので、一方の軸は上述したように前記回転プーリー51を回動させ、他方の軸は前記プーリー57を回動させものであり、プーリー57の回動は、プーリー57に巻掛けられるベルト59を介して行われる。そしてこのプーリー57の回動は、制動部材58を介して引き伸ばされた一枚状ケーシング43aと前端部44bに伝えられ、充填ノズル40の回動との協働により、充填ノズル40の吐出口42の前方で充填ケーシング43bに捻りを与えることになる。
【0057】
ピンチャー装置70は、原料が充填された充填ケーシング43bを狭窄して充填ノズル40の前方へ搬送するものである。ピンチャー装置70は、図5に示すように一対の巻掛伝動手段71、71を平行に配置してなるもので、それぞれの巻掛伝動手段71、71は、駆動軸72と、従動軸73(図1参照)と、駆動軸72と従動軸73との間に巻回されるチェーン74を有するとともに、チェーン74には複数個のラグ75と複数個のピンチャー部材76を有している。
【0058】
なお、前記ラグ75は充填ケーシング43bの外周を挟み込む部材であり、前記ピンチャー部材76は、充填ケーシング43bを狭窄し端部を形成するとともに、その端部に捻りを生じさせるための断面略V字状の部材である。また、ピンチャー装置70は、回転数が可変可能なピンチャー用モーター77により所望回転数で運転されている。
【0059】
そして、平行に配置される一対の巻掛伝動手段71、71が回転すると、それぞれの巻掛伝動手段71、71の複数個のラグ75は、充填ケーシング43bを挟み込む形態で前方側に進み、それぞれの巻掛伝動手段71、71の複数個のピンチャー部材76は、充填ケーシング43bを狭窄し端部を形成する。その結果、充填ノズル40及び制動機構56の回転によりその狭窄箇所に捻り部が形成される。
【0060】
ケーシング押し装置80は、充填ノズル40の外周上に装着された収縮ケーシング43の後端部44aを前方(吐出口42側)に押すことにより、収縮ケーシング43の前端部44bを制動部材58のテーパ開口部58bに当接させて、制動部材58の回動によって収縮ケーシング43に回転力を与える。
【0061】
ケーシング押し装置80は、ケーシング押し81と、ケーシング押し81の駆動機構であるケーシング押し用エアシリンダー82を有してなる(図3参照)。前記ケーシング押し81は、図15に示すように中央に充填ノズル40の外径より大きい内径の中央開口81aを有する幅の小さい円柱状のもので、その外周に後記L字状部材86の先端の係合爪87、87が係合するリング溝81bを有している。ケーシング押し81の中央開口81aを充填ノズル40の外周上に装着してケーシング押し81をセットすると、ケーシング押し81は、収縮ケーシング43の後端部44aに当接して矢印で示すように収縮ケーシング43を前方(ピンチャー装置70側)に押すことになる(図15(C)参照)。
【0062】
前記ケーシング押し用エアシリンダー82は、充填ノズル用エアシリンダー45とほぼ同様なもので、図3及び図6に示すようにシリンダー83と、ピストン84及びロッド85を有している。前記シリンダー83は、内部空間83aを有する細長い密閉された筒状部材であり、その内部空間83aにピストン84が摺動自在に配置され、ピストン84により内部空間は、左室83bと右室83cとに密閉状態で区画されている。
【0063】
前記ロッド85は、その一端がピストン84に連結し、その他端は内部空間83aを軸方向に伸びてシリンダー83の端部から外部に突出している。
【0064】
前記ロッド85の先端部には、先端が上方に折れ曲がったL字状部材86が着脱自在に螺合されている。このL字状部材86の上方折れ曲がった折曲部86aには、断面L字状の2個の係合爪87、87がそれぞれの先端部を対向する形態で上下に設けられている。
【0065】
L字状部材86をロッド85の先端部に着脱自在に螺合する理由は、収縮ケーシング43には大小いろいろな種類があり、ケーシング押し81及びL字状部材86もケーシングのいろいろな種類に対応するものを用いる必要があるためである。このような構造にすることにより大小いろいろな種類の収縮ケーシング43を用いることができるようになり、充填装置20の利便性を高めることができる。なお、ロッド85とL字状部材86は一体化された一本のものであってもよい。
【0066】
L字状部材86の係合爪87、87は、ケーシング押し81のリング溝81bに係合する部分であり、その係合について図15により説明する。図15(A)に係合爪87、87とリング溝81bの係合前の状態を示し、この状態において、断面略コ字状の係合爪87、87に対して横方向(図の紙面に直交する方向)よりケーシング押し81をスライドさせ、図15(B)に示すように係合爪87、87の先端にリング溝81bを係合する。
【0067】
次いで、図15(C)に示すようにケーシング押し81の中央開口81aに充填ノズル40を装着する。ケーシング押し用エアシリンダー82が駆動されるとケーシング押し81は収縮ケーシング43の後端部44aに当接し、収縮ケーシング43を前方に押すことになる。
【0068】
ケーシング押し装置80のピストン84とケーシング押し81とは所定距離離れて同時に動くことになり、ピストン84の動きについて説明する。ピストン84は、ケーシング押し用エアシリンダー82が駆動する前は図6に示すようにシリンダー83の左端近傍位置にある(以下、初期位置という。)。
【0069】
充填装置20が駆動すると、先ず充填ノズル用エアシリンダー45が作動し、充填ノズル40が充填開始直前位置に到達すると、次にケーシング押し用エアシリンダー82が作動するようにされており、ピストン84は前方に移動し、ケーシング押し81は、移動開始直後或いは移動途中で収縮ケーシング43の後端部44aに当接し、ついには、収縮ケーシング43の全てが引き出され収縮ケーシング43をこれ以上押す必要のない位置(以下、最終位置という。)に至る。
【0070】
そして、収縮ケーシング43への充填が終了したり、或いはケーシング切れが生じて後記移動停止検出手段100がケーシング押し装置80の移動停止を検出した場合、充填ノズル40と同時或いは若干遅れて前記初期位置まで戻り、その位置で停止する。
【0071】
また、図6に示すように前記内部空間83aの左室83b及び右室83cには、それぞれ第1通路88及び第2通路89が連通している。特に、第1通路88には、流体の圧力を調節するレギュレータR、ゲージ90及び電磁弁47dが設けられる。そして、充填ノズル用エアシリンダ45の第2リードスイッチ46bが発信すると、電磁弁47bが切り替わりエアコンプレッサ47cから電磁弁47d及びレギュレータRを介して所定の圧の流体、即ちエアが左室83bに供給され、ピストン84及びケーシング押し81は、前記初期位置より右側、即ち前方側に押されることになる。なお、供給する流体はなんでもよいがこの例ではエアを用いている。
【0072】
充填ノズル用エアシリンダー45とケーシング押し用エアシリンダー82とは、図1に示すように充填ノズル用エアシリンダー45が上になる形態で上下に平行に設けれている。それらは、架台24の後方側に設けられるボックス91内に収納されている。
【0073】
そして、ボックス91の正面側の側壁面には、レギュレータRの調節つまみ92と前記ゲージ90が取り付けられている。なお、電磁弁47dは、充填ノズル用エアシリンダー45のものとケーシング押し用エアシリンダー82とが一体になったものであるが、通路はそれぞれ異なる。また、エアコンプレッサ47cは、充填ノズル用エアシリンダー45とケーシング押し用エアシリンダー82とで共通であり、ボックス91外に設けられている。このように、移動停止検出手段(ケーシング切れ検出装置)100(この場合は、流量センサQ或いは圧力センサーPである。)をボックス91内に設けることにより、原料等による汚れをより確実に防止することができる。
【0074】
図6に示すように、ピストン84の前記初期位置に相当するシリンダー83の外側外周面には、第1リードスイッチ93が設けられ、前記最終位置には第2リードスイッチ94が設けられている。そして、ケーシング押し用エアシリンダー82が駆動する前はピストン84は前記初期位置にあり、ケーシング押し用エアシリンダー82が駆動するとピストン84は前方に移動し、やがて最終位置に至る。ピストン84が最終位置に至ると第2リードスイッチ94が信号を発する。
【0075】
制御装置25Aは、その信号を受けてピストン84を前記初期位置に戻し、ピストン84が前記初期位置に戻った時に発する第1リードスイッチ93の信号を受けて、ピストン84が初期位置にて停止していることを判定する。
【0076】
充填装置20の作用について説明する。起動スイッチが押されると、充填ノズル用エアシリンダー45が作動し、充填ノズル40が充填開始直前位置、即ち充填ノズル40の吐出口42がピンチャー装置70と制動部材58との間になる位置に移動し、その移動中に充填ノズル40が収縮ケーシング43を開放側から装着する。
【0077】
充填ノズル40が充填開始直前位置にて停止すると、ケーシング押し81が移動を開始するとともに、充填ポンプ30の駆動と、充填ノズル40及び制動部材58の回動とが開始され、吐出口42から収縮ケーシング43の一枚状ケーシング43aに向かって連続的に定量の原料が吐出される。原料が吐出されると、収縮ケーシング43は充填圧力によって制動部材58から前方に引き出されピンチャー装置70へ向かって移動する。一方、ケーシング押し81は、通常原料が吐出開始されるまでに収縮ケーシング43の後端部44aに当接するための移動を終わらせる。
【0078】
ピンチャー装置70のピンチャー部材76が充填ノズル40の外周に接近し、吐出口42の後方から前方に向かって移動してゆき、吐出口42に近い位置にて充填ケーシング43bの狭窄を開始して、後端部44aを形成し始める。
【0079】
ピンチャー部材76は駆動軸72を中心にした移動を続けて充填ケーシング43bの狭窄を完了させた後、狭窄状態を保持したまま充填ケーシング43bを軸線Xに沿って引っ張り前方へ搬送する。充填ケーシング43bをピンチャー部材76で引っ張ると充填ノズル40上の収縮ケーシング43の前端部44bは、制動部材58のテーパ開口部58bへの押圧作用を受けるとともに軸線X方向(図4参照)に前方側に引き伸ばされて一枚状ケーシング43aとなって移動する。このように収縮ケーシング43は、前端部44bから引き伸ばされていく。
【0080】
そして、収縮ケーシング43の後端部44aは、ケーシング押し装置80のケーシング押し81が当接しており、引き伸ばされた収縮ケーシング43の長さ分がケーシング押し81によって前方に押されて移動することになる。
【0081】
収縮ケーシング43の前端部44bは、制動部材58のテーパ穴部に常に押し付けられているので、収縮ケーシング43の前端部44bは、制動部材58とともに回転し、充填ケーシング43bの狭窄箇所に連続した捻りが与えられる。
【0082】
後続するピンチャー部材76による次なる狭窄が終了するまで、上記充填ケーシング43bの捻りは続けられる。ピンチャー部材76は一定速度で連続移動を継続し、充填ポンプ30は吐出口42から引っ張り出された一枚状ケーシング43a内に原料を連続的に吐出しており、充填ケーシング43bが連続して形成されてゆく。
【0083】
上記動作が継続し、収縮ケーシング43の全てが引き伸ばされると、ケーシング押し用エアシリンダー82のピストン84は第2リードスイッチ94の位置に到達している。すると第2リードスイッチ94は信号を出力し、制御装置25Aは、その信号を受けて、充填ポンプ30等の運転を停止させて充填を終了するとともに充填ノズル用エアシリンダー45及びケーシング押し用エアシリンダー82を初期位置に戻す。
【0084】
次に、本願発明の移動停止検出手段(ケーシング切れ検出装置)100について説明する。移動停止検出手段100は、流量センサーQ、圧力センサーP及びリニアエンコーダーEが相当する。図6〜図8に流量センサーQを用いる例を示し、図9〜図11に圧力センサーPを用いる例を示し、図12〜図14にリニアエンコーダーEを用いる例を示す。
【0085】
図6〜図8に示す例は、レギュレータRと左室83bとの間の第1通路88に流量センサーQを設け、第1通路88を流れるエアの流量を検出し、ケーシング充填中にエア流量がほぼ零を検出した場合にケーシング切れが発生したとして充填ポンプ30等を停止するものである。
【0086】
なお、流量センサーQは市販のもの、例えば、PFM710(SMC製)のものを用いることができる。また、流量センサーQは第2通路89に設けてもよい。
【0087】
図6は、ケーシング押し用エアシリンダー82が作動する直前の初期位置を示し、充填ノズル40が充填開始直前位置に到達していないためにピストン84は左側の初期位置に位置し、ケーシング押し81も初期位置に位置している。この場合、流量センサーQはほぼ零を表示する。
【0088】
図7は、ケーシング押し用エアシリンダー82が移動中の状態時を示し、第1通路88から所定量のエアが供給される。この場合、ピストン84の前進移動により流量が変動するため、流量センサーQによる表示は、0.3〜1.0L/minの範囲で変動する(実績値)。しかし、所定量が供給され続けるためほぼ零にはならない。そして、ピストン84、ロッド85及びケーシング押し81は前方へ進み、ピストン84が右側の所定位置に至るまで、即ち収縮ケーシング43がなくなるまで充填作業が継続する。
【0089】
図8は、ケーシング充填中にケーシング押し用エアシリンダー82が停止した状態時を示す。即ち、ケーシング充填中にケーシングが破裂しケーシング切れが生じると、充填ノズル40側の残りの収縮ケーシング43は、それ以上制動部材58から引き出されなくなり、収縮ケーシング43の前端部44bが制動部材58に当接する状態でその位置に留まることになる。すると、ケーシング押し装置80が収縮ケーシング43の後端部44aを押してもそれ以上押すことができなくなり、ケーシング押し装置80の一部であるピストン84もその位置に留まることになる。
【0090】
この場合、左室83bには所定圧のエアが存在するが、エアは流れないため流量センサーQの表示はほぼ零になる。また、ケーシング充填中に、即ち、ピストン84が初期位置と最終位置の間に位置している時に流量センサーQがほぼ零を表示すると充填ポンプ30等を停止するように充填装置20の制御装置25Aがプログラムされており、制御装置25Aは、流量センサーQのほぼ零の信号を受けて、充填ポンプ30等を停止する。即ち、ケーシング切れを間接的に検出することになる。
【0091】
上記したように制御装置25Aは、流量センサーQのほぼ零の信号を受けると、充填ポンプ30等を停止させるとともに、充填ノズル用エアシリンダー45及びケーシング押し用エアシリンダー82のピストン45b及びピストン84を初期位置に戻し、そして充填装置20の運転を停止させる。
【0092】
移動停止検出手段(ケーシング切れ検出装置)100に関する制御装置25Aの制御フローを図16のフローチャートで説明する。ステップS1でオペレータが充填装置20の起動スイッチをオンすると、電磁弁47dが切り替わって充填ノズル40が前進し、その後、ケーシング押し用エアシリンダー82、充填ポンプ30及びピンチャー装置70等が動作を開始する。
【0093】
ケーシング押し用エアシリンダー82が動作を開始すると、ステップS2で流量センサーQにより第1通路88を流れるエア流量の検出が行われる。この場合、実績であるが0.3〜1.0L/minの範囲で変動する値のいずれかが表示される。
【0094】
流量センサーQによるエア流量の検出が行われると、ステップS3でエア流量は所定範囲内か、即ち0.3〜1.0L/minの範囲内かの判断が行われ、所定範囲内であるとの肯定判断、即ちケーシング切れが生じていないとの判断がされるとステップS4に進み運転が継続される。運転の継続が実行されるとステップS2に戻り、上記のステップを繰り返すことになる。
【0095】
ステップS3で所定範囲内でない(即ちほぼ零)との否定判断、即ちケーシング切れが生じてケーシング押し装置80が停止しているとの判断がされるとステップS5に進み、充填ポンプ30等の運転が停止される。フローで示していないが、更に充填ノズル用エアシリンダー45のピストン45bも初期位置に戻されることになる。
【0096】
図9〜図11に示す例は、レギュレータRと左室83bとの間の第1通路88に圧力センサーPを設け、第1通路88の圧力(左室83bの圧力でもある。)を検出し、ケーシング充填中に第1通路88の圧力がレギュレータRの設定圧力まで上昇した場合にケーシング切れが発生したとして充填ポンプ30等を停止するものである。
【0097】
なお、圧力センサーPは市販のもの、例えば、AP−C30(キーエンス製)のものを用いることができる。
【0098】
この例では、供給するエアの圧力をレギュレータRで100Kpsに設定している。この圧力を、シリンダの左室83bに作用させた場合、ピストン84が停止していると左室83bの圧力は100Kpsになる。しかし、ピストン84が右方向に移動して左室83bの容積が増加すると圧力は減圧され減圧された圧力が表示される。そしてピストン84が止まると再び設定圧力の100Kpsに増大する。この例は、その圧力変動を利用するものである。
【0099】
図9は、ケーシング押し用エアシリンダー82が作動する直前の初期状態時を示し、充填ノズル40が充填開始直前位置に到達していないため、ピストン84は最も左側(後方側)に位置し、ケーシング押し81も最も後方に位置している。この場合、圧力センサーPは100Kpsを表示する。
【0100】
図10は、ケーシング押し用エアシリンダー82が移動中の状態時を示し、第1通路88から所定量のエアが供給される。この場合、ピストン84の前進動作により容積が増大するため、圧力センサーPによる表示は、その容積の増加に伴って約90〜95Kpsの減圧した範囲で変動する。そして、ピストン84、ロッド85及びケーシング押し81(図15参照)は前方へ進み、ピストン84が右側の最終位置に至るまで、即ち収縮ケーシング43がなくなるまで充填作業が継続する。
【0101】
図11は、ケーシング充填中にケーシング押し用エアシリンダー82が停止した状態時を示す。即ち、ケーシング充填中にケーシング切れが生じると、既に上述したようにケーシング押し81(図15参照)及びピストン84はその位置に停止する。すると左室83bの圧力は、初期状態である図9のものと同様の100Kpsに増加する。
【0102】
充填装置20の制御装置25Aには、第1通路88或いは左室83bの圧力を検出する圧力センサーPが、ケーシング充填中に初期状態の圧力である100Kpsを検出したら充填ポンプ30等を停止するようにプログラムされている。そのため、上記のように左室83bの圧力が設定圧力に復圧(即ち増圧)すると充填ポンプ30等は停止される。即ち、圧力センサーPはケーシング切れを間接的に検出することになる。
【0103】
なお、この場合の制御フローは、図16のステップS3の判断が「圧力は所定範囲内(即ち、約90〜95Kps)か?」に変わり、後は同じになるため省略する。
【0104】
図12〜図14に示す例は、リニアエンコーダーEをL字状部材86に設け、L字状部材86の移動と停止を検出し、ケーシング充填中にピストン84が停止した場合にケーシング切れが発生したとして充填ポンプ30等を停止するものである。なお、この例ではリニアエンコーダーEをL字状部材86に設けるものとして説明しているが、L字状部材86は請求項に記載されるロッドに含まれるものである。
【0105】
リニアエンコーダーEは、光センサー97と専用の金属スケール98からなり、光センサー97をL字状部材86に固定し、金属スケール98を架台24に固定し、光センサー97が金属スケール98を隙間を有して挟み込むように配置される。そして、光センサー97が金属スケール98上を移動するとオンオフ信号を出力し、充填装置20の制御装置25Aは、そのオンオフ信号を受けとりカウント処理を行なう。ケーシング充填中に出力信号がなくなりカウントが加算されなくなると充填ポンプ30等を停止するようにプログラムされている。
【0106】
なお、リニアエンコーダーEは市販のもの、例えば、E6L(オムロン製)のものを用いることができる。この例は、L字状部材86の移動停止の動作状態を利用するものである。そして、リニアエンコーダーEを用いる場合は、ボックス91を前方側に長く伸ばし、その内部に収納することになる。
【0107】
図12は、ケーシング押し用エアシリンダー82が作動する直前の初期状態時を示し、L字状部材86は停止しており、光センサー97は電気信号を出力しない。
【0108】
図13は、ケーシング押し用エアシリンダー82が作動中、即ちL字状部材86が移動中の状態時を示す。この場合、光センサー97は金属スケール98上を移動し、オンオフ信号を制御装置25Aに出力している。そして、ピストン84、L字状部材86及びケーシング押し81は前方へ進み、ピストン84が右側の最終位置に至るまで、即ち収縮ケーシング43がなくなるまで充填作業が継続する。
【0109】
図14は、ケーシング充填中にケーシング押し用エアシリンダー82が停止した状態時を示す。即ち、ケーシング充填中にケーシング切れが生じると、既に上述したようにケーシング押し81及びL字状部材86はその位置に停止する。すると光センサー97は、オンオフ信号を出力しなくなる。すると、制御装置25Aによるカウントが加算されなくなり、充填ポンプ30等が停止される。即ち、リニアエンコーダーEはケーシング切れを間接的に検出することになる。
【0110】
このように、流量センサーQ、圧力センサーPまたはリニアエンコーダーEからなる移動停止検出手段(ケーシング切れ検出装置)100を、充填ノズル40の吐出口42から遠く離れた後方側に設けるため、移動停止検出手段100の原料等による汚れが低減する。また、この移動停止検出手段100をボックス91内に設けることにより、原料等による汚れがほぼ完全になくなる。
【0111】
この制御フローを図17のフローチャートで説明する。ステップS1でオペレータが充填装置20の起動スイッチをオンすると、電磁弁47dが切り替わって充填ノズル40が前進し、その後、ケーシング押し用エアシリンダー82、充填ポンプ30及びピンチャー装置70等が動作を開始する。
【0112】
ケーシング押し用エアシリンダー82が動作を開始すると、ステップS2でリニアエンコーダーEの光センサー97が出力を開始する。そして、ケーシング押し81が収縮ケーシング43の後端部44aを押し、L字状部材86が移動するとステップS3で制御装置25Aがカウントを開始する。
【0113】
カウントが開始されると、ステップS4でカウントが常に加算されているか否かの判断が行われ、加算されているとの肯定判断、即ちケーシング切れが生じていないとの判断がされるとステップS5に進み運転が継続される。運転の継続が実行されるとステップS2に戻り、上記のステップを繰り返すことになる。
【0114】
ステップS4で加算されていないとの否定判断、即ちケーシング切れが生じてケーシング押し装置80が停止しているとの判断がされるとステップS6に進み充填ポンプ30等の運転が停止される。フローで示していないが、更に充填ノズル用エアシリンダー45のピストン45bも初期位置に戻されることになる。
【0115】
ところで、ケーシング押し装置80は、移動途中の動きは連続的であるが、例えば、中空ひだ付ケーシングスティックである収縮ケーシング43の圧縮比率のばらつき等を原因としてひだ付ケーシングスティック長の減少速度にばらつきが生じると、ひだ付ケーシングスティックの後端部44aに当接した状態で移動しているケーシング押し装置80が一瞬止まりその後動き出すという断続的動きをする場合が生じる。このような断続的動きをする場合(勿論ケーシング切れが生じていない場合)、ケーシング押し装置80の一瞬の停止を移動停止検出手段(ケーシング切れ検出装置)100が検出(即ち誤検出になる。)し、充填ポンプ30等を停止することになると、充填装置20を停止する分生産効率が低下することになる。図18に上記のような誤検出を防止する制御フローを示す。
【0116】
ステップS1でオペレータが充填装置20の起動スイッチをオンすると、電磁弁47dが切り替わって充填ノズル40が前進し、その後、ケーシング押し用エアシリンダー82、充填ポンプ30及びピンチャー装置70等が動作を開始する。
【0117】
ケーシング押し用エアシリンダー82が動作を開始すると、ステップS2で流量センサーQにより第1通路88を流れるエア流量の検出が行われる。この場合、実績であるが0.3〜1.0L/minの範囲で変動する値のいずれかが表示される。
【0118】
流量センサーQによるエア流量の検出が行われると、ステップS3でエア流量は所定範囲内か、即ち0.3〜1.0L/minの範囲内かの判断が行われ、所定範囲内であるとの肯定判断、即ちケーシング切れが生じていないとの判断がされるとステップS4に進み運転が継続される。運転の継続が実行されるとステップS2に戻り、上記のステップを繰り返すことになる。
【0119】
ステップS3で所定範囲内でない(即ちほぼ零)との否定判断、即ちケーシング切れが生じてケーシング押し装置80が停止しているとの判断がされるとステップS5に進みタイマーが作動する。
【0120】
ステップS5でタイマーが作動すると、ステップS6で所定時間(例えば0.5秒以内)経過したかが判断され、所定時間経過していない否定判断がなされるとステップS4に戻り、上記のステップを繰り返すことになる。そして、ステップS6で所定時間経過したとの肯定判断がされると、即ち、所定時間流量が所定範囲内でなかったならば、ステップS7に進み充填ポンプ30等の運転が停止されることになる。
【0121】
このように、例えケーシング押し装置80の停止を検出したとしても、しばらくその状態を監視する制御形態を採用することにより、充填装置20の誤動作を防止し、生産効率の低下を防止することができるようになる。
【0122】
なお、圧力センサーPを用いる場合は、「圧力は所定範囲内か?」のステップS3と、「運転停止」のステップS5の間に、上記ステップS5の「タイマー作動」と上記ステップS6の「所定時間経過したか?」が設けられ、リニアエンコーダーEを用いる場合は、「カウントが常に加算されているか?」のステップS4と、「運転停止」のステップS6の間に、上記ステップS5の「タイマー作動」と上記ステップS6の「所定時間経過したか?」が設けられることになる。
【0123】
本願発明は、上記実施例の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能であり、例えば本願発明は充填ノズル及び/又は制動部材を回転させないもの、或いはピンチャー装置を備えないもの、そして、捻りのないストレート形状のソーセージ製品用の充填装置にも適用可能である。また、収縮ケーシングとして天然腸ケーシングの使用を省くものではない。
【符号の説明】
【0124】
20…充填装置 21…ケース部材
22…脚 23…ストッパ
24…架台 25…制御ボックス
25A…制御装置 30…充填ポンプ
31…充填ポンプ用モーター 32…ベルト
33…電磁クラッチ 34…充填ブロック
40…充填ノズル 40a…開口
41…回転継手 42…吐出口
43…収縮ケーシング 43a…一枚状ケーシング
43b…充填ケーシング 44a…後端部
44b…前端部 45…充填ノズル用エアシリンダー
45a…シリンダー 45b…ピストン
45c…ロッド 46a…第1リードスイッチ
46b…第2リードスイッチ 47a…第1通路
47b…第2通路 47c…エアコンプレッサ
47d…電磁弁 48…回転用モーター
49…電磁クラッチ 50…ベルト
51…回転プーリー 52…第1ハウジング
53…第1クラッチ爪 54…第2クラッチ爪
55…第2ハウジング 56…制動機構
57…プーリー 57a…軸受
57b…ピン 58…制動部材
58a…リブ状突起 58b…テーパ開口部
59…ベルト 70…ピンチャー装置
71…巻掛伝動手段 72…駆動軸
73…従動軸 74…チェーン
75…ラグ 76…ピンチャー部材
77…ピンチャー用モーター 80…ケーシング押し装置
81…ケーシング押し 81a…中央開口
81b…リング溝 82…ケーシング押し用エアシリンダー
83…シリンダー 83a…内部空間
83b…左室 83c…右室
84…ピストン 85…ロッド
86…L字状部材 86a…折曲部
87…係合爪 88…第1通路
89…第2通路 90…ゲージ
91…ボックス 92…調節つまみ
93…第1リードスイッチ 94…第2リードスイッチ
97…光センサー 98…金属スケール
100…移動停止検出手段(ケーシング切れ検出装置)
E…リニアエンコーダー P…圧力センサー
Q…流量センサー R…レギュレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出口からケーシング内に充填物を吐出する充填ノズルと、
前記充填ノズルに充填物を供給する充填ポンプと、
未だ充填されていない収縮した状態のケーシングの後端部を前記充填ノズルの吐出口方向に押すケーシング押し装置と、
前記ケーシング押し装置の移動途中の停止を検出する移動停止検出手段と、を有し、
前記ケーシング押し装置が移動途中で停止した場合、前記移動停止検出手段により前記ケーシング押し装置の停止を検出し、前記充填ポンプを停止することを特徴とする充填装置。
【請求項2】
前記ケーシング押し装置は、シリンダー、ピストン及びロッドを有する流体シリンダーと、ケーシング押しとを有してなることを特徴とする請求項1に記載の充填装置。
【請求項3】
前記移動停止検出手段は、前記シリンダーに供給される流体の流量を検出するものであることを特徴とする請求項2に記載の充填装置。
【請求項4】
前記移動停止検出手段は、前記シリンダーに供給される流体の圧力を検出するものであることを特徴とする請求項2に記載の充填装置。
【請求項5】
前記移動停止検出手段は、前記ロッドの動きを検出するものであることを特徴とする請求項2に記載の充填装置。
【請求項6】
前記充填ポンプを停止する前記移動停止検出手段による検出時は、前記ケーシング押し装置が移動途中で所定時間継続して停止する時であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の充填装置。
【請求項7】
吐出口からケーシング内に充填物を吐出する充填ノズルと、
前記充填ノズルに充填物を供給する充填ポンプと、
未だ充填されていない収縮した状態のケーシングの後端部を前記充填ノズルの吐出口方向に押すケーシング押し装置と、を備えた充填装置のケーシング切れ検出装置であって、
前記ケーシング切れ検出装置は、前記ケーシング押し装置が移動途中で停止した場合、前記ケーシング押し装置の移動途中の停止を検出する移動停止検出手段からなることを特徴とする充填装置のケーシング切れ検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−60906(P2012−60906A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206473(P2010−206473)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(390034201)ハイテック株式会社 (10)
【Fターム(参考)】