説明

充填量検査装置およびその方法

【課題】加工製品の搬送途中における容器充填量を短時間かつ高精度で検査する充填量検査装置を提供する。
【解決手段】充填量検査装置10は、搬送コンベアにより間欠搬送するテーパ付き容器116の停止時に充填後の容器116を計量する。充填量検査装置10は、容器116のテーパ部116aを保持する開口を搬送コンベアの幅方向に複数備えたホルダープレート12と、搬送コンベアの充填領域より下流側のホルダープレート12の充填停止位置の下方であって開口ごとに離間して設置し容器を計量する計量手段16と、計量手段16を上部に取り付け、ホルダープレート12に支持された充填後の容器の底面を計量手段16を介して垂直方向に押し上げて開口からテーパ部を離間させる昇降手段14とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の充填量検査装置およびその方法に係り、特に内容物を充填し搬送途中の容器の充填量を検査する充填量検査装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上面が開口したカップ型の容器に、例えばヨーグルトなどを充填し、充填した製品の充填量を検査する装置として、搬送コンベア上の一部に検査装置を取り付けたものがある。図11は従来の容器の充填量検査装置の説明図である。図示のように充填量検査装置の計量部112は、排出用の搬送コンベアを上流側ベルトコンベア122と、下流側ベルトコンベア124と、その間に充填量測定用コンベア126とを分けて取り付けている。この充填量測定用コンベア126は、下方にコンベア127及びコンベア127を駆動するモータ128を支持する受台130を取り付けている。さらに受台130の下方には充填量測定用コンベア126の全重量を支持するロードセル132を取り付けている。
【0003】
このように構成された計量部112は、次のように作用する。まず内容物を充填した容器116は上流側ベルトコンベア122から下流に向けて搬送される。この搬送途中において、容器116は充填量測定用コンベア126に乗り移る。充填量測定用コンベア126の全重量を支えるロードセル132に、容器116の重量が加わると、ロードセル132の梁の形状が変位し、この変位量に応じて検出信号を出力する。これにより、容器116が乗り移ることで増減した重量を知り得ることができる(充填量測定用コンベアを備えた計量部として例えば特許文献1がある)。
【特許文献1】特許3427945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の充填量検査装置における測定精度の向上を阻害する構造的課題を以下に示す。
第一の課題として、コンベアを駆動するモータとロードセルがユニット化しているため、モータの駆動時に発生する固有振動がロードセルの梁を振動させてしまう。このためロードセルは容器によって生じた重量増加分の変位を正確に出力できず、検出信号に誤差が生じ測定精度が低くなってしまう。これは通常、加わる重量に変化が生じるとロードセルの梁は一定の変位量で安定する。しかしながら振動や急激な重量変化が生じた場合、梁は変位の増減を繰り返して検出信号にばらつきが生じてしまう。
【0005】
第二の課題として、充填物を充填した容器を搬送コンベア上に乗せたまま移動させると振動が発生してしまう。よって検出信号にばらつきが生じてしまい、正確な測定が困難となる。この振動は、移動する容器に対する空気抵抗から生じるものである。したがって容器が大きく、軽量になるほど空気抵抗は増大し、振動も大きくなる。
【0006】
第三の課題として、計量部はコンベア、駆動モータ等からなり、構成する部品点数が多く重量が重くなる。このためロードセルに加わる全重量に対する重量増加の割合が小さくなる。よってS/N比が低くなる。これはロードセル定格容量に対する測定誤差の割合が一定であるためで、測定部の重量が大きいと容器の重量変化に対するロードセルの測定誤差の割合が増加するためである。
【0007】
次に、充填量検査装置の時間当たりの処理能力の向上を阻害する構造的課題を以下に示す。容器の搬送手段としてコンベアを使用することから、検査処理量が多くなると限られた作業時間内で作業を進めるため一個当たりの作業時間が短縮され測定精度が低下してしまう。これは容器がコンベアを移動中に測定しているため、処理量が増加するとコンベアの搬送速度が速くなり、測定時間が短縮されるためである。また搬送速度が速くなると、上流側コンベアから計量用コンベア、計量用コンベアから下流側コンベアといった容器の乗り移り時に生じる振動がロードセルの変位量に影響してしまう。このため従来は処理量の少ない生産ラインでのみ実用可能なものであった。
【0008】
上記従来技術の問題点を改善するため本発明は、加工製品の搬送途中における容器充填量を短時間かつ高精度で検査する充填量検査装置およびその方法を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明の充填量検査装置は、搬送コンベアにより間欠搬送するテーパ付き容器の停止時に充填後の前記容器を計量する充填量検査装置において、前記容器のテーパ部を保持する開口を前記搬送コンベアの幅方向に複数備えたホルダープレートと、前記搬送コンベアの充填領域より下流側の前記ホルダープレートの充填停止位置の下方であって前記開口ごとに離間して取り付けた前記容器の計量手段と、前記計量手段を上部に取り付け、前記ホルダープレートに支持された充填後の前記容器の底面を前記計量手段を介して垂直方向に押し上げて前記開口から前記テーパ部を離間させる昇降手段と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
本発明の充填量検査装置は、搬送コンベアにより間欠搬送するテーパ付き容器の停止時に前記容器を計量する充填量検査装置において、前記容器のテーパ部を保持する開口を前記搬送コンベアの幅方向に複数備えたホルダープレートと、前記ホルダープレートの充填停止位置の下方であって前記開口ごとに離間して取り付けた前記容器の計量手段と、前記計量手段を上部に取り付け、前記ホルダープレートに支持された前記容器の底面を前記計量手段を介して垂直方向に押し上げて前記開口から前記テーパ部を離間させる昇降手段とを備えた計量ユニットと、からなることを特徴としている。
この場合において前記計量ユニットは、前記搬送コンベアに少なくとも1つ以上備えた充填部の前後に取り付けているとよい。
【0011】
また前記計量手段は、前記容器の底面に接する上面に滑り加工を施した受台を備えているとよい。前記ホルダープレートを搬送方向に沿って水平に支持するレールガイドを前記搬送コンベアの計量領域のチェーン上に取り付けるとよい。前記昇降手段は、前記容器の押し上げ量を調整可能とする高さ調節部を備えているとよい。前記ホルダープレートの長手方向を前記搬送コンベアの搬送方向と交差する幅方向に配置し、前記ホルダープレートを前記搬送コンベアに複数取り付けるとよい。
【0012】
本発明の充填量検査方法は、テーパ付き容器のテーパ部を搬送コンベアのホルダープレートで保持しながら前記搬送コンベアで間欠搬送し、前記容器の停止時に前記容器の下方に取り付けた計量手段ごと充填後の前記容器を押し上げて前記テーパ部を前記ホルダープレートから離間させて、前記容器の充填量を計量することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の充填量検査装置は搬送コンベア上の容器のテーパ部を保持するホルダープレートと、ホルダープレートに保持された容器の底面を押し上げる昇降手段と、昇降手段に取り付けた計量手段とを備えている。このため容器の充填量は、次の容器の充填停止時においてホルダープレートの開口から容器のテーパ部を離間させた状態で計量することができる。これにより容器はホルダープレートとの接触がなくなり、振動源となるコンベアの駆動手段との絶縁が図られる。よって検出信号は振動の影響を受けることがない。また高い精度で容器の充填量を測定することができる。容器の充填停止中に計量することで容器に対する空気抵抗がなくなり、測定精度が向上する。さらに本装置は、計量手段の上面に受台を取り付けているため、計量手段に加わる全重量は容器および受台のみとなり、容器による重量増加の割合を高くすることができる。これにより装置全体の定格容量を最小限に留めることができ、ロードセル固有の測定誤差による影響を小さくして測定精度の向上を図ることができる。
【0014】
本発明の計量ユニットは充填部の前後に取り付けているため、各測定値の差分から各容器の充填量を計量することができる。また複数の充填部の前後に計量ユニットを取り付けているため、各測定値の差分から充填部ごとの各容器の充填量を計量することができる。
【0015】
ホルダープレートに保持された容器が傾いた状態で受台を上昇させるとホルダの開口周面にカップのテーパ部が当たって荷重がかかり適正な容器重量を計量することが困難となる。そこで本発明の受台には、容器を載置する上表面に滑り加工を施してある。これにより、計量手段の昇降時において容器が傾いていても滑り面を容器底面が摺動することによって容器位置が安定するため、プレートに容器が当たることによって生じる容器重量に測定不良のない確実な検査を行える。ここで滑り加工としては、計量皿の容器が載置される表面に超高密度ポリエチレンなどの樹脂を使用することが好ましいが、ステンレス等の金属材を平滑加工したものでも容器の摩擦係数が低いものであれば同様の効果が得られる。これにより僅かな計量時間であっても容器がホルダープレートに当たることがなく的確に計量することができる。
【0016】
ホルダープレートを搬送方向に沿って水平に支持するレールガイドを搬送コンベアの計量領域のチェーン上に搬送方向に沿って取り付けたことにより、ホルダープレートが水平に保持され搬送中のコンベアが上下に振動することがない。これにより昇降手段により持ち上げた容器がホルダープレートに接触することがない。
【0017】
計量手段を昇降駆動させる昇降手段は高さ調整部を備えているため、容器の高さに応じて容器の昇降移動量を調整することができる。
ホルダープレートの長手方向を前記搬送コンベアの搬送方向と交差する幅方向に配置し、ホルダープレートを搬送コンベアに複数取り付けている。このため複数の容器を搬送方向に沿って並列に搬送し、一列ごとに同時に検査することができ、時間当たりの処理量を増加できる。また複数の製品を同時に検査できるため、処理量の多い生産ラインに導入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る充填量検査装置の実施形態を添付の図面に沿って詳細に説明する。まず本発明の充填量検査装置の取り付け対象となる容器充填システムについて説明する。図1は実施形態に係る充填量検査装置を備えた容器充填システムの構成概略を示す図である。同図(1)は容器充填システムの側面図を示し、(2)は(1)のF矢視図を示す。
【0019】
図示のように容器充填システム100は、搬送コンベア102の上流側から、容器供給部104、充填部106、充填量検査装置10、容器排出部110、を基本構成としている。容器供給部104は搬送コンベア102の搬送方向と交差する幅方向に渡って容器116を並べるため、搬送コンベア102の搬送方向(図中の矢印120方向)と直交する方向(図中の矢印F)から容器116を供給している。搬送コンベア102に供給された容器116は、実施形態では例えば8個一列となる列ごとに移動し、容器充填の間に停止する。即ち実施形態に係る容器充填システム100は、容器の移動と容器充填時の停止とを交互に繰り返す間欠搬送を行なうように構成している。搬送中の容器116は、8列式の充填部106により1列ごとに同時に容器内に充填物が充填される。そして容器排出部110で搬送方向と交差する方向(図中の矢印G)に方向転換されて1個ずつ排出用の搬送コンベアによって搬送される。排出用の搬送コンベア途中には不良品排出部140を設けている。
【0020】
次に本発明の充填量検査装置10について説明する。図2は図1におけるA部の部分拡大図を示す。図3は図2におけるB部の部分拡大図を示す。図4は図1におけるC矢視図を示す。
【0021】
ここで実施形態に係る容器116は、上面に開口を有するカップ型の容器116である。容器116の側面は底面から上面に向かって径大となるようなテーパ(テーパ部116b)をつけている。また容器116の上面にはフランジ部116aを形成してある。なお容器側面のテーパは容器形状の必須条件である。よってフランジ部のない容器であってもテーパを備えていれば本発明に適用することができる。
【0022】
図2に示すように充填量検査装置10はホルダープレート12と昇降手段14と計量手段16とを基本構成としている。
ホルダープレート12は、平面矩形の平板であり、長手方向の両端を図4に示すように搬送コンベア102の一対の駆動チェーン103間であって、搬送コンベア102の搬送方向と交差する幅方向に取り付けている。またホルダープレート12の平面上には複数の開口15を備えている。開口15は、容器116を挿入し、容器側面が上方開のテーパ状に成形された容器116のフランジ部116a、または容器116のテーパ部116bの上端の少なくともいずれか一方を保持している。なお開口15はホルダープレート12の上面側で容器を保持する形状であればよく、図3に示すように上面と下面をストレートに穿孔しているほか、容器116のテーパに沿って下面より上面が径大となるように穿孔してもよい。本実施形態のホルダープレート12は、一例として8個の開口15を備えている。ホルダープレート12は搬送コンベア102の搬送面の幅方向に複数列取り付け、搬送方向120に沿って周回移動している。
【0023】
図1に示す充填量検査装置10は、搬送コンベア102上の充填部106の下流側の搬送コンベア102下方に配置した架台18上に載置している。架台18の上面は、搬送コンベア102の搬送面の上面と下面の間であって搬送コンベア102の搬送方向と交差する幅方向に取り付けている。充填量検査装置10の昇降手段14は図4に示すようにホルダープレート12の中心付近にシリンダ部20を備え、シリンダ部20の先端に支持台22を取り付けている。支持台22は、平面矩形のプレートであり、ホルダープレート12の下面に所定の間隔を開けて対向するように取り付けている。シリンダ部20はシリンダ機構によってシリンダロッドが垂直方向に伸縮し、ロッド先端の支持台22を搬送コンベア102と接近または離間する方向に移動させている。
【0024】
支持台22には計量手段16を載置している。計量手段16は昇降手段14と同様に搬送コンベアの充填領域の下流側に取り付けている。計量手段16は、複数のロードセル24を備え、ホルダープレート12の下方であって前記開口ごとに離間して取り付けている。ロードセル24は後述する充填停止位置のホルダープレート12で支持する複数の容器116底面と対向するようにそれぞれ取り付けている。ロードセル24は梁の形状が変位して、この変位量に応じて検出信号を出力する構成としている。ロードセル24は後述する制御部25に接続し、検出信号を送信する構成としている。ロードセル24の上面には受台26を取り付けている。受台26は、容器の充填により停止する容器の底面と対向する位置であって、容器116の底面と所定の間隔を開けて配置している。そして昇降手段14の上昇によって受台26の上面に容器116の底面が載置される。受台26の上面には、容器116底面との摩擦係数が低く、すべり特性が高く、表面が滑らかな滑り加工を施してあり、本実施形態では一例として超高密度ポリエチレン、フッ素樹脂、ステンレス等の金属材を平滑加工したもの等を容器116が載置される表面に形成している。
【0025】
制御部25は搬送コンベア102、昇降手段14、計量手段16、不良品排出部140と接続している。制御部25は、計量手段16の測定値に基づいて、充填不良の容器の充填量、位置情報などを特定できる。
【0026】
図5は実施形態に係るレールガイドの説明図である。同図(1)は図4におけるD部の部分拡大図を示し、同図(2)は搬送コンベアに取り付けたレールガイドの側面図を示す。レールガイド30は、搬送コンベア102の駆動チェーン103の幅よりも僅かに小さい幅を持つ平面矩形のプレートである。レールガイド30は、充填量検査装置10近辺の搬送コンベア102の駆動チェーン103の上面であって、図示しない搬送コンベア本体の支持部材によって設置している。レールガイド30の長さは、計量領域となる充填量検査装置10の幅よりも長く設定するとよい。駆動チェーン103は下方から支持するガイド32と上方から支持するレールガイド30によって水平となる直線上に移動する。
【0027】
次に、上記構成による充填量検査装置の検査方法について説明する。図6は実施形態に係る充填量検査装置の説明図である。まず図1(2)に示すように容器充填システム100の上流側に配置した容器供給部104から矢印F方向となる直線上に容器116が1個ずつ搬送コンベア102上に供給される。ホルダープレート12の8個の開口15に、上面に開口を備え側面が上方開のテーパ状に成形された容器116が挿入され、容器のテーパ部116bが保持される。容器116を保持するホルダープレート12は、搬送方向(図6中矢印h)に沿って移動し、充填部106の充填ノズルの下方位置付近で停止する。そして停止した容器116の上面開口部から充填物が充填される(図6a)。図中の点線は容器に充填するときのホルダープレート12の充填停止位置を示し、計量手段16の受台26はホルダープレート12の開口15の下方に配置している。
【0028】
充填後、容器116は、下流側の次の容器117が充填部106の下方にくるまで搬送方向(矢印h)に沿って再び移動する(図6b)。そして充填後の容器116が充填量検査装置10の上方で停止する(図6c)。このとき次に充填する容器117が充填部106の下方に位置する。停止の間、昇降手段14のシリンダ機構が垂直方向に伸長して、上端の受台26が容器116の底面を押し上げ、容器116のテーパ部116bがホルダープレート12の開口15から離間する(図6d)。本実施形態では一例として受台26は、ホルダープレート12に保持された容器116底部と5mm間隔を空けて設置されており、昇降手段14の上昇時には容器116がホルダープレート12から約10mm程持ち上がるように設計している。
【0029】
このとき容器116のテーパ部116bがホルダープレート12の開口15に対して水平方向に載置されず、僅かに傾斜した状態で搬送されても、受台26の上面に滑り加工を施してあるため、受台26の押し上げにより容器116の底面が受台26の上面を摺動し、底面と受台26の上面が平行となり容器116がホルダープレート12の開口15にひっかかることがない。さらに充填量検査装置10付近の搬送コンベア102の駆動チェーン103上にはレールガイド30が取り付けられているため、駆動チェーン103が下方のガイド32および上方のレールガイド30によって水平となる直線上に支持されている。このため、駆動チェーン103は上下方向のたわみが拘束されるためホルダープレート12の水平性が確保される。よって搬送コンベア102が搬送途中で上下方向に振動することがなく、昇降手段14の昇降に影響を及ぼすことがない。そして受台26に載置された容器116は計量手段16によって計量される。計量手段16のロードセル24では、容器116の重量によってセルの梁の形状が変位して、この変位量に応じた検出信号が接続する制御部25に送信される。
【0030】
制御部25では、計量手段16の検出信号に基づいて、予め定めた設定値と比較して設定値の範囲を外れる充填量の容器の位置情報を特定する。
計量した後の容器116は、シリンダ機構が垂直方向に縮小することにより容器116のテーパ部116bがホルダープレート12に保持される(図6e)。このように次の容器の充填停止を繰り返しながら、計量後の容器116は、搬送コンベア102の末端側の容器排出部110まで間欠搬送される(図6f)。容器排出部110では、搬送方向120と交差する矢印G方向となる直線上に容器116を排出する。この排出経路の途中には不良品排出部140を設けてある。不良品排出部140は、制御部の不良品の位置情報に基づいて、搬送される容器の中から不良品の容器のみをエア吹出し手段等により排出経路外へ排出している。
【0031】
図7は昇降手段の変形例を示す図である。同図(1)は充填量検査装置の側面図を示し、同図(2)は正面図を示す。この昇降手段14aは、容器の押し上げ量を調整可能とする高さ調節部を備えている。即ち変形例に係る昇降手段14aは、図4に示す昇降手段14のシリンダ部20に代えて、直動モータ40を用いている。直動モータ40は駆動モータの回転を制御することによってロッドの長さを任意に設定することができる。このため高さが異なる容器を用いた場合であっても容器ごとに昇降の移動量を任意に調整することができる。また直動モータ40の伸縮ロッド40aを中心として直動モータ40の周辺には4本の支持ロッド41を設け、伸縮ロッド40aの伸縮を支持する構成としている。
【0032】
図8は充填部前後に計量ユニットを取り付けた充填量検査装置の説明図である。この充填量検査装置10aは充填部106の前後すなわち、充填部106を中心として搬送方向120の上流側および下流側にそれぞれ第1および第2の計量ユニット42,44を取り付けている。第1および第2の計量ユニット42,44はいずれも前述の昇降手段14と計量手段16を備えている。第1の計量ユニット42は、充填部106による容器充填のため搬送が停止したとき、空容器すなわち容器充填前の容器116の重量を計量するものである。また第2の計量ユニット44は、同様に充填部106による容器充填のため搬送が停止したとき、容器充填後の容器116の重量を計量するものである。また図8(2)に示すように第1および第2の計量ユニット42,44は搬送方向に沿って直列に配置している。このため、第1の計量ユニット42で充填前の容器116cを計量し、第2の計量ユニット44では第1の計量ユニット42で計量した容器116cの充填後の重量を計量できる。第1の計量ユニット42および第2の計量ユニット44はいずれも制御部25に接続している。制御部25では、第1の計量ユニット42で計量した容器の検出信号と、第1の計量ユニットで計量した同じ容器の重量を計量した第2の計量ユニット44の検出信号に基づいて容器116の重量を除いた充填量を求め、予め定めた充填する設定量と比較して差分が生じた場合、設定値の範囲を外れる不良品を特定する。また充填量の基準値と測定量を比較し、充填部106に充填量を補正する制御信号を送信する構成としている。
【0033】
図9は実施形態に係るフィードバック制御による検査のフローチャートを示す図である。
充填部106前後に計量ユニット42,44を取り付けた充填量検査装置10aは、まず容器供給部102から供給された容器が搬送コンベア102の所定位置を通過すると、製品容器を検出した信号が制御部25に送られる(S200)。
【0034】
搬送コンベア102上の充填部106の上流側に配置した第1の計量ユニット42により、容器充填時の搬送停止時において第1の計量ユニット42の昇降手段14が上昇して受台26が容器106の底面を押し上げる。そして計量手段16により充填前の容器(空容器)が計量される(S210)。
【0035】
第1の計量ユニット42の計量手段による測定値は制御部25に送られ、容器重量および容器116の位置情報が記録される(S220)。ここで容器116の位置情報は、例えば搬送コンベア102上のn列目、n列目の手前からm番目というように特定することができる。
【0036】
次に搬送コンベア102上の充填部106の下流側に配置した第2の計量ユニット44により、容器充填時の搬送停止時において第2の計量ユニット44の昇降手段14が上昇して受台26が容器116の底面を押し上げる。そして計量手段16により充填後の容器が計量される(S230)。
【0037】
第2の計量ユニット44の計量手段による測定値は制御部25に送られ、容器重量および容器116の位置情報が記録される。そして制御部25では、容器116の位置情報に基づいて、第1の計量ユニット42による空容器の重量と第2の計量ユニット44による充填後の容器重量の差分を取り、容器の充填量を算出する(S240)。
【0038】
そして制御部25では、予め設定した充填量の設定値と算出した容器の充填量とを比較する(S250)。その結果充填量が設定値の範囲を満たさない場合には充填不良として記録される。一方、充填量が設定値の範囲に含まれる場合には良品と判断して記録される。
【0039】
次に計量した充填量と充填部106の充填量の基準値とを比較する(S260)。その結果、計量した充填量が充填部106の充填量の基準値の範囲を満たさない場合には、測定値が基準値を満たすように補正を行い、この補正信号を充填部106にフィードバックして充填量を制御する(S270)。また計量した充填量が充填部106の充填量の基準値範囲を満たす場合には、充填部の充填量が維持され充填がそのまま継続される。
【0040】
なお図9においてS260に示すフィードバック制御を行わない構成とすることもできる。即ち、S250までの処理により、単に容器の充填量と予め定めた設定値とを比較して、不良品を特定して排出するように構成することもできる。
【0041】
ところで、容器に充填する充填物は単一成分のほか、複数の成分からなる混合物を充填する場合がある。このような場合、搬送コンベア上に充填物の成分ごとに複数の充填部を取り付けている。図10は搬送コンベアに少なくとも1つ以上備えた充填部の前後に計量ユニットを取り付けた充填量検査装置の説明図である。同図は一例として搬送コンベア上に第1充填部106bと第2充填部106aを取り付けた構成を示している。同図の装置構成は、まず図8に示したように充填部106の上流側および下流側にそれぞれ第1および第2の計量ユニット42,44を取り付けている。そして第1充填部106bの下流側に第2充填部106aを取り付け、第2充填部106aの下流側に第3の計量ユニット46を取り付けている。このように第1〜第3計量ユニットを搬送方向に沿って直列に配置し、それぞれ図示しない制御部に接続し、測定値を送信する構成としている。
【0042】
上記構成による充填量検査装置は以下に示すように作用する。充填部による容器充填の間に搬送コンベアが停止し、この停止の間に計量ユニットによる容器重量の計量が行なわれる基本構成は図6と同様に作用する。本構成の作用として、まず第1の計量ユニット42で充填前の容器重量を計量する。ついで第2の計量ユニット44で第1充填部106bによる充填後の容器重量を計量する。そして制御部では第2の計量ユニット44の容器重量と、第1の計量ユニット42の容器重量の差分をとる(風袋引き)ことにより、第1充填部106bの充填量を求めることができる。
【0043】
次に第3の計量ユニット46で第1充填部106bと第2充填部106aによる充填後の容器重量を計量する。そして制御部では第3の計量ユニット46の容器重量と、第2の計量ユニット44の容器重量の差分をとることにより、第2充填部106aの充填量を求めることができる。また制御部は第3の計量ユニット46の容器重量と、第1の計量ユニット42の容器重量の差分をとることにより、第1充填部106b及び第2充填部106aによる総充填量を求めることができる。制御部は計量の結果に基づいて設定値を外れる容器の位置情報を特定する。なお充填部の設置台数は任意に設計変更することができ、充填部の設置台数応じて計量ユニットも任意に設定することができる。これにより充填部ごとの充填量を計量することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施形態に係る充填量検査装置を備えた容器充填システムの構成概略を示す図である。
【図2】図1におけるA部の部分拡大図を示す。
【図3】図2におけるB部の部分拡大図を示す。
【図4】図1におけるC矢視図を示す。
【図5】実施形態に係るレールガイドの説明図である。
【図6】実施形態に係る充填量検査装置の説明図である。
【図7】昇降手段の変形例を示す図である。
【図8】充填部前後に計量ユニットを取り付けた充填量検査装置の説明図である。
【図9】実施形態に係るフィードバック制御による検査のフローチャートを示す図である。
【図10】複数の充填部に計量ユニットを取り付けた充填量検査装置の説明図である。
【図11】従来の容器の充填量検査装置の説明図である。
【符号の説明】
【0045】
10………充填量検査装置、12………ホルダープレート、14………昇降手段、15………開口、16………計量手段、18………架台、20………シリンダ部、22………支持台、24………ロードセル、25………制御部、26………受台、30………レールガイド、32………ガイド、40………直動モータ、41………支持ロッド、42………第1の計量ユニット、44………第2の計量ユニット、46………第3の計量ユニット、100………容器充填システム、102………搬送コンベア、103………駆動チェーン、104………容器供給部、106………充填部、110………容器排出部、112………計量部、116………容器、122………上流側ベルトコンベア、124………下流側ベルトコンベア、126………充填量測定用コンベア、128………モータ、130………受台、132………ロードセル、140………不良品排出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送コンベアにより間欠搬送するテーパ付き容器の停止時に充填後の前記容器を計量する充填量検査装置において、
前記容器のテーパ部を保持する開口を前記搬送コンベアの幅方向に複数備えたホルダープレートと、
前記搬送コンベアの充填領域より下流側の前記ホルダープレートの充填停止位置の下方であって前記開口ごとに離間して取り付けた前記容器の計量手段と、
前記計量手段を上部に取り付け、前記ホルダープレートに支持された充填後の前記容器の底面を前記計量手段を介して垂直方向に押し上げて前記開口から前記テーパ部を離間させる昇降手段と、
を備えたことを特徴とする充填量検査装置。
【請求項2】
搬送コンベアにより間欠搬送するテーパ付き容器の停止時に前記容器を計量する充填量検査装置において、
前記容器のテーパ部を保持する開口を前記搬送コンベアの幅方向に複数備えたホルダープレートと、
前記ホルダープレートの充填停止位置の下方であって前記開口ごとに離間して取り付けた前記容器の計量手段と、前記計量手段を上部に取り付け、前記ホルダープレートに支持された前記容器の底面を前記計量手段を介して垂直方向に押し上げて前記開口から前記テーパ部を離間させる昇降手段とを備えた計量ユニットと、
からなることを特徴とする充填量検査装置。
【請求項3】
前記計量ユニットは、前記搬送コンベアに少なくとも1つ以上備えた充填部の前後に取り付けたことを特徴とする請求項2に記載の充填量検査装置。
【請求項4】
前記計量手段は、前記容器の底面に接する上面に滑り加工を施した受台を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の充填量検査装置。
【請求項5】
前記ホルダープレートを搬送方向に沿って水平に支持するレールガイドを前記搬送コンベアの計量領域のチェーン上に取り付けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の充填量検査装置。
【請求項6】
前記昇降手段は、前記容器の押し上げ量を調整可能とする高さ調節部を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の充填量検査装置。
【請求項7】
前記ホルダープレートの長手方向を前記搬送コンベアの搬送方向と交差する幅方向に配置し、前記ホルダープレートを前記搬送コンベアに複数取り付けたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1に記載の充填量検査装置。
【請求項8】
テーパ付き容器のテーパ部を搬送コンベアのホルダープレートで保持しながら前記搬送コンベアで間欠搬送し、
前記容器の停止時に前記容器の下方に取り付けた計量手段ごと充填後の前記容器を押し上げて前記テーパ部を前記ホルダープレートから離間させて、
前記容器の充填量を計量することを特徴とする充填量検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−164372(P2008−164372A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−352777(P2006−352777)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000110952)ニッカ電測株式会社 (12)
【出願人】(000006884)株式会社ヤクルト本社 (132)
【Fターム(参考)】