説明

充電システム、電子機器および充電装置

【課題】電子機器の内蔵電源の充電時に、充電制御回路の温度上昇を所定の温度範囲に抑制することが可能な充電システムを提供する。
【解決手段】充電システム100は、充電可能な内蔵電源24を内蔵する電子機器1と、内蔵電源24に対して少なくとも充電電流Iが一定になるように充電を行う定電流充電を行い、電子機器1の内蔵電源24への充電を制御する充電制御回路80と、充電制御回路80を介して電子機器1の内蔵電源24に電力を供給する充電装置60とを備え、充電制御回路80は、温度検出手段94により検出された充電制御回路80内での発熱部87a、87b、89の温度の情報Vと、内蔵電源24に充電されている充電電圧Vの情報とに応じて、内蔵電源24に供給される充電電流Iを制御する充電制御部82を備え、充電制御部82は、発熱部の温度が所定の温度範囲を越えて上昇すると内蔵電源24に供給する充電電流Iを下げるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電システム、電子機器および充電装置に係り、特に充電装置で電子機器の内蔵電源を充電する充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に内蔵された充電可能な内蔵電源(バッテリや2次電池、蓄電デバイス等ともいう。)を充電するための充電装置や充電制御装置等が種々開発されている(例えば特許文献1〜4等参照)。
【0003】
このような充電装置等は、内蔵電源に充電されている充電電圧を検出する充電電圧検出部や、電子機器の内蔵電源に電力を供給する配線(以下、充電電流経路という。)中を流れる電流を検出する充電電流検出部等が設けられた充電制御回路を備えるように構成されている場合がある。或いは、電子機器側に、このような充電制御回路が設けられている場合もある。
【0004】
そして、充電制御回路では、充電電圧検出部が検出した内蔵電源に充電されている充電電圧の情報や充電電流検出部が検出した充電電流経路中を流れる電流の情報をスイッチング制御部にフィードバックし、それに応じて、スイッチング制御部が外部電源から供給される電力の内蔵電源への供給を制御しながら、電子機器の内蔵電源の充電が行われる。
【0005】
このような電子機器の内蔵電源としては、例えばリチウムイオンバッテリ(リチウムイオン2次電池等ともいう。)が知られている。リチウムイオンバッテリの場合、充電中にバッテリ本体の温度が上昇するという問題がある。
【0006】
そこで、例えば特許文献5には、バッテリの表面温度を測定し、その表面温度に応じて充電の仕方を切り替え、特に表面温度が高温度域にある場合には温度上昇を抑制するように充電の仕方を切り替える電池パックや充電方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−77501号公報
【特許文献2】特開2008−104270号公報
【特許文献3】特開2007−306654号公報
【特許文献4】特開2006−33917号公報
【特許文献5】特開2009−55729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、近年、電子機器の新たな内蔵電源として、リチウムイオンキャパシタ(LIC)が開発されている。リチウムイオンキャパシタは、従来の電気二重層キャパシタの電圧が3[V]程度であったのに対し、電圧を4[V]程度まで向上させることが可能となる等の優れた性能を有している。
【0009】
また、リチウムイオンキャパシタは、上記のリチウムイオンバッテリとは異なり、充電時に、キャパシタ自体の温度が下がる傾向を有するといった特徴がある。そのため、充電時におけるリチウムイオンキャパシタ自体の温度上昇をさほど気にする必要がなくなるといった特性を有している。
【0010】
一方、リチウムイオンキャパシタのように、内部抵抗が小さくリチウムイオン2次電池よりも大電流での急速充電が可能となると、特に定電流充電の際に、比較的大きな電流(例えば10[A]等)を流して、より短時間で充電を行うようにすることが望まれている。
【0011】
しかし、このように大電流を流すと、今度は、充電制御回路側での発熱が大きくなるといった新たな問題が生じることが分かってきた。このように充電制御回路が加熱すると、充電制御回路が高温になり、充電制御回路が電子機器に内蔵されている場合には電子機器が、また、充電制御回路が充電装置に内蔵されている場合には充電装置がそれぞれ高温になり、ユーザが火傷したり、電子機器や充電装置が燃焼したり損傷したりする。
【0012】
また、例えば、電子機器が放射線画像撮影装置であり、充電制御回路が放射線画像撮影装置内に設けられている場合、ケーブル等を介して放射線画像撮影装置と外部の充電装置とを接続し、その状態で放射線画像撮影装置をブッキー撮影台等に装填する。そして、放射線画像撮影装置の内蔵電源を充電しながら、放射線画像撮影装置に被写体を介して放射線を照射して放射線画像撮影を行う場合がある。
【0013】
このような場合に充電制御回路が加熱すると、複数の放射線検出素子が二次元状(マトリクス状)に配列された放射線画像撮影装置のセンサパネルの充電制御回路に近い部分が充電制御回路の加熱により温度が上昇し、その部分の放射線検出素子の中に、低い温度では異常な動作を示さないが高温になることで異常な動作を行う放射線検出素子が発生する場合がある。このような場合、その放射線検出素子の部分にいわゆる画欠が生じてしまったり、その異常な放射線検出素子から読み出された画像データにより画像上にアーチファクトが生じたりする場合がある。
【0014】
また、高温になっても放射線検出素子が正常に動作する場合であっても、温度が上昇した部分の各放射線検出素子では、その内部で発生するいわゆる暗電荷の量が他の部分の放射線検出素子よりも多くなる等の問題が生じ得る。そのため、2次元状の各放射線検出素子から読み出された各画像データに濃度ムラ(すなわち画像データの大きさのムラ)が生じる場合もある。
【0015】
このような画欠やアーチファクト、濃度ムラ等を生じると、放射線画像撮影により得られた画像データに基づく放射線画像の画質が低下してしまうといった問題が生じる。また、上記のような充電制御回路の加熱によるユーザの火傷や、電子機器や充電装置の燃焼、損傷等が発生することを防止するためにも、放射線画像撮影装置を含む電子機器の内蔵電源の充電時における充電制御回路の温度上昇があまり大きくならないようにすることが必要となる。
【0016】
本発明は、上記の各問題点を鑑みてなされたものであり、電子機器の内蔵電源の充電時に、充電制御回路の温度上昇を所定の温度範囲に抑制することが可能な充電システム、電子機器および充電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記の問題を解決するために、本発明の充電システムは、
充電可能な内蔵電源を内蔵する電子機器と、
前記内蔵電源に対して、少なくとも充電電流が一定になるように充電を行う定電流充電を行い、前記電子機器の前記内蔵電源への充電を制御する充電制御回路と、
前記充電制御回路を介して前記電子機器の前記内蔵電源に電力を供給する充電装置と、
を備え、
前記充電制御回路は、温度検出手段により検出された前記充電制御回路内での発熱部の温度の情報と、前記内蔵電源に充電されている充電電圧の情報とに応じて、前記内蔵電源に供給される前記充電電流を制御する充電制御部を備え、
前記充電制御部は、前記発熱部の温度が所定の温度範囲を越えて上昇すると、前記内蔵電源に供給する前記充電電流を下げるように制御することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の電子機器は、
充電可能な内蔵電源を内蔵するとともに、前記内蔵電源に対して、少なくとも充電電流が一定になるように充電を行う定電流充電を行い、前記電子機器の前記内蔵電源への充電を制御する充電制御回路を備える電子機器であって、
前記充電制御回路は、温度検出手段により検出された前記充電制御回路内での発熱部の温度の情報と、前記内蔵電源に充電されている充電電圧の情報とに応じて、前記内蔵電源に供給される前記充電電流を制御する充電制御部を備え、
前記充電制御部は、前記発熱部の温度が所定の温度範囲を越えて上昇すると、前記内蔵電源に供給する前記充電電流を下げるように制御することを特徴とする。
【0019】
さらに、本発明の充電装置は、
電子機器に内蔵された充電可能な内蔵電源に対して、少なくとも充電電流が一定になるように充電を行う定電流充電を行い、前記電子機器の前記内蔵電源への充電を制御する充電制御回路を備える充電装置であって、
前記充電制御回路は、温度検出手段により検出された前記充電制御回路内での発熱部の温度の情報と、前記内蔵電源に充電されている充電電圧の情報とに応じて、前記内蔵電源に供給される前記充電電流を制御する充電制御部を備え、
前記充電制御部は、前記発熱部の温度が所定の温度範囲を越えて上昇すると、前記内蔵電源に供給する前記充電電流を下げるように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明のような方式の充電システム、電子機器および充電装置によれば、発熱部の温度が所定の温度範囲を越えて上昇した場合に、内蔵電源に供給する充電電流を下げるように制御するため、充電電流経路中を流れる充電電流を低下させて電流値がほぼ一定の状態に収束させることが可能となる。そして、各発熱部の温度をほぼ一定の温度に維持することが可能となり、充電制御回路の温度上昇を所定の温度範囲に抑制することが可能となる。
【0021】
そのため、充電制御回路が加熱して電子機器が高温になってユーザが火傷したり電子機器が燃焼したり損傷したりすることを的確に防止することが可能となる。また、電子機器が放射線画像撮影装置である場合に、放射線画像撮影装置の内蔵電源を充電しながら放射線画像撮影を行う場合でも、放射線検出素子の部分に画欠が生じたり放射線画像上にアーチファクトや濃度ムラが生じたりすることを的確に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】電子機器の例としての放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1のX−X線に沿う断面図である。
【図3】図1の放射線画像撮影装置の回路構成を表すブロック図である。
【図4】充電装置の例としてのクレードルの外観を示す斜視図である。
【図5】図4に示すクレードルに放射線画像撮影装置が挿入された状態を示した斜視図である。
【図6】図4のクレードルの内部構成を模式的に示した図であり、クレードルに放射線画像撮影装置を挿入しようとする状態を示している。
【図7】図4のクレードルの内部構成を模式的に示した図であり、クレードルに放射線画像撮影装置が挿入された状態を示している。
【図8】充電制御回路の回路構成および充電制御回路とクレードル、放射線画像撮影装置の関係等を概略的に表すブロック図である。
【図9】コネクタを接続した状態の放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図である。
【図10】発熱部の温度が所定の温度以下の場合に行われる定電流充電および定電圧充電における充電電流および充電電圧の値の時間的な変化等を表すグラフである。
【図11】定電流充電において(A)発熱部の温度が低い状態では予め設定された充電電流を流し、(B)発熱部の温度が所定の温度以上の温度になると充電電流を下げることを表すグラフである。
【図12】充電電流がほぼ一定の電流値に収束する状態になることを表すグラフである。
【図13】図8の場合において充電制御回路を充電装置であるクレードルに設けた場合の充電制御回路とクレードル、放射線画像撮影装置の関係を概略的に表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る充電システム、電子機器および充電装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
なお、以下では、電子機器が放射線画像撮影装置(Flat Panel Detector:FPD)であり、充電装置がクレードルである場合について説明するが、本発明は、この形態に限定されない。
【0025】
本実施形態では、充電制御回路80(後述する図8参照)が、電子機器としての放射線画像撮影装置1に設けられている場合について説明する。
【0026】
[電子機器の例としての放射線画像撮影装置の構成例について]
ここで、まず、電子機器の例として、放射線画像撮影装置1の構成例について簡単に説明する。図1は、放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1のX−X線に沿う断面図である。
【0027】
放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体状のハウジング2内にシンチレータ3や基板4等で構成されるセンサパネルSPが収納されて構成されている。本実施形態では、筐体2は、放射線入射面Rを有する中空の角筒状のハウジング本体部2Aの両側の開口部を蓋部材2B、2Cで閉塞することで形成されている。
【0028】
図1に示すように、筐体2の一方側の蓋部材2Bには、電源スイッチ37や切替スイッチ38、コネクタ39、内蔵電源24(図2や後述する図3参照)の状態や放射線画像撮影装置1の稼働状態等を表示するLED等で構成されたインジケータ40等が配置されている。なお、後述するように、本実施形態では、コネクタ39が後述するクレードル60のコネクタ71(後述する図6や図7参照)と接続することで、充電装置としてのクレードル60から放射線画像撮影装置1に電力が供給されて充電が行われるようになっている。
【0029】
また、図示を省略するが、本実施形態では、筐体2の反対側の蓋部材2Cに、放射線画像撮影装置1が外部装置と信号等の送受信を無線方式で行うためのアンテナ装置41(後述する図3参照)が、例えば蓋部材2Cに埋め込まれるようにして設けられている。
【0030】
図2に示すように、筐体2の内部には、基板4の下方側に図示しない鉛の薄板等を介して基台31が配置され、基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33や内蔵電源24等が取り付けられている。また、基板4やシンチレータ3の放射線入射面Rには、それらを保護するためのガラス基板34が配設されており、センサパネルSPと筐体2の側面との間に緩衝材35が設けられている。
【0031】
図示を省略するが、基板4の検出部P上には、フォトダイオード等からなる複数の放射線検出素子7が二次元状(マトリクス状)に配列されており、各放射線検出素子7にスイッチ手段としての薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor。以下、TFTという。)8や走査線5、信号線6、バイアス線9等が接続されている。また、シンチレータ3が、基板4の検出部Pに対向するように設けられるようになっている。
【0032】
放射線画像撮影装置1の回路構成を、図3に示すブロック図を用いて説明する。本実施形態では、複数の放射線検出素子7が基板4上に二次元状に配列されて検出部Pが形成されている。また、各放射線検出素子7の第2電極7bにはそれぞれバイアス線9が接続されており、各バイアス線9は結線10に結束されてバイアス電源14に接続されている。そして、バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各放射線検出素子7の第2電極7bにそれぞれ逆バイアス電圧を印加するようになっている。
【0033】
走査駆動手段15では、電源回路15aからゲートドライバ15bに配線15cを介してオン電圧やオフ電圧が供給され、ゲートドライバ15bで走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替えて、各TFT8のオン状態とオフ状態とを切り替えることで、各放射線検出素子7からの画像データの読み出し処理等を行うようになっている。
【0034】
各信号線6は、読み出しIC16内に形成された各読み出し回路17にそれぞれ接続されており、読み出し回路17は、増幅回路18と相関二重サンプリング回路19等で構成されている。読み出しIC16内には、さらに、アナログマルチプレクサ21と、A/D変換器20とが設けられている。
【0035】
そして、例えば、各放射線検出素子7からの画像データの読み出し処理の際には、ゲートドライバ15bからオン電圧が印加された走査線5に接続されているTFT8がオン状態になり、オン状態になったTFT8に接続されている放射線検出素子7から信号線6に電荷が放出され、放出された電荷が読み出し回路17の増幅回路18で電荷電圧変換される。
【0036】
そして、増幅回路18の出力側に設けられた相関二重サンプリング回路19で、放射線検出素子7から電荷が放出される前後の増幅回路18からの出力値の差分を算出し、算出した差分をアナログ値の画像データとして出力する。そして、出力されたアナログ値の画像データが、アナログマルチプレクサ21を介して順次A/D変換器20に送信され、A/D変換器20で順次デジタル値の画像データに変換されて出力され、記憶手段23に順次保存される。このようにして、各放射線検出素子7からの画像データの読み出し処理が順次行われる。
【0037】
制御手段22は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピュータや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成されている。専用の制御回路で構成されていてもよい。そして、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の各部材の動作等を制御するようになっている。
【0038】
また、制御手段22には、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)等で構成される記憶手段23が接続されている。また、本実施形態では、制御手段22には、前述したアンテナ装置41が接続されており、さらに、前述した電源スイッチ37や切替スイッチ38、コネクタ39、インジケータ40(図1参照)等も接続されている。
【0039】
また、本実施形態では、制御手段22には、制御手段22や走査駆動手段15、読み出し回路17、記憶手段23、バイアス電源14等の各部材に電力を供給するための内蔵電源24が接続されている。本実施形態では、内蔵電源24として、リチウムイオンキャパシタ(LIC)が用いられているが、本発明はこれに限定されず、充電可能な内蔵電源であれば、電気二重層キャパシタ等の蓄電デバイスやリチウムイオンバッテリ等のバッテリやリチウムイオン2次電池等であってもよい。
【0040】
なお、図3では図示を省略したが、本実施形態では、内蔵電源24には、内蔵電源24への充電を制御する充電制御回路80(後述する図8参照)が接続されている。これについては、後で詳しく説明する。
【0041】
[充電装置の例としてのクレードルの構成例について]
次に、充電装置の例として、クレードル60の構成例について簡単に説明する。図4は、クレードル60の外観を示す斜視図であり、図5は、図4に示すクレードル60に放射線画像撮影装置1が挿入された状態を示した斜視図である。また、図6および図7は、クレードル60の内部構成を模式的に示した図であり、図6はクレードル60に放射線画像撮影装置1を挿入しようとする状態を示しており、図7はクレードル60に放射線画像撮影装置1が挿入された状態を示している。
【0042】
図4や図5に示すように、クレードル60はほぼ直方体形状に形成され上面に開口部61aを有する筐体61と、この筐体61の開口部61aを被覆する被覆部材62とを備えている。また、筐体61の一端部には、クレードル60を動作させる各種のスイッチ63が設けられている。
【0043】
図6や図7に示すように、筐体61の内部には、筐体61の長手方向に延在し、放射線画像撮影装置1を鉛直方向に収容する装置収容部64が設けられている。また、筐体61には基板65上に配置された各種電子部品66が収納されている。電子部品66には、例えば後述する放射線画像撮影装置1の充電制御回路80に一定の電圧の直流電圧を供給するために外部の交流電源から供給された交流電圧を直流電圧に変換するAC/DCコンバータ等を備えた定電圧電源66a(後述する図8参照)等が含まれている。
【0044】
また、装置収容部64は、装置収容部64の側壁を構成する前側壁部材67と奥側壁部材68とを備えており、前側壁部材67の上端部と奥側壁部材68の上端部とによって放射線画像撮影装置1が挿入される挿入口69(図6参照)が形成されている。放射線画像撮影装置1は、挿入口69から前側壁部材67と奥側壁部材68の間に挿入されるようになっている。
【0045】
前側壁部材67の内側部には、放射線画像撮影装置1を装置収容部64内部に案内する案内部材67aが取り付けられており、奥側壁部材68の内側面には、緩衝部材68aが長手方向の全面に亘って設けられている。
【0046】
装置収容部64は、その厚み方向の内寸法が放射線画像撮影装置1の厚み方向の外寸法に合わせた寸法となっている。また、装置収容部64内の挿入口69付近には、挿入口69から挿入された放射線画像撮影装置1を一時的に保持する装置保持手段70が配置されている。
【0047】
装置収容部64内の底部には、放射線画像撮影装置1側のコネクタ39と接続可能なクレードル60側のコネクタ71が配置されている。クレードル60側のコネクタ71は、図示しないケーブルを介して前述した電子部品66と電気的に接続されている。
【0048】
本実施形態では、図6に示すように、放射線画像撮影装置1がクレードル60に斜めに挿入されると、放射線画像撮影装置1に押されて挿入口69を被覆する蓋部材72が、被覆部材62に沿って奥側(図中では左側)に退避する。
【0049】
そして、略鉛直方向に向けられた放射線画像撮影装置1が挿入口69から挿入されると、放射線画像撮影装置1のコネクタ39が設けられた側の蓋部材2Bが一旦装置保持手段70に当接して保持された後、図7に示すように装置保持手段70が下方に回動することで、放射線画像撮影装置1が装置収容部64内に収容される。
【0050】
そして、前述したように、装置収容部64の厚み方向の内寸法が放射線画像撮影装置1の厚み方向の外寸法に合わせた寸法となっているため、装置収容部64内に収容された放射線画像撮影装置1側のコネクタ39が、自動的にクレードル側のコネクタ71に接続可能な位置に適切に位置決めされた状態で接続されるようになっている。
【0051】
[充電制御回路の構成等について]
次に、本実施形態では放射線画像撮影装置1側に設けられている充電制御回路80の構成等について説明する。図8は、充電制御回路80の回路構成を概略的に表すブロック図である。
【0052】
なお、図8では、図7に示したように、電子機器である放射線画像撮影装置1が充電装置であるクレードル60に挿入された状態で内蔵電源24の充電を行う場合が示されている。しかし、この他にも、例えば図9に示すように、放射線画像撮影装置1のコネクタ39に、ケーブルCaの先端に設けられたコネクタCを接続し、ケーブルCaやコネクタC、39を介して図示しない外部の充電装置から放射線画像撮影装置1内の充電制御回路80に電力を供給する場合等も同様に説明される。
【0053】
図8に示すように、本実施形態では、充電制御回路80は、主に、接続されたコネクタ39、71を介してクレードル60の定電圧電源66aから供給された電力を放射線画像撮影装置1の内蔵電源24に供給する配線としての充電電流経路81と、内蔵電源24への充電を制御する充電制御部82とを備えて構成されている。
【0054】
また、本実施形態では、充電制御部82には、少なくとも充電電圧検出部83と、充電電流検出部84と、温度検出部85と、スイッチング制御部86とが設けられている。なお、充電制御部82におけるこれらの各部は、充電制御部82の各機能を分離して表記するものである。すなわち、各部に相当する各部材が組み合わされて充電制御部82が形成されていることを表すものではない。
【0055】
充電制御回路80では、充電電流経路81上には第1スイッチ素子87aが、充電電流経路81から分岐してグランド(GND)に接続されている配線88上には第2スイッチ素子87bがそれぞれ設けられている。そして、第1スイッチ素子87aおよび第2スイッチ素子87bは、それぞれ充電制御部82のスイッチング制御部86に接続されている。
【0056】
本実施形態では、第1スイッチ素子87aと第2スイッチ素子87bはそれぞれ電界効果トランジスタ(Field effect transistor:FET)で構成されており、スイッチング制御部86によりそれらのオン/オフ動作が制御されるようになっている。
【0057】
また、充電電流経路81にはインダクタ(コイルともいう。)89が挿入されており、また、充電電流経路81とグランド(GND)との間にコンデンサ90が設けられている。
【0058】
そして、スイッチング制御部86による第1スイッチ素子87aや第2スイッチ素子87bのオン/オフにインダクタ89のインダクタンス(inductance)成分により蓄えられるエネルギを制御することにより、充電電流Iおよび充電電圧Vを制御する。コンデンサ90は、内蔵電源24への出力に対してローパスフィルタ状に機能して、充電電圧Vを平滑化するようになっている。
【0059】
充電電流経路81には、さらに充電電流検出用の抵抗部91が挿入されている。また、充電電流検出用の抵抗部91は、その両極が充電電流検出部84に接続されており、充電電流検出部84によって充電電流検出用の抵抗部91の両極間の電位差Δvが検出されるようになっている。そして、この電位差Δvが、Δv=IRの関係により充電電流経路81を流れる充電電流Iに相当する値として検出されるようになっている。
【0060】
また、充電電流経路81は、放射線画像撮影装置1の内蔵電源24の一方の充電端子に接続されており、内蔵電源24の他方の充電端子は、充電制御回路80のグランド(GND)に接続されている。また、充電制御回路80内では、充電電流経路81とグランド(GND)とが2つの抵抗92a、92bを介して接続されており、2つの抵抗92a、92bの間に接続された配線93が充電電圧検出部83に接続されている。そして、充電制御部82の充電電圧検出部83で、放射線画像撮影装置1の内蔵電源24に充電されている充電電圧Vが検出されるようになっている。
【0061】
そして、充電電圧検出部83で検出された内蔵電源24に充電されている充電電圧Vの情報や、充電電流検出部84で検出された充電電流検出用の抵抗部91の両極間の電位差Δvの情報(すなわち充電電流経路81を流れる充電電流Iの情報)が、充電制御部82のスイッチング制御部86に送られるようになっている。
【0062】
一方、上記のような構成の充電制御回路80において、充電電流経路81に充電電流Iを流した際に発熱して高温になる可能性がある部材(以下、発熱部という。)が、第1スイッチ素子87aと第2スイッチ素子87bやインダクタ89であることから、本実施形態では、図8に示すように、第1スイッチ素子87aや第2スイッチ素子87b、インダクタ89の近傍に、それらの温度の情報を検出するための温度検出手段94がそれぞれ配置されている。
【0063】
なお、図1では図示を省略したが、充電電流経路81に充電電流Iを流した場合に充電電流検出用の抵抗部91が発熱して高温になる場合には、抵抗部91の温度の情報を検出するための温度検出手段を抵抗部91の近傍に配置することも可能である。
【0064】
本実施形態では、各温度検出手段94が直列に接続されており、直列に接続された各温度検出手段94の一端側(本実施形態では第2スイッチ素子87bの近傍に配置された温度検出手段94の一端側)に、さらに所定の抵抗値を有する抵抗器95が直列に接続されている。
【0065】
そして、抵抗器95の、温度検出手段94と接続された端子とは反対側の端子からリファレンス電圧Vが印加されるようになっている。また、直列に接続された各温度検出手段94の他端側(本実施形態ではインダクタ89の近傍に配置された温度検出手段94の他端側)は、基準電位に接続されている。本実施形態ではグランド(GND)に接続されている。
【0066】
また、第2スイッチ素子87bの近傍に配置された温度検出手段94と抵抗器95とが接続されている部分の電圧値Vが、発熱部である第1スイッチ素子87aや第2スイッチ素子87b、インダクタ89(或いは充電電流検出用の抵抗部91)の温度の情報として充電制御部82の温度検出部85に入力されるようになっている。
【0067】
そして、温度検出部85に入力された発熱部の温度の情報Vが、充電制御部82のスイッチング制御部86に送られるようになっている。
【0068】
本実施形態では、温度検出手段94として、PTC(positive temperature coefficient)サーミスタが用いられている。PTCサーミスタは、よく知られているように、所定の温度以下の温度ではその抵抗値が温度変化にほとんど依存しない低い値を示すが、所定の温度以上の温度ではその抵抗値が急激に高くなるという特徴を有する。
【0069】
また、本実施形態では、上記のように、発熱部である第1スイッチ素子87aや第2スイッチ素子87b、インダクタ89(或いは充電電流検出用の抵抗部91)の近傍に配置された温度検出手段94である各PTCサーミスタが直列に接続されている。
【0070】
各発熱部の温度が所定の温度以下の温度で、各PTCサーミスタの抵抗値が低い状態では、リファレンス電圧V側から抵抗器95および各PTCサーミスタを介してGND電位に向けて電流が流れる状態になる。そのため、温度検出部85に入力される電圧値Vとしては、リファレンス電圧Vから抵抗器95の部分での電圧降下分を減算した値が入力される。すなわち、温度検出部85に入力される電圧値Vは、リファレンス電圧Vよりも低い値になる。
【0071】
また、発熱部である第1スイッチ素子87aや第2スイッチ素子87b、インダクタ89(或いは充電電流検出用の抵抗部91)のうちの少なくとも1つの温度が上昇して所定の温度以上の温度になると、その発熱部の近傍に配置された温度検出手段94であるPTCサーミスタの抵抗値が急激に上昇する。
【0072】
そのため、リファレンス電圧Vとグランド(GND)間を、抵抗器95と各PTCサーミスタによって分圧された電圧値Vが、PTCサーミスタの抵抗値上昇に伴い、上昇する。
【0073】
このように、発熱部である第1スイッチ素子87aや第2スイッチ素子87b、インダクタ89(或いは充電電流検出用の抵抗部91)のうちの少なくとも1つの温度が上昇して所定の温度以上の温度になると、温度検出部85に入力される電圧値Vが上昇する。
【0074】
充電制御部82は、このようにして、入力される電圧値V(すなわち発熱部の温度の情報)に基づいて、各発熱部のうちの少なくとも1つの温度が所定の温度以上の温度になったことを検出するようになっている。
【0075】
なお、本実施形態のように、温度検出手段94としてPTCサーミスタを用いる代わりに、例えばNTC(negative temperature coefficient)サーミスタを用いるように構成することが可能である。NTCサーミスタは、よく知られているように、上記のPTCサーミスタの場合とは逆に、所定の温度以下の温度ではその抵抗値が非常に高い値を示すが、所定の温度以上の温度になるとその抵抗値が急激に低下するという特徴を有する。
【0076】
そして、この場合、NTCサーミスタと抵抗器95との接続部分の電圧値Vが、発熱部の温度の情報として充電制御部82の温度検出部85に入力されるようになる。そして、発熱部の温度上昇に伴い、NTCサーミスタの抵抗値が低くなると、リファレンス電圧Vとグランド(GND)間を、抵抗器95と各PTCサーミスタによって分圧された電圧値Vが低下する。
【0077】
このように、温度検出手段94としてNTCサーミスタを用いる場合においても、充電制御部82は、入力される電圧値V(すなわち発熱部の温度の情報)に基づいて、発熱部の温度が所定の温度以上の温度になったことを検出することができる。なお、この場合は、PTCサーミスタの場合とは逆に、温度検出部85が検出する電圧値Vが、所定電圧以下の値に低下した場合が、発熱部の温度が所定の温度以上の温度になったことに対応することになる。
【0078】
しかし、NTCサーミスタの場合、PTCサーミスタのように所定温度を越えた領域で急激な抵抗値の変化がない。そのため、本実施形態と同様に各発熱部の近傍に配置された各NTCサーミスタを直列に接続すると、1つの発熱部で温度が上昇し、当該発熱部の近傍に配置されたNTCサーミスタの抵抗値が低下しても、抵抗値の変化量が少なく、他のNTCサーミスタの抵抗値が高いままとなる。
【0079】
そのため、リファレンス電圧Vとグランド(GND)間を、抵抗器95と各NTCサーミスタによって分圧された電圧値Vは変化が少なく、温度検出部85に入力される電圧値Vに基づいて、発熱部の温度が所定の温度以上になったことを適切に検出することができない。
【0080】
そこで、温度検出手段94としてNTCサーミスタを用いる場合には、発熱部である第1スイッチ素子87aや第2スイッチ素子87b、インダクタ89(或いは充電電流検出用の抵抗部91)の近傍に配置する各NTCサーミスタを直列に接続せず、個別に充電制御部82に接続するように構成される。
【0081】
そして、充電制御部82の温度検出部85では、各NTCサーミスタについて入力される各電圧値V(すなわち発熱部の温度の情報)のうちの少なくとも1つの値がリファレンス電圧Vとほぼ等しい値から低下した場合に、発熱部の温度が所定の温度以上の温度になったことを検出するように構成される。
【0082】
なお、温度検出手段94としてPTCサーミスタを用いる場合もNTCサーミスタを用いる場合も、リファレンス電圧Vとグランド(GND)間の分圧の仕方は、抵抗器95とPTCサーミスタ或いはNTCサーミスタとの位置を入れ替えて構成してもよい。この場合は、分圧される電圧値Vの温度変化に対する変化の仕方が、上記の例の場合とそれぞれ逆になる。
【0083】
充電制御部82のスイッチング制御部86は、図8に示すように、充電電圧検出部83からもたらされる内蔵電源24に充電されている充電電圧Vの情報や、充電電流検出部84からもたらされる充電電流検出用の抵抗部91の両極間の電位差Δvの情報(すなわち充電電流経路81を流れる充電電流Iの情報)、温度検出部85からもたらされる電圧値V(すなわち発熱部の温度の情報)に応じて、充電電流経路81を介して内蔵電源24に供給される充電電流Iおよび充電電圧Vを制御するようになっている。
【0084】
そして、スイッチング制御部86は、フィードバックされたそれらの情報に応じて第1スイッチ素子87aおよび第2スイッチ素子87bのオン/オフ動作を制御して、充電装置であるクレードル60の定電圧電源66aから供給される電力の内蔵電源24への供給を制御するようになっている。
【0085】
[充電制御回路における内蔵電源の充電制御等について]
以下、充電制御回路80における放射線画像撮影装置1の内蔵電源24の充電制御等について説明する。また、それとあわせて、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1(電子機器)、クレードル60(充電装置)および充電制御回路80や、それらで構成される充電システム100(図8や図5等参照)の作用について説明する。
【0086】
本実施形態では、充電制御回路80のスイッチング制御部86は、電子機器である放射線画像撮影装置1の内蔵電源24に対する充電の仕方を、充電電流Iが一定になるように充電を行う定電流充電を行った後、充電電圧が一定になるように充電を行う定電圧充電に切り替えるようになっている。
【0087】
具体的には、スイッチング制御部86は、各発熱部の温度が所定の温度以上の温度になることがなければ、図10に示すように、充電電圧検出部83が検出した内蔵電源24の充電電圧V(図10の右側の目盛りおよび破線参照)が予め設定された目標電圧Vよりも小さい場合には、定電流充電を行う。
【0088】
本実施形態では、スイッチング制御部86は、定電流充電を行う場合には、充電電流経路81に例えば10[A]等の比較的大きな一定の充電電流Iを流すように構成されており、充電電流検出部84が検出した充電電流検出用の抵抗部91の両極間の電位差Δvが、設定された電流値(すなわち例えば10[A])に相当する電位差になるように、第1スイッチ素子87aと第2スイッチ素子87bのオン/オフ動作を制御する。
【0089】
このように、定電流充電時に、充電電流経路81に例えば10[A]等の比較的大きな充電電流Iを流すように構成することで、充電電流経路81に例えば1[A]等の比較的小さな充電電流Iを流して充電を行う従来の充電方法の場合に比べて、定電流充電時の充電時間を短縮することが可能となる。
【0090】
そして、上記のようにして定電流充電を行い、充電電圧検出部83が検出した内蔵電源24の充電電圧Vが目標電圧Vに達すると、図10に示すように、スイッチング制御部86は、今度は、内蔵電源24に対する充電の仕方を定電圧充電に切り替えるようになっている。
【0091】
上記のように定電流充電を行って、充電電圧検出部83が検出した内蔵電源24の充電電圧Vが目標電圧Vに達したとしても、内蔵電源24内部や充電電流経路81等の抵抗による電圧降下が存在するため、内蔵電源24の充電電圧Vは、実際には目標電圧Vには達していない。
【0092】
そこで、スイッチング制御部86は、充電の仕方を切り替えた後の定電圧充電時には、充電電圧検出部83が検出する内蔵電源24の充電電圧Vが目標電圧Vを越えずに目標電圧Vを維持するように第1スイッチ素子87aと第2スイッチ素子87bのオン/オフ動作を制御しながら、充電電流経路81を介して内蔵電源24に電力を供給して、引き続き内蔵電源24の充電(定電圧充電)を行う。
【0093】
そして、スイッチング制御部86は、充電電流検出部84が検出する充電電流検出用の抵抗部91の両極間の電位差Δvが次第に減少し、充電電流経路81中を流れる充電電流Iが非常に小さくなってそれに対応する電位差Δvが予め設定された閾値Δvth以下になった時点で、内蔵電源24の充電を終了するようになっている(図10の時刻t1参照)。
【0094】
充電制御回路80における内蔵電源24の充電の基本的な制御は、以上のように構成されているが、特に定電流充電の際に上記のように充電電流経路81に大きな充電電流Iを流すような場合には、第1スイッチ素子87aや第2スイッチ素子87b、インダクタ89等の発熱部の温度が上昇する。
【0095】
そして、それらの発熱部の温度が上昇し過ぎると、前述したように、ユーザが火傷したり、電子機器や充電装置が燃焼したり損傷したりする場合がある。また、放射線検出素子の部分にいわゆる画欠が生じてしまったり、異常な放射線検出素子から読み出された画像データにより画像上にアーチファクトが生じたり、画像に濃度ムラが生じたりする等の問題が生じ得る。
【0096】
そこで、本実施形態では、充電制御部82のスイッチング制御部86は、図8に示すように、充電電圧検出部83からもたらされる充電電圧Vの情報や、充電電流検出部84からもたらされる電位差Δvの情報だけでなく、温度検出部85からもたらされる電圧値V(すなわち発熱部の温度の情報)に応じて、充電電流経路81を介して内蔵電源24に供給される充電電流Iを制御する。
【0097】
そして、スイッチング制御部86は、各発熱部のうちの少なくとも1つの温度が上記の所定の温度範囲を越えて上昇すると、内蔵電源24に供給する充電電流Iを下げるように制御するようになっている。
【0098】
なお、各発熱部の温度がどの程度の温度になった場合に充電電流Iを下げるか等については、充電制御回路80やそれが搭載された電子機器(本実施形態では放射線画像撮影装置1)における温度上昇の影響やそれにより問題が生じるか否か等に基づいて適宜設定される。また、その温度設定は、温度検出手段94として用いられるPTCサーミスタ等の抵抗値の特性等によって設定される。
【0099】
また、本実施形態では、スイッチング制御部86は、回路的な構成(すなわちいわゆるハードウエア的な構成)によって温度検出部85からもたらされる電圧値Vにいわば反比例する状態で充電電流Iを下げるように制御するように構成されている。しかし、スイッチング制御部86にCPUを備えさせる等して、この処理をソフトウエア的に行うように構成することも可能である。
【0100】
さらに、本実施形態では、前述したように、温度検出手段94としてPTCサーミスタを用いており、発熱部の温度が所定の温度範囲を越えて上昇すると温度検出部85に入力される電圧値Vが上昇するため、発熱部の温度が所定の温度範囲を越えて上昇した場合には、上記のように電圧値Vにいわば反比例するように充電電流Iを下げる。すなわち、電圧値Vが上昇するほど充電電流Iを下げるように制御する。
【0101】
しかし、温度検出手段94としてNTCサーミスタを用いる場合には、前述したように発熱部の温度が所定の温度範囲を越えて上昇すると温度検出部85に入力される電圧値Vが低下する。そのため、この場合は、スイッチング制御部86は、発熱部の温度が所定の温度範囲を越えて上昇した場合には、電圧値Vが低下するほど充電電流Iを下げる、すなわち電圧値Vにいわば比例して充電電流Iを下げるように制御するように構成される。
【0102】
以下、温度検出手段94としてPTCサーミスタを用いた本実施形態に基づいて説明するが、NTCサーミスタを用いる場合も、スイッチング制御部86は同様に機能する。
【0103】
前述したように、温度検出手段94としてPTCサーミスタを用いる場合、第1スイッチ素子87aや第2スイッチ素子87b、インダクタ89(或いは充電電流検出用の抵抗部91)等の各発熱部の温度がいずれも所定の温度以下の状態では、充電制御部82の温度検出部85に入力される電圧値Vはリファレンス電圧Vよりも低い値になる。そして、この状態は、いずれかの発熱部の温度が所定の温度以上になるまで続く。
【0104】
そのため、内蔵電源24に対して定電流充電を開始した当初の各発熱部の温度がまだ低い状態では、スイッチング制御部86は、上記の通常の定電流充電を行う。そして、この状態では、図11(A)に示すように、充電電流経路81中を流れる充電電流Iは、予め設定された例えば10[A]等の電流値になる。そして、内蔵電源24に充電されている充電電圧Vも内蔵電源24への充電に伴って上昇していく。
【0105】
このように定電流充電を行う際に、大電流のオン/オフ動作が繰り返されることで第1スイッチ素子87aや第2スイッチ素子87bが発熱し、インダクタ89も大きな充電電流Iが流れることで発熱する。充電電流検出用の抵抗部91も発熱する場合がある。
【0106】
そして、それらの発熱部のうちの少なくとも1つが上記の所定の温度以上の温度になると、その近傍に設けられたPTCサーミスタの抵抗値が急激に上昇する。そのため、充電制御部82の温度検出部85に入力される電圧値Vが上昇していく。
【0107】
そのため、スイッチング制御部86は、前述したように温度検出部85からもたらされる電圧値Vにいわば反比例するように充電電流Iを下げる。そのため、図11(B)に示すように、充電電流経路81中を流れる充電電流Iが低下する。なお、そのため、内蔵電源24に充電されている充電電圧Vの上昇率は、図10に示した通常の状態の定電流充電の場合よりも鈍化する。
【0108】
しかし、一方で、スイッチング制御部86は、もともと定電流充電を行う場合には充電電流Iが予め設定された電流値(例えば10[A])になるように、すなわち充電電流Iに対応する充電電流検出用の抵抗部91の両極間の電位差Δvが予め設定された電位差になるように、充電電流経路81中に充電電流Iを流すように構成されている。
【0109】
そのため、スイッチング制御部86は、温度検出部85に入力される電圧値Vすなわち各発熱部の温度が上昇すると充電電流経路81中を流れる充電電流Iを下げ、各発熱部の温度が下降すると充電電流Iを上昇させて予め設定された電流値(例えば10[A])に戻そうとするように作用するようになる。
【0110】
その結果、図12に示すように、充電電流経路81中を流れる充電電流Iが、予め設定された電流値よりも低いほぼ一定の電流値に収束する状態になる。また、各発熱部の温度もほぼ一定の温度が維持される状態になる。
【0111】
そのため、この状態の各発熱部の温度が、上記のような問題を引き起こす温度以下の温度になるように、スイッチング制御部86を調整し、或いはPTCサーミスタを選択することで、充電制御回路80における各発熱部の温度が上昇しても、上記のような種々の問題が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0112】
このような状態になった後は、充電制御回路80のスイッチング制御部86は、上記と同様に、充電電圧検出部83が検出した内蔵電源24の充電電圧Vが予め設定された目標電圧Vになるまで、図12に示すように、上記のようにほぼ一定の電流値に収束した充電電圧Iで定電流充電を行う。
【0113】
そして、図示を省略するが、本実施形態では、スイッチング制御部86は、充電電圧検出部83が検出した内蔵電源24の充電電圧Vが目標電圧Vに達すると、図10に示した場合と同様に、内蔵電源24に対する充電の仕方を定電圧充電に切り替える。
【0114】
定電圧充電では、図10に示したように、充電電流経路81中を流れる充電電流Iの電流値は定電流充電の場合よりも低くなるため、各発熱部における発熱が低減する。そのため、通常の場合には、上記のように各発熱部の温度が上昇して充電電流Iを下げる処理を行う必要はなくなる。しかし、何らかの原因で発熱部の温度が上昇した場合には、スイッチング制御部86は、上記と同様にして充電電流経路81中を流れる充電電流Iを下げるように機能する。
【0115】
以上のように、本実施形態に係る充電システム100や、充電制御回路80を備える電子機器(すなわち放射線画像撮影装置1)によれば、充電制御回路80の充電制御部82は、内蔵電源24の充電中に、第1スイッチ素子87aや第2スイッチ素子87b、インダクタ89(或いは充電電流検出用の抵抗部91)等の発熱部の温度が所定の温度範囲を越えて上昇した場合には、内蔵電源24に供給する充電電流Iを下げるように制御する。
【0116】
そのため、充電電流経路81中を流れる充電電流Iを第1スイッチ素子87aや第2スイッチ素子87b、インダクタ89(或いは充電電流検出用の抵抗部91)等の発熱部の温度が過度な発熱とならない範囲に制限して電流値がほぼ一定の状態に収束させることが可能となり、各発熱部の温度をほぼ一定の温度に維持することが可能となる。このように、本実施形態に係る充電システム100や、充電制御回路80を備える電子機器によれば、電子機器の内蔵電源24の充電時に、充電制御回路80の温度上昇を所定の温度範囲に抑制することが可能となる。
【0117】
そして、そのため、充電制御回路80が加熱して電子機器が高温になってユーザが火傷したり電子機器が燃焼したり損傷したりすることを的確に防止することが可能となる。また、本実施形態のように電子機器が放射線画像撮影装置1である場合に、放射線画像撮影装置1の内蔵電源24を充電しながら放射線画像撮影を行う場合でも、放射線検出素子の部分にいわゆる画欠が生じてしまったり、異常な放射線検出素子から読み出された画像データにより放射線画像上にアーチファクトが生じたり、放射線画像に濃度ムラが生じたりすることを的確に防止することが可能となる。
【0118】
なお、上記の実施形態では、充電制御回路80を電子機器である放射線画像撮影装置1に設ける場合について説明したが、例えば図13に示すように、充電制御回路80を充電装置であるクレードル60に設けるように構成することも可能である。例えば、クレードル60の筐体61(図7等参照)内部の基板65上の、各種電子部品66が収納されている部分に、充電制御回路80を設けることが可能である。
【0119】
この場合、通常、クレードル60に放射線画像撮影装置1を挿入して放射線画像撮影装置1の内蔵電源24を充電している間に放射線画像撮影は行われないが、放射線画像撮影装置1が高温状態となるような場合には、放射線画像撮影装置1自体の温度変化により、濃度ムラ等の画像異常が生じる可能性がある。また、クレードル60が高温になってユーザが火傷したり電子機器である放射線画像撮影装置1が損傷する可能性がある。
【0120】
しかし、充電制御回路80を上記のように構成すれば、クレードル60で放射線画像撮影装置1の内蔵電源24を充電する際に、充電制御回路80の温度上昇を所定の温度範囲に抑制することが可能となる。そのため、上記の問題が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0121】
また、上記の実施形態では、電子機器が放射線画像撮影装置1であり、充電装置がクレードル60である場合について説明したが、この他にも、充電可能な内蔵電源24を内蔵する電子機器であれば、ノート型パソコンや携帯電話、携帯情報端末等についても本発明を適用することが可能である。また、それらの充電装置についても本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0122】
1 放射線画像撮影装置(電子機器)
24 内蔵電源
60 クレードル(充電装置)
80 充電制御回路
81 充電電流経路
82 充電制御部
87a 第1スイッチ素子(発熱部)
87b 第2スイッチ素子(発熱部)
89 インダクタ(発熱部)
91 充電電流検出用の抵抗部(発熱部)
94 温度検出手段
95 抵抗器
100 充電システム
I 充電電流
V 充電電圧
リファレンス電圧
電圧値(発熱部の温度の情報)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電可能な内蔵電源を内蔵する電子機器と、
前記内蔵電源に対して、少なくとも充電電流が一定になるように充電を行う定電流充電を行い、前記電子機器の前記内蔵電源への充電を制御する充電制御回路と、
前記充電制御回路を介して前記電子機器の前記内蔵電源に電力を供給する充電装置と、
を備え、
前記充電制御回路は、温度検出手段により検出された前記充電制御回路内での発熱部の温度の情報と、前記内蔵電源に充電されている充電電圧の情報とに応じて、前記内蔵電源に供給される前記充電電流を制御する充電制御部を備え、
前記充電制御部は、前記発熱部の温度が所定の温度範囲を越えて上昇すると、前記内蔵電源に供給する前記充電電流を下げるように制御することを特徴とする充電システム。
【請求項2】
前記充電制御回路の前記充電制御部は、前記温度検出手段としてPTCサーミスタを備え、
前記温度検出手段は、前記充電制御回路上で前記発熱部の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記充電制御回路上の前記発熱部は複数箇所存在し、
前記温度検出手段としての前記PTCサーミスタは、前記各発熱部についてそれぞれその近傍に配置されており、
前記各PTCサーミスタが直列に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記充電制御回路の前記充電制御部は、前記温度検出手段としてNTCサーミスタを備え、
前記温度検出手段は、前記充電制御回路上で前記発熱部の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の充電システム。
【請求項5】
前記温度検出手段は、所定の抵抗値を有する抵抗器と直列に接続されており、
前記抵抗器の、前記温度検出手段と接続された端子とは反対側の端子からリファレンス電圧が印加され、
前記温度検出手段の、前記抵抗器と接続された端子とは反対側の端子は基準電位に接続されており、
前記温度検出手段と前記抵抗器とが接続されている部分の電圧値が、前記発熱部の温度の情報として前記充電制御部に入力されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の充電システム。
【請求項6】
前記発熱部は、前記充電制御回路内の前記内蔵電源への充電電流経路上に設けられ、前記充電制御部によりオン/オフ動作が制御されるスイッチ素子であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の充電システム。
【請求項7】
前記発熱部は、前記充電制御回路内の前記内蔵電源への充電電流経路上に設けられたインダクタであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の充電システム。
【請求項8】
前記発熱部は、前記充電制御回路内の前記内蔵電源への充電電流経路上に設けられ、前記充電電流経路を流れる電流を両極間の電位差として検出する充電電流検出用の抵抗部であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の充電システム。
【請求項9】
前記充電制御回路は、前記電子機器に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の充電システム。
【請求項10】
前記充電制御回路は、前記充電装置に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の充電システム。
【請求項11】
前記内蔵電源は、リチウムイオンキャパシタであることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の充電システム。
【請求項12】
前記電子機器は放射線画像撮影装置であることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の充電システム。
【請求項13】
前記充電装置はクレードルであることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の充電システム。
【請求項14】
充電可能な内蔵電源を内蔵するとともに、前記内蔵電源に対して、少なくとも充電電流が一定になるように充電を行う定電流充電を行い、前記電子機器の前記内蔵電源への充電を制御する充電制御回路を備える電子機器であって、
前記充電制御回路は、温度検出手段により検出された前記充電制御回路内での発熱部の温度の情報と、前記内蔵電源に充電されている充電電圧の情報とに応じて、前記内蔵電源に供給される前記充電電流を制御する充電制御部を備え、
前記充電制御部は、前記発熱部の温度が所定の温度範囲を越えて上昇すると、前記内蔵電源に供給する前記充電電流を下げるように制御することを特徴とする電子機器。
【請求項15】
電子機器に内蔵された充電可能な内蔵電源に対して、少なくとも充電電流が一定になるように充電を行う定電流充電を行い、前記電子機器の前記内蔵電源への充電を制御する充電制御回路を備える充電装置であって、
前記充電制御回路は、温度検出手段により検出された前記充電制御回路内での発熱部の温度の情報と、前記内蔵電源に充電されている充電電圧の情報とに応じて、前記内蔵電源に供給される前記充電電流を制御する充電制御部を備え、
前記充電制御部は、前記発熱部の温度が所定の温度範囲を越えて上昇すると、前記内蔵電源に供給する前記充電電流を下げるように制御することを特徴とする充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−227983(P2012−227983A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90547(P2011−90547)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】