説明

充電器

【課題】充電もしていない待機状態での消費電力を低減させることができる充電器を提供する。
【解決手段】スイッチング回路4の入力端子T2は、抵抗R2を介してコンデンサCzを接続し、そのコンデンサCzを第2フォトカプラ9のフォトトランジスタ9bのコレクタ・エミッタ間に接続した。間欠的な一次直流電圧の供給が停止され、出力電圧Vnが許容電圧未満になって、第2フォトカプラ9のフォトトランジスタ9bがオフされると、入力端子T2の端子電圧Vxを、コンデンサCzの容量と抵抗R2の抵抗値で決まる時定数で緩やかに時間を要して閾値まで上昇させる。これによって、出力トランスTRへの間欠的な一次直流電圧の供給再開を遅らせることができ、消費電力を低減させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二次電池、殊にリチウムイオン電池を充電する充電器が種々提案されている。例えば、充電待機の状態での消費電力を図った充電器が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
図3に示すように、例えば、この種の充電器1において、整流回路2は、商用電源3からの商用交流を整流する。その整流された直流電圧(一次直流電圧)は、平滑コンデンサC0にて平滑化される。整流回路2のハイ側の出力電源ラインは、出力トランスTRの1次巻線のプラス側外部接続端子に接続されている。出力トランスTRの1次巻線のマイナス側外部接続端子は、MOSトランジスタよりなるスイッチング素子Q1を介して整流回路2のロー側の出力電源ラインに接続されている。
【0004】
スイッチング素子Q1は、スイッチング制御回路4によって、オン・オフ制御される。即ち、スイッチング素子Q1は、スイッチング制御回路4からの制御信号SG1によって、オン・オフ制御される。これによって、出力トランスTRの2次巻線に発生した起電力は、二次巻線の両外部接続端子からダイオードD1,D2からなる整流回路Sを介して整流され、インダクタL1及び平滑コンデンサC1によって平滑されて直流の出力電圧Vnに変換される。
【0005】
そして、平滑コンデンサC1からの充電電流Icは、充電器側外部接続端子Tc1を介して複数のリチウム二次電池セルよりなる電池パック5の正極に供給される。電池パック5の負極から帰還する電流(充電電流Ic)は、充電器側外部接続端子Tc2から電流検出抵抗Rsを介して平滑コンデンサC1に帰還する。
【0006】
また、平滑コンデンサC1に対して、抵抗Raと抵抗Rbを直列接続した分圧回路が並列に接続されている。この抵抗Raと抵抗Rbの接続点の電圧(分圧電圧Vd)は、出力電圧検出回路6に出力される。出力電圧検出回路6は、入力した分圧電圧Vdに基づいて、充電中におけるその時々の電池パック5の充電電圧を検出する。
【0007】
定電流制御回路7は、電流検出抵抗Rsの端子間電圧を入力して、その時々の充電電流Icを検出する。定電流制御回路7は、充電電流Icが予め定められた値以上になると、第1フォトカプラ8の一次側の発光ダイオード8aを発光させ、二次側のフォトトランジスタ8bをオンせる。反対に、定電流制御回路7は、充電電流Icが予め定められた値未満になると、第1フォトカプラ8の一次側の発光ダイオード8aの発光を停止させ、二次側のフォトトランジスタ8bをオフせる。
【0008】
また、定電流制御回路7は、出力電圧検出回路6からの検出信号SG2に基づいて、第1フォトカプラ8を駆動制御する。
第1フォトカプラ8のフォトトランジスタ8bのコレクタは、スイッチング制御回路4の第1入力端子T1に接続され、フォトトランジスタ8bのエミッタは整流回路2のロー側の出力電源ラインに接続され接地されている。そして、スイッチング制御回路4の第1入力端子T1は、高電位にプルアップされている。
【0009】
従って、発光ダイオード8aが発光して、フォトトランジスタ8bがオンすると、スイッチング制御回路4の第1入力端子T1の電位は低電位(接地電圧:Lレベル)となる。反対に、発光ダイオード8aの発光が停止して、フォトトランジスタ8bがオフすると、スイッチング制御回路4の第1入力端子T1の電位は高電圧(Hレベル)となる。
【0010】
そして、スイッチング制御回路4は、第1入力端子T1の電位に基づいてスイッチング素子Q1をオン・オフ制御(発振制御)して、電池パック5に充電電流Icを供給して充電する。
【0011】
また、充電器1には、前記平滑コンデンサC1に対して、許容電圧検出回路を構成するツェナーダイオードDz、抵抗R1、第2フォトカプラ9(一次側の発光ダイオード9a)からなる直列回路が並列に接続されている。ツェナーダイオードDzは、平滑コンデンサC1間の出力電圧Vnが予め定めた最大の電圧(許容電圧Vmax)以上になると導通し、第2フォトカプラ9の一次側の発光ダイオード9aを発光させる。
【0012】
第2フォトカプラ9は、一次側の発光ダイオード9aが発光すると、二次側のフォトトランジスタ9bがオンし、反対に、一次側の発光ダイオード9aが発光を停止すると、二次側のフォトトランジスタ9bがオフする。
【0013】
第2フォトカプラ9のフォトトランジスタ9bのコレクタは、抵抗R2を介してスイッチング制御回路4の第2入力端子T2に接続され、フォトトランジスタ9bのエミッタは整流回路2のロー側の出力電源ラインに接続され接地されている。スイッチング制御回路4の第2入力端子T2は、ゼロボルトである接地電圧(以下、第1基準電圧Vk1という)より高い電圧(以下、第2基準電圧Vk2という)にプルアップされている。
【0014】
従って、発光ダイオード9aが発光して、フォトトランジスタ9bがオンすると、スイッチング制御回路4の第2入力端子T2の端子電圧Vxは第2基準電圧Vk2から第1基準電圧Vk1となる。反対に、発光ダイオード9aの発光が停止して、フォトトランジスタ9bがオフすると、スイッチング制御回路4の第2入力端子T2の端子電圧Vxは第1基準電圧Vk1から第2基準電圧Vk2となる。
【0015】
そして、充電中に平滑コンデンサC1間の出力電圧Vnが予め定めた許容電圧Vmax以上になると、第2フォトカプラ9の発光ダイオード9aが発光して、フォトトランジスタ9bがオンすることによって、スイッチング制御回路4の第2入力端子T2の端子電圧Vxは第2基準電圧Vk2から第1基準電圧Vk1に反転する。スイッチング制御回路4は、この第2入力端子T2の端子電圧Vxが第1基準電圧Vk1と第2基準電圧Vk2との中間にある閾値Vth未満になることによって、制御信号SG1を消失してスイッチング素子Q1をオフ状態に保持(発振制御を停止)する。
【0016】
そして、スイッチング素子Q1がオフ状態に保持されることによって、出力電圧Vnが許容電圧Vmax未満になると、第2フォトカプラ9の発光ダイオード9aが発光を停止して、フォトトランジスタ9bがオフする。これによって、スイッチング制御回路4の第2入力端子T2の端子電圧Vxは第1基準電圧Vk1から第2基準電圧Vk2に反転する。スイッチング制御回路4は、この第2入力端子T2の端子電圧Vxが閾値Vth以上になることによって、制御信号SG1を出力してスイッチング素子Q1をオン・オフ制御(発振制御)し電池パック5に対して安定な電源を供給するようになっている。
【特許文献1】特開2007−143279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところで、上記した充電器1において、電池パック5が装着されておらず、充電もしていないにも拘わらず、充電器1は周期的に駆動(発振)と停止を繰返している。すなわち、商用電源3に接続した状態において、電池パック5の装着を待つ待機状態においてもスイッチング制御回路4は、スイッチング素子Q1をオン・オフ制御させている。従って、このオン・オフ動作により少なからず商用電源3の電力を消費している。
【0018】
詳述すると、電池パック5が充電器1に装着されていないとき、平滑コンデンサC1間の出力電圧Vnは、電池パック5を充電しているときの電圧より高い電圧まで上昇しようとする。このとき、出力電圧Vnが、ツェナーダイオードDzが導通する最大電圧Vk以上になると、抵抗R1を介して第2フォトカプラ9に電流が流れ、第2フォトカプラ9のフォトトランジスタ9bがオンして、スイッチング制御回路4の第2入力端子T2の端子電圧Vxを、閾値Vthより低い第1基準電圧Vk1にする。
【0019】
スイッチング制御回路4は、第2入力端子T2の端子電圧Vxが閾値Vthより低くなると、スイッチング素子Q1の発振を停止させる。このとき、実際は出力電圧Vnが許容電圧Vmaxを超えても、スイッチング制御回路4の動作遅れ等により、図4(a)(b)に示すように、短い時間の時刻t2間は、スイッチング素子Q1の発振は継続する。よって、図4(a)に示すように、出力電圧Vnが許容電圧Vmaxより少し高い状態まで上昇した時点でスイッチング素子Q1の発振は停止する。
【0020】
その後、平滑コンデンサC1に蓄えられた電荷は、抵抗Ra,Rbによる放電や自己放電により出力電圧Vnが低下し、時間t1後に出力電圧Vnが許容電圧Vk以下になると、ツェナーダイオードDzが非導通になり、第2フォトカプラ9のフォトトランジスタ9bはオフする。
【0021】
すると、スイッチング制御回路4の第2入力端子T2の端子電圧Vxは、図4(c)に示すように、閾値Vthより高い第2基準電圧Vk2まで一気に上昇するため、スイッチング素子Q1の発振は再開する。
【0022】
その後、出力電圧Vnは、すぐに許容電圧Vmaxより高くなるので、前述のプロセスでスイッチング素子Q1の発振は停止する。これを繰り返すことにより、充電器1は、充電もしていないにも拘わらず、駆動状態と停止状態を繰返す間欠動作を行うことになる。
【0023】
従って、このような電池を充電していないときの消費電力が発生していることは、低消費電力化を図る上で問題があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、充電もしていない待機状態での消費電力を低減させることができる充電器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
請求項1に記載の発明は、スイッチング素子のオン・オフ動作にて、一次直流電圧が間欠的に一次側巻線に印加され、二次側巻線に起電力を出力する出力トランスと、前記出力トランスから出力される起電力を整流して、二次電池に充電のために供給するための出力電圧を生成する整流回路と、前記出力電圧が予め定めた許容電圧以上になった時、検出信号を出力する許容電圧検出回路と、前記許容電圧検出回路からの検出信号を入力し、該検出信号に応答して、前記スイッチング素子のオン・オフ動作を停止させるとともに、該検出信号が消失した時、前記スイッチング素子のオン・オフ動作を再開させる制御回路と
を備えた充電器であって、前記許容電圧検出回路からの検出信号の消失を遅延させて前記制御回路に出力する遅延回路を設けた。
【0025】
請求項1に記載の発明によれば、出力電圧が予め定めた許容電圧以上になった時、許容電圧検出回路から検出信号が出力され、制御回路は、スイッチング素子のオン・オフ動作を停止させる。これによって、出力トランスへの間欠的な一次直流電圧の供給が停止される。そして、間欠的な一次直流電圧の供給が停止されると、出力電圧が予め定めた許容電圧未満になると、許容電圧検出回路からの検出信号が消失し、制御回路は、スイッチング素子のオン・オフ動作を再開させる。これによって、出力トランスへの間欠的な一次直流電圧の供給が再開される。
【0026】
このとき、許容電圧検出回路からの検出信号の消失は、遅延回路にて制御回路に入力されるため、制御回路によるスイッチング素子のオン・オフ動作の再開が遅れる。従って、出力トランスへの間欠的な一次直流電圧の供給再開が遅れることから、消費電力が低減される。
【0027】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の充電器において、前記許容電圧検出回路は、ツェナーダイオード、フォトカプラを有し、前記出力電圧が予め定めた許容電圧以上になった時、前記ツェナーダイオードが導通し、その導通に基づいて前記フォトカプラの発光ダイオードが発光し、その発光に基づいて前記フォトカプラのフォトトランジスタがオフからオンし、そのオン信号を前記検出信号として前記遅延回路を介して前記制御回路の入力端子に出力する。
【0028】
請求項2に記載の発明によれば、出力電圧が予め定めた許容電圧以上になった時、ツェナーダイオードは導通してフォトカプラの発光ダイオードを発光させる。そして、発光ダイオードの発光にてフォトカプラのフォトトランジスタがオフからオンする。そして、オフからオンに反転した検出信号が遅延回路を介して制御回路の入力端子に出力される。
【0029】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の充電器において、前記制御回路は、前記入力端子が予め定めた第1基準電圧より高い電位の予め定めた第2基準電圧にプルアップされ、前記入力端子の電位が第1基準電圧と第2基準電圧との間に設定した閾値以上になった時、前記スイッチング素子のオン・オフ動作を停止させるとともに、前記閾値未満になった時、前記スイッチング素子のオン・オフ動作を再開させる。
【0030】
請求項3に記載の発明によれば、検出信号により、入力端子の電位が閾値以上になった時、制御回路は、出力電圧が許容電圧以上になったと判断して、スイッチング素子のオン・オフ動作を停止させる。反対に、検出信号の消失により、入力端子の電位が閾値未満になった時、制御回路は、出力電圧が許容電圧未満になったと判断して、スイッチング素子のオン・オフ動作を再開させる。
【0031】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の充電器において、前記閾値は第1基準電圧と第2基準電圧の中間値であり、前記第1基準電圧は接地電圧である。
請求項4に記載の発明によれば、入力端子の電位が第1基準電圧と第2基準電圧の中間値以上になった時、制御回路は、スイッチング素子のオン・オフ動作を停止させる。反対に、入力端子の電位が第1基準電圧と第2基準電圧の中間値未満になった時、制御回路は、スイッチング素子のオン・オフ動作を再開させる。
【0032】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の充電器において、前記遅延回路はコンデンサであって、前記コンデンサは前記フォトカプラのフォトトランジスタのコレクタ・エミッタ間に並列に接続され、前記制御回路の前記入力端子は、前記フォトカプラのフォトトランジスタのコレクタに接続され、前記フォトカプラのフォトトランジスタのエミッタはグランドに接続されている。
【0033】
請求項5に記載の発明によれば、フォトトランジスタのオンにより、コンデンサは電荷を、フォトトランジスタを介して放電する。反対に、フォトトランジスタのオフにより、コンデンサは入力端子から電荷が充電される。コンデンサの充電電圧は、この電荷の充放電により、制御回路の入力端子の電位を閾値未満にさせるタイミングを遅らせることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、充電もしていない待機状態での消費電力を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明を具体化した充電器の一実施形態を図1に従って説明する。
本実施形態では、図3で示した従来の充電器に具体化したので、説明の便宜上、同一の構成については符号を付して、その詳細な説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0036】
図1において、第2フォトカプラ9のフォトトランジスタ9bには、遅延回路20が接続されている。遅延回路20は、コンデンサCzにて構成されている。コンデンサCzは、フォトトランジスタ9bのコレクタ・エミッタ間に接続されている。
【0037】
そして、フォトトランジスタ9bがオフ状態のとき、コンデンサCzは、第2基準電圧Vk2にプルアップされた入力端子T2から抵抗R2を介して電荷が充電される。従って、コンデンサCzのコレクタ側電圧(充電電圧)は、第2基準電圧Vk2となっている。
【0038】
この状態から、フォトトランジスタ9bがオン状態になると、コンデンサCzは、その充電した電荷を、フォトトランジスタ9bを介して放電する。このとき、フォトトランジスタ9bのオン抵抗は非常に小さな値なので、コンデンサCzに充電された電荷は瞬時に放電される。その結果、スイッチング制御回路4の入力端子T2の端子電圧Vxは、第2基準電圧Vk2から閾値Vthより低い第1基準電圧Vk1に瞬時に落ちる。そして、フォトトランジスタ9bがオン状態のとき、コンデンサCzは、電荷が放電されているので、コンデンサCzのコレクタ側電圧は、即ち、入力端子T2の端子電圧Vxは、第1基準電圧Vk1となっている。
【0039】
この状態から、フォトトランジスタ9bがオフ状態になると、コンデンサCzは、入力端子T2から抵抗R2を介して電荷を充電する。このとき、コンデンサCzの充電電圧(即ち入力端子T2の端子電圧Vx)は、コンデンサCzの容量と抵抗R2の抵抗値で決まる時定数で緩やかに上昇する。電荷がコンデンサCzに緩やかに充電されることから、スイッチング制御回路4の入力端子T2の端子電圧Vxは、第1基準電圧Vk1から閾値Vthに到達するまでに時間を要し、さらに高い電位の第2基準電圧Vk2に到達するまでさらに時間を要すことになる。
【0040】
このことから、スイッチング制御回路4は、フォトトランジスタ9bがオフ状態からオン状態になると、即ち、出力電圧Vnが許容電圧Vmax以上になると、直ちにスイッチング素子Q1のオン・オフ動作を停止させ、出力トランスTRへの一次直流電圧の間欠的な供給を停止させる。反対に、スイッチング制御回路4は、フォトトランジスタ9bがオン状態からオフ状態になると、即ち、出力電圧Vnが許容電圧Vmax未満になると、遅れてスイッチング素子Q1のオン・オフ動作を再開させ、出力トランスTRへの一次直流電圧の間欠的な供給を再開させる。
【0041】
次に、上記のように構成した充電器1の充電動作を説明する。
いま、充電器1は商用電源3に接続した状態にあって、電池パック5が装着されるのを待つ待機状態にある。この待機状態において、スイッチング制御回路4は、平滑コンデンサC1間の出力電圧Vnに基づいてスイッチング素子Q1をオン・オフ動作させて出力電圧Vnを生成している。
【0042】
そして、図2(a)に示す時間aにおいて出力電圧Vnが許容電圧Vmaxまで到達すると、ツェナーダイオードDzが導通し、第2フォトカプラ9の発光ダイオード9aが発光する。発光ダイオード9aの発光に応答してフォトトランジスタ9bがオンすると、コンデンサCzの電荷が直ちに放電され、入力端子T2の端子電圧Vxは、図2(c)に示すように、直ちに第1基準電圧Vk1まで落ちる。スイッチング制御回路4は、端子電圧Vxが閾値Vth以上になると、出力電圧Vnが許容電圧Vmaxを到達したとして、制御信号SG1の出力を消失し、スイッチング素子Q1のオン・オフ動作を停止する。このとき、スイッチング制御回路4は、内部動作処理の遅れによって、図2(b)に示すように、制御信号SG1の消失が遅れてスイッチング素子Q1のオン・オフ動作の停止が遅れる。従って、出力電圧Vnは、少し遅れた時間bから減少していく。
【0043】
やがて、時間cにおいて出力電圧Vnが許容電圧Vmax未満になると、ツェナーダイオードDzが非導通になり、第2フォトカプラ9の発光ダイオード9aが消灯する。発光ダイオード9aの消灯に応答してフォトトランジスタ9bがオフすると、コンデンサCzへの電荷の充電が開始される。コンデンサCzの充電電圧、すなわち、入力端子T2の端子電圧Vxは、図2(c)に示すように、コンデンサCzの容量と抵抗R2の抵抗値で決まる時定数で緩やかに時間を要して閾値Vthまで上昇する。
【0044】
そして、時間dになって、入力端子T2の端子電圧Vxが閾値Vthまで上昇すると、スイッチング制御回路4は、制御信号SG1の出力を出力し、スイッチング素子Q1のオン・オフ動作を再開する。これによって、出力電圧Vnは、上昇していく。
【0045】
すなわち、スイッチング制御回路4によるスイッチング素子Q1のオン・オフ動作の再開は、出力電圧Vnが許容電圧Vmax未満になった時間cよりさらに遅い時間dから行われる。従って、スイッチング素子Q1のオン・オフ動作の再開が遅くなることから、出力トランスTRに印加する一次直流電圧の供給時間が短くなり、商用電源3の消費電力を低減させることができる。
【0046】
次に、上記のように構成した実施形態の効果を以下に記載する。
(1)上記実施形態によれば、スイッチング回路4の入力端子T2は、抵抗R2を介してコンデンサCzを接続し、そのコンデンサCzを第2フォトカプラ9のフォトトランジスタ9bのコレクタ・エミッタ間に接続した。
【0047】
そして、間欠的な一次直流電圧の供給が停止され、出力電圧Vnが許容電圧Vmax未満になって、第2フォトカプラ9のフォトトランジスタ9bがオフされると、入力端子T2の端子電圧Vxを、コンデンサCzの容量と抵抗R2の抵抗値で決まる時定数で緩やかに時間を要して閾値Vthまで上昇させるようにした。
【0048】
従って、出力トランスTRへの間欠的な一次直流電圧の供給再開を遅らせることができ、消費電力を低減させることができる。
(2)上記実施形態によれば、遅延回路20としてコンデンサCzを用いたので、簡単な構成で、しかも、容量を変えるだけで、出力トランスTRへの間欠的な一次直流電圧の供給再開を適宜の時間に簡単に遅らせることができる。
【0049】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、遅延回路20をコンデンサCzで構成した。これを、例えば、複数縦列に接続したインバータ回路からなる遅延回路で構成し、先頭のインバータ回路に第2フォトカプラ9のフォトトランジスタ9bのオン・オフ信号を入力し、最終段のインバータ回路からのオン・オフ信号を入力端子T2に出力する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明を具体化した充電器の電気回路図。
【図2】同じく充電器の待機状態での動作を説明する図であって、(a)は出力電圧の推移を示すグラフ、(b)はスイッチング素子のオン・オフ動作の停止期間と再開期間を示すグラフ、(c)はコンデンサの充電電圧の推移を示すグラフ。
【図3】従来の充電器を説明するための電気回路図。
【図4】従来の充電器の待機状態での動作を説明する図であって、(a)は出力電圧の推移を示すグラフ、(b)はスイッチング素子のオン・オフ動作の停止期間と再開期間を示すグラフ、(c)はコンデンサの充電電圧の推移を示すグラフ。
【符号の説明】
【0051】
1…充電器、2…整流回路、3…商用電源、4…スイッチング制御回路、5…電池パック、9…第2フォトカプラ、9a…発光ダイオード、9b…フォトトランジスタ、20…遅延回路、D1,D2…ダイオード、Dz…ツェナーダイオード、C1…コンデンサ、Cz…コンデンサ、R1,R2…抵抗、Q1…スイッチング素子、T2…入力端子、TR…出力トランス、Vk1…第1基準電圧、Vk2…第2基準電圧、Vn…出力電圧、Vmax…許容電圧、Vth…閾値、Vx…端子電圧。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子のオン・オフ動作にて、一次直流電圧が間欠的に一次側巻線に印加され、二次側巻線に起電力を出力する出力トランスと、
前記出力トランスから出力される起電力を整流して、二次電池に充電のために供給するための出力電圧を生成する整流回路と、
前記出力電圧が予め定めた許容電圧以上になった時、検出信号を出力する許容電圧検出回路と、
前記許容電圧検出回路からの検出信号を入力し、該検出信号に応答して、前記スイッチング素子のオン・オフ動作を停止させるとともに、該検出信号が消失した時、前記スイッチング素子のオン・オフ動作を再開させる制御回路と
を備えた充電器であって、
前記許容電圧検出回路からの検出信号の消失を遅延させて前記制御回路に出力する遅延回路を設けたことを特徴とする充電器。
【請求項2】
請求項1に記載の充電器において、
前記許容電圧検出回路は、ツェナーダイオード、フォトカプラを有し、前記出力電圧が予め定めた許容電圧以上になった時、前記ツェナーダイオードが導通し、その導通に基づいて前記フォトカプラの発光ダイオードが発光し、その発光に基づいて前記フォトカプラのフォトトランジスタがオフからオンし、そのオン信号を前記検出信号として前記遅延回路を介して前記制御回路の入力端子に出力することを特徴とする充電器。
【請求項3】
請求項2に記載の充電器において、
前記制御回路は、前記入力端子が予め定めた第1基準電圧より高い電位の予め定めた第2基準電圧にプルアップされ、前記入力端子の電位が第1基準電圧と第2基準電圧との間に設定した閾値以上になった時、前記スイッチング素子のオン・オフ動作を停止させるとともに、前記閾値未満になった時、前記スイッチング素子のオン・オフ動作を再開させることを特徴とする充電器。
【請求項4】
請求項3に記載の充電器において、
前記閾値は第1基準電圧と第2基準電圧の中間値であり、前記第1基準電圧は接地電圧であることを特徴とする充電器。
【請求項5】
請求項4に記載の充電器において、
前記遅延回路はコンデンサであって、前記コンデンサは前記フォトカプラのフォトトランジスタのコレクタ・エミッタ間に並列に接続され、
前記制御回路の前記入力端子は、前記フォトカプラのフォトトランジスタのコレクタに接続され、前記フォトカプラのフォトトランジスタのエミッタはグランドに接続されていることを特徴とする充電器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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