説明

充電式ワイヤレスマイク

【課題】3分以内で容量の80%まで急速充電が可能なリチウム二次電池を電源として装填され、かつワイヤレスマイク本体の動きに合わせて発光量を変化させることを可能な発光体を有する充電式ワイヤレスマイクを提供する。
【解決手段】ワイヤレスマイク本体と、
前記本体内に装填され、リチウムチタン酸化物を活物質として含む負極を有するリチウムイオン二次電池と、このワイヤレスマイク本体に設けられ、前記二次電池からの電力供給により動作する加速度センサと、前記ワイヤレスマイク本体に設けられ、前記二次電池からの電力供給により発光される発光体とを具備し、前記加速度センサは、前記ワイヤレスマイク本体の動きに伴う加速度を検知し、この検知信号に基づいて前記発光体の発光量を制御することを特徴とする充電式ワイヤレスマイク。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケ、イベント、コンサートなどで使用する充電式ワイヤレスマイクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、充電式ワイヤレスマイクの電源にはニッケルカドミウム二次電池またはニッケル水素二次電池が用いられている。また、最近では炭素材料を負極材料として含むリチウムイオン二次電池が用いられている。これらの充電式二次電池は、通常その充電に1時間から2時間を要するために、使用頻度が多い場合や電池容量を超えるような長時間の利用には交換用二次電池やマイク自体を別途に用意している。このため、コスト的な課題があった。
【0003】
一方、特許文献1には二次電池を内蔵し、入力された音声信号を光信号に変換して送信する光ワイヤレスマイク装置が開示されている。しかしながら、このようなマイク装置においても内蔵した二次電池は、通常その充電に1時間から2時間を要するために、使用頻度が多い場合や電池容量を超えるような長時間の利用には交換用二次電池やマイク自体を別途に用意する必要がある。
【特許文献1】特開2003−244076
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、3分以内で容量の80%まで急速充電が可能なリチウム二次電池を電源として装填され、かつワイヤレスマイク本体の動きに合わせて発光量を変化させることを可能な発光体を有する充電式ワイヤレスマイクを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によると、ワイヤレスマイク本体と、
前記本体内に装填され、リチウムチタン酸化物を活物質として含む負極を有するリチウムイオン二次電池と、
前記ワイヤレスマイク本体に設けられ、前記二次電池からの電力供給により動作する加速度センサと、
前記ワイヤレスマイク本体に少なくとも設けられ、前記二次電池からの電力供給により発光される発光体と
を具備し、
前記加速度センサは、前記ワイヤレスマイク本体の動きに伴う加速度を検知し、この検知信号に基づいて前記発光体の発光量を制御することを特徴とする充電式ワイヤレスマイクが提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、3分以内で容量の80%まで急速充電が可能なリチウム二次電池を電源として装填され、かつワイヤレスマイク本体の動きに合わせて発光量を変化させることを可能な発光体を有し、コストの低減と装飾性を高めた充電式ワイヤレスマイクを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態に係る充電式ワイヤレスマイクを図面を参照して詳細に説明する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、実施形態に係るハンディー型の充電式ワイヤレスマイクを示す正面図、図2は図1の充電式ワイヤレスマイクの等価回路図である。
【0009】
逆円錐台形状のワイヤレスマイク本体1には、図示しない電源であるリチウム二次電池が装填されている。この二次電池は、後述するようにリチウムチタン酸化物を活物質として含む負極を有する。この二次電池からの電力供給により動作する集音部材2は、前記本体1の拡口した一端部に取り付けられている。アンテナ3は、前記集音部材2と反対側の前記本体1の他端部から延出されている。オン・オフスイッチ4は、前記本体1の側面に設けられている。前記二次電池を充電する際に電源に接続されたアダプタ端子が挿入される充電用端子5は、前記本体1の側面に設けられている。要充電ランプ6は、前記本体1の側面に例えば前記充電用端子5に隣接して設けられている。
【0010】
前記二次電池からの電力供給により発光する複数の発光ダイオードのような発光体7は、前記集音部材2の側面周りおよびこの集音部材2に隣接した前記本体1の一端部の側面周りに所望の間隔をあけて設けられている。加速度センサ(図示せず)は、前記本体1内に前記発光体7に接続するように内蔵されている。この加速度センサは、前記二次電池からの電力供給により前記本体1動きに伴う加速度を検出する。
【0011】
前述した充電式ワイヤレスマイクを図2に示す等価回路図を参照して説明する。
【0012】
集音系統10および発光系統20は、オン・オフスイッチ4およびリチウムイオン二次電池30に対して並列的に接続されている。
【0013】
前記集音系統10は、前記集音部材2、低周波増幅器11、発振器12、高周波増幅器13および発振搬送波器14がこの順序で接続して構成されている。この発振搬送波器14は、前記アンテナ3に接続されている。
【0014】
前記発光系統20は、加速度センサ21、制御器22および発光体7がこの順序で接続して構成されている。この加速度センサ21は、加速度検出器、ノイズフィルタおよび増幅器(いずれも図示せず)がこの順序で接続して構成され、前記本体1の動きに伴う加速度を検出し、その検出信号を増幅する。前記制御器22は、前記加速度センサ21からの検出信号に基づいて前記発光体7から放出される発光量を制御する。
【0015】
このような構成のハンディー型の充電式ワイヤレスマイクにおいて、オン・オフスイッチ4をオンすると、二次電池30の電力が集電系統10および発光系統20に供給される。この状態で声を出すと、集電系統10の集電部材2で音を拾い、低周波増幅器11、発振器12、高周波増幅器13で増幅され、発振搬送波器14およびアンテナ3から無線でスピーカに送られる。
【0016】
一方、発光系統20において、前記ワイヤレスマイク本体1の動きに伴う加速度を加速度センサ21の加速度検出器で検出し、その検出信号はノイズフィルタを通して増幅器で増幅される。加速度センサ21において増幅された検出信号は、制御器22に出力され、この制御器22から入力された加速度に関連する検出信号に応じて発光体7の発光量を制御するための信号が発光体6に出力される。すなわち、前記ワイヤレスマイク本体1の動き(加速度)を加速度センサ21で検出し、制御器22で発光体7からの発光量の制御し、発光体7からの発光量が変化させる。例えば、前記ワイヤレスマイク本体1の動きが激しくなると、発光体7からの発光量が増大する。
【0017】
前述した操作において、リチウム二次電池30の容量が低下すると、要充電ランプ6が点灯する。このような点灯時には、オン・オフスイッチ4をオフし、商用電源に接続されアダプタ端子を充電用端子5に挿入した充電を行う。
【0018】
前記リチウム二次電池は、リチウムチタン酸化物を活物質として含む負極を備えている。活物質であるリチウムチタン酸化物は、特開2005−123183に開示されるとおり、リチウムを吸蔵・放出可能な材料であり、リチウムイオンの挿入・離脱が1.4Vから1.7V/Li付近で行われる。このため、この二次電池は大電流での急速充電を行っても、従来の負極活物質に炭素材料を用いた場合と比べてリチウムの析出が起こらずに安全性を確保できる。また、リチウムの吸蔵放出に伴う膨張収縮が生じるのを抑制することができるため、20C電流の急速充電を繰り返し行った際にも負極活物質の構造破壊を抑えることができる。その結果、充放電を繰り返し行った場合においても長い寿命を維持できる。電池の電位としては2.4V程度であることから、従来のニッケル水素蓄電池やニッケルカドミウム蓄電池の2本直列分に相当するため、DC2.4V仕様の充電式ワイヤレスマイクと互換性を有し、使用本数で50%の減量化が達成できる。
【0019】
具体的には、以下のような方法で組み立てたリチウムイオン二次電池は20Cで3分間充電することにより約80%電池容量まで充電することが可能な急速充電二次電池であることを確認した。ここで、『C』は充放電率を表す単位であり、完全放電から完全充電(または完全充電から完全放電)までを定電流充電した場合に計算上1時間で行えるレートを1Cとして表現する。1/10時間の場合、10Cと表現する。したがって、例えば20C充電とは、1C充電の20倍の電流が必要になる。
【0020】
<負極の作製>
活物質として、平均粒子径5μmでLi吸蔵電位が1.55V(vs.Li/Li+)のチタン酸リチウム(Li4Ti512)粉末と、導電剤として平均粒子径0.4μmの炭素粉末と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを重量比で90:7:3となるように配合し、これらをn−メチルピロリドン(NMP)溶媒に分散してスラリーを調製した。
【0021】
なお、活物質の粒子径の測定には、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所株式会社 型番SALD−300)を用いた。まず、ビーカー等に試料約0.1gを入れた後、界面活性剤と1〜2mLの蒸留水を添加して十分に攪拌し、攪拌水槽に注入した。2秒間隔で、64回光強度分布を測定し、粒度分布データを解析し、累積度数分布が50%の粒径(D50)を平均粒子径とした。
【0022】
次いで、厚さ10μmのアルミニウム箔(純度99.99%)を負極集電体に前記スラリーを塗布し、乾燥した後、プレスを施すことにより電極密度2.4g/cm3の負極を作製した。
【0023】
<正極の作製>
活物質としてリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)と、導電材として黒鉛粉末と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを重量比で87:8:5となるように配合し、これらをn−メチルピロリドン(NMP)溶媒に分散させてスラリーを調製した。厚さ15μmのアルミニウム箔(純度99.99%)にスラリーを塗布し、乾燥した後、プレスすることにより電極密度3.5g/cm3の正極を作製した。
【0024】
<二次電池の組み立て>
容器(外装部材)の形成材料として、厚さが0.1mmのアルミニウム含有ラミネートフィルムを用意した。このアルミニウム含有ラミネートフィルムのアルミニウム層は、膜厚約0.03mmであった。アルミニウム層を補強する樹脂には、ポリプロピレンを使用した。このラミネートフィルムを熱融着で貼り合わせることにより、容器(外装部材)を得、さらに金属アルミニウムの容器に収めた。
【0025】
次いで、前記正極に帯状の正極端子を電気的に接続すると共に、前記負極に帯状の負極端子を電気的に接続した。厚さ12μmのポリエチレン製多孔質フィルムからなるセパレータを正極に密着させて被覆した。セパレータで被覆された正極に負極を対向するように重ね、これらを渦巻状に捲回して電極群を作製した。この電極群をプレスして扁平状に成形した。容器(外装部材)に扁平状に成形した電極群を挿入した。
【0026】
エチレンカーボネート(EC)とγ−ブチルラクトン(GBL)が体積比(EC:GBL)で1:2の割合で混合された有機溶媒にリチウム塩であるLiBF4を1.5mol/L溶解させ、液状の非水電解質を調製した。得られた非水電解質を前記容器内に注液し、リチウム二次電池を組み立てた。この二次電池は、満充電時電圧2.8V、放電終止電圧1.5Vで使用できた。
【0027】
以上説明した第1実施形態に係るハンディー型の充電式ワイヤレスマイクは、リチウムチタン酸化物を活物質として含む負極を有するリチウムイオン二次電池30、つまり大電流での急速充電が可能なリチウムイオン二次電池30をワイヤレスマイク本体1に装填されているため、使用頻度が多い場合や電池容量を超えるような長時間の利用において、短時間での充電(例えば3分間以内で80%の容量の急速充電)を行うことができる。その結果、交換用二次電池やマイク自体を別途に用意する必要がないため、コスト的な課題を解決できる。
【0028】
また、大電流での急速充電が可能なリチウムイオン二次電池30をワイヤレスマイク本体1に装填することによって、充電に1時間から2時間を要する二次電池が装填された従来の充電式ワイヤレスマイクでは実質的困難であった消費電力がより大きな発光体7を並設することができる。その上、この発光体7に加速度センサ21を制御器22を通して接続した構成にすることによって、加速度センサ21により本体1の動き(加速度)の検出し、制御器22により発光体7からの発光量を制御、つまり発光量を変化できるため、装飾性、遊び心を発現できる。その結果、カラオケ、イベント、コンサートにおいて従来の充電式ワイヤレスマイクに比べて場の雰囲気を盛り上げることができる等の付加価値を持つハンディー型の充電式ワイヤレスマイクを提供できる。
【0029】
次に、第2実施形態に係る充電式ワイヤレスマイクであるヘッドセットマイクを図3を参照して説明する。
【0030】
ワイヤレスマイク本体である円弧状のヘッド固定部材41は、一端にドーナツ板からなる耳当部42、他端に矩形板状の当部43を有する。このヘッド固定部材41には、図示しない電源であるリチウム二次電池が装填されている。この二次電池は、前述した第1実施形態1と同様、リチウムチタン酸化物を活物質として含む負極を有する。この二次電池からの電力供給により動作する集音部材44は、前記耳当部42に支持棒45を通して取り付けられている。オン・オフスイッチ46は、前記耳当部42に設けられている。前記二次電池を充電する際に電源端子が挿入される充電用端子47は、前記耳当部42に設けられている。要充電ランプ48は、前記耳当部42に例えば前記充電用端子47に隣接して設けられている。
【0031】
聴音部材49は、前記当部42にワイヤ50を通して取り付けられている。アンテナ51は、前記当部42にから延出されている。前記二次電池からの電力供給により発光する複数の発光ダイオードのような発光体52は、前記ヘッド固定部材41の側面、前記当部43およびアンテナ51先端に設けられている。加速度センサ(図示せず)は、前記ヘッド固定部材41内に前記発光体52に接続するように内蔵されている。この加速度センサは、前記二次電池からの電力供給により前記ヘッド固定部材41の動きに伴う加速度を検出する。
【0032】
このようなヘッドセットマイクの等価回路は、聴音部材49が付加された以外、実質的に第1実施形態で説明した図2と同様である。
【0033】
以上説明した第2実施形態に係るヘッドセットマイクは、リチウムチタン酸化物を活物質として含む負極を有するリチウムイオン二次電池、つまり大電流での急速充電が可能なリチウムイオン二次電池をヘッド固定部材41に装填されているため、使用頻度が多い場合や電池容量を超えるような長時間の利用において、短時間での充電(例えば3分間以内で80%の容量の急速充電)を行うことができる。その結果、交換用二次電池やマイク自体を別途に用意する必要がないため、コスト的な課題を解決できる。
【0034】
また、大電流での急速充電が可能なリチウムイオン二次電池をヘッド固定部材41に装填することによって、充電に1時間から2時間を要する二次電池が装填された従来のヘッドセットマイクでは実質的困難であった消費電力より大きな発光体52を並設することができる。その上、この発光体52に加速度センサを制御器(いずれも図示せず)を通して接続した構成にすることによって、加速度センサによりヘッド固定部材41の動き(加速度)の検出し、制御器により発光体52からの発光量を制御、つまり発光量を変化できるため、装飾性、遊び心を発現できる。その結果、イベント、コンサートにおいて従来のヘッドセットマイクに比べて場の雰囲気を盛り上げることができる等の付加価値を持つヘッドセットマイクを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施形態に係るハンディー型の充電式ワイヤレスマイクを示す正面図。
【図2】本発明の第1実施形態に係るハンディー型の充電式ワイヤレスマイクの等価回路図。
【図3】本発明の第2実施形態に係るヘッドセットマイクを示す斜視図。
【符号の説明】
【0036】
1…ワイヤレスマイク本体、2,44…集音部材、3,51…アンテナ、7,52…発光体、10…集音系統、20…発光系統、21…加速度センサ、22…制御器、41…ヘッド固定部材、49…聴音部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレスマイク本体と、
前記本体内に装填され、リチウムチタン酸化物を活物質として含む負極を有するリチウムイオン二次電池と、
前記ワイヤレスマイク本体に設けられ、前記二次電池からの電力供給により動作する加速度センサと、
前記ワイヤレスマイク本体に少なくとも設けられ、前記二次電池からの電力供給により発光される発光体と
を具備し、
前記加速度センサは、前記ワイヤレスマイク本体の動きに伴う加速度を検知し、この検知信号に基づいて前記発光体の発光量を制御することを特徴とする充電式ワイヤレスマイク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−235726(P2007−235726A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−56511(P2006−56511)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(000003539)東芝電池株式会社 (109)
【Fターム(参考)】