説明

充電式刺激リード、システム、および方法

植込み型電気刺激リード、方法、およびシステムを提供する。システムの部品は、密閉された集積回路のコントローラ、2個以上の密封された個別にアドレス指定可能なサテライト電極構造体および誘導体電源を含む。リードは、ハウジング、ハウジング内に配置された導電体および、ハウジング内に固定されたアドレス指定可能な刺激ユニットを含む。各刺激ユニットは、密閉された集積回路およびそれぞれが電気的に相互に絶縁された複数の電極を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連する出願と相互参照)
本願は、2008年11月13日に出願された、米国仮出願第61/114,443号の利益を主張する。当該出願の全開示内容は、参照することで本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は、対象部位の刺激のための電気デバイスおよびシステム、より具体的には、個々にアドレス指定可能であり、誘導電源および電力貯蔵ユニットを含む、複数の電極を含む多重充電式リードに関する。
【背景技術】
【0003】
植込み型神経刺激装置は、慢性的な痛み、振戦、パーキンソン病、てんかん、失禁、または胃不全麻痺のような様々な症状や疾患を治療するために、患者へ神経刺激療法を提供するために使用される。植込み型神経刺激装置は、電極を含む植込み型リードを介して電気パルスの形で神経刺激療法を提供することができる。上記の特定の症状や疾患を治療するためには、植込み型リードは、神経に沿って脊柱の硬膜外または髄腔内空間内に、および患者の脳、他の臓器または組織周辺において、そのデバイスによって治療されるべき特定の疾患に応じて、植え込むことができる。
【0004】
植込み型リードに関しては、導体、電極、および絶縁体のような幾つかの要素を、リード体を製造するために組み合わせることができる。リードは、リードの遠位端から近位端までのリード体の長さを延伸する一個以上の導体を含んでもよい。導体は、遠位端における一個以上の電極と、リードの近位端における一個以上の接続子とを電気的に接続する。電極は、組織や臓器との電気的な接続または刺激点を形成するように設計されている。リードの接続子は(時には端子、電気接点、または電気接点の電極と称する)、電気的におよび機械的に、植込み型パルス発生器やRF受信機(刺激源)、または他の医療機器にリードを接続するようになっている。絶縁材料は、リード体を形成することができ、並びに導体間の電気的な遮断、外部接触からの保護および体との適合性のために、導体を囲むことができる。
【0005】
このようなリードは、挿入部位において体内に植設することが可能であり、植設部位から刺激部位(電極の配置領域)に拡張させることが可能である。植設部位は、パルス発生器または受信機(刺激源を提供する)を受け取り収容する皮下のポケットとすることができる。植設部位は、臀部または胴体部内の他の部分の近くなどの刺激部位から離れたところに配置することが可能である。一般的な構成の一つは、植設部位および挿入部位は背下部に配置し、背中部、背上部、首又は脳の領域のような刺激部位へと脊椎の硬膜外腔を通って延びるリードを用いるものである。
【0006】
現在のリードの設計は、一般的にパドルリードおよび経皮的リードとして知られているもののように、異なる形状を有する。通常、経皮的リードよりも大きいパドルリードは、指向性であり、しばしば組織または領域において所望される刺激効果のために利用されている。しかしながら、現在のパドルリードは、外科的手段を用いた挿入を必要とし、それゆえ、外科的手段を用いて取り外す必要がある。経皮的リードは、特殊な針を用いて硬膜外腔に容易に導入できるように設計されている。したがって、このようなリードは、通常、パドル型リードよりも断面は小さくより円形に近くなっている。このような縮小されたサイズは、身体への植設を容易にし、身体のより多くの領域にその植設を可能にし、また望ましくない植設の副作用を最小限に抑える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
植込み型電気刺激リードが提供される。提供されたリードの部品は、密閉された集積回路のコントローラ、二個もしくはそれ以上の密封された個別にアドレス可能なサテライト電極(addressable satellite electrode)構造および誘導電源を含む。また、本発明のリードを含むシステムだけでなく、様々な異なる適用においてシステムおよびリードを使用する方法も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態による経皮的リードの図を表す。前記の経皮的リードは、いくつかの個別にアドレス指定可能なサテライト電極構造を含む。
【図1A】図1のリードの電極構造の分解図を表す。
【図2】本発明の一態様によるリードに存在し得る個別にアドレス指定可能なサテライト電極構造の、より詳細な図を表す。
【図3】本発明の別の態様によるパドルリードの図を表す。
【図4】本発明による図3のパドルリードの単一の電極の図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
植込み型電気刺激は、神経組織、筋肉組織などを含むがそれに限定されない、様々な異なった種類の組織を刺激するために構成されている。このように、それらはデバイスのフォームファクターや形状だけでなく、コントロールユニットのプログラミングの観点からも、刺激アプリケーションのために構築されている。本発明のデバイスは、神経刺激アプリケーションのような特定のアプリケーション用に構成することができる。このようなデバイスは、従来の経皮的リード、パドルリード、および他の神経刺激のための特有の構造に見られる形状を含む神経刺激アプリケーションでの使用に適している様々な形状を持ち得る。以下でより詳細に総説されるように、神経刺激プロトコルや筋肉組織の刺激プロトコルのような、目的の刺激プロトコルのための専用プログラミング(所与のタスクを実行するための、プロセッサによって実施される命令集合)もまた、集積回路コントローラの集積回路素子および/またはデバイスの個別にアドレス指定可能なサテライト電極構造のような、本発明のデバイスの部品に含まれ得る。そのデバイスの一部とすることができるプログラミングは、所与のタスクの命令集合全体または命令集合の一部を含んでもよい。当該命令は、デバイスとは異なる部品に関連付けられている他の命令と組み合わせて使用される。前記プログラミングにおいて、このような追加の命令は、例えばデバイスが目的の標的組織を刺激する前、刺激している最中、又は刺激した後などの、デバイスの操作に関連付けられているある時点でデバイスが通信する体外制御ユニット内に存在し得る。
【0010】
ここで、図1と図1Aを参照すると、多重化マルチ電極リード200が示されている。リード200は、リード200の縦方向に配置された複数の個別にアドレス指定可能なサテライト構造202を備えている。リード200には、二個のバス導線S1とS2が含まれている。導線S1とS2は、複数の構造体202に結合されており、各々個別にアドレス指定が可能となっている。ここで、図1Aを参照すると、個別にアドレス指定が可能なサテライト電極構造体202の一実施例が複数の電極とともに示されている。本発明の一態様では、構造体202は、電極212、214、216、および218を含んでおり、構造体202の円筒状の外壁の4個の四分円に位置している。本発明の範囲は、電極の数によって制限されない。本発明の個別にアドレス指定可能なサテライト電極構造体は、4個よりも多いまたは4個未満の電極素子を含んでもよい。各個別にアドレス指定可能なサテライト電極構造体または、例えば刺激信号、および/または異なる電極のどれとバス導線S1もしくはS2とが連結すべきかを決定する構成信号を受信するために、他のサテライト構造体および/または個別の制御ユニットと通信する集積回路部品をもその構造体内に含む。
【0011】
リード200は植込み可能であるので、体内に存在する高塩分、高湿度環境を含む生理的環境内に存在する時に、機能を維持するように構成されている。本発明の植込み型デバイスは、例えば1週間以上、4週間以上、6ヶ月以上、1年以上、5年以上を含む、2日以上にわたってこれらの条件の下で機能を維持するように構成されている。いくつかの例において、植込み型デバイスは、生理的部位に埋め込まれた場合、1年から80年もしくはそれ以上、例えば5年から70年もしくはそれ以上、および10年から50年もしくはそれ以上といった期間にわたって機能を維持するように構成されている。
【0012】
リード200は多重構造を含んでいる。多重構成は、集積回路の制御要素が共通の導体を使用して2つ以上の個別にアドレス指定可能なサテライト電極構造体に電気的に連結されていることを意味する。このように、2つ以上の個別にアドレス指定可能なサテライト電極構造は、図1AにS1およびS2として示したような共通の導体を共有しており、そして集積回路のコントローラにそれらをつなぐ個々に固有の導体を有していない。「導体」という用語は、ワイヤ、ケーブルなどを含む導電性要素の様々な構成を指す。様々な異なる構造を、多重化構成を提供する為に実施することができる。対象の多重構成は、以下を含むが以下に限定されない。WO2004/052182として公開されたPCT出願番号PCT/US2003/039524、WO2006/029090として公開されたPCT出願番号PCT/US2005/031559、WO2006/069322として公開されたPCT出願番号PCT/US2005/046811、WO2006/069323として公開されたPCT出願番号PCT/US2005/046815、およびWO2007/075974として公開されたPCT出願番号PCT/US2006/048944。これらの開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0013】
本発明における植込み型電気刺激のリードは、密閉された集積回路のコントローラおよび2つ以上の密閉された個別にアドレス指定可能なサテライト電極構造体を含む。本発明の集積回路部品は、コントローラおよび2つ以上の個別にアドレス指定可能なサテライト電極構造体を含む。これらの部品は、回路部品および固体支持体を含む構成体である。固体支持体は小さくともよく、例えば、幅は、0.1mmから20mmや0.5mmから2mmなどの0.01mmから100mmの範囲、長さは、0.1mmから20mmや0.5mmから2mmなどの0.01mmから100mmの範囲、高さは、0.05mmから2mmや0.1mmから0.5mmなどの0.01mmから10mmの範囲の寸法となっている。固体支持要素は、様々な異なる構成を有してもよく、例えば、チップ構成、シリンダ構成、球状構成、およびディスク構成などのようなものが挙げられるがそれらに限定されない。特定の構成は、意図されたアプリケーション、製造方法などによって選択することができる。固体支持体を製造するための材料は、その用途のために構成された特定のデバイスに応じて大幅に異なり、特定の状況では、固体支持体はシリコンなどの半導体材料で作られている。
【0014】
コントローラおよび個別にアドレス指定可能なサテライト電極構造体の集積回路部品は、多くの異なる機能ブロック、すなわちモジュールを含むことができる。いくつかの例では、回路は、少なくとも次の機能ブロックを含む:電源抽出機能ブロック、エネルギー貯蔵機能ブロック、センサ機能ブロック、通信機能ブロック、およびデバイス構成機能ブロックなど。
【0015】
所与のコントローラ又はサテライト電極構造体の中では、少なくとも例えば、2つ以上の、また最大ではその全てを含めた機能ブロックが単一の集積回路内に存在し得る。単一の集積回路は、デバイスに求められる異なる機能ブロックの全てを含む単一の回路構成を意味する。構造体のこれらのタイプでは、集積回路は、半導体材料の薄型基板の表面に製造された半導体および受動部品で作られている、小型化電子回路であるモノリシック集積回路である。本発明のセンサはまた、基板又は回路基板上に接合された個別の半導体デバイス並びに受動部品から構築された小型化電子回路であるハイブリッド集積回路である集積回路をも含んでもよい。
【0016】
リードの集積回路のコントローラは、単独で、または体外制御ユニットなどの別のデバイスと協働して、サテライトの電極構造体を操作するように構成されている集積回路である。集積回路コントローラは、電気パルスを感知し、および/または特定の刺激パルスを所望どおりに(例えば特定の刺激プログラムを実施するように)印加することのできる方法で、リードの電極作動させるように構成されている。
【0017】
サテライト電極構造体は、集積回路制御デバイスと少なくとも一個の電極素子を含む構造体である。本発明のサテライト電極構造体は、上記にその例を述べた、サテライト電極構造体にアドレス指定能力を与える集積回路の形態の制御回路を含む。当該リードは、2個以上の個別にアドレス指定可能なサテライト電極構造体を含む。いくつかの例において、デバイス内に、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、10個以上、20個以上(24個を含む)、30個以上、50個以上などの2個以上の個別にアドレス指定可能なサテライト構造体が存在する。個別にアドレス指定可能なサテライト電極構造体は、集積回路のコントローラによって単独で、または体外制御ユニットなどの別のデバイスと協働して個々に制御することができるものである。
【0018】
所与のサテライト電極構造は、集積回路に連結された単一の電極素子、または3個以上、4個以上、6個以上の電極といった2個以上の電極が、同一の集積回路に連結された電極を含んでもよい。様々な態様において、その構造体は、3個以上、4個以上の電極素子といった、2個以上の電極素子を含み、構造体は分割電極構造となっている。様々な電極素子は、それらの制御集積回路に対して三次元空間に配置することができ、電子的に多くの異なる方法で連結されている。例えば、複数の電極素子は、集積回路の周りに放射状に、すなわち軸方向に一様に分布することができる。代替的には、複数の電極素子は、集積回路のいずれかの側に配置することができる。
【0019】
いくつかの例において、密封要素は共形ボイドフリー(void−free)封止層であり、封止層は、集積回路部品(上述)の外側表面の少なくとも一部に存在している。いくつかの例では、この共形ボイドフリー封止層が、実質的にすべての集積回路部品の外表面上に存在し得る。代替的には、この共形ボイドフリー封止層は、集積回路部品の一面のみもしくは一面の一部というような、集積回路の表面のいくつかだけに存在することがある。このように、いくつかのセンサは、集積回路部品を完全に共形ボイドフリー封止層に収めている。他のセンサは、集積回路部品の上面のみが共形ボイドフリー封止層に覆われるように構成されている。
【0020】
共形ボイドフリー封止層は、「薄膜」コーティングであってもよく、この点において「薄膜」の厚さは、それに関連する集積回路構造体の全体の体積を実質的に増加させないようになっており、層に帰することができる構造体の増加は、10%以下、例えば5%以下、または1%以下とすることができる。いくつかの例において、封止層の厚さは、0.3から3.0μmおよび1.0μmの厚さの範囲を含むような、0.1から10.0μmである。
【0021】
封止層は、プラズマ促進化学蒸着、物理蒸着、スパッタリング、蒸着、陰極アーク蒸着、低圧化学蒸着などの、プレーナ処理プロトコルを含むがそれに限定されない多数の異なるプロトコルのいずれかを使用して集積回路部品上に製造することができる。
【0022】
本発明のセンサに用いられる共形ボイドフリー封止層の追加の説明は、公開番号WO/2007/120884として公開されたPCT出願番号PCT/US2007/009270において提供され、その開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0023】
また、密封要素として興味深い点は、少なくとも一つの導電性フィードスルーおよび封止層を有する耐腐食性ホルダであり、ここで、封止層とホルダは、集積回路部品を囲む密閉容器を画定するように構成されている。導電性フィードスルーは、白金、イリジウムなどの金属、金属と半導体の合金、窒化物、半導体またはその他何らかの好都合な材料であってもよい。いくつかの例では、耐腐食性のホルダは、シリコンまたはセラミックを含む。寸法は異なる場合もあるが、耐腐食性のホルダは、壁を有していてもよく、前記壁は、少なくとも50μmの厚さのような、少なくとも1μmの厚さであり、25から100μmを含む、1から125μmの範囲であってよい。封止層は、金属であってもよく、対象となる金属は貴金属およびそれらの合金、例えば、白金、白金合金を含む。封止層の寸法はまた、異なってもよく、いくつかの例においては、厚さ2.0μm以上のように厚さ0.5μm以上であって、厚さ20μm以上を含み、封止層の厚さは、1から50μmのように0.5から100μmの範囲にある。特定の構成において、構造体はさらに密閉容積内に絶縁性の材料を含んでいる。いくつかのケースにおいて、密閉容積は、1plから1mlの範囲にある。
【0024】
いくつかの例では、生体内耐食ホルダは、ホルダの壁が集積回路部品の一面を除く全ての面を囲むように、集積回路部品を保持するように構成された構造体である。例えば、ホルダは側面と底を含んでもよく、ホルダが1面を除く全ての面で囲む容積内に部品を集積回路部品を収容する限り、ホルダは様々な構成を有してもよい。したがって、ホルダの形状は必要に応じて、正方形、円形、卵形、長方形もしくは他何らかの形状であってよい。
【0025】
本発明のセンサに用いることのできる、耐腐食性のホルダに関して追加説明は、WO/2006/069323で公開されたPCT出願番号PCT/US2005/046815において提供され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0026】
図2は、個別にアドレス指定可能な分割型の電極構造400の一実施形態の詳細な図を示している。構造400は、密閉された集積回路部品の周りに放射状に配置された409A、409B、409Cおよび409Dの4個の電極素子を有する。その構成は、四分円の電極として見ることができる。可撓性の接続部401が、要素403と、例えば図1のS1およびS2のような細長い導電部材405および407との間に設置されている。本発明の様々な態様において、要素403は集積回路であってもよく、もしくはそれは、電力貯蔵装置としての集積回路などの複数の部品が含まれるハウジングであってもよい。この設計は、集積回路と細長い導電性部材との間の弾力的な接続を形成する。弾力的な接続部401の各々は、要素403をしっかりと保持するための固定フック404を含んでいる。図示のとおり、細長い導電部材405および407は、弾力的な接続部401の内腔402の中に設置される。要素403は、接合部411および417によって、4個の別々な電極409A、409B、409Cおよび409Dに取り付けられている。電極409A、409B、409Cおよび409Dは、適切な構成構造体413で一緒に結合しており、これはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの、任意の好都合な材料で作ることができる。ガイドワイヤ内腔415は、要素403の下および細長い導電性部材405および407の下および/もしくは間に走っている。それらすべては、電極409A、409B、409Cおよび409Dの位置および向きによって画定された領域を通過するか、もしくはその中に収容されている。
【0027】
図1のリード200内にあるサテライト電極構造400の要素403は、密閉された集積回路部品を有しており、それらは植込まれた環境から集積回路部品を封止するための封止要素を含んでおり、そのため少なくともデバイスの意図した寿命の期間は、集積回路部品の機能を維持している。1週間以上、1か月以上、1年以上、5年以上、10年以上、25年以上、40年以上といった所望された期間、植込まれた環境において部品の機能を維持する限り、封止要素の性質が異なってもよい。
【0028】
個別にアドレス指定可能なサテライト電極構造に関する更なる詳細については、WO/2006/029090として公開されたPCT出願番号PCT/US2005/031559、WO/2006/069323として公開されたPCT出願番号PCT/US2005/046815、WO/2006/069322として公開されたPCT出願番号PCT/US2005/046811、およびUS2008−0114230 A1として公開された米国出願番号11/939,524に見出すことができ、本開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
密閉された集積回路コントローラおよび個別にアドレス指定可能なサテライト電極構造体に加えて、本発明のリードは誘導電源も含むことができる。誘導電源は、体外の場所から電力信号を、例えば高周波エネルギーの形で受信し、受信された信号をリードに電力を供給するのに十分なエネルギーに変換するように構成された部品である。誘導電源は、任意の好都合な形状を取ることができる。いくつかの例において、誘導電源はコイルである。リードの誘導電源で使用されるコイルは、特定のリードの構成に応じて所望されるように、緩いコイルからきついコイルまで異なってもよい。誘導電源は、リードの周囲、リードの中心部などを含む、リードの任意の好都合な位置に配置することができる。
【0030】
所望の場合には、さらに本発明のリードにエネルギー貯蔵部品を含んでもよい。対象となるエネルギー貯蔵部品は、後で使用するために誘導電源によって提供されるエネルギーを貯蔵することができる構造体である。蓄電器や電池などを含むがそれに限定されない、任意の好都合なエネルギー貯蔵部品を使用することができる。エネルギー貯蔵部品を含むリードは、充電式とみなすことができる。
【0031】
リード部品は、その幅の5倍以上、10倍、15倍、20倍、25倍、50倍、100倍以上の長さというような、その幅の2倍以上の長さを有する細長い構造体である。ある例においては、リードは、25mm以上、50mm以上、100mm以上というような、10mm以上の長さを有する。リードは、様々な異なる構成を用いることができる。リードは、ワイヤなどの1個以上の導電要素をハウジングするための、例えばガイドワイヤとともに使用する1個以上の内腔を含むことができる。遠位端は、必要に応じて、例えば固定手段などの異なる様々な機能を含んでもよい。リードは可撓性の構造体として製造することができ、内部導体要素は、ワイヤ、コイル、または合金MP35N(ニッケル−コバルト− クロム −モリブデン合金)、白金、白金−10イリジウムなどの適切な材料で作られたケーブルを含むことができる。リード本体はポリウレタンまたはシリコンを含む高分子材料などの任意の適当な材料とすることができる。
【0032】
本発明のリード部品は、必要に応じて様々な形状を有することができる。いくつかの例においては、リードは従来の経皮的神経刺激リードに見られる標準的な経皮的形状を有し、例えば細長い円筒形または他の構造をしており硬膜外腔に配置されるように構成されている。いくつかの例においては、リードは、従来のパドル神経刺激リードに見られる標準的なパドル形を有し、電極は2次元配列で表示される。
【0033】
本発明のリードは、制御ユニットなどの、物理的にはリードに結合されていない個別のデバイスと通信するように構成されている。この個別のデバイスは、必要に応じて対象内に植え込み、もしくは体外に設置することができるものである。しかしながら、デバイスは物理的にはリードと結合していないので、リードは物理的な構造によって個別のデバイスには結合していない。したがって、リードは個別のデバイスに物理的に結合されないように構成されているものである。そのため、リードはIS−1接続子のような個別のデバイスへの物理的な接続を提供する部品を含まない。
【0034】
図3は、本発明におけるパドルリード300の図を示しており、このパドルリード300は、例えば植込み型パルス発生器などの植込み型制御ユニットのような、他の一切の部品に結合しないように構成された充電式デバイスである。パドルリード300は、物理的に植込み型パルス発生器などの個別の制御ユニットに結合されることなく、それでも対象組織に刺激を与えることができる独立型のリードである。パドルリード300は、従来のパドルリード形状を含む可撓性のリード支持体310を含む。パドルリード300の一面において、電極320の二次元配列があり、(上述のように)電極320は個別にアドレス指定可能なサテライト電極構造の電極である。その多重化構成によって個別にアドレス指定可能なサテライト電極に連結されている、密閉された集積回路コントローラ330もまた示されている。パドルリード300はまた、パドルの周囲に2回以上巻きつけたワイヤで形成されたコイル340をも含む。また、蓄電器もしくは電池でもあり得るエネルギー貯蔵要素350も示されている。
【0035】
本発明のデバイスを製造する際に、様々な異なるプロトコルのうち任意のものを用いることができる。例えば、成形、蒸着および、材料の除去、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)の製造などの平面加工技術を用いることができる。デバイスまたはその部品の製造の特定の態様に用いることができる蒸着技術は、下記を含むがそれに限定されない。電気めっき法、陰極アーク蒸着法、プラズマ溶射法、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、物理蒸着法、化学蒸着法、プラズマ促進CVD法等。対象となる材料除去の技術は、下記を含むがそれに限定されない。反応性イオンエッチング、異方性化学エッチング、等方性化学エッチングおよび、例えば化学機械研磨、レーザアブレーション、電子放電加工(EDM)などを用いた平坦化。リソグラフィ・プロトコルもまた対象となる。特定の実施形態において対象となるのは、プレーナ処理プロトコルの使用である。前記プレーナ処理プロトコルにおいて、順次基板に適用される様々な異なる材料の除去および蒸着のプロトコルを使用して構造体が構築され、および/または初期平面基板の表面から削除される。
【0036】
いくつかの例において、レーザー切断ワイヤは、本発明のデバイスのリード要素の導電要素のような、本発明のデバイス用の導電要素として使用される。例えば、導電性要素は、金属の単一のシートからレーザー切断することができる。レーザー切断された導電要素のパターンは、リードの個別にアドレス指定可能なサテライト電極構造体の配置に合わせて選ぶことができる。このようにすれば、導体および電極構造体を位置合わせし、次に適切なポリマー材料をその上に重ね合わせて、所望のリード構造体を製造することができる。レーザー切断した導電素子は、直線から曲線まで、曲折状もしくは他の耐疲労性の構成といった、様々な構成を有していてもよい。レーザー切断の代わりに、導体はまた、上述したような蒸着プロトコルを使用して製造することができる。
【0037】
図4は、レーザー切断された、個別にアドレス指定可能なサテライト電極構造体810の導電要素800の断面図を示す。集積回路部品820は、レーザー切断した導電要素800と電気的に接触している。共形ボイドフリー層830は、集積回路部品820の上部に存在し、ポリマー被覆で覆うことで集積回路部品820を密封する。蒸着した単一の電極850は、層830の上部に存在し、接続子840を介して集積回路820に接続されている。電極850は、陰極アーク蒸着法など、任意の好都合なプロトコルを使用して蒸着することができる。
【0038】
図4に示された電極構造体810は、図3のパドルリード300において使用することができる。電極構造体810と同様に、図示の電極320の下にあるこのようなリードは、上述のように導電要素をレーザー切断したパターンとすることができる。パドルリード300の全ての電極320は、電極と集積回路コントローラとの間の電気通信を提供するように、導電要素のレーザー切断のパターンに結合している。
【0039】
本発明のデバイスは、任意の都合の良いプロトコルを用いて植え込むことができる。標準的な経皮的埋め込み方法およびパドルリードを、本発明のデバイスの移植に適合させることができる。デバイスは、移植を容易にするように構成することができる。例えば、デバイスは、例えば気体もしくは適当な液状媒体で膨張して所望の形態を呈するリード部品のような、展開形の要素を含むことができる。
【0040】
また、記載されたように、例えば植込み型パルス発生装置のような埋め込み型のもの、または、データおよび/もしくは電力を埋め込み型部品に送信し、および/もしくはデータを埋め込み型部品から受信するように構成されたもののような体外形コントローラのように、別個のコントローラと通信するもう一つの神経刺激デバイスを含むシステムも提供する。
【0041】
また、本発明のシステムを使用する方法についても提供する。本発明の方法は、上述したように、本発明の植込み型電気刺激リードを含む本発明のシステムを提供する工程を含んでもよい。リードは、任意の都合の良い方法を用いて適切な対象に植え込むことができる。移植後、リードは、対象の疾患を治療する目的のために所望のとおりに使用することができる。
【0042】
使用中、医師や他の臨床家などの医療専門家が、患者に提供される神経刺激療法を決めるために、多数のプログラム可能なパラメータの値を選択することができる。例えば、医療専門家が、患者に提供されるパルスの頻度およびデューティ比、並びに患者に提供される刺激波形の電圧もしくは電流の振幅およびパルス幅を選択することができる。医療専門家はまた、パラメータとして、リードによって支持されている電極のセットの中から、パルスを提供するために使用する特定の電極を選択し、および選択された電極の極性を選択することができる。パラメータ値の群は、それらが患者に提供される神経刺激療法を駆動するという意味において、プログラムと呼ばれることがある。
【0043】
医療専門家は、プログラミングセッション中に患者でテストされる多数のプログラムのパラメータ値を選択することができる。プログラミングデバイスは、患者に植込まれた植込み型神経刺激装置を、各プログラムに応じて神経刺激を提供するように導き、医療専門家は、例えば評価情報について、患者にテストされた各々のプログラムごとに、患者からのフィードバックを収集する。医療専門家は、次に評価情報に基づいて、植込み型神経刺激装置のための長期的な使用のために1個以上のプログラムを選択する。
【0044】
本発明の植込み型刺激装置は、患者の標的組織の電気刺激が所望されている任意のアプリケーションで使用される。本発明の植込み型神経刺激装置は、異なる様々なアプリケーションにおいて用いることができる。アプリケーションの例は、慢性的な痛み、振戦、パーキンソン病、てんかん、失禁、または胃不全麻痺などの様々な症状や疾患を治療するために患者への神経刺激療法を提供する、デバイスおよびシステムの利用を含む。植込み型の神経刺激装置は、電極を含むリードを介して電気パルスの形で神経刺激療法を提供することができる。上述した症状や疾患を治療するためには、例えば電極は、患者の脊髄、骨盤神経、もしくは胃に近接して、または脳内に配置することができる。
【0045】
また、例えばリードとコントローラなどのデバイスまたはその部品を含むキットについても提供する。当該キットの様々な態様において、キットには、対象デバイスを使用するための説明書、若しくはそれを入手するための要素(例えば、使用説明書を提供するウェブページにユーザーを誘導するウェブサイトURL)がさらに含まれる。そして、これらの使用説明は通常基板上に印刷され、その基板は1個以上の、パッケージ挿入物、包装、試薬容器などである。当該キットでは、都合または所望によって、1個以上の部品を同一の容器に入れてもよく、または異なる容器に入れてもよい。
【0046】
本発明は、説明した特定の実施例に制限されず、異なってもよいことを理解するべきである。また、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるので、本明細書内で用いられる用語は、特定の実施形態のみを記述するためのものであり、限定することを意図したものではないことも理解すべきである。
【0047】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限値と下限値との間にある値は、文脈が明らかに指定する場合を除き、下限の単位の10分の1まで、およびその記述された範囲のその他全ての記述された値又は中間の値は、本発明の範囲内に包含されると理解される。これらのより小さな範囲の上限値と下限値は、記述された範囲内の全ての明示的に除外された限度を条件として、独立して小さな範囲に含めることができるとされ、本発明にも包含される。記述された範囲が限度の一方または両方を含む場合、これら含まれた限度のどちらかまたは両方を除く範囲もまた、本発明に包含される。
【0048】
特に定義されている場合を除き、本明細書内で使用されるすべての技術的および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているのと類似または等価の任意の方法および材料もまた本発明の実施または試験で使用できるものの、ここでは代表的な例示の方法および材料を記載する。
【0049】
本明細書に引用される全ての刊行物および特許は、あたかも個々の刊行物または特許がその参照により具体的にかつ個々に組み込まれることが示されるかのように、その参照により本明細書に組み入れられ、引用した刊行物に関連した方法および/または材料を開示し説明するために、その参照により本明細書に組み込まれる。いかなる刊行物の引用も出願日前のその開示を目的としており、先行発明を理由として、本発明が、これらの刊行物に先行する権利を有しないことを認めると解釈すべきではない。さらに、提供される文書の日付が実際の公開日とは異なることがあり、これは個別に確認する必要があるかもしれない。
【0050】
本明細書および添付の請求の範囲において使用される、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈上明確に別途指示しない限り複数の指示を含むことに留意されたい。さらに特許請求の範囲は、任意の選択的要素を除外するために起草されている場合があることにさらに留意されたい。このように、この記載は、特許請求要素の記述もしくは、「負」の限定の利用に関連して、「単独」、「のみ」などの排他的用語の使用の先行する基礎としての役割を果たすことを意図する。
【0051】
この開示を読めば当業者に明らかなように、本明細書に説明して示した個々の実施形態の各々は、個別の部品や機能を備えており、本発明の範囲もしくは趣旨から逸脱することなく、これは他の幾つかの実施形態の内のいずれかの機能から容易に分離でき、もしくはそれらと組み合わせることができる。いずれの記載された方法も、記載された事象の順序によって、もしくは論理的に可能な任意の他の順序によって、実施することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
様々な標的部位への電気刺激を提供するためのデバイスであって、
ハウジング内に配置されたガイドを含み、また前記ハウジングの長さの少なくとも一部が延びている前記ハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、また前記ハウジングの長さの少なくとも一部を通って延びる少なくとも1個の導体と、
前記ハウジングに固定された複数のアドレス指定可能な刺激ユニットであって、各々が、
電力を受け取る為に電気的に前記導体に連結し、また前記ガイドに固定された密閉された集積回路と、
前記集積回路が、他の電極から絶縁されて各電極への電力供給を制御し得るように、それぞれ電気的に前記他の電極から分離され、かつ前記回路に電気的に連結した複数の電極と
を含むアドレス指定可能な刺激ユニットと
を含み、
各刺激部位は、一つの標的部位に配置され、各標的部位の電気的刺激は、その特定の標的部位の近くにある前記刺激ユニットの前記集積回路によって制御されるように、前記リードが前記様々な標的部位に配置されている、デバイス。
【請求項2】
前記ハウジング内に位置する第2の導体をさらに含み、前記ハウジングの長さの少なくとも一部を通って延び、前記集積回路に電気的に連結している請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記デバイスの一方の端に位置し、電気的に前記コイルが誘導電源に相当する、前記導体および前記第2の導体に連結した誘導電源をさらに含む請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記デバイスの一方の端に位置し、電気的に前記誘導電源に連結されたエネルギー貯蔵部品をさらに含む請求項3および請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記エネルギー貯蔵部品は、電池である請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記エネルギー貯蔵部品は、蓄電器である請求項4に記載のデバイス。
【請求項7】
前記誘導電源はコイルである、請求項3に記載のデバイス。
【請求項8】
前記コイルの第1の接続点が、前記様々な標的部位の周囲に電気的に連結され、前記コイルの第2の接続点が、前記導体に電気的に連結され、前記導体の反対側の端も、前記導電経路を完全にするために、前記様々な標的部位の周囲に電気的に連結されている、前記デバイスの一方の端に位置する誘導電源をさらに含む請求項1のデバイス。
【請求項9】
前記リードは、前記刺激ユニットが二次元配列に配置されたパドル構成を有している請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
誘導電源をさらに含み、前記リードの前記コイルは、前記リードの周囲に2回以上巻きつけた導体を含む請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
各集積回路は、前記集積回路をプログラミングするための体外の制御装置との通信を行うように構成されている請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
各刺激ユニットは、付近の刺激ユニットから選択された距離に配置される請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
各刺激装置は、前記ハウジングの形状に一致している請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
組織の刺激装置であって、
体外制御ユニットと、
植込み型電気刺激リードであって、
前記リードの少なくとも一部に沿って延びる導体と、
電気的に前記導体に連結され、前記リードの一方の端に配置された密閉された集積回路のコントローラと、
各々が電気的に前記導体に連結され、前記集積回路のコントローラによって制御される、複数のアドレス指定可能なサテライト電極構造体と、
前記電極構造体に誘導電力を供給するために前記集積回路のコントローラに連結された誘導電源と
を含む植込み型電気刺激リードと
を含み、
前記体外制御ユニットは、前記植込み型電気刺激リードへプログラミングを送信するように構成されている組織の刺激装置。
【請求項15】
前記システムは、前記集積回路のコントローラを介して、前記電極構造体に電力を供給するための前記リードの前記導体に連結された電力貯蔵ユニットをさらに含む請求項12に記載のシステム。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−508622(P2012−508622A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536531(P2011−536531)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/064440
【国際公開番号】WO2010/057026
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(505222679)プロテウス バイオメディカル インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】